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71 第4章 山口県各部門における 省エネルギーの実態と関係者の意向 ~アンケート調査結果を中心に~

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第4章 山口県各部門における

省エネルギーの実態と関係者の意向 ~アンケート調査結果を中心に~

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1.産業部門の状況

ここでは、事業所アンケートの結果を中心に、山口県内の産業部門における省エネル

ギーの実態や課題について整理する。

(アンケートの実施概要については、第1章を参照)

アンケート調査は、事業所単位で行っており、ある一つの企業ないし団体・機関が比

較的規模の大きな複数の事業所を擁する場合は、それぞれがアンケートの対象となって

いる。

(1) 回答者の顔ぶれ

回答事業所は608である。その顔ぶれをみると、全体の 34%が製造業、17%がサー

ビス業である。また、「その他」が 27%を占めている。「その他」には、市町村が有する

庁舎その他の諸施設、病院などがかなりの割合を占めている。製造業は人数的にも大き

な事業所が多く、一方、サービス業はアンケート対象の中では比較的小規模な事業所が

目立つ。

また、回答企業の内、91事業所(16%)が第一種エネルギー管理指定工場、35事業所

(6%)が第二種エネルギー管理指定工場であった。 【回答事業所の業種】

問1 1-1 業種

8

16

2

209

35

26

16

101

29

166

0 50 100 150 200 250

農林水産業 

建設業 

鉱 業 

製造業 

電気・ガス・水道業 

運輸業 

卸小売業

サービス業 

廃棄物処理業

その他 

N=608

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【回答事業所の従業員数】

(2)エネルギー使用量の動向 平成 7年度(1995年度)の使用量を 100とした場合の、平成 12年度(2000年度)にお

ける使用量の水準については、ほとんどのエネルギーの種類について<100~110>という

水準が最も多く、ゆるい増加傾向にあるということができる。

エネルギーの種類別に見ると、電力については、水準が<90~100>という事業所も多く、

基本的に大きな変化がなかったということができよう。但し、10%以上ないし 20%以上増

加している事業所も目立っている。

問1 1-2 従業員数

172

83

93

139

36

34

16

0 40 80 120 160 200(人)

25人未満

25人以上50人未満

50人以上100人未満

100人以上300人未満

300人以上500人未満

500人以上1,000人未満

1,000人以上

電力

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

80未満 80以上90未満 90以上100未満 100以上110未満 110以上120未満 120以上

N=573

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都市ガスやLPガスは、いずれも、2000 年度の消費水準が<100~110>というところ

が多いが、20%以上増加しているところと、20%以上減少しているところも目立っている。

重油、軽油、灯油についても、基本的に都市ガスやLPガスと似た状況にあり、事業所

によってかなり異なった状況がみられる。

一方、自動車燃料として利用される場合が多いガソリンについては、大多数の事業所が

<100~110>という水準にあり、増加傾向が比較的顕著ということができる。

(3)省エネルギーへの取組み体制と計画状況 ①今後の省エネルギーに関する計画の有無

省エネルギーへの取組みに関する計画を策定しているかどうかをたずねた結果、「現在

省エネルギーに関する計画を策定している」及び「策定中または策定の予定がある」事業

LPG

0

5

10

15

20

25

30

35

80未満 80以上90未満 90以上100未満 100以上110未満 110以上120未満 120以上

ガソリン

0

5

10

15

20

25

30

35

80未満 80以上90未満 90以上100未満 100以上110未満 110以上120未満 120以上

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所は、両者をあわせると 54%強に達した。ただし、41%の事業所は、省エネに向けた計画

を策定する動きはみられない。

②計画策定の理由

省エネルギー計画策定の理由たずねた結果は、「経営コストの削減や製品・販売原価な

どの低減のため」と回答した事業所が多く、省エネルギーに関する計画を策定している事

業所のうちの約 7割に達しているなど、経済的な要素が強いことがわかる。

問3 3-1 今後の省エネルギーに関する計画の有無

173

156

253

26

0 50 100 150 200 250 300

策定している

策定中または策定予定あり

策定していないし、今後も策定の予定はない

無 回 答 

問3 3-2 計画策定の理由

102

60

27

233

119

178

109

9

2

0 50 100 150 200 250

法制度によって計画作成が義務づけられたため 

業界団体、産業団体の指針や指導があったため 

将来の安定的なエネルギーの確保に不安を感じたため

経営コストの削減や製品・販売原価などの低減のため

ISO14000シリーズなど国際標準への対応の一環として

資源・エネルギーなど地球環境問題に対する社会的要請に応える為

地球環境問題の解決に積極的に貢献したい 

その他 

無 回 答 

N=608

(複数回答)

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一方、「将来の安定的なエネルギー確保に不安を感じたため」という回答は少なく、1割以

下であった。

③計画策定レベル

省エネルギーに関する計画が策定されている事業所の単位については、「事業所レベル」

という回答が最も多く、43%を占め、次いで「全社レベル」が約 3 分の 1 を占めている。

このように、基本的には、事業所単位、会社単位で組織的に省エネルギーへの取組みが進

んでいるということができる。

④定量的目標値の有無とその内容

「目標値を設定している」及び「目標値を設定中ないしその予定がある」事業所はそれ

ぞれ 37%あり、省エネに関する計画を策定している事業所のうちの 4分の 3を占めた。

問3 3-3 計画策定レベル

143

7

5

11

17

109

37

0 20 40 60 80 100 120 140 160

事業所の各担当部署レベル

事業所レベル

全社レベル 

関連会社・グループ企業・下請け企業全体 

業界全体

その他 

無 回 答 

問3 3-4 ① 定量的目標値の設定の有無について

123

120

67

19

0 20 40 60 80 100 120 140

設定している

現在設定中または設定予定あり

設定していないし、設定する予定もない

無 回 答 

N=329

N=329

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目標値を定めている計画における目標水準(平成 12年度(2000年度)のエネルギー使

用量を 100とした場合の値)については、まれに目標時点 2010年で 70%という目標

値もあるが、概ね 2005年時点を目標に 95%という水準が多い。

(4)省エネルギーに向けた課題 ①エネルギー使用に関する問題点

事業所における近年のエネルギー使用の状況から、どのような点に問題点や改善すべき

点があるかについて、選択肢から選んで回答してもらった結果は次のとおりである。

設問で掲げた選択肢の中で課題であるとする回答が目立つのは、「6.工場、事務所の照

明、空調、保冷、エレベーターなどのエネルギー効率が低い」、「8.工場、事務所などに

おける節電行動やエネルギー管理活動が不十分である」などである。このように、全般的

にみて、生産の設備や工程など生産そのものに関連する点も課題ではあるが、空調や節電

行動など、生産に直接関連のない部分が、一層大きな課題となっていることがうかがえる。

電力

0

10

20

30

40

50

60

70

80未満 80以上90未満 90以上100未満 100以上110未満 110以上120未満 120以上

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問4 4-1 エネルギー使用に関する問題点

16

26

19

29

25

31

23

52

32

45

21

97

97

148

96

96

184

119

253

145

85

130

190

197

165

196

200

170

137

194

188

56

62

66

41

51

58

18

39

57

59

249

210

245

246

172

236

148

198

238

210

183

172

42

226

0 50 100 150 200 250 300

1生産工程における加工機器など生産設備の エネルギー効率が低い

2工場のボイラー、炉などの燃焼効率が低い

3電動機、ポンプ、ファン、補機類などの エネルギー効率が低い

4生産設備の能力増強などによるエネルギー 使用量の増大

5生産量の拡大によりエネルギー使用量が 増大している

6工場、事務所の照明、空調、保冷等の エネルギー効率が低い

7排ガス利用、廃熱、蒸気利用などの二次的 利用が弱い

8工場、事務所等の節電行動やエネルギー 管理活動が不十分

9計測、記録等エネルギー管理の基礎となる 体制が不十分

10そもそも製品の性質としてエネルギー投入 量が大きい

11断熱等の面で工場建屋やオフィスその物 のエネルギー効率が低い

大きな課題  一応の課題  課題ではない わからない  無 回 答 

(複数回答)

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②エネルギー使用に関する改善方策

以上で掲げた問題点や改善が必要な点について、具体的な内容や改善策・検討策につい

て、代表的な事例とともに整理すると、次のとおりである。

・ 課題となりうる全ての項目は完全に独立して存在するわけではなく、それぞれに繋が

りがある。したがって、それぞれの項目に対して省エネ対策を講じるのではなく、事業

所全体(施設・設備・職員の意識等)が総合的な省エネ対策を行っていかなければなら

ない。

・ 具体的には、次のような問題解決の手順が考えられる。すなわち、まず現状の老朽化・

省エネ対策の施されていない施設に対し、設備を改修または新規導入することで、事業

所施設として省エネ体制を整備する。また、その際には排ガス・廃熱・蒸気などの二次

的利用可能なものがないか検討をし、あるようであればコージェネなどを念頭に置いた

設備配置を考える。次に現行の生産・加工工程においてエネルギーロスなどがないか、

エネルギー使用量測定のための計測器を設置することで現在のエネルギー使用量を把握

し、ロスがあるようであれば現行の生産・加工工程のプログラム見直しなどを行う必要

がある。

・ しかし、最終的には、それを扱う人間が省エネに対して確固とした意識を持って取り

組まなければ省エネルギーは進まない。そこで、事業所内で勉強会を行うなどして職員

の啓蒙を図ったり、具体的にこまめな消灯、コピー枚数の低減を実施したり、ISO14001

に参加することで具体的なプログラムを作成するなどによって、職員の意識改革を行っ

ていかなければならない。

・ 以上に述べたような意識を持った事業所は多く存在するが、実際省エネに対して行動

を起こすとなると、莫大な費用がかかることは否めない。これらの負担軽減のため、国

や地方公共団体の支援事業を活用することによって、事務所による省エネ活動は更に活

発になることが期待できる。

個々の点については、次のような状況がみられる。

1.生産工程における加工機器などの生産設備のエネルギー効率が低い

・ 各企業とも生産設備のエネルギー効率向上のために様々な具体的な対策を検討、実施

しており、成果を上げている企業も見られた。

・ 一方、工場、機械の老朽化または最新機器との技術格差を問題点に挙げる企業も多い。

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・ その対策としては、機器の更新、工場の改築を検討している企業もあるが、省エネを

目的に機器を買いかえる企業は少なく、設備計画において機器のリニューアル時に省

エネ機器導入を検討している企業が多いようにみえる。

2.工場のボイラー、炉などの燃焼効率が低い

・ 生産設備の問題点と同様に様々な対策が検討、実施されているが、エネルギー部門

でも施設の旧式、老朽化を問題点とする意見が多く見られる。

・ この他には燃焼効率、地球環境を問題として、重油→ガソリン、LPG→都市ガスなど

の燃料転換を行う企業や、ボイラーを大型化または小型化するなど現在の状況に見合

った規模に転換することを検討している企業もある。

・ 全体的には、ボイラーなどの機器は使用可能年数も長く、頻繁に設備更新もできな

いため、機器周辺の改良等を行うことにより現行の機器での高効率化を目指している

のが現状である。

3.電動機、ポンプ、ファン、補機類などのエネルギー使用量が増大している

・ ほとんどの企業で機器の老朽化、高効率化が問題点とされており、その対策として

インバーター機器導入による高効率化が検討されている。

・ その他の問題点としては、コンプレッサーの空気漏れやファンの非生産時の回転な

どがあり、それぞれ対策が検討されていた。

4.生産設備の能力増強などによってエネルギー使用量が増大している

・ 設備の増設を行い使用エネルギー量が増加する場合の問題点としては、環境問題、

エネルギー効率を挙げる企業が多く見られる。

・ その対策としては、コージェネレーション設備等の高効率設備を導入することで、

可能な限りエネルギー使用量を削減し、エネルギーの合理的利用を図ることなどが挙

げられている。

・ また、生産、運用プロセスを再構築し、システム面からのエネルギーの合理的利用

を図る企業も見られる。

・ しかしながら、管理不十分を問題点にする企業もあり、管理を徹底できるシステム

づくりを行うことも必要である。

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5.生産量の拡大によりエネルギー使用量が増大している

・ 生産量の拡大に伴うエネルギー使用量の増大に関する具体的な問題として、主に電

力の使用量増大が挙げられる。

・ また、生産量の増大に対応するため、新規の生産設備を導入することによっても、

エネルギーの使用量(これも主に電力)が増加している。この対応策として、エネル

ギー原単位(主に電力原単位)の向上を目的とした運転マニュアル・生産工程の改善

などによるエネルギー使用量の合理化、エネルギー効率の高い燃料の使用などが進め

られている。

・ 新規設備導入時には省エネタイプの設備の導入や所内の電力使用の最小限化、対策

委員会を設置するなどが行われている。

6.工場、事務所の照明、空調、保冷、エレベーターなどのエネルギー効率が低い

・ 工場、事務所の照明、空調、保冷、エレベーターなどのエネルギー効率が低いこと

に関する具体的な問題としては、主に空調に関する意見が多く見られ、その内容とし

ては、施設・設備が旧式・老朽化しており、効率が悪いというものであった。

・ その対応策としては、新規の設備を導入(インバーターの導入等)や現状の施設・

設備の定期的な点検・補修などがある。また、新規設備導入時には省エネ機器を導入

するなどの努力も払われている。

・ しかし、新規設備導入には費用がかかるため、その費用をどう確保するかが問題と

なる(支援策などによる自治体からのバックアップが必要か)。

・ その他、施設自体の構造上の問題や設備の電力消費量が多いなどの問題があるが、

施設の建替え、設備の最適配置、新規省エネ発電設備(太陽光発電等)の導入などが

図られている。

・ また、二次的なエネルギーの利用率が悪いことに対しては、コージェネ設備の導入

などにより対応している。

・ さらに、使用していない部屋の照明・空調の電源が入れられているなどの問題点な

どもあるが、これに対してはこまめに電源を切る、使用時間の制限などにより対策を

している。

7.排ガス利用、廃熱、蒸気利用などの二次的利用が弱い

・ 排ガス、廃熱、蒸気利用などの二次的利用が弱いことが問題点となっている。この

背景としては、施設・設備が老朽化しており効率が悪いこと、また二次的利用の用途

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がないことなどが最も多く挙げられている。

・ この対策としては、新規の設備の導入、二次的利用を可能にするなどの処置、現在

の運転方法見直しなどの対策が取られている。

・ しかし、新規設備導入に関してはコストが多くかかり、これをいかに解消するかが

問題となってくる。また施設の構造上の問題もある。

8.工場、事務所などにおける節電行動やエネルギー管理活動が不十分である

・ 工場、事務所における節電行動やエネルギー管理活動が不十分であるという項目に

関する問題点としては、主として職員の節電活動に対する意識が重要となってくる。

そのため、事業所側としても勉強会などを開き、職員に対して節電行動を徹底するよ

う呼びかけている。

・ 実際には、昼休みの消灯やコピー枚数の低減、節電シール等の作成など具体的な行

動を図るほか、照明器具・電子機器等の節電のこまめなチェックの実施、管理者の設

置、照明・空調の稼働時間・温度の設定、データ解析などの処置をしている。

・ また、ISO14001 の活動やエネルギー管理標準の設定など制度の面からも、節電意識

を高める活動を行っている。

9.計測、記録などエネルギー管理の基礎となる体制が不十分である

・ 計測、記録などエネルギー管理の基礎となる体制が不十分であるという項目に関し

ての問題点は、主として計測器が設置されていないことである。これに対しては計測

器を設置することでエネルギー使用量を把握し、その管理を行うことができる。

・ しかし、一度に全ての設備に計測器を設置することは金銭的に無理があるので、計

画的に設置していくことになる。

・ 使用量を設備・室毎に計測できないことや計測値が工場毎になるなどの問題もある

が、これらも上記の方法で解消される。

・ 他の問題として管理基準がはっきりとせず、現在の使用量が適切かどうか把握でき

ないということもある。これに対しては、計測器の設置後、使用量を記録・データ化

することでエネルギー管理基準を整備することが考えられる。

・ また、担当責任者を置くという方法も考えられている。

10.そもそも製品の性質としてエネルギー投入量が大きい

・ 製品の性質としてエネルギー投入量が大きいことに対する問題としては、その作業

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83

の内容上使用頻度が高い、またはエネルギー使用量の多い機器があることが挙げられ

る。これに対しては、生産計画や加工生産性の改善を図ることでエネルギーロスの抑

制を行うとともに、良質な原料を用いた生産、製品自体の改良や新規開発を行うこと

でその対策を行っている。

・ また宿泊施設・娯楽施設のようなサービスを提供する職種は顧客の満足に答える結

果(快適な空調温度、照明、風呂など)エネルギー使用量が増加せざるを得ないもの

もある。これらは効率の良い設備に改修・導入をすることで改善を図っている。

11.断熱などの面で工場建屋やオフィスそのもののエネルギー効率が低い

・ 工場建屋やオフィスそのもののエネルギー効率が低いという問題点の具体的内容は、

主に建物の老朽化に伴ったエネルギー効率の悪さである。

・ また建物に吹き抜けが多い、工場内の施設が散在している、建物が広すぎるなどの

構造上の問題などもある。

・ これらに対して考えられている対策は、建物の改修・改築工事である。しかし、そ

れを検討している事業所もある一方、費用の負担が大きいことから、実際にはそのよ

うな対策を講じることができないのが現状である。

12.その他

・ 以上の 1.~11.にあてはまらなかった具体的な問題点としては、特殊な状況下におけ

るエネルギー使用のケースである。それぞれ対策は講じられているが、病院などの医療

施設、障害者入所施設などは、その業務の性質上、省エネ対策の実施が困難な場合もあ

るという意見もあった。

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84

問4 4-4 ① 検討状況

9

18

355

23

116

87

0 50 100 150 200 250 300 350 400

以前から着目しており、その導入に向けて計画・検討中である

以前から着目しており、その導入について検討したいと考えている

現在のところ、ESCO事業の導入は考えていない

将来、他の方法とあわせてその導入を検討する可能性

その他 

無 回 答 

③低公害車、低燃費・低排出ガス車の導入について

バス、トラック、乗用車、作業用車両に低公害車等を導入することについてどのような

状況にあるかをたずねた結果は、「低公害車・低燃費車については何も検討してない」、及

び「検討はしているが今のところ具体的な計画はない」という回答でほとんどであった。

これに対して、「切り替えを進めつつある」ところは 4%に留まった。このように、低公害

車、低燃費車の導入については、かなり低調である。

④ESCO事業の導入について

工場、店舗、オフィス、その他の様々な事業所の省エネルギーを実施するための手法と

して国も進めようとしている「ESCO事業」の導入については、「現在のところ、考え

ていない」とする企業が大多数を占めており、導入を検討している事業所もごく少数であ

る。このように、大部分がESCO事業の導入は考えていないことがうかがえる。この事

業に関する認知度が低いということが、背景にあると考えられる。

問4 4-3 ① 導入に関する計画状況

25

18

168

36

117

244

0 50 100 150 200 250 300

既に低公害車・低燃費車への切り替えを進めつつある

現在、低公害車・低燃費車への切り替えや導入を計画している

検討はしているが今のところ具体的な計画はない

低公害車・低燃費車については何も検討していない 

その他 

無 回 答 

N=608

N=608

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85

(5)省エネルギー推進のための課題 ①省エネルギーを推進するための課題

事業所の省エネルギー化を進めるに当たって課題となっている阻害要因についてたず

ねたところ、特に、「1.従業員の意識の醸成」、「2.経営者のイニシアティブ」を「か

なり重要」とする回答が多くみられ、「人」的な要素が大きな比重を占めていることがわ

かる。

問5 5-1 省エネルギーを推進するための課題

332

279

109

209

132

140

75

123

178

175

332

176

261

273

245

10

14

27

47

51

26

56

8

23

33

59

43

43

62

72

80

117

107

117

121

126

129

135

286

33

0 50 100 150 200 250 300 350

1 従業員の意識の醸成

2 経営者のイニシアティブ

3 省エネ技術、機器に関する一般的情報

4 省エネのための投資資金

5 省エネを進める社内の人材

6 省エネの必要性・可能性そのものの評価

7 省エネのための支援制度に関する情報

8 省エネのための総合的マネジメント体制

かなり重要  一応重要 重要でない  わからない  無 回 答  (複数回答)

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86

②省エネルギー技術、機器等に関する情報の入手について

省エネルギーに向けて必要となる技術や機器、ノウハウ、及び省エネの可能性・必要

性の評価・診断手法などに関する情報の入手先についてみると、現状では「新聞・雑誌」

から情報を入手していることがうかがえる。

しかし、今後については、「省エネルギーセンターなどの全国的な公的機関」、「県行政

の担当部局」、「県の産業技術支援機関」などの公的機関や行政への期待する意見が強い。

問5 5-2 省エネルギー技術、機器等に関する情報の入手について

107

73

37

60

149

32

176

179

207

214

24

166

129

154

128

189

106

123

96

68

9

236137

131

0 50 100 150 200 250

1 県行政の担当部局

2 市町村の担当部局

3 県の産業技術支援機関

4 国の出先機関

5 省エネルギーセンターなどの全国的な公的機関 

6 商工会議所、商工会等の地域の産業・経済団体 

7 自己の属する業界の団体・機関

8 省エネルギー関連事業を行っている企業

9 業界紙など専門的な新聞・雑誌

10 一般的な新聞・雑誌 

11 その他 

無 回 答 

現在における情報入手源 今後期待する情報入手源 (複数回答)

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87

(6)省エネルギーの推進のための支援制度への期待 ①支援制度に関する認識

省エネルギーのための支援制度に関する認知度については、「十分な情報を得ている」

とする事業所は 1割に満たない状況であり、一部の大規模事業所を除くと、省エネ制度に

対する認知度がそもそも低いことが指摘できる。

②期待する支援制度 省エネルギーのための支援制度については、上位から「氷蓄熱式空調システム普及

促進事業」、「エネルギー使用合理化事業者支援事業」、「クリーンエネルギー自動車普

及事業」の順であり、現実的な事業に対する資金的な補助に対するニーズが高いこと

がうかがえる。

問6 6-1 支援制度に関する認識

46

217

259

9

77

0 50 100 150 200 250 300

十分な情報を得ている

情報が不足している 

支援制度については意識していなかった

その他 

無 回 答 

N=608

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88

問6 6-2 期待する支援制度

68

48

43

35

32

25

24

23

22

21

18

16

16

14

11

11

10

10

10

8

7

7

5

2

10

11

0 10 20 30 40 50 60 70 80

7 氷畜熱式空調システム普及促進事業

4 エネルギー使用合理化事業者支援事業 

6 クリーンエネルギー自動車普及事業

5 環境調和型エネルギーコミュニティ事業

3 先進的省エネルギー技術導入アドバイザリー事業

1 エネルギー需要最適化マネジメント推進事業

25 低公害車、低燃費車に係る自動車取得税の特例措置 

19 産業部門省エネルギー推進事業

15 地球にやさしい環境づくり融資事業

23 エネルギー需給構造改革投資促進税制(国税) 

17 中小企業金融公庫の省エネルギー資金 

2 住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業

24 最新排ガス規制適合車を早期に取得した場合の特例措置 

9 高効率エネルギー利用型建築物改修モデル事業 

8 既築中小建築物個別分散ガス冷房導入促進事業 

18 国民生活金融公庫の環境対策貸付 

27 低公害車に係る自動車取得税の軽減措置(地方税) 

12 低公害自動車普及基盤整備事業(低公害石油ガス自動車)

14 農林水産業環境対策補助事業 

16 環境低負荷型建築物整備事業 

20 民生部門省エネルギー推進事業

21 建築物省エネルギー推進事業 

11 低公害自動車普及基盤整備事業(LPガス自動車) 

26 低公害自動車の燃料等供給設備に係る特例措置 

22 農林水産業環境対策低利融資事業 

10 環境調和型地域開発促進事業調査費補助

(複数回答)

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89

③支援制度の課題

これまで省エネルギーのための支援制度を導入することによって省エネルギーを進め

ようとする場合について、支援制度の内容面や導入手続きなどにおける問題点、課題など、

自由に記述してもらった結果を整理すると、次のとおりである。

・ 省エネ対策は必要であるという認識はどこも持ってはいるが、それに対してかかる

設備投資などの費用の負担が大き過ぎて、踏み込めない状況があることがわかる。

こうしたことから、行政からの支援制度(特に金銭面)の強化が最重要課題といえ

る。

・ 省エネを阻害する要因としては、事業所単独の省エネ化が難しい(イニシアティブ

を持つのは本社)など、受け入れ側の体制面の問題もあるといえよう。

・ また支援制度の内容の把握が困難であること、応募内容による制限(募集・内定の

時期等)、支援制度の事業期間が単年度等の制度内容の問題や、手続きが難しい、受

付支局が地方に無いなどの負担の解消も要検討課題といえる。

・ こうしたことからも、支援制度のわかりやすい説明会を開くなどのより一層の工夫

やきめ細かい行政からの働きかけが必要であると考えられる。

・ また同時に、これらの問題への対策として、税金面の優遇、官主導の事業による新

しい技術の導入、手続き資料の簡素化・支援決定までの期間短縮等、随時迅速に対

応できるシステムの確立が必要であると考えられる。

(7)行政に対する要望・意見

①行政に対する要望

今後の省エネルギーの推進に関して、行政に望む事項を選択肢から選んで回答してもら

った結果は、「省エネ技術、省エネ機器などに関する情報の提供」及び「設備投資等への

補助金・低利融資・税の減免など支援措置の充実」の2つが上位である。

このように、情報面と資金面の支援に対する期待が強いが、公的機関による技術的なア

ドバイスや、従業員の意識の醸成なども、行政に期待されている分野であるといえる。

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90

②自由意見

省エネルギーの推進方策や山口県省エネルギービジョンの内容等について、県に対する

意見を自由に記述してもらった結果を整理すると、次のとおりである。

・ 行政が行っている省エネに対する取組み(情報提供・支援策)などを行政が積極的

にアピールすることが求められている。

・ また省エネ対策は機器や設備が高額であるので、1事業所単位で取り組むには負担が

大きいようであり、金銭面の支援策の充実も必要である。

・ 全体的には、行政が先頭に立って強い指導力を発揮することにより、事業所だけで

なく、県民の個人レベルまでの意識改革を進めることが必要ではないかと考えられ

る。

問7 7-1 行政に対する要望

245

114

13

88

4

190

224

134

91

0 50 100 150 200 250 300

技術的な研究開発と成果の企業等への還元 

省エネ技術、省エネ機器などに関する情報の提供

公的な機関による技術的なアドバイスや診断の充実  

設備投資等への補助金・低利融資・税の減免など支援措置の充実 

従業員の意識改革を推進するための環境学習機会の提供 

複数企業が共同して行う取組みへの支援

業界全体に対する支援、指導 

その他 

無 回 答 

(複数回答)

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91

2.家庭部門の状況

ここでは、県民に対するアンケート調査の結果を中心に、山口県内の民生・家庭部門

における省エネルギーの実態や課題について整理する。

(アンケートの実施概要については、第1章を参照)

(1)回答者の顔ぶれ

今回のアンケートは消費者団体組織を通じて行ったものであることから、回答者は 50

歳台、60歳台の主婦が大多数を占めている。したがって、県民の平均像よりも、省エネル

ギー問題について高い意識をもっている人が多い。

問1 ①年齢

1

4

13

55

132

227

0 50 100 150 200 250

20歳未満

20歳代 

30歳代 

40歳代 

50歳代 

60歳以上

問1 ②性別

15

417

0 100 200 300 400 500

男 性 

女 性 

問1 ③職業

26

8

24

1

18

295

34

0

26

0 50 100 150 200 250 300 350

会社員などの給与所得者 

建設・商店等の自営・サービス業 

農林水産業 

医師・弁護士等の専門職 

公務員 

主 婦 

無 職 

学 生 

その他 

N=432 N=432

N=432

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92

(2)家庭におけるエネルギー消費の動向 1年間の電気、ガス、ガソリンなどのエネルギー・燃料の消費量を金額で尋ねた結果は、

次に示すとおり、電気、ガス、灯油などのその他の燃料、及び自動車燃料のいずれにおい

ても、一人当たりの消費量にはかなりばらつきがある。

問2 ④1年間あたりのおおよその電気料金(円)

115561.7

120

420000

0 100000 200000 300000 400000 500000

 平 均

 最小値

 最大値

問2 ④一人当たりの1年間における電気料金

0

50

100

150

200

250

300

1万

1~

5万

5~

10万

10~

1

5万

15~

2

0万

20万

問2 ⑤1年間あたりのおおよそのガス料金(円)

52405.2

0

360000

0 100000 200000 300000 400000

 平 均

 最小値

 最大値

問2 ⑤一人当たりの1年間におけるガス料金

0

50

100

150

200

250

300

350

1万

1~

5万

5~

1

0万

1

0~

1

5万

1

5~

2

0万

2

0万

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93

④1年間あたりの乗用車用燃料代金

(3)エネルギー消費に関する意識 ①省エネルギーに向けた生活意識

日頃の生活において省エネルギーを意識して行動しているかについて尋ねた結果は、ア

ンケートの対象者の特性もあり、省エネに対する意識の高さがうかがえるが、意識と行動

とのギャップもかなりあることがわかる。

・ 「省エネルギーについて特に考えたことは無い」と答えた人はなく、過半数の人が「日

頃から省エネルギーを意識した行動に努めている」と答えている。

・ それ以外の人のほとんどは、「省エネの必要性は理解しているが具体的な行動に結びつ

いていない」と答えている。

問2 ⑦1年間あたりの乗用車用燃料代金(円)

144842.2

0

800000

0 200000 400000 600000 800000 1000000

 平 均

 最小値

 最大値

問2 ⑦一人当たりの1年間における乗用車用燃料代金

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

1万

未満

1~

5万

5~

1

0万

1

0~

1

5万

1

5~

2

0万

2

0万

問3 3-1 省エネルギーに向けた生活意識

267

158

0

6

1

0 50 100 150 200 250 300

日頃から省エネルギーを意識した行動に努めている 

省エネの必要性は理解しているが具体的な行動に結びついていない

省エネルギーについて特に考えたことは無い

その他 

無 回 答 

N=432

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94

② 省エネルギー型生活の可能性

自分自身の生活において、現在の電力、ガス、石油などの燃料のエネルギー消費量を削

減することは可能かどうかについては、「部分的には省エネルギー化できる」と答えた人が

最も多く、約 3分の 2を占めており、「生活全般にわたって現在よりも省エネルギー型にす

ることが可能」という回答がこれに次いでいる。

このような結果から、今後、山口県においては、一層の省エネルギーの余地が十分ある

と考えられる。

③省エネルギーに向けた行動について

今後、家庭で省エネルギーを進めるためにどのようなことを行う意向があるかについて、

幾つかの設定のもとに尋ねた結果は次の通りである。

1.「日頃のこまめな取組みの積み重ねによって省エネルギーを進めたい」かどうかという

点については、「是非そうしたい」「一応そうしたい」と省エネ活動に対して前向きな

回答をした人が大多数を占めている。

2.「家庭の照明、冷暖房、調理機器などを省エネルギー型のものに取り替えようと思う」

という回答については、大多数の回答者が「是非検討したい」、「一応検討したい」と

回答している。

3.「家族で省エネルギーについて話し合い、みんなで取組んでみたいと思う」かどうかに

ついても、「是非そうしたい」「一応検討したい」との回答が大半であった。

このように、家庭での省エネルギーへの取組み意欲は高いことがうかがえる。

④太陽光などの自然エネルギーの導入について

最も身近な自然エネルギーである太陽光や太陽熱の利用については、太陽光発電・熱利

問3 3-2 省エネルギー型生活の可能性

99

262

64

4

3

0 50 100 150 200 250 300

生活全般にわたって現在よりも省エネルギー型にすることが可能 

部分的には省エネルギー化ができる

これ以上の省エネルギー型の生活は難しい 

その他 

無 回 答 

N=432

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95

用機器を「一応取り付けたい」と回答した人が最も多い。

また、「無回答」の人数も多い状況であったが、この中には、既に太陽光発電・熱利用

機器を取り付けている人も含んでいる。いずれにしても、取組み意向は高い結果となった。

(4)家庭での日頃の省エネルギー行動について

①省エネ活動メニューリストから

家庭でどのような省エネルギーを心がけているか、あるいは、今後取り組もうと考えて

いるかを省エネルギーにつながる行動 20項目の中から、現在実践しているもの、今後取

り組んでいこうと考えるものに分けてたずねた結果、大体の項目に関して多くの回答者が

実施していると回答している。また、実践しているという回答が比較的少ない項目につい

ても、「実施してみたい、今後取り組みたい」という回答が多い。このように、県民の日

頃の省エネルギー活動は充実しているということができる。

ただし、「公共交通機関の利用を心がけている」といった項目については実践している

という回答が少なく、自動車社会からの脱却が簡単ではないことがうかがえる。

その他、自由回答からは、一般的によく行われている省エネ活動として太陽熱温水器

の整備があり、夏場ではかなりの効果があることがわかる。

また、夏には風通しをよくし、冬には日当たりのよい場所へ移るなどの冷暖房器具を

使わない例や、早寝早起きの生活にするなど生活習慣の改善による省エネ活動など、さま

ざまな実践活動が報告されており、自主的な努力がなされていることがわかる。

問3-3 ④太陽光発電・熱利用機器を家に取りつけたいと思う

51

212

57

112

0 50 100 150 200 250

是非取りつけたい

一応取りつけたい

特に取りつけたいと思わない 

無 回 答 

N=432

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96

②まとめ

以上をまとめると、家庭における省エネルギーの推進については、経済的なインセンテ

ィブや情報提供、啓発という、人の行動を促す条件が重要であると考えられる。例えば、

次のような点が指摘できる。

・ 太陽熱温水器に関しては、早くから普及しているが、省エネという観点よりむしろ経

済的側面(灯油費・ガス費の節約など)から導入され、それが省エネにも繋がっていた

ものである。

問4 家庭での日頃の省エネルギー行動について 【冷暖房・家電製品・浴室・自動車関連】現在実践していること

280

269

393

355

370

402

273

273

349

125

235

299

275

268

338

270

268

291

79

161

1

113

99

24

54

49

26

144

142

79

264

180

116

135

140

68

60

66

51

250

177

43

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

暖房器具の温度設定は低めにしている 

冷房器具の温度設定は高めにしている 

冷暖房器具は不必要なつけっぱなしをしないように気をつけている

冷暖房時にカーテンを引く、こたつに上掛け敷布団等の工夫をする

照明は蛍光灯や電球型蛍光灯を使用するようにしている 

使用しない部屋の照明はこまめに消灯するようにしている

テレビをつけたまま他の用事をしないようにしている

冷蔵庫の庫内に食品などを詰込み過ぎないよう整理整頓している 

冷蔵庫の扉は開閉を少なくし開けている時間を短くするようにする

煮物などの下ごしらえには電子レンジを活用している

待機電力を少なくする為にスイッチを切ったりプラグを抜いている

電化製品を長期間使わないときはコンセントからプラグを抜く

購入時に省エネラベル製品等の省エネタイプの製品を選んでいる 

お風呂は間隔を空けず入るようにし、追い炊きをしないようにする

シャワーはお湯を流しっぱなしにしないようにしている 

アイドリングは出来るだけしないようにしている

不要な荷物を積まないようにしている 

タイヤの空気圧を適正に保つようにしている

公共交通機関の利用を心がけている

短距離は徒歩、自転車利用、複数での自動車利用等効率的な車利用

無 回 答 

現在実践していること 実践してみたい、今後取組みたい行動

(複数回答)

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97

・ このことから考えると省エネ活動を普及させる一つの手段として、省エネ活動による

経済的効果のPRが重要と考えられる。こまめに電源を切る、冷暖房の温度設定を変え

る、些細なことではあるがその積み重ねにより後々多大な経済的効果が期待できるとい

う点を強調することで、消費者へのインセンティブにもなる。

・ 省エネルギーの効果がマスコミ報道されているが、視聴者(消費者)の認識はまだ十

分ではないと考えられる。

・ 地方公共団体による省エネ活動のPR・啓発の主な中身としては、エネルギー枯渇問

題や環境問題を訴えるものが中心であるが、消費者には浸透しにくいため、省エネ活動

と経済的効果とを結びつけてPRすることも必要である。(後述の設問7においても、省

エネによりいくら安くなるか示して欲しいという意見も見られる。)

(5)省エネルギー推進に向けた支援制度や情報源について

①支援制度に関する認識

太陽光発電設備導入補助制度などの省エネルギー・自然エネルギー導入に関する支援制

度についてどの程度知っているかをたずねた結果、「支援制度があることは聞いたことは

ある」と答えた人が最も多く約 55%、次いで、「支援制度について十分に知っている」人は

約 23%あり、認識度は高い。

しかし、支援制度があること自体を知らない人も約 18%あり、支援制度の内容について

は、さらにPR・広報や情報提供を行う必要がある。

5-1 支援制度に関する認識

89

244

81

9

4

5

0 50 100 150 200 250 300

制度について十分に知っている

制度があることは聞いたことはある

支援制度があること自体を知らなかった

特に支援制度には興味がない 

その他 

無 回 答 

N=432

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98

②支援制度に関する情報源として期待する媒体・機関

支援制度の紹介・仲介、省エネルギーの相談など省エネルギーに関する情報の入手先と

しては、「県・市町村の担当部局」が最も多く、以下、「一般的なテレビ・新聞・雑誌」、「消

費者団体・市民グループ・NPO」、「省エネルギーセンターなどの全国的な公的機関」の順で

あった。このように、情報源として、地域の行政に対する期待が大きいことがわかる。

③行政に対する期待

今後、省エネルギーの推進に関し、行政に対して期待することとしては、「省エネルギ

ーの方法、手段などに関する情報の提供」が最も多く、次いで「省エネルギーを実施す

る事業所や家庭に対する資金面の支援」が多い。以下、「省エネルギーをテーマとした環

境学習の充実などによる啓発活動」、「省エネルギーを進めるための支援措置などに関す

る情報の提供」が続いている。

このように、県民は行政に対して、情報面・学習面と資金面による支援を期待している。

5-2 支援制度に関する情報源として期待する媒体・機関

271

156

117

196

70

2

17

243

86

139

0 50 100 150 200 250 300

県・市町村の担当部局

国の出先機関・県の産業技術支援機関 

省エネルギーセンターなどの全国的な公的機関 

省エネルギー関連事業を行っている企業

消費者団体・市民グループ・NPO

各種団体が発行しているパンフレットおよび広報誌など 

一般的なテレビ・新聞・雑誌 

インターネット 

その他 

無 回 答 

(複数回答)

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99

5-3 行政に対する期待

296

201

218

213

40

53

82

7

19

0 50 100 150 200 250 300 350

省エネルギーの方法、手段などに関する情報の提供 

省エネルギーを進めるための支援措置などに関する情報の提供

省エネルギーを実施する事業所や家庭に対する資金面の支援 

省エネルギーをテーマとした環境学習の充実などによる啓発活動 

省エネルギーで効果をあげた事業所や家庭の表彰

省エネルギーに向けた計画立案、行動マニュアル作成等への支援 

家庭や事務所に対する省エネルギー診断サービスの提供 

その他 

無 回 答 

(複数回答)

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100

(6)家庭の省エネルギーを進めるための支援策について

省エネルギーを進めるための方策として、「省エネナビ」の活用については、「知らな

い」と答えた人が半数以上を占めているという状況があり、使っている人はほとんどいな

い。

ただし、モニター制度があれば「省エネナビ」を活用したいという人は最も多い。

このように、「省エネナビ」に対する情報不足、認知度の低さがみられることから、利

用の促進には、その省エネ効果(節約効果)に対する認識がどこまで浸透するかが鍵とな

っていると考えられる。

問6 ①「省エネナビ」の認知

122

303

7

0 50 100 150 200 250 300 350

知っている 

知らない

無 回 答 

問6 ②「省エネナビ」の使用

12

403

17

0 100 200 300 400 500

使っている 

使っていない

無 回 答 

問6 ③モニター制度による「省エネナビ」活用意向

220

182

30

0 50 100 150 200 250

活用してみたい 

活用してみたいと思わない

無 回 答 

N=432

N=432

N=432

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101

(7)「省エネルギービジョン」に関する自由意見 「山口県省エネルギービジョン」に盛り込むべき内容などに関する自由な意見を幾つか

の視点から整理して示すと、次のとおりである。

・ 要望として多いものは、教育面として学校教育における省エネ活動に対する姿勢と

取組みの推進であり、これにより個人レベルからの意識改革を図ることができる。し

たがって、学校において省エネ活動が環境に与える影響や具体的なアドバイスなど教

育の中身を充実させることが求められる。

・ PR・啓発に関しては、自治体が先頭に立った消費者へのPR・啓発活動を求めて

おり、具体的な例として、「省エネの日」の制定、公共機関の省エネ対策実行による模

範的行動などがあげられている。

・ リーダーシップに関しては、自治体の率先した省エネルギー改修の実践や各地域に

おける省エネリーダーの養成・確保等が求められている。

・ 省エネナビに関しては活用してみたいという意見もみられ、他地域(札幌市)で導

入されている例を挙げて、本県でもモニターを増やすために、更なる機器の導入を求

める声があった。

・ 省エネビジョンについては、平易な文章や事例を示すなど、その内容が分かり易い

ものであることや内容の具体化(車のアイドリング禁止等)が求められている。また、

県だけでなく、市町村レベルにおいてもその策定を求める意見がみられた。

・ 省エネ認定制度としては、省エネ活動に貢献している家庭に対し認定証を授与する

制度や省エネ活動に対する資金援助制度の導入などの意見が見られる。

・ その他、省エネ活動による経済効果の実質的な数値(いくら安くなるか)、その結果

や実質的な効果の公表、省エネ製品の情報などを求める意見もあった。

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102

3.行政部門(市町村)の状況 3-1 市町村行政部門の状況

ここでは、県内の市町村を対象としたアンケート調査をもとに、自治体としての取組み

や地域の状況を整理する。

(1)市町村全体の省エネルギーに向けたビジョン・計画の策定に関する状況 ①省エネルギーに関するビジョン・計画の策定状況

県内の各市町村において、公的部門・事業所・家庭における省エネルギー推進計画や

ビジョンを策定する意向の有無をたずねた結果、省エネルギー推進計画やビジョンの策

定済みであるところを含め、策定の意思がある自治体が 4 割であった。これに対し、6

割の自治体は、策定の意思をもっていない。

②ビジョン・計画策定に取り組む理由

省エネルギーのための計画やビジョンを策定する理由としては、「資源・エネルギー

など地球環境問題に対する社会的要請に応えるため」と答えた自治体が最も多く、次い

で「自治体の施設運営コストを削減するため」、「市町村民の省エネへの取組みを促進す

る必要があるため」となっておりこの3つの理由が突出している。

このように、環境面と金銭面が中心的な理由となっていることがうかがえる。

問1 1-1

5

4

12

31

4

0 5 10 15 20 25 30 35

1.すでに策定済みである

2.近いうちに策定する意向がある

3.将来的には策定したい

4.今のところ特に検討はしていない

5.その他

N=56

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103

③自治体そのものの省エネルギー推進体制と計画の状況

自治体としての省エネルギーへの取組みの状況は、「特に省エネルギー計画を定めては

いないが、いくつかの部署、施設で自主的な取組みを検討、実施している」と答えた自治

体が半数以上を占め、全体的な傾向として、省エネルギー計画は定めていないが、個別に

は進めているという状況がうかがえる。

④定量的目標値の設定とその内容

何らかの意味で省エネルギー計画を立てている自治体に対して、省エネルギーについて

の定量的目標値を設定しているかどうかを尋ねたところ、省エネルギーについての定量的

目標を設定していないし、設定する予定もない自治体はわずか1自治体であったのに対し、

省エネルギー計画を立てている自治体の中で9自治体が定量的目標を設定している。

このように、定量的な目標は設定しないまでも、何らかの取組みによって省エネルギー

を行おうとする姿勢がうかがえる。

問1 1-2

9

13

16

2

2

4

6

4

0 5 10 15 20

1.市町村民の省エネへの取り組みを促進する必要 があるため

2.自治体の施設運営コストを削減するため

3.資源・エネルギーなど地球環境問題に対する 社会的要請に応えるため

4.ISO14000シリーズなど国際標準への対応の 一環として

5.省エネルギー活動を通じて自治体の活性化、 振興をはかるため

6.公害などに対して生活環境の維持、改善を図る 必要があるため

7.廃棄物・公害などの環境行政の次のテーマとして エネルギー問題を考えている

8.その他

N=56

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104

(2)省エネルギーに向けた課題と対応 ①エネルギー使用に関する問題点

市町村における近年のエネルギー使用の状況からみた課題について、いくつかの項目を

設定して尋ねたところ、特に、課題となっている項目として、「情報機器などの導入など、

床面積や人員当たりのエネルギー使用量が増大している」ことが挙げられ、近年のパソコ

ン等の普及による影響が見られる。

一方、「床面積の増大によってエネルギー使用量が増大している」ことについては、課

題ではないとする自治体が多かった。

問2 2-1

11

2

23

20

0 5 10 15 20 25

1.庁舎、公的施設、交通など全体を包括する 省エネルギー計画を立てて進めている

2.ここの施設、部署でそれぞれ省エネルギー 計画を立てて進めている

3.特に省エネルギー計画を定めてはいないが、 いくつかの部署、施設で自主的な取り組みを 検討、実施している

4.その他

N=56

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105

②具体的な課題と対応

以上の選択肢として掲げた各項目について、問題の具体的な内容と、それに対する改善

策を尋ねたところ、次のような回答があった。 [庁舎や公的施設の照明、空調、給湯、エレベーターなどのエネルギー効率が低い]

問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 照明の配置等が悪い 空調機の能率等が悪い

現在、検討はしていないが、新たに公共

施設を建設する際の検討課題である

旧庁舎では、熱効率が悪

かった 現在建設された新庁舎には、エコアイス

等の省エネ対策がなされている

空調が旧式である 照明を部分点灯できない

「NEDO 省エネルギー技術導入アドバイザー事業」により、庁内エネルギー設

備の効率的な管理・改善策につきアドバ

イスを受け、導入を検討する

問3 3-1

7

1

13

7

3

6

2

37

18

28

34

36

25

30

2

23

4

9

6

7

12

2

10

14

10

6

11

18

12

1

00

0 10 20 30 40

1.庁舎や公的施設の照明、空調、給湯、エレベーターなど のエネルギー効率が低い

2.床面積の増大などによってエネルギー使用量が増大し ている

3.情報機器の導入など、床面積や人員当たりのエネルギー 使用量が増大している

4.事務所などにおける節電行動やエネルギー管理活動が 不十分である

5.計測、記録などエネルギー管理の基礎となる体制が 不十分である

6.断熱などの面で建物自体のエネルギー効率が低い

7.所有する各種車両の燃料費が増大している

8.その他

大きな課題 一応の課題 課題ではない わからない(複数回答)

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106

消費電力等の増加 必要のない時は電源を切ることを進め

ている

空調が旧式である 省エネ機器への更新 空調が旧式で、庁舎の北

側南側1階2階等の温度

差が激しい

機器の更新を平成 14~15 年度に予定している

[床面積の増大などによってエネルギー使用量が増大している

問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 新設の施設が増加 太陽光発電を行っている

[情報機器の導入など、床面積や人員当たりのエネルギー使用量が増大している]

問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 事務処理用コンピュータ

機器の増加 余剰稼働の禁止

パソコン台数の増加 省電力型製品の導入 庁所全体の電力使用量の

増加 電気ポット、コーヒーメーカー等の使用

の制限、空調機使用の削減

[事務所などにおける節電行動やエネルギー管理活動が不十分である]

問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 公的機関での職員の意識

が薄い 節電意識の啓発

[断熱などの面で建物自体のエネルギー効率が低い]

問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 建物自体が古い 現在、検討はしていないが、新たに公共

施設を建設する際の検討課題である

庁舎が古すぎて、空調が

効かない 庁舎全体なので対策が打てない

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107

[所有する各種車両の燃料費が増大している] 問題に対する具体的内容 推進ないし検討中の改善策 燃料使用量の増大 公用車更新時における低燃費、低公害車

への転換

(3)低公害車、低燃費・低排出ガス車の導入について 省エネルギーを推進するために、乗用車、作業用車両、公営バスなどを低公害車・低燃

費車に置き換えていくことが求められているが、16 自治体が既に導入を進めているか、導

入を計画している。その多くは、公用車への導入であるが、路線バスの低燃費車への切り

替えを進めているところもある。

しかし、具体的な計画には着手していないところが多いのが実情である。

(4)ESCO事業の導入について

庁舎、公的施設、廃棄物処理などの事業所施設の省エネルギーを実施するための手法

として「ESCO事業」を導入することが考えられるが、各市町村の取組み状況をみる

と、2つの自治体が検討したいとしているのみで、やや低調である。

問3 3-3 ①

8

8

30

6

4

0 5 10 15 20 25 30 35

1.既に低公害車・低燃費車への切り替 えを進めつつある

2.現在、低公害車・低燃費車への切り替 えや導入を計画している

3.検討はしているが今のところ具体的な 計画はない

4.低公害車・低燃費車については何も 検討していない

5.その他

N=56

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108

問3 3-4

0

2

27

21

6

0 5 10 15 20 25 30

1.以前から着目しており、庁舎などへの具体的 適用に向けて計画ないし検討中である

2.以前から着目しており、その導入について検討し たいと考えている

3.現在のところ、ESCO事業の導入は考えていない

4.将来、他の方法とあわせてその導入を検討する 可能性はある

5.その他

N=56

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109

3-2 市町村内の事業所、家庭等の状況 (1)市町村内の事業所、家庭等における省エネルギーへの取組み状況

県内の各市町村内の事業所や家庭(及び地域コミュニティや市民団体など)において目立

った省エネルギーへの取組みを行っている事例について尋ねた結果、事業所の事例(工場・

工業団地、流通施設、個々の事業所や店舗、農林水産業など)として4市町から、家庭・

地域の事例(自治会や市民団体、地域単位、個々の家庭など)として、7市町から回答が

あった。

それらの代表例は次に掲げるとおりである。 【事業所の事例】 ・ 各事業所とも、自主的に照明・水道等節電・節水に努めている。また、車輛等も保

有台数を制限し、合理的な運用改善がされつつある。 (秋芳町)

・ 各事業所において、自主的に経費の節減対策に取り組んでいる。例えば、照明や冷

房の倹約、車両の効率的な運用等に取り組まれている。 (美東町)

【家庭・地域の事例】 ・ 一般家庭に対する太陽光発電設置者に助成している。平成 12年度から実施し、現在の件数は 66件(出力 3.12kW~4.5kW)である。

(豊田町) ・ 市民団体 消費者の会を通じて、独自の広報紙を発行。マイバック運動・リサイク

ル推進運動・子供との体験学習等を積極的に実施している。 (豊北町)

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110

(2)市町村内の事業所、家庭等に対する支援策

① 支援策の方向性

事業所や家庭及び地域コミュニティにおける省エネルギーへの取組みを支援するため

の支援策としては、「省エネルギーの方法と手段などに関する情報の提供」が効果的だと

考える自治体が最も多く、次いで「省エネルギーをテーマとした環境学習の充実などによ

る啓発活動」、「省エネルギーを実施する事業所や家庭に対する資金面の支援」、「省エネ

ルギーを進めるための支援措置などに関する情報の提供」の順となっている。

このように、情報・資金面での支援が効果的であるという意見が多い。

② 省エネルギーを進める上での課題

自治体として自らの省エネルギーの推進や管内の事業所や家庭の省エネルギー化を推

進するにあたっての課題としては、「省エネルギーの方法・手段・機器などに関する知識」

が重要であるとする自治体が目立つ。そのほか、「重要な課題」という回答が目立つのは、

資金面、人材、産業関連団体との連携などである。

問5 5-1

34

20

22

29

2

4

9

1

0 10 20 30 40

1.省エネルギーの方法、手段などに関する 情報の提供

2.省エネルギーを進めるための支援措置など に関する情報の提供

3.省エネルギーを実施する事業所や家庭に 対する資金面の支援

4.省エネルギーをテーマとした環境学習の 充実などによる啓発活動

5.省エネルギーで効果をあげた事業所や 家庭の表彰

6.省エネルギーに向けた計画立案、行動 マニュアル作成などに関する支援

7.家庭や事業所に対する省エネルギー診断 サービスの提供

8.その他

(複数回答)

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111

③ 期待する支援制度

省エネルギーを推進するうえで市町村が適用を受けることを期待する支援制度として

は、「クリーンエネルギー自動車普及事業」と「低公害車普及推進事業」の2つが突出し

ている。これはいずれも低公害車に対する補助金による支援事業である。

それ以外では、「地域省エネルギービジョン策定事業」、「地域省エネルギー普及促進対

策事業」、「環境共生住宅市街地モデル事業」及び「環境共生住宅建設推進事業」などの補

助金による支援事業が目立っている。

問6 6-1

15

6

8

12

10

12

1

35

37

30

20

31

31

0

0

3

1

2

1

3

0

6

10

17

22

14

10

4

0 10 20 30 40

1.省エネルギーの方法・手段・危機などに関する 知識

2.省エネルギーを進めるための支援措置などに 関する情報

3.省エネルギーの企画立案、指導、支援する人材 の育成

4.省エネ投資資金の確保

5.省エネ推進を支援するための予算の確保

6.商工会議所、産業団体、市民団体などとの 協力、連携の推進

7.その他

重要な課題 一応の課題 課題ではない わからない

(複数回答)

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112

問6 6-2

22

18

9

8

8

7

5

4

4

3

3

2

2

2

2

1

0

0

0 5 10 15 20 25

6.クリーンエネルギー自動車普及事業

15.低公害車普及推進事業

1.地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定事業

2.地域省エネルギー普及促進対策事業

3.先進的省エネルギー技術導入アドバイザリー事業

11.省資源・省エネルギー公園の整備

14.地球温暖化対策地域推進モデル事業

10.環境共生住宅市街地モデル事業

9.低公害自動車普及基盤整備事業           (LPガス自動車転換補助制度)

16.公立学校施設整備費

17.建築物省エネルギー推進事業

12.環境共生住宅建設推進事業

4.新エネルギー草の根支援事業

5.省エネルギー地域活動支援事業

7.高効率エネルギー利用型建築物改修モデル事業

8.環境調和型地域開発促進事業調査費補助

13.バス利用促進等総合対策事業                (交通システム対策事業)

18.エネルギー需給構造改革投資促進税制

(複数回答)