*c64 h2h3 1-36...

調定義 具体的な現れ方 LD (Learning Disabilities =学習障害) 基本的には全般的な知的発達 に遅れはないが、聞く、話す、 読む、書く、計算する又は推論 する能力のうち特定のものの習得 と使用に著しい困難を示すもの。 よく似た文字を読み間違える 行をとばして読む 筆算の桁をずらして計算する 集団の中での指示を聞き漏らす など ADHD (Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder =注意欠陥/多動性障害) 年齢あるいは発達に不釣り合 いな注意力、及び/又は衝動性、 多動性を特徴とする行動の障害 で、社会的な活動や学業の機能 に支障をきたすもの。 じっとしていられない 思った瞬間に行動してしまう 気が散りやすく不注意な間違いをする カッとなりやすい など 高機能自閉症 (High-Functioning Autism) 3歳ぐらいまでに現れ、①他 人との社会的関係の形成の困難 さ、②言葉の発達の遅れ、③興 味や関心が狭く特定のものにこ だわることを特徴とする行動の 障害である自閉症のうち、知的 発達の遅れを伴わないもの。 ※知的発達の遅れを伴わず、かつ、 自閉症の特徴のうち言葉の発達 の遅れを伴わないものを「アス ペルガー症候群」と呼ぶ。 変更や変化に対応しにくい 球技やゲームで仲間と協力して行うこ とがしにくい あいまいな言葉の意味をくみとること が苦手 同じものややり方にこだわる など ※ここに挙げた発達障害の定義は「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(平成 17 年12 月 8日、中央教育審議会)による。 表① 発達障害とは 26 27 1 3 2

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Page 1: *c64 H2H3 1-36 最終...書が基本としてあることです。ところで、平成二十年六月に「障害のあ めに作成した教材であって、検定用教科図の他障害のある児童及び生徒が学習するたれは教科用拡大図書、教科用点字図書、そで「教科用特定図書等」とありますが、こ校教育を推進すること」

国立特別支援教育総合研究所 総括研究員 澤さ

田だ

真ま

弓ゆみ

 

そもそも特別支援教育とは何なのでしょ

うか。平成十五年三月に、文部科学省調査

研究協力者会議「今後の特別支援教育の在

り方について(最終報告)」が出されました。

それによると特別支援教育とは、

従来の特殊教育の対象の障害だけでな

く、LD、ADHD、高機能自閉症を

含めて障害のある児童生徒の自立や社

会参加に向けて、その一人一人の教育的

ニーズを把握して、その持てる力を高

め、生活や学習上の困難を改善又は克服

するために、適切な教育や指導を通じて

必要な支援を行うものである。

とあります。ここで重要なことは、特別支

援教育の対象が通常の学級に在籍している

LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障

害(表①)の子どもたちも含めているとい

うこと、そして、障害の種類や程度だけで

なく、一人一人の教育的ニーズに視点を当

てているということです。

 

近年、子どもたちを巡る教育の諸課題に

対応して、協力者会議やモデル事業等の取

り組みが各所でなされ、さらに教育基本法

をはじめとする教育に関連する法改正がな

されてきました。平成十八年に改正された

学校教育法では、小中学校等において、学

習障害・注意欠陥/多動性障害等を含む障

害のある児童生徒等に対して適切な教育を

行うことが規定され、平成二十年に告示さ

れた幼稚園教育要領、小学校、中学校学習

指導要領、翌二十一年に告示された高等学

校学習指導要領においても特別支援教育に

ついて記載されており、すべての学校にお

いて、特別支援教育が推進されているとこ

ろです。

 

小学校から中学校への移行の時期、「中

一ギャップ」などの言葉が聞かれるように、

学習環境や生活環境の変化に対応できず、

不適応を起こす生徒が出てくる場合があり

ます。中学生になると学級担任制から教科

担任制へと変わり、学習量の増加や友達関

係も新たに築いていかなければならない状

況が起こったり、さらには思春期特有の心

の葛藤等々と、どの生徒も少なからず戸惑

いやストレスが生じてきます。特にさまざ

まな変化への対応や友達とのコミュニケー

ション等に苦手意識をもっている発達障害

等のある生徒にとっては、大きな試練の時

期であるともいえます。

 

そのため、個々の生徒の状況を見極めて、

適切な指導や配慮が必要となります。学校

に自分の居場所(心の拠り所)があること、

それにはまずは授業がわかり、授業が楽し

いと感じられることが大切で、自信を失っ

て自尊感情や自己肯定感が低下し、不登校

や引きこもりに繋がることのないように丁

寧に生徒を見ていくことが必要です。

 

さて、「1 

特別支援教育とは」で述べ

たように、すべての学校において、特別支

援教育が推進されており、そのための体制

整備(特別支援教育コーディネーターの指

名や校内委員会の設置等)は急速に進んで

きました。しかし一方で、具体的な指導方

法となると苦慮している実態があるのも否

めません。学校という中では、やはりどの

生徒にとっても「授業がわかる」というこ

とが大切です。三十人以上の生徒が在籍し

ているクラスで、支援の必要な生徒を含め

て「わかる授業」を展開するためには、何

が必要なのでしょうか。さまざまな側面か

ら考えることができますが、まずは、特別

支援教育の視点を取り入れた、誰にでも見

やすい、わかりやすいユニバーサルな教科

定義 具体的な現れ方

LD(Learning Disabilities

=学習障害)

 基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すもの。

▶よく似た文字を読み間違える▶行をとばして読む▶筆算の桁をずらして計算する▶集団の中での指示を聞き漏らす など

ADHD(Attention-Deficit /

Hyperactivity Disorder=注意欠陥/多動性障害)

 年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。

▶じっとしていられない▶思った瞬間に行動してしまう▶気が散りやすく不注意な間違いをする▶カッとなりやすい など

高機能自閉症(High-Functioning

Autism)

 3歳ぐらいまでに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないもの。※知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものを「アスペルガー症候群」と呼ぶ。

▶変更や変化に対応しにくい▶球技やゲームで仲間と協力して行うこ とがしにくい▶あいまいな言葉の意味をくみとること が苦手▶同じものややり方にこだわる など

※ここに挙げた発達障害の定義は「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(平成17年12月8日、中央教育審議会)による。

表① 発達障害とは

ユニバーサルな

 

教科書を

目指して

2627

1特別支援教育とは

ユニバーサルな

教科書を目指して

いま、教科書に

求められることは

3

小学校から中学校への

移行期を考える

2

Page 2: *c64 H2H3 1-36 最終...書が基本としてあることです。ところで、平成二十年六月に「障害のあ めに作成した教材であって、検定用教科図の他障害のある児童及び生徒が学習するたれは教科用拡大図書、教科用点字図書、そで「教科用特定図書等」とありますが、こ校教育を推進すること」

書が基本としてあることです。

 

ところで、平成二十年六月に「障害のあ

る児童及び生徒のための教科用特定図書等

の普及の促進等に関する法律」が制定され

ました。この法律の目的は「教育の機会均

等の趣旨にのっとり、障害のある児童及び

生徒のための教科用特定図書等の普及を促

進し、障害等の有無にかかわらず児童及び

生徒が十分な教育を受けることができる学

校教育を推進すること」にあります。ここ

で「教科用特定図書等」とありますが、こ

れは教科用拡大図書、教科用点字図書、そ

の他障害のある児童及び生徒が学習するた

めに作成した教材であって、検定用教科図

書等に代えて使用し得るものです。

 

弱視児童生徒のための拡大教科書を例に

とれば、拡大教科書は、弱視児童生徒の視

認特性を考慮して、原本教科書(検定用教

科図書)を見やすいように、文字や図を大

きくしたり、フォントや行間、色彩やコン

トラストの変更、囲み線を入れ各領域を

はっきりさせる等々の工夫が施されていま

す。

 

これらの工夫をして作成された拡大教科

書は、弱視児童生徒のみならず、他の障害

の子どもたちにも見やすく、わかりやすい

教科書となっていることがわかってきてい

ます。これは当然と言えば当然で、見えに

くさへの配慮とは、特

別なことではなく、す

べての生徒にわかりや

すい環境を整えること

の一つだからです。

 

障害特性に応じた拡

大教科書や点字教科書

等の普及はもちろん大

切なことですが、その

元になっている原本教

科書そのものがユニ

バーサルなものであれ

ば、多くの児童生徒が

教科書にアクセスしやすくなります。文字

等を拡大教科書のように大きくしないまで

も、拡大教科書作成の技術的知識や情報を

含めて、特別支援教育の視点から原本教科

書を作成していく、それは取りも直さず、

すべての子どもにとって見やすいわかりや

すい教科書となります。

 

では、誰にでも見やすい、わかりやすい

ユニバーサルな教科書とは具体的にどのよ

うなものなのでしょうか。クラスの中には、

視力はもちろんのこと、色覚に特性のある

生徒、読みや書きに課題を持っている生徒

等々、多様な生徒が在籍しています。個々

のニーズにより支援の方法や配慮は異なり

ますが、p31に示した「教科書に求められ

る配慮」のような事項については、考慮し

ていく必要があります。次にその中から「色

使い」と「ページ構成」について、具体的

に説明していきましょう。

(1)色覚特性の観点から

 

私たちの周りを見渡してみると、さまざ

まな色であふれていて、「何色」と表現し

たらよいのかわからないような色合いまで

出てきています。この中には配慮に欠ける

色使いもあり、不便を感じるケースも少な

からずあるのではないでしょうか。色とい

うのは、誰にでも同じようにわかりやすい

ものだと思われがちですが、案外そうでは

ありません。他の人には明らかに違って見

える色が同じように見えたり、背景の色と

の組み合わせや大きさによっても見え方に

違いが出てきます。

 

日本人では男性のおよそ5%、女性のお

よそ0・2%に特定な色を混同する色覚特

性をもった方がいます。また視力の低い方

や白内障等の疾患のある方などにとっても

色による識別がしにくい場合があります。

 

最近の教科書はたいへんビジュアル化さ

れてきています。さまざまな色を使い、さ

らに背景色や地模様があったりとたいへん

凝った美しい表現がなされてきています。

もちろんそれらはその単元の内容のイメー

ジをつかむ一助となっていたり、そこから

メッセージ(情報)を発信してもいます。

学習効果を高める観点からすれば、色を全

く使用しないことは考えられません。だか

らこそ、それはすべての生徒にとってわか

りやすく、見やすくなくてはなりません。

さまざまな色覚特性にかかわらず、識別し

拡大教科書(左)と通常の教科書(右) 拡大教科書は、文字を大きくするだけでなく、フォントや行間にも工夫が加えられている。 また、「目標」の位置を変えるなど、文章のまとまりが認識しやすいように、レイアウトにも配慮がなされている。 光村図書は、平成5年に、「すべての児童・生徒に等しく、学ぶ楽しさを味わってもらうこと」を発行者の責務と感じ、教科書会社として初めて中学校国語の拡大教科書を編集・発行。そして、蓄積された経験や使用者の意見などをもとに、さらに読みやすい拡大教科書を目指して研究を続けている。

実際の文字の大きさとフォントの違い通常の教科書 明朝体11ポイント拡大教科書  ゴシック体22ポイント(26ポイントと18ポイントの拡大教科書も作成)

 僕のおじさんは「ぐうちゃん」という。津つ

田だ

由ゆ

起き

夫お

三十八歳。いそうろう。

 僕の母親の弟だ。いつも母に怒られている。学生のころに外国のいろんな所を旅していたら

しく、気づいたときには僕の家に住み着いていた。そして、長いこと「ぐうたら」しているから、

いつのまにか「ぐうちゃん」というあだ名になってしまった。でも、ぐうちゃんは変わった人で、

そう言われるとなんだかうれしそうだ。それを見て僕の母はまた怒る。怒るけど「これ、ぐう

ちゃんの好物。」なんて言いながら、ご飯の支度をしているから母もちょっと変わっている。

 僕の家は東京の西の郊外にあって、父の祖父が建てた。古い家だけれど、ぐうちゃんが「い

そうろう」できる六畳間があって、そこでぐうちゃんは「ぐうたら」している。父は単身赴任

で仙せん

台だい

にいて、週末に帰ってくる。ぐうちゃんがいると何か力仕事が必要になったときに安心

だから、と言って、父はぐうちゃんのいそうろうを歓迎しているみたいだ。

 ぐうちゃんは、家にいるときはたいてい本を読んでいるか、唯一のタカラモノであるカメラ

の掃除、点検などをしている。全く「ぐうたら」ばかりでもなくて、たまに一週間ぐらい留守

2

漢怒お

7

漢郊コ

8

漢単身赴フ

11

漢唯ユ

アイスプラネット

椎しい

名な 

誠まこと

作品に表れているものの

見方や考え方について、

自分の考えをもつ。

登場人物の言動や心情を

表す表現などに注意して、

作品を読み取る。

⃝⃝

目標

510

 僕のおじさんは「ぐうちゃん」という。津つ

田だ

由ゆ

起き

夫お

三十八歳。いそうろう。

 僕の母親の弟だ。いつも母に怒られている。学生のころに外国のいろんな所を旅していたら

しく、気づいたときには僕の家に住み着いていた。そして、長いこと「ぐうたら」しているから、

いつのまにか「ぐうちゃん」というあだ名になってしまった。でも、ぐうちゃんは変わった人で、

そう言われるとなんだかうれしそうだ。それを見て僕の母はまた怒る。怒るけど「これ、ぐう

ちゃんの好物。」なんて言いながら、ご飯の支度をしているから母もちょっと変わっている。

 僕の家は東京の西の郊外にあって、父の祖父が建てた。古い家だけれど、ぐうちゃんが「い

そうろう」できる六畳間があって、そこでぐうちゃんは「ぐうたら」している。父は単身赴任

で仙せん

台だい

にいて、週末に帰ってくる。ぐうちゃんがいると何か力仕事が必要になったときに安心

だから、と言って、父はぐうちゃんのいそうろうを歓迎しているみたいだ。

 ぐうちゃんは、家にいるときはたいてい本を読んでいるか、唯一のタカラモノであるカメラ

の掃除、点検などをしている。全く「ぐうたら」ばかりでもなくて、たまに一週間ぐらい留守

2

漢怒おこ

7

漢郊コウ

8

漢単身赴フ

11

漢唯ユイ

アイスプラネット

椎しい

名な 

誠まこと

作品に表れているものの

見方や考え方について、

自分の考えをもつ。

登場人物の言動や心情を

表す表現などに注意して、

作品を読み取る。

⃝⃝

目標

18

510

ユニバーサルな

 

教科書を

目指して

2829

ユニバーサルな

教科書とは

4

Page 3: *c64 H2H3 1-36 最終...書が基本としてあることです。ところで、平成二十年六月に「障害のあ めに作成した教材であって、検定用教科図の他障害のある児童及び生徒が学習するたれは教科用拡大図書、教科用点字図書、そで「教科用特定図書等」とありますが、こ校教育を推進すること」

やすい配色の使用や工夫、配慮が必要とな

ります。単にカラフルさを求めて多色使い

になっていないか、本当にここでこの色使

いが必要なのか、どのような意味や役割を

もっているのかを考えていく必要がありま

す。単元によっては、グラフや写真、イラ

ストから判断して説明したり文章を作った

りすることが求められます。まず読み取っ

ていく元になるものが誰にでもわかりやす

く表現されていなければ、本来、生徒たち

につけようとしている力はつきません。

 

簡単に「色使いのポイント」を表②に示

しましたが、色使いの基本は、見分けやす

い色を使い、色だけに頼った情報提供をし

ないことです。また見分けにくい配色でも、

明度差をつけたり、境界線をはっきりさせ

ることにより、見分けやすくなりますので

それらの工夫と配慮をすることが必要です。

(2)ページ構成の観点から

 

例えば、教科書を開けば、その単元で学

ぶことがまず視覚的に理解できるというわ

かりやすさも必要です。内容はもちろん重

要ですが、そうした構成面での工夫も大切

な要素となります。

 

支援の必要な生徒のみならず、文章中に

表現されている概念の枠組みをビジュアル

に構造化してあったり、ここでは何を学習

するのかが初めに示されていると、学習を

進めていくにあたり大きな助けとなります。

視覚的に把握しやすい図や箇条書きでわか

りやすく学習の進め方や目安が示されて

あり、「おおよそこんなことが書かれてい

る、このような学習をする」という先行的

知識を得てから文章を読む場合とそうでな

い場合とでは、読みにかかる負荷や理解度

が違ってきます。

 

また、段組されたページや見開きページ

で見せる場合の文章の読み進める順番や文

字の方向等、レイアウトの望ましい在り

方についても配慮が必要です。「すべての

生徒に知識や情報を伝える」という目的を

もった教科書であれば、こうしたページ構

成面での工夫や配慮も看過すべきではない

と思います。

 

先生方は、これらの工夫や配慮のなされ

たユニバーサルな教科書を使い、個々の障

害特性に応じた支援方法や配慮を加味した

指導計画を立て、授業を展開していきます。

例えば、授業の始まりに一時間の流れを視

覚的にわかるように提示して見通しをもた

せたり、できるだけ簡潔で具体的な言葉を

使って授業を進める、わかりやすい板書の

工夫や質問・指示の出し方、また、苦手な

課題が予測される場合は、あらかじめその

支援方法を考えておく等々、日々の授業を

見直していくことが大切になります。

 

ユニバーサルな教科書と指導者の配慮が

相まって、「わかる授業」、さらには「学力

向上」につながっていくのです。

教科書に求められる配慮(具体例)

 色使い

 ・使用する色数は適当か

 ・まぎらわしい色使いと組み合わせになっていないか

 ・色覚に特性のある子どもに配慮した色使いとその対応

 文字の大きさ、フォント、行間、ルビ

 ・見やすく、わかりやすくなっているか

 文章

 ・説明、指示等の文章は簡潔か

 ・イラストや図解等の併用により理解を促す等の工夫

 重要なポイント等の表し方

 ・書体を大きくしたり太くしたりする

 ・問題やまとめ等を枠囲みし、わかりやすくする

 ・内容ごとに箇条書きする

 図等の背景色や飾り

 ・内容理解に必要な背景色や飾りかどうか

 ・図表中の文字や数字が見やすいかどうか

 ページ構成

 ・指導の順、思考の順の構成になっているか

 写真・図・内容ごとの区別

 ・各領域がはっきりしているか

 学習の目標や手順

 ・何をするのか等の見通しがもてるか

 ・学習の振り返りができるようにチェック欄を設ける等

 イラスト

 ・本文に合ったイラストか

表② 色使いのポイント色だけに頼った情報提供をしない ・色に文字や記号を書き加える ・輪郭線や境界線で塗り分けの境を強調する

暖色系と寒色系、明るい色と暗い色を対比させる

パステル調の色どうしを組み合わせない・はっきりした色どうしか、はっきりした色とパステル調を対 比させる

文字に色をつけるときは、背景と文字の間にはっきりし た明度差をつける

文字に色をつけるときは、線の細い明朝体でなく、線の 太いゴシック体を使う。

色だけでなく、書体(フォント)、太字、下線、囲み枠など、 形の変化を併用する

白黒でコピーしても内容を識別できるか確認してみる

項目を整理して伝えよう

伝える事柄・目的・相手に応じて、項目の立て

方を考える。

内容を整理し、わかりやすく伝えるための工夫

をする。

⃝⃝見つける・

集める

深める・

整理する

まとめる・

伝え合う

つなげる・

生かす

これまでの学習を

生かそう

学習の見通しをもとう 目標

案内文を作る

 学校生活の中では、「お知らせ」などの案内文を読む機会がたく

さんある。ここでは、案内文を作る側になり、事柄や目的に応じた

項目の立て方や、相手に伝わりやすい書き方を考えていこう。

●→248�

ページ�

学習に役立てよう ●→250�

ページ�

発想を広げる

●→50�

ページ�

わかりやすく説明しよう

■①

案内文の書き方を知る。

■②

事柄・目的・相手に応じて

項目を立てる。

■③

項目ごとに書くべき内容を

整理する。

■④

実際に案内文を

作成する。

■⑤

作成した案内文を

発表する。

書く

太陽光と熱量 大気の流れ

太陽光 北極

寒い

暑い

赤道

北極

南極

赤道

温かい空気冷たい空気

162

視点を定めて やさしい日本語

「やさしい日本語」 2005年 検証実験

通常の日本語 「やさしい日本語」

適切に行動できた人

60%85%

45

ユニバーサルな

 

教科書を

目指して

3031

5わかる授業で「学力向上」

◀色だけに頼らず、線の種類や太さ、図の形などから必要な情報を読み取れる工夫(1年「流氷とわたしたちの暮らし」)

▲図表の中で、複数の色を用いるときには、暖色系と寒色系、明るい色と暗い色を対比させる工夫(2年「やさしい日本語」)

▲指導の順、思考の順がわかりやすく、何をするのか見通しがもちやすいレイアウトの工夫(1年「項目を整理して伝えよう」)