第4章土の圧縮と圧密 地盤の沈下を捉える...cc は、圧縮指数...

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4章 土の圧縮と圧密 地盤の沈下を捉える この章での学ぶこと:①地盤沈下の量を知る! ②地盤沈下の時間を知る! ③地盤沈下をコントロールする! 4.1 土の圧縮現象 圧縮(Compression) :土が自重や上載荷重を受け、沈下する現象 この時、その沈下に時間的な問題が生じない 現象。(主に砂地盤) 圧密(Consolidation):圧縮過程において間隙水を徐々に排出しな がら沈下する現象。この時、時間的な問題が 生じる現象。(主に粘土地盤)

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第4章 土の圧縮と圧密地盤の沈下を捉える

この章での学ぶこと:①地盤沈下の量を知る!②地盤沈下の時間を知る!③地盤沈下をコントロールする!

4.1 土の圧縮現象

圧縮(Compression) :土が自重や上載荷重を受け、沈下する現象この時、その沈下に時間的な問題が生じない現象。(主に砂地盤)

圧密(Consolidation):圧縮過程において間隙水を徐々に排出しながら沈下する現象。この時、時間的な問題が生じる現象。(主に粘土地盤)

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土に圧縮力が加わる 圧縮(力の方向に縮む)

①間隙の体積の変化

一定の外力の作用により長い時間をかけて間隙水の排水

繰返しの力により強制的に間隙中の空気を追い出す

締固め

圧密

②形状の変化 圧縮力の作用による形状の変化

せん断

圧縮:土が荷重や上載荷重を受け、沈下する現象この時、その沈下に時間的な問題が生じない現象(主に砂地盤)

圧密:圧縮過程において間隙水を徐々に排水しながら沈下する現象この時、時間的な問題が生じる現象(主に粘土地盤)

図6.1 圧縮と圧密の違い

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佐賀県白石地区 海苔の養殖に伴う地下水くみ上げによる地盤沈下

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住宅地の地盤沈下

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沈下した矢部川大橋(有明沿岸道路)

(橋脚沈下で工事が1年遅れた)

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人工島の地盤沈下

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津波と地盤沈下(東日本大震災)

地震後の地盤沈下

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福岡県西方沖地震

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剛性のある容器

飽和した粘土

粘土中の水の流れ

ポーラスストーン(小さな穴の開いた石版)

図6.2 飽和粘土の圧密のメカニズム

(1)飽和粘土の圧密現象 →土の圧密のモデルを考えよう!

飽和した粘土を図のような容器に入れ、ポーラスストーン(透水性の良い多孔質の石)をのせて、その上部から荷重を加えることを考える。ただし、容器の側壁は剛でせん断変形はなく、起こりうる変位は主として土の体積収縮に起因する鉛直変位である。この鉛直変位は、荷重を加えた途端に生じるのではなく、時間と共に進行し、最後に一定値に落ち着く、径時変化をたどる。

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図6.3 一次元圧密のモデル化

(a)載荷の瞬間

水抜口p

0

0

tpu

σ

排水

バネの収縮

(b)排水の途中

p

=<>′

1

0

ttpu

σ(c)最後の段階

∞===′

tu

p0

σ

p

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このような現象(水を入れた容器内のピストンの動きよって)をモデル化する。土: ピストンを支えているバネの動き→土の骨格構造を表現(弾性体)間隙水:容器内の水→ この水は、ピストンに開けられた小さな孔を通して外へ流れ

出る。孔の大きさは、透水性を表現。バネの力:有効応力、バネまたはピストンの変位:鉛直ひずみを表現

σ

p

0 (a) 全応力 σ 時間u

p

0 (b) 間隙水圧 u 時間

σ’

p

0 (c) 有効応力 σ’ 時間ε

mvp

0 (d) 鉛直ひずみε 時間

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圧密現象を捉える

表-6.1 圧密現象

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図6.5 粘土地盤の形成過程

粘土堆積物の進行

Α1p

0

0

1

1

p

∞et

①堆積開始

Α2p

02

2

1

p

eett

②堆積進行中

Η⋅′

γ=

3

3

p

eetΑ

3p

③堆積終了

Ηγ ′

粘土地盤の形成

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01 ee

+∆

−=∆ε

次に鉛直ひずみεの代りに間隙比 e を用いることを考えて見よう!

鉛直ひずみの変化⊿εは

荷重の増加に伴う間隙比の変化

(a) 荷重p0の時 (b) 荷重をΔpだけ増した時

・・・ ①

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図6.6 圧密に伴う間隙比の変化の様子

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圧密試験

供試体の大きさ直径:6cm高さ:2cm

小さな供試体から得られるデータから実地盤の現象を予測!

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■圧密試験

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実験の手順

計測/データ整理

試料の採取

供試体の成型・圧密リングへのセット

(直径6 cm、高さ2 cm)

第1載荷段階の荷重9.8 kN/m2の荷重を かけ圧密を開始する。

以下19.6、39.2・・・kN/m2と順に約2倍の圧密荷重を1256kN/m2

までかけ同様の測定を繰り返す。

除荷

含水比の測定

載荷後の経過時間tに対する変位計の読みdmmを記録しd - t曲線を描く。tは、以下の時間を参考として測定する。

6、9、12、18、30、42s1、1.5、2、3、5、7、10、15、20、30、40min1、1.5、2、3、6、12、24h※最終圧密量Δd1からe1の決定、圧密係数cv1、体積圧縮mv1の決定

第1載荷段階の荷重まで除荷し、

膨張量を測定し、間隙比を求める。

供試体の炉乾燥質量msaの測定

e-logp曲線(圧密

曲線)を描く

圧縮指数cc圧密有効応力pcの決定

およびcv、mv-p関係図を描く

図6.13 圧密試験のデータ整理の手順

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plog

曲線の求め方 図 pe log16.6 −

e間隙比

e

hr24tlog

関係)( tea log− 関係)( peb log−

t(時間) 圧密圧力p(kN/m2)

・・

・・・

e1

e2

1p1

10 p

cp圧密降伏応力

正規圧密状態

過圧密状態

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図6.18 圧密降伏応力(先行圧密応力の決定法;三笠法)2)

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粘土は圧密荷重の載荷・除荷によって、不可逆的な挙動を示す。また、過去に受けた最大荷重より大きな荷重を受けると沈下は増し沈下量は大きくなる。しかし、最大荷重より小さい場合はほとんど沈下しない。

このように過去に受けた最大荷重に比べ現在受けている荷重が等しいか大きい場合を正規圧密状態といい、小さい場合を過圧密状態という。さらに各状態の粘土を正規圧密粘土、過圧密粘土という。

また、過圧密粘土が今までに受けた最も大きな荷重に対し、現在受けている荷重との比を過圧密比(OCR)とし、次式で求められる。

0PPOCR C=

OCR:過圧密比、 pc:圧密降伏応力、 po:現在の荷重

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圧密前 圧密後

圧密試験の供試体

現場の地盤

図6.19 室内試験の供試体の様子と現場との対応

00 1 eVVV vs +=+=

0

0

1%100

1'

ee

hh

eeeeVVV vs

+∆

=×∆

=

∆−=+=+=

)(ε

0eV, eV ,'h

h∆ p∆圧密前の間隙比:0e

H

粘土層圧:H

圧密後の間隙比:e

0p

 における土被り圧粘土層中央部:0P0e

沈下量:s p∆pp ∆+0

eee ∆−= 0 載荷重による増加圧力:p∆

)  ( Hhsh →→∆

0p

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圧縮性を表す係数(重要)

粘土の圧縮性は、単に間隙比の変化量⊿eのみで考えることが

出来るが、土の種類によって同じ荷重⊿pが作用した場合でも、⊿eの変化量が異なるため、土の圧縮性は荷重に対する間隙の大きさの変化量で表現する方が良い。

そのため土の圧縮性を示す値として次の二つの係数が用いられる。

増加荷重⊿pに対する体積ひずみで表す → 体積圧縮係数 mv増加荷重⊿pに対する間隙比の変化量 → 圧縮指数 Cc

「圧密沈下量を求める」→間隙比の変化を知る!荷重の変化に伴う間隙の変化を推測する

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⊿pによる圧密前:

圧密後 :

土粒子部分の高さhsは、ms = ρs・Vs = ρs・hs・A により

𝑒𝑒1 =𝑉𝑉𝑣𝑣1𝑉𝑉𝑠𝑠

=ℎ1𝐴𝐴 − ℎ𝑠𝑠𝐴𝐴

ℎ𝑠𝑠𝐴𝐴=ℎ1ℎ𝑠𝑠

− 1

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荷重増加の各段階で圧密が完了した時に着目。→ 外荷重pと鉛直ひずみεとの関係を求めて見る。

応力と鉛直ひずみとの関係

ε

ε

mv

1

Δε

Δp

p0 p

(a) ε-p曲線

ε

ε

p0 log p

(b) ε-log p曲線

Δε

Δlog p

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⊿εは、有効応力の変化⊿pによって生じたものであるので、両者の関係は、

ここで、avは、圧縮係数と呼ばれ、e-p曲線の勾配を表している。

・・・ ②

・・・ ③

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内径6.0cm、高さ2.0cmの飽和粘土の供試体に、載荷重を78.4kN/m2を加え圧密した後の供試体の高さは1.754cmである。この時の初期間隙比e0と圧密後の間隙比e及び体積圧縮係数mvを求めよ。

ただし、この供試体の土粒子密度は、2.642g/cm3、乾燥質量msは、40.253gである。

演習

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一方、e-logp曲線の勾配は、次式で与えられる。Ccは、圧縮指数と呼ばれており、荷重の大きさに無関係にほぼ一定値を取ることが知られている。

間隙比と応力との関係

e0

e

Δe

Δp

av

1

p(a) e-p曲線 (b) e-log p曲線

e0

e

ΔeCc

1

log pp0 p0

・・・ ④

正規圧密領域

𝐶𝐶𝑐𝑐 =-Δ𝑒𝑒

log 𝑝𝑝0 + Δ𝑝𝑝𝑝𝑝0

=𝑒𝑒0 − 𝑒𝑒

log 𝑝𝑝𝑝𝑝0

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沈下量Sを求める3つの方法

①間隙比の変化量⊿eを用いる方法

圧密荷重の変化⊿pに対する間隙比の変化量⊿eを知って求める。

・・・ ①

ここでH:粘土層の厚さe0:圧密前の間隙比, e:圧密後の間隙比H(=S) = H・ε

01 ee

+=

⊿ε

②体積圧縮係数mvを用いる方法 ③圧縮指数Ccを用いる方法

e0

e

p0 log p

Δe Cc

1

e

p0+Δ p

図:圧縮指数Ccの意味

ε

ε

mv

1

Δε

Δp

p0 pp0+Δp

図:体積圧縮係数mvの意味

(圧密荷重によるひずみの変化量)

沈下量はひずみの変化量に粘土層をかける!!

・・・ ② ①の関係を用いると

Η0p

pp0 Δ+

(圧密荷重変化に伴う間隙比の変化量)(=Δe)

𝑆𝑆 = 𝑚𝑚𝑣𝑣Δ𝑝𝑝𝑝Δε

𝑆𝑆 =−Δ𝑒𝑒

1 + 𝑒𝑒0𝑝 =

𝑒𝑒0 − 𝑒𝑒1 + 𝑒𝑒0

𝑝

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沈下量Sを求める3つの方法

①間隙比の変化量⊿eを用いる方法

圧密荷重の変化⊿pに対する間隙比の変化量⊿eを知って求める。

・・・ ①

ここでH:粘土層の厚さ, e0:圧密前の間隙比, e:圧密後の間隙比H(=S) = H・ε

01 ee

+=

⊿ε

𝑆𝑆 =−Δ𝑒𝑒

1 + 𝑒𝑒0𝑝 =

𝑒𝑒0 − 𝑒𝑒1 + 𝑒𝑒0

𝑝

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沈下量Sを求める3つの方法

②体積圧縮係数mvを用いる方法

ε

ε

mv

1

Δε

Δp

p0 pp0+Δp

図:体積圧縮係数mvの意味

(圧密荷重によるひずみの変化量)

沈下量はひずみの変化量に粘土層をかける!!

・・・ ②𝑆𝑆 = 𝑚𝑚𝑣𝑣Δ𝑝𝑝𝑝Δε

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沈下量Sを求める3つの方法

③圧縮指数Ccを用いる方法

e0

e

p0 log p

Δe Cc

1

e

p0+Δ p

図:圧縮指数Ccの意味

①の関係を用いると

(圧密荷重変化に伴う間隙比の変化量)

(=Δe)

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4.3圧密沈下量を知る。(1) e-log p曲線を用いる方法

(2)体積圧縮係数mvを用いる方法

(3)圧縮指数Ccを用いる方法

・・・ ⑥

・・・ ⑦

・・・ ⑤

hpmS vc ⋅∆⋅=

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(1)現場より採取した粘土の供試体の標準圧密試験を行った結果、e-log p曲線から圧密圧力がp1=157kN/m2とp2=314kN/m2の時に、それぞれに対する間隙比がe0=2.03とe=1.84である。

実際地盤における粘土層の高さが10mであるときの圧密沈下量Scを求めよ

(2)埋立て前の初期間隙比e0=2.20の粘土層の圧密試験を行い、試料の初期高さd=20.00mmの供試体において、ある圧密荷重に対する試料の圧縮量d=2.80mmが得られた。

この時の間隙比eおよび埋立て後に予測される圧密沈下量Sを求めよ。ただし、粘土層の厚さHを6.0mとする。

演習問題

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圧密時間を計算する!テルツァギー圧密理論

テルツァギーによる圧密理論では次の仮定を行っている。

(a) 土は均一である。

(b) 土の間隙は水で完全に飽和されている。

(c) 土粒子および水の圧縮量は無視できる。

(d) 土中の水の排出は一次元的に行われ,かつダルシーの法則が成り立つ。

(e) 土の圧縮も一次元的である。

(f) 透水係数は圧力の大きさに関係なく一定である。

(g) 小さい供試体で示される土の性質は,実際の地盤の性質と同じである。

(h) 圧密圧力と間隙比とは,微少量の範囲で直線的関係にある。

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圧密の基本方程式

圧密の最終沈下量のみを計算するには,先週の知識でこと足りるが,

圧密量の時間的関係を調べるには,粘土層中の過剰水圧の時間的

変化を解析することが必要になる。以下,Dは排水長である。

図に示すように地

中の飽和粘土層の

上下が砂層であり

粘土層中の水は上

下に排出されるもの

とし,粘土層の下端

からzの高さにある

dz × 1 × 1 なる微

小六面体を考える。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・

1

1

dzH

D

D z

dz

u p

t=∞ t=0

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・砂

飽和粘土

等時線

圧密の進行による間隙水圧と有効応力の相対的な割合の変化

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dh= 𝑑𝑑𝑑𝑑𝛾𝛾𝑤𝑤

𝑖𝑖 = −𝜕𝜕ℎ𝜕𝜕𝑧𝑧

= −1𝛾𝛾𝑤𝑤

𝜕𝜕𝑢𝑢𝜕𝜕𝑧𝑧

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次にダルシーの法則により間隙水の浸透流速は

v=ki ・・・・・・ (3)

ここに,v : 浸透流速,k: 透水係数

微小六面体の下面における流入速度は,

・・・・・・ (4)

微小六面体の上面における流出速度は,

・・・・・・ (5)

よって、単位時間に微小六面体から失われる流量は、断面が単

位面積であるから

・・・・・・ (6)

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一方,nを土の単位体積当りの間隙の体積とすれば

𝜕𝜕𝑛𝑛𝜕𝜕𝑡𝑡

= 𝑚𝑚𝑣𝑣𝜕𝜕𝑝𝑝′

𝜕𝜕𝑡𝑡Δ𝑛𝑛 = ΔV𝑣𝑣

𝑉𝑉= 𝑚𝑚𝑣𝑣Δ𝑝𝑝 ・・・・・・ (7)

しかるに𝜕𝜕𝑝𝑝′

𝜕𝜕𝑡𝑡= 𝜕𝜕 𝑝𝑝−𝑑𝑑

𝜕𝜕𝑡𝑡= −𝜕𝜕𝑑𝑑

𝜕𝜕𝑡𝑡・・・・・・ ( 8) であるから

𝜕𝜕𝑛𝑛𝜕𝜕𝑡𝑡

= −𝑚𝑚𝑣𝑣𝜕𝜕𝑑𝑑𝜕𝜕𝑡𝑡

・・・・・・ (9)

dzの厚さに対しては,

𝜕𝜕𝑛𝑛𝜕𝜕𝑡𝑡𝑑𝑑𝑧𝑧 = −𝑚𝑚𝑣𝑣

𝜕𝜕𝑑𝑑𝜕𝜕𝑡𝑡𝑑𝑑𝑧𝑧 ・・・・・・ (10)

(10)式の体積変化は,(6)式に示した失われた水量に等しいはずであるから,

− 𝑘𝑘𝛾𝛾𝑤𝑤

𝜕𝜕2𝑑𝑑𝜕𝜕𝑧𝑧2

𝑑𝑑𝑧𝑧 = −𝑚𝑚𝑣𝑣𝜕𝜕𝑑𝑑𝜕𝜕𝑡𝑡𝑑𝑑𝑧𝑧 ∴ 𝜕𝜕𝑑𝑑

𝜕𝜕𝑡𝑡= 𝑘𝑘

𝑚𝑚𝑣𝑣𝛾𝛾𝑤𝑤

𝜕𝜕2𝑑𝑑𝜕𝜕𝑧𝑧2

・・・・・・ (11)

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記号 圧密理論 熱伝導理論

u 間隙水圧 温 度

t 時 間 時 間

k 透水係数 熱伝導係数

mv 体積圧縮係数 比熱と単位体積重量の積

cv 圧密係数 熱拡散係数

圧密理論と熱伝導理論の要素の比較

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𝑢𝑢 = �𝑛𝑛=1

𝑛𝑛=∞1𝐷𝐷�0

2𝐷𝐷𝑢𝑢𝑖𝑖 sin

𝑛𝑛𝜋𝜋𝑧𝑧2𝐷𝐷

𝑑𝑑𝑧𝑧 sin𝑛𝑛𝜋𝜋𝑧𝑧2𝐷𝐷

𝑒𝑒𝑒𝑒𝑝𝑝 −14𝑛𝑛2𝜋𝜋2𝑇𝑇𝑣𝑣

𝑇𝑇𝑣𝑣 =𝑐𝑐𝑣𝑣𝐷𝐷2

𝑡𝑡

𝑀𝑀 =𝜋𝜋2𝑛𝑛 = 𝜋𝜋/2 2𝑚𝑚 + 1

𝑢𝑢 = �𝑚𝑚=0

𝑚𝑚=∞2𝑝𝑝𝑀𝑀

sin𝑀𝑀𝑧𝑧𝐷𝐷

𝑒𝑒𝑒𝑒𝑝𝑝 −𝑀𝑀2𝑇𝑇𝑣𝑣

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任意の時間tにzなる位置において次の関係がある。

𝑈𝑈𝑧𝑧 = 𝑒𝑒1−𝑒𝑒𝑒𝑒1−𝑒𝑒2

= 𝑝𝑝′

𝑝𝑝= 1 − 𝑑𝑑

𝑝𝑝・・・・・・ (15)

ここにUzは,圧密度,e1, e2はそれぞれ始めと終わりの間隙比

よって、zの深さにおける圧密度は時間係数の関数として表わすことができる。

𝑈𝑈𝑧𝑧 = 𝑓𝑓 𝑇𝑇𝑣𝑣 = 𝑓𝑓 𝑐𝑐𝑣𝑣𝑡𝑡𝐷𝐷2

・・・・・・ (16)

任意の時間tにおける層全体の圧密度,すなわち平均圧密度Uは,式(15)に基づき次式で表わせる。

𝑈𝑈 = 1-1

2D∫02D 𝑢𝑢𝑑𝑑𝑧𝑧

12D∫0

2𝐷𝐷 𝑢𝑢𝑖𝑖𝑑𝑑𝑧𝑧・・・・・・ (17)

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ui=p=const.の場合には,式(15)に代入すると上式は次のようになる。

𝑈𝑈 = 1 − �𝑚𝑚=0

𝑚𝑚=∞2𝑀𝑀2 𝑒𝑒𝑒𝑒𝑝𝑝 −𝑀𝑀

2𝑇𝑇𝑣𝑣

普通には,このTvとUの関係が必要であり,その関係は図に示す

ような圧力分布と排水の条件によって定まり,それらは図や表に

よって表わされているので,実際の問題はすべてTvの計算だけで解

くことができる。

・・・・・・ (18)

・・・・・・ (18)

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図6.14 √t法によるCvの決定法2)

圧密係数Cvの決定方法

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曲線定規法によるCvの決定法

圧密係数Cvの決定方法

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3.地盤沈下をコントロールする!