第74回日本循環器学会総会・学術集会 ファイアサイファイア...
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第74回日本循環器学会総会・学術集会 第74回日本循環器学会総会・学術集会
ファイアサイドセミナー35ファイアサイドセミナー35
19:00ー20:002010
3 6京都市左京区宝ヶ池
グランドプリンスホテル京都 第21会場 ローズルーム[B1F] グランドプリンスホテル京都 第21会場 ローズルーム[B1F] 19:00ー20:00
2010
3 6
第74回日本循環器学会総会・学術集会 日本メジフィジックス株式会社
共 催
京都市左京区宝ヶ池
土
CKD患者の 虚血性心疾患診療のための 心腎連携
1名古屋大学医学部 CKD地域連携システム講座 講師
札幌医科大学 第二内科 教授
演 者
2演 者
林 睦晴先生
座 長
CKD患者の血管内皮機能と虚血性心疾患
札幌医科大学 第二内科 講師
橋本 暁佳先生
CKD患者の虚血性心疾患診療のための心腎連携 循環器内科医の立場から
島本 和明先生
ランチョンセミナー、ファイアサイドセミナーは整理券を発行いたします。整理券をお持ちの方より優先的にご入場いただけます。なお、整理券はセミナー開始と同時に無効になりますのでご注意下さい
わが国では、診断技術・治療法の進歩によって脳卒中や虚血性心疾患が減少に転じているのに関わらず、末期腎不全・透析患者は最
近の10年間で倍増している。糖尿病・高血圧・メタボリックシンドロームといった様々な病態を背景として、心臓と腎臓は相互に影響しあい
ながら特有な病態を形成することから、近年、「心腎連携」の重要性が強調されるようになった。腎機能障害は心血管イベントの強力な予
測因子であることが広く認識されており、従って、末期腎不全患者における診療では、透析回避だけではなく心血管イベントの抑制も含め
た包括的視点が、治療戦略上、極めて重要である。このセッションでは、特にCKD患者における虚血性心疾患診療をテーマとし、心腎連
携の診断・治療・問題点を、腎臓内科と循環器内科の立場から二名の演者にご講演いただく。
CKD(慢性腎臓病)の問題点はその末期像として腎機能が廃絶し透析導入が必要になることと、この疾患群が非常に重大かつ独立した心
血管疾患(CVD)のリスクファクターであることである。前者に関しては現在、日本において年々透析導入患者が増え続け、患者のQOL低下
を招くばかりでなくわが国の医療経済をも強く逼迫させる一因となっている。現在日本のCKD患者数は膨大な数に達すると見込まれており、
CKDの基本対策としてかかりつけ医と専門医の連携による指針を推奨している。但しこうしたガイドラインの作成や日本独自のeGFR推算式
の導入にも関わらず未だCKDへの認識及び対応が十分ではないのが実情である。2008年度の透析導入患者の原疾患において糖尿病の
占める割合が42%以上に達していること、またCVD予防がCKD管理の重要な課題であることを考慮すると、CKDは腎臓専門医だけではなく
糖尿病や循環器専門医なども含めた横断的な対応が必要であると考えられる。
また、CVD予防の観点からはいかに早期からCKD患者の血管不全を見つけて治療するかが重要である。近年、早期の血管障害の指標と
して血管内皮機能検査が注目されているが、最近ではその生理学的評価検査である前腕動脈の血流依存性血管拡張反応(FMD)がCVD
発症や心疾患の予後予測マーカーと成りうるデータも蓄積してきている。我々のCKD専門外来でのデータでは、CKD患者においては血管内
皮機能が強く障害された患者が多く、それに伴い臨床的に治療を要する虚血性疾患も多数見つかっている。更にCKDでは糖尿病を背景に
持った患者が多いこともあり無症候性であることも多い。虚血性心疾患全体においてもその3-4割近くが無症候であるとの報告もあり、CKD
のようなリスクの高い疾患群ではいかにイベントを起こす前に病変をみつけて治療していくかが今後のCKD対策において重要な課題である。
こうした背景の中、CKD診療において心臓核医学の重要性が益々高まっている。
当院では全国に先駆けて専属の腎臓内科・循環器内科・糖尿病内科医と栄養士・薬剤師・看護師を擁したCKD専門外来を立ち上げて
主に開業医との連携でCKD患者の診療に当たっている。実臨床から見たCKDを取り巻く現状や問題点から今後のCKDと核医学検査の重
要性について概説する。
慢性腎不全患者では、高血圧・糖尿病・高脂血症など複数の冠動脈危険因子を合併する事が多いことに加え、慢性腎臓病の存在そのもの
が虚血性心疾患の発症や増悪に大きな影響を与え、予後と密接に関わっている。末期腎不全・透析患者では、単に冠動脈疾患の有病率が
高いだけではなく、著明な冠動脈石灰化、多枝病変、低心機能などの特異的所見を示し、重症虚血発作により発症することが多い。これらの
病変はできるだけ病初期からの診断・治療が望ましいが、gold standardとも言うべき冠動脈造影・冠動脈CTによる冠動脈形態評価は、造
影剤による腎機能障害増悪を回避するため、行い得ない場合が多い。特に、造影検査の必要性が最も高い末期腎不全患者であるほど待機
的冠動脈造影施行が困難となることから、これらの症例における冠動脈病変診断と予後予測は極めて重要な問題である。心臓核医学検査
は、腎不全患者に合併した虚血性心疾患に対する有用性が高く、特に最近は、心電図同期法やアデノシン負荷法などの新しい診断技術の
普及・汎用化により、一層診断精度が向上しただけでなく、予後予測に関するエビデンスも数多く報告されるようになった。今回、慢性腎不全
患者における虚血性心疾患の非侵襲的診断法の進歩を、心臓核医学検査を中心に概説する。
島本 和明 札幌医科大学 第二内科 座長のことば
CKD患者の血管内皮機能と虚血性心疾患
名古屋大学医学部 CKD地域連携システム講座 林 睦晴先生 演 者 1
演 者 2
CKD患者の虚血性心疾患診療のための心腎連携 ー循環器内科医の立場からー
札幌医科大学 第二内科 橋本 暁佳先生
第74回日本循環器学会総会・学術集会
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CKD患者の虚血性心疾患診療のための 心腎連携