津波の発生,伝播と陸への遡上...震災の工学 特別セミナー 北大工学部...

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震災の工学 特別セミナー 北大工学部 2011/7/29 1 北海道大学工学部 社会基盤学コース 渡部靖憲 准教授 東日本大震災から学ぶ -地震,津波の発生から復興計画まで- 1 2011.7.29. 震災の工学 特別セミナー 津波の発生,伝播と陸への遡上 プレートの移動 隆起 沈降 水を押し上げる

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震災の工学 特別セミナー 北大工学部 2011/7/29

1

北海道大学工学部 社会基盤学コース

渡部靖憲 准教授

東日本大震災から学ぶ -地震,津波の発生から復興計画まで-

1

2011.7.29. 震災の工学 特別セミナー

津波の発生,伝播と陸への遡上

プレートの移動

隆起

沈降

水を押し上げる

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2

津波警報発令期間の各地の水位変動

津波の速度 ghC 水深重力加速度

h

c c H1

H2

If h=const.

2

2

21

2

188

cBHg

cBHg

B2

B1

n

rB

2

0ttccdtr

ghc

2

11

2

112

t

tH

B

BHH

波向線

H1

H2

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3

時間と共に進行する津波第1波フロントの位置

A 釜石沖

B 仙台湾沖

標高

km

津波の速度 ghC 水深重力加速度

局所地形に依存する津波到達時間

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4

h1

h2

42112112 hhHccHH

22 ghc 11 ghc

波の分裂

H1

H2

H1

H2

h1

h2

22 ghc 11 ghc

主断面 副断面

発生直後の波の重複

釧路

周期:40~50分

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5

h=500m

h=400m

h=300m h=200m h=100m

海岸線

300 gC

120 gC

100 gC

200 gC500 gC

200 gC

400 gC

160 gC

津波の速度 ghC 水深重力加速度

波の集中

海岸線

等深線

ghc

襟裳岬への波の集中 エッジ波のソース

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水位

日本気象協会

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7

釧路 苫小牧西

江差 函館

B1 B2

2

2

21

2

188

cBHg

cBHg

2

1

2

112

B

BHH

湾奥部への波の集中

浅水変形(海岸での波の発達)

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浸水域 →広域

浸水域 →小

遡上高さ→大

浸水高さ→小

LHR tan

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Wave blocking Current-wave interaction

U0

ghc

ghU 0

02

12

2

aa

xkk xGdx

dG

kUkxk gG 2

,,

BiAi 00 BAa

43

2sin 2

3

4

12

10

aA

0

33

0

3

3

1sin

3

1exp

1

3

1cos

1

dtxttxttBi

dtxttAi

312 kkx GGx

TghUL cos

津波の河川への遡上

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東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ

北海道内の津波調査

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地震調査委員会 M8レベルの地震発生確率

15min

30min

45min

60min

水深(km

経度

緯度

75min

港 第 1波水位(cm)

第1波到達時間(min)

最大水位(cm)

最大水位発生時間(min)

十勝 - 25 - 25

釧路 105 30 125 280

厚岸 40 40 120 95

苫小牧西 30 70 100 440

森 10 75 165 200

臼尻 30 120 50 180

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0 2000 4000 6000 8000-200

-100

0

100

200

AMRFixed GridsMeasured

霧多布漁港

0 2000 4000 6000 8000-200

-100

0

100

200

AMRFixed GridsMeasured

釧路港

0 2000 4000 6000 8000-200

-100

0

100

200

300

AMRFixed GridsMeasured

十勝港

Time (s) Time (s)

Time (s)

Surf

ace

leve

l (cm

) Su

rfac

e le

vel (

cm)

Surf

ace

leve

l (cm

)

0 2000 4000 6000 8000-200

-100

0

100

200

AMR

Measured

厚岸漁港

えりも,釧路から厚岸以東 初期津波高さ→大,到達時間→短い

エッジ波:これらの地域を中心に継続.継続時間は初期津波の規模による.地域的な周波数は決まっているが,重畳し高周波で非常に高くなる可能性がある. 十勝,苫小牧,函館→低地が広がる→小さな津波でも広く浸水し易い.

東北地方太平洋沖地震津波

東北 北海道

2003十勝沖地震津波

全体 十勝

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想定対象津波の再検討→ハザードマップ見直し えりもより西→港に町,住宅が密集 十勝→低地→避難所が遠い→避難しにくい 災害弱者の施設 日本海側→潮位が低い→海岸構造物の天端が低い→浸水し易い 内水氾濫(大津港,河川) 冬期 雪,結氷路面→避難が困難→経路を確保する体系 流氷の遡上(時期,場所) 浸水→凍死の危険性 避難所の環境が過酷 結氷河川への遡上→氷板の氾濫 復旧が長期化 本州からの送電