竹を素材にした畜産排水のリン回 収および土壌改良...
TRANSCRIPT
竹を素材にした畜産排水のリン回収および土壌改良剤としての利用
有明工業高等専門学校
物質工学科
劉 丹
世界のリンの実情
リン鉱石の価格
1tあ
たり
の価
格/
米ド
ル
リン鉱石の採掘量
採掘
量/千
万t 1900年以後
100年間 約50倍増加
1973年:6米ドル/t 2007年:50米ドル 2010年:125米ドル/t
世界のリン需要が2050年まで50~100%増加する (食糧生産,バイオマス燃料の生産,電気自動車の二次電池,太陽光液晶パネルの表面処理剤,家電製品の難燃材・衣類の原料 等々)
リンは生物にとって「いのちの元素」である。
1900年以後 100年間 約50倍増加
1900年以後 100年間 約50倍増加
リンの耐用年数:50~100年、2040年頃に頭打ち。
出典:大竹久夫「日本のリン資源があぶない」、化学vol.66No.3(2011)
2008年夏頃には化成肥料製品ベースで50%以上の値上げが見られた。
日本のリン資源
日本はリン鉱石を産出しない、リンの全量を海外から輸入!
世界のリンの85%は肥料用途であり、
中国
アメリカ(1997年にリン鉱石の輸出を止めた)
南アフリカ
モロッコ 埋蔵量の80%
リン消費大国 ー 日本
*日本は年間約70万トンのリンを消費している。
世界の消費量の7~8%を占める。
一人当たりの消費量は世界平均の4倍に達する。
*廃棄物となって捨てられるリンの量は、毎年約25万トンになる。
リンのリサイクル事業が成り立つ。
出典:大竹久夫「日本のリン資源があぶない」、化学vol.66No.3(2011)
• 従来技術は、椰子殻炭・竹炭等の吸着性材料にアンモニア態窒素成分除去剤と脱リン剤の二成分を担持させている。
• または多孔質である陶器に予めマグネシウムの種晶を形成しておくことにより、MAP(リン酸アンモニウムマグネシウム)回収量を増加をさせた。
(30%MgCl2・6H2O溶液に浸漬、風乾)
従来の排水中のリンの回収技術
*竹林整備作業によって多量に発生、その処分が課 題となっている竹廃材の有効利用ができる。
*し尿中のリン酸イオンを竹材に担持させた種結晶表 面に結晶として析出させ固体状態で回収できる。
*リン除去に使用後は土壌改良剤としての展開利用 ができる。 *熱エネルギーとしての利用は可能
この技術の特徴
改質用物質溶液
廃竹材
ゴミ箱
竹廃材改質について
改質された素材には 種結晶を担持している
15μm
宮崎県の養豚場
養豚場の糞尿処理曝気槽の様子
240m3ー曝気槽、全部で960m3
豚:1500頭 排出糞尿量:平均7.5m3~8m3/日=0.3m3/h
15μm 15μm
実験前 5日 10日
室内実験前後のSEM表面画像(1200倍)
15μm
種結晶 小さい結晶 大きい結晶
種結晶はリンの溶液中で成長する
Mg2+ + NH4+ + HPO4
2- + 5H2O + OH- → MgNH4PO4・6H2O
1 2
4
3
5
6
7
現場の曝気槽の全体図
糞尿の排出管
240m3ー曝気槽、全部で960m3
実験後は白い結晶がみられる
実験前後表面比較
養豚場の実証実験結果(SEM)
10日 5日 10日
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
BC-F(F) 5days(I) 10days(J)
MA
P c
on
tent
[mg/g
-BC
]
BC 5day 10days
MA
P
con
ten
t[m
g/g
-B
C]
実証実験前後の担持材中のリン含有量
曝気槽内の反応: Mg2+ + NH4
+ + HPO42- + 5H2O + OH- → MgNH4PO4・6H2O
想定される用途
*乏しいリン資源のリサイクル。 *動物し尿による環境問題の解決に役立つ。 *竹資源の利用と竹による里山環境問題の解決に繋がる。
*土壌改良剤としての有機肥料としての提供。 *熱エネルギーとしての利用&MAP回収
豚舎汚水中排出されたリンは1万トン/年とされている 畜産業の廃棄は 18.7kt/年。(全体の7.5%) (廃棄物として捨てられるリンの量は年に25万トン)
企業への期待
実用化に向けた共同研究
現場モデルを設定し、
• 竹の回収・運搬、脱リン素材の現場への設置・回収
• 有機肥料としての利用 → 農産物の栽培
• 熱エネルギーとしての利用
• リン回収状況の確認
リンのリサイクル状況の確認
竹廃材の集め
*集めた竹の置き場 * 竹の改質作業 (作業場所) * 現場への回収 (回収後の置き場)
排水現場への設置
*燃焼による 熱エネルギーの回収 *MAPの回収
*粉砕後、有機肥料としての利用 有機農産物の栽培
リンの販売、 有機肥料の販売 有機農産物の販売
実用化に向けた課題→リン回収システムの構築
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:リンの除去回収材および除去
回収方法ならびにそれを活用する土壌改良剤
• 出願番号:特願 2011-270294
• 出願人:独立行政法人 国立高等専門学校機構
• 発明者:劉 丹 ・ 上甲 勲