第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1...

27

Upload: others

Post on 30-May-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお
Page 2: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 目1 -

目 次

第1章 警察情報通信部門の戦略

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥業務運営の基本指針 1

第2章 制度の制定・廃止等

1 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会警備情報通信対策検

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥討委員会設置要綱の一部改正 3

‥‥2 G20大阪サミット等警備情報通信対策検討委員会設置要綱の制定 3

3 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典警備情報通信対策

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥検討委員会の設置 3

第3章 システム、機器の整備・廃止等

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 4

‥2 警察移動無線通信システム及び高度警察情報通信基盤システムの整備 4

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 暴力団排除支援のための照会システム更新 4

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 テレワークシステム試行運用開始 5

第4章 犯罪の取締りのための情報技術解析業務の推進

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 デジタル・フォレンジックの推進 6

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 サイバー攻撃に対する技術的対応の推進 7

第5章 機動警察通信隊の活動

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 機動警察通信隊の活動状況 10

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 警衛・警護警備関係 10

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 災害関係 12

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 事案関係 13

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥第6章 国際機動警察通信隊の活動 14

Page 3: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 目2 -

第7章 警察情報通信研究センターにおける研究活動

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 基礎研究室 15

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 応用第一研究室 15

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 応用第二研究室 15

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 研究成果の周知 15

第8章 サイバーセキュリティ対策研究・研修センターにおける活動

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 解析研究室 16

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 捜査研修室 17

第9章 警察通信職員の教育訓練

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 附属警察情報通信学校の教育訓練内容 19

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 採用時教養・長期特別研究制度 19

第10章 警察情報通信の予算

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 平成29年度予算 21

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 平成30年度予算 21

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥年表 23

Page 4: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 1 -

第1章 警察情報通信部門の戦略

業務運営の基本指針

情報通信局では、全国統一的な目標の達成に向けて共通認識を持ちつつ、年

間を通じて総合的な取組を推進するため、「平成30年における警察情報通信部

門の業務運営の基本指針」を策定し、課題及び具体的施策に取り組んだ。

○ 更なる組織力の発揮と体制の充実

・ 技術的企画立案の機能強化と戦略的調査研究の推進

・ 採用活動の強化、職員個人の適性を見据えた人事配置、積極的かつ計

画的な入校等による人材の育成・確保

・ 報告・連絡・相談の徹底による組織的な情報の共有等各種事故防止対策

・ 適正かつ効率的な予算管理に基づく予算の早期執行及び組織的な管理

による物品の有効活用

・ 自立的かつ継続的な調達改善への取組等を踏まえた適正調達の推進

・ ワークライフバランスの確保と適切な賞揚による良好な職場環境の整備

○ 機動警察通信隊の活動強化

・ 大規模災害・重大事件における現場対応力の強化

・ 都道府県警察のニーズに即した活動の推進

・ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の大規模警備通

信対策の推進

○ 警察情報システム等の将来構想の確立及び推進

・ 世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を踏まえ

た情報システム改革及び人材育成の推進

・ 情報セキュリティの向上のための総合的な対策の推進

○ 時代の変化に対応する警察情報通信基盤の確立

・ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた通信対策

の推進

・ 将来を見据えた警察情報通信基盤の高度化・堅牢化の着実な推進

○ 多様化・深刻化するサイバー空間の脅威への対処

・ IoT機器を始めとする新たな機器・サービスの出現や幅広い捜査ニ

ーズに応じた的確な情報技術解析の実施

Page 5: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 2 -

・ 大規模警備事象を見据えたサイバー攻撃対策の再点検・再構築及び推

・ 警察全体の技術的な対処能力強化に向けた人材育成・確保の推進

Page 6: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 3 -

第2章 制度の制定・廃止等

1 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会警備情報通信対策検

討委員会設置要綱の一部改正

平成30年3月に2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係

る具体的な警備情報通信対策を検討するため、「2020年東京オリンピック

・パラリンピック競技大会警備情報通信対策検討委員会」の下に通信運用

室長を長とする作業部会を新たに設置し、体制の見直しを図った。

2 G20大阪サミット等警備情報通信対策検討委員会設置要綱の制定

平成30年4月に情報通信局長を長とする「G20大阪サミット等警備情報

通信対策検討委員会」を設置するとともに、より具体的な警備情報通信対

策を検討するため、同委員会内に情報通信企画課長を長とする幹事会及び

通信運用室長を長とする作業部会を設置し、警備情報通信対策の的確な推

進を図った。

3 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典警備情報通信対策

検討委員会の設置

平成30年10月に情報通信局長を長とする「天皇陛下の御退位及び皇太子

殿下の御即位に伴う式典警備情報通信対策検討委員会」を設置し、各種儀

式等における警備情報通信対策の的確な推進を図った。

Page 7: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 4 -

第3章 システム、機器の整備・廃止等

1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備

機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

いて、被災状況や警察官による救出活動等の俯瞰映像を効率的に撮影・伝

送するため、平成30年1月、関東管区警察局情報通信部に映像伝送用のド

ローンを試験的に導入した。

2 警察移動無線通信システム及び高度警察情報通信基盤システムの整備

耐災害性に優れる警察の自営網を利用した「自営システム」であり、か

つ高速でのデータ伝送が可能な民間の携帯電話網を利用した「民間システ

ム」と連係して使用することができる警察移動無線通信システム(以下「I

PRシステム」という。)は、平成30年4月から四国管区警察局(現中国

四国管区警察局四国警察支局。以下同じ。)管内での運用を開始した(四

国管区警察局管内の民間システムは29年3月から運用開始)。

また、30年には、1都4県(東京、埼玉、千葉、神奈川及び静岡)にお

けるIPRシステムの整備を進めるとともに、民間システムは映像伝送機

能等を強化した高度警察情報通信基盤システム(PⅢ:ポリス トリプル

アイ)として全国に整備した。

3 暴力団排除支援のための照会システム更新

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)

第32条の3第2項第8号における不当要求情報管理機関が、同法第14条に

規定する事業者からの要請に基づき、顧客等が暴力団構成員等に該当する

か否かを警察庁に対して照会するためのシステム(不当要求情報管理機関

支援システム)を平成30年1月に更新した。

また、本更新に併せて、警察庁と預金保険機構との間において、銀行が

扱う個人向け融資取引を申請する者等の暴力団員等該当性について照会に

応じるシステムのための改修を行った。

Page 8: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

*1リモートメール機能とは、個人所有のスマートフォン等から警察庁オープン

ネットワークシステムのメールの送受信等が可能となる機能をいう。

- 5 -

4 テレワークシステム試行運用開始

働き方改革に向けた情報システム環境の整備が課題の一つとなっている

ところ、「国家公務員テレワーク・ロードマップ」(平成27年1月21日各

府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)を踏まえ、30年3月にテ

レワークシステムを整備し、テレワークの試行環境及びリモートメール機

能*1の試行運用を開始した。

Page 9: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 6 -

第4章 犯罪の取締りのための情報技術解析業務の推進

1 デジタル・フォレンジックの推進

近年、情報通信技術の急速な進展により、IoT機器等新たな電子機器

や情報通信サービスが次々と登場し、電子機器等があらゆる犯罪に悪用さ

れるようになってきていることから、各種電子機器に保存されている電磁

的記録の解析による客観証拠の収集が捜査上必要不可欠となっている。そ

の一方で、情報通信技術の高度化、記憶容量の大容量化等に加えて、情報

通信技術を悪用した犯罪手口の複雑・巧妙化が進んでおり、電磁的記録の

解析が困難化している。

そこで、情報技術解析部門では、高度情報技術解析センターを中心に、

高度で専門的な知識及び技術を有する職員を配置するとともに、高性能な

解析用資機材を整備し、破損した電子機器等に記録された情報の抽出・可

視化等高度な解析を実施している。

(1) 情報技術解析部門を取り巻く情勢

情報技術解析部門では、都道府県警察が行う犯罪捜査に対し、捜索差

押え現場で電子機器等を適切に差し押さえるための技術的な指導や、押

収した電子機器の解析等の技術支援を行っている。

(2) 警察庁における取組例

警察庁では、デジタル・フォレンジックに関する情報共有・意見交換

を行い、各機関の取締りにおけるデジタル・フォレンジックの活用や相

互の連絡・連携を図ることを目的として、法務省・検察庁、国税庁等の

機関が参加する「デジタル・フォレンジック連絡会」を平成18年から定

期的に主催しており、平成30年も2月に開催した。また、警察内にとど

まらず、他機関からの解析要請や講師派遣を受け付けており、政府全体

におけるデジタル・フォレンジックの推進に努めている。

さらに、警察職員の技術力の向上を目的として、平成26年度から継続

して情報技術解析の分野での最先端研究を実施している米国や国内の学

術機関に職員を派遣しており、平成30年にはそれぞれ2名及び1名を派

遣している。

このほか、国際連携の一環として、平成12年度から毎年度、「アジア

Page 10: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 7 -

大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議」を開催し、解析技術、サイバー

犯罪捜査に係る知識・経験等の共有を図っており、30年12月には第19回

会議を開催し、アジア大洋州地域の国等の情報技術解析担当官やサイバ

ー犯罪捜査官のほか、この分野で先進的な取組を行う欧米の捜査機関等

が参加し、情報技術解析の高度化や、サイバー犯罪対策に係る国際連携

及び官民連携に関する発表・討議、情報技術解析に関する演習等を実施

した。

2 サイバー攻撃に対する技術的対応の推進

インターネットが国民生活や社会経済活動に不可欠な社会基盤として定

着する中で、実際に我が国の政府機関、民間企業等に対するサイバー攻撃

が発生している。特に、重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、

社会機能を麻痺させるサイバーテロや、情報通信技術を用いて政府機関や

先端技術を有する企業から機密情報を窃取するサイバーインテリジェンス

といったサイバー攻撃が世界的規模で頻発するなど、サイバー空間におけ

る脅威は深刻化している。

このような情勢に対応するため、警察では、関係部門が連携して総合的

なサイバー攻撃対策を推進しており、都道府県警察では、サイバー攻撃対

策プロジェクトを設置し、警備部門、生活安全部門、情報通信部門等が連

携した取組を推進している。

(1) サイバーフォース

警察情報通信部門においては、全国の情報通信部にサイバーフォース

を設置し、都道府県警察に対する技術支援を行っている。

都道府県(方面)情報通信部のサイバーフォースは、14の都道府県警

察に設置されているサイバー攻撃特別捜査隊をはじめとした警備部門と

緊密に連携し、サイバー攻撃対策プロジェクトの一員として、各種対策

を推進するとともに、サイバー攻撃の実態解明、被害の未然防止等に取

り組んでいる。また、全国のサイバーフォースの司令塔となる警察庁の

サイバーフォースセンターは、インターネットとの接続点に設置したセ

ンサーにおいて検知したアクセス情報等を集約・分析するためのリアル

Page 11: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 8 -

タイム検知ネットワークシステムを24時間体制で運用し、DoS攻撃の

発生や不正プログラムに感染したコンピュータの動向等を把握すること

でサイバー攻撃の予兆・実態把握を行っている。平成30年中には、本シ

ステムにより仮想通貨のネットワーク等を標的としたアクセスや、仮想

通貨の採掘機能を備えた不正プログラムの感染活動等を観測し、警察庁

ウェブサイト「@police」を通じて注意喚起するとともに、同年3月に

は、平成29年中の本システムでの観測結果等を取りまとめた「インター

ネット観測結果等(平成29年)」を公表した。また、サイバーフォース

センターは、情報セキュリティ事案に対処する組織の国際的枠組みであ

るFIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)に

加盟しており、技術会合・年次会合への参加等を通じて、最新の情報セ

キュリティ技術の共有及び事案が発生した際の適切な対処活動に資する

情報の収集を行っている。平成30年は、技術会合(大阪(3月)、オラ

ンダ(4月)、スウェーデン及びノルウェー(10月))及び年次会合(マ

レーシア(6月))に参加した。同年3月に大阪で開催された技術会合

は、国内におけるFIRST加盟組織の共催により開催され、警察庁は

後援した。

(2) 民間事業者等との連携

ア サイバーテロ対策

各都道府県警察では、サイバーテロ対策協議会の枠組み等を通じ、

重要インフラ事業者等との連携を推進しているところ、警察情報通信

部門では、関係部門と連携し、サイバーテロ対策協議会等において、

サイバー攻撃の脅威を実感してもらうためのデモンストレーション、

情報セキュリティ対策に係る情報提供等を行っている。

イ サイバーインテリジェンス対策

警察では、情報窃取の標的となるおそれのある先端技術関連事業者

等との間で「サイバーインテリジェンス情報共有ネットワーク」を構

築しており、サイバーフォースセンターでは、当該ネットワークに参

画する事業者等から提供された不正プログラムを解析し、その結果を

警備部門を通じて事業者等に還元することにより、サイバーインテリ

Page 12: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 9 -

ジェンスの未然防止及び被害の拡大防止に努めている。

Page 13: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 10 -

第5章 機動警察通信隊の活動

1 機動警察通信隊の活動状況

機動警察通信隊は、警衛・警

護警備、災害・事故、重大事件

捜査等に際し、警備実施現場や

事案発生現場等に出動し、都道

府県警察の主管部門と連携して、

刻々と変化する現場の状況や捜

査の進展に応じ、固定カメラ、映像伝送装置、ヘリコプターテレビシステ

ム、臨時の無線中継所を機動的に設置・運用するなどの各種通信対策を行

っている。平成30年における機動警察通信隊の出動事案数は、災害事案の

出動は増加したが、交通事案の出動が減少し、計6,622件(前年比222件減)

となっている。一方、新たな取組として、関東管区警察局情報通信部に無

人航空機型映像撮影伝送システムを運用するための専任体制(小型無人機

運用係)を構築し、平成30年7月豪雨及び平成30年北海道胆振東部地震に

おいて、同係が現場に出動し、所要の映像を警察庁等に伝送するなど、新

たな技術を用いた機動警察通信隊の活動を実施した。

2 警衛・警護警備関係

(1) 福島県における天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下。以下同じ。)

「第69回全国植樹祭」御臨場及び地方事情御視察に伴う警衛警備

天皇皇后両陛下は、平成30年6月9日から11日にかけて、「第69回全

国植樹祭」御臨場及び地方事情御視察のため、福島県へ行幸啓になった。

福島県情報通信部は、式典会場をはじめとする各行幸啓先等に臨時カ

メラを設置するとともに、ヘリコプターテレビシステムの映像を広範囲

に安定的かつ鮮明に受信するため、可搬形ヘリコプターテレビ自動追尾

装置を臨時に設置した。また、モバイル伝送装置、警備指揮情報支援シ

ステム等を活用して、各行幸啓先等の映像を現場状況に応じて臨機応変

に警衛警備実施本部等へ伝送したほか、警衛警備実施本部と現場警察官

との間の指揮命令系統を確保するため、無線回線の事前試験や不感地帯

Page 14: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 11 -

対策等の通信対策を徹底して行い、警衛警備の指揮に貢献した。

(2) 福井県における天皇皇后両陛下「第73回国民体育大会」御臨場及び地

方事情御視察に伴う警衛警備

天皇皇后両陛下は、平成30年9月28日から29日にかけて、「第73回国

民体育大会」御臨場及び地方事情御視察のため、福井県へ行幸啓になっ

た。福井県情報通信部は、式典会場をはじめとする各行幸啓先等に設置

した臨時カメラの映像やヘリコプターテレビシステムの映像を鮮明かつ

安定的に伝送するとともに、モバイル伝送装置、警備指揮情報支援シス

テム等を活用して、各行幸啓先等の映像を現場状況に応じて臨機応変に

警衛警備実施本部等へ伝送した。また、警衛警備実施本部と現場警察官

との間の指揮命令系統を確保するため、無線回線の事前試験や不感地帯

対策等の通信対策を徹底して行い、警衛警備の指揮に貢献した。

(3) 高知県における天皇皇后両陛下「第38回全国豊かな海づくり大会」御

臨席及び地方事情御視察に伴う警衛警備

天皇皇后両陛下は、平成30年10月27日から29日にかけて「第38回全国

豊かな海づくり大会」御臨席及び地方事情御視察のため高知県へ行幸啓

になった。高知県情報通信部は、式典会場をはじめとする各行幸啓先等

に臨時カメラを設置するとともに、歓送迎者の増加や突発事案の発生に

備え、通信遊撃班を複数班編成・運用し、モバイル伝送装置により各行

幸啓先における歓送迎者の状況や御対象の御動静等を撮影・伝送した。

また、ヘリコプターテレビシステムの映像を広範囲に安定的かつ鮮明に

受信するため、可搬形ヘリコプターテレビ自動追尾装置を臨時に設置し

たほか、綿密な無線回線の事前試験結果に基づき、臨時の無線中継所を

設置し不感地帯対策を行うなど、警衛警備の指揮に貢献した。

(4) 第7回日中韓サミットに伴う警護警備

平成30年5月8日から10日にかけて、「第7回日中韓サミット」出席

等のため中華人民共和国李克強国務院総理一行及び大韓民国文在寅大統

領一行が来日し、東京に滞在した。東京都警察情報通信部は、短い準備

期間の中、サミット会場及び要人の宿泊場所に設置した臨時カメラの映

像やヘリコプターテレビシステムの映像を鮮明かつ安定的に伝送すると

Page 15: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 12 -

ともに、モバイル伝送装置等を活用するなど警護警備の指揮に貢献した。

また、平成30年5月10日から11日には中華人民共和国李克強国務院総理

一行が企業視察等のため北海道を訪問した。北海道警察情報通信部は、

短い準備期間の中、警護対象者の宿泊場所に設置した臨時カメラの映像

やヘリコプターテレビシステムの映像を鮮明かつ安定的に伝送するとと

もに、通信遊撃班を複数班編成し、転配運用するなど各行き先地におけ

る要人の身辺の安全確保及び行事の円滑な遂行に貢献した。

3 災害関係

(1) 草津白根山(本白根山)の噴火

平成30年1月に発生した草津白根山(本白根山)の噴火災害において、

群馬県情報通信部は現地に機動警察通信隊を出動させ、現地指揮本部の

設置のほか、警察無線システムの機能を活用した不感地帯対策を実施す

るとともに、モバイル伝送装置を運用して噴石の飛散状況、火山灰の降

灰状況、山頂における避難者の救出状況等の映像を、災害警備本部や警

察庁等に伝送し、災害警備の指揮に貢献した。

(2) 大分県中津市における土砂崩れ

平成30年4月に発生した大分県中津市における土砂崩れにおいて、大

分県情報通信部は現地に機動警察通信隊を出動させ、臨時の無線中継所

及び応急通信対策車により警察無線の不感地帯対策を実施するととも

に、ヘリコプターテレビシステムの映像のほか、モバイル伝送装置の運

用や固定カメラを臨時設置して、流木を伴う土砂災害によって倒壊した

家屋等被災現場の状況や捜索救助活動の状況等を、災害警備本部や警察

庁等に伝送し、災害警備の指揮に貢献した。

(3) 大阪府北部を震源とする地震

平成30年6月に発生した大阪府北部を震源とする地震において、大阪

府情報通信部は機動警察通信隊を出動させ、モバイル伝送装置により大

阪市内の被害状況の映像を伝送するとともに、応急通信対策車や可搬形

ヘリコプターテレビ自動追尾装置等を運用して、安定したヘリコプター

テレビシステムの映像を災害警備本部や警察庁等に伝送し、災害警備の

Page 16: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 13 -

指揮に貢献した。

(4) 平成30年7月豪雨

平成30年6月から同年7月にかけて発生した平成30年7月豪雨災害に

おいて、広島県情報通信部、岡山県情報通信部及び愛媛県情報通信部は

機動警察通信隊を出動させ、モバイル伝送装置のほか衛星通信車や可搬

形ヘリコプターテレビ自動追尾装置を運用して、河川の氾濫、土砂崩れ

等によって冠水・倒壊した家屋等被災現場の状況や捜索救助活動の状況

等を、災害警備本部や警察庁等に伝送し、災害警備の指揮に貢献した。

(5) 平成30年北海道胆振東部地震

平成30年9月に発生した平成30年北海道胆振東部地震において、北海

道警察情報通信部は機動警察通信隊を出動させ、現地指揮本部の設置の

ほか、モバイル伝送装置やヘリコプターテレビ自動追尾装置を運用して、

土砂崩れによって倒壊した家屋等被災現場の状況や捜索救助活動の状況

等を、災害警備本部や警察庁等に伝送し、災害警備の指揮に貢献した。

4 事案関係

陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故

平成30年2月に発生した佐賀県神崎市の民家に陸上自衛隊ヘリコプター

が墜落した事案において、九州管区警察局情報通信部及び佐賀県情報通信

部は機動警察通信隊を事案発生後直ちに出動させ、現場の状況を警察本部、

警察庁、首相官邸等に伝送し、現場状況の把握、指揮命令系統の円滑化等

に貢献した。

Page 17: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 14 -

第6章 国際機動警察通信隊の活動

国外において我が国の警察部隊が必要とする通信を確保するために、情報通

信局では、警察通信職員の中から国際機動警察通信隊の隊員をあらかじめ指定

し、訓練を行うことで、要請に応じて迅速に派遣できる体制を整備している。

同隊員は、現地と我が国の間及び現地部隊間の通信回線を設定するなどの通信

対策を任務としており、いつ、いかなる状況においても活動できるように、具

体的な事態を想定した国内訓練を定期的に実施するほか、より実戦的な経験を

積むため、平成30年2月、インドネシア共和国において、日本との通信対向訓

練等の国外訓練を実施した。

Page 18: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 15 -

第7章 警察情報通信研究センターにおける研究活動

警察情報通信研究センターは、各種の警察活動を技術面から支えるため、次

の3つの事項を基本的研究方針として、情報通信技術の警察業務における活用

及び適切な導入等を支援した。

○ 最新の情報通信技術の調査を行うとともに、調査した技術の警察業務へ

の適用に関して検証を実施

○ 研究要望所属と連携して所要の技術的事項の分析や試作開発を行うとと

もに、システム導入等に当たって技術面から提言を実施

○ 各種の犯罪や警察事象への対処に関して、情報通信技術を使った新たな

対応方策に関して検討を実施

1 基礎研究室

所内の庶務担当研究室として、同センター全体に係る企画及び庶務を担

うことに加え、平成30年は、画像鮮明化に関する研究を行った。

2 応用第一研究室

警察通信施設の高度化に向けた研究を担う研究室として、平成30年は、

小型無人機(ドローン)の検知に関する研究等を行った。

3 応用第二研究室

警察における情報管理に関する技術的研究を担う研究室として、平成30

年は、警察情報システムにおける情報セキュリティに関する研究音声認識

技術の活用方策に関する研究、犯罪情報の効果的活用に関する研究、クラ

ウド技術の警察情報システムへの導入に向けた調査研究等を行った。

4 研究成果の周知

平成30年2月に第128回研究発表会を開催し、全国の第一線警察職員に

対して研究成果の発表を行うとともに、研究に従事している職員と第一線

警察職員が直接意見交換できる「研究説明」を実施した。

また、同年10月には「研究説明会」を開催した。

Page 19: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 16 -

第8章 サイバーセキュリティ対策研究・研修センターにおける活動

サイバーセキュリティ対策研究・研修センターは、サイバー空間の脅威に対

する警察全体の総合的な対処能力の強化を図るため、民間の優れた知見を取り

入れつつ、サイバー犯罪等に悪用され得る最先端の情報通信技術について研究

を行うとともに、サイバー空間における警察全体の対処能力向上に必要な研修

を行う組織として、平成26年4月、警察大学校に設置された(平成28年4月に、

「サイバーセキュリティ研究・研修センター」から現在の名称に変更)。

当センターでは、犯罪の取締りのための情報技術の解析に関する研究を行う

「解析研究室」と、警察職員に対する高度な情報技術を利用する犯罪の取締り

に関する専門的な知識及び技術に関する学術の研修並びにこれに必要な調査研

究を行う「捜査研修室」の2室が相互に連携しながら、増大するサイバー空間

の脅威に対する警察全体の総合的な対処能力の向上に資する取組を行ってい

る。

1 解析研究室

(1) 研究内容

○ スマートフォン・携帯電話機、ナビゲーション機器等の各種電子機

器の解析手法の確立に向けた研究

○ 不正プログラムの解析手法、仮想通貨の観測等のサイバー犯罪技術

に関する研究

を行ったほか、自動運転システム搭載車の解析手法の確立に向けた調査

を開始するなど、情報技術解析業務の高度化・効率化に資する調査・研

究を行った。

(2) 研究成果の周知

研究で得られた成果については、第一線の現場で活用されるよう、警

察庁情報技術解析課を通じて全国の警察職員に対して技術展開を行っ

た。

また、警察情報通信研究センターと共同で、平成30年度中に研究発表

会(1月28日・29日)、研究説明会(10月19日)、警察庁向け研究セミ

ナー(6月29日)及び情報通信技術セミナー(北海道警察本部:10月30

Page 20: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 17 -

日、四国管区警察局:11月29日)を開催し、研究成果を全国の第一線警

察職員に対して周知するとともに、直接意見交換を行い、第一線警察か

らの意見を幅広く聴取した。

2 捜査研修室

サイバー捜査研修科の実施

サイバー犯罪対策やサイバー攻撃対策に従事する幹部職員及び捜査員を

はじめとする全部門の捜査員を対象に、解析研究室で得られた研究成果を

活用しつつ、より高度な技術的知見等を修得させるため、実践的な演習を

含む総合的な研修を以下のとおり実施した。

○ サイバー犯罪(応用)

各都道府県本部でサイバー犯罪対策の実務を担当する職員等(警部、

警部補又は巡査部長)を対象に、サイバー犯罪対策実務に必要となる

最新の情報通信技術、想定事案への対処法等を修得させるための講義

・訓練を実施(年2回)。

○ サイバー攻撃(応用)

各都道府県本部でサイバー攻撃対策の実務を担当する職員等(警部、

警部補又は巡査部長)を対象に、サイバー攻撃対策実務に必要となる

最新の情報通信技術、想定事案への対処法等を修得させるための講義

・訓練を実施(年2回)。

○ サイバー犯罪(上級検定取得者演習)

各都道府県警察本部でサイバー犯罪対策に関する高度かつ専門的な

知識を有し、サイバー犯罪への対処について、他の職員への助言等指

導的役割を担うことができる者(警部、警部補又は巡査部長)を対象

に、高度な演習等によりサイバー犯罪対策実務に必要となる高度な知

識等を修得させるための講義・訓練を実施(年2回)。

○ サイバー攻撃(上級検定取得者演習)

各都道府県警察本部でサイバー攻撃対策に関する高度かつ専門的な

知識を有し、サイバー攻撃への対処について、他の職員への助言等指

導的役割を担う事ができる者(警部、警部補又は巡査部長)を対象に、

Page 21: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 18 -

高度な演習等によりサイバー攻撃対策実務に必要となる高度な知識等

を修得させるための講義・訓練を実施(年1回)。

○ サイバー犯罪捜査指揮

各都道府県警察でサイバー犯罪捜査部門において捜査指揮を担当し

ている又は担当する予定の職員等(警視及び警部又は同等一般職)に

対し、サイバー犯罪の捜査、対策及び捜査指揮を適切に実施する上で

必要となる知識・技能を修得させるための講義・訓練を実施(年1

回)。

○ サイバー攻撃捜査指揮

各都道府県警察でサイバー攻撃捜査部門において捜査指揮を担当し

ている又は担当する予定の職員(警視及び警部又は同等一般職)に対

し、サイバー攻撃の捜査、対策及び捜査指揮を適切に実施する上で必

要となる知能・技能を修得させるための講義・訓練を実施(年1回)。

○ サイバーセキュリティ運営

各都道府県警察本部で企画業務に従事又は従事する予定の職員(警

視及び警部又は同等一般職)を対象に、警察庁が取り組んでいる施策

について理解させ、サイバーセキュリティに係る各種企画立案並びに

情報通信技術を悪用した犯罪・攻撃の捜査及び対策で必要となる知識

等を修得させるための講義・訓練を実施(年1回)。

Page 22: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 19 -

第9章 警察通信職員の教育訓練

1 附属警察情報通信学校の教育訓練内容

(1) 特別教養部

ア 国家公務員総合職採用の警察通信技官に対する初任教養

イ 国家公務員一般職採用の警察通信事務官に対する初任教養

ウ 昇任試験に合格した警察通信職員に対する教養

エ 課長補佐・管理官の業務能力向上、経理・資材業務に関する専科教養

(2) 情報管理教養部

情報システムの開発、管理、セキュリティ等に関する専科教養

(3) 通信技術教養部

ア 国家公務員一般職採用等の警察通信技官に対する初任教養

イ 警察通信システムの整備・維持管理に関する専科教養

(4) 応用技術教養部

機動警察通信隊活動、通信施設整備等に関する専科教養

(5) 情報技術解析教養部

情報技術解析・サイバー攻撃対策技術に関する専科教養

2 採用時教養・長期特別研究制度

(1) 採用時教養

警察情報通信部門では、新任職員に対し、警察職員としての資質を育

成するとともに、警察通信技官には、発展著しい情報技術の動向に柔軟

な対応ができるよう必要な基本的知識及び技術を修得させ、警察通信事

務官には、警察通信事務に必要な基本的知識及び技能を修得させること

を目的に、採用時教養を行っている。平成30年は、附属警察情報通信学

校において採用時教養として実施する課程に、それぞれ、技官99名、事

務官30名の新任職員が入校した。

(2) 長期特別研究制度

若手の警察通信技官に対し、情報通信に関する研究を通じ、不断の探

求心等を身に着けさせ、当該職員の育成と資質向上を図るとともに、年

功序列にとらわれず高度な研究実務に従事する機会を確保することで、

Page 23: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 20 -

部内外における警察情報通信部門の魅力の向上に貢献することを目的

に、運用している制度である。本制度は、平成10年度から運用されてお

り、当初は「研修」として情報管理課や情報通信研究センター等勤務を

とおしての研修を実施し、研修期間を、原則として2年間として運用し

ていたものである。平成22年度の改正で、「研究」と改め、情報通信研

究センターにおける研究への従事のみを対象とし、平成27年度からは、

サイバーセキュリティ研究・研修センターにおける研究従事も対象とし

ている。平成29年7月の改正では、2年間の研究期間満了後の措置のほ

か、研究生の管区等における職員採用活動への協力体制について新たに

規定し、警察情報通信部門の魅力を広く広報する体制を構築している。

平成30年度は情報通信研究センターへ2名、サイバーセキュリティ対策

研究・研修センターに2名の研究生を配置した。

Page 24: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 21 -

第10章 警察情報通信の予算

1 平成29年度予算

平成29年度警察庁予算案における情報通信予算に係る施策の主な内容と

しては、電子計算機運営において、行政情報管理システムの更新経費とし

て、各種プログラム開発及びデータ送受信端末装置更新経費4億円のほか、

不当要求情報管理機関支援システムの更新経費として、システム構築及び

プログラム開発・保守経費1億円などが計上された。

通信施設課関連経費については、警察移動無線通信システムの統合・更

新等経費として、四国管区警察局の先行整備分並びに東京都、埼玉県、千

葉県、神奈川県及び静岡県の機器製造経費128億円、釧路方面、福島県、

岐阜県及び長崎県の通信指令施設の更新整備等経費18億円、警察本部・警

察署等の新設・移転対策として、福島県警察本部及び長崎県警察本部の庁

舎移転等経費17億円、四国管区警察局の移転経費として2億円、香川県の

ヘリコプターテレビシステムの移設経費として2億円などが計上された。

平成29年11月には、補正予算を編成することとされ、情報通信予算につ

いては、「防災・減災対策」を推進するため、高度警察情報通信基盤の整

備経費として、警察無線の不感地帯の解消や機動的な映像撮影・送受信の

実現等を可能とする新たな基盤を構築するための経費129億円、警察移動

無線通信システムの更新・統合経費として、岐阜県、愛知県、三重県及び

近畿管区警察局内各府県の機器製造経費55億円、警察基幹通信網の整備経

費として、全国1級線から3級線のネットワーク機器の更新経費40億円、

無線機端末の整備経費として、災害発生時に不足する警察移動無線通信シ

ステムの端末整備経費27億円、国土強靱化のための警察情報通信基盤の整

備経費として、函館方面、釧路方面及び岐阜県の耐震強度不足の無線中継

所の建替経費6億円などが計上された。

平成29年度補正予算(第1号)は、平成29年12月22日に政府案が閣議決

定され、平成30年2月1日に成立した。

2 平成30年度予算

平成30年度警察庁予算案における情報通信予算に係る施策の主な内容と

Page 25: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

- 22 -

しては、電子計算機運営において、警察総合捜査情報システムの更新経費

として、各種プログラム開発経費9億円が認められたほか、組織犯罪情報

管理システム及び特定金融情報データベースシステムの更新経費として、

システム構築及び機器設置工事並びにシステム運用経費4億円などが計上

された。

通信施設課関連経費については、警察移動無線通信システムの更新・統

合経費として、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県及び静岡県における機

器設置工事経費27億円、岩手県の通信指令施設の更新整備等経費15億円、

警察本部・警察署等の新設・移転対策として、福島県警察本部及び長崎県

警察本部の庁舎移転に係る旧庁舎撤去工事等経費7億円などが計上され

た。

平成30年11月には、補正予算(第2号)を編成することとされ、情報通

信予算については、「防災・減災、国土強靱化」を推進するため、無線中

継所等電源設備の更新経費として、全国の無線中継所等の老朽化した発動

発電機及び直流電源装置の更新経費36億円、大規模災害対策用通信資機材

の整備経費として、災害時の映像伝送等に必要な資機材の更新等経費15億

円、警察移動無線通信システムの更新経費として、岐阜県、愛知県、三重

県及び近畿管区警察局内各府県の機器設置工事並びに近畿管区警察局、中

国管区警察局(現中国四国管区警察局)、九州管区警察局、関東地方一部、

北陸地方及び附属警察情報通信学校の機器製造経費206億円、電源喪失時

における電源の安定確保経費として、全国の老朽化した電子交換機の電源

部及び基幹IPシステムの無停電電源装置の更新経費24億円、無線機端末

等の整備経費として、災害発生時に必要な隊内系携帯無線機の老朽化更新

及び各種無線機の運用に必要な消耗品の購入経費11億円などが計上され

た。

平成30年度補正予算(第2号)は、平成30年12月21日に政府案が閣議決

定された。

Page 26: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお
Page 27: 第7章 警察情報通信研究センターにおける ... · 1 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備 機動警察通信隊の隊員が容易に立ち入ることができない災害現場等にお

平成30年(2018)

1 4 銀行の融資取引からの暴力団排除支援に応じるための照会システム更新

1 15 無人航空機型映像撮影伝送システムの整備

1 23 草津白根山(本白根山)噴火(群馬、長野)1.26 大手仮想通貨取引所において580  億円相当の仮想通貨が不正送金され たことを公表

2 5 佐賀県神埼市における陸上自衛隊ヘリコプター墜落事故(佐賀)

2 5 デジタル・フォレンジック連絡会(第13回)の開催2.20 2019年のG20首脳会合の開催都市  が大阪に決定

3 12 テレワークシステム試行運用開始

3 29 IPRシステム運用開始(徳島、香川、愛媛、高知)

3 30 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会警備情報通信対策検討委員会設置要綱の一部改正

3.31 全PHS事業者でPHSの新規契約受付  が終了

4 2G20大阪サミット等警備情報通信対策検討委員会設置要綱の制定

4 11 大分県中津市における土砂崩れ(大分)

5 8 第7回日中韓サミット等に伴う警護警備(東京、北海道)(~5/11)

6 9 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)「第69回全国植樹祭」御臨場等に伴う警衛警備(福島) (~6/11)

6 13 無人航空機型映像撮影伝送システム運用要領の制定

6 18 大阪府北部を震源とする地震(大阪)

6 28 平成30年7月豪雨(広島、岡山、愛媛等)(~7/8)

6 29 警察庁デジタル・ガバメント中長期計画の決定 6.29 働き方改革関連法が成立

7.18 EU競争法(独占禁止法)違反であ  るとして米大手IT企業に制裁金を科  したとEUが発表

7 27 政府における「サイバーセキュリティ戦略」の改定

9 6 平成30年北海道胆振東部地震(北海道)

9 6 「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」の改定

9 6 「サイバーセキュリティ重点施策」の改定

9 28 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)「第73回国民体育大会」御臨場等に伴う警衛警備(福井) (~9/29)

10 12 「平成31年における警察情報通信部門の業務運営の基本指針」を策定

10 12 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典警備情報通信対策検討委員会の設置

10 27 天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)「第38回全国豊かな海づくり大会」御臨席等に伴う警衛警備(高知) (~10/29)

11.25 2025年国際博覧会(万博)の   開催地が大阪に決定

12 4 第19回アジア大洋州地域サイバー犯罪捜査技術会議の開催(~12.6)

12.6 大手通信事業者の携帯電話が約4  時間半にわたり全国的な通信障害

略  史 主な社会事象

- 23 -