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線形空間線形空間
第7回第7回
11次(線形)独立と次(線形)独立と
11次(線形)従属次(線形)従属
線形空間の定義線形空間の定義
「加法」と「スカラー倍」が定義されている集合「加法」と「スカラー倍」が定義されている集合
簡単な例
⎭⎬⎫
⎩⎨⎧
∈⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛== 2
212
12 , Rxxxx
xR r線形空間である
⎭⎬⎫
⎩⎨⎧
≤≤−⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛== 1,1 21
2
1 xxxx
xV r 線形空間ではない
理由
このVが線形空間でない理由はこのVが線形空間でない理由は
-1
-1
1
1
⎭⎬⎫
⎩⎨⎧
≤≤−⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛== 1,1 21
2
1 xxxx
xV r
V∈⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛1.07.0
,3.05.0
V∉⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛3.02.1
1.07.0
3.05.0
Vには、全ての元の組に対して和が定義されているわけではない
Vには、全ての元の組に対してスカラー倍が定義されているわけではない
「加法」と「スカラー倍」「加法」と「スカラー倍」
加法についての公理
( ) ( )
( )
つ存在する唯
が逆元を満たす
つ存在しが唯零元
1)(0)4(
00
10)3(
)2()1(
,,
Vxxxxx
xxx
Vx
xyyxzyxzyx
Vzyx
∈′=+′=′+
=+=+
∈∀∃
+=+++=++
∈
rrrrrr
rrrrr
rr
rrrr
rrrrrr
rrr
「加法」と「スカラー倍」「加法」と「スカラー倍」
スカラー倍についての公理
( )( )( ) ( )
xxxbaxab
xbxaxbayaxayxa
CorRKbaVyx
rr
rr
rrr
rrrr
rr
==
+=++=+=∈∈
1)4()3()2()1(
,,,
線形空間の例線形空間の例
空間ベクトル空間ベクトル
線形漸化式線形漸化式
多項式多項式
常微分方程式常微分方程式
⎪⎭
⎪⎬
⎫
⎪⎩
⎪⎨
⎧∈
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛== 3
321
3
2
13 ,, Rxxx
xxx
xR r
{ } ( ){ }L,2,1032 12 ==+−= ++ nxxxxV nnnn
( ) ( ){ }2,1,0012
2 =∈++== iRaaxaxaxfV i
{ }023 =+−′′= yyyV
ベクトルのベクトルの11次結合次結合
有限個のn 項 ベクトル maaa rL
rr ,,, 21
から加法とスカラー倍で生成されるベクトル
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
ni
i
i
a
aa Mr
1
mmacacac rL
rr+++ 2211
をベクトルの一次結合という
11次結合の例次結合の例
ar3arbr
br
2
barr 23 +
11次結合の例次結合の例
任意のベクトル は基本ベクトルar ( )niei ,,2,1 Lr
=を用いて
nneaeaeaa rL
rrr+++= 2211
と一意的に表すことができる。
11次(線形)関係式次(線形)関係式
ベクトルのベクトルの11次結合が零(0)ベクトルになったとき次結合が零(0)ベクトルになったとき
02211
rrL
rr=+++ mmacacac
このような式をこのような式を11次(線形)関係式という次(線形)関係式という
maaa rL
rr ,,, 21 がVのどんな元であっても線形関係はがVのどんな元であっても線形関係は
少なくとも1つ存在する少なくとも1つ存在する 021 ==== mccc L
これを自明なこれを自明な11次関係式という次関係式という
22律排反律排反
自明な自明な11次関係式のみである次関係式のみである
自明な自明な11次関係式以外にも次関係式以外にも11次関係式が存在次関係式が存在
する。つまりする。つまり
どちらであるかによってベクトルの集合に対する性質に重要な差異が生ずる
( ) ( )0,,0,0,,, 21 LL ≠∃ mccc
0rr
≠∃c
11次(線形)独立とは次(線形)独立とは
自明な自明な11次関係式しか存在しない次関係式しか存在しない
02211
rrL
rr=+++ mmacacac
をみたすのはをみたすのは
021 ==== mccc L
のときのみであるときのときのみであるとき maaa rL
rr ,,, 21
はは11次(線形)独立次(線形)独立であるというであるという
11次(線形)従属とは次(線形)従属とは
自明な自明な11次関係式以外にも次関係式以外にも
02211
rrL
rr=+++ mmacacac
をみたすをみたす
が少なくとも1つ存在するときが少なくとも1つ存在するとき maaa rL
rr ,,, 21
はは一次(線形)従属一次(線形)従属であるというであるという
( ) ( )0,,0,0,,, 21 LL ≠mccc
例例1 11 1次独立;次独立;11次従属次従属
0rr
=a
自身自身11個で個で11次独立次独立
01rr
Q =a
0rr
≠a
が一次従属が一次従属
00 =⇒= cacrr
Q
nRba ∈rr, aborba rrrr μλ ==⇔
( ) ( )
aab
bba
ba
rrr
rrr
rrr
μβαβ
λαβα
βαβα
≡−=⇒≠
≡−=⇒≠
≠=+
0
0
0,0,,0
自身自身11個で個で11次従属次従属
例例2 12 1次独立;次独立;11次従属次従属
基本ベクトル基本ベクトル neee rL
rr ,,, 21 11次独立である次独立である
たとえばたとえば 21,ee rrがが11次独立であるかどうか考える次独立であるかどうか考える
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛
=+
00
10
01
0
2
121
2211
cc
cc
ececrrr
neee rL
rr ,,, 21も同様も同様
直行していれば互いに直行していれば互いに11次独立である次独立である
例例3 13 1次独立;次独立;11次従属次従属
も基本ベクトルなのでも基本ベクトルなので11次独立次独立
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
100
,010
,001
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
010
,001
は基本ベクトルなのでは基本ベクトルなので11次独立次独立
定理A定理A 1次独立なベクトルの組から選んだ1次独立なベクトルの組から選んだ任意個のベクトルは任意個のベクトルは11次独立となる次独立となる
例例4 14 1次独立;次独立;11次従属次従属
も線形独立も線形独立
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
101
,110
,011
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
110
,011
は線形独立は線形独立
1次独立な3つベクトルの組から選んだ2つのベクトルは1次独立な3つベクトルの組から選んだ2つのベクトルは11次独立次独立
例例5 15 1次独立;次独立;11次従属次従属
とおくとおく
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
101
,110
,011
がが11次独立であることの証明次独立であることの証明
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛+
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛+
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
000
101
110
011
321 ccc
⎪⎩
⎪⎨
⎧
===
⇔⎪⎩
⎪⎨
⎧
=+=+=−
⇔⎪⎩
⎪⎨
⎧
=+=+=+
000
000
000
3
2
1
32
21
21
32
21
31
ccc
cccccc
cccccc
例例5 15 1次独立;次独立;11次従属次従属
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
022
,011
は一次従属であるは一次従属である
も一次従属であるも一次従属である
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
011
2022
Q
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
101
,022
,011
定理B定理B 11次従属なベクトルの組にベクトルを付け加える次従属なベクトルの組にベクトルを付け加える
何個付け加えても、付け加えてできるベクトルの組何個付け加えても、付け加えてできるベクトルの組はは11次従属になる次従属になる
定理の証明定理の証明
1次従属な
ベクトルの集合
ベクトル 1次従属な
ベクトルの集合
maaa rL
rr ,,, 21 は一次従属であるとするは一次従属であるとする
02211
rrL
rr=+++ mmacacac
( ) ( )0,,0,0,,, 21 LL ≠mccc
02211
rrrL
rr=++++ acacacac mm
( ) ( )0,0,,0,0,,,, 21 LL ≠cccc m
0=c としてもとしても
となるようにできるとなるようにできる
例例6 16 1次独立;次独立;11次従属次従属
は一次従属であるは一次従属である
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
101
,110
,011
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−+
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛+
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
000
101
110
011
) 321 cccQ とおくとおく
321
32
21
31
000
ccccccccc
=−=⇔⎪⎩
⎪⎨
⎧
=+=+=−
とできる
とすれば
0
0,11
1
3
2
1
rr
r
≠
≠⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−=
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
c
kkccc
c
定理A、Bを簡潔に書くと定理A、Bを簡潔に書くと
( ) 次従属は次従属が 1,,,1,,, 2121 ml aaamlaaa rL
rrrL
rr⇒<
( ) 次独立も次独立が 1,,,1,,, 2121 mlaaaaaa lm <⇒r
Lrrr
Lrr
定理A
定理B
定理Aは定理Bの対偶である
A Bの対偶は、 !B !A
例7例7 11次独立;次独立;11次従属次従属
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
110
,011
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
101
,110
,011
101
110
,011
を付け加えたに
はは11次独立である次独立である
はは11次従属となる次従属となる
実際実際
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−+
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
000
101
110
011
とできる。変形するととできる。変形すると
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−
011
110
101
これを一般化してみるとこれを一般化してみると
は1次独立21,aa rr
を付け加えると3ar
は1次従属となった321 ,, aaa rrr
11次従属であるから次従属であるから
)0,0,0(),,(,0 321332211 ≠==++ ccccacacac rrrrr
とできとでき
次関係式のみ自明な102211
rrr=+ acac
としてよい03 ≠c
221123
21
3
13 acaca
cca
cca rrrrr ′+′≡−−=
問題問題
1.1. 11次従属・1次独立の判定次従属・1次独立の判定 22dim,3dimdim,3dim2.2. 11次結合で表す次結合で表す 2dim,2dim, 3dim3dim
おまけおまけ
ベクトルの組が1次独立か1次従属かベクトルの組が1次独立か1次従属か
ベクトルを並べて作られる行列の行列式でベクトルを並べて作られる行列の行列式で判定できる判定できる ただしただし((ベクトルの項数ベクトルの項数)=()=(ベクトルの数ベクトルの数))
行列式が0なら一次従属行列式が0なら一次従属
行列式が0でなければ1次独立行列式が0でなければ1次独立
その理由については、行列を詳しく扱うときにその理由については、行列を詳しく扱うときに述べる述べる
ここでやったことは連立1次方程式が自明な解を持ここでやったことは連立1次方程式が自明な解を持つかどうかで判定したが、実はそれと関係があるつかどうかで判定したが、実はそれと関係がある
教科書の例題4.1では教科書の例題4.1では
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−
=12
8,
32
barr ( ) ⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛−
−=
12382
barr
0)3()8(122123
82=−⋅−−⋅=
−−
=barr
行列式 11次従属次従属
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−=
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
001
,862
,234
cba rrr ( )⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛ −=
082063124
cba rrr
121224082063124
=−=−
=cba rrr行列式 11次独立次独立
空間幾何ベクトル空間幾何ベクトル
幾何ベクトルが1次独立かでないかを調べるとき,
スカラー三重積を使うと簡単に調べられます
( )cbacbacba rrrrrrrrr×⋅== ][行列式
定理:幾何ベクトルA,B,Cが1次独立になるための必要十分条件は、スカラー3重積、
( ) 0≠×⋅ cba rrr
である。
証明証明
スカラー3重積は、平行6面体の体積である。
従って、
( ) 0=×⋅ cba rrr
は、 cba rrr ,, が同一平面上にあることと同値である。
cba rrr ,, が同一平面上にあれば、
bacrrr βα +=
と書ける。よって、 cba rrr ,, は一次従属である。
練習問題練習問題
( ) ( ) ( )について2,2,4,1,1,2,3,2,1 =−=−= CBA
( )( )
調べよ1次独立か1次従属か(4)
を求めよ(3)
(2)
(1)
BAC
BACBA
××
×⋅
×
( ) ( ) ( )について2,2,4,1,1,2,3,2,1 =−=−= CBA
( )( )
調べよ1次独立か1次従属か(4)
を求めよ(3)
(2)
(1)
BAC
BACBA
××
×⋅
×
解答解答
(2)より1次独立
練習問題練習問題22{ }kjijikji 362,310,34 +−−+−は1次独立か1次従属か調べよ.
スカラー3重積を用いて調べる.
( ) ( ) ( )1,0,0,0,1,0,0,0,1 === kji
練習問題練習問題33幾何ベクトルA, Bが1次独立であるための必要十分条件は
であることを示せ
0BA =×