第4章 天井の構成 · 2019-03-06 · 4-1 第4章 天井の構成...

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4-1 第4章 天井の構成 建物の現地調査並びに設計者・施工者ヒアリング調査(第 10 章に概要を掲載)によれ ば、東北地方太平洋沖地震によって落下した時点の天井の状態は概ね次の通りと考えられ る。 4.1 天井面の構成 (1) ホールの平面形状 川崎シンフォニーホールのホール平面は楕円を不等辺多角形に置き換えた形状であり、 対称性は少し崩れている。楕円の長軸方向が東西方向とほぼ揃っている。ホールの内側に はさらに小さな楕円状多角形があり、ここに舞台と 1 階席が配置されている。2 階席から 4 階席までは外側環状部に位置し、床面高さを変えながら螺旋状に配置されている。パイ プオルガンは外側環状部の東端に位置する。なお天井面から舞台照明を行うシーリングス ポット室が中央 2 階席上の天井内に設けられている。 (2) 天井面の特徴 舞台と 1 階客席の上部にはほぼ水平な灰色の天井面がある(以下、高天井と呼ぶことが ある) 1) 。ここは外側環状部の天井よりも高いことから、その境界には 1m から 3m ほど の段差がある。また舞台と 1 階客席の天井の境界にも 2m ほどの段差がある。外側環状部 の天井面は、三角形や四角形の多数の区画に分割されているため、その境界で折れ曲がり が生じている。 外側環状部の天井面については、全体 として白色と灰色に塗り分けられた二重 環から構成され、その境界が下向きの稜 線を形成している(以下、前者を白天井、 後者を黒天井と呼ぶことがある)。つまり 白天井の各区画は外向きに下っているた め、両者の境界に段差が生じている。 なおシーリングスポット室より後ろの 座席(以下、後部席と呼ぶ)側の天井は 勾配 1/3 ほどで折れ曲がりを繰り返して いるが、 3 階席と 4 階席の境界付近は 1/1 ほどの急勾配となっている。 1)施工図で「高天井」と呼ばれることに由来する。同様に、外側環状部の天井は、仕上げの色に対応して 「白天井」や「黒天井」と呼ばれ、両者を併せて「白黒天井」と呼ばれることもある。なお高天井には パイプオルガンとその前の座席上の白天井を含む。 写真 4.1.1 落下物の天井面材の断面例 (上手側 1 階席、撮影 2011.5.23

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第4章 天井の構成

建物の現地調査並びに設計者・施工者ヒアリング調査(第 10 章に概要を掲載)によれば、東北地方太平洋沖地震によって落下した時点の天井の状態は概ね次の通りと考えられ

る。

4.1 天井面の構成

(1) ホールの平面形状川崎シンフォニーホールのホール平面は楕円を不等辺多角形に置き換えた形状であり、

対称性は少し崩れている。楕円の長軸方向が東西方向とほぼ揃っている。ホールの内側に

はさらに小さな楕円状多角形があり、ここに舞台と 1階席が配置されている。2階席から4 階席までは外側環状部に位置し、床面高さを変えながら螺旋状に配置されている。パイプオルガンは外側環状部の東端に位置する。なお天井面から舞台照明を行うシーリングス

ポット室が中央 2階席上の天井内に設けられている。

(2) 天井面の特徴舞台と 1階客席の上部にはほぼ水平な灰色の天井面がある(以下、高天井と呼ぶことがある)1)。ここは外側環状部の天井よりも高いことから、その境界には 1m から 3m ほどの段差がある。また舞台と 1階客席の天井の境界にも 2mほどの段差がある。外側環状部の天井面は、三角形や四角形の多数の区画に分割されているため、その境界で折れ曲がり

が生じている。

外側環状部の天井面については、全体

として白色と灰色に塗り分けられた二重

環から構成され、その境界が下向きの稜

線を形成している(以下、前者を白天井、

後者を黒天井と呼ぶことがある)。つまり

白天井の各区画は外向きに下っているた

め、両者の境界に段差が生じている。

なおシーリングスポット室より後ろの

座席(以下、後部席と呼ぶ)側の天井は

勾配 1/3 ほどで折れ曲がりを繰り返しているが、3階席と 4階席の境界付近は 1/1ほどの急勾配となっている。

1)施工図で「高天井」と呼ばれることに由来する。同様に、外側環状部の天井は、仕上げの色に対応して「白天井」や「黒天井」と呼ばれ、両者を併せて「白黒天井」と呼ばれることもある。なお高天井には

パイプオルガンとその前の座席上の白天井を含む。

写真 4.1.1 落下物の天井面材の断面例(上手側 1階席、撮影 2011.5.23)

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4.2 天井下地の構成

(1) 天井面の吊り方川崎シンフォニーホールの天井面には「繊維混入石膏板(商品名:エフジーボード)厚

8mm」が 5枚重ねに張られている(写真 4.1.1)。この材料の 5枚重ねの面積当たり質量は68kg/m2である 1)。

図 4.2.2 に本ホールの天井下地の代表的構成を示す。天井面を吊る下地組みは基本的に2段に分かれている。本ホールでは音響効果を高めるため、ホール内装仕上げの床・壁・

天井の一式が建物躯体から音響的に絶縁されている。天井面と建物躯体とは「防振ゴム(後

述)」によって絶縁されており、この措置が発端となって天井面を2段で吊る下地組みが設

計されたと考えられる 2)。

図 4.2.1 エフジーボードのカタログ

1) 5枚×13.6kg/m2(エフジーボード 1枚当たりの質量は図 4.2.1参照)。2)天井下地組みの2段吊りの設計理由を記した文書等は確認されなかった。ヒアリング調査でもこの点に関する質問に対して、設計者からの回答は得られなかった。

出典:曲面施工ができる繊維混入石膏板エフジーボード(http://www2.aa-material.co.jp/prd/ken/pdf/fgboard.pdf)、エーアンドエーマテリアル(閲覧日 2011.5.12)

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(2) 天井下地材の仕様(表 4.2.1)a)一般構造用軽量形鋼

本ホールの天井下地組みの主な材料は2つある。その 1つが「一般構造用軽量形鋼」である。形材種類はリップ溝形鋼(以下 C形鋼と呼ぶ)であり、代表的な断面寸法は C-100×50×20×2.3と C-60×30×10×1.6である。通常の天井鋼製下地は「JIS A 6517建築用鋼製下地材(壁・天井)」に基づく形材であることから、C形鋼を屋内天井下地に全面的に採用することは必ずしも一般的ではない。

なお設計図には C形鋼と角パイプの 2種類の野縁が記載されていたが、ヒアリング調査によれば、適切な接合金具がないとの理由から後者の採用は見送られた。

b)吊りボルト

天井下地組みのもう一つの主な材料が吊りボルトである。この材料によって、水平方向

や天井面方向に配置された C形鋼が垂直方向に繋がれる。本ホールの天井下地組みは2段吊りであるが、上段の吊りボルトにはφ12、下段の吊りボルトにはφ9が使用されている。

c)接合金具

天井下地材の C形鋼と吊りボルトは「ハンガー」や「クリップ」などの接合金具によって接合されている。ハンガーは一般販売されている既製品である 1)。一方クリップは本ホ

ールのために発注された製作物である。但し現在はほぼ同様のクリップが販売されている。

これら以外に C 形鋼に引っ掛けて取り付ける「フック状金具(商品名:つりっこ)」が使用されている 2)。このフック状金具は、ハンガーやクリップのような天井下地専用の接

合金具ではなく、形鋼から様々な物を吊り下げる際に用いる汎用金物である。本ホールの

フック状金具もそうした汎用金物の製品の 1つであり、懸垂物の重量に応じた使い分けなどができるよう、いくつかの仕様が販売されている。

d)防振ゴム

防振ゴムは上段吊りボルトの中間部に設置されている。残存する上段吊りボルトの全て

に防振ゴムが設置されており、目視確認できるのは 1種類のみである 3)。

この防振ゴムは既製品の中から選択されたものである。製造業者の出荷証明書も確認さ

れており、設計時に把握されていたばね定数や許容荷重も明らかになっている。

1) C 形鋼で構成された軒天井下地は珍しいものではなく、天井材メーカーのカタログでは耐風タイプと呼ばれて専用の接合金具も商品として販売されている。

2) 「建築工事仕様書」や「設計図」の中の特記計仕様書にはフック状金具を直接示す表現は見当たらない。「設計図」(例えば「建築 6611:ホール防振構造共通詳細図」)にはフック状金具が図示されているが書き込み文字はない。一方、「施工図」(例えば「C-020:ホール天井断面詳細図(3)」)には、当該金具に対して「ボルト吊り金物」という書き込み文字がある。但しこの表現がフック状金具のみを指すのか、それとも吊元に用いる金具類の

総称なのか、判断できないところがある。混乱を避けるため、本報告では「つりっこ」のような金具類の一般名

称として「フック状金具」という表現を用いる。表 1.5.1資料No.1、2、3、14参照。3) 空調ダクトの吊りボルトにも防振ゴムが設置されている。こちらは設備工事に含まれることから、天井工事とは区別して扱う。なおこちらの設置目的は空気搬送に伴うダクト振動の抑制であり、ダクト設置の仕様としては

一般的である。

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図 4.2.2 天井下地の構成 (1) 小屋トラス・ブドウ棚・天井下地の位置関係

「建築 6208:ホール断面詳細図-4」(表 1.5.1資料No.3より抜粋)に加筆

小屋トラス

A部

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図 4.2.2 天井下地の構成(つづき) (2) 天井下地材の位置関係

2次下地周り

1次下地周り

④防振ゴム

①1次下地材*(C-100)

②フック状金具(上段)

先行ピース

⑩吊りボルト(下段)

③吊りボルト(上段)

⑧2次下地材

(C-60)⑥ハンガー(上段吊先)

⑦2次下地材

(C-100)

⑪'斜め振止め(下段)

⑨フック状金具(下段)

⑤水平振止め(上段)

* シーリングスポット室周りのC形鋼はH形鋼の上

⑫ハンガー(下段吊先)

⑬野縁受(3次下地材)

⑮(⑮')野縁⑯繊維混入石膏板

⑭クリップ

スノコ

ブドウ棚 H形鋼

キャットウォーク(手すり)

天井

ホール・舞台・客席

注)ホール長辺方向の⑫通り付近(A部)を想定して作図。

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表 4.2.1 天井下地の主な部材の一覧

注)ヒアリング調査時の施工者の提出物の抜粋。

②-1、⑨-1の吊元金物はフック状金具のこと。

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施工者が提出した防振ゴムのカタログを図 4.2.3 に示す 1)。当該製品は 15Hz 以上の振動に対して有効と記載されている。ヒアリング調査によれば、防振ゴムは音響的振動の絶

縁のために設置しており、ホール天井の耐震的効果をこの部材に見込んでいないという設

計者の回答である。また音響工事品質委員会議事録にも、防振ゴムを耐震性の観点から議

論した形跡はない 2)。

(3) 接合の方法と種類a)1次下地の取付方法

大別すれば次の 2種類である。

①先行ピースに溶接 ②先行ピース以外に溶接。

①は標準詳細図に示された方法である(図 4.2.4)。1次下地の大部分はこの方法によっ

図 4.2.3 ホール天井下地に使用された防振ゴム(型番:MSF-50S)のカタログ

出典:昭和電線電纜株式会社(当時社名)のカタログ(作成:年月不明。但し遅くとも建物引渡し以前)2)

1) 表 1.5.1資料 No.16を掲載。なお当該資料は建物引渡し資料に含まれていたものとして、ヒアリング調査の際に施工者から提出された。

2) 表 1.5.1資料No.7参照。なお後述する「斜め振止め」の設置に関連して、防振ゴムの絶縁機能を損なわないかどうかの確認はなされている。

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て取り付けられている。溶接方法は隅肉溶接と目視判断できる。但し、溶接に関する具体

的仕様は、「施工図」でも明らかでない 1)。

一方、②の取付方法は入手した「設計図」や「施工図」には記載されていない。その詳

細は後述するが、これまでの現地調査によればこちらの取付方法として 3種類ほどが確認されている。

出典:「建築 6611:ホール防振構造共通詳細図」(表 1.5.1資料No.3より抜粋)

図 4.2.5 バルコニー席下の天井下地の標準詳細図

図 4.2.4 ホール天井下地の標準詳細図

1) 例えば「施工図」の「C-020:ホール天井断面詳細図(3)」には、当該部分に対して「現場溶接」との書き込み文字はある。しかし溶接長さ等の具体的仕様は示されていない。表 1.5.1資料 No.14参照。

出典:「建築 6611:ホール防振構造共通詳細図」(表 1.5.1資料No.3より抜粋)

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b)ボルト吊元部

現地調査によって次の 3種類に大別できることが確認されている。

Ⅰフック状金具 Ⅱハンガー Ⅲ直接溶接

このうちのフック状金具とハンガーは1次下地材(C形鋼)に取り付ける方法である 1)。

一方、直接溶接には 2種類が確認されている。その一つは1次下地材(C形鋼)を設けず別部材に吊りボルトを設置する方法である。具体的にはキャットウォークの側桁(溝形鋼)

に直接溶接しており、上段吊元に見られる。もう一つは2次下地材(C-60)に溶接する方法である。これは下段吊元に見られる。

高天井や白黒天井に関する標準詳細図(図 4.2.4)に示されたボルト吊元部は、フック状金具を用いるⅠの方法のみであり 2)、ハンガーを用いるⅡの方法は「施工図」にも示され

ていない。ヒアリング調査に対する施工者回答によれば、両者の使い分けは作業性の観点

のみからなされており、強度を考慮したものではない。

Ⅲの直接溶接も「設計図」や「施工図」には高天井や白黒天井の取付方法としては示さ

れていない。但し標準詳細図の中には、吊りボルトの直接溶接と考えられる方法がバルコ

ニー席下の天井取付方法として示されている(図 4.2.5)。

1) ハンガーは専ら吊りボルトの吊先に取り付けられる接合金具であり、本ホールのように吊元に用いることは必ずしも一般的でない。

2) フック状金具のカタログ(図 4.2.6 参照)には注意事項として、取り付け間隔や使用場所などの条件が示されている。しかしこの注意事項を検討した形跡は「設計図」「施工図」及び「音響工事品質委員会議

事録」などには見当たらない。

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図 4.2.6 ホール天井下地に使用されたフック状金具(商品名:つりっこ、型番:2号)のカタログ

出典:株式会社サワタ建材社のカタログ:SAWATA 2003.CAT.no.29(作成:年月不明。但し遅くとも建物引渡し以前)1)

1) 表 1.5.1資料No.15を掲載。なお当該資料は建物引渡し資料に含まれていたものとして、ヒアリング調査の際に施工者から提出され、赤丸の印は本建物に使用されたものとして、施工者が付けたものである。

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c)ボルト吊先部

全てハンガーが用いられている。上段吊りボルトは C-100×50×20×2.3(1.6)、下段吊りボルトは C-60×30×10×1.6を吊っていることから、それぞれの形材サイズに対応したハンガーが用いられている。上段吊先部のハンガーは 1種類のみで、吊元に使う場合にも同じ製品である。一方、下段吊先部のハンガーは、著しく傾斜した野縁受に対しては傾斜

タイプが用いられているためいくつかの種類がある 1)。

通常の天井下地のハンガーは、吊りボルト直下に下地形材が位置しない形状である(以

下、外曲りハンガーと呼ぶ)。しかし本ホールに使用された製品は外曲りハンガーでないた

め、吊りボルト直下に C形鋼が位置している。また本ホールのハンガー製品はボルトによって形材の脱落防止を図るタイプである。現時点までの現地調査によれば、未落下部のハ

ンガーについては脱落防止のボルトが設置されていたことが確認されている 2)。

d)野縁受と野縁 3)

未落下部では野縁の上を吸音材が覆っているため、野縁受との接合部は未確認である。

落下物の確認によれば、これらを接合する方法はクリップのみであり、現時点までに確認

されたクリップは1種類だけである。L字と逆さ L字を1つにした形状をしており、2枚1組(ボルト留め)で用いられる。

前述したように本ホールのクリップは製作物であり既製品ではない。通常の天井下地の

クリップは 1枚の金物である。端部を野縁のリップに引っ掛け、野縁受を包むように現場で折り曲げて残り端部を野縁のリップに引っ掛ける。一方、本ホールのクリップは 2枚合わせとすることで、こうした現場加工が不要になっている。

1) 通常のハンガーは鋼板を折り曲げた1つのパーツでできているが、傾斜タイプは2つのパーツを回転できるようにボルト留めしたものである。

2) 未落下部ハンガーをキャットウォーク等からスポット的に確認した。3) 本ホールの「設計図」や「施工図」では、高天井や白黒天井の野縁の受材を「3次下地」と表記している。しかし野縁の受材は「野縁受」が一般名称である。混乱を避ける意味から、本報告では特別に必要

な場合を除いて「野縁を受けている3次部材」を「野縁受」と表記する。

4) 表 1.5.1資料No.17の一部を掲載。建物引渡し資料の中に当該資料に相当するものが含まれていなかったことから本資料で代替したとの説明であった。

図4.2.7 ホール天井下地に使用されたとされるハンガー

出典:八潮建材工業株式会社のカタログ:YASHIO天井下地材(作成:2010年 9月 1日)4)

図 4.2.8 ホール天井下地に使用されたとされるクリップの類似製品

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4.3 天井下地材の配置

(1) 下地材の基本配置a)1次下地材の配置と間隔

現地調査によれば、1次下地材(C 形鋼)はホール短辺方向にはほぼ 1.5m 間隔で配置されている 1)。但し各種懸垂物のワイヤー設置部や点検タラップ等を所々で避けているた

め、その間隔にばらつきはある。1次下地の最大間隔は 1.7mであり、この間隔が 3箇所で確認されている 2)。

1次下地材は、その両端をブドウ棚 H形鋼下の先行ピースに溶接することによって支持されている 3)。そのため、ホール外周部を除けば、1次下地材の材長は H 形鋼間隔(約

2.1m)と同一である。1.5mを基準間隔とした1次下地材の配置は標準詳細図(図 4.2.4)の表示と一致している。

「設計図」には天井下地の平面配置を示す図面は含まれていないが、「施工図」には天井

1次下地伏図 3 枚が含まれている 4)。上手と下手の 2・3 階席の天井の1次下地材については、ほぼ施工図通りの配置であることが確認されている(図 4.3.1)。

b)2次下地材の配置と間隔

2次下地材は、上段吊りボルトで吊られた C形鋼とその上に直交配置された C形鋼から構成されている 5)。前者は1次下地材と同断面(板厚違い)の C-100×50×20×1.6 であり、後者の断面は C-60×30×10×1.6である 6)。次に述べるように高天井と白黒天井では

2次下地(C-100)と1次下地の位置関係が異なっていることから、前者はほぼ 1.5m間隔、後者はほぼ 1.2m間隔で配置されている。一方2次下地材(C-60)はどちらでもほぼ 0.9m間隔で配置されている。

1) 現地調査の方法は第5章に詳述するが、1次下地材については全数調査を実施したが上手 3階席上の一部は接近できないため未計測である。また「施工図(S-009,010)」によれば断熱材が水平に張られた部分の裏側に1次下地材があるが、これらの有無も確認できていない。

2) パイプオルガン上の中央付近に 1箇所、後部 4階席上の上手側と下手側に 1箇所ずつある。3) 1次下地の一部はホール外周部の断熱材に貫入しているため、それらの端部の取り付け状況は確認できていない。

4)「C-024:ホール高天井1次下地伏図」「C-025:ホール白黒天井1次下地伏図(下手側)」「C-026:ホール白黒天井1次下地伏図(上手側)」。表 1.5.1資料 No.14参照。

5) 1次下地材から下の調査は建物の長辺と短辺の両方向のほぼ中央部分について幅 7mで実施した。ホール平面を 7m×7mで分割すると 44区画となり、調査対象はその 14区画になる。なお白黒天井は未落下部が少ないため 1区画のみである。

6)ヒアリング調査の施工者の回答によれば、2次下地材にも板厚 2.3 の C-100 が使われていることになるが使い分けは確認できていない。なお2次下地材の C-100 と C-60 は交点で溶接されており、未落下部分の確認可能な箇所では未溶接部分はみつかっていない。

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図 4.3.1 「施工図(C-025)」の 1・2次下地材の基準線と未落下部下地材の対照(白黒天井・下手側)【確認完了は図面上部(D-E通り中間まで)】

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高天井の2次下地材(C-100)は1次下地材の直下に吊られている。そのためその間隔は自ずと1次下地材と同一の 1.5mになる。その上に乗る2次下地材(C-60)の間隔は、現地調査によれば 0.9m前後であり、最大値として 1.2mが確認されている 1)。但し空調ダ

クトが配置されている部分では2次下地材(C-60)が 2mほどの間隔になっているところがある 2)。

一方、白黒天井の2次下地材(C-100)は1次下地材の直交方向に吊られている。現地調査によれば、その間隔は 1.2m前後であり最大値は 1.4mになる 3)。高天井との境界側は

間隔 0.6m 前後と密であるが、これは天井立上りを吊る2次部材もあるためである。2次下地材(C-60)の間隔はほぼ 0.9mでこれが最大値である。なお2次下地材(C-60)は斜め方向にも設けられているが、これらはほぼ白黒天井の折れ曲がり稜線に沿っている。

後部席の2次下地は全て落下しているため吊られた状態の間隔は確認できない。また1

次下地材の配置で述べたように、後部席の天井下地材の配置を示した伏図も確認されてい

ない。

しかし 4階席中央から落下した天井面は概ね原形を止めている(写真 4.3.1)。キャットウォークからの確認によれば、2次下地材(C-100)はホール長辺方向であることから、高天井と同様に1次下地の直下に吊られていたと考えられる。

やはりキャットウォークからの確認によれば2次下地材(C-60)は規則的間隔で配列されているように見える。「設計図」によれば空調吹出口に接続するダクト径は 750φである。この値と写真 4.3.1に基づけば、4階席中央の2次下地材(C-60)間隔は 0.9m程度と推測される。

標準詳細図(図 4.2.4)では、2次下地材の基準間隔を C-100は 1.5m、C-60は 0.9mと表示していることから、高天井の配置はこの表示に従ったものと考えられる。一方、白黒

天井の2次下地材(C-100)の間隔を標準断面図(図 4.3.2)は 1.5mと表示していることから、実際の建物はこの表示より密に配置されたことになる。なお同図の2次下地材

(C-60)の基準間隔は 0.9mと示されており、実際の配置との食い違いはない。「施工図」に含まれる天井1次下地伏図のうち、白黒天井を示す 2枚には2次下地材の通り心も記入されている。C-100の通り心は全て 1.2m間隔、C-60の通り心は 0.9m間隔である。なお斜め方向 C-60の配置は示されていないが、天井面の稜線は表現されている。なお後部席の天井下地伏図は「施工図」にも含まれていない。

1) 間隔 1.2mは調査エリア⑨(パイプオルガン前席の上)にある。付 1-1参照。2) 調査エリア⑤と⑧にある。これらの部分には空調ダクトがある。付 1-7参照。3) 間隔 1.4mは調査エリア⑫(下手 3階席の上)にある。なお未落下の白黒天井は下手側にしかない。付

1-15参照。

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図 4.3.2 白黒天井の標準断面図

出典:「建築 6515:ホール防振遮音天井標準断面図」(表 1.5.1資料No.3より抜粋)

写真 4.3.1 4階席中央の落下物(撮影 2011.4.12)

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c)野縁受と野縁の配置と間隔

野縁受は天井の各区画の裏面に野縁を介して結合されている。

高天井の野縁受は2次下地材(C-60)の直交方向に配置されている。0.9m 前後の間隔

が多いが、空調吹出口などの周囲では密に配置され 0.6m ほどになっている。確認された最大間隔は 1.2mである 1)。

白黒天井面は三角形や不等辺四角形に細かく分割され、空調吹出口なども設けられてい

る。そのため野縁受の規則的配列を見出すことは困難であるが、方向としては概ね2次下

地材(C-60)の直交方向、間隔としては 0.6mから 1.2mほどで配置されている 2)。

未落下部では野縁の上に吸音材が敷き詰められているため、その配置や間隔は未確認で

ある。落下部のうち、4 階席の落下物をメジャーポールと共に撮影して確認したところ、野縁受は 1m 前後、野縁は 0.5m 前後の配置間隔と推測される。なお上手席の落下物については適切な撮影ポイントがないことから野縁受と野縁の間隔を推測できる情報は得られ

ていない。

標準詳細図(図 4.2.4)では、野縁受と野縁の基準間隔をそれぞれ 0.9m と 0.45m と表示していることから、確認あるいは推測できた部分については概ねこの表示に従ったもの

と考えられる。なおシーリングスポット室の床下に位置する野縁間隔については、「建築

6615」の右図のみ 0.455mと示している。「施工図」に示された野縁受の間隔は「設計図」と同様に 0.9m である。野縁間隔につ

いてはホール短辺方向の断面図(S-008~010)には標準詳細図(図 4.2.4)と同様に 0.45mと示されている。但しホール長辺方向の断面詳細図(C-018~023)では、シーリングスポット室手前の高天井部分から後部席最後尾天井までの野縁間隔は 0.455mと示されている。

写真 4.3.2 高天井の2次下地材(C-100と C-60)(撮影 2011.4.1)

1) 調査エリア⑧(上手舞台奥)にある。付 1-8参照。2) 調査エリア⑫には吊りボルトと野縁受がほとんどない区画がある。

注)写真奥の斜めの部材は水平振止めの片端が脱落したもの

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4-17

(2) 吊りボルトの配置a)上段吊りボルトの設置間隔と吊り長さ 1)

現地調査によれば、未落下部の上段吊りボルトの代表的な設置間隔と吊り長さは次の通

りである。宙吊りになった舞台天井の上段吊りボルトについては、目視できる限りでは未

落下の高天井と同様である。

①高 天 井:設置間隔-ホール長辺方向 1.2m ホール短辺方向 1.5m(1次下地材の間隔と同一)

吊りボルト長さ-1.2m ②白黒天井:設置間隔-ホール長辺方向 1.2m(2次下地材(C-100)の間隔と同一)

ホール短辺方向 1.5m(1次下地材の間隔と同一)吊りボルト長さ-0.45m

未落下部の上段吊りボルト配置は規則的である。空調ダクト等の影響で間隔が広くなっ

た部分もあるが、その周囲の間隔は狭まっており平均すれば上記の間隔程度になる。

一方、落下部である後部席天井では、調査範囲の 7m 幅にわたって 1.8m 間隔の配置がある(調査エリア②)2)。その隣は 0.4mと狭まっているが、さらにその隣には 2.4m間隔と見える1次下地材が 2 本ある(調査エリア①)。但し、これらの間隔は1次下地材のリップ変形の間隔を計測していることから、この間に吊りボルトが設置されていた可能性も

ある。

b)下段吊りボルトの設置間隔と吊り長さ 2)

現地調査によれば、未落下部の下段吊りボルトの代表的な設置間隔と吊り長さは次の通

りである。宙吊りになった舞台天井も、目視できる範囲では吊りボルト間隔は未落下高天

メジャーポール

約7m

野縁野縁

野縁

3次 3次

対象:上手側 4階席の落下物推測間隔-野縁受 1.05m

野縁 0.45m (図 5.2.2の写真 28)

写真 4.3.3 野縁受や野縁の間隔の推測例(撮影 2011.5.31)

1) 1次下地材の下端から2次下地材(C-100)の上端までの間隔を上段吊りボルトの吊り長さとした。2) 付 1-3参照。3) 2次下地材(C-60)の下端から野縁受の上端までの間隔を下段吊りボルトの吊り長さとした。

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4-18

井と同様である。なおこの部分の下段吊りボルト長さは隣の未落下部を参考にすると平均

2.6m程度と推定される 1)。

①高 天 井:設置間隔-ホール長辺方向 0.9m(2次下地材(C-60)の間隔と同一)ホール短辺方向 0.9m(野縁受けの間隔と同一)

吊りボルト長さ-0.5m ②白黒天井:設置間隔-ホール長辺方向 0.6m~1.2m(野縁受の間隔と同一)

ホール短辺方向 0.9m(2次下地材(C-60)の間隔と同一)吊りボルト長さ-0.2~2.9m

未落下の高天井の下段吊りボルト配置は規則的であり、空調ダクト等の影響で間隔が広

くなった部分もあるにせよ、均せば上記程度の間隔になる。一方、白黒天井の野縁受の間

隔はばらつきが大きい。概算すれば下段吊りボルト 1本当たりの天井面積は約 0.7㎡になる 2)。

(3) 下地組みのバリエーションa)吊元の組み合わせ

ホール天井のほとんどは2段吊りである。現在までの確認によれば、これら2段吊り天

井における上段吊元と下段吊元の組み合わせは次の通りである(図 4.3.3参照)。

①上段:フック状金具+下段:フック状金具 ⇒中央 3階席天井、中央 4階席天井②上段:ハンガー +下段:フック状金具 ⇒1階席天井、舞台天井(高天井)③上段:フック状金具+下段:溶接 ⇒下手側 2・3階席天井(白黒天井)、

中央 3階席天井(④上段:ハンガー +下段:ハンガー ⇒点検吊り足場@舞台天井)

(⑤上段:フック状金具+下段:ハンガー ⇒確認例なし)

「設計図」と「施工図」には①の組み合わせのみが示されている。しかしこの組み合わ

せは未落下部には残っておらず、3 階席と 4 階席の落下物に見られるものである。但し 4階席落下物の確認は写真に基づいており、3 階席落下物には③の組み合わせも混在しているように見える。さらに後者には次に述べる3段吊りも存在した。

なお吊元の組み合わせとしては④と⑤も考え得る。しかし、天井そのものを吊る下地組

みにはこれらの組み合わせは確認されていない。但し前者は点検吊り足場の取付方法とし

ては採用されており、この場合は2次下地材(C-100)に吊元ハンガーを掛けている。なおヒアリング調査によれば、吊元の金具は作業性で使い分けられており、強度に関す

る理由からではないという施工者の回答であった。

1) 設計図によれば舞台天井は約 1/12 に傾いている。未落下の舞台奥天井は3段吊りになっており、計測した吊りボルト長さの合計は 4.1mになる。ここから上段吊りボルト長さ 1.2mを除き、舞台天井の傾きを考慮すれば、宙吊りになった舞台天井の下段吊りボルト長さの平均は 2.6mと求められる。

2) 約 49㎡の調査範囲(水平投影面積)の中に 68本の下段吊りボルトがある。付 1-16参照。

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4-19

b)段数の種類

2段吊りの他に、1段吊りと3段吊りが次の通りに確認されている。

①1段吊り:a)直接溶接による取り付け ⇒キャットウォークの下

b)フック状金具による取り付け⇒(シーリングスポット室の天井)1)

②3段吊り:a)上段吊りボルトに C-100を溶接して吊りボルト追加⇒舞台天井(高天井)b)2段吊り②の下に C-60を設けて追加段を溶接⇒中央 3階席天井

先述したように①a)の方法はバルコニー席下の天井下地の標準詳細図に示されている

(図 4.2.5)。しかしキャットウォーク側桁への溶接を直接的に示している図面は入手した「設計図」には含まれていない。①b)については標準断面図(建築 6615 の右図)に示されている。

一方、3段吊りについては、②a)にしても②b)にしても、これまでに入手した「設

計図」には示されていない。

⑤上段:フック状金具

下段:ハンガー

④上段:ハンガー

下段:ハンガー

①上段:フック状金具

下段:フック状金具

②上段:ハンガー

下段:フック状金具

図 4.3.3 2段吊りの吊元の組み合わせの模式図

③上段:フック状金具

下段:溶接

フック状金具

上段

下段

防振ゴム

ハンガー

溶接

1) ホール内に面するのは「シーリングスポット室の床下に設置された天井」である。つまり「シーリングスポット室の天井」はホール天井の落下と直接は関係しない。

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4-20

「施工図」の表示は「設計図」と同様であり、1段吊り①a)の方法は間接的に表示さ

れているが、3段吊りの方法はどちらも示されていない。

4.4 耐震要素の設置状況等

「体育館等の天井の耐震設計ガイドライン」(財団法人日本建築センター、2005年 5月)(以下、天井の耐震ガイドラインと呼ぶ)によれば、天井における耐震性確保の主な考え

方は 5点にまとめられる。天井の耐震性確保の 5つの考え方の概略、並びに「設計図」と「施工図」における各耐震要素の記載状況を以下に列挙する。

(1) 天井と壁のクリアランス「クリアランスとは」天井と壁が交わる入隅部に設けられる隙間である。「設計図」では

壁の天井際部分が様々な縮尺の断面図によって示されているが、入手した図面の中にはク

リアランスを記載したものは含まれていない。

ホール壁は二重壁になっている。そのホール内側壁の上端は、外側壁に結合されていな

いことから、片持梁の状態になっている。

「設計図」からは、天井とホール内側壁の納まりに特別な接合部材は確認できない。

「施工図」の中には天井と壁の納まり詳細図として「ホール上部壁はね出し部振止め図

(D-056)」が含まれている。

(2) 水平振止め「水平振止め」とは吊りボルト間に水平に設置する部材。「天井の耐震ガイドライン」で

は「水平の振止め」(あるいは水平つなぎ材)と呼んでいる。一般にふところの大きな天井

に設置される部材であり、役割は斜め振止めに準じる。

図 4.3.4 2段吊り以外の天井下地組みの種類の模式図

①1段吊り

a)溶接

②3段吊り

b)フック状金具 a)上段を分割 b)下段の下に追加

フック状金具

追加段

上段

下段

ハンガー

追加段

上段

下段

溶接

防振ゴム