微細組織および磁化ダイナミクス制御 磁気トンネル接合のた …...dynamics...

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磁気トンネル接合のための新規バリア材料探索 Keywords: スピントロニクス、磁気ランダムアクセスメモリ 磁気記録材料グループ 葛西 伸哉 [email protected] | http://www.nims.go.jp/mmu/ 磁気トンネル接合(MTJ)は極めて高い磁気抵抗(MR)比を示す。 スピン注入型不揮発性磁気メモリ(STT-MRAM)および次世代ハードディスク(HDD)リードヘッドの実 現には、低RA領域におけるMR比の向上が不可欠。 MgO障壁のチューニングによるMTJの低RA化 次世代STT-MRAMおよび次世代ハードディスクリードヘッドへの応用可能な、MgOに代わる高性 能障壁層材料の探索。 Ikhtiar, SK et al, Appl. Phys. Lett. 1 0 8 , 242416 (2016) S. Kasai et al., Appl. Phys. Lett. 1 0 9 , 032409(2016) K. Mukaiyama, SK et al., Appl. Phys. Express 1 0 , 013008 (2017) MgOIにTiを添加することによって、低RA領域における MR特性が改善する。 カルコパイライト型化合物半導体障壁を用いたMTJを 世界で初めて実現。低RA領域で高MR比を実現可能。 更なる出力特性の向上 界面誘導垂直磁気異方性の付与 多結晶化 Ti 添加MgOによるMTJの低RA化 化合物半導体CIGSによる超低抵抗MTJの実現 強磁性金属電極の上に化合物半導体である Cu(In, Ga)Se 2 をエピタキシャル成長可能。 室温40 %、低温100 %を超える巨大な磁気 抵抗比を0.3 3 m 2 の超低RA領域で実 現。 MgOにTi添加をすることによって、 10 m 2 以下の低RA領域におけるMR特性 が改善。 MgOと同程度の界面誘導垂直磁気異方 性が実現可能。 163

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Page 1: 微細組織および磁化ダイナミクス制御 磁気トンネル接合のた …...Dynamics 微細組織および磁化ダイナミクス制御 による超高密度磁気記録の実現

Dynamics

微細組織および磁化ダイナミクス制御

による超高密度磁気記録の実現

顔写真

Keywords: 超高密度磁気記録・微細組織制御・磁化ダイナミクス

磁気記録材料グループ

高橋 有紀子[email protected] | https://samurai.nims.go.jp/profiles/takahashi_yukiko

クラウドコンピューティングの普及や高度化する医療データ解析に伴い、取り扱われる情報量は爆発的に増加しています。このようなビッグデータに対応するために、超高密度磁気ストレージデバイスの開発が望まれています。

4 Tbit/in2のハードディスクドライブ(HDD)を実現するには、約4 nmのサイズのFePt粒子を非磁性マト

リックス中に均一に分散させる必要があります。また、外部エネルギーを照射し磁化反転をアシスト

するエネルギーアシスト磁化反転方式が必要です。本研究では、4 Tbit/in2を実現できるような微

細組織と効率的な磁化反転を材料パラメータ制御により実現することを目的としています。

・H. Pandey et al., IEEE Trans. Mang. 52, 3201004 (2016).・Y.K. Takahshi et el., Appl. Phys. Lett110, 252409 (2017). ・Y.K. Takahashi et al., Phys. Rev. Applied. 6, 054004 (2016).

平均粒子径6 nmのFePt-C媒体の作製

円偏光照射によるFePt媒体の磁化反転制御

高周波磁場照射によるFePt媒体の反転磁界の低減

高垂直薄膜の磁化ダイナミクス測定

平均粒子径4 nmのFePt-C媒体の作製

磁化反転ダイナミクスの材料および膜構造

による制御

FePt-C媒体の微細組織制御とエネルギーアシストによる磁化反転制御

d : 6.2 nmPD : 8.5 nm

FePt-C media Microwave Assisted Magnetic Recording (MAMR)

FePt-C/FePt ECC media

All Optical Switching (AOS)

LCP

RCP

50m

AOS in FePt-C

PMA-Co2FeAl

磁気トンネル接合のための新規バリア材料探索Keywords: スピントロニクス、磁気ランダムアクセスメモリ

磁気記録材料グループ

葛西 伸哉[email protected] | http://www.nims.go.jp/mmu/

磁気トンネル接合(MTJ)は極めて高い磁気抵抗(MR)比を示す。

スピン注入型不揮発性磁気メモリ(STT-MRAM)および次世代ハードディスク(HDD)リードヘッドの実

現には、低RA領域におけるMR比の向上が不可欠。

MgO障壁のチューニングによるMTJの低RA化

次世代STT-MRAMおよび次世代ハードディスクリードヘッドへの応用可能な、MgOに代わる高性

能障壁層材料の探索。

・Ikhtiar, SK et al, Appl. Phys. Lett. 108, 242416 (2016)

・S. Kasai et al., Appl. Phys. Lett. 109, 032409(2016)

・K. Mukaiyama, SK et al., Appl. Phys. Express 10, 013008 (2017)

MgOIにTiを添加することによって、低RA領域における

MR特性が改善する。

カルコパイライト型化合物半導体障壁を用いたMTJを

世界で初めて実現。低RA領域で高MR比を実現可能。

更なる出力特性の向上

界面誘導垂直磁気異方性の付与

多結晶化

Ti 添加MgOによるMTJの低RA化 化合物半導体CIGSによる超低抵抗MTJの実現

強磁性金属電極の上に化合物半導体であるCu(In, Ga)Se2をエピタキシャル成長可能。

室温40 %、低温100 %を超える巨大な磁気抵抗比を0.3 – 3 m2の超低RA領域で実現。

MgOにTi添加をすることによって、 10m2以下の低RA領域におけるMR特性が改善。

MgOと同程度の界面誘導垂直磁気異方性が実現可能。

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磁性・スピントロニクス材料