canpan - 血液の流れと血圧の基礎知識 を学ぼう!1...
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身体全体をめぐる血管網人体は約60兆もの細胞で構成
神経細胞
身体全体をめぐる血管網
総延長距離10万kmの旅路~地球の約2週半~
血液は栄養と酸素を全身の細胞に供給
細胞からは老廃物と二酸化炭素を血液へ
約60兆の細胞へ
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血管を観てみよう
大動脈の血管壁 細動脈の平滑筋
毛細血管 毛細血管
自律神経
血液の循環経路
全身の血液量は?
*体重の1/13(約7.7%)
血液ℓ = 体重kg × 0.077
例:体重60kgの人
60×0.077 = 4.62ℓ
1分間、左心室からでる血液量は?
* 約 3.5ℓ~5.0ℓ
安静時心拍数 60~80回位
左心室からでる1回の血液量 = 約60cc
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心臓の動きと血圧を支配するもの
自律神経系 ~2つの神経~
交感神経 ~アクセルの役割~
心臓 ⇒ 心筋の収縮力強 ⇒ 心拍数増加
ノルアドレナリンの作用により
細動脈 ⇒ 血管収縮 ⇒血圧の増加
副交感神経 ~ブレーキの役割~
心臓 ⇒ 心筋の収縮力弱 ⇒ 心拍数減少
アセチルコリンの作用により
細動脈 ⇒ 血管拡張 ⇒血圧の減少
ホルモン ~極微量ではたらく生理的活性物質~
昇圧にはたらく主なホルモン
①アドレナリン
②レニン ~ (腎臓への血流量が減少をャッチ)
③バリプレッシン(抗利尿ホルモン)
④鉱質コルチコイド(ステロイドホルモンの一種)
⑤糖質コルチコイド
⑥甲状腺ホルモン
副腎髄質から分泌 心臓の収縮力と細動脈の収縮
腎臓から分泌 副腎と交感神経を刺激
脳下垂体から分泌 利尿作用を妨げ、血管を収縮
副腎皮質から分泌 腎臓でNa、水の再吸収とKの放出
副腎皮質から分泌 レニンの分泌を促進
甲状腺から分泌 交感神経を活性亢進
降圧にはたらく主なホルモン腎臓でナトリウム放出を利尿促進、血管を拡張
①心房性Na利尿ペプチド ~心臓から分泌
②キニン ~肝臓から分泌
③プロスタグランジン ~腎臓から分泌
心臓の動きと血圧を支配するもの
自律神経とホルモンをあやつる司令塔は?
脳 は 大脳・間脳・中脳・小脳・橋(後脳)・延髄(脳髄) からなる
視 床 下 部 ~ 生 命 維 持 機 能 に 関 る 中 枢 ~
視床下部は間脳にあり、小さなブドウの粒の大きさ重さは脳の総重量の0.3%
自律神経機能 ・内分泌(ホルモン)機能の制御
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全身の血液量体重の1/13(7.7%)
1回に出る血液量60cc
1分間の血液量 =
60cc×心拍数
大 動 脈
動 脈
細 動 脈
毛細血管
動 脈
1秒間に
63cm
20~50cm
5cm
0.05~0.1cm
35mmHg
15mmHg
血 圧
130~85mmHg
血圧計はここの血圧を測定
血圧を支配
脳からの指令自律神経ホルモン
各細胞腎 臓
1.5~2.7cm
5~9mm5mm
静脈
2cm
1秒間に11~16cm
0.2~0.5mm
0.1~
0.007mm
物質を交換する
① 酸素と二酸化炭素の交換
② 酵素・ホルモン
③ 栄養素とミネラルの供給
④ 老廃物の排出
1日180 ℓ の血液が流れて 体に不要な物質を 選別して1800ccの尿に
厚さ2mm
厚さ0.03mm
厚さ0.0015mm
血圧とは?血液が血管を流れるときに血管の壁に与える圧力
血流量 増加 ⇒ 圧力 増加
血圧の単位は?
mm Hg 化学記号「水銀」
水銀を何mm押し上げるかという形で表そうという圧力の単位
最高血圧とは?
心臓が収縮して血液を送るとき、血管に加わる最大の圧力
最低血圧とは?
心臓が拡張した時、血管が元の太さに戻りながらかかる最小の圧力
血圧 = 心拍出量 × 血管抵抗(弾力性)= 心拍数 × 1回拍出量 × 血管抵抗 (弾力性)
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平均血圧と脈圧の考え方
平均血圧 = (最高血圧-最低血圧)÷3+最低血圧
最高血圧 ⇒ 血圧の最高点
最低血圧 ⇒ 血圧の最低点
平均血圧 ⇒ 常に、動脈にかかっている圧力の平均的な値
最高血圧と最低血圧の2つの指標を1つにまとめた値
計算式
上腕の血圧の波形
2つの血圧の差 ⇒ 脈圧
平均血圧と脈圧で何がわかるの?
血管壁が硬くなっているか
動脈硬化が進んでいるかを見ようとしたもの
*50歳代以上で下の最低血圧が低下してきたときは要注意!
平均血圧 ⇒ 心臓より遠い血管(細動脈や毛細血管)の指標
脈圧 ⇒ 心臓より近い大動脈や動脈の指標
基準値
60.1~70
中度
70.1以上50.1~6045.1~5040.1~4540脈圧
重度軽度正常高値正常至適分類
110.1以上100.1~11090.1~10090以下平均血圧
重度中度軽度正常分類
左右の血圧の差で何がわかるの?
左右の血圧差、10mmHg以下 ⇒ 問題なし
左右の血圧差、20mmHg以上 ⇒ 大動脈に動脈硬化による狭窄や動脈瘤などの
異常がある可能性あり
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動 脈
高血圧
正常血圧
水銀圧
130mmHg
水銀
細 動 脈
(
水
圧
)
180mmHg
水銀
35mmHg
水銀
95mmHg落 差
(1m28cm )
水銀圧を水圧の高さに変えてみよう
変換するためのヒント ⇒ 水銀 ⇒ 13.5458(20℃) ≒ 13.55
水 ⇒ 0.99823(20℃) ≒1
1m76cm
水
2m44cm
水
47.4cm
水
145mmHg落 差
( 1m96cm )
毛細血管
15mmHg
水銀
20.3cm
水
各細胞でいろいろの物質が出入りできる血流速度にするため毛細血管の圧は誰でも一定
全血比重 (正常値)
男性 1.052 ~ 1.060女性 1.049 ~ 1.056
細動脈への圧が高い血管がふくらんだり、キズついたりして、動脈瘤がでたり、血栓ができやすい。
脳の細動脈は特に弱い!
比重
高血圧症をもたらす危険因子と合併症
高血圧症
主 な 合 併 症危 険 因 子
① 脳血管障害
② 心臓障害
③ 腎臓障害
④ 血管障害
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)血管性痴呆症など
虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、心肥大心不全など
腎動脈閉塞、蛋白尿、慢性腎臓病(CKD)、腎不全など
動脈瘤、解離性大動脈瘤、閉塞性動脈硬化など
塩分の過剰摂取
肥満・ストレス
タバコ・アルコール
運動不足など
①本態性高血圧
②二次性高血圧
腎臓病、内分泌性高血圧など他の病気が原因によるもの
a遺伝的等によるもの
b環境影響によるもの
c生活習慣によるもの
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血圧の日内変動リズム自律神経が大きく関与
朝から日中まで
交感神経が優位
血圧が高くなる
夜から睡眠中まで
副交感神経が優位
血圧が低くなる
活動状態
休息状態
a . 遺伝的などによるもの
両親とも高血圧の場合 ⇒ 1/2 (50%)
高血圧になる体質を子供が持つ確率高血圧になる体質を子供が持つ確率
親のどちらかが高血圧の場合 ⇒ 1/3 (33%)
両親のどちらも高血圧でない場合 ⇒ 1/20 ( 5%)
遺伝とのかかわりを知り、生活習慣の予防に気を配ろう!
< 血 圧 と 遺 伝 >
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< 血 圧 と 年 齢 >
②動脈硬化が進んでいる
血管抵抗の増加(弾力性の低下)
①老化による血管壁の硬化
年齢の増加 ⇒ 最高血圧の増加・最低血圧の60歳からの低下
平均血圧・脈圧の増加
b . 環境影響によるもの< 血 圧 と 季 節 変 動 >
環境温度と収縮期血圧(最高血圧)の24時間変動
高温である夏
⇒ 血圧は低下
寒冷温である冬
⇒ 血圧は上昇
約10mmHg差
夏と冬の差
体温を下げる為⇒ 末梢血管が拡張
体温を上げる為⇒ 末梢血管が収縮
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< 血 圧 と 気 圧 >
●高気圧がきているとき
大気圧の影響 ⇒ 聴覚を介して 交感神経が敏感に刺激
血管や他の臓器が圧縮心拍数はやや増加、血圧もやや上昇
●低気圧がきているとき
大気圧の影響 ⇒ 聴覚を介して 副交感神経が優位に
血管や他の臓器が膨張心拍数はやや低下、血圧もやや低下
< 血 圧 と 気 圧 >
●高齢者や一部の気圧変動に敏感な人、心機能、循環機能の低下した人など
気圧 ⇒ 1016hpaが一番安定している。
気圧 ⇒ 10hpa下がると循環器系に影響を及ぼすことがある。
高齢者や心筋梗塞後の人は特に気を付けるように!
又、気温が10℃以下のときは要注意!
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c . 生活習慣によるもの
< 血 圧 と 塩 分 >
注目される塩分の何が血圧に悪いのか?
塩を化学式で表すと
塩化ナトリウム ( Na Cl )
塩素ナトリウム
< 血 圧 と 塩 分 >
ナトリウムの役割
①大部分が細胞外液と骨に存在
②カリウムと手を組んで細胞内外の物質の交換や水の調整おこなう
③細胞内外の浸透圧(濃度)の調整し維持する
④ pHの調整
⑤神経や筋肉の伝達物質など
ナトリウムポンプ ~調整機能~
細胞で作り出されたエネルギーで
カリウム ⇒ 取り込み
ナトリウム ⇒ 排出
濃度と一定に保ち、機能を維持する
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< 血 圧 と 塩 分 >
ナトリウムの過剰摂取
ナトリウムポンプの機能低下
細胞内のナトリウム濃度上昇
細胞の機能維持ため、水が細胞内へ
細胞の膨張
血管の細胞に起これば
血管が膨張し、空洞が狭まる
血液中のナトリウム上昇
のどが渇く
水分を補給する
血管に水分が入り込む
脳へ刺激伝わる
血管内の圧が上昇
血圧の上昇
腎臓への負荷
ナトリウム1日排出量の限界
約9.9g(塩分換算25g)
高 血 圧 へ
必要摂取量と目標値
< 血 圧 と 塩 分 >
ナトリウムの1日推定平均必要量 (18歳以上)
600mg(0.6g)
● 身近な食塩ではどれくらいの量?
食塩相当量 = ナトリウム量(g) × 2.54
食塩 1.5g = 0.6g × 2.54
目標値 食塩 6g/日以下
高血圧の方が 1g減塩すると
最大血圧 約1.2mmHg
最小血圧 約0.6mmHg
血圧 低下
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< 血 圧 と 肥 満 (体重)>
肥満になるとどうなるの?
体重が増えた分
細胞に栄養と酸素が必要
毛細血管が多くなり、
心臓からの距離が長くなる
血流量の増加
血液を送り出す心臓の負担増
血圧上昇
インスリンの増加
ブドウ糖を細胞内に取り込むエネルギーに
余分なエネルギーは脂肪に
余分なブドウ糖を
中性脂肪に
肝 臓
血液中の
中性脂肪増加
肥 満
腎 臓
食 事
皮下・内臓組織に脂肪として貯蓄
血液がドロドロに
心臓の肥大化
ナトリウム
排出抑制
血液中の
水分量増加
交感神経刺激
心拍数増加
細動脈収縮
< 血 圧 と 肥 満 (体重)>
目標値 標準体重に!
体重 1kg 減少で 最高血圧 1.6mmHg 減少
急激なダイエットではなく、無理のない方法で
肥満は高血圧だけでなく、心疾患、脳血管障害などの循環器系疾患、
糖尿病などさまざまな病気を誘発する恐れがあります
*成人と子供とでは標準体重の出し方が違うので注意
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< 血 圧 と 運 動 >
運動をすることで何が血圧低下を作用させるのでしょうか?
① 心臓から ⇒ HANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド) というホルモンが分泌
● H A N P ホ ル モ ン の 作 用
1.腎臓から ナトリウムの排泄促進
2.血管の拡張血圧 低下
軽い運動でも分泌される
③ 血圧を上げる下記のホルモンの分泌抑制
カテコールアミン、バソプレシン、アルドステロン、レニン など
④ 長期間の運動の継続によるカロリー消費による体重減少(内臓脂肪の燃焼)
② 血圧を下げるプロスタグランジンやタウリンが増える
< 血 圧 と 運 動 >
● 下記の方は主治医と相談の上、運動を!
腎臓病、心臓病、高血圧、糖尿病など治療を受けている人
● どのような運動がよいのでしょうか?
有酸素運動 ~呼吸をしながら運動~
例えばウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど
20分から30分以上連続する運動がよく少し、汗ばむ程度がよい
● 運動習慣による血圧の低下の程度は?
長期間で少なくともほぼ毎日、30分程度の早歩きの歩行により
最高血圧 7~10mmHgの低下
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< 血 圧 と 喫 煙 > 正常血圧者における喫煙の血圧、心拍数への急性効果
< 血 圧 と 喫 煙 >
● タバコが血圧を上げる原因は何でしょうか?
① 一酸化酸素による酸欠不足
赤血球の増加・心拍数・血流量の増加 ⇒ 血圧上昇⇒ 血栓を起こしやすい。
② 酸化物質(酸化LDL-choなど)による血管内壁の損傷
血小板によってふさがりやすくなる。 ⇒ 血栓や動脈硬化⇒ 血圧上昇
③ ニコチンによる交換神経を刺激
心拍数増加、細動脈の収縮 ⇒ 血圧上昇
● 1本吸う ⇒ 約20mmHg 血圧上昇
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< 血 圧 と お 酒 >
人種・性別からみたアルコール摂取量と血圧との関係
単位 アルコール摂取量 1 = 15ml
30ml以下
⇒ 血圧低下
30ml以上
⇒ 血圧上昇
1日摂取量
< 血 圧 と お 酒 >
高血圧の人が酒を飲んでいるときと、酒を控えたときの24時間血圧
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< 血 圧 と お 酒 >
● 節酒目標と血圧の低下の程度は?
男性 ⇒ 1日 30ml以下 女性 ⇒ 1日 15ml以下のアルコール制限
血圧 約5mmHgの低下
● お酒の何が血圧を左右させるの?
血液中のエタノール(アルコール)
アセトアルデヒド(毒物)
水 と 二酸化酸素
肝臓で分解
交感神経を刺激
大量すぎると血液中へ
血管を拡張し、血圧低下
頭痛・吐き気・二日酔いなど
心拍数上昇・血管収縮
動脈硬化の抑制・HDLコレステロールの増加
< 血 圧 と ス ト レ ス >
物理的な要因 生物学的な要因 社会的な要因
(寒さ、暑さ、騒音
など環境要因)
(過労や睡眠など
生活習慣要因)
(職場・家庭等での
不安や緊張など要因)
精神的・身体的ストレス
急性 慢性
一時的に、交感神経が活発になりドキドキ心臓が早くなったりする
交感神経や副腎皮質などからのホルモンのはたらきにより持続的に活性化
血圧の上昇
ゆとりのある規則正しい生活習慣趣味をもつことや日常生活を工夫
気持ちの切り換え方を習得すること
ストレスを上手に解消!
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血圧を測定してみよう!
血 圧 測 定
医療環境下血圧(診察室血圧測定)
非医療環境下血圧 自由行動下血圧測定(24時間血圧測定)
家庭血圧測定
血 圧 測 定 機 器 の 種 類
水 銀 血 圧 計 アネロイド血圧計 電 子 血 圧 計
*上腕式タイプは精度が高い
家庭血圧の測定方法
測定条件 ~環境、社会的などの影響が少ない朝の測定が望ましい
朝 起床1時間以内
排尿後 、朝の服薬前、朝食前
共通 静かで適当な室温環境
晩 就寝前
背もたれつきのイスに足を組まずに座って数分安静後
測定前の喫煙、飲酒、カフェインを摂らないこと
入浴(シャワー含む)前であること