独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標期間(h17 ......2010/08/31  ·...

23
独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標期間(H17.10~H22.3)に係る 業務の実績に関する評価 全体評価 ②評価結果を通じて得られた法人の今後の課題 (イ)「もんじゅ」が第2期中期目標期間に100%出力達成を安全 かつ確実に行うためには、行動計画の定着と運転管理に係る品質 保証の更なる向上が必要 である。(項目別-p2参照) (ロ)コンプライアンス活動については、職員が必要な教育を受けて いるかをフォローし、その理解度と浸透度を定量的に把握する工 夫をして取り組んでいく必要がある。(項目別-p11,15参照) (ハ)随意契約の改善については、形だけの一般競争入札にならない ように配慮する必要がある 。(項目別-p14参照) (ニ)安全を確保するためには、予防保全はもちろんのこと、トラブ ル等が発生した際に迅速な対応が可能な体制の整備が必要である。 (項目別-p15参照) ③評価結果を踏まえ今後の法人が進むべき方向性 (イ)行動計画による改善運動や職員に対するアンケート等により、 些細な問題の種も見逃さない徹底した対応を取ることが必要 ある。 (ロ)安全監査室等による機構全体をモニタリングする仕組みを有 効に活用して実態を把握するとともに、繰り返しコンプライア ンス教育を組織的に行っていくことが必要である。 (ハ)随意契約の見直しについては、入札・契約プロセスの透明性 ・公平性を確保するため、引き続き改善を図っていく必要があ る。また、核物質防護等に係る業務など、真にやむを得ないも のを除いては、一般競争入札等とする必要がある (ニ)組織全体で、安全確保の文化が職員全員に浸透しているかど うかを定期的に測定し、必要な取組を実施することにより、引 き続き改善していくことが必要である。 ④特記事項 平成19年8月に発生した、原子力科学研究所における非管理区域における汚染問題については、原因を究明し、再発防止策を講ずるとともに、他の事業 所への水平展開を行った。なお、老朽化した配管等は廃止措置計画に基づいて廃棄することとしている。 ①評価結果の総括 (イ)中期目標期間に係る業務実績については、おおむね中期目標を達成したが、高速増殖原型炉「もんじゅ」に係る業務ついては、外部要因による部分 もあるが、目標を達成することができず、運転再開が平成22年5月にずれ込んだ 。(項目別-p2参照) (ロ)ITER計画において基幹技術に大きな進展をもたらす成果をあげたこと、量子ビーム技術開発において世界を先導する成果をあげたこと、量子ビ ーム利用において新たな計測技術を確立したこと、核不拡散政策に関する支援活動が国内外で高く評価されたこと、原子力基礎工学において汎用評価 済核データライブラリ(JENDL-4)の完成などの原子力基盤技術の水準向上に大きく貢献したことなど、世界をリードする実績をあげたことから、業 務の質が向上したと判断した 。(項目別-p4,5,7,8参照) (ハ)包括協定等による大学等との協力により、人材育成、施設・設備の共同利用による合理化・効率化が図られる とともに、一般管理費や人員の削減が 着実に実施され、業務運営の効率化が図られた 。(項目別-p13参照) (ニ)受託研究や科学研究費補助金等の外部資金の獲得は目標を大きく上回る成果をあげる とともに、随意契約件数の減少による入札・契約プロセスの透 明性の確保のための取組が進み、調達コストの削減が図られた 。(項目別-p14参照) <参考> ・業務の質の向上: ・財務内容の改善: ・業務運営の効率化: 全体-1

Upload: others

Post on 01-Feb-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標期間(H17.10~H22.3)に係る

    業務の実績に関する評価全体評価

    ②評価結果を通じて得られた法人の今後の課題(イ)「もんじゅ」が第2期中期目標期間に100%出力達成を安全

    かつ確実に行うためには、行動計画の定着と運転管理に係る品質

    保証の更なる向上が必要である。(項目別-p2参照)

    (ロ)コンプライアンス活動については、職員が必要な教育を受けて

    いるかをフォローし、その理解度と浸透度を定量的に把握する工

    夫をして取り組んでいく必要がある。(項目別-p11,15参照)

    (ハ)随意契約の改善については、形だけの一般競争入札にならない

    ように配慮する必要がある。(項目別-p14参照)

    (ニ)安全を確保するためには、予防保全はもちろんのこと、トラブ

    ル等が発生した際に迅速な対応が可能な体制の整備が必要である。

    (項目別-p15参照)

    ③評価結果を踏まえ今後の法人が進むべき方向性(イ)行動計画による改善運動や職員に対するアンケート等により、

    些細な問題の種も見逃さない徹底した対応を取ることが必要で

    ある。

    (ロ)安全監査室等による機構全体をモニタリングする仕組みを有

    効に活用して実態を把握するとともに、繰り返しコンプライア

    ンス教育を組織的に行っていくことが必要である。

    (ハ)随意契約の見直しについては、入札・契約プロセスの透明性

    ・公平性を確保するため、引き続き改善を図っていく必要があ

    る。また、核物質防護等に係る業務など、真にやむを得ないも

    のを除いては、一般競争入札等とする必要がある。

    (ニ)組織全体で、安全確保の文化が職員全員に浸透しているかど

    うかを定期的に測定し、必要な取組を実施することにより、引

    き続き改善していくことが必要である。

    ④特記事項平成19年8月に発生した、原子力科学研究所における非管理区域における汚染問題については、原因を究明し、再発防止策を講ずるとともに、他の事業

    所への水平展開を行った。なお、老朽化した配管等は廃止措置計画に基づいて廃棄することとしている。

    ①評価結果の総括(イ)中期目標期間に係る業務実績については、おおむね中期目標を達成したが、高速増殖原型炉「もんじゅ」に係る業務ついては、外部要因による部分

    もあるが、目標を達成することができず、運転再開が平成22年5月にずれ込んだ。(項目別-p2参照)

    (ロ)ITER計画において基幹技術に大きな進展をもたらす成果をあげたこと、量子ビーム技術開発において世界を先導する成果をあげたこと、量子ビ

    ーム利用において新たな計測技術を確立したこと、核不拡散政策に関する支援活動が国内外で高く評価されたこと、原子力基礎工学において汎用評価

    済核データライブラリ(JENDL-4)の完成などの原子力基盤技術の水準向上に大きく貢献したことなど、世界をリードする実績をあげたことから、業

    務の質が向上したと判断した。(項目別-p4,5,7,8参照)

    (ハ)包括協定等による大学等との協力により、人材育成、施設・設備の共同利用による合理化・効率化が図られるとともに、一般管理費や人員の削減が

    着実に実施され、業務運営の効率化が図られた。(項目別-p13参照)

    (ニ)受託研究や科学研究費補助金等の外部資金の獲得は目標を大きく上回る成果をあげるとともに、随意契約件数の減少による入札・契約プロセスの透

    明性の確保のための取組が進み、調達コストの削減が図られた。(項目別-p14参照)

    <参考>

    ・業務の質の向上: A ・財務内容の改善: A・業務運営の効率化: A 等

    全体-1

  • 文部科学省独立行政法人評価委員会 科学技術・学術分科会 日本原子力研究開発機構部会

    【委員】○ 鳥井 弘之 NPO法人テクノ未来塾理事長

    【臨時委員】岩井 善郎 国立大学法人福井大学大学院工学研究科教授柴田 洋二 社団法人日本電機工業会原子力部長高橋 祐治 電気事業連合会原子力部長田中 知 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授中西 友子 国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科教授宮内 忍 公認会計士山地 憲治 財団法人地球環境産業技術研究開発機構理事・研究所長山田 弘司 大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所教授和気 洋子 学校法人慶応義塾大学商学部教授

    (○印・・・部会長)

    経済産業省独立行政法人評価委員会 産業技術分科会 日本原子力研究開発機構部会

    【委員】○ 内山 洋司 筑波大学大学院システム情報工学研究科教授

    【臨時委員】浅田 浄江 ウイメンズ・エナジー・ネットワーク(WEN)代表、消費生活アドバイザー柴田 洋二 社団法人日本電機工業会原子力部長高橋 祐冶 電気事業連合会原子力部長山崎 晴雄 首都大学東京都市環境学部地理環境コース教授

    (○印・・・部会長)

    全体-2

  • 項目別評価総表

    17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 期間 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 期間Ⅰ.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成する  ためとるべき措置 A A A A A  7.産学官との連携の強化と社会からの要請に対応するための活動

     1.エネルギーの安定供給と地球環境問題の同時解決を目指した原子力システムの  研究開発

      (1)研究開発成果の普及とその活用の促進 A A A A A A

      (1)高速増殖炉サイクルの確立に向けた研究開発   (2)施設・設備の外部利用の促進 A A A A A A

       1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究 A S A A A A   (3)特定先端大型研究施設の共用の促進 A A

       2)高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発 B A A C A B   (4)原子力分野の人材育成 A A A S A A

       3)プルトニウム燃料製造技術開発 A A A A A A   (5)原子力に関する情報の収集、分析及び提供 A A A A A A

      (2)高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術に関する研究開発   (6)産学官の連携による研究開発の推進 A A A S A A

       1)地層処分研究開発   (7)国際協力の推進 A A A A A A

       2)深地層の科学的研究   (8)立地地域の産業界等との技術協力 A A A A A A

      (3)原子力システムの新たな可能性を切り開くための研究開発   (9)社会や立地地域の信頼の確保に向けた取り組み A A A A A A

       1)分離・変換技術の研究開発 A A A A A A   (10)情報公開及び広聴・広報活動 A A A A A A

       2)高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発 A A A A A A Ⅱ.業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置 A A A A A

       3)核融合エネルギーを取り出す技術システムの研究開発 A S S S S S  1.柔軟かつ効率的な組織運営 A A A A A A

      (4)民間事業者の原子力事業を支援するための研究開発 S A A A A A  2.統合による融合相乗効果の発揮 A A A A A A

     2.量子ビームの利用のための研究開発  3.産業界、大学、関係機関との連携強化による効率化 A A A A A A

      (1)多様な量子ビーム施設・設備の戦略的整備とビーム技術開発 A S S S S S  4.業務・人員の合理化・効率化 A A A A A A

      (2)量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発 S A S A S S  5.評価による業務の効率的推進 A A A A A A

      (3)量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発 A A A A A A Ⅲ.予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画 A A A A A 3.原子力の研究、開発及び利用の安全の確保と核不拡散に関する政策に貢献する  ための活動

     1.予算

      (1)安全研究とその成果の活用による原子力安全規制行政に対する技術的支援 A A A A A A  2.収支計画

      (2)原子力防災等に対する技術的支援 A A A A A A  3.資金計画

      (3)核不拡散政策に関する支援活動 A A S A A S  4.財務内容の改善に関する事項 A A A A A A

     4.自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理・処分に係る技術開発 Ⅳ.短期借入金の限度額 - - - - - -

      (1)原子力施設の廃止措置に必要な技術開発 Ⅴ.重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画 - - - - - -

      (2)放射性廃棄物の処理・処分に必要な技術開発 Ⅵ.剰余金の使途 - - - - - -

     5.原子力の研究、開発及び利用に係る共通的科学技術基盤の高度化 Ⅶ.その他の業務運営に関する事項 A A A A A

      (1)原子力基礎工学 A A A S S S  1.安全確保の徹底と信頼性の管理に関する事項 A A B A A A

      (2)先端基礎研究 A A S A A A  2.施設・設備に関する事項 A A A A A A

     6.放射性廃棄物の埋設処分 A A  3.放射性廃棄物の処理・処分並びに原子力施設の廃止措置に関する事項 A B A B A A

    ※当該中期目標期間の初年度から経年変化を記載。  4.国際約束の誠実な履行 - - - - - -

     5.人事に関する計画 A A A A A A

     6.中期目標期間を超える債務負担 - - A A A A

    独立行政法人日本原子力研究開発機構の第1期中期目標期間に係る業務の実績に関する評価

    A

    A

    項目名中期目標期間中の評価の経年変化

    項目名中期目標期間中の評価の経年変化

    A A

    A A A A

    A A A

    備考(法人の業務・マネジメントに係る意見募集結果の評価への反映に対する説明等)本法人の業務・マネジメントに係る意見募集を実施した結果、意見は寄せられなかった。

    A

    A

    A A A

    総表-1

  • 【参考資料1】予算、収支計画及び資金計画に対する実績の経年比較(過去5年分を記載)

    区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    収入 支出

     運営費交付金 76,747 161,838 163,224 168,697 169,111  一般管理費 8,262 19,076 18,300 17,312 16,670

     施設整備費補助金 6,003 26,854 23,373 15,356 10,001  事業費 77,292 141,389 146,978 160,717 172,165

     特定先端大型研究施設整備費補助金 - - - - 682    うち、埋設処分積立金繰越 - - - - 8,641

     国際熱核融合実験炉研究開発費補助金 - 1,241 3,072 4,285 6,840  施設整備費補助金経費 11,533 28,149 23,197 15,219 9,917

     その他の補助金 - - - - 384  特定先端大型研究施設整備費補助金経費 - - - - 572

     受託等収入 12,551 14,568 16,846 17,509 19,441  国際熱核融合炉研究開発費補助金経費 - 1,239 3,072 4,245 6,685

     その他の収入 4,756 3,643 3,627 2,503 2,906  その他の補助金経費 - - - - 375

     廃棄物処理処分負担金 - - 9,420 9,422 9,458  受託等経費 13,759 14,463 16,778 17,589 18,916

     廃棄物処理処分負担金繰越 - - 5,052 3,997 4,586

     廃棄物処理事業経費繰越 - - - - 118

     計 100,057 208,145 219,563 217,772 218,823  計 110,845 204,316 213,377 219,078 230,003

    区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    費用 収益

     経常費用 84,419 158,929 166,005 178,505 179,839  運営費交付金収益 63,546 142,353 137,796 147,846 159,084

      事業費 73,682 140,269 141,940 151,957 154,115  補助金収益 9,281 1,173 1,818 1,632 6,469

      一般管理費 3,083 5,656 5,227 4,898 5,094  受託等収入 6,897 11,333 16,244 17,127 14,503

      受託等経費 7,046 10,835 15,433 16,566 13,860  その他の収入 6,448 7,267 7,957 8,060 8,295

      減価償却費 608 2,169 3,405 5,085 6,770  資産見返負債戻入 153 1,206 2,408 3,908 5,559

     財務費用 62 86 60 64 73  臨時利益 64 89 242 1,359 1,253

     雑損 234 949 316 228 606

     臨時損失 64 89 1,957 1,363 1,255

     計 84,779 160,053 168,338 180,160 181,772  計 86,390 163,421 166,464 179,932 195,162

    純利益 1,610 3,369 △1,874 △ 228 13,390

    法人税、住民税及び事業税 95 59 56 54 54

    目的積立金取崩額 - - - - -

    総利益 1,515 3,310 △1,929 △ 282 13,336

    (単位:百万円)

    (単位:百万円)

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等) ・平成17年度は、独立行政法人日本原子力研究開発機構設立の平成17年10月1日以降分である。 ・平成20年度は、費用及び収益とも大きく増加しているが、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律」に基づき、新たに第二種特定放射性廃棄物の処理処分費を拠出したことによる。 ・平成19年度は、旧法人から承継した流動資産(核物質)の売却等により損失が生じており、20年度も、承継流動資産の費用化に伴い、損失金を計上しているが、いずれも対応する収益を計上することができない  という会計上の仕組みによるものであり、事業運営上の問題が生じているものではない。 ・平成21年度は、総利益が大きく増加しているが、埋設処分業務勘定における業務を開始し、約86億円の総利益が計上されたこと、及び、機構は、平成21年度が第1期中期目標期間最終年度となっているため、  独立行政法人会計基準第81 3に基づき運営費交付金収益を計上したことにより、約46億円の総利益が計上されたことによるものである。  前者は、機構法第21条に基づき翌事業年度以降の埋設処分業務等の財源に充てることとされている現金を伴うものであり、後者は主として会計処理において、費用と収益の計上期のズレにより生じた、現金  の伴わない見掛け上の利益である。後者のうち、運営費交付金等の執行残等により生じた現金を伴うものについては、国庫納付したところである。

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)・平成17年度は、独立行政法人日本原子力研究開発機構設立の平成17年10月1日以降分である。・平成20年度の施設整備費補助金及び施設整備費補助金経費には補正予算(J-PARCのリニアックビーム増強等)を含む。 また、機構法を改正し、埋設処分業務勘定を新設した。・平成21年度の施設整備費補助金及び施設整備費補助金経費、特定先端大型研究施設整備費補助金及び特定先端大型研究施設整備費補助金経費、国際熱核融合実験炉研究開発費補助金及び国際熱核融合炉 研究開発費補助金経費には補正予算(J-PARCのリニアックビーム増強、中性子利用実験装置(Ⅱ)、ITER計画の超伝導コイル製作費(1)等)を含む。また、埋設処分業務勘定における業務を開始し、機構法 第21条に基づき翌事業年度以降の埋設処分業務等の財源に充当するため、事業費のうち埋設処分積立金繰越として約86億円を繰り越す。

    参考-1

  • 区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    資金支出 資金収入

     業務活動による支出 77,678 149,440 163,525 176,592 186,005  業務活動による収入 91,153 179,172 190,902 200,969 206,957

     投資活動による支出 21,896 55,503 138,238 224,536 221,903   運営費交付金による収入 76,747 161,838 163,224 168,697 169,111

     財務活動による支出 7,703 4,965 976 1,009 945   受託等収入 5,223 10,341 11,944 16,395 18,518

     翌年度への繰越金 21,357 20,607 20,567 26,967 31,364   その他の収入 9,184 6,993 15,734 15,876 19,328

     投資活動による収入 6,641 29,985 111,797 207,568 206,291

      施設整備費による収入 6,003 26,854 23,373 15,422 10,683

      その他の収入 638 3,130 88,423 192,146 195,608

     財務活動による収入 0 0 0 0 0

     前年度よりの繰越金 30,839 21,357 20,607 20,567 26,967

     計 128,634 230,514 323,305 429,104 440,216  計 128,634 230,514 323,305 429,104 440,216

    (単位:百万円)

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等) ・平成17年度は、独立行政法人日本原子力研究開発機構設立の平成17年10月1日以降分である。 ・平成20年度は、投資活動による支出、投資活動による収入が増加しているが、定期預金を利用した資金運用額が増加したことによるものである。 ・平成21年度は、翌年度への繰越金が増加しているが、埋設処分業務勘定における業務を開始し、原子力機構法第21条に基づき翌事業年度以降の埋設処分業務等の財源に充てることとして、平成21年度末に約86億円の  現金を計上したことによるものである。

    参考-2

  • 【参考資料2】貸借対照表の経年比較(過去5年分を記載)

    区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    資産 負債

     流動資産 57,043 63,656 79,341 84,609 71,251  流動負債 36,292 46,480 57,823 59,013 32,406

      現金及び預金 21,497 35,607 45,097 47,267 31,364  固定負債 21,874 57,100 74,517 86,292 120,420

      貯蔵品 10,775 9,310 9,412 9,624 9,593

      核物質 17,939 11,781 9,603 9,285 8,690  負債合計 58,167 103,580 132,340 145,305 152,826

      前払金 3,474 3,595 6,643 8,649 11,143 純資産

      前払費用 487 238 203 190 204  資本金 808,594 808,594 808,594 808,594 808,594

      未収収益 - 2 6 6 17  資本剰余金 △ 35,771 △ 127,321 △167,881 △ 197,402 △ 236,640

      未収金 2,870 3,123 8,376 9,589 10,240  利益剰余金 1,515 4,825 2,895 2,613 15,949

      その他の流動資産 0 0 ー - -  (うち当期未処分利益、△当期未処理損失) (1,515) (2,775) (△2,351) (△380) (13,336)

     固定資産 775,463 726,022 696,608 674,502 669,478

      有形固定資産 767,247 719,828 690,685 669,032 660,151  純資産合計 774,339 686,098 643,609 613,806 587,904

       建物 172,726 155,656 158,255 152,951 146,233

       建築物 57,699 55,694 54,794 53,382 53,343

       機械・装置 226,448 186,850 164,993 158,889 135,147

       装荷核燃料 18,251 17,445 17,176 17,125 20,057

       船舶 9 6 3 2 57

       車両・運搬具 391 335 238 273 241

       工具・器具・備品 22,847 18,926 16,786 18,517 25,668

       放射性物質 180 212 242 243 247

       土地 86,703 86,640 86,435 86,125 85,997

       建設仮勘定 181,993 198,062 191,764 181,523 193,160

      無形固定資産 6,324 4,390 3,850 3,636 3,174

       特許権 337 333 321 318 298

       借地権 1,111 402 402 637 637

       ソフトウェア 4,322 3,138 2,530 2,003 1,577

       工業所有権仮勘定 390 376 350 349 378

       その他の無形固定資産 164 142 248 330 285

      投資その他の資産 1,891 1,804 2,073 1,835 6,153

       投資有価証券 4,050

       長期前払費用 1,429 1,353 1,622 1,391 1,997

       敷金・保証金 458 447 447 440 102

       その他の資産 3 3 5 3 3

     資産合計 832,506 789,678 775,949 759,111 740,730 負債・純資産合計 832,506 789,678 775,949 759,111 740,730

    (単位:百万円)

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等) ・資本剰余金が減少しているが、旧法人から承継した固定資産の減価償却額については、資本剰余金を減額処理するという独法会計基準特有の処理によるものである。 ・固定負債が増加しているが、新規資産の取得に伴い、固定負債が計上されるという独法会計基準特有の処理によるものである。 ・平成21年度は利益剰余金が大きく増加しているが、埋設処分業務勘定における業務を開始し、約86億円の当期総利益が計上されたこと、及び、機構は、平成21年度が第1期中期目標期間最終年度となっている  ため、独立行政法人会計基準第81 3に基づき運営費交付金収益を計上したことにより、約46億円の当期総利益が計上されたことによるものである。  前者は、原子力機構法第21条に基づき翌事業年度以降の埋設処分業務等の財源に充てることとされている現金を伴うものであり、後者は主として会計処理において、費用と収益の計上期のズレにより生じた、現金  の伴わない見掛け上の利益である。後者のうち、運営費交付金等の執行残等により生じた現金を伴う利益剰余金については、国庫納付したところである。

    参考-3

  • 【参考資料3】利益(又は損失)の処分についての経年比較(過去5年分を記載) (単位:百万円)

    区分 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    Ⅰ 当期未処分利益(△当期未処理損失) △ 535 △ 422 △97 21 13,336

     当期総利益(△当期総損失) △ 535 113 324 118 13,336

     前期繰越欠損金 - △ 535 △422 △ 97 -

    Ⅱ 利益処分額(△損失処理) 2,050 3,196 △2,254 △ 401 13,336

     積立金 2,050 3,196 - - 4,695

     日本原子力研究開発機構法第21条積立金 - - - - 8,641

     積立金取崩額 - - △2,254 △ 401 -

     独立行政法人通則法第44条第3項により - - - - -

     主務大臣の承認を受けた額

     

    【参考資料4】人員の増減の経年比較(過去5年分を記載) (単位:人)

    職種 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度

    定年制研究系職員 1,606 1,155 1,111 1,078 1,053

    任期制研究系職員 176 136 143 262 300

    定年制事務・技術系職員 2,732 3,093 3,046 3,000 2,902

    任期制事務・技術系職員 342 334 379 316 389

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等) ・平成17年度及び平成18年度は、収益を負債(借入金)の減少に充当したことにより、利益が生じたため、積立金を計上しているが、いずれも現金を伴う収益ではないため、目的積立金の申請はできないものであった。 ・平成19年度は、旧法人から承継した流動資産(核物質)の売却等により損失が生じており、平成20年度も、承継流動資産の費用化に伴い、損失金を計上しているが、いずれも対応する収益を計上することができない  という会計上の仕組みによるものであり、事業運営上の問題が生じているものではない。 ・平成21年度は、埋設処分業務勘定における業務を開始し、約86億円の当期総利益が計上された。また、機構は、平成21年度が第1期中期目標期間最終年度となっているため、独立行政法人会計基準第81 3に  基づき運営費交付金収益を計上したことにより、約46億円の当期総利益が計上された。前者は、機構法第21条に基づき翌事業年度以降の埋設処分業務等の財源に充てることとされている現金を伴うもので  あり、後者は主として会計処理において、費用と収益の計上期のズレにより生じた、現金の伴わない見掛け上の利益である。後者のうち、運営費交付金等の執行残等により生じた現金を伴う利益剰余金につ  いては、国庫納付したところである。

    備考(指標による分析結果や特異的なデータに対する説明等)定年制職員については、中期計画に基づき計画的な人員の合理化に取り組んでおり、平成21年度において123人を削減した。なお、定年制職員(研究系職員、技術系職員)については、平成17年度は統合に伴い旧法人の職種区分(研究、技術、事務)を暫定的に継承し、新法人の職種区分及び研究員・技術員制度の理解浸透を図るための補正期間を設けていたが、平成18年度において原子力機構として職種区分の見直しを実施した。

    参考-4

  • 【評価の基準】

    No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    A

    1Ⅰ.1.(1).1)高速増殖炉サイクルの実用化研究開発

    ○中期計画に基づき、国の評価・方針に基づく技術開発を進め、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、平成17年度までに、高速増殖炉サイクル実用化調査研究において実施してきた研究成果をもとに、研究開発の重点化の考え方及びこれを踏まえたFBRサイクル実用化に向けた段階的研究開発についての課題を取りまとめ、文部科学省での評価・研究開発方針の策定、さらには原子力委員会が基本方針を決定するなど、国の政策に反映された。実用化戦略調査研究は、実用化に集中した開発段階に移行することとし、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)へステップアップした。平成18年度以降は、文部科学省の研究開発方針に従い、FaCTプロジェクトとして、主概念として選定したナトリウム冷却高速増殖炉(MOX燃料)、先進湿式法再処理及び簡素化ペレット法燃料製造の組合せを中心に革新的技術の要素技術開発を進めつつ、その成果を適宜反映し設計研究等を進めてきた。また、文部科学省の研究開発方針で示された2010年の『革新技術の採否』に向け、平成21年度末時点での三者(機構、電気事業者、製造事業者)での暫定評価を実施した。暫定評価では、多くの要素技術は研究開発の進捗と設計成立性の観点から採用と判断した。なお、一部の要素技術については、成立性は見通せてはいるものの開発リスクがあることから、代替技術についても設計検討、又は条件付の採用とした。

    ○機構における外部評価委員会でのプロジェクトレビュー及びマネジメントレビューの結果について原子力委員会に報告し、その際の指摘事項も踏まえた研究開発の実施や、経済産業省、文部科学省、電気事業者、製造事業者、原子力機構により設置された「高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会」で合意された「中核企業および電気事業者の意見や考えを踏まえ、議論の結果を適切に研究開発計画等に反映できる体制を構築すること、組織内の責任ある者がリーダーシップをもって戦略的にマネジメントを行う体制を整備すること」に対応するため、プロジェクト統括機能の整備を図った。

    A

    様々な情勢の変化があったにもかかわらず、関係機関と調整しながら計画を推進し、実用化戦略調査研究の取りまとめや実用化研究開発を実施したことは評価できる。高速増殖炉研究開発では中国、インドの追い上げが激しいが、第2期中期目標期間において、フランス等の先進国との戦略的な国際協力を実施していくことが重要である。また、実証炉への研究開発、燃料製造及び再処理技術などのプロジェクトを遂行していくためには、技術開発に直接携わる技術者の養成が必要不可欠であり、今後の課題と考えられる。

    独立行政法人日本原子力研究開発機構の中期目標期間(H17.10~H22.3)に係る業務の実績に関する評価

    S:特に優れた実績を上げている。

    A:中期計画通り、または中期計画を上回って履行し、中期目標を達成、または中期目標を上回る実績を上げた。

    B:中期計画通りに履行しているとは言えない面もあるが、中期目標の達成に近い実績を上げた。

    C:中期計画の履行が遅れており、中期目標を達成する実績は上げられなかった。また、中期目標の達成に向けた実績も不十分だった。

    Ⅰ.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

    F:評価委員会として業務運営の改善その他の勧告を行う必要がある。

    項目別-1

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    ○中期計画に基づき、ナトリウム漏えい対策等の改造工事については平成19年5月に本体工事を終了し、平成19年8月の工事確認試験の終了をもって完了した。また、平成21年8月に燃料交換を含めてプラント全体の健全性確認を行うプラント確認試験を完了した。その間、平成20年3月に発生したナトリウム漏えい検出器の不具合等に関し、平成20年7月の原子力安全・保安院からの指摘に対する改善のための「行動計画」を実施した。平成20年9月に確認された屋外排気ダクトの腐食孔の原因究明・再発防止対策・補修工事を経て、技術的・組織的な改善が行われ、平成21年7月に原子力安全・保安院より「特別な保安検査において達成を確認すべき目標は達成している」との評価を受けた。長期停止機器等の点検・整備については、国の審議を受けた「長期停止プラント(高速増殖原型炉もんじゅ)の設備健全性確認計画書」に従い、確実かつ計画的に点検・整備を行い、国による保安検査等を通じて実施状況の確認が行われ、平成21年12月に性能試験の第1段階である炉心確認試験に必要な設備の点検を完了した。さらに、耐震安全性評価及び耐震安全性裕度向上対策等を迅速・的確に行い、機構内における性能試験再開の準備を整えた。これらの準備の結果、平成22年2月に原子力安全委員会において「高速増殖原型炉もんじゅ安全性総点検に係る確認について」が了承され、翌日、福井県及び敦賀市に性能試験再開の協議願いを提出した。しかしながら、平成21年度内に性能試験を再開するには至らず、中期目標・中期計画は達成できなかった。なお、平成22年5月には性能試験を再開した。

    ○平成20年3月のナトリウム漏えい検出器の不具合等の対する平成20年7月の原子力安全・保安院からの指摘に対する改善のための「行動計画」の実施等による技術的・組織的な改善が行われた結果、「もんじゅ特別チーム」会合等を通じて経営層から現場までが一体となり、「もんじゅ」に関する課題を共有し、対策を検討・実施・フォローする自立的PDCAサイクルを推進するシステムが確立しつつある。今後は、このシステムを充実しつつ運用し、高速増殖炉研究開発センター、敦賀本部及び本部のそれぞれにおける課題の早期発見に努め、一層の早期対応に取り組んでいく必要があると認識している。また、住民説明会、出前型説明会「さいくるミーティング」及び報道対応の充実等の理解促進活動や、福井県が進める「エネルギー研究開発拠点化計画」への貢献等の国際研究開発拠点化を地域社会と共通の目的とした地域共生活動等に積極的に取り組んだ。これらの活動等を通じ、社会や立地地域の信頼性向上に資すよう努めた。

    3Ⅰ.1.(1).3)プルトニウム燃料製造技術開発

    ○中期計画に基づき「常陽」の燃料供給を行うとともに「もんじゅ」に燃料供給するための技術の確立を進めたか。

    ○中期計画に基づき、「常陽」の燃料供給としては、Mk-Ⅲ第2次取替炉心燃料製造を計画どおり終了した。「もんじゅ」に燃料供給するための技術の確立としては、試験により、低密度ペレットの製造に係わる基本的な条件を把握し、簡素化ペレット法等の工学規模での燃料製造技術開発試験を進めた。得られた燃料のうち仕様を満足し、かつ国の検査に合格したものは性能試験用燃料として供給した。

    ○高速増殖炉サイクルの技術の確立に向け、その中核的施設である「もんじゅ」、「常陽」に対し、適時適切に燃料供給の技術の確立・供給を実施した。また、技術者の日本原燃㈱への派遣、同社から受け入れた技術者の教育、技術開発・設計に係るコンサルティング等を行った。

    A

    中期目標を達成したと認められる。今後は加工事業を開始し、製造条件確認試験を完遂し、MOX燃料に係る研究開発において、主導的な取組を実施していくことを期待する。

    B

    中期目標期間中に性能試験再開ができなかったことについては、外部要因による部分もあるが、種々の点検・整備やシステムの改善等のこれまでの試験開始への準備状況や取組を考慮すれば、目標達成に近い実績とも言える。しかし、中期目標期間という長い視点で見れば、技術的な準備はもちろんのこと、事業として関係方面への手続きを完了することも計画に含まれている。これまでの反省を踏まえ、最大限努力したことは評価できるが、管理が十分でなかったためにいくつかのトラブルが発生し、運転再開時期の遅延を招いたことも事実である。したがって、中期計画が達成できなかった点から見て「B」評価と判断される。第2期中期目標期間に100%出力達成を安全かつ確実に行うためにも、行動計画による改善活動や職員に対する職場風土アンケートなどにより、行動計画の定着と運転管理に係る品質保証の更なる向上に期待したい。

    2

    Ⅰ.1.(1).2)高速増殖原型炉「もんじゅ」における研究開発

    ○中期計画に基づき、運転再開に向けた準備及びその後の研究開発は着実に行われ、中期目標を達成したか。

    項目別-2

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    4

    Ⅰ.1.(2)高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術に関する研究開発

    ○中期計画に基づき、処分場の設計・安全評価の信頼性向上のための地層処分研究開発を行うとともに、東濃地科学センター及び幌延深地層研究センターにおける深地層の研究施設計画を進めるなど、深地層の科学的研究を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、人工バリア等の長期挙動や核種の移行等に関わるモデルの高度化とデータの拡充を行い、処分場の設計・安全評価の信頼性向上のための地層処分研究開発を行うとともに、得られた成果は、処分場の設計や安全評価に必要となるデータベースや解析ツール等として公開し、原子力発電環境整備機構(NUMO)や規制関連機関に提供した。また、瑞浪超深地層研究所については、2本の立坑を深度460mまで掘削しながら坑道掘削時の調査研究を進め、幌延深地層研究所については、東立坑を深度224mまで、換気立坑を深度250mまで掘削しながら坑道掘削時の調査研究を進めた。これらにより地質観察や地下水の観測等を実施し、地上からの調査研究で構築した地質環境モデルを確認しつつ、地上からの調査技術やモデル化手法の妥当性を評価し、技術基盤の整備を行うなどの深地層の科学的研究を行った。

    ○研究開発の成果を体系化し知識基盤として適切に管理・継承していくことを目的に、公開での意見交換会や関係機関からの意見聴取を踏まえ、NUMOのシステムとの互換性等にも配慮しつつ知識管理システムを構築し、プロトタイプを公開した。また、国内外の専門家によるレビュー等を通じて技術的品質を確保した包括的な報告書として取りまとめ、ウェブ上のレポートとして知識管理システムと有機的に連結させて公開し、処分事業や安全規制を技術的に支援するとともに、地層処分技術の理解促進にも活用できる恒常的なバックアップ体制を整備した。さらには、最終処分に関する基本方針と計画の改定を踏まえ、国民との相互理解促進の場として活用するため、深地層の研究施設において、水平坑道の整備を図った。

    A

    知識管理システムの開発や、幌延及び瑞浪の坑道掘削及び調査研究を着実に実施したことは評価できる。今後は、NUMOや電気事業者と連携し、専門家集団として処分事業の実施に向けた研究開発を主導していくことを期待する。また、国民が地層処分の現状について身近に考えることができる契機となるように、研究開発成果の高レベル放射性廃棄物の処理・処分事業や安全規制当局に対する貢献などについて国民にわかりやすく説明し、理解促進につながるように努力することを期待する。

    5Ⅰ.1.(3).1)分離・変換技術の研究開発

    ○中期計画に基づき高速増殖炉サイクル技術及び加速器駆動システムを用いた分離変換技術の研究開発を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、廃棄物処分における分離変換技術の導入効果の検討を行うとともに、発熱性核分裂生成物等の適切な分離プロセス技術に関する基盤データの取得、コストを低減可能な新しい分離プロセス概念を構築、提示を含めた分離技術開発を進めた。また、核変換技術の研究開発については、核データ、核設計コードを整備するとともに、高速増殖炉を用いた方法、加速器駆動システムを用いた方法の双方に照射実験等を通じた基礎データの収集や燃料製造等の基盤技術の開発を行い、システム概念の構築・提示を行った。

    ○処分場や処分前貯蔵等の廃棄物管理体系を考慮した具体的な導入効果の検討を行い、可能性として、廃棄体の潜在的有害度を約2桁低減できること、Puリサイクル時のMA生成に伴う廃棄物処分の負担が軽減できること、発熱性核分裂生成物の分離で更に廃棄物処分体系の設計の自由度が増すこと等、将来における高レベル放射性廃棄物の処理・処分の負担軽減の可能性を示した。

    A

    中期計画通りに履行されたと認められる。本事業は、将来の資源有効利用と廃棄物の負担軽減に貢献する可能性があるが、基礎研究の段階にある。原子力委員会の分離変換技術検討会やJ-PARC計画国際諮問委員会の指摘を踏まえ、その研究開発をどのように進めるかを常に確認していかなければならない。分離プロセス開発に関しては、技術の更なる展開と深化へ向けた努力を期待する。

    6

    Ⅰ.1.(3).2)高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発

    ○中期計画に基づき高温ガス炉の技術基盤の確立を目指した研究開発を行うとともに核熱による水素製造の技術開発を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に掲げる高温ガス炉HTTRの50日の高温(950℃)連続運転を完遂することで、原子力水素製造において水素製造に必要な900℃の熱を長期にわたり安定供給できることを世界で初めて示した。また、試験データからHTTRの燃料が世界最高の性能であることを明らかにした。このほか、過渡時、事故時の代表的な解析による

    HTTR-ISシステムの安全性保持の確認、ISプロセスにおける30m3/h規模の水素製造技術の確証の完了、異常時に高温ガス炉と水素製造プラントを隔離する実用炉規模の高温隔離弁の設計完了などの成果を上げた。さらに、高温ガス炉とこれを利用した水素製造において世界を先導する技術基盤を確立した。これにより、当該領域における国際的イニシアティブを確立する活動を加速することで、エンドユーザー獲得に向けた第1歩を踏み出す成果を産み出した。

    A

    高温ガス炉の950℃、50日間連続運転の達成により、高温ガス炉の利用可能性を大きく前進させたことは評価できる。高温ガス炉及びその利用法の開発において我が国の研究は貴重なものであるが、実用化及び核熱による水素製造については、なお多くの課題がある。したがって、今後の研究開発に当たっては、産業界の参加を促すため、実用化に向けたロードマップを示すことが望まれる。特に原子力水素実証試験への移行に際しては、他の水素製造法とのコスト比較や原子力プラントとの整合性を含めたあらゆる角度からの優位性に関する本格的な比較検討を行うことも必要である。

    項目別-3

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    ○中期計画に基づき国際熱核融合実験炉(ITER)計画及び幅広いアプローチ(BA)に取り組むとともに炉心プラズマ及び核融合工学の研究開発を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、国際熱核融合実験炉(ITER)計画及び幅広いアプローチ(BA)に取り組み、国内体制構築への支援や準備活動を進め、JT-60を用いた高性能プラズマ実験および炉工学技術の開発研究によって、国際共同計画策定に決定的な貢献をなして主導的立場を確保し、国によるITER協定及びBA協定の締結(平成19年度)により、核融合研究開発計画を国際的に前進させた。さらに、国からITER計画の国内機関、BA活動の実施機関に指定され、計画を立ち上げるとともに、平成19年度にはITERの目標性能を上回るジャイロトロン高周波加熱装置の定常発振の成功、世界に先駆けたトロイダル磁場コイル用超伝導導体の製作技術基盤の構築など、「もの作り」に立脚した核融合炉工学技術の研究開発において世界を主導する成果(世界に先駆けたジャイロトロン高周波加熱装置、超伝導導体、中性粒子入射加熱装置、ダイバータ等の開発)を出し、ITER計画及びBA活動の推進に貢献した。炉心プラズマの研究開発に関しては、臨界プラズマ試験装置JT-60による研究開発を進め、これまで考えられていた限界(自由境界理想安定限界)を超える高圧力(規格化ベータ値3.0)のプラズマを約5秒間維持することに世界で初めて成功し、それをITERの運転計画に反映させるなど、世界を先導する成果を上げた。また、核融合工学においても、増殖ブランケットの開発で世界に先駆けて実規模大モックアップを製作して性能を確認したほか、世界で初めて、実際の核融合炉ブランケットと同じ環境による高エネルギー中性子照射下におけるトリチウムの生成・回収性能試験を実施し、ほぼ100%のトリチウム回収率が得られることを実証した。

    ○我が国が締結した原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束の履行が誠実に行われ、中期目標を達成したか。(評価項目42関連)

    ○ITER計画及びBA活動の効率的・効果的実施及び核融合分野における我が国の国際イニシアティブの確保を目指し、ITER国内機関及びBA実施機関として各協定に従った物的及び人的貢献を、国内の研究機関、大学、産業界と連携するオールジャパン体制を構築して行い、定期的に国に活動状況を報告しつつ、国内機関・実施機関としての責務を確実に果たし、国際約束を誠実に履行した。

    ○ITER計画及びBA活動の推進を通じて我が国の技術基盤の向上に貢献し、国際的イニシアティブを確保する高い成果をあげるとともに、炉心プラズマ研究開発及び核融合工学研究開発において世界を先導する優れた成果をあげることによって、世界における日本のプレゼンスの向上に貢献した。

    8

    Ⅰ.1.(4)民間事業者の原子力事業を支援するための研究開発

    ○中期計画に基づき民間事業者の原子力事業を支援するための研究開発を実施し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、平成18年3月末までに電気事業者との既役務契約に基づく軽水炉ウラン燃料の再処理(約1,116トン)を完遂した。これまでの東海再処理施設の累積処理量は約1,140トン(平成22年3月末現在)に達した。高燃焼度燃料の再処理試験については、高燃焼燃料の特性を整理し、許認可申請に係る各種評価を実施するとともに、共同研究者である電気事業者との協議や六ヶ所再処理工場の技術的課題を踏まえて試験計画概要書を作成した。「ふげん」のウラン-プルトニウム混合酸化物(MOX)使用済燃料等の再処理試験については、MOX使用済燃料約9トンの処理を通じて溶解特性や不溶解残渣に係るデータなどの各種データを取得し、取りまとめを行った。高レベル廃液のガラス固化処理技術開発については、改良型溶融炉によるガラス固化体の製造を通して、安定したガラス溶融運転が行えることを確認した。また、長寿命化等の対策技術について試験、評価を行うとともに、溶融炉の解体技術開発を行った。

    ○電気事業者との既役務契約に基づく軽水炉ウラン燃料の再処理を通じ、高耐食性材料、遠隔保守技術及び核不拡散技術等の技術開発を進め、わが国初の再処理施設として、再処理技術の国内定着と基盤整備に貢献した。また、日本原燃㈱六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を支援するための各種の調査研究等を実施した。

    A

    中期計画通りに履行されたと認められる。高燃焼度化燃料の再処理試験を着実に進めるためにも、新耐震基準への対応に関し、予算確保と計画的な改造工事の推進ができるように配慮すべき。六ヶ所再処理工場に対する積極的な支援は評価できる。技術移転に当たって、専門家集団として中心的な役割を果たし、民間事業者に対して積極的に支援していくことを期待する。国民の「安全と安心」は研究機関と民間事業者との連携による裏付けがあって、初めて実感できるものであることから、今後とも、技術的課題の解決への貢献に期待している。

    7

    Ⅰ.1.(3).3)核融合エネルギーを取り出す技術システムの

    研究開発

    S

    ITER計画及びBA活動においては、国際協定に基づいた実施機関としての責務を遂行し、超伝導コイルの製作技術の確立及び実機導体の製造開始や、ジャイロトロン出力の世界記録更新など、基幹となる技術に大きな進展をもたらすといった大きな成果を挙げた。また、炉心プラズマの研究開発では、高圧力プラズマの安定保持の実証に特に優れた成果をあげるなど、23年間のJT-60実験をITER計画及びその後の原型炉への展開につながるよう成功裏に完遂させた。これらの成果により、ITERの建設に向けて日本の先進性を示すとともに、世界をリードする実績をあげたことは高く評価できる。ITER計画全体については、国際協力で進められるため、一国の事情だけではうまくいかない所もあるが、各国の実施機関の中でも主導的な役割を果たしていくことを期待している。

    項目別-4

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    ○中期計画に基づき、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と協力して大強度陽子加速器(J-PARC)の開発を、リニアック建設における181MeV所期エネルギーまでの加速性能の1年前倒しで確認し、RCS方式による大強度加速器技術の世界に先駆けた実用化で国際標準化への流れを作った。また、3GeVシンクロトロンにおける年度目標を超える50kW相当以上のビーム出力の実現などの成果をあげるとともに、高出力の陽子ビームを制御及び安定化するための技術の高度化を実施し、中期目標より一年早く100kWの量子ビーム出力を平成20年度中旬に達成した。さらに、物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子及びミュオンを利用した供用運転を開始している。平成21年度には、J-PARCの全ての実験施設(MLF、ハドロン実験施設、ニュートリノ実験施設)にて利用を開始し、同年11月以後は、ビーム出力120kWの安定した供用運転を実施するとともに、12月には、300kWの大強度ビームを試験的に1時間MLFターゲットへ供給に成功している。これにより、ミュオンや中性子の研究での成果が出た。また、J-PARC以外でも、がん治療用等のレーザー駆動小型陽子加速器の実現に向けた14MeVの高エネルギー陽子の発生と準単色化に成功し、さらに、重イオンのマイクロビーム形成技術や高速のシングルイオンヒット技術の開発を行い、重イオンマイクロビーム細胞局部照射技術開発及び半導体耐放射線性評価研究へ応用するとともに、軽イオンマイクロビーム技術の分析及び加工への応用を進め、群馬大学と協力して大気マイクロ粒子線励起X線分析法(PIXE)による肺組織中のアスベスト分析技術の開発に成功するなど数多くの優れた成果を産み出した。

    ○J-PARCが早期に稼働を開始したことにより、J-PARCに設置される中性子利用実験装置の建設も加速され、マシンタイムの一部が一般利用に供されることにより、茨城県中性子利用促進研究会や中性子産業利用推進協議会、J-PARC/MFL利用者懇談会と協力し、これらの装置の産業利用を進めた結果、各課題募集において、産業利用が約20~40%を占めるに至った。また、茨城県中性子実験装置でグルタミン酸等の有機物の結晶構造解析に成功しているほか、JRR-4の医療照射及び周辺技術を含む技術の高度化を行った。

    ○中期計画に基づき、タンパク質等の構造・機能研究に中性子を利用することによって、創薬標的タンパク質であるHIVプロテアーゼの全原子構造解析に世界で初めて成功し、ブタ膵臓エラスターゼと医薬品候補分子の複合体の立体構造解析に成功するとともに、ブタ膵臓エラスターゼが高い生物活性を示す原因となるオキシアニオンホールの状態を観測することに成功した。また、細胞の放射線応答解析により、非照射細胞にも放射線影響が伝達されるバイスタンダー効果のメカニズムの一端を明らかにしたことにより、難治性がんに重イオンが有効であることを見出すとともに、放射線耐性機構解析に基づき、従来比10倍の修復能を持つDNA修復試薬の製品化に成功した。さらに、イオンビーム育種技術の高度化を進めて、有用遺伝子の発見及び芳香シクラメン等の新品種や環境浄化能の高い植物等を創成・実用化するとともに、ポジトロンイメージング技術を駆使して、ダイズによる共生的窒素固定の観測に世界で初めて成功する成果をあげた。このように、ライフサイエンス、材料・ナノ科学等の様々な分野において量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発を高いレベルで行った。

    ○中性子を利用した創薬標的タンパク質(HIVプロテアーゼおよび膵臓エラスターゼ)と医薬品候補分子の複合体の立体構造解析に成功し、水素原子を含む相互作用様式を解明した。この成果は生命科学の発展に大きく寄与するだけでなく、分子間相互作用の原理を解明し、創薬研究の高度化を通じて医療産業に貢献できる。また、ヒドロゲナーゼモデル錯体における水素イオン捕獲状態の解明は、水から高い効率で水素エネルギーを生成する仕組みを解明することにより、エネルギー産業への貢献が期待できる。さらに、DNA修復試薬従来品の10倍高効率のDNA修復試薬「TA-Blunt Ligation Kit」の全国販売、無側枝性輪ギク「新神」、「新神2」の実施許諾に基づく全国栽培、新花色を持つキク科多年草オステオスペルマム「ヴィエントフラミンゴ」の群馬県内試験販売、高い窒素酸化物吸収能を持つ壁面緑化植物「KNOX」の全国販売等に成功した。このように育種、製薬の各産業分野における成果の製品化や技術転用を行った。

    S

    中性子-放射光利用解析法の開発をはじめとする荷電粒子・RI利用、放射光・光量子利用により、生命科学分野において新たな計測技術を確立するなど、環境・エネルギー、物質科学等の様々な分野における量子ビーム利用技術の高度化に大きく貢献したことは高く評価できる。また、組織横断的な連携協力や産学官連携の仕組みが着実に構築され、そこから多彩な成果が得られたことも高く評価できる。

    S

    9

    Ⅰ.2.(1)多様な量子ビーム施設・設備の戦略的整備とビーム技術開発

    ○中期計画に基づき量子ビーム施設の整備及びビーム技術開発を行い、中期目標を達成したか。

    J-PARCにおいて、300kWの陽子ビーム出力を達成するとともに、供用開始以来、安定した運転を行い、世界を先導する成果を挙げたことは高く評価できる。また、ビーム径1μm以下の数百MeV級重イオンのシングルイオンヒットの実現、光陰極直流電子銃やレーザー駆動粒子加速技術等での将来の応用につながる著しい成果が得られたことも高く評価できる。今後の施設のあり方については、ロードマップを示し、原子力機構外の研究者にとっても、研究開発の中核拠点となることを期待する。

    10

    Ⅰ.2.(2)量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発

    ○中期計画に基づき量子ビームを利用した先端的な測定・解析・加工技術の開発を行い、中期目標を達成したか。

    項目別-5

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    11

    Ⅰ.2.(3)量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発

    ○中期計画に基づき量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、量子ビームの実用段階での本格利用を目指した研究開発を行い、エマルショングラフト重合による半導体の洗浄水用のフィルターの商品化、デンプン由来ポリ乳酸の放射線橋かけ等処理による展示めがねフレームのダミーレンズの実用化、セルロース多糖類の放射線橋かけを用いた越前和紙の収縮抑制とその加工品の商品化を行った。また、半導体デバイス誤動作予測モデルを宇宙航空研究開発機構との宇宙用半導体の耐放射線性評価研究に用いて宇宙機に搭載する半導体の選択や宇宙用新型半導体の開発が実施され、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」や宇宙ステーション補給機「HTV」にそれらが搭載されるなど、研究成果が実用化された。さらに、平成19年度から株式会社第一テクノと進めてきたビル空調用冷却循環水浄化システムの開発において、試作した小型の可搬式装置を用いて、2つの建て屋の空調用冷却循環水の浄化に関する実証試験が終了し最終的な商品の製作に着手した。また、実用化に向けては、外来研究員や協力研究員の派遣を企業に働きかけるとともに、特定寄付金の有効利用や施設供用制度に基づく施設の有償供用など、産業界にも適切な負担を求めつつ研究開発を実施した。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。産学連携プラットフォームを構築し、量子ビームの産業応用拡大に貢献することができた。今後は、微量金属フィルターの商品化のように、企業ニーズに合わせた量子ビーム利用のすそ野の拡大を進めるとともに、材料加工・評価技術が大学や研究機関、企業に波及し、多彩な成果に繋がることを期待する。

    ○中期計画に基づき、軽水炉の長期利用、新技術の導入による利用の高度化、核燃料サイクル施設の本格操業、各段階において発生する放射性廃棄物の処分実施などに際して、十分な安全性が確保されることを確認、実証するための研究を行い、その成果を活用して原子力安全規制行政への支援を進めた。安全目標案に対応する軽水炉の性能目標導出のための解析を行い、格納容器機能喪失頻度の目標値案を提示するとともに、防護対策による効果、対象とする個人の範囲とその考え方を明らかにした。また、TRU廃棄物の処分に関し、トレンチ処分、ピット処分及び余裕深度処分に対する埋設濃度上限値を算出し、各処分で想定される廃棄物中の重要核種を抽出し、我が国のTRU廃棄物を含む低レベル廃棄物の処分方策毎の埋設濃度上限値に係る政省令が施行されるとともに、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の改正が行われ、処分場設計や資金計画などの事業化が可能となった。さらに、ウラン廃棄物のクリアランスに関し、被ばく線量を評価する解析コードを開発するとともに、それを用いたクリアランスレベルの評価結果を原子力安全委員会に提供した。これにより、クリアランスレベルが設定され、人形峠環境技術センターなど燃料濃縮・加工等の施設における廃止措置活動を本格化する環境が整った。また、燃料の破損を防止するための具体的要求事項を提案するとともに、原子力安全委員会報告書の原案を作成するなど、安全審査指針類の体系化に貢献した。そのほか、国際的な取組として、軽水炉事故時の安全性の確保・向上に係るOECD/NEAROSAプロジェクトを平成17年度より主催し、その成果に基づいて事故時の炉心過熱の判断に用いる炉心出口温度計の有効性に関するOECD/NEA報告書がとりまとめ、各国の規制機関や産業界に対する提言を行った。さらに、参加機関からの強い要請により、同プロジェクトは第2期計画を平成21年度から開始した。1000件を超える事故・故障の事例分析を行い、その結果を関係機関に配布するとともに、研究報告書や学会誌等を介して公開することでその知見及び教訓の共有化を図ったほか、軽水炉の長期利用、放射線による材料劣化挙動、経年変化予測手法等の安全研究を実施した。

    13Ⅰ.3.(2)原子力防災等に対する技術的支援

    ○中期計画に基づき原子力防災等に対する技術的支援を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、警察や消防等を含む原子力防災担当者への訓練、研修の実施、オフサイトセンター機能班訓練等のオフサイトセンターへの協力、原子力緊急時支援・研修センターの24時間初動対応体制構築により、指定公共機関として原子力防災に関して行政機関等へ貢献した。また、軽水炉の確率論的安全評価から得られた代表的事故シナリオに対する短期及び長期の防護対策に関する技術的課題を抽出した。さらに、原子力緊急事態に対する基本要件、緊急時計画区域等の技術的課題を報告書としてまとめた成果が防災指針改訂に反映された。そのほか、緊急時の意思決定プロセスにおける専門家支援のための技術マニュアル案とPCツール1次版整備を完了した。また、行政機関等からの要請を受け、原子力防災に係る訓練評価に関する調査や、公開ホームページにおける原子力防災情報トピックス等の情報発信を行った。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。国、地方公共団体等の訓練への参加、研修・演習の実施、防災計画策定支援のための技術的指標等の整備など、国、地方への積極的な貢献は評価できる。今後は専門家集団としての有益な提案も期待する。

    Ⅰ.3.(1)安全研究とその成果の活用による原子力安全規制行政に対する技術的支援

    ○中期計画に基づき原子力安全委員会の定める「原子力の重点安全研究計画」等に沿って安全研究を着実に実施し、中期目標を達成したか。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。リスク情報を活用した新たな安全規制への展開など、安全審査や指針等に対し、期待されている役割を果たしていると認められる。今後は、専門家集団としての有益な提案も期待する。

    12

    項目別-6

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    14Ⅰ.3.(3)核不拡散政策に関する支援活動

    ○中期計画に基づき核不拡散政策に関する支援活動を実施し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、政策研究に基づく原子力新興国の参考に資する政策提言やアジア地域の円滑な原子力平和利用に関する支援等、関係行政機関等からの要請や協力の中での積極的かつ着実な政策立案や技術的な支援を行うとともに、「核不拡散ポケットブック」の作成・配布といった情報共有・発信等を行った。また、高速炉としては世界初の「もんじゅ」サイトへの統合保障措置適用や、機構内の関連組織の連携による核拡散抵抗性及び先進保障措置技術の検討とFaCTプロジェクトへの反映等、我が国の核物質管理の技術の向上やIAEAへの技術的支援を実施した。さらに、外務省からの依頼による原子力施設の廃止措置及び廃棄物処分に関する調査の実施による外交政策の支援、東海の核燃料サイクル施設を対象とした世界初の統合保障措置適用への支援、極微量核物質同位体比測定法の技術開発とIAEAによる保障措置分析法としての認定、「包括的核実験禁止条約(CTBT)国際検証体制への貢献」による原子力学会貢献賞の受賞、北朝鮮による核実験に対する機構の解析評価対応に対し、外務大臣から感謝状を受領した。

    ○関係省庁及び関係機関等からの要請により、海外おける核不拡散に関する動向調査や国際的な制度整備構想の調査及びそれらを踏まえた核燃料供給保証システムの提案等の政策研究への貢献を行うとともに、政府及びIAEAからの依頼による試料分析等の核不拡散技術開発、CTBT国際検証体制支援、CTBTの諸活動を通じた非核化支援を行った。

    S

    日本のイニシアチブを世界に打ち出し、フィッショントラック-表面電離型質量分析法の実用化により未申告活動検知に大きく貢献したこと、高速増殖炉への国際原子力機関統合保障措置適用など、世界の核不拡散活動の分野において先導的な取組を実施したことは高く評価できる。これらの活動については、国際原子力機関や包括的核実験禁止条約事務局などから高く評価されており、北朝鮮の核実験に対する解析・評価対応に関しては、外務大臣から感謝状を授与されるといった顕著な成果が認められる。今後とも、より一層の貢献が期待される。一方、国民に対する原子力機構の活動への周知が十分ではなく、世界的に見た日本の役割とその中での原子力機構の位置付けについて客観的に理解してもらえる活動を実施する必要がある。

    15

    Ⅰ.4.自らの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理・処分に係る技術開発

    ○中期計画に基づき自らの原子力施設の廃止措置に必要な技術開発及び放射性廃棄物の処理処分に必要な技術開発を行い、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、「ふげん」では主に原子炉本体の解体技術開発・トリチウム除去技術開発、人形峠では主に集合型遠心機の除染技術開発、再処理特別研究棟ではコンクリートセル内に設置されている廃液貯槽の撤去工法の確証試験を実施し、得られたデータを廃止措置の計画支援のための廃止措置統合エンジニアリングシステムの開発に反映した。また、効率的なクリアランス検認作業を支援するためのクリアランスレベル検認評価システムでは、JRR-3のコンクリート及び「ふげん」の金属のデータを反映した開発、廃棄体品質保証の合理化を目指した廃棄体の放射能測定評価に係る簡易・迅速化技術、硝酸塩廃液の脱硝処理技術、廃棄物管理システムの開発、及び廃棄体に関するデータ収集やTRU廃棄物の処分研究など、処理・処分に必要な技術開発を行った。

    ○廃棄体品質保証の合理化を目指した放射能測定評価に係る簡易・迅速化技術の開発では、機構のみならず、電気事業者等が実施する発電所廃棄物分析やクロスチェック分析に採用された。また、廃棄物管理システムの開発では、廃棄物発生から処理・処分までの履歴の追跡を可能とした。

    A

    計画の遅れがあった時期もあったものの、期間全体としては中期計画通りに履行したと認められる。遠心分離機や「ふげん」のカランドリア管などの解体技術の確立に向けた努力は評価できる。ただし、自らの廃止措置や埋設処分事業には研究開発の要素が少ないものもあることから、研究開発として実施すべきものを選別する必要がある。また、「ふげん」の廃止措置技術の産業化への展開に関しては、地元産業界への情報発信を積極的に行うことを期待する。今後とも、電気事業者と積極的に協力しつつ、計画的に施設の廃止措置と技術開発を進めてもらいたい。

    項目別-7

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    ○中期計画に基づき、原子力研究開発の基盤形成や新たな原子力利用技術創出を目指し、核工学、炉工学、材料工学、核燃料・核化学工学、環境工学、放射線防護、放射線工学、シミュレーション工学及び高速増殖炉サイクル工学の各分野における研究開発を推進した。特に、原子力研究開発の基盤形成においては、ICRPと米国核医学会の推奨データとして採用され国際標準データとして世界各国で利用され始めた放射性核種データベース、世界最大の収納核種数となる汎用評価済核データライブラリーJENDL-4、日本海の海洋環境放射能に関するデータベースJASPERなどのデータベースを構築したほか、IAEAの保障措置分析技術として認証されたウラン微粒子分析法の開発、IAEAの国際緊急時ネットワークRANETに日本の支援機能として登録された緊急時環境線量情報予測システム(世界版)第2版WSPEEDI-IIの開発等を通じ、IAEA等の国際機関の活動に貢献した。また、学協会等による数多くの表彰を受賞した。さらに、新たな原子力利用技術の創出では、機構の開発した新しい溶製法である超高純度ステンレス合金、高速度中性子ラジオグラフィ、エマルションフロー液液抽出装置が大規模製造技術の共同開発に成功し、自動車エンジン燃焼の高効率化研究の支援、環境企業等3社とのライセンス契約に至り、産業界との連携で大きな進展を遂げた。とりわけエマルションフロー液液抽出装置は、国が推進する特許流通事業である平成21年度「特許ビジネス市」で特に優秀な特許として認定された。

    ○原子力研究開発の基盤形成や新たな原子力利用技術創出における成果に加え、高速増殖炉用直管型蒸気発生器の沸騰伝熱試験やマイナーアクチノイドの分離技術開発、原子炉材料の照射効果評価等を行った。また、日本原燃㈱と連携して原子力エネルギー基盤連携センターに特別グループを設置することで、ガラス固化事業の喫緊の課題に取り組んだ。

    17Ⅰ.5.(2).先端基礎研究

    ○中期計画に基づき将来の原子力科学の萌芽となる未踏分野の開拓を進めたか。

    ○中期計画に基づき、新原理、新現象の発見、新物質の創生、新技術の創出を目指した先端基礎研究を、超重元素核科学やアクチノイド物質科学、極限物質制御科学、物質生命科学の4分野で行った。本中期目標期間における代表的な成果として、新原理の発見では、これまで謎であった絶対零度近傍で起こる未知の量子相転移の原因が磁気分極によるものであることをウラン化合物(USn3)の核磁気共鳴測

    定で明らかにするとともに、東京大学、日本大学との共同研究で核力として2種類の力を取り入れることによってすべての原子核の内部構造を説明できる新しい理論を構築するなどの成果をあげた。また、新現象の発見では、コバルト(Co)とフラーレン(C60)からなる複合物質に巨大なトンネル磁気抵抗効果を発見し、機能性発現材

    料としての新たな可能性を示すとともに、新たな分子スピントロニクス分野の創生に繋がる成果をあげた。さらに、新物質の創生では、多くのアクチノイド化合物純良単結晶の作製に成功し、その物性特性を世界に先駆けて明らかにするとともに、東北大学及び大阪大学との共同研究でこれまで全く予知されていなかったネプツニウム化合物が超伝導を示すことを発見するなどの成果をあげた。新技術の創出では、陽電子マイクロビームの開発等の成果をあげた。

    ○科学・技術等各学問分野の学会・研究者集団をステークホルダーとして意識し、原子力に関する先端基礎研究の国際的COEを目指し、世界的に著名な論文誌への発表や国際会議での招待講演による世界へのアピールを重視した活動を行った。また、先端基礎研究国際シンポジウムや基礎科学セミナー開催や成果広報誌「基礎科学ノート」を発行、配布するなど、成果の発信に努めるとともに、研究成果の応用という社会との接点に留意した研究を行った。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。特異な超伝導現象の発見や陽電子マイクロビームの作製など、対象とする8研究テーマにおいて良い成果が出ていることは評価できる。先端研究の位置づけから達成目標が必然的に高いものの、今後は、原子力機構ならではの新たなかつインパクトのある研究を進めていくことを期待する。

    S16Ⅰ.5.(1).原子力基礎工学

    ○中期計画に基づき原子力研究開発の基盤を形成し、新たな原子力利用技術を創出するため原子力基礎工学研究を実施し、中期目標を達成したか。

    超高純度合金の量産技術の確立、放射線防護核種データベースの完成、汎用評価済核データライブラリの完成、高エネルギー放射線の被ばく線量統合評価モデルの構築など、世界に先行する成果を挙げ、原子力基盤分野の水準向上に大きく貢献したことは高く評価できる。研究者の意識も高く、多くの学会賞等を受賞したほか、産業界や大学との連携も積極的に実施し、毎年度優れた成果を挙げ続けたことも高く評価できる。なお、基礎研究であっても、実績と比較できるように目標をより具体化するべきである。

    項目別-8

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    18Ⅰ.6.放射性廃棄物の埋設処分

    ○中期計画に基づき埋設処分業務を実施し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、埋設施設の概念設計の前提条件となる廃棄体数量、概念設計を行う埋設施設及び施設周辺の環境条件、埋設処分に関連する国内法令の施設基準等の調査取りまとめた。また、「RI・研究所等廃棄物連絡協議会」での意見交換も踏まえ、受託契約の準備等、埋設処分業務を推進するために必要な準備として総費用の積算、処分単価・受託料金の検討を行うため、調査・検討すべき項目の取りまとめを行った。

    ○機構以外の発生者との協力についての意見交換等を行うとともに、相談・情報発信窓口の開設も含めたホームページを活用した情報発信等を行った。

    A

    中期計画通りに履行されたと認められる。第2期中期目標期間には、埋設事業全体の計画が具体化するものと予想されるが、その際には、自らの廃棄物だけでなく、民間の発生者も含めた関係者間の連携に十分に配慮し、輸送・処理等に係る我が国全体を見た合理的な計画の調整を主導的に進めていくことを期待する。

    19Ⅰ.7.(1).研究開発成果の普及とその活用の促進

    ○中期計画に基づき研究開発成果の普及とその活用、民間事業者からの要請に応じた支援を進め、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、成果情報の整理・記録・発信体制を一元化し、研究開発成果データベースに統合することにより、研究開発報告書類1,595件、学術雑誌等の査読付論文5,376編を公開した。ホームページを活用した情報発信に努力するとともに、各種報告会の開催及び大学公開特別講座等への講師派遣など、直接対話による理解の獲得に取り組んだ。研究開発部門の成果や、拠点の活動など各種成果報告会についても、今中期目標期間中に年間平均66回開催し、直接対話による理解増進に努めた。深地層研究施設では、見学者と研究者との直接的な対話による相互理解を重視した研究坑道の公開や、スーパーサイエンスハイスクール等による体験学習などを通じ、研究開発の重要性の理解促進や成果普及に努めた。また、機構のホームページに「特許・実用新案閲覧システム」を整備し、新規に公開された特許を半年毎にデータベース化して公開し、維持管理基準を定め特許等の効率的管理を行った。技術相談会等を開催して技術の利用機会を促進するとともに、ベンチャー支援制度及び機構の特許を用いた製品化研究支援制度(成果展開事業)等、毎年10件以上の新規実施許諾契約を締結し、特許の許諾件数の増加割合は今中期目標期間の年平均で16%となった。さらに、日本原燃㈱の要請に応じた人的支援や要員の受入れによる養成訓練、技術情報の提供、受託試験等を行った。

    ○成果情報をホームページを通じて発信し研究成果の社会への還元を図るとともに、技術相談会の開催やベンチャー支援制度、成果展開事業等により産業振興に寄与した。また、日本原燃㈱の要請に応じた技術支援等により、濃縮事業については、プラントのリプレース工事及び新型遠心機の製造を開始し、再処理事業については試験運転の最終段階まで達した。また、高レベル廃液ガラス固化施設の課題に対し支援強化を図るとともに、MOX燃料加工事業については、設備設計等に原子力機構の成果が反映され、着実に建設準備を進めた。

    A

    アクセス数の増加、外部研究機関との交流や国民とのアウトリーチ活動が盛んになっていること、民間への特許等の成果展開事業が着実に進められていること、年2回の審査により不要な特許を整理するなどの経費削減努力を着実に進めていることは評価できる。今後は、情報公開の質を評価する工夫を行う必要がある。また、具体的な目標を定め、計画的かつ効率的に実施していくべきである。

    20Ⅰ.7.(2).施設・設備の外部利用の促進

    ○中期計画に基づき外部利用の拡大・促進及び透明性の確保に向けた施策を実施し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、機構が保有する施設・設備のうち17の施設について、原価回収を基本とする料金設定により適正な対価を得て、大学、公的研究機関及び民間への広範な利用に供した。利用課題の採択等は、施設利用協議会における外部専門家による審査を活用するなど、透明性、公平性の確保に努めた。

    ○外部からの利用ニーズが高い施設・設備については、利用者の求めに応じて役務提供などの支援を行い、国内外の会議を通して施設利用の紹介を行ったほか、利用者の利便性を考慮して、利用申込みの電子化を行った。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。いくつかの施設がトラブル等で利用できない時期があったものの、中期目標期間全体としては期待されている役割を果たせたと認められる。利用者の意向を踏まえた利便性の向上を行い、透明性、公平性のある審査を行う体制を組んだことは評価できる。

    21Ⅰ.7.(3).特定先端大型研究施設の共用の促進

    ○中期計画に基づき特定先端大型研究施設の共用の促進に向けた施策を実施し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、種々装置の概念設計を終了し、機器製作と設置調整等に着手した。また、機構外の機関等により設置される中性子線専用施設を利用した研究等を行うユーザーに対し、中性子線専用施設の安定運転と安全管理等への技術指導を実施するとともに、ホームページ等を通じた研究課題の募集及び選定を行うなど、共用の促進に向けた施策を実施した。

    ○共用の促進に向けた施策の着実な実施により、英国ISISや米国SNSと同等な実験が行えるようになった。

    A

    平成21年7月の中期目標・中期計画の変更により新たに加わった項目で、対象期間が短いものの、中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。今後も適宜利用者の声を反映し、より良いシステムの構築に努めて欲しい。

    項目別-9

  • No. 評価項目 評価の視点 中期目標期間の実績 評価 評価理由

    22Ⅰ.7.(4).原子力分野の人材育成

    ○中期計画に基づき大学等と連携し、原子力分野の人材育成に取り組み、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、法定資格講習や外部技術者及び職員技術者を対象とする研修を計画通りに実施した。出張講習や研修の機構外受講生への開放、文部科学省等からの申込みによる臨時研修などを行い、合計約5,800名の受講者があった。50年間にわたる多方面での原子力人材育成活動が認められ、日本原子力学会歴史構築賞を受賞した。特に、原子炉主任技術者試験合格者の殆どが当該研修修了者であり、研修事業の有効性を示した。また、受講生へのアンケートでは、今中期目標期間中90%を上回る受講者から「有効であった」との高い評価を得た。海外を対象とした研修では、主としてアジア諸国を対象とした研修を開催し、高い評価を得た。さらに、連携大学院方式による客員教員の派遣、学生受入等の協力を実施するとともに、原子力教育大学連携ネットワークの遠隔講義を行うなどの協力を進め、東京大学大学院原子力専攻の講義・演習、実習に協力するなど、大学における原子力分野の人材育成に貢献した。

    A

    中期計画通りに事業を実施し、中期目標を達成したと認められる。人材育成のための仕組みが整備されてきている。地方の原子力人材育成の体制構築の進展も評価できる。大学における講義・研修への貢献、連携大学院数や大学連携ネットワーク加盟数の着実な増加、海外を対象とした人材育成支援なども順調に進んでいる。今後は、日本全体の中でリーダーシップを発揮し、より良いシステム構築への提案を期待する。一方、研修の有効度指標については検討が必要である。

    23Ⅰ.7.(5).原子力に関する情報の収集、分析及び提供

    ○中期計画に基づき国内外の原子力に関する情報を収集、分析し提供するとともに、機構が所有する科学技術情報等を収集、整理し提供し、中期目標を達成したか。

    ○中期計画に基づき、国内外の原子力に関する専門図書、海外学術雑誌、電子ジャーナル、原子力レポート等を収集・整理し、これら所蔵資料の閲覧、貸出、複写による情報提供�