緒言...
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50
大
嶋
=種
痘
「ア
ル
レル
ギ
ー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五八六
種
痘
「ア
ル
レ
ル
ギ
ー
」反
應
ノ
一般
ニ就
テ
警視廰衞生部防疫課
防
疫
醫
大
嶋
金
光
目
次
緒
言
第
一章
實驗方法
第二章
實驗成績
第
一囘實驗
第二囘實驗
第三囘實驗
第四囘實驗
第
三章
總括及
ビ結論
第
一項
「アル
レルギー」反應
ノ出現時期、症
候及ビ經過
第
二項
加熱痘苗
ニ依
ル「アル
レルギー」反
應
第
三項
「アル
レルギー」反應
ト種痘成績
ト
ノ關係
第四項
「アル
レルギー」反應
ト種痘後經過
年數
ト
ノ關係
第五項
「アル
レルギー」反應
ト接種部位竝
ニ種痘痕數
ト
ノ關係
第六項
「アル
レルギー」反應
ノ本態
ニ關
スル考察
交
獻
緒
言
痘瘡ヲ耐過
セ
ζ
ノ或
ハ既種痘者
ニ種痘
スルトキ
ハ、其
ノ皮膚局部
ニ所謂創傷反應現
ハレ、次テ
一種
ノ皮膚
反應即
チ潮紅
、
浸潤、
腫
脹
及
ビ掻
痒感
等
ノ起
ルヲ觀
ル、
而
シテ此
ノ反應
ノ出
現
ハ初種痘
者
ニ於
ケ
ルガ如
キ、
一定
ノ濳伏
期
(二日乃
至四
日)ヲ要
ス
ル
コトナ
ク、
多
ク
ノ場
合接
種
後
二十
四時
間内
外
ニシテ其
ノ最高
ニ達
シ、
種痘
ガ善域
ニ至
ル場
合
ニ於
テ
ハ漸
次増強
シテ結節
、
水庖乃
至膿
庖形
成
ニ移
行
シ、
不
善感
ニ終
ル場
合
ニアリテ
ハ次第
ニ減
退
シテ大
多數
ハ
接
種後
四
日乃
至六
日
ニシテ消
失
スル
モノナ
リ。
再
種痘
後
ニ現
ハル
、斯
クノ如
キ皮膚
反應
ヲ精細
ニ觀
察
記載
セ
ル
ハ
Pirquet氏
ニシテ氏
ハ之
ヲ
Vaccinale Allergieト
稱
シ、
一九
○六
年
ヨリ
一九
一
一年
ニ至
ル問
ニ於
タ前
後數
囘
ニ亙
リタ其
ノ研究成
績
(1)(2)(3)(4)(5)ヲ發表
セリ。
爾來
本問
題
ニ關
シテ
ハ各
方面
ヨリ攻究
セラ
レ種痘
免
疫學
上
ニ貢獻
セル點多
ク、又
防疫
上實際
的
ニ應
用
セラ
レ既ニ
米
51
國
ニ
ア
ジ
テ
ハForce(6)
氏
等
ノ
提
唱
ニ基
キ
、
海
港
檢
疫
ニ際
シ該
皮
膚
反
應
ヲ
以
テ
種
痘
免
疫
有
無
判
定
ノ
目
標
ト
ナ
ス
ニ至
レ
リ
ト
云
フ、
我
國
ニ於
テ
ハ種
痘
過
敏
反
應
或
ハ種
痘
異
常
反
應
ト
稱
セ
ラ
レ、
曩
ニ板
澤
(7)、
城
井
・谷
口
(8)及
ビ
鈴
木
・四
宮
・岩
獺
氏
(9)
等
ノ研
究
報
告
ア
リ
、
「ア
ル
レ
ル
ギ
ー
」反
憾
ト
種
痘
免
疫
ト
ノ
關
係
及
ビ
本
反
應
ノ本
態
ニ關
シ
テ
論
述
セ
ラ
レ
タ
ル
モ、
之
ヲ
防
疫
上
ノ
實
際
問
題
ヨ
リ
觀
ル
ト
キ
ハ尚
補
足
ス可
キ
點
尠
シ
ト
セ
ズ
。
時
恰
モ
昭
和
三
年
七
月
、
山
田
前
衞
生
局
長
ハ警
視
廳
防
疫
課
長
ニ對
シ
「痘
瘡
豫
防
ニ關
ス
ル
調
査
」ヲ
命
ジ
タ
ジ
、
乃
チ
余
等
ハ其
ノ
報
告
ノ
一部
ト
シ
ヲ
本
反
應
ノ臨
牀
的
所
見
竝
ニ實
地
防
疫
上
ニ於
ケ
ル價
値
ニ就
キ
、
專
ラ
大
衆
觀
察
ノ
方
法
ニ
ヨ
リ
テ
實
験
ヲ
行
ヒ
タ
リ
、
左
ニ其
ノ
所
見
ノ
概
況
ヲ
記
載
シ
テ
諸
家
ノ
教
示
ヲ
仰
カ
ン
ト
ス。
第
一章
實
驗
方
法
一、實験
ハ總
テ人體實驗
ニシテ昭和三年八月
ヨリ同四年三月
ニ至リ、東京看護
婦學校
生徒
(本校生徒
ノ大多數
ハ十五歳
ヨリニ十五歳
迄
ニシテ第
二期種
痘
ヲ完了
シ、更
ニ臨時
ニ種痘
ヲ受
ケタル者
アリ)七百六十八名
ニ就
キ、前後
四囘
ニ亙
リテ實
験
ヲ行
ヒ所要
ノ觀察
ヲ試
ミタリ。
二、使用
セル痘苗
ノ大部分
ハ傳染病
研究所製品、
一部
分
ハ北
里研究所製品
ニシテ販賣
ニ供
セラ
ル
、モノヲ使用
シ
(夏季
ニアリテ
ハ魔法瓶内
ニ氷塊
ト共
ニ貯
ヘタリ)、
第
三囘實験
ニ際
シテ
ハ六十度
ニ三十分間加熱
セル死滅痘苗
(販責用痘苗
ヲ毛細管
入
リノマ
、重湯煎中
ニ於
テ加熱
セリ)ヲ用
ヒ、
何
レモ普
通痘苗
ト半數宛接種
セリ。
三、接種方法
ハ主
トシテ内務省告
示「種痘施
術心得」ニ準
據
シ、局所
ハ局方酒精
ヲ以
テ良
ク清拭
シ、充
分乾燥
シタル後、
「ラ
ンチ
エット」ヲ用
ヒテ善
通左
上臆外側
(第四同實験
ハ生死兩苗
別
ニ右及ビ
左上搏)二十字
式
二六個
ヲ接種
シ、繃帶
ハ之ヲ禁
ジ
タリ。
四、
「アル
レルギー」反應
ノ觀察
ハ第
一囘實験
ハ大多數
ヲ接種後
二十四時間
二、少歎
ヲ四十
入時間
二、
第
二回實験
ハ第
二十四時間後、
四十入時間後
及ビ
七十
二時間後
ノ三囘
二、第
三囘及
ビ第四囘實
験
ハ接種後
二十四時間
ヨリ逐日連續
檢診
シ24×7時間
ニ及
ベリ。
而
シテ「ア
ルレルギ」
反應
ハ局所
ノ發赤
・丘疹・浸潤・腫
脹
(Pirquet
氏
ノ所謂Hyperamie,Tastbarkeit
及ビPapelbildung
)ノ有
無程度
ニ依
リ、何
レモ陽
性
(著明,輕度)竝
ニ陰性
ニ區分
セシ
モ、總括的
ニ其
程度
ヲ比較
スル場合
ニアリテ
ハ主レシテ發
赤部
ノ大
サ
ニ基準ヲ置
キ、浸
潤、
水庖等
ノ有無
ヲ酔酌
シ
テ之
ヲ判定
セリ。
五,
種痘成績
ノ判定
ハ主ト
シテ前
記種痘施術
心得
ニ據
リ、東京市衞
生課編纂第
二期種痘檢診標準圖
譜
ヲ參
考
トシ、善感
ト
ハ接種後24×7時間
ニ檢
シテ
大嶋=
種痘「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五八七
52
大嶋=
種痘
「アル
レル
ギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五八八
結
節乃至浸潤
ヲ伴
フ丘疹及ピ痘
庖ヲ形成
セルモノヲ云
ヒ、
不善感
ト
ハ輕微
ナ
ル硬結
、浸潤乃至單
ニ結痂、發赤及ビ切創
が痕跡
ナク消退
セル,モノ等
ヲ指
セリ。
第
二章
實
驗
成績
第
一囘實驗
昭和
三年
八月
、看
護婦
學校
生徒
三
百
二十
九名
ニ對
シ、左
上鱒
ノ伸
側及
ビ屈
側
ニ各
三切
宛
接種
シテ
二十
四時
間
後
ニ「ア
ル
レルギー」反應
ヲ、24×7時間
後
ニ種痘
成續
ヲ檢
査
セ
シ
ニ其
ノ所見
左
ノ如
シ。
一、
「アルレルギー」反應ト種痘成續トノ關係テ觀
ルニ、檢診
ニ應ジタル者三百二十名中、「アルレルギー」反應陽性者三百七名
ニシテ此
ノ内善感者七十三名、不善感者三十四名、同ジク陰性者十三名
ニジ
テ此ノ内善感者五名、不善感者八名ナリキ。
二、次
ニ接種ノ部位
ニ依
ル「アルレルギー」反應ノ強サテ比較
セシニ、實驗人員三百七名中、屈側、伸側共
ニ同程度ナリシ者百四十二
名(四六・二五%)ニシテ實
験人員
ノ約半數
テ占メ、部位
ニヨル差異ヲ現
ハシタル者百六十五名
(五三・七五%)ナリ,而
シテ此ノ内百名
(
三三・五
五
%
)ハ屈
側
ニ比
シ伸
側
ニ著
明
ナ
リ
シ
モ、
六十
二名
(二〇
・二
〇
%)ハ伸
側
ニ比
シ屈
側
ニ強
度
ナ
リ
シ
ニ
ヨリ、「ア
ル
レ
ルギ
ー
」反
應
ハ屈側
ニ比シ伸側
ニ強ク現
ハル、者多
ク、其ノ比
ハ屈側二對伸側三・三テ示
セリ。
第
二囘實
驗
昭
和三年
十
月、看
護
婦
生
徒百七
十
四名
二種痘
シ、
二十
四時
間
、四
十八時
間
及
ビ七
十
二時
間後
ノ三
囘
ニ亙
リ局
所反應
ヲ檢
査
セリ。
一、
「アルレルギー」反應及ビ種痘成續テ調査シ得タル者百五十三名
ニ就キデ
ルレルギー」反應テ其
ノ症候別.種痘成績別
ニ記載スレバ
第
一表及ビ圖表
一ニ示
ス如
ク。
(1)發赤、丘疹
ハ接種後
二十四時間
ニシテ最高率ラ示
スコト善感者、不善感者共
ニ同様ナルモ、四十八時間
ニ至
レバ善感者
ニ於テハ
依然殆ド同率ナルニ反シ、不善感者
ハソノ症状急減
シテ約半數
トナリ、善感者
ハ七十二時間後
二至リテ此等
ノ症状初テ減退
シ約半數
トナリシモ、不善感者
ニ於テハ術四十八時間後ノ所見ト大差ナヵリキ。
53
第
一表
「ア
ルソかギー」反應
ノ症候別經
過(人員百五十
三名)
大
嶋
=種痘
「ア
ル
レル
ギ
ー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五八九
54
大崎=
種痘
「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五九○
圖表
一
「ア
ル
レルギー」反應症候
別經過
(2)浸潤、腫脹
ハ二十四時間
ニ於テ善感者、不善感者共
ニ陽
性率最モ高ク、四十八時間
ニシテ何
レモ著
シク減退
スルモ、
七十二時間
ニ至レバ善感者
ニアリテハ上昇
スルニ反シ不善感
者
ニ於テハ減少
セリ。
(3)水泡形成
ハ二十四時間後
ノ所見兩者略
〓同率ナルモ爾後
全ク相反スル經過テトリ、善感者
ニ於テハ漸次上昇
スルニ反
シ、不善感者
ニ於テ
ハ遞減
セリ。
(4)癌痒感
ハ兩者共
ニ二十四時間
ニシテ最高率テ示シ、善感
ニ至
ル場合
ハ終始殆ド同率ナルモ、不善感
ニ終
ル場合
ハ漸次
減
退
セ
リ。
二、
次
ニ「ア
ル
レ
ルギ
ー」反
應
(接
種
後
二
十四
時
間
ニ於
ケ
ル
モ
ノ以
下
之
ニ準
ズ)ト善
感
成
績
ト
ノ關
係
テ觀
ル
ニ、「ア
ル
レ
ルギー
」反
應
陽
性
者
百
五
名
ニシテ此
ノ内
善
感
者
二十
一名
、
不善
感
者
八
十
四
名
、
同
陰
性
者
四
名
ニシテ此
ノ内
善
感
者
一名、
不善
感
者
三
名
ア
リ
キ。
三
、
更
ニ「ア
ル
レ
ルギー
」反
應
ト種
痘
痕
數
ト
ノ關
係
テ調
査
セ
シ
ニ其
ノ成
續第
二
表所
載
ノ如
シ、實
驗
人
員
少
數
ナ
ル
モ概
シテ痘
痕
數
ノ多
寡
ト
第二表
「アルレルギー」反應
ト種痘痕數
レノ關係
55
此
ノ反
應
ノ陽
性
率
ト
ノ間
ニ
ハ特
記
ス
ベキ關
係
ナ
キ
ヲ認
メタ
リ。
第
三表
「ア
ルレルギー」反應ト種痘後經過年數ト
ノ關係
(人員四百七十名)
四、
「アルレルギー」反應出現率ト種
痘後經過年數トノ關係ヲ第
一囘及ビ
第二囘實驗ニ
於ケル四百七十名
ニ付
觀察セシニ,其ノ成續第三表
二見
ル
如ク、最近ノ種痘後
一年未満ノモノ
五年以上十年以内ノモノ及ビ十年以
上ノモノトノ間
ニハ其ノ陽性率
ニ大
ナ
ル開キナキモ、唯十年以上テ經過
セル善感者
ニアリテ
ハ其
ノ率稍
〓減少セリ、然
レドモ十年以上テ經過セル者
ニアリテモ爾著明
こ出現
スルモノアリ、或
ハ接種後數ケ月
ナルモ其ノ反應極
メテ輕度
ナルモノ尠ナカラズ。
第
三囘
實驗
昭
和四
年
一月、
看護
婦
生徒
百
四十九
名
ニ對
シ、
第
一章記
載
ノ如
ク普
通痘
苗
(以下
生苗
ト記
ス)及
ピ六
十度
三
十分
加熱
死滅
痘
苗
(以下六
十
度死
苗
ト記
ス)ヲ接
種
シテ爾
後七
日間連
續檢
診
セリ。
一、「アルレルギー」反應ト善感成續
トノ關係テ觀
ルニ、「アルレルギー」反應陽性者百三十
一名
ニシテ此ノ内善感者十六名、不善感者百
十五名、同陰性者十三名
ニシテ此
ノ内善感者九名、不善感者四名ナリキ。
大嶋=種痘「アルレルギ」
反應ノ一般ニ就テ
五九一
56
大鳩
=種痘
「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五九二
二
、
余
等
ノ實
驗
ニ於
テ
モピ
ルケー
氏
ガ
記
セ
シ如
ク、「ア
ル
レ
ルギ
ー」反
應
ノ出
現
ニハ時
間
的
ニ不
同
ア
リ、
即
チ接
種
後
二
十
四時
間
以内
ニ現
ハ
ル
、モ
ノ
(以
下第
一型
ト記
ス)、
四
十
八
時間
以
内
ニ現
ハ
ル
、モ
ノ
(以
下
第
二
型
ト記
ス)及
ビ
七
十
二時
間
以
内
ニ現
ハ
ル
、モノ
(以
下第
三
型
ト記
ス)ノ三型
ニ區分シ得タ
リ
(次項參照)、今此ノ各型
ニ就キ「アルレルギ」
反應
ノ消長及ビ同
一人體
ニ於多
死苗
ニ由
ル「アルレル
ギー」反應
ノ消長テ觀察
シテ之ラ種痘成績
ノ善感、不善感別
ニ比較センニ其ノ成績第四表及ビ圖表二
ニ示
ス如ク。
(1)種痘ガ善感
ニ至ル場
合
三
十五名)ハ生苗
ニテハ第
一型
(十六名)、第二型
(五名)、第三型
西
名)、何
レモ最終
ノ檢診日
タル24×7
第四表
善感・不善感別、生苗・死苗別「アルレルギー」反應ノ清長比較
57
圖表
二
善
感・不善
感、
生苗・死苗別
「アル
レルギー」反應浩長比較
(二十四時間以内
ニ現
レタル組)
時
間
迄
「ア
ル
レ
ルギ
ー
」反
應
ラ維
持
セリ、
同
一人
體
ニ於
ケ
ル死
苗
亨
リテ
ハ第
一型組
ハ二十四時間後
ノ所見生苗
ニ於ケルモノト
差異ナク、爾後急劇
ニ、減少
スルモ24×5時間
ニ於テ爾相當數
ノ
陽性者テ昆、
此ノ内少數
ハ24×7時間
ニ至
ルモ尚發赤・丘疹ヲ
残シ、生苗
ニ於ケル輕度ノ善感症状
ト鑑別
シ能
ハザルモノア
リ。第二型組ハ反應出現
ノ翌日ニ至リ陽性者多少増加シテ、第
一型組ト殆ド同率
ニ達
シ、爾後之ト略
〓同様ナル消長テ示
シ、
第三型組ハ反應出現ノ翌日
ニ於テ既
ニ減少
シ、24×5時間
ニ於
テハ悉ク消退セリ。
(2)種痘ガ不善感
ニ終
ル場合
(百十九名)ニ於クル、生苗
ニ依
ル
第
一型
(百十五名)ハ二十四時間後
ノ所見善感者ノ場合ト差別ナ
キモ、爾後之ト異リ局所症歌急減
シテ24+7時間後
ニハ全ク消失シ.死苗
ニ於テモ之ト殆ド同様ナル經過ラ示
セリ、第二型
(一名)亦
生死兩苗共殆ド同様
ノ經過
ラトリ、24×4時間及ゼ24×5時聞
ニシテ消退セリ。第三型即チ接種後24×3時間以内
ヨリ「アルレルギ
ー」反應テ現
ハシタルモノハ此
ノ實驗
ニ於テハ一名モ認メザリキ。爾不善感者
ニシテ生苗
ニテハデ
ルレルギー」反應陰性ナリシ者三
名ガ何
レモ死苗
ニ反テ陽性成績ヲ示
シ、此
ノ内二名
ハ第
一謝理
ニシテ24×4時間迄、
一名
ハ第二型
ニシテ24×3時間迄其
ノ反應持續
セシコトハ注意ス可キ鮎
ナリトス。
第
四囘實
驗
昭和
四年
三月、
看護
婦
生徒
ニ對
シ、
生
苗
ヲ對
照
ト
シテ八
十度
三十
分加
熱死
滅痘
苗
(以下
八十度
死
苗
ト記
ス)ヲ四十名
ニ、
百度
三十
分加
熱
死
滅痘
苗
(以
下百度
死
苗
ト記
ス)ヲ七
十六
名
ニ接
種
シテ連續
七
日間觀察
セジ。
一、「アルレルギーし反應
出現ノ時間的關係ラ便宜上第三囘及ビ第四囘實驗者デ合併シ、二百五十
一名二就キ生死兩苗別
ニ觀察
セシニ其
大嶋=種痘「アルレルギー」反應ノ一般ニ就テ
五九三
58
大嶋=種痘「アルレルギー」反應ノ一般ニ就テ
五九四
ノ成續第
五表
ニ示
ス如ク、依然三型ニ區分シ得タリ.部チ種痘成績
ノ善感、不善感ニ拘ラズ「ア
ルレルギー
」反應陽性者
ノ凡ソ九○%強
ハ接種後二十四時間以内
ニ現
ハレ、残リ
一○%
ノ大部分
ハ四十八時間以内
ニ、少數
ハ七十二時間以内
ニ現ル
、テ觀タリ。
第五表
「アルレルギー」反應出現ノ時期
生苗
ニテ觀タル場合
「ア
ルレ
ルギ
ー
」
反
應
陽
性
者
二
五
一名
中
二十四時間以内
ニ現
レタルモノ…
二二八名
(九○・八四%)
種痘善感
セシモノ…
二二名(
八・七七%)
不善感
ナリシ
モノ…
二○
六名
(八
二・○・七%)
二十四時間以上
四十
八時
間以内
ニ現
レタルモノ
一六
名
(
六
・三
七
%)
善感
セシモノ
九名
(
三・五九%)
不善
感
ナリシモノ…
七名
(
二・七九%)
四十八時間以上
七十
二時間以内
二現
レタルモノ
七名
(
二・七九%)
善感
セシモノ
六名
(
二・三九%)
不善感
ナリシモノ…
一名
(
○・四○
%)
死苗
ニテ觀タル場合
右
二
五
一名中
二十四時間以内
ニ現
レル
モノ…
ニ三八名(九四・八二%)
二十四時間以上
四十八時間以内
ニ現
レタル
モノ…
一○名
(
三・九八
%)
四十入時間以上
七十
二時間以内
ニ現
レタルモノ…
三名
(
一・二○
%
)
二、
次
二種
痘
成績
ト
ノ關
係
テ觀
ル
ニ實
驗
人
員
中
「ア
ル
レ
ルギ
ー」反應陽性者百十二名
ニシテ此
ノ内善感者十名、不善感者百二名、同陰
第
六表
善感
・不善感別、
生苗・死苗別
「アル
レルギー」反應
ノ消
長比較
59
圖
表三
善感
・不善
・感別、生苗
・死苗別
「アル
レルギー」反應
消長比較
へ二十四時間以内
ヨリ現
レタル組)
性者四名
ニシテ此ノ内善感者二名、不善感者二名ナリ。
三、更
ニ今囘ノ實驗者
ニ就キ種痘成績及ビ使用痘苗
ノ生死別
ニ
「アルレルギー」、反應
ノ消長テ觀察シテ第三囘
ノ實驗成續ト對照
セシニ、其ノ成績第六表,七表及ビ圖表三、四所載ノ如シ、繁
ヲ避クル爲之ガ詳論テ省略
スル
モ概シテ前囘
ニ於クルト同様ナ
ル關係テ示
シ、死苗
ニ於テ加熱温度八十度乃至百度
ニ及
ブモ
「アルレルギー」反應
ノ状況前囘ノ六十度加熱苗ノ場合
ニ於ケル
モノト殆ド差異ナク、又善感者
ニ於テ
ハ死苗
ニ由ル反應ガ接種
後
一定期間生苗
ニ由
ル反應ト竝行セントスル傾向ヲ示
シタルコ
トハ興味
アル事實ナリト云フベシ。
四、第三囘及ビ第四囘實驗者
ニ對
シ、生死兩苗別
ニ同
一人體
ニ
就キ「アルレルギー」反應ノ強度竝
ニ其
ノ經過
ノ長短ラ比較調査
セシニ其
ノ成績第八表及ビ第九表
ニ見
ル如ク、生苗
ニ比シ死苗ノ反應ガ
反テ強キモノ及ビ其
ノ經過
ガ反ツテ長
キモノァリ。
大嶋=種痘[アルレルギー」反應ノ一般ニ就テ
五九五
60
大嶋
=種痘
「アル
レルギー
」反
應ノ
一般
ニ就
テ
五九六
圖表四 痘苗死滅温度別「アルレルギー」反應消長 比較
第七表 痘苗死滅温度別「アルレルギー」反應消長 比 較
61
第八表
こ十四時間後
ニ於
クル生死兩苗別
「アル
レルギー」反應
強度
比較
(不善感
者
ノミ
ニ就キ比較
ス)
(ご六十度死苗ヲ使用
セル場合
(人員百十五名)
死苗
ニ比
シ生苗
ニ強度ナ
リシモノ
生苗
ニ比
シ死苗
ニ強度ナリ
シモノ
生死兩苗同
程度ナ
リシモノ
(二)八十度死苗
ヲ使用セ
ル場合
(人員三十五名)
死苗
ニ比
シ生苗
ニ強度ナ
リシモノ
死
苗
ニ全
ク陰
性
ニシ
テ生
苗
ニ陽
性
ナ
リ
シ
モ
ノ
死苗
ニ比
シ生苗
ニ強度
ナリ
シモノ
生苗
ニ比
シ死
苗
ニ強度
ナリシ
モノ
生
苗
ニ全
ク陰性
ニシテ死苗
ニ陽性
ナリシ
モノ
生苗
ニ比
シ死苗
ニ強度
ナリ
シモノ
生死兩
苗同程度ナ
リシモノ
生死兩苗共
ニ陰性
ナリシモノ
生死
兩苗
ニ同程度
ナリシ
モノ
(三)百度死苗ヲ使用セル場合
(人員六十九名)
死
苗
ニ比
シ生苗
ニ強度
ナリシ
モノ
死
苗
ニ全
ク陰性
ニシテ生苗
ニ陽性
ナリ
シモノ
死
苗
ニ比
シ生苗
ニ強度
ナリ
シモノ
生苗
ニ比
シ死
苗
ニ強度
ナリシ
モノ
生苗
ニ全
ク陰性
ニシテ死
苗
ニ陽性
ナリシ
モノ
生苗
ニ比
シ死
苗
ニ強度ナ
リシモノ
生死
兩苗同程度ナ
リシモノ
生死兩苗共
ニ陰性
ナリシ
モノ
生死兩苗
ニ同程度ナリシ
モノ
第九表
生死兩苗別
「ア
ルレルギー」反應経過比較
(不善感者
ノミニ就
キ比較
ヌ)
(一)六十度死苗ヲ使用セ
ル揚合
(人員百十五名)
死苗
ニ比
シ生苗長
カリシモノ
生苗
ニ比
シ死苗長
カリシ
モノ
生死兩苗同程度
ナリシ
モノ
(二)八十度死苗ラ使用
セル場合
(人員三十五名)
死苗
ニ比
シ生苗
長カ
リシモノ
死苗
ノ場合
ハ終
始反應
ナ
カリシモノ
生苗
ニ比
シ死
苗長
カリシ
モノ
生苗
ノ場合
ハ終
始反應
ナカリシ
モノ
生死兩苗同
程度
ナ
リシモノ
生死兩苗共終始反應
ナカリシ
モノ
太嶋
=種痘
「ア
ルレルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五九七
62
大嶋
=種痘
「アル
レル
ギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五九八
(三)百度死苗ヲ使用
セル場合
(人員六十九名)
死苗
ニ比シ
生苗長
カリ
シモノ
死
苗
ノ場合
ハ終
始反應
ナカリ
シ
生苗
ニ比シ死
苗長
カリシ
モノ
生苗
ノ場合
ハ終
始反應
ナカリシモノ
生死兩苗同
程度ナ
リシモノ
生死兩苗共終始反應
ナカリ
シモノ
第三章
總括及ビ結論
余等
ハ種痘
「アルレルギー」反應
ノ臨牀的症壮及ビ其
ノ實際防疫上
ニ於
ケル應用
ノ價値
如何
ニ關
スル概括的知見
ヲ得
ントシ、
昭和三年八月
ヨリ同四年三月
ニ亙リ、東京看護婦學校生徒七百六十八名
ニ就
キ實瞼的研究
ヲ行
ヒ各種
ノ歡
察
ヲ試
ミタリ、今其
ノ所見
ヲ總括
シ卑見
ヲ加
フルコト左
ノ如
シ。
第
一項
「アルレルギー」反應
ノ出現時期、症候及ビ經過
(1)本反應
ノ出現時期
「アルレルギー」反應
ハ既
ニPirqｕet氏
ガ詳述
セシ如
ク、被接種者
ノ既得免疫性
ノ爲
ニ初種痘
ニ於
ケル皮膚
反應ガ促
進且減弱
セラレテ發現
スルモノ
ニ外ナラザ
ルヲ以テ、前同種痘
ニ依
ル免疫
ノ殘存程度及ビ個體性等
ニヨリテ其
ノ出
現時期
一定
セザ
ル
コト實験者
ノ均
シク認
ムル所ナリ。余等
ノ實験
ハピ
ルケー氏
ノ如
ク逐時的檢査方法
ニ依
ラザリ
シ
爲
カ、氏ガ記載
セル如
キ各種
ノ分類
ヲ觀
ルコト能
ハザ
リシモ、之ヲ接種後
二十四時間以内
ニ出現
セシモノ(實験人員
ノ約九
一%)、四十八時間以内
ニ出現
セシモノ(同
ジク六%)及
ビ七十二時間以内
ニ出現
セシモノ
(同ジク三%)ノ三型
二
區
分
シ得
タ
リ
、
即
チ
ピ
ル
ケ
ー
氏
ノ
所
謂
Fruｈreaktion
ニ屬
ス
ル
モ
ノ
大
部
分
ヲ
占
メ
、
他
ハ所
謂
ピBeschleunigte Reaktion
ト
看
做
ス
ベ
キ
モ
ノ
ナ
リ
キ
。
之
ニ由
ツテ觀
レバ闘「ア
ル
レルギー」反
應
ノ檢
査
ハ接
種後
二十
四時
間前
後
ニ於
テ
シ、
疑
ハシ
キ者
ハ四十八時間後
ニ再檢査
スレバ足
ル。
(2)本反應
ノ症状及ビ型
63
ビ
ルケー氏
ハ少數
ノ人體
ニ就テ精密ナル時間的檢索
ヲ試
ミタル結果
「アルレルギー」反應ヲ其
ノ出現ノ時期、症状
ノ
種類、程度及ビ經過等
ニ依
リテ之ヲ次
ノ六型
ニ區分
セリ。
1)
Beschleunigte Areareaktion mit vollkommener Papillenbildung.
2)Beschleunigte Areareaktio
n ohne Papillenbildung.
3)
Torpide Papillenbildung.
4)
Fruhreaktion.
5)Doppelreaktion(fruhzeitige und beschl
eunigt
e Reaktion an
derselben lmpfstelle).
6)
K
eloidbildung．
余等
ハ之
ニ反
シ多數
ノ人體
ニ接種
シ、毎
二十四時間
ニ其
ノ成績
ヲ觀察
シテ之
ヲ綜合
セジ、是
レ實際問題
ヨリ觀タ
ル
本反應
應用
ノ可否
ヲ窺
ハント
セ
シヲ以
テナ
リ、
其
ノ結
果
A、
發
赤
丘
疹
ヲ主
ト
ス
ル
モ
ノ
B、
浸
潤
腫脹
テ主
ト
ス
ル
モノ
C
、
水
疱
形
成
テ主
ト
ス
ル
モ
ノ
等
ノ型
ニ區分
シ得
タ
リ。自
覺
症
ト
シテ
ハ殆
ド總テ
ニ掻痒感
ヲ伴
と.
尚之
ニ疼痛
ノ加
ハル事
アリ、
勿
論之等
ノ症候
ニ
ハ各
種
ノ移
行型
ヲ認
メ、
極
メテ多種
ニシテ明劃
ニ之
ヲ區
別
シ得
ザ
ル
モノァリ、而
シテ最
モ多
數
ヲ占
ムル
ハA型
ニ屬
スル
モノ
ニシテ其
ノ定
型的
ナ
ル
モノ
ハ切線
ニ沿
ヒテ乳嘴
(Papille)状
ニ隆起
シ、其
ノ周
圍丘
疹
(Papel)様
ニ浸潤
腫脹
シ
暈
状
ニ潮紅
ス、
發
赤
(Area)ノ形
壮
ハ特
ニ多
様
ニシテ
圓
型
、橢圓
型
、
星状、
葉状、
紡
錘状
、線
状、島
嶼状
(比較
的遠
方
ニ散
在
スル
モノアリ)又
ビ半島
状
ヲ示
シ、
又桑實
様觀
ヲ呈
ス、發赤
ノ邊
椽
亦種
々
ニシテ鋸歯状
ヲ爲
スアリ、平滑
ナ
ル境界
線
ヲ現
スア
リ、
判然
タラザ
ルア
リ、
或
ハ發赤
ノ外
側
ニ更
ニ赤
輪
ヲ生
ジ、所
謂
Doppel-Ring
ヲ形
成
スル
モノア
リ、接
種後
二十
四時間
ニシテ發疱
(内
容
ハ黄
色
透明液
ニシテ
二乃
至三
日
ニシテ破
壊或
ハ吸收
セラ
レテ結痂
ス)スル
モ
大嶋
=種痘「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
五九九
64
大嶋
=種痘
「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
六○○
ノ本
反應
陽性
者
ノ殆
ド
半數
ヲ占
メ
シ
バ注
目
ヲ惹
ケ
リ、
尚
ピ
ルヶー氏
イ分
類
セ
ル
Torpide Papelbildung,Keloidbildung
ハ余等
ノ實
験
ニ於
テ之
ヲ證
明
スル事
能
ハザ
リ
シ
モ、
Doppelreaktim
ニ屬
ス
ルモノ
ハ之
ヲ少數
ニ認
メ
タリ。
(3)本反應
ノ経過
種痘
ガ善感
ニ至
ル場合
ト不善感
ニ終
ル場合トノ間
ニ本反應
ノ經過
ニ著
シキ差異
アルヲ認
メタリ、郎
チ
(イ)善感者
ニアリテハ發赤
丘疹
ハ接種後二十四時間
ニシテ最高率ヲ示
シ、四十八時間
ニ至ルモ大ナル變化ナク、七十二時間
ニ於テ急
ニ
減退
セルテ見
ル、之
ニ反シ浸潤腫脹
ハ二十四時間
ニシテ其ノ率最
モ高キコト前者ト同様ナルモ爾後
一弛
一張
シ、七十二時間
ニ至ルモ減
退
セズ、水庖
ハ二十四,四十八、七十二時間
ト日テ經
ルニ從
ヒ漸次増強シ、蜜痒感
ハ時間的
ニ殆ド關係ナク同様ナル陽性率テ示
セリ。
(ロ)不善感者ニ
アリテハ其
ノ状態之ト異リ、發赤丘疹
ハ二十四時間
ニシテ最高
ニ達スルコト善感者
ニ於ケルト同様ナルモ、四十八時間
ニ至
レバ著シク消退
シ、七十二時問
ニアリテモ略
〓同程度
ニ止
ル、浸潤腫脹
モ大略之ト同様ナ
ル關係テ保
チ、水疱及ビ蜜痒感亦同様二
十
四
時
間
ニ於
テ其
ノ極
ニ達
シ、
爾
後
急
ニ減
退
セリ。
以上
ノ状態
ハ勿論總括的所見
ニシテ、各個人
ニ就
キ之
ヲ觀
ルトキ
ハ特殊
ノ經過ヲト
ルモノ尠
カラズ。之ヲ要
スル
ニ
「アル
レルギー」反應
ハ其
ノ經過
ヨリ觀
ルモ亦
二十四時問前後
ニ於ラ最高度
ニ達
スルモノ多
キヲ以テ之ガ檢診
ニ當
リ
テ
ハ前
記
ノ如
ク接
種
ノ翌
日
ニテ充分
ナリ
ト信
ズ。
第二項
加
熱痘
苗
ニ依
ル「ア
ル
レルギー」反應
(1)生死兩苗別「アルレルギー」反應消長比較
「ア
ルレルギー」反
應
ガ
加熱
滅殺痘
苗
ニ依
リテ
モ生
苗
ニ於
ケ
ルト同
様
ニ起
リ得
ル
モノナ
ル
コト
ハピ
ルケー氏
ノ實
験
ニ
依
リテ既
ニ明
ナ
ル所
ニ
シテ、彼
ノ
Tieche(10)氏
ノ痘瘡
診斷
法
ハ此
ノ理
ニ據
ルモ
ノナ
リ、我國
ニ於
テ
ハ鈴
木氏等
ノ報告
之
ヲ記載
セリ、
即
チ「アル
レルギー」反應
ハ必ズ
シ
モ痘原
體
ノ生活
作用
二由
ル
モノ
ニァラザ
ル
コト疑
フ餘
地
ナ
ク、余
等
亦加
熱滅
殺
セ
ル痘
苗
ヲ生苗
ト共
ニ同
一人
體
ニ接
種
シテ其
ノ反應
ヲ檢
セ
シ
ニ、
「ア
ル
レルギー」反應
出現率
生
苗
ニ由
65
ルモノト殆ド同率ナ
ルノミナラズ、其
ノ經過亦之
ト大差ナキ
ヲ認
メタリ、就中死苗ヲ以テシテ接種後第六
日ニ至,
尚發赤・丘疹及ビ浸潤ヲ貼
スモノアルノ
ミナラズ
引績
キ第八
日迄之ヲ繼續
シ、生苗
ニヨル輕度
ノ善感症状
ト區別
シ
能
ハザ
ルモノアリ、死苗
ニ依リ斯クノ如
キ反應
ヲ呈
シ得
ルモノナリトセバ、我國現行
ノ第
二期種痘檢診標準
ハ果
シ
テ合理的ナリ
ヤ否
ヤ、
一考
ヲ要
スベキ周題ナリ。更
ニ興味
アル點
ハ生苗
ニテ檢
シ、種痘
ガ善感
ニ至ル場
令
ニ於テ其
ノ不善感
ニ終
ル場合
ト異リ、死苗
ニアリテ
モ接種後
一定期間
(第五日迄)生苗
ニ於
ケルト同様
ノ反應ヲ持續
スル毛ノ
多キ
コト
ニシタ余等
ノ觀
タル所
ニテ
ハ前後
二囘
ノ實瞼共
ニ右
ノ消長ヲ示
セシガ果
シテ毎常斯
クノ如キ經過ヲトルモ
ノトセバ學術上攻究
ノ價値ア
ル事實ナ
リト信ズ。
(2)痘苗死滅温度
ニ依
ル「アルレルギー」反應比較
生
苗
ハ死苗
ニ比
シ常
ニ「ア
ル
レルギ
ノ
反應著
明
ニシテ其
ノ持續
赤長
期
間
ニ亙
ルベキヲ豫
想
セ
シ
モ之
ト全
ク反對
ナ
ル
成績
ヲ示
ス場合
ア
ルヲ觀
タリ、即
チ生苗
ニ陰
性
ナ
ル
ニ拘
ラズ死
苗
ニ陽
性
ナ
ル
モノ
アリ、
或
ハヨリ強
度
ニ現
ハル
、モ
ノ多
キ場合
アリ、
而
シテ其
ノ持續
亦
死
苗
ニ依
リテ却
テ長
キ
モノ多
キ場
合
アリ、此
ノ點鈴
木
氏等
ノ所
見
ト多少
異
ルト
コロナ
ル
モ余等
ノ實
験
成績
ヲ以
テ
スケバ痘
苗
ヲ百度
以内
ノ温度
ニ加
熱
シ、痘
原
體
ヲ死
滅
セ
シムル
モ「ア
ル
レルゲ
ン」
ト
シテ
ノ性
質
ニハ著
シ
キ變
化
ヲ輿
ヘザ
ルノ
ミナラ
ズ時
ニ加熱
温度
ノ上昇
ニ依
リ却
テ
ヨリ増
強
スル場
合
ア
ル
モノト考
ヘザ
ル可
カラズ、
サ
レバ単
ニ「ア
ル
レルギー」反應
ノ有無
程度
ヲ檢
スル
ニハ痘
原體
ノ生
死
ハ必須
ノ要
件
ニアラザ
ルガ
如
シ。
第三項
「アルレルギー」反應
ト種痘成績
トノ關係
デ
ルレルギー」反應
ノ消長
ハ時間的
ニ異ル
モノデ
ル
コト敍上
ノ如クナ
ルヲ以テ之ガ比較觀察
ヲ行
フ
ニ當
リテ
ハ、可
及的同
一時間
二於
テ檢診
セザ
ルベカラズ、今左
ニ二十四時間後
ニ檢査
セル鈴木氏等.城井氏等
ノ調査成績
ト余等
ガ
前後四同
ニ亙
リテ實験
セル成績
トヲ表示
シ、本項
ノ關係
ニツキ論ぜ
ントス。
大
嶋
=
種
痘
「ア
ル
レ
ル
ギー
」反
應
ノ
一般
ニ就
テ
六○
一
66
大
嶋
=
種
痘
「ア
ル
レル
ギー
」反
應
ノ
一般
ニ就
テ
六○
二
本表
ニ依
レバ善感者
ニ於
テモ、不善感者
ニアリテ
モ反應
ノ有無及ビ其
ノ%
ハ各成績共
ニ概
シテ
一致
セリ、即
チ「アルレルギー」反應陽性者
ノ大多數
ハ
不善感者
ニシテ、種痘免疫相當高度ナ
ルベキヲ知
ルモ、其
ノ
一定數
ニ於テ
ハ尚善感
スル程度
ノ免疫
ヲ有
スルモノアル
コトヲ知
ル、換言
スレバ「アルレルギー」反應
ハ既種痘者
ニ特有ナ
ル反應ナ
ルモ其
ノ有無強弱
ハ既
得免疫
ノ程度ト常
ニ竝行
スルモノ
ニアラズ、蓋
シピ
ルケー氏所論
ノ如ク、同時
ニ被接種者
ノ個體性ガ重要ナ
ル因子
ヲ爲
スコト
ニ對
シテ首
肯
セザ
ルヲ得
ズ。
次
ニ不善感者
ニ於テ城井氏等
ノ成績
ハ一○○%
ノ「アルレルギー」反應陽性率
ヲ示
セルモ、余等
ノ成績
ハ鈴木氏等
ノ
成績
ニ一致
シテ常
ニ少數
ノ陰性者
アルヲ認
メタリ、ピ
ルケー氏
ハ夙
ニ其
ノ業績
ニ於テ斯
クノ如
キ陰性者
ニ遭遇セ
シ
コトヲ記載
セリ、此
ノ事實
ハ假命少數
ナリト
ハ雖
モ防疫上重要ナ
ル事項
ニシテ余等
ハ始
メ鈴木氏等
ノ報告
ニ這般
ノ
モノ
、少數
ヲ擧ゲラ
レタ
ルヲ見テ聯
力奇異
ノ感ヲ懐
キタ
ルモ、前後四囘
ニ亙
ル實験
ニ於テ何
ケノ場合
ニアリテ
モ斯
クノ如
キ例
ニ遭遇
シタル點
ヨリ考
へ、再種痘
ニ當リテ
ハ痘苗ヲ選擇
シ、施術
ニ注意
スルモ常
ニ斯
カル例外
アルヲ免
レザ
ルモノト信ズ
ル
ニ至
レリ、尚此
ノ際種痘技術
ノ不完全
ニ依リテ此
ノ結果ヲ招
來セシモノニアラザ
ルヤヲ慮
リ、
第
一囘、第
二囘及ビ第
三同實験
ノ際
「アルレルギー」反應陰性
ニシテ、種痘ガ不善感
ニ終リシモノニ對
シ、更
ニ同檬
ノ痘苗
ヲ用
ヒテ種痘
ヲ反復
セシガ其
ノ結果何
ケモ前囘ト同様、
「アルレルギー」反應陰性
ニシテ種痘亦不善感
高終
レ
リ、之
ニ由リテ觀
ルトキ
ハ種痘
ニアリテモ「ツベルクリ
ン」反應
ニ於
ケル如ク斯
カル
Positive Anergieガ成立
スルモ
ノナ
リ
ヤ甚
ダ興味
ア
ル問
題
ナ
リト思惟
ス。
畢竟以上ノ所見
ニ基
キ余等
ハ「アルレルギー」反應
ニ依リテ既種痘者ト未種痘者
トヲ診斷
シ得
ペシトノ所論
ニ對
シ敢
67
テ賛同
ヲ惜
シ
ムモノ
ニアラザ
ル
モ、之
ヲ防
疫
上
ノ實
際
ニ應用
セ
ン
ニハ尚研
鑽
ヲ重
ヌルノ要
アリ
ト信
ズ
ル
モノナ
リ。
第四項
「アルレルギー」反應
ト種痘後經過年數トノ關係
「ア
ル
レルギー
」反應
ガ
前
同種痘
後
ノ經
過年数ニ
ヨリテ著
シキ影
響
ヲ受
ク
ル
コト
ハピ
ルケー氏
之
ヲ詳
述
セリ、余等
ノ實
験
ニアソテ
ハ氏
ガ記載
セ
シ如
キ種
痘
善感
後短
時
日
ノ
モノ甚
ダ少數
ナ
リ
シ爲
力種
痘
後
ノ經
過
年數
ヨリ觀、
所
謂
Fruh-
reaktion
ト
Beschleunigte Reaktion
トヲ明
ニ區別
スル
コト能
ハザ
リ
シノ
ミナ
ラズ、
其
ノ陽
性率
ヨリ觀
ル
モ最
近
ノ種
痘
ヲ
一年
以内
ニ受
ケタ
ル
モノト、
五
年以
上十
年以内
ニ受
ケ
タ
ル
モノト
ノ間
ニ甚
シキ差
異
ヲ見
ズ、十
年
以
上
ヲ經
過
セ
ル
モノ
ニアリテ稍
〓減
少
セ
ルヲ認
メ
タリ、
然
レド
モ之
ガ觀察
ノ要
約
敍
上
ノ如
クナ
ルヲ以
テ、
本項
ニ關
シテ
ハ更
ニ多
數
ノ實
瞼
ヲ獲
テ論斷
ス
ル所
ア
ルベ
シ。
第五項
「ア
ルレルギー」反應ト接種部位竝
ニ種痘痕數
トノ關係
疲
瘡
ノ發
疹
ハ被
服
ニ庇
護
セ
ラ
ル
、部位
ヨリ
モ外部
ニ露出
セ
ル部位
、
身體
ノ内
側
ヨリ
モ外
側
ニヨリ多
ク發
スル
モノナ
ル
コト
ハ臨
牀
上常
ニ經
験
スル所
ナ
リ、
「ア
ル
レ
ルギー」反應
ニアリテ
モ亦
部位
的關
係
ノ存
スル
コト
ハ既
ニビ
ルケー氏
記載
ノ如
シ、余
等
毛此
ノ關
係
ヲ知
ラ
ント
シテ
上膊
ノ屈側
及
ビ伸
側
ニ同
時
ニ接種
シ、
其
ノ状
況
ヲ比較
觀
察
セシ
ニ自
然
感
染
ノ場
合
ニ於
ケ
ルト
同様
屈
側
ニ比
シ伸
側
ニ著
明ナ
ル場合
多
キ
ヲ認
メ
タリ、
其
ノ理
由
ニ關
シテ
ハ果
シテ
ピ
ルケー氏
ガ想像
セ
シ如
ク身
體
ノ部
位
ニ依
ル抗
體分怖
ノ差異
ニ歸
ス可
キ
モノナ
ルヤ否
ヤ尚不
明
ナ
ル
モ、
曾
テ感
染
ヲ受
ケ
タ
ル部
位
ト然
ラザ
ル部
位
ト
ノ間
ニハ自
ラ後
來
ノ刺戟
ニ對
スル反應
症状
ニ輕
重
ノ差
異
ヲ來
スモ
ノナ
ル
コト
ハ怪
ム
ニ足
ラザ
ル
事
實
ナ
リト信
ズ、之
ニ由
テ觀
レバ単
ニ「ア
ル
レルギー」反應
ノミヲ檢
セ
ント
スル場
合
ニアリ
テ
ハ身體
ノ外側
ヲ以
テ適
當
ト云
フ可
シ,
但
シ掻
痒
感
ハ伸
側
ニ比
シ屈
側
ニ強
度
ナ
ル
毛ノ多
キ
ハ蓋
シ神經
分怖状
態
或
ハ其
ノ感
受
性
ノ差
異
ニ因
ル
モ
ノ
ナ
ラ
ン。
次
ニ種痘痕數
ト種痘免疫程度
ト
ハ竝行的因果關係ヲ有
スルコト
ハ再種痘善感率又
ハ痘瘡罹患
ノ状
況等
ニ鑑
ミ既
ニ一
大嶋
=種痘
「アルレルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
六○三
68
大嶋=種痘
「アル
レルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
六○四
般
ニ認
メラ
レタル所
ニシテ又
「アルレルギー」反應
ガ既得免疫程度
ト
一定
ノ聯繋
アル
コト
ハ敍上
ノ如
ク明カナ
ル所ナ
リ、依テ試
ニ供試者
ノ少數
ニ就
キ痘痕數
ノ多寡
ト本反應
ノ陽性峯乃至
ハ其
ノ程度
ヲ觀察
セシニ特記
スベキ關係ア
ル
ヲ
發
見
ス
ル
コ
ト
能
ハザ
リ
キ
。
第六項
「アルレルギー」反應
ノ本態
ニ關
スル考察
種痘
「ア
ル
レルギー
」反
應
ハ既
種
痘
者
ニ特有
ナ
ル反應
ニシテ其
ノ
本態
ハ所
謂
抗體
抗元
反應
ナ
ル
コト既
ニピ
ルケー氏
ガ記
ス所
ニシテ、
Gins,(11)Thompson(12)氏
等
ノ報
告
ヲ見
ル
モ亦
略
〓此
ノ所
論
ニ
一致
セリ、然
レド
モ本反
應
ノ強弱
ト牛
痘
免
疫
ノ程度
ト
ハ毎
常
竝
行
セズ、又
其
ノ出現
ニハ必
ズ
シモ病原
體
ノ
Vitale Funktion
ヲ必要
ト
セザ
ル
コト既
ニ論述
セ
シガ如
シ、Knopfermacher uS
tohr(13)氏等
ノ實験
ニヨ
レバ、乳
兒
ニ牛
痘苗
煮沸
免疫
元
ノ大量
ヲ注射
セ
シ
ニ牛
痘免
疫
毫
モ成立
セザ
リ
シ
モ、
之
ニ
ヨリ
テ
「ア
ル
レルギー」反應
ヲ呈
シ得
ル
ニ至
レリ
ト云
ヒ、Thompson
氏
ハ動
物試験
ニ於
テ健
康
家
兎睾
丸乳
劑
ガ非特
異性
ニ
一定
度迄
「ア
ル
レルゲ
ン」タ
リ得
ル
コトヲ報
ぜリ、余
等
亦痘
苗
以
外
ノ材
料
ニヨリ
テ克
ク
種痘
「アル
レルギー」ト類似
ノ反應
ヲ呈
スル
コト
ア
ルヲ
經
験
セリ、其
ノ詳細
ハ追
テ
報
告
スベキ
モ要
スル
ニ種痘
「ア
ル
レルギー
」反應
ハ從
來考
ヘラ
レタ
ル如
ク純
粋
ナ
ル免疫
反應
ニアラズ
シテ、多
少
ノ複
合
性
ヲ有
スル
毛ノ
ニアラザ
ルヤヲ
疑
フ
モ
ノ
ナ
リ
。
以上ノ事實
ニヨリ種痘
「アル
レルギー」反應
ノ臨牀的所見及ゼ實地防疫上
ノ價値
ニツキ次ノ如
ク結論
セ
ント
ス。
一、再種痘経過後
ニ於ケ
ル種痘
「アル
レルギー」反應
ハ大多數接種後
二十四時間前後
ニ於テ最高度
ニ達
シ、
24×4時
間前後
ニシテ消失
ス、其
ノ症状
ノ重ナ
ルモノハ發赤及ビ丘疹
ニシテ、之
ニ浸潤腫脹又
ハ水庖形成
ヲ伴
ヒ、自覺症状
ト
シテ
ハ殆
ド常
ニ掻痒
感
ヲ訴
フ。
二、我國現行
ノ第二期種痘槍診標準
ハ加熱滅殺痘苗
ニテ起リ得
ル程度
ノ反應ヲ
モ「善感」中
ニ包含
スルヲ以
テ此
ノ點
ニ關
シ尚研究
ノ要
アリ
ト信
ズ。
69
三、本反應
ハ種痘免疫
ノ程度
ト略
〓竝行
スルモ個體性
ノ影響
アリテ常
ニ多少
ノ例外
アリ、故
ニ之
ヲ防疫上
ノ實際
ニ
應用
スルモ正確
ニ既種痘者ト未種痘者
トヲ區別
スルコト困難ナリ。
本報告
ヲ爲
スニ當
リ指導校閲
ヲ賜
リタル傳染病
研究所
田宮教授、鞭燵援助
ヲ賜
リタ
ル警硯廳笠井嘱託
ニ對
シ感
謝
ノ意
ヲ表
ス。
文
獻
1) v. Pirquet. Die Fruhzeitige Reaktion bei der Schutzpockenimpfung. W
ien. K
lin. W
ochenschr., 1906, Jg. 19, 855.
2) V. Pirquet.
lst
die
vakzinale Fruhreaktion spezifisch? W
ien. KLIN. Wochenschr., 1906, Jg. 1407.
3) V. Pirquet, Klinische Studien uber Vakzination und vakzinale
Allergie. Leipzig ｕ. Wien, Franz De
ticke
. 1907. 4) v. Pirquet. Uber die verschiedenen Formen der allergischen Reation bei der Revakzi-
nation. Zeitschr. f. lmmunitatsｆ., 1911. Orig. Bd. 10, 1.
5) v. Pirquet,
Die Doppelreaktion bei die Kuhpockenimpfung-Munch. med.
W
ochenschr. 1911, Jg. 58. 937.
6) Force
a. Beckwith, A Laboratory for the Diagnosis of Smallpox. Jour. A
. M. A
.., 1915, V
ol.65, 588.
7) 板
澤
, 天
然
痘
ニ
開
ス
ル研
究
. 東
京
, 大
正
14年
. 8) 城
井
. 谷
口
, 痘
毒
皮
膚
過
敏
反
應
. 日本
公
衆
保
健
協
會
雜
誌
. 大
正
15年
.(1926), 第
2巻
. 第
6號
.
9) 鈴
木
, 四
谷
, 岩
瀬
, 痘
毒
接
種
ニ
依
ル
皮
膚
異
常
反
應
Allergie
ニ
就
テ
. 臺
彎
醫
學
會
雜
誌
. 大
正
9年
.
(1920), 34, 858.
10) Tieche. U
ber die Ver-
wendbackeit der vakzinalen Allergie
(Fruhregktion von Pirquet)
als diagnastisches Hilhsm
ittel bei Verdacht auf Variola. Cor.-Bl. f. schweiz.
Aerzte. 1912, 42, 626. 11) Gins u.lwanoff, Experim
entelle Untersuchungen uber den Sitz der Vaccine-Antikorper. Zeitschr-f. Hyg, u. Infekt.,
1928,108, 548.
12) Thom
pson, Allergie reactions in vaccinia-im
mune rabbits. Jour. of Imm
., 1930, V
ol.19, 63. 15) Knopfermacher u. Stohr,
Anwendung des
,, Koktinmunogens,, aus pockenvdkzine arn Menmchen. Zeitschr. f.
Im
munitatsforsch. u. exp. Therap., 1928, 56. 83.
大嶋
=種痘
「ア
ルレルギー」反應
ノ
一般
ニ就
テ
六○五