科目名: 数学1及び演習科目名: 数学2及び演習 科目区分: 専門基礎科目...
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◆科目名: 数学1及び演習
◆科目区分: 専門基礎科目 A
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義及び演習
◆単位数: 3単位
◆開講時期: 2年 前期
◆授業時限: 金曜 1、2限( 8:45 〜 12:00 )
◆担当者: 村田 純教(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
3号館北215室,Tel:789-3232 ,[email protected]
URL: http://
◆ 問合せへの対応:e-mail にて随時
◆ 授業のねらいと内容:
専門基礎科目 Bとして数学及び物理学等を学んだ後,さらに進んで工学への応用を
視野に入れてベクトル解析と常微分方程式を修得します。力学や電磁気に関連する分
野,物質や熱等の移動現象を伴う分野など工学の多くの問題には、座標変換、ベクト
ル場、線積分などベクトル解析の知識とその応用が必要になります。また、放射性物
質の半減期、振動、電気回路、原子拡散を定量的に扱う上で、微分方程式を使いこな
せることが必要となります。そこで、この授業ではベクトル解析および常微分方程式
について学び、演習を通じてそれらの知識を実際の工学上の問題に利用できるよう修
得することを目的とします。
◆授業計画:
○第1週:ガイダンスおよびベクトル代数:
授業で行う演習の方法,レポート提出,成績評価について説明する。それに
引続きベクトルの復習としてベクトル代数について講義する。
○第2週:ベクトルの微分(1):
ベクトル関数の微分およびスカラー勾配について講義と演習を行う。
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○第3週:ベクトルの微分(2):
ベクトルの発散およびベクトルの回転に関する講義と演習を行う。
○第4週:ベクトルの積分(1):
線積分、面積分について講義と演習を行う。
○第5週:ベクトルの積分(2):
ガウスの発散定理、グリーンの定理、ストークスの定理に関する講義と演習
を行う。
○第6週:テンソル:
直行軸の回転とベクトル、2階のテンソルに関する講義と演習を行う。
○ 第7週:ベクトルとテンソルの応用:
空間曲線の性質および直交曲線座標とベクトルに関する講義と演習を行う。
○ 第8週:一階の常微分方程式(1):
常微分方程式の基本的な概念を示し、変数分離法、完全微分方程式、積分因
子に関する講義と演習を行う。
○ 第9週:一階の常微分方程式(2):
一階線形微分方程式、定数変化法に関する講義と演習を行う。
○ 第10週:線形常微分方程式(1):
ニ階の同次線形微分方程式、定数係数の二階の同次方程式、一般解、基底、
初期値問題に関する講義と演習を行う。
○ 第11週:線形常微分方程式(2):
特性方程式、微分演算子、コーシーの方程式に関する講義と演習を行う。
○ 第12週:線形常微分方程式(3):
任意階数の定数係数の同次線形方程式と非同次線形方程式を解く一般的方
法、および連立微分方程式に関する講義と演習を行う。
○ 第13週:べき級数解、直交関数(1):
べき級数法の理論的基礎、べき級数法、ルジャンドル方程式とルジャンド
ル多項式に関する講義と演習を行う。
○ 第14週:べき級数解、直交関数(2):
拡張されたべき級数法、ベッセルの方程式とベッセル関数に関する講義と
演習を行う。
○ 第15週:べき級数解、直交関数(3):
ルジャンドル多項式とベッセル関数の直交性に関する講義と演習を行う。
○ 第16週:定期試験:
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筆記試験によって講義および演習内容の理解度を試験する。ノート、レポ
ート及び教科書,参考書,配布プリントの持ち込みを可とする。
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◆バックグラウンドとなる科目:
専門基礎科目 B
◆教科書:
・ベクトル解析要論:青木利夫、川口俊一、共著:培風館
・ 技術者のための高等数学1 常微分方程式(Advanced Engineering Mathematics:
E.Kreyszig) 北原和夫・堀素夫共訳:培風館
◆参考書:
・ 微分方程式概論上(佐々木重吉著:槙書店)
・ Advanced Mathematics for Engineers and Scientists (Schaum’s outline series)
M.R. Spiegel, McGraw-Hill Inc., (1990).
・ Mathematical Methods in the Physical Sciences, 2nd Ed.,M.L.Boas, John Wiley
& Sons, (1983).
◆成績評価の方法:
出席およびレポート15回(30%)
期末試験(70%)
以上の割合で、講義の目的が達成されたかを判断し、55%以上の達成を合格と
します。
※認定基準の項目記号:(c)80%, (h)20%
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◆科目名: 数学2及び演習
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義及び演習
◆単位数: 3 単位
◆開講時期: 2年 後期
◆授業時限: 金曜1、2限(8:45~12:00)
◆担当者: 岩井 一彦(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5 号館 613 室,Tel:789-4649,[email protected]
◆問合せへの対応:E-mail にて随時
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◆授業のねらいと内容:
物理現象を微分方程式で表現する方法とその微分方程式の解法を修得する。具体的
には、工学でよく取り扱われる波動方程式、拡散方程式、ラプラス方程式を例題とし
て、偏微分方程式の種々の解法を学ぶ。解法のツールとしては変数分離法、フーリエ
級数展開、フーリエ変換、ラプラス変換を取りあげる。さらに、直角座標系以外の座
標系を用いたときに現れる特殊関数(ベッセル関数)についても触れる。
◆授業計画:
○第1週:微分方程式の基礎
微分方程式で現れる用語の説明
合成関数の微分
○第2週:変数分離法と微分方程式の導出
2階偏微分方程式の変数分離法による解法
物理現象を偏微分方程式で表現する方法
○第3週:ダランベール(D’Alembert)の解
ダランベールの解の導出
○第4、5,6週:フーリエ級数展開と微分方程式への応用
周期関数のフーリエ級数展開
フーリエ級数展開を使った偏微分方程式の解法
○第7,8,9週:フーリエ変換と微分方程式への応用
フーリエ積分表示とフーリエ変換
フーリエ変換の性質
フーリエ変換を使った偏微分方程式の解法
○第10,11、12週:ラプラス変換と微分方程式への応用
ラプラス変換とその性質
ラプラス変換を利用した微分方程式の解法
○第13,14週:特殊関数と微分方程式への応用
ベッセル方程式とベッセル関数の性質
フーリエベッセル級数展開と偏微分方程式への応用
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○第15,16週:まとめと定期試験
定期試験は持ち込み不可
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◆バックグラウンドとなる科目:
数学1及び演習
◆教科書:
使用しない。ノートをとれば、そのまま教科書になります。
◆参考書:
特に指定なし。必要と感じたら、わかりやすいと思う本を図書館で探してください。
◆成績評価の方法:
○定期試験(90%以上)
○演習(10%以下)
55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。
予告なしに試験をすることがあるので、毎回復習すること。
試験は持ち込み不可
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◆科目名: 量子力学A
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年生後期
◆授業時間: 火曜日 第3時限
◆担当者: 浅野秀文(工学研究科 結晶工学専攻)
工学部5号館 351 号室 Tel:789-3568,[email protected]
◆問い合わせへの対応:電話か e-mail で
◆授業のねらいと内容
量子力学は材料の物理的・化学的性質を電子レベルで記述できる最も基本となる学問の一つであ
る。特に物性学的観点から半導体材料、磁性材料、誘電体材料、超伝導材料などの電気的、磁気的、
光学的、熱的性質を本質的に理解する上で欠かすことができない基礎科目である。その場合、電子
などの運動の量子化や不確定性原理などといった特殊な物理学的概念を理解し、複雑な数式を駆使
する波動方程式の解法を修得し、得られた結果が実験に裏付けられた物質の本質的側面であること
を理解できる程度のレベルに達することが最小限必要である。ここでは、光や電子が波動と粒子と
いう両面性を持つことからはじめて、量子力学の最も基本的な法則と基礎的問題を解決する方法を
学び、その演習によって問題解決能力を修得する。また、さらに高いレベルの量子力学的諸問題を
学習できるような基礎的素養を修得することを目指す。
◆授業計画
○第1週:光子や電子の粒子性と波動性
光電効果などのような、古典力学では説明不能の現象を説明することができた前期量子論
と、その過程で得られた基本的な考え方や数式を理解する。
○第2週:不確定性原理
ミクロな粒子の位置と運動量が同時に正確には測定できないというハイゼンベルグの不
確定性原理について学ぶとともに、ミクロな粒子の二重性との関係について理解する。演
習問題を解くことによってさらなる理解を深める。
○第3週:シュレーディンガー方程式
ミクロな粒子の運動を記述するシュレーディンガー波動方程式の導出と解法の基礎を学
び、ハミルトニアン、固有値、固有関数等の量子力学特有の概念について理解する。
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○第4週:1次元問題−束縛状態
1次元ポテンシャルにおける電子のシュレーディンガー方程式の解法の一例として、ポテ
ンシャルに窪みがあり、電子がその付近に局在している場合(束縛状態)について学習す
る。
○第5週:1次元問題−調和振動子
1次元調和振動子ポテンシャルを持つシュレーディンガー方程式に対するエネルギー固
有値と固有関数を求め、その束縛状態について学ぶ。。
○第6週:1次元問題−反射と透過1
ある種のポテンシャルエネルギーが存在する空間における電子の反射と透過に関連する
現象について理解する。特に、階段型ポテンシャルに関する問題に対する解法を学ぶ。
○第7週:1次元問題−反射と透過2
前週に続いて電子の反射と透過に関連する現象について理解する。特に、トンネル効果に
関する問題に対する解法を学ぶ。
○第8週:中心ポテンシャル中の電子(1)
中心力場における電子のポテンシャルが実際の原子内電子において適用できることを学
ぶ。またスピンとその演算子、固有値、固有関数についても学ぶ。
○第9週:中心ポテンシャル中の電子(2)
水素原子のシュレーディンガー波動方程式の解法を学習する。またその結果を利用して、
各軌道の電子波動関数を求める。
○第10週:物理量と期待値(1)
電子の状態とその物理量の測定についての量子力学的な考え方を理解する。
○第11週:物理量と期待値(2)
物理量の行列表現、演算子の交換関係について学ぶ。
○第12週:角運動量(1)
電子のスピン角運動量の表現法と磁場中での電子スピンの運動について学ぶ。
○第13週:角運動量(2)
角運動量演算子の交換関係や行列表現、2つの角運動量の合成など角運動量の基本的性
質について学び、量子力学における角運動量の重要性を理解する。
○第14週:多粒子系(1)
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原子内電子が2個以上存在するときの変分原理、一体近似、パウリの排他律について学
習する。
○第15週:多粒子系(2)
多粒子系におけるエネルギー積分を学習し、交換相互作用の起源を学ぶ。また、初歩的
摂動論に関しても学ぶ。
○第16週:定期試験
筆記試験により講義内容の理解度を試験する。教科書、配布演習問題解答集、参考書、
ノートなどの持ち込みは不可。
◆バックグラウンドとなる科目
物理学基礎、原子物理学、数学及び数学演習
◆教科書
量子力学:原康夫(岩波書店)
◆参考書
量子力学:シッフ(吉岡書店)
量子力学(ⅠⅡ):小出昭一郎(裳華房)
量子力学演習:小出昭一郎、水野幸夫(裳華房)など
◆成績評価の方法
○出席及び演習問題に関するレポート(20%)
○定期試験の成績(80%)
とし、これらの合計で 55%以上修得した者を合格とする。
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◆科目名: 結晶物理学
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年 前期
◆授業時限: 火曜 3時限( 13:00 -14:30)
◆担当者: 佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)
2号館南館 461号室,Tel:789-3349,khsasaki@ nagoya-u.jp
黒田光太郎(工学研究科量子工学専攻)
2号館南館 465号室,Tel:789-3348,[email protected]
◆問い合せへの対応: 随時
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◆授業のねらいと内容:
現在用いられている無機工業材料のほとんどは結晶質である。本講義は,将来,無機結
晶材料について学習するために必要な結晶学の基礎知織を教授する。
◆授業計画:
○第1週(佐々木,黒田): 講義内容のガイダンス。
結晶学の歴史,現代生活と結晶学の関係
○第2週(佐々木,黒田): 結晶構造と空間格子・ミラー指数・代表的な結晶構造
結晶構造,空間格子,単位格子の定義について講義する。
結晶学的方向,結晶面の記述方法について講義する。
元素の結晶構造,化合物の結晶構造について代表的なものを例に挙げて講義する。
○第3週(佐々木,黒田):第2週の講義内容に関する演習
○第4週(佐々木,黒田):空間投影・ステレオ投影(1)
結晶を立体的に表示する方法である結晶儀について講義する。
3次元的な結晶儀上の点を2次元的に表示する方法であるステレオ投影の基本について
講義する。
○第5週(佐々木,黒田):第4週の講義内容に関する演習
○第6週(佐々木,黒田):空間投影・ステレオ投影(2)
最も基本的な結晶構造である立方晶について,ステレオ投影を用いた標準投影につい
て講義する。
○第7週(佐々木,黒田):第6週の講義内容に関する演習
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○第8週(佐々木,黒田):空間投影・ステレオ投影(3)
ステレオ投影の応用について,結晶の回転,極点間の角度の測定,方向および面の決定
について講義する。
○第9週(佐々木,黒田):第8週の講義内容に関する演習
○第10週(佐々木,黒田):逆格子・結晶による回折現象
逆格子の定義,面間隔の計算などについて講義する。
平面波の定義,原子による散乱,単位胞による散乱について講義する。
○第11週(佐々木,黒田): 第10週の講義内容に関する演習
○第12週(佐々木,黒田):構造因子・反射球,エワルド球
結晶構造と回折現象について講義する。
回折現象を逆空間で理解する方法としての反射球あるいはエワルド球について講義す
る。結晶の外形と回折現象の関係について講義する。
○第13週(佐々木,黒田):第12週の講義内容に関する演習
○第14週:全体の復習。
○第15週:定期試験
教科書,参考書,プリント,返却済みレポート,過去問題およびその解答例などあら
ゆるものの持ち込みを可とする。
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◆バックグラウンドとなる科目:
◆教科書:
・結晶電子顕微鏡学:坂公恭(内田老鶴圃)
◆参考書:
なし
◆成績評価の方法;
定期試験の結果を最優先する。
但し,毎回のレポート,課題の評価は最大20%まで考慮する。
全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。
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◆ 科目名:移動現象論
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年 後期
◆授業時限: 火曜 2限( 10:30 〜 12:00 )
◆担当者: 平澤政廣(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
5号館 503室,TEL: 789-5309,[email protected]
長谷川正(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
5号館 651室,TEL: 789-3370,[email protected]
◆問い合わせへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる
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◆授業のねらいと内容:
移動現象論は,巨視的な現象における,流体の運動,熱の移動,物質の移動を,現象論的
に扱う学問であり,その研究および応用の対象は,材料工学をはじめ,機械工学,航空工学,
化学工学,河川・土木工学などの工学分野や,大気や海洋,地殻・地球内部の流動現象など
の自然現象を扱う地球・宇宙科学,海洋科学,環境科学などのさまざまな科学の分野まで,
幅広い分野にわたっている.
このうち,材料工学分野においては,おもに無機材料の製造プロセスの中で,素材の生産
過程における各種反応装置内の現象の記述と解析,気相-凝縮相(固相,液相)間,気相ま
たは液相-固相間などの相の変態に伴う熱と物質の移動現象の記述と解析などに応用される.
したがって,技術者,研究者として材料製造プロセスに携わる場合,装置の基本的概念の理
解や新たな装置の設計,反応装置の高効率化などの場面で,移動現象論の知識は,非常に有
用な基礎知識である.
本講義では,移動現象論の基礎について,とくに,運動量移動と熱移動の取り扱いに関す
る基礎知識を学ぶ.前半7週は運動量移動(担当・平澤),後半7週は熱移動(担当・長谷川)
の講義である.なお,本講義ではあまり取り扱われない物質移動については,3年次の専門科
目「金属反応論」で,その基礎的事項が取り扱われる.
◆ 授業計画:
○ 第 1週~3週: 移動現象の基礎法則と流体の粘性流動の概念
最初に,運動量・熱・物質の移動についてのニュートンの法則,フーリエの法則,フィッ
クの法則を学び,移動現象の基本的な概念を理解する.
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次いで,運動量移動に関して,流体の粘性の物理的意味,層流,乱流,ニュートン流体,
非ニュートン流体など,流体運動の取り扱いにおける基礎的事項の概略を学ぶ.あわせて,
層流における一次元のニュートン流体の運動について,特別な場合の取り扱いを学ぶ.
○第 4週~6 週: 流体の運動に関する基礎方程式
二次元,三次元の非圧縮性ニュートン流体の層流における運動方程式,ならびに,質量保
存の関係式の導出について,微分収支を基に学ぶ.
○第 7週: 乱流の基礎的知識
渦,境界層の概念など,乱流現象の基本的事項について学ぶ.
○第 8週~9 週: 熱移動の基礎的知識
熱移動現象の物理的意味,フーリエの法則,物体の熱伝導,身近な伝熱現象など,熱移
動に関する基本的な概念を理解する.
○第 10 週~11 週: 熱伝導と伝熱方程式
熱伝導現象の基礎について学び,伝熱方程式の導出とその簡略化について理解する.ま
た,熱伝導の合成問題について学ぶ.
○第 12 週~14 週: 対流熱伝達と放射熱伝達
対流により熱が運ばれる対流伝熱について学び,熱伝導との連結問題の取り扱いを理解
する.また,伝導,対流とは異なる熱移動現象である放射伝熱の基礎を学び,理論的取り
扱いについて理解を深める.
○第 15 週: 定期試験
筆記試験によって講義内容の理解度を試験する.教科書,ノート,配布プリントの持ち込
みは許可しない.ただし,A4用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可する.
◆バックグラウンドとなる科目:
数学 1及び演習,数学 2 及び演習,物理学基礎,化学基礎
◆教科書:
運動量移動の部分(前半):必要に応じてプリント資料を配布する.
熱移動の部分(後半):「伝熱工学(機械工学入門講座)」,田坂英紀,森北出版
◆参考書:
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城塚正ら:移動現象論、オーム社
大中逸雄ら:輸送現象論、大阪大学出版会
R. B. Bird, W. E. Stewart, E. N. Lightfoot : Tranport Phenomena 2nd. ed., John Wiley
& Sons
◆ 成績評価の方法:
講義中の小テスト,演習レポート(0%~約20%,実施回数による)
定期試験(約80%~100%,小テスト,演習レポートの回数による)
全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する.
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◆科目名: 材料物理化学
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年前期
◆授業時限: 木曜3限(13:00〜14:30)
◆担当者: 藤澤敏治(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 3 号館北館 4階 437 号室,Tel:789-3613
◆問合せへの対応:講義終了直後の講義室、あるいは教員室(事前に電話かメールで時
間を打合せること)にて受け付ける。
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◆授業のねらいと内容:
多くの材料プロセス、とりわけ素材製造プロセスにおいては、各種の化学反応が利
用されている。化学反応を取り扱うためには、化学熱力学と反応速度論の知識が必要
不可欠である。反応速度論はまさに化学反応のスピードを扱い、いわば自動車のアク
セルとブレーキに相当する。一方、化学熱力学により反応の方向とゴールを知ること
ができ、いわば自動車のハンドルと地図(カーナビ)に相当する。すなわち、両者は
車の両輪の関係にあると言えよう。専門基礎科目Bの化学基礎 II においては、化学
熱力学の基礎的事項について学ぶが、ここでは、化学熱力学についての知識をさらに
深めることを目指して、材料プロセッシングにおいて重要な自由エネルギーと化学平
衡を中心に講義する。
達成目標
1. 溶体の自由エネルギーと構成成分の熱力学的諸量の関係を理解し、説明できる。
2. 熱力学的な平衡条件を理解し、説明できる。
◆授業計画:
○第1週:ガイダンス+確認テスト
バックグラウンドとなる科目(化学基礎 II、物理化学)の内容のうちで、本講義の
内容を理解するために不可欠な知識についての理解度を確認するための簡単なテ
ストを実施する(ただし、このテストの成績は本講義の成績評価には加えない)。
I. 熱力学の基礎
化学基礎 II の内容の復習をかねて、熱力学の基礎的内容について講義する。
○第2週、第3週:熱力学の基礎
系、状態量、示強因子、示量因子
熱力学第1法則(内部エネルギー、エンタルピー、熱容量)
熱力学第2法則(エントロピー)
熱力学第3法則
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ギブスの自由エネルギー
II. 溶体の熱力学の基礎
溶体とは2つ以上の成分を含む均一相のことであり液相である溶液のみならず固相
である固溶体もその中に含まれる。素材プロセッシングにおいては、この溶体が関
与する場合がほとんどであり、溶体の化学的性質を定量的に知ることは、素材プロ
セッシングにおける反応の制御にとって不可欠である。ここでは溶体の熱力学的な
取扱い方について概説する。
○第4週、第5週、第6週、第7週、第8週、第9週:溶体の熱力学の基礎
ラウールの法則とヘンリーの法則
化学ポテンシャルと部分モル量
部分モル量と化学ポテンシャル
Gibbs-Duhem の式
モル量と部分モル量
化学ポテンシャルと活量
理想気体の化学ポテンシャル
理想気体混合物
純粋な固体や液体(凝縮相)の化学ポテンシャル
溶体中の成分の化学ポテンシャルと活量
(1) 理想溶体
(2) 活量係数
一般的に採用される標準状態
混合の自由エネルギー変化
理想溶体と実在溶体
溶体の分類
理想溶体
正則溶体
実在溶体
III. 化学反応と熱力学的平衡
化学反応の熱力学的な平衡条件について、具体例として気体の間の反応平衡を用い
て説明する。また、凝縮系純物質(固体や液体の純物質)と気体を含む系の反応平
衡関係についてエリンガム図を用いて説明する。
○第 10 週、第 11 週:化学平衡
質量作用の法則
熱力学的な平衡の条件
GΔ による反応方向の予測
平衡定数への温度の影響
平衡定数への圧力の影響
○第 12 週:気相反応
反応に伴う系の自由エネルギーの変化
気相反応平衡の例
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(1) SO2-O2-SO3系の反応平衡
(2) H2O-H2およびCO2-CO混合ガス平衡
○第 13 週、第 14 週、第 15 週:凝縮系純物質と気体を含む系の反応(エリンガム図)
エリンガム図の描き方
エリンガム図の基本的使い方
補助スケールについて
エリンガム図の応用的使い方
○第 16 週:定期試験
筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。本、ノート、配布プリントや電卓
等の持ち込みは許可しない。ただし、A4 用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可す
る。
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◆バックグラウンドとなる科目:
化学基礎 II,物理化学
◆教科書:
使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)
◆参考書:
1. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 発売 丸
善
2. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell, Taylor & Francis Publishers
◆成績評価の方法:
達成目標に対する評価の重みは同等。
宿題レポート(20%)と定期試験(80%)で評価し、全体で 55%以上のポイントを
獲得した学生に単位を認定する。
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◆科目名: 統計力学 A
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 3年 前期
◆授業時限: 月曜日 3時限(13:00 ~14 :30 )
◆担当者: 高井 治(エコトピア科学研究機構ナノマテリアル科学研究部門)
9号館 521号室,Tel:789-3259, [email protected]
齋藤永宏(工学研究科物質制御工学専攻)
9号館515号室,Tel:789-2796, [email protected]
URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/
◆問合せへの対応:随時。ただし、事前に電子メール等で予定を確認すること。
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◆授業のねらいと内容:
蒸気機関の発明は、産業革命を引き起こし、より効率の高い蒸気機関を開発しようという科学
者・技術者の熱意によって、熱力学という新しい学問が発展した。熱力学は、物理学だけでなく
化学,生物学,宇宙科学等の基礎科学分野や、種々の工学分野の基礎として重要な学問となって
いる。さらに、物質に関する理解が深まるにつれ、物質を分子あるいはその集合体としてとらえ
る分子論が生まれてきた。この分子論的立場から、熱力学を考察する基礎が統計力学である。『統
計力学A』では、材料工学を学ぶ上で重要な統計力学の基本的概念について学ぶ。
◆授業計画:
○第1~3週(齋藤):熱力学
第1週では、本講義の内容と日程および成績評価についてのガイダンスを行う。 統計力学を学
んでいく上で必要な熱力学について、復習をかねて講義を行う。
○第4~6週(齋藤):気体分子の分布と運動
物質を構成する分子の運動を力学的に扱い、物質のさまざまな性質を説明しようとする理論を
分子運動論という。ここでは、気体の圧力や温度などの熱力学状態を、分子論的に扱う理論と数
学的テクニックについて学ぶ。統計力学によって物質の熱力学的性質を扱うための基礎となる。
○第7~10週(齋藤):古典統計力学
互いに独立して運動する分子の集まりとして気体を扱う理論を拡張して、液体や固体にも適用
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できる理論へと展開していく。それぞれの分子を、ニュートン力学に従う質点としてあつかうた
め、古典統計力学と呼ばれている。
○第11~14週(高井):量子統計力学
古典力学(ニュートン力学)では、エネルギーは連続的に変えることのできる量である。量子
力学では、エネルギーはとびとびの値しか取ることのできない離散的な量であると教えている。
通常の状態では、この量子的な効果は現れないが、低温になると顕著に現れてくる。とくに、分
子や原子が狭い空間に閉じこめられている固体では、量子効果が著しく、場合によっては常温で
も量子効果が現れてくる。ここでは、量子効果を考慮に入れて物質の振舞いを考察する量子統計
力学について学ぶ。固体物性を広く扱う材料工学では、量子統計に関する基礎的な素養が必要不
可欠である。例えば、金属や半導体中の電子の振舞いは、量子統計なしに説明することができな
い。
○第15週:定期試験
・筆記試験
・教科書、ノート等の資料は持ち込み不可。
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◆バックグラウンドとなる科目:
◆教科書:
・熱・統計力学:戸田盛和(岩波書店)
◆参考書:
・統計物理:バークレイ物理学コース(丸善)
・統計物理:キッテル(サイエンス)
・熱力学・統計力学:原島(培風館)
・統計力学:長岡洋介(岩波書店)
◆成績評価の方法:
定期試験で55%以上のポイントを得た場合に単位を認定する。
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◆科目名: 無機化学
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年 前期
◆授業時限: 月曜日 3時限(13:00- 14:30)
◆担当者: 平澤政廣(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
3号館南館 582室,TEL: 789-5309,[email protected]
長谷川正(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
3号館北館 337室,TEL: 789-3370,[email protected]
◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打合せる
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
無機化学は,有機化学の対象である炭素化合物を除いて,周期表のすべての元素
の化合物にわたる極めて広い範囲の物質を取り扱い,物質・材料の性質や構造,物
質・材料の関わる化学反応を,原子,分子論,およびエネルギー論的に理解するた
めの基礎学問である.種々の工業製品を構成する金属やセラミックスなどの各種の
固体材料の研究・開発においては,無機化学の知識が応用され,材料科学に関わる
技術者,研究者にとって,無機化学の知識は重要である.また,生体材料の構造や
機能の研究においても,無機化学の関わる分野が拡大している.
本講義では,極めて広範な無機化学の知識の中でも,基礎的に重要な事項につい
て講義する.講義で取り上げるトピックスは,前半7週(担当・平澤)は化学結合と
分子の構造,無機化学反応の基礎としての酸・塩基および酸化と還元の概念,後半7
週(担当・長谷川)は,固体の構造と電子物性の基礎,各種無機材料の構造と性質
に関する基礎的事項などである.
達成目標
1.化学結合および分子の構造と特性について電子論的に理解し,説明できる.
2.無機化学反応をエネルギー的な観点から理解し,説明できる. 3.無機材料の理解に必要な固体の構造と電子物性について理解し,説明できる.
4.典型的な各種の無機材料について,構造や特性を理解し,説明できる.
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◆授業計画:
○第1,2週:化学結合
化学結合の理論(分子軌道法,原子価結合法),混成軌道の概念,化学結合と分
子の構造の関係,イオン結合,金属結合などの考え方の基礎を理解する.
○第3-7週: 元素の性質と化合物
s-ブロック,p-ブロック,d-ブロック元素とその化合物の一般的性質,代表的な
化合物の構造と性質ついて,各論として学ぶ.
○第8週: 固体化学の基礎
固体の結晶構造およびX線回折測定の基礎,無機化合物の代表的な結晶構造および
非晶質固体の概略について理解する.
○第9,10週: 固体物理の基礎
固体の格子振動と熱的性質および電子構造と電気伝導の基礎について理解する.
○第11週: 誘電体材料
固体の誘電的性質の基礎と誘電体材料の概略について理解する.
○第12週: 磁性材料
固体の磁気的性質の基礎と磁性材料の概略について理解する.
○第13週: 超伝導材料
固体の超伝導現象の基礎と超伝導材料の概略について理解する.
○第14週: 光学材料
固体の光学的性質の基礎と光学材料の概略について理解する.
○第15週:定期試験
筆記試験によって講義内容の理解度を試験する.教科書,ノート,配布プリント
や電卓等の持ち込みは許可しない.ただし,A4用紙一枚の手書きメモの持ち込みは
許可する.
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◆バックグラウンドとなる科目:
化学基礎Ⅰ,Ⅱ
◆教科書:
・「無機化学 その現代的アプローチ」,平尾一之・田中勝久・中平敦 著,(東京化
学同人)
◆参考書:
・ヒューイ 無機化学 上・下,(東京化学同人)
・Inorganic Chemistry 3rd ed., by Shriver & Atkins, Oxford University Press
◆成綾評価の方法:
講義中の小テスト(0%~約20%,実施回数による)
定期試験(約80%~100%,小テストの実施回数による)
全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する.
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◆科目名: 材料力学第1
◆科目区分: 専門基礎科目A
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義と演習
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年前期
◆授業時限: 金曜3限(13:00〜14:30)
◆担当者: 石川孝司(工学研究科マテリアル理工学専攻)
8号館南館 305 室,Tel:789-3256,[email protected]
湯川伸樹(工学研究科マテリアル理工学専攻)
8号館南館 302 室,Tel:789-3572,[email protected]
◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
機械や構造物に使用される材料の力学的応答(材料の変形と強さ,安定性など)に
ついて学ぶ。簡単な計算で近似解を得るという材料力学の特色を理解し,機械部品や
構造物の設計の基礎となる基礎知識修得を目指す。基本的に毎回の講義で演習と宿題
を行うことで,講義内容を復習する形で理解を深めていく。
◆授業計画:
○第1週:ガイダンス
材料力学の位置づけ,授業の内容,教科書,成績評価方法について説明する。
静力学の基本法則である力のつりあいを理解し,簡単なトラス問題を解く。
○第2週および3週:基本法則
応力の定義と力との関係,ひずみの定義に関して学ぶ。また,材料力学の基本
法則であるフックの法則を修得し,重ね合わせの原理を用いることの優位性につ
いて理解する。さらに,実際の構造用材料の力学的応答を知り,材料力学が対象
とする問題の範囲に関して理解する。演習と宿題により理解を確認する。
○第4週および5週:1軸変形問題の基礎と応用
軸力を受ける棒の変形を理解し,軸力と変形の関係を導く。軸力を受ける棒の
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変形に関する応用例(複雑なトラス,不静定トラス)を解き,演習と宿題により
理解を確認する。
○第6週および7週:ねじり変形問題の基礎と応用
ねじり変形の基本的概念を理解し,トルクとねじり変形の関係を導く。ねじり
変形問題の応用例として,コイルバネと伝導シャフトの設計を理解し,演習と宿
題により理解を確認する。
○第8週:平面問題
3次元問題を近似する1手法である「平面応力」,「平面ひずみ」についてその
意味を理解し,演習と宿題により理解を確認する。
○第9週:応力・ひずみの座標変換
ある応力状態にある2次元板に回転座標を与えた場合の各応力・ひずみ成分の
変化を学び,主応力,主ひずみ,主せん断面などに関して理解するとともに,演
習と宿題により理解を確認する。
○第 10 週:真直はり内部の力
真直はりが種々の荷重(集中荷重,等分布荷重,曲げモーメント)を受けた場
合に,はり任意断面の受けるせん断力,曲げモーメントの解を導く。演習と宿題
により理解を確認する。
○第 11 週および 13 週:真直はりの応力とひずみ
曲げモーメントを受けるはりの変形概念を学び,はり断面内に生じる応力とひ
ずみを導く。この計算に必要な断面二次モーメントとはり断面の形状の関係を理
解する。演習と宿題により理解を確認する。
○第 14 週:応用問題
軸力とねじり,曲げと引張など,複雑な負荷を受ける棒やはりの問題を重ね合
わせの原理に基づき解き,演習と宿題により理解を確認する。
○第 15 週:定期試験
筆記試験により,講義内容の理解を確認する。教科書・参考書,ノートの持ち
込みは不可。
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◆バックグラウンドとなる科目:
物理学基礎I,力学及び力学演習
◆教科書:
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基礎材料力学:高橋,町田(培風館)
◆参考書:
なし
◆成績評価の方法:
期末筆記試験(80%)および提出された演習と宿題(20%)で評価し,総計とし
て55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。
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◆科目名: 材料力学第2
◆科目区分: 専門科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年後期
◆授業時限: 木曜1限(08:45〜10:15)
◆担当者:石川孝司 (工学研究科材料プロセス工学専攻)
工学部5号館 249 室,Tel:789- 3256, [email protected]
URL: http://
◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる.
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◆授業のねらいと内容:
機械や構造物を構成する各部材は例外なくなんらかの力を受けるため,それらを設
計する際には各部材に生ずる変形および抵抗力などに関して十分の知識を有し,各部
材が十分の強さと適当な剛さを有するように,材料および寸法を選定しなければなら
ない.もし外力に対する抵抗力に不十分な部分があれば機械はその部分から破壊する
であろうし,また反対に過大に失すれば不必要に多くの材料を用いることになって不
経済である.材料力学は機械や構造物の各部材に作用する外力の種類と大きさを想定
し,これによって生ずる部材の変形および抵抗などを理論と実験の両面から考究する
学問である.本授業では材料力学第1に引き続いて,材料力学のはりの変形,円管・
球の変形,長柱の座屈に関する事項を講義する.知識を身につけるだけでなく,具体
的問題に即して,利用し生かすことを学ぶため,毎回演習を行い多くの問題を解く.
◆授業計画:
○第1週:はりの変形,ガイダンス
はりのたわみ計算のための基礎微分方程式の導出と,(1)積分法,(2)面積モー
メント法,(3)簡易加算法,(4)エネルギー法の概要について説明する.問題によ
ってどの方法が最適かを判断できるようになるにはある程度の熟練が必要である.
○第2週:積分法によるはりの計算
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はりのいろいろな拘束条件,荷重条件に対して,はりの計算の基本となる積分
法による計算方法を例題をやりながら説明する.
○第3週:面積モーメント法によるたわみの計算
面積モーメント法について説明し,その解法の特徴を理解する.特に集中荷重
が作用するはりのたわみの計算には有効である.
○第4週:簡易加算法によるたわみの計算
片持ちはりの公式を利用した簡易化算法を学ぶ.この方法はたわみ計算の万能
薬的な簡便法で,基礎的なわずかの公式だけを記憶していれば,機械的な加算だ
けでほとんどのはりの計算ができる便利な方法である.
○第5週:不静定はり,連続はり
静力学的な力の釣合い式だけでは条件不足で解が求まらない不静定はりの問題
解決の手法を学び,支点が3個以上ある連続はりの解き方を学ぶ.
○第6週:ひずみエネルギー
エネルギーの概念が力学の解法において有力な手段となることはすでに力学で
も学んだとおりであるが,材料力学においても同じである.その基礎となるひず
みエネルギーについて学ぶ.
○第7週:仮想仕事の原理
力の平衡条件のエネルギー的な表現である仮想仕事の原理を説明し,全ポテン
シャルエネルギー極小の原理を学ぶ.
○第8週:カスチリアーノの定理
ひずみエネルギーと力,変位の関係式であるカスチリアーノの第1および第2
定理を学び,積分法等ではやっかいな問題をこの定理を使用して解く.
○第9週:たわみの計算演習
各種のたわみの計算法を演習問題により理解する.(中間テスト)
○第 10 週:組合わせはり
2種以上の異なる材料を組み合わせた部材のたわみ変形について学び,鉄筋コ
ンクリートを例にして,そのたわみの計算手法を理解する.
○第 11 週:平等強さのはり
はりの長さに沿って最大応力が一定となる平等強さのはりの変形について学ぶ.
これはトラックなどの板ばねとして利用されている.
○第 12 週:曲がりはり
外力が作用する前から曲がっている厚肉の曲がりはりの変形について学ぶ.こ
れはクレーンなどの吊り上げ装置で物体を引っかけるワイヤー先端のフックに相
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当するもので,理論に裏付けられた形状をしていることを理解する.
○第 13 週:内圧を受ける円管の変形
ガソリンや天然ガスなどを運ぶタンクローリー車などの円筒状容器に内圧が加
わった場合の変形を計算する手法を学ぶ.
○第 14 週:内圧を受ける球の変形
球形の容器に内圧がかかった場合の容器にかかる応力と変形について学ぶ.都
市ガスの備蓄タンクはその例である.
○第 15 週:長柱の座屈
細長い棒に圧縮力を作用させるとき,力がある値に達すると,突然横たわみを
生じてしまうことは日常良く経験することである.これを座屈とよび,その条件
と変形について学ぶ.
○第 16 週:定期試験
筆記試験により講義内容の理解度を試験する.教科書,参考書,ノートの持ち
込み不可.
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◆バックグラウンドとなる科目:
数学基礎,力学および演習,材料力学第1
◆教科書:
基礎|材料力学:高橋,町田(培風館) (材料力学第1と同じ)
◆参考書:
◆成績評価の方法:
○講義中に行う演習またはレポート(20%)
○定期試験の成績(80%)
とし,これらの合計で 55%以上達成した者を合格とする.
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◆科目名: 材料物理学
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年後期
◆授業時限: 水曜2限(10:30〜12: 00)
◆担当者: 黒田光太郎(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
5号館 343 室,Tel:789-3349, [email protected]
佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)
5号館339号室,Tel:789-3350,[email protected]
◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせた上で
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
材料とくに金属材料(合金)の性質は、合金を作っている各成分の種類によることはもち
ろんであるが、たとえ同一成分のものであっても、成分相互の割合および温度によって変化
するものである。そこで要求される性質を備えた合金を得るには、どのような元素をどのよ
うな割合に合成させ、これをどのような温度で熱処理を行えばよいか、またどのような温度
で加工すればよいかということが問題になる。これに対して適当な指示を与えるのが状態図
である。言い換えると、多数の原子が集合した系における熱力学的平衡状態を記述するのが
状態図である。状態図の理解は材料工学の多くの分野の基礎となるものである.
◆授業計画:
○第1週:ガイダンスおよび序論
講義内容、進め方、成績評価について説明する。
材料の性能を引き出すには組織制御の重要であることを紹介し、状態図の知識が必要で
あり、材料組織学の基本は状態図であることを学ぶ。
○第2週:基礎的な概念と1元系状態図
平衡、系、相、成分、相律など基礎的概念について学ぶとともに、1元系状態図および
各相の自由エネルギーとの関係について理解する。
○第3週:2元状態図(1)
状態図の表示法、成分の表し方、てこの原理などについて学び、固溶体系状態図とその
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冷却曲線との対応について理解する。固溶体の概念を体得する。
○第4週:2元系状態図(2)
共晶系状態図について学ぶ。共晶反応前後での組織変化およびそれに関わる各相の組成
や量について理解する。
○第5週:2元系状態図(3)
包晶系状態図について学ぶ。包晶反応前後での組織変化およびそれに関わる各相の組成
や量について理解する。
○第6週:2元系状態図(4)
共析系、偏晶系、包析系などの状態図、中間相や化合物を含む状態図について学ぶ。実
際の状態図の読みとり方についても学ぶ。
○第7週:2元状態図の熱力学(1)
熱力学的状態量、系の平衡状態と自由エネルギーについて学び、異相平衡の条件を理解
する。
○第8週:2元状態図の熱力学(2)
置換型固溶体のエンタルピーをブラック・ウィリアムス近似で導出し、自由エネルギー
を正則溶体近似で求めて、計算による状態図の作成が可能なことを学ぶ。
○第9週:非平衡相変態
非平衡相変態によって生じる組織、例えば芯組織、とりまき組織について学ぶ。非平衡
冷却によって生じる不変反応状況についても理解する。
○第 10 週:3元系状態図(1)
3元状態図の表示法、等温切断図、垂直断面図の意味することについて理解する。3元
全率固溶体系について学ぶ。
○第 11 週:3元系状態図(2)
3相平衡領域を含む、共晶型、包晶型、共晶—包晶型について学ぶ。
○第 12 週:3元系状態図(3)
4相平衡領域を含む3元共晶系について学ぶ。
○第 13 週:3元系状態図(4)
4相平衡領域を含む3元包共晶系について学ぶ。
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○第 14 週:3元系状態図(5)
4相平衡領域を含む3元包晶系、その他の3元系状態図について学ぶ。
○第 15 週:状態図と材料組織
材料の設計、組織制御などにおいて状態図が重要な役割を果たすことのいくつかの例を紹
介し、状態図の応用についての理解を深める。
○第 16 週:定期試験
筆記試験により、講義内容の理解度を試験する。教科書、参考書、ノート持ち込み不可。
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◆バックグラウンドとなる科目:
化学基礎 II,結晶物理学,材料物理化学
◆教科書:
使用しない。講義資料を配布する。
◆参考書:
材料組織学:長村他(朝倉書店),物質の構造: ウルフ 編(岩波書店),合金状態図読本:
横山(オーム 社),金属組織学:須藤他(丸善),金属組織学序論:阿部(コロナ 社)
◆成績評価の方法:
○レポート(20%)
○定期試験(80%)
全体で 55%以上達成できた学生に単位を認定する。
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◆科目名: 材料物理化学演習
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 演習
◆単位数: 1.5 単位
◆開講時期: 2 年後期
◆授業時限: 火曜 4 ~ 5 限(13:00 ~ 17:15)
◆担当者: 興戸正純(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5号館 5階 519 号室,Tel:789-3353
URL: http://f2.numse.nagoya-u.ac.jp/
市野良一(エコトピア科学研究所)
工学部 5号館 5階 515 号室,Tel:789-3352
黒田健介(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5号館 5階 513 号室,Tel:789-3354
藤澤敏治(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5号館 4階 409 号室,Tel:789-3613
棚橋 満(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5号館 4階 407 号室,Tel:789-3361
佐野浩行(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5号館 4階 405 号室,Tel:789-3229
◆問合せへの対応:事前に上記の者(あるいは TA)と電話かメールで時間を打合せる
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◆授業のねらいと内容:
物理化学,材料物理化学の内容に関する演習を行うことにより,講義の内容を補填
し理解を深める。
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◆授業計画:
○ 第 1 週、第 2 週(興戸 RG):析出量の計算とネルンストの式、電極電位の導出
ファラデーの法則を用いて電流効率を考慮した析出量の計算、化学ポテンシャルか
らネルンストの式の導出、および様々な金属種・イオン種間における電極電位を計
算する。
○ 第 3 週(興戸 RG):電位–pH 図と化学反応の関係
電位-pH図から図中における化学反応を導出する。
○ 第 4 週、第 5 週、第 6 週(興戸 RG):電位–pH 図の作図
電極電位、平衡定数をもとに、H2O-金属系の電位-pH図を作図する。
○ 第 7 週(興戸 RG):半電池とイオン濃度の計算
既知の半電池を用いて未知の半電池中のイオン濃度を計算する。
○ 第 8 週(興戸 RG):電気化学における反応速度の計算
交換電流密度、腐食速度などを計算する。
○ 第 9 週(藤澤 RG):熱力学諸量(仕事、熱量、内部エネルギー、エンタルピー、エ
ントロピーなど)の計算
温度差のある物質を混合したときの生成エントロピーの計算,銅を溶解するのに必
要な熱量の計算,第三法則エントロピーの計算,などを行う。
○ 第 10 週(藤澤 RG):反応熱、自由エネルギー、反応平衡の計算
グラファイトおよびダイヤモンドを酸化したときの熱量の計算,酸化物の生成自由
エネルギーの計算,金属製錬における気相成分の分圧計算,などを行う。
○ 第 11 週(藤澤 RG): 化学反応平衡
酸化鉄の還元を進めるための条件の計算,混合ガスの平衡計算,などを行う。
○ 第 12 週(藤澤 RG):部分モル量
部分モル自由エネルギー変化を図より求める方法を導出する。組成 – 混合の自由
エネルギー図を描き,図から活量を求める。
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○ 第 13 週(藤澤 RG): Ellingham Diagram
酸化物の Ellingham Diagram を用いて,酸素分圧,CO/CO2比,H2/H2O 比などを
求める。
○ 第 14 週(藤澤 RG): 相律と状態図
種々の場合における Gibbs の相律を計算する。状態図と活量の関係を図示する。
○ 第 15 週(藤澤 RG): 三元状態図の等温断面図
三元状態図の等温断面図を作図する。三相平衡を利用して活量を計算する。
○ 第 16 週:毎回行う演習問題のレポートにて成績評価をするので、定期試験は行わ
ない。
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◆バックグラウンドとなる科目:
化学基礎 I, II,物理化学,材料物理化学
◆教科書:
使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)
◆参考書:
1. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 丸善
2. 金属化学入門シリーズ4 材料電子化学 編集・発行 日本金属学会 丸善
3. 理工系学生・エンジニアのための 改訂 電気化学 ―問題とそのとき方― 増
子昇、高橋雅雄著、アグネ社
4. 物理化学(上,下) アトキンス著 千葉・中村訳 東京化学同人
5. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell,
Taylor & Francis Publishers
◆成績評価の方法:
毎回行う演習問題のレポート
全体で 55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。
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◆科目名: 応用熱力学
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 講義
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年後期
◆授業時限: 火曜1限(08:45〜10:15)
◆担当者: 藤澤敏治(工学研究科 マテリアル理工学専攻)
工学部 5 号館 4階 409 号室,Tel:789-3613
◆問合せへの対応:講義終了直後の講義室、あるいは教員室(事前に電話かメールで時
間を打合せること)にて受け付ける。
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
多くの材料プロセス、とりわけ素材製造プロセスにおいては、必ずといってもよい
ほど溶体(溶液)が関与してくる。溶体とは 2 つ以上の成分を含む均一相のことであ
り液相である溶液のみならず固相である固溶体もその中に含まれる。「材料物理化
学」において、諸君は、材料プロセッシングにおいて重要な自由エネルギーと化学平
衡の関係について学習した。ここでは化学平衡を実際に利用することができるように
なることを目指して、その際に知っておかねばならない、溶体の熱力学的取り扱い方
を中心に講義する。
達成目標
1. 溶体の熱力学的取扱い方について理解し、説明できるようになる
2. 化学熱力学を利用して、具体的な化学平衡を実際に計算できるようになる。
◆授業計画:
○第1週:ガイダンス
授業の内容、参考書や成績評価方法などについて説明する。
○第2週、第3週: の求め方 oGΔ化学反応の平衡を取り扱うときには、化学反応の平衡定数 Kの値をまず知る必要が
あるが、その反応の標準自由エネルギー変化の値である がわかれば、
の関係により反応の平衡定数 K を求めることができる。ここでは、
の求め方を、計算による方法と実測による方法について説明する。
oGΔKRTG ln−=Δ o
oGΔ1. 熱力学データ集からの計算による方法
1.1 種々の熱的資料から を求める方法(比熱などからの計算) oGΔ1.2 標準生成自由エネルギー から求める方法
ofGΔ
1.3 他の反応の標準自由エネルギー変化から求める方法
2. 実測による方法
2.1 平衡定数の実測値から求める方法
2.2 電池の起電力から を求める方法 oGΔ
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○第4週、第5週、第6週:溶体(溶液)の熱力学的取扱い
素材プロセッシングにおいては、溶体が関与する場合がほとんどであり、溶体の化
学的性質を定量的に知ることは、素材プロセッシングにおける反応の制御にとって
不可欠である。「材料物理化学」においては溶体の熱力学的な取扱い方について基
礎的な事項について概説したが、ここでは溶体(溶液)の熱力学的取扱い方につい
てさらに詳細に説明する。
1. 標準状態と標準状態の変換
1.1 標準状態と基準状態
1.2 よく用いられる標準状態
Raoult基準の標準状態 Henry基準の標準状態 質量%表示Henry基準の標
準状態
1.3 標準状態の変換
1.4 溶体に溶解した気体の場合
1.5 一般的な化学反応の標準自由エネルギー変化との組み合わせ使用の例
2. 多元系希薄溶体における活量係数
2.1 相互作用係数
2.2 相互作用母係数及び助係数間の関係
○第7週、第8週、第9週、第 10 週:相律と状態図(状態図の利用法)
2 つ以上の異なる相の間の平衡問題(多相平衡)の基礎は、多相平衡の一般概念を
示す式である相律と、状態図であろう。状態図は相律の図式表現のひとつである。
相律の概念については「化学基礎 II」で既に学んでいるはずであるが、ここでは相
律をその適用例を用いて熱力学的に詳しく説明し、相律における自由度、状態図(温
度―組成図)と自由エネルギー―組成図、ならびに成分の活量の関係について説明
する。
また相律は状態図の作成に大いに役立つ。化学反応平衡を扱う場合には一定温度に
おける状態図つまり等温断面図が必要となるが、一般に状態図集には等温断面図は
ほとんど載っていないので、自分で作成せねばならない。等温断面図からは非常に
多くの情報を得ることができる。ここでは、実例をとりあげ、等温断面図の作成を
試みる。
1. 相律
2. 状態図と自由度 1 元系、2 元系、3元系
3. 3 成分系状態図の等温断面図
○第 11 週、第 12 週、第 13 週、第 14 週、第 15 週:活量の求め方
各種の反応の平衡関係を扱う場合、各成分の活量は平衡定数の関係から計算するこ
とができるが、我々が最終的に知りたいのは各成分の活量ではなく、それらの気相
における分圧や溶体中のそれらの濃度である。つまり活量と組成の関係をあらかじ
め調べておく必要がある。ここでは各種の活量の求めかたについて説明する。
1. 実験による測定
蒸気圧測定による方法 分配平衡測定による方法 化学平衡による測定
電池の起電力測定による方法
2. 計算による方法
(1) Gibbs-Duhem の式による計算
Gibbs-Duhem の式を用いた 2 元系の活量の計算 Gibbs-Duhem の式を用いた
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活量係数の計算 α関数を用いた方法 3 元系の場合
(2) 状態図からの計算
○第 16 週:定期試験
筆記試験によって講義内容の理解度を試験する。本、ノート、配布プリントや電卓等
の持ち込みは許可しない。ただし、A4 用紙一枚の手書きメモの持ち込みは許可する。
――――――――――――――――――――――
◆バックグラウンドとなる科目:
化学基礎 II,物理化学,材料物理化学,材料物理学
◆教科書:
使用しない(必要に応じてプリント資料を配布する)
◆参考書:
1. 金属化学入門シリーズ1 金属物理化学 編集・発行 日本金属学会 発売
丸善
2. Introduction to the Thermodynamics of Materials, Third Edition by David R. Gaskell, Taylor & Francis Publishers
◆成績評価の方法:
達成目標に対する評価の重みは同等。
宿題レポート(20%)と定期試験(80%)で評価し、全体で 55%以上のポイントを
獲得した学生に単位を認定する。
- 36 -
◆ 科目名: 分析化学第1 ◆ 科目区分: 専門基礎科目 ◆ 必修/選択: 必修 ◆ 授業形態: 講義 ◆ 単位数: 2単位 ◆ 開講時期: 2年後期 ◆ 授業時限: 水曜1限( 8:45~10:15) ◆ 担当者: 平出正孝(物質制御工学専攻)
5号館 457 室,Tel:789-3590,[email protected] 齋藤 徹(物質制御工学専攻)
5号館 461 室,Tel:789-3579,[email protected] ◆ 問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。 ―――――――――――――――――――――― ◆ 授業のねらいと内容: 物質の原子・分子レベルでのデザイン、新しい機能を付与した材料の創出・生産,製品の評
価などいずれの過程にも分析化学は関与し、さらには生産プロセスや物質の使用・消費による
環境影響の評価においても分析化学の果たす役割は大きい。したがって、本講義では高度科学
技術を支える微量成分分析について講ずることにする。すなわち、各種分離濃縮法について、
それらの原理・特徴及び応用について解説する。特に、分析化学の基礎的素養を養うことを目
的に、溶液内化学反応に基づく化学分析法(重量分析と容量分析)について紹介する。 ◆ 授業計画: ○ 第1週: 化学分析の目的(平出)
今日の社会における分析化学の役割並びに今後への期待について概説する。 特に、高度
技術を支える微量成分分析について、その意義と役割等を講ずる。また、今期通しての講
義内容と成績評価法についても説明する。 ○ 第2週: 分析操作の流れ(平出)
高純度材料分析や環境分析において、機器的計測に先立ち、微量成分の分離濃縮がしばし
ば必要となる。分析の問題を明らかにし、目的に合ったサンプリングの重要性を論じると
ともに、分析用試料の調製(試料のはかり取り、前処理、前濃縮)の設計・使用に際して
の考慮すべき事項につき、詳しく解説する。 ○ 第3週: 成分の検出と測定(平出)
試料中の成分を把握しないとマトリックスによる妨害のために誤った分析結果を得るこ
とがある。ここでは、精密な分析に先立つ成分検出、分析法の選択、定量の注意点及び結
果の計算とデータの報告について具体例を挙げて述べる。
- 37 -
○ 第4週: データの評価(平出) 分析データはしばしば社会に重大な影響を及ぼす。ここでは、分析データの取り扱いや評
価のための基礎的概念(真度と精度、標準偏差、はずれ値の取り扱い)について述べ、近
年その見積りが不可欠になった不確かさとその対策についても説明する。 ○ 第5週: 容量分析(概論及び酸塩基滴定)(平出)
容量分析の原理及び操作について概観したのち、酸塩基滴定につき溶液内での反応平衡、
終点決定、滴定曲線等について詳しく述べる。 ○ 第6週: 容量分析(錯形成反応とキレート滴定)(平出)
金属イオンと配位子による錯形成反応の基礎を概説したのち、キレート試薬(特に EDTA)
を用いる滴定につき、その原理、滴定曲線、金属指示薬、応用等について講ず る。 ○ 第7週: 沈殿分離と重量分析(平出)
沈殿生成機構並びに溶解度に及ぼす種々の因子(溶解度積、共通イオン効果、イオン強度、
pH、沈殿粒子の大きさ、温度、有機溶媒等)について解説する。また、共沈現象を利用
する微量成分の分離濃縮や沈殿生成反応を用いる重量分析について、一般的な操作及び応
用例について述べる。 ○ 第8週: 溶媒抽出(齋藤)
互いに混じり合わない二液間の分配を用いて物質の濃縮や相互分離を行う分離法(溶媒抽
出法)について解説する。抽出率、分配定数及び分配比の定義について述べた後、酸塩基
平衡や錯形成平衡が存在する系における分配平衡について考え、有機化合物や金属イオン
を溶媒抽出により分離する方法を学ぶ。 ○ 第9週: 超臨界抽出、固相抽出(齋藤)
溶媒抽出の新たな進展としての超臨界抽出及び固相抽出について紹介する。それぞれの方
法の原理や特長について述べるとともに、分離分析技術の環境対策についても触れる。 ○ 第10週: イオン交換(齋藤)
イオン交換によるイオン分離の原理を述べる。代表的なイオン交換樹脂の構造と機能につ
いて述べるとともに、イオン交換による分離の実際について解説する。 ○第11~12週: クロマトグラフィー(齋藤)
クロマトグラフィーの構成とともに、保持や性能に関するパラメーター(保持時間、保持
容量、保持係数、分離係数、分離度)について説明し、分離に係わる因子について明らか
にする、原理の異なる液体クロマトグラフィー(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除、
アフィニティー)の仕組みについて説明するとともに、その適用について述べる。ガスク
ロマトグラフィーについては、固定相の性質と保持との関係について述べる。また、ガス
クロマトグラフィーに用いられる代表的な検出器についても紹介する。 ○ 第13週: 電気泳動法(齋藤)
高分子電解質であるタンパク質を例として、ゲル電気泳動及び等電点電気泳動の仕組みを
解説する。また、キャピラリー電気泳動の原理及び応用や開発の経緯についても述べる。 ○ 第14週: 電気泳動法の進展・マイクロチップ分析法、分離分析の実際(齋藤)
ゲノム分析を例として、材料工学者の貢献を交えながら、電気泳動分析やその発展につい
- 38 -
て紹介する。また、分離分析の復習として、鉄やアルミニウムのオキシン錯体の溶媒抽出
のデモンストレーションを行い、溶媒抽出の仕組みやパラメーターについて説明する。 ○ 第15週: 定期試験
講義の理解度を判定するために筆記試験を行う。 筆記用具のみの持込とする。
―――――――――――――――――――――― ◆ バックグラウンドとなる科目: 化学基礎 I 及び II、化学基礎実験、無機化学 ◆ 教科書: 基本分析化学 日本分析化学会編(朝倉書店) ◆ 参考書: 分析化学 S. P. J. Higson 著、阿部ら訳 (東京化学同人)
分析化学 I, II 実用に役立つテキスト 古谷圭一監訳(丸善) 分析化学反応の基礎 演習と実験改訂版
日本分析化学会北海道支部東北支部編(培風館) ◆ 成績評価の方法: 定期試験 70%、講義の節目毎の小テストやレポート 30%
- 39 -
◆科目名: 材料工学実験基礎
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 実験
◆単位数: 2単位
◆開講時期: 2年 後期
◆授業時限: 木曜日 3-5時限(13:00~17:15)
◆担当者: 齋藤永宏(工学研究科マテリアル理工学専攻)
総合研究実験棟 307 号室,
Tel: 789-4699,e-mail: [email protected]
◆問合せへの対応:事前に電話かメールで時間を打ち合わせる。
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
材料を作製し評価するうえで最も基礎となる項目(結晶構造、物性、機械的強度、・
平衡状態図、活量、金属組織、組成分析)について、12グループに分け(8人程度のグル
ープ)、各テーマごとに実習する。実験に関わる安全管理、実験原理、各種装置の原理
および使用方法を習得するとともに、得られたデータ解析の手法.報告書のまとめ方に
ついて学習する。
◆授業計画(材料教室各教員)
各テーマは次に示すとおりである。項目1-6と項目7の実験1-6の12テーマについて、
グループごとに全て実習する。
1.X線回折実験
物質はその結晶構造によって物理的性質、化学的性質、機械的性質が変化する
ことが多く、材料特性を理解するためには材料の結晶構造を理解する必要がある。
X線ディフラクトメーターを用い、粉末X線回折法による結晶構造解析を行い、測
定原理と実際的技術を習得する。
2.半導体の電気磁性測定
半導体には、負の電荷をもつ担体(キャリア)と正の電荷を持つ担体があり、電
荷の担体の種類・密度を変化させることにより、半導体の物性、電気伝導度が変
- 40 -
化する。半導体中に負の電荷をもつ担体(電子)と正の電荷をもつ担体(正孔)が存
在することを、ホール(Hall)効果の実験により確かめる。また、同一材料であっ
てもキャリア密度が何桁も異なり得ること、材料によってキャリアの移動度が大
きく異なることを確かめる。
3.熱分析実験
ある物質系の相が変化するとき,その物質を構成する原子や分子の集合状態の
変化にともなうエネルギーの出入りに相当する熱の移動が生じ,この熱の出入り
は系の温度変化として測定される.各種溶液の凝固,あるいは,混合物の融解に
ともなう系の温度の経時変化(時間による変化)を測定して,それら溶液,混合
物の状態図を作成し,相変化の熱力学について理解を深める.
4.溶融合金の活量測定
素材プロセシングは化学反応・化学平衡を利用するため、反応種の部分モル量
(自由エネルギー、エントロピー、およびエンタルピー)が重要となる。Pb-Bi系溶
融合金を取り上げ、起電力測定法を用いてPbの活量を求めるとともに、Pbの部分
モル量を求める。
5.組織観察実験
金属材料の組織は材料の諸性質と密接な関係があり、組織を理解することは材料
工学を理解する上で重要なものとなる。金属の組織観察の方法は種々あるが、こ
こでは顕微鏡観察用標準試験片、実用鋼材(軟鋼および高張力鋼)の光学顕微鏡観
察を行い、観察試料の調整の仕方、組織の同定・定量化について学ぶ。
6.引張試験
構造材料には、使用部位の静荷重、衝撃荷重、繰返し荷重などの負荷に対する
強度が要求される。静荷重試験法としての軸引張試験が示す材料挙動は、一般的
な機械的性質として評価され、材料の強さを論じる指標となる。ここでは、軟鋼
材およびアルミニウム合金の引張試験を行い、試験方法を習得するとともに変形
挙動観察および負荷荷重と変形量の関係から材料の機械的性質(降伏応力、引張り
強さ)を求める。
7.分析化学実験
化学組成は物質の物理的・化学的・機械的特性と密接な関係があり、新素材創
成において化学組成分析は重要な情報を与える。化学組成を知る方法は、溶液中
の化学反応に基づいて行う湿式化学分析と、各種の物理作用と物質との相互作用
- 41 -
に基づく機器分析に大別される。ここでは、湿式化学分析(実験1および2)を一人
一人が実習し、機器分析(実験3,4,5および6)をグループごとに実習し、分析原理
を知るとともに分析方法を習得する。
実験1 鋼中のマンガンとクロムの定量
実験2 薄層クロマトグラフィーによる色素の分離
実験3 赤外吸収法による有機材料の官能基分析
実験4 ガスクロマトグラフィ一(芳香族炭化水素の分離定量)
実験5 吸光光度法による鉄の定量
実験6 フレーム発光分光分析および原子吸光分析(微量ナトリウム,カルシウ
ム,マグネシウムおよび鉄の定量)
○第1週(教務幹事、教室安全委員、2年生担任):実験ガイダンス
実験グループ、実験場所およびレポート提出場所の説明、実験安全教育を行う。
○第2-7週(各教員)
1-6班が項目 1-6(構造、物性、機械的強度、平衡状態図、活量、金属組織)を行い、
7-12班は項目7の実験1-6(組成分析法)を行う。
○第8-13週(各教員)
1-6班が項目 7の実験1-6(組成分析法)を行い、7-12班は項目 1-6(機造、物性、機
械的強度、平衡状態図、活量、金属組織)を行う。
○第14週(各教員):実験予備日
欠席者のための実験予備日。
○第15週:定期試験
毎回の実験のレポート及び出席点にて成績評価をするので、定期試験は行わない。
――――――――――――――――――――――
◆バックグラウンドとなる科目:
専門基礎科目
◆教科書:
材料工学実験テキスト(名古屋大学工学部物理工学科材料工学コース編)
◆参考書:
材料工学実験テキスト中の各実験テーマごとに多数の参考書を参照。
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◆成績評価の方法:
原則として全ての実験に出席し、各自が所定の期間内にレポートを提出した者に
ついて成績を評価する。やむを得ない理由により欠席したものは、所定の手続きを
行った後に1回のみ補講を行う。
全体で55%以上のポイントを獲得した学生に単位を認定する。
- 43 -
◆科目名: 材料物理学演習
◆科目区分: 専門基礎科目
◆必修/選択: 選択必修
◆授業形態: 演習
◆単位数: 1.5単位
◆開講時期: 3年 前期
◆授業時限: 金曜日 4,5時限( 14:45- 17:15)
◆担当者: 佐々木勝寛(工学研究科量子工学専攻)----- 結晶物理学
5号館339号室,Tel:789-3350 ,[email protected]
黒田光太郎(工学研究科 マテリアル理工学専攻)-材料物物学
5号館 343号室,Tel:789-3349 ,[email protected]
浅野秀文(工学研究科結晶材料工学専攻)----量子力学A
5号館 351号室,Tel:789-3568 ,[email protected]
高井 治(エコトピア科学研究機構)----統計力学A
9号館 519号室,Tel:789-3259 ,[email protected]
URL: http://plasma.numse.nagoya-u.ac.jp/
齋藤永宏(工学研究科物質制御工学専攻) ----統計力学A
9号館 515号室, Tel:789- 2796, [email protected]
宇治原徹(工学研究科結晶材料工学専攻)----半導体材料学
9号館420号室,Tel:789-3368 ,[email protected]
URL: http://mars.numse.nagoya-u.ac.jp/f6/indexf6j.html
◆問合せへの対応: 事前に電話かメールで時間を打ち合わせること
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
電子材料を始めとする各種機能性材料の物理的性質を理解するためには、結晶物理学、材料
物親学、量子力学、統計力学、半導体材料学に関する幅広い知織が必要である。本科目では、こ
れらの内容に関する演習を行い、材料の構造・性質・機能に関する理解を深めることを目的とす
る。
◆授業計画:
○第1週(佐々木):結晶物理学に関する演習1 (結晶学の要点)
結晶象と空間格子、ミラー指数、六方用指数、代表的な結晶構造に関する演習を行う。
○第2週(佐々木):結晶物理学に関する演習2 (結晶のステレオ投影と逆格子)
空間投影、ステレオ投影の応用、逆格子に関する演習を行う。
○第3週(佐々木):結晶物理学に関する演習3 (結晶による回折)
平面波、原子による散乱、単位胞による散乱、エワルド球、構造因子、結晶の外形による逆
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格子の広がりに関する演習を行う。
○第4週(黒田):材料物理学に関する演習1
2元系状態図を読みとる練習を行う。冷却過程における合金の相解析を行い、組織変化を模
式的に記述する。
○第5週(黒田):材料物理学に関する演習2
与えられた条件のもとで、グラフ用紙上に4相平衡を含む3元状態図の展開図を描く。
○第6週(黒田):材料物理学に関する演習3
前回作成した3元状態図の等温切断図、垂直断面図を描く。
○第7週(浅野):量子力学Aに関する演習1 (球座標でのシュレーディンガー方程式の解法)
球対称な中心力ポテンシャルの中を運動する粒子の束縛状態を、球座標でのシュレーディン
ガー方程式を解いて求める。
○第8週(浅野):量子力学Aに関する演習2 (水素原子中の電子の運動)
電子の軌道を理解することを目的として水素原子のシュレーディンガー波動方程式の解法
を習得し、簡単な固有関数を導く。
○第9週(浅野):量子力学Aに関する演習3 (3d軌道の固有関数)
第8週で習得したシュレーディンガー波動方程式の解法をもとに3d軌道の固有関数を導出
し,その角度依存性を考察する。
○第10週(高井, 齋藤):統計力学Aに関する演習1 (熱力学と気体分子通動論)
統計力学の基礎となる熱力学と、物質を構成する分子の運動を力学的に扱い、物質のさまざ
まな性質を説明しようとする分子運動論に関する演習を行う。
○第11週(高井, 齋藤):統計力学Aに関する演習2(気体分子の運動と古典力学的体系の統計力学)
互いに独立して運動する分子の集まりとして気体をあつかう理論を拡張して、液体や固体に
も適用できる理論へと展開し、それぞれの分子をニュートン力学に従う質点として扱う古典統計
力学に関する演習を行う。
○第12週(高井, 齋藤).:統計力学Aに関する演習3 (量子論的な体系と量子統計)
個々の分子がニュートン力学ではなく量子力学に従う体系の挙動に関する演習と、分子だけ
でなく電子や光子まで含めた量子力学的体系の統計力学、すなわち量子統計に関する演習を行う。
○第13週(宇治原):半導体材料学に関する演習1
「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、金属において、
1)結晶の持つ周期性のあるポテンシャルから電子の状態密度関数が導かれること
2)状態密度関数と電子の総数からフェルミエネルギーが導かれることに関する理解を、具体的
な式の導出、計算を通じて深める。次に半導体に議論を延長することで、伝導帯の電子および価
電子帯の正孔の状態密度が導かれることを確認する。
- 5 -
- 45 -
○第14週(宇治原):半導体材料学に関する演習2
「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、半導体について、
1)フェルミエネルギーの温度依存性と伝導帯の電子および価電子帯の正孔の状態密度の関係
2)真性キャリア密度の意味
について理解を深める。更に、電子・正孔密度を様々な表式で表せること、また、それらが等価
であることを実際に式変形の操作を行って確認する。この作業を通じてフェルミ分布を使った電
子・正孔密度の表現に親しむ。
○第15週(宇治原):半導体材料学に関する演習3
「応用物性」2章章末の演習問題を素材に、これまでのニ回の演習を通じて得た半導体の電
子状態に関する知識を基に、
1)特定の条件下で、電子・正孔密度などの近似表現を導出する
2)ホール係数を導出する
などの作業を行う。これを通じて半導体材料に関する理解を深めるとともに、ー般的な状態を表
す式表現から、特定の条件下での表式を導く能力を磨く。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆バックグラウンドとなる科目:
結晶物理学,材料物理学,量子力学A,統計力学A,半導体材料学
◆教科書:
結晶物理学,材料物理学,量子力学A,統計力学A,半導体材料学の教科書欄参鯛
◆参考書:
結晶物理学,材料物理学,基子力学A,統計力学A,半導体材料学の参考書欄参照
◆成綾評価の方法:
レポート(100%)
全体で55%以上のポイントを得た学生に単位を認定する。
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◆科目名: 材料設計製図
◆科目区分: 専門基礎科目A
◆必修/選択: 必修
◆授業形態: 演習(2クラス制,CAD 演習と座学の交互に組み合わせる)
◆単位数: 1.5単位
◆開講時期: 3年前期
◆授業時限: 火曜 4限(14:45〜)
◆担当者: 石川孝司(工学研究科マテリアル理工学専攻)
8号館南館 305 室,Tel:789-3256,[email protected]
湯川伸樹(工学研究科マテリアル理工学専攻)
8号館南館 302 室,Tel:789-3572,[email protected]
阿部英嗣(工学研究科マテリアル理工学専攻)
8号館南館 202 室,Tel:789-3578,[email protected]
◆問合せへの対応:随時
――――――――――――――――――――――
◆授業のねらいと内容:
機械の設計とは,ある目的を持つ機械を実現するために,アイデアをもとに,
そ の機械に必要な機能を分析して,それらを具体化し,実物の形にまとめあげてい
くこ とである.頭の中で浮かんだアイデアを多くの人に理解してもらうためには,
一定 の規則に基づいて図面を製作する製図法を学ばねばならない.本授業では,簡
単な機械製図実習と機械設計の基礎的考え方,CAD(計算機援用設計)などについて
講義とパソコンを用いた演習を行う.講義時間には設計製図に関する座学の他,工
作機械の見学も行い,設計における基礎知識を養う.CAD においては,個人毎に与
えられた課題に取り組み,講義時間内に仕上がらない場合は宿題として,完成させ
る.CAD 演習中は教官,技術職員がコンピュータの操作方法などを個別指導する.
◆授業計画:
○ガイダンスとイントロダクション
授業の内容,進め方,成績評価の方法などを説明する他,材料系教室コンピュ
ータールームの使用方法,各個人のログインID,クラス分けを連絡する.
○コンピュータの基本操作(コンピューター演習)
コンピュータのログインの方法,CAD ソフトの基本操作を修得する.CAD を使い
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各個人で書いたイラスト画を課題として提出する.
○製図の基礎とフリーハンド図及びボルトの書き方(講義)
着想図から最終製図までの流れを説明し,着想図であるフリーハンド図の書き
方を理解する.また,次週の CAD 課題であるボルト,ネジの書き方,ネジの名称
に関して基礎知識を講義する.立体図のフリーハンド製図を行い,課題を提出す
る.
○ボルトの製図(コンピューター演習)
基本的な機械要素であるボルト,ネジの CAD 製図を行い,課題を提出する.
○許容公差、はめあい(講義)
機械組立要素で重要となるはめあい公差およびその標記記号に関して講義する.
さらに,平面図への投影法を説明し,平面図のフリーハンド製図を課題として提
出する.
○軸継手の設計(1) (講義)
回転軸継手の強度計算を行い,与えられたスペックを満足する寸法を設計する.
個人毎に与えられる異なる要求スペックを基に,ボルト強度,フランジ強度,キ
ー強度,シャフト強度を計算し,最終的には CAD で図面を仕上げる.最終的には
設計書とともに図面を提出する.
○軸継手の設計(2) (3)
軸継手の設計課題,特に強度計算,設計書の作成に引き続き取り組む.
○軸継手の設計(4) (コンピューター演習)
軸継手の設計課題,特に CAD 製図に引き続き取り組み,課題を完成させる.
○課題講評(講義)
提出された課題(フリーハンド図2回,CAD イラスト画,ボルト CAD 製図,回
転軸継手 CAD 製図及び設計書)の講評を行う.
上記項目を2クラス制で進める.各クラスの予定は次の通りであるが,詳細は学期開
始時に掲示する.
A グループ B グループ
第1週 ガイダンスとグループ分け[講会議室]
第2週 製図の基礎とフリーハンド図[講会議室]
第3週 ボルトの描き方[講会議室] AutoCAD の基本操作[SL442]
第4週 AutoCAD の基本操作[SL442] ボルトの描き方[講会議室]
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第5週 許容公差、はめあい[講会議室] ボルトの製図[SL442]
第6週 ボルトの製図[SL442] 許容公差、はめあい[講会議室]
第7週 軸継手の設計[講会議室]
第8週 軸継手製図(1)[SL442] 軸継手計算書作成(1)
第9週 軸継手計算書作成(1)[講会議室] 軸継手製図(1)[SL442]
第10週 軸継手製図(2)[SL442] 軸継手計算書作成(2)[講会議室]
第11週 軸継手計算書作成(2)[講会議室] 軸継手製図(2)[SL442]
第12週 軸継手製図(3)[SL442] 軸継手計算書作成(3)[講会議室]
第13週 軸継手計算書作成(3)[講会議室] 軸継手製図(3)[SL442]
第14週 軸継手設計書作成[講会議室]
第15週 課題講評[講会議室]
―――――――――――――――――――――
◆バックグラウンドとなる科目:
材料力学第1,第2
◆教科書:
精説機械製図(実教出版)
◆参考書:
なし
◆成績評価の方法:
課題の提出
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