石狩管内の図書館連携に向けて ~電子図書館サービス連携に ... ·...

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石狩管内の図書館連携に向けて 石狩管内の図書館連携に向けて 石狩管内の図書館連携に向けて 石狩管内の図書館連携に向けて ~電子図書館サービス連携に関する提言書 電子図書館サービス連携に関する提言書 電子図書館サービス連携に関する提言書 電子図書館サービス連携に関する提言書~ 平成 平成 平成 平成 25 年 3 月 「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会 「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会 「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会 「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会

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石狩管内の図書館連携に向けて石狩管内の図書館連携に向けて石狩管内の図書館連携に向けて石狩管内の図書館連携に向けて

~~~~電子図書館サービス連携に関する提言書電子図書館サービス連携に関する提言書電子図書館サービス連携に関する提言書電子図書館サービス連携に関する提言書~~~~

平成平成平成平成 22225555 年年年年 3333 月月月月

「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会

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電子図書館サービス連携に関する提言書

はじめにはじめにはじめにはじめに

「石狩」という地名は、管内を流れる石狩川を指すアイヌ語「イシカリベツ」が由来で、

その意味は「曲がりくねって流れる川」「(神が)美しくつくられた川」などと言われてい

る。石狩の歴史は、松前藩が現在の石狩市にサケ交易場が設置されたのが始まりと言われ、

300 年余りの歴史を持っている。また、明治 5 年に開拓使本庁が札幌に置かれてからは、

多くの移民・屯田兵が入植し、これまで著しい発展を遂げている。現在、石狩管内は、6

市1町 1 村(札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村)

からなっており、札幌市を中心とした北海道の経済・文化の牽引役として期待されている

地域である。また、石狩管内の人口は、全道の約 42%を占めており、平成 22 年国勢調査

では 234 万 2,338 人で、北海道の人口が減少している中で増加し続けている。

さらに、石狩管内の交通網は、札幌市を中心に鉄道網の電化などの整備が進み、自動車

などの道路網も整備されている。そのため、大学や商業施設なども石狩管内に点在し、人

やモノの移動が容易になることから、近郊のまちに通勤、通学や買い物を行うなど、市民

の生活圏や活動範囲は、札幌市を中心に行政区域を越えて広域化が進み、札幌都市圏とし

て昼夜間人口の差も生じている。このため、こうした生活圏などの広がりに伴い派生する

様々な行政需要に対応するためには、行政区域を越えた、いわば生活圏を一つの自治体と

捉えるような近隣市町村との調整や連携が求められる。

本提言書は、こうした行政需要の一つである公立図書館が提供する図書館サービスにつ

いて、石狩管内の 6 市(札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市)の図書館

関係者が集まり、石狩管内の図書館連携に向けた1つの方向性を示したものである。現在、

図書館を取り巻く社会情勢は大きく変化している。特に、今後の本格的な電子書籍の登場

を踏まえ、図書館資料の電子化やネットワーク配信による図書館サービスの向上が期待さ

れている。そこで、本提言書では、石狩管内の図書館連携の第一歩を踏み出すため、電子

図書館サービスにおける石狩管内の図書館連携の方法などについて、具体的な準備段階の

取り組み内容を提案している。

この提言書に基づく実践を契機として、今後、より一層の石狩管内の図書館連携の芽が

大きく育っていくことを念願するものである。

「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会

メンバー一同

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電子図書館サービス連携に関する提言書

目目目目 次次次次

第1章 背景・目的・進め方 .................................................... 1

1-1 背景 ................................................................ 1

1-2.目的 ................................................................ 2

1-3.進め方 .............................................................. 3

2.電子図書館サービス連携対象と連携パターン .................................. 5

2-1.電子図書館サービス連携対象の絞り込み ................................ 5

(1)絞り込みに必要な検討事項 ............................................. 5

(2)連携対象と連携パターンの具体的な検討 ................................. 6

2-2.電子図書館サービス連携パターンの検討 ................................ 7

3.電子図書館サービスにおける図書館連携方法 ................................. 11

3-1.地域資料の相互貸出・提供の連携が実現される仕組み ................... 11

(1)システムの連携パターン .............................................. 11

(2)地域資料の登録保管方法 .............................................. 13

(3)地域資料の公開提供方法 .............................................. 15

3-2.次年度の取り組み内容(実証実験) ................................... 17

3-3.次年度以降の検討課題 ............................................... 20

(1)連携方法の実現(位置づけの整理) ..................................... 20

(2)個人情報保護条例やセキュリティ規定などの確認 ......................... 20

(3)地域資料の登録条件 ................................................... 21

(4)連携に当たっての費用負担 ............................................. 22

おわりに ~石狩管内の図書館連携に向けて~ ................................... 24

参考資料 ..................................................................... 26

1.研究会名簿 ............................................................. 26

2.研究会要綱 ............................................................. 27

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-1-

第1章第1章第1章第1章 背景・目的・進め方背景・目的・進め方背景・目的・進め方背景・目的・進め方

1-11-11-11-1 背景背景背景背景

札幌市中央図書館では、平成 14 年(2002 年)1月に策定された「札幌市図書館ビ

ジョン」において、基本方針の 1 つとして「情報化、国際化、高度技術化の進展に対

応する図書館」や「ゆとりある読書空間を提供する図書館」を実現するため、情報環

境の高度化に積極的に対応するとともに、図書館システムの整備充実を推進し、全域

的なサービス網の展開を図ってきた。これまで、平成 20 年 8 月に札幌市図書館蔵書

検索システムをリニューアルし、図書のインターネット予約の受付を開始してから約

5 年以上が経過した。開始前毎月 5~6 万件台だった予約件数は、現在 10 万件前後と

ほぼ倍増しており、さらに、増大する勢いである。また、予約件数全体に占めるイン

ターネット予約の割合も 7 割近くに達しており、インターネット予約が利用者の皆様

に定着したといえ、今後、更なる図書館業務の効率的な運用や市民サービス向上を実

現する図書館システムへと移行していくことが求められている。

一方、電子書籍の登場などに代表される図書を取り巻く環境も大きく変貌を遂げて

おり、そうした変化に呼応した次期図書館情報システムを検討していくことも求めら

れている。このため、札幌市中央図書館では、平成 23 年度に電子図書館(電子書籍

貸出サービス)実証実験を行うなど、新しい図書館サービスの構築につながる取り組

みを実施してきた。このように、今後の本格的な電子書籍の登場を背景に、図書館資

料の電子化やネットワーク配信による図書館サービス向上が期待される中で、電子図

書館サービスの導入に当たっては、図書館同士が連携を図ることにより、その効果が

さらに促進されることが期待される。

そこで、札幌市中央図書館から石狩管内の市立図書館、及び北海道立図書館関係者

に呼びかけて、電子図書館サービスにおける石狩管内の図書館連携のあり方を検討す

る「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会(以降「本研究会」という)を

開催することとした。本研究会は、電子図書館サービスにおける石狩管内の図書館連

携の方法などについて、各参加メンバーが自由な意見・アイデア交換などを行う形式

で進めることとした。なお、本研究会の進行は、外部の学識経験者として、情報セキ

ュリティ大学院大学教授の湯淺墾道先生を迎え、アドバイスを頂く形で行われた。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-2-

1-2.1-2.1-2.1-2.目的目的目的目的

電子図書館サービスにおける石狩管内の図書館連携を具体化することを目指し、そ

の連携方法について具体的に検討することを目的とした。このため、本研究会では、

次の事項について検討し、整理していくことを目標とした。

(1)連携する対象(例:システム、及び商業出版物、郷土資料、行政資料などの

電子書籍コンテンツなど)の絞り込み

(2)連携するパターン(例:紙媒体の本で行われている相互貸借と対比した場合

のスキームなど)の検討

(3)(2)のパターンに基づく連携の課題(例:手続きの流れ、コスト負担、連

携する場合の懸念事項など)の検討

(4)(1)から(3)で検討した結果に基づき、石狩管内の市立図書館同士の役

割分担などの整理、実現に向けたステップ

(5)その他(1)から(4)に関連する事項など

このように、上記の検討事項を踏まえ、電子図書館サービスにおける石狩管内の図

書館連携に関する連携方法(連携スキームなど)について、本提言書の形に取りまと

めることとした。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-3-

1-3.1-3.1-3.1-3.進め方進め方進め方進め方

本研究会は、準備会議を経て、平成 24 年度内に 12 月、1 月、2 月の 3 回開催し、

具体的な検討のための議論を重ねてきた。

【【【【開催された会議内容】開催された会議内容】開催された会議内容】開催された会議内容】

回数 日時/開催場所 内容(予定)

準備

会議

平成 24 年 9 月 21 日(金)

15:00~17:00

札幌市中央図書館 3F

(1)札幌市の前年度の電子図書館実証実験の

成果報告

(2)今年度の研究会の概要、方向性について

第1回 平成 24 年 12 月 7 日(金)

15:00~17:00

札幌市中央図書館 3F

(1)連携する対象の絞り込み

(2)連携パターンの検討

第2回 平成 25 年 1 月 25 日(金)

14:00~17:00

札幌市中央図書館 3F

(1)前回検討した連携パターンに基づく諸課

題の検討

(2)連携の方向性の確認(提言書案の骨子)

第3回 平成 25 年 2 月 8 日(金)

14:00~17:00

札幌市中央図書館 3F

(1)これまで検討した結果に基づく図書館同士

の役割分担などの整理

(2)実現に向けたステップ

(3)提言書案の取りまとめ

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-4-

(研究会の様子)(研究会の様子)(研究会の様子)(研究会の様子)

第1回研究会 平成 24年 12 月 7日(金)

第3回研究会 平成 25年 2月 8 日(金)

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-5-

2.2.2.2.電子図書館サービス連携対象と連携パ電子図書館サービス連携対象と連携パ電子図書館サービス連携対象と連携パ電子図書館サービス連携対象と連携パターンターンターンターン

2-1.2-1.2-1.2-1.電子図書館サービス連携対象の絞り込み電子図書館サービス連携対象の絞り込み電子図書館サービス連携対象の絞り込み電子図書館サービス連携対象の絞り込み

(1)(1)(1)(1)絞り込み絞り込み絞り込み絞り込みに必要な検討事項に必要な検討事項に必要な検討事項に必要な検討事項

電子図書館サービスにおける図書館連携の対象としては、システム、及び電子コン

テンツなどが考えられる。特に、電子コンテンツの場合は、①札幌市の行政資料など

に関する地域資料、②地元出版社などが販売・提供する地域出版物、③全国出版社な

どが販売・提供する一般出版物に区分した検討が必要となる。

また、連携パターン(運用モデル・形態などのスキームを含む)としては、共同調

達、相互利用、共同運用などの段階(フェーズ)ごとの検討が必要となる。例えば、

コンテンツ(共同利用する対象)を共同調達(共同利用の段階)する場合、コンテン

ツを図書館単独で購入した場合に比べて安価に、かつコンテンツ数を増やせられ、コ

ンテンツ提供業者もスケールメリットを生み出せるものと考えられる。但し、その場

合のスキームなどの検討が必要となる。

さらに、連携パターンを継続させていくための運用モデル・形態などのスキームを

検討する場合、札幌市と他の石狩管内の市図書館との役割分担の整理が必要となって

いるため、紙媒体の書籍で行われている連携の事例(紙媒体の本の共同調達や相互貸

借など)との比較が必要となる。

その上で、上記の連携パターンに基づく共同利用の課題として、利用条件、共同購

入、利用コスト、利用する場合の懸念事項などについても、検討する必要がある。例

えば、コンテンツの場合、紙媒体の本で行われている共同調達や相互貸借との比較(特

に著作権など)をした上で、考えられる課題を抽出し、その対応策の検討が必要とな

る。さらにシステムの場合には、各自治体での個人情報保護条例との整合性の検討が

必要となる。その上で、最も大きな課題がコスト負担のあり方であり、その検討は避

けては通れない事項である。

こうして検討された結果に基づき、石狩管内の図書館同士の役割分担などを踏まえ、

電子図書館サービスにおける図書館連携の実現に向けたステップ(段階的な進め方)

を検討する必要がある。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-6-

(2)(2)(2)(2)連携対象と連携パターン連携対象と連携パターン連携対象と連携パターン連携対象と連携パターンの具体的な検討の具体的な検討の具体的な検討の具体的な検討

そこで、前述した検討事項を踏まえ、電子図書館サービス連携対象と連携パターン

について整理すると、次の通りとなる(図表1)。

図表1図表1図表1図表1 電子図書館サービス連携対象と連携パターン電子図書館サービス連携対象と連携パターン電子図書館サービス連携対象と連携パターン電子図書館サービス連携対象と連携パターン

連携対象 連携パターン

シス

テム

① 図 書

館 シ ス

テム

共同利用

【事例】

・佐賀県と県内3町が図書館システムを統合し、共同利用を開始

(http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2299618.article.html)

・北海道内の室蘭市、登別市、伊達市の 3 市の図書館が所蔵する約 48 万冊が、

共通の利用者カードで借りることができる「西いぶり定住自立圏 西いぶり

広域図書館情報システムの運用開始(http://lib.nishi-iburi.jp/)

電子

コン

テン

②商業

出版物

共同調達

【事例】

・浦安市立図書館 と明海大学図書館の共同購入

( http://svrrd2.niad.ac.jp/faculty/tutiya/Talks/092104sidaitokyoo_k

ensyuu.pdf)

・大学図書館の共同購入(教育研究情報の大学共同購入機構の発足)

(http://www.juce.jp/kyodo-konyu/kikou/hassoku.html)

海外事例(ニュージーランドの図書館が共同で電子資料を購入)

(http://current.ndl.go.jp/files/ca/ca1524.pdf)

③郷土

資料、行

政資料

相互貸借

【事例】

・海外事例(コネティカット州「電子書籍の州レベルでの“相互貸借”を模索」)

(http://current.ndl.go.jp/node/22102)

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-7-

2-2.2-2.2-2.2-2.電子図書館サービス連携パターンの検討電子図書館サービス連携パターンの検討電子図書館サービス連携パターンの検討電子図書館サービス連携パターンの検討

図表1に示した連携対象である①から③について、「①図書館システム」の共同利

用や「②電子コンテンツ(商業出版物)の共同調達といった連携は、クリアすべき課

題のハードルが高いため、難易度としても高いと判断される。そのため、早期に電子

図書館サービス連携を行うことは、難しい側面もある。

そこで、前述した側面を踏まえ、難易度を整理すると、次の通りである(図表2)。

図表2図表2図表2図表2 電子図書館サービス連携対象の難易度評価電子図書館サービス連携対象の難易度評価電子図書館サービス連携対象の難易度評価電子図書館サービス連携対象の難易度評価

連携対象 メリット 課題 難易度

シス

テム

① 図 書

館 シ ス

テム

• 単独の導入・構築

よりも、運用コス

トを含めて安価

に抑えられる

• 自治体ごとで異なるベン

ダーの図書館システムと

の連携方法の整理

• 共同利用するシステムの

運用方法の検討

• 各自治体での費用負担ル

ールおよび請求、徴収の仕

組み作り

電子

コン

テン

②商業

出版物

• 自治体同士で出

版物の種類の補

完が計れるなど、

購入費用が単独

自治体で購入す

るより安くなる

• 共同調達を行う場合の仕

組み(ルール)や体制作り

• 版元の許諾など、著作権上

の整理と版元との交渉

③郷土

資料、行

政資料

• 紙ではなく電子

で相互貸借がで

きるため、紙の場

合よりも効率的

である

• 相互貸借を行う場合の仕

組み(ルール)や体制作り

• できる限り経費負担のな

い形の運用方法の検討

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-8-

しかしながら、研究会の参加メンバーからは、連携対象について、次のような意見

も出された。

・ 図書館システムは図書館だけで決められる話なので、逆にハードルが低いと思

っている。例えば、石狩管内では、札幌市がキーステーションになって、同じ

図書館システムを調達すれば、安く済むようになることが可能ではないか。

・ 図書館システムにおいては、学校図書館と連携しているので、電子図書館シス

テムと既存の図書館システムを分けて運用することも可能かどうかを検討し

てもよいのではないか(電子図書館システムにおける連携の可能性は考えられ

る)。

・ 大規模な基礎自治体である札幌市が、業務一元化を図って共同調達した方が安

上がりになるのではないか。例えば、図書館では、バーコードリーダー一つ取

っても、使っている機械が特殊な物が多いので、図書館同士で調達した方が安

上がりに出来る。

・ 石狩管内で、こうして議論していけば、数年後には図書館システムの共同利用

は、できるような気がする。但し、現在の図書館システムの次の更新時期が来

年、再来年に迫っているので、次々期の更新くらいのタイミング(5 年先)を

目標にして検討を始めていってもよいのではないか。

そこで、本研究会としては、まずは来年度に向けては電子図書館サービスの連携

対象として、電子図書館システムに限定し、そのシステムならではのメリットを活か

した連携方法を検討していくことが確認された。

但し、今後、既存の図書館システムの共同利用などの連携に関しても検討テーマに

加えることとするが、すでに各自治体の図書館システムのリプレース時期には間に合

わないため、その次のリプレース等も視野に入れながら、中長期的なテーマとして取

り扱うようにすることも確認された。

また、コンテンツに関しても、次のような意見が出された。

・ 郷土資料/行政資料を乗せるのはほとんど意味が無い、商用コンテンツが入

らないと意味が無いのではないか。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-9-

・ いきなり商業出版物というのは、難しいところの方が多いのではないか。

・ 商業出版物は、近々の例では秋田県立図書館が雑誌のバックナンバーを提供

してもらっている。実際、秋田県立図書館のサイトで見てみると、商業出版

物の方が、貸し借りとかライセンスの問題とかが絡んできて電子書籍システ

ムにあり、郷土資料の類はアーカイブの中に、入り口を同じところで(分か

れる)仕組みになっている。そういう区分けした使い方等の事例を踏まえた

連携も必要になるのではないか。

・ 郷土資料は、国会図書館がお金をかけて、今まで見られなかったコンテンツ

を電子化して、(画像データからの PDF なので)検索とかはできないと思うが

それなりに利用できるようになる。そのため、郷土資料は MALUI(Museum

Archives Library University Industry)連携のような形で見られるような

形で集積すればするほど、価値は上がるのではないか。

・ 商業出版物に関しては、出版社(版元)の意見として、どこまでニーズがあ

り、市場として販売できるかが分からないと指摘されている。例えば、ある

程度、図書館がまとまって、こういう電子書籍をまとめて購入したいという

意向を示すことができれば、連携する意味と出版社(版元)へのアピールに

もなるのではないか。

・ 図書館の本は、電子書籍を本格的に取り込まないと広がらないのではないか。

図書館においても、一定部数の本を購入しているので、そのことを図書館側

が出版社(版元)に伝えていく必要があるのではないか。

そこで、本研究会では、電子図書館システムで連携するコンテンツとして、現時点

では「商業出版物」に関して流動的な要素が多数あることから、今年度の研究会では、

手始めとして「地域資料(郷土資料・行政資料)」に絞って検討することとした。

但し、「商業出版物」に関しては、図書館においても、一定部数の本を購入してい

ることから、学術出版物や地域出版物などを扱う地元の中小出版社(版元)にとって

は、安定的な購入先として図書館を捉えることも可能である。さらに、そうした安定

的な購入先である図書館の連携を深めることで、例えば図書館同士が共同で本の調達

を行うことで、地元の中小出版社(版元)に対して、大口の購入先として安定的に出

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-10-

版流通を支えていくことの側面にもなりうる可能性が考えられる。

そのため、前述した図書館連携による一定部数の電子書籍の購入が、地元の中小出

版社(版元)に対して安定的な大口の購入先となりうる可能性などについては、中長

期的なテーマとして取り扱うことが確認された。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-11-

3333....電子図書館サービスにおける図書館連携方法電子図書館サービスにおける図書館連携方法電子図書館サービスにおける図書館連携方法電子図書館サービスにおける図書館連携方法

3333-1.-1.-1.-1.地域資料の地域資料の地域資料の地域資料の相互相互相互相互貸出・提供の連携貸出・提供の連携貸出・提供の連携貸出・提供の連携が実現される仕組みが実現される仕組みが実現される仕組みが実現される仕組み

((((1111))))システムのシステムのシステムのシステムの連携パターン連携パターン連携パターン連携パターン

前章にて、来年度に向けては、本研究会としての検討範囲は、電子図書館システム

ならではのメリットを活かし、デジタルアーカイブと電子書籍との違いを意識しつつ、

手始めとして「地域資料(郷土資料・行政資料)」について、「電子図書館システム」

を通じて電子書籍の形で相互貸出・提供するための連携方法を検討することが確認さ

れた。

その際、研究会の参加メンバーより、札幌市の図書館が構築する「電子図書館シス

テム」の中に、データセンター的機能を用意し、各図書館に対して、その機能を開放

(提供)する形を想定してはどうかとの問題提起が出された。

そのため、札幌市において、来年度に予定されている図書館電算システムの再構築

に当たり、本研究会の参加メンバーである石狩管内の図書館に対して、札幌市の図書

館が構築する「電子書籍システム」の中に電子的に提供可能な地域資料を預けられる

領域を用意することで、電子的に提供可能な地域資料の貸出・提供が実現されるよう

な仕組みを想定した仕様を検討することとした。その仕組みを想定した場合、システ

ム的な連携パターンの方法としては、次のようなパターンが考えられる。

①電子コンテンツ(地域資料)が格納された CD の貸し借り

⇒従来の紙媒体の本と同様の流れの仕組みで行う

②電子コンテンツ(地域資料)自体を副本として提供し、相手先の自治体のサー

バで管理

⇒電子コンテンツの副本貸借とし、アップロード(ダウンロード)の仕組み

を活用する

③「電子書籍システム」を他自治体の市民(利用者)が直接利用

⇒他自治体の市民(利用者)に番号を発行し、市民(利用者)側で

システムを相互利用する

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-12-

①は、従来の紙媒体と同様の流れであることから、最も実現性が高いものの、経費

(送料を含めて)や業務量(手続きの煩雑さ)などの負担増加が見込まれ、かえって

現実的ではないことも想定される。そのため、本研究会では、②もしくは③の実現の

可能性も含めて検討することが確認された。

そこで、前述した②と③の実現イメージとして、札幌市が構築する予定の「電子書

籍システム」を利用し、電子的に提供可能な地域資料が他自治体の市民(利用者)で

も利用できることとした場合、次のような仕組みが想定される(図表3)。

図表図表図表図表3333 地域資料の相互貸出・提供地域資料の相互貸出・提供地域資料の相互貸出・提供地域資料の相互貸出・提供が実現されるような仕組みのイメージ案が実現されるような仕組みのイメージ案が実現されるような仕組みのイメージ案が実現されるような仕組みのイメージ案

図書館内貸出図書館内貸出図書館内貸出図書館内貸出館外貸出館外貸出館外貸出館外貸出

学校や団体学校や団体学校や団体学校や団体貸出貸出貸出貸出

札幌市民

札幌市民

札幌市民

札幌市民 タブレット

パソコン

札幌市中央図書館

札幌市中央図書館

札幌市中央図書館

札幌市中央図書館

地域資料地域資料地域資料地域資料電子コンテンツ電子コンテンツ電子コンテンツ電子コンテンツ

『新札幌市史』や『札幌の歴史』などの郷土資料を電子化

アップロード

図書館システム

OPAC(利用者システム)館内OPAC WebOPAC

電子書籍システム

・利用者管理・検索・資料・書誌・レファレンス

・統計業務 等

石狩管内

石狩管内

石狩管内

石狩管内のののの自治体

自治体

自治体

自治体のののの

図書館

図書館

図書館

図書館地域資料の地域資料の地域資料の地域資料の

電子コンテンツ電子コンテンツ電子コンテンツ電子コンテンツ

電子化された電子化された電子化された電子化された地域資料の共有領域地域資料の共有領域地域資料の共有領域地域資料の共有領域

市史や歴史』などの郷土資料

アップロード 電子化

ダウンロード

図書館内貸出図書館内貸出図書館内貸出図書館内貸出館外貸出館外貸出館外貸出館外貸出学校や団体学校や団体学校や団体学校や団体

貸出貸出貸出貸出

石狩管内

石狩管内

石狩管内

石狩管内

のののの市民市民市民市民

タブレット

パソコン

電子書籍システムの機能を利用した電子書籍システムの機能を利用した電子書籍システムの機能を利用した電子書籍システムの機能を利用した地域・郷土資料の閲覧利用権限の付与地域・郷土資料の閲覧利用権限の付与地域・郷土資料の閲覧利用権限の付与地域・郷土資料の閲覧利用権限の付与(協定書による利用者登録の範囲拡大)(協定書による利用者登録の範囲拡大)(協定書による利用者登録の範囲拡大)(協定書による利用者登録の範囲拡大)

電子化された資料の電子化された資料の電子化された資料の電子化された資料の相互貸借の実現相互貸借の実現相互貸借の実現相互貸借の実現(相互貸借の要綱の見直し)(相互貸借の要綱の見直し)(相互貸借の要綱の見直し)(相互貸借の要綱の見直し)

書誌情報の横断的な検索閲覧を実現

ダウンロード

副本副本副本副本アーカイブアーカイブアーカイブアーカイブ

そこで本研究会では、上記の実現イメージ(図表4)で示した仕組みを前提に、諸

課題について、さらに議論を重ね、最大限、コスト負担がかからない形での連携方法

の具体的な内容の検討を行った。その上で、研究会メンバーの図書館の役割分担や実

現に向けたステップ(段階的な進め方)の考え方を整理することとした。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-13-

(2)地域資料の登録保管方法(2)地域資料の登録保管方法(2)地域資料の登録保管方法(2)地域資料の登録保管方法

図表4の実現イメージに基づき、札幌市の図書館に対して各自治体の図書館の地域

資料を提供する方法としては、以下の方法が想定される(図表4)。

図表図表図表図表4444 地域資料の登録・保管方法地域資料の登録・保管方法地域資料の登録・保管方法地域資料の登録・保管方法

地域資料の登録保管概要地域資料の登録保管概要地域資料の登録保管概要地域資料の登録保管概要

石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館

石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館

・・・・

電子書籍(商用)電子書籍(商用)電子書籍(商用)電子書籍(商用)

電子書籍電子書籍電子書籍電子書籍

(地域)(地域)(地域)(地域)

図書館システム図書館システム図書館システム図書館システム

書誌情報書誌情報書誌情報書誌情報DB

利用者情報利用者情報利用者情報利用者情報DB

アーカイブDBアーカイブDBアーカイブDBアーカイブDB

活用F

原本F

書誌

活用F

原本F

書誌

①活用ファイルと書①活用ファイルと書①活用ファイルと書①活用ファイルと書

誌の登録(一括アップ誌の登録(一括アップ誌の登録(一括アップ誌の登録(一括アップ

ロード)を申請ロード)を申請ロード)を申請ロード)を申請

②内容を確認②内容を確認②内容を確認②内容を確認

③一括ダウンロードして③一括ダウンロードして③一括ダウンロードして③一括ダウンロードして

保管(保存)保管(保存)保管(保存)保管(保存)

⑤書誌の登録⑤書誌の登録⑤書誌の登録⑤書誌の登録

活用F 書誌

書誌活用F

④承認④承認④承認④承認/公開公開公開公開

札幌市札幌市札幌市札幌市 中央図書館中央図書館中央図書館中央図書館

電子書籍システム電子書籍システム電子書籍システム電子書籍システム

業務系システム業務系システム業務系システム業務系システム

活用F

原本F

:解像度を低くする等した、閲覧を目的としたファイル

:解像度を高める等した、保存を目的としたファイル

札幌市の図書館職員札幌市の図書館職員札幌市の図書館職員札幌市の図書館職員

図書館職員図書館職員図書館職員図書館職員

図書館職員図書館職員図書館職員図書館職員

【手順】【手順】【手順】【手順】

①活用ファイルと書誌の登録(一括アップロード)を申請

・ 石狩管内の各市の図書館職員は、随時、電子化された地域資料を札幌市の電

子書籍システムに登録(一括アップロード)の申請を行う。

・ 登録するものは、「活用ファイル(原本ファイルではない)」と「書誌情報」。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-14-

・ 登録の際に、ライセンス管理区分(誰でも可、札幌および各市の市民のみ等)

を設定

・ 活用ファイルの形式(PDF 等を想定)や制限(サイズ等)は、稼働前までにマ

ニュアルを整備予定。

・ 原本ファイルは、各市で保管され、登録しない。

②内容を確認

・ 札幌市の図書館職員が、以下の内容を確認。

・ 確認するポイントは、以下の通り。

� 書誌内容の齟齬

� 活用ファイルの精度(形式は別途マニュアルで記載)

� ファイルサイズ(利用者のダウンロード時間等に関わるため)

③一括ダウンロードして保管(保存)

・ 内容に問題がなければ、書誌と活用ファイルを一括ダウンロードし、アーカ

イブの形で保管(保存)

④書誌の登録

・ 業務系システムに書誌を登録。

⑤承認/公開

・ 電子書籍システムで公開の承認。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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(3(3(3(3)地域資料の公開提供方法)地域資料の公開提供方法)地域資料の公開提供方法)地域資料の公開提供方法

図表5の各自治体の図書館から提供された地域資料を、市民に対して公開する方法

としては、以下の方法を想定している(図表5)。

図表図表図表図表5555 地域資料の公開・提供方法地域資料の公開・提供方法地域資料の公開・提供方法地域資料の公開・提供方法

電子書籍(商用)電子書籍(商用)電子書籍(商用)電子書籍(商用)

電子書籍電子書籍電子書籍電子書籍

(地域)(地域)(地域)(地域)

図書館システム図書館システム図書館システム図書館システム

書誌情報書誌情報書誌情報書誌情報DB

利用者情報利用者情報利用者情報利用者情報DB

アーカイブDBアーカイブDBアーカイブDBアーカイブDB

活用F 書誌

書誌活用F

札幌市札幌市札幌市札幌市 中央図書館中央図書館中央図書館中央図書館

電子書籍システム電子書籍システム電子書籍システム電子書籍システム

業務系システム業務系システム業務系システム業務系システム

地域資料の公開提供概要地域資料の公開提供概要地域資料の公開提供概要地域資料の公開提供概要

石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館

石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館石狩管内の図書館

・・・・

①石狩管内の図書館の利用①石狩管内の図書館の利用①石狩管内の図書館の利用①石狩管内の図書館の利用

者用ID発行者用ID発行者用ID発行者用ID発行

②石狩管内の図書②石狩管内の図書②石狩管内の図書②石狩管内の図書

館の利用者用ID送館の利用者用ID送館の利用者用ID送館の利用者用ID送

活用F

原本F

:解像度を低くする等した、閲覧を目的としたファイル

:解像度を高める等した、保存を目的としたファイル

④④④④

<ライセンス管理あり><ライセンス管理あり><ライセンス管理あり><ライセンス管理あり>

石狩管内の図書館の利用者用ID石狩管内の図書館の利用者用ID石狩管内の図書館の利用者用ID石狩管内の図書館の利用者用ID

で閲覧(館内のみ)で閲覧(館内のみ)で閲覧(館内のみ)で閲覧(館内のみ)

<ライセンス管理なし><ライセンス管理なし><ライセンス管理なし><ライセンス管理なし>

だれでも閲覧だれでも閲覧だれでも閲覧だれでも閲覧図書館職員図書館職員図書館職員図書館職員

図書館職員図書館職員図書館職員図書館職員

市民市民市民市民

③石狩管内の図書③石狩管内の図書③石狩管内の図書③石狩管内の図書

館の利用者用館の利用者用館の利用者用館の利用者用IDのののの

【手順】【手順】【手順】【手順】

①石狩管内の図書館の利用者用 ID 発行

・ 札幌市の図書館電算システム上で、各図書館の利用者用の ID を発行(個人を

特定しないため、あくまで図書館用 ID として発行、そのため個人情報は取

得しない)。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-16-

②石狩管内の図書館の利用者用 ID 送付

・ 各図書館に対して、利用者用の ID を送付。

③石狩管内の図書館の利用者用 ID の貸出

・ 各図書館を通じて、館内で利用者用の ID を市民に対して貸出。

④閲覧

<ライセンス管理あり>

・ ライセンス管理の必要な資料は、館内にて各図書館の利用者用のIDにて閲覧。

<ライセンス管理なし>

・ ライセンス管理の必要のない資料は、利用者 ID がなくても、誰でも館内・館

外問わずインターネット経由で閲覧。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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3333-2.-2.-2.-2.次年度の取り組み内容(実証実験)次年度の取り組み内容(実証実験)次年度の取り組み内容(実証実験)次年度の取り組み内容(実証実験)

前述した仕組みを札幌市の図書館で用意することを前提に、次年度においては、試

行的な取り組みを行い、図書館同士でノウハウを蓄積・共有するなどの段階が必要で

ある。そこで、次年度の取り組みとしては、電子図書館サービスにおける図書館連携

の第一歩として、実証実験の実施から取り組むことを提案する。

①①①①実証実験の目的実証実験の目的実証実験の目的実証実験の目的

本研究会の検討においては、今後、各自治体がなるべく経費のかからない形で、統

一的なアーカイブ的なものを作って地域資料を収集し、公開できる仕組みが必要とな

ることが確認された。また、地域資料の電子化は、確かに原本が貸せないものを貸出、

閲覧を可能にするという意味で重要となっている。しかしながら、アナログ的な職人

技が結構あり、実際にやってみないとわからないという側面があるため、そうしたノ

ウハウを各自治体が蓄積しきれているとは言えない。

そこで、来年度の実証実験では、札幌市の図書館が、そのアーカイブ的なプラット

フォームを用意することで、図表4で示した実現イメージの仕組みの検証とともに、

地域資料の電子化に向けたノウハウの蓄積・共有化を各自治体と図っていて行くこと

とする。

②②②②実証実験を通じた成果実証実験を通じた成果実証実験を通じた成果実証実験を通じた成果

� 電子コンテンツをアップロードするためのマニュアル(電子コンテンツのフ

ォーマットやサイズやアップロードのための手順など)

� 地域資料に関する書誌作りのルール(作成方法、必須入力項目の選定、ジャ

ンル区分の設定など)

� 利用者に対する利用規定(利用者に対する公開方法など)

� 利用者の利用実態を把握するための統計データの取り方(統計データの提供

方法など)

③③③③実証実験の参加方法実証実験の参加方法実証実験の参加方法実証実験の参加方法

地域資料の電子化されたコンテンツは、各自治体の図書館から、札幌市の図書館に

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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対する副本の寄贈という形で提供する(紙媒体による地域資料の提供は、不要)。但

し、副本の寄贈を受けた自治体の図書館に対しては、電子コンテンツを見ることので

きる権限を提供することとする。

そのため、来年度は、札幌市中央図書館から各図書館に対して実証実験の参加協力

依頼の形で研究会を継続させ、当面、規程の見直しもしくは協定書の締結を含めた連

携方法については、引き続きの検討事項とする。

④④④④実証実験の検証事項実証実験の検証事項実証実験の検証事項実証実験の検証事項

� アップロード、ダウンロードすることを通じて、ファイルごとにどれくらい

ダウンロードに時間がかかるか。

� いろいろな解像度でスキャンし、現行の LAN などのネットワーク環境下で、

実際に何分ぐらいでダウンロードが出来るか。

� 書誌を作成するため、どのような項目やジャンル区分が必要か(地域資料の

書誌作成に必要な研修の企画と実施)。

� 利用者に対して公開させて、どのように利用されるか。

⇒マニュアル整備に必要な事項を検証する。

⑤⑤⑤⑤実証実験時のルール実証実験時のルール実証実験時のルール実証実験時のルール

� ファイルのフォーマットは、PDF を想定(OCR 可能なフォーマット)する。

� 電子化する対象は、当面は貴重資料ではなくて、行政として出され著作権が

フルコントロール出来る地域資料とする。

� 電子化する機材について、PDF が制作可能な機材であれば何でもよい。必要が

あれば、札幌市中央図書館から各図書館に対して、機材及び電子化の作業に

対する技術的なノウハウの提供支援を行う。

� 実証実験に参加するシステム利用負担は不要とするが、利用に伴う電子化作

業などの事務経費は自己負担とする。

⑥⑥⑥⑥実証実験の来年度の実施スケジュール実証実験の来年度の実施スケジュール実証実験の来年度の実施スケジュール実証実験の来年度の実施スケジュール

実証実験で用いるシステムは、札幌市の図書館が、来年度、図書館システムを再構

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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築する受託事業者との調整事項となる。しかしながら、来年度の後半には実証実験が

実施できるように調整を行い、準備していくこととする。

従って、来年度、準備の見通しが立った段階で、改めて札幌市の図書館から、他の

自治体の図書館に対して、実証実験の参加を依頼する形を取るようにする。

⑦⑦⑦⑦その他、研究会の継続その他、研究会の継続その他、研究会の継続その他、研究会の継続

すでに本研究会の参加メンバーからは、これを機会に定期的な会合を行ってみては

どうか、との意見が出され、来年度以降も継続的に定期的な会合を行うことが確認さ

れた。

そこで、実証実験と合わせて、研究会を継続させ、実証実験を通じた成果の検討と

合わせて、再来年度以降の正式な連携方法(「連携方法(位置づけの整理)」や「運用

費用(ランニングコスト)」の利用者負担等)についても、引き続き検討を行うこと

とする。また、中長期的な連携テーマ(既存の図書館システムの共同利用や電子書籍

としての「地域出版物」の共同調達など)についても、引き続き検討を行うこととす

る。

なお、開催回数は別途調整となるが、なるべく早い段階で実証実験の実施、及び研

究会の開催予定などの年間スケジュールを策定し、各自治体の合意を得た上で、開催

していくようにする。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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3-33-33-33-3....次年度以降の検討課題次年度以降の検討課題次年度以降の検討課題次年度以降の検討課題

「3-2.次年度の取り組み内容(実証実験)」の「⑦その他、研究会の継続」で、

再来年度以降の正式な連携方法(「連携方法(位置づけの整理)」や「運用費用(ラン

ニングコスト)」の利用者負担など)について検討を行うことが必要であることを示

した。具体的には、次のような事項である。

(1)連携方法の実現(位置づけの整理)(1)連携方法の実現(位置づけの整理)(1)連携方法の実現(位置づけの整理)(1)連携方法の実現(位置づけの整理)

電子化された地域資料のやり取りを実現するため、各自治体の法例規上の担保を確

保する必要がある。その担保に必要な事項としては、以下のことが考えられる。その

ため、どのような形態で位置づけるべきかの検討が必要となる。

①各自治体の図書館の相互貸借の要綱等の追加見直し

⇒各自治体の既存の相互貸借に関する要綱や規程に明記されている「提供資

料の範囲」の中に、電子書籍(郷土資料、行政資料)を追加し、相互利用

できるようにする

②電子書籍システムの閲覧利用権限の ID 提供を行うための協定書の締結

⇒各自体間で相互利用を行うことを目的とした協定書を締結し、各自治体の

市民に対して相互に図書館の利用者用 ID を発行して、相互利用できるよ

うにする

但し、上記の形態による相互利用の形で連携を図る場合、紙の本と比較しながらも、

貸出期間、借用申込、手続きの流れなどの利用者への提供・返却方法に関する手続き

の流れを整理しておく必要がある。また、電子化された地域資料を相互利用した場合

の貸出の利用履歴などの統計情報の提供方法なども検討する必要がある。

(2)(2)(2)(2)個人情報保護条例やセキュリティ個人情報保護条例やセキュリティ個人情報保護条例やセキュリティ個人情報保護条例やセキュリティ規定規定規定規定などなどなどなどの確認の確認の確認の確認

「3-1.電子化された地域資料の相互貸出・提供の連携が実現される仕組み」で

示した通り、次年度の実証実験では、電子書籍システムで ID 管理が必要な地域資料

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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の相互貸出・提供は、札幌市の図書館システム上で各図書館の利用者用 ID を発行し、

そのID管理のもとで行われることを想定している。但し、各図書館の利用者用IDは、

札幌市の図書館から、あくまで石狩管内の各図書館に対して利用権限を付与した複数

の ID を発行することとし、各図書館がそれぞれの ID を利用者に発行する形を想定し

ている。このため、札幌市の図書館は、石狩管内の各図書館から誰が利用したかを特

定する個人情報の提供を受けない形となるので、石狩管内の各図書館の利用者の個人

情報を取得・保有することはない。つまり、札幌市の図書館システムには、札幌市以

外の各図書館から誰に貸出・提供されたという記録は、全く保有されないことになる。

従って、札幌市の図書館に対して、石狩管内の各図書館から利用者の個人情報が提供

されるということは発生しないため、個人情報の第三者提供が行われるということは

なく、各自治体の個人情報保護条例上の規定に抵触することはないと考えられる。

但し、実証実験以降の本格実施を想定した場合、例えば石狩管内の各図書館で行わ

れている利用者登録の情報を札幌市の図書館に提供、もしくは札幌市の図書館システ

ム上直接、石狩管内の札幌市以外の市民が利用登録可能として利用者用 ID を発行す

るような形態も考えられ、この場合は札幌市の図書館が他自治体の市民の利用登録に

関する個人情報を取得(もしくは他自治体からの第三者提供)が行われることとなる。

従って、その場合は、予め、実証実験以降の本格実施に向けて、他自治体の市民の利

用登録の取得の有無を検討した上で、各自治体の個人情報保護条例上の規定の確認な

どを行っておく必要がある。なお、より広く多くの市民に提供することを想定した場

合、各図書館の利用者用 ID による貸出が不要となる運用も想定されるため、そうし

た運用面での条件整理も検討が必要である。

一方、電子化された地域資料(データ)の庁外保管に関しては、各自治体の情報セ

キュリティ上の規定の順守が求められる。一般的な規定としては「情報管理者の許可

がない場合、記録媒体を執務室から持ち出してはならない」と定められている場合が

多いため、電子化された地域資料の提供に当たり、各自治体での手順の確認が必要と

なる。

(3)(3)(3)(3)地域資料の登録条件地域資料の登録条件地域資料の登録条件地域資料の登録条件

電子媒体のフォーマットは、OCR 可能なフォーマットを任意で各館で選択できるよ

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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うにするが、容量を含めた登録の条件に付いては、詳細は来年度に入り、登録のため

のマニュアルを作成する際に検討する予定である。

また、地域資料の貸出に当たって、利用者登録(ID による貸出)を行うかどうかは、

登録時に有無の選択が可能な形を想定している。なお、登録に当たっては、書誌を作

成することが必要となる。そのため、どのような項目が必要か(特に必須項目と選択

項目の区分やジャンル区分の設定なども含めて)を検討することが必要である。

(4)連携に当たっての費用負担(4)連携に当たっての費用負担(4)連携に当たっての費用負担(4)連携に当たっての費用負担

仕組みに必要な構築費用(イニシャルコスト)は、札幌市の図書館が行う来年度の

図書館電算システムの再構築の一環として、電子書籍システム構築に含めることとし、

札幌市の図書館側の負担とすることが可能である。

但し、運用費用(ランニングコスト)においては、各自治体の図書館からの費用の

一部負担も想定する必要がある。連携する自治体の図書館同士のコストシェアのルー

ルとしては、一般的に会費制といった一律、均等割もしくは、人口比、職員数比、財

政規模等の配分、さらに地域資料の容量(コンテンツの大きさ)、利用頻度等の実績

に基づく方法などが考えられる(図表6)。このため、どのような形や負担方法など

で、各自治体から一部負担を行うべきなのかの検討が必要である。

図表図表図表図表6666 主なコスト負担モデルの種類主なコスト負担モデルの種類主なコスト負担モデルの種類主なコスト負担モデルの種類

モデル 負担方法(考え方)

一律負担モデル � 単純に参加団体で按分し、コストを負担する。

人口比負担モデル � 各自治体の人口比を基本として、コスト負担率を算出す

る。

職員数負担モデル � 各自治体の職員数比を基本として、コスト負担率を算出

する。

利用頻度負担モデル � サービスの利用量によって従量的にコストを負担する。

人口比負担モデル+

利用頻度負担モデル

� 初期投資は人口比負担、運用費は利用頻度負担モデルで

按分し、コストを負担する。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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職員数比負担モデル

利用頻度負担モデル

� 初期投資は職員数比負担、運用費は利用頻度負担モデル

で按分し、コストを負担する。

追加加入地方公共団

体モデル

� システム構築の終了後、共同利用に参加する自治体につ

いては、初期から共同利用に参加していた自治体よりも

高い運用費を負担し、構築時より参加していた自治体

と、構築後に参加した自治体の間のコスト負担における

不公平の解消を図る。

(出典:総務省「公共 IT におけるアウトソーシングに関するガイドライン」平成 15 年 3月、

p.22 図表 3.1-10 )

例えば、石狩管内 8 市町村(札幌市・江別市・千歳市・恵庭市・北広島市・石狩市・

当別町・新篠津村)によって構成される特別地方公共団体である札幌広域圏組合では、

構成市町村が、均等割(20%)・人口割(50%)・財政割(30%)のそれぞれの負担割

合に応じて負担を行っている。なお、札幌広域圏組合では、これまで「札幌広域圏図

書館情報ネットワーク事業」として、石狩管内の市町村の図書館に対する紙媒体の本

の相互貸借の支援が行われてきた。しかしながら、札幌広域圏組合の事業縮小(経費

削減)に伴い、平成 24 年度から事業終了している。そのため、改めて、札幌広域圏組

合に対して、本提言書で提案した取り組みを事業スキームの中に取り入れるように働

きかけていくことも一案である。

このように、既存の事業スキームに相乗りするような方法を模索するなど、引き続

き、できる限り経費負担が軽減されるような連携方法を検討する必要がある。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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おわりにおわりにおわりにおわりに ~石狩管内の図書館連携に向けて~~石狩管内の図書館連携に向けて~~石狩管内の図書館連携に向けて~~石狩管内の図書館連携に向けて~

電子書籍の普及は、図書館利用の垣根が全く無くなってしまう側面がある。自宅の

パソコンからアクセスすることで、図書館との距離は問題ではなくなる。スマートフ

ォンやタブレット端末を使えば、更に場所を選ばないことになる。このような環境の

変化に対し、図書館は門戸を広く開けて、連携していくことで、図書館の可能性が未

来に広がっていくことになることは、疑いがない。本研究会は、その第一歩を歩み出

す機会となった。

札幌市以外の居住者が、札幌市の資料を利用する場合、その反対に札幌市の居住者

が石狩管内の他の図書館を利用する場合、これまで相互貸借というシステムで、居住

地の図書館は郵送や宅配便を使って資料を取り寄せて提供している。電子書籍も同じ

枠組みで行うには、複雑な手順や著作権などの課題があることが分かった。頻繁に行

き来できる距離にある石狩管内であるから、利用者は目的の資料のある図書館に登録

し、あとはインターネットやメールでやり取りするのが現実的である。

今回、石狩管内の図書館に関する統計データを拾い出してみると、札幌市が人口に

比して蔵書数が少ないことなど、抱えている問題が見えてきた。人口 190 万人の札幌

市が約 250 万冊に対し、石狩管内 5 市は人口 40 万人で約 150 万冊の蔵書を持ってい

る(図表7)。電子書籍の時代を迎えても、この 400 万冊の蔵書は、これからも多く

の情報と楽しみを市民にもたらしてくれる。6 市の図書館が一つと考えれば 400 万冊

の図書館が誕生することになる。この蔵書と、全国的に見ても先進事例となる電子書

籍が加わることで、石狩管内の市民は大きな情報源を持つことになる。

石狩管内は、縄文期の遺跡が点在し、アイヌ民族の長い居住があり、開拓使が置か

れてから開発が進んだという歴史が共通している。地域資料を電子化し、利用できる

ようになれば、研究者にとって朗報となるだろう。道央圏として同じ行政課題も多い

ことから、行政資料の電子化は地方自治にとって有益なものとなる。

電子書籍の登場で、図書館サービスのあり方も問われていくことは間違いない。石

狩管内の図書館は、力を合わせてサービスの質・量のアップに努めていかなければな

らない。その一歩として、地域・行政資料の電子化を行う。そして、管内の住民がど

の図書館でも登録し使うことができる共同利用や図書館システムの共同利用なども

研究を継続し、今後とも利用価値があり、愛される図書館像を探っていく必要がある。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

-25-

図表図表図表図表7777 石狩管内の図書館に関する統計データ石狩管内の図書館に関する統計データ石狩管内の図書館に関する統計データ石狩管内の図書館に関する統計データ

人口

(H24.3.31

現在)

資料費合計

(平成 24 年

度)

蔵書総数

(H24.3.31

現在)

登録者総数

(H24.3.31

現在)

個人貸出資料

総数(平成 23

年度実績)

予 約受付

件数(平成 23

年度実績)

札幌市(中央図書

館、地区館を含む)

1,904,319 人 102,793 千円 2,529,101 冊 675,522 人 7,560,594 点 1,417,564 件

江別市(情報図書

館、分館を含む)

120,940 人 23,549 千円 414,314 冊 64,856 人 883,850 点 94,910 件

千歳市(市立図書

館)

94,124 人 20,916 千円 279,190 冊 73,228 人 685,916 点 32,490 件

恵庭市(市立図書

館、分館含む)

68,754 人 16,008 千円 274,745 冊 42,118 人 612,487 点 34,544 件

北広島市(市立図書

館)

60,291 人 17,400 千円 304,591 冊 28,020 人 542,189 点 51,883 件

石狩市(市民図書

館)

60,616 人 15,350 千円 269,932 冊 23,890 人 588,171 点 50,669 件

5市合計(札幌市以

外)

404,725 人 93,223 千円 1,542,772 冊 232,112 人 3,312,613 点 264,496 件

6市合計(札幌市を

含む)

2,309,044 人 196,016 千円 4,071,873 冊 907,634 人 10,873,207 点 1,682,060 件

北海道立図書館 5,498,916 人 32,971 千円 1,038,015 冊 31,617 人 124,969 点 21,750 件

(出典:北海道立図書館「北海道の図書館 統計 -平成 24 年 4月 1日現在-」

http://www.library.pref.hokkaido.jp/web/relation/hts/qulnh00000002pmv.html)

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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参考資料参考資料参考資料参考資料

1.1.1.1.研究会名簿研究会名簿研究会名簿研究会名簿

【座長】

• 湯淺墾道氏(情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科教授)

【メンバー】

• 淺野隆夫氏(札幌市 教育委員会 中央図書館 業務課 情報化推進担当係

長)

• 坪田美菜子氏(札幌市 教育委員会 中央図書館 業務課 奉仕係)

• 丹羽秀人氏(石狩市民図書館 副館長)

• 近藤学氏(江別市情報図書館 主査(奉仕・事業担当))

• 黒氏優子氏(恵庭市立図書館 奉仕主査)

• 蛯名優子氏(北広島市図書館 司書)

• 麻植顕二郎氏(千歳市立図書館 庶務係長)

【オブサーバー】

• 桑原裕子氏(北海道立図書館 利用サービス部 利用サービス課)

【事務局】

• 「札幌市 図書館電算システム再構築基本設計業務」受託事業者(株式会社

札幌総合情報センター)

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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2.2.2.2.研究会研究会研究会研究会要綱要綱要綱要綱

(名称)

第1条 本会の名称は、「電子図書館サービスにおける図書館連携」研究会(以下「研

究会」という。)と称する。

(目的)

第2条 本格的な電子書籍の登場を背景に、図書館資料の電子化、ネットワークによ

る配信による図書館サービス向上が期待される中、電子書籍貸出サービス導入にあ

たっては図書館間の連携によりその効果がさらに促進されることが期待される。そ

こで本研究会では、連携スキーム等について検討を行うことを目的とする。

(活動内容)

第3条 研究会は、前条の目的を達成するため、次に掲げる事項の活動を行う。

(1)連携する対象(例:システム、および商業出版物、郷土資料、行政資料など

の電子書籍コンテンツなど)の絞り込み

(2)連携するパターン(例:紙媒体の本で行われている相互貸借と比較した場合

のスキームなど)の検討

(3)(2)のパターンに基づく連携の課題(例:手続きの流れ、コスト負担、連

携する場合の懸念事項など)の検討

(4)(1)から(3)で検討した結果に基づき、石狩管内の市立図書館間同士の

役割分担などの整理、実現に向けたステップ

(5)その他(1)から(4)に関連する事項等

(組織および構成メンバー)

第4条 研究会は、札幌市を含めた石狩管内の市立図書館や道立図書館の関係者、学

識経験者などをもって構成する。

2 研究会に参加する者は、第2条の目的達成のために協力して活動する。

3 メンバーの任期は、平成 25 年 3 月 31 日までとするが、再任も可とする。

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電子図書館サービス連携に関する提言書

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(事務局)

第5条 研究会の効率的な運営、各種調整及び事務作業などを行うため、研究会内に

事務局を置く。

2 事務局は、札幌市中央図書館が担うこととする。ただし、その事務局の補助を

札幌市の「図書館電算システム再構築基本設計業務」を受託した事業者に担わせる

ことができることとする。

(研究会の運営)

第6条 研究会は、年度内に4回程度(1 回当たり半日程度を目安とする)開催する

こととし、開催場所は原則として札幌市中央図書館とする。

2 研究会の開催日程などの調整は、事務局がメンバーと協力して実施する。

3 研究会の効率的な運営及び話題提供等の支援のため、必要に応じて第2条の目

的にかなう外部専門家などを研究会に参加させることができる。

(権利の帰属)

第7条 研究会の活動による検討結果や各種調査結果等の知的所有権は研究会に帰

属する。ただし、研究会の構成メンバーによる研究会の趣旨から大きく逸脱しない

範囲での利用は妨げないものとする。

(その他)

第8条 この規約に定めるもののほか、研究会の活動に必要な事項は、別途研究会で

協議のうえ定めることとする。

附則

1 この規約は、平成 24 年 9 月 21 日から施行する。