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  • 特定外来生物カワヒバリガイの現状と被害対策

    1: 国内におけるカワヒバリガイの現状・カワヒバリガイとは ? ・どこから来て、どのように広がったのか?

    2: 被害対策・霞ヶ浦用水を中心に実践している対策・その他の対策技術

    3: 終わりに・農水省委託プロジェクト「農業被害をもたらす侵略的外来種の管理技術の開発」ご紹介

  • カワヒバリガイ:淡水に住む、ムール貝の仲間・原産地:中国・朝鮮半島・殻長 約 3cm・淡水性 / 固着性 / プランクトン幼生期を持つ・繁殖期:6-10月上旬・特定外来生物:

    成体

    100 µm浮遊幼生 成体

  • カワヒバリガイの生活史

    浮遊幼生期

    底性/付着期

    10〜20日

  • カワヒバリガイのもたらす影響

    ・在来生態系への影響

    ・プランクトン密度の減少 / トビケラ類の減少底生生物群集への様々な影響 (正・負)

    ・魚病の原因となる吸虫類の中間宿主

    ・水利施設の運用に及ぼす影響

    ・スクリーン、パイプ等の閉塞

    ・死貝の堆積に伴う廃棄物の発生

  • 写真2利根川周辺の沈砂地

  • 田中ら(2013)

    ・カワヒバリガイの死貝によって閉塞した水田蛇口

  • 特定外来生物 (Invasive Alien Species Act)・海外起源の侵略的外来種の中から指定⇒輸入・飼育・放流などの禁止。⇒違反すると懲役、もしくは罰金 環境省HPより

  • 〜2000年

    ・1990年揖斐川で採集記録・木曽川水系と琵琶湖・淀川水系

  • ・1990年揖斐川で採集記録・木曽川水系と琵琶湖・淀川水系

    ・2004年:矢作川

    ・2005年:大塩貯水池周辺

    ・2005年:霞ヶ浦

    ・2004年:天竜川

    ・2007年:利根川

    ・2008年:江戸川

    ・2007年:宇連川

    ・2007年:小貝川

    〜2010年

  • 1980年代後半

    2000年代

    Tominaga et al. (2009)より作図

    カワヒバリガイの日本への侵入・拡大プロセスThe invasion and expansion process of golden mussel in Japan

  • 霞ヶ浦におけるカワヒバリガイの分布拡大Expansion of Golden Mussel in Lake Kasumigaura

    ・2005年に初記録 (須能 2006)

    ・2006年から2012年までに、湖岸46%⇒83%へと拡大、密度は3.8倍に増加(伊藤&瀧本 2013)

    (Ito 2015より)

  • 生息地

    present未生息地

    absent

    水流の方向direction of water flow

    水路(主に管水路)man-made canals

    カワヒバリガイは水利施設を経由して分布拡大(伊藤 2008, Ito 2015 ほか) 16

    カワヒバリガイの分布( 2007-2013)Distribution of golden mussel in Tone River Downstream Region (2007-2013)

  • 水路を経由した分布拡大:霞ヶ浦⇒小貝川Expansion of Golden Mussel via Canal: Kokai River

    伊藤(2008)を改変

    小貝

    霞ヶ浦

    小貝川分水工

  • 那珂川水系Naka River system

    利根川水系Tone River system

    涸沼Hinuma

    那珂川水系へのカワヒバリガイの新たな侵入確認(2014〜)Introduction of golden mussel in Naka River system (2014~)

    水流の方向direction of water flow

    水路(主に管水路)man-made canals

  • 2009年

    2015年

    2012年

    霞ヶ浦用水

    未生息地点

    生息地点

    那珂川水系におけるカワヒバリガイ(2015年までのデータ)

    石岡台地用水分布拡大の懸念: 涸沼川・涸沼前川⇒涸沼

    涸沼

    (伊藤 2016より作図)

    2014年

  • 20

    カワヒバリガイの侵入した貯水池

  • カワヒバリガイの侵入した貯水池

  • # 10分当たりの採集個体数the number of mussels collected in 10 min by a single researcher

    110100

    0

    100 mN

    流入口(霞ヶ浦より取水)Water inflow from Lake Kasumigaura

    取水口head gate

    笠間池におけるカワヒバリガイの分布Distribution and abundance of the goldenmussel in Kasama pond.

    伊藤 (2016)より作図

  • (伊藤2016 より作図)23

    福原川Fukuhara R.

    稲田川Inada R.

    涸沼川Hinuma R.

    笠間池Kasama P.

    生息地

    present未生息地

    absent

    笠間池周辺におけるカワヒバリガイの分布Distribution of the goldenmussel around the Kasama pond.

  • 対策:モニタリング調査+落水による駆除Countermeasure: Monitoring + Removal of mussels by draining reservoir

    24

  • 水利施設管理組織と行政・研究機関が連携した対策Measures against mussels cooperated by irrigation management organization, administrative

    agencies, research institutes.

  • 特定外来生物カワヒバリガイの現状と被害対策

    1: 国内におけるカワヒバリガイの現状・カワヒバリガイとは ? ・どこから来て、どのように広がったのか?

    2: 被害対策・霞ヶ浦用水を中心に実践している対策・その他の対策技術

    3: 終わりに・農水省委託プロジェクト「農業被害をもたらす侵略的外来種の管理技術の開発」ご紹介

  • 霞ヶ浦用水を中心に実践しているカワヒバリガイ対策

    • 施設へのカワヒバリガイ侵入の有無を知る⇒モニタリング調査(目視調査/付着トラップ)

    • 施設からのカワヒバリガイ駆除⇒落水による乾燥 / 物理的駆除

  • 霞ヶ浦用水を中心に実施しているカワヒバリガイ対策

    • 施設へのカワヒバリガイ侵入の有無を知る⇒モニタリング調査(目視調査/付着トラップ)

  • 霞ヶ浦用水を中心に実施しているカワヒバリガイ対策

    ・施設からのカワヒバリガイ駆除

    ⇒落水による乾燥

  • 乾燥処理

    Montalto 2015

    ・乾燥条件下で数日〜10日程度で死滅・低コスト+環境負荷が低い⇒農業利水の現場で使用・大型個体 / 高湿度(濡れた状態)では死ににくい

    落水を実施した貯水地

    駆除技術

  • 機械的除貝

    ・物理的な駆除、死貝の除去・重機の使用 / 配管内部に溜まった死貝の除去・廃棄物の処理も問題(生きたままの運搬は禁止)

    駆除技術

    農水省 (2017) カワヒバリガイ被害対策マニュアル

  • 忌避金属:銅合金

    下園ら (2017)日本銅センター(2011)カパーストリーム Vol、5

    付着防止技術

  • 防汚塗料 付着防止技術

    ・シリコーン系、エポキシ系、銅系などの付着防止塗料に効果が認められる・耐用年数に限界がある / 大規模な導入にはコストの高さが問題か?

    農水省 (2017) カワヒバリガイ被害対策マニュアル明星 (2011) より

  • 特定外来生物カワヒバリガイの現状と被害対策

    1: 国内におけるカワヒバリガイの現状・カワヒバリガイとは ? ・どこから来て、どのように広がったのか?

    2: 被害対策・霞ヶ浦用水を中心に実践している対策・その他の対策技術

    3: 終わりに・農水省委託プロジェクト「農業被害をもたらす侵略的外来種の管理技術の開発」ご紹介

  • 農林水産省 平成31年度戦略的プロジェクト研究推進事業「野生鳥獣及び病害虫等被害対応技術の開発」

  • 外来二枚貝の侵入・拡散経路の解明

    Ⅰ.外来二枚貝の管理手法の開発:研究内容

    ・調査手法の最適化

    駆除技術の開発・高度化・塩素等の薬剤の殺貝効果 / 環境負荷の解明の解明

    ・施設落水時期・期間の最適化・洗菅による貝の除去技術開発

    駆除貝の処理手法の開発・現地での処理方法の整理 ・資源化のシステム化・堆肥にかかる条件の整理

    除塵スクリーン

    農地への還元日干しによる死滅

    ・被害発生の条件となる環境要因の特定

    ・分布拡大過程のモデル化、対策の重点地域の特定

    塩素タブレット

  • ・侵略的外来種プロジェクトでは年に一回、アウトリーチ活動として、公開セミナーを開催しています。

    ・2019年度は「農業環境技術公開セミナーin 千葉」として、水生外来植物(ナガエツルノゲイトウなど)の問題を中心に公開セミナーを開催しました。

    ・当プロジェクトの参加機関に加え、行政機関、自治体、水利施設管理組織などが集まって外来種の問題をオープンに議論する場としたいと考えています。

    ・開催の折には是非ご参加ください。

    2020年度公開セミナー 「水利用を経由して拡散する水生外来貝類の現状と対策(仮称)」