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日本繊維産業連盟新春講演会 令和2年1月17日 経済産業省 生活製品課 繊維産業の現状と経済産業省の取組

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日本繊維産業連盟新春講演会

令和2年1月17日

経済産業省

生活製品課

繊維産業の現状と経済産業省の取組

目 次

– 繊維産業の概況 ・・・ 2

– Connected Industries ・・・ 8

– 通商関係 ・・・ 14

– 最近の取組 ・・・ 29

– サステイナビリティ ・・・ 36

– 海外市場への展開 ・・・ 45

– 地域未来牽引企業 ・・・ 54

– 事業承継 ・・・ 63

– 下請取引の適正化 ・・・ 67

– 外国人技能実習 ・・・ 78

(参考資料)

繊維産業の概況

2

日本における繊維産業の位置づけ

繊維産業は全製造業のうち5.7%の事業所数、2.8%の従業員数を占める産業。

【全製造業に占める繊維産業の位置づけ】

事業所数 1.1万(2017年) 従業者数 21.4万人(2017年) 出荷額 3.2兆円(2017年)

出典:経済産業省「工業統計」

5.7% 2.8% 1.0%

製糸業・紡

績業・撚糸

業, 4.6%

織物業,

10.3%

ニット生地

製造業,

2.5%

染色整理

業, 8.5%

外衣・シャ

ツ、下着、

その他の繊

維製品製

造業等,

73.4%

化学繊維

製造業,

0.6%

炭素繊維

製造業,

0.2%

製糸業・紡

績業・撚糸

業, 4.4%

織物業,

8.8%

ニット生地

製造業,

3.7%

染色整理

業, 1.8%外衣・シャ

ツ、下着、

その他の繊

維製品製

造業等,

76.0%

化学繊維

製造業,

3.6%

炭素繊維

製造業,

1.7%

製糸業・紡

績業・撚糸

4.3%

織物業

10.0%

ニット生地

製造業

2.9%

染色整理

10.4%外衣・シャ

ツ、下着、

その他の繊

維製品製

造業等

58.3%

化学繊維

製造業

9.8%

炭素繊維

製造業

4.3%

3

国内繊維産業の概況①

国内生産の減少により、国内の繊維事業所数、製造品出荷額とも、1991年比で約1/4 に減少。出荷額については、足下横ばいで推移。

国内アパレル市場における輸入浸透率は増加し続けており、2018年には97.7%まで増加。

出典:経済産業省「工業統計」 出典:経済産業省「生産動態統計」/総務省「経済センサス」、財務省「貿易統計」日本繊維輸入組合「日本のアパレル 市場と輸入品概況」

51.8

62.1

70.1 70.6

79.8

87.791.2

93.3 94.3 95.4 96.4 96.8 97.2 97.6

97.7

36.1 38.7

51.7 56.6

63.1 67.9 67.5

70.5

76.1 77.7

76.0

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

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91

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99

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15

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16

20

17

20

18

輸入浸透率(数量(点数)ベース)

輸入浸透率(金額ベース)

国内アパレル市場における衣類の輸入浸透率(%)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

19

91

19

93

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95

19

97

19

99

20

01

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05

20

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11

20

13

20

15

20

17

国内繊維業の事業所数及び製造品出荷額

事業所数

出荷額

(兆円)

(事業所数)

4

14.7

10.1 10.4

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

0

5

10

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20

25

30

35

40

45

1990

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16

17

国内アパレル供給量・市場規模の推移

国内供給量(左軸)

国内市場(右軸)

(億点) (兆円)

97.1

59.7

72.3

65.8

100.0

85.1 69.0

53.5 56.9

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

1988

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10

11

12

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15

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17

衣料品購入単価・輸入単価の推移

輸入単価指数

購入単価指数

国内繊維産業の概況②

国内のアパレル市場規模は、バブル期の約15兆円から10兆円程度に減少する一方、供給量は20億点から40億点程度へと、ほぼ倍増している。

衣料品の購入単価および輸入単価は、1991年を基準に6割前後の水準に下落。

出典:購入単価=総務省「家計調査」,輸入単価=財務省「貿易統計」よりそれぞれ算出※1991年を「100」とする

出典:(国内供給量)経済産業省「生産動態統計」、財務省「貿易統計」(国内市場)矢野経済研究所「繊維白書」※呉服・和装品等を含む

5

国内繊維産業の概況③

出典: Global Trade Atlas

長年の厳しい国際競争の中で、生き残った素材メーカー等は相応に強いものづくりの地力を有し、生地輸出額は世界的に見ても高い水準にある。

生地は競争力があるが、衣料品の輸出は先進国のなかでも極めて少ない。

出典: Global Trade Atlas

69

63

50 45

40 37

32 28

23 17

15 14 13 12 11 9 7

624

0

20

40

60

80

500

600

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gal

各国生地輸出額(2018年)(百億円)

主要国における繊維・繊維製品輸出内訳(2018年)

日本フラン

スドイツ

イタリ

イギリ

ス中国 韓国 タイ

アメリ

その他の二次製品 3,046 3,628 11,173 5,194 2,495 58,975 3,105 1,731 9,084

製品(衣料品) 556 14,068 26,320 27,499 10,888 166,560 2,143 2,823 6,078

生地 3,163 1,728 3,659 6,882 1,366 62,392 6,279 1,497 2,797

糸 1,226 425 1,548 2,471 398 14,504 1,566 944 3,500

原料 1,047 855 1,079 638 963 4,729 2,127 1,131 9,410

炭素繊維 864 559 1,178 90 506 61 219 6 1,391

計 9,902 21,263 44,957 42,772 16,615 307,220 15,438 8,133 32,259

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

(億円)

6

衣類・服飾雑貨等のEC市場は2018年に1.77兆円(前年比7.7%増)、EC化率は約13%。

今後もEC市場規模の拡大が見込まれる。

アパレル業界におけるEコマースの拡大

1.161.28

1.38

1.531.65

1.77

7.47%8.11%

9.04%

10.93%11.54%

12.96%

0%

2%

4%

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8%

10%

12%

14%

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5(兆円)

衣類・服飾雑貨等のEC市場規模及びEC化率

市場規模(左軸) EC化率(右軸)

出典:経済産業省,電子商取引に関する市場調査

物販系分野のBtoC-EC市場規模

フリマアプリの市場規模(「衣類・服飾雑貨等」を含む全商品)

7

Connected Industries

Connected Industries 重点5分野

Connected Industriesについて、市場成長性、我が国産業が有する強み、社会的意義の大きさ等から、5つの重点取組分野を定め、取組の加速化と政策資源の集中投入を図っている。

自動走行・モビリティサービス

データ協調の在り方を早急に整理

AI開発・人材育成の強化

物流等も含むモビリティサービスやEV化の将来像を見据えた取組 ※1-3.参照

バイオ・素材

協調領域におけるデータ連携の実現

実用化に向けたAI技術プラットフォームの構築

社会的受容性の確保

ものづくり・ロボティクス

データ形式等の国際標準化

サイバーセキュリティ・人材育成等の協調領域での企業間連携の強化

中小企業向けのIoTツール等の基盤整備

プラント・インフラ保安

IoTを活用した自主保安技術の向上

企業間のデータ協調に向けたガイドライン等の整備

さらなる規制制度改革の推進

スマートライフ

ニーズの掘り起こし、サービスの具体化

企業間アライアンスによるデータ連携

パーソナルデータの利活用に係るルール整備

9

ミツフジ(株)(京都府)は、繊維に銀メッキをした導電性繊維を電極として使用した着衣型ウェアラブルデバイスを開発。着用するだけで心拍・心電、呼吸数、加速度(体の傾き、動き)等の生体情報を測定可能。

2018年9月、福島県川俣町に自社工場を竣工※1し、導電性繊維とウェアの量産体制を整備。

日仏繊維協力の枠組みの下、仏子供服ブランドと共に生体情報の取得が可能な乳幼児向け着衣型ウェアラブルデバイスの開発事業を実施※2。

【取組例・連携先】

• プロスポーツ選手のコンディション管理サービスの開発

(ボクシング村田諒太選手、横浜ビー・コルセアーズ等)

• 介護施設の入居者見守りサービスの開発(社会福祉法人成仁会)

• 「てんかん発作を予測するシャツ」の開発(仏ベンチャー企業)

• 子供向けウェアラブルを用いた園児見守りサービスの開発(キムラタン)

• 高齢者や子供を含む地域住民見守りサービス実証(福島県川俣町※3)

• 従業員の体調見守りサービスの開発(前田建設工業、IBM)

※1 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用。 ※2 29年度補正ものづくりサプライチェーン再構築支援事業を活用。 ※3平成30年度地域復興実用化開発等促進事業費補助金を活用

導電性繊維からウェア、トランスミッター、システムまで自社ワンストップで開発。

スポーツ選手の体調管理や介護・保育施設の見守りサービス等、幅広い分野において社会課題やニーズに応じた製品およびサービスの開発・提供を進める。

福島工場

乳幼児向けウェアラブルデバイス

hamon

Connected Industriesの取組:スマートテキスタイル市場の創出 10

セーレンHPより作成

セーレン(株)(福井県)は、繊維加工技術にITを融合したデジタルプロダクションシステム「Viscotecs」を開発。同社の店舗では、等身大のモニターとタブレット端末を用いて、モニター上でバーチャルに試着しながら洋服のシルエット(型)、柄、色を個人の好みに合わせ、47万通りに及ぶ組み合わせの中から自分に合った一枚を発注することができる仕組みを構築。

さらに、店舗のタブレット端末から生産工場に直結したシステムにより、すぐに発注、3週間ほどで自宅へ届く仕組みを構築。店舗は在庫を持つ必要がなく、顧客は「欲しいものを・欲しいときに・欲しいだけ」注文できる、マスカスタマイズ生産を実現する。

カメラで撮影した画像を等身大モニターに投影

実店舗で試着し、好みのサイズやシルエットを選択

タブレット端末から柄や色を選択するとバーチャル試着ができる(タブレットとモニターに映る服と連動)

自分の好みの「型」「サイズ」「柄」「色」を選択して発注可能

個別柄を必要な量だけ生産、多品種小ロットを個別に製造

マスカスタマイズ生産

Connected Industriesの取組:マスカスタマイゼーション 11

Connected Industriesの取組:AIを活用したアパレル分野の需要予測

ニューラルポケット株式会社は、最先端の画像認識AIを活用し、ファッションに関する2,000万枚超の膨大な画像データ(コレクションやSNS投稿写真等)から、着用している衣服の色・柄・アイテム種別・シルエット・素材感・着丈等を解析することで、ファッションやコーディネートのトレンド情報を定量化・可視化した需要予測サービスを提供。

色・模様・アイテム等のトレンドを把握・予測するサービス「AI MD」をアパレル企業に提供し、アパレル企業は需要予測・商品企画に活用。

(出典)企業HP(http://www.neuralpocket.com/index.html)およびヒアリング情報より作成

現在のトレンド状況の把握から、具体的な色等のトレンド動態を解析し、需要予測につなげる

⇒アパレル業界における売れ残りの削減・プロパー消化率の向上を図ることで、余剰在庫・廃棄量の削減、ESG経営の浸透等が期待される。

写真や映像から消費者の服装(色・アイテム等)・属性(性別・年齢層等)を特定、分析

AI MDシステム画面 今後の需要予測(例)

衣服の「色」別の構成割合・トレンド指数を解析

12

シタテルは700を超える縫製工場/関連サプライヤーと連携し、得意な素材、商品、繁閑状況などを把握。地方の縫製工場と都市部のデザイナーやブランドなどをマッチングし、少量・短納期での生産を実現。

また、2018年4月、ファッションブランドの受注から生産・管理までをワンストップで行えるECシステム「SPEC」を提供開始。

アパレル製品の受発注・生産管理コストを削減し、一元的なデータ連携プラットフォームを構築することで、多品種/小ロット/短納期時代に適合したクラウド型生産による衣服生産のシームレス化を目指す。

2019年7月、クールジャパン機構が最大10億円の出資を決定。衣服生産プラットフォームのグローバル展開及び国内事業者の海外競争力向上を目指す。

Connected Industriesの取組:sitateru(シタテル株式会社)

シタテルの仕組み

工場

工場

工場

工場

工場

EC

小売

メーカー

ブランド

企業

生地

Designパターン

加工

資材

シタテル(コンシェルジュ)

オンラインデータベース

各社ニーズの汲取

ブランドなど事業者のニーズに合わせて、自社提携の国内工場の膨大なデータベースよりマッチングを行い、生産の過程をコーディネート

冬が忙しく夏は仕事がない

春が忙しく秋は仕事がない

縫製工場A 縫製工場B

閑散期の縫製工場に仕事をマッチング

繁閑格差を5~10%解消

出典:経済産業省資料、シタテルHP等より作成

「欲しい」と「生産」を

シームレスに繋ぐ

生産一体型コマース

SPEC

消費者が選んだ商品情報

から、ワンストップで生産につ

ながることで、QRや在庫リス

クの解消が期待できる。

13

通商関係

RCEP(ASEAN10カ国+日中韓印豪NZ)

交渉中

コロンビア交渉中

スイス発効(09年9月)

トルコ交渉中

モンゴル発効(16年6月)

日中韓 交渉中

タイ日泰:発効(07年11月)

シンガポール日星:発効(02年11月)

改正(07年9月)

インドネシア日尼:発効(08年7月)

フィリピン日比:発効(08年12月)

マレーシア日馬:発効(06年7月)

ブルネイ日ブルネイ:

発効(08年7月)

ミャンマー

インド日印:発効(11年8月)

カンボジア

ラオス

豪州日豪:発効(15年1月)

中国

ASEAN 発効(08年12月)

GCC諸国交渉延期

GCC(湾岸協力理事会):サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーン

韓国

メキシコ日墨:発効(05年4月)

改正(12年4月)

ペルー日秘:発効 (12年3月)

チリ日智:発効 (07年9月)

TPP署名(16年2月)

EU発効

(19年2月)

NZ

米国

TPPからの

離脱を宣言

カナダ

日米貿易協定日米デジタル貿易協定

署名(19年10月)

TPP11発効(18年12月)

ベトナム日越:発効(09年10月)

2019年1月時点での我が国のFTAカバー率※は51.6%。政府目標は70%。(参考:韓国…67.7%、中国…37.7%、米国…47.1%、EU…35.5%(域内貿易含まず))※ FTAカバー率=全貿易額に占めるEPA/FTA署名・発効済国との貿易額の割合。

現在、我が国は21か国・地域との間で17の経済連携協定を発効済。

日本の経済連携等の推進状況 1515

日EU経済連携協定:繊維製品の関税率 単位:百万円

品目名 日本(現行) EU(2013年)EPA発効後の

関税率対EU輸出額:2018(対世界輸出額)

ニット 2,340 (70,662)

生地 4.0~9.8% 6.5~8%

無税(即時撤廃)

1,852 (66,236)

コート、ジャケット、ブレザー、スーツ(※)、セーター、カーディガン

8.4~10.9% 12% 184 (880)

シャツ 7.4~10.9% 12% 102 (873)

ズボン 8.4~10.9% 12% 191 (1,735)

下着 7.4% 12% 4 (564)

パジャマ 7.4% 12% 1 (216)

水着 8.4~10.9% 8~12% 6 (158)

ニット以外 26,674 (281,547)

生地 無税~12.6% 3~8%

無税(即時撤廃)

16,926 (248,696)

コート、ジャケット、ブレザー、スーツ(※)

9.1~12.8% 12% 516 (3,207)

シャツ 7.4~10.9% 12% 721 (3,890)

ズボン 9.1~10.0% 12% 1,648 (6,671)

下着 7.4~9.0% 12% 12 (3,190)

パジャマ 7.4~9.0% 12% 3 (18)

水着 9.1% 12% 3 (21)

ハンカチ、スカーフ、ショール

5.3~9.0% 10% 59 (556)

ネクタイ 8.4~13.4% 6.3% 3 (19)

帽子 3.2~5.8% 無税~5.7% 6,783 (15,275)

出所:Global Trade Atlas

16

これまではASEANプラス1のEPA/FTAのみでコマ切れの状況

⇒RCEPで広域的な大経済圏を形成

Regional Comprehensive Economic Partnership

⃝ RCEPは、ASEANとFTAを既に締結しているパートナー(日中韓印豪NZ)間の経済連携

協定。交渉参加16か国で世界の人口5割、貿易額3割、国内総生産(GDP)3割を占

める広域経済圏を創設するもの。

⃝ 「自由で開かれたインド太平洋」を実現する地政学的観点から重要。

⃝ 東アジア地域において、自由な経済活動やサプライチェーンの効率的な形成に寄与するよ

うなルール作りを行い、域内では共通のルールで手続ができるユーザーフレンドリーな協

定を実現する。

RCEP(東アジア地域包括的経済連携)

〇 2012年11月に、交渉立上げを宣言。

〇 これまでに、閣僚会合を19回、交渉会合を28回開催。

(直近の閣僚会合は、本年11月1日のバンコク。)

〇2018年 11月のRCEP閣僚会合・首脳会議(於:シ

ンガポール)での「実質的妥結」を目指すも実現せず。

→同首脳会議で、RCEPを2019年に妥結する決意を確認。

〇2019年 11月のRCEP閣僚会合・首脳会議(於:バ

ンコク)において共同首脳声明を発出(後述)。

概要・意義

オーストラリア

中国

ニュージーランド

韓国

インド日本

マレーシアシンガポール

フィリピン

インドネシア

ラオス

タイ

カンボジア ベトナム

ブルネイ

ミャンマー

RCEP

交渉の経緯・スケジュール

17

○ RCEP交渉は、既存のFTAのない日中、日韓、印中、印豪、印NZの間では、相互に関税自由化を行う初の枠組みとなる。日本にとっては、中国との間で、特に貿易量が多く(対世界の約22%)、日本からの輸出にかかる関税支払額も多いことから、関税自由化による経済効果が期待される。

○ 加えて、既存のFTAのあるASEAN及びインドとの関係でも、 中国等RCEP域内の第三国の原産材料をもとに日本で組み立てられた製品の

ASEAN又はインドへの輸出や、 中国等RCEP域内の第三国で活動する進出日系企業が日本の原産材料をもとに組

み立てた製品のASEAN又はインドへの輸出について、追加的な関税支払削減効果が見込まれる。

RCEPの期待される効果(関税)

3

日本の貿易総額に占めるRCEP参加国の割合(2017年、小数点第2位四捨五入)

日本と交渉参加国(ASEAN、中、韓、豪、NZ、印)の貿易構造

日本→交渉参加国(2016年)輸出総額 約30.4兆円

交渉参加国→日本(2016年)輸入総額 約33.9兆円

出典 : 財務省貿易統計

RCEP参加国

: 計 48.3% 出典 : 財務省貿易統計

一般機械

20%

電気機器

20%

輸送用機器

12%鉄鋼

6%プラスチック 5%

元素及び化合物4%

農林水産品 1%

その他

32%

総額30兆4,193億円

電気機器

22%

一般機械

12%

農林水産品

11%衣類等

8%天然ガス等・製造ガス 6%

石炭・コークス・練炭 4%

金属鉱等 3%

その他

34% 総額33兆8,731

億円

ASEAN15.2%

中国

21.7%

韓国5.9%

インド1.0%

豪州 4.0%NZ 0.4%

米国

15.1%

EU11.3%

その他

25.3%

18

共同首脳声明の要旨(抜粋)

●我々(注)は、RCEP参加15か国が、全20章に関する条文ベースの交渉及び15か国の基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組みを終了したことに留意し、2020年における署名のために15か国による法的精査を開始するよう指示した。

(注)ASEAN10か国、日本、中国、韓国、豪州、NZ、インドの16か国。

●インドには、未解決のまま残されている重要な課題がある。全てのRCEP参加国は、これらの未解決の課題の解決のために、相互に満足すべき形で、共に作業していく。インドの最終的な決断は、これらの未解決の課題の満足すべき解決にかかっている。

第3回RCEP首脳会議(2019年11月4日 於:バンコク) 19

注 2019年11月の首脳会議において、RCEP参加15か国が全20章に関する条文ベースの交渉を終了したことを全16カ国で確認

RCEPの交渉分野

貿易救済章 冒頭・一般的定義章

投資章 電子商取引章

サービス貿易章 冒頭・一般的定義章

物品貿易章任意規格・強制規格・適合性評価手続章

原産地規則章

政府調達章中小企業章 経済技術協力章 最終規定章

人の移動章 競争章

紛争解決章

税関手続

・貿易円滑化章

知的財産章

一般規定・例外章

衛生植物検疫措置章

制度的事項章

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日米貿易協定(概要)2019年11月

内閣官房・外務省・財務省・農林水産省・経済産業省

世界のGDPの約3割(25.5兆ドル)を占める,日米間の物品貿易に関する協定。

2018年末のTPP11発効,2019年2月の日EU・EPAの発効を背景に,2019年4月以降,5ヶ月にわたる交渉で,短期決着。

昨年の日米共同声明に沿って交渉を行い,9月25日の日米首脳会談で最終合意を確認。日本時間10月8日(米国時間同7日),署名。

日本側:84%、米国側:92%

関税撤廃率(貿易額ベース)

<農林水産品>日本側の関税:TPPの範囲内 コメ(調整品含め):完全除外 林産品・水産品:譲許せず TPPワイド関税割当枠:新たな米国枠を設けず 和牛輸出:65,005トンの複数国枠へのアクセス確保 酒類:容量規制等の米国非関税措置撤廃等 日本の輸出関心が高い42品目:関税削減・撤廃

<工業品> 自動車・自動車部品:「関税の撤廃に関して更に

交渉」と協定に明記※協定の誠実な履行中は追加関税を課さない旨,日米共同

声明に明記,首脳間で確認。※数量制限・輸出自主規制等の措置を課さない旨閣僚で

確認。

その他工業品:日本側関心品目を中心に関税削減・撤廃

主な交渉結果:バランスの取れた合意内容に

GDP押し上げ 約0.8%(4兆円)

経済効果

21

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米中貿易摩擦 トランプ大統領は、2019年12月13日に以下内容を発表。

第1~第3弾分(約2,500億ドル相当)の輸入品に対する関税は25%に据え置き。第4弾分のうち9月1日発動分(約1,200億ドル)は、現行税率を半減し7.5%を課す。12月15日発動予定分(約1,600億ドル)は見送り。

中国政府は、12月15日に以下内容を発表。元々12月15日12時01分より追加課税予定であった米国産の一部輸入商品について,10%又は5%の関税を暫定的に追徴せず,米国産自動車及び部品に対し,引き続き追加関税を停止することを決定した。

米中両政府は、2020年1月15日、上記貿易ディールを含む協定に署名。

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(参考)米中貿易摩擦:主要国企業の業績への影響(ジェトロ調査結果)

米中貿易摩擦による影響が、企業業績にどのような変化をもたらしているか、米中日韓台の5ヶ国の業種・企業規模別に、売上高の対前年同期比較を実施。

いずれの業種も企業規模別にみると、機械・電気製品を除けば、中小企業は大企業に比べ売上高伸び率の振れ幅がやや大きい。

日本企業については、大企業、中小企業とも、売上高伸び率の増減幅は米中などに比べると小さく、米中貿易摩擦による影響は米中企業に比べ小さいが、今後も摩擦が続くと、受注減や販売減などを通じ、日本企業、特にビジネス環境の変化に弱い中小企業の売上高に影響しうる。

(1) 素材・素材加工品:鉄鋼、非鉄金属、化学、繊維・織物・皮革、窯業・紙、容器・包装、その他素材加工品、住設・建設資材

(5) 消費財:パーソナルケア(化粧品など)、衣服・装飾品製造、家具・インテリア・雑貨、その他生活用品製造

「米中貿易摩擦、主要国企業の業績への影響は」(2019年10月30日ジェトロ地域・分析レポート)https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2019/1001/29ef6faf2b3da7f9.html

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2020年 1月31日 英国のEUからの離脱期限(「離脱協定」が発効した場合)「移行期間」(EU法を英国にも適用)開始・・・・

(英EU貿易協定交渉?)・・・・

2020年末 「移行期間」終了(2020年7月1日までに、1回に限り延長を決定することが可能)

英国の欧州離脱(ブレグジット)

●EUホーガン貿易担当委員(12月6日)「英EU間の交渉は前例がなく、合意までどの程度の期間がかかるのかは全く予見できない。2020年末までの移行期間終了までの間に英EU間の貿易協定が実現する保障はない。」「『合意無き離脱』のリスクは、2020年1月末でも2020年12月末にもあり得る。」

●EUバルニエ首席交渉官(10月30日)「(英EU貿易交渉は)困難で厳しい交渉になる。与えられた期間は11カ月と極めて短い」

「2020年12月31日までにEU・英国間の将来関係にかかる新たな協定を発効させられない場合、移行期間が延長されない限り、『合意なき離脱』に陥る」

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今後の対応

① 政府から英EU双方への働きかけ

「合意無き離脱」の回避(透明性・予見可能性・法的安定性の確保)

日系企業、世界経済への影響の最小化

② 「ブレグジット対応サービスデスク」を通じた個別対応

中小企業に対するプッシュ型支援の継続

関税、通関実務、規制対応、販路転換・開拓相談等

③ 将来の日英経済的パートナーシップに係る検討

日EU・EPAを踏まえた将来の日英経済的パートナーシップに向けて検討

(参考)日英首脳共同声明(平成31年1月10日)

我々は,日EU・EPAを日英間の将来の経済的パートナーシップの基礎として用いるとの過去のコミットメントに基

づき議論を進める。両国の自由貿易に対するコミットメントに沿って,我々は,新たなパートナーシップを日EU・ EP

Aと同様に野心的で,高い水準の互恵的なものとする。

我々は,透明性,予見可能性及び法的安定性を提供すること等によってビジネスの継続性を確保することが最も

重要であるとの認識を共有した。我々は,この経済的パートナーシップについてできる限り速やかに効力を生じさせる意

図をもって,その構築に速やかに取り組む。

我々は,このようなパートナーシップを早急に作成する必要があることを認識する一方で,この新たなパートナーシップ

を共通の関心分野において,より野心的で強化されたものとすべく最大限の努力を行う。

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●これまでの成果:• 共同案件組成に向けたニーズ発掘やマッチングの結果、以下2事業が現在進行中。

日仏繊維協力

概要:平成26年5月、日本の先端繊維素材と仏国の商品加工技術のマッチングによる、グローバル市場の共同開拓の可能性の追求を目指し、仏(エリゼ宮)にて、安倍総理、オランド大統領臨席の下、日仏繊維協力に関する協力文書(MOC)を締結。

MOC改定:平成29年4月28日、日本側3機関代表者である糟谷経済産業省製造産業局長、日覺化学繊維協会会長及び鞠谷繊維学会会長、仏側はティエリー・ダナ駐日仏大使により、改定MOC署名が行われた。令和2年の更新に向け、現在両国間で内容検討中。※署名者はいずれも当時の役職

●主な協力の柱:• スマートテキスタイル分野(関連分野として標準化やリサイクルなどを取り上げ、情報交換や議論を行う。)• 企業間、及び研究機関と大学間における日仏共同プロジェクトを推進(仏国における優先産業プロジェクトの素材

又は技術にかかる関心に対し、日本は先端の繊維素材又は技術の提供を行う等。)• B to B会合の深化(ビジネスフランス及び独立行政法人日本貿易振興機構の協力を得て行う。) 他

第7回日仏繊維WG(令和元年12月)

ミツフジ(株)と仏子供服ブランドによる、生体情報の取得が可能な乳幼児向け着衣型ウェアラブルデバイスの開発事業(「29年度補正ものづくりサプライチェーン再構築支援事業」にてFS実施)

日本環境設計(株)と仏繊維クラスターによる、リヨン市における衣料品ポリエステルリサイクル事業(「30年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業」にてFS実施)

• 令和元年12月11日(水)に第7回日仏繊維WGをパリにて開催。これまでの成果を踏まえ、両国連携の継続のためのMOC更新が合意されるとともに、実績報告や新規協力分野の提案、民間イニシアチブ重視の確認等が行われた。

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最近の取組

日本環境設計株式会社 (代表取締役社長 高尾 正樹)

株式会社フクル (代表取締役 木島 広)

フレックスジャパン株式会社 (代表取締役社長 矢島 隆生)

株式会社細尾 (代表取締役社長 細尾 真生)

マツオインターナショナル株式会社 (代表取締役社長 松尾 憲久)

丸井織物株式会社 (代表取締役社長 宮本 徹)

ミツフジ株式会社 (代表取締役社長 三寺 歩)

三星毛糸株式会社 (代表取締役社長 岩田 真吾)

株式会社YUIMA NAKAZATO (代表取締役 中里 唯馬)

吉田染工株式会社 (代表取締役社長 吉田 篤生)

渡辺パイル織物株式会社 (代表取締役社長 渡邊 利雄)

繊維の将来を考える会

• 繊維産業に関連する各分野において業界をリードする意欲的な取組を行っている事業者の間で、繊維産業の課題や将来等に関して自由闊達に情報・意見交換等を行うネットワークの場を設けるとともに、当会での意見を基に政策の企画立案を図る。(事務局:経済産業省製造産業局生活製品課)

• 平成30年4月に第1回開催後、これまで5回開催。令和元年7月には、繊維の将来に向けた行動指針「繊維の将来宣言」を公表。

※五十音順、敬称略

AKIKOAOKI (代表 青木 明子)

浅野撚糸株式会社 (代表取締役社長 浅野 雅己)

IKIJIプロジェクト/精巧株式会社 (代表取締役 近江 誠)

株式会社エイガールズ (代表取締役社長 山下 智広)

オリエンタルカーペット株式会社 (代表取締役社長 渡辺 博明)

カジグループ (代表取締役社長 梶 政隆)

齋栄織物株式会社 (常務取締役 齋藤 栄太)

佐藤繊維株式会社 (代表取締役社長 佐藤 正樹)

株式会社ジャパンブルー (代表取締役 眞鍋 寿男)

株式会社TFL (代表取締役 市川 雄司)

東播染工株式会社 (代表取締役社長 岡田 太)

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本宣言の趣旨かつて日本の繊維産業は、戦後の復興期・高度成長期に至るまで輸出産業として外貨を稼ぐとともに、繊維産業における機

械化が、自動車などの機械産業の礎になるなど、日本経済の発展を支えてきた。

しかし、1970年代以降、円高やデフレ経済等の中、日本の繊維産業は海外に生産を移し、海外生産比率は上昇。繊維産業の製造出荷額は、1990年比で約4分の1に縮小した。国内アパレル市場における輸入浸透率は97.6%まで上昇するとともに、その市場規模は、バブル期の15兆円から10兆円程度に縮小した。

このように産業全体を表すマクロの数字は繊維産業が衰退の一途を辿っているかのように見えるが、個々の企業レベルでは、産業全体のイメージとは全く異なる意欲的で革新的な動きがある。

すなわち、日本には世界をリードする高機能・高性能繊維や、海外の高級ブランドや民族衣装等からも評価・採用される高品質・高感性の素材、精緻な縫製技術等が存在する。また、既存のビジネスモデルに囚われず、IT等を駆使し、自由な発想で魅力的な製品づくりを実現する例や、新しい技術を積極的に取り入れ、自ら海外に販路を求めて売り込み、成功している例もある。

このように個々の企業レベルでの革新的な取組は、日本の繊維産業は決して衰退産業ではなく、長年の厳しい国際競争で培われた技術を強みとして、国内繊維産業を生まれ変わらせ(「アップデート」し)、さらには世界の繊維産業をリードしていくポテンシャルを有していることを示している。

本宣言は、上記のような考え方の下、繊維産業に関連する各分野において、業界をリードし、自ら課題に挑戦し、乗り越えていこうとする事業者による会議体「繊維の将来を考える会」において、繊維産業の課題や将来等に関して自由闊達に情報・意見交換等を行った内容を基にとりまとめたものである。

本宣言が繊維業界のみならず、他産業においても、現状の課題に果敢に挑戦し、自らチャンスを開り拓く企業の方々の参考になれば幸いである。

本宣言に基づく取組を通じて、日本の繊維産業はグローバルな産地として今後も飛躍し続ける。

繊維の将来を考える会メンバー

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日本の繊維で世界を変えるための将来宣言(行動指針)

●自社の強みを生かした経営で価値を高める

●あらゆる分野で繊維の可能性を探求し、常に新しく付加価値の高いものづくりを実践することにより、素材革命を起こす

●「メイドインジャパン」に満足するのではなく、独自の価値を世界に発信・提供する

●繊維産業が技術とクリエイティビティが融合する最先端の分野であることを広く発信する

●持続可能な繊維産業の在り方を模索し、社会課題の解決に貢献する

デジタル化が進展する中、類似の製品はすぐに作り出され、従来の品質、価格、納期だけを追求したものづくりは、生き残れない。自社の強みを洗い出すとともに、独自の技術や価値観をものづくりの中に取り入れ、作り出した製品が提供するサービスやストーリー等に

よって新たな付加価値を創造する活動を行う。また、そうした活動に積極的な価値を見いだす顧客を開拓する。

メイドインジャパンだから商品が売れる訳ではない。商品が持つ機能、こだわり、作り手の情熱、ソリューション等を明確に分かりやすくエンドユーザーに伝える事が重要であり、それが価値として共感を呼び、商品に付加されることで評価されていく。国内市場が縮小する中、海外展開は不可避であり、「メイドインジャパン」以上の独自の価値を世界に発信・提供し、海外需要を開拓する。

繊維の可能性は衣類やファッションのみにとどまらない。IoT等新しい技術を積極的に活用し、ウェアラブル等の画期的な製品・サービスの開発を行うとともに、インテリア、自動車、建設、メディカル、スポーツ等異分野に果敢に挑戦し、あらゆる分野で素材革命を起こしていく。新しい価値を創造し、それに見合う適正な価格設定を実現する。

技術革新により、繊維の地平線は広がりを見せ、技術・感性・クリエイティビティが融合する最先端の分野になっている。産地には、こうした特徴に魅せられ、家業を継いだり、異業種から飛び込んだ若手や女性の人材が少なくない。こうした人材をさらに呼び込み、育てていくため、異業種連携や産地間連携を促進し、常にイノベーティブな土壌を醸成するとともに、繊維を再定義し、その魅力を広く発信する。

中長期的な未来に向けて、衣・食・住の「衣」をより良く進化させることによって、社会に貢献する。自社の発展が国内外の環境破壊や誰かの労働搾取等の上に築かれてはならない。環境対応やSDGsをメインストリームに位置づけ、消費者目線に立ったサステイナビリティを追求し、社会課題へのソリューションを提供する。

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日本の繊維で世界を変えるための将来宣言(行動指針・ポイント)

自社の強みを生かした経営で価値を高める

あらゆる分野で繊維の可能性を探求し、常に新しく付加価値の高いものづくりを実践することにより、素材革命を起こす

「メイドインジャパン」に満足するのではなく、独自の価値を世界に発信・提供する

繊維産業が技術とクリエイティビティが融合する最先端の分野であることを広く発信する

持続可能な繊維産業の在り方を模索し、社会課題の解決に貢献する

強みの把握、ブランディング、販路・ユーザー開拓

海外販路開拓

IT・新技術の積極的活用、画期的な製品・サービスの開発

異業種連携や産地間連携の推進若手・人材育成への取組

環境と人権に配慮したものづくりの推進、サステナビリティ、SDGsへの対応、責任あるサプライチェーンづくり

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日本の繊維製品は、高品質や高感性、高機能などの強みがあり、世界の生活文化の向上に貢献してきた。引き続き、良質な製品を世界に展開していくためには、競争力強化や環境対応を含め、あらゆる面でサステイナブルな繊維産業を目指すことが重要。

本事業では、特に取引先・エンドユーザーへの価値・価格転嫁や、新たな販路の開拓等を実現している企業やサプライチェーン等の事例にスポットを当て、これらの価値創造メカニズムを分析することで、競争力強化に向けて選択すべき企業行動や、政策の方向性を検討。

繊維産業の価値創造モデルに関する調査(令和元年度戦略的基盤技術高度化・連携事業)

1.価値創造メカニズムの分析企業やサプライチェーン等の事例を選定し、ヒアリングや文献調査などにより、価値創造につながった内部環境や外部環境を分析。

2.価値創造モデルの類型化事例ごとの内部環境や外部環境が可視化できるようなマッピングを実施。共通する成功要因や仮説との相関性を分析。

3.日本が目指すべき類型の評価成功要因や仮設について、政策として進める場合の課題や浸透させるためのポイントを検討。

事例選定の観点・川下領域での価値を高めるため、自社のブランド発信や消費者ニーズの把握等のマーケティング力

・海外展開や新しい販路開拓のための提案力・優れた高付加価値素材の開発力や生地製造におけるクリエイション力・魅力ある産業として集積したことによるリードタイムの変化や産地の観光資源化・マスカスタマイゼーションや工場IoT化等、デジタル技術との融合による課題解決 等

外部環境・繊維産業の生産・貿易状況、アパレル小売規模、衣料品消費支出の推移

・政策的、社会的、技術的背景 等

目指すべき方向性の仮説・高付加価値商品や新しい収益モデルのための投資・国内外の中間層や富裕層の取り込み・デジタルツールによる生産性向上や在庫レスモデルの構築 等

内部環境・売上高、利益率、従業員数、生産リードタイム、原価率、在庫回転率、販管費率

・技術革新の有無、社会的ニーズ発見の有無、オープン/クローズ開発、ボトムアップ/トップダウン開発、収益モデル、プロモーションの刷新 等

(委託先:㈱矢野経済研究所)

34

<参考>35

サステイナビリティ

〇 近年、プラスチックゴミの海洋流出が、新たな地球規模の問題に。

〇 温暖化に続く、21世紀の新たな地球環境問題。

海洋プラスチックごみ問題

平成31年2月26日海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議

海洋生物への影響

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-G20 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合 6/15,16@軽井沢-G20 首脳会合(サミット) 6/28,29 @大阪

<首脳会合(サミット)>

• 海洋プラスチックごみ問題は、海洋の生態系や人の健康にも影響を及ぼしかねない喫緊の課題であり、世界全体での取組が不可欠との認識で一致。

• こうした共通認識に基づき、海洋プラスチックごみによる追加的な汚染を2050年までにゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有。

• ビジョンの実現に向け、G20エネルギー・環境大臣会合において合意された「海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に基づき、各国で協調して実効的な対策を進めることでも一致。

<閣僚会合(軽井沢会合)>

• 「G20海洋ごみ行動計画」の実施を促進するため、「海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に合意。

• 適正な廃棄物管理、海洋プラスチックごみの回収、革新的な解決策(イノベーション)の展開、各国の能力強化のための国際協力等による包括的なライフサイクルアプローチを推進。

• G20各国は、G20資源効率性対話等の機会を活用し、海洋プラスチックごみ等に関する政策、計画、措置等の情報について、継続的に共有及び更新を実施。

G20における環境分野の成果

2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有。また、G20各国が、自主的な対策を実施し、その情報を共有するという「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」をエンドース。

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対策分野 主な対策・取組 指標

①廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底

廃棄物処理制度・リサイクル制度による回収の徹底、国内処理体制の増強 (H30補正・R1予算併せ91億円)

漁具等の陸域における回収、農業由来の使用済プラスチックの回収・適正処理等を事業者団体を通じ徹底

プラスチックごみの国内適正処理量

②ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止

監視・取締りの徹底、特に「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」(5/30~6/5)を中心とした集中的な監視パトロール 清涼飲料団体による、ペットボトル100%有効利用を目指し、自販機横に専用リサイクルボックスを設置する取組を支援 河川巡視等による不法投棄の抑制 漁具の適正管理について事業者団体を通じ徹底

③陸域での散乱ごみの回収

住民、企業等が分担して街中、河川、海浜等の清掃美化等を行う取組(アダプト・プログラム)の更なる展開※全国45,000団体以上、250万人以上が参加

道路のボランティア・サポート・プログラムの推進 河川管理者や自治体、地域住民が連携した清掃活動やごみの回収 新たに開始する「海ごみゼロウィーク」(5/30~6/8前後)において、青色のアイテムを身に着けた全国一斉清掃アクションを展開。2019年は2000箇所で80万人規模、2019~2021年の3年間で240万人の参加を目指す。

散乱プラスチックごみ回収量(陸域)

④海洋に流出したごみの回収

海岸漂着物処理推進法に基づく予算事業(H30補正・R1予算併せ35億円)により、自治体による海岸漂着物の回収処理を推進漁業者による海洋ごみ等の回収・処理を、予算事業により支援

海洋プラスチックごみ回収量

⑤代替素材の開発・転換等のイノベーション

「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」に基づき、官民連携により技術開発等に取り組む新規予算事業(R1予算35億円)等により、生分解性プラスチック、紙等への代替を支援プラスチック製造・利用関係企業の「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA) 」を通じたイノベーション加速革新的ソリューションに取り組む企業・団体・研究者と「海洋プラスチック官民イノベーション協力体制」を構築し、発信

代替材料の生産能力/使用量

⑥関係者の連携協働

海洋ごみ発生防止に向けあらゆる主体の取組を促す「プラスチック・スマート」キャンペーンの展開「海ごみゼロアワード」による優良取組事例の表彰、 「海ごみゼロ国際シンポジウム」による情報発信経団連の「業種別プラスチック関連目標」、農林水産業・食品産業の「プラスチック資源循環アクション宣言」を通じた取組促進

⑦途上国等における対策促進のための国際貢献

途上国に対し、廃棄物法制、廃棄物管理に関する能力構築・制度構築、海洋ごみ国別行動計画の策定、廃棄物発電等の質の高い環境インフラ導入など、ODAを含めた様々な支援を実施 「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」に基づく支援

国際協力により増加する適正処理廃棄物の量

⑧実態把握・科学的知見の集積

モニタリング手法の国際調和の推進国内排出量・経路等の調査・推計、漂着物・浮遊プラスチック類の調査

我が国のベストプラクティス(経験知見・技術)を国際的に発信・展開しつつ、「新たな汚染を生み出さない世界」を目指した実効的な海洋プラスチックごみ対策

に率先して取り組む ※指標の進捗を毎年把握。科学的知見の進展等を踏まえつつ、3年後を目途として見直しを行い、取組を強化していく。

○ 海洋プラスチックごみによる環境汚染は、世界全体で連携して取り組むべき喫緊の課題。我が国は、2019年のG20議長国として、各国が連携して効果的に対策が促進されるよう取り組む。○ 同時に、我が国は、「新たな汚染を生み出さない世界」の実現を目指し、率先して取り組む。そのための我が国としての具体的な取組を、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」として取

りまとめた。○ 重要なことは、プラスチックごみの海への流出をいかに抑えるか。経済活動を制約する必要はなく、廃棄物処理制度による回収、ポイ捨て・流出防止、散乱・漂着ごみの回収、イノベーションに

よる代替素材への転換、途上国支援など、「新たな汚染を生み出さない」ことに焦点を当て、率先して取り組む。

海洋プラスチックごみ対策アクションプラン(概要)

バングラデシュ・ダッカではJICAの協力によりごみ収集率が44%から80%に改善(JICA提供)

ミャンマー・ヤンゴンにおける日本の支援による廃棄物発電施設

不法投棄撲滅運動シンボルマーク

不法投棄防止の監視パトロール

散乱ごみの回収活動(全国川ごみネットワーク提供)

生分解性プラスチック製の袋

スポーツとしてごみ拾いを競い楽しむ取組も

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経済産業省の主な取組

〇 プラスチックごみによる海洋汚染問題の解決は、ごみの適切な回収・処分が大前提であり、ごみを多く排出する新興国も含めた、世界全体の取組が不可欠。更に、それでもなおプラスチックごみが海洋流出するリスクに対応して、新素材の開発などイノベーションによる解決で世界に貢献していくことが重要。

〇 経済産業省としても、産業界の自主的な取組と官民一体で連携しながら、海洋生分解性プラスチック等の開発・普及に向けた施策に取り組んでいく。

〇 CLOMA( Clean Ocean Material Alliance )

・・・プラスチック製品に係るサプライチェーンを構成する関係事業者が参

画し、持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進し、イノベー

ションを加速する官民連携組織を設立(本年1月18日)。

・・・本年10月4日時点で265企業・団体が参画(会長は花王)。

〇 JaIME(Japan Initiative for Marine Environment)

・・・化学産業の主要企業・業界団体が昨年9月に設立。

・・・海洋プラスチックごみ問題に関する情報分析・発信、

科学的知見の蓄積、アジア新興国の支援等に取り組む。

〇 日本経済団体連合会

・・・昨年11月に164事業者・団体から3Rやプラスチック代替素材の研究開

発・普及など300事例のベストプラクティスを集めた「SDGsに資するプラ

スチック関連取組事例集」を作成。

・・・本年4月に海洋プラスチック問題の解決やプラスチック資源循環の推進に

貢献する経済界の自主的な取組みの深化および裾野拡大の観点から、

経団連が主導して、業界団体等、20業種が43の「業種別プラスチック関

連目標」を設定して取りまとめ。

〇 海洋生分解性プラスチックの技術ロードマップの策定

・・・海洋生分解性プラスチックの開発・導入普及を促進していくため、海洋生

分解性機能に係る新技術・素材の開発段階に応じて、今後の主な課題

と対策を取りまとめたロードマップを策定。(2019年5月7日)。

<主な技術課題>

・・・実用化技術の社会実装

・・・複合素材の技術開発による多用途化

・・・革新的素材の研究開発 等

<主な研究開発・普及支援施策>

・ 【NEDO】エネルギー・環境分野の中長期的課題解決に資する新技術

先導研究プログラム(来年度予算案37.4億円の内数)

・ 【NEDO】研究開発型スタートアップ支援事業(来年度予算案17.2億円の内数)等

・ 【産総研】国際標準化支援(官民連携でプラスチック製品の生分解性

評価等に係るISO策定を推進中)

官民連携によりイノベーションを促進して世界に貢献していく

1.基本的考え方

2.産業界の自主的取組の促進 3.新素材開発・普及の支援強化

ジャイミー

クロマ

40

海洋プラスチックごみの削減に向けて、イノベーションを加速化する交流の場として、関係事業者(容器包装等の素材製造事業者、加工事業者、利用事業者)の連携を強化する「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(Clean Ocean Material Alliance; CLOMA(クロマ))が設立。

CLOMA及びその会員は、以下の5つの原則の下、海洋プラスチックごみ問題の解決にあたる。

会員数 292社・団体(12/18時点) 会長:花王(株)

ク ロ マクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)

CLOMAビジョンで策定した「5つのKey action」

1.素材・製品の開発・生産・使用を通じて、SDGsの

達成とクリーン・オーシャンの実現に貢献する

2.「使用済みプラスチック製品の適切な回収・処理の

徹底」と「3Rの深化とより環境負荷の低い素材・製品

への代替」を両輪として取り組む

3.技術、ノウハウ、経験を会員間で最大限共有し、ビジ

ネスモデルを含めたより大きなイノベーションを創出する

4.技術開発と社会システムの組み合わせを最適化し、

ステークホルダーの理解を得ることにより社会実装を

加速させる

5.素材を循環利用し、環境負荷を低減するジャパン・

モデルを世界に発信するとともに、各国の国情に適応

する形で展開する

CLOMA原則

41

繊維製品から発生する繊維屑測定の試験方法に関する国際標準化

海洋プラスチックごみ問題への関心が世界的に高まっている中、繊維製品から発生する繊維屑についても排出抑制の対策を検討する動きが見られる。

日本化学繊維協会では、実際の洗濯に近い条件で洗濯時に排出される繊維屑の量を回収・測定する方法の国際標準化に向けて、平成31年度戦略的国際標準化加速事業を受託。

本事業により繊維屑発生が少ない繊維製品の開発等を促し、我が国の高機能な繊維製品の差別化が期待されるとともに、海洋環境中の洗濯由来繊維屑の総量の評価や、繊維屑のマクロインパクトの推計にも寄与できることが期待される。

事業概要 国内外の動向

事務局:日本化学繊維協会 関係事業者:カケンテストセンター他 開発予定期間:3年間(2019年~2022年) 概要:

繊維製品の実使用環境を想定し、洗濯袋に入れた状態の繊維製品を家庭用洗濯機で洗濯処理。その後洗濯袋内に蓄積した繊維屑を回収・重量測定をすることにより、繊維製品から洗濯時に排出される繊維屑の量を測定する。

欧州では、欧州繊維産業連盟(EURATEX)を中心に、生地段階での繊維屑脱落評価法を検討中。2019年後半には欧州標準化委員会(CEN)に提案済。

日本(化繊協会、カケン)では、より実際の洗濯に近い条件である製品ベースでの評価法を検討中。2019年度中に規格案を確立し、国際標準化機構(ISO)に提案予定。

2019年4月に開催された第12回アジア化繊会議(於:バリ島)においても、サステナビリティ(持続可能性)について議論。繊維屑問題について多くの参加者から高い関心が示され、当該国際標準化の重要性を共有した。

42

海洋プラスチックごみ問題が国際的な課題として取り上げられる中、微小なサイズで環境中に排出されたプラスチック(一次マイクロプラスチック)や、環境中で劣化し微小なサイズとなったプラスチック(二次マイクロプラスチック)についても関心が高まっている。

例えば、本年8月のG7での議長総括文書では、海洋への一次マイクロプラスチック流出源の35%が合成繊維の洗濯だとする国際自然保護連合(ICUN)の調査報告を引用。

本事業では、マイクロプラスチック抑制施策のあり方検討の参考とするため、最新の科学的知見や国際的動向を調査し、繊維屑の排出量について比較分析を実施。

繊維屑の発生源や排出量予測の研究に関する動向調査(令和元年度安全保障貿易対策管理事業)

1.研究論文・関連資料の調査繊維屑を含むマイクロプラスチックに係る国内外の研究者や業界関係者について、文献調査やヒアリングを実施。

2.算出根拠の比較分析各機関の調査報告書における繊維屑排出量の算出根拠について、以下の観点から比較分析。

・洗濯1枚/1回当たりの繊維屑の排出量・合成樹脂の種類による繊維屑の排出量の違い・複数回洗濯時による繊維屑の排出量の違い 等

3.規制や制度等の実態調査繊維屑を含むマイクロプラスチックに係る規制や制度等を調査。

2018年UNEP/ケニア

2017年ICUN/スイス

2016年Eumomia/英

海洋プラスチック 828 1,200 1,220

一次マイクロプラスチック

310 150 95

繊維屑(洗濯)

26 53 19

二次マイクロプラスチック、その他プラスチック

518 1,050 1,125

海洋プラスチックに関する主な調査報告[万t/年]

(出典:各機関の調査報告書)

(委託先:㈱矢野経済研究所)

43

(参考)G7ビアリッツ・サミット(2019年)

2019年8月24~26日、フランスを議長国としてG7ビアリッツ・サミットが開催された。

各種成果文書のうち、「気候,生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括」として、以下の総括が行われた。

Biarritz Chair’s Summary on Climate, Biodiversity and Oceans 6. The Leaders welcomed the recent adoption of the Osaka G20 Blue Ocean Vision andImplementation Framework for Actions on Marine Plastic Litter.10. The Leaders were informed by civil society representatives about four multistakeholdercoalitions addressing specific threats on climate, biodiversity and our oceans, … the Sustainable Fashion Coalition, aimed at reducing the environmental footprint of textiles which is notably responsible for up to 35% of primary microplastic pollution in the oceans, according to a recent IUCN study; …

「気候,生物多様性及び海洋に関するビアリッツ議長総括」(仮訳)6.・・・首脳は,最近の G20 大阪ブルー・オーシャン・ビジョン及び G20 海洋プラスチックごみ対策実施枠組の採択を歓迎した。10.首脳は,市民社会代表から,気候,生物多様性及び海洋に関する具体的な脅威に対処する以下の 4 つのマルチステークホルダーの連合について情報提供を受けた。– 「持続可能なファッション連合」:最近の IUCN の研究によると,特に海洋におけるマイクロプラスチックの一次汚染の最大 35%の原因となっている繊維製品の環境負荷(フットプリント)の削減を目的とする。

44

海外市場への展開

知る・調べる海外展開の目的の明確化

海外展開実現までのロードマップ- 主 な 支 援 施 策 活 用 の イ メ ー ジ -

海外展開の情報収集 事業計画の策定専門家への相談

商談・契約交渉契約成立/法人登記

販路拡大

海外投資代理店・バイヤー等の海外パートナー探し

海外に進出する海外の取引先・提携先等の開拓

■ ウェブマッチング(中小機構、ジェトロ)

■ 海外展示会への出展(中小機構、ジェトロ)

■ 海外バイヤーとの商談会(中小機構、ジェトロ)

商品開発

資金調達

STEP1

STEP2

■ F/S支援(中小機構)

■ 新輸出大国コンソーシアム(ジェトロ他)

計画する・準備する国内での準備・計画策定

■ 情報収集(貿易投資相談等) (中小機構、ジェトロ)■ 海外ビジネスの専門家による個別アドバイス (中小機構、ジェトロ)■ 契約までのコンサルティング (ジェトロ)

■ 商品開発・戦略策定等(中小企業庁)

■ 持続化補助金(中小企業庁)■ ものづくり・商業・サービス補助金

(中小企業庁)

■ 海外展開相談

■ セミナー(中小機構、ジェトロ)

■ 支援機関に向けた研修(中小機構)

事業の安定・拡大海外販路拡大・現地拠点設立

STEP3

STEP4

■ 知的財産に関するアドバイス (特許庁、INPIT 等)

■ 海外現地プラットフォームコーディネーターによるアドバイス (ジェトロ)

■ 融資の活用 (商工中金、日本政策金融公庫)■ 信用保証制度 (信用保証協会)

事業再編

■ グローバル人材の育成(AOTS、中小機構)

■ 事業再編支援(中小機構)

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新輸出大国コンソーシアム

「新輸出大国コンソーシアム」(以下、コンソーシアム)は、政府系機関、地域の金融機関や商工会議所など国内 各地域の企業支援機関が幅広く参加。海外展開を図る中堅・中小企業等に対して総合的な支援を行う。

海外展開を目指す企業は、コンソーシアムに参加している複数の企業支援機関からそれぞれの専門性を活かした様々な支援を受けることができる。

また、海外の主要ECサイトに「ジャパンモール」を設置しPR等を行い、海外ECサイトによる日本商品の販売を支援。

【新輸出大国コンソーシアム体制図】 【越境ECジャパンモール事業】

47

海外展示会事例

Japan Textile Salon in NYC(2020/1/21-22) @The Altman Building

Milano Unica (2020/2/4-6) @Rho Fieramilano

日本の高品質・高感度・高い技術力を有するテキスタイル企業の海外販路開拓支援と米国ミドル・ハイエンドゾーンでの需要発掘・喚起を目的として開催。(主催:ジェトロ、運営事務局:(一社)日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW))

招待者限定の商談会形式をとることで、バイヤーの顧客化・固定化を図る。

出展企業:㈱岩井レース、㈱パノコトレーディング、フジサキテキスタイル㈱、名古屋紡績㈱、畑岡㈱、㈱デザインハウス風、同興商事㈱、㈱伴戸商店、宇仁繊維㈱、北高㈱、㈱カゲヤマ㈱、東播染エ㈱、東海サーモ㈱、吉田染工㈱、㈱ジャパンブルー、㈱ショーワ(計16社)

「The Japan Observatory」(ジェトロ・JFW共催)を設置し、30社・団体の出展日本企業を、広報、出展支援、主要バイヤー来場時の付き添い等で支援。

ミドル・ハイエンド狙いの、独自性のある高品質の製品レンジを展開できるテキスタイル製造・卸業が出展。

出展企業:朝日染色㈱ソレヴァンテ1918、宇仁繊維㈱、遠孫織布㈱、カネマサ莫大小㈱、立川織物、中営機業㈲、滋賀麻工業㈱、㈱大長、㈱麻絲商会、3rd Party合同会社、齋栄織物㈱、㈱サンウェル、㈱ショーワ、スタイレム㈱、瀧定名古屋㈱、東播染工㈱、東レ㈱ウルトラスエード事業部、豊島㈱、長尾織布合名会社、中伝毛織㈱、山陽染工㈱、篠原テキスタイル㈱、坂本デニム㈱、日装㈱、畑岡㈱/㈱足羽工業所、古橋織布㈲、前多㈱、宮眞㈱、八木通商㈱、吉田染エ㈱(計30社・団体)

(出典:上:JETRO、下:JFW)

(出典:JFW)

(2020会場イメージ(サステナブルコーナー、トレンドコーナー))

(2020会場イメージ(JAPAN TREND&INDEXCORNER))

48

JAPANブランド育成支援事業

経済産業省では中小企業の海外でのブランド確立を図るため、複数の中小企業が連携し、自ら

の持つ素材や技術等の強みを踏まえた戦略の策定支援を行うとともに、それに基づいて行う商品

の開発や海外展示会出展等の取組に対する支援を実施している。

一般社団法人日本ファッション産業協議会株式会社エイガールズ

パリプルミエール・ヴィジョン 中国国際輸入博覧会

J∞QUALITY海外進出の本格化に向けて、ブランディング戦略を構築。2020年度以降、本格的な海外進出を図る。

• 2019年度は海外進出に意欲的なJ∞QUALITY認証企業がサプライチェーンを組み商品開発。

• 10月の上海ファッションウィークで開発商品の展示及びテスト販売によるマーケティング調査を行った。

和歌山ニット産地のブランディング戦略を構築。欧州・米国向けに、本格的な海外進出を図る。

• 2018年度は世界最高峰の素材展示会パリプルミエール・ヴィジョンにて市場調査及び仮説検証を実施。

• 欧州のみならず、米国からも問合せ多数。米国向けへの販売の可能性が拓けた。

• 2019年度は2018年度の戦略を元に本格的な海外進出を図る。

平成29年度補正予算グローバル企業展開・イノベーション促進事業費補助金(JAPANブランド育成支援事業)

令和元年度予算国内・海外販路開拓強化支援事業費補助金(JAPANブランド育成支援事業)

49

令和元年度予算 JAPANブランド育成支援事業採択一覧(繊維関係抜粋)

【戦略策定支援事業】

【ブランド確立支援】

№ 都道府県名 申請者名 プロジェクト名1 新潟 五泉ニット工業協同組合 『世界の五泉。GOSEN QUALITYの確立』のためのEU戦略事業2 和歌山 株式会社エイガールズ 和歌山ニット技術を活用した超高品質素材ブランド化プロジェクト13 京都 高橋練染株式会社 産地間連携による日本の染織文化を活かした繊維製品ブランド策定

№ 支援段階 都道府県名 申請者名 プロジェクト名6 3年目 神奈川 株式会社丸加 cilkプロジェクト(関東広域圏の絹関連事業者連携による新商品開発と海外販路開拓事業)11 1年目 熊本 (株)あつまるホールディングス 熊本発世界最先端やまがシルクを用いたハイエンド・ブランド開発14 3年目 鹿児島 奄美大島商工会議所 本場奄美大島紬のブランド確立プロジェクト18 1年目 山形 オリエンタルカーペット株式会社 「山形緞通」—足もとからのおもてなしを世界へ−20 1年目 山形 鶴岡シルク株式会社 鶴岡特産のシルクⅡを使った最高級シルク商品の海外展開とブランド化25 1年目 和歌山 風神莫大小株式会社 機能性生地や特殊生地を活用したアウトドアウェア製造販売とブランド化事業26 1年目 京都 近江屋株式会社 「京くみひも海外販路開拓プロジェクト」32 3年目 石川 サンコロナ小田株式会社 石川県発最先端繊維『ミストロン』の世界的ブランド化による繊維産地石川の確立

平成30年度予算 JAPANブランド育成支援事業採択一覧(繊維関係抜粋)

【戦略策定支援事業】

【ブランド確立支援】

№ 都道府県名 申請者名 プロジェクト名

4 東京都 一般社団法人日本ファッション産業協議会 J∞QUALITY海外展開プロジェクト

№ 支援段階 都道府県名 申請者名 プロジェクト名

5 2年目 山形県 オリエンタルカーペット株式会社 「山形緞通」 ー足もとからのおもてなしを世界へー

22 1年目 和歌山県 株式会社エイガールズ 和歌山ニット素材を活用した「GRISAL」ブランドの開発・販路開拓

24 2年目 岡山県 井原商工会議所 地域ブランド「井原デニム」の世界市場進出

25 1年目 広島県 株式会社アクセ 日本のデニム生地と製品を総称するブランドJAPAN DENIMの世界進出

32 2年目 熊本県 株式会社あつまるホールディングス 熊本発世界最先端やまがシルクを用いたシルクボディケアブランドの確立と販路開拓

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「地域産業資源活用」により新たな事業活動に取り組む中小企業支援

支援の流れ

地域の優れた資源(農林水産物、鉱工業品、観光資源等)を活用した新商品・新役務の開発や販路開拓の推進を目指し、「中小企業地域資源活用促進法」の認定を受けた中小企業者等に対し、試作品開発、展示会出展などの経費の一部を補助しています。

*認定を受けた計画には、補助金に加え、政府系金融機関による低利融資や信用保証の特例等の支援も用意されています。

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平成30年度地域資源計画認定一覧(繊維産業関連計画抜粋)

番号 事業者名 法人番号 類型 地域名 事業テーマ 事業概要活用する地域資源

中部-2 日清ニット ー 開発生産型愛知県一宮市

「尾州の毛織物」の製造技術を活用したオリジナルマフラー等の開発・製造・販売事業

地域産業資源「尾州の毛織物」の製造技術である糸の張力制御技術を活かして、 「糸の張力を均等に保つ」ことにより、製品の機能・効果・意匠性を高め、開発、生産、販路開拓に取り組む。「尾州の毛織物」で培われた「一定ではない糸の状態を巧みに操る技術力」を本事業で用いる編み機に応用することにより、江戸時代に尾州地域で一世風靡した「尾張縞」を現代風にアレンジした柄・模様を意匠性高く本製品に施すことを可能とした。本製品を「owarisima」ブランドとして拡販することにより尾州地域の知名度向上、ならびに地場産業への波及効果が期待できる。

尾州の毛織物(鉱工業品)

近畿-3 加地金襴株式会社 6130001004519 開発生産型京都府京都市

西陣の金襴織物の技術を活用したアパレル・インテリア業界向け生地の開発・生産・販売

硬くて重く分厚い仏教金襴を、金糸銀糸を使っても柔らかくて薄くて軽い生地に仕上げ、独特な透け感を表現する捩り織の技法も駆使し、日欧文化の融合をデザインコンセプトに、独特な生地を実現している。海外製品に比べて立体感に優れ、国内の西陣織と比べても極めて細い糸を使用して差別化を図っている。

西陣金襴、西陣織(鉱工業品)

近畿-5 袋谷タオル合資会社 2120103001245 開発生産型大阪府泉佐野市

綿や糸からこだわり、ユニークな染と柄を施した、高品質なタオルの開発、生産、販売

綿や糸からこだわり、柔らかで吸水性の高いタオルを開発、ユニークな染と柄を施し、2種類のシリーズを展開する。「雫~SHIZUKU~」シリーズは、水が滴るほど瑞々しい野菜染タオルであり、「のこり福~NOKORI-FUKU~」シリーズは、役目を終えた自然素材(のこり物)からこれまでにない色(福)を実現したタオルである。

タオル(鉱工業品)

近畿-6

株式会社播播磨染工株式会社株式会社ワイケーエス株式会社片山商店

9140001075804814000107569714700010092491140001075407

開発生産型兵庫県西脇市多可町

播州織産地の技術・特色を活かしたインディゴ染織物・製品の開発・生産・販売

綿・紙・リネン素材の様々な番手・ムラ糸などへの染色ができるインディゴ綛染色機を独自で開発。先染織物の特徴を活かした多彩な柄・素材を選ばない染色技術により、多様化する感性やトレンドに対応させた、新たな“播州インディゴ”織物・製品を開発・生産し、小ロット・短納期での競争力の強化を図り、国内外に販売する。

播州織(鉱工業品)

近畿-7 西垣靴下株式会社 6150001013237 開発生産型奈良県大和高田市

新開発特許のクッション編みで、従来にない耐久性と疲れにくい靴下の開発・製造・販売

特許を取得した、編み易い新型「クッション編み」を活用することで、耐久性があって衝撃緩和力がある靴下を、仕事用(工場・作業用、営業用等)、スポーツ用、日常生活用等、丈夫で疲れにくい靴下を求める方々のニーズに応えた靴下として開発・製造し販売する。

靴下(鉱工業品)

近畿-8

原田織物株式会社植助染工株式会社米川編織工場東陽染業株式会社

11700010110539120101040346-8170001010684

開発生産型和歌山県橋本市

ラッシェル機の編立て技術を活かした繊維雑貨製品の開発・生産・販売

特殊素材に対応できる整経技術とラッシェル機による独自の高度な編立て技術で、顧客の要望に沿った特性・特徴を有する新しい繊維雑貨製品を開発・提案・生産・販売する。顧客のニーズに敏速に対応した試作開発での提案や短納期・小ロット対応などで顧客満足度を向上させ、他社製品に対する競争力強化により事業拡大を図る。

パイル織物(鉱工業品)

東北-2 有限会社奥山メリヤス 6390002015539 開発生産型山形県寒河江市

ニットメーカーの高度な手作業と技術を活かした着心地が良くファッション性の高いニットソー製品の製造と販路開拓

高度なニット衣料製造技術、山形ニットの産地技術や関連企業の集積を活かし、「本物のベーシックデザイン」のTシャツやトレーナー等のニットソー衣料の製造と販路開拓、ブランド構築を行う。襟などにニットのパーツを使い、手作業の「リンキング技術」を活用して縫製を行い、セーターのような伸びと着易さを実現したニットソーを製造し、販路開拓を行いブランドの構築を目指す。

ニット(鉱工業品)

中部-9 MOVE - 開発・生産型愛知県愛西市

名古屋のアパレル技術を活かしたバッグ等の製造・販売事業

地域産業資源「名古屋のアパレル技術」を活用して、バッグ等の製造、販路開拓に取り組む。商品のPRポイントとしては、尾州の生地の特徴である「布柄の意匠性の高さ」、「品質の高さ」、「柔らかく軽い」が挙げられる。本商品の認知度の高まりと共に「織布産地」の認知度が高まり、地域のアパレル関連企業への波及効果が期待される。

名古屋のアパレル(鉱工業品)

近畿-1アイテック株式会社株式会社丸仁

52100010126468210001003948

開発生産型福井県鯖江市

繊維業界向けに開発された転写・反射技術等を活用した機能性眼鏡フレームの開発・販売

繊維業界で活用されている冷却・加温・消臭などの機能を付加したこれまでにない眼鏡枠を開発し、微妙なデザインやかけ心地を競いあう競合品にはない「機能性眼鏡枠」シリーズとして販路を開拓、「眼鏡産地福井」全体の差別化にも貢献することを目指す。

眼鏡(枠を含む)(鉱工業品)

近畿-5 カネマサ莫大小株式会社 2170001000674 開発生産型和歌山県和歌山市

織物の高級感と編物の伸縮性等による着心地の良さを兼ね備えたニット生地の開発・生産と需要開拓

これまでニット生地は、柔軟性はあるものの織物のようなパリッとした高級感に劣り、多様な組織柄も難しいと言われてきたが、本事業では当社の編み立て技術を活かして、独自仕様のハイゲージジャガード丸編機をフル活用することで、織物のような高級感を持たせ、多様な組織柄を施したニット生地の開発・生産・販売を行う。

ニット(鉱工業品)

中国-2 篠原テキスタイル株式会社 4240001030885 開発生産型広島県福山市

デニム製造の技術を活用した「柔らかく通気性の高いパイル調デニム生地」の開発・生産及び販路開拓

本事業では、繊細な糸を使ったデニム生地を製造する技術と、タオルに使用する「パイル生地」の製造技術を活用し、「パイル生地」と「デニム生地」の両方の特長を持つ、「柔らかく通気性の高いパイル調デニム生地」を開発し、製品化と新たな需要開拓に取り組む。

デニム(鉱工業品)

52

令和元年度地域資源計画認定一覧(令和元年12月16日現在)(繊維産業関連計画抜粋)

番号 事業者名 法人番号 類型 地域名 事業テーマ 事業概要活用する地域資源

近畿ー1

株式会社ニット・ウィン株式会社テルミックSAZ Planning有限会社山口縫製

715000101406061500010130888120002068149ー

開発生産型奈良県葛城市

独自オールドマシン技術を活かしたファクトリーブランドの靴下・ニット小物製品の開発・生産・販売

編み立てが難しい天然素材を技術力が必要なオールドマシンを活かし、丁寧で独自性の高い編立て技術で完成させる「日本のファクトリーブランド」として、国内市場に留まらず、欧州・米国を中心に海外市場に向けて販売する。

靴下(鉱工業品)

中部ー2 株式会社オオサカヤ 6180001091610開発・生産型

愛知県半田市

先染め方式でオーガニック素材の風合いや色合いを活かしたベビーアパレルの製造販売事業

地域産業資源「名古屋のアパレル」の生産に係る技術を活用し、吊天竺や知多木綿、三河木綿などこだわりの素材を、先染めで染色し、オーガニックコットン素材を活用したベビーアパレル商品の開発を行う。本事業製品のターゲットは「上質」「安心安全」な製品を求めるワンランク上のこだわりを持ち消費者層をターゲットとする。

名古屋のアパレル

中部-3 堀江織物株式会社 3 3180001084609開発・生産型

愛知県一宮市

自社のWEB受発注・ 生産管理システムを開 発活用した個人・法人 向けテキスタイル商品 等へのプリント・オン・ デマンド製造販売事業

地域産業資源「名古屋のアパレル」「愛知のIT技術と関連製品」の生産に係る技術を活用し、個人及び個人向けのものづくりサイト運営法人や一般企業の販促部門で活用できる自社オリジナルの受発注プログラムを開発し、Tシャツやファブリック製品等を、単品から中小ロットまで、短納期によるプリント・オン・デマンドサービスとして製造・提供する。

名古屋のアパレル、愛知のIT技術と関連製品(鉱工業品)

53

地域未来牽引企業

〔内容〕 対象となる区域(促進区域) 経済的効果に関する目標 地域の特性 × 推進したい分野 地域経済牽引事業の要件 事業環境整備の内容 等

市町村及び都道府県:基本計画

都道府県が承認※

〔申請主体〕①民間事業者、②官民連携型(地方公共団体及び民間事業者)

※②の場合は、国が事業を承認

〔内容〕 事業の内容及び実施時期

地域経済牽引事業の要件への適合性①活用する地域の特性 × 分野②付加価値創出額③地域の事業者に対する経済的効果

事業者間の役割分担 特例措置に関する事項 等

事業者等:地域経済牽引事業計画

国:基本方針

支援

同意

承認

○地域経済牽引事業の促進を図るための土地の利用の調整 等

土地の利用の調整を要する場合

都道府県が同意

市町村:土地利用調整計画

①予算による支援措置、②税制による支援措置、③金融による支援措置、④情報に関する支援措置、⑤規制の特例措置等

地域未来投資促進法の概要(地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律)

地域未来投資促進法は、地域の特性を活用した事業の生み出す経済的効果に着目し、これを最大化しようとする地方公共団体の取組を支援するもの。

基本方針に基づき、市町村及び都道府県は基本計画を策定し、国が同意。同意された基本計画に基づき事業者が策定する地域経済牽引事業(※)計画を、都道府県知事が承認。

(※)①地域の特性を生かして、②高い付加価値を創出し、③地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす事業

地域経済牽引事業の支援を行う「地域経済牽引支援機関」による連携支援計画を国が承認。

〔申請主体〕支援機関(公設試、大学等)〔内容〕 連携支援事業の目標 事業の内容及び実施時期 支援機関の役割分担 等

支援機関:連携支援計画

政策資源を集中投入して支援

55

基本計画の同意状況について

地域未来投資促進法の施行(平成29年7月31日)後、令和元年9月27日までに同意された基本計画は、合計235計画。

促進する分野

分野 件数

成長ものづくり 189

第4次産業革命 87

観光・スポーツ・文化・まちづくり 131

農林水産・地域商社 91

環境・エネルギー 70

ヘルスケア・教育 48

その他(物流など) 80

付加価値創出額の目標:約2.4兆円

土地利用調整を含む基本計画:31計画

工場立地法の特例の活用を含む基本計画:61計画

成長ものづくり

ものづくり企業の医療機器産業参入 航空機部品の共同受注 バイオ・新素材分野の実用化

農林水産・地域商社

農林水産品の海外市場獲得 地域産品のブランド化

第4次産業革命関連

IoT、AI、ビッグデータ IT産業集積の構築 データ利活用による高収益化

ヘルスケア・教育サービス

ロボット介護機器開発 健康管理サポートサービス 専修学校整備による専門職育成

観光・スポーツ・文化・まちづくり

スタジアム・アリーナ整備 訪日観光客の消費喚起 文化財の活用

環境・エネルギー

環境ビジネス 省エネルギー 再生可能エネルギー

56

56

<承認された地域経済牽引事業の例>

①北海道旭川市基本計画事業者名: (株)カンディハウス概要:豊富な森林資源を背景として原材料を地域から調達し、旭川家具の

新商品開発と海外販路開拓を実施。

②富山県基本計画事業者名: ダイト(株)概要:域内企業から包装資材等の調達を行いつつ、新たに建設する製造棟

において抗がん剤等の高性能薬剤の一貫製造体制を構築。

③熊本県基本計画事業者名:(株)ビタミン・カラー等(5社)概要:地元農家と連携し、センシング等の先端技術を活用した省人化設備

を提供しほうれん草を委託生産するなど、稼げる未来型農業の実現を目指す。

地域経済牽引事業計画について

国が同意した基本計画を踏まえ、令和元年9月30日までに1,849件の地域経済牽引事業計画(のべ2,430事業者(重複排除:2,269事業者))を承認した、と自治体から報告を受けている 。

<承認された地域経済牽引事業の例>

(注)承認地域経済牽引事業計画に記載されている、当該事業に関連する業種について集計。なお、関連する業種は複数記載可能であり、グラフ中の数値の合計値は承認地域経済牽引事

業計画の件数とは一致しない。

595 22 0 44 18

108112147

3 11 27 111

49 15 20 0 28

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

事業計画の業種別分類

1,705

※製造業の内訳の上位1位:食品製造業(259件)2位:金属製品製造業(246件)3位:輸送用機械器具製造業(199件)4位:生産用機械器具製造業(181件)5位:化学工業(116件)

57

連携支援計画について

事業支援に当たっては、研究開発支援、事業化支援、販路開拓支援等、事業段階に応じて様々な支援を行う体制を構築することが重要。

複数の支援機関が、不足する機能を相互に補完し、連携して行う事業支援を促進するため、国が「連携支援計画」を承認し、予算措置等により支援。

令和元年9月までに、79の連携支援計画を承認。

地方公共団体、公設試験研究機関、産業支援センタ-、大学、高専、研究機関、企業、独立行政法人、地方独立行政法人、商工会・商工会議所、中央会、弁護士、会計士、税理士協会、中小企業診断士協会、地銀、信用金庫、信用組合、政府関係金融機関、業界団体、NPO、民間事業者(支援業務を行う者であれば可)等

想定される地域経済牽引支援機関

<連携支援計画のイメージ>

事業者

大学、高専

県外大企業

産業支援機関

地銀、信用金庫

地方独立行政法人

工業試験場

JETRO、産総研等の独立行政法人

基礎研究支援等

製品化支援等

販路開拓支援等

性能検査等

資金融通、コンサル、 事業承継等

販路開拓支援、研究開発支援等

販路開拓支援、研究開発支援等

【ポイント】 連携主体間の役割分担と責任の所在を明確化 地域内で不足する機能は広域的な連携により補完

連携支援計画

58

58

③ 金融による支援措置

○資金供給の円滑化

・日本政策金融公庫による承認中小企業に対する設備資金、運転資金の長期(20年、7年以内)かつ固定金利での融資

・地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業基盤整備機構等によるファンド創設・活用等

④ 情報に関する支援措置

○候補企業の発掘等のための情報提供

・地域経済分析システム(RESAS)等を活用

⑤ 規制の特例措置等

○工場立地法の緑地面積率の緩和

○農地転用許可、市街化調整区域の開発許可等に係る配慮

○一般社団法人を地域団体商標の登録主体として追加

○事業者から地方公共団体に対する事業環境整備の提案制度

地域未来投資促進法に関連する支援措置① 予算による支援措置

○地域未来投資促進事業(令和2年度概算要求額:158億円)

1)総合的なイノベーション支援(地域中核企業ローカルイノベーション促進事業)

・地域のイノベーションを支える支援機関からなるネットワークの構築や、支援ネットワークが行う事業戦略策定、事業体制整備、研究開発、販路開拓、ノウハウ提供などへの支援2)ものづくり・サービスの開発(戦略的基盤技術高度化・連携支援事業)

・地域未来投資促進法の計画承認を受けた中小企業・小規模事業者等が、大学・公設試と連携して行う研究開発等への補助

○ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業費(令和2年度概算要求額:69.9億円)

・複数の中小企業・小規模事業者等が、共同で地域未来投資促進法の計画承認を受け、連携して行う事業における設備投資を支援

○地域未来オープンイノベーション・プラットフォーム構築事業(平成30年度補正予算:12億円)

・地域未来投資促進法の承認を受けた支援機関等に対して、地域で共同利用が見込まれる先端技術設備の導入・利用支援経費を補助

○地方創生推進交付金の活用(令和2年度概算要求額:1,200億円)

・地域未来投資促進法に基づき都道府県の承認を受けた事業計画については弾力措置の対象。(申請上限の弾力化)

② 税制による支援措置

○課税の特例・先進的な事業に必要な設備投資に対する減税措置✔ 機械・装置等:40%特別償却、4%税額控除(上乗せ要件を満たす場合:50%特別償却、5%税額控除)✔ 建物等:20%特別償却、2%税額控除

○地方税の減免に伴う補てん措置・固定資産税等を減免した地方公共団体に減収補てん

59

(令和元年度 地域中核企業ローカルイノベーション支援事業プロジェクト)

60

(平成30年度 地域中核企業創出・支援事業)

61

地域未来牽引企業(繊維関係企業抜粋)97社「地域未来牽引企業」は、地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済波及効果を及ぼすことにより地域の経済成

長を力強く牽引する事業を更に積極的に展開されること、または、今後取り組まれることが期待される企業として経済産業省が3,691社を選定。http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171222003/20171222003.html

公表都道府県

企業名公表

都道府県企業名

公表都道府県

企業名

岩手県 岩手モリヤ株式会社 福井県 株式会社ミツヤ 和歌山県 株式会社ヤマヨテクスタイル宮城県 株式会社ビック・ママ 福井県 山甚撚糸株式会社 岡山県 加茂繊維株式会社秋田県 ナガイ白衣工業株式会社 山梨県 株式会社甲斐絹座 岡山県 菅公学生服株式会社山形県 青文テキスタイル株式会社 静岡県 サンエムパッケージ株式会社 岡山県 クロキ株式会社山形県 佐藤繊維株式会社 静岡県 ナカダ産業株式会社 岡山県 株式会社ショーワ山形県 Spiber株式会社 静岡県 有限会社福田織物 岡山県 株式会社ストライプインターナショナル山形県 有限会社奥山メリヤス 静岡県 山本被服株式会社 岡山県 ダイヤ工業株式会社山形県 オリエンタルカーペット株式会社 愛知県 株式会社エアウィーヴ 岡山県 有限会社ニイヨンイチ山形県 鶴岡シルク株式会社 愛知県 カネヤ製綱株式会社 岡山県 日本植生株式会社福島県 齋栄織物株式会社 愛知県 株式会社くればぁ 岡山県 日本綿布株式会社茨城県 東洋平成ポリマー株式会社 愛知県 株式会社髙木化学研究所 岡山県 株式会社ベティスミス群馬県 朝倉染布株式会社 愛知県 福井ファイバーテック株式会社 広島県 カイハラ株式会社千葉県 まくら株式会社 滋賀県 株式会社アイ.エス.テイ 広島県 株式会社せとうちホールディングス東京都 FSX株式会社 滋賀県 高島晒協業組合 徳島県 株式会社ときわ東京都 株式会社キュアテックス 滋賀県 株式会社ナンガ 愛媛県 一広株式会社東京都 株式会社Xenoma 滋賀県 株式会社フジックス 愛媛県 シンワ株式会社新潟県 株式会社いつ和 滋賀県 洛東化成工業株式会社 愛媛県 福助工業株式会社新潟県 株式会社きものブレイン 京都府 大東寝具工業株式会社 愛媛県 株式会社本田洋行石川県 カジナイロン株式会社 京都府 ハムス株式会社 愛媛県 株式会社リブドゥコーポレーション石川県 サンコロナ小田株式会社 京都府 ミツフジ株式会社 高知県 金星製紙株式会社石川県 丸井織物株式会社 兵庫県 金井重要工業株式会社 高知県 三和製紙株式会社福井県 ウラセ株式会社 兵庫県 株式会社がまかつ 高知県 廣瀬製紙株式会社福井県 小浜製綱株式会社 兵庫県 株式会社ソーイング竹内 福岡県 株式会社岡野福井県 ケイテー・テクシーノ株式会社 兵庫県 フルヤ工業株式会社 福岡県 株式会社グリーンクロス福井県 小杉織物株式会社 兵庫県 株式会社ユタックス 福岡県 有限会社小倉クリエーション福井県 株式会社SHINDO 奈良県 川村繊維株式会社 福岡県 株式会社サヌイ織物福井県 第一織物株式会社 奈良県 西垣靴下株式会社 福岡県 株式会社鹿田産業福井県 株式会社タケダレース 和歌山県 青野パイル株式会社 長崎県 粕谷製網株式会社福井県 テラオライテック株式会社 和歌山県 株式会社小久保工業所 長崎県 住商エアバッグ・システムズ株式会社福井県 日本特殊織物株式会社 和歌山県 太洋工業株式会社 熊本県 シタテル株式会社福井県 広撚株式会社 和歌山県 妙中パイル織物株式会社 熊本県 第一製網株式会社福井県 福井経編興業株式会社 和歌山県 原田織物株式会社 熊本県 株式会社マークス福井県 松文産業株式会社

2018/12/25時点 62

事業承継

3つの柱で政策を抜本強化

第三者承継における課題と対応の方向性

現在、中小企業のM&Aは年間4,000件弱に留まり、潜在的な後継者不在の中小企業の数(127万者)からして不十分。

その背景として、以下3つの課題が存在。それぞれで抜本的な対策が必要。

①個人保証の存在により、承継を拒否。

②適切な相手が見つからない。(従業員含む)

○承継後の経営統合や事業戦略の再構築にコストを要し、承継を躊躇。

マッチング後

課題③承継後の経営統合が困難

1.経営者の売却を促すための ルール整備や官民連携の取組

2.マッチング時のボトルネック除去や登録事業者数の抜本増加

3.マッチング後の各種コスト軽減

①経営者にとって第三者承継が身近でなく、他者へ「売る」ことへの抵抗感が根強い。

②仲介手数料や仲介業者などのM&Aに係る情報が不十分で、売りを躊躇。

マッチング前

課題①

売り案件が圧倒的に少数※中小M&A市場の売り・買い案件の割合

1:9程度

マッチング時

課題②マッチングの成立が困難

※事業引継ぎ支援センターの成約率約8%

64

65黒字廃業を回避するための第三者承継支援総合パッケージ(10年間の集中実施)

10年間で60万者(6万者/年×10年)の第三者承継の実現を目指す。

技術・雇用等の中小企業の経営資源を、次世代の意欲ある経営者に承継・集約。

1.経営者の売却を促すためのルール整備や官民連携の取組

(1)「事業引継ぎガイドライン」を改訂し、経営者が適正な仲介業者・手数料水準を見極めるための指針を

整備。第三者承継を経営者の身近な選択肢とする。

(2)事業引継ぎ支援センターの無料相談体制を抜本強化し 、経営者が気軽に相談できる第三者承継の

駆け込み寺に。

2.マッチング時のボトルネック除去や登録事業者数の抜本増加

(1)「経営者保証ガイドライン」の特則策定により、個人保証の二重取りを原則禁止。

(2)「事業引継ぎ支援データベース」を民間事業者にも開放し、スマホのアプリを活用したマッチングなど、

簡便なしくみを提供。

3.マッチング後の各種コスト軽減

○ 新社長就任に向けた後継者の教育支援や、事業の選択と集中を促す補助金の創設をはじめ、予算・税・

金融支援を充実。

66第三者承継推進徹底会議について

本パッケージの実施に向け、2020年3月、梶山大臣出席の下、経済産業省と官民の主要プレイヤーが集まる場を設け、行政と支援機関、民間事業者が一体となって第三者承継支援を全国的に進めていくための推進会議を開催予定。

本パッケージの進捗状況を確認し、必要な対応を行うため、以降年1回程度本会議を開催し、フォローアップを行う予定。

①初回日時・場所・2020年3月13日(金)(P)

・経済産業省講堂

②主な出席者(調整中)

・梶山経済産業大臣

・中小企業庁、金融庁

・事業承継支援機関(商工団体、金融機関、民間M&A事業者、士業団体、事業引継ぎ支援センター、自治体等)の代表者

・民間プラットフォーマーの代表者

③当日のスケジュール(予定)

・冒頭挨拶(5分) 【梶山経済産業大臣】

・「第三者承継支援総合パッケージ」について(10分)【前田中小企業庁長官】

・各支援機関からの説明(30分(5分×6者)(P))【各機関の代表】

下請取引の適正化

サプライチェーン全体での「取引適正化」に向けた望ましい取引慣行を浸透させること等を目的に、各産業界自らが取組む行動をまとめた「自主行動計画」は、現在、14業種36団体にて策定済。

取組の実施状況について、策定団体自ら、毎年フォローアップ調査を実施しており、必要に応じて自主行動計画の改定を行いつつ、更なる取組を進めることとなっている(PDCAの実施)。

策定団体のうち、経済産業省所管の8業種29団体が9月~11月にフォローアップ調査を実施。

下請取引の適正化に関する自主行動計画フォローアップ調査概要

業種 団体名

自動車日本自動車工業会

日本自動車部品工業会

素形材 素形材センター等 計9団体

機械製造業

日本建設機械工業会日本産業機械工業会日本工作機械工業会日本半導体製造装置協会日本ロボット工業会

繊維 日本繊維産業連盟等 計2団体

紙・紙加工業 日本製紙連合会

電機・情報通信機器 電子情報技術産業協会(JEITA)等 計4団体

情報サービス・ソフトウェア 情報サービス産業協会

航空宇宙工業 日本航空宇宙工業会(本年度初回)

流通業

スーパー、コンビニ、ドラッグストア等の小売業

日本スーパーマーケット協会全国スーパーマーケット協会日本チェーンドラッグストア協会日本フランチャイズチェーン協会日本ボランタリーチェーン協会日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(本年度初回)

建材・住宅設備 日本建材・住宅設備産業協会

業種 団体名 実施時期

警備業※警察庁より要請

全国警備業協会 2019年12月~1月頃

放送コンテンツ業※総務省より要請

放送コンテンツ適正取引推進協議会

2019年度内

トラック運送業※国交省より要請

全日本トラック協会 2020年1月中旬

建設業※国交省より要請

日本建設業連合会 2020年5月~6月頃

<他省庁 所管団体>

<経済産業省 所管団体>

※なお、赤字は平成31年4月以降、新たに策定した団体であり、調査は次年度から実施する予定。

68

自主行動計画のフォローアップ調査結果①

日本繊維産業連盟、繊維産業流通構造改革推進協議会の会員企業に対して、29年秋、30年秋、令和元年秋にフォローアップアンケートを行ったところ、結果は次ページ以降のとおり。取引改善に向けた取組は、昨年同様道半ば。

フォローアップ調査の概要

※受発注双方を行っている企業は、発注側・受注側双方に計上。回答数の内訳

第1回調査期間:平成29年9月27日~10月31日

送付数 :3,700社

回答数 :572社(回答率15.5%)

第2回調査期間:平成30年9月20日~10月31日

送付数 :3,182社

回答数 :887社(回答率27.9%)

大企業29年 30年 令和元年

中小企業

29年 30年 令和元年

合計

29年 30年 令和元年

発注側47社

(5.7%)

94社

(7.4%)

83社(8.4%)

243社

(29.4%)

415社

(32.5%)

325社(33.1%)

290社

(35.1%)

509社

(39.8%)

411社(41.4%)

受注側33社

(4.0%)

61社

(4.8%)

55社(5.5%)

504社

(60.9%)

708社

(55.4%)

525社(53.0%)

537社

(64.9%)

769社

(60.2%)

581社(58.6%)

合計 80社 155社 138社 747社 1,123社 850社 827社 1,278社 992社

第3回調査期間:令和元年9月25日~10月17日

送付数 :1,941社

回答数 :678社(回答率34.9%)

自主行動計画の周知・浸透・徹底

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済 51.2% 56.4% 63.7% 51.2% 50.1% 56.3%

69

自主行動計画のフォローアップ調査結果②

不合理な原価低減要請を行っていないか/受けていないか

「原価低減要請の改善」について、改善傾向。

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済297社

(77.5%)

360社

(76.8%)

357社(79.0%)

252社

(50.8%)

357社

(53.6%)

293社(55.6%)

実施中54社

(14.1%)

70社

(14.9%)

59社(13.1%)

123社

(24.8%)

182社

(27.3%)

171社(27.5%)

未実施32社

(8.4%)

39社

(8.3%)

36社(8.0%)

121社

(24.4%)

127社

(19.1%)

96社(16.9%)

70

自主行動計画のフォローアップ調査結果③

「在庫コストの協議」について、改善傾向。

在庫保管コストに関する協議の徹底

発注側

29年 30年 令和元年

受注側29年 30年 令和元年

実施済297社

(78.0%)

361社

(77.6%)

351社(79.6%)

251社

(49.5%)

327社

(47.3%)

262社(49.4%)

実施中42社

(11.0%)

69社

(14.9%)

53社(12.0%)

120社

(23.7%)

210社

(30.4%)

160社(30.2%)

未実施42社

(11.0%)

35社

(7.5%)

37社(8.4%)

136社

(26.8%)

154社

(22.3%)

108社(20.4%)

71

自主行動計画のフォローアップ調査結果④

「歩引き取引廃止に向けた協議の徹底」について、改善しているものの、「完全廃止」との回答が発注側で約8割、受注側で約5割と昨年と同様に乖離あり。

歩引き取引廃止に向けた協議の徹底

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済272社

(71.0%)

315社

(68.5%)

343社(75.7%)

198社

(41.0%)

270社

(40.6%)

261社(46.7%)

実施中38社

(9.9%)

76社

(16.5%)

58社(12.8%)

126社

(26.1%)

202社

(30.3%)

139社(24.9%)

未実施73社

(19.1%)

69社

(15.0%)

52社(11.5%)

159社

(32.9%)

194社

(29.1%)

159社(28.4%)

72

自主行動計画のフォローアップ調査結果⑤

「契約書等の書面化」については、受注側において取組が進んでいるものの、書面化に至っていないケースが半数近く存在。

契約書等の書面化

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済256社

(66.7%)

349社

(72.9%)

336社(72.1%)

263社

(50.5%)

359社

(50.4%)

293社(52.3%)

実施中62社

(16.1%)

80社

(16.7%)

73社(15.7%)

123社

(23.7%)

189社

(26.6%)

171社(30.5%)

未実施66社

(17.2%)

50社

(10.4%)

57社(12.2%)

134社

(25.8%)

164社

(23.0%)

96社(17.1%)

73

自主行動計画のフォローアップ調査結果⑥

下請代金の現金及び手形等の割合

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

すべて現金245社

(63.3%)251社

(54.9%)304社

(64.3%)217社

(42.5%)243社

(36.8%)218社

(40.7%)

手形10%未満32社

(8.3%)46社

(10.1%)38社

(8.0%)53社

(10.4%)82社

(12.4%)55社

(10.3%)

手形10~30%未満42社

(10.8%)44社

(9.6%)48社

(10.1%)87社

(17.0%)131社

(19.8%)101社

(18.8%)

手形30~50%未満34社

(8.8%)54社

(11.8%)42社

(8.9%)68社

(13.3%)93社

(14.1%)82社

(15.3%)

手形50%以上33社

(8.5%)57社

(12.5%)37社

(7.8%)75社

(14.7%)104社

(15.8%)71社

(13.2%)

すべて手形1社

(0.3%)5社

(1.1%)4社

(0.8%)11社

(2.1%)7社

(1.1%)9社

(1.7%)

「下請代金の現金及び手形等の割合」は、発注側・受注側ともに、「すべて現金払い」が昨年より増加。

74

自主行動計画のフォローアップ調査結果⑦

「手形サイト」については、「90日を超える手形」の使用が、発注側・受注側ともに昨年より減少するも、依然発注側の約2割、受注側の約4割が「90日を超える手形」を使用。

手形等のサイト

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

30日以内 16社(9.8%)

9社(4.2%)

6社(3.4%)

11社(4.0%)

13社(3.5%)

7社(2.4%)

60日以内 25社(15.2%)

32社(14.7%)

30社(16.8%)

27社(9.8%)

48社(13.1%)

42社(14.3%)

90日以内 83社(50.6%)

118社(54.4%)

106社(59.2%)

98社(35.8%)

155社(42.1%)

138社(47.1%)

120日以内 26社(15.9%)

36社(16.6%)

25社(14.0%)

69社(25.2%)

102社(27.7%)

73社(24.9%)

120日超 14社(8.5%)

22社(10.1%)

12社(6.7%)

69社(25.2%)

50社(13.6%)

33社(11.3%)

<24.4%> <26.7%> <20.7%> <50.4%> <41.3%> <36.2%>

75

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済106社

(52.7%)90社

(42.1%)106社

(54.9%)70社

(23.0%)77社

(21.5%)73社

(25.5%)

実施中35社

(17.4%)38社

(17.7%)29社

(15.0%)52社

(17.1%)59社

(16.4%)59社

(20.6%)

未実施60社

(29.9%)86社

(40.2%)58社

(30.1%)182社

(59.9%)223社

(62.1%)154社

(53.8%)

発注側

29年 30年 令和元年

受注側

29年 30年 令和元年

実施済286社

(76.7%)385社

(82.6%)369社

(83.1%)222社

(45.6%)327社

(47.7%)264社

(50.5%)

実施中54社

(14.5%)59社

(12.7%)55社

(12.4%)131社

(26.9%)224社

(32.6%)175社

(33.5%)

未実施33社

(8.8%)22社

(4.7%)20社

(4.5%)134社

(27.5%)135社

(19.7%)84社

(16.1%)

自主行動計画のフォローアップ調査結果⑧

手形等の割引料等のコストを勘案した下請代金

労務費上昇に伴う取引対価の見直しに関する協議の徹底

「労務費上昇に伴う取引対価の見直し協議」は、発注側・受注側ともに実施済が増加。

「手形等の割引料等のコスト」について、発注側・受注側ともに実施済みが増加するも、発注側では約3割、受注側では約5割が下請代金に反映できていない。

76

自主行動計画のフォローアップ調査結果⑨

「単価の決定・改定」においては、発注側・受注側ともに、労務費等の変動を反映できた企業が全体的に増加するも、受注側においては、依然約3割~4割弱が反映できていない。

単価の決定・改訂において労務費・原材料価格・エネルギー価格の変動を反映できたか

発注側

労務費29年 30年 令和元年

原材料価格29年 30年 令和元年

エネルギー価格

29年 30年 令和元年

概ねできた

360社(50.8%)

238社(56.5%)

230社(64.6%)

168社(46.7%)

238社(56.0%)

223社(60.1%)

317社(44.8%)

215社(51.5%)

211社(58.6%)

一部できた

217社(30.7%)

113社(26.9%)

85社(23.9%)

133社(36.9%)

126社(29.6%)

112社(30.2%)

217社(30.7%)

120社(28.8%)

96社(26.7%)

あまりできなかっ

131社(18.5%)

70社(16.6%)

41社(11.5%)

59社(16.4%)

61社(14.4%)

36社(9.7%)

173社(24.5%)

82社(19.7%)

53社(14.7%)

受注側

労務費

29年 30年 令和元年

原材料価格29年 30年 令和元年

エネルギー価格

29年 30年 令和元年

概ねできた

239社

(25.8%)

166社

(27.5%)

143社(32.7%)

123社

(26.3%)

176社

(28.6%)

151社(33.6%)

229社

(24.8%)

166社

(27.1%)

140社(32.0%)

一部できた

281社

(30.4%)

211社

(35.0%)

127社(29.1%)

157社

(33.6%)

240社

(39.0%)

153社(34.1%)

259社

(28.1%)

219社

(35.8%)

128社(29.3%)

あまりできなかっ

406社

(43.8%)

226社

(37.5%)

167社(38.2%)

187社

(40.1%)

199社

(32.4%)

145社(32.3%)

435社

(47.1%)

227社

(37.1%)

169社(38.7%)

77

外国人技能実習

繊維産業技能実習事業協議会

外国人技能実習に関し、繊維産業(特に縫製業)における法令違反(最低賃金・割増賃金等の不払い、違法な時間外労働等)が多く指摘されており、業種別の不正行為では過半数を占めている。

こうした状況を踏まえ、経済産業省では、繊維産業を所管する立場から、外国人技能実習法第54条に基づき、平成30年3月に関係業界団体等を構成員とする繊維産業技能実習事業協議会を設置した。(事務局:生活製品課、日本繊維産業連盟)

同協議会において、技能実習の適切な実施等に向けた業界としての取組等を協議することとしている。

【目的】

事業協議会の構成員が相互の連絡を図ることにより、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に有用な情報を共有し、構成員の連携の緊密化を図るとともに、繊維産業の実情を踏まえた技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する取組について協議を行うこと。

【協議事項】

①技能実習制度の適正化等に係る周知及び徹底

②技能実習の実施及び技能実習生の保護に係る状況の把握

③技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する取組

団体監理型での実習実施機関の業種別「不正行為」機関数

出典:法務省入国管理局 報道発表資料

79

繊維産業技能実習事業協議会の構成員等(平成31年4月25日現在)

【実習実施者・監理団体の関係者】日本繊維産業連盟繊維産業流通構造改革推進協議会全国染色協同組合連合会全日本婦人子供服工業組合連合会日本麻紡績協会日本アパレルソーイング工業組合連合会(一社)日本アパレル・ファッション産業協会(一社)日本インテリアファブリックス協会日本羽毛製品協同組合日本織物中央卸商業組合連合会日本化学繊維協会日本カーペット工業組合日本絹人繊織物工業組合連合会日本靴下協会日本靴下工業組合連合会日本毛織物等工業組合連合会日本毛整理協会協同組合日本シャツアパレル協会(一社)日本寝具寝装品協会日本繊維染色連合会日本繊維輸出組合日本繊維輸入組合(一社)日本染色協会(一社)日本ソーイング技術研究協会日本タオル工業組合連合会日本テントシート工業組合連合会日本ニット工業組合連合会日本ニット中央卸商業組合連合会

日本縫糸工業協会日本撚糸工業組合連合会日本被服工業組合連合会日本ふとん製造協同組合日本紡績協会(一社)日本ボディファッション協会日本綿スフ織物工業連合会日本毛布工業組合日本輸出縫製品工業組合日本羊毛産業協会日本和紡績工業組合

【事業所管省庁】経済産業省製造産業局

【オブザーバー】法務省出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課厚生労働省人材開発統括官付海外人材育成担当参事官室経済産業省経済産業政策局産業人材政策担当参事官室外国人技能実習機構監理団体部全国中小企業団体中央会全日本帽子協会日本編レース工業組合連合会日本作業手袋工業組合連合会日本製網工業組合(一社)繊維評価技術協議会日本手袋工業組合日本ネクタイ組合連合会日本不織布協会

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「繊維産業における外国人技能実習の適正な実施等のための取組」の概要

繊維産業技能実習事業協議会を、平成30年6月19日まで4回にわたって開催し、「繊維産業における外国人技能実習の適正な実施等のための取組」を決定、公表。

主務官庁による適切な法執行等に加え、繊維業界としても、業界団体主導で、①技能実習に係る法令遵守等を徹底するほか、より根本的には、②取引適正化を一層推進するとともに、③発注企業はサプライチェーン全体における法令遵守等に社会的責任を果たすなどの取組を進める。

繊維業界におけるこれらの取組状況等については、今後、協議会でフォローアップを行っていく。

<フォローアップの状況>

〇 第5回~第8回(平成30年10月11日、12月20日、平成31年4月25日、令和元年11月1日)

1.取組状況のフォローアップ

2.サプライチェーンの責任に係る取組に関する事例紹介

〇 今後の予定

第9回の開催については、各団体の取組状況等を踏まえ、決定する。

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参考

令和2年度 経済産業省関係 当初予算案のポイント 括弧内は令和元年度当初予算額

※四捨五入の結果、合計が一致しない場合がある。

(億円)

一般会計(エネ特繰入除く) エネルギー対策特別会計 特許特別会計 合計

うち、中小企業

対策費

うち、科学技術

振興費うち、その他

うち、エネルギー

需給勘定

うち、電源開発

促進勘定

うち、原子力損害賠

償支援勘定

令和2年度 当初予算案額(臨時・特別の措置は除く) 3,589 1,111 1,133 1,345 7,481 5,754 1,675 52 1,649 12,719

令和元年度 当初予算額(臨時・特別の措置は除く) 3,550 1,117 1,079 1,354 7,230 5,469 1,705 56 1,641 12,421

Ⅴ.日本経済の土台となるエネルギー安全保障の強化

Ⅱ.デジタル経済の進展への対応

1.Connected Industriesの実現【348億(321億)+IPA交付金59億(46億)の内数】• 異なるシステムが連携する際の共通技術仕様(アーキテクチャ)設計を官民一体で実施する体制を整備。• 戦略的なシステム間連携や最先端AI技術の活用によるビジネスモデル構築等を支援。• Connected Industriesを支える人工知能・ロボット・センシング等の基盤技術の開発・実証を推進。

2.官民デジタルトランスフォーメーション【90億 (77億)+IPA交付金59億 (46億)の内数】• 法人行政手続や民間業務のデジタル化を推進するとともに、データ利活用のプラットフォームを構築。• 中小企業を含めたグローバルサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ確保を推進。• EBPM(証拠に基づく政策立案)やナッジ(行動変容手法)等の行政効果・効率を高める手法を推進。

1. 大改革を実現する人づくり(1)第四次産業革命を進める人材育成【19億(11億)】• STEAM(※1)学習コンテンツの開発やEdTech(※2)推進を通じ、新しい学びの環境づくりを推進。• 企業へのAI/IT導入を進められる人材を育成。

(2)明るい社会保障改革の実現 【24億(19億)】• 事業化支援やヘルスケアデータの標準化等を進め、優れた民間予防・健康サービスの創出

を促進。

2. イノベーションを生み出す環境整備(1)研究者等の育成・魅力向上【58億(25億)】• 大学の技術シーズや有望な若手研究者を発掘・育成。• J-Startup企業を中心としたスタートアップへの支援(国内外展開、量産・事業化等)

や、研究 開発型スタートアップの技術開発・事業化をハンズオンで支援。

(2) Society5.0実現の研究開発・社会実装【799億(647億)】• 自動⾛行・MaaS(※3)に関する研究開発や社会実装を推進。

• 高齢者の移動手段多様化への対応(超小型EVの導入支援)。• 5Gにおいても重要な半導体産業等の産業基盤を強化するため、AIチップ開発等を促進。• Society5.0を支える革新的な基盤技術群に関する研究開発を推進。

(1)個社の成長の徹底支援【331億(325億)+JETRO交付金254億(250億)の内数】• 事業承継時に経営者保証の二重徴求を原則禁止する。さらに、経営者保証を不要とする信用保証制度を創設

し、保証料を最大ゼロまで軽減。また、事業引継ぎの促進・円滑化を図るために、課題の解決に向けた適切な助言、情報提供及びマッチング支援等をワンストップで行う。

• 「ものづくり・商業・サービス補助金」「自治体型持続化補助金」「IT導入補助金」による中小企業の生産性向上。• 新輸出大国コンソーシアムを中心とした中堅・中小企業の海外展開を支援し、グローカル(※4)な取組を促進。加え

て、海外の主要ECサイトでの販売を拡大するとともに、クラウドファンディングなどの民間の新たな販路の活用も推進。

• 下請Gメンによる下請事業者へのヒアリング結果や産業分析等を通じて、中小企業の更なる取引条件の改善を推進。• よろず支援拠点や商工会等による働き方改革を含む経営相談の実施や、専門家派遣による知財戦略構築を支援。

(1)地域の稼ぐ力強化【202億 (192億)】• 地域・社会課題に対し、創業も含めたビジネス面での解決を目指す取組を支援。• 地域未来牽引企業等への研究開発や販路開拓の支援を充実。• 大阪・関⻄万博の情報発信や、魅力的な地域・コンテンツ作りを進めることを通じて、インバウンドの拡大を進める。

(1) 「安全・安心」の確保/レジリエンス強化【4,427億 (4,343億)】• ⽯油・天然ガス・金属鉱物の供給源多⾓化に向けた、JOGMECによるリスクマネー供給の強化や

メタンハイドレート等の海洋資源を含む国産資源開発、レアメタル・レアアース探査等の推進。

• 製油所やガソリンスタンド等への災害時に備えた自家発電設備の導入等を支援。• 技術・人材等の原子力産業基盤全体の維持・強化、原子力立地地域の地域振興

策を拡充。

Ⅰ.最重要課題:福島の復興・再生(なりわいの再建や、福島イノベーション・コースト構想を軸とした産業集積。)【1,009億(1,078億)】 ※一部、東日本大震災復興特別会計(復興庁計上)事業あり。

Ⅳ.新たな成長モデルの創出を支える基盤の整備3. 人⼝減少時代の地域・中小企業政策

※1 STEAM教育: 科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、リベラルアーツ・教養(Arts)、数学(Mathematics)を活用した文理融合の課題解決型教育。

※2 EdTech: Education(教育)×Technology(科学技術)を掛け合わせた造語。AI、IoT、VR等のテクノロジーを活用した革新的な能力開発技法。

※3 MaaS: Mobility as a Serviceの略称。IoTやAIを活用した新しいモビリティサービス。 / ※4 グローカル: 世界市場(グローバル)に地方企業(ローカル)が直接製品等を提供し、その成長の取り込みを図るもの。

(1)エネルギー転換/脱炭素化【3,054億 (2,887億)】• 燃料電池自動車や水素ステー ションの支援拡大、関連規制の見直し、次世代燃料電池の低コスト化・高効率化等の技術開発・実証。• ⽕力発電の更なる高効率化、⽕力発電所等から回収したCO2のバ イオ燃料化や化学品製造等のカー ボ ンリサイクル技術の開発加速。• 再エネ主力電源化に向けた超軽量太陽電池や蓄電池等の革新技術開発、洋上⾵力・地熱の事業化支援、電動車を需給調整に

本格活用するための実証や、災害に強く柔軟な真の地産地消にも資する分散型エネルギーシステムの構築支援。

Ⅲ.自由で公平な通商・貿易、国際的な気候変動対策

1. 自由で公平な通商・貿易、国際的な気候変動対策【440億(429億)+JETRO交付金254億(250億)の内数】

• 相互補完的な経済協力関係の深化を推進。また、スマートシティなど我が国の質の高いインフラの海外展開を促進。

• 安全保障と一体となった経済の強靱化を進めるため、重要技術に関する情報収集や管理体制等を強化。

• 革新的なクリーンエネルギー技術の国際的な共同研究開発を進めるなど、イノベーションを通じた気候変動対策等を推進。

Ⅵ.消費税率引上げに伴う対策(臨時・特別の措置)【2,753億】• 中小・小規模事業者が行うポイント還元等に対する支援や、商店街活性化支援を実施。

Ⅶ.防災・減災、国土強靱化対策(臨時・特別の措置)【340億】• エネルギーインフラの整備など、耐震化・強靱化を実施。

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①事業承継・再編・創業等による新陳代謝の促進 【R1補正 64億円/R2当初 148億円】

②生産性向上・デジタル化 【R1補正 3,610億円/R2当初 311億円】

③地域の稼ぐ力の強化・インバウンドの拡大 【R1補正 18億円/R2当初 261億円】

⑤災害からの復旧・復興、強靱化 【R1補正 375億円】④経営の下支え、事業環境の整備

中小企業の今後相次ぐ制度変更(働き方改革、社会保険適用拡大、賃上げ

インボイス導入等)への対応のため、生産性向上を継続的に支援。「ものづくり

補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」を一体運用。

専門家による、生産性向上に課題を抱える業種の特性に応じた相談対応。

中小企業の現場へのAI導入を支援する人材の育成・普及。

事業承継を契機とした生産性向上(ベンチャー型事業承継・第二創業)、経営

資源引継ぎ型の創業、事業承継時の一部廃業も支援。

経営者保証の解除促進に向けた専門家支援。事業承継時に経営者保証を

不要とする新たな信用保証メニューの創設、専門家の確認を受けた場合に保証

料を最大ゼロ(管理費の一部を除く)と大幅軽減。

事業引継ぎ支援センターにおけるマッチング支援により第三者承継を後押し。

地域経済を牽引する企業等を重点的に支援し、 イノベーションによる新事業展開

(地域未来投資)を促進。

訪⽇客⽬線でのコンテンツ開発、商店街等のデータ活⽤等によるインバウンド需要

の取込強化。

大企業の中堅人材等による地方での起業や中小企業への就職等を後押し。

地域・社会課題を解決するビジネスモデルや地域における創業を支援。

海外販路開拓等に向けた商品・サービス開発やブランディング等の支援。

補正中小企業・小規模事業者の生産性向上支援体制強化 等 【52億円<R1補正、R2当初>】当初

当初 JAPANブランド育成支援等事業 【10億円(新規)】

「令和元年度補正予算案」及び「令和2年度当初予算案」について(地域・中小企業・小規模事業者関係)

中小企業・小規模事業者は、「経営者の高齢化」、「人手不足」、「人⼝減少」という構造変化に直面。加えて、働き方改革、社会保険適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの相次ぐ制度変更に対応する必要。

①「事業承継・再編・創業等による新陳代謝の促進」、②「生産性向上・デジタル化」、③「地域の稼ぐ力の強化・インバウンドの拡大」、④「経営の下支え、事業環境の整備」に重点的に取り組む。さらに、⑤「災害からの復旧・復興、強靱化」に切れ目なく支援。

基本的な課題認識と対応の方向性

中小企業対策費30当初

(29補正)31当初

(30補正)R2当初

(R1補正)

経産省計上1,110億円

(1,976億円)1,117億円

(2,634億円)1,111億円

(4,067億円)

・大企業の中堅人材等を対象に地方でのビジネス等に必要なスキルの向上等を支援。地域企業に有効な人材確保手法の調査等を実施。

・中小企業等と外国人専門家が連携し、外国人観光客に刺さる商品・サービス開発や店舗データ分析等による効果的な商品・サービスの提供を支援。

・海外販路開拓等のための新商品・サービス開発等の取組や、支援事業者等による海外向けECサイトやクラウドファンディングの活用支援。

※灰色網がけ欄は対応する主な措置の例示したもの。

当初日本公庫による政策金融(マル経融資含む) 【205億円(207億円)】

当初消費税転嫁状況監視・検査体制強化事業 【31億円(33億円)】当初中小企業取引対策事業 【10億円(10億円)】当初小規模事業対策推進等事業 【59億円(50億円)】当初商店街活性化・観光消費創出事業(臨時・特別の措置) 【30億円(50億円)】 等 当初 中小企業強靱化対策 【独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】

補正 事業承継・世代交代集中支援事業 【51億円<R1補正>】・各都道府県に設置した「事業承継ネットワーク」による事業承継診断等の掘り起こしを実施。また、事業承継を契機とした設備投資・販路拡大支援(新事業に転換する場合は補助増額)や中小企業が外部人材を後継者とする場合の有効な教育方法の調査を行う。

補正 事業承継時の経営者保証解除に向けた専門家による支援 【13億円<R1補正>】・事業承継時に経営者保証の解除を目指す中小企業に対し、経営者保証ガイドラインの充足状況の確認や金融機関との交渉を支援。

当初 中小企業信用補完制度関連補助・出資事業 【73億円(59億円)】・信用補完制度を通じた円滑な資金供給支援等。また、事業承継時に経営者保証を不要とするメニューの新設及びその保証料を軽減。

当初 中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業 【75億円(70億円)】・後継者不在の中小企業に対するマッチング支援をワンストップで行う。また、経営資源引継ぎ型の創業も後押し。

補正 インバウンド需要拡大推進事業 【5億円<R1補正>】

補正大企業人材等の地方での活躍促進事業 【5億円<R1補正> 】

補正グループ補助金 【190億円<R1補正>】補正地域企業再建支援事業(自治体連携型補助金) 【41億円<R1補正>】補正被災小規模事業者再建事業(持続化補助金) 【58億円<R1補正> 】

補正資金繰り支援(政策金融・信用保証) 【86億円<R1補正>】

・各都道府県に設置したよろず支援拠点の専門家等による経営相談。働き方改革をはじめとする制度変更に対応するための体制も強化。

当初 AI人材連携による中小企業課題解決促進事業 【6億円(新規)】・AIに関する専門的知見をもった人材の育成及び中小企業とのマッチングを支援し、データ分析等を活用した経営課題解決を普及促進。

補正中小企業生産性革命推進事業(中小機構運営費交付金) 【3,600億円<R1補正>】・中小企業等の生産性向上に資する、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資や小規模事業者の

販路開拓の取組、中小企業等のITの導入などを支援。中小機構の業務として継続的な支援を実施。

当初 ものづくり補助金【10億円(50億円)】、 共創型サービスIT連携支援事業 【5億円(新規)】地方公共団体による小規模事業者支援進事業 【12億円(10億円)】

当初地域未来投資促進事業 【143億円(159億円)】・地域でのイノベーション創出に向けた支援体制を強化するとともに、ものづくり技術・サービスモデルの開発等を支援する。

当初 地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業 【5億円(新規)】・地域・社会課題を広域的に束ねて解決する実証事業を支援すること等により、企業の創業・成長を通じた地域と企業の共生を促進する。

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経済産業関係 令和2年度(2020年度)税制改正のポイント

1.オープンイノベーション投資をはじめとする成長投資の促進

オープンイノベーション促進税制の創設と現預金の活用

• アベノミクスの成果により増加してきた現預金等を活用して、イノベーションの担い手となるスタートアップへの新たな資金の供給を促進し成長に繋げていくため、国内の事業会社やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)から、創業10年未満・未上場のベンチャー企業に対する1億円以上の出資について、25%の所得控除を講ずる。その際、オープンイノベーションの取組が確保されるよう、出資者は出資

先のベンチャー企業の株式を一定期間(5年間)保有することとする。

• 併せて、収益が拡大しているにも関わらず賃上げ・投資に積極的でない大企業に対しキャッシュアウトを促すため、研究開発税制等の租税特別措置の適用が停止される要件のうち、設備投資要件を強化

する(減価償却費の10%以下→30%以下)とともに、賃上げ・生産性向上のための税制について、設備投資要件を厳格化する(減価償却費の90%以上→95%以上)。

4.自由化の下でのエネルギーの安定供給の確保

(1)電力・ガス事業の収入金課税の見直し

• 2020年に送配電部門が法的分離する電気供給業における法人事業税(収入金ベース)について、その課税方式を見直し、発電・小売事業のうち2割程度に、外形標準課税(付加価値割+資本

割)を組み込む。また、その課税のあり方について、今後も引き続き検討する。

• 2022年に導管部門が法的分離するガス供給業における法人事業税については、他のエネルギーとの競合や新規参入の状況とその見通し等を考慮しつつ、課税方式の見直しを引き続き検討する。

(2)資源・燃料や省エネ・再エネに係る投資の促進

• 海外資源投資を行う際の事業リスクを軽減する海外投資等損失準備金制度や、⽯油精製時に不可避的に発生する非製品ガスに係る⽯油⽯炭税の還付措置等を延長する。

• 大規模な省エネ設備や先進的な再エネ設備への投資を促進するための措置(特別償却等)について、対象事業者の追加や償却率の見直しを行った上で、延長する。

3.新陳代謝等を通じた中小企業の生産性向上

(1)中小企業向けオープンイノベーション促進税制の創設• 地域経済を牽引する中小企業による地域経済の活性化に向けた取組を後押しするため、

中小企業による、創業10年未満・未上場のベンチャー企業に対する1,000万円以上の

出資について、25%の所得控除を講ずる。

(2)エンジェル税制の拡充を通じた創業直後の中小企業の更なる成長促進

• 個人投資家の裾野拡大とリスクマネー供給の強化を図るため、個人のベンチャー投資を促進

するエンジェル税制について、対象となるベンチャー企業の要件を緩和(設立後3年未満

→5年未満)するとともに、クラウドファンディング事業者を認定対象へ追加する。

(3)少額資産の特例措置及び交際費課税の特例措置の延長

• 中小企業が取得する30万円未満の少額設備投資について、年間300万円まで即時償却を

可能とする特例措置を延長する。

• 中小企業の交際費を年間800万円まで全額損金算入可能とする特例措置を延長する。

(4)再編・統合等に係る税負担の軽減措置の延長• 中小企業が事業の再編・統合等を行う際の登録免許税や不動産取得税を軽減する措置を

延長する。

2.グローバル化や働き方改革の進展への対応

(1)5G投資促進税制の創設

• Society5.0の実現に向け、国際連携の下での信頼できるベンダーの育成を図りつつ、安全・安心な5G

情報通信インフラの早期かつ集中的な整備を行うため、全国キャリアの高度な送受信装置等の前倒し

整備について、15%の税額控除(又は30%の特別償却)を認めるとともに、地域(ローカル)の送

受信装置等の設備投資について、15%の税額控除(又は30%の特別償却)を講ずる。

(2)連結納税制度の見直し及び株対価M&Aの本則化• 企業の事務負担軽減のため、グループ調整計算を維持しながら個別申告方式を導入するとともに、

連結グループ加入時の時価評価課税の対象縮小等を行う。

• 会社法改正を踏まえ、自社株式を対価としたM&Aにおける被買収会社株主の株式譲渡益への課税

繰延措置の本則化については、来年度に向けて引き続き検討する。

(3)消費税の申告期限の延長特例の創設

• 働き方改革を踏まえた企業の事務負担の軽減のため、法人税等と異なり申告期限の延長が認められ

ていなかった消費税の申告期限を1ヶ月延長する特例を創設する。

(4)日本企業の状況を踏まえた国際的な課税の見直し• 国際課税ルールの見直しに当たっては、 国際的な議論の動向を踏まえつつ、海外企業とのイコールフッ

ティングの確保と日本企業の国際競争力の向上に向けて、合理的かつ明瞭な制度となるようにする。

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