微粉炭燃焼過程における灰生成機構の解明 研究背景 …スラッギング...

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スラッギング 微粉炭燃焼ボイラの灰由来トラブル 熱交換率低下 ガス流路閉塞 伝熱管腐食 灰付着現象の解明 1 ファウリング 溶融した灰粒子が炉壁に衝突し付着する現象 溶融した低融点無機物が、伝熱管に付着し 灰付着層を形成する現象 研究背景 石炭燃焼過程における灰粒子の挙動の把握が必要 微粉炭ボイラ各設備の概略図と溶融灰付着箇所 ファウリングの様子(二年間運転後) 微粉炭燃焼過程における灰生成機構の解明

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Page 1: 微粉炭燃焼過程における灰生成機構の解明 研究背景 …スラッギング 微粉炭燃焼ボイラの灰由来トラブル • 熱交換率低下 • ガス流路閉塞

スラッギング

微粉炭燃焼ボイラの灰由来トラブル

• 熱交換率低下

• ガス流路閉塞

• 伝熱管腐食

灰付着現象の解明

1

ファウリング

溶融した灰粒子が炉壁に衝突し付着する現象

溶融した低融点無機物が、伝熱管に付着し

灰付着層を形成する現象

研究背景

石炭燃焼過程における灰粒子の挙動の把握が必要

微粉炭ボイラ各設備の概略図と溶融灰付着箇所

ファウリングの様子(二年間運転後)

微粉炭燃焼過程における灰生成機構の解明

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研究内容

①電気加熱式ドロップチューブファーネス(DTF)による燃焼実験

試料について燃焼過程を時系列でサンプリングを行い,燃焼率とガス分析を行う. ②SEM/EDX分析 SEM/EDXを用いて灰粒子の形態分析の観察を

行い、原炭およびチャーの燃焼過程中粒子のIncluded mineral /Excluded mineral を粒径分布,存在割合,組成などによって評価を行う.

石炭粒子内の灰(Included Mineral/Excluded Mineral)の基礎的な挙動の解明

研究目的

2

Excluded Mineral

Included Mineral 樹脂

石炭

Included Mineral 炭素成分に囲まれた灰粒子

Excluded Mineral 単独で存在する灰粒子

微粉炭燃焼過程における灰生成機構の解明

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背景

Oxy-Fuel燃焼グループ

• 世界的な主要なエネルギー源は石油を中心としている

• しかし石油の多くは中東地域から供給されていて安定供給が困難になる可能性がある

• また石油は数十年単位で枯渇が懸念されている

そこで • 近年、石炭が注目を浴びている • 可採埋蔵量が多い • 埋蔵地域が各地域に分散している

• 他の化石燃料よりCO2排出量が多い • 石炭中にN分及びS分が含まれるため窒素酸化物及び硫黄酸化物が発生する

問題

Oxy-Fuel燃焼 利点 • 排ガス中のCO2濃度が90%以上になり分離・濃縮が容易

• 窒素酸化物の転換率の低減

解決案

Oxy-Fuel燃焼

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電気加熱式ドロップチューブ燃焼炉(DTF)

目的

・Oxy-Fuel燃焼場における石炭の燃焼挙動やH2Oを含む窒素酸化物の生成機構解明

研究内容

CO2-O2雰囲気における石炭燃焼挙動ならびに再循環排ガスにH2Oを含めた場合のNOxの生成に関して、電気加熱式ドロップチューブ燃焼炉(DTF)を用いての微粉炭(瀝青炭)の燃焼実験を行う

また、計算シミュレーションの結果と実験結果を比較検討する

排ガス再循環模擬 (Oxy-Fuel 燃焼模擬)

石炭燃焼実験

計算シミュレーション

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流動層を用いた石炭のOxy-Fuel燃焼特性の解明

研究背景

• 可採年数: 109 年 • 埋蔵地域が世界各地に分散

長所

• 他の化石燃料に比べ CO2 排出量大 • 窒素酸化物,硫黄酸化物が発生

短所

一次エネルギー資源の利用状況

世界的に石油が中心

• 可採年数: 53 年 • 埋蔵地域が偏在 • 安定供給に不安

石炭に注目

高効率・CO2 回収

燃焼技術の開発

[主要国の化石エネルギー依存度]

[化石燃料の可採年数] Oxy-Fuel 燃焼 流動層

43 37 33 33 31 17 23

22 22

15 23

4

66 42

17 25 39 24

15

3

6

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

天然ガス

石炭

石油

41

64

219

40

61

227

41

67

192

41 60

133

46 59

118

53 56

109

0

50

100

150

200

250

石油 天然ガス 石炭

可採年数

[年]

1997

2000

2003

2007

2010

2013

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• 炉内脱硫が可能 • 多様な燃料に対応 • 低NOx排出

特徴

流 動 層

研究目的

Oxy-Fuel 燃焼

高濃度 CO₂ (90%以上)

• CO2 の分離・濃縮が必要なく,冷却・圧縮

のみで容易に液化回収可能 • 排ガス再循環経路を追加するのみで,

従来のボイラの改造で利用可能

• NOX 低減の可能性有

長所

• 気泡流動層による石炭のOxy-Fuel燃焼特性を解明

• 空気雰囲気,CO₂-O₂雰囲気,Oxy-Fuel雰囲気における燃焼特性の比較

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石炭ガス化プロセスにおける微量成分の排出特性

“石炭ガス化技術”

石炭の高効率エネルギー変換技術

(発電効率・・・IGCCが約48%,IGFCが約55%以上)

発電技術に応用 • IGCC(石炭ガス化複合発電) • IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)

• 他の化石燃料に比べ可採年数が長い.

• 世界各地に広く分布する. →供給安定性が高い

石炭

資源エネルギー庁エネルギー白書2015より

石炭ガス化過程における微量成分の揮発 ガスタービン翼の高温腐食 燃料電池の材料劣化 大気放出による環境への負荷,人体への悪影響

石炭ガス化の問題点 石炭ガス化における微量成分の挙動の解明が必要

背景

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研究内容

Iso-kinetics sampling

Gas analysis

Particle analysis

Fuel injection part

Reaction part

Secondary gas

Coal feeder

Injector

Water

in

Water

out

Water

in

Water

out

Sampling probe

Primary gas

Dilution gas

Heater

unit

N2 CO2 Ar

Mass flow controller

Continuous feeding

Entraining gas : N2

Gasifying agent : CO2

Flow Meter

Pump

Pump

LPI unit

Micro-GC sample unit

Temperature

controlled

by electric heater

Residence time :

2s

Low Pressure Impactor

(LPI)

Filter

実験装置図(DTF)

・FactSageを用いた熱力学平衡計算 →微量成分の化合物形態の予測 DTFによる石炭ガス化実験 1. Micro-GCによる生成ガス分析 2. LPIによるガス化過程粒子の粒径別採取 →誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)を用いた粒径別の微量成分濃度の測定

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石炭ガス化プロセスにおける微量元素の排出挙動

石炭 (C,H2O,…)

ガス化

石炭ガス化ガス(CO,H2,CH4,…,

trace elements)

ガスクリーニング 石炭ガス化ガス

(CO,H2,…)

Purpose

石炭ガス化プロセスにおける微量元素の挙動解明 ガス化炉内での微量元素の排出制御

Advantage

安定した供給性

高い二酸化炭素捕捉率 Disadvantage

微小な微量元素排出問題 ex. タービン翼の高温腐食,燃料電池の材料劣化,PM2.5の大気排出

高効率なエネルギ発電

研究背景

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研究内容

Fig. Experimental set up

FactSageを用いた熱力学平衡計算―微量元素の化合物形態の予測

TGを用いた吸着剤の効果測定

充填層を用いた吸着剤の効果測定

-ICPを用いた実験後の吸着評価

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SOFC

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実験内容・実験装置

1.Factsageを用いた熱力学平衡計算

・石炭ガス化雰囲気における微量成分(HCl)

の化合物形態の解析

2.SOFC試験装置による発電試験

・模擬ガスによるSOFC発電試験における微量成分の発電への影響

3.SEM/EDXを用いた発電実験前後のセル

の表面観察

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Akutsu Akutsu

Akutsu Akutsu Akutsu

Akutsu 排ガス中水銀の吸収機構の解明

13

総水銀排出量 1960 t/y

出典:UNEP, 2013

世界の人為的な水銀放出量

化石燃料燃焼由来 474 t/y

全体のおよそ25%

2013年に水銀に関する水俣条約が締結

石炭火力発電所

石炭焚産業用ボイラー

非鉄金属精錬施設

廃棄物焼却施設

セメント生産施設

を対象に排出削減対策を実施

水俣条約

水銀排出量を減らす必要がある

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研究内容

実験装置 排出される水銀の抑制技術開発

目的

排ガス中水銀を吸着剤にて吸着

1. 吸着剤通過後の排ガス中の水銀量を測定

2. 実験後に吸着剤内に吸着さ

れた水銀量を測定

各種吸着剤の水銀吸着性能の評価

吸着剤

水銀分析装置

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微粉炭燃焼ボイラ内における灰付着挙動の解明

微粉炭燃焼ボイラにおける灰付着問題

スラッギング 溶融した灰粒子が炉壁に衝突し灰付着層を形成

ファウリング 溶融・気化した低融点灰が伝熱管に付着し灰付着層を形成

ボイラの運転阻害 伝熱阻害 伝熱管の腐食

伝熱管

付着灰

拡大図

電力事業用微粉炭燃焼ボイラ内の ファウリングの様子

(2年間操業後) 15

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16

研究目的

混炭

瀝青炭 亜瀝青炭

• 高価 • 高発熱量 • 一般的に高融点

• 安価 • 低発熱量 • 一般的に低融点

研究目的

微粉炭燃焼ボイラにおける単味炭、混炭の灰付着挙動の解明

研究内容

①縦型灰付着炉における瀝青炭・混炭の灰付着実験

②熱力学平衡計算を用いた混炭における灰付着特性の変化の考察

③SEM/EDXを用いた混炭時の灰付着機構に関する考察

④熱機械分析装置(TMA)を用いた灰溶融特性の分析

*SEM(走査型電子顕微鏡):Scanning Electron Microscope EDX(エネルギー分散型X線分光器):Energy Dispersive X-ray spectrometer

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廃棄物焼却炉内における付着灰低減技術の開発

17

廃棄物処理施設における

排熱ボイラのファウリングの様子

Ni-alloy

SUS304

(Thickness:200μm)

Ni合金の溶射による灰付着・腐食の低減

研究背景

一般廃棄物焼却炉 ・焼却処理する際の排熱を利用した発電

・地産地消エネルギー源 ・間接的なCO2排出の抑制

特徴

廃棄物焼却炉における問題点

燃料中に含まれる灰分が付着・溶融することによる伝熱管表面の腐食

腐食による伝熱管表面の劣化

特に廃棄物中のアルカリ成分や塩素が 腐食の要因

・伝熱管の減肉 ・メンテナンス回数の増加

灰付着・腐食の抑制が必要

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18

灰付着実験装置概略図

プロパンバーナーを用いた縦型灰付着炉の概略図

熱電対 冷却水

水冷式伝熱管概略図

テストピース (模擬伝熱管)

Sampling port

Heat exchanger tube

Observation window

Burner section

Reacting section

Deposit section

Exhaust section

Burner

Heat exchanger tube

Slag

Sampling port

Observation window

Burner section

Reacting section

Deposit

Exhaust section

Propane+O2

receiver

Feeder

Exhaust

Ash+N2

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灰付着による脱硝触媒の劣化機構の解明

研究背景

脱硝触媒に付着、堆積した灰

排煙にはNOX成分が含まれており、それを

そのまま大気中に排気すると大気汚染となってしまう。

脱硝触媒を通して、無害な𝐍𝟐や𝐇𝟐𝐎にする。

燃焼灰が脱硝触媒に付着し、脱硝効率が下がり、触媒自体を交換したり、洗浄したりする必要が出てしまう。

脱硝触媒の劣化の仕組みを解明することで脱硝触媒のさらなる効率化が可能になる。

・排煙に含まれるNOXの脱硝におけるトラブル

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研究内容

①使用年数や触媒層内での位置によって触媒を分類 ②SEMを用いて各触媒の表面性状の比較から表面付着物を分析 ③EDXを用いて,表面および断面の元素分析から付着物を分析 SEMによる触媒表面の画像

EDXによる触媒表面の分析データ

触媒表面に付着している物質の同定し,触媒劣化の原因を特定していく

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分類 発熱量

補正無水無灰基

kJ/kg (kcal/kg)

燃料比 粘結性 炭質 区分

無煙炭 (A)

Authracite

A1

--- 4.0 以上

非粘結 A2

瀝青炭 (B, C)

Bituminous

B1 35,160 以上

(8,400 以上)

1.5 以上

強粘結

B2 1.5 未満

C 33,910 以上 35,160 未満

(8,100 以上 8,400 未満) - 粘結

亜瀝青炭 (D, E)

Sub-Bituminous

D 32,650 以上 33,910 未満

(7,800 以上 8,100 未満) - 弱粘結

E 30,560 以上 32,650 未満

(7,300 以上 7,800 未満) --- 非粘結

褐炭 (F)

Lignite

F1 29,470 以上 30,560 未満

(6,800 以上 7,300 未満) ---

非粘結

F2 24,280 以上 29,470 未満

(5,800 以上 6,800 未満) ---

研究背景

石炭の分類 (JIS M 1002)

可採年数(2005年)

・瀝青炭 97年

・亜瀝青炭 457年

・褐炭 172年

可採年数を考慮すると,亜瀝青炭の有効利用が今後重要

亜瀝青炭の自己発火特性の解明

亜瀝青炭の問題点

・発熱量が低い

・自己発火の危険性

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研究装置

熱天秤概略図

一定の昇温速度場での重量変化挙動を分析

熱天秤

熱天秤を用いて石炭の

重量変化を測定

⇒酸素吸着挙動を分析

⇒酸素吸着の要因を解明

自己発火の最大の原因は空気中の酸素との反応による発熱

亜瀝青炭の酸素吸着を実験的に分析し,瀝青炭の結果と比較することで評価

研究目的

酸素吸着実験

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限りある化石資源の使用 増加する廃棄物

石炭の代替として廃棄物を使用

廃棄物利用のメリット ・エネルギー資源の節約 ・処分場問題対策

・エネルギーとしてだけでなく原材料としても使用可

・ダイオキシン等の有害物質の排出抑制

問題の深刻化

平成25年 4487万tのごみ排出 約80%は焼却処理

出展:環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況について

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1、 TG,バッチ炉等による実験

2、

燃焼データの入手

3、

燃焼理論によるモデル化

研究方法

実験目的

固体燃料の燃焼速度の測定 モデル化による燃焼挙動の解明

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廃棄物燃焼炉の発電効率の向上

低空気比高温燃焼が主流

NOx生成挙動の解明には数値シミュレーションが適当

・問題点 温室効果ガスN₂Oや大気汚染物質NOxの排出

ゴミ焼却炉(ストーカ炉)のフロー図 出典:日本環境衛生センター ストーカ 直結溶融炉による灰溶融技術

研究目的

廃棄物燃焼場におけるGRI-Mech3.0を基にしたNOx生成の簡略化反応機構を作成 25

廃棄物燃焼過程におけるNOx生成挙動の解明

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研究内容

作成した暫定的簡略化反応機構 による計算結果

バッチ式縦型管状炉によるRDF燃焼実験結果

これらの一致を目指して,実験結果を基に反応機構をブラッシュアップ

バッチ式縦型管状炉の概略図

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廃プラスチックス熱分解・ガス化挙動に関する研究

副生成物のタールを減らすことで・・・

生成ガス中のH2,COなどの可燃性ガスが増加

ガス化で生成されるもの

・配管の詰まり ・エンジントラブル

廃プラスチックス

ガス化とは炭素資源を 価値ある合成ガスにすること

タールとは熱分解によって生成される凝縮性芳香族炭化水素

27

サーマルリサイクルの一つの手法としてガス化

高効率 ガス化

単位重量当たりの発熱量は化石燃料と同様

大切な 代替エネルギー資源

• 水素、一酸化炭素など可燃性ガス • タール

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セラミックヒーター サンプルホル

ダー ガラス管

マントルヒーター

サンプルロッド マスフロコントローラ

圧力ゲージ

真空ゲージ

水槽(氷冷) ジクロロメタン (CH2Cl2 )

コットン ウォーター ポンプ

エアーポンプ

三方バルブ

ウォータータンク

バルブ

バルブ

温度コントローラー

ABS

PC PE

回収したタール

廃プラスチックス

水蒸気

ガス化

副生成物

タール

CO

H2

ガス化後タールを回収し、質量分析法による分析を行い、プラスチックスの種類、ガス化時の温度や水蒸気量による変化を観察

廃プラスチックス熱分解・ガス化挙動に関する研究

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木質バイオマスの充填層ガス化挙動解明

カーボンニュートラル

再生可能資源

膨大な量が存在する

エネルギー密度が小さい

単位当たりの生産量が低い

利点 欠点

化石燃料

Reference: 2011年度の一次エネルギー国内供給量(経済産業省)

二酸化炭素の排出による温暖化

化石燃料は有限である

化石燃料に代わる資源

高エネルギーガス化技術が求められている

バイオマス

研究背景

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研究目的と装置

Air

Biomass

pellets

φ100m

m

PC

PC

Logger

Micro

GC

Tar

trap

Exhaust

gas burner

Thermo-

couples

Insulator

Ignition

ports Impinger

×3 Fire

grate

Coolin

g

tower

Co

olin

g

Wa

ter

Co

olin

g

Wa

ter

1000m

m

LP

充填層ガス化炉

化石資源は有限であり,CO2を排出する

化石資源に代わる資源が必要

カーボンニュートラルなどの利点のあるバイオマスに着目

充填層ガス化炉でのバイオマスガス化はタールの発生を抑制させることが課題

タールの抑制には水蒸気添加が効果的である

研究背景

研究目的

充填層ガス化炉への水蒸気添加最適化(量,温度,充填層高さ)

木質バイオマスの充填層ガス化挙動解明

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低濃度炭化水素の酸化促進技術の開発

• 塗装工場などにおける周囲の人間への健康被害

• 大気放出後の大気汚染の原因

VOC等の低濃度炭化水素

VOC

(Volatile Organic Compounds) 揮発性有機化合物の略称

炭化水素,芳香族化合物,アルデヒド,エーテルなど

研究背景

強力な酸化剤であるO3を用いた低濃度炭化水素の低減技術を提案

触媒を用いた従来技術 : 触媒の使用,交換による高コストといった問題が存在

31

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研究内容

実験装置

• 素反応速度論による低濃度炭化水素の分解挙動の理論解析

• O3による低濃度炭化水素の分解実験

低濃度炭化水素にO3を添加

予熱ヒータおよび反応管にて加熱

反応後ガスをガスバッグに採取,FID検出器のガスクロマトグラフにて分析

複数の温度条件で実験を実施,素反応速度論解析結果と比較

32

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シングルパルスLIBSによるガス中微量元素の測定

研究背景 • 石炭ガス化プロセスでは,石炭中の有害微量元素が問題となる.

• リアルタイムで監視する必要がある.

既存の方法

サンプルの前処理が 必要.

シングルパルスLIBS

• 前処理が不要

• サンプルの 直接分析が可能

シングルパルスLIBSにより,ガス中の微量元素のその場分析が可能になる.

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①石炭ガス化ガス中にレーザー光 を集光し、ブレイクダウンプラズマ を発生させプラズマ中の原子を励 起させる。 ②励起した原子が基底状態に戻る 際にその原子特有の波長の光を 発する。 ③励起光を分光器で分光し、PCで処 理することで、ガス中に存在する 原子を分析することができる。

測定原理

Coal sample

Furnace

Breakdown plasma

Spectro meter

実験装置

研究内容

昨年度までは模擬ガスを用いた実験

本年度は,石炭ガス化ガスを用いて実験を行う.

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微粉炭+水素系ガス吹き込み時の 微粉炭の燃焼挙動の解明

温室効果ガスである二酸化炭素排出量削減を目的とした取り組みが様々な分野で行われている。

微粉炭燃焼挙動に及ぼす水素系ガス添加の影響

背景

鉄鋼業界は二酸化炭素の国内排出量の15%を占め、そのうち70%が製銑工程

で排出されている。鉄鋼業界では,二酸化炭素排出量削減を目的とし,鉄鉱石の水素還元など新プロセスが検討されている.

⇒水素等を高炉羽口から炉内に導入した際の影響は分かっていない.

研究目的

高炉

熱風(約1200℃)

+微粉炭

鉄鉱石 コークス

H2

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研究内容

実験装置図

電気加熱式ドロップチューブ燃焼炉(DTF)を用いて燃焼実験を行う。

・燃焼生成ガスの分析 ・燃焼過程粒子の可燃分転換率を算出 ・燃焼過程粒子のSEM観察

ブローパイプ

ランス コークス

熱風(1200℃)+水素系ガス

微粉炭

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炭材内装鉱の等温過程における反応挙動の解明

37

研究背景

鉄鋼業は日本のCO2総排出量の約12%を占める そのうち約70%が製銑工程で排出されるCO2である

製銑工程におけるCO2削減が急務

エネルギー産業 43%

運輸 17%

その他 15%

鉄鋼 12%

化学 4%

パルプ・紙 2%

食品加工・飲料 1%

その他 6%

製造業 建設業

25%

日本国内におけるCO2排出量の内訳

焼結鉱

コークス

銑鉄

高炉

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研究目的

未利用炭素資源によるFe2O3の還元挙動の解明

研究内容

急速加熱式バッチ炉を用いた 各種還元材による酸化鉄の還元実験

石炭・木質バイオマス・一般廃棄物等の還元剤と酸化鉄を混合し,加圧成型したタブレットを使用

反応中の重量変化を電子天秤で測定し,還元率曲線を作成する

38

実験装置図(バッチ炉)

試料

指標

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コークスの燃焼・ガス化過程における灰挙動の解明

羽口付近拡大図

1.熱源供給 2.酸化鉄の 還元剤 3.炉内の通気性・通液性確保 4.溶銑生成のための浸炭源

高炉におけるコークスの役割

高炉安定操業を維持するために最も重要

研究背景

レースウェイシェルの形成

コークス中の灰分が原因といわれているがコークスの燃焼・ガス化反応の詳細はまだ解明されていない。

通気性の悪化の原因の一つとして… 塊状帯 滴下帯

コークス

デッドマン

レースウェイ

融着帯

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コークスの燃焼・ガス化過程における灰挙動の解明

バッチ式縦型管状炉を用いてコークスの燃焼・ガス化中断試料を作成

実験

CCSEM-EDXを用いて試料中の灰粒子を分析

解析

コークスの燃焼およびガス化過程における灰挙動解明

研究内容

研究目的

バッチ式縦型管状炉概略図 EDX原理図

コークスの燃焼・ガス化中断試料を製作し灰粒子の粒径や組成の変化を観察