租税特別措置法等(法人税関係)の改正...除)制度(800万円特別控除制度)...

175
租税特別措置法等 (法人税関係) の改正 目    次 第一 税額控除等関係 320 一 中小企業者等の法人税率の特例(連 結:中小企業者等である連結法人の法 人税率の特例) 320 二 試験研究を行った場合の法人税額の 特別控除制度(研究開発税制) 322 三 中小企業者等が機械等を取得した場 合の特別償却又は法人税額の特別控除 (連結:中小連結法人が機械等を取得 した場合の特別償却又は法人税額の特 別控除)制度(中小企業投資促進税 制) 378 四 地域経済牽 けん 引事業の促進区域内にお いて特定事業用機械等を取得した場合 の特別償却又は法人税額の特別控除制 380 五 特定中小企業者等が経営改善設備を 取得した場合の特別償却又は法人税額 の特別控除(連結:特定中小連結法人 が経営改善設備を取得した場合の特別 償却又は法人税額の特別控除)制度 384 六 中小企業者等が特定経営力向上設備 等を取得した場合の特別償却又は法人 税額の特別控除(連結:中小連結法人 が特定経営力向上設備等を取得した場 合の特別償却又は法人税額の特別控 除)制度 387 七 法人税の額から控除される特別控除 額の特例 393 八 その他の税額控除制度 396 第二 特別償却関係 396 一 特定設備等の特別償却制度 396 二 関西文化学術研究都市の文化学術研 究地区における文化学術研究施設の特 別償却制度 403 三 特定事業継続力強化設備等の特別償 却制度(創設) 403 四 特定地域における工業用機械等の特 別償却制度 409 五 医療用機器の特別償却制度(改正 後:医療用機器等の特別償却制度) 414 六 特定都市再生建築物等の割増償却制 度(改正後:特定都市再生建築物の割 増償却制度) 426 七 その他の特別償却制度 427 第三 準備金等関係 427 一 新事業開拓事業者投資損失準備金制 度 427 二 保険会社等の異常危険準備金制度 429 三 中小企業等の貸倒引当金の特例(改 正後:中小企業者等の貸倒引当金の特 例)(連結:中小連結法人等の貸倒引 当金の特例) 430 四 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度 431 五 その他の準備金制度 434 第四 土地税制関係 435 一 土地の譲渡等がある場合の特別税率 435 二 収用等に伴い代替資産を取得した場 合の課税の特例等 439 三 特定土地区画整理事業等のために土 地等を譲渡した場合の所得の特別控除 (連結:特定土地区画整理事業等のた めに土地等を譲渡した場合の連結所得 の特別控除)制度(2,000万円特別控 ─317─

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租税特別措置法等(法人税関係)の改正目    次

第一 税額控除等関係��������� 320一 中小企業者等の法人税率の特例(連結:中小企業者等である連結法人の法人税率の特例)����������� 320二 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)���� 322三 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度(中小企業投資促進税制)���������������� 378四 地域経済牽

けん

引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度����������������� 380

五 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度�� 384六 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度�������������� 387七 法人税の額から控除される特別控除額の特例�������������� 393八 その他の税額控除制度������� 396第二 特別償却関係���������� 396一 特定設備等の特別償却制度����� 396

二 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度������������� 403

三 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(創設)����������� 403四 特定地域における工業用機械等の特別償却制度������������� 409五 医療用機器の特別償却制度(改正後:医療用機器等の特別償却制度)�� 414六 特定都市再生建築物等の割増償却制度(改正後:特定都市再生建築物の割増償却制度)������������ 426七 その他の特別償却制度������� 427第三 準備金等関係���������� 427一 新事業開拓事業者投資損失準備金制度����������������� 427二 保険会社等の異常危険準備金制度�� 429三 中小企業等の貸倒引当金の特例(改正後:中小企業者等の貸倒引当金の特例)(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)������������ 430四 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度������������������� 431五 その他の準備金制度�������� 434第四 土地税制関係���������� 435一 土地の譲渡等がある場合の特別税率������������������� 435二 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等���������� 439三 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控

─�317�─

はじめに

  5月 1日に平成から令和への改元が行われた令和元年度税制改正においては、消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から住宅に対する税制上の支援策を講ずるとともに、車体課税

について地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行うこととされ、さらに、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し等を行うこととされ、また、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から特別法人事業税及び特別法人事業譲与税の

除制度)�������������� 442四 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)��������������� 446五 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)��� 449

第五 その他の特別措置関係������ 451一 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)������� 451二 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例(連結:中小連結法人の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例)������������ 454三 投資法人に係る課税の特例����� 456四 農業協同組合等の合併に係る課税の特例���������������� 458五 特定投資信託に係る受託法人の課税の特例��������������� 459六 課税所得の範囲の変更等の場合の特例����������������� 460七 その他の特別措置��������� 461第六 その他������������� 461

一 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し��������� 461

二 中小企業向けの租税特別措置の適用停止等��������������� 467

第七 震災税特法関係��������� 473一 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度���������� 473二 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度����������� 476三 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度������������ 477四 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度�������������� 479五 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度������������ 480六 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度������������� 482七 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等制度������� 483八 被災代替資産等の特別償却制度��� 485九 帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等(連結:連結法人が帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除の特例等)(創設)��������������� 487

─�318�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

創設等を行うこととされたほか、森林環境税及び森林環境譲与税の創設、国際的な租税回避により効果的に対応するための国際課税制度の見直し、経済取引の多様化等を踏まえた納税環境の整備等を行うこととされ、関係法令の改正が行われました。 このうち法人税関係(国際課税関係を除きます。)の租税特別措置法の改正では、研究開発税制の見直し、特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の創設等が行われる一方で、新事業開拓事業者投資損失準備金制度の廃止等、既存の租税特別措置の整理合理化が行われました。 また、法人税関係の東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の改正では、避難解除区域等における復興の状況を踏まえ、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期間の延長等が行われました。 本稿は、これらの改正の内容についての解説をするものです。 租税特別措置法等の改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」は、去る 3月27日に参議院本会議で可決・成立し、同月29日に平成31年法律第 6号として公布され、併せて関係政省令等も公布されています。 関係法令は、次のとおりです。(法律)○ 所得税法等の一部を改正する法律(平31. 3 .29法律第 6号)

(政令)○ 租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平31. 3 .29政令第102号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行令の一部を改正する政令(平31. 3 .29政令第105号)○ 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令の一部を改正する政令(平31. 3 .29政令第106号)

(省令)○ 租税特別措置法施行規則等の一部を改正する

省令(平31. 3 .29財務省令第14号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平31. 3 .29財務省令第18号)○ 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平31. 3 .29財務省令第19号)○ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平31. 4 .12財務省令第31号)○ 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平31. 4 .12財務省令第33号)

(告示)<地域経済牽

けん

引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度関係>○ 租税特別措置法施行令第 5条の 5の 2第 2項及び第27条の11の 2 第 2 項の規定に基づく地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準を定める件(平31. 3 .29経済産業省告示第84号)<特定設備等の特別償却制度関係>○ 租税特別措置法第11条第 1項及び第43条第 1項の規定の適用を受ける期間を定める件(平31. 3 .29財務省告示第96号)○ 租税特別措置法第11条第 1項の表第 2号及び第43条第 1項の表第 2号の規定の適用を受ける船舶を指定する告示の一部を改正する告示(平31. 3 .29国土交通省告示第494号)○ 租税特別措置法第11条第 1項の表の第 4号及び第43条第 1項の表の第 4号の規定の適用を受ける機械その他の減価償却資産を指定する件の一部を改正する件(平31. 3 .29経済産業省告示第83号)<医療用機器等の特別償却制度関係>○ 租税特別措置法第12条の 2第 1項及び第45条の 2第 1項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件の一部を改正する件(平31. 3 .29厚生労働省告示第150号)

─�319�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

○ 租税特別措置法施行令第 6条の 4第 2項第 1号及び第28条の10第 2 項第 1号に規定する厚生労働大臣が定める要件等を定める件(平31. 3 .29厚生労働省告示第151号)○ 租税特別措置法施行令第 6条の 4第 4項及び第28条の10第 4 項に規定する厚生労働大臣が定める事項等を定める件(平31. 3 .29厚生労働省告示第153号)<特定の医療法人の法人税率の特例関係>○ 租税特別措置法施行令第39条の25第 1 項第 1号に規定する厚生労働大臣が財務大臣と協議し

て定める基準の一部を改正する件(平31. 3 .29厚生労働省告示第152号)<中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例関係>○ 租税特別措置法施行令第39条の28の 2 第 4 項及び第 7項の規定に基づき内閣総理大臣及び経済産業大臣が定める特定投資事業有限責任組合の指定に関する基準を廃止する件(平31. 4 . 1内閣府・経済産業省告示第 1号)

第一 税額控除等関係

一� 中小企業者等の法人税率の特例(連結:中小企業者等である連結法人の法人税率の特例)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、中小企業者等の平成24年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率を15%(本則税率:19%)とするというものです(措法42の 3 の 2 )。 中小企業者等とは、次の法人をいいます。ただし、内国法人である普通法人のうち各事業年度終了の時において大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等に該当するものは除くこととされています。⑴ 普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が 1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの⑵ 人格のない社団等⑶ 一般社団法人等又は法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされているもの 一般社団法人等とは、法人税法別表第 2に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人をいいます。また、法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされているものとは、次の法人をいいます(措

令27の 3 の 2 )。① 地方自治法に規定する認可地縁団体② 建物の区分所有等に関する法律に規定する管理組合法人及び団地管理組合法人③ 政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律に規定する法人である政党等④ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業組合⑤ 特定非営利活動促進法に規定する特定非営利活動法人⑥ マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定するマンション建替組合及びマンション敷地売却組合

⑷ 上記⑶以外の公益法人等又は協同組合等⑸ 特定医療法人(注 1) 内国法人である普通法人のうち各事業年度

終了の時において大法人との間にその大法人

による完全支配関係がある普通法人等とは、

次の法人(外国法人である普通法人については、

次の⑴から⑶まで及び⑹の法人)をいいます

(法法66⑥一~六、143⑤一~四、法令139の 6

─�320�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

の 2、192)。

⑴� 保険業法に規定する相互会社(以下「相

互会社」といいます。)

⑵� 大法人(次の法人をいいます。以下同じ

です。)との間にその大法人による完全支配

関係がある普通法人

①� 資本金の額又は出資金の額が 5 億円以

上である法人

②� 相互会社(外国相互会社を含みます。)

③� 法人税法第 4 条の 7 に規定する受託法

人(以下「受託法人」といいます。)

⑶� 普通法人との間に完全支配関係がある全

ての大法人が有する株式及び出資の全部を

その全ての大法人のうちいずれか一の法人

が有するものとみなした場合においてその

いずれか一の法人とその普通法人との間に

そのいずれか一の法人による完全支配関係

があることとなるときのその普通法人(上

記⑵の法人を除きます。)

⑷ 投資法人

⑸ 特定目的会社

⑹ 受託法人(注 2) 租税特別措置法第68条の規定の適用を受け

る特定の地区又は地域に係る協同組合等につ

いても、本制度の対象となります(措法42の

3 の 2 ②)。したがって、これらの協同組合等

は、年800万円以下の部分の金額については15

%、年800万円超10億円以下の部分の金額につ

いては19%、年10億円超の部分の金額につい

ては22%の法人税率が適用されます。(注 3) 協同組合等又は特定医療法人が連結親法人

である場合の法人税率は、年800万円以下の部

分の金額については16%(本則税率:20%)

とすることとされています(措法68の 8 ①表

二・三②)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の 8 )。

2  改正の内容

⑴ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の 3 の 2 ①②)。

⑵ 適用要件の見直し 対象法人のうち適用除外事業者に該当する普通法人の事業年度においては、この制度の適用を停止することとされました(措法42の 3 の 2①)。(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人とされています。(注 2) 上記の改正は、平成29年度税制改正事項

ですが、その施行日が平成31年 4 月 1 日で

あることから、上記⑴の適用期限の延長を

踏まえ、今回の改正で措置されています。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の8 ①②)。

─�321�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

3  適用関係

 上記 2 ⑵の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係に

ある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。

二� 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴から⑸までによって構成されています。

⑴ 試験研究費の総額に係る税額控除制度 この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する調整前法人税額からその事業年度の試験研究費の額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の算式により算出された税額控除割合を乗じて計算した金額(以下「税額控除限度額」といいます。)を控除することができるというものです(措法42の 4 ①)。ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません。① 増減試験研究費割合が 5 %を超える場合(措法42の 4 ①一)《算式》

9%+(その増減試験研究費割合 - 5%)×0.3(上限:10%) なお、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度においては、この税額控除割合の上限を14%に引き上げる措置が講じられています(措法42の 4 ②)。② 増減試験研究費割合が 5%以下である場合

(措法42の 4 ①二)《算式》

9%-(5%-その増減試験研究費割合 )×0.1(下限:6%) なお、この税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の25%相当額を上限とすることとされています(措法42の 4 ①後段)。 また、平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度において試験研究費割合が10%を超える場合には、その10%を超える事業年度においては、この税額控除額の上限を次の算式により算出された金額とする措置が講じられています(措法42の 4 ⑤)。《算式》

当期の調整前法人税額の25%相当額

+その調整前法人税額

×((試験研究費割合

-10%)× 2) なお、この算式のうち「((試験研究費割合-10%)× 2)」により算出された割合の上限は、10%とすることとされています。(注 1) 試験研究費とは、製品の製造若しくは技

術の改良、考案若しくは発明に係る試験研

究のために要する費用又は対価を得て提供

する新たな役務の開発に係る一定の試験研

究のために要する費用をいい(措法42の 4

⑧一)、具体的には、次の試験研究の区分に

応じそれぞれ次の費用とされています(措

令27の 4 ③④)。

─�322�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

①� 製品の製造又は技術の改良、考案又は

発明に係る試験研究��次の費用(措令

27の 4 ③一)

イ� その試験研究を行うために要する原

材料費、人件費及び経費(措令27の 4

③一イ)(注) 人件費は、専門的知識をもって

その試験研究の業務に専ら従事す

る者に係るものに限ることとされ

ています。

ロ� 他の者に委託をして試験研究を行う

法人のその試験研究のためにその委託

を受けた者に対して支払う費用(措令

27の 4 ③一ロ)(注) 他の者には、その試験研究を行

う法人との間に連結完全支配関係

がある他の連結法人及びその法人

が外国法人である場合の法人税法

第138条第 1 項第 1 号に規定する本

店等を含むものとされています(措

令27の 4 ④)。

ハ� 技術研究組合法第 9 条第 1 項の規定

により賦課される費用(措令27の 4 ③

一ハ)

②� 対価を得て提供する新たな役務の開発

に係る一定の試験研究��次の費用(措

令27の 4 ③二)

イ� その試験研究を行うために要する原

材料費、人件費及び経費(措令27の 4

③二イ)(注 1) 人件費は、情報解析専門家で

その専門的な知識をもってその

試験研究の業務に専ら従事する

者に係るものに限ることとされ

ています(措令27の 4 ③二イ、

措規20②)。(注 2) 情報解析専門家とは、下記(注

2)①の収集に係る情報又は下

記(注 2)①の取得に係る情報

の解析に必要な確率論及び統計

学に関する知識並びに情報処理

に関して必要な知識を有すると

認められる者をいいます(措規

20①)。(注 3) 経費のうち、外注費にあっては、

上記の原材料費及び人件費に相

当する部分並びにその試験研究

を行うために要する経費に相当

する部分(外注費に相当する部

分を除きます。)に限ることとさ

れています。

ロ� 他の者に委託をして試験研究を行う

その法人のその試験研究のためにその

委託を受けた者に対して支払う費用(措

令27の 4 ③二ロ)(注) 費用は、上記イの原材料費、人

件費及び経費に相当する部分に限

ることとされています。また、他

の者については、上記①ロ(注)

と同様です。(注 2) 一定の試験研究とは、対価を得て提供す

る新たな役務の開発を目的として次の全て

が行われる場合におけるそれぞれ次のもの

をいいます(措令27の 4 ②、措規20①)。

①� 大量の情報を収集する機能を有し、そ

の機能の全部若しくは主要な部分が自動

化されている機器若しくは技術を用いる

方法によって行われた情報の収集又はそ

の方法によって収集された情報の取得

②� 上記①の収集に係る情報又は上記①の

取得に係る情報について、一定の法則を

発見するために、情報解析専門家により

情報の解析を行う専用のソフトウエアを

用いて行われる分析

③� 上記②の分析により発見された法則を

利用したその役務の設計

④� 上記③の設計に係る上記③の法則が予

測と結果とが一致することの蓋然性が高

いものであることその他妥当であると認

められるものであること及びその法則を

─�323�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

利用したその役務がその目的に照らして

適当であると認められるものであること

の確認(注 3) 試験研究費の額は、その試験研究費に充

てるため他の者から支払を受ける金額があ

る場合にはその金額を控除した金額とし、

この他の者には、その法人との間に連結完

全支配関係がある他の連結法人及びその法

人が外国法人である場合の法人税法第138条

第 1 項第 1 号に規定する本店等を含むこと

とされています(措法42の 4 ①)。(注 4) 増減試験研究費割合とは、増減試験研究

費の額の比較試験研究費の額に対する割合

をいいます(措法42の 4 ⑧三)。(注 5) 増減試験研究費の額とは、この制度又は

中小企業技術基盤強化税制の適用を受ける

事業年度の所得の金額の計算上損金の額に

算入される試験研究費の額から比較試験研

究費の額を減算した金額をいいます(措法

42の 4 ⑧三)。(注 6) 比較試験研究費の額とは、その事業年度

開始の日前 3 年以内に開始した各事業年度

の所得の金額の計算上損金の額に算入され

る試験研究費の額の合計額をその 3 年以内

に開始した各事業年度の数で除して計算し

た金額をいいます(措法42の 4 ⑧五)。(注 7) 税額控除割合は、その事業年度が設立事

業年度であるとき又は比較試験研究費の額

が零であるときは、8.5%とすることとされ

ています(措法42の 4 ①)。(注 8) 試験研究費割合とは、その事業年度の所

得の金額の計算上損金の額に算入される試

験研究費の額の平均売上金額に対する割合

をいい(措法42の 4 ⑧八)、平均売上金額と

は、その事業年度及びその事業年度開始の

日前 3 年以内に開始した各事業年度の売上

金額の平均額をいいます(措法42の 4 ⑧十、

措令27の 4 ㉑)。

 なお、売上金額とは、棚卸資産の販売そ

の他事業として継続して行われる資産の譲

渡及び貸付け並びに役務の提供に係る収益

の額をいい、この収益の額からは、営業外

の収益の額とされるべきものを除くことと

されています(措法42の 4 ⑧十、措令27の

4 ⑳)。

⑵ 中小企業技術基盤強化税制 この制度は、中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下「中小企業者等」といいます。)の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、上記⑴の制度の適用に代えて、その事業年度の所得に対する調整前法人税額からその事業年度の試験研究費の額の12%相当額(以下「中小企業者等税額控除限度額」といいます。)を控除することができるというものです(措法42の 4 ③)。ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません。 なお、この中小企業者等税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の25%相当額を上限とすることとされています(措法42の 4 ③後段)。 また、中小企業者等の平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除きます。)において増減試験研究費割合が 5%を超える場合には、その5%を超える事業年度においては、税額控除割合を次の算式により算出された割合とし、税額控除額の上限を当期の調整前法人税額の35%相当額とする措置が講じられています(措法42の4 ④)。《算式》

12%+(増減試験研究費割合 - 5%)×0.3(上限:17%) また、上記⑴の制度と同様に、中小企業者等の平成29年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度(上記の税額控除額の上限を当期の調整前法人税額の35%相当額とする措置の適用を受ける事業年度を除きます。)

─�324�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

において試験研究費割合が10%を超える場合には、その10%を超える事業年度においては、税額控除額の上限を次の算式により算出された金額とする措置が講じられています(措法42の 4⑤)。《算式》

当期の調整前法人税額の25%相当額

+その調整前法人税額

×((試験研究費割合

-10%)× 2) なお、この算式のうち「((試験研究費割合-10%)× 2)」により算出された割合の上限は、10%とすることとされています。(注) 中小企業者とは、資本金の額若しくは出資

金の額が 1億円以下の法人のうち次の法人(み

なし大企業)以外の法人又は資本若しくは出

資を有しない法人のうち常時使用する従業員

の数が1,000人以下の法人をいい(措法42の 4

⑧六、措令27の 4 ⑫)、農業協同組合等とは、

農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企

業等協同組合、出資組合である商工組合及び

商工組合連合会、内航海運組合、内航海運組

合連合会、出資組合である生活衛生同業組合、

漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加

工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、

森林組合並びに森林組合連合会をいいます(措

法42の 4 ⑧七)。

①� その発行済株式又は出資の総数又は総額

の 2 分の 1 以上が同一の大規模法人の所有

に属している法人(措令27の 4 ⑫一)(注) 大規模法人とは、資本金の額若しく

は出資金の額が 1 億円を超える法人又

は資本若しくは出資を有しない法人の

うち常時使用する従業員の数が1,000人

を超える法人をいい、中小企業投資育

成株式会社を除くこととされています

(措令27の 4 ⑫一)。

②� その発行済株式又は出資の総数又は総額

の 3 分の 2 以上が大規模法人の所有に属し

ている法人(措令27の 4 ⑫二)

⑶ 特別試験研究費の額に係る税額控除制度 この制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する調整前法人税額から次の金額の合計額(以下「特別研究税額控除限度額」といいます。)を控除することができるというものです(措法42の4 ⑥)。ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません。① その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る試験研究費の額の30%相当額② その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額のうち上記①の試験研究費の額以外の試験研究費の額の20%相当額 なお、この特別研究税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の 5%相当額を上限とすることとされています(措法42の 4 ⑥後段)。 また、当期において、試験研究費の総額に係る税額控除制度(上記⑴)又は中小企業技術基盤強化税制(上記⑵)の適用を受ける場合には、これらの制度により当期の所得に対する調整前法人税額から控除する金額の計算の基礎となった特別試験研究費の額は、本制度の対象から除くこととされています(措法42の 4 ⑥)。(注) 特別試験研究費の額とは、試験研究費の額

のうち国の試験研究機関、大学その他の者と

共同して行う試験研究、国の試験研究機関、

大学又は中小企業者に委託する試験研究、中

小企業者からその有する知的財産権の設定又

は許諾を受けて行う試験研究、その用途に係

る対象者が少数である医薬品に関する試験研

究等に係る試験研究費の額をいい(措法42の

4 ⑧九)、具体的には、次の試験研究の区分に

応じそれぞれ次の金額とされています(措令

─�325�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

27の 4 ⑱⑲、措規20⑩~⑳)。

①� 特別研究機関等と共同して行う試験研究

で、その特別研究機関等との契約又は協定

に基づいて行われるもの��その試験研究

に要した費用に係る試験研究費の額として

その試験研究に係る試験研究機関等の長若

しくはその試験研究機関等の属する国家行

政組織法の行政機関に置かれる地方支分部

局の長又は国立研究開発法人の長が認定し

た金額で、その金額を支出した事業年度の

確定申告書等にその認定に係る書類の写し

を添付することにより証明がされた金額(措

令27の 4 ⑱一⑲一、措規20⑱一)(注 1) 特別研究機関等とは、科学技術・

イノベーション創出の活性化に関す

る法律の試験研究機関等又は国立研

究開発法人をいいます(措令27の 4

⑱一)。(注 2) 契約又は協定は、その契約又は協

定において、その試験研究に要する

費用の分担及びその明細並びにその

試験研究の成果の帰属及びその公表

に関する事項が定められているもの

に限ることとされています(措令27

の 4 ⑱一)。

②� 大学等と共同して行う試験研究で、その

大学等との契約又は協定に基づいて行われ

るもの��次の金額の合計額を支出した事

業年度の確定申告書等にその金額について

の監査及び確認に係る書類の写しを添付す

ることにより証明がされた金額(措令27の

4 ⑱二⑲二、措規20⑲一)

イ� その大学等が支出するその試験研究に

要した費用であってその法人が負担した

もの(契約又は協定においてその法人が

負担することとされているものに限りま

す。)に係る試験研究費の額であることに

つき、監査を受け、かつ、その大学等の

確認を受けた金額

ロ� その試験研究に要した費用(契約又は

協定においてその法人が負担することと

されているものに限るとともに、上記イ

の金額を除きます。)に係る試験研究費の

額であることにつき、監査を受け、かつ、

その大学等の確認を受けた金額(注 1) 大学等とは、学校教育法の大学若

しくは高等専門学校又は国立大学法

人法の大学共同利用機関をいい、こ

の大学又は高等専門学校からは、構

造改革特別区域法の学校設置会社が

設置するものを除くこととされてい

ます(措令27の 4 ⑱二)。(注 2) 契約又は協定は、その契約又は協

定において、その試験研究における

その法人及びその大学等の役割分担

及びその内容、その法人及びその大

学等がその試験研究に要する費用を

分担する旨及びその明細、その大学

等がその試験研究に要する費用のう

ちその法人が負担した額を確認する

旨及びその方法、その試験研究の成

果がその法人及びその大学等に帰属

する旨及びその内容、その大学等に

よるその試験研究の成果の公表に関

する事項等が定められているものに

限ることとされています(措令27の

4 ⑱二、措規20⑩)。

③� 他の者と共同して行う試験研究で、その

他の者0 0 0

との契約又は協定に基づいて行われ

るもの��次の金額の合計額を支出した事

業年度の確定申告書等にその金額について

の監査及び確認に係る書類の写しを添付す

ることにより証明がされた金額(措令27の

4 ⑱三⑲二、措規20⑲二)

イ� その他の者0 0 0

が支出するその試験研究に

要した費用であってその法人が負担した

もの(契約又は協定においてその法人が

負担することとされているものに限りま

す。)に係る試験研究費の額であることに

つき、監査を受け、かつ、その他の者0 0 0

─�326�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

確認を受けた金額

ロ� その試験研究に要した費用(契約又は

協定においてその法人が負担することと

されているものに限るとともに、上記イ

の金額を除きます。)に係る試験研究費の

額であることにつき、監査を受け、かつ、

その他の者0 0 0

の確認を受けた金額(注 1) 他の者からは、特別研究機関等、

大学等、その法人がその発行済株式

又は出資の総数又は総額の25%以上

を有している他の法人、その法人の

発行済株式又は出資の総数又は総額

の25%以上を有している他の者及び

その法人との間に支配関係がある他

の者を除くこととされています(措

令27の 4 ⑱三)。(注 2) 契約又は協定は、その契約又は協

定において、その試験研究における

その法人及びその他の者0 0 0

の役割分担

及びその内容、その法人及びその他0

の者0 0

がその試験研究に要する費用を

分担する旨及びその明細、その他の0 0

者0

がその試験研究に要する費用のう

ちその法人が負担した額を確認する

旨及びその方法、その試験研究の成

果がその法人及びその他の者0 0 0

に帰属

する旨及びその内容等が定められて

いるものに限ることとされています

(措令27の 4 ⑱三、措規20⑪)。

④� 技術研究組合の組合員が協同して行う技

術研究組合法第 3 条第 1 項第 1 号に規定す

る試験研究で、その技術研究組合の定款若

しくは規約又は同法第13条第 1 項に規定す

る事業計画に基づいて行われるもの��そ

の試験研究に係る同法第 9 条第 1 項の規定

により賦課される費用の額(措令27の 4 ③

一ハ⑱四⑲三)

(注)� 技術研究組合の定款若しくは規約又

は事業計画は、その定款若しくは規約

又は事業計画において、その試験研究

におけるその法人及びその法人以外の

その技術研究組合の組合員の役割分担

及びその内容等が定められているもの

に限ることとされています(措令27の

4 ⑱四、措規20⑫)。

⑤� 特別研究機関等に委託する試験研究で、

その特別研究機関等との契約又は協定に基

づいて行われるもの��その試験研究に要

した費用の額に係る試験研究費の額として

その試験研究に係る試験研究機関等の長若

しくはその試験研究機関等の属する国家行

政組織法の行政機関に置かれる地方支分部

局の長又は国立研究開発法人の長が認定し

た金額で、その金額を支出した事業年度の

確定申告書等にその認定に係る書類の写し

を添付することにより証明がされた金額(措

令27の 4 ⑱五⑲一、措規20⑱二)

(注)� 契約又は協定は、その契約又は協定

において、その試験研究に要する費用

の額及びその明細並びにその試験研究

の成果の帰属及びその公表に関する事

項が定められているものに限ることと

されています(措令27の 4 ⑱五)。

⑥� 大学等に委託する試験研究で、その大学

等との契約又は協定に基づいて行われるも

の��その大学等が支出するその試験研究

に要した費用であってその法人が負担した

もの(契約又は協定においてその法人が負

担することとされているものに限ります。)

に係る試験研究費の額であることにつき、

監査を受け、かつ、その大学等の確認を受

けた金額を支出した事業年度の確定申告書

等にその監査及び確認に係る書類の写しを

添付することにより証明がされた金額(措

令27の 4 ⑱六⑲二、措規20⑲三)

(注)� 契約又は協定は、その契約又は協定

において、その試験研究における分担

すべき役割としてその法人がその試験

研究に要する費用の額を負担する旨及

びその明細、その大学等がその試験研

─�327�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

究に要する費用の額を確認する旨及び

その方法、その試験研究の成果の帰属

及びその成果の公表に関する事項等が

定められているものに限ることとされ

ています(措令27の 4 ⑱六、措規20⑬)。

⑦� 特定中小企業者等のうち試験研究を行う

ための拠点を有すること等の要件を満たす

ものに委託する試験研究で、その特定中小

企業者等との契約又は協定に基づいて行わ

れるもの��その特定中小企業者等が支出

するその試験研究に要した費用であってそ

の法人が負担したもの(契約又は協定にお

いてその法人が負担することとされている

ものに限ります。)に係る試験研究費の額で

あることにつき、監査を受け、かつ、その

特定中小企業者等の確認を受けた金額を支

出した事業年度の確定申告書等にその監査

及び確認に係る書類の写しを添付すること

により証明がされた金額(措令27の 4 ⑱七

⑲二、措規20⑲四)(注 1) 特定中小企業者等とは、租税特別

措置法第10条第 8 項第 5 号に規定す

る中小事業者で同法第 2 条第 1 項第

11号に規定する青色申告書を提出す

るもの、同法第42条の 4 第 8 項第 6

号に規定する中小企業者で青色申告

書を提出するもの及び同法第68条の

9 第 8 項第 5 号に規定する中小連結

法人に該当するもの、法人税法別表

第 2 に掲げる法人並びに国の機関、

地方公共団体及びその機関、学校教

育法に規定する大学及び高等専門学

校並びに国立大学法人法に規定する

大学共同利用機関並びに独立行政法

人及び地方独立行政法人をいい、特

別研究機関等、大学等、その法人が

その発行済株式又は出資の総数又は

総額の25%以上を有している他の法

人、その法人の発行済株式又は出資

の総数又は総額の25%以上を有して

いる他の者、その法人との間に支配

関係がある他の者及びその法人が外

国法人である場合の法人税法第138条

第 1 項第 1 号に規定する本店等を除

くこととされています(措令27の 4

⑱七、措規20⑭、医薬品、医療機器

等の品質、有効性及び安全性の確保

等に関する法律第二条第十五項に規

定する指定薬物及び同法第七十六条

の四に規定する医療等の用途を定め

る省令 2一)。(注 2) 契約又は協定は、その契約又は協

定において、その試験研究における

分担すべき役割としてその法人がそ

の試験研究に要する費用の額を負担

する旨及びその明細、その特定中小

企業者等がその試験研究に要する費

用の額を確認する旨及びその方法、

その試験研究の成果の帰属に関する

事項等が定められているものに限る

こととされています(措令27の 4 ⑱

七、措規20⑯)。

⑧� 特定中小企業者等(中小事業者等に限り

ます。)から知的財産権の設定又は許諾を受

けて行う一定の試験研究で、その特定中小

企業者等との契約又は協定に基づいて行わ

れるもの��その試験研究に係る知的財産

権の使用料の額であってその法人がその特

定中小企業者等に対して支払ったものに係

る試験研究費の額であることにつき、監査

を受け、かつ、その特定中小企業者等の確

認を受けた金額で、その金額を支出した事

業年度の確定申告書等にその監査及び確認

に係る書類の写しを添付することにより証

明がされた金額(措令27の 4 ⑱八⑲四、措

規20⑳)

(注)� 中小事業者等とは、租税特別措置法

第10条第 8 項第 5 号に規定する中小事

業者で同法第 2 条第 1 項第11号に規定

する青色申告書を提出するもの、同法

─�328�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

第42条の 4 第 8 項第 6 号に規定する中

小企業者で青色申告書を提出するもの

及び同法第68条の 9 第 8 項第 5 号に規

定する中小連結法人に該当するものを

いいます(措令27の 4 ⑱七)。

⑨� 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び

安全性の確保等に関する法律の希少疾病用

医薬品、希少疾病用医療機器又は希少疾病

用再生医療等製品に関する試験研究で、国

立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究

所法の規定による助成金の交付を受けてそ

の対象となった期間に行われるもの��そ

の試験研究に要した費用の額として国立研

究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理

事長が認定した金額に係る試験研究費の額

で、その金額を支出した事業年度の確定申

告書等にその認定に係る書類の写しを添付

することにより証明がされた金額(措令27

の 4 ⑱九⑲一、措規20⑱三)

⑷ 平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度 この制度は、青色申告書を提出する法人が、平成20年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度において、当期の試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合に、その事業年度の所得に対する調整前法人税額から次の算式により計算した金額(以下「税額控除限度額」といいます。)を控除することができるというものです(措法42の 4⑦)。ただし、上記⑴若しくは⑵の各制度における試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除額の上限の特例又は上記⑵の制度における増減試験研究費割合が 5%を超える場合における税額控除額の上限の特例の適用を受ける事業年度、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません。 なお、この税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の10%相当額を上限とすることとされ

ています(措法42の 4 ⑦後段)。《算式》

(当期の試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合

(注) 超過税額控除割合=(試験研究費割合 -10%)×0.2

⑸ 連結納税制度における試験研究費の総額に係る税額控除制度等 連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合についても、上記⑴から⑷までとおおむね同様の制度が設けられていますが、上記⑴から⑷までの制度における税額控除限度額、中小企業者等税額控除限度額又は特別研究税額控除限度額については、連結グループ全体で計算することとされています(措法68の 9 )。

2  改正の趣旨及び概要

 民間の研究開発投資は、近年増加傾向にあるといえますが、平成28年度で大規模法人の業績の落ち込みを要因に減少し、平成29年度で回復が見込まれるものの、足下におけるその増加が若干停滞している状況でした。 一方、「第 5 期(2016(平成28)~2020(令和2)年度)科学技術基本計画(平成28年 1 月22日閣議決定)」、「未来投資戦略2018(平成30年 6 月15日閣議決定)」及び「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる「骨太の方針」)2018(平成30年 6 月15日閣議決定)」においては、2020年度までに、「官民合わせた研究開発投資を対 GDP 比4%以上とすることを目標とする」とされ、その目標の達成に向けて具体的には、「未来投資戦略2017(平成29年 6 月 9 日閣議決定)」にあるように、我が国における研究開発投資総額(2016(平成28)年度:18.4兆円)の約 7割(同:13.3兆円)を占める民間研究開発投資を「対 GDP比 3 %にすることを目指す」こととされており、引き続きその「量」の拡大が求められているところです。 そして、第 4 次産業革命を社会実装し、

─�329�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

Society5.0を実現するためには、さらに「質」の向上によって、イノベーションが自律的に生まれるエコシステムを構築することが喫緊の課題ともいわれています。 この制度においては、平成29年度改正において、上記の目標の達成に向けて試験研究費の額の増加を促進する観点から、総額型(上記 1 ⑴)の税額控除割合を試験研究費の増減割合に応じて逓増減させる算出方法とすることとされ、増加インセンティブを高めたところですが、令和元年度(平成31年度)税制改正ではさらに、研究開発の質を向上させ、積極的な研究開発投資を促す観点から、メリハリをつけた見直しを次のとおり行うこととされました。⑴ 質の高い研究開発への支援を強化する観点から、いわゆるオープンイノベーション型(上記1 ⑶)について、対象となる特別試験研究費の追加及び区分変更と税額控除割合の設定及び引上げ並びに税額控除額の上限の引上げ⑵ ユニコーン(企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる未上場ベンチャー企業)やメガベンチャーへと変貌するため、積極的に研究開発投資を繰り返して成長する形態のベンチャー企業(研究開発ベンチャー企業)の自立的発展を研究開発税制の側面において後押しする観点から、総額型について、一定のベンチャー企業の研究開発投資の拡張期を対象として税額控除額の上限の引上げ⑶ 2020年度までに民間による研究開発投資をGDP 比 3 %(約18兆円)としていく観点から、総額型の増加インセンティブを一層強化するため、総額型について、税額控除割合カーブの見直し、税額控除割合の上限の上乗せ特例(上記1 ⑴)についての適用期限の 2年延長

⑷ 試験研究費割合が高い水準にある企業の研究開発投資に係る実情(相対的に研究開発費の増額が困難、売上の増減に影響を受けやすい、利益に占める研究開発費の割合が高く税額控除額の上限が相対的に低い等)を踏まえつつ、複雑な選択制度の解消による簡素化を図る観点から、

試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除額の上限の特例(上記 1 ⑴及び⑵)について、試験研究費割合に応じた総額型の税額控除割合の割増し措置の追加及び適用期限の 2年延長と、いわゆる高水準型(上記 1 ⑷)について、適用期限の到来をもって総額型に統合して事実上の廃止⑸ 中小企業技術基盤強化税制(上記 1 ⑵)について、上記⑶及び⑷と同様の見直し並びに中小企業者の判定における大規模法人の範囲等の適正化⑹ 上記⑴から⑸までのほか、組織再編成があった場合の比較試験研究費の額等の調整計算の適正化、大学等との共同研究において特別試験研究費の額となる人件費の明確化その他所要の整備

3  改正の内容

⑴ 試験研究費の総額に係る税額控除制度(上記1⑴)の見直し① 税額控除割合の見直しイ 原則(増減試験研究費割合に応じ 6%~10%) 税額控除割合が0.3で逓増することとなる税額控除割合カーブの転換点が増減試験研究費割合 8%超(改正前: 5%超)に、増減試験研究費割合が 8%以下である場合における税額控除割合の算式が、9.9%-( 8 %-増減試験研究費割合)×0.175(改正前: 9 %-( 5 %-増減試験研究費割合)×0.1)に、それぞれ見直されました(措法42の 4 ①)。これにより、メリハリをつけつつ、増加インセンティブ効果が強化されますので、税額控除割合の下限( 6%)となる増減試験研究費割合が改正前より高くなりますが、増減試験研究費割合が0%超 8%以下である場合の税額控除割合は改正前より高くなります。(注 1) 増減試験研究費割合とは、増減試験

研究費の額の比較試験研究費の額に対

─�330�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

する割合をいいます(措法42の 4 ⑧三)。(注 2) 増減試験研究費の額とは、この制度

又は中小企業技術基盤強化税制の適用

を受ける事業年度の所得の金額の計算

上損金の額に算入される試験研究費の

額から比較試験研究費の額を減算した

金額をいいます(措法42の 4 ⑧三)。

 なお、この見直しにより税額控除割合は、次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合(その割合に小数点以下 3 位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その算出された割合が10%を超えるときは10%とすることとされています。)とされました(措法42の 4 ①)。イ� 増減試験研究費割合が 8%を超える場合(措法42の 4 ①一) 次の算式により算出された割合とされています。《算式》

9.9%+(その増減試験研究費割合 - 8%)×0.3

ロ 増減試験研究費割合が 8%以下である場合(措法42の 4 ①二) 次の算式により算出された割合とされています。《算式》

9.9%-( 8%-その増減試験研究費割合 )×0.175 なお、この算式により算出された割合が 6%未満であるときは 6%とすることとされています。ハ その事業年度が設立事業年度である場合又は比較試験研究費の額が零である場合(措法42の 4 ①三) 8.5%とされています。

ロ 税額控除割合の上限の上乗せ特例(上記イの10%→14%) この特例の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の 4 ③一)。(注) この特例は、試験研究費割合を計算し

ていない場合にも適用があります。

(参考) 改正後の税額控除割合カーブ

② 研究開発を行うベンチャー企業の税額控除額の上限の特例の創設 この制度の適用を受けようとする法人が、次の要件を満たす場合には、その適用を受けようとする事業年度(以下「適用年度」といいます。)の税額控除額の上限は、調整前法

人税額の40%(原則:25%)相当額とすることとされました(措法42の 4 ②)。イ 適用年度がその法人の設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度に該当すること。 設立の日とは、法人税法第57条第11項第

≪改正前≫ ≪改正後≫

15.0%(税額控除割合) 14%

(上限)(税額控除割合) 14%

(上限)

11.0%12.0%

10.0%

8.0%

6.0%

13.0%14.0%

より高いインセンティブ

増加インセンティブ強化

7.0%

9.0%9%6%

(下限)

9%6%

(下限)

9.9%

政策目標に整合的な水準へ

5.0%

15.0%

11.0%12.0%

10.0%

8.0%

6.0%

13.0%14.0%

7.0%

9.0%

5.0%‒30%‒25%‒20%‒15%‒10% ‒5% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% ‒30%‒25%‒20%‒15%‒10% ‒5% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30%

(増減試験研究費割合) (増減試験研究費割合)8%

─�331�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

3 号に規定する設立の日として政令で定める日とされています(措法42の 4 ②一)ので、通常の設立の日のほか、その適用を受けようとする法人が次の法人に該当する場合にはその区分に応じた日とされています(法令112⑱)。また、その適用を受けようとする法人が次の 2以上の法人に該当する場合には、それぞれの日のうち最も早い日とすることとされています。イ 合併法人 その合併法人とその合併に係る被合併法人の設立の日のうち最も早い日ロ 分割承継法人(その分割により分割法人が行っていた事業の移転を受け、かつ、その事業を引き続き行うものに限ります。) その分割承継法人とその分割に係る分割法人(その分割により分割承継法人が引き続き行う事業を移転するものに限ります。)の設立の日のうち最も早い日ハ 被現物出資法人(その現物出資により現物出資法人が行っていた事業の移転を受け、かつ、その事業を引き続き行うものに限ります。) その被現物出資法人とその現物出資に係る現物出資法人(その現物出資により被現物出資法人が引き続き行う事業を移転するものに限ります。)の設立の日のうち最も早い日ニ その適用を受けようとする法人との間に完全支配関係(その法人による完全支配関係又は他の者との間に他の者による完全支配関係がある法人相互の関係に限ります。)がある他の法人(その法人が発行済株式又は出資の全部又は一部を有するものに限ります。)の残余財産が確定した場合におけるその法人 その法人と他の法人の設立の日のうち最も早い日(注) 完全支配関係とは、法人税法第 2 条

第12号の 7 の 6 に規定する完全支配関

係をいいます。

ホ 特別の法律に基づく承継を受けた法人 その承継に係る被承継法人の設立の日

ロ 適用年度終了の時において翌期繰越欠損金額があること。 翌期繰越欠損金額とは、国税通則法第 2条第 6号ハに規定する純損失等の金額のうち同号ハ⑵に掲げるものとされています(措法42の 4 ②二)。したがって、法人税申告書(法規別表一)の様式の「翌期へ繰り越す欠損金又は災害損失金」の欄に記載されるべき金額がある場合となりますので、適用年度において法人税法第57条第 1項の規定により青色欠損金額の全額を控除しきれなかった場合等、すなわち、適用年度の所得の金額が欠損金額控除前の所得の金額の50%相当額となり、翌期繰越欠損金額がある場合ということになります。

(参考) 国税通則法

(定義)

第 2 条 この法律において、次の各号に掲げ

る用語の意義は、当該各号に定めるところ

による。

一~五 省 略

六 納税申告書 申告納税方式による国税

に関し国税に関する法律の規定により次

に掲げるいずれかの事項その他当該事項

に関し必要な事項を記載した申告書をい

い、国税に関する法律の規定による国税

の還付金(以下「還付金」という。)の還

付を受けるための申告書でこれらのいず

れかの事項を記載したものを含むものと

する。

イ・ロ 省 略

ハ 次に掲げる金額(以下「純損失等の

金額」という。)

⑴ 省 略

⑵ 法人税法に規定する欠損金額又は

連結欠損金額でその事業年度又はそ

─�332�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

の連結事業年度(同法第15条の 2(連

結事業年度の意義)に規定する連結

事業年度をいう。以下同じ。)以前に

おいて生じたもの(同法第57条第 2

項若しくは第 6 項(青色申告書を提

出した事業年度の欠損金の繰越し)、

第58条第 2 項(青色申告書を提出し

なかつた事業年度の災害による損失

金の繰越し)又は第81条の 9 第 2 項

(連結欠損金の繰越し)の規定により

欠損金額又は連結欠損金額とみなさ

れたものを含む。)のうち、同法の規

定により翌事業年度以後の事業年度

分若しくは翌連結事業年度以後の連

結事業年度分の所得の金額若しくは

連結所得(同法第 2条第18号の 4(定

義)に規定する連結所得をいう。以

下同じ。)の金額の計算上順次繰り越

して控除し、又は前事業年度以前の

事業年度分若しくは前連結事業年度

以前の連結事業年度分の所得若しく

は連結所得に係る還付金の額の計算

の基礎とすることができるもの

⑶ 省 略

ニ~ヘ 省 略

七~十 省 略

 ただし、適用年度終了の時において大法人の100%グループ法人に該当するもの、法人税法第 4条の 7に規定する受託法人及び株式移転完全親法人を除くこととされています(措法42の 4 ②、措令 1 の 2 ③)ので、これらに該当する法人は、この税額控除額の上限の特例の適用ができない法人とされています。 すなわち、同法第57条第11項第 3号の規定における欠損金の控除限度額の特例の対象となる新設法人に該当する法人に限られています。(注 1) 大法人とは、イ資本金の額又は出資金

の額が 5 億円以上である法人、ロ相互会

社又は外国相互会社、ハ受託法人をいい

ます(法法66⑥二)。また、大法人の100

%グループ法人とは、大法人との間にそ

の大法人による完全支配関係がある普通

法人又は普通法人との間に完全支配関係

がある全ての大法人が有する株式及び出

資の全部をその全ての大法人のうちいず

れか一の法人が有するものとみなした場

合においてそのいずれか一の法人とその

普通法人との間にそのいずれか一の法人

による完全支配関係があることとなると

きのその普通法人をいいます(法法66⑥

二・三)。

 以上から、この税額控除額の上限の特例の対象となる適用年度、つまり、総額型の税額控除額の上限が調整前法人税額の40%相当額となる事業年度は、法人税法第57条第11項第3号の規定における欠損金の控除限度額の特例の対象となる新設法人の設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度のうち、その特例事業年度(その特例の対象となる設立以後 7年内事業年度をいいます。)後の事業年度( 1 年決算の場合は、第 8 期~第10期の事業年度です。)又はその特例除外事業年度(上場等をされた場合のその上場等の日以後に終了する事業年度をいいます。)に該当する事業年度となります。 この税額控除額の上限の特例は、我が国の研究開発ベンチャーが、黒字後も間断なく研究開発投資を通じた成功によって一層事業価値を高めることを後押しすべく、研究開発税制において研究開発ベンチャーに対して、ユニコーンやメガベンチャーへの飛躍のために特に重要とされる設立後10年以内の期間であって、過去の研究開発投資等に由来する過大な累積欠損金により法人税額が少額となる期間に限り、総額型の税額控除上限を引き上げることで、研究開発投資の増加インセンティブを強化するものです。(注 2) 日本では、諸外国との比較においてユ

─�333�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ニコーンやメガベンチャーが少ないとさ

れています。諸外国を含めた成功事例か

らは、研究開発ベンチャー等がユニコー

ン等へと発展するためには、設立後10年

前後までにおける間断ない研究開発投資

等が不可欠であり、研究開発ベンチャー

に対して、初期の研究開発投資等による

最初の成功の利益を元手に、より大きな

ビジョンに向けた絶え間ない更なる研究

開発を促進することが肝要といえます。

一方で、一般的に見れば、ベンチャー企

業の設立初期の収益は安定しておらず、

事業年度末に利益が出るかどうか分から

ない(又は利益が小さい)ため、研究開

発税制による支援の効果が限定的という

課題があります。特に、設立初期の研究

開発投資等を誘因とする過大な欠損金額

が生じている場合には、最初の成功によ

り黒字化しても、欠損金の繰越控除によ

って所得金額が圧縮され、研究開発税制

の効果がより僅少となることから、こう

したベンチャー企業が大胆な研究開発投

資を間断なく行うことを一層後押しする

ためには、欠損金の控除限度額を 2 割増

しにすることに相当する程度の税額控除

額の上限引上げにより、総額型の効果を

拡大していくことが必要とされました。

③ 試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除額の上限の特例の見直し この特例(上記 1 ⑴及び⑵)の適用期限が令和 3年 3月31日まで 2年延長されるとともに、法人の平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に開始する各事業年度において試験研究費割合が10%を超える場合には、上記①の税額控除割合を試験研究費割合に応じて割り増す措置が講じられました(措法42の 4 ③二)。 この追加された措置による割増し後の総額型の税額控除割合は、具体的には、上記①イイからハまでによる税額控除割合と、その税

額控除割合に次の算式による控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合とされました(措法42の 4 ①③二)。なお、次の算式においては端数処理を行わないこととされていますが、上記①イのとおり、その合計した割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とされています。《算式》(試験研究費割合-10%)×0.5

 この算式により算出された割合が10%を超えるときは10%とすることとされています。 すなわち、試験研究費割合が10%を超える場合には、その試験研究費割合に応じ、税額控除額の上限の特例により税額控除額を最大で調整前法人税額の35%相当額とすることができるとともに、税額控除割合の割増し特例により税額控除割合を最大で1.1倍とすることができることとなります。ただし、この税額控除割合の割増し特例の適用の有無にかかわらず総額型の税額控除割合の上限に変更はありませんので、割増し後の税額控除割合がその税額控除割合の上限を超える場合には、税額控除割合はその上限とされます(例えば、上記①ロの特例により税額控除割合の上限が14%(原則:10%)とされるときは、14%が税額控除割合の最大値となります。)。(注) 改正前は、試験研究費割合が10%を超え

る場合には、試験研究費割合が10%を超え

る場合における税額控除額の上限の特例(上

記 1 ⑴及び⑵)と、高水準型との選択適用

とされていました。このため、様々な経営

実態に対応した制度設計であるといえる反

面、実務上はいずれか有利な方を選択する

ための手間が少なからずあったと考えられ

る上、その選択により得られる効果と政策

目的との関係が若干不明瞭であったと考え

られます。今般の見直しは、こうした点を

踏まえ、選択制を解消しつつ、企業の実態

を勘案した制度趣旨を踏襲したものとして

統合することで、研究開発税制全体の簡素

─�334�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

化を図るものです。

 また、この税額控除額の上限の特例については、研究開発を行うベンチャー企業の税額控除額の上限の特例(上記②)との併用を前

提としています(措法42の 4 ③二)ので、研究開発を行うベンチャー企業の総額型の税額控除額の上限は、最大で調整前法人税額の50%相当額となります(措法42の 4 ①②③二)。

(参考) 割増し後税額控除割合カーブ

⑵ 中小企業技術基盤強化税制(上記 1⑵)の見直し 税額控除割合(一律12%)その他この制度の原則に変更はありません(措法42の 4 ④)が、上記⑴①及び③と同様に、各特例について次のとおり見直されました。① 増減試験研究費割合が 5%を超える場合における特例の見直し 税額控除割合が0.3で逓増することとなる税額控除割合カーブの転換点が上記⑴①に合わせて増減試験研究費割合 8 %超(改正前:5%超)とされることに伴い、この特例の適用要件が増減試験研究費割合が 8%を超える場合(改正前: 5%を超える場合)とされるとともに、その適用期限が令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の 4 ⑤)。 なお、この見直しにより、中小企業者等の平成29年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に開始する各事業年度において増減試験研究費割合が 8%を超える場合におけるこの

制度(中小企業技術基盤強化税制)の適用は、次のとおりとなります(措法42の 4 ④⑤)。(注) 上記の平成29年 4 月 1 日から令和 3 年 3

月31日までの間に開始する各事業年度から

は、設立事業年度を除くこととされています。

イ 税額控除割合の特例 税額控除割合が次の算式により算出された割合(原則:一律12%)とされます(措法42の 4 ④⑤一)。《算式》12%+(増減試験研究費割合- 8%)×0.3

 なお、この算式により算出された割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その算出された割合が17%を超えるときは17%とすることとされています。ロ 税額控除額の上限の特例 税額控除額の上限が当期の調整前法人税額の35%相当額(原則:当期の調整前法人税額の25%相当額)とされます(措法42の

(税額控除割合)

試験研究費割合 20%の場合のイメージ

13.0%

15.0% 14%(上限)

試験研究費割合に応じ、一定の割合(※)を割増し(※) 総額型の税額控除割合 ×(試験研究費割合-10%)×0.5

新たな措置による割増し後の税額控除割合カーブ

7.0%

9.0%

11.0%10.0%

12.0%

14.0%

6.0%

8.0%

5.0%‒30% ‒25% ‒20% ‒15% ‒10% ‒5% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30%

(増減試験研究費割合)

6%(下限)

改正後の税額控除割合カーブ

─�335�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

4 ④⑤二)。② 試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除額の上限の特例の見直し この特例(上記 1 ⑴及び⑵)の適用期限が令和 3年 3月31日まで 2年延長されるとともに、中小企業者等の平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に開始する各事業年度において試験研究費割合が10%を超える場合には、税額控除割合を試験研究費割合に応じて割り増す措置が講じられました(措法42の 4 ⑥)。 この追加された措置による割増し後の中小企業技術基盤強化税制の税額控除割合は、具体的には、12%(原則)又は上記①イによる割合と、その割合に次の算式による控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合とされました(措法42の 4 ④⑤一⑥)。なお、次の算式においては端数処理を行わないこととされていますが、その合計した割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とされています。《算式》(試験研究費割合-10%)×0.5

 この算式により算出された割合が10%を超えるときは10%とすることとされています。 見直し後のこの特例は、中小企業者等の平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に開始する各事業年度において試験研究費割合が10%を超える場合には、その事業年度の次の区分に応じそれぞれ次のとおりとすることとされました(措法42の 4 ⑥)。イ 次のロ以外の場合 税額控除割合が、12%と、12%に上記の控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合とされるとともに、税額控除額の上限が次の算式により算出された金額(原則:当期の調整前法人税額の25%相当額)とされます(措法42の 4 ④⑥一)。

《算式》当期の調整前法人税額の25%相当額

+その調整前法人税額

×((試験研究費割合

-10%)× 2) なお、この算式のうち「((試験研究費割合-10%)× 2)」により算出された割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その算出された割合が10%を超えるときは10%とすることとされています(措法42の 4 ⑥一)。(注)� このイに該当する場合(つまり「次の

ロ以外の場合」に該当する場合)には、

増減試験研究費割合が 8 %以下の場合の

ほか、増減試験研究費割合を計算してい

ない場合も該当します。

ロ 増減試験研究費割合が 8%を超える場合 次の区分に応じそれぞれ次のとおりです。イ 上記①ロの適用を受ける場合 税額控除割合が、上記①イによる割合と、その割合に上記の控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合とされます(措法42の 4 ④⑤一⑥二イ)。 なお、税額控除額の上限は、上記①ロにより、当期の調整前法人税額の35%相当額(原則:当期の調整前法人税額の25%相当額)とされます(措法42の 4 ④⑤二)。つまり、試験研究費割合が10%を超える場合の税額控除額の上限の特例は、適用しないこととなります。ロ 上記①ロの適用を受けない場合 税額控除割合が、上記①イによる割合と、その割合に上記の控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合とされるとともに、税額控除額の上限が上記イの算式により算出された金額(原則:当期の調整前法人税額の25%相当額)とされます(措法42の 4 ④⑤一⑥二ロ)。

─�336�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(参考) 上記①及び②の見直し後の中小企業技術基盤強化税制の全体像

③ 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直しイ みなし大企業の判定における大規模法人の追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法42の 4⑧七、措令27の 4 ⑫)。ロ みなし大企業の判定における判定法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法42の 4 ⑧七、措令27の 4 ⑫)。

(注) 上記イ及びロの改正の内容の詳細等につ

いては、後述「第六 その他」の「一 中

小企業者から除外されるみなし大企業の範

囲の見直し」の 2をご参照ください。

⑶ 特別試験研究費の額に係る税額控除制度(上記 1⑶)の見直し この制度について、質の高い研究開発を一層促進する観点や、研究開発型ベンチャー企業との連携による研究開発力強化の観点等から、次のとおり見直されました。① 特別試験研究費の額の範囲の見直しイ 民間委託研究の追加 特別試験研究費の額の対象となる試験研究のうちいわゆる委託研究は、上記 1 ⑶のとおり、特別研究機関等に委託する一定の試験研究、大学等に委託する一定の試験研究又は特定中小企業者等に委託する一定の試験研究とされていましたので、大企業同士の委託研究等は、この制度の対象外とされてきましたが、今般新たに、大企業に委託して行うような次のイ又はロの民間委託

原則 増減試験研究費割合に係る措置○税額控除割合(改正前と同様) ○税額控除割合

税額控除割合

15%

16%

17%税額控除割合

原則

11%

12%

13%

14%

15%

16%

17%

11%

12%

13%

14%

15%

16%

17%

11%

12%

13%

14%

15%

16%

17%

11%

12%

13%

14%

○税額控除上限(改正前と同様)25% ○税額控除上限(改正前と同様)35%

5% 10% 15% 20% 25%増減試験研究費割合8%

‒10% ‒5% 0% 5% 10%

‒10% ‒5% 0% 5% 10%

増減試験研究費割合

○税額控除割合 ○税額控除割合税額控除割合

割増し措置(最大)特例割合(改正後)

税額控除割合割増し措置(最大)原則

試験研究費割合に係る

措置

割増し(※1)

割増し(※1)

8% 10% 15% 20% 25%増減試験研究費割合増減試験研究費割合

○税額控除上限(改正前と同様)25%+α(※ 2 ) ○税額控除上限(改正前と同様)35% or 25%+α(※ 2 )

(※ 1 )割増前の税額控除割合 × 控除割増率((試験研究費割合-10%)×0.5【最大10%】)(※ 2 )(試験研究費割合-10%)× 2 【最大10%】

特例割合(改正後)特例割合(改正前)

原則

─�337�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

研究について、特別試験研究費の額の対象となる試験研究に追加され、大企業同士の委託研究もこの制度の適用ができることとされました(措法42の 4 ⑧十、措令27の 4⑱九・十)。(注) 平成25年度税制改正におけるこの制度

の見直しにおいて、それまでの産学官連

携に資する共同研究や委託研究に加え、

民と民とのオープンイノベーションを活

性化することで、我が国の研究開発投資

の質の向上・底上げ等を図るため、民間

同士の共同研究が特別試験研究費の対象

とされましたが、委託研究については、

その形態からおおよそオープンイノベー

ションに該当する蓋然性が高い(企業内

部と外部のアイデアを有機的に結合させ

る行為そのもの)と考え得る共同研究と

は異なる取扱いとされました。つまり、

単なる業務・事務の外注(アウトソーシ

ング)も含まれる可能性がある中、オー

プンイノベーションに真に資するもので

あるか否かの区分が容易ではないこと等

から、大学等や中小企業者等に委託する

一定の研究を除き、特別試験研究費の対

象とされませんでした。令和元年度(平

成31年度)税制改正においては、改めて

企業同士の試験研究の委託取引の実態を

精査し、共同研究との近似性、大学・国

の研究機関への委託研究の形態との相当

性(同等性)等を見極めつつ、単なる業

務の外注を確実に除外する観点を踏まえ、

オープンイノベーションの推進に資する

ものとして民間委託研究を極力客観的に

区分し、これを特別試験研究費の対象に

追加することとされました。

イ 新事業開拓事業者等に対する民間委託研究 すなわち、研究開発型ベンチャー企業である新事業開拓事業者等に委託する試験研究のうち、次の要件を全て満たす試

験研究とされています。(注) 新事業開拓事業者等については、下

記ロをご参照ください。

A 委任契約等により委託する試験研究で、その委託に基づき行われる業務が試験研究に該当するものであること(措令27の 4 ⑱九)。 委任契約等とは、当事者の一方が法律行為をすることその他の事務を相手方に委託する契約又は協定に該当するものをいいますが、この契約又は協定からは、次の類型のものが除外されています(措規20⑳)。これは、民法上の委任・準委任契約(典型契約)を原則該当するものとしつつも、その形式にかかわらず、各契約の委任の要素に着目して複合・混合契約として該当性を実質的に判断するものです。A 次のaからcまでの全てに該当する契約等 このAの類型は、形式的に委任契約(他に委任の要素がある契約も含みます。)であっても、単なる外注などのようにa、b、cの全てに該当する場合には、その実質が請負等の他の契約と評価すべき蓋然性が高い契約等というものです。したがって、a、b、cのいずれか一つにでも非該当であれば、このAの類型には該当しません。a その委託する事務(以下「委託事務」といいます。)を履行することに対する報酬を支払うこととされていないこと。 つまり、履行による委託事務の目的とする事由の成否のいかんにかかわらず、その委託事務を受託者が遂行することそのものに報酬が支払われることとされている場合(いわゆる有償委任である場合

─�338�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

等)には、このaには該当しません。いわゆる無償委任である場合は該当することとなりますが、委託事務を履行することに対する報酬の支払に係る債務(その委託事務を処理するのに必要と認められる費用の弁償に係る債務を含みます。)が、その契約又は協定に基づく他の報酬やその契約又は協定に基づき引き渡す物品の対価の支払に係る債務と区分されていない場合もこのaに該当することとされています(措規20⑳一)。 これにより、例えば契約上は有償委任として契約条項が設けられている場合であっても、その契約条項に係る債務とその契約に基づく他の債務(次のbの報酬又は対価等です。)とが、債務額その他算出方法等から明確に区分されていない場合には、このaの要件を満たすこととなります。なお、委託事務の履行に必要な費用の償還請求等に基づく債務との区分は要しないとされていますので、それ以外の債務がなければこのaには該当しないこととなります。b 委託事務の履行により得られる成果に対する報酬、仕事の結果に対する報酬又は物品の引渡しの対価を支払うこととされていること。 委託事務の履行により得られる成果に対する報酬とは、いわゆる成功報酬のことで、仕事の結果に対する報酬は、主に請負契約における報酬を、物品の引渡しの対価は、売買に相当する取引に係る対価をそれぞれ想定しているものです(措規20⑳二)。このbは、委託事務に関する成功報酬の特約を

認めないという趣旨のものではなく、そうした特約は単なる作業外注、下請け等との区別が困難化する要素であることから、そうした外注的要素ともども、委任契約等から除外する一要因として掲げられているものです。c 委託事務に着手する時においてその委託事務の履行により得られる成果の内容が具体的に特定できていること。 このcでは、委託した時点であらかじめ具体的な成果物が決まっていることが想定されています(措規20⑳三)。これは、試験研究の委託を前提とするもので、試験研究による成果であれば、期待する成果はあっても、委託者が最終的に得るものが決まっていないはずであるからです。また、典型的な外注の請負契約では、あらかじめ決められている仕事の結果こそが履行債務といえますので、そうした請負契約であれば、委託事務の履行により得られる成果の内容が具体的に特定できていることになります。 つまり、あらかじめ決められた手順や方法による実験結果(例えば数値データ)の引渡しのみを目的とするような契約は、今般促進すべきオープンイノベーションである委託研究としてはふさわしくないものとして、このcに該当します。 なお、委託事務の履行により得られる成果を得ること、仕事を完成すること又は物品を引き渡すことを主たる目的としている場合を含むこととされています(措規20

─�339�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑳三)ので、契約の主目的が委託事務を遂行してもらうことになければ、具体的な成果物を特定するまでもなく、その契約は、このcに該当することとなります。

B 次のいずれかに該当する契約等 いわゆる委任契約の要素として考えられるものは様々ありますが、特に試験研究を委託する委任契約として、次のaやbは、報告や費用負担が不可欠な要素であるとされたものです。ただし、いずれも「要しないこととされている」とされていますので、積極的に委任らしからぬ取り決めをしない限り、該当することはありません。つまり、形式的に委任契約であっても次のaかbのいずれかに該当するものは、試験研究を委託する委任契約としては取り扱われないことになります。a その委託の終了後における委託事務の経過及び結果の報告を要しないこととされていること。 試験研究を行った成否を含め、一切報告がないことを前提とする契約等が該当しますので、これに該当する場合には、オープンイノベーションとして試験研究を委託した意義が喪失しているものと考えられます。b 委託事務を履行することに対する報酬の支払及びその委託事務を処理するのに必要と認められる費用の弁償を要しないこととされていること。 つまり、受託者が受託した試験研究の遂行にかかる費用の請求を放棄していることとなります。成功報酬以外の金銭等の授受を予定しない場合など、商業ベースでみ

てあえて委任契約とする意義がないものです。

 また、「委託に基づき行われる業務が試験研究に該当するもの」とされていますので、受託者にとっても、その委託を受けた事務の遂行そのものが試験研究行為である必要があります。これは、委託事務の内容が単なる計算や調査をすることではオープンイノベーションに資するとは言い難いため、これらを排除するための要件です。(注) 一般に委託研究の受託者にとって、

自らの本業として役務提供を行って

いるに過ぎない可能性が高く、会計

上も「研究開発費」といった勘定科

目で処理することはないと考えられ

る(つまり、試験研究に要した費用

は当然に売上原価等になっていると

考えられます。)ことから、「委託に

基づき行われる業務が試験研究に該

当するもの」か否かの判定について、

具体的に単純なメルクマールを示す

ことは難しいともいえますが、例え

ば、その役務提供に係る事務を受託

者が受託者自身のために行ったと仮

定すれば試験研究に該当するであろ

うもの(事務)であれば、この要件

を満たすものと考えられます。

B 次のいずれかに該当すること(措令27の 4 ⑱九イロ)。A その委託する試験研究の成果を活用して委託をする法人(適用法人)が行おうとする試験研究が工業化研究に該当しないものであること。 工業化研究とは、その委託をする法人(適用法人)が行おうとする非特定試験研究のうち、その非特定試験研究に係る試験研究費の額を法人税法上棚卸資産の取得価額に算入することとなるものとされています

─�340�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(措規20㉑)。(注 1) 試験研究費とは、租税特別措

置法第42条の 4 第 8 項第 1 号に

規定する試験研究費をいいます。(注 2) 法人税法施行令第32条(第 1

項第 2 号に係る部分に限りま

す。)の規定により、自己の製

造等に係る棚卸資産の取得価額

は、原則として、その製造等の

ために要した原材料費、労務費

及び経費の額とその資産を消費

し又は販売の用に供するために

直接要した費用の額との合計額

とされており、一般に試験研究

費の額は製造原価として算入す

ることになるものとされていま

すが、試験研究費のうち、基礎

研究及び応用研究の費用の額並

びに工業化研究に該当すること

が明らかでないものの費用の額

については、製造原価に算入し

ないことができるものと取り扱

われています(法基通 5 - 1 -

4)。すなわち、製造原価にそ

の費用が算入される工業化研究

に該当することが明らかな試験

研究と、本制度における工業化

研究は同じ概念といえますので、

基本的に法人税の現行実務にお

ける取扱いを変更するものでは

ありません。

 そして、非特定試験研究とは、試験研究のうち次の特定された試験研究を除いたものをいいます(措規20㉑)。a その委託をする法人(適用法人)にとって、基礎研究又は応用研究に該当することが明らかである試験研究(注) 基礎研究とは、特別な応用又

は用途を直接に考慮することな

く、仮説及び理論を形成するた

め又は現象及び観察可能な事実

に関して新しい知識を得るため

に行われる理論的又は実験的な

試験研究をいい、応用研究とは、

特定の目標を定めて実用化の可

能性を確かめる試験研究又は既

に実用化されている方法に関し

て新たな応用方法を探索する試

験研究をいいます(措規20㉑一)。

b その委託をする法人(適用法人)にとって、工業化研究に該当しないことが明らかである試験研究(注) 上記の「工業化研究」とは、

基礎研究及び応用研究並びに実

際の経験から得た知識を活用し、

付加的な知識を創出して、新た

な製品等の創出又は製品等の改

良を目的とする試験研究をいい

ます(措規20㉑二)。なお、製

品等とは、製品、半製品、役務

の提供、技術の提供、装置、仕

組み、工程その他これらに準ず

るもの及びこれらの素材をいい

ます(措規20㉑二)。

 すなわち、委託をする法人(適用法人)の行う試験研究のうち、試験研究の性格別の分類によるところの基礎研究や応用研究に当たるものを委託する場合がこのAに該当することとなります。これは、委託する試験研究がその委託をする法人(適用法人)にとって基礎研究や応用研究であれば、その成果が、成否にかかわらず、委託をする法人(適用法人)のリソースと結合して次のステージである応用研究や工業化研究に生かされる結果、「企業内部と外部

─�341�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

のアイデアを有機的に結合させる」ことになる蓋然性が高いものとされたものです。 しかし、試験研究には、基礎研究、応用研究又は工業化研究に客観的かつ普遍的に分類されるものもありますが、多くの場合は、試験研究を行う法人の主観によるところが大きく、内容を見ても一概には分類できないものと考えられます。 そこで、具体的な性格別の分類においては、上記により、委託をする法人(適用法人)の主観的な判断によって、基礎研究、応用研究又は工業化研究に分類しつつ、おおむね工業化研究に該当することが明らかな試験研究のうち、税務処理においても、工業化研究として製造原価に算入されるものがこのAにおける「工業化研究」に該当するものとされました。(注) 試験研究の性格別の分類につい

ては、基本的に、各企業の認識に

よる分類と齟そ

齬ご

しないものと考え

られています。また、基礎研究、

応用研究及び工業化研究の定義は、

旧法人税通達における分類の解釈

や統計法の科学技術研究調査規則

による性格別分類の規定を参考に

定められているものですので、こ

れまでの税務における工業化研究

とそれ以外とを区分する際の取扱

いを変更するものでもありません。

したがって、各企業において法人

税基本通達 5 - 1 - 4 によって製

造原価に含めることとなる試験研

究が工業化研究となります。結果

的に、各企業にとって工業化研究

のみに該当することが明らかな試

験研究以外の試験研究の全部又は

一部を委託する場合には、このA

に該当することとなります。なお、

企業における製造原価の会計処理

にかかわらず、稟りん

議書等で工業化

研究と明確に位置付けているもの

(工業化研究と自ら判断している

もの)までを否定する意図ではあ

りません。

 なお、その委託に係る委任契約等において、委託先の新事業開拓事業者等に委託する試験研究が委託をする法人(適用法人)の工業化研究以外の試験研究に該当するものである旨が定められている場合に限られています(措令27の 4 ⑱九イ)ので、委任契約等にその旨の定めがない場合には、上記による分類の適否にかかわらず、このAに該当しないこととなります。B その委託する試験研究が主として委託先の新事業開拓事業者等の有する知的財産権等を活用して行うものであること。 知的財産権等とは、知的財産権その他これに準ずるもの及びこれらを活用した機械その他の減価償却資産をいいます(措令27の 4 ⑱九ロ)。 知的財産権とは、知的財産基本法第 2条第 2項に規定する知的財産権及び外国におけるこれに相当するものをいいますので、例えば、特許権、実用新案権等といった法的に権利を保護されているものやその利用権ということになります(措法42の 4 ⑧十)。 知的財産権に準ずるものとは、知的財産権以外の資産のうち、特別の技術による生産方式その他これに準ずるもの(以下「技術的知識等財産」といいます。)を利用する権利

─�342�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

で受託者が対価を支払って第三者から設定又は許諾を受けたもの及び受託者が対価を得て技術的知識等財産の第三者による利用につき設定し、又は許諾してその第三者にその利用をさせている設定又は許諾をした技術的知識等財産をいいます(措規20�)。(注 1) 第三者とは、委託をする法人

(適用法人)以外の者をいいま

す(措規20�)。受託者がその

利用に係る対価を支払い、又は

得る場合ですので、当然に受託

者以外の者ということにもなり

ます。(注 2) 技術的知識等財産は、いわゆ

るノウハウなどのことです。技

術的な知見等で、法的な権利と

まで至らないものや法的な権利

に至っていないものともいえま

す。ノウハウは、秘密の技術的

知識と経験などともいわれてい

るとおり、通常は企業内部に秘

匿されているもの(あるいは秘

匿されている段階のもの)です

ので、外部からその存在を実証

することは極めて困難と考えら

れます。特に今般のような、受

託者の有するノウハウを委託者

に直接利用させるのではなく、

受託者がその有するノウハウを

委託者から受託した試験研究に

利用(活用)することで一定の

成果を期待する場合にあっては、

なおさらといえます。このため、

委託した試験研究に利用される

ことが客観的に明らかとなる

「第三者から有償で利用権を得

ている場合のそれ」か、「第三

者に有償で利用させている場合

のそれ」に限定することとされ

たものです。

 すなわち、委託した試験研究が受託者の有する知的財産権及びこれに準ずるものを利用して遂行されるのであれば、その成果が、成否にかかわらず、その後の製品等の完成につなげることが前提となるため、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させる」ことになる蓋然性が高いものとされたものです。また、「これらを活用した機械その他の減価償却資産」とあるように、委託した試験研究が受託者の有する試験研究用の機械等で知的財産権やノウハウの詰まったものを使用して遂行される場合も同様とされています。(注 3) 上記の「機械その他の減価償

却資産」は、試験研究用資産が

念頭に置かれていますが、現に

製造用の機械装置等であっても、

委託した試験研究の試行錯誤に

利用されるものであれば排除さ

れていません。

 なお、その委託に係る委任契約等において、その活用する知的財産権等が委託先の新事業開拓事業者等の有するものである旨及びその知的財産権等を活用して行う試験研究の内容が定められている場合に限られています(措令27の 4 ⑱九ロ)ので、委任契約等にその旨等の定めがない場合には、実際の活用いかんにかかわらず、このBに該当しないこととなります。

C その委託に係る委任契約等において次の事項が定められていること(措令27の 4 ⑱九、措規20�一~五)。A その委託する試験研究の目的及び内容

─�343�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

B その委託する試験研究の実施期間🄒 その委託する新事業開拓事業者等の名称及び代表者の氏名並びに本店の所在地D その委託する試験研究における分担すべき役割として委託をする法人(適用法人)がその試験研究に要する費用の額を負担する旨及びその明細E 委託先の新事業開拓事業者等がその委託をする法人(適用法人)が負担する費用の額を確認する旨及びその方法F その委託する試験研究の成果が委託をする法人(適用法人)に帰属する旨G その委託する試験研究の主要な部分について再委託を行わない旨H その委託する試験研究に係る定期的な進捗状況に関する報告の内容及び方法

D 委託先の新事業開拓事業者等とのその委託に係る委任契約等に基づいて行われる試験研究であること(措令27の4 ⑱九)。 当然に、上記AからCまでの要件を満たす場合の委任契約等とされています。 これは、特別試験研究費の額の対象となる他の委託試験研究と同様の要件で、対象となる試験研究であることとその範囲があらかじめ確定している必要があります。すなわち、オープンイノベーションを誘引する制度であるため、試験研究費が発生前から特別試験研究費に該当する予定であることを求めるものです。 なお、委託する試験研究の主要な部分について委託先の新事業開拓事業者等が再委託を行う場合のその試験研究

については、この要件を満たさないこととされています(措令27の 4 ⑱九)。つまり、そのような再委託を認めては、委託先を特定する意義が失われるとともに、潜脱(濫用)を許すおそれがあるからです。 この新事業開拓事業者等に対する民間委託研究に係る特別試験研究費の額は、この制度の適用を受ける法人(その委託をする法人)の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その民間委託研究に要した費用であってその法人がその委託に係る委任契約等に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その委託先の新事業開拓事業者等の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました(措法42の 4 ⑧十、措令27の 4 ⑲二、措規20�六)。(注 1) 監査とは、専門的な知識及び経験

を有する者が行う検査及び適正であ

ることの証明をいいます(措規20�

一)。(注 2) 確定申告書等とは、法人税法第 2

条第30号に規定する中間申告書で同

法第72条第 1 項各号に掲げる事項を

記載したもの及び同法第144条の 4第

1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事

項を記載したもの並びに同法第 2 条

第31号に規定する確定申告書をいい

ます(措法 2②二十七)。

ロ 他の者に対する民間委託研究 すなわち、他の者に委託する試験研究のうち、次の要件を全て満たす試験研究とされています。これらの要件のうち共通部分は、基本的に上記イと同様のものとなっていますので、上記イをご参照く

─�344�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ださい。(注) 他の者は、委託をする法人(適用法

人)以外の者ですが、特別研究機関等、

大学等、新事業開拓事業者等及び関係

法人等を除くこととされています。な

お、新事業開拓事業者等及び関係法人

等については、下記ロをご参照くださ

い。

A 委任契約等により委託する試験研究で、その委託に基づき行われる業務が試験研究に該当するものであること(措令27の 4 ⑱十)。B 次のいずれかに該当すること(措令27の 4 ⑱十イロ)。A その委託する試験研究の成果を活用して委託をする法人(適用法人)が行おうとする試験研究が工業化研究に該当しないものであること。 なお、その委託に係る委任契約等において、委託先の他の者に委託する試験研究が委託をする法人(適用法人)の工業化研究以外の試験研究に該当するものである旨が定められている場合に限られています(措令27の 4 ⑱十イ)。B その委託する試験研究が主として委託先の他の者の有する知的財産権等を活用して行うものであること。 なお、その委託に係る委任契約等において、その活用する知的財産権等が委託先の他の者の有するものである旨及びその知的財産権等を活用して行う試験研究の内容が定められている場合に限られています(措令27の 4 ⑱十ロ)。

C その委託に係る委任契約等において次の事項が定められていること(措令27の 4 ⑱十、措規20�一~四)。A その委託する試験研究の目的及び内容

B その委託する試験研究の実施期間🄒 その委託する他の者の氏名又は名称及び代表者の氏名並びに住所又は本店若しくは主たる事務所の所在地D その委託する試験研究における分担すべき役割として委託をする法人(適用法人)がその試験研究に要する費用の額を負担する旨及びその明細E 委託先の他の者がその委託をする法人(適用法人)が負担する費用の額を確認する旨及びその方法F その委託する試験研究の成果が委託をする法人(適用法人)に帰属する旨G その委託する試験研究に係る定期的な進捗状況に関する報告の内容及び方法

D 委託先の他の者とのその委託に係る委任契約等に基づいて行われる試験研究であること(措令27の 4 ⑱十)。 当然に、上記AからCまでの要件を満たす場合の委任契約等とされています。 この他の者に対する民間委託研究に係る特別試験研究費の額は、この制度の適用を受ける法人(その委託をする法人)の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その民間委託研究に要した費用であってその法人がその委託に係る委任契約等に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その委託先の他の者の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました(措法42の 4 ⑧十、措令27の 4 ⑲二、措規20�七)。

─�345�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ロ 特別試験研究費の区分の変更 特別試験研究費の額の対象となる試験研究のうち、他の者との間で行われる共同研究について、次のとおり、新事業開拓事業者等と共同して行う一定の試験研究と、それ以外の他の者と共同して行う一定の試験研究との 2つに区分することとされました(措令27の 4 ⑱三・四)。試験研究に係る契約又は協定に関する要件である契約等に定めるべき事項には、基本的に変更がありませんので、民間における共同研究の相手方のうち、新事業開拓事業者等を特に区分することとされたものといえます。なお、この新たに区分された民間共同研究については、下記②で後述するとおり、これまでより高い税額控除割合が適用されます。(注) 「未来投資戦略2018(平成30年 6 月15日

閣議決定)」において、「企業価値又は時

価総額が10億ドル以上となる、未上場ベ

ンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベ

ンチャー企業を2023年までに20社創出

(KPI)」とされ、「世界で勝つことのでき

る有望なベンチャー及びそれらの候補を

創出する若者に対して政策リソースを重

点化することにより、我が国経済を牽引

するような企業を創出する」とされてい

ます。さらに、「知と人材の集積拠点であ

る大学・国立研究開発法人のイノベーシ

ョン創造への役割は重さを増しつつある」、

「イノベーションの果実が次の研究開発に

投資されるイノベーションエコシステム

を産学官が協力して構築することが必

要」とあります。こうした政策を進める

観点から、ユニコーン等を20社創出する

目標達成に直接寄与する蓋然性が高いと

考えられるベンチャー企業や、大学・国

研等発のシーズの研究開発を進めるベン

チャー企業で産学官連携を具現化してイ

ノベーションエコシステム実現に貢献す

ると考えられるものについて、研究開発

の側面から税制においても支援すること

とされました。

イ 新事業開拓事業者等との共同研究 新事業開拓事業者等と共同して行う試験研究で、その新事業開拓事業者等との契約又は協定に基づいて行われるものとされています(措令27の 4 ⑱三)。(注) 契約又は協定は、次の事項を定めて

いるものに限られています(措令27の

4 ⑱三、措規20⑬一~七)。

A� その共同で行う試験研究の目的及

び内容

B� その共同で行う試験研究における

その法人(適用法人)及び新事業開

拓事業者等の役割分担及びその内容

C� その共同で行う試験研究の実施期

D� その共同で行う試験研究に係る新

事業開拓事業者等の名称及び代表者

の氏名並びに本店の所在地

E� その共同で行う試験研究の実施場

F� その共同で行う試験研究の用に供

される設備の明細

G� その共同で行う試験研究に直接従

事する研究者の氏名

H� その法人(適用法人)及び新事業

開拓事業者等がその共同で行う試験

研究に要する費用を分担する旨及び

その明細

I� その新事業開拓事業者等がその共

同で行う試験研究に要する費用のう

ちその法人(適用法人)が負担した

額を確認する旨及びその方法

J� その共同で行う試験研究の成果が

その法人(適用法人)及び新事業開

拓事業者等に帰属する旨及びその内

K� その共同で行う試験研究に係る定

期的な進捗状況に関する報告の内容

─�346�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

及び方法

 新事業開拓事業者等とは、一定の新事業開拓事業者及びこれに準ずる者をいい、特別研究機関等、大学等及び関係法人等を除くこととされています(措令27の 4⑱三)。A 新事業開拓事業者 新事業開拓事業者のうちその発行する株式の全部又は一部が認定特定新事業開拓投資事業組合の組合財産であるものとされていますが、法人のこの制度の適用を受ける事業年度の確定申告書等にその新事業開拓事業者の株主名簿の写し等のうちその発行する株式が認定特定新事業開拓投資事業組合の組合財産であることを明らかにする書類の添付がある場合に限られています(措規20⑫一)。(注 1) 新事業開拓事業者とは、新商品

の開発又は生産、新たな役務の開

発又は提供、商品の新たな生産又

は販売の方式の導入、役務の新た

な提供の方式の導入その他の新た

な事業活動を行うことにより、新

たな事業の開拓を行う事業者(新

たに設立される法人を含みます。)

であって、その事業の将来におけ

る成長発展を図るために外部から

の投資を受けることが特に必要な

ものその他の経済産業省令で定め

るものをいい(産業競争力強化法

2 ⑤)、認定特定新事業開拓投資

事業組合とは、産業競争力強化法

第16条第 1 項の認定を受けた投資

事業有限責任組合をいいます(産

業競争力強化法17①)。なお、投

資事業有限責任組合とは、投資事

業有限責任組合契約に関する法律

第 2 条第 2 項に規定する投資事業

有限責任組合をいいます。

(注 2) 株主名簿の写し等とは、株主名

簿の写しその他の書類で株主の氏

名又は名称及び住所又は事務所の

所在地が確認できる書類をいいま

す。一般には、その新事業開拓事

業者が備置き及び閲覧等に供する

ものを謄写したものと同等のもの

となりますので、この制度の適用

を受けようとする法人は、共同研

究の相手方(上記イイの民間委託

研究であれば、その委託先)であ

る新事業開拓事業者にあらかじめ

それを請求することとなります。

また、株主名簿が電磁的記録をも

って作成されている場合には、当

然に、その電磁的記録に記録され

た事項を一定の定めに従って表示

したものとなります。(注 3) 株主名簿の写し等のうち「組合

財産であることを明らかにする書

類」とされていますので、全株主

が明らかである必要はなく、組合

財産であることが確認できる程度

に表示されている書類を添付すれ

ば足ります。

 すなわち、産業競争力強化法により経済産業大臣が認定したベンチャーファンドから投資を受けているベンチャー企業です。成長性・新規性等の観点から、将来大きく急成長してユニコーンとなる可能性が高いベンチャー企業といえ、さらに、ユニコーンとなった後には、後進のベンチャー企業へのヒト・カネ・チエの環流を生むことが期待されています。 なお、確定申告書等への書類の添付がない場合には、新事業開拓事業者に現に該当するか否かにかかわらず、新事業開拓事業者等に該当しないこととされますので、特別試験研究費のうち

─�347�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

新事業開拓事業者等との共同研究の区分は、事実上、適用法人の選択によることとなります。B 一定の新事業開拓事業者に準ずる者 大学等又は国立研究開発法人(以下「大学・国研等」といいます。)による公益性の高い研究成果を社会実装しようとする大学・国研等に準ずるベンチャー企業として、次の法人とされています。A 特定研究成果活用事業者 特定研究成果活用事業者のうち、次の要件の全てを満たすものとされていますが、法人のこの制度の適用を受ける事業年度の確定申告書等にその特定研究成果活用事業者の株主名簿の写し等のうちその発行する株式が認定特定研究成果活用支援事業者に該当する投資事業有限責任組合の組合財産であることを明らかにする書類及びaの雇用関係を証する書類の写しの添付がある場合に限られています(措規20⑫二)。a その特定研究成果活用事業者の役員が大学等又は特別研究開発法人の職員としてその大学等を設置する法人又はその特別研究開発法人に雇用されていること。 ただし、これらの法人からその雇用関係を証する書類の交付を受けている場合に限られています。b その特定研究成果活用事業者の発行する株式が初めてその投資事業有限責任組合の組合財産となった日から起算して10年を経過していないこと。

(注 1) 特定研究成果活用事業者とは、

認定特定研究成果活用支援事業

者に該当する投資事業有限責任

組合の組合財産である株式を発

行した法人で、その発行する株

式が初めてその投資事業有限責

任組合の組合財産となった日に

おいて、その資本金の額が 5 億

円未満であるものをいいます

(措規20⑫二)。(注 2) 認定特定研究成果活用支援事

業者とは、産業競争力強化法第

20条第 1 項に規定する認定特定

研究成果活用支援事業者をいい、

同法第19条第 1 項の認定を受け

た者とされています。また、投

資事業有限責任組合とは、特定

研究成果活用支援事業を実施し

ようとする投資事業有限責任組

合(その認定を受けた者による

成立に係る特定研究成果活用支

援事業を実施する投資事業有限

責任組合を含みます。)をいい

ます(産業競争力強化法19①)。

なお、特定研究成果活用支援事

業とは、同法第 2 条第 7 項に規

定する特定研究成果活用支援事

業をいいます。(注 3) 役員とは、取締役、執行役、

会計参与及び監査役をいい(措

規20⑫二イ)、大学等とは、学

校教育法第 1 条に規定する大学

若しくは高等専門学校(これら

のうち構造改革特別区域法第12

条第 2 項に規定する学校設置会

社が設置するものを除きます。)

又は国立大学法人法第 2 条第 4

項に規定する大学共同利用機関

をいい(措令27の 4 ⑱二)、特

別研究開発法人とは、科学技

術・イノベーション創出の活性

化に関する法律別表第 3 に掲げ

る法人をいいます(措規20⑫二

イ)。

─�348�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(注 4) 上記aとbの要件は、基本的

に、特別試験研究費のうち新事

業開拓事業者等との共同研究と

してこの制度の適用を受ける各

事業年度において、その共同研

究の期間を通じて満たす必要が

ありますが、上記aの要件につ

いて、常に同一役員(人物)が

大学・国研等の職員となってい

ることを要するものではありま

せん。

B 研究開発成果活用事業者 研究開発成果活用事業者のうち、次の要件の全てを満たすものとされていますが、法人のこの制度の適用を受ける事業年度の確定申告書等にその研究開発成果活用事業者の株主名簿の写し等のうちその出資を受けた特別研究開発法人が株主として記載されている書類及びaの雇用関係を証する書類の写しの添付がある場合に限られています(措規20⑫三)。a その研究開発成果活用事業者の役員が大学等又は特別研究開発法人の職員としてその大学等を設置する法人又はその特別研究開発法人に雇用されていること。 ただし、これらの法人からその雇用関係を証する書類の交付を受けている場合に限られています。b その研究開発成果活用事業者がその特別研究開発法人から初めてその出資を受けた日から起算して10年を経過していないこと。

(注 1) 研究開発成果活用事業者とは、

特別研究開発法人から科学技

術・イノベーション創出の活性

化に関する法律第34条の 6 第 1

項の規定により出資を受ける同

項第 1 号に掲げる者に該当する

法人で、その特別研究開発法人

から初めてその出資を受けた日

において、その資本金の額が 5

億円未満であるものをいいます

(措規20⑫三)。(注 2) 上記Aの(注 4)については、

Bにおいても同様です。

 上記A及びBのいずれの法人も、それぞれの制度において、㋑大学・国研等側からの人材参画や技術的支援等を通じて、人材を介した大学・国研等への知見の還流が起こると期待されるほどに、大学・国研等から強力なコミットメントを受けており、㋺大学・国研等の研究開発成果の活用を中心とした事業を行う主体と認められ、㋩活用しようとする研究成果(技術シーズ)が大学・国研等を出自とすることを確認できるものとされています。すなわち、大学・国研等の研究の進展にも寄与しつつ新たな付加価値の創出を目指すような産学官連携を具現化するベンチャー企業といえます。 なお、確定申告書等への書類の添付がない場合には、上記Aと同様に、特定研究成果活用事業者又は研究開発成果活用事業者に現に該当するか否かにかかわらず、新事業開拓事業者等に該当しないこととされますので、特別試験研究費のうち新事業開拓事業者等との共同研究の区分は、事実上、適用法人の選択によることとなります。C 関係法人等 関係法人等とは、この制度の適用を受ける法人(適用法人)にとって、次の法人をいいます(措令27の 4 ⑱三)。A 適用法人がその発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除きます。以下同じです。)の総数又は総額の25%以上を有している

─�349�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

他の法人 なお、上記の他の法人が連結親法人である場合には、上記の他の法人による連結完全支配関係にある各連結子法人を含みます。B 適用法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の25%以上を有している他の者 なお、上記の他の者が連結親法人である場合には上記の他の者による連結完全支配関係にある各連結子法人を、上記の他の者が連結子法人である場合には上記の他の者に係る連結親法人及びその連結親法人による連結完全支配関係にある他の連結子法人を、それぞれ含みます。🄒 適用法人との間に支配関係がある他の者(注) 支配関係とは、法人税法第 2 条

第12号の 7 の 5 に規定する支配関

係をいいます。

 なお、この新事業開拓事業者等との共同研究に係る特別試験研究費の額は、この制度の適用を受ける法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その共同で行う試験研究に要した費用であってその法人がその試験研究の契約又は協定に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その共同先の新事業開拓事業者等の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました(措法42の 4 ⑧十、措令27の4 ⑲二、措規20�二)。

ロ 他の者との共同研究 基本的に、改正前と要件等に変更はありませんが、他の者の範囲から、上記イ

の新事業開拓事業者等を除くこととされました(措令27の 4 ⑱四)。すなわち、他の者は、この制度の適用を受ける法人以外の者ですが、特別研究機関等、大学等、新事業開拓事業者等及び関係法人等を除いたものとされています。 また、この区分変更に伴い、他の者との共同研究に係る特別試験研究費の額についても整備が行われ、この制度の適用を受ける法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その共同で行う試験研究に要した費用であってその法人がその試験研究の契約又は協定に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その共同先の他の者の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました(措法42の 4 ⑧十、措令27の 4 ⑲二、措規20�三)。

ハ その他の整備 上記イ及びロによる特別試験研究費の額の対象となる試験研究の区分の追加及び変更に伴い、次の他の共同研究又は委託研究に係る特別試験研究費の額についても整備が行われ、それぞれ次のとおりとされました(措令27の 4 ⑲、措規20�一・四・五)。イ 大学等との共同研究 この制度の適用を受ける法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その共同で行う試験研究に要した費用であってその法人がその試験研究の契約又は協定に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その共同先の大学等の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監

─�350�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました。ロ 大学等に対する委託研究 この制度の適用を受ける法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その委託する試験研究に要した費用であってその法人がその試験研究の契約又は協定に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その委託先の大学等の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました。ハ 特定中小企業者等に対する委託研究 この制度の適用を受ける法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額のうち、その委託する試験研究に要した費用であってその法人がその試験研究の契約又は協定に基づいて負担したもの(費用)に係るもの(試験研究費の額)であることにつき、監査を受け、かつ、その委託先の特定中小企業者等の確認を受けた金額で、その金額が生じた事業年度の確定申告書等にその監査及び確認に係る書類の写しを添付することにより証明がされた金額とされました。

(注 1) 特定用途医薬品等に関する試験研究

の追加

 上記 1 ⑶⑨のいわゆるオーファンド

ラッグに係る試験研究と同様の観点か

ら、患者の絶対数から治験被験者の確

保が困難な上、採算が取り難い特定用

途医薬品等に関する試験研究を、特別

試験研究費の対象となる試験研究の範

囲に追加することとされています(平

成31年度税制改正の大綱)が、この追

加は、上記の特定用途医薬品等に係る

制度が定められる医薬品、医療機器等

の品質、有効性及び安全性の確保等に

関する法律の改正を前提とするもので、

この改正を含む医薬品、医療機器等の

品質、有効性及び安全性の確保等に関

する法律等の一部を改正する法律案に

ついては、令和元年 6 月21日現在、国

会において審議中です。(注 2) URA(リサーチアドミニストレータ

ーの大学版)に係る適用の明確化

 大学等との共同研究について、その

特別試験研究費となる人件費の範囲の

明確化が図られることとされています。

具体的には、人件費の要件に係る「専

門的知識」と「専ら」の取扱いにおい

て、URAへの給与等も対象となり得る

ことが明らかにされる予定です。

② 税額控除割合の見直し 特別試験研究費の額のうち、他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものに係る試験研究費の額については、税額控除割合を25%とすることとされました(措法42の 4 ⑦二)。 すなわち、見直し後の特別研究税額控除限度額は、次のイからハまでの金額の合計額とされました(措法42の 4 ⑦)。イ その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される調整後特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る試験研究費の額の30%相当額 特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究は、具体的には、上記 1 ⑶の(注)①、②、⑤及び⑥の試験研究(いわゆる産学官連携となる試験研究です。)とされています(措令27の 4 ①)ので、イの金額は、調整後特別試験研究費の額のうちこれらの

─�351�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

試験研究に係る特別試験研究費の額に相当する金額(以下「特別試験研究機関等研究費の額」といいます。)の30%相当額となります。(注) 調整後特別試験研究費の額とは、特別

試験研究費の額のうち、この制度の適用

を受ける事業年度において総額型又は中

小企業技術基盤強化税制の適用を受ける

場合における調整前法人税額から控除す

る金額の計算の基礎となった特別試験研

究費の額を除いた金額をいいます。すな

わち、重複適用を排除した後の特別試験

研究費の額(この制度の適用対象となる

特別試験研究費の額ともいえます。)です。

なお、特別試験研究費の額とは、上記 1

⑶の(注)①②④~⑨並びに上記⑶イイ

ロ及びロイロの試験研究に係る試験研究

費の額をいいます。

ロ その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される調整後特別試験研究費の額のうち他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものに係る試験研究費の額の25%相当額 他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものは、具体的には、上記⑶①ロイの新事業開拓事業者等との共同研究及び上記⑶①イイの新事業開拓事業者等に対する民間委託研究とされています(措令27の 4 ①)ので、ロの金額は、調整後特別試験研究費の額から特別試験研究機関等研究費の額を除いた金額のうち、その事業年度の損金の額に算入されるこれらの試験研究に係る特別試験研究費の額に相当する金額の25%相当額となります。ハ その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額のうち上記イ及びロの試験研究費の額以外の試験研究費の額の20%相当額

 ハの対象となる試験研究費の額とは、具体的には、調整後特別試験研究費の額のうち、上記イの金額の計算の基礎となる特別試験研究費の額、上記ロの金額の計算の基礎となる特別試験研究費の額と順次控除した残額とされています(措法42の 4 ⑦三)ので、ハの金額は、この残額の20%相当額となります。

③ 税額控除額の上限の引上げ 税額控除額の上限が、調整前法人税額の10%(改正前: 5%)相当額に引き上げられました(措法42の 4 ⑦)。(注) この制度は、いわゆるオープンイノベー

ションを促進するためのものですが、オー

プンイノベーションとは、企業内部と外部

のアイデアを有機的に結合させ、価値を創

造することとされ、例えば、組織の外部で

生み出された知識を社内の経営資源と戦略

的に組み合わせることによりイノベーショ

ンを創出すること等といわれています。こ

のオープンイノベーションの推進は、高い

スピルオーバーによる我が国の研究開発の

促進、重複投資排除による我が国の研究開

発の効率化、自前主義からの脱却による我

が国の研究構造の変革等が期待されるとい

った観点から、重要な施策といえます。「日

本再興戦略(2014)」においても、「企業が

行き過ぎた技術の自前主義・自己完結主義

から脱却し、機動的なイノベーションを目

指すオープンイノベーションを強力に推進

するための環境整備を図る」とされていま

したが、企業にとってスピルオーバーは本

来望まれていないなど、共同研究等に消極

的な企業マインドを背景に、オープンイノ

ベーションへの取組は進んでいない状況で

す。そこで、スピルオーバー効果の負の面

や、自前主義・コスト高といった企業の認

識に対して、税額控除額の上限の引上げ等

によってより強いインセンティブを与える

ことで、現状の打開を図ることとされたも

─�352�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

のです。

⑷ 平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度(上記 1⑷)の廃止 この制度は、適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって廃止されました(旧措法42の 4⑦)。 この制度は、高水準型などと呼ばれているもので、売上金額の 1割を超える程の高水準な試験研究費の額を支出する企業の実情に配慮したものとされていますが、上記⑴③のとおり、平均売上金額の10%相当額を超える場合における各制度の選択制を解消しつつ、企業の実態を勘案した制度趣旨を踏襲したものとして、いわゆる総額型における税額控除割合を割増しする特例に実質的に統合されることをもって廃止することとされたものです。今般の見直しにより、研究開発税制全体でみれば、インセンティブ効果の拡充と制度の簡素化が図られたものと考えます。

⑸ その他の改正① 組織再編成があった場合における比較試験研究費の額の調整計算等の適正化 総額型や中小企業技術基盤強化税制における増減試験研究費割合が 8%を超える場合の特例の適用において、増減試験研究費割合の計算の基礎となる比較試験研究費の額は、原則、これらの適用を受ける事業年度(以下「適用年度」といいます。)前の 3年間の事業年度の試験研究費の額の平均額とされています(措法42の 4 ⑧五)が、その適用を受ける法人(以下「適用法人」といいます。)が、その 3年間の事業年度及び適用年度において行われた組織再編成に係る合併法人等に該当する場合には、組織再編成に極力中立的な増減試験研究費割合が計算されるように、比較試験研究費の額を調整する計算をすること等とされています。 上記⑴から⑶までの見直しにより、公平・

中立の観点から、増減試験研究費割合の計算における中立性の確保が一層重要になったと考えられることから、他の制度における類似の調整規定の昨今の改正を踏まえ、比較試験研究費の額の調整計算等についても以下のとおり適性化が図られました。イ 新設の分割承継法人等の増減試験研究費割合の適正化等 分割又は現物出資により設立された分割承継法人又は被現物出資法人(以下「新設分割承継法人等」といいます。)のその設立の日を含む事業年度については、所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用を受ける場合を除き、総額型の適用において設立事業年度とされていましたが、合併による設立と同様に、その設立から分割又は現物出資による設立が除かれ、設立事業年度に該当しないこととされました(措法42の 4 ⑧四)。 また、改正前の原則の調整計算の対象となる合併等に係る合併法人等からは、その分割又は現物出資により設立された法人が除かれていましたが、改正後ではそうした除外が廃止されるとともに(措令27の 4 ⑦一)、合併等に係る合併法人等の設立の日を含む事業年度については、設立事業年度から除外することとされました(措法42の4 ⑧四、措令27の 4 ⑥)。 これにより、新設分割承継法人等の適用年度が設立の日を含む事業年度であっても、比較試験研究費の額が 0円である場合と同様に無条件でその増減試験研究費割合を8.5%として総額型を適用することはできなくなるとともに、金銭出資により設立された法人や株式移転に係る株式移転完全親法人における設立の日を含む事業年度であっても、合併等に係る合併法人等に該当する場合には、比較試験研究費の額の調整を行うこととなります。

─�353�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

 なお、改正後は、原則の調整計算か、所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の調整計算かのいずれかを選択することとなります。(注) 改正前は、8.5%の増減試験研究費割合

と、上記の特例の調整計算により計算し

た増減試験研究費割合とのいずれか有利

な方を選択することができました。

ロ 組織再編成があった場合の比較試験研究費の額の調整計算(原則)の適正化 合併による新設法人への事業の承継は、新設合併により事業を承継する法人を設立する場合に限られず、あらかじめ設立した法人を合併法人とする事後の吸収合併により行うことも少なくありませんが、これまで比較試験研究費の額の調整計算においては、これらは異なる扱いとされてきました。 今般、上記イの見直しに伴う比較試験研究費の額の調整計算の規定の整備とともに、いわば事後設立型の組織再編成があった場合においても、新設合併等と同様の調整計算に基づく比較試験研究費の額となるように、合併、分割、現物出資又は現物分配がある場合における比較試験研究費の額の調整計算(原則)について、規定が見直されました(措令27の 4 ⑦)。また、合わせて、適用法人が組織再編成を複数回行っている場合には、複数回の組織再編成に則した調整を要することが明確化されました。(注) 現物分配とは、法人税法第 2 条第12号

の 5の 2に規定する現物分配をいいます。

 具体的には、適用法人が合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下「合併法人等」といいます。)である場合における比較試験研究費の額の計算は、次の区分に応じて調整を行うこととされています(措法42の 4 ⑪、措令27の4 ⑦⑧)。イ 適用法人が適用年度において行われた

合併等に係る合併法人等に該当する場合 合併法人等(=適用法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併等に係る被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人をいいます。以下同じです。)の月別試験研究費の額を合計した金額にその合併等の日からその適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の 4 ⑦一)。つまり、合併法人等の比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、合併法人等の基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人等が未経過法人に該当する場合には基準日からその合併法人等の設立の日の前日までの期間を合併法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 ⑦一)。 また、上記の「合併等」とは、合併、分割、現物出資又は現物分配をいい、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、その適用年度開始の日の前日から適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産を確定したものと

─�354�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

され、その場合の「合併等の日」は残余財産の確定の日の翌日とされています(措令27の 4 ⑦一)。(注 1) 月別試験研究費の額とは、合併等

に係る被合併法人等のその合併等の

日前に開始した各事業年度又は連結

事業年度に係る試験研究費の額をそ

れぞれ各事業年度又は連結事業年度

の月数で除して計算した金額を各事

業年度又は連結事業年度に含まれる

月に係るものとみなしたものをいい

ます(措令27の 4 ⑧)。このとき、分

割事業年度等にあっては、その分割

等の日の前日を分割事業年度等の終

了の日とした場合に損金の額に算入

される試験研究費の額をその分割事

業年度等の開始の日からその分割等

の日の前日までの期間の月数で除し

て計算した金額をその分割事業年度

等の開始の日からその分割等の日の

前日までの期間に含まれる月に係る

ものとみなしたものとされています。

なお、上記の「分割事業年度等」と

は、上記の合併等の日前に開始した

各事業年度又は連結事業年度のうち、

分割等の日を含む事業年度又は連結

事業年度をいい、「分割等」とは、分

割、現物出資又は現物分配をいいま

す(措令27の 4 ⑧)。(注 2) 必要な月数換算による調整とは、

適用年度の月数と適用年度開始の日

前 3 年以内に開始した各事業年度又

は連結事業年度の月数とが異なる場

合の比較試験研究費の額の月数換算

と同様に、適用年度の月数と調整対

象年度とされる各事業年度又は連結

事業年度の月数とが異なる場合にお

いて、試験研究費の額に適用年度の

月数を乗じてこれを調整対象年度と

される各事業年度又は連結事業年度

の月数で除して計算することをいい

ます(措法42の 4 ⑧五、措令27の 4

⑦)。(注 3) 基準日とは、次のいずれか早い日

をいいます(措令27の 4 ⑦一)。

A� 適用法人が未経過法人に該当し、

かつ、適用法人がその設立の日か

ら適用年度終了の日までの期間内

に行われた合併、分割、現物出資

又は現物分配(現物分配が残余財

産の全部の分配である場合には、

その設立の日から適用年度終了の

日の前日までの期間内において残

余財産が確定したものとされてい

ます。)に係る合併法人等である場

合におけるその合併、分割、現物

出資又は現物分配(以下「基準対

象合併等」といいます。)に係る被

合併法人等の適用年度開始の日前

3 年以内に開始した各事業年度又

は連結事業年度のうち最も古い事

業年度又は連結事業年度開始の日

 ただし、基準対象合併等は、そ

の合併、分割、現物出資又は現物

分配に係る被合併法人等のその合

併、分割、現物出資又は現物分配

の日前に開始した各事業年度又は

連結事業年度に係る試験研究費の

額が零でない場合で、かつ、その

合併、分割、現物出資又は現物分

配に係る合併法人等の設立の日か

らその合併、分割、現物出資又は

現物分配の日の前日(残余財産の

全部の分配である場合には、その

残余財産の確定の日)までの期間

に係る試験研究費の額が零である

場合に限ることとされていますの

で、例えば、被合併法人がその合

併による解散までに設立後一度も

試験研究費を支出したことがない

─�355�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

場合や、分割承継法人の設立後そ

の分割までにおいて試験研究費の

支出がある場合には、その合併、

分割、現物出資又は現物分配につ

いては、このAの日はないことと

なります。したがって、他に基準

対象合併等となる合併、分割、現

物出資又は現物分配がなければ、

次のBの日のみとなります。

 すなわち、このAの日は、設立

間もない適用法人が合併等により

試験研究費の額を損金算入するこ

ととなる場合に、その設立前の期

間について合併法人等の事業年度

等とみなすことを前提に、比較試

験研究費の額の基礎となる試験研

究費の額として、適用年度前の 3

年間の事業年度分に相当する試験

研究費の額が最大限確保されるこ

ととなる日といえます。

B� 適用年度開始の日前 3 年以内に

開始した各事業年度又は連結事業

年度のうち最も古い事業年度又は

連結事業年度開始の日

 すなわち、このBの日は、その

日を基準日とする調整対象年度を

含む比較試験研究費の額の基礎と

なる適用年度前の事業年度の期間

が、結果的に原則どおりとなる日

で、上記Aの日がない場合か、あ

っても被合併法人等の設立の日が

合併法人等の設立の日より後の場

合に基準日となる日です。(注 4) 未経過法人とは、適用年度開始の

日においてその設立の日の翌日以後

3 年を経過していない法人をいいま

す(措令27の 4 ⑦一)。(注 5) 設立の日は、外国法人にあっては

恒久的施設を有することとなった日

と、公益法人等及び人格のない社団

等にあっては新たに収益事業を開始

した日と、収益事業を行っていない

公益法人等に該当していた普通法人

又は協同組合等にあってはその普通

法人又は協同組合等に該当すること

となった日と、それぞれされていま

す(措令27の 4 ⑥)。

 上記のとおり、適用年度における合併等によって適用法人の増減試験研究費割合の計算における比較試験研究費の額を調整する場合については、改正後は、適用法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間について事業年度とみなした上、調整対象年度として被合併法人等の月別試験研究費の額の月数調整額を加算し、この加算後の金額を調整対象年度の試験研究費の額として比較試験研究費の額を計算することとされています。(注 6) 改正前は、新設合併の場合にのみ、

基準被合併法人(被合併法人のうち

合併直前の資本金の額等が最も多い

ものをいいます。)の事業年度又は連

結事業年度を合併法人の事業年度と

みなした場合における最も古い事業

年度開始の日から合併の日の前日ま

での期間を含む各事業年度について、

調整対象年度として試験研究費の額

の調整を行うこととされていました

が、改正後においては、未経過法人

であれば、新設合併に限らず、上記

のとおり調整することとなりました。

─�356�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(参考) 適用法人が適用年度において行われた合併等に係る合併法人等に該当する場合の調整計算【合併】

12月 12月 12月 4 月 8 月

被合併法人 120 120 120 40

適用年度合併最も古い事業

年度開始の日(基準日) 80

60調整対象年度

60調整対象年度 調整対象年度

60 60合併法人

×被合併法人の月別試験研究費の額の合計額

8月12月

を加算

調整

8080 80

60 60 60

③140

140 + 140 + 140

③= 比較試験研究費の額 =

事業年度調整(措法 42 の4⑧五)

12月12月12月12月

120 120 120

合併

合併

調整対象年度(みなした事業年度)

適用年度240

合併基準日

【新設合併】

被合併法人

合併法人

被合併法人 120 120120 60

6 月 6 月

×被合併法人の月別試験研究費の額の合計額

12月12月

を加算調整

360

360

12月

12月 12月+ + 12月

240

比較試験研究費の額 =720 × =①

(=240)240

事業年度調整(措法 42 の4⑧五)

最も古い事業年度開始の日

月数調整(措法 42 の4⑧五)

─�357�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ロ 適用法人が基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内において行われた合併等に係る合併法人等に該当する場合 合併法人等(=適用法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併等に係る被合併法人等の月別試験研究費の額を合計した金額を加算することとされています(措令27の 4 ⑦二)。つまり、上記イと同様に、比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、合併法人等の基準日からその合併等の日の前日

までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、合併法人等が未経過法人に該当する場合には基準日からその合併法人等の設立の日の前日までの期間を合併法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 ⑦二)。 また、上記の「合併等」とは、合併、分割、現物出資又は現物分配をいい、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、基準日の前日から適用年度開始の日の前日を含む事業年度又は連結事業年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産を確定したものとされています(措令27の 4 ⑦二)。(注) 月別試験研究費の額、必要な月数換

算による調整、基準日、未経過法人及

び設立の日については、上記イ(注 1)

から(注 5)までをご参照ください。

 上記のとおり、適用年度開始の日前に

【事後設立型】12月 12月

被合併法人

12月12月

120 120 120 120

合併法人(未経過法人)

合併

適用年度60

12月

基準日

×被合併法人の月別試験研究費の額の合計額

6月6月6月

調整 12月

を加算

150

月数調整(措法 42 の4⑧五)

60

①事業年度調整

(措法 42 の4⑧五)

12月

+150× = 比較試験研究費の額 =(=60)

60

12月 12月 6月+

調整対象年度(みなした事業年度)

6月

最も古い事業年度開始の日 設立

試験研究費の額が零

─�358�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

おける合併等によって適用法人の増減試験研究費割合の計算における比較試験研究費の額を調整する場合については、改正後は、適用法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間について事業年度とみなした上、

調整対象年度として被合併法人等の月別試験研究費の額の月数調整額を加算し、この加算後の金額を調整対象年度の試験研究費の額として比較試験研究費の額を計算することとされています。

(参考) 適用法人が基準日から適用事業年度開始の日の前日までの期間内において行われた合併等に係る合

併法人等に該当する場合の調整計算【合併】

12月 12月 4 月 8 月 12月

被合併法人

合併

120 120 40

合併法人

最も古い事業年度開始の日(基準日)

調整対象年度80 120

60 60

調整対象年度

60

適用年度

調整対象年度

調整

被合併法人の月別試験研究費の額の合計額を加算

60

80120120 40

60 60 60

③ 180

180 + 180 + 180

③= 比較試験研究費の額 =

事業年度調整(措法 42 の4⑧五)

─�359�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

【新設合併】

被合併法人 120 120

12月 12月 12月 12月

合併最も古い事業年度開始の日

合併法人

合併

調整対象年度(みなした事業年度)

適用年度240

前事業年度240

被合併法人 120120 60

6月 6月

被合併法人の月別試験研究費の額の合計額を加算

調整240

240240

②月数調整(措法 42 の4⑧五)

240

12月 240+240480 × = 比較試験研究費の額 =

②(=240)

事業年度調整(措法 42 の4⑧五)

基準日

+12月 12月

【事後設立型】

設立

被合併法人

合併

合併法人(未経過法人)

調整対象年度60

調整対象年度(みなした事業年度)

適用年度120

12月6 月 6 月

12月

試験研究費の額が零

調整被合併法人の

月別試験研究費の額の合計額を加算

180 60

60

120

比較試験研究費の額 =120+120

②事業年度調整

(措法 42 の4⑧五)

12月180 × =(=120)

12月12月12月

120 120 120

12月

6 月+

最も古い事業年度開始の日

月数調整(措法 42 の4⑧五)

基準日

─�360�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

 なお、現物分配に係る被現物分配法人である適用法人が、その現物分配により試験研究用資産の移転を受けていない場合において、納税地の所轄税務署長に現物分配により試験研究用資産の移転を受けていない旨の届出をしたときは、改正前と同様に、その現物分配による比較試験研究費の額の調整は要しないこととされています(措令27の 4 ⑪)。 また、複数の組織再編成が行われているため、適用法人が上記イと上記ロのいずれにも該当する場合等には、これらの調整対象年度に係る試験研究費の額について、上記イ及びロの加算調整をいずれも行うこととなります。ハ 分割等があった場合の比較試験研究費の額の調整計算の特例の適正化 所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例による調整計算についても、上記ロと同様に、事後設立型の組織再編成があった場合に対応する規定の見直し等が行われました。 具体的には、適用法人が分割法人、分割承継法人、現物出資法人又は被現物出資法人である場合における比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額について、分割法人又は現物出資法人(以下「分割法人等」といいます。)が納税地の所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法に従ってその分割法人等の各事業年度又は連結事業年度に係る試験研究費の額を移転事業に係る試験研究費の額(以下「移転試験研究費の額」といいます。)とその移転事業以外の事業に係る試験研究費の額とに区分しているときの調整は、以下のとおり、それぞれの区分に応じて行うこととされました(措法42の 4 ⑪、措令27の 4 ⑨⑩)。(注 1) 移転事業とは、分割等により分割承

継法人又は被現物出資法人(以下「分

割承継法人等」といいます。)に移転す

る分割法人等の事業をいいます(措令

27の 4 ⑨)。(注 2) この特例は、その分割等に係る分割

法人等及び分割承継法人等の全てが一

定の手続によりそれぞれの納税地の所

轄税務署長にこの特例の適用を受ける

旨の届出をしたときに限り、適用でき

ることとされています(措令27の 4 ⑨)。(注 3) 分割等とは、分割又は現物出資をい

います(措令27の 4 ⑨)。

イ 適用法人が分割法人等に該当する場合 次の分割法人等の区分に応じた調整をすることとされています(措令27の 4 ⑨一)。A 適用年度において行われた分割等に係る分割法人等 分割法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額から、その分割法人等の各調整対象年度に係る移転試験研究費の額にその分割等の日から適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを適用年度の月数で除して計算した金額を控除することとされています(措令27の 4 ⑨一イ)。つまり、分割法人等の比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの控除調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、分割法人等の基準日からその適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該

─�361�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

当する場合には、連結事業年度とされています(措令27の 4 ⑨一イ)。(注) 必要な月数換算による調整及び基

準日については、上記ロイ(注 2)

及び(注 3)をご参照ください。

B 基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等 分割法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額から、その分割法人等のその調整対象年度に係る移転試験研究費の額を控除することとされています(措令27の4 ⑨一ロ)。つまり、分割法人等の比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの控除調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、分割法人等の基準日からその分割等の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には、連結事業年度とされています(措令27の 4 ⑨一ロ)。(注) 基準日及び必要な月数換算による

調整については、上記ロイ(注 2)

及び(注 3)をご参照ください。

ロ 適用法人が分割承継法人等に該当する場合 次の分割承継法人等の区分に応じた調整をすることとされています(措令27の4 ⑨二)。A 適用年度において行われた分割等に

係る分割承継法人等 分割承継法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額に、その分割承継法人等の各調整対象年度ごとにその各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転試験研究費の額を合計した金額にその分割等の日から適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを適用年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の 4 ⑨二イ)。つまり、分割承継法人等の比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、分割承継法人等の基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には基準日からその分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 ⑨二イ)。(注 1) 月別移転試験研究費の額とは、

その分割等に係る分割法人等のそ

の分割等の日前に開始した各事業

年度又は連結事業年度に係る移転

─�362�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

試験研究費の額をそれぞれ各事業

年度又は連結事業年度の月数で除

して計算した金額を各事業年度又

は連結事業年度に含まれる月に係

るものとみなしたものをいいます

(措令27の 4 ⑩)。このとき、分割

事業年度等にあっては、その分割

事業年度等に係る移転試験研究費

の額をその分割事業年度等の開始

の日からその分割等の日の前日ま

での期間の月数で除して計算した

金額をその分割事業年度等の開始

の日からその分割等の日の前日ま

での期間に含まれる月に係るもの

とみなしたものとされています。

なお、上記の「分割事業年度等」

とは、上記の分割等の日前に開始

した各事業年度又は連結事業年度

のうち、その分割等の日を含む事

業年度又は連結事業年度をいいま

す(措令27の 4 ⑩)。(注 2) 必要な月数換算による調整、基

準日、未経過法人及び設立の日に

ついては、上記ロイ(注 2)から

(注 5)までをご参照ください。

B 基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等に係る分割承継法人等 分割承継法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る試験研究費の額に、その分割承継法人等のその各調整対象年度ごとにその各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転試験研究費の額を合計した金額を加算することとされています(措令27の 4 ⑨二ロ)。つまり、分割承継法人等の比較試験研究費の額の計算における試験研究費の額は、各調整対象年度ごとにこの加算

調整をした後の試験研究費の額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、その平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が比較試験研究費の額となります。 上記の「調整対象年度」とは、分割承継法人等の基準日からその分割等の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいいますが、その期間内の日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には連結事業年度とし、分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には基準日からその分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 ⑨二ロ)。(注) 基準日、月別移転試験研究費の額、

必要な月数換算による調整、未経過

法人及び設立の日については、上記

ロイ(注 2)から(注 5)まで及び

上記A(注 1)をご参照ください。

 なお、複数の組織再編成が行われているため、適用法人が上記イA又はBと上記ロA又はBのいずれにも該当する場合等には、これらの調整対象年度に係る試験研究費の額について、上記イ及びロの加算調整をいずれも行うこととなります。

② 組織再編成があった場合における平均売上金額の調整計算の適正化 総額型や中小企業技術基盤強化税制における試験研究費割合が10%を超える場合の特例の適用において、試験研究費割合の計算の基礎となる平均売上金額は、原則、適用年度の売上金額及び売上調整年度の売上金額の平均額とされています(措法42の 4 ⑧十一、措令27の 4 ㉑)が、適用法人が適用年度及び売上調整年度において行われた組織再編成に係る

─�363�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

合併法人等に該当する場合には、比較試験研究費の額と同様に、平均売上金額の計算における売上金額について調整する計算をすることとされています。 上記⑴から⑶までの見直しに伴い、上記①と同様に、平均売上金額の計算における売上金額の調整計算についても、以下のとおり適性化が図られることとされました。イ 組織再編成があった場合の平均売上金額の調整計算(原則)の適正化 改正前は、比較試験研究費の額の調整計算(原則)と同様に、この調整計算の対象となる合併等に係る合併法人等からは、その分割又は現物出資により設立された法人が除かれていましたが、上記①イと同様に、改正後ではそうした除外を廃止することとされました(措法27の 4 �一)。 なお、改正後は、この調整計算か、所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例の調整計算のいずれかを選択することとなります。 また、上記の見直しに伴い、上記①ロと同様に、事後設立型の組織再編成があった場合においても、新設合併等と同様の調整計算に基づく売上金額となるように、合併、分割、現物出資又は現物分配がある場合における平均売上金額の調整計算(原則)について、規定が見直されました(措令27の4 �)。併せて、適用法人が組織再編成を複数回行っている場合には、複数回の組織再編成に則した調整を要することが明確化されました。 具体的には、適用法人が合併法人等である場合における売上金額の計算は、次の区分に応じて調整を行うこととされています(措法42の 4 ⑧十一⑪、措令27の 4 ㉑~�)。イ 適用法人が適用年度において行われた合併等に係る合併法人等に該当する場合 合併法人等(=適用法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、

その合併法人等のその各調整対象年度に係る売上金額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併等に係る被合併法人等の月別売上金額を合計した金額にその合併等の日からその適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれをその適用年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の 4�一)。つまり、合併法人等の平均売上金額の計算における売上金額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これらに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を適用年度及び調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。 上記の「調整対象年度」とは、合併法人等の基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各売上調整年度をいいますが、合併法人等が未経過法人に該当する場合には、基準日からその合併法人等の設立の日の前日までの期間を合併法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 �一)。 また、上記の「合併等」とは、合併、分割、現物出資又は現物分配をいい、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、その適用年度開始の日の前日から適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したものとされ、その場合の「合併等の日」は残余財産の確定の日の翌日とされています(措令27の 4 �一)。(注 1) 売上金額とは、法人の事業年度又

は連結事業年度の租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第11号又は第68条の

9 第 8 項第 9 号に規定する売上金額

─�364�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

をいいます(措令27の 4 �)。具体的

には、棚卸資産の販売その他事業と

して継続して行われる資産の譲渡及

び貸付け並びに役務の提供に係る収

益の額として所得の金額又は連結所

得の金額の計算上益金の額に算入さ

れる金額とされていますが、営業外

の収益の額とされるべきものを除く

こととされています(措令27の 4 ⑳、

39の39⑲)。(注 2) 月別売上金額とは、合併等に係る

被合併法人等のその合併等の日前に

開始した各事業年度又は連結事業年

度に係る売上金額をそれぞれ各事業

年度又は連結事業年度の月数で除し

て計算した金額を各事業年度又は連

結事業年度に含まれる月に係るもの

とみなしたものをいいます(措令27

の 4 �)。このとき、分割事業年度等

にあっては、その分割等の日の前日

を分割事業年度等の終了の日とした

場合のその分割事業年度等に係る売

上金額をその分割事業年度等の開始

の日からその分割等の日の前日まで

の期間の月数で除して計算した金額

をその分割事業年度等の開始の日か

らその分割等の日の前日までの期間

に含まれる月に係るものとみなした

ものとされています。なお、上記の

「分割事業年度等」とは、上記の合併

等の日前に開始した各事業年度又は

連結事業年度のうち、分割等の日を

含む事業年度又は連結事業年度をい

い、「分割等」とは、分割、現物出資

又は現物分配をいいます(措令27の

4 �)。(注 3) 必要な月数換算による調整とは、

適用年度の月数と売上調整年度の月

数とが異なる場合の平均売上金額の

月数換算と同様に、適用年度の月数

と調整対象年度とされる各売上調整

年度の月数とが異なる場合において、

その異なる調整対象年度とされる売

上調整年度の売上金額に適用年度の

月数を乗じてこれを調整対象年度と

される売上調整年度の月数で除して

計算することをいいます(措令27の

4 ㉑�)。(注 4) 基準日については、上記①ロイ

(注 3)をご参照ください。(注 5) 売上調整年度とは、適用年度開始

の日前 3 年以内に開始した各事業年

度又は連結事業年度をいいます(措

令27の 4 ㉑)。(注 6) 未経過法人及び設立の日について

は、上記①ロイ(注 4)及び(注 5)

をご参照ください。

 上記のとおり、適用年度における合併等によって適用法人の平均売上金額の計算における売上金額を調整する場合については、改正後は、適用法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間について事業年度とみなした上、調整対象年度として被合併法人等の月別売上金額の月数調整額を加算し、この加算後の金額を調整対象年度の売上金額として平均売上金額を計算することとされています。(注 7) 改正前は、比較試験研究費の額の

計算と同様に、新設合併の場合にの

み、基準被合併法人(被合併法人の

うち合併直前の資本金の額等が最も

多いものをいいます。)の事業年度又

は連結事業年度を合併法人の事業年

度とみなした場合における最も古い

売上調整年度から合併の日の前日を

含む売上調整年度までの各売上調整

年度について、売上調整年度として

売上金額の調整を行うこととされて

いましたが、改正後においては、未

─�365�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

経過法人であれば、新設合併に限ら

ず、上記のとおり調整することとな

りました。

ロ 適用法人が売上調整年度において行われた合併等に係る合併法人等に該当する場合 合併法人等(=適用法人)の調整対象年度については、各調整対象年度ごとに、その合併法人等のその各調整対象年度に係る売上金額に、その各調整対象年度に含まれる月のその合併等に係る被合併法人等の月別売上金額を合計した金額を加算することとされています(措令27の 4�二)。つまり、上記イと同様に、平均売上金額の計算における売上金額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これらに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を適用年度及び調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。 上記の「調整対象年度」とは、合併法人等の基準日からその合併等の日の前日までの期間内の日を含む各売上調整年度をいいますが、合併法人等が未経過法人に該当する場合には、基準日からその合併法人等の設立の日の前日までの期間を合併法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 �二)。 また、上記の「合併等」とは、合併、分割、現物出資又は現物分配をいい、現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、売上調整年度のうち最も古い売上調整年度開始の日の前日から適用年度開始の日の前日を含む事業年度又は連結事業年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産を確定したものとさ

れています(措令27の 4 �二)。(注) 売上金額、月別売上金額、必要な月

数換算による調整、基準日、売上調整

年度、未経過法人及び設立の日につい

ては、上記①ロイ(注 3)から(注 5)

まで並びに上記イ(注 1)から(注 3)

まで及び(注 5)をご参照ください。

 上記のとおり、適用年度開始の日前における合併等によって適用法人の平均売上金額の計算における売上金額を調整する場合については、改正後は、適用法人が未経過法人である場合には、基準日から設立の日の前日までの期間について事業年度とみなした上、調整対象年度として被合併法人等の月別売上金額の月数調整額を加算し、この加算後の金額を調整対象年度の売上金額として平均売上金額を計算することとされています。 なお、適用法人が現物分配に係る被現物分配法人であるものが、その現物分配により試験研究用資産の移転を受けていない場合において、納税地の所轄税務署長に現物分配により試験研究用資産の移転を受けていない旨の届出をしたときは、改正前と同様に、その現物分配による平均売上金額の調整は要しないこととされています(措令27の 4 �)。 また、複数の組織再編成が行われているため、適用法人が上記イと上記ロのいずれにも該当する場合等では、これらの調整対象年度に係る売上金額について、上記イ及びロの加算調整をいずれも行うこととなります。ロ 分割等があった場合の平均売上金額の調整計算の特例の適正化 所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例による調整計算についても、上記イと同様に、事後設立型の組織再編成があった場合に対応する規定の見直し等が行われました。

─�366�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

 具体的には、適用法人が分割法人、分割承継法人、現物出資法人又は被現物出資法人である場合における平均売上金額の計算における売上金額について、分割法人等が納税地の所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法に従ってその分割法人等の各事業年度又は連結事業年度に係る売上金額を移転事業に係る売上金額(以下「移転売上金額」といいます。)とその移転事業以外の事業に係る売上金額とに区分しているときの調整は、以下のとおり、それぞれの区分に応じて行うこととされました(措法42の4 ⑧十一⑪、措令27の 4 ㉑��)。(注 1) 移転事業とは、分割等により分割承

継法人等に移転する分割法人等の事業

をいいます(措令27の 4 �)。(注 2) この特例は、その分割等に係る分割

法人等及び分割承継法人等の全てが一

定の手続によりそれぞれの納税地の所

轄税務署長にこの特例の適用を受ける

旨の届出をしたときに限り、適用でき

ることとされています(措令27の 4 �)。(注 3) 分割等とは、分割又は現物出資をい

います(措令27の 4 �)。

イ 適用法人が分割法人等に該当する場合 次の分割法人等の区分に応じた調整をすることとされています(措令27の 4 �一)。A 適用年度において行われた分割等に係る分割法人等 分割法人等(=適用法人)の各売上調整年度ごとに、その分割法人等のその各売上調整年度に係る売上金額から、その分割法人等の各売上調整年度に係る移転売上金額にその分割等の日から適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを適用年度の月数で除して計算した金額を控除することとされています(措令27の 4 �一イ)。つまり、分割法人等の平均売上金額の計算にお

ける売上金額は、各売上調整年度ごとにこの控除調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これらに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を適用年度及び売上調整年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。(注) 売上調整年度、売上金額及び必要

な月数換算による調整については、

上記イイ(注 1)、(注 3)及び(注 5)

をご参照ください。

B 売上調整年度において行われた分割等に係る分割法人等 分割法人等(=適用法人)の各売上調整年度ごとに、その分割法人等のその各売上調整年度に係る売上金額から、その分割法人等のその売上調整年度に係る移転売上金額を控除することとされています(措令27の 4 �一ロ)。つまり、分割法人等の平均売上金額の計算における売上金額は、各売上調整年度ごとにこの控除調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これらに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を適用年度及び売上調整年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。 上記の「各売上調整年度」とは、分割法人等の売上調整年度のうち最も古い売上調整年度から分割等の日の前日を含む売上調整年度までの各売上調整年度をいいます(措令27の 4 �一ロ)。(注) 売上調整年度、売上金額及び必要

な月数換算による調整については、

上記イイ(注 1)、(注 3)及び(注 5)

─�367�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

をご参照ください。

ロ 適用法人が分割承継法人等に該当する場合 次の分割承継法人等の区分に応じた調整をすることとされています(措令27の4 �二)。A 適用年度において行われた分割等に係る分割承継法人等 分割承継法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る売上金額に、その分割承継法人等の各調整対象年度ごとにその各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転売上金額を合計した金額にその分割等の日から適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを適用年度の月数で除して計算した金額を加算することとされています(措令27の 4 �二イ)。つまり、分割承継法人等の平均売上金額の計算における売上金額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これらに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を適用年度及び調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。 上記の「調整対象年度」とは、分割承継法人等の各売上調整年度をいいますが、分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には、基準日からその分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 �二イ)。(注 1) 月別移転売上金額とは、その分

割等に係る分割法人等のその分割

等の日前に開始した各事業年度又

は連結事業年度に係る移転売上金

額をそれぞれ各事業年度又は連結

事業年度の月数で除して計算した

金額を各事業年度又は連結事業年

度に含まれる月に係るものとみな

したものをいいます(措令27の 4

�)。このとき、分割事業年度等

にあっては、その分割事業年度等

に係る移転売上金額をその分割事

業年度等の開始の日からその分割

等の日の前日までの期間の月数で

除して計算した金額をその分割事

業年度等の開始の日からその分割

等の日の前日までの期間に含まれ

る月に係るものとみなしたものと

されています。なお、上記の「分

割事業年度等」とは、上記の分割

等の日前に開始した各事業年度又

は連結事業年度のうち、その分割

等の日を含む事業年度又は連結事

業年度をいいます(措令27の 4 �)。(注 2) 売上金額、必要な月数換算によ

る調整、売上調整年度、未経過法

人、基準日及び設立の日について

は、上記①ロイ(注 3)から(注 5)

まで並びに上記イイ(注 1)、(注 3)

及び(注 5)をご参照ください。

B 売上調整年度において行われた分割等に係る分割承継法人等 分割承継法人等(=適用法人)の各調整対象年度ごとに、その分割承継法人等のその各調整対象年度に係る売上金額に、その分割承継法人等のその各調整対象年度ごとにその各調整対象年度に含まれる月のその分割等に係る分割法人等の月別移転売上金額を合計した金額を加算することとされています(措令27の 4 �二ロ)。つまり、分割承

─�368�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

継法人等の平均売上金額の計算における売上金額は、各調整対象年度ごとにこの加算調整をした後の売上金額につき必要な月数換算による調整をした金額となり、他に調整すべき組織再編成が行われていない場合には、これに適用年度の売上金額を合計した金額の平均額(その合計額を調整対象年度の数で除して計算した金額です。)が平均売上金額となります。 上記の「調整対象年度」とは、売上調整年度をいいますが、分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には基準日からその分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を分割承継法人等の事業年度とみなした場合におけるそのみなした事業年度を含むこととされています(措令27の 4 �二ロ)。(注) 売上調整年度、売上金額、月別移

転売上金額、必要な月数換算による

調整、未経過法人、基準日及び設立

の日については、上記①ロイ(注 3)

から(注 5)まで、上記イイ(注 1)、

(注 3)及び(注 5)並びに上記A

(注 1)をご参照ください。

 なお、複数の組織再編成が行われているため、適用法人が上記イA又はBと上記ロA又はBのいずれにも該当する場合等には、これらの売上調整年度及び調整対象年度に係る売上金額について、上記イ及びロの加算調整をいずれも行うこととなります。

③ 分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額及び売上金額の区分計算の手続の見直し 上記①ハのとおり、分割又は現物出資が行われた場合において所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算を行おうとするときは、その分割法人等及び分割承継法人等の全ては、それぞれの

納税地の所轄税務署長にその行おうとする旨の届出が必要とされています(措令27の 4⑨)が、上記①と同様に、届出書に記載すべき分割法人等の試験研究費の額及び移転試験研究費の額についても適正化が図られ、届出対象期間内の日を含む分割法人等の各事業年度又は連結事業年度に係る試験研究費の額及び移転試験研究費の額を記載することとされました(措規20⑧四)。 届出対象期間とは、分割等事業年度開始の日から起算して 3年前の日又は分割承継等事業年度開始の日から起算して 3年前の日のうちいずれか早い日からその分割又は現物出資の日の前日までの期間をいいます(措規20⑧四)。つまり、分割法人等又は分割承継法人等のそれぞれの比較試験研究費の額の調整計算において分割法人等の試験研究費の額及び移転試験研究費の額が不可欠となりますので、その基因となる分割又は現物出資が、分割法人等又は分割承継法人等のいずれかの適用年度において行われたものであっても不足が生じないように、最大限となる対象期間についてこれらの記載を必要とするものです。 また、分割等事業年度とは、分割法人等のその分割又は現物出資の日を含む事業年度又は連結事業年度をいい、分割承継等事業年度とは、分割承継法人等のその分割又は現物出資の日を含む事業年度又は連結事業年度をいいますので、分割等事業年度又は分割承継等事業年度が連結事業年度に該当する場合には、上記のそれぞれの開始の日は、その連結事業年度に係る連結親法人事業年度開始の日とされます(措規20⑧四)。 なお、試験研究費の額及び移転試験研究費の額の記載の対象となる分割法人等の各事業年度又は連結事業年度のうち、分割等事業年度にあっては、届出対象期間に係るものに限ることが明らかにされていますので、その分割又は現物出資の日から分割等事業年度終了の日までの期間については、これらの記載を

─�369�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

要しないこととなります。(注 1) 移転試験研究費の額については、上記

①ハをご参照ください。

 同様に、分割又は現物出資が行われた場合において所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算を行おうとする場合の届出についても適正化が図られ、上記の届出対象期間内の日を含む分割法人等の各事業年度又は連結事業年度に係る売上金額及び移転売上金額を記載することとされました(措規20�四)。(注 2) 移転売上金額については、上記②ロを

ご参照ください。

 なお、上記①~③以外に、適用除外事業者に関する規定の施行(平成31年 4 月 1 日)に伴い、必要な規定の整備が行われています(措規20⑩)が、ここでの解説は省略しますので、後述「第六 その他」の「二 中小企業向けの租税特別措置の適用停止等」をご参照ください。

⑹ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑸までとおおむね同様の改正が行われています(措法68の 9 ①~⑧、旧措法68の 9 ⑦、措令39の39①⑤~⑨⑪⑰⑱㉑~�、措規22の23⑧五⑫⑬⑳~���五)。 なお、税額控除限度額、中小連結法人税額控除限度額及び特別研究税額控除限度額は連結グループ全体で計算することとされており、上記⑴から⑷までの改正に伴い、試験研究費の総額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制及び特別試験研究費の額に係る税額控除制度における税額控除額の個別帰属額は、次の区分に応じそれぞれ次のとおりとされています(措令39の39�一・二・四、旧措令39の39�六)。① 試験研究費の総額に係る税額控除制度イ 試験研究費の総額に係る税額控除制度の適用を受けた場合(ロ又はハの場合に該当する場合を除きます。) この制度によりその連結事業年度の連結

所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�一)。イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額(注 1) 試験研究費の額は、その試験研究

費の額にその試験研究費に充てるた

め他の者(その連結親法人又はその

連結子法人との間に連結完全支配関

係がある他の連結法人を含みます。)

から支払を受ける金額がある場合に

は、その金額を控除した金額とする

こととされています(措法68の 9 ①)。(注 2) 特別試験研究費対象金額とは、そ

の連結事業年度の連結所得の金額の

計算上損金の額に算入される特別試

験研究費の額に、その連結親法人及

びその各連結子法人のその連結事業

年度の連結所得の金額の計算上損金

の額に算入される一定の特別試験研

究費の額の合計額がその連結親法人

及びその各連結子法人のその連結事

業年度の連結所得の金額の計算上損

金の額に算入される特別試験研究費

の額の合計額のうちに占める割合を

乗じて計算した金額をいいます(措

令39の39�一イ)。

 なお、一定の特別試験研究費の額

は、その連結事業年度において試験

研究費の総額に係る税額控除制度又

は中小企業技術基盤強化税制の適用

─�370�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

を受ける場合には、これらの制度に

よりその連結事業年度の連結所得に

対する調整前連結税額から控除する

金額の計算の基礎となった特別試験

研究費の額を除いたものとされてい

ます(措法68の 9 ⑦)。

A 個別増減試験研究費割合が 8%を超える場合��9.9%に、その個別増減試験研究費割合から 8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が10%を超えるときは10%とします。)(注) 個別増減試験研究費割合とは、そ

の連結親法人又はその連結子法人の

その連結事業年度の連結所得の金額

の計算上損金の額に算入される試験

研究費の額から比較試験研究費の額

を減算した金額のその比較試験研究

費の額に対する割合をいいます(措

令39の39�一イ⑴)。

B 個別増減試験研究費割合が 8%以下である場合��9.9%から、 8 %からその個別増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その減算した割合が 6%未満であるときは 6%とします。)C その連結親法人又はその連結子法人の比較試験研究費の額が零である場合 ��8.5%

ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ロ 税額控除割合の上限の特例の適用を受けた試験研究費の総額に係る税額控除制度の適用を受けた場合

 この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�二)。イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額A 個別増減試験研究費割合が 8%を超える場合��9.9%に、その個別増減試験研究費割合から 8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が14%を超えるときは14%とします。)B 個別増減試験研究費割合が 8%以下である場合��9.9%から、 8 %からその個別増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その減算した割合が 6%未満であるときは 6%とします。)C その連結親法人又はその連結子法人の比較試験研究費の額が零である場合��8.5%

ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ハ 試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除割合の割増し特例の適用を受

─�371�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

けた試験研究費の総額に係る税額控除制度の適用を受けた場合 この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�三)。イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額A 個別増減試験研究費割合が 8%を超え、かつ、個別試験研究費割合が10%を超える場合��9.9%に、その個別増減試験研究費割合から 8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合と、その加算した割合に控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合(その割合に小数点以下3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が14%を超えるときは14%とします。)(注 1) 個別試験研究費割合とは、その

連結親法人又はその連結子法人の

その連結事業年度の連結所得の金

額の計算上損金の額に算入される

試験研究費の額の平均売上金額に

対する割合をいいます(措令39の

39�三イ⑴)。(注 2) 控除割増率とは、その個別試験

研究費割合から10%を控除した割

合に0.5を乗じて計算した割合をい

いますが、10%が上限とされます

(措令39の39�三イ⑴)。

B 個別増減試験研究費割合が 8%を超える場合(上記Aの場合を除きます。)��9.9%に、その個別増減試験研究費割合から 8 %を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(その割合に小数点以下 3 位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が14%を超えるときは14%とします。)C 個別増減試験研究費割合が 8%以下であり、かつ、個別試験研究費割合が10%を超える場合��9.9%から、 8%からその個別増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(その減算した割合が 6%未満であるときは 6%とします。)と、その減算した割合に控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とします。)(注) 控除割増率とは、その個別試験研

究費割合から10%を控除した割合に

0.5を乗じて計算した割合をいいます

が、10%が上限とされます(措令39

の39�三イ⑶)。

D 個別増減試験研究費割合が 8%以下である場合(上記Cの場合を除きます。)��9.9%から、 8 %からその個別増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その減算した割合が 6%未満であるときは 6%とします。)E その連結親法人又はその連結子法人の比較試験研究費の額が零である場合��8.5% ただし、個別試験研究費割合が10%を超える場合には、8.5%と、8.5%に

─�372�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

控除割増率を乗じて計算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とします。)とを合計した割合とされています。(注) 控除割増率とは、その個別試験研

究費割合から10%を控除した割合に

0.5を乗じて計算した割合をいいます

が、10%が上限とされます(措令39

の39�三イ⑸)。

ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

② 中小企業技術基盤強化税制イ 中小企業技術基盤強化税制の適用を受けた場合 この場合の個別帰属額の計算に変更はありませんので省略しますが、ロの場合に該当する場合に加えて、ハ又はニの場合に該当する場合も、イから除くこととされています(措令39の39�四)。ロ 税額控除割合の特例の適用を受けた中小企業技術基盤強化税制の適用を受けた場合(ニに該当する場合を除きます。) この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�五)。イ 中小連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその中小連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額A 個別増減試験研究費割合が 8%を超

える場合��12%に、その個別増減試験研究費割合から 8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が17%を超えるときは17%とします。)B 上記Aの場合以外の場合��12%(注) Bには、個別増減試験研究費割合

が 8 %以下である場合が該当するほ

か、中小連結親法人又はその連結子

法人の比較試験研究費の額が 0 円で

ある場合も該当します。

ロ その中小連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ハ 試験研究費割合が10%を超える場合における税額控除割合の割増し特例のみの適用を受けた中小企業技術基盤強化税制の適用を受けた場合 この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�六)。イ 中小連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその中小連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額A 個別試験研究費割合が10%を超える場合��12%と、12%に控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合(その割合に小数点以下 3 位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合

─�373�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

とします。)(注) 控除割増率とは、その個別試験研

究費割合から10%を控除した割合に

0.5を乗じて計算した割合をいいます

が、10%が上限とされます(措令39

の39�六イ⑴)。

B 上記Aの場合以外の場合��12%ロ その中小連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ニ 試験研究費割合が10%を超える場合において、税額控除割合の特例及び税額控除割合の割増し特例の適用を受けた中小企業技術基盤強化税制の適用を受けた場合 この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額となります(措令39の39�七)。イ 中小連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額からその連結事業年度において特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合におけるその中小連結親法人又はその連結子法人の特別試験研究費対象金額を控除した金額に次の場合の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じて計算した金額A 個別増減試験研究費割合が 8%を超え、かつ、個別試験研究費割合が10%を超える場合��12%に、その個別増減試験研究費割合から 8%を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合と、その加算した割合に控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が17%を超えるときは17%とします。)

(注) 控除割増率とは、その個別試験研

究費割合から10%を控除した割合に

0.5を乗じて計算した割合をいいます

が、10%が上限とされます(措令39

の39�七イ⑴)。

B 個別増減試験研究費割合が 8%を超える場合(上記Aの場合を除きます。)��12%に、その個別増減試験研究費割合から 8 %を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合(その割合に小数点以下 3 位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とし、その加算した割合が17%を超えるときは17%とします。)C 個別試験研究費割合が10%を超える場合(上記Aの場合を除きます。)��12%と、12%に控除割増率を乗じて計算した割合とを合計した割合(その割合に小数点以下 3位未満の端数があるときはこれを切り捨てた割合とします。)(注) 控除割増率とは、その個別試験研

究費割合から10%を控除した割合に

0.5を乗じて計算した割合をいいます

が、10%が上限とされます(措令39

の39�七イ⑶)。

D 上記AからCまでの場合以外の場合��12%

ロ その中小連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

③ 特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受けた場合 次の金額の合計額となります(措令39の39�八)。イ この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額のうち、調整後特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託す

─�374�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

る試験研究に係る試験研究費の額の30%相当額に達するまでの金額にイの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(措令39の39�八イ)イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る特別試験研究費の額ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ロ この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額が調整後特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る試験研究費の額の30%相当額を超える場合のその超える部分の金額のうち、調整後特別試験研究費の額のうち他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものに係る試験研究費の額の25%相当額に達するまでの金額に、イの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(措令39の39�八ロ)イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものに係る特別試験研究費の額ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

ハ この制度によりその連結事業年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額が調整後特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研

究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る試験研究費の額の30%相当額及び調整後特別試験研究費の額のうち他の者と共同して行う試験研究又は他の者に委託する試験研究であって、革新的なものに係る試験研究費の額の25%相当額を超える場合のその超える部分の金額に、イの金額がロの金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(措令39の39�八ハ)イ その連結親法人又はその連結子法人のその連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額から上記イイ及びロイの金額の合計額を控除した金額ロ その連結親法人及びその各連結子法人のその連結事業年度に係る上記イの金額の合計額

4  適用関係

⑴ 上記 3 ⑴①イ及び②、⑵①、⑶並びに⑸の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48、改正措令16)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48、改正措令16)。なお、上記 3 ⑴③及び⑵②の改正は、同様に、法人の同日以後に開始する事業年度又は連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度について適用されます(措法42の 4 ③二⑥、68の 9 ③二⑥)。 上記のほか、次の経過措置が講じられています。① 法人が改正後の試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制において分割等が行われた場合における所轄税

─�375�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用を受ける場合には、改正前の特例のその合理的な方法について受けた認定は改正後の特例のその合理的な方法について受けた認定と、その分割等に係る分割法人等及び分割承継法人等がした改正前の特例に係る届出は改正後の特例に係る届出と、それぞれみなすこととされています(改正措令附則17①)。すなわち、改正前の試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制の適用において、既に、分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用を受けて比較試験研究費の額の調整計算を行っている場合には、その分割等については、改正後の分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例を引き続き適用することとなります。(注) 分割等とは、分割又は現物出資をいい、

分割承継法人等とは、分割承継法人又は被

現物出資法人をいいます(改正措規附則 9

①)。

② 分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用を受ける法人の特定分割等(その特定分割等により分割承継法人等に移転する事業に係る試験研究費の額が零であるもので、上記①の適用がないものに限られています。)が、平成31年 4 月1 日以後最初に開始する事業年度開始の日前に行われた分割等である場合において、その合理的な方法により区分計算を行おうとするときは、その合理的な方法に係る認定の申請書及び届出書は、その最初に開始する事業年度開始の日以後 6月以内に提出すればよいこととされています(改正措令附則17③、改正措規附則 9 ①)。特定分割等とは、分割等に係る分割承継法人等の設立の日からその分割

等の日の前日までの期間に係る試験研究費の額が零である場合におけるその分割等又は法人を設立する分割等をいいます。すなわち、上記 3 ⑸①の改正により、組織再編成がある場合の比較試験研究費の額の調整計算を新たに行うこととなる分割等のうち一定のものについては、分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用に係る手続について、通常はその分割等の日以後 2月以内に提出しなければならないこととされているところ、平成31年 4 月 1 日以後において猶予期間を設けるものです。(注 1) 上記の「移転する事業に係る試験研究

費の額」は、分割承継法人等の平成31年

4 月 1 日以後最初に開始する事業年度開

始の日前 3 年以内の期間に係るものとさ

れています(改正措規附則 9①)。したが

って、「特定分割等により分割承継法人等

に移転する事業に係る試験研究費の額が

零であるもの」には、そもそも試験研究

を行っていない事業を移転する場合(試

験研究費の額がない場合)のほか、直近

において試験研究を行っていない事業を

移転する場合も含まれることとなります。(注 2) この経過措置は、平成31年 4 月 1 日前

に行われた新設分割に係る新設分割承継

法人や同日前に行われた事後設立型の分

割に係る分割承継法人などについて、改

正後は組織再編成がある場合の比較試験

研究費の額の調整計算を行うこととなる

ところ、これらの分割等のうち、分割承

継法人等に移転する事業に係る試験研究

費の額が零であるものにあっては、改正

前に合理的な方法による試験研究費の額

の区分計算をする必要性が乏しいために、

分割等が行われた場合における所轄税務

署長の認定を受けた合理的な方法による

試験研究費の額の区分計算の特例の適用

に係る手続を行っていないことが、著し

─�376�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

く不利益とならないように配慮されたも

のです。

③ 法人が改正後の試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制において分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例の適用を受ける場合には、改正前の試験研究費の総額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度におけるその合理的な方法について受けた認定は改正後の試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制におけるその合理的な方法について受けた認定と、その分割等に係る分割法人等及び分割承継法人等がした改正前のその合理的な方法に係る届出は改正後の試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制におけるその合理的な方法に係る届出と、それぞれみなすこととされています(改正措令附則17②)。すなわち、上記①の経過措置と同様に、改正前の試験研究費の総額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度の適用において、既に、分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による試験研究費の額の区分計算の特例の適用を受けて平均売上金額の調整計算を行っている場合には、その分割等については、引き続き改正後の分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例を適用することとなります。④ 分割等が行われた場合における所轄税務署

長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例の適用を受ける法人の特定分割等で上記③の適用がないものが、平成31年 4 月 1 日以後最初に開始する事業年度開始の日前に行われた分割等である場合において、その合理的な方法により区分計算を行おうとするときは、その合理的な方法に係る認定の申請書及び届出書は、その最初に開始する事業年度開始の日以後 6月以内に提出すればよいこととされています(改正措令附則17③、改正措規附則 9 ②)。すなわち、上記②の経過措置と同様に、上記 3 ⑸②の改正により、新たに組織再編成がある場合の平均売上金額の調整計算を行うこととなる分割等のうち一定のものについては、分割等が行われた場合における所轄税務署長の認定を受けた合理的な方法による売上金額の区分計算の特例の適用に係る手続について、通常はその分割等の日以後 2月以内に提出しなければならないこととされているところ、施行日以後において猶予期間を設けるものです。(注) 上記②の経過措置と異なり、特定分割等

について、「分割承継法人等に移転する事業

に係る売上金額が零であるもの」等といっ

た限定はありません。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記①から④までと同様の経過措置が講じられています(改正措令附則29、改正措規附則13)。⑵ 上記 3 ⑷の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。連結納税制度の場合は、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。

─�377�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

三� 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度(中小企業投資促進税制)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、中小企業者等が、平成10年 6 月 1日から平成31年 3 月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、特定機械装置等でその製作の後、事業の用に供されたことのないものの取得又は特定機械装置等の製作をして、これをその中小企業者等の指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定機械装置等の基準取得価額の30%相当額(以下「特別償却限度額」といいます。)の特別償却ができるというものです(措法42の 6 ①)。 また、特定中小企業者等については、その特別償却限度額の特別償却とその特定機械装置等の基準取得価額の 7 %相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の 6 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、この制度における税額控除、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除及び中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法42の 6 ②~④)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の 6 ①~③)。(注 1) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条

の 4 第 3 項に規定する中小企業者又は農業協

同組合等で、青色申告書を提出するものをい

います(措法42の 6 ①)。具体的には、中小企

業者は、資本金の額若しくは出資金の額が 1

億円以下の法人のうち次の法人以外の法人又

は資本若しくは出資を有しない法人のうち常

時使用する従業員の数が1,000人以下の法人と

され、農業協同組合等は、農業協同組合、農

業協同組合連合会、中小企業等協同組合、出

資組合である商工組合及び商工組合連合会、

内航海運組合、内航海運組合連合会、出資組

合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、

漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、

水産加工業協同組合連合会、森林組合並びに

森林組合連合会とされています(措法42の 4

⑧六・七、措令27の 4 ⑫)。

⑴� その発行済株式又は出資の総数又は総額

の 2 分の 1 以上が同一の大規模法人(資本

金の額若しくは出資金の額が 1 億円を超え

る法人又は資本若しくは出資を有しない法

人のうち常時使用する従業員の数が1,000人

を超える法人をいい、中小企業投資育成株

式会社を除きます。以下同じです。)の所有

に属している法人

⑵� 上記⑴の法人のほか、その発行済株式又

は出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上が大

規模法人の所有に属している法人(注 2) 特定機械装置等とは、次の減価償却資産を

いいます(措法42の 6 ①、措令27の 6 ①~③⑥、

措規20の 3 ①~④)。なお、( )内は、基準

取得価額を示しています。

⑴� 機械及び装置で、 1 台又は 1 基の取得価

額が160万円以上のもの(取得価額)

⑵� 工具のうち、製品の品質管理の向上等に

資する測定工具及び検査工具で、次の①又

─�378�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

は②に該当するもの(取得価額)

①�  1 台又は 1 基の取得価額が120万円以上

のもの

②� 中小企業者等が、各事業年度の指定期

間内において、取得又は製作をして、そ

の指定事業の用に供した工具( 1 台又は

1 基の取得価額が30万円以上のものに限

ります。)の取得価額の合計額が120万円

以上のもの

⑶� ソフトウエアで、次の①又は②に該当す

るもの(取得価額)

 ただし、複写して販売するための原本、

開発研究の用に供されるもの、ISO/

IEC15408非認証のサーバー用オペレーティ

ングシステム、ISO/IEC15408非認証のサー

バー用仮想化ソフトウエア、ISO/IEC15408

非認証のデータベース管理ソフトウエア、

ISO/IEC15408非認証の連携ソフトウエア及

び ISO/IEC15408非認証の不正アクセス防御

ソフトウエアは除くこととされています。

①� 一のソフトウエアの取得価額が70万円

以上のもの

②� 中小企業者等が、各事業年度の指定期

間内において、取得又は製作をして、そ

の指定事業の用に供したソフトウエア(法

人税法施行令第133条又は第133条の 2 の

規定の適用を受けるものを除きます。)の

取得価額の合計額が70万円以上のもの

⑷� 貨物の運送の用に供される車両総重量が

3.5t以上の普通自動車(取得価額)

⑸� 内航海運業の用に供される船舶(取得価

額の75%相当額)(注 3) 指定事業とは、製造業、建設業等をいいます。

ただし、内航船舶貸渡業以外の貸付業は除く

こととされています(措法42の 6 ①、措令27

の 6 ④⑤、措規20の 3 ⑤)。(注 4) 特定中小企業者等とは、中小企業者等のう

ち資本金の額又は出資金の額が3,000万円を超

える法人(農業協同組合等を除きます。)以外

の法人をいいます(措法42の 6 ②、措令27の

6 ⑦)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の11)。

2  改正の内容

⑴ 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し① みなし大企業の判定における大規模法人の範囲の見直しイ 追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法42の 6①、措令27の 6 ①)。ロ 除外 みなし大企業の判定における大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(みなし大企業の判定の対象法人の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法の認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限ります。)が除外されました(措法42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

② みなし大企業の判定におけるその判定の対象法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法42の 6①、措令27の 6 ①)。

(注) 上記①及び②の改正の内容の詳細等につい

ては、後述「第六 その他」の「一 中小企

業者から除外されるみなし大企業の範囲の見

直し」の 2をご参照ください。

⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の 6 ①)。

─�379�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑶ 適用要件の見直し 中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この制度の適用を停止することとされました(措法42の 6 ①)。(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人とされています。(注 2) 上記の改正は、平成29年度税制改正事項

ですが、その施行日が平成31年 4 月 1 日で

あることから、上記⑵の適用期限の延長を

踏まえ、今回の改正で措置されています。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の11①、措令39の41①)。

3  適用関係

 上記 2 ⑶の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。

四� 地域経済牽けん

引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人で地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認地域経済牽引事業者であるものが、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第47号)の施行の日(平成29年 7 月31日)から平成31年 3 月31日までの間に、その法人の行う承認地域経済牽引事業に係る促進区域内においてその承認地域経済牽引事

業に係る承認地域経済牽引事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設等の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る特定事業用機械等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又はその新設又は増設に係る特定事業用機械等の製作若しくは建設をして、これをその承認地域経済牽引事業の用に供したときは、その承認地域経済牽引事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定事業用機械等の基準取得価額の40%(建物及びその附属設備並びに構築物については、20%)相当額の特

─�380�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

別償却とその基準取得価額の 4%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 2%)相当額の合計額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の11の 2 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(措法42の11の 2②後段)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の11の 2①②)。(注 1) 承認地域経済牽引事業とは、地域経済牽引

事業の促進による地域の成長発展の基盤強化

に関する法律第24条に規定する承認地域経済

牽引事業をいいます(措法42の11の 2 ①)。具

体的には、承認地域経済牽引事業計画に従っ

て行われる地域経済牽引事業をいい(地域経

済牽引事業の促進による地域の成長発展の基

盤強化に関する法律17)、地域の成長発展の基

盤強化に特に資するものとして主務大臣が定

める基準に適合することについて主務大臣の

確認を受けたものに限ることとされています。 なお、地域の成長発展の基盤強化に特に資

するものとして主務大臣が定める基準は、主

務大臣の確認を受けようとする承認地域経済

牽引事業(その承認地域経済牽引事業を共同

して行う場合にあっては、その承認地域経済

牽引事業のうち、その確認を受けようとする

承認地域経済牽引事業者が行うものとなりま

す。以下「対象事業」といいます。)が、次の

⑴から⑷まで(その承認地域経済牽引事業を

行う者に地方公共団体が含まれる場合にあっ

ては、⑷を除きます。)のいずれにも該当する

こととされています(平29. 8 総務・財務・厚

生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環

境告 1)。

⑴ 次のいずれかに該当すること。

①� 対象事業を含む承認地域経済牽引事業

(以下「承認地域経済牽引事業」といいま

す。)について、評価委員会において先進

的であると認められたこと。

②� 承認地域経済牽引事業の実施場所が、

生産活動の基盤に著しい被害を受けた地

区(特定非常災害の被害者の権利利益の

保全等を図るための特別措置に関する法

律第 7 条に規定する地区をいいます。)で

あり、かつ、その承認地域経済牽引事業

に係る地域経済牽引事業計画の承認を受

けた日(以下「計画承認日」といいま

す。)が、同法第 2 条第 1 項の特定非常災

害発生日から起算して 3 年を経過してい

ないこと。

⑵� 計画承認日以降 5 年を経過する日までの

期間を含む事業年度において見込まれるそ

の承認地域経済牽引事業に係る商品又は役

務の売上高の伸び率を百分率で表した値が、

0 を上回り、かつ、過去 5 事業年度におけ

るその商品又は役務に係る市場の規模の伸

び率の実績値を百分率で表した値を 5 以上

上回ること。

⑶� 承認地域経済牽引事業に係る地域経済牽

引事業計画に定められた施設又は設備を構

成する法人税法第 2 条第23号に規定する減

価償却資産(以下「減価償却資産」といい

ます。)の取得予定価額の合計額が2,000万円

以上であること。

⑷� 対象事業を行う承認地域経済牽引事業者

(以下「対象事業者」といいます。)が取得

する予定の減価償却資産の取得予定価額が、

その対象事業者の前年度における減価償却

費の額の10分の 1以上の額であること。(注 2) 特定地域経済牽引事業施設等とは、地域経

済牽引事業の促進による地域の成長発展の基

盤強化に関する法律第14条第 2 項に規定する

承認地域経済牽引事業計画(以下「承認地域

経済牽引事業計画」といいます。)に定められ

た施設又は設備で、一の承認地域経済牽引事

業計画に定められた施設又は設備を構成する

─�381�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

法人税法施行令第13条各号に掲げる資産の取

得価額の合計額が2,000万円以上のものをいい

ます(措法42の11の 2 ①、措令27の11の 2 )。(注 3) 特定事業用機械等とは、承認地域経済牽引

事業計画に従って特定地域経済牽引事業施設

等の新設又は増設をする場合におけるその新

設又は増設に係る特定地域経済牽引事業施設

等を構成する機械及び装置、器具及び備品、

建物及びその附属設備並びに構築物をいいま

す(措法42の11の 2 ①)。(注 4) 基準取得価額は、特定事業用機械等に係る

一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する

機械及び装置、器具及び備品、建物及びその

附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が

100億円を超える場合には、100億円にその特

定事業用機械等の取得価額がその合計額のう

ちに占める割合を乗じて計算した金額とされ

ています(措法42の11の 2 ①)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の14の 3 )。

2  改正の内容

⑴ 特定法人がその地域の成長発展の基盤強化に著しく資する承認地域経済牽引事業の用に供した機械及び装置並びに器具及び備品に係る特別償却割合及び税額控除割合の引上げ 平成31年 4 月 1 日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律第13条第 4項又は第 7項の規定による承認を受けた法人(以下「特定法人」といいます。)がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものに限ります。)の用に供した機械及び装置並びに器具及び備品に係る特別償却割合が50%(改正前:40%)に、税額控除割合が 5%(改正前: 4%)に、それぞれ引き上げられました(措法42の11の 2 ①②)。(注 1) 特定法人がその承認地域経済牽引事業(地

域の成長発展の基盤強化に著しく資するも

のを除きます。)の用に供した機械及び装置

並びに器具及び備品並びに特定法人以外の

法人(平成31年 3 月31日以前に地域経済牽

引事業の促進による地域の成長発展の基盤

強化に関する法律第13条第 4 項又は第 7 項

の規定による承認を受けた法人)で同年 4

月 1 日以後にその承認に係る同法第14条第

1 項の規定による変更の承認を受けたもの

がその承認地域経済牽引事業(地域の成長

発展の基盤強化に著しく資するものに限り

ます。)の用に供した機械及び装置並びに器

具及び備品に係る特別償却割合及び税額控

除割合は、改正前のままとなります。(注 2) 関係法令については、下記の(参考 1)

をご参照ください。

 地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものは、地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものとされています(措法42の11の 2 ①、措令27の11の 2 ②)。(注 3) 主務大臣とは、地域経済牽引事業の促進

による地域の成長発展の基盤強化に関する

法律第38条第 2 項に規定する主務大臣をい

います(措令27の11の 2 ②)。関係法令につ

いては、下記の(参考 1)をご参照ください。 この地域の成長発展の基盤強化に著しく資するものとして経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準は、経済産業大臣が告示において定めることとされており、具体的には、「承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業者の付加価値額増加率が 8%以上であることに該当すること」とされています(措令27の11の2 ②③、平31.3経済産業告84、平29.8総務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境告 1①五)。 なお、付加価値額増加率とは、承認地域経済牽引事業に係る承認地域経済牽引事業者の前事業年度の付加価値額から前々事業年度の付加価値額を控除した金額のその前々事業年度の付加価値額に対する割合をいい、付加価値額とは、事業年度の次の①から③までの金額を合計した

─�382�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

金額から次の④の金額を減算した金額をいい、その事業年度の期間が 1年未満である場合にあってはその減算した金額を 1年当たりの金額に換算した金額とし、その減算した金額が 0以下である場合にあっては 1円とすることとされています(平29. 8 総務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境告 1①五)。① 売上高② 給与総額③ 租税公課④ 費用総額(売上原価の額並びに販売費及び一般管理費の額を合計した金額をいいます。)

⑵ 適用投資額の上限の引下げ 特定事業用機械等の基準取得価額の計算における適用投資額(その特定事業用機械等に係る一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械及び装置、器具及び備品、建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額)の上限が、80億円(改正前:100億円)に引き下げられました(措法42の11の 2 ①)。

⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の11の 2 ①②)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の14の 3 ①②、措令39の44の 3 ②)。

⑷ その他関係法令の改正 制度の適用対象となる法人は、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律第24条に規定する承認地域経済牽引事業者、すなわち、承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして主務大臣が定める基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限ります。)を行う承認地域経済牽引事業者とされていますが、この地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして主務大臣が定める基準について、

「承認地域経済牽引事業の実施場所が生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区であり、かつ、その承認地域経済牽引事業に係る地域経済牽引事業計画の承認を受けた日が特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第 2条第 1項の特定非常災害発生日から起算して一定期間を経過していないときは、先進性に関する基準を満たすものとする要件」におけるその特定非常災害発生日が平成29年 7 月31日以前である場合の一定期間が、 5年(改正前: 3 年)とされました(平29. 8 総務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境告 1 ①一ロ)。連続納税制度の場合についても同様です。(注) 上記の特定非常災害発生日が平成29年 7 月

31日以前である場合に該当する特定非常災害

(対象区域:特定非常災害発生日)は、平成28

年熊本地震による災害(熊本県の区域:平成

28年 4 月14日)となります。(参考 1) 地域経済牽引事業の促進による地域の

成長発展の基盤強化に関する法律(平成

19年法律第40号)

(地域経済牽引事業計画の承認)

第13条 省 略

2・ 3 省 略

4  都道府県知事は、第 1 項の規定による

申請を受けた場合において、その地域経

済牽引事業計画が同意基本計画に適合す

ると認めるときは、その承認をするもの

とする。

5・ 6 省 略

7  主務大臣は、第 1 項の規定による申請

を受けた場合において、その地域経済牽

引事業計画が基本方針に適合するもので

あって、同意基本計画の達成に資すると

認めるときは、その承認をするものとする。

8~10 省 略

(課税の特例)

第24条 承認地域経済牽引事業(地域の成

長発展の基盤強化に特に資するものとし

─�383�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

て主務大臣が定める基準に適合すること

について主務大臣の確認を受けたものに

限る。次条において同じ。)を行う承認地

域経済牽引事業者であって、当該承認地

域経済牽引事業の用に供する施設又は設

備を新設し、又は増設したものが、当該

新設又は増設に伴い新たに取得し、又は

製作し、若しくは建設した機械及び装置、

器具及び備品、建物及びその附属設備並

びに構築物については、租税特別措置法

(昭和32年法律第26号)で定めるところに

より、課税の特例の適用があるものとする。

(主務大臣及び主務省令)

第38条 省 略

2  第13条第 1 項、同条第 7 項、第 8 項及

び第10項(これらの規定を第14条第 3 項

において準用する場合を含む。)、第16条、

第24条、第33条並びに前条における主務

大臣は、経済産業大臣及び承認地域経済

牽引事業を所管する大臣とする。

3~ 6 省 略(参考 2) 特定非常災害の被害者の権利利益の保

全等を図るための特別措置に関する法律

(平成 8年法律第85号)

(特定非常災害及びこれに対し適用すべき

措置の指定)

第 2 条 著しく異常かつ激甚な非常災害で

あって、当該非常災害の被害者の行政上

の権利利益の保全等を図り、又は当該非

常災害により債務超過となった法人の存

立、当該非常災害により相続の承認若し

くは放棄をすべきか否かの判断を的確に

行うことが困難となった者の保護、当該

非常災害に起因する民事に関する紛争の

迅速かつ円滑な解決若しくは当該非常災

害に係る応急仮設住宅の入居者の居住の

安定に資するための措置を講ずることが

特に必要と認められるものが発生した場

合には、当該非常災害を特定非常災害と

して政令で指定するものとする。この場

合において、当該政令には、当該特定非

常災害が発生した日を特定非常災害発生

日として定めるものとする。

2 省 略

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする特定事業用機械等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした特定事業用機械等については、従前どおりとされています(改正法附則50)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則67)。

五� 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、特定中小企業者等が、平成25年 4月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、経営改善設備でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は経営改善設備の製作若しくは建設をして、これを国内にあるその

特定中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、その経営改善設備の取得価額の30%相当額(以下「特別償却限度額」といいます。)の特別償却ができるというものです(措法42の12の 3 ①)。 また、特定中小企業者等のうち資本金の額等が

─�384�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

3,000万円以下の法人等については、その特別償却限度額の特別償却とその経営改善設備の取得価額の 7%相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができることとされています(措法42の12の 3 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、この制度における税額控除、中小企業投資促進税制における税額控除及び中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法42の12の 3 ②~④)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の12の 3①~③)。(注 1) 特定中小企業者等とは、認定経営革新等支

援機関等による経営の改善に関する指導及び

助言を受けた旨を明らかにする書類の交付を

受けた中小企業者等で青色申告書を提出する

ものをいい、認定経営革新等支援機関等を除

きます(措法42の12の 3 ①)。(注 2) 認定経営革新等支援機関等とは、中小企業

等経営強化法第26条第 2 項に規定する認定経

営革新等支援機関をいい、これに準ずるもの

として一定の法人(農業協同組合等)を含み

ます(措法42の12の 3 ①、措令27の12の 3 ①)。(注 3) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条

の 4 第 8 項第 6 号に規定する中小企業者又は

中小企業等協同組合等をいい、中小企業等協

同組合等とは、中小企業団体中央会に該当し

ない中小企業等協同組合、出資組合である商

工組合及び商店街振興組合をいいます(措法

42の12の 3 ①、措令27の12の 3 ②)。(注 4) 経営改善設備とは、認定経営革新等支援機

関等による経営の改善に関する指導及び助言

を受けた旨を明らかにする書類に経営の改善

に資する資産として記載された器具及び備品

のうち 1 台又は 1 基の取得価額が30万円以上

のもの並びにその書類に記載された建物附属

設備のうち一の建物附属設備の取得価額が60

万円以上のものをいいます(措法42の12の 3 ①、

措令27の12の 3 ③)。(注 5) 指定事業とは、卸売業、小売業等のうち、

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関す

る法律第 2 条第 1 項に規定する風俗営業に該

当する事業又は同条第 5 項に規定する性風俗

関連特殊営業に該当する事業を除いたものを

いいます(措法42の12の 3 ①、措令27の12の

3 ④、措規20の 8 ②③)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の15の 4 )。

2  改正の内容

⑴ 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し① みなし大企業の判定における大規模法人の範囲の見直しイ 追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法42の12の 3 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。ロ 除外 みなし大企業の判定における大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(みなし大企業の判定の対象法人の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法の認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限ります。)が除外されました(措法42の12の 3 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

② みなし大企業の判定におけるその判定の対象法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の

─�385�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

株式又は出資が除外されました(措法42の12の 3 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

(注) 上記①及び②の改正の内容の詳細等につい

ては、後述「第六 その他」の「一 中小企

業者から除外されるみなし大企業の範囲の見

直し」の 2をご参照ください。

⑵ 対象設備の見直し 対象設備が、認定経営革新等支援機関等が特定中小企業者等の資産の取得に係る計画の実施その他の取組がその特定中小企業者等の経営の改善に特に資することにつき確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載されたもの(改正前:経営改善指導助言書類に記載されたもの)に限定されました(措法42の12の 3 ①)。 なお、この確認は、その特定中小企業者等の経営改善割合が年 2%以上となる見込みであることを確認することにより行うものとされています(措規20の 8 ②)。(注) 「年 2 %以上となる見込みであること」とさ

れていることから、次の②の基準対象期間と

次の①の比較対象期間が連続していない場合

には、経営改善割合は、その基準対象期間と

その比較対象期間との間の各会計期間におい

てそれぞれ 2 %以上となる見込みであること

を踏まえた割合以上となる見込みであること

が必要となります。

 経営改善割合とは、次の①の金額から次の②の金額を減算した金額がその②の金額のうちに占める割合をいいます。① 経営改善指導助言書類に記載された器具及び備品並びに建物附属設備を国内にあるその特定中小企業者等の指定事業の用に供することが見込まれる日を含む会計期間開始の日(以下「供用予定期間開始日」といいます。)からその供用予定期間開始日以後 5年を経過する日までの期間内の日を含む会計期間のうちいずれかの会計期間(以下「比較対象期間」といいます。)における売上高又は営業利益の額

(注) 会計期間とは、法人税法第13条第 1 項に

規定する会計期間をいいます。

② その供用予定期間開始日の前日からその比較対象期間開始の日の前日までの期間内の日を含む会計期間のうちいずれかの会計期間(以下「基準対象期間」といいます。)における売上高又は営業利益の額 ただし、その基準対象期間の月数とその比較対象期間の月数とが異なる場合には、その売上高又は営業利益の額にその比較対象期間の月数を乗じてこれをその基準対象期間の月数で除して計算した金額とすることとされています。(注) 上記の月数は、暦に従って計算し、 1 月

に満たない端数を生じたときは、 1 月とす

ることとされています(措規20の 8 ③)。

⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の12の 3 ①)。

⑷ 適用要件の見直し 中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この制度の適用を停止することとされました(措法42の12の 3 ①)。(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人とされています。

─�386�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(注 2) 上記の改正は、平成29年度税制改正事項

ですが、その施行日が平成31年 4 月 1 日で

あることから、上記⑶の適用期限の延長を

踏まえ、今回の改正で措置されています。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑷までと同様の改正が行われています(措法68の15の 4 ①、68の11①、措令39の41①、措規22の30②③)。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑵の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得等(取得又は製作若しくは建設をいいます。以下同じです。)をする経営改善設備について適用し、法人が同日前に取得等をした経営改善設備については、従前どおりとされて

います(改正法附則51①)。ただし、法人が、同日前に経営改善指導助言書類の交付を受け、同日から令和元年 9月30日までの間にその経営改善指導助言書類に係る経営改善設備の取得等をする場合には、その経営改善設備を上記 2 ⑵の確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載された経営改善設備とみなすこととされています(改正法附則51②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則68)。⑵ 上記 2 ⑷の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。

六� 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(連結:中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、中小企業者等が、平成29年 4 月 1日から平成31年 3 月31日までの間に、特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定経営力向上設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の 7%(中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人がその指定事業の用に

供したその特定経営力向上設備等については、10%)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の12の 4 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、この制度における税額控除、中小企業投資促進税制における税額控除及び特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度における税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については 1年間の繰越しができることとされています(措法

─�387�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

42の12の 4 ②~④)。 ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用を受けることはできません(措法42の12の 4①~③)。(注 1) 中小企業者等とは、次の法人のうち、中小

企業等経営強化法第13条第 1 項の認定を受け

た同法第 2 条第 2 項に規定する中小企業者等

に該当するものをいいます(措法42の12の 4

①)。

⑴� 中小企業投資促進税制(措法42の 6 ①)

の中小企業者等

⑵� 特定中小企業者等が経営改善設備を取得

した場合の特別償却又は法人税額の特別控

除制度(措法42の12の 3 ①)の中小企業等

協同組合等で青色申告書を提出するもの(注 2) 特定経営力向上設備等とは、生産等設備を

構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、

建物附属設備並びに一定のソフトウエアで、

中小企業等経営強化法第13条第 3 項に規定す

る経営力向上設備等に該当するもののうち次

の減価償却資産の区分に応じそれぞれ次の規

模のものをいいます(措法42の12の 4 ①、措

令27の12の 4 ①②)。

⑴� 機械及び装置�� 1 台又は 1 基の取得価

額が160万円以上のもの

⑵� 工具、器具及び備品�� 1 台又は 1 基の

取得価額が30万円以上のもの

⑶� 建物附属設備��一の建物附属設備の取

得価額が60万円以上のもの

⑷� ソフトウエア��一のソフトウエアの取

得価額が70万円以上のもの(注 3) 経営力向上設備等は、中小企業等経営強化

法施行規則第 8 条第 2 項に規定する経営力向

上に著しく資する設備等で、その中小企業者

等のその中小企業等経営強化法第13条第 1 項

の認定に係る同項に規定する経営力向上計画

に記載されたものに限ることとされています

(措法42の12の 4 ①、措規20の 9 ①)。(注 4) 指定事業とは、中小企業投資促進税制(措

法42の 6 ①)の指定事業及び特定中小企業者

等が経営改善設備を取得した場合の特別償却

又は法人税額の特別控除制度(措法42の12の

3 ①)の指定事業をいいます(措法42の12の

4 ①)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の15の 5 )。

2  改正の内容

⑴ 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し① みなし大企業の判定における大規模法人の範囲の見直しイ 追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法42の12の 4 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。ロ 除外 みなし大企業の判定における大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(みなし大企業の判定の対象法人の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法の認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限ります。)が除外されました(措法42の12の 4 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

② みなし大企業の判定におけるその判定の対象法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法42の12の 4 ①、42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

(注) 上記①及び②の改正の内容の詳細等につい

ては、後述「第六 その他」の「一 中小企

業者から除外されるみなし大企業の範囲の見

直し」の 2をご参照ください。

─�388�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法42の12の 4 ①)。

⑶ 適用要件の見直し 中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この制度の適用を停止することとされました(措法42の12の 4 ①、42の 6 ①)。(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人とされています。(注 2) 上記の改正は、平成29年度税制改正事項

ですが、その施行日が平成31年 4 月 1 日で

あることから、上記⑵の適用期限の延長を

踏まえ、今回の改正で措置されています。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の15の 5 ①、68の11①、措令39の41①)。

⑷ その他関係法令の改正 対象設備等の基礎となる経営力向上設備等における中小企業等経営強化法施行規則第 8条第2項に規定する経営力向上に著しく資する設備等のうち、機械及び装置並びに建物附属設備について、発電の用に供する設備にあっては、主として電気の販売を行うために取得又は製作若しくは建設をするものとして経済産業大臣が定めるものを除くこととされました(中経法規 8②一表・二)。連続納税制度の場合についても同様です。 この主として電気の販売を行うために取得又は製作若しくは建設をする設備として経済産業大臣が定めるものは、経済産業大臣が告示において定めることとされており、具体的には、認定等を受けようとする中小企業者等のその認定等に係る経営力向上計画に記載された発電の用に供する設備(その設備と併せて設置される架台、蓄電装置、制御装置その他のその発電の用に供する設備に附属する設備を含みます。以下「発電設備等」といいます。)であって、その経営力向上計画に記載された実施時期のうちその発電設備等により発電される電気の販売を行うことが見込まれる期間において、その発電設備等により発電されることが見込まれる電気の量のうちに販売を行うことが見込まれるその電気の量の占める割合が 2分の 1を超えるものとされています(平31.3経済産業告85①)。(注 1) 認定等とは、中小企業等経営強化法第19

条第 1 項の規定による認定又は同法第20条

第 1 項の規定による変更の認定をいい、中

小企業者等とは、同法第 2 条第 2 項に規定

する中小企業者等をいい、経営力向上計画

とは、同法第19条第 1 項に規定する経営力

向上計画をいいます。

 なお、上記の条項番号は、中小企業の事

業活動の継続に資するための中小企業等経

営強化法等の一部を改正する法律(令和元

年法律第21号)第 1 条の規定による改正後

の中小企業等経営強化法の条項番号です。

─�389�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

平成31年 3 月経済産業省告示第85号第 1 項

の改正告示は、今後定められます。(注 2) 上記の改正は、機械及び装置並びに建物

附属設備で、発電の用に供するもののうち

主として電気の販売を行うために取得又は

製作若しくは建設をするものについては、

これまでのその事業供用の実態を踏まえ、

経営力向上に特に資するものとして適当で

ないと考えられることから、除外すること

とされたものです。(注 3) 上記の改正のほか、特定経営力向上設備

等の要件のうち生産等設備を構成するもの

であることとの要件について、生産等設備

に該当する工場の生産等活動に従事する従

業員のシフト管理や商品の在庫管理に使用

されるテレワーク用PC、その工場内の休憩

室に設置される冷暖房設備等は、生産等設

備を構成する器具及び備品、建物附属設備

等に該当することにつき、その取扱いの明

確化が行われています。したがって、これ

らのPC、冷暖房設備等がそれぞれ中小企業

等経営強化法の認定経営力向上計画に記載

された同法の経営力向上設備等に該当し、

取得価額要件を満たせば、特定経営力向上

設備等として本制度の適用対象となります。(注 4) 関係法令については、下記の(参考 1)

及び(参考 2)をご参照ください。(参考 1) 中小企業等経営強化法(平成11年法律

第18号)(中小企業の事業活動の継続に資

するための中小企業等経営強化法等の一

部を改正する法律(令和元年法律第21号)

第 1条の規定による改正後)

(定義)

第 2条 省 略

2 この法律において「中小企業者等」とは、

次の各号のいずれかに該当する者をいう。

一 中小企業者

二 組合等(前号に掲げる者を除く。)

三 資本金の額又は出資の総額が政令で

定める金額以下の会社その他政令で定

める法人(第 1号に掲げる者を除く。)

四 常時使用する従業員の数が政令で定

める数以下の会社その他政令で定める

法人及び個人(前 3 号に掲げる者を除

く。)

3~20 省 略

(経営力向上計画の認定)

第19条 中小企業者等は、単独で又は共同

で行おうとする経営力向上に関する計画

(中小企業者等が第 2 条第 1 項第 6 号から

第 8 号までに掲げる組合若しくは連合会、

会社又は同条第 2 項第 3 号若しくは第 4

号の政令で定める法人(以下この項にお

いて単に「法人」という。)を設立しよう

とする場合にあっては当該中小企業者等

がその組合、連合会、会社又は法人と共

同で行う経営力向上に関するものを、中

小企業者等が合併して会社又は法人を設

立しようとする場合にあっては合併によ

り設立される会社又は法人(合併後存続

する会社又は法人を含む。)が行う経営力

向上に関するものを、中小企業者等がそ

の外国関係法人等の全部又は一部と共同

で経営力向上を行おうとする場合にあっ

ては当該中小企業者等が当該外国関係法

人等と共同で行う経営力向上に関するも

のを含む。以下「経営力向上計画」とい

う。)を作成し、主務省令で定めるところ

により、これを主務大臣に提出して、そ

の経営力向上計画が適当である旨の認定

を受けることができる。ただし、中小企

業者等が共同で経営力向上計画を作成し

た場合にあっては、主務省令で定めると

ころにより、代表者を定め、これを主務

大臣に提出するものとする。

2~ 9 省 略

(経営力向上計画の変更等)

第20条 前条第 1 項の認定を受けた中小企

業者等は、当該認定に係る経営力向上計

画を変更しようとするときは、主務省令

─�390�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

で定めるところにより、その認定をした

主務大臣の認定を受けなければならない。

2~ 4 省 略(参考 2) 中小企業等経営強化法施行規則(平成

11年通商産業省令第74号)

(経営力向上設備等の要件)

第 8条 省 略

2  前項の設備等のうち、経営力向上に著

しく資する設備等は、次の各号のいずれ

かに該当するものとする。

一 次の表の上欄に掲げる指定設備であ

って、次に掲げるいずれの要件(当該

指定設備がソフトウエア(電子計算機

に対する指令であって、一の結果を得

ることができるように組み合わされた

ものをいう。以下この号及び次号にお

いて同じ。)である場合及びロの比較の

対象となる設備が販売されていない場

合にあっては、イに掲げる要件に限

る。)にも該当するもの

イ 当該指定設備の区分ごとに同表の

下欄に掲げる販売が開始された時期

に係る要件に該当するものであるこ

と。

ロ 当該指定設備が、その属する型式

区分(同一の製造業者が製造した同

一の種別に属する設備を型式その他

の事項により区分した場合の各区分

をいう。以下この号において同じ。)

に係る販売開始日に次いで新しい販

売開始日の型式区分(当該指定設備

の製造業者が製造した当該指定設備

と同一の種別に属する設備の型式区

分に限る。)に属する設備と比較して、

生産効率、エネルギー効率、精度そ

の他の経営力の向上に資するものの

指標が年平均 1 パーセント以上向上

しているものであること。

指定設備販売が開始された時期に係る要件

減価償却資産の種類

対象となるものの用途又は細目

機械及び装置

全ての指定設備(発電の用に供する設備にあっては、主として電気の販売を行うために取得又は製作をするものとして経済産業大臣が定めるものを除く。)

当該設備の属する型式区分に係る販売開始日が、事業者が当該設備を導入した日の10年前の日の属する年度(その年の 1 月1日から12月31日までの期間をいう。以下この表において同じ。)開始の日以後の日であること。

器具及び備品

全ての指定設備(電子計算機にあっては情報通信業のうち自己の電子計算機の情報処理機能の全部又は一部の提供を行う事業を行う法人が取得又は製作をするものを除き、医療機器にあっては医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。)

当該設備の属する型式区分に係る販売開始日が、事業者が当該設備を導入した日の 6年前の日の属する年度開始の日以後の日であること。

工具 測定工具及び検査工具(電気又は電子を利用するものを含む。)

当該設備の属する型式区分に係る販売開始日が、事業者が当該設備を導入した日の 5年前の日の属する年度開始の日以後の日であること。

─�391�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

建物附属設備

全ての指定設備(医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除くものとし、発電の用に供する設備にあっては主として電気の販売を行うために取得又は建設をするものとして経済産業大臣が定めるものを除く。)

当該設備の属する型式区分に係る販売開始日が、事業者が当該設備を導入した日の14年前の日の属する年度開始の日以後の日であること。

ソフトウエア

設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの

当該設備の属する型式区分に係る販売開始日が、事業者が当該設備を導入した日の 5年前の日の属する年度開始の日以後の日であること。

二 機械及び装置(発電の用に供する設

備にあっては、主として電気の販売を

行うために取得又は製作をするものと

して経済産業大臣が定めるものを除

く。)、工具、器具及び備品(電子計算

機にあっては情報通信業のうち自己の

電子計算機の情報処理機能の全部又は

一部の提供を行う事業を行う法人が取

得又は製作をするものを除き、医療機

器にあっては医療保健業を行う事業者

が取得又は製作をするものを除く。)、

建物附属設備(医療保健業を行う事業

者が取得又は建設をするものを除くも

のとし、発電の用に供する設備にあっ

ては主として電気の販売を行うために

取得又は建設をするものとして経済産

業大臣が定めるものを除く。)並びにソ

フトウエアのうち、事業者が策定した

投資計画(次の算式により算定した当

該投資計画における年平均の投資利益

率が 5 パーセント以上となることが見

込まれるものであることにつき経済産

業大臣の確認を受けたものに限る。)に

記載された投資の目的を達成するため

に必要不可欠な設備

各年度において増加する営業利益と減

価償却費の合計額(設備の取得等をす

る年度の翌年度以降 3 箇年度における

ものに限る。)を平均した額÷設備の取

得等をする年度におけるその取得等を

する設備の取得価額の合計額

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑶の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。⑵ 上記 2 ⑷の改正は、中小企業者等が平成31年4 月 1 日以後に受ける経営力向上計画の認定(変更の認定を含みます。以下「認定」といいます。)のうち同日以後に申請がされるものに係る経営力向上計画に記載された経営力向上設備等(機械及び装置並びに建物附属設備に限ります。以下同じです。)について適用し、中小企業者等が、同日前に受けた認定及び同日以後に受ける認定のうち同日前に申請がされたものに係る経営力向上計画に記載された経営力向上設備等については、従前どおりとされています(改正中経法規附則②)。連結納税制度の場合についても同様です。

─�392�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

七 法人税の額から控除される特別控除額の特例

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(措法42の13)。

⑴ 法人税の額から控除される特別控除額の特例 この措置は、法人が一の事業年度において、租税特別措置法における税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額が当期の法人税額の90%相当額を超える場合には、その超える部分の金額は、当期の法人税額からは控除ができず、各税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以後に繰越控除ができるというものです(措法42の13①③)。

⑵ 特定税額控除制度の不適用措置 この措置は、法人(中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除きます。)又は農業協同組合等を除きます。以下同じです。)が、平成30年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に開始する各事業年度において特定税額控除制度の適用を受けようとする場合において、その事業年度において次の要件のいずれにも該当しないとき(その事業年度(設立事業年度及び合併等事業年度のいずれにも該当しない事業年度に限ります。以下「特定対象年度」といいます。)の所得の金額がその特定対象年度の前事業年度の所得の金額以下である場合を除きます。)は、その特定対象年度においては、その特定税額控除制度を適用しないというものです(措法42の13⑥)。① その法人の継続雇用者給与等支給額がその継続雇用者比較給与等支給額を超えること。② その法人の国内設備投資額がその当期償却費総額の10%相当額を超えること。

(注 1) 中小企業者又は農業協同組合等とは、租

税特別措置法第42条の 4 第 3 項に規定する

中小企業者又は農業協同組合等をいいます。

具体的には、中小企業者は、資本金の額若

しくは出資金の額が 1 億円以下の法人のう

ち次の法人以外の法人又は資本若しくは出

資を有しない法人のうち常時使用する従業

員の数が1,000人以下の法人とされ、農業協

同組合等は、農業協同組合、農業協同組合

連合会、中小企業等協同組合、出資組合で

ある商工組合及び商工組合連合会、内航海

運組合、内航海運組合連合会、出資組合で

ある生活衛生同業組合、漁業協同組合、漁

業協同組合連合会、水産加工業協同組合、

水産加工業協同組合連合会、森林組合並び

に森林組合連合会とされています(措法42

の 4 ⑧六・七、措令27の 4 ⑫)。

イ� その発行済株式又は出資の総数又は総

額の 2分の 1以上が同一の大規模法人(資

本金の額若しくは出資金の額が 1 億円を

超える法人又は資本若しくは出資を有し

ない法人のうち常時使用する従業員の数

が1,000人を超える法人をいい、中小企業

投資育成株式会社を除きます。以下同じ

です。)の所有に属している法人

ロ� 上記イの法人のほか、その発行済株式

又は出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上

が大規模法人の所有に属している法人(注 2) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 6 号の 2 に規定する適用

除外事業者をいい、具体的には、その事業

年度開始の日前 3 年以内に終了した各事業

年度(以下「基準年度」といいます。)の所

得の金額の合計額を各基準年度の月数の合

計数で除し、これに12を乗じて計算した金

額(設立後 3 年を経過していないこと、既

に基準年度の所得に対する法人税の額につ

─�393�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

き法人税法第80条の規定の適用があったこ

と、基準年度において合併、分割又は現物

出資が行われたこと等の事由がある場合に

は、その計算した金額につきその事由の内

容に応じ調整を加えた金額となります。)が

15億円を超える法人とされており、平成31

年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分から

適用されます。(注 3) 特定税額控除制度とは、次の税額控除制

度をいいます(措法42の13①一・三・四・

十・十七の二⑥)。

イ� 試験研究を行った場合の法人税額の特

別控除制度(研究開発税制)のうち次の

制度(措法42の 4 ①⑥⑦)

イ� 試験研究費の総額に係る税額控除制

度(措法42の 4 ①)

ロ� 特別試験研究費の額に係る税額控除

制度(措法42の 4 ⑥)

ハ� 平均売上金額の10% 相当額を超える

試験研究費の額に係る税額控除制度

(措法42の 4 ⑦)

ロ� 地域経済牽引事業の促進区域内におい

て特定事業用機械等を取得した場合の税

額控除制度(措法42の11の 2 ②)

ハ� 革新的情報産業活用設備を取得した場

合の税額控除制度(措法42の12の 6 ②)(注 4) 継続雇用者給与等支給額とは、租税特別

措置法第42条の12の 5 第 3 項第 6 号に規定

する継続雇用者給与等支給額をいい、継続

雇用者比較給与等支給額とは、同項第 7 号

に規定する継続雇用者比較給与等支給額を

いいます。具体的には、継続雇用者給与等

支給額は、継続雇用者(法人の適用年度及

びその適用年度開始の日の前日を含む事業

年度(以下「前事業年度」といいます。)の

期間内の各月においてその法人の給与等の

支給を受けた国内雇用者をいいます。)に対

するその適用年度の給与等の支給額とされ、

継続雇用者比較給与等支給額は、その法人

の継続雇用者に対する前事業年度の給与等

の支給額とされています。(注 5) 国内設備投資額とは、租税特別措置法第

42条の12の 5 第 3 項第 8 号に規定する国内

設備投資額をいい、当期償却費総額とは、

同項第 9 号に規定する当期償却費総額をい

います。具体的には、国内設備投資額は、

法人が適用年度において取得等(取得又は

製作若しくは建設をいい、合併による取得

等を除きます。)をした国内資産(国内にあ

るその法人の事業の用に供する機械及び装

置その他の資産をいいます。)でその適用年

度終了の日において有するものの取得価額

の合計額とされ、当期償却費総額は、法人

がその有する減価償却資産につき適用年度

においてその償却費として損金経理をした

一定の金額の合計額とされています。(注 6) 特定対象年度の所得の金額がその特定対

象年度の前事業年度の所得の金額以下であ

る場合は、次のイの金額が次のロの金額以

下である場合とされています(措令27の13

③④)。

イ� 特定対象年度の基準所得等金額(その

特定対象年度開始の日前 1 年以内に終了

した各事業年度(最初課税事業年度開始

の日前に終了した各事業年度及び外国法

人である人格のない社団等の収益事業か

ら生ずるものを有することとなった日を

含む事業年度開始の日からその有するこ

ととなった日の前日までの期間を除きま

す。以下「前事業年度」といいます。)の

月数を合計した数がその特定対象年度の

月数に満たない場合には、その基準所得

等金額をその特定対象年度の月数で除し、

これにその合計した数を乗じて計算した

金額となります。)

ロ� 前事業年度の基準所得等金額(特定対

象年度開始の日から起算して 1 年前の日

を含む前事業年度にあっては、その前事

業年度の基準所得等金額をその前事業年

度の月数で除し、これにその 1 年前の日

─�394�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

からその前事業年度終了の日までの期間

の月数を乗じて計算した金額となりま

す。)の合計額(注 7) 基準所得等金額とは、各事業年度の次の

イ及びロの金額の合計額から次のハの金額

を控除した金額をいいます(措令27の13⑤

一)。

イ� その事業年度の所得の金額

ロ� 法人税法第57条、第58条又は第59条の

規定によりその事業年度の所得の金額の

計算上損金の額に算入された金額

ハ� 法人税法第27条の規定によりその事業

年度の所得の金額の計算上益金の額に算

入された金額(注 8) 最初課税事業年度とは、法人が次の法人

に該当する場合におけるそれぞれ次の日を

含む事業年度をいいます(措令27の13⑤二)。

イ� 公益法人等又は内国法人である人格の

ない社団等��新たに収益事業を開始し

た日

ロ� 公益法人等(収益事業を行っていない

ものに限ります。)に該当していた普通法

人又は協同組合等��その普通法人又は

協同組合等に該当することとなった日

ハ� 特定普通法人等に該当していた公益法

人等��その公益法人等に該当すること

となった日

 なお、特定普通法人等とは、租税特別

措置法第68条の 3 の 4 第 1 項に規定する

特定普通法人等をいい、具体的には、次

の法人とされています(措令39の35の 4

①)。

イ� 一般社団法人又は一般財団法人のう

ち、普通法人であるもの

ロ 医療法人のうち普通法人であるもの

ハ 生産森林組合

ニ� 外国法人��恒久的施設を有すること

となった日(人格のない社団等について

は、国内源泉所得のうち収益事業から生

ずるものを有することとなった日となり

ます。)

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の15の 8 )。

2  改正の内容

 特定税額控除制度の不適用措置(上記 1 ⑵)について、次の見直しが行われました。

⑴ 適用対象法人から除外されている中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し① みなし大企業の判定における大規模法人の追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法42の13⑥、42の 4⑧七、措令27の 4 ⑫)。② みなし大企業の判定における判定法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法42の13⑥、42の 4 ⑧七、措令27の 4 ⑫)。

(注) 上記①及び②の改正の内容の詳細等につい

ては、後述「第六 その他」の「一 中小企

業者から除外されるみなし大企業の範囲の見

直し」の 2をご参照ください。 なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の改正が行われています(措法68の15の 8 ⑥、68の 9 ⑧六、措令39の39⑪)。

⑵ 適用除外判定において基準所得等金額を計算することとなる前事業年度から除外される事業年度の対象となる法人の見直し 特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合における調整措置の対象となる法人の範囲の見直しに伴い、本措置の適用除外となる判定における前事業年度から最初課税事業年

─�395�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

度開始の日前に終了する各事業年度が除かれることとなる特定普通法人等に該当していた公益法人等が、普通法人又は協同組合等に該当していた公益法人等とされました(措法42の13⑥、措令27の13⑤二ハ)。(注 1) 本措置においては、適用対象法人の特定

対象年度の基準所得等金額がその前事業年

度の基準所得等金額以下である場合には、

その適用から除外することとされており、

その判定において前事業年度から最初課税

事業年度開始の日前に終了する各事業年度

が除かれています。すなわち、上記の改正

により、普通法人又は協同組合等に該当し

ていた公益法人等のその公益法人等に該当

することとなった日を含む事業年度(最初

課税事業年度)開始の日前に終了した各事

業年度については、その適用除外となる判

定において、前事業年度から除かれ、基準

所得等金額の計算をしないこととなります。(注 2) 特定普通法人等が公益法人等に該当する

こととなる場合における調整措置の対象と

なる法人の範囲の見直しについては、後述

「第五 その他の特別措置関係」の「六 課

税所得の範囲の変更等の場合の特例」の 2

⑴をご参照ください。

3  適用関係

 上記 2 ⑵の改正は、平成31年 4 月 1 日後に公益法人等に該当することとなる普通法人及び協同組合等について適用し、同日以前に公益法人等に該当することとなった特定普通法人等については、従前どおりとされています(改正措令附則19)。

八 その他の税額控除制度

 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法

42の 9 ①、措令27の 9 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の13①)。

第二 特別償却関係一 特定設備等の特別償却制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人が、指定期間内に、特定設備等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は特定設備等の製作若しくは建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定設備等の取得価額に特別償却割合を乗じて計算した金額の特別償却ができるというものです(措法43①)。 対象となる特定設備等、特別償却割合及び指定

期間は、次のとおりです。

特定設備等の区分 特別償却割合 指定期間

⑴ 公害防止用設備(指定物質回収設備) 8%

平成29年 4 月1 日から平成31年 3 月31日まで

①� 次の②の船舶以外の外航船舶及び内航船舶

②� 外航日本船舶及び高度環境負荷低減内航船舶

16%

18%

平成29年 4 月1 日(内航船舶については、平成27年 4 月1 日)から平成31年 3 月31日まで

─�396�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑶ 自動車教習用貨物自動車 20%

平成29年 4 月1 日から平成31年 3 月31日まで

⑷ 再生可能エネルギー発電設備等 20%

平成30年 4 月1 日から令和2年 3月31日まで

(注1) 上記⑴及び⑶に係る措置の対象法人は、租

税特別措置法第42条の4第3項に規定する中

小企業者又は農業協同組合等とされていま

す(措法43①表一上欄三上欄)。ただし、中

小企業者のうち適用除外事業者に該当する

ものの事業年度においては、これらの措置

の適用を停止することとされています。なお、

適用除外事業者とは、同条第8項第6号の2に

規定する適用除外事業者をいい、平成31年4

月1日以後に開始する事業年度分から適用さ

れます。(注2) 外航船舶とは、海洋運輸業の用に供される

鋼船のうち事業の経営の合理化及び環境の

負荷の低減に係る要件を満たす国際総トン

数が10,000トン以上のものをいい、内航船舶

とは、沿海運輸業の用に供される鋼船のう

ち事業の経営の合理化及び環境への負荷の

低減に係る要件を満たすもので総トン数300

トン以上のものをいいます(措法43①表二

中欄、措令28③⑪、平27.3国土交通告473)。(注3) 高度環境負荷低減内航船舶とは、上記(注

2)の内航船舶のうち環境への負荷の著しい

低減に係る要件を満たすもの(いわゆるス

ーパーエコシップ等)をいいます(措法43

①表二下欄、措令28④⑪、平27.3国土交通告

473)。(注4) 自動車教習用貨物自動車とは、指定自動車

教習所において自動車の運転に関する技能

及び知識の教授に係る学習支援業の用に供

される道路交通法第3条の準中型自動車であ

って専ら貨物を運搬する構造のもののうち

一定の要件を満たすものをいいます(措法

43①表三中欄、措令28⑤⑩、昭48.5大蔵告69

別表3上欄)。(注5) 再生可能エネルギー発電設備等とは、再生

可能エネルギー利用資産のうち太陽光若し

くは風力以外の再生可能エネルギー源の利

用に資するもの又は主として再生可能エネ

ルギー利用資産とともに使用するための機

械その他の減価償却資産でその再生可能エ

ネルギー利用資産の持続的な利用に資する

ものとして一定の要件を満たすものをいい

ます(措法43①表四上欄、措令28⑥⑫、平

30.3経済産業告69)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の16)。

2  改正の内容

⑴ 公害防止用設備(上記 1表⑴)の特別償却の廃止 適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、措置が廃止されました(旧措法43①表一、旧措令28①⑧、旧昭48.5大蔵告69別表 1)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の16①表一、旧措令39の49①⑧一)。

⑵ 船舶(上記 1表⑵)の特別償却の見直し① 外航船舶に係る特別償却割合等の見直しイ 特定先進船舶に該当する外航船舶に係る特別償却割合の引上げ 特定船舶のうち海上運送業を営む法人の認定先進船舶導入等計画(先進船舶の導入に関するものに限ります。)に記載された先進船舶(環境への負荷の低減に著しく資する船舶に限ります。以下「特定先進船舶」といいます。)に該当する外航船舶に係る特別償却割合が、その外航船舶の次の区分に応じそれぞれ次のとおり引き上げられました(措法43①表二中欄イ)。(注 1) 上記の「特定船舶」とは、海洋運輸

業を営む法人の事業の経営の合理化及

び環境への負荷の低減に資する船舶を

─�397�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

いい、海洋運輸業とは、本邦の港と本

邦以外の地域の港との間又は本邦以外

の地域の各港間において船舶により人

又は物の運送をする事業をいい、認定

先進船舶導入等計画とは、海上運送法

第39条の14に規定する認定先進船舶導

入等計画をいい、先進船舶とは、同法

第39条の10第 1 項に規定する先進船舶

をいい、外航船舶とは、本邦と外国と

の間又は外国と外国との間を往来する

船舶をいいます(措法43①表二上欄中

欄イ、措令28③④⑩)。

イ 日本船舶に該当する特定先進船舶��20%(改正前:18%)(注)� 日本船舶とは、船舶法第 1 条に規定

する日本船舶をいいます。

ロ 日本船舶に該当しない特定先進船舶��18%(改正前:16%) 環境への負荷の低減に著しく資する船舶は、海洋運輸業の用に供される船舶のうち環境への負荷の低減に著しく資するものとして国土交通大臣が財務大臣と協議して告示指定するものとされており、具体的には、先進船舶のうち先進的な技術(次の設備又は材料の区分に応じそれぞれ次の技術に限ります。)が使用されているその設備又は材料のいずれかを有し、又は使用している船舶(平成31年 4 月 1 日以後に建造契約が結ばれた船舶及び同年 3月31日以前に建造契約が結ばれた船舶であって同年 4月 1日以後に建造に着手されたものに限ります。)とされています(措法43①表二中欄イ、措令28⑤⑩、平27.3国土交通告473二、平29. 9 国土交通告886・ 2 二イ~ト)。(注 2) 先進的な技術とは、海上運送法施行

規則第42条の 8 第 2 号に規定する先進

的な技術として国土交通大臣が定める

ものをいいます。

イ スマートナビゲーションシステム��次の国際標準化機構が定めた規格(以下

「国際規格」といいます。)のいずれにも適合する技術A 国際規格 ISO19847(2018)B 国際規格 ISO19848(2018)ロ ウェザールーティングシステム��気象及び海象に関する情報を継続して船上において直接取得し、その情報を継続して船内において自動的に解析することにより得られる運航に最適な航路に関する情報を船員に提供する技術ハ 遠隔監視システム��陸上において船舶の状態を把握するために、船舶の位置及び速力並びに主機の状態に関する情報を船上において継続的に取得し、かつ、これらの情報を船上から陸上に継続的に送信する技術ニ 予防保全システム��主機の圧力、温度その他主機の運転状態を示す情報を船上において継続的に収集し、これらの情報を継続的に解析することにより、主機の状態を常に把握することを可能とする技術ホ 統合ビルジ処理システム��1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約附属書Ⅰの実施に関して国際海事機関海洋環境保護委員会において承認された船舶の機関区域における油性廃棄物の処理システムに関する指針及び統合ビルジ処理システムの細則2008年改訂版に規定する統合ビルジ処理システムの要件に適合するビルジ(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第 3条第12号に規定するビルジをいいます。以下同じです。)の発生量を減少させ、及びビルジを処理するための技術ヘ 高延性鋼��船舶安全法第 8条の登録を受けた船級協会が高い延性を有すると認める船体(鋼製のものに限ります。)を実現する技術であって、その船体の構造材料に係るもの

─�398�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ト 耐食鋼��原油タンカーの貨物油タンクに対して講ずる1974年の海上における人命の安全のための国際条約附属書第 2章の 1第 3規則の11第 3 ・ 2 項に掲げる措置において用いられる鋼材を実現する技術

(注 3) 関係法令については、下記の(参考

3)から(参考 6)までをご参照くだ

さい。

ロ 特定先進船舶に該当しない外航船舶に係る特別償却割合の引下げ 特定先進船舶に該当しない外航船舶に係る特別償却割合が、その外航船舶の次の区分に応じそれぞれ次のとおり引き下げられました(措法43①表二中欄ロ)。イ 日本船舶に該当する外航船舶��17%(改正前:18%)ロ 日本船舶に該当しない外航船舶��15%(改正前:16%)

ハ 環境負荷低減に係る要件の見直し 環境への負荷の低減に資する外航船舶の要件について、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第19条の26第 1 項に規定する国土交通大臣の確認を受けなければならない船舶の二酸化炭素放出抑制指標(以下「EEDI」といいます。)の値に係る要件におけるEEDI 基準線(海洋汚染防止条約附属書Ⅵにおいて当初に定められたもの)からのEEDI の削減率が、次の船舶の区分に応じそれぞれ次のとおり引き上げられました(平27. 3 国土交通告473別表 1②③)。イ 平成31年 4 月 1 日から令和元年12月31日までの間に建造契約が結ばれた船舶(建造契約がない船舶にあっては、同年10月 1 日から令和 2年 6月30日までの間に建造に着手されたもの) 次の船舶の区分に応じそれぞれ次の割合A 下記Bの船舶以外の船舶��20%(改正前:15%)

B 旅客船、ロールオン・ロールオフ貨物船及び自動車運搬船��15%(改正前:10%)

ロ 令和 2年 1月 1日以後に建造契約が結ばれた船舶(建造契約がない船舶にあっては、同年 7月 1日以後に建造に着手されたもの) 次の船舶の区分に応じそれぞれ次の割合A 下記Bの船舶以外の船舶��22%B 自動車運搬船��17% なお、上記の告示においては、上記イ及びロの船種・載貨重量トン数又は総トン数別のEEDI の値が定められています。(注) 関係法令については、下記の(参考

3)をご参照ください。② 内航船舶における環境負荷低減に係る要件の見直し 環境への負荷の低減に資する内航船舶の要件について、船首方位制御装置の船舶への搭載が、次の推進関係機器等との選択からその推進関係機器等とは別に必須とされました(平27. 3 国土交通告473別表 2①四②二)。イ 推進効率改良型舵

かじ

(整流版付舵かじ

、フラップ付舵

かじ

又はシリング舵かじ

に限ります。)ロ 船尾装着フィンハ 燃料改質器ニ 空気潤滑システムホ バトックフロー船型ヘ エラ船型ト 船尾バルブ③ 適用期限の延長 措置の適用期限が、令和 3年 3月31日まで2 年延長されました(措令28⑥、平31. 3 財務告96二)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記①から③までと同様の改正が行われています(措法68の16①表二、措令39の49③~⑤⑥二)。

─�399�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑶ 自動車教習用貨物自動車(上記 1表⑶)の特別償却の廃止 適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、措置が廃止されました(旧措法43①表三、旧措令28⑤⑧、旧昭48. 5 大蔵告69別表 3)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の16①表三、旧措令39の49⑤⑧三)。(参考 1) 海上運送法(昭和24年法律第187号)

(先進船舶導入等促進基本方針)

第39条の10 国土交通大臣は、先進船舶(液

化天然ガスを燃料とする船舶その他の海

上運送事業を営む者の運送サービスの質

を相当程度向上させることができる先進

的な技術を用いた船舶であつて国土交通

省令で定めるものをいう。以下同じ。)の

研究開発、製造及び導入(以下「先進船

舶の導入等」という。)の促進に関する施

策の総合的かつ計画的な推進を図るため

の基本的な方針(以下「先進船舶導入等

促進基本方針」という。)を定めるものと

する。

2~ 5 省 略

(先進船舶導入等計画)

第39条の11 省 略

2・ 3 省 略

4  国土交通大臣は、第 1 項の規定による

認定の申請があつた場合において、その

先進船舶導入等計画が次の各号のいずれ

にも適合するものであると認めるときは、

その認定をするものとする。

一 先進船舶導入等促進基本方針に適合

するものであること。

二 確実かつ効果的に実施されると見込

まれるものであること。

三 臨時船舶建造調整法(昭和28年法律

第149号)第 2 条の許可又は同法第 4 条

第 1 項の承認を要するものにあつては、

第 2 項第 2 号に掲げる先進船舶の導入

等の内容として先進船舶の製造が記載

されたものであつて、当該製造の内容

が同法第 3 条第 1 項第 1 号に掲げる基

準に適合し、かつ、当該製造を実施す

る者が同項第 2 号に掲げる基準に適合

するものであること。

四 先進船舶導入等計画に前項に規定す

る事項が記載されている場合には、船

舶職員及び小型船舶操縦者法第20条第

1 項又は第23条の32第 1 項の許可を要

するものにあつては、当該先進船舶が

同法第18条第 1 項に規定する乗組み基

準又は同法第23条の31第 1 項に規定す

る乗船基準によらなくても航行の安全

を確保することができると認められる

ものであること。

5~ 7 省 略

(資金の確保等)

第39条の14 国は、認定船舶運航事業者等

が第39条の11第 4 項の認定を受けた先進

船舶導入等計画(以下「認定先進船舶導

入等計画」という。)に従つて先進船舶の

導入等を行うために必要な資金の確保そ

の他の措置を講ずるよう努めるものとす

る。(参考 2) 船舶法(明治32年法律第46号)

第 1条 左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス

一 日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル

船舶

二 日本国民ノ所有ニ属スル船舶

三 日本ノ法令ニ依リ設立シタル会社ニ

シテ其代表者ノ全員及ビ業務ヲ執行ス

ル役員ノ 3 分ノ 2 以上ガ日本国民ナル

モノノ所有ニ属スル船舶

四 前号ニ掲ゲタル法人以外ノ法人ニシ

テ日本ノ法令ニ依リ設立シ其代表者ノ

全員ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属ス

ル船舶(参考 3) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関す

る法律(昭和45年法律第136号)

(定義)

─�400�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

第 3 条 この法律において、次の各号に掲

げる用語の意義は、それぞれ当該各号に

定めるところによる。

一~十一 省 略

十二 ビルジ 船底にたまつた油性混合

物をいう。

十三~十八 省 略

(二酸化炭素放出抑制指標に係る確認)

第19条の26 二酸化炭素放出抑制対象船舶

の船舶所有者は、前条第 1 項の承認を受

けようとするときは、あらかじめ、当該

二酸化炭素放出抑制対象船舶の二酸化炭

素放出抑制指標(国土交通省令で定める

ところにより二酸化炭素放出抑制対象船

舶を航行させる場合における当該二酸化

炭素放出抑制対象船舶からの二酸化炭素

の放出量であつて、当該二酸化炭素放出

抑制対象船舶についてその航行に係る二

酸化炭素の放出を抑制するための措置を

講ずるに当たつての指標となるものをい

う。以下同じ。)が、次の各号のいずれに

も適合することについて、国土交通大臣

の確認を受けなければならない。

一 国土交通省令で定める技術上の基準

により算定されていること。

二 船舶の用途及び載貨重量トン数(船

舶のトン数の測度に関する法律(昭和

55年法律第40号。第51条の 4 において

「トン数法」という。)第 7 条第 1 項の

載貨重量トン数をいう。)その他の船舶

の大きさに関する指標に応じて国土交

通省令・環境省令で定める基準に適合

するものであること。

2 省 略(参考 4) 船舶安全法(昭和 8年法律第11号)

第 8 条 第25条の69及第25条の72於テ準用

スル第25条の47ノ規定ニ依リ国土交通大

臣ノ登録ヲ受ケタル船級協会(以下単ニ

船級協会ト称ス)ノ検査ヲ受ケ船級ノ登

録ヲ為シタル船舶ニシテ旅客船(12人ヲ

超ユル旅客定員ヲ有スル船舶ヲ謂フ以下

同ジ)ニ非ザルモノハ其ノ船級ヲ有スル

間第 2 条第 1 項各号ニ掲グル事項、満載

喫水線及無線電信等ニ関シ特別検査以外

ノ管海官庁ノ検査(国土交通省令ヲ以テ

定ムルモノヲ除ク)ヲ受ケ之ニ合格シタ

ルモノト看做ス(参考 5) 海上運送法施行規則(昭和24年運輸省

令第49号)

(先進船舶)

第42条の 8  法第39条の10第 1 項の国土交

通省令で定める船舶は、次のとおりとする。

一 省 略

二 インターネット・オブ・シングス活

用技術(インターネットに多様かつ多

数の物が接続され、及びそれらの物か

ら送信され、又はそれらの物に送信さ

れる大量の情報を活用する技術をい

う。)その他の航行の安全性若しくは効

率性の向上又は快適性の確保に相当程

度寄与する先進的な技術として国土交

通大臣が定めるものを用いた船舶(参考 6) 先進船舶の対象範囲を定める告示(平

成29年国土交通省告示第886号)

第 2 条 規則第42条の 8 第 2 号に規定する

先進的な技術は、次に掲げるものとする。

一 インターネット・オブ・シングス活

用技術(インターネットに多様かつ多

数の物が接続され、及びそれらの物か

ら送信され、又はそれらの物に送信さ

れる大量の情報を活用する技術をいい、

次号イからニまでに定めるものを除く。)

二 船舶の環境性能を著しく向上させる

次に掲げる設備又は材料に使用される

技術であって、船舶の環境性能を著し

く向上させるものとして、次のイから

トまでに掲げる設備又は材料の区分に

応じ、それぞれイからトまでに定める

もの

イ スマートナビゲーションシステム 

─�401�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

次に掲げる国際標準化機構が定めた

規格(以下「国際規格」という。)の

いずれにも適合する技術

⑴ 国際規格ISO19847(2018)

⑵ 国際規格ISO19848(2018)

ロ ウェザールーティングシステム 

気象及び海象に関する情報を継続し

て船上において直接取得し、当該情

報を継続して船内において自動的に

解析することにより得られる運航に

最適な航路に関する情報を船員に提

供する技術

ハ 遠隔監視システム 陸上において

船舶の状態を把握するために、船舶

の位置及び速力並びに主機の状態に

関する情報を船上において継続的に

取得し、かつ、これらの情報を船上

から陸上に継続的に送信する技術

ニ 予防保全システム 主機の圧力、

温度その他主機の運転状態を示す情

報を船上において継続的に収集し、

これらの情報を継続的に解析するこ

とにより、主機の状態を常に把握す

ることを可能とする技術

ホ 統合ビルジ処理システム 1973年

の船舶による汚染の防止のための国

際条約附属書Ⅰの実施に関して国際

海事機関海洋環境保護委員会におい

て承認された船舶の機関区域におけ

る油性廃棄物の処理システムに関す

る指針及び統合ビルジ処理システム

の細則2008年改訂版に規定する統合

ビルジ処理システムの要件に適合す

るビルジ(海洋汚染等及び海上災害

の防止に関する法律(昭和45年法律

第136号)第 3 条第12号に規定するビ

ルジをいう。ホにおいて同じ。)の発

生量を減少させ、及びビルジを処理

するための技術

ヘ 高延性鋼 船舶安全法(昭和 8 年

法律第11号)第 8 条の登録を受けた

船級協会が高い延性を有すると認め

る船体(鋼製のものに限る。)を実現

する技術であって、当該船体の構造

材料に係るもの

ト 耐食鋼 原油タンカーの貨物油タ

ンクに対して講ずる1974年の海上に

おける人命の安全のための国際条約

附属書第 2章の 1第 3規則の11第 3・

2 項に掲げる措置において用いられ

る鋼材を実現する技術

三 前 2 号に掲げるもののほか、航行の

効率性の向上又は快適性の確保に相当

程度寄与し、かつ、船舶の環境性能を

著しく向上させる技術

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴及び⑶の改正は、法人が平成31年 4月 1 日前に取得等(取得又は製作若しくは建設をいいます。以下同じです。)をした公害防止用設備及び自動車教習用貨物自動車については、従前どおりとされています(改正法附則52①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則69①)。⑵ 上記 2 ⑵①イ及びロの改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得等をする船舶について適用し、法人が同日前に取得等をした船舶については、従前どおりとされています(改正法附則52①②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則69①②)。⑶ 上記 2 ⑵①ハ及び②の改正は、平成31年 4 月1 日から施行されています(平31.3国土交通告494附則)。

─�402�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

二� 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人が、関西文化学術研究都市建設促進法の建設計画(以下「建設計画」といいます。)の同意の日から平成31年 3 月31日までの間に、同法の文化学術研究施設のうち一定の研究所用の施設の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る研究所用の建物及びその附属設備並びに機械及び装置(一定の規模のものに限ります。以下「研究施設」といいます。)でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は研究施設の製作若しくは建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その研究施設の取得価額の12%(建物及びその附属設備については、 6%)相当額の特別償却ができるというものです(措法44①)。(注 1) 一定の研究所用の施設とは、次の要件を満

たすものをいいます(措法44①、措令28の 4

①)。

⑴� 技術に関する研究開発の用に供される研

究所用の施設で、その取得又は製作若しく

は建設に必要な資金の額が 3 億円以上のも

のであること。なお、必要な資金の額からは、

その研究所用の施設に係る土地又は土地の

上に存する権利の取得に必要な資金の額及

び借入金の利子の額を除くこととされてい

ます。

⑵� その研究所用の施設を設置することが建

設計画の達成に資することにつき国土交通

大臣の証明がされたものであること。(注 2) 機械及び装置のうち一定の規模のものとは、

1 台又は 1 基の取得価額が240万円以上のもの

をいいます(措法44①、措令28の 4 ②)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の19)。

2  改正の内容

⑴ 機械及び装置の取得価額要件の引上げ 研究施設のうち機械及び装置の取得価額要件が、400万円以上(改正前:240万円以上)に引き上げられました(措令28の 4 ②)。

⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法44①)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の19①、措令39の51)。

3  適用関係

 上記 2 ⑴の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする研究施設について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした研究施設については、従前どおりとされています(改正措令附則20①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則31①)。

三 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(創設)

1  制度創設の経緯及び趣旨

 中小企業・小規模事業者は、地域に根ざした事

業活動を行い、多くの雇用機会を提供するなど、地域経済において重要な役割を果たしています。しかしながら、平成29年 7 月九州北部豪雨、平成

─�403�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

30年 7 月豪雨、平成30年北海道胆振東部地震など、近年自然災害が頻発し、中小企業・小規模事業者の事業活動の継続に支障をきたす事態が生じています。 このような中小企業・小規模事業者をめぐる環境の変化を踏まえ、我が国の経済の活力の源泉である中小企業・小規模事業者の経営の強靱

じん

化を図り、事業活動の継続に資するため、サプライチェーンや地域の経済・雇用を支える中小企業を中心に災害への対応力を高める必要があることから、事前の防災・減災対策の先行事例を踏まえ、中小企業者が行う事業継続力強化の取組や中小企業を取り巻く関係者による中小企業者の事業継続力強化に関する協力など、中小企業者の事業継続力強化に関する基本方針を策定するとともに、中小企業者が単独で又は相互に連携して行う事業継続力強化のための計画を認定し、認定を受けた者について、各種の支援措置を講ずることとされ、税制においても、中小企業者が行う事業継続力強化に資する設備投資を促進する観点から、次の 2の制度が創設されました。 なお、次の 2の制度の適用の前提となる事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画の認定制度の創設等を内容とする中小企業等経営強化法の改正を含む「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案」が、平成31年 2 月15日に閣議決定・国会提出がされ、令和元年 5月29日に可決・成立し、法律第21号として公布されています。

2  制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人で中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除きます。)等であるもののうち中小企業等経営強化法の認定を受けた同法の中小企業者に該当するものが、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(令和元年法律第21号)の施行の日から令和 3年 3月31日までの間に、特定事業継続力強化設備等の取得等をして、これをその法人の事業の用に供した

場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定事業継続力強化設備等の取得価額の20%相当額の特別償却ができるというものです(措法44の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の20①)。

3  制度の内容

⑴ 適用対象法人 適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で租税特別措置法第42条の 6第 1項に規定する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除きます。)又はこれに準ずる法人であるもののうち中小企業等経営強化法第50条第 1項又は第52条第 1 項の認定(以下「認定」といいます。)を受けた同法第 2 条第 1 項に規定する中小企業者に該当するもの(以下「特定中小企業者等」といいます。)とされています(措法44の 2 ①)。(注 1) 租税特別措置法第42条の 6 第 1 項に規定

する中小企業者は、資本金の額若しくは出

資金の額が 1 億円以下の法人(以下「判定

法人」といいます。)のうち次の法人以外の

法人又は資本若しくは出資を有しない法人

のうち常時使用する従業員の数が1,000人以

下の法人とされています(措法42の 6 ①、

措令27の 6 ①、27の 4 ⑫一イロ)。

①� その発行済株式又は出資(その有する

自己の株式又は出資を除きます。以下同

じです。)の総数又は総額の 2 分の 1 以上

が同一の大規模法人(資本金の額若しく

は出資金の額が 1 億円を超える法人、資

本若しくは出資を有しない法人のうち常

時使用する従業員の数が1,000人を超える

法人又は次の法人をいい、独立行政法人

中小企業基盤整備機構(判定法人の発行

する株式の全部又は一部が中小企業等経

営強化法第23条第 1 項に規定する認定事

業再編投資組合の組合財産である場合に

おけるその組合員の出資に係る部分に限

─�404�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ります。)及び中小企業投資育成株式会社

を除きます。以下同じです。)の所有に属

している法人

イ� 大法人(次の法人をいいます。以下

同じです。)との間にその大法人による

完全支配関係(法人税法第 2 条第12号

の 7 の 6 に規定する完全支配関係をい

います。以下同じです。)がある普通法

イ� 資本金の額又は出資金の額が 5 億

円以上である法人

ロ� 保険業法第 2 条第 5 項に規定する

相互会社及び同条第10項に規定する

外国相互会社のうち、常時使用する

従業員の数が1,000人を超える法人

ハ� 法人税法第 4 条の 7 に規定する受

託法人

ロ� 普通法人との間に完全支配関係があ

る全ての大法人が有する株式(投資信

託及び投資法人に関する法律第 2 条第

14項に規定する投資口を含みます。)及

び出資の全部をその全ての大法人のう

ちいずれか一の法人が有するものとみ

なした場合においてそのいずれか一の

法人とその普通法人との間にそのいず

れか一の法人による完全支配関係があ

ることとなるときのその普通法人(上

記イの法人を除きます。)

②� 上記①の法人のほか、その発行済株式

又は出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上

が大規模法人の所有に属している法人(注 2) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人をいいます。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。(注 4) 関係法令については、下記の(参考 1)

から(参考 4)までをご参照ください。

 なお、中小企業者に準ずる法人は、事業協同組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会及び商店街振興組合とされています(措令28の 5 ①)。

⑵ 適用期間 適用期間は、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(令和元年法律第21号)の施行の日から令和 3年 3月31日までの期間とされています(措法44の 2 ①)。(注) 中小企業の事業活動の継続に資するための

中小企業等経営強化法等の一部を改正する法

律(令和元年法律第21号)の施行の日は、同

法の公布の日(令和元年 6 月 5 日)から起算

して 6 月を超えない範囲内において政令で定

める日とされており(中経法等改正法附則 1)、

その政令は、今後定められます。

⑶ 適用対象資産 適用対象資産は、認定に係る中小企業等経営強化法第50条第 1項に規定する事業継続力強化計画又は同法第52条第 1項に規定する連携事業継続力強化計画(同法第51条第 1項の規定による変更の認定又は同法第53条第 1項の規定によ

─�405�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

る変更の認定があったときは、その変更後のものとなります。以下「認定事業継続力強化計画等」といいます。)に係る同法第50条第 2 項第2号ロに規定する事業継続力強化設備等としてその認定事業継続力強化計画等に記載された機械及び装置、器具及び備品並びに建物附属設備(一定の規模のものに限ります。以下「特定事業継続力強化設備等」といいます。)とされています(措法44の 2 ①)。 一定の規模のものは、機械及び装置にあっては、 1 台又は 1 基の取得価額が100万円以上のものとし、器具及び備品にあっては、 1台又は1基の取得価額が30万円以上のものとし、建物附属設備にあっては、一の建物附属設備の取得価額が60万円以上のものとすることとされています(措令28の 5 ②)。(注 1) 通常一組又は一式をもって取引の単位と

される機械及び装置にあっては、一組又は

一式の取得価額が100万円以上のものとされ、

通常一組又は一式をもって取引の単位とさ

れる器具及び備品にあっては、一組又は一

式の取得価額が30万円以上のものとされて

います。(注 2) 取得価額とは、法人税法施行令第54条第

1 項各号の規定により計算した取得価額を

いいます。(注 3) 関係法令については、下記の(参考 1)

をご参照ください。なお、上記の事業継続

力強化設備等についての関係省令は、今後

定められます。

⑷ 適用対象事業 適用対象となる事業は、特に限定されていません(措法44の 2 ①)。

⑸ 適用事業年度 適用事業年度は、特定中小企業者等が、適用期間内に、特定事業継続力強化設備等でその製作又は建設の後事業の用に供されたことのないものの取得等をして、これをその特定中小企業

者等の事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法44の 2 ①)。(注 1) 取得等とは、取得又は製作若しくは建設

をいいます。(注 2) 「特定中小企業者等の事業の用に供した場

合」からは、所有権移転外リース取引によ

り取得した特定事業継続力強化設備等をそ

の用に供した場合を除くこととされていま

す。(注 3) 所有権移転外リース取引とは、法人税法

施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に規定する

所有権移転外リース取引をいいます(措法

42の 5 ③、措令27の 5 ③)。

⑹ 特別償却限度額 特別償却限度額は、特定事業継続力強化設備等の取得価額の20%相当額とされています(措法44の 2 ①)。

⑺ 申告要件 この制度は、確定申告書等に特定事業継続力強化設備等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法44の 2 ②、43②)。(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条第30号

に規定する中間申告書で同法第72条第 1 項各

号に掲げる事項を記載したもの及び同法第144

条の 4 第 1 項各号又は第 2 項各号に掲げる事

項を記載したもの並びに同法第 2 条第31号に

規定する確定申告書をいいます(措法 2 ②

二十七)。すなわち、仮決算をした場合の中間

申告書及び確定申告書をいい、確定申告書には、

その確定申告書に係る期限後申告書を含むこ

ととされています。

⑻ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却制度と同様に、特別償却不足額については、 1年間の繰越しができることとさ

─�406�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

れています(措法52の 2 )。(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却不足

額を含むこととされています。

⑼ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却制度と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併等特

別償却準備金積立不足額を含むこととされて

います。

⑽ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2以上の制度の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等のうちいずれか一の制度のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける特定事業継続力強化設備等に該当する減価償却資産については、この制度の適用対象資産から除くこととされています。

⑾ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記⑴から

⑽までと同様の措置が講じられています(措法68の20、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の52、39の71、震災税特令23の 6 )。(参考 1) 中小企業等経営強化法(平成11年法律

第18号)(中小企業の事業活動の継続に資

するための中小企業等経営強化法等の一

部を改正する法律(令和元年法律第21号)

第 1条の規定による改正後)

(定義)

第 2 条 この法律において「中小企業者」

とは、次の各号のいずれかに該当する者

をいう。

一 資本金の額又は出資の総額が 3 億円

以下の会社並びに常時使用する従業員

の数が300人以下の会社及び個人であっ

て、製造業、建設業、運輸業その他の

業種(次号から第 4 号までに掲げる業

種及び第 5 号の政令で定める業種を除

く。)に属する事業を主たる事業として

営むもの

二 資本金の額又は出資の総額が 1 億円

以下の会社並びに常時使用する従業員

の数が100人以下の会社及び個人であっ

て、卸売業(第 5 号の政令で定める業

種を除く。)に属する事業を主たる事業

として営むもの

三 資本金の額又は出資の総額が5,000万

円以下の会社並びに常時使用する従業

員の数が100人以下の会社及び個人であ

って、サービス業(第 5 号の政令で定

める業種を除く。)に属する事業を主た

る事業として営むもの

四 資本金の額又は出資の総額が5,000万

円以下の会社並びに常時使用する従業

員の数が50人以下の会社及び個人であ

って、小売業(次号の政令で定める業

種を除く。)に属する事業を主たる事業

─�407�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

として営むもの

五 資本金の額又は出資の総額がその業

種ごとに政令で定める金額以下の会社

並びに常時使用する従業員の数がその

業種ごとに政令で定める数以下の会社

及び個人であって、その政令で定める

業種に属する事業を主たる事業として

営むもの

六 企業組合

七 協業組合

八 事業協同組合、事業協同小組合、商

工組合、協同組合連合会その他の特別

の法律により設立された組合及びその

連合会であって、政令で定めるもの

2~20 省 略

(事業再編投資計画の変更等)

第23条 前条第 1 項の認定を受けた投資事

業有限責任組合(以下「認定事業再編投

資組合」という。)は、当該認定に係る事

業再編投資計画を変更しようとするとき

は、経済産業省令で定めるところにより、

経済産業大臣の認定を受けなければなら

ない。

2・ 3 省 略

(事業継続力強化計画の認定)

第50条 中小企業者は、事業継続力強化に

関する計画(以下この条及び次条におい

て「事業継続力強化計画」という。)を作

成し、経済産業省令で定めるところにより、

これを経済産業大臣に提出して、その事

業継続力強化計画が適当である旨の認定

を受けることができる。

2・ 3 省 略

(事業継続力強化計画の変更等)

第51条 前条第 1 項の認定を受けた中小企

業者は、当該認定に係る事業継続力強化

計画を変更しようとするときは、経済産

業省令で定めるところにより、経済産業

大臣の認定を受けなければならない。

2・ 3 省 略

(連携事業継続力強化計画の認定)

第52条 複数の中小企業者は、共同で、連

携事業継続力強化に関する計画(複数の

中小企業者がそれぞれの中小企業者の外

国関係法人等の全部又は一部と共同で連

携事業継続力強化を行おうとする場合に

あっては、当該複数の中小企業者が当該

外国関係法人等と共同で行う連携事業継

続力強化に関するものを含む。以下この

条及び次条において「連携事業継続力強

化計画」という。)を作成し、経済産業省

令で定めるところにより、代表者を定め、

これを経済産業大臣に提出して、その連

携事業継続力強化計画が適当である旨の

認定を受けることができる。

2・ 3 省 略

(連携事業継続力強化計画の変更等)

第53条 前条第 1 項の認定を受けた中小企

業者は、当該認定に係る連携事業継続力

強化計画を変更しようとするときは、経

済産業省令で定めるところにより、経済

産業大臣の認定を受けなければならない。

2・ 3 省 略(参考 2) 保険業法(平成 7年法律第105号)

(定義)

第 2条 省 略

2~ 4 省 略

5  この法律において「相互会社」とは、

保険業を行うことを目的として、この法

律に基づき設立された保険契約者をその

社員とする社団をいう。

6~ 9 省 略

10 この法律において「外国相互会社」とは、

外国の法令に準拠して設立された相互会

社と同種の外国の法人又はこれに類似す

る外国の法人をいう。

11~42 省 略(参考 3) 投資信託及び投資法人に関する法律(昭

和26年法律第198号)

(定義)

─�408�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

第 2条 省 略

2~13 省 略

14 この法律において「投資口」とは、均

等の割合的単位に細分化された投資法人

の社員の地位をいう。

15~25 省 略

4  適用関係

 上記 3の制度は、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律(令和元年法律第21号)の施行の日から施行されます(改正法附則 1十六)。 なお、法人の平成31年 4 月 1 日前に開始した事業年度においては、上記 3 ⑴の中小企業者から適用除外事業者に該当するものを除外しないこととする読替え規定が設けられています(改正法附則52③)。連結納税制度の場合についても、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度において同様の読替え規定が設けられています(改正法附則69③)。 この読替えによって、上記 3 ⑴の中小企業者から適用除外事業者に該当するものが除外されるの

は、平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度となります。 また、法人の平成31年 4 月 1 日前に開始した事業年度においては、みなし大企業の判定における大規模法人に上記 3 ⑴(注 1)①イ及びロの法人を追加しないこととする読替え規定並びにみなし大企業の判定の対象となる資本金の額又は出資金の額が 1億円以下の法人の発行済株式又は出資からその法人の有する自己の株式又は出資を除外しないこととする読替え規定が設けられています(改正措令附則18①)。連結納税制度の場合についても、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度において同様の読替え規定が設けられています(改正措令附則30①)。 この読替えによって、みなし大企業の判定における大規模法人に上記 3 ⑴(注 1)①イ及びロの法人が追加され、かつ、みなし大企業の判定の対象となる資本金の額又は出資金の額が 1億円以下の法人の発行済株式又は出資からその法人の有する自己の株式又は出資が除外されるのは、平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度となります。

四 特定地域における工業用機械等の特別償却制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(措法45)。

⑴ 特定地域における工業用機械等の特別償却 この措置は、青色申告書を提出する法人が、一定の期間内に、特定地域内において特定事業の用に供する設備で一定の規模のものの新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る工業用機械等の取得又は製作若しくは建設をして、これをその特定地域内においてその法人の特定事業の用に供したときは、その特定事業の用に供した日を含む事業年度において、

その工業用機械等の取得価額に特別償却割合を乗じて計算した金額の特別償却ができるというものです(措法45①)。 対象となる特定地域、特定事業、工業用機械等及び特別償却割合は、次のとおりです。

特定地域 特定事業

工業用機械等

特別償却割合

過 疎 地 域(下記⑵の特 定 地 域に 該 当 する 地 区 を除きます。)

製 造 の事業等

機械及び装置並びに建物及びその附属設備で、一定のもの

10 %( 建物及びその附属設備について は、 6%)

② 産 業 高 度 製 造 の 機械及び 34 %( 建

─�409�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

化・ 事 業革 新 促 進地域

事業等 装 置、 一定の器具及び備品並びに一定の建物及びその附属設備

物及びその附属設備について は、20%)

国 際 物 流拠 点 産 業集積地域

製 造 の事業等

機械及び装置並びに一定の建物及びその附属設備

50 %( 建物及びその附属設備について は、25%)

経 済 金 融活 性 化 特別地区

特 定 経済 金 融活 性 化産 業 に属 す る事業

機械及び装 置、 一定の器具及び備品並びに建物及びその附属設備

50 %( 建物及びその附属設備について は、25%)

沖 縄 の 離島の地域

旅館業 旅館業用建物及びその附属設備

8%

(注 1) 一定の期間は、上記の表の①に係る措置

については過疎地域自立促進特別措置法の

規定による公示の日等から平成31年 3 月31

日までの期間と、同表の②に係る措置につ

いては沖縄振興特別措置法の規定による産

業高度化・事業革新促進計画の提出のあっ

た日から平成31年 3 月31日までの期間と、

同表の③に係る措置については同法の規定

による国際物流拠点産業集積計画の提出の

あった日から平成31年 3 月31日までの期間

と、同表の④に係る措置については同法の

規定による経済金融活性化計画の認定の日

から平成31年 3 月31日までの期間と、同表

の⑤に係る措置については同法の規定によ

る指定の日等から平成31年 3 月31日までの

期間とされています。なお、それぞれの期

間内に過疎地域等に該当しないこととなっ

た場合には、それぞれの期間の初日からそ

の該当しないこととなった日等までの期間

とされています(措法45①、措令28の 9 ①)。(注 2) 一定の規模の設備は、上記の表の①に係

る措置については一の生産等設備でこれを

構成する有形減価償却資産の取得価額の合

計額が2,000万円を超えるものと、同表の②

から④までに係る措置については一の生産

等設備でこれを構成する有形減価償却資産

の取得価額の合計額が1,000万円を超えるも

の又は機械及び装置並びに器具及び備品(同

表の③の措置については、機械及び装置)

で一の生産等設備を構成するものの取得価

額の合計額が100万円を超えるものと、同表

の⑤に係る措置については一の生産等設備

でこれを構成する有形減価償却資産の取得

価額の合計額が1,000万円を超えるものとさ

れています(措法45①、措令28の 9 ②)。(注 3) 工業用機械等の取得価額は、一の生産等

設備を構成する工業用機械等の取得価額の

合計額が上記の表の①及び⑤に係る措置に

あっては10億円を超える場合には10億円を、

同表の②から④までに係る措置にあっては

20億円を超える場合には20億円を、それぞ

れ上限とすることとされています(措法45

①)。

⑵ 特定地域における産業振興機械等の割増償却 この措置は、青色申告書を提出する法人が、一定の期間内に、特定地域内において指定事業の用に供する設備で一定の規模のものの取得等をする場合において、その取得等をしたその設備をその特定地域内においてその法人の指定事業の用に供したときは、その指定事業の用に供した日以後 5年以内の日を含む各事業年度において、その設備に係る産業振興機械等について、その普通償却限度額に割増償却割合を乗じて計算した金額の割増償却ができるというものです(措法45②)。 対象となる特定地域、指定事業及び割増償却割合は、次のとおりです。

─�410�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

特定地域 指定事業 割増償却割合

半島振興法の半島振興対策実施地域として指定された地区のうち、産業の振興のための取組が積極的に促進される地区

製造業等のうち、認定半島産業促進計画に記載された事業

32%(建物及びその附属設備並びに構築物については、48%)

離島振興法の離島振興対策実施地域として指定された地区のうち、産業の振興のための取組が積極的に推進される地区

製造業等のうち、その特定地域に係る産業投資促進計画に記載された事業

32%(建物及びその附属設備並びに構築物については、48%)

奄美群島振興開発特別措置法の奄美群島のうち、産業の振興のための取組が積極的に促進される地区

製造業等のうち、認定産業振興促進計画に記載された事業

32%(建物及びその附属設備並びに構築物については、48%)

山村振興法の振興山村として指定された地区のうち、産業の振興のための取組が積極的に促進される地区

特定地域において生産されたものを原料又は材料とする製造業等のうち、特定山村振興計画に記載された事業

24%(建物及びその附属設備並びに構築物については、36%)

(注 1) 一定の期間は、平成25年 4 月 1 日から平

成31年 3 月31日までの期間とされています。

なお、その期間内に半島振興対策実施地域

に該当しないこととなった等の場合には、

それぞれの期間の初日からその該当しない

こととなった日等までの期間とされていま

す(措法45②、措令28の 9 ⑫)。

(注 2) 一定の規模の設備は、次のとおりとされ

ています(措法45②、措令28の 9 ⑯⑱⑳�)。

①� 上記の表の①に係る措置については、

次の事業の区分に応じそれぞれ次のとお

りとされています。

 イ� 製造業又は旅館業��その資本金の

額又は出資金の額(以下「資本金の額

等」といいます。)が、1,000万円以下の

法人にあってはその構成する有形減価

償却資産の取得価額の合計額が500万円

以上である一の設備と、1,000万円超

5,000万円以下の法人にあってはその構

成する有形減価償却資産の取得価額の

合計額が1,000万円以上である一の設備

と、5,000万円超の法人にあってはその

構成する有形減価償却資産の取得価額

の合計額が2,000万円以上である一の設

備とされています。

 ロ� 農林水産物等販売業又は情報サービ

ス業等��その構成する有形減価償却

資産の取得価額の合計額が500万円以上

である一の設備とされています。

②� 上記の表の②及び③に係る措置につい

ては、次の事業の区分に応じそれぞれ次

のとおりとされています。

 イ� 製造業又は旅館業��資本金の額等

が、5,000万円以下の法人にあってはそ

の構成する有形減価償却資産の取得価

額の合計額が500万円以上である一の設

備と、5,000万円超 1 億円以下の法人に

あってはその構成する有形減価償却資

産の取得価額の合計額が1,000万円以上

である一の設備と、 1 億円超の法人に

あってはその構成する有形減価償却資

産の取得価額の合計額が2,000万円以上

である一の設備とされています。

 ロ� 農林水産物等販売業又は情報サービ

ス業等��その構成する有形減価償却

資産の取得価額の合計額が500万円以上

である一の設備とされています。

③� 上記の表の④に係る措置については、

資本金の額等が、5,000万円以下の中小企

業者にあってはその構成する有形減価償

却資産の取得価額の合計額が500万円以上

である一の設備と、5,000万円超の中小企

業者の地域資源活用製造業の用に供され

る設備にあってはその構成する有形減価

償却資産の取得価額の合計額が1,000万円

─�411�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

以上である一の設備とされています。(注 3) 取得等とは、取得又は製作若しくは建設

をいい、建物及びその附属設備にあっては、

増築、改築、修繕又は模様替といった改修

のための工事による取得又は建設を含むこ

ととされています(措法45②)。また、中小

規模法人以外の法人にあっては新設又は増

設に係る一定の規模の設備の取得等をする

場合に限り適用できることとされており、

中小企業者以外の法人にあっては上記の表

の④に係る措置の適用ができないこととさ

れています(措法45②)。(注 4) 中小規模法人とは、資本金の額若しくは

出資金の額が5,000万円以下の法人又は資本

若しくは出資を有しない法人をいいます(措

法45②、措令28の 9 ⑬)。(注 5) 中小企業者とは、租税特別措置法第42条

の 4 第 8 項第 6 号に規定する中小企業者を

いい(措法45②)、具体的には、資本金の額

若しくは出資金の額が 1 億円以下の法人の

うち次の法人以外の法人又は資本若しくは

出資を有しない法人のうち常時使用する従

業員の数が1,000人以下の法人とされていま

す。

①� その発行済株式又は出資の総数又は総

額の 2分の 1以上が同一の大規模法人(資

本金の額若しくは出資金の額が 1 億円を

超える法人又は資本若しくは出資を有し

ない法人のうち常時使用する従業員の数

が1,000人を超える法人をいい、中小企業

投資育成株式会社を除きます。以下同じ

です。)の所有に属している法人

②� 上記①の法人のほか、その発行済株式

又は出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上

が大規模法人の所有に属している法人(注 6) 産業振興機械等とは、上記の一定の規模

の設備を構成するもののうち、機械及び装置、

建物及びその附属設備並びに構築物をいい

ます(措法45②)。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴

及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の27)。

2  改正の内容

⑴ 適用期限の延長 特定地域における工業用機械等の特別償却(上記 1 ⑴)及び特定地域における産業振興機械等の割増償却(上記 1 ⑵)の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法45②、措令28の 9 ①一~五⑫一~四)。

⑵ 特定地域における産業振興機械等の割増償却(上記 1 ⑵)のうち、半島振興対策実施地域に係る措置(上記 1 ⑵表①)、離島振興対策実施地域に係る措置(上記 1⑵表②)及び奄美群島に係る措置(上記 1⑵表③)における適用要件等の見直し① 適用要件の見直し 中小規模法人のうち適用除外事業者に該当するものについては、新設又は増設に係る対象設備の取得等をする場合に限定されました(措法45②)。(注) 取得等とは、取得又は製作若しくは建設

をいい、建物及びその附属設備にあっては、

改修(増築、改築、修繕又は模様替をいい

ます。以下同じです。)のための工事による

取得又は建設を含むこととされていますが、

上記の場合に限定されることによって、改

修のうち、改築、修繕又は模様替は対象外

となります。

② 設備の投資規模に係る要件の見直し 製造業又は旅館業の用に供される設備の投資規模(一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額)に係る要件について、中小規模法人のうち適用除外事業者に該当するものは、次の措置の区分に応じそれぞれ次の投資規模とされました(措令28の 9⑯一⑱一⑳一)。イ 半島振興対策実施地域に係る措置(上記1 ⑵表①)��2,000万円以上(改正前:資本金の額等に応じて、500万円、1,000万

─�412�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

円又は2,000万円以上)ロ 離島振興対策実施地域に係る措置(上記1 ⑵表②)及び奄美群島に係る措置(上記1 ⑵表③)��2,000万円以上(改正前:資本金の額等に応じて、500万円又は1,000万円以上)

⑶ 特定地域における産業振興機械等の割増償却(上記 1 ⑵)のうち振興山村に係る措置(上記1⑵表④)における適用要件等の見直し① 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直しイ みなし大企業の判定における大規模法人の追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(措法45②、42の 4 ⑧七、措令27の 4 ⑫)。ロ みなし大企業の判定における判定法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法45②、42の 4 ⑧七、措令27の 4 ⑫)。

(注) 上記イ及びロの改正の内容の詳細等につ

いては、後述「第六 その他」の「一 中

小企業者から除外されるみなし大企業の範

囲の見直し」の 2をご参照ください。② 適用要件の見直し 中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この措置の適用を停止することとされました(措法45②)。

(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 8 号に規定する適用除外

事業者をいい、具体的には、その事業年度

開始の日前 3 年以内に終了した各事業年度

(以下「基準年度」といいます。)の所得の

金額の合計額を各基準年度の月数の合計数

で除し、これに12を乗じて計算した金額(設

立後 3 年を経過していないこと、既に基準

年度の所得に対する法人税の額につき法人

税法第80条の規定の適用があったこと、基

準年度において合併、分割又は現物出資が

行われたこと等の事由がある場合には、そ

の計算した金額につきその事由の内容に応

じ調整を加えた金額となります。)が15億円

を超える法人とされています。(注 2) 上記⑵及び⑶②の改正は、平成29年度税

制改正事項ですが、その施行日が平成31年

4 月 1 日であることから、上記⑴の適用期

限の延長を踏まえ、今回の改正で措置され

ています。(注 3) 上記の改正のほか、適用除外事業者に関

して、所得の金額の年平均額の計算におけ

る調整事由のうち特定合併等の判定の整備

が行われています。なお、その詳細につい

ては、後述「第六 その他」の「二 中小

企業向けの租税特別措置の適用停止等」の

2をご参照ください。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の27②、68の 9 ⑧六、措令39の56⑤一⑥一⑦一、39の39⑪)。

3  適用関係

 上記 2 ⑵及び⑶②の改正は、法人の平成31年 4月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48、改正措令附則16)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48、改正措令附則

─�413�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

16)。

五� 医療用機器の特別償却制度(改正後:医療用機器等の特別償却制度)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、昭和54年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器(以下「医療用機器」といいます。)でその製作の後事業の用に供されたことのないものの取得又は医療用機器の製作をして、これをその法人の医療保健業の用に供した場合には、その医療保健業の用に供した日を含む事業年度において、その医療用機器の取得価額の12%相当額の特別償却ができるというものです。(措法45の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の29)。

2  改正の趣旨及び背景

 高額な医療機器については、諸外国に比べて人口当たり配置台数が突出して多く、国内の地域偏在もあり、配置台数の多い地域では、需要に比して過大な設備投資となっている可能性や、医療機関の収益を圧迫している可能性が指摘されています。地域における必要かつ適切な医療提供体制を確保するためには、稼働率の高い既存機器への集約化や共同利用目的での新規購入に対する大胆な政策誘導により、「経済財政運営と改革の基本方針2018(平成30年 6 月15日閣議決定)」にも記載された高額医療機器の共同利用の一層の推進など効率的な配置を促進する必要があります。税制の面からもこうした効率的な配置の促進を支援する観点から、医療用機器の特別償却制度において、CT・MRI について配置効率化要件を設けることとされました。 また、医師の長時間労働は、医療事故の危険性の増大などの医療安全上のリスクに直結している

といえますが、医師は全業種・職種の中でも最も長時間労働の実態にあるとされています。こうした実態を踏まえれば、安心で安全な最新の医療技術を広く提供する体制を確保する観点から、医療機器の効率的な配置の促進に加え、医師の働き方改革の推進が不可欠ですが、いわゆる応召義務を背景とする不確実性の高い医療ニーズへの対応や日々進歩する知識・技術の習得など不可欠な自主研鑽の実施といった医師の特性から、その複雑な労働態様の管理は容易ではないとされ、労働時間管理の実効性の向上に加え、医師の労働時間の直接的な短縮等を実現する必要があるとされています。そこで、医師の働き方改革の推進を税制においても支援するため、医師の労働時間削減に資する機器の導入を後押しする税制措置を創設することとされました。 さらに、地域医療構想の実現のため、現在、構想区域(全国339)ごとに設置された地域医療構想調整会議において、個別の医療機関の対応方針に関する協議が進展しており、民間の医療機関における病床の機能分化・連携についても、その具体的対応方針の合意形成に向けた自主的な取組が進められています。こうした取組を推進するとともに、地域医療構想調整会議において合意された具体的対応方針に基づく病床再編等の実施を促進する観点から、その病床再編等に係る工事等により取得する具体的対応方針に適合する建物等の特別償却措置を創設することとされました。

3  改正の内容

⑴ 医療用機器の特別償却制度の見直し① CT・MRI につき配置効率化要件の追加 医療用機器の配置の効率化及び共同利用を促進する観点から、病院用の CT及びMRIについて、次のとおり適用要件が追加されま

─�414�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

した。連結納税制度の場合についても同様です。イ 対象機器 要件追加の対象となる医療用機器は、高度な医療の提供に資する機器のうち、構想区域等内の病院における効率的な活用を図る必要があるものとされています(措令28の10②一)。(注 1) 構想区域等とは、医療法第30条の14

第 1 項に規定する構想区域等をいい、

構想区域その他の都道府県の知事が適

当と認める区域とされています。具体

的には、いわゆる二次医療圏とされる

区域です。なお、構想区域とは、都道

府県が定める医療計画において、地域

における病床の機能の分化及び連携を

推進するための基準として厚生労働省

令で定める基準に従い定める区域をい

います(医療法30の 4 ②七)。(注 2) 関係法令については、下記の(参考

1)及び(参考 2)をご参照ください。

 具体的には、次のものであって病院において医療保健業の用に供されるものとされています(平31. 3 厚生労働告151)。イ 超電導磁石式全身用MR装置ロ 永久磁石式全身用MR装置ハ 全身用X線CT診断装置( 4列未満を除きます。)ニ 人体回転型全身用X線 CT診断装置( 4列未満を除きます。)

ロ 配置効率化要件 追加された要件は、次のとおり、対象機器の区分に応じた要件を満たすことについてその対象機器を医療保健業の用に供する病院の所在する構想区域等に係る都道府県知事により確認がされたこととされています(措令28の10②一、平31. 3 厚生労働告151)。イ 全身用MR装置(上記イイの超電導磁石式全身用MR装置又は上記イロの

永久磁石式全身用MR装置をいいます。) 次の区分に応じた要件を満たすこととされています。A 取得する全身用MR装置が既存全身用MR装置に替えて新たに医療保健業の用に供される場合��その既存全身用MR装置を医療保健業の用に供した病院におけるその既存全身用MR装置の利用された回数がその新たに医療保健業の用に供される日の属する年の前年の 1月から12月までの各月において40を上回っていること。(注) 既存全身用MR装置とは、既に医

療保健業の用に供されている全身用

MR装置をいいます。

B 取得する全身用MR装置が新設又は増設により医療保健業の用に供される場合��全身用MR装置連携先医療機関で診療を受けた者のためにその新増設を行う全身用MR装置新増設医療機関とその全身用MR装置連携先医療機関との間で連携してその用に供される全身用MR装置が利用される予定であること。 なお、その全身用MR装置連携先医療機関から紹介された患者のために利用される予定である場合を含みます。(注 1) 全身用MR装置連携先医療機関

とは、全身用MR装置新増設医療

機関と連携している他の病院又は

診療所で、全身用MR装置を医療

保健業の用に供していないものを

いいます。また、全身用MR装置

新増設医療機関とは、取得する全

身用MR装置を新設又は増設によ

り医療保健業の用に供する病院を

いいます。(注 2) 診療には、健康診断を含みます。

C 取得する全身用MR装置が上記A及びBの要件に該当しない場合��地

─�415�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

域医療構想調整会議における協議の内容を踏まえ、その構想区域等における医療提供体制の確保に必要であると認められること。(注) 地域医療構想調整会議とは、構想

区域等に係る医療法第30条の14第 1

項の協議の場をいいます。

ロ 全身用CT装置(上記イハの全身用X線CT診断装置又は上記イニの人体回転型全身用X線CT診断装置をいいます。) 次の区分に応じた要件を満たすこととされています。A 取得する全身用CT装置が既存全身用CT装置に替えて新たに医療保健業の用に供される場合��その既存全身用CT装置を医療保健業の用に供した病院におけるその既存全身用CT装置の利用された回数がその新たに医療保健業の用に供される日の属する年の前年の 1月から12月までの各月において20を上回っていること。(注) 既存全身用CT装置とは、既に医

療保健業の用に供されている全身用

CT装置をいいます。

B 取得する全身用CT装置が新設又は増設により医療保健業の用に供される場合��全身用CT装置連携先医療機関で診療を受けた者のためにその新増設を行う全身用CT装置新増設医療機関とその全身用CT装置連携先医療機関との間で連携してその用に供される全身用CT装置が利用される予定であること。 なお、その全身用CT装置連携先医療機関から紹介された患者のために利用される予定である場合を含みます。(注) 全身用CT装置連携先医療機関と

は、全身用CT装置新増設医療機関

と連携している他の病院又は診療所

で、全身用CT装置を医療保健業の

用に供していないものをいいます。

また、全身用CT装置新増設医療機

関とは、取得する全身用CT装置を

新設又は増設により医療保健業の用

に供する病院をいいます。

C 取得する全身用CT装置が上記A及びBの要件に該当しない場合��地域医療構想調整会議における協議の内容を踏まえ、その構想区域等における医療提供体制の確保に必要であると認められること。

② 対象機器の見直し(34機器) 医療用機器のうち高度な医療の提供に資する機器について、次の見直しが行われました(平21. 3 厚生労働告248)。連結納税制度の場合についても同様です。イ 追加(18機器) 対象機器に次の機器が追加されました。 内視鏡用ビデオカメラ、自動細胞診装置、自動染色装置、経皮心筋焼灼術用電気手術ユニット、循環補助用心内留置型ポンプカテーテル用制御装置、ホルタ解析装置、心臓マッピングシステムワークステーション、可搬型手術用顕微鏡(眼科医療又は歯科医療の用に供するものに限ります。)、顕微鏡付属品、炭酸ガスレーザ、ネオジミウム・ヤグ倍周波数レーザ、質量分析装置、血液培養自動分析装置、微生物分類同定分析装置、微生物感受性分析装置、微生物培養装置、手術用ロボット手術ユニット、能動型上肢用他動運動訓練装置ロ 除外(16機器) 対象機器から次の機器が除外されました。 超音波式角膜厚さ計、眼科用超音波画像診断・眼軸長測定装置、超音波装置用シンクロナイザ、ダイオードレーザ、罹患象牙質除去機能付レーザ、歯科矯正用ユニット、歯科小児用ユニット、可搬型手術用顕微鏡(歯科医療の用に供するものに限ります。)、混合ガス麻酔器、医用ガス調整器、ポータ

─�416�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ブル麻酔ガス送入ユニット、吸入無痛法ユニット、電気麻酔用刺激装置、麻酔ガス送入ユニット、高周波病変プローブ、高周波病変ジェネレータ

③ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで2年延長されました(措法45の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の29①)。

⑵ 医師等の勤務時間短縮用設備等の特別償却措置の創設① 措置の概要 この措置は、青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に、勤務時間短縮用設備等の取得等をして、これをその法人の営む医療保健業の用に供した場合には、その医療保健業の用に供した日を含む事業年度において、その勤務時間短縮用設備等の取得価額の15%相当額の特別償却ができるというものです(措法45の 2 ②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の29②)。② 措置の内容イ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、医療保健業を営む法人とされています(措法45の 2 ②)。(注) 医療保健業には、医療業のほか、一般

に、介護業、療術業、助産師業、看護業、

歯科技工業、獣医業等が含まれることと

解されていますが、この措置の適用対象

資産が医師の勤務時間の短縮に資するも

のとされていますので、医師が従事しな

い事業のみを営む法人は、実質的に対象

外となります。

ロ 適用期間 適用期間は、平成31年 4 月 1 日から令和3 年 3 月31日までの期間とされています

(措法45の 2 ②)。ハ 適用対象資産 適用対象資産は、器具及び備品(医療用の機械及び装置を含みます。)並びにソフトウエアで一定の規模のもののうち、医療法第30条の 3第 1項に規定する医療提供体制の確保に必要な医師その他の医療従事者の勤務時間の短縮その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるために必要なもの(以下「勤務時間短縮用設備等」といいます。)とされています(措法45の 2 ②)。 一定の規模のものは、器具及び備品(医療用の機械及び装置を含みます。)にあっては、 1台又は 1基の取得価額が30万円以上のものとし、ソフトウエアにあっては、一のソフトウエアの取得価額が30万円以上のものとすることとされています(措令28の10③)。(注 1) 通常一組又は一式をもって取引の単

位とされる器具及び備品(医療用の機

械及び装置を含みます。)にあっては、

一組又は一式の取得価額が30万円以上

のものとされています。(注 2) 取得価額とは、法人税法施行令第54

条第 1 項各号の規定により計算した取

得価額をいいます。

 具体的には、器具及び備品並びに特定ソフトウエアのうち、医師等勤務時間短縮計画に基づき適用対象法人が取得し、又は製作するもの(以下「計画設備等」といいます。)としてその医師等勤務時間短縮計画に記載されたものとされていますが、次の要件の全てを満たす場合に限られています(措令28の10④)。イ その医師等勤務時間短縮計画にその計画設備等が医療従事者の勤務時間の短縮に資する機能別の機器の種類として厚生労働大臣が指定するものに該当する旨の記載があること。ロ その医師等勤務時間短縮計画の写しを

─�417�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

この措置の適用を受ける事業年度の確定申告書等に添付すること。(注) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条

第30号に規定する中間申告書で同法第

72条第 1 項各号に掲げる事項を記載し

たもの及び同法第144条の 4第 1項各号

又は第 2 項各号に掲げる事項を記載し

たもの並びに同法第 2 条第31号に規定

する確定申告書をいいます(措法 2 ②

二十七)。すなわち、仮決算をした場合

の中間申告書及び確定申告書をいい、

確定申告書には、その確定申告書に係

る期限後申告書を含むこととされてい

ます。

 上記の器具及び備品には、医療用の機械及び装置を含むこととされていますので、電子計算機等の器具備品に限られず、いわゆる医療機器であれば対象に含まれますが、医療保健業を営む法人が他の事業に供する機械等を対象とするものではありません。なお、医療用機器の特別償却措置(上記⑴)の適用を受けるものは、この措置の対象から除かれています(措法45の 2 ②)。 特定ソフトウエアとは、電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたものとされ、これに関連するシステム仕様書その他の書類を含むものとされています(措令28の10⑤、措規20の17)。いわゆる「ソフトウエア」としての体を成し、一の独立した無形固定資産と扱われるものに限られず、汎用の電子計算機に組み込まれた専用システム等における「プログラム(コンピュータへの指令)」そのものも包含します。 また、医師等勤務時間短縮計画とは、相談機関の助言を受けて作成される医師その他の医療従事者の勤務時間を短縮するための計画として医療従事者の勤務時間の実態、勤務時間の短縮のための対策、その対策に有用な設備の機能その他の厚生労働大臣が

定める事項が記載された計画をいいます(措令28の10④)。ただし、その相談機関の長による医師の勤務時間の短縮に特に資するものである旨の確認があるものに限られています。(注 3) 相談機関とは、医療法第30条の21第

1 項第 1 号に掲げる事務を実施する都

道府県の機関をいい(措令28の10④)、

この事務は、病院又は診療所に勤務す

る医療従事者の勤務環境の改善に関す

る相談に応じ、必要な情報の提供、助

言その他の援助を行うこと(以下「勤

務改善相談等事務」といいます。)です

(医療法30の21①一)ので、具体的な相

談機関は、各都道府県に設置された医

療勤務環境改善支援センターとなりま

す。このため、上記の確認は、通常は

そのセンター長により行われることと

なりますが、都道府県によっては、都

道府県知事が確認することもあり得ま

す。また、都道府県は、勤務改善相談

等事務その他勤務環境改善に係る事務

を医療法第30条の21第 2 項の規定によ

り一定の者に委託することができるこ

ととされていることから、上記の相談

機関には、その委託に係る事務のうち

勤務改善相談等事務に係るものを実施

する者(つまり、委託を受けた者)を

含むこととされ(措令28の10④)、その

場合には、その委託を受けた者である

相談機関の長及びその委託をした都道

府県知事により上記の確認を行われる

こととなります。なお、記載された厚

生労働大臣が定める事項につき変更が

ある場合には、その変更後の計画に係

る確認があるものとされています。(注 4) 上記の「厚生労働大臣が定める事

項」は、次のとおりとされています

(措令28の10⑦、平31. 3 厚生労働告

153)。なお、上記のとおり「医師の勤

─�418�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

務時間の短縮に特に資するものである

旨の確認があるもの」に限ることとさ

れていますので、下記ロからニまで及

びヘの事項については、医療法の医師

についての記載が必須となります。

イ� 医師その他の医療従事者の勤務時

間を短縮するための計画(ホにおい

て「計画」といいます。)の対象とな

る医療機関(病院又は診療所に限り

ます。以下「対象医療機関」といい

ます。)の名称及び所在地

ロ� 対象医療機関における医師その他

の医療従事者の勤務時間の実態及び

その実態に対する分析

ハ� 対象医療機関における医師その他

の医療従事者の勤務時間の短縮に関

する目標

ニ� 対象医療機関における医師その他

の医療従事者の勤務時間の短縮に関

する基本方針

ホ� 計画の実施期間

ヘ� 対象医療機関における医師その他

の医療従事者の勤務時間の短縮のた

めの対策の概要

ト� 上記ヘの対策を進めるために有用

な機器等及びその機器等の機能(注 5) 上記の「医療従事者の勤務時間の短

縮に資する機能別の機器の種類」は、

厚生労働大臣が定めるものとされ、次

のとおりとされています(措令28の10

⑦、平31. 3 厚生労働告153)。

イ� 労働時間管理の省力化又は充実に

資する器具及び備品並びに特定ソフ

トウェア

ロ� 医師の行う作業の省力化に資する

器具及び備品並びに特定ソフトウェ

ハ� 医師の診療行為を補助し、又は代

行する器具及び備品並びに特定ソフ

トウェア

ニ� 遠隔医療を可能とする器具及び備

品並びに特定ソフトウェア

ホ� チーム医療の推進等に資する器具

及び備品並びに特定ソフトウェア(注 6) 関係法令については、下記の(参考

1)及び(参考 3)をご参照ください。

ニ 適用事業年度 適用事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、勤務時間短縮用設備等でその製作の後事業の用に供されたことのないものを取得し、又は勤務時間短縮用設備等を製作して、これをその適用対象法人の医療保健業の用に供した場合におけるその用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法45の2 ②)。(注 1) 「医療保健業の用に供した場合」から

は、所有権移転外リース取引により取

得した勤務時間短縮用設備等をその用

に供した場合を除くこととされていま

す。(注 2) 所有権移転外リース取引とは、法人

税法施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に

規定する所有権移転外リース取引をい

います(措法42の 5 ③、措令27の 5 ③)。

ホ 特別償却限度額 特別償却限度額は、勤務時間短縮用設備等の取得価額の15%相当額とされています(措法45の 2 ②)。ヘ 申告要件 この措置は、確定申告書等に勤務時間短縮用設備等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法45の 2 ④、43②)。ト 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却制度と同様に、特別償却不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却

─�419�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

不足額を含むこととされています。

チ 準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度 他の特別償却制度と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併

等特別償却準備金積立不足額を含むこと

とされています。

リ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2以上の制度の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等のうちいずれか一の制度のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける勤務時間短縮用設備等に該当する減価償却資産については、この措置の適用対象資産から除くこととされています。ヌ 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記イからリまでと同様の措置が講じられています(措法68の29②④、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、

68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、措令39の58③④、39の71、震災税特令23の6 )。

⑶ 構想適合病院用建物等の特別償却措置の創設① 措置の概要 この措置は、青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に、構想区域等内において、構想適合病院用建物等の取得等をして、これをその法人の営む医療保健業の用に供した場合には、その医療保健業の用に供した日を含む事業年度において、その構想適合病院用建物等の取得価額の 8%相当額の特別償却ができるというものです(措法45の 2 ③)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の29③)。② 措置の内容イ 適用対象法人 適用対象となる法人は、青色申告書を提出する法人で、医療保健業を営む法人とされています(措法45の 2 ③)。ロ 適用期間 適用期間は、平成31年 4 月 1 日から令和3 年 3 月31日までの期間とされています(措法45の 2 ③)。ハ 適用対象区域 適用対象区域は、医療法第30条の 4第 1項に規定する医療計画に係る構想区域等とされています(措法45の 2 ③)。(注 1) 医療計画においては、構想区域にお

ける将来の医療提供体制に関する構想

(以下「地域医療構想」といいます。)

に関する事項として、将来の病床数の

必要量を定めることとされています

(医療法30の 4 ②七イ)。一方、医療計

画において定める構想区域における将

来の病床数の必要量を達成するための

─�420�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

方策その他の地域医療構想の達成を推

進するために必要な事項については、

構想区域等ごとに協議の場(地域医療

構想調整会議)が設けられてその協議

を行うこととされています(医療法30

の14①)。したがって、協議の場におい

て、構想区域の将来の病床数の必要量

を達成するため構想区域以外の区域も

含めて方策が協議される場合があるこ

とから、その区域も含めた構想区域等

が適用対象区域とされています。(注 2) 関係法令については、下記の(参考

1)をご参照ください。

ニ 適用対象資産 適用対象資産は、病院用又は診療所用の建物及びその附属設備のうち適用対象区域となる構想区域等に係る協議の場における協議に基づく病床の機能の分化及び連携の推進に係るもの(以下「構想適合病院用建物等」といいます。)とされています(措法45の 2 ③)。(注 1) 協議の場とは、診療に関する学識経

験者の団体その他の医療関係者、医療

保険者その他の関係者との協議の場を

いい(医療法30の14①)、具体的には、

構想区域等ごとの地域医療構想調整会

議のことです。(注 2) 病床の機能とは、病院又は診療所の

病床において提供する患者の病状に応

じた医療の内容をいいます(医療法30

の 3 ②六)。

 具体的には、適用対象区域となる構想区域等内において医療保健業の用に供される病院用又は診療所用の建物及びその附属設備のうち次の要件のいずれかに該当するもので、その構想区域等に係る協議の場における協議に基づく病床の機能区分に応じた病床数の増加に資するものであることについてその構想区域等に係る都道府県知事のその旨を確認した書類をこの措置の適用を

受ける事業年度の確定申告書等に添付することにより証明がされたものとされています(措令28の10⑥)。イ 既存病院用建物等についてその用途を廃止し、これに代わるものとして新たに建設されるものであること。ロ その改修により既存病院用建物等において病床の機能区分のうちいずれかのものに応じた病床数が増加する場合のその改修のための工事により取得又は建設をされるものであること。 病床の機能区分とは、医療法第30条の13第 1 項に規定する病床の機能区分をいいます。具体的には、病床の機能に応じ厚生労働省令で定める区分とされ、高度急性期機能、急性期機能、回復期機能又は慢性期機能といった医療需要に応じた 4区分とされています(医療法施行規則30の33の 2 )。そして、地域医療構想調整会議における協議では、構想区域全体のこれらの病床の機能区分に応じた将来の必要量をそれぞれ確保するための医療機関ごとの具体的対応方針の合意を進めており、その合意された具体的対応方針に基づく病床再編等であれば、「協議の場における協議に基づく病床の機能区分に応じた病床数の増加に資するもの」とされます。 また、既存病院用建物等とは、医療保健業の用に供されていた病院用又は診療所用の建物及びその附属設備をいい(措令28の10⑥一)、改修とは、増築、改築、修繕又は模様替をいいます(措法45の 2 ③、措令28の10⑥二)。 すなわち、上記イに該当するものとしては、地域医療構想調整会議で合意されたその法人の具体的対応方針に基づいて、既存病院の建替えにより病床の機能区分に応じた構想区域等における病床数の増加をする場合に、その建て替えられた病院用の建物等となります。なお、一般的な建替えのよ

─�421�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

うに同一敷地内で建設されるものに限らず、構想区域等内において病院を廃院して新たに別の病院を開院するような場合も該当し、廃院する病院を営んでいた法人と新たに開院する病院を営む法人とが同一である必要もありません。 また、上記ロに該当するものとしては、地域医療構想調整会議で合意されたその法人の具体的対応方針に基づいて、既存病院の改築などにより、病床の機能区分のうち例えば高度急性期機能を担う病床数を減らし、慢性期機能を担う病床数を増やすように、病床の機能区分に応じた構想区域等における病床数の増加をする場合に、その改修のための工事により取得等をされる病院の部分(通常は、資本的支出とされるもの)となります。 なお、その構想区域等における地域医療構想調整会議の具体的対応方針に基づくものであることを確認した書類を確定申告書等に添付する必要があります(措令28の10⑥)ので、適用対象資産としてこの措置の適用を受ける場合には、都道府県の地域医療構想担当部署に、その具体的対応方針が地域医療構想調整会議において提出・確認されていることや、その病院の部分がその具体的対応方針に基づく工事部分であることの確認を受けて、その旨を証する書類の交付を受けることとなります。(注 3) 確定申告書等とは、法人税法第 2 条

第30号に規定する中間申告書で同法第

72条第 1 項各号に掲げる事項を記載し

たもの及び同法第144条の 4 第 1 項各号

又は第 2 項各号に掲げる事項を記載し

たもの並びに同法第 2 条第31号に規定

する確定申告書をいいます(措法 2 ②

二十七)。すなわち、仮決算をした場合

の中間申告書及び確定申告書をいい、

確定申告書には、その確定申告書に係

る期限後申告書を含むこととされてい

ます。(注 4) 関係法令については、下記の(参考

1)及び(参考 2)をご参照ください。

ホ 適用事業年度 適用事業年度は、適用対象法人が、適用期間内に、構想適合病院用建物等の取得等をして、これをその適用対象法人の医療保健業の用に供した場合におけるその用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)とされています(措法45の2 ③)。(注 1) 取得等とは、取得又は建設をいい、

改修のための工事による取得又は建設

を含みます(措法45の 2 ③)。(注 2) 「医療保健業の用に供した場合」から

は、所有権移転外リース取引により取

得した構想適合病院用建物等をその用

に供した場合を除くこととされていま

す。(注 3) 所有権移転外リース取引とは、法人

税法施行令第48条の 2 第 5 項第 5 号に

規定する所有権移転外リース取引をい

います(措法42の 5 ③、措令27の 5 ③)。

ヘ 特別償却限度額 特別償却限度額は、構想適合病院用建物等の取得価額の 8%相当額とされています(措法45の 2 ③)。ト 申告要件 この措置は、確定申告書等に構想適合病院用建物等の償却限度額の計算に関する明細書の添付がない場合には、適用しないこととされています(措法45の 2 ④、43②)。チ 特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例 他の特別償却制度と同様に、特別償却不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 2 )。(注) 特別償却不足額には、合併等特別償却

不足額を含むこととされています。

リ 準備金方式による特別償却(特別償却準

─�422�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

備金)制度 他の特別償却制度と同様に、特別償却の方法として、特別償却の適用を受けることに代えて、準備金方式による特別償却制度の適用(特別償却準備金の積立て)ができるとともに、特別償却準備金積立不足額については、 1年間の繰越しができることとされています(措法52の 3 )。(注) 特別償却準備金積立不足額には、合併

等特別償却準備金積立不足額を含むこと

とされています。

ヌ 他の特別償却制度等との重複適用の排除 法人の有する減価償却資産が供用年度において租税特別措置法の規定による特別償却又は税額控除制度等及び震災税特法の規定による特別償却又は税額控除制度等のうち、 2以上の制度の適用を受けることができるものである場合には、その減価償却資産については、これらの特別償却又は税額控除制度等のうちいずれか一の制度のみを適用することとされています(措法53、61の 3 ④、64⑥、64の 2 ⑭、65⑫、65の 7 ⑦、65の 8 ⑯、67の 4 ⑫、67の 5 ①、震災税特法18の 7 、19⑥、20⑮、措令32、震災税特令18の 6 )。 すなわち、他の特別償却又は税額控除制度等と同様に、租税特別措置法の規定によるこの制度以外の特別償却若しくは税額控除制度等又は震災税特法の規定による特別償却若しくは税額控除制度等の適用を受ける構想適合病院用建物等に該当する減価償却資産については、この措置の適用対象資産から除くこととされています。ル 連結納税制度の場合 連結納税制度の場合についても、上記イからヌまでと同様の措置が講じられています(措法68の29③④、68の40~68の42、68の65④、68の70⑤、68の71⑮、68の72⑫、68の78⑦、68の79⑰、68の102⑬、68の102の 2 ①、震災税特法26の 7 、27⑥、28⑯、

措令39の58⑤、39の71、震災税特令23の 6 )。(参考 1) 医療法(昭和23年法律第205号)

第30条の 3  厚生労働大臣は、地域におけ

る医療及び介護の総合的な確保の促進に

関する法律(平成元年法律第64号)第 3

条第 1 項に規定する総合確保方針に即し

て、良質かつ適切な医療を効率的に提供

する体制(以下「医療提供体制」とい

う。)の確保を図るための基本的な方針

(以下「基本方針」という。)を定めるも

のとする。

2  基本方針においては、次に掲げる事項

について定めるものとする。

一~五 省 略

六 地域における病床の機能(病院又は

診療所の病床において提供する患者の

病状に応じた医療の内容をいう。以下

同じ。)の分化及び連携並びに医療を受

ける者に対する病床の機能に関する情

報の提供の推進に関する基本的な事項

七~十一 省 略

3 省 略

第30条の 4 都道府県は、基本方針に即して、

かつ、地域の実情に応じて、当該都道府

県における医療提供体制の確保を図るた

めの計画(以下「医療計画」という。)を

定めるものとする。

2  医療計画においては、次に掲げる事項

を定めるものとする。

一~六 省 略

七 地域における病床の機能の分化及び

連携を推進するための基準として厚生

労働省令で定める基準に従い定める区

域(以下「構想区域」という。)におけ

る次に掲げる事項を含む将来の医療提

供体制に関する構想(以下「地域医療

構想」という。)に関する事項

イ 構想区域における厚生労働省令で

定めるところにより算定された第30

条の13第 1 項に規定する病床の機能

─�423�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

区分ごとの将来の病床数の必要量(以

下単に「将来の病床数の必要量」と

いう。)

ロ イに掲げるもののほか、構想区域

における病床の機能の分化及び連携

の推進のために必要なものとして厚

生労働省令で定める事項

八~十三 省 略

十四 主として病院の病床(次号に規定

する病床並びに精神病床、感染症病床

及び結核病床を除く。)及び診療所の病

床の整備を図るべき地域的単位として

区分する区域の設定に関する事項

十五~十七 省 略

3~18 省 略

第30条の13 病院又は診療所であつて一般

病床又は療養病床を有するもの(以下「病

床機能報告対象病院等」という。)の管理

者は、地域における病床の機能の分化及

び連携の推進のため、厚生労働省令で定

めるところにより、当該病床機能報告対

象病院等の病床の機能に応じ厚生労働省

令で定める区分(以下「病床の機能区分」

という。)に従い、次に掲げる事項を当該

病床機能報告対象病院等の所在地の都道

府県知事に報告しなければならない。

一 厚生労働省令で定める日(次号にお

いて「基準日」という。)における病床

の機能(以下「基準日病床機能」とい

う。)

二 基準日から厚生労働省令で定める期

間が経過した日における病床の機能の

予定(以下「基準日後病床機能」とい

う。)

三 当該病床機能報告対象病院等に入院

する患者に提供する医療の内容

四 その他厚生労働省令で定める事項

2~ 6 省 略

第30条の14 都道府県は、構想区域その他

の当該都道府県の知事が適当と認める区

域(第30条の16第 1 項及び第30条の18の

2 第 3 項において「構想区域等」とい

う。)ごとに、診療に関する学識経験者の

団体その他の医療関係者、医療保険者そ

の他の関係者(以下この条において「関

係者」という。)との協議の場(第30条の

18の 2 第 1 項及び第 2 項並びに第30条の

23第 1 項を除き、以下「協議の場」とい

う。)を設け、関係者との連携を図りつつ、

医療計画において定める将来の病床数の

必要量を達成するための方策その他の地

域医療構想の達成を推進するために必要

な事項について協議を行うものとする。

2・ 3 省 略

第30条の21 都道府県は、医療従事者の勤

務環境の改善を促進するため、次に掲げ

る事務を実施するよう努めるものとする。

一 病院又は診療所に勤務する医療従事

者の勤務環境の改善に関する相談に応

じ、必要な情報の提供、助言その他の

援助を行うこと。

二・三 省 略

2  都道府県は、前項各号に掲げる事務の

全部又は一部を厚生労働省令で定める者

に委託することができる。

3~ 5 省 略(参考 2)� 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第

50号)

第30条の28の 2  法第30条の 4 第 2 項第 7

号に規定する厚生労働省令で定める基準

は、同項第14号に規定する区域を基本と

して、人口構造の変化の見通しその他の

医療の需要の動向並びに医療従事者及び

医療提供施設の配置の状況の見通しその

他の事情を考慮して、一体の区域として

地域における病床の機能の分化及び連携

を推進することが相当であると認められ

る区域を単位として設定することとする。

第30条の33の 2  法第30条の13第 1 項の厚

生労働省令で定める区分は、次の各号に

─�424�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

掲げるとおりとし、その定義は当該各号

に定めるとおりとする。

一 高度急性期機能 急性期の患者に対

し、当該患者の状態の早期安定化に向

けて、診療密度の特に高い医療を提供

するもの

二 急性期機能 急性期の患者に対し、

当該患者の状態の早期安定化に向けて、

医療を提供するもの(前号に該当する

ものを除く。)

三 回復期機能 急性期を経過した患者

に対し、在宅復帰に向けた医療又はリ

ハビリテーションの提供を行うもの(急

性期を経過した脳血管疾患、大腿骨頚

部骨折その他の疾患の患者に対し、

ADL(日常生活における基本的動作を

行う能力をいう。)の向上及び在宅復帰

を目的としたリハビリテーションの提

供を集中的に行うものを含む。)

四 慢性期機能 長期にわたり療養が必

要な患者(長期にわたり療養が必要な

重度の障害者(重度の意識障害者を含

む。)、筋ジストロフィー患者、難病患

者その他の疾患の患者を含む。)を入院

させるもの(参考 3)� 租税特別措置法施行令第 6 条の 4 第 4

項及び第28条の10第 4 項に規定する厚生

労働大臣が定める事項等(平成31年 3 月

厚生労働省告示第153号)

第 1条 租税特別措置法施行令(以下「令」

という。)第 6 条の 4 第 4 項及び第28条の

10第 4 項に規定する厚生労働大臣が定め

る事項は、次に掲げるものとする。

一 医師その他の医療従事者の勤務時間

を短縮するための計画(第 5 号におい

て「計画」という。)の対象となる医療

機関(病院又は診療所に限る。以下こ

の条において「対象医療機関」とい

う。)の名称及び所在地

二 対象医療機関における医師その他の

医療従事者の勤務時間の実態及び当該

実態に対する分析

三 対象医療機関における医師その他の

医療従事者の勤務時間の短縮に関する

目標

四 対象医療機関における医師その他の

医療従事者の勤務時間の短縮に関する

基本方針

五 計画の実施期間

六 対象医療機関における医師その他の

医療従事者の勤務時間の短縮のための

対策の概要

七 前号の対策を進めるために有用な機

器等及び当該機器等の機能

第 2 条 令第 6 条の 4 第 4 項第 1 号及び第

28条の10第 4 項第 1 号に規定する医療従

事者の勤務時間の短縮に資する機能別の

機器の種類として厚生労働大臣が指定す

るものは、次に掲げるものとする。

一 労働時間管理の省力化又は充実に資

する器具及び備品(令第 6 条の 4 第 3

項及び第28条の10第 3 項に規定する器

具及び備品をいう。以下この条におい

て同じ。)並びに特定ソフトウェア(令

第 6 条の 4 第 5 項及び第28条の10第 5

項に規定する特定ソフトウェアをいう。

以下この条において同じ。)

二 医師の行う作業の省力化に資する器

具及び備品並びに特定ソフトウェア

三 医師の診療行為を補助し、又は代行

する器具及び備品並びに特定ソフトウ

ェア

四 遠隔医療を可能とする器具及び備品

並びに特定ソフトウェア

五 チーム医療の推進等に資する器具及

び備品並びに特定ソフトウェア

4  適用関係

⑴ 上記 3 ⑴の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作をする医療用機器について

─�425�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

適用し、法人が同日前に取得又は製作をした医療用機器については、従前どおりとされています(改正措令附則20②)。連結納税制度の場合

についても同様です。⑵ 上記 3 ⑵及び⑶の措置は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。

六� 特定都市再生建築物等の割増償却制度(改正後:特定都市再生建築物の割増償却制度)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人が、昭和60年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に、特定都市再生建築物等で新築されたものの取得又は特定都市再生建築物等の新築をして、これをその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日以後 5年以内の日を含む各事業年度において、その特定都市再生建築物等について、その普通償却限度額に割増償却割合を乗じて計算した金額の割増償却ができるというものです(措法47の 2 ①)。 特定都市再生建築物等とは、次の⑴の建築物に係る建物及びその附属設備並びに次の⑵の構築物をいい(措法47の 2 ③、措令29の 5 ①~③、措規20の21①)、割増償却割合は、その建築物に係る建物及びその附属設備又は構築物の区分に応じそれぞれ次のとおりとされています(措法47の 2 ①)。⑴ 次の地域内において、都市再生特別措置法の認定計画(国家戦略特別区域法の認定を受けた区域計画を含みます。)に基づく都市再生事業(一定の要件を満たすものに限ります。)により整備される建築物��次の地域の区分に応じそれぞれ次の割合① 特定都市再生緊急整備地域��50%② 都市再生緊急整備地域(上記①に該当する地域を除きます。)��30%

(注) 一定の要件は、次の①及び②又は①及び③

の要件とされています(措法47の 2 ③一、措

令29の 5 ①)。

①� 都市再生事業の施行される事業区域内に

地上階数10以上又は延べ面積が75,000㎡以上

(その事業区域が特定都市再生緊急整備地域

内にある場合には、50,000㎡以上)の建築物

が整備されること。

②� 事業区域内に整備される公共施設の用に

供される土地の面積の事業区域の面積のう

ちに占める割合が30%以上であること。

③� 都市の居住者等の利便の増進に寄与する

施設の整備に要する費用の額が10億円以上

であること。

⑵ 下水道法の浸水被害対策区域内に建築し、又は設置される雨水貯留利用施設で雨水を貯留する容量が300㎡以上の規模のもの��10% なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の35)。

2  改正の内容

⑴ 特定都市再生建築物等の範囲の見直し 適用対象となる特定都市再生建築物等から下水道法の浸水被害対策区域内に建築し、又は設置される雨水貯留利用施設(上記 1⑵)が除外されました(旧措法47の 2 ③二、旧措令29の 5③、旧措規20の21②二)。

⑵ 特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において整備される建築物(上記1⑴②)に係る割増償却割合の引下げ 都市再生特別措置法の認定計画(国家戦略特別区域法の認定を受けた区域計画を含みます。)に基づく都市再生事業により特定都市再生緊急整備地域を除く都市再生緊急整備地域内において整備される建築物(上記 1⑴②)に係る割増償却割合が、25%(改正前:30%)に引き下げられました(措法47の 2 ①)。

─�426�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法47の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(旧措法68の35③二、措法68の35①、旧措規22の42②二)。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日前に取得又は新築をした雨水貯留利用施設については、従来どおり適用できることとされています(改正法附則52⑤、改正措令附則20③、改

正措規附則10)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則69⑤、改正措令附則31②、改正措規附則14)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は新築をする特定都市再生建築物について適用し、法人が同日前に取得又は新築をした特定都市再生建築物については、従来どおり適用できることとされています(改正法附則52④⑤、改正措令附則20③、改正措規附則10)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則69④⑤、改正措令附則31②、改正措規附則14)。

七 その他の特別償却制度

 次の制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで2年延長されました。⑴ 共同利用施設の特別償却制度(措法44の 3①)

⑵ 事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度(措法46の 2 ①) なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の24①、68の33①)。

第三 準備金等関係一 新事業開拓事業者投資損失準備金制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法の施行の日(平成26年 1 月20日)から平成31年 3 月31日までの間に特定新事業開拓投資事業計画の認定を受けた投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結しているもの(その投資事業有限責任組合の有限責任組合員に限り、その法人が一定の適格機関投資家に該当する場合には一定の要件を満たすものに限ります。)のうち、積立期間内にその投資事業有限責任組合に係る組合員の出資をしたものが、その特定新事業開拓投資事業計画に従って取得をしたその投資事業有限責任組合の組合財産となる新事業開拓事業者の株式(積立期間内における設立又は資本金の額の増加に伴う払込み又は現物出資に

より交付されるものに限ります。)を積立期間内に終了する各事業年度において有している場合において、その株式の価格の低落による損失に備えるため、その各事業年度終了の時において有するその株式のその各事業年度終了の日に終了するその投資事業有限責任組合の計算期間終了の時(同日に終了するその投資事業有限責任組合の計算期間がない場合には、同日の直前に終了したその投資事業有限責任組合の計算期間終了の時)における帳簿価額の合計額の50%(平成29年 3 月31日以前に受けた計画の認定に係る認定特定新事業開拓投資事業計画に従って取得をしたその認定特定新事業開拓投資事業計画に係る投資事業有限責任組合の組合財産となる新事業開拓事業者の株式については、80%)相当額以下の金額を新事業開拓事業者投資損失準備金として積み立てたときは、そ

─�427�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

の積み立てた金額を、その事業年度において損金の額に算入できるというものです(措法55の 2 ①)。(注 1) 特定新事業開拓投資事業計画の認定に係る

投資事業有限責任組合に関する要件は、投資

事業有限責任組合について、その目標とする

内部収益率(IRR)が15%以上であること、そ

の出資規模(その組合員のその投資事業有限

責任組合への出資総額及び出資約束総額)が

10億円以上であること等とされています(産

競法 2⑥、16①②一、17①、平26.3文部科学・

経済産業告 4一)。(注 2) 特定新事業開拓投資事業計画の認定に係る

特定新事業開拓投資事業とは、その投資事業

有限責任組合が行う新事業開拓事業者に対す

る次の要件のいずれにも該当する投資事業で

あって、その投資事業有限責任組合の無限責

任組合員がその新事業開拓事業者に対する積

極的な経営又は技術の指導を行う事業(その

新事業開拓事業者の事業の成長発展を図るた

め、必要に応じ、その新事業開拓事業者の取

締役に対し経営に関する意見を述べることを

含むものに限ります。)を営むことを約する投

資事業有限責任組合契約に基づくものをいい

ます(産競法 2⑥、経産省産競法規 3、 4)。

⑴� 新事業開拓事業者であって、特定新事業

開拓中小企業者(その投資事業有限責任組

合が最初にその者の株式を取得する時にお

いて、中小企業等経営強化法第 2 条第 1 項

第 1 号から第 5 号までに掲げるもの(資本

金の額等が 3 億円以下又は常時使用従業員

数が300人以下等であるものに該当するも

の)をいいます。以下同じです。)又は特定

新事業開拓中堅事業者(その投資事業有限

責任組合が最初にその者の株式を取得する

時において、資本金の額が 5 億円未満のも

のに該当するものをいいます。)であるもの

の株式の取得及び保有をする投資事業であ

ること。

⑵� その投資事業有限責任組合が最初に新事

業開拓事業者の株式を取得する時において、

特定新事業開拓中小企業者の株式保有割合

が60%以上であること。

⑶� 事業拡張期(生産及び出荷を始めており、

その在庫又は販売量が増加しつつある状況

にあり、事業規模の拡大を図る時期をいい

ます。)の新事業開拓事業者の株式保有割合

が50%以上であること。

⑷� 東京都の区域を除く区域に所在する新事

業開拓事業者の株式保有割合が50%以上で

あり、かつ、東京都の区域を除く区域に所

在する新事業開拓事業者の株式の取得価額

に対する東京都の区域を除く区域に所在す

る事業規模の拡大を図る新事業開拓事業者

の株式の取得価額の割合が50%以上である

こと。

 この準備金は、その積み立てた金額を、その積み立てた事業年度の翌事業年度において益金の額に算入することとされています(措法55の 2 ②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の43の 2 )。

2  改正の内容

 適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、制度が廃止されました(旧措法55の 2 、旧措令32の 3 、旧措規21の 2 )。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の43の 2 、旧措令39の72の 2 、旧措規22の46)。

3  適用関係

 上記 2の改正は、平成31年 4 月 1 日前に受けた計画の認定に係る投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結している法人が同日以後に終了する各事業年度において有しているその投資事業有限責任組合の組合財産である新事業開拓事業者の株式については、従来どおり適用できることとされています(改正法附則53、改正措令附則21、改正措規附則11)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則70、改正措令附則32①、改正措規附則15)。

─�428�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

二 保険会社等の異常危険準備金制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、損害保険事業を行う法人又は損害共済事業を行う特定の協同組合等で、青色申告書を提出するものが、特定の保険又は共済に係る異常災害損失の補塡に充てるため、保険又は共済の種類ごとに、当期の正味収入保険料又は正味収入共済掛金に一定の積立率を乗じて計算した金額以下の金額を損金経理の方法により異常危険準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を、その積み立てた事業年度において損金の額に算入できるというものです(措法57の 5 ①)。 なお、積立率、洗替保証限度率及び異常災害損失率は、保険又は共済の種類ごとに、次の表のとおりとされています。

(単位:%)

保険又は共済の種類 積立率洗替保証限度率

異常災害損失率

保 険

船舶保険、航空保険 3 - 80

火災・風水害・動産総合・建設工事・賠償責任・積荷・運送保険

( 5)2 30 50

共    済

火災共済

農家火災共済 ( 4)2 35 50

火災等共済組合等の共済

( 4)2

(60)45

(90)75

消費生活協同組合等の共済 2.5 40 50

風水害等共済

特殊風水害等共済 157.5

75

75

建物更生共済 9 50

自然災害共済 15 60

その他の風水害共済

94.5 75

生命共済付建物共済 84 75 75

森林災害共済 3 50 60

長期育林共済 6 55 55

(備考)1 � 火災保険等については、積立率の特例と

して、平成 8 年 4 月 1 日から平成31年 3 月

31日までの間に開始する各事業年度におい

ては、括弧書の積立率が適用されます(少

額短期保険業者を除きます。)。

2 � 農家火災共済の括弧書は、風水害付団体

建物火災共済に適用されます。

3 � 火災等共済組合等の共済については、積

立率の特例として、平成 5 年 4 月 1 日から

平成31年 3 月31日までの間に開始する各事

業年度においては、括弧書の積立率が適用

されます。

4 � 火災等共済組合等の共済の洗替保証限度

率及び異常災害損失率の括弧書は、再共済

を行う協同組合連合会に適用されます。

(注) 損金経理の方法により異常危険準備金として

積み立てたときには、その事業年度の決算の確

定の日までに剰余金の処分により積立金として

積み立てる方法により異常危険準備金として積

み立てたときを含むこととされています(措法

57の 5 ①)。

 この準備金は、異常災害損失が生じた場合又は積立後10年を経過した場合(期末残高が洗替保証限度額以下である場合を除きます。)に取り崩して、その異常災害損失の額に相当する金額等を、その異常災害損失の生じた事業年度等において益金の額に算入することとされています(措法57の5 ⑥⑦)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の55)。

2  改正の内容

⑴ 火災保険等に係る特例積立率の引上げ 火災保険等に係る特例積立率が、 6%(改正前: 5%)に引き上げられました(措令33の 2⑳)。

─�429�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑵ 適用期限の延長 火災保険等に係る積立率の特例及び火災等共済組合等の共済に係る積立率の特例の適用期限が、令和 4年 3月31日まで 3年延長されました(措令33の 2 ⑲⑳)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措令39の83⑲⑳)。

3  適用関係

 上記 2 ⑴の改正は、法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正措令附則16)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則32②)。

三� 中小企業等の貸倒引当金の特例(改正後:中小企業者等の貸倒引当金の特例)(連結:中小連結法人等の貸倒引当金の特例)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(措法57の 9 )。

⑴ 中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例 この措置は、中小企業等(次の法人(保険業法の相互会社及び外国相互会社を除くものとし、次の①の法人にあっては、適用除外事業者に該当するものを除きます。)に該当するものをいいます。)が、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金制度の適用を受ける場合には、法人税法の規定にかかわらず、一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額に法定繰入率を乗じて計算した金額を限度として損金の額に算入できるというものです(措法57の 9 ①)。① 普通法人(投資法人及び特定目的会社を除きます。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が 1億円以下であるもの(次の法人に該当するものを除きます。)又は資本若しくは出資を有しないものイ 大法人(次の法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人イ 資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人ロ 保険業法の相互会社(同法の外国相互

会社を含みます。)ハ 法人税法第 4条の 7に規定する受託法人

(注) 完全支配関係とは、法人税法第 2 条第

12号の 7 の 6 に規定する完全支配関係を

いいます。

ロ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記イの法人を除きます。)

② 公益法人等又は協同組合等③ 人格のない社団等(注 1) 適用除外事業者とは、租税特別措置法第

42条の 4 第 8 項第 6 号の 2 に規定する適用

除外事業者をいいます。具体的には、その

事業年度開始の日前 3 年以内に終了した各

事業年度(以下「基準年度」といいます。)

の所得の金額の合計額を各基準年度の月数

の合計数で除し、これに12を乗じて計算し

た金額(設立後 3 年を経過していないこと、

既に基準年度の所得に対する法人税の額に

つき法人税法第80条の規定の適用があった

こと、基準年度において合併、分割又は現

─�430�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

物出資が行われたこと等の事由がある場合

には、その計算した金額につきその事由の

内容に応じ調整を加えた金額となります。)

が15億円を超える法人とされており、平成

31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分か

ら適用されます。(注 2) 法定繰入率は、次の事業の区分に応じそ

れぞれ次の割合とされています(法57の 9

①②、措令33の 7 ④)。

①� 卸売及び小売業(飲食店業及び料理店

業を含みます。)��1.0%

②� 製造業(電気業、ガス業、熱供給業、

水道業及び修理業を含みます。)��0.8%

③� 金融及び保険業��0.3%

④� 割賦販売小売業並びに包括信用購入あ

っせん業及び個別信用購入あっせん業

��1.3%

⑤� その他の事業��0.6%

⑵ 公益法人等又は協同組合等の繰入限度額の割増率の適用に関する特例 この措置は、公益法人等又は協同組合等の平成10年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に開始する各事業年度における一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額については、通常の繰入限度額(上記⑴の特例を適用した場合を含みます。)の110%相当額とすることができるというものです(措法57の 9 ③)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴

及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の59、措令39の86)。

2  改正の内容

 適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、公益法人等又は協同組合等の繰入限度額の割増率の適用に関する特例(上記 1 ⑵)が廃止されました(旧措法57の 9 ③)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の59③)。

3  適用関係

 上記 2の改正は、公益法人等又は協同組合等の令和 5年 3月31日以前に開始する各事業年度の所得の金額の計算については、従来どおり適用できることとされています(改正法附則54)。ただし、その適用における割増率(改正前:110%)は、次の事業年度の区分に応じそれぞれ次のとおり逓減することとされています。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則71)。⑴ 平成31年 4 月 1 日から令和 2年 3月31日までの間に開始する事業年度��108%

⑵ 令和 2年 4月 1日から令和 3年 3月31日までの間に開始する事業年度��106%

⑶ 令和 3年 4月 1日から令和 4年 3月31日までの間に開始する事業年度��104%

⑷ 令和 4年 4月 1日から令和 5年 3月31日までの間に開始する事業年度��102%

四 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(措法58)。

⑴ 探鉱準備金に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で鉱業を営むものが、昭和40年 4 月 1 日から平成31

年 3 月31日までの期間内の日を含む各事業年度において、鉱物に係る新鉱床探鉱費の支出に備えるため、積立限度額以下の金額を損金経理の方法により探鉱準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を、その積み立てた事業年度において損金の額に算入できるというものです(措法58①)。(注 1) 鉱物とは、鉱業法第 3 条第 1 項に規定す

─�431�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

る鉱物及び独立行政法人石油天然ガス・金

属鉱物資源機構法第11条第 5 項に規定する

金属鉱物のうち安定的な供給を確保するこ

とが特に必要なものとして経済産業大臣が

財務大臣と協議して告示指定するものをい

います(措令34①⑱、平25.3経済産業告85)。(注 2) 新鉱床探鉱費とは、探鉱のための地質調査、

ボーリング又は坑道の掘削に要する費用等

の探鉱のために要する費用及び国外にある

鉱物の探鉱のためのその費用に充てられる

ことが確実である出資をいいます(措法58

③)。(注 3) 積立限度額は、その法人が採掘した鉱物

の販売によるその事業年度の上記の期間内

における収入金額の12%相当額とその収入

金額に係る採掘所得の金額の50%相当額と

のいずれか低い金額とされています(措法

58①、措令34②③)。(注 4) 損金経理の方法により探鉱準備金として

積み立てたときには、その事業年度の決算

の確定の日までに剰余金の処分により積立

金として積み立てる方法により探鉱準備金

として積み立てたときを含むこととされて

います(措法58①)。

⑵ 海外探鉱準備金に係る措置 この措置は、青色申告書を提出する法人で国内において主として鉱業を営むもの(以下「国内鉱業者」といいます。)及び青色申告書を提出する法人で国内鉱業者に準ずるものが、昭和50年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内の日を含む各事業年度において、国外にある鉱物に係る新鉱床探鉱費の支出に備えるため、積立限度額以下の金額を損金経理の方法により海外探鉱準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額を、その積み立てた事業年度において損金の額に算入できるというものです(措法58②)。(注 1) 国内において主として鉱業を営むものは、

その法人又はその法人が発行済株式若しく

は出資の総数若しくは総額の95%以上を有

している他の会社が国内に鉱山を有し、かつ、

その法人の営む事業が、その法人及びその

他の会社の営む鉱業及びこれに付随する事

業に係る収入金額、資産その他の状況から

みて、鉱業を主とするものである旨の経済

産業大臣の認定を受けた法人とされていま

す(措令34⑧、措規21の15②)。なお、この

発行済株式又は出資からは、その有する自

己の株式又は出資を除くこととされていま

す(措令34⑧)。(注 2) 国内鉱業者に準ずるものは、その法人の

国外子会社が国外に鉱山を有し、かつ、そ

の法人の営む事業が、その法人及びその他

の会社の営む鉱業及びこれに付随する事業

に係る国内における収入金額及び資産の状

況、役員及び技術者の派遣の状況その他の

状況からみて、国内において鉱業を主とす

るものである旨の経済産業大臣の認定を受

けた法人とされています(措令34⑨、措規

21の15③)。(注 3) 積立限度額は、海外自主開発法人から取

得したその開発に必要な資金の相当部分が

その国内鉱業者及び国内鉱業者に準ずるも

の(以下「国内鉱業者等」といいます。)並

びにこれと共同して投資をする内国法人に

よって直接又は間接に負担された鉱山に係

る鉱物の販売によるその事業年度の指定期

間内における収入金額に係る採掘所得の金

額の40%相当額とされています(措法58②、

措令34⑪)。(注 4) 海外自主開発法人とは、その開発に必要

な資金の相当部分がその国内鉱業者等及び

これと共同して投資をする内国法人によっ

て直接又は間接に負担された鉱山を有し、

かつ、その営む事業が本邦における資源の

安定的な供給に著しく寄与するものとして

次の要件の全てに該当する旨の経済産業大

臣の認定を受けた外国法人をいいます(措

法58②、措令34⑩、措規21の15④)。

─�432�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

①� その国内鉱業者等から出資を受けてい

る金額及びその国内鉱業者等から出資を

受けた他の法人からその出資を受けた金

銭を原資として直接に又は他の法人を通

じて出資又は長期の資金の貸付けを受け

ている金額がその外国法人の資本金の額

又は出資金の額(資本又は出資を有しな

い外国法人にあっては、長期の資金の貸

付けを受けている金額)の20%相当額以

上であり、かつ、その国内鉱業者等及び

共同出資法人から出資を受けている金額

並びにその国内鉱業者等から出資を受け

た他の法人及び共同出資法人から直接に

又は他の法人を通じて出資又は長期の資

金の貸付けを受けている金額がその外国

法人の資本金の額又は出資金の額の25%

相当額以上であること(措令34⑩一)。

(注 1)� 長期の資金の貸付けとは、外国

法人の株式又は出資の全部を国又

は地方公共団体が有していること

等の要件を満たす長期の資金の貸

付けをいいます(措令34⑩一イ~

ニ)。

(注 2)� 共同出資法人とは、その国内鉱

業者等と共同して出資又は長期の

資金の貸付けをする内国法人をい

います。

②� 上記①の出資又は長期の貸付けに係る

資金によって開発された鉱山で国外にあ

るものを有していること(措令34⑩二)。

③� 上記②の鉱山から採取される鉱物の30

%に相当する数量以上の鉱物が内国法人

により引き取られていること(措令34⑩

三)。

④� その国内鉱業者等の役員が派遣され、

又はその国内鉱業者等の重要な使用人が

業務を執行する役員として派遣されてい

ること及びその国内鉱業者等又はその国

内鉱業者等がその発行済株式若しくは出

資の総数若しくは総額の95%以上を有し

ている他の会社の技術者(重要な使用人

を除きます。)が派遣されていること(措

令34⑩四)。(注 5) 損金経理の方法により海外探鉱準備金と

して積み立てたときには、その事業年度の

決算の確定の日までに剰余金の処分により

積立金として積み立てる方法により海外探

鉱準備金として積み立てたときを含むこと

とされています(措法58②)。

 これらの準備金は、その積み立てた事業年度終了の日の翌日から 5年を経過したものがある場合には、その 5年を経過した金額を、その 5年を経過した日を含む事業年度において益金の額に算入することとされています(措法58④)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(措法68の61)。

2  改正の内容

⑴ 海外探鉱準備金に係る措置(上記 1⑵)における国内鉱業者に準ずる法人の認定に係る要件等の見直し① 国外子会社及び他の会社の持分割合の判定方法の見直し 国内鉱業者に準ずる法人の認定に係る要件における国外子会社及び他の会社の持分割合の判定方法が、株数割合から議決権割合とされました(措令34⑨)。 また、国内鉱業者の認定に係る要件における他の会社及び海外自主開発法人の認定に係る要件における他の会社の持分割合の判定方法についても、同様の改正が行われています(措令34⑧⑩四)。② 内国法人による鉱物引取要件の引上げ 海外自主開発法人の認定に係る要件における内国法人により引き取られていることとされる国外にある鉱山から採取される鉱物の数量が、その鉱物の数量の40%以上(改正前:30%以上)に引き上げられました(措令34⑩三)。

─�433�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(注) 国外にある鉱山とは、国内鉱業者等から

出資を受けた他の法人及び共同出資法人か

ら直接に又は他の法人を通じて出資又は長

期の資金の貸付けを受けている場合のその

出資又は長期の資金の貸付けに係る資金に

よって開発された鉱山で国外にあるものを

いいます(措令34⑩一・二)。

⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 4年 3月31日まで 3年延長されました(措法58①②)。

⑶ その他所要の改正 適用法人が適格合併に係る合併法人である場合において、その適格合併に係る被合併法人につき未処理採掘損失金額があり、かつ、その合併法人がこれまで本制度の適用を受けていない(過去の事業年度が不適用事業年度等に該当しない)ときは、その合併法人の適格合併の日を含む事業年度(以下「合併事業年度」といいます。)の採掘所得金額からその未処理採掘損失金額を控除することとするとともに、その合併法人が、その合併事業年度において本制度の適

用を受けなかった場合には、その適格合併後の本制度の適用を受ける事業年度においてその未処理採掘損失金額相当額を採掘所得金額との調整の対象とするため、その合併事業年度開始の日からその適用を受ける最初の事業年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度を不適用事業年度等とみなすこととする等の所要の改正が行われました(措令34④~⑦⑫)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の改正が行われています(措法68の61①②、措令39の88③~⑧⑨三・四⑪)。

3  適用関係

 上記 2 ⑴の改正は、平成31年 4 月 1 日以後に国内鉱業者又は国内鉱業者に準ずる法人の認定を受ける法人及び同日以後に海外自主開発法人の認定を受ける外国法人について適用し、同日前に国内鉱業者又は国内鉱業者に準ずる法人の認定を受けた法人及び同日前に海外自主開発法人の認定を受けた外国法人については、従前どおりとされています(改正措令附則22)。連結納税制度の場合についても同様です(改正措令附則33)。

五 その他の準備金制度

 海外投資等損失準備金制度について、準備金に係る特定法人を被合併法人等とする適格合併等が行われた場合にその適格合併等の対価として交付される株式等の発行法人をその準備金に係る特定法人とみなす措置につき、合併等の適格要件のうち対価要件に該当する株式の範囲の改正に伴い、その準備金に係る特定法人とみなされる法人が、その適格合併等に係る合併法人等又はその合併法人等の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係がある法人(改正前:その適格合併

等に係る合併法人等又はその合併法人等の発行済株式等の全部を保有する関係がある法人)が特定法人である場合におけるこれらの法人とされました(措令32の 2 ⑬⑮)。(注) 上記の対価要件に該当する株式の範囲の改正

の詳細については、前掲「法人税法等の改正」

の「一 組織再編税制」の 3 ⑴①をご参照くだ

さい。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措令39の72⑩⑫)。

─�434�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

第四 土地税制関係一 土地の譲渡等がある場合の特別税率

1  改正前の制度の概要

 この制度は、法人が、土地の譲渡等をした場合には、その土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額に対し、通常の法人税とは別に、 5%の税率による追加課税を行うというものです(措法62の3 ①)。 なお、株式の譲渡益や土地売買の仲介手数料のうち実質的に土地の譲渡益と認められるもの等についても、この追加課税の対象とされています(措法62の 3 ②一)。 この譲渡利益金額とは、土地等の譲渡収入から取得価額及びその譲渡のために直接又は間接に要した経費の額を控除した金額をいいます(措法62の 3 ②二)。 ただし、法人が平成10年 1 月 1 日から令和 2年3月31日までの間にした土地の譲渡等については、本制度の適用が停止されています(措法62の 3 ⑮)。 また、次の⑴から⑶までの土地等の譲渡については、本制度を適用しないこととされています(措法62の 3 ③~⑤)。

⑴ 棚卸資産に該当する土地等の譲渡 棚卸資産に該当する土地等の譲渡については、原則として、本制度を適用しないこととされています(措法62の 3 ③)。 この棚卸資産には、例えば、宅地建物取引業者が譲渡する建売住宅の敷地等が該当しますが、その取得後に事業の用に供したことのある土地等については、本制度の適用対象となります(措令38の 4 ⑨⑩)。

⑵ 優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡 法人が、平成 4年 1月 1日から令和元年12月

31日までの間にその有する土地等の譲渡をした場合において、その土地等の譲渡が次の優良住宅地等のための譲渡に該当することにつき証明がされたときは、本制度を適用しないこととされています(措法62の 3 ④)。① 国若しくは地方公共団体に対する土地等の譲渡又は地方道路公社等の国若しくは地方公共団体に準ずる法人に対する収用対償地に充てるための土地等の譲渡② 独立行政法人都市再生機構、土地開発公社その他宅地若しくは住宅の供給又は土地の先行取得の業務を行うことを目的とする法人に対する土地等の譲渡でその譲渡した土地等がその業務を行うために直接必要であると認められるもの③ 土地開発公社に対する次の土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等が独立行政法人都市再生機構が施行するそれぞれ次の事業の用に供されるものイ 被災市街地復興特別措置法の都市計画に定められた被災市街地復興推進地域内にある土地等��同法による被災市街地復興土地区画整理事業ロ 被災市街地復興特別措置法の住宅被災市町村の区域内にある土地等��都市再開発法による第二種市街地再開発事業

④ 資産の収用換地等による土地等の譲渡(注) 収用換地等とは、土地収用法、都市計画

法、都市再開発法その他の法律の規定によ

る収用、買取り、換地処分、権利変換、交

換、買収又は消滅をいいます。

⑤ 都市再開発法による第一種市街地再開発事業の用に供するためにその施行者に対して行う土地等の譲渡⑥ 密集市街地における防災街区の整備の促進

─�435�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

に関する法律による防災街区整備事業の用に供するためにその施行者に対して行う土地等の譲渡⑦ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による認定建替計画に係る建築物の建替えを行う事業の用に供するために認定事業者に対して行う土地等の譲渡⑧ 都市再生特別措置法の認定計画に係る都市再生事業の用に供するためにその都市再生事業の認定事業者に対して行う土地等の譲渡(注) 都市再生事業は、建築面積が1,500㎡以上

の建築物の建築がされること、その事業の

施行される土地の区域の面積が 1 ha以上で

あること等の一定の要件を満たすものに限

ることとされています。

⑨ 都市再生特別措置法の認定整備事業計画に係る都市再生整備事業の用に供するためにその都市再生整備事業の認定整備事業者に対して行う土地等の譲渡(注) 都市再生整備事業は、建築面積が1,500㎡

以上の建築物の建築がされること、その事

業の施行される土地の区域の面積が0.5ha以

上であること等の一定の要件を満たすもの

に限ることとされています。

⑩ 国家戦略特別区域法の認定区域計画に係る特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡(注) これらの事業は、施行区域の面積が500㎡

以上であること等の産業の国際競争力の強

化又は国際的な経済活動の拠点の形成に特

に資するものとして一定の要件を満たすも

のに限ることとされています。

⑪ 次のマンション建替事業の用に供するためにそのマンション建替事業の施行者に対して行う土地等の譲渡イ マンションの建替え等の円滑化に関する法律による売渡請求、買取請求又は権利変換を希望しない旨の申出に基づくマンション建替事業

ロ マンションの建替え等の円滑化に関する法律の施行再建マンションの延べ面積が同法の施行マンションの延べ面積以上であること等の一定の要件を満たすマンション建替事業

(注 1) マンション建替事業は、良好な居住環

境の確保に資するものに限ることとされ

ています。(注 2) 上記ロのマンション建替事業の施行者

に対する土地等の譲渡は、隣接施行敷地

に係る土地等の譲渡に限ることとされて

います。

⑫ マンションの建替え等の円滑化に関する法律による売渡請求又は同法の認可を受けた分配金取得計画に基づくマンション敷地売却事業の用に供するためにそのマンション敷地売却事業の施行者に対して行う土地等の譲渡(注) マンション敷地売却事業は、その事業に

係る認定買受計画に、決議要除却認定マン

ションを除却した後の土地に新たに建築さ

れるマンション(良好な居住環境を備えた

ものに限ります。)に関する事項、公共施設

に関する事項等の一定の事項の記載がある

ものに限ることとされています。

⑬ 建築面積150㎡以上の建築物の建築事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡(注) 建築事業は、施行地区の面積が500㎡以上

であること等の一定の要件を満たすものに

限ることとされています。

⑭ 既成市街地等内において行われる特定の民間再開発事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡(注) 特定の民間再開発事業とは、地上階数 4

以上の中高層の耐火建築物の建築をする一

定の要件を満たす事業をいいます。

⑮ 都市計画法の開発許可又は土地区画整理事業の認可を受けて、1,000㎡以上の一団の宅地の造成が行われる一定の宅地造成事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地

─�436�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

等の譲渡⑯ 都市計画法の開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成が行われる一定の住宅地造成事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡⑰ 都市計画区域内の宅地の造成につき開発許可を要しない場合において、優良宅地の認定を受けた住宅建設の用に供される1,000㎡以上の一団の宅地の造成が行われる一定の住宅地造成事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡⑱ 都市計画区域内において優良住宅の認定を受けた25戸以上の一団の住宅又は15戸以上若しくは床面積1,000㎡以上の中高層耐火共同住宅の建設が行われる一定の住宅建設事業の用に供するためにその事業者に対して行う土地等の譲渡⑲ 住宅又は中高層の耐火共同住宅の建設を行う個人又は法人に対する仮換地の指定がされた土地等の譲渡のうち、その譲渡がその指定の効力発生の日から 3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行われるもので、一定の住宅又は中高層の耐火共同住宅の用に供するために行う土地等の譲渡

⑶ 確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当する土地等の譲渡 法人が、平成 4年 1月 1日から令和元年12月31日までの間にその有する土地等の譲渡をした場合において、その土地等の譲渡が確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当するときは、上記⑵と同様に、本制度を適用しないこととされています(措法62の 3 ⑤)。 この確定優良住宅地等予定地のための譲渡とは、その譲渡の日から一定期間(予定期間)内に上記⑵⑮から⑲までの土地等の譲渡に該当することが確実であると認められることにつき証明がされた譲渡をいいます。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の68)。

2  改正の内容

 優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡(上記 1 ⑵)の場合の適用除外措置の対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第13条第 1項の規定により行われた裁定(同法第10条第 1項第 1号に掲げる権利に係るものに限るものとし、同法第18条の規定により失効したものを除きます。以下「裁定」といいます。)に係る同法第10条第 2項の裁定申請書(以下「裁定申請書」といいます。)に記載された同項第 2 号の事業(以下「事業」といいます。)を行うその裁定申請書に記載された同項第 1号の事業者(以下「事業者」といいます。)に対する次の土地等の譲渡(その裁定後に行われるものに限ります。)で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが追加されました(措法62の 3 ④八の三)。連結納税制度の場合についても同様です。⑴ その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第10条第 2項第 5号に規定する特定所有者不明土地をいいます。以下同じです。)又はその特定所有者不明土地の上に存する権利⑵ その裁定申請書に添付された所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第10条第3項第 1号に掲げる事業計画書(以下「事業計画書」といいます。)の同号ハに掲げる計画(以下「計画」といいます。)にその事業者が取得するものとして記載がされた特定所有者不明土地以外の土地又はその土地の上に存する権利 ただし、その裁定申請書に記載されたその事業がその特定所有者不明土地以外の土地をその裁定申請書に記載された特定所有者不明土地と一体として使用する必要性が高い事業と認められない事業に該当する場合における上記の記載がされた特定所有者不明土地以外の土地又はその土地の上に存する権利を除くこととされています。 なお、その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地と一体として使用する必要性が高い

─�437�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

事業と認められない事業は、その裁定申請書に記載された事業に係る所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第10条第 1項に規定する事業区域(以下「事業区域」といいます。)の面積が500㎡以上であり、かつ、その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地の面積のその事業区域の面積に対する割合が 4分の1未満である事業とされています(措令38の 4⑱)。(注) これは、事業区域の面積が一定規模以上あ

るにも関わらず、「特定所有者不明土地の面

積」の「事業区域の面積」に対する割合が著

しく小さい事業は、事業区域内の特定所有者

不明土地以外の土地(隣地)を特定所有者不

明土地と一体として使用する必要性が高くな

いため、その隣地の取得についてまで税制上

の支援を行う必要性が高くないと考えられる

ことによるものです。

 また、この追加に伴い、この適用除外措置の適用を受けるための確定申告書等への書類添付要件における書類に、次の書類が追加されました(措規21の19②八の三)。連結納税制度の場合についても同様です。① 都道府県知事の裁定をした旨を所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第14条の規定により通知した文書の写し② 次の場合の区分に応じそれぞれ次の書類イ その土地等が上記⑴の土地等である場合��その土地等の買取りをする者の所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第10条第 2項の規定による提出(以下「提出」といいます。)をした裁定に係る裁定申請書(事業者及び事業並びに特定所有者不明土地の記載がされたものに限ります。)の写し及びその土地等をその事業の用に供するために買い取った旨を証する書類ロ その土地等が上記⑵の土地等である場合��その土地等の買取りをする者の提出をした裁定に係る裁定申請書(事業者及び事

業(その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地と一体として使用する必要性が高い事業と認められない事業を除きます。)の記載がされたものに限ります。)の写し、その裁定申請書に添付された事業計画書(計画にその事業者がその土地等を取得するものとして記載がされたものに限ります。)の写し及びその土地等をその記載がされた事業の用に供するために買い取った旨を証する書類

(注 1) 上記の改正の背景及び関連する「所有者不

明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

の趣旨及び概要等」については、前掲「租税

特別措置法等(所得税関係)の改正」の「第

一 住宅・土地税制の改正」の「二 優良住

宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合

の長期譲渡所得の課税の特例の改正」の 2を

ご参照ください。(注 2) 関係法令については、下記の(参考)をご

参照ください。(参考) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関す

る特別措置法(平成30年法律第49号)

(裁定申請)

第10条 地域福利増進事業を実施する者(以

下「事業者」という。)は、当該事業を実施

する区域(以下「事業区域」という。)内に

ある特定所有者不明土地を使用しようとす

るときは、当該特定所有者不明土地の所在

地を管轄する都道府県知事に対し、次に掲

げる権利(以下「土地使用権等」という。)

の取得についての裁定を申請することがで

きる。

一 当該特定所有者不明土地の使用権(以

下「土地使用権」という。)

二 省 略

2  前項の規定による裁定の申請(以下この

款において「裁定申請」という。)をしよう

とする事業者は、国土交通省令で定めると

ころにより、次に掲げる事項を記載した裁

定申請書を都道府県知事に提出しなければ

─�438�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ならない。

一 事業者の氏名又は名称及び住所

二 事業の種別(第 2 条第 3 項各号に掲げ

る事業の別をいう。)

三・四 省 略

五 土地使用権の目的となる特定所有者不

明土地(以下この款(次条第 1 項第 2 号

を除く。)において単に「特定所有者不明

土地」という。)の所在、地番、地目及び

地積

六~八 省 略

3  前項の裁定申請書には、次に掲げる書類

を添付しなければならない。

一 次に掲げる事項を記載した事業計画書

イ・ロ 省 略

ハ 事業区域内にある土地で特定所有者

不明土地以外のもの及び当該土地にあ

る物件に関する所有権その他の権利の

取得に関する計画(次条第 1 項第 5 号

において「権利取得計画」という。)

ニ~ヘ 省 略

二~五 省 略

4・ 5 省 略

(裁定)

第13条 都道府県知事は、前条第 1 項又は第

2 項の規定により裁定申請を却下する場合

を除き、裁定申請をした事業者が土地使用

権等を取得することが当該裁定申請に係る

事業を実施するため必要かつ適当であると

認めるときは、その必要の限度において、

土地使用権等の取得についての裁定をしな

ければならない。

2~ 7 省 略

(裁定の通知等)

第14条 都道府県知事は、裁定をしたときは、

遅滞なく、国土交通省令で定めるところに

より、その旨及び前条第 2 項各号に掲げる

事項を、裁定申請をした事業者及び当該事

業に係る特定所有者不明土地所有者等で知

れているものに文書で通知するとともに、

公告しなければならない。

(裁定の失効)

第18条 裁定申請をした事業者が裁定におい

て定められた土地使用権等の始期までに当

該裁定において定められた補償金の供託を

しないときは、当該裁定は、その時以後そ

の効力を失う。

3  適用関係

 上記 2の改正は、令和元年 6月 1日から施行されています(改正法附則 1二)。 なお、この制度は、適用停止中であることから、経過措置は設けられていません。連結納税制度の場合についても同様です。

二 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等

1  改正前の制度の概要

⑴ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例 この制度は、法人の有する資産が土地収用法等の規定によって収用権が認められている事業等のために収用等をされ、その補償金、対価又は清算金(以下「補償金等」といいます。)の額の全部又は一部に相当する金額をもって、そ

の収用等により譲渡した資産と同種の資産その他これに代わるべき資産(以下「代替資産」といいます。)の取得をする場合において、一定の要件の下で、収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度)(措法65の2 )との選択適用により、その代替資産につき、譲渡益の額(圧縮限度額)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額等をしたときは、圧縮記帳ができるというものです(措法64①)。

─�439�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(注 1) 棚卸資産は、本制度の対象となる法人の

有する資産から除くこととされています。(注 2) 収用等とは、収用、買取り、換地処分、

権利変換、買収又は消滅をいいます。(注 3) 代替資産の取得については、所有権移転

外リース取引による取得を除き、製作及び

建設を含むこととされています。

⑵ 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例 この制度は、上記⑴の収用等による譲渡があった場合において、その収用等のあった日を含む事業年度では代替資産の取得がなく、指定期間内に補償金等の額の全部又は一部に相当する金額をもって代替資産の取得をする見込みであるときは、一定の要件の下で、その補償金等の額で代替資産の取得に充てようとするものの額に差益割合を乗じて計算した金額以下の金額をその収用等のあった日を含む事業年度の確定した決算において特別勘定を設ける方法等により経理した場合に限り、上記⑴の特例に準じて課税の特例が適用できるというものです(措法64の 2 ①)。(注) 指定期間とは、収用等のあった日を含む事

業年度終了の日の翌日から収用等のあった日

以後 2年を経過する日までの期間をいいます。

⑶ 収用換地等の場合の所得の特別控除制度(5,000万円特別控除制度) この制度は、法人が資産を収用換地等により譲渡した場合において、その譲渡益の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法64)若しくは収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(措法64の 2 )又は換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法65)の適用を受けないときは、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年5,000万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 2 ①)。

(注) 収用換地等とは、収用等及び換地処分等を

いい(措法65の 2 ①)、換地処分等とは、収用、

買取り、換地処分、権利変換又は交換をいい

ます(措法65①)。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴から⑶までと同様の措置が講じられています(措法68の70、68の71、68の73)。

2  改正の内容

⑴ 適用対象となる場合の追加 適用対象となる「資産が土地収用法等の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合」における土地収用法等に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法を含めることとされ(措法64①一、33①一)、適用対象となる場合に、「資産が所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合」が追加されました。連結納税制度の場合についても同様です。

⑵ 適用対象となる補償金の追加 上記⑴の改正に伴い、「土地等が土地収用法等の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合に該当することとなったことに伴い、その土地の上にある資産につき、土地収用法等の規定に基づく収用をし、又は取壊し若しくは除去をしなければならなくなった場合において、その資産の損失に対する補償金を取得するとき」における補償金に、その資産の損失につき所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第35条第 1項において準用する土地収用法第88条の規定により受けた補償金が追加されました(措令39⑰二)。連結納税制度の場合についても同様です。

⑶ 簡易証明制度における証明書の範囲の見直し 上記 1 ⑴及び⑵の制度については、収用等の事由に該当して資産を譲渡したことを証する書類(以下「収用等の証明書」といいます。)を保存している場合に限り、その適用ができるこ

─�440�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

ととされています(措法64④、64の 2 ⑬、65の2 ④、措規22の 2 ④、22の 3 ③三)。 この収用等の証明書は、原則的には、土地収用法等の規定に基づく収用事業としての認定(以下「事業認定」といいます。)を受けていることを証する書類とされていますが、道路法による道路、地方公共団体の設置する小学校等の用地等の一定の資産については、事業認定の確実性、地域の特定性又は事業の緊急性といった観点から、事業認定がなくても、その用地等の買取り(使用を含みます。)をする施行者の証明書があれば足りることとされており、これを一般に簡易証明制度と呼んでいます(措規14⑤)。 今般、所得税関係の改正において、この簡易証明制度の対象となる事業(いわゆる特掲事業)に係る証明書について、次の改正が行われています。① 特定被災区域内において都市計画事業に準ずる事業として行う一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業のために買い取られる土地等であることにつき、国土交通大臣等のその一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業が基準に該当する事業である旨を証する書類は、その証明期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、除外されました(旧措規14⑤四の八)。② 上記⑴及び⑵の改正に伴い、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定に基づいて収用又は使用することができる資産であることにつき、その資産の所在する地域を管轄する都道府県知事のその資産の収用又は使用についての同法第32条第 1項の裁定をした旨を証する書類が追加されました(措規14⑤五の三)。 法人税関係についても、同様となります(措規22の 2 ④、22の64③、22の65③三)。

(注 1) 上記⑴から⑶までの改正の趣旨等について

は、前掲「租税特別措置法等(所得税関係)

の改正」の「第一 住宅・土地税制の改正」

の「三 収用等に伴い代替資産を取得した場

合の課税の特例の改正」の 2をご参照ください。(注 2) 関係法令については、下記の(参考)をご

参照ください。(参考 1) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関

する特別措置法(平成30年法律第49号)

(裁定)

第32条 都道府県知事は、第29条第 1 項又

は第 2 項の規定により裁定申請を却下す

るとき及び裁定申請が次の各号のいずれ

かに該当するときを除き、裁定申請をし

た起業者が当該裁定申請に係る事業を実

施するため必要な限度において、特定所

有者不明土地の収用又は使用についての

裁定をしなければならない。

一 裁定申請に係る事業が土地収用法第

26条第 1 項の規定により告示された事

業と異なるとき。

二 裁定申請に係る事業計画が土地収用

法第18条第 2 項の規定により事業認定

申請書に添付された事業計画書に記載

された計画と著しく異なるとき。

2~ 6 省 略

(損失の補償に関する土地収用法の準用)

第35条 土地収用法第 6 章第 1 節(第76条、

第77条後段、第78条、第81条から第83条

まで、第86条、第87条及び第90条の 2 か

ら第90条の 4 までを除く。)の規定は、裁

定に係る特定所有者不明土地を収用し、

又は使用することにより特定所有者不明

土地所有者等が受ける損失の補償につい

て準用する。この場合において、同法第

70条ただし書中「第82条から第86条まで」

とあるのは「所有者不明土地の利用の円

滑化等に関する特別措置法(平成30年法

律第49号。以下「所有者不明土地法」と

いう。)第35条第 1 項において準用する第

84条又は第85条」と、「収用委員会の裁

決」とあるのは「都道府県知事の裁定」と、

同法第71条中「権利取得裁決」とあり、

並びに同法第73条、第84条第 2 項及び第

─�441�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

85条第 2項中「明渡裁決」とあるのは「所

有者不明土地法第32条第 1 項の裁定」と、

同法第80条中「前 2 条」とあるのは「所

有者不明土地法第35条第 1 項において準

用する前条」と、同法第84条第 1項中「起

業者、土地所有者又は関係人」とあるの

は「起業者」と、同項及び同条第 2 項、

同条第 3 項において準用する同法第83条

第 3 項から第 6 項まで並びに同法第85条

中「収用委員会」とあるのは「都道府県

知事」と、同法第84条第 2 項、同条第 3

項において準用する同法第83条第 3 項及

び同法第85条第 2 項中「裁決を」とある

のは「裁定を」と、同条第 1 項中「起業

者又は物件の所有者」とあるのは「起業

者」と読み替えるものとするほか、必要

な技術的読替えは、政令で定める。

2 省 略(参考 2) 土地収用法(昭和26年法律第219号)

(通常受ける損失の補償)

第88条 第71条、第72条、第74条、第75条、

第77条、第80条及び第80条の 2 に規定す

る損失の補償の外、離作料、営業上の損失、

建物の移転による賃貸料の損失その他土

地を収用し、又は使用することに因つて

土地所有者又は関係人が通常受ける損失

は、補償しなければならない。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴及び⑶②の改正は、令和元年 6月 1日以後に資産が収用され、補償金を取得する場合について適用し、同日前に資産が収用され、補償金を取得した場合については、従前どおりとされています(改正法附則34②)。連結納税制度の場合についても同様です。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が令和元年 6月 1日以後に資産の損失に対する補償金を取得する場合について適用し、法人が同日前に資産の損失に対する補償金を取得した場合については、従前どおりとされています(改正措令附則23①)。連結納税制度の場合についても同様です。⑶ 上記 2 ⑶①の改正は、書類に記載されたその証明の日が平成31年 3 月31日以前であるその書類に係る適用については、従前どおりとされています(改正措規附則 5)。連結納税制度の場合についても同様です。

三� 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、法人の有する土地等が特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合に該当することとなった場合には、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年2,000万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 3 ①)。 この「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」とは、次の場合をいいます(措法65

の 3 ①)。⑴ 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が土地区画整理事業、住宅街区整備事業、第一種市街地再開発事業又は防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善、宅地の造成、共同住宅の建設又は建築物及び建築敷地の整備に関する事業の用に供するために土地等がこれらの者に買い取られる場合⑵ 第一種市街地再開発事業の事業予定地内の土地等が、その第一種市街地再開発事業を行う都

─�442�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

市再開発法の認可を受けて設立された市街地再開発組合に買い取られる場合⑶ 防災街区整備事業の事業予定地内の土地等が、その防災街区整備事業を行う密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の認可を受けて設立された防災街区整備事業組合に買い取られる場合⑷ 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地法等の買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合⑸ 重要文化財、史跡、名勝、天然記念物として指定された土地又は国立公園及び国定公園の特別地域若しくは自然環境保全地域の特別地区として指定された区域内の土地が国又は地方公共団体に買い取られる場合(その重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立科学博物館又は一定の地方独立行政法人に買い取られる場合を含みます。)⑹ 保安林等として指定された区域内の土地等が保安施設事業のために国又は地方公共団体に買い取られる場合⑺ 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律の集団移転促進事業計画に定められた移転促進区域内の農地等が同計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合 ただし、この「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 ~65の 9 )等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の74)。

2  改正の内容

 適用対象となる場合について、次の場合が追加されました(措法65の 3 ①四・七、措令39の 4 ④⑤、措規22の 4 ①四・七)。連結納税制度の場合についても同様です。⑴ 文化財保護法の規定により、重要文化財として指定された土地又は史跡、名勝若しくは天然記念物として指定された土地が、同法第192条の 2第 1項に規定する文化財保存活用支援団体に買い取られる場合(措法65の 3 ①四) 文化財保存活用支援団体は、公益社団法人又は公益財団法人であって、その定款において、その法人が解散した場合にその残余財産が地方公共団体又はその法人と類似の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあるもの(以下「支援団体」といいます。)に限ることとされています(措法65の 3①四、措令39の 4 ④)。(注 1) 公益社団法人は、その社員総会における

議決権の総数の 2 分の 1 以上の数が地方公

共団体により保有されているものに限るこ

ととされています(措令39の 4 ③)。(注 2) 公益財団法人は、その設立当初において

拠出をされた金額の 2 分の 1 以上の金額が

地方公共団体により拠出をされているもの

に限ることとされています(措令39の 4 ③)。

 なお、支援団体に買い取られる場合は、次の要件を満たす場合に限ることとされています(措法65の 3 ①四、措令39の 4 ④)。① その支援団体と地方公共団体との間で、その買い取った土地の売買の予約又はその買い取った土地の第三者への転売を禁止する条項を含む協定に対する違反を停止条件とする停止条件付売買契約のいずれかを締結し、その旨の仮登記を行うこと。(注) 土地とは、文化財保護法第27条第 1 項の

規定により重要文化財として指定された土

地又は同法第109条第 1 項の規定により史跡、

名勝若しくは天然記念物として指定された

─�443�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

土地をいいます(措法65の 3 ①四)。

② その買い取った土地が、文化財保護法第192条の 2 第 1 項の規定によりその支援団体の指定をした同項の市町村の教育委員会が置かれているその市町村の区域内にある土地であること。③ 文化財保護法第183条の 5 第 1 項に規定する認定文化財保存活用地域計画に記載された土地の保存及び活用に関する事業(地方公共団体の管理の下に行われるものに限ります。)の用に供するためにその土地が買い取られるものであること。 また、支援団体に買い取られる場合の「土地等の買取りをする者から交付を受けたその土地等の買取りがあったことを証する書類を保存していること」とする書類保存要件における書類が、文化財保護法第192条の 2 第 1 項の規定によりその支援団体の指定をした同項の市町村の教育委員会が置かれているその市町村の長のその土地の買取りをする者がその支援団体に該当する旨及びその土地の買取りが上記①から③までの要件を満たすものである旨を証する書類とされました(措法65の 3 ④、措規22の 4 ①四)。⑵ 農業経営基盤強化促進法第 4条第 1項第 1号に規定する農用地(以下「農用地」といいます。)で同法第23条の 2 第 1 項の規定により定められた農用地利用規程(同法第23条第 1項の認定に係るもの(同法第24条第 1項の規定による変更の認定があった場合には、その変更後のもの)に限ります。以下「農用地利用規程」といいます。)に係る同法第23条の 2 第 1 項に規定する農用地利用改善事業の実施区域(以下「農用地利用改善事業の実施区域」といいます。)内にあるものが、同条第 6 項の申出(以下「申出」といいます。)に基づき、同項の農地中間管理機構(以下「農地中間管理機構」といいます。)に買い取られる場合(措法65の 3①七) 農地中間管理機構は、公益社団法人又は公益財団法人であって、その定款において、その法

人が解散した場合にその残余財産が地方公共団体又はその法人と類似の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあるものに限ることとされています(措法65の 3 ①七、措令39の 4 ⑤)。(注 1) 公益社団法人は、その社員総会における

議決権の総数の 2 分の 1 以上の数が地方公

共団体により保有されているものに限るこ

ととされています(措令39の 4 ③)。(注 2) 公益財団法人は、その設立当初において

拠出をされた金額の 2 分の 1 以上の金額が

地方公共団体により拠出をされているもの

に限ることとされています(措令39の 4 ③)。

 また、農地中間管理機構に買い取られる場合の「土地等の買取りをする者から交付を受けたその土地等の買取りがあったことを証する書類を保存していること」とする書類保存要件における書類が、市町村長のその土地等が農用地利用規程に係る農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地である旨を証する書類、その土地等の買取りをする者のその土地等を申出に基づき買い取ったものである旨を証する書類及び都道府県知事のその土地等の買取りをする者が農地中間管理機構に該当する旨を証する書類とされました(措法65の 3 ④、措規22の 4 ①七)。

(注 1) 上記⑴及び⑵の改正の趣旨等については、

前掲「租税特別措置法等(所得税関係)の改

正」の「第一 住宅・土地税制の改正」の「四

 特定土地区画整理事業等のために土地等を

譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正」の

2をご参照ください。(注 2) 関係法令については、下記の(参考 1)及

び(参考 2)をご参照ください。(参考 1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)

(指定)

第27条 文部科学大臣は、有形文化財のう

ち重要なものを重要文化財に指定するこ

とができる。

2 省 略

(指定)

─�444�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

第109条 文部科学大臣は、記念物のうち重

要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以

下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)

に指定することができる。

2~ 6 省 略

(文化財の登録の提案)

第183条の 5  認定市町村の教育委員会は、

第183条の 3 第 5 項の認定(前条第 1 項の

変更の認定を含む。第183条の 7 第 1 項及

び第 2 項において同じ。)を受けた文化財

保存活用地域計画(変更があつたときは、

その変更後のもの。以下この節及び第192

条の 6 において「認定文化財保存活用地

域計画」という。)の計画期間内に限り、

当該認定市町村の区域内に存する文化財

であつて第57条第 1 項、第90条第 1 項又

は第132条第 1 項の規定により登録される

ことが適当であると思料するものがある

ときは、文部科学省令で定めるところに

より、文部科学大臣に対し、当該文化財

を文化財登録原簿に登録することを提案

することができる。

2・ 3 省 略

(文化財保存活用支援団体の指定)

第192条の 2  市町村の教育委員会は、法人

その他これに準ずるものとして文部科学

省令で定める団体であつて、次条に規定

する業務を適正かつ確実に行うことがで

きると認められるものを、その申請により、

文化財保存活用支援団体(以下この節に

おいて「支援団体」という。)として指定

することができる。

2~ 4 省 略(参考 2) 農業経営基盤強化促進法(昭和55年法

律第65号)(農地中間管理事業の推進に関

する法律等の一部を改正する法律(令和

元年法律第12号)第 2 条の規定による改

正後)

(定義)

第 4条 この法律において「農用地等」とは、

次に掲げる土地をいう。

一 農地(耕作(農地法(昭和27年法律

第229号)第43条第 1 項の規定により耕

作に該当するものとみなされる農作物

の栽培を含む。以下同じ。)の目的に供

される土地をいう。以下同じ。)又は農

地以外の土地で主として耕作若しくは

養畜の事業のための採草若しくは家畜

の放牧の目的に供される土地(以下「農

用地」と総称する。)

二~四 省 略

2・ 3 省 略

(農用地利用規程)

第23条 農業協同組合法第72条の10第 1 項

第 1 号の事業を行う農事組合法人その他

の団体(政令で定める基準に従つた定款

又は規約を有しているものに限る。)であ

つて、第 6 条第 2 項第 5 号ロに規定する

基準に適合する区域をその地区とし、かつ、

当該地区内の農用地につき第18条第 3 項

第 4 号の権利を有する者の 3 分の 2 以上

が構成員となつているものは、その行お

うとする農用地利用改善事業の準則とな

る農用地利用規程を定め、これを同意市

町村に提出して、当該農用地利用規程が

適当である旨の認定を受けることができ

る。

2~10 省 略

(農用地利用規程の特例)

第23条の 2  前条第 1 項に規定する団体は、

その行おうとする農用地利用改善事業の

実施区域(農業振興地域の整備に関する

法律(昭和44年法律第58号)第 8 条第 2

項第 1 号に規定する農用地区域(第 8 項

において「農用地区域」という。)内に限

る。以下この条において同じ。)を含む周

辺の地域における農用地の保有及び利用

の現況及び将来の見通し等からみて効率

的かつ安定的な農業経営を営む者に対す

る農用地の利用の集積を図ることが特に

─�445�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

必要であると認めるときは、当該実施区

域内の農用地について利用権の設定等を

受ける者を認定農業者及び農地中間管理

機構に限る旨を、当該認定農業者及び農

地中間管理機構の同意を得て、農用地利

用規程に定めることができる。

2~ 5 省 略

6  農地中間管理機構は、前項に規定する

農用地の所有者等から当該農用地につい

て利用権の設定等を行いたい旨の申出が

あつたときは、当該利用権の設定等を受

けるものとする。

7~10 省 略

(農用地利用規程の変更等)

第24条 認定団体は、第23条第 1 項の認定

に係る農用地利用規程を変更しようとす

るときは、同意市町村の認定を受けなけ

ればならない。ただし、特定農用地利用

規程で定められた特定農業団体が、農林

水産省令で定めるところにより、その組

織を変更して、その構成員を主たる組合員、

社員若しくは株主とする農業経営を営む

法人となつた場合において当該特定農用

地利用規程を変更して当該農業経営を営

む法人を特定農業法人として定めようと

するとき又は農林水産省令で定める軽微

な変更をしようとする場合は、この限り

でない。

2~ 4 省 略

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされています(改正法附則55①)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則72①)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされています(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則72②)。(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律等の

一部を改正する法律(令和元年法律第12号)

の施行の日は、同法の公布の日(令和元年 5

月24日)から起算して 6 月を超えない範囲内

において政令で定める日とされており(農推

法等改正法附則 1)、その政令は、今後定めら

れます。

四� 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、法人の有する土地等が特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合に該当することとなった場合には、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年1,500万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 4 ①)。

 この「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」とは、次の場合をいいます(措法65の4 ①)。⑴ 地方公共団体等が行う住宅建設又は宅地造成事業の用に供するために土地等が買い取られる場合⑵ 収用の対償地に充てるために土地等が買い取られる場合、住宅地区改良法の改良住宅の建設

─�446�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

のため改良地区以外の土地等が買い取られる場合又は公営住宅法の公営住宅の買取りにより土地等が地方公共団体に買い取られる場合⑶ 平成 6年 1月 1日から令和 2年12月31日までの間に、一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合⑷ 公有地の拡大の推進に関する法律の買取り協議に基づき土地等が地方公共団体等に買い取られる場合⑸ 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の航空機騒音障害防止特別地区内にある土地が特定空港の設置者に買い取られる場合⑹ 地方公共団体又は沿道整備推進機構が沿道整備道路の沿道の整備のために行う一定の事業の用に供するために沿道地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑺ 地方公共団体又は防災街区整備推進機構が防災街区としての整備のために行う一定の事業の用に供するために特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑻ 地方公共団体又は中心市街地整備推進機構が認定中心市街地の整備のために行う一定の事業の用に供するために認定中心市街地の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑼ 地方公共団体又は景観整備機構が景観計画に定められた景観重要公共施設の整備に関する事業の用に供するために景観計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑽ 地方公共団体又は都市再生推進法人が都市再生整備計画又は立地適正化計画に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するためにこれらの計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑾ 地方公共団体又は歴史的風致維持向上支援法人が認定重点区域における認定歴史的風致維持向上計画に記載された公共施設又は公用施設の整備に関する事業の用に供するためにその区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑿ 地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資に係る一定の法人が国又は都道府県が作成した総合的な地域開発に関する計画に基づく工業用地等の造成事業の用に供するために土地等がこれらの者に買い取られる場合⒀ 次の事業の用に供するために、土地等が地方公共団体の出資に係る法人等に買い取られる場合① 商店街活性化法の認定商店街活性化事業計画に基づく一定の商店街活性化事業又は同法の認定商店街活性化支援事業計画に基づく一定の商店街活性化支援事業② 中心市街地活性化法の認定特定民間中心市街地活性化事業計画に基づく一定の中小小売商業高度化事業

⒁ 農業協同組合が行う宅地等供給事業で一定の要件を満たすものの用に供するために農地等が買い取られる場合又は独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業活性化資金の融資を受けて行う土地の造成に関する事業で一定の要件を満たすものの用に供するために土地等が買い取られる場合⒂ 総合特別区域法の共同して又は一の団地若しくは主として一の建物に集合して行う事業の用に供する土地の造成に関する事業で一定の要件に該当するものとして市町村長又は特別区の区長が指定したものの用に供するために土地等が買い取られる場合⒃ 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の認定を受けた整備計画に基づいて行われる特定施設の整備事業の用に供するために土地等が地方公共団体又はその出資に係る法人等に買い取られる場合⒄ 広域臨海環境整備センター法の認可を受けた基本計画に基づいて行われる廃棄物の搬入施設の整備事業の用に供するために土地等が広域臨海環境整備センターに買い取られる場合⒅ 生産緑地法の買取申出等に基づき生産緑地地区内の土地が地方公共団体等に買い取られる場合

─�447�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⒆ 国土利用計画法の規制区域内の土地等が地方公共団体に買い取られる場合⒇ 国土利用計画法の土地利用基本計画に定められた学園都市計画等の地域の開発保全整備計画に係る事業の用に供するために土地等が国又は地方公共団体等に買い取られる場合� 大都市地域住宅等供給促進法の買取申出等に基づき土地区画整理促進区域等内の土地等が地方公共団体等に買い取られる場合� 土地区画整理事業の施行に伴い、一定の既存不適格建築物の敷地について換地を定めることが困難である場合に清算金を取得する場合� 土地等につき被災市街地復興特別措置法による被災市街地復興土地区画整理事業が施行された場合において、保留地が定められたことに伴いその土地等に係る換地処分によりその土地等のうちその保留地の対価の額に対応する部分の譲渡があったとき� マンション建替事業の施行に伴い、やむを得ない事情により、土地等に係る権利変換により補償金を取得する場合又は売渡請求若しくは買取請求により土地等が買い取られる場合� マンション敷地売却事業の実施に伴い、建築物の耐震改修の促進に関する法律の通行障害既存耐震不適格建築物に該当する決議要除却認定マンションの敷地の用に供されている土地等に係る分配金取得計画に基づき分配金を取得する場合又は売渡請求によりその土地等が買い取られる場合� 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の管理地区内の土地が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合又は鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の特別保護地区内の土地のうち天然記念物として指定された鳥獣等の生息地が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合� 自然公園法の都道府県立自然公園の区域内のうち条例により特別地域として指定された一定の地域内の土地又は自然環境保全法の都道府県自然環境保全地域のうち条例により特別地区と

して指定された一定の地区内の土地が地方公共団体に買い取られる場合� 農業経営基盤強化促進法の買取り協議に基づき農用地区域内にある農用地が農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合 ただし、この「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 ~65の 9 )等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の75)。

2  改正の内容

 適用対象となる「農業経営基盤強化促進法の農用地で農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域として定められている区域内にあるものが、農業経営基盤強化促進法の協議に基づき、農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合(上記 1�)」について、次の見直しが行われました(措法65の 4 ①二十五、措令39の 5 ㉚、措規22の 5 ①三十)。連結納税制度の場合についても同様です。⑴ 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)第 2条(農業経営基盤強化促進法の一部改正)によって、農地利用集積円滑化団体及び農地利用集積円滑化事業が廃止されたことに伴い、買取りをする者である農地利用集積円滑化団体等について、農地利用集積円滑化団体が除外され、農地中間管理機構に限定されました(措法65の 4①二十五、措令39の 5 ㉚、措規22の 5 ①三十)。⑵ 買い取られる場合から、前述「三 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(2,000万円特別控除制度)」の 2 ⑵の「農地中間管理機構に買い取られる場合に該当する場合」が除外されました

─�448�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

(措法65の 4 ①二十五)。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)附則第 1 条第 2 号に掲げる規定の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされています(改正法附則55③)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則72③)。(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律等の

一部を改正する法律(令和元年法律第12号)

附則第 1 条第 2 号に掲げる規定の施行の日は、

同法の公布の日(令和元年 5 月24日)から起

算して 1 年 3 月を超えない範囲内において政

令で定める日とされており(農推法等改正法

附則 1二)、その政令は、今後定められます。

⑵ 上記 2 ⑵の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされています(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則72②)。(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律等の

一部を改正する法律(令和元年法律第12号)

の施行の日は、同法の公布の日(令和元年 5

月24日)から起算して 6 月を超えない範囲内

において政令で定める日とされており(農推

法等改正法附則 1)、その政令は、今後定めら

れます。

五� 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、農地所有適格法人の有する土地等が農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合に該当することとなった場合には、一定の要件の下で、その譲渡益の額のうち年800万円までは、その譲渡の日を含む事業年度において、所得控除ができるというものです(措法65の 5 ①)。 この「農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合」とは、次の場合をいいます(措法65の5 ①)。⑴ 農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係る協議、調停又はあっせん等により土地等を譲渡した場合⑵ 農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内にある土地等を、農業経営基盤強化促進法の公告があった農用地利用集積計画の定めるところにより譲渡した場合

⑶ 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律の公告があった所有権移転等促進計画の定めるところにより土地等の譲渡をした場合⑷ 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の都道府県知事のあっせんにより認定を受けた者に一定の山林に係る土地の譲渡をした場合 ただし、この「農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合」に該当することとなった土地等の譲渡の日を含む事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その該当することとなった土地等のいずれかについて、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(措法65の 7 ~65の 9 )等の適用を受けた場合には、その該当することとなった土地等のいずれについても、この制度は適用できないこととされています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の

─�449�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

措置が講じられています(措法68の76)。

2  改正の内容

 適用対象について、次の見直しが行われました(措法65の 5 ①一~三、措令39の 6 ②、措規22の6 ④四)。⑴ 適用対象となる「農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係る協議、調停又はあっせんにより譲渡した場合その他農地保有の合理化のために土地等を譲渡した場合(上記 1⑴)」、「農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内にある土地等を農業経営基盤強化促進法の公告があった農用地利用集積計画の定めるところにより譲渡した場合(上記 1⑵)」及び「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律の公告があった所有権移転等促進計画の定めるところにより土地等の譲渡をした場合(上記 1 ⑶)」から、前述「三 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(2,000万円特別控除制度)」の 2 ⑵の「農地中間管理機構に買い取られる場合の適用がある場合」が除外されました(措法65の 5 ①一~三)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の76①)。⑵ 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)第 2条(農業経営基盤強化促進法の一部改正)によって、農地利用集積円滑化団体及び農地利用集積円滑化事業が廃止されたことに伴い、適用対象となる「農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係る協議、調停又はあっせんにより譲渡した場合その他農地保有の合理化のために土地等を譲渡した場合(上記 1⑴)」のうち「農地中間管理機構又は農地利用集積円滑化団体に対し、その農地中間管理機構の農地売買等事業等又はその農地利用集積円滑化団体の農地利用集積円滑化事業のために農地若しくは採草放牧地で農用地区域として定められている区域内にあるもの、その区域内にある土地で開発して農地

とすることが適当なもの若しくはその区域内にある土地で農業上の用途区分が農業用施設の用に供することとされているもの又はこれらの土地の上に存する権利を譲渡した場合」から、「農地利用集積円滑化団体に対しその農地利用集積円滑化団体の農地利用集積円滑化事業のために農地若しくは採草放牧地で農用地区域として定められている区域内にあるもの、その区域内にある土地で開発して農地とすることが適当なもの若しくはその区域内にある土地で農業上の用途区分が農業用施設の用に供することとされているもの又はこれらの土地の上に存する権利を譲渡した場合」が除外されました(措令39の 6 ②、措規22の 6 ④四)。連結納税制度の場合についても同様です。

3  適用関係

⑴ 上記 2⑴の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされています(改正法附則55②)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則72②)。(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律等の

一部を改正する法律(令和元年法律第12号)

の施行の日は、同法の公布の日(令和元年 5

月24日)から起算して 6 月を超えない範囲内

において政令で定める日とされており(農推

法等改正法附則 1)、その政令は、今後定めら

れます。

⑵ 上記 2⑵の改正は、法人が農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第12号)附則第 1 条第 2 号に掲げる規定の施行の日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用し、法人が同日前に行った土地等の譲渡に係る法人税については、従前どおりとされています(改正措令附則23③)。連結納税制度の場合についても同様です。(注) 農地中間管理事業の推進に関する法律等の

─�450�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

一部を改正する法律(令和元年法律第12号)

附則第 1 条第 2 号に掲げる規定の施行の日は、

同法の公布の日(令和元年 5 月24日)から起

算して 1 年 3 月を超えない範囲内において政

令で定める日とされており(農推法等改正法

附則 1二)、その政令は、今後定められます。

第五 その他の特別措置関係

一� 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないもののうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについては、法人税率を19%(原則:23.2%)とするというものです(措法67の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても同様の措置が講じられていますが、法人税率は20%(原則:23.2%)とされています(措法68の100)。

2  改正の内容

 国税庁長官の承認及び承認の取消しに係る要件について、「各事業年度においてその事業及び医療施設が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たすものである旨の厚生労働大臣のその各事業年度に係る証明書の交付を受けること」とする要件における「厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準」のうち「その医療法人の事業について、社会保険診療に係る収入金額、健康増進法の健康増進事業に係る収入金額、予防接種法の定期の予防接種等に係る収入金額、助産に係る収入金額及び介護保険法の保険給付に係る収入金額の合計額が、全収入金額の80%を超えること」とする基準におけるその収入金額の合計額に、障害福祉サービス等に係る収入金額が追加されました(平15.3

厚生労働告147一イ)。連結納税制度の場合についても同様です。 障害福祉サービス等に係る収入金額とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」といいます。)及び児童福祉法の規定に基づく障害福祉サービス等に係る収入金額をいい、具体的には、次の収入金額をいいます。⑴ 障害者総合支援法第 6条に規定する介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練等給付費、特定障害者特別給付費、特例特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費、特例地域相談支援給付費、計画相談支援給付費、特例計画相談支援給付費及び基準該当療養介護医療費に係る収入金額 すなわち、障害福祉サービス事業(障害者総合支援法 5①)又は一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業(障害者総合支援法 5⑱)として行うサービス(医療及び介護を含みます。以下同じです。)のうち、障害者総合支援法の規定により市町村(特別区を含みます。)が上記の給付費を支給するものに係る収入金額となります(障害者総合支援法28、29、30、34、35、51の13~51の18、71)。⑵ 障害者総合支援法第77条及び第78条に規定する地域生活支援事業に係る収入金額⑶ 児童福祉法第21条の 5の 2に規定する障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費、同法第24条の 2に規定する障害児入所給付費、同法第24条の 7に規定する特定入所障害児食費等給付費並びに同法第24条の25に規定する障害児相談

─�451�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

支援給付費及び特例障害児相談支援給付費に係る収入金額 すなわち、障害児通所支援(児童福祉法 6の2 の 2 ①)、障害児相談支援(児童福祉法 6 の2の 2⑦)及び障害児入所支援(児童福祉法 7②)のうち、児童福祉法の規定により都道府県又は市町村(特別区を含みます。)が上記の給付費を支給するものに係る収入金額となります(児童福祉法21の 5 の 2 ~21の 5 の 4 、24の 2 、24の 7 、24の25~24の27)。(注 1) 障害者総合支援法及び児童福祉法の規定

に基づくサービスに係る収入金額のうち、

租税特別措置法第26条第 2 項第 5 号に掲げ

る医療に係る収入金額については、改正前

の判定要件の社会保険診療等に係る収入金

額の範囲に既に含まれていることから、今回、

新たに含めることとされた障害福祉サービ

ス等に係る収入金額からは除かれています。(注 2) 関係法令については、下記の(参考 1)

及び(参考 2)をご参照ください。(参考 1)� 障害者の日常生活及び社会生活を総合

的に支援するための法律(平成17年法律

第123号)

(自立支援給付)

第 6 条 自立支援給付は、介護給付費、特

例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練

等給付費、特定障害者特別給付費、特例

特定障害者特別給付費、地域相談支援給

付費、特例地域相談支援給付費、計画相

談支援給付費、特例計画相談支援給付費、

自立支援医療費、療養介護医療費、基準

該当療養介護医療費、補装具費及び高額

障害福祉サービス等給付費の支給とする。

(市町村の地域生活支援事業)

第77条 市町村は、厚生労働省令で定める

ところにより、地域生活支援事業として、

次に掲げる事業を行うものとする。

一 障害者等の自立した日常生活及び社

会生活に関する理解を深めるための研

修及び啓発を行う事業

二 障害者等、障害者等の家族、地域住

民等により自発的に行われる障害者等

が自立した日常生活及び社会生活を営

むことができるようにするための活動

に対する支援を行う事業

三 障害者等が障害福祉サービスその他

のサービスを利用しつつ、自立した日

常生活又は社会生活を営むことができ

るよう、地域の障害者等の福祉に関す

る各般の問題につき、障害者等、障害

児の保護者又は障害者等の介護を行う

者からの相談に応じ、必要な情報の提

供及び助言その他の厚生労働省令で定

める便宜を供与するとともに、障害者

等に対する虐待の防止及びその早期発

見のための関係機関との連絡調整その

他の障害者等の権利の擁護のために必

要な援助を行う事業(次号に掲げるも

のを除く。)

四 障害福祉サービスの利用の観点から

成年後見制度を利用することが有用で

あると認められる障害者で成年後見制

度の利用に要する費用について補助を

受けなければ成年後見制度の利用が困

難であると認められるものにつき、当

該費用のうち厚生労働省令で定める費

用を支給する事業

五 障害者に係る民法(明治29年法律第

89号)に規定する後見、保佐及び補助

の業務を適正に行うことができる人材

の育成及び活用を図るための研修を行

う事業

六 聴覚、言語機能、音声機能その他の

障害のため意思疎通を図ることに支障

がある障害者等その他の日常生活を営

むのに支障がある障害者等につき、意

思疎通支援(手話その他厚生労働省令

で定める方法により当該障害者等とそ

の他の者の意思疎通を支援することを

いう。以下同じ。)を行う者の派遣、日

─�452�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

常生活上の便宜を図るための用具であ

って厚生労働大臣が定めるものの給付

又は貸与その他の厚生労働省令で定め

る便宜を供与する事業

七 意思疎通支援を行う者を養成する事

八 移動支援事業

九 障害者等につき、地域活動支援セン

ターその他の厚生労働省令で定める施

設に通わせ、創作的活動又は生産活動

の機会の提供、社会との交流の促進そ

の他の厚生労働省令で定める便宜を供

与する事業

2  都道府県は、市町村の地域生活支援事

業の実施体制の整備の状況その他の地域

の実情を勘案して、関係市町村の意見を

聴いて、当該市町村に代わって前項各号

に掲げる事業の一部を行うことができる。

3  市町村は、第 1 項各号に掲げる事業の

ほか、現に住居を求めている障害者につ

き低額な料金で福祉ホームその他の施設

において当該施設の居室その他の設備を

利用させ、日常生活に必要な便宜を供与

する事業その他の障害者等が自立した日

常生活又は社会生活を営むために必要な

事業を行うことができる。

(都道府県の地域生活支援事業)

第78条 都道府県は、厚生労働省令で定め

るところにより、地域生活支援事業として、

第77条第 1 項第 3 号、第 6 号及び第 7 号

に掲げる事業のうち、特に専門性の高い

相談支援に係る事業及び特に専門性の高

い意思疎通支援を行う者を養成し、又は

派遣する事業、意思疎通支援を行う者の

派遣に係る市町村相互間の連絡調整その

他の広域的な対応が必要な事業として厚

生労働省令で定める事業を行うものとす

る。

2  都道府県は、前項に定めるもののほか、

障害福祉サービス又は相談支援の質の向

上のために障害福祉サービス若しくは相

談支援を提供する者又はこれらの者に対

し必要な指導を行う者を育成する事業そ

の他障害者等が自立した日常生活又は社

会生活を営むために必要な事業を行うこ

とができる。(参考 2) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)

(障害児通所給付費及び特例障害児通所給

付費の支給)

第21条の 5 の 2  障害児通所給付費及び特

例障害児通所給付費の支給は、次に掲げ

る障害児通所支援に関して次条及び第21

条の 5 の 4 の規定により支給する給付と

する。

一 児童発達支援

二 医療型児童発達支援(医療に係るも

のを除く。)

三 放課後等デイサービス

四 居宅訪問型児童発達支援

五 保育所等訪問支援

(障害児入所給付費の支給)

第24条の 2  都道府県は、次条第 6 項に規

定する入所給付決定保護者(以下この条

において「入所給付決定保護者」とい

う。)が、次条第 4 項の規定により定めら

れた期間内において、都道府県知事が指

定する障害児入所施設(以下「指定障害

児入所施設」という。)又は指定発達支援

医療機関(以下「指定障害児入所施設等」

と総称する。)に入所又は入院(以下「入

所等」という。)の申込みを行い、当該指

定障害児入所施設等から障害児入所支援

(以下「指定入所支援」という。)を受け

たときは、当該入所給付決定保護者に対し、

当該指定入所支援に要した費用(食事の

提供に要する費用、居住又は滞在に要す

る費用その他の日常生活に要する費用の

うち厚生労働省令で定める費用及び治療

に要する費用(以下「入所特定費用」と

いう。)を除く。)について、障害児入所

─�453�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

給付費を支給する。

② 障害児入所給付費の額は、一月につき、

第 1 号に掲げる額から第 2 号に掲げる額

を控除して得た額とする。

一 同一の月に受けた指定入所支援につ

いて、指定入所支援に通常要する費用

(入所特定費用を除く。)につき、厚生

労働大臣が定める基準により算定した

費用の額(その額が現に当該指定入所

支援に要した費用(入所特定費用を除

く。)の額を超えるときは、当該現に指

定入所支援に要した費用の額)を合計

した額

二 当該入所給付決定保護者の家計の負

担能力その他の事情をしん酌して政令

で定める額(当該政令で定める額が前

号に掲げる額の100分の10に相当する額

を超えるときは、当該相当する額)

(特定入所障害児食費等給付費の支給)

第24条の 7  都道府県は、入所給付決定保

護者のうち所得の状況その他の事情をし

ん酌して厚生労働省令で定めるものに係

る障害児が、給付決定期間内において、

指定障害児入所施設等に入所等をし、当

該指定障害児入所施設等から指定入所支

援を受けたときは、当該入所給付決定保

護者に対し、当該指定障害児入所施設等

における食事の提供に要した費用及び居

住に要した費用について、政令で定める

ところにより、特定入所障害児食費等給

付費を支給する。

② 第24条の 3 第 7 項から第11項までの規

定は、特定入所障害児食費等給付費の支

給について準用する。この場合において、

必要な技術的読替えは、政令で定める。

(障害児相談支援給付費及び特例障害児相

談支援給付費の支給)

第24条の25 障害児相談支援給付費及び特

例障害児相談支援給付費の支給は、障害

児相談支援に関して次条及び第24条の27

の規定により支給する給付とする。

3  適用関係

 上記 2の改正は、医療法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度について適用し、医療法人の同日前に開始した事業年度については、従前どおりとされています(平31. 3 厚生労働告152前文)。連結納税制度の場合についても同様です。

二� 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例(連結:中小連結法人の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例)

1  改正前の制度の概要

 この制度は、青色申告書を提出する中小企業者で、金融機関から受けた事業資金の貸付けにつき、その貸付けに係る債務の弁済の負担を軽減するため、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の施行の日(平成21年12月 4 日)から平成28年 3 月31日までの間に条件の変更を受けたものについて平成25年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に再生計画認可の決

定があったことに準ずる一定の事実が生じた場合( 2 以上の金融機関等が有するその中小企業者に対する債権が債務処理に関する計画によって特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となる場合に限ります。)において、その中小企業者が、その有する資産の価額につき一定の評定を行い、又は債務処理に関する計画に従って債務の免除を受けたときは、その事実を次の制度の対象となる事実とみなして、民事再生等一定の事実が生じた場合の資産の評価益の額又は評価損の額の益金又

─�454�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

は損金算入制度(法法25③、33④)及び民事再生等一定の事実が生じたことにより債務免除等を受けた場合の欠損金の損金算入制度(法法59②)の適用を受けることができるというものです(措法67の 5 の 2 ①)。(注 1) 中小企業者とは、租税特別措置法第42条の

4 第 8 項第 6 号に規定する中小企業者をいい

ます(措法67の 5 の 2 ①)。(注 2) 金融機関とは、中小企業者等に対する金融

の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

第 2 条第 1 項に規定する金融機関をいいます

(措法67の 5 の 2 ①)。

 「再生計画の決定があったことに準ずる一定の事実」は、債務処理に関する計画が企業再生関係税制における再建計画要件(法人税法施行令第24条の 2第 1項各号に掲げる要件をいいます。以下同じです。)に加え、次の⑴及び⑵の要件に該当するものに限ることとされています(措令39の28の 2 ①、法令24の 2 ①一ロ・三)。⑴ 債務処理に関する計画を作成する際にそのよるべきこととされる準則の要件に、この事実が生じた時において中小企業者に対する債権(この事実の発生前の原因に基づいて生じた債権であるものに限ります。以下「再生債権」といいます。)が特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となる時においてその再生債権を有する金融機関等がその再生債権の対価として取得する金銭の額及び金銭以外の資産の価額が法人税法施行令第24条の 2第 1項第 2号の貸借対照表(いわゆる実態貸借対照表)における資産及び負債の価額、その計画における損益の見込み等に照らして適正であることを確認する手続の定めがあること。⑵ 再生債権を有する 2以上の金融機関等のその再生債権が特定投資事業有限責任組合契約に係る組合財産となること。

(注 3) 企業再生関係税制における再建計画要件は、

次のとおりとされています(法令24の 2 ①)。

 なお、本制度を適用する場合には、次の④

の金融機関等に、その再生債権が特定投資事

業有限責任組合契約に係る組合財産となる場

合におけるその特定投資事業有限責任組合契

約を締結している者を含むこととされていま

す(措令39の28の 2 ①)。

①� 一般に公表された債務処理を行うための

手続についての準則で次の事項が定められ

ているもの(政府関係金融機関、株式会社

地域経済活性化支援機構及び協定銀行以外

の特定の者が専ら利用するためのものを除

きます。)に従って策定されていること。

イ� 債務者の有する資産及び負債の価額の

評定に関する事項(公正な価額による旨

の定めがあるものに限ります。)

ロ� その計画が準則に従って策定されたも

のであること並びに下記②及び③に該当

することにつき確認をする手続並びにそ

の確認をする者に関する事項

②� 債務者の有する資産及び負債につき上記

①イの事項に従って資産評定が行われ、そ

の資産評定による価額を基礎とした債務者

の貸借対照表が作成されていること。

③� 上記②の貸借対照表における資産及び負

債の価額、その計画における損益の見込み

等に基づいて債務者に対して債務免除等を

する金額が定められていること。

④�  2 以上の金融機関等(その計画に係る債

務者に対する債権が投資事業有限責任組合

契約等に係る組合財産である場合における

その投資事業有限責任組合契約等を締結し

ている者を除きます。)が債務免除等をする

ことが定められていること。

⑤� 政府関係金融機関、株式会社地域経済活

性化支援機構又は協定銀行(これらのうち

その計画に係る債務者に対する債権が投資

事業有限責任組合契約等に係る組合財産で

ある場合におけるその投資事業有限責任組

合契約等を締結しているものを除きます。)

が有する債権につき債務免除等をすること

が定められていること。(注 4) 金融機関等とは、次の者をいいます(措法

─�455�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

67の 5 の 2 ②一、措令39の28の 2 ③、法令24

の 2 ①四ロ~ヘ)。

①� 預金保険法第 2 条第 1 項各号に掲げる金

融機関(協定銀行を除きます。)

②� 農水産業協同組合貯金保険法第 2 条第 1

項に規定する農水産業協同組合

③� 保険業法第 2 条第 2 項に規定する保険会

社及び同条第 7 項に規定する外国保険会社

④� 株式会社日本政策投資銀行

⑤� 信用保証協会

⑥� 地方公共団体(上記①から⑤までに掲げ

る者のうちいずれかの者とともに債務免除

等をするものに限ります。)(注 5) 特定投資事業有限責任組合契約とは、投資

事業有限責任組合契約に関する法律第 3 条第

1項に規定する投資事業有限責任組合契約(以

下「投資事業有限責任組合契約」といいま

す。)のうち、内閣総理大臣及び経済産業大臣

の定める一定の基準に適合するものとして内

閣総理大臣及び経済産業大臣が指定するもの

をいいます(措法67の 5 の 2 ②三、措令39の

28の 2 ④)。(注 6) 投資事業有限責任組合契約等とは、投資事

業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契

約に関する法律第 3 条第 1 項に規定する有限

責任事業組合契約をいいます(措法67の 5 の

2 ②二)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の102の 3 )。

2  改正の内容

 適用期限(平成31年 3 月31日)の到来をもって、制度が廃止されました(旧措法67の 5 の 2 、旧措令39の28の 2 、旧措規22の17の 2 )。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(旧措法68の102の 3 、旧措令39の124の 2 、旧措規22の80)。

3  適用関係

 上記 2の改正は、法人について平成31年 4 月 1日前に再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生じた場合におけるその法人のその事実が生じた日を含む事業年度以後の各事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則59)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則76)。

三 投資法人に係る課税の特例

1  改正前の制度の概要

 この制度は、投資信託及び投資法人に関する法律の投資法人で一定の要件を満たすものが支払う配当等の額で、配当可能利益の額の90%超を配当等の額として支払っていること、他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%以上の数又は金額の株式又は出資を有していないこと、事業年度終了の時において有する一定の特定資産の帳簿価額がその時において有する資産の総額の 2分の 1相当額を超えていること等の一定の要件を満たすその投資法人の事業年度に係るものは、その事業年度において損金の額に算入できるというも

のです(措法67の15①)。 ただし、その損金の額に算入できる金額は、その事業年度の所得の金額を限度とすることとされています(措法67の15①ただし書)。(注 1) 事業年度終了の時において資産の総額の 2

分の 1 を超えて有することを要する特定資産

の範囲は、投資信託及び投資法人に関する法

律施行令(以下「投信法施行令」といいま

す。)第 3 条第 1 号から第10号までに掲げる資

産とされており、同条第 1号に掲げる資産(有

価証券)のうち匿名組合契約等に基づく権利

及び同条第 8 号に掲げる資産(匿名組合出資

持分)については、主として有価証券のうち

─�456�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

匿名組合契約等に基づく権利以外のもの、デ

リバティブ取引に係る権利、不動産、不動産

の賃借権、地上権、約束手形及び金銭債権(以

下「対象資産」といいます。)に対する投資と

して運用することを約する契約に係るものに

限ることとされています(措令39の32の 3 ⑧)。(注 2) 匿名組合契約等とは、匿名組合契約及び外

国におけるこれに類する契約をいい、匿名組

合契約には、当事者の一方が相手方の事業の

ために出資をし、相手方がその事業から生ず

る利益を分配することを約する契約を含むこ

ととされています(措令39の32の 3 ⑪)。(注 3) 投資法人で次の要件を満たすものが、投資

信託及び投資法人に関する法律施行令の一部

を改正する政令(平成26年政令第294号)の施

行の日(平成26年 9 月 3 日)から令和 2 年 3

月31日までの間に特例特定資産の取得をした

場合には、その取得の日からその取得をした

特例特定資産を貸付けの用に供した日以後20

年を経過した日までの間に終了する各事業年

度においては、特例特定資産は、上記(注 1)

の「事業年度終了の時において資産の総額の

2 分の 1 を超えて有することができる特定資

産」及び「対象資産」とみなすこととされて

います(措令39の32の 3 ⑩)。

⑴� その設立に際し発行をした投資口の発行

価額の総額が 1 億円以上であること又はそ

の投資口が金融商品取引所に上場されてい

ること。

⑵� その規約に特例特定資産の運用の方法(そ

の締結する匿名組合契約等の目的である事

業に係る財産に含まれる特例特定資産の運

用の方法を含みます。)が賃貸のみである旨

の記載又は記録があること。

 なお、特例特定資産とは、投信法施行令第

3 条第11号に掲げる資産(再生可能エネルギ

ー発電設備)をいいます(措令39の32の 3 ⑩)。

2  改正の内容

 適用事業年度の要件のうち、「他の法人の発行

済株式又は出資の総数又は総額の50%以上の数又は金額の株式又は出資を有していないこと」との要件が、「投資法人が他の法人の株式若しくは出資を有している場合又は匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次の割合のいずれもが50%以上でないこと」との要件とされました(措法67の15①二ヘ、措令39の32の 3 ⑧⑨)。(注 1) 他の法人からは、投資法人に代わって専ら

国外における不動産の取得又は譲渡等を行う

ことを目的とする一定の外国法人を除くこと

とされ、他の法人の発行済株式又は出資からは、

その他の法人0 0 0 0

が有する自己の株式又は出資を

除くこととされています(措法67の15①二ヘ、

措規22の19⑧)。(注 2) 匿名組合契約等とは、匿名組合契約(これ

に準ずる一定の契約を含みます。)及び外国に

おけるこれに類する契約をいい(措法67の15

①二ヘ)、匿名組合契約に準ずる一定の契約は、

当事者の一方が相手方の事業のために出資を

し、相手方がその事業から生ずる利益を分配

することを約する契約とされています(措令

39の32の 3 ⑧)。(注 3) 上記の改正は、上記の株式又は出資に、⑴

投資法人が匿名組合等を通じて間接的に保有

する株式又は出資及び⑵投資法人による匿名

組合契約等に基づく出資は含まれないと解さ

れていることを踏まえ、投資法人が匿名組合

契約等を締結することによって、その営業者

を介して実質的に事業経営体となることが可

能となり、上記の要件が有名無実化されるこ

とを防止する観点から行うこととされたもの

です。

⑴ その投資法人が有している他の法人の株式又は出資の数又は金額がその他の法人

0 0 0 0

の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める割合 なお、その投資法人が有している他の法人の株式又は出資の数又は金額には、その投資法人の匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者の事業であってその匿名組合契約等の目的である事業に係る財産であるその他の法人

0 0 0 0

の株式

─�457�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

又は出資の数又は金額に、その匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合を乗じて計算した数又は金額(匿名組合を通じた法人出資)を含むこととされています(措法67の15①二ヘ⑴、措令39の32の 3 ⑨)。 また、上記の計算した数又は金額は、その投資法人の匿名組合契約等(その目的である事業に係る財産にその他の法人

0 0 0 0

の株式又は出資が含まれるものに限ります。)が 2 以上ある場合には、それぞれのその計算した数又は金額を合計した数又は金額とすることとされています(措

令39の32の 3 ⑨)。⑵ その投資法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額(匿名組合を通じた事業持分)がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合

3  適用関係

 上記 2の改正は、投資法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、投資法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則48)。

四 農業協同組合等の合併に係る課税の特例

1  改正前の制度の概要

 この制度は、平成13年 4 月 1 日から平成31年 3月31日までの間に行われる次の⑴から⑷までの合併のうち、共同事業合併に該当するものについては、法人税法の適格合併の要件の 1つである共同事業要件(法法 2十二の八ハ、法令 4の 3④)を満たすこととするというものです(措法68の 2 )。⑴ 全国の区域を地区とする農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併⑵ 農業協同組合と農業協同組合との合併⑶ 森林組合と森林組合との合併⑷ 漁業協同組合と漁業協同組合との合併

2  改正の内容

⑴ 対象となる合併の除外 対象となる合併から全国の区域を地区とする農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併(上記 1⑴)が除外されました(旧措法68の 2 一)。(注) 全国の区域を地区とする農業協同組合連合

会の会員たる農業協同組合連合会からは、農

林中央金庫及び特定農水産業協同組合等によ

る信用事業の再編及び強化に関する法律第 2

条第 1 項第 2 号に規定する信用農業協同組合

連合会を除くこととされています。関係法令

については、下記の(参考)をご参照ください。

⑵ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 4年 3月31日まで 3年延長されました(措法68の 2 )。(参考) 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合

等による信用事業の再編及び強化に関する

法律(平成 8年法律第118号)

(定義)

第 2 条 この法律において「特定農水産業協

同組合等」とは、次に掲げる者をいう。

一 省 略

二 信用農業協同組合連合会(農林中央金

庫の会員である農業協同組合連合会であ

って、農業協同組合法第10条第 1 項第 2

号及び第 3 号の事業を併せ行うものをい

う。以下同じ。)

三~六 省 略

─�458�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

2 ~ 4  省 略

3  適用関係

 上記 2 ⑴の改正は、全国の区域を地区とする農

業協同組合連合会が平成31年 4 月 1 日前に行ったその農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併については、従前どおりとされています(改正法附則62)。

五 特定投資信託に係る受託法人の課税の特例

1  改正前の制度の概要

 この制度は、投資信託及び投資法人に関する法律の投資信託のうち法人課税信託に該当するもの(以下「特定投資信託」といいます。)のうち一定の要件を満たすものの収益の分配の額で、分配可能収益の額の90%超を収益の分配の額として支払っていること、事業年度終了の時において有する一定の特定資産の帳簿価額がその時において有する資産の総額の 2分の 1を超えていること、その特定投資信託の信託財産に同一の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%以上の数又は金額の株式又は出資が含まれているものでないこと等の一定の要件を満たすその特定投資信託に係る受託法人の事業年度に係るものは、その事業年度において損金の額に算入できるというものです(措法68の 3 の 3 ①)。 ただし、その損金の額に算入する金額は、その事業年度の所得の金額を限度とすることとされています(措法68の 3 の 3 ①ただし書)。(注 1) 事業年度終了の時において資産の総額の 2

分の 1 を超えて有することを要する特定資産

の範囲は、投資信託及び投資法人に関する法

律施行令第 3 条第 1 号から第10号までに掲げ

る資産とされており、同条第 1 号に掲げる資

産(有価証券)のうち匿名組合契約等に基づ

く権利及び同条第 8 号に掲げる資産(匿名組

合出資持分)については、主として有価証券

のうち匿名組合契約等に基づく権利以外のも

の、デリバティブ取引に係る権利、不動産、

不動産の賃借権、地上権、約束手形及び金銭

債権に対する投資として運用することを約す

る契約に係るものに限られています(措令39

の35の 3 ⑥)。(注 2) 匿名組合契約等とは、匿名組合契約及び外

国におけるこれに類する契約をいい、匿名組

合契約には、当事者の一方が相手方の事業の

ために出資をし、相手方がその事業から生ず

る利益を分配することを約する契約を含むこ

ととされています(措令39の35の 3 ⑥)。

2  改正の内容

 適用事業年度の要件のうち、「特定投資信託の信託財産に同一の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%以上の数又は金額の株式又は出資が含まれているものでないこと」との要件が、「特定投資信託の信託財産に法人の株式若しくは出資が含まれている場合又は特定投資信託に係る受託法人が匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次の割合のいずれもが50%以上でないこと」との要件とされました(措令39の35の 3⑦一、措規22の20の 3 ⑤)。(注 1) 法人の発行済株式又は出資からは、その法

人が有する自己の株式又は出資を除くことと

されています(措令39の35の 3 ⑦一イ)。(注 2) 匿名組合契約等とは、匿名組合契約(これ

に準ずる一定の契約を含みます。)及び外国に

おけるこれに類する契約をいい(措法67の15

①二ヘ)、匿名組合契約に準ずる一定の契約は、

当事者の一方が相手方の事業のために出資を

し、相手方がその事業から生ずる利益を分配

することを約する契約とされています(措令

39の32の 3 ⑧)。(注 3) 上記の改正の趣旨は、前述「三 投資法人

に係る課税の特例」の 2(注 3)をご参照く

ださい。

─�459�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑴ その特定投資信託の信託財産に含まれている法人の株式又は出資の数又は金額がその法人の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める割合 なお、その特定投資信託の信託財産に含まれている法人の株式又は出資の数又は金額には、その特定投資信託に係る受託法人の匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者の事業であってその匿名組合契約等の目的である事業に係る財産であるその法人の株式又は出資の数又は金額に、その匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合を乗じて計算した数又は金額を含むこととされています(措令39の35の3 ⑦一イ、措規22の20の 3 ⑤)。 また、上記の計算した数又は金額は、その特定投資信託に係る受託法人の匿名組合契約等

(その目的である事業に係る財産にその法人の株式又は出資が含まれるものに限ります。)が2以上ある場合には、それぞれのその計算した数又は金額を合計した数又は金額とすることとされています(措規22の20の 3 ⑤)。⑵ その特定投資信託に係る受託法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合

3  適用関係

 上記 2の改正は、特定投資信託に係る受託法人の平成31年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、特定投資信託に係る受託法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正措令附則16)。

六 課税所得の範囲の変更等の場合の特例

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(措法68の 3 の 4 )。

⑴ 特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合等における調整措置 この措置は、特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合には、その該当することとなる日の前日にその特定普通法人が解散したものとみなして、海外投資等損失準備金制度等を適用し、特定普通法人等が公益法人等に該当することとなった場合には、その該当することとなった日にその公益法人等が設立されたものとみなして、研究開発税制等を適用するというものです(措法68の 3 の 4 ①②、措令39の35の 4 ②③)。

(注) 特定普通法人等とは、一般社団法人若しく

は一般財団法人、医療法人その他の普通法人

又は協同組合等のうち、公益法人等に該当す

ることとなり得るもので次に掲げる法人をい

います(措法68の 3 の 4 ①、措令39の35の 4

①)。

①� 一般社団法人又は一般財団法人のうち、

普通法人であるもの

②� 医療法人のうち普通法人であるもの

③� 生産森林組合

⑵ 特定普通法人等が、その特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併を行った場合における調整措置 この措置は、特定普通法人等が、その特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする合併(適格合併に限ります。)を行

─�460�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

った場合には、その合併は適格合併に該当しないものとみなして、海外投資等損失準備金制度等を適用するというものです(措法68の 3 の 4⑤、措令39の35の 4 ④)。

2  改正の内容

⑴ 特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合等における調整措置(上記 1⑴)の対象となる法人の範囲の見直し 特定普通法人等が公益法人等に該当することとなる場合等における調整措置(上記 1 ⑴)の対象となる法人が、特定普通法人等から普通法人又は協同組合等全般とされました(措法68の3 の 4 ①②)。

⑵ 特定普通法人等が、その特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併を行った場合における調整措置(上記 1⑵)の対象となる被合併法人の範囲の見直し 特定普通法人等がその特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格

合併を行った場合における調整措置(上記 1⑵)の対象となる被合併法人が、特定普通法人等から普通法人又は協同組合等全般とされました(措法68の 3 の 4 ⑤、措令39の35の 4 ③)。

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴の改正は、平成31年 4 月 1 日後に公益法人等に該当することとなる普通法人及び協同組合等について適用し、同日以前に公益法人等に該当することとなった特定普通法人等については、従前どおりとされています(改正法附則65)。⑵ 上記 2 ⑵の改正は、平成31年 4 月 1 日後に行われる普通法人又は協同組合等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併について適用し、同日以前に行われた特定普通法人等を被合併法人とし、公益法人等を合併法人とする適格合併については、従前どおりとされています(改正措令附則28)。

七 その他の特別措置

 沖縄の認定法人の課税の特例の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(措法60①表一・二②)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(措法68の63①表一・二②)。

第六 その他一 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し

1  改正前の制度の概要

 中小企業者については、次の表のとおり、租税特別措置法及び震災税特法における各制度において各措置が講じられています。

制度名(条項等) 措置内容

⑴ 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度[研究開発税制](措法42の 4③~⑤)

中小企業技術基盤強化税制(税額控除割合:14%→最大で17%等)の適用対象

─�461�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑵ 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(措法42の 5 ①②)

税額控除の適用対象

⑶ 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度[中小企業投資促進税制](措法42の 6 ①②)

制度の適用対象

⑷ 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(措法42の11の 3 ①②、措令27の11の3 )

特定建物等の規模要件の緩和(2,000万円以上→1,000万円以上)対象

⑸ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(措法42の12の 3①②)

制度の適用対象

⑹ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(措法42の12の 4 ①②)

制度の適用対象

⑺ 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度(措法42の12の 5 ②③十二)

①教育訓練費増加要件等を満たす場合の税額控除割合の上乗せ(20%→25%)及び②適用要件の緩和(給与等支給額増加要件: 3 %以上→�1.5%以上、国内設備投資要件:不要、教育訓練費増加要件:直近 2年平均額の20%以上→直近 1年平均額の10%以上、教育訓練費増加要件と経営力向上要件との選択適用)対象

⑻ 法人税の額から控除される特別控除額の特例(措法42の13⑥)

特定税額控除制度の不適用措置の対象外

⑼ 被災代替資産等の特別償却制度(措法43の 3 ①②)

特別償却割合の上乗せ(建物及びその附属設備又は構築物:15(10)%→18(12)%、機械及び装置:30(20)%→36(24)%)対象

⑽ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度(措法45②表四)

振興山村における産業振興機械等の割増償却措置の適用対象

⑾ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67の 5 ①)

制度の適用対象

⑿ 被災代替資産等の特別償却制度(震災税特法18①)

特別償却割合の上乗せ(建物及びその附属設備又は構築物:10%→12%、機械及び装置:20%→24%、船舶又は車両及び運搬具:20%→24%)対象

⒀ 再投資等準備金制度(震災税特法18の 3 ①、震災税特令18の 3 ①)

適用要件の緩和(指定事業年度における設備投資要件( 3億円以上):不要)対象

(注) 上記の各制度のほか、今回の改正において、

復興産業集積区域における開発研究用資産の特

別償却制度等について、平成31年 4 月 1 日から

令和 3 年 3 月31日までの間に、その認定地方公

共団体の作成したその認定に係る復興推進計画

に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地

域を含む市町村の区域に限ります。)内において、

取得又は製作若しくは建設をして開発研究の用

に供した開発研究用資産に係る特別償却割合を

引き上げる措置の適用対象法人が中小企業者等

(中小企業者又は農業協同組合等)とされていま

す(後述「第七 震災税特法関係」の「七 復

興産業集積区域における開発研究用資産の特別

償却制度等」の 2参照)。

 中小企業者は、資本金の額若しくは出資金の額が 1億円以下の法人のうち次の法人以外の法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とされています(措法42の 4 ⑧六、措令27の 4 ⑫)。

─�462�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑴ その発行済株式又は出資の総数又は総額の 2分の 1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人⑵ 上記⑴の法人のほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の 3分の 2以上が大規模法人の所有に属している法人 大規模法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が 1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除いたものとされています(措令27の 4⑫)。 すなわち、資本金の額又は出資金の額が 1億円以下の法人であっても、上記⑴又は⑵の法人に該当するものは、みなし大企業(中小企業者以外の法人とみなされる法人)として、中小企業者から除外されています。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(措法68の 9 ③~⑤⑧五、68の10①②、68の11①②、68の15①②、68の15の4 ①②、68の15の 5 ①②、68の15の 6 ②③十一、68の15の 8 ⑥、68の18①②、68の27②表四、68の102の 2 ①、震災税特法26①、26の 3 ①、措令39の39⑪、39の45①、震災税特令23の 3 ①)。

2  改正の内容

 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲について、次の見直しが行われました。

⑴ みなし大企業の判定における大規模法人の範囲の見直し みなし大企業の判定における大規模法人の範囲について、次の見直しが行われました。① 追加 大規模法人に、次の法人が追加されました(措法42の 4 ⑧七、42の 6 ①、措令27の 4 ⑫、27の 6 ①)。イ 大法人(次の法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人(注) 完全支配関係とは、法人税法第 2 条第

12号の 7 の 6 に規定する完全支配関係を

いいます。

イ 資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人ロ 相互会社及び外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人(注) 相互会社とは、保険業法第 2 条第 5

項に規定する相互会社をいい、外国相

互会社とは、同条第10項に規定する外国

相互会社をいいます。関係法令につい

ては、下記の(参考 1)をご参照ください。ハ 受託法人(注) 受託法人とは、法人税法第 4 条の 7

に規定する受託法人をいいます。

ロ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記イの法人を除きます。)(注) 株式には、投資信託及び投資法人に関

する法律第 2 条第14項に規定する投資口

を含むこととされています。関係法令に

ついては、下記の(参考 2)をご参照く

ださい。

 すなわち、改正前は、大規模法人が直接にその株式又は出資を有する法人(その大規模法人を親法人とする子法人のみ)がみなし大企業に該当することとされていましたが、改正後は、次のイメージ図のとおり、大規模法人が直接又は間接にその株式又は出資を有する法人(その大規模法人を親法人とする子法人、孫法人、曾孫法人等)がみなし大企業に該当することとなり、みなし大企業の範囲が拡大され、中小企業向けの租税特別措置の適用対象範囲が縮小されることとなります。

─�463�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

② 除外 大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構が除外されました(措法42の 6 ①、措令27の 6 ①)。 ただし、その除外の範囲は、判定法人(みなし大企業の判定の対象となる資本金の額又

は出資金の額が 1億円以下の法人をいいます。以下同じです。)の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法第23条第 1項に規定する認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限ることとされており、独立行政法人中

中小企業投資促進税制の適用対象外等

みなし大企業資本金3千万円

30%35%35%

100%子 中小

資本金5億円

資本金5千万円

資本金5千万円

<みなし大企業に該当する例①>

みなし大企業(大規模法人)

大法人(大規模法人)

中小企業投資促進税制の適用対象外等

みなし大企業資本金3千万円

50%50%

100%

子 中小

資本金5億円

資本金3千万円

資本金5千万円

みなし大企業(大規模法人)

大法人(大規模法人)

<みなし大企業に該当する例②>

子A 子B

資本金5億円

資本金3千万円

資本金3千万円

資本金3千万円

資本金3千万円

A・B・C・D・曾孫=中小企業投資促進税制の適用対象外等

資本金5千万円

資本金5千万円

大法人(大規模法人)

孫C 孫D

曾孫中小

100%100%

100%

30% 37%

33%

100%

みなし大企業

みなし大企業(大規模法人)

みなし大企業(大規模法人)

みなし大企業(大規模法人)

みなし大企業(大規模法人)

<みなし大企業に該当する例③>

子 子

資本金1億円

資本金5億円

資本金5億円

資本金3千万円

中小企業投資促進税制の適用対象外等

資本金3千万円

曾孫

100% 100%

50% 50%

50%

みなし大企業(大規模法人)

みなし大企業

大法人(大規模法人)

<みなし大企業に該当する例④>

─�464�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

小企業基盤整備機構の所有に属している株式又は出資の全てではありません。 なお、この見直しの対象となる制度は、次の 6制度とされています。イ 中小企業投資促進税制(上記 1表⑶)ロ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(上記 1表⑸)ハ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(上記 1表⑹)ニ 被災代替資産等の特別償却制度(上記 1表⑼)ホ 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度(措法44の 2 ①)ヘ 被災代替資産等の特別償却制度(上記 1表⑿)

(注 1) 上記の改正は、中小企業者の円滑な事

業承継を後押しするための措置として創

設された中小企業等経営強化法の事業承

継ファンドの認定制度において、その認

定に係る事業承継ファンドが独立行政法

人中小企業基盤整備機構から一定の出資

を受けることとされており、かつ、その

出資先が主としてその経営又は株式を承

継しようとする者を確保することが困難

な状況等に直面している中小企業者とさ

れていることを踏まえ、その中小企業者

が事業承継を行う上で必要な企業価値の

維持・向上のための設備投資の促進に資

すると考えられる上記の 6 制度を適用で

きるようにする観点から、これらの制度

の適用対象となる中小企業者から除外さ

れるみなし大企業の判定において、大規

模法人の所有に属している株式から独立

行政法人中小企業基盤整備機構がその認

定に係る事業承継ファンドを通じて保有

している株式を除外することとされたも

のです。(注 2) 上記ホの制度は、今回の改正において

創設され、その適用対象となる一定の中

小企業者については、上記⑴及び下記⑵

の見直し後の中小企業者とされています

(前述「第二 特別償却関係」の「三 特

定事業継続力強化設備等の特別償却制度

(創設)」の 3 ⑴(注 1)参照)。(注 3) 関係法令については、下記の(参考 3)

をご参照ください。

 すなわち、その発行済株式の総数の 2分の1以上が独立行政法人中小企業基盤整備機構の所有に属している法人のうち中小企業等経営強化法の認定事業承継ファンドを通じて独立行政法人中小企業基盤整備機構に保有されている株式をみなし大企業の判定上、その判定式の分子から除くとその総数の 2分の 1未満となるもの及びその発行済株式の総数の 3分の 2以上が独立行政法人中小企業基盤整備機構を含む大規模法人の所有に属している法人のうち同法の認定事業承継ファンドを通じて独立行政法人中小企業基盤整備機構に保有されている株式をみなし大企業の判定上、その判定式の分子から除くとその総数の 3分の2未満となるものがみなし大企業に該当しないこととなり、みなし大企業の範囲が縮小され、中小企業向けの租税特別措置の適用対象範囲が拡大されることとなります。

⑵ みなし大企業の判定における判定法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し 判定法人の発行済株式又は出資からその判定法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(措法42の 4 ⑧七、42の 6 ①、措令27の 4⑫、27の 6 ①)。(注) 上記の改正は、判定法人の有する自己の株

式又は出資は、発行又は出資がされていない

ものと同視できることから、上記 1⑴におけ

る 2 分の 1 以上又は上記 1⑵における 3 分の

2 以上の判定上、除外することとされたもの

です。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記

─�465�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

⑴及び⑵と同様の改正が行われています(措法68の 9 ⑧六、68の11①、措令39の39⑪、39の41①)。(参考 1)� 保険業法(平成 7年法律第105号)

(定義)

第 2条 省 略

2~ 4 省 略

5  この法律において「相互会社」とは、

保険業を行うことを目的として、この法

律に基づき設立された保険契約者をその

社員とする社団をいう。

6~ 9 省 略

10 この法律において「外国相互会社」とは、

外国の法令に準拠して設立された相互会

社と同種の外国の法人又はこれに類似す

る外国の法人をいう。

11~42 省 略(参考 2)� 投資信託及び投資法人に関する法律(昭

和26年法律第198号)

(定義)

第 2条 省 略

2~13 省 略

14 この法律において「投資口」とは、均

等の割合的単位に細分化された投資法人

の社員の地位をいう。

15~25 省 略(参考 3)� 中小企業等経営強化法(平成11年法律

第18号)(中小企業の事業活動の継続に資

するための中小企業等経営強化法等の一

部を改正する法律(令和元年法律第21号)

第 1条の規定による改正後)

(事業再編投資計画の変更等)

第23条 前条第 1 項の認定を受けた投資事

業有限責任組合(以下「認定事業再編投

資組合」という。)は、当該認定に係る事

業再編投資計画を変更しようとするとき

は、経済産業省令で定めるところにより、

経済産業大臣の認定を受けなければなら

ない。

2・ 3 省 略

3  適用関係

⑴ 上記 2 ⑴①及び⑵の改正は、法人の平成31年4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則49、改正措令附則16、18①)。連結納税制度の場合については、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結親法人又はその連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則66、改正措令附則16、30①)。(注) 改正法附則第49条においては、租税特別措

置法第42条の 6 第 1 項に規定する中小企業者

に係る上記 2 ⑴①及び⑵の改正は、法人の平

成31年 4 月 1 日以後に終了する事業年度分の

法人税について適用し、法人の同日前に終了

した事業年度分の法人税については、従前ど

おりとされています。連結納税制度の場合に

ついても同様です(改正法附則66)。ただし、

改正措令附則第18条第 1 項において、法人の

同日前に開始した事業年度においては、上記

2 ⑴①及び⑵の改正を適用しないこととする

読替え規定が設けられており、結果的に上記

の適用関係となります。連結納税制度の場合

についても、連結親法人又はその連結親法人

による連結完全支配関係にある連結子法人の

連結親法人事業年度が同日前に開始した連結

事業年度において同様の読替え規定が設けら

れています(改正措令附則30①)。

⑵ 上記 2 ⑴②の改正は、法人の平成31年 4 月 1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、従前どおりとされています(改正法附則49)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則66)。

─�466�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

二 中小企業向けの租税特別措置の適用停止等

1  改正前の制度の概要

 中小企業向けの租税特別措置(要件の特例を含みます。)について、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものは、その該当する事業年度においては、その適用等を停止することとされています。 適用除外事業者とは、事業年度開始の日前 3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人をいいます(措法42の 4⑧六の二)。 なお、中小企業向け租税特別措置は、次のとおりとされています。⑴ 研究開発税制のうち中小企業技術基盤強化税制(措法42の 4 ③④)⑵ 高度省エネルギー投資促進税制における法人税額の特別控除制度(措法42の 5 ②)⑶ 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の投資規模要件の中小企業特例(措令27の11の 3 )⑷ 中小企業者等が給与等の引上げを行った場合の法人税額の特別控除制度(措法42の12の 5 ②)⑸ 法人税の額から控除される特別控除額の特例のうち特定税額控除制度の不適用措置における対象法人からの除外措置(措法42の13⑥)⑹ 公害防止用設備の特別償却制度(措法43①一)⑺ 自動車教習用貨物自動車の特別償却制度(措法43①三)⑻ 被災代替資産等の特別償却制度(措法43の 3②)⑼ 中小企業等の貸倒引当金の特例のうち中小企業等の法定繰入率の適用に関する特例(措法57の 9 ①)⑽ 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67の 5 ①)

(注 1) 適用除外事業者の判定における所得の金額

の年平均額の計算については、次のとおり、

一定の調整事由に応じて調整を行うこととさ

れています(措令27の 4 ⑬~⑰)。

①� 事業年度の開始の日において設立後 3 年

を経過していないこと��年平均額は 0円

②� 欠損金の繰戻し還付の適用があったこと

��還付所得事業年度の所得の金額からそ

の還付計算の基礎となった欠損金額を減算

③� 特定合併等に係る合併法人等に該当する

ものであること��その特定合併等に係る

被合併法人等の所得の金額を加算

④� 連結法人に該当していたこと��その連

結グループの連結所得の金額を加算

⑤� 公益法人等に該当していたこと��公益

法人等に該当していた事業年度については

収益事業から生じた所得の金額により計算(注 2) 上記の中小企業向け租税特別措置のうち、

⑵、⑷、⑸及び⑽は、平成30年度税制改正

において、それぞれ適用期限が平成31年 4

月 1 日以後の日まで延長されたことにより、

手当てされたものです。

2  改正の内容

⑴ 中小企業向け租税特別措置の整備 次の租税特別措置について、それぞれの適用期限の延長及び創設に伴い、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものは、その該当する事業年度においては、次のとおりその適用を停止すること等とされました。なお、詳細については、各措置の改正の内容をご参照ください。① 中小企業者等の法人税率の特例 適用対象となる中小法人から、各事業年度終了の時において適用除外事業者に該当する普通法人が除外されました(措法42の 3 の 2①)。② 中小企業投資促進税制 適用対象となる中小企業者から、適用除外

─�467�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

事業者に該当する中小企業者が除外されました(措法42の 6 ①)。③ 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度 適用対象となる特定中小企業者等から、適用除外事業者に該当する中小企業者が除外されました(措法42の12の 3 ①)。④ 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度 適用対象となる中小企業者等から、適用除外事業者に該当する中小企業者が除外されました(措法42の12の 4 ①、42の 6 ①)。⑤ 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度 適用対象となる中小企業者から、適用除外事業者に該当する中小企業者が除外されました(措法44の 2 ①)。⑥ 特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち産業振興機械等の割増償却措置イ 中小規模法人から、適用除外事業者に該当するものが除外され、適用除外事業者に該当する法人については、産業振興機械等により構成される設備を新設又は増設により取得等をする場合に限ることとされました(措法45②)。ロ 中小企業者から、適用除外事業者に該当するものが除外され、適用除外事業者に該当する法人については、同措置のうち振興山村地域に係る措置の適用を停止することとされました(措法45②)。ハ 産業振興機械等により構成される設備のうち製造業又は旅館業の用に供されるものに係る投資規模要件における500万円又は1,000万円以上の基準の対象となる法人から、適用除外事業者に該当するものが除外され、適用除外事業者に該当する法人については、その投資規模要件の基準が2,000万円以上とされました(措令28の 9 ⑯⑱⑳)。

⑵ 所得の金額の年平均額の計算における調整事由のうち特定合併等の判定の整備 判定法人が特定合併等に係る合併法人等に該当するものである場合には、所得の金額の年平均額の計算の調整を行うこととされていますが、この調整の対象となる特定合併等のうち、「判定法人が合併等の直前において行う事業(以下「旧事業」といいます。)の全てをその合併等の日以後に廃止した又は廃止することが見込まれている場合において、その旧事業のその合併等の直前における事業規模のおおむね 5倍を超える資金借入れ等を行った又は行うことが見込まれているときのその合併等で、基準日から判定対象年度終了の日までの間に行われたもの」の判定について、判定法人の資金借入れ等により行われることが見込まれる事業(以下「新事業」といいます。)の内容が明らかである場合における旧事業の事業規模と資金借入れ等との比較方法の細目等が次のとおり定められました(措規20⑩)。(注 1) 判定法人とは、この制度の適用を判定す

る法人をいいます。(注 2) 合併等とは、合併、分割、現物出資、事

業の譲受け又は特別の法律に基づく承継を

いいます(措令27の 4 ⑮一)。(注 3) 事業規模とは、次の事業の区分に応じた

金額をいいますが、その事業が 2 以上ある

場合には、それぞれの事業の区分に応じた

金額の合計額とされています(措令27の 4

⑮五)。

① 資産の譲渡を主な内容とする事業

 その事業の事業規模算定期間における

その資産の譲渡による売上金額その他の

収益の額の合計額をいいます。なお、合

併等直前事業年度等又は合併等以後事業

年度等が 1 年に満たない場合には、その

合計額を合併等直前事業年度等又は合併

等以後事業年度等の月数で除し、これに

12を乗じて計算した金額とされます。

② 資産の貸付けを主な内容とする事業

─�468�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

 その事業の事業規模算定期間における

その資産の貸付けによる収入金額その他

の収益の額の合計額をいいます。なお、

合併等直前事業年度等又は合併等以後事

業年度等が 1 年に満たない場合には、そ

の合計額を合併等直前事業年度等又は合

併等以後事業年度等の月数で除し、これ

に12を乗じて計算した金額とされます。

③ 役務の提供を主な内容とする事業

 その事業の事業規模算定期間における

その役務の提供による収入金額その他の

収益の額の合計額をいいます。なお、合

併等直前事業年度等又は合併等以後事業

年度等が 1 年に満たない場合には、その

合計額を合併等直前事業年度等又は合併

等以後事業年度等の月数で除し、これに

12を乗じて計算した金額とされます。(注 4) 上記(注 3)の事業規模算定期間とは、

旧事業に係る事業の規模を算定する場合に

あっては判定法人の合併等直前期間又は合

併等直前事業年度等をいい、非従事事業に

係る事業の規模を算定する場合にあっては

合併等以後期間又は合併等以後事業年度等

をいいます(措令27の 4 ⑮六)。(注 5) 合併等直前事業年度等とは、その合併等

の日を含む事業年度又は連結事業年度の直

前の事業年度又は連結事業年度をいい、合

併等直前期間とは、合併等の日の 1 年前の

日からその合併等の日までの期間をいいま

す(措令27の 4 ⑮六)。また、合併等以後事

業年度等とは、判定法人の合併等の日以後

に終了した事業年度又は連結事業年度をい

い、合併等以後期間とは、合併等の日以後

の期間を 1 年ごとに区分した期間をいいま

す(措令27の 4 ⑮六)。(注 6) 非従事事業とは、合併等の直前において

判定法人の業務に従事する使用人がその合

併等の日以後その業務に実質的に従事しな

い事業をいいます(措令27の 4 ⑮一ハ⑶)。(注 7) 資金借入れ等とは、資金の借入れ又は出

資による金銭その他の資産の受入れをいい、

合併又は分割による資産の受入れを含みま

す(措令27の 4 ⑮一ハ⑵)。(注 8) 基準日とは、判定対象年度開始の日から

起算して 3 年前の日をいいます(措令27の

4 ⑬四)。(注 9) 判定対象年度とは、判定法人のこの制度

の適用を判定しようとする事業年度をいい

ます。

① 判定法人の新事業の内容が明らかである場合には、判定法人が旧事業の事業規模のおおむね 5倍を超える資金借入れ等を行ったかどうか又は行うことが見込まれているかどうかの判定及び旧事業又は新事業に係る事業資金額について、法人税法施行規則第26条の 4第2項及び第 3項の規定を準用することとされました。 すなわち、上記の「 5倍を超える資金借入れ等を行った」か否かの判定は、判定法人の新事業の内容が明らかである場合で新事業の内容に応じた事業規模の算出が可能であるならば、判定法人の選択により、旧事業の事業規模又はその事業資金額と新事業の事業規模又はその事業資金額とを比較する方法により行うことができるとされていますが、その具体的な判定方法について、次の事実がある場合には、その事実に応じたそれぞれの方法により行うことが明らかとされました(措令27の 4 ⑰において準用する法令113の 2 ⑬、措規20⑩において準用する法規26の 4 ②③)。イ 旧事業による収益が資産の譲渡によるものである場合で、新事業が次のものであることが明らかであるとき 次の新事業の区分に応じた方法によることとされています。イ 資産の譲渡による事業��旧事業による事業規模算定期間における譲渡収益額と新事業による事業規模算定期間における譲渡収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期

─�469�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

間における原価所要額と資金借入れ等による棚卸資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 事業規模算定期間とは、旧事業に

あっては判定法人の合併等直前期間

又は合併等直前事業年度等をいい、

新事業にあっては資金借入れ等の日

以後の期間を 1 年ごとに区分した期

間又は同日の属する事業年度若しく

は連結事業年度以後の事業年度若し

くは連結事業年度をいいます。(注 2) 譲渡収益額とは、租税特別措置法

施行令第27条の 4 第15項第 5 号イに

定める金額をいいます。(注 3) 原価所要額とは、旧事業による事

業規模算定期間における棚卸資産に

係る譲渡原価の額とその棚卸資産の

その事業規模算定期間終了の時にお

ける残高からその事業規模算定期間

開始の時における残高を控除した金

額との合計額をいいます。(注 4) 棚卸資産資金額とは、資金借入れ

等による金銭の額及び金銭以外の資

産の価額の合計額をいいますが、資

金借入れ等が合併、分割又は現物出

資によるものである場合には、その

合併、分割又は現物出資により移転

を受けた棚卸資産の価額と金銭等価

額との合計額とされています。なお、

金銭等価額とは、金銭の額及び金銭

以外の預金、貯金、貸付金、売掛金

その他の債権の価額をいい、これら

に対応する貸倒引当金勘定の金額が

ある場合には、これを控除した金額

とされています。(注 5) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

収益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による棚卸資産

資金額をいいます。(注 6) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

収益額又は原価所要額をいいます。

ロ 資産の貸付けによる事業��旧事業による事業規模算定期間における譲渡利益額と新事業による事業規模算定期間における貸付収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間における原価所要額と資金借入れ等による貸付資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 譲渡利益額とは、譲渡収益額から、

その売上原価その他の原価の額を控

除した金額をいいいます。(注 2) 貸付収益額とは、租税特別措置法

施行令第27条の 4 第15項第 5 号ロに

定める金額をいいます。(注 3) 貸付資産資金額とは、資金借入れ

等による金銭の額及び金銭以外の資

産の価額の合計額をいいますが、資

金借入れ等が合併、分割又は現物出

資によるものである場合にあっては、

その合併、分割又は現物出資により

移転を受けた貸付けの用に供される

ことが見込まれる資産の価額と金銭

等価額との合計額とされています。(注 4) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による貸付資産

資金額をいいます。(注 5) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

利益額又は原価所要額をいいます。

ハ 役務の提供による事業��旧事業による事業規模算定期間における譲渡利益額と新事業による事業規模算定期間における役務提供収益額として合理的に見込ま

─�470�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

れる金額と又は旧事業による事業規模算定期間における原価所要額と資金借入れ等による役務提供資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 役務提供収益額とは、租税特別措

置法施行令第27条の 4 第15項第 5 号

ハに定める金額をいいます。(注 2) 役務提供資金額とは、資金借入れ

等による金銭の額及び金銭以外の資

産の価額の合計額をいいますが、資

金借入れ等が合併、分割又は現物出

資によるものである場合にあっては、

その合併、分割又は現物出資により

移転を受けたその役務の提供の用に

供することが見込まれる資産の価額

と金銭等価額との合計額とされてい

ます。(注 3) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額として合理的に見込まれ

る金額又は資金借入れ等による役務

提供資金額をいいます。(注 4) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

利益額又は原価所要額をいいます。

ロ 旧事業による収益が資産の貸付けによるものである場合で、新事業が次のものであることが明らかであるとき 次の新事業の区分に応じた方法によることとされています。イ 資産の譲渡による事業��旧事業による事業規模算定期間における貸付収益額と新事業による事業規模算定期間における譲渡利益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間終了の時における貸付資産額と資金借入れ等による棚卸資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍

を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 貸付資産額とは、貸付けの用に供

していた資産の価額をいいます。(注 2) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

利益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による棚卸資産

資金額をいいます。(注 3) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額又は旧事業による事業規模算

定期間終了の時における貸付資産額

をいいます。

ロ 資産の貸付けによる事業��旧事業による事業規模算定期間における貸付収益額と新事業による事業規模算定期間における貸付収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間終了の時における貸付資産額と資金借入れ等による貸付資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による貸付資産

資金額をいいます。(注 2) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額又は旧事業による事業規模算

定期間終了の時における貸付資産額

をいいます。

ハ 役務の提供による事業��旧事業による事業規模算定期間における貸付収益額と新事業による事業規模算定期間における役務提供収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間終了の時における貸付資産額と資

─�471�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

金借入れ等による役務提供資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額として合理的に見込まれ

る金額又は資金借入れ等による役務

提供資金額をいいます。(注 2) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額又は旧事業による事業規模算

定期間終了の時における貸付資産額

をいいます。

ハ 旧事業による収益が役務の提供によるものである場合で、新事業が次のものであることが明らかであるとき 次の新事業の区分に応じた方法によることとされています。イ 資産の譲渡による事業��旧事業による事業規模算定期間における役務提供収益額と新事業による事業規模算定期間における譲渡利益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間における役務提供所要額と資金借入れ等による棚卸資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 役務提供所要額とは、役務の提供

の用に供していた資金の額をいいま

す。(注 2) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における譲渡

利益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による棚卸資産

資金額をいいます。(注 3) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額又は役務提供所要額をい

います。

ロ 資産の貸付けによる事業��旧事業による事業規模算定期間における役務提供収益額と新事業による事業規模算定期間における貸付収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間における役務提供所要額と資金借入れ等による貸付資産資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における貸付

収益額として合理的に見込まれる金

額又は資金借入れ等による貸付資産

資金額をいいます。(注 2) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額又は役務提供所要額をい

います。

ハ 役務の提供による事業��旧事業による事業規模算定期間における役務提供収益額と新事業による事業規模算定期間における役務提供収益額として合理的に見込まれる金額と又は旧事業による事業規模算定期間における役務提供所要額と資金借入れ等による役務提供資金額とを比較し、新事業計数が旧事業計数のおおむね 5倍を超えるものとなるかどうかを判定する方法(注 1) 上記の新事業計数とは、新事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額として合理的に見込まれ

る金額又は資金借入れ等による役務

提供資金額をいいます。(注 2) 上記の旧事業計数とは、旧事業に

よる事業規模算定期間における役務

提供収益額又は役務提供所要額をい

います。

② 判定法人が上記①の判定方法を選択するた

─�472�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

めに判定対象年度の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に添付する書類の記載事項について、法人税法施行規則第26条の 4第 4項の規定を準用することとされました。 すなわち、旧事業又は新事業に係る譲渡収益額、貸付収益額若しくは役務提供収益額又は事業資金額のほか、次の事項を記載した書類を添付した場合に限り、上記①の判定方法を選択できることが明らかにされました(措令27の 4 ⑰において準用する法令113の 2 ⑭、措規20⑩において準用する法規26の 4 ④)。イ 旧事業の内容並びに新事業の内容及びその新事業が資金借入れ等により行われることについての説明

ロ 旧事業の事業規模算定期間の開始の日及び終了の日並びにその事業規模算定期間における旧事業の事業規模ハ 新事業の事業規模算定期間の開始の日及び終了の日並びにその事業規模算定期間における事業規模ニ その他参考となるべき事項(注) 事業資金額とは、旧事業に係る原価所要

額、貸付資産額及び役務提供所要額並びに

新事業に係る棚卸資産資金額、貸付資産資

金額及び役務提供資金額をいいます(措令

27の 4 ⑰において準用する法令113の 2 ⑬、

措規20⑩において準用する法規26の 4 ③)。

第七 震災税特法関係

一� 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(震災税特法17の 2 )。

⑴ 復興産業集積区域内において産業集積事業又は建築物整備事業の用に供される機械等に係る措置 この措置は、東日本大震災復興特別区域法の認定地方公共団体の指定を受けた法人が、同法の施行の日(平成23年12月26日)から令和 3年3月31日までの間に復興産業集積区域内において産業集積事業又は建築物整備事業の用に供する機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物(以下「機械等」といいます。)でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は機械等の製作若しくは建設をして、これをその法人のこれらの事業の用に供した場合には、これらの事業の用に供した日を含む事業年度において、次の機械等の区分

に応じそれぞれ次の特別償却限度額の特別償却と次の税額控除限度額の税額控除との選択適用ができるというものです(震災税特法17の 2 ①表一②④)。① 機械及び装置のうち、認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村に限ります。)の指定を受けた法人が取得又は製作をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興産業集積区域内において産業集積事業の用に供したものイ 特別償却限度額��その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額ロ 税額控除限度額��その取得価額の15%相当額

② 機械及び装置のうち、上記①の機械及び装置以外のものイ 特別償却限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31

─�473�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

日までの間に取得又は製作をしたもの��その取得価額の50%相当額ロ 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は製作をしたもの��その取得価額の34%相当額

ロ 税額控除限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作をしたもの��その取得価額の15%相当額ロ 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は製作をしたもの��その取得価額の10%相当額

③ 建物及びその附属設備並びに構築物のうち、認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村に限ります。)の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興産業集積区域内において産業集積事業又は建築物整備事業の用に供したものイ 特別償却限度額��その取得価額の25%相当額ロ 税額控除限度額��その取得価額の 8%相当額

④ 建物及びその附属設備並びに構築物のうち、上記③の建物及びその附属設備並びに構築物以外のものイ 特別償却限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の25%相当額ロ 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の17%相当額

ロ 税額控除限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の 8%相当額

ロ 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の 6%相当額

⑵ 復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供される被災者向け優良賃貸住宅に係る措置 この措置は、東日本大震災復興特別区域法の認定地方公共団体の指定を受けた法人が、同法の施行の日(平成23年12月26日)から令和 3年3月31日までの間に復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供する被災者向け優良賃貸住宅でその建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は被災者向け優良賃貸住宅の建設をして、これをその法人の賃貸住宅供給事業の用に供した場合には、その賃貸住宅供給事業の用に供した日を含む事業年度において、次の被災者向け優良賃貸住宅の区分に応じそれぞれ次の特別償却限度額の特別償却と次の税額控除限度額の税額控除との選択適用ができるというものです(震災税特法17の 2 ①表二②④)。① 被災者向け優良賃貸住宅のうち認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村に限ります。)の指定を受けた法人が取得又は建設をしてその認定に係る認定復興推進計画に定められた復興居住区域内において賃貸住宅供給事業の用に供したものイ 特別償却限度額��その取得価額の25%相当額ロ 税額控除限度額��その取得価額の 8%相当額

② 被災者向け優良賃貸住宅のうち上記①の被災者向け優良賃貸住宅以外のものイ 特別償却限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成29年 4 月 1 日から令和 2年 3月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の25%相当額ロ 令和 2年 4月 1日から令和 3年 3月31

─�474�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の17%相当額

ロ 税額控除限度額��次の区分に応じそれぞれ次の金額イ 平成29年 4 月 1 日から令和 2年 3月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の 8%相当額ロ 令和 2年 4月 1日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は建設をしたもの��その取得価額の 6%相当額

 上記⑴又は⑵の税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、上記⑴及び⑵の税額控除の合計で当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 4年間の繰越しができることとされています(震災税特法17の 2 ②~④)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(震災税特法25の 2 )。

2  改正の内容

 認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の指定を受けた法人が、平成31年 4 月 1 日から令和 3年3月31日までの間に、その認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限ります。)内において、取得又は製作をして産業集積事業の用に供した機械及び装置並びに取得又は建設をして産業集積事業又は建築物整備事業の用に供した建物及びその附属設備並びに構築物に係る特別償却割合及び税額控除割合が、それぞれ次のとおり引き上げられました(震災税特法17の 2 ④一ロホ・二イハ、旧震災税特法17の2 ④一ロニ・二ロニ)。⑴ 機械及び装置① 特別償却割合��50%(改正前:34%)② 税額控除割合��15%(改正前:10%)⑵ 建物及びその附属設備並びに構築物① 特別償却割合��25%(改正前:17%)

② 税額控除割合�� 8%(改正前: 6%)(注 1) 雇用等被害地域とは、東日本大震災復興特

別区域法第 2 条第 3 項第 2 号イに規定する地

域をいい、具体的には、東日本大震災により

多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生

産活動の基盤に著しい被害を受けた地域とさ

れています。関係法令については、下記の(参

考)をご参照ください。なお、雇用等被害地

域は、復興産業集積区域が存在する143市町村

のうち沿岸部の35市町村において定められて

います。(注 2) 認定地方公共団体からはその認定を受けた

福島県又は福島県の区域内の市町村が除外さ

れていますが、認定地方公共団体である福島

県又は福島県の区域内の市町村については、

平成31年 4 月 1 日から令和 3 年 3 月31日まで

の間に、その市町村の区域内において、取得

又は製作をして産業集積事業の用に供した機

械及び装置についてはその取得価額から普通

償却限度額を控除した金額に相当する金額の

特別償却(即時償却)又はその取得価額の15

%相当額の税額控除の選択適用が、取得又は

建設をして産業集積事業又は建築物整備事業

の用に供した建物及びその附属設備並びに構

築物についてはその取得価額の25%相当額の

特別償却又は 8 %相当額の税額控除の選択適

用が、それぞれできることとされています。

 すなわち、平成31年 4 月 1 日から本制度の適用期限である令和 3年 3月31日までの間に、復興産業集積区域のうち雇用等被害地域を含む市町村の区域に該当する区域内において、取得又は製作若しくは建設をして産業集積事業又は建築物整備事業の用に供した機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物に係る特別償却割合及び税額控除割合について、平成31年 3 月31日以前に取得又は製作若しくは建設をして産業集積事業又は建築物整備事業の用に供した機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物に係る特別償却割合及び税額控除割合を維持することとされました。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の

─�475�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

改正が行われています(震災税特法25の 2 ④一ロホ・二イハ、旧震災税特法25の 2 ④一ロニ・二ロニ)。(参考) 東日本大震災復興特別区域法(平成23年

法律第122号)

(定義)

第 2条 省 略

2 省 略

3  この法律において「復興推進事業」とは、

次に掲げる事業をいう。

一 省 略

二 次に掲げる事業であって個人事業者又

は法人により行われるもの

イ 産業集積の形成及び活性化を図るこ

とを通じて東日本大震災により多数の

被災者が離職を余儀なくされ、又は生

産活動の基盤に著しい被害を受けた地

域における雇用機会の確保に寄与する

事業(ロに掲げるものを除く。)

ロ~ニ 省 略

三・四 省 略

4~14 省 略

3  適用関係

 上記 2の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物については、従前どおりとされています(改正法附則93)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則96)。

二� 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、福島復興再生特別措置法の認定事業者に該当する法人が、提出企業立地促進計画の提出のあった日(平成25年 6 月10日)から同日又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後 5年を経過する日までの期間(その期間内にその企業立地促進区域の変更がある場合には、一定の期間)内に、特定機械装置等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は特定機械装置等の製作若しくは建設をして、これをその企業立地促進区域内においてその法人の避難解除等区域復興再生推進事業の用に供した場合には、その避難解除等区域復興再生推進事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定機械装置等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額(建物及びその附属設備並びに構築物については、その取得価額の25%

相当額)の特別償却とその取得価額の15%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 8%)相当額の税額控除との選択適用ができるというものです(震災税特法17の 2 の 2 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 4年間の繰越しができることとされています(震災税特法17の 2 の 2 ②~④)。(注 1) 福島復興再生特別措置法の認定事業者に該

当する法人とは、同法第23条に規定する認定

事業者をいい、具体的には、提出企業立地促

進計画に定められた企業立地促進区域内にお

いて認定避難解除等区域復興再生推進事業実

施計画に従って避難解除等区域復興再生推進

事業の用に供する施設又は設備を新設し、又

は増設した避難解除等区域復興再生推進事業

実施計画の認定を受けた法人とされています。(注 2) 避難解除区域等とは、福島復興再生特別措

置法第18条第 2 項第 2 号に規定する避難解除

─�476�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

区域等をいい、具体的には、避難解除区域及

び現に避難指示であって同法第 4 条第 4 号ハ

に掲げる指示であるものの対象となっている

区域とされています。(注 3) 避難指示とは、福島復興再生特別措置法第

4 条第 4 号イからホまでに掲げる指示をいい

ます。(注 4) 特定機械装置等とは、機械及び装置、建物

及びその附属設備並びに構築物をいいます。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 2 の 2 )。

2  改正の内容

 提出企業立地促進計画の提出のあった日(平成25年 6 月10日)又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日以後である避難解除区域等については、本制度の適用期間の末日を、そのいずれか遅い日以後 7年(改正前: 5年)を経過する日とされました(震災税特法17の 2 の 2①②)。(注 1) 上記の改正は、その避難解除区域等に該当

する企業立地促進区域に係る本制度の適用を

受けようとする法人の福島県知事の認定を受

ける期間についても、同様となります。(注 2) 提出企業立地促進計画の提出のあった日(平

成25年 6 月10日)又は提出企業立地促進計画

に定められた企業立地促進区域に該当する避

難解除区域等に係る避難指示の全てが解除さ

れた日のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日

前である避難解除区域等に係る本制度の適用

期間の末日は、これまでどおり、そのいずれ

か遅い日以後 5年を経過する日となります。

 また、上記の適用期間内に企業立地促進計画の変更により新たに企業立地促進区域に該当することとなる避難解除区域等についても、本制度の適用期間の末日を、その変更について企業立地促進計画の提出のあった日又はその避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後 7年(改正前: 5年)を経過する日とされました(震災税特法17の 2 の 2 ①②、震災税特令17の 2 の 2 一)。(注 3) 上記の適用期間の末日の見直しによって、

福島再開投資等準備金制度における本制度の

特例のうち準備金の積立期間の末日の翌日以

後 2 年を経過する日を 5 年経過日等とみなす

措置が不要となったことから、関係規定を削

除する所要の整備が行われています(旧震災

税特法18の 8 ⑰二・三、旧震災税特令18の 7 )。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 2 の 2 ①②、旧震災税特法26の 8 ⑱二・三、震災税特令22の 2 の 2 ①一、旧震災税特令23の 7 ②)。

三� 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、福島県知事の確認を受けた法人が、避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画の認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日以後 5年を経過する日までの期間(その期

間内にその特定復興再生拠点区域復興再生計画に記載された特定復興再生拠点区域の変更がある場合には、一定の期間)内に、特定機械装置等でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は特定機械装置等の製作若しくは建設をして、これをその避難解除区域等内においてその法人の特定事業の用に供した場合には、その特定事業の用に供した日を含む事業年度において、その特定機械装置等の取得価額から普通償

─�477�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

却限度額を控除した金額に相当する金額(建物及びその附属設備並びに構築物については、その取得価額の25%相当額)の特別償却とその取得価額の15%(建物及びその附属設備並びに構築物については、 8%)相当額の税額控除との選択適用ができるというものです(震災税特法17の 2 の 3 ①②)。 税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとし、税額控除限度超過額については、 4年間の繰越しができることとされています(震災税特法17の 2 の 3 ②~④)。(注 1) 福島県知事の確認を受けた法人とは、福島

復興再生特別措置法第36条の規定により福島

県知事による確認を受けた法人をいい、具体

的には、避難指示の対象となった区域内に平

成23年 3 月11日においてその事業所が所在し

ていたことについて、福島県知事の確認を受

けた法人とされています。(注 2) 避難解除区域等とは、福島復興再生特別措

置法第18条第 2 項第 2 号に規定する避難解除

区域等をいい、具体的には、避難解除区域及

び現に避難指示であって同法第 4 条第 4 号ハ

に掲げる指示であるものの対象となっている

区域とされています。(注 3) 避難指示とは、福島復興再生特別措置法第

4 条第 4 号イからホまでに掲げる指示をいい

ます。(注 4) 避難等指示とは、福島復興再生特別措置法

第 4 条第 4 号イ、ロ、ニ又はホに掲げる指示

をいいます。(注 5) 特定機械装置等とは、機械及び装置、建物

及びその附属設備並びに構築物をいいます。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 2 の 3 )。

2  改正の内容

 避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日以後である避難解除区域等については、本制度の適用期間の末日を、そのいずれか遅い日以後 7年(改正前: 5年)を経過する日とされました(震災税特法17の 2 の 3 ①②)。(注 1) 上記の改正は、その避難解除区域等に係る

本制度の適用を受けようとする法人の福島県

知事の確認を受ける期間についても、同様と

なります。(注 2) 避難解除区域等に係る避難等指示が解除さ

れた日又は福島復興再生特別措置法第 4 条第

4 号ハに掲げる指示が解除された日のいずれ

か遅い日が平成26年 4 月 1 日前である避難解

除区域等に係る本制度の適用期間の末日は、

これまでどおり、そのいずれか遅い日以後 5

年を経過する日となります。

 また、上記の適用期間内に、認定特定復興再生拠点区域復興再生計画の変更により新たに認定特定復興再生拠点区域に該当することとなる避難解除区域等及びその変更により認定特定復興再生拠点区域に該当しないこととなる避難解除区域等についても、本制度の適用期間の末日を、その避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日以後 7 年(改正前: 5 年)を経過する日とされました(震災税特法17の 2 の 3 ①②、震災税特令17の 2 の 3一・二ロ)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 2 の 3 ①②、震災税特令22の 2 の 3 ①一・二ロ)。

─�478�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

四� 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、東日本大震災復興特別区域法の施行の日(平成23年12月26日)から令和 3年 3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人が、その指定があった日から同日以後 5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内の日を含む各事業年度の適用期間内において、その認定地方公共団体の作成したその認定を受けた復興推進計画に定められた復興産業集積区域内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その事業年度において、その支給する給与等の額の10%(平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に指定を受けた法人がその指定をした認定地方公共団体(福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の作成したその認定を受けた復興推進計画に定められた復興産業集積区域内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額にあっては、 7%)相当額の税額控除ができるというものです(震災税特法17の 3 ①)。 税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(震災税特法17の 3 ①後段)。(注 1) 産業集積事業所とは、東日本大震災復興特

別区域法第 2 条第 3 項第 2 号イ(福島復興再

生特別措置法第74条の規定により読み替えて

適用する場合を含みます。)に掲げる事業を行

う事業所をいいます。(注 2) 被災雇用者等とは、東日本大震災の被災者

である事業者により雇用されていた者又は東

日本大震災により被害を受けた地域内に居住

していた者をいい、具体的には、平成23年 3

月11日において東日本大震災復興特別区域法

第 4 条第 1 項に規定する特定被災区域(以下

「特定被災区域」といいます。)内に所在する

事業所に雇用されていた者又は同日において

特定被災区域内に居住していた者とされてい

ます(震災税特令17の 3 )。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 3 )。

2  改正の内容

 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の指定を受けた法人が、その指定をした認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限ります。)内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額に係る税額控除割合が、10%(改正前: 7%)に引き上げられました(震災税特法17の 3 ①)。(注 1) 雇用等被害地域とは、東日本大震災復興特

別区域法第 2 条第 3 項第 2 号イに規定する地

域をいい、具体的には、東日本大震災により

多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生

産活動の基盤に著しい被害を受けた地域とさ

れています。関係法令については、前述「一

 復興産業集積区域等において機械等を取得

した場合の特別償却又は法人税額の特別控除

制度」の 2の(参考)をご参照ください。なお、

雇用等被害地域は、復興産業集積区域が存在

する143市町村のうち沿岸部の35市町村におい

て定められています。(注 2) 認定地方公共団体からはその認定を受けた

福島県又は福島県の区域内の市町村が除外さ

れていますが、平成31年 4 月 1 日から令和 3

年 3 月31日までの間に認定地方公共団体であ

る福島県又は福島県の区域内の市町村の指定

─�479�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

を受けた法人がその指定をしたその認定地方

公共団体の作成したその認定に係る復興推進

計画に定められた復興産業集積区域内に所在

する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等

に対して支給する給与等の額に係る税額控除

割合は、10%とされています。

 すなわち、平成31年 4 月 1 日から本制度の指定期限である令和 3年 3月31日までの間に認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の指定を受けた法人が復興産業集積区域のうち雇用等被害地域を含む市町村の区域に該当する区域内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額に係る税額控除割合について、平成31年 3 月31日以前にその認定地方公共団体の指定を受けた法人が被災雇用者等に対して支給する給与等の額に係る税額控除割合を維持することとされました。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 3 ①)。 また、この改正に伴い、連結法人税の個別帰属額及び連結法人の地方法人税の個別帰属額の計算において、減算調整額に含めることとされている金額の計算における本制度の適用により調整前連結税額から控除される金額のうち、各連結法人に帰せられる金額及び連結親法人又は各連結子法人に帰せられる金額が、本制度の適用により適用年度の連結所得に対する調整前連結税額から控除された金額に次の⑴の金額が⑵の金額のうちに占め

る割合を乗じて計算した金額とされました(震災税特令22の 3 ②)。⑴ 認定地方公共団体の指定を受けた連結親法人又はその連結子法人の次の金額の合計額① 被災雇用者等に対して支給する給与等の額のうちその適用年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの(本制度の適用に係るもので平成31年 4 月 1 日から令和 3年3月31日までの間にその指定を受けた連結親法人又はその連結子法人がその指定をした認定地方公共団体(福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の作成したその認定を受けた復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域を除きます。)内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給するもの(以下「特定給与等の額」といいます。)に限ります。)の 7%相当額② 被災雇用者等に対して支給する給与等の額のうちその適用年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの(本制度の適用に係るものに限るものとし、特定給与等の額を除きます。)の10%相当額

⑵ その連結親法人及びその各連結子法人のその適用年度に係る上記⑴の金額の合計額

3  適用関係

 上記 2の改正は、平成31年 4 月 1 日から施行されています(改正法附則 1)。

五� 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、提出企業立地促進計画の提出のあった日(平成25年 6 月10日)から同日又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後 3年を経過す

る日までの期間(その期間内におけるその企業立地促進区域の変更により新たに企業立地促進区域に該当することとなる区域については、一定の期間)内に福島復興再生特別措置法の認定を受けた法人が、その認定を受けた日から同日以後 5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内の日を含む各事業年度の適用期間内に

─�480�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

おいて、その提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域内に所在する事業所に勤務する避難対象雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その事業年度において、その支給する給与等の額の20%相当額の税額控除ができるというものです(震災税特法17の 3 の 2 ①)。 税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(震災税特法17の 3 の 2 ①後段)。(注 1) 避難解除区域等とは、福島復興再生特別措

置法第18条第 2 項第 2 号に規定する避難解除

区域等をいい、具体的には、避難解除区域及

び現に避難指示であって同法第 4 条第 4 号ハ

に掲げる指示であるものの対象となっている

区域とされています。(注 2) 避難指示とは、福島復興再生特別措置法第

4 条第 4 号イからホまでに掲げる指示をいい

ます。(注 3) 福島復興再生特別措置法の認定を受けた法

人とは、避難解除等区域復興再生推進事業実

施計画の認定を受けた法人をいいます。(注 4) 避難対象雇用者等とは、避難指示の対象と

なった区域(以下「避難対象区域」といいま

す。)内に所在する事業所に勤務していた者又

は避難対象区域内に居住していた者をいい、

具体的には、平成23年 3 月11日において避難

対象区域内に所在する事業所に勤務していた

者又は同日において避難対象区域内に居住し

ていた者とされています(震災税特令17の 3

の 2 ③)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 3 の 2 )。

2  改正の内容

 提出企業立地促進計画の提出のあった日(平成

25年 6 月10日)又は提出企業立地促進計画に定められた企業立地促進区域に該当する避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日以後である避難解除区域等については、本制度の適用を受けようとする法人の福島県知事の認定を受ける期間の末日を、そのいずれか遅い日以後 7年(改正前: 3年)を経過する日とされました(震災税特法17の 3 の 2①)。(注) 提出企業立地促進計画の提出のあった日(平

成25年 6 月10日)又は提出企業立地促進計画に

定められた企業立地促進区域に該当する避難解

除区域等に係る避難指示の全てが解除された日

のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日前である

避難解除区域等に係る本制度の適用を受けよう

とする法人の福島県知事の認定を受ける期間の

末日は、これまでどおり、そのいずれか遅い日

以後 3年を経過する日となります。

 また、上記の期間内に企業立地促進計画の変更により新たに企業立地促進区域に該当することとなる避難解除区域等についても、本制度の適用を受けようとする法人の福島県知事の認定を受ける期間の末日を、その変更について企業立地促進計画の提出のあった日又はその避難解除区域等に係る避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後 7年(改正前: 3年)を経過する日とされました(震災税特法17の 3 の 2 ①、震災税特令17の 3 の 2 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 3 の 2 ①、震災税特令22の 3 の 2 ①)。

─�481�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

六� 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は特定復興再生拠点区域復興再生計画の認定があった日のいずれか早い日からその避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日以後 3年を経過する日までの期間(その期間内にその特定復興再生拠点区域復興再生計画に記載された特定復興再生拠点区域の変更により新たに特定復興再生拠点区域に該当することとなる区域については、一定の期間)内に福島県知事の確認を受けた法人が、その確認を受けた日から同日以後 5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内の日を含む各事業年度の適用期間内において、その避難解除区域等内に所在する事業所に勤務する避難対象雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その事業年度において、その支給する給与等の額の20%相当額の税額控除ができるというものです(震災税特法17の 3 の 3 ①)。 税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額を上限とすることとされています(震災税特法17の 3 の 3 ①後段)。(注 1) 避難解除区域等とは、福島復興再生特別措

置法第18条第 2 項第 2 号に規定する避難解除

区域等をいい、具体的には、避難解除区域及

び現に避難指示であって同法第 4 条第 4 号ハ

に掲げる指示であるものの対象となっている

区域とされています。(注 2) 避難指示とは、福島復興再生特別措置法第

4 条第 4 号イからホまでに掲げる指示をいい

ます。(注 3) 避難等指示とは、福島復興再生特別措置法

第 4 条第 4 号イ、ロ、ニ又はホに掲げる指示

をいいます。

(注 4) 福島県知事の確認を受けた法人とは、福島

復興再生特別措置法第37条の規定により福島

県知事による確認を受けた法人をいい、具体

的には、避難指示の対象となった区域(以下

「避難対象区域」といいます。)内に平成23年

3 月11日においてその事業所が所在していた

ことについて、福島県知事の確認を受けた法

人とされています。(注 5) 避難対象雇用者等とは、避難対象区域内に

所在する事業所に勤務していた者又は避難対

象区域内に居住していた者をいい、具体的には、

平成23年 3 月11日において避難対象区域内に

所在する事業所に勤務していた者又は同日に

おいて避難対象区域内に居住していた者とさ

れています(震災税特令17の 3 の 3 ③)。

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 3 の 3 )。

2  改正の内容

 避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日が平成26年 4 月 1 日以後である避難解除区域等については、本制度の適用を受けようとする法人の福島県知事の確認を受ける期間の末日を、そのいずれか遅い日以後 7年(改正前: 3年)を経過する日とされました(震災税特法17の 3 の 3 ①)。(注) 避難解除区域等に係る避難等指示が解除され

た日又は福島復興再生特別措置法第 4 条第 4 号

ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い

日が平成26年 4 月 1 日前である避難解除区域等

に係る本制度の適用を受けようとする法人の福

島県知事の確認を受ける期間の末日は、これま

でどおり、そのいずれか遅い日以後 3 年を経過

する日となります。

 また、上記の期間内に認定特定復興再生拠点区

─�482�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

域復興再生計画の変更により新たに認定特定復興再生拠点区域に該当することとなる避難解除区域等についても、本制度の適用を受けようとする法人の福島県知事の確認を受ける期間の末日を、その避難解除区域等に係る避難等指示が解除された日又は福島復興再生特別措置法第 4条第 4号ハに掲げる指示が解除された日のいずれか遅い日以後

7年(改正前: 3年)を経過する日とされました(震災税特法17の 3 の 3 ①、震災税特令17の 3 の3 ①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 3 の 3 ①、震災税特令22の 3 の 3 ①)。

七 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、東日本大震災復興特別区域法の認定地方公共団体の指定を受けた法人が、同法の施行の日(平成23年12月26日)から令和 3年 3月31日までの間に、復興産業集積区域内において開発研究用資産でその製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は開発研究用資産の製作若しくは建設をして、これをその法人の開発研究の用に供した場合には、その開発研究の用に供した日を含む事業年度において、次の開発研究用資産の区分に応じそれぞれ次の特別償却限度額の特別償却ができるというものです(震災税特法17の 5 ①)。⑴ 認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村に限ります。)の指定を受けた法人が取得又は製作若しくは建設をしてその認定に係る復興産業集積区域内において開発研究の用に供した開発研究用資産��その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額(即時償却)⑵ 上記⑴の開発研究用資産以外の開発研究用資産��次の区分に応じそれぞれ次の金額① 平成28年 4 月 1 日から平成31年 3 月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をしたもの��その取得価額の50%相当額② 平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に取得又は製作若しくは建設をしたもの��その取得価額の34%相当額

 また、開発研究用資産について、この制度の適

用を受ける場合には、その開発研究の用に供した日を含む事業年度のその開発研究用資産に係る減価償却費の額(特別試験研究費の額に該当するものを除きます。)は、特別試験研究費の額に係る税額控除制度(措法42の 4 ⑥)における特別試験研究費の額に該当するものとみなして、研究開発税制(措法42の 4 )の適用を受けることができることとされています(震災税特法17の 5 ②)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法25の 5 )。

2  改正の内容

 認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の指定を受けた中小企業者等が、平成31年 4 月 1 日から令和 3年 3月31日までの間に、その認定地方公共団体の作成したその認定に係る復興推進計画に定められた復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域に限ります。)内において、取得又は製作若しくは建設をして開発研究の用に供した開発研究用資産に係る特別償却割合が、50%(改正前:34%)に引き上げられました(震災税特法17の 5 ①二、旧震災税特法17の 5 ①二)。(注 1) 雇用等被害地域とは、東日本大震災復興特

別区域法第 2 条第 3 項第 2 号イに規定する地

域をいい、具体的には、東日本大震災により

多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生

産活動の基盤に著しい被害を受けた地域とさ

れています。関係法令については、前述「一

 復興産業集積区域等において機械等を取得

─�483�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

した場合の特別償却又は法人税額の特別控除

制度」の 2の(参考)をご参照ください。なお、

雇用等被害地域は、復興産業集積区域が存在

する143市町村のうち沿岸部の35市町村におい

て定められています。(注 2) 認定地方公共団体からはその認定を受けた

福島県又は福島県の区域内の市町村が除外さ

れていますが、認定地方公共団体である福島

県又は福島県の区域内の市町村については、

平成31年 4 月 1 日から令和 3 年 3 月31日まで

の間に、その市町村の区域内において、取得

又は製作若しくは建設をして開発研究の用に

供した開発研究用資産について、その取得価

額から普通償却限度額を控除した金額に相当

する金額の特別償却(即時償却)の適用がで

きることとされています。(注 3) 中小企業者等とは、租税特別措置法第42条

の 4 第 8 項第 7 号に規定する中小企業者又は

同項第 9 号に規定する農業協同組合等をいい、

具体的には、次のとおりとされています(措

法42の 4 ⑧七・九、措令27の 4 ⑫)。

⑴� 中小企業者��資本金の額若しくは出資

金の額が 1 億円以下の法人のうち次に掲げ

る法人以外の法人又は資本若しくは出資を

有しない法人のうち常時使用する従業員の

数が1,000人以下の法人

①� その発行済株式又は出資(その有する

自己の株式又は出資を除きます。以下同

じです。)の総数又は総額の 2 分の 1 以上

が同一の大規模法人(資本金の額若しく

は出資金の額が 1 億円を超える法人、資

本若しくは出資を有しない法人のうち常

時使用する従業員の数が1,000人を超える

法人又は次に掲げる法人をいい、中小企

業投資育成株式会社を除きます。以下同

じです。)の所有に属している法人

イ� 大法人(次の法人をいいます。以下

同じです。)との間にその大法人による

完全支配関係(法人税法第 2 条第12号

の 7 の 6 に規定する完全支配関係をい

います。以下同じです。)がある普通法

イ� 資本金の額又は出資金の額が 5 億

円以上である法人

ロ� 保険業法第 2 条第 5 項に規定する

相互会社及び同条第10項に規定する

外国相互会社のうち、常時使用する

従業員の数が1,000人を超える法人

ハ� 法人税法第 4 条の 7 に規定する受

託法人

ロ� 普通法人との間に完全支配関係があ

る全ての大法人が有する株式(投資信

託及び投資法人に関する法律第 2 条第

14項に規定する投資口を含みます。以

下同じです。)及び出資の全部をその全

ての大法人のうちいずれか一の法人が

有するものとみなした場合においてそ

のいずれか一の法人とその普通法人と

の間にそのいずれか一の法人による完

全支配関係があることとなるときのそ

の普通法人(イの法人を除きます。)

②� 上記①の法人のほか、その発行済株式

又は出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上

が大規模法人の所有に属している法人

⑵� 農業協同組合等��農業協同組合、農業

協同組合連合会、中小企業等協同組合、出

資組合である商工組合及び商工組合連合会、

内航海運組合、内航海運組合連合会、出資

組合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、

漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、

水産加工業協同組合連合会、森林組合並び

に森林組合連合会(注 4) 関係法令については、前述「第六 その他」

の「一 中小企業者から除外されるみなし大

企業の範囲の見直し」の(参考 1)及び(参

考 2)をご参照ください。

 すなわち、認定地方公共団体(その認定を受けた福島県又は福島県の区域内の市町村を除きます。)の指定を受けた中小企業者等に限り、平成31年 4 月 1 日から本制度の適用期限である令和 3

─�484�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

年 3月31日までの間に、復興産業集積区域のうち雇用等被害地域を含む市町村の区域に該当する区域内において、取得又は製作若しくは建設をして開発研究の用に供した開発研究用資産に係る特別償却割合について、平成31年 3 月31日以前に取得又は製作若しくは建設をして開発研究の用に供した開発研究用資産に係る特別償却割合を維持することとされました。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法25の 5 ①二、旧震災税特法25の 5 ①二、措法68の 9 ⑧六、措令

39の39⑪)。

3  適用関係

 上記 2の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする開発研究用資産について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした開発研究用資産については、従前どおりとされています(改正法附則94)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則97)。

八 被災代替資産等の特別償却制度

1  改正前の制度の概要

 この制度は、法人が、平成23年 3 月11日から平成31年 3 月31日までの間に、⑴ 東日本大震災に起因してその法人の事業の用に供することができなくなった建物(その附属設備を含みます。以下同じです。)、構築物、機械及び装置、船舶又は車両及び運搬具に代わるもの(以下「被災代替資産」といいます。)でその製作又は建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は被災代替資産の製作若しくは建設をして、これをその法人の事業の用に供した場合⑵ 建物若しくは構築物又は機械及び装置で、その製作又は建設の後事業の用に供されたことのないものの取得又は建物若しくは構築物又は機械及び装置の製作若しくは建設をして、これを被災区域及びその被災区域である土地に付随して一体的に使用される土地の区域内においてその法人の事業の用に供した場合に、その事業の用に供した日を含む事業年度において、次の表の被災代替資産等(被災代替資産並びに上記⑵の建物若しくは構築物又は機械及び装置をいいます。以下同じです。)の区分に応じそれぞれその被災代替資産等の取得価額に次の表の特別償却割合を乗じて計算した金額の特別償却が

できるというものです(震災税特法18①)。(注) 被災区域とは、東日本大震災に起因して事業

又は居住の用に供することができなくなった建

物又は構築物の敷地及びその建物又は構築物と

一体的に事業の用に供される附属施設の用に供

されていた土地の区域をいいます。

被災代替資産等

特別償却割合

中小企業者又は農業協同組合等以外の法人の場合

中小企業者又は農業協同組合等の場合

建物又は構築物(増築された建物又は構築物のその増築部分を含みます。)

10% 12%

機械及び装置 20% 24%

船舶又は車両及び運搬具 20% 24%

(注) 中小企業者又は農業協同組合等とは、租税特

別措置法第42条の 4 第 3 項に規定する中小企業

者又は農業協同組合等をいいます。具体的には、

中小企業者は、資本金の額若しくは出資金の額

が 1 億円以下の法人のうち次の法人以外の法人

又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常

時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とさ

─�485�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

れ、農業協同組合等は、農業協同組合、農業協

同組合連合会、中小企業等協同組合、出資組合

である商工組合及び商工組合連合会、内航海運

組合、内航海運組合連合会、出資組合である生

活衛生同業組合、漁業協同組合、漁業協同組合

連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同

組合連合会、森林組合並びに森林組合連合会と

されています(措法42の 4 ⑧六・七、措令27の

4 ⑫)。

① その発行済株式又は出資の総数又は総額の

2 分の 1 以上が同一の大規模法人(資本金の

額若しくは出資金の額が 1 億円を超える法人

又は資本若しくは出資を有しない法人のうち

常時使用する従業員の数が1,000人を超える法

人をいい、中小企業投資育成株式会社を除き

ます。以下同じです。)の所有に属している法

② 上記①の法人のほか、その発行済株式又は

出資の総数又は総額の 3 分の 2 以上が大規模

法人の所有に属している法人

 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられています(震災税特法26)。

2  改正の内容

⑴ 被災代替資産の範囲の見直し 被災代替資産のうち船舶から漁船以外の船舶が除外されました(震災税特令18四)。連結納税制度の場合についても同様です。

⑵ 中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し① みなし大企業の判定における大規模法人の範囲の見直しイ 追加 みなし大企業の判定における大規模法人に大法人(資本金の額又は出資金の額が 5億円以上である法人等をいいます。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人等が追加されました(震災税特法

18①、措法42の 6 ①、措令27の 6 ①)。ロ 除外 みなし大企業の判定における大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(みなし大企業の判定の対象法人の発行する株式の全部又は一部が中小企業等経営強化法の認定事業再編投資組合の組合財産である場合におけるその組合員の出資に係る部分に限ります。)が除外されました(震災税特法18①、措法42の 6 ①、措令27の 6①)。

② みなし大企業の判定におけるその判定の対象法人の発行済株式又は出資の範囲の見直し みなし大企業の判定の対象法人の発行済株式又は出資からその対象法人の有する自己の株式又は出資が除外されました(震災税特法18①、措法42の 6 ①、措令27の 6 ①)。

(注) 上記①及び②の改正の内容の詳細等につい

ては、前述「第六 その他」の「一 中小企

業者から除外されるみなし大企業の範囲の見

直し」の 2をご参照ください。 なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の改正が行われています(震災税特法26①、措法68の11①、措令39の41①)。

⑶ 適用期限の延長 制度の適用期限が、令和 3年 3月31日まで 2年延長されました(震災税特法18①)。 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われています(震災税特法26①)。

3  適用関係

 上記 2 ⑴の改正は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に取得又は製作若しくは建設をする被災代替資産等について適用し、法人が同日前に取得又は製作若しくは建設をした被災代替資産等については、従前どおりとされています(改正震災税特令附則5)。連結納税制度の場合についても同様です。

─�486�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

九� 帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の所得の特別控除の特例等(連結:連結法人が帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除の特例等)(創設)

1  制度創設の経緯及び趣旨

 原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島県においては、平成29年 4 月に帰還困難区域を除く全ての避難指示が解除されましたが、多くの避難指示解除区域を有する市町村においては、家屋等の解体や住民の帰還をしないという判断によって、空き地・空き家等が点在し、原子力災害が生ずる前から地域の状況が変化し、コミュニティ形成や日常生活を取り戻すに当たって課題となっています。 このため、これらの市町村において、空き地・空き家等の利用を促進し、生活環境の整備を図り、もって避難した住民の帰還を推進するため、行政や、行政に代わって多様なニーズを捉えてまちづくり活動を行う帰還環境整備推進法人が、地域内に散発的に発生する空き地・空き家等の利用の意向や動向を捉えた上で、種々の事業に取り組むことが求められるところです。 このような現状を踏まえ、帰還環境整備推進法人がより円滑に業務を遂行すべく、帰還環境整備推進法人が事業を行うにあたっての土地の取得を税制上も支援するため、次の 2の制度が創設されました。(注) 制度創設の経緯及び趣旨の詳細については、

前掲「租税特別措置法等(所得税関係)の改正」

の「第五 東日本大震災の特例(所得税関係)

の改正」の「一 帰還環境整備推進法人に対し

て土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

の特例等の創設」の 1をご参照ください。

2  制度の概要

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(震災税特法18の10①②)。

⑴ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(1,500万円特別控除制度)の特例 この措置は、法人の有する土地等で避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業(特定公益的施設又は特定公共施設の整備に関する事業であって、地方公共団体の管理の下に行われるものに限ります。)の実施区域内にあるものが、その記載された事業の用に供するために買い取られる場合には、その買い取られる場合を特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(以下「1,500万円特別控除制度」といいます。)の対象となる買い取られる場合とみなして、1,500万円特別控除制度を適用できるというものです(震災税特法18の10①)。

⑵ 土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の特例 この措置は、法人が帰還環境整備推進法人に対しその有する土地等で避難解除区域等のうちその帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業(適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための事業に限ります。)の実施区域内にあるものの譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその記載された事業の用に供されるものであるときは、その土地等の譲渡を土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の対象となる土地等の譲渡とみなして、その措置を適用できるというものです(震災税特法18の

─�487�─

――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

10②)。 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(震災税特法26の10)。

3  制度の内容

 この制度は、次の⑴及び⑵の措置によって構成されています(震災税特法18の10①②)。

⑴ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除制度(1,500万円特別控除制度)の特例① 適用対象となる土地等 適用対象となる土地等は、法人の有する土地等で福島復興再生特別措置法第18条第 2項第 2号に規定する避難解除区域等(以下「避難解除区域等」といいます。)のうち同法第48条の14第 1 項に規定する帰還環境整備推進法人(以下「帰還環境整備推進法人」といいます。)が行う福島復興再生特別措置法施行規則第 8条第 2項の規定により同法第33条第1項に規定する帰還環境整備事業計画(以下「帰還環境整備事業計画」といいます。)に記載された事業の実施区域内にあるものとされています(震災税特法18の10①、震災税特規6の 9①)。(注 1) 土地等とは、土地又は土地の上に存す

る権利をいい、棚卸資産を除くこととさ

れています(震災税特法18の 9 ①)。(注 2) 法人からは、清算中の法人を除くこと

とされています(震災税特法18の 9 ①)。

 帰還環境整備推進法人は、公益社団法人(その社員総会における議決権の総数の 2 分の 1以上の数が地方公共団体により保有されているものに限ります。)又は公益財団法人(その設立当初において拠出をされた金額の2分の 1以上の金額が地方公共団体により拠出をされているものに限ります。)であって、その定款において、その法人が解散した場合にその残余財産が地方公共団体又はその法人

と類似の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあるものに限ることとされています(震災税特法18の10①、震災税特令18の 8 )。 なお、帰還環境整備事業計画に記載された事業は、福島復興再生特別措置法第32条第 1項に規定する特定公益的施設又は特定公共施設のうち、それぞれ福島復興再生特別措置法施行規則第 8条第 1項第 7号イに定める施設又は同号ロに定める施設の整備に関する事業であって、地方公共団体の管理の下に行われるものに限ることとされています(震災税特法18の10①、震災税特規 6の 9②)。(注 3) 関係法令については、下記の(参考 1)

及び(参考 2)をご参照ください。② 適用対象となる買い取られる場合 適用対象となる買い取られる場合は、帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の用に供するために買い取られる場合とされています(震災税特法18の10①)。③ 措置の内容等 この措置は、法人の有する土地等で避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の実施区域内にあるものがその事業の用に供するために買い取られる場合には、その買い取られる場合は、租税特別措置法第65条の 4第 1項第10号に掲げる場合に該当するものとみなして、同条の規定を適用するというものです(震災税特法18の10①)。 すなわち、帰還環境整備事業計画に記載された事業の用に供するために買い取られる場合を、1,500万円特別控除制度の対象となる「地方公共団体又は都市再生推進法人が都市再生整備計画又は立地適正化計画に記載された公共施設の整備に関する事業(その事業がその都市再生推進法人により行われるものである場合には、地方公共団体の管理の下に行われるものに限ります。)の用に供するため

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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

に、その都市再生整備計画又は立地適正化計画の区域内にある土地等が、これらの者に買い取られる場合(措法65の4①十)」とみなして、1,500万円特別控除制度が適用できることとされています。 なお、この措置は、市町村長の土地等が避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の実施区域内にある土地等である旨、事業がその帰還環境整備推進法人が行うその帰還環境整備事業計画に記載された事業である旨及びその土地等の買取りをする者がその帰還環境整備推進法人である旨を証する書類並びにその帰還環境整備推進法人のその土地等をその事業の用に供するために買い取った旨を証する書類を保存している場合に限り、適用できることとされています(措法65の 4 ⑤、65の 3 ④、震災税特規 6の 9③)。

⑵ 土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の特例① 適用となる土地等 適用となる土地等は、法人の有する土地等で避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の実施区域内にあるものとされています(震災税特法18の10②、震災税特規 6 の 9 ④⑤)。(注 1) 土地等とは、土地又は土地の上に存す

る権利をいい、棚卸資産を除くこととさ

れています(震災税特法18の 9 ①)。

 なお、帰還環境整備事業計画に記載された事業は、適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための事業に限ることとされており、この適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための事業は、福島復興再生特別措置法施行規則第 8条第 1項第 8号に掲げる事業とされています(震災税特法18の10②、震災税特規 6の 9⑤)。

(注 2) 関係法令については、下記の(参考 2)

をご参照ください。

② 適用対象となる土地等の譲渡をした場合 適用対象となる土地等の譲渡をした場合は、法人が帰還環境整備推進法人に対しその有する土地等で避難解除区域等のうちその帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の実施区域内にあるものの譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものとされています(震災税特法18の10②)。 なお、譲渡には、租税特別措置法第62条の3第 2項第 1号イ⑵に掲げる行為を含むこととされています。(注) 行為は、地上権又は賃借権の設定その他

契約により他人に土地を長期間使用させる

行為で法人税法施行令第138条第 1 項の規定

に該当する場合におけるその行為とされて

おり、他人には、他の連結法人との間に連

結完全支配関係がある法人にあってはその

他の連結法人0 0 0 0 0 0

を、外国法人にあっては法人

税法第138条第 1 項第 1 号に規定する本店等

を、それぞれ含むこととされています(措

法62の 3 ②一イ⑵、措令38の 4 ①)。

③ 措置の内容等 この措置は、法人が、帰還環境整備推進法人に対しその有する土地等で避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された事業の実施区域内にあるものの譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものであるときは、その土地等の譲渡に係る租税特別措置法第62条の 3の規定の適用については、その土地等の譲渡は、同条第 4項第2号に掲げる土地等の譲渡に該当するものとみなすというものです(震災税特法18の10②)。(注) 法人からは、清算中の法人を除くことと

されています(震災税特法18の 9 ①)。

 すなわち、避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に

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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

記載された事業の実施区域内にある土地等の譲渡を、土地の譲渡等がある場合の特別税率における優良住宅地等のための譲渡に該当する土地等の譲渡の場合の適用除外措置の対象となる土地等の譲渡のうち「独立行政法人都市再生機構、土地開発公社その他これらに準ずる法人で宅地若しくは住宅の供給又は土地の先行取得の業務を行うことを目的とするものに対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がその業務を行うために直接必要であると認められるもの(措法62の 3 ④二)」とみなして、その措置が適用できることとされています。 なお、この措置は、その譲渡をした場合における土地等の譲渡が帰還環境整備事業計画に記載された事業の用に供される土地等の譲渡に該当するものであることにつき市町村長のその土地等が避難解除区域等のうち帰還環境整備推進法人が行うその事業の実施区域内にある土地等である旨及びその土地等の買取りをする者がその帰還環境整備推進法人である旨を証する書類並びにその帰還環境整備推進法人のその土地等をその事業の用に供するために買い取った旨を証する書類を確定申告書等に添付することにより証明がされたときに、適用できることとされています(措法62の 3 ④、震災税特規 6の 9⑥)。

 なお、連結納税制度の場合についても、上記⑴及び⑵と同様の措置が講じられています(震災税特法26の 9 ①、26の10、震災税特規 9の 9)。(参考 1) 福島復興再生特別措置法(平成24年法

律第25号)

(企業立地促進計画の作成等)

第18条 省 略

2  企業立地促進計画には、次に掲げる事

項を記載するものとする。

一 省 略

二 避難解除区域及び現に避難指示であ

って第 4 条第 4 号ハに掲げる指示であ

るものの対象となっている区域(認定

特定復興再生拠点区域復興再生計画が

定められているときは、それらの区域

及び認定特定復興再生拠点区域。以下

「避難解除区域等」という。)内の区域

であって、避難解除等区域復興再生推

進事業を実施する企業の立地を促進す

べき区域(以下「企業立地促進区域」

という。)

三・四 省 略

3~ 7 省 略

第32条 次に掲げる条件のいずれにも該当

する避難解除区域等内の区域であって、

円滑かつ迅速な復興及び再生を図るため

に復興再生拠点市街地(避難解除区域等

内の帰還する住民の生活及び地域経済の

再建のための拠点となる市街地をいう。

以下この項において同じ。)を形成するこ

とが必要であると認められるものについ

ては、都市計画に一団地の復興再生拠点

市街地形成施設(復興再生拠点市街地を

形成する一団地の住宅施設、特定業務施

設(事務所、事業所その他の業務施設で、

避難解除区域等の基幹的な産業の復興及

び再生、当該避難解除区域等内の地域に

おける雇用機会の創出並びに良好な市街

地の形成に寄与するもののうち、この項

に規定する特定公益的施設以外のものを

いう。次項第 1 号において同じ。)又は特

定公益的施設(教育施設、医療施設、官

公庁施設、購買施設その他の施設で、地

域住民の共同の福祉又は利便のために必

要なものをいう。同号において同じ。)及

び特定公共施設(道路、公園、下水道そ

の他政令で定める公共の用に供する施設

をいう。同号において同じ。)をいう。以

下同じ。)を定めることができる。

一・二 省 略

2・ 3 省 略

(帰還環境整備事業計画の作成等)

第33条 避難指示・解除区域市町村(避難

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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――

指示・解除区域をその区域に含む市町村

をいう。以下同じ。)若しくは特定市町村

(避難指示・解除区域市町村以外の福島の

市町村であって、その区域における放射

線量その他の事項を勘案して次項第 2 号

ヘに掲げる事業を実施する必要があるも

のとして復興庁令で定めるものをいう。

以下同じ。)の長若しくは福島県知事は単

独で、又は、避難指示・解除区域市町村

若しくは特定市町村の長と福島県知事は

共同して、住民の帰還の促進を図るため

の環境を整備する事業に関する計画(以

下「帰還環境整備事業計画」という。)を

作成することができる。

2 省 略

(帰還環境整備推進法人の指定)

第48条の14 避難指示・解除区域市町村の

長は、特定非営利活動促進法(平成10年

法律第 7 号)第 2 条第 2 項に規定する特

定非営利活動法人、一般社団法人若しく

は一般財団法人又は帰還環境整備の推進

を図る活動を行うことを目的とする会社

であって、次条に規定する業務を適正か

つ確実に行うことができると認められる

ものを、その申請により、帰還環境整備

推進法人(以下「推進法人」という。)と

して指定することができる。

2~ 4 省 略(参考 2) 福島復興再生特別措置法施行規則(平

成24年復興庁令第 3号)

(住民の帰還の促進を図るための環境を整

備するために必要な事業)

第 8 条 法第33条第 2 項第 2 号トの復興庁

令で定める事業は、次に掲げるもの(第

7 号及び第 8 号に掲げる事業にあっては、

避難解除区域等(法第18条第 2 項第 2 号

に規定する避難解除区域等をいう。以下

同じ。)において実施されるものに限る。)

とする。

一~六 省 略

七 次に掲げる施設の区分に応じ、それ

ぞれ次に定めるものの整備に関する事

イ 特定公益的施設(法第32条第 1 項

に規定する特定公益的施設をいう。)

 駐車場、駐輪場、集会施設、休憩

施設及び案内施設

ロ 特定公共施設(法第32条第 1 項に

規定する特定公共施設をいう。) 道

路(道路法(昭和27年法律第180号)

第 2 条第 1 項に規定する道路に該当

するものを除く。)、公園(都市公園

に該当するものを除く。)、広場及び

緑地(都市公園に該当するものを除

く。)

八 帰還する住民の生活及び地域経済の

再建のため、面積がおおむね500平方メ

ートル以上の土地を適正な形状、面積

等を備えた一団の土地とする事業

九 省 略

2  帰還環境整備事業計画(法第33条第 1

項に規定する帰還環境整備事業計画をい

う。以下同じ。)に前項第 7 号又は第 8 号

に掲げる事業に関する事項を記載する場

合には、併せて、当該事業の実施区域を

記載するものとする。

4  適用関係

⑴ 上記 3 ⑴の措置は、法人が平成31年 4 月 1 日以後に行う土地等の譲渡に係る法人税について適用することとされています(改正法附則95)。連結納税制度の場合についても同様です(改正法附則98)。⑵ 上記 3 ⑵の措置は、みなすこととされている土地の譲渡等がある場合の特別税率における令和 2年 3月31日までにされた土地の譲渡等についてはその適用が停止されていることから(措法62の 3 ⑮)、経過措置は設けられていません。連結納税制度の場合についても同様です。

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――租税特別措置法等(法人税関係)の改正――