直腸癌の局所再発 診断と治療の基本知識 ·...

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表1 直腸癌局所再発のリスクファクター ・ステージの進んだ直腸癌 ・低位直腸癌 ・組織型 ・術前放射線治療をしていない症例 ・切除根治性の劣る症例 R1, R2, RM1, DM1 ・T1, T2に対する局所切除 ・前壁症例 ・術中に穿孔をきたした症例 ・縫合不全 # ・術者の技量,施設の症例数 # (#:否定する意見もある) 直腸癌の局所再発 診断と治療の基本知識 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科 A.はじめに 国内外からの報告で,直腸癌術後の 5 から15% に局所再発が生じるとされる 1) .肝転移,肺転移と 並んで,直腸癌の最も頻度の高い再発形式である. その発生機序として,不十分な切除,手術操作に よる腫瘍細胞の散布,腫瘍周囲の微細な癌細胞の 遺残,直腸内の浮遊癌細胞の縫合部への縫いこみ などが考えられている.しかし,個々の症例の再 発理由は同定できないことが多い.またいくつか の臨床指標が局所再発のリスクファクターとして 挙げられている(表1).局所再発は生命に影響の ないような小さな腫瘍であっても坐骨神経や仙骨 神経の近くに発生すると強い疼痛を起こす.また 直腸内に露出すると出血をきたしたり,小腸を巻 き込んで腸閉塞や膀胱を巻き込んで排尿障害や血 尿を起こす.進行すると皮膚に浸潤し潰瘍を作り 疼痛や出血,悪臭といった症状を起こす.腸管を 巻き込んだ腫瘍が皮膚に穿通すると腸瘻となる. 局所再発患者の 3 分の 1 から半数は他臓器転移な くこういった症状に悩まされながら死亡する. B.診断 局所再発も他の再発形式と同様に,手術後 3 年 以内に発見されることが多い. 図1,2は FDG-PET が診断に用いられるようになる前の大阪大学に局 所再発で受診した患者の再発時期と再発時の腫瘍 の大きさを示している.2年以内の再発が多く,こ の時期には比較的頻回に画像検査が行われるにも かかわらず,診断確定時の腫瘍の大きさは平均4.2 cm と,腫瘍がかなり大きくなるまで確定診断で きていない.MDCT の開発などにより肝,肺再発 が小さい病変でも診断されるのと比べ,局所再発 の診断が難しいことが分かる.局所再発の切除は 大手術が必要な症例が多いが,診断が遅れること がその大きな理由である.早期発見により根治切 除症例が増え,より小さな侵襲で切除できる症例 が増える可能性がある.局所再発に対する診断能 の向上は治療成績の向上に必須である. 局所再発の診断は臨床症状,肛門指診,内視鏡, 画像診断によって行われる. 1.臨床症状 局所再発は殿部や会陰の疼痛,あるいはしびれ 感などの臨床症状で診断できる症例が多い.Boas らは直腸切断術を行った286名の直腸癌患者の臀 部,会陰の疼痛の原因を調査した.術後3カ月以上 経過後に疼痛が出現した症例10人中 8 人は局所再 発であった 2) 図3).このように術後に発生する 疼痛の多くは局所再発によるものである. 2.肛門指診,内視鏡による吻合部再発診断(図4) 肛門温存手術の術後に吻合部やその近傍に発生 する再発を吻合部再発と呼ぶ.内腔に露出する場 合には内視鏡によって早期診断できる.また,指 が届く範囲の吻合部再発は指診で診断できる症例 も多い.腸管内に留まる吻合部再発は治療成績が 57

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Page 1: 直腸癌の局所再発 診断と治療の基本知識 · 略が薦められる.局所再発と判明すれば,進展範 囲や周囲臓器との詳細な位置関係の診断には

表1 直腸癌局所再発のリスクファクター

・ステージの進んだ直腸癌・低位直腸癌・組織型・術前放射線治療をしていない症例・切除根治性の劣る症例 R1, R2, RM1, DM1・T1, T2に対する局所切除・前壁症例・術中に穿孔をきたした症例・縫合不全#・術者の技量,施設の症例数#

(#:否定する意見もある)

直腸癌の局所再発 診断と治療の基本知識

大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科 関 本 貢 嗣

A.はじめに国内外からの報告で,直腸癌術後の 5から15%

に局所再発が生じるとされる1).肝転移,肺転移と並んで,直腸癌の最も頻度の高い再発形式である.その発生機序として,不十分な切除,手術操作による腫瘍細胞の散布,腫瘍周囲の微細な癌細胞の遺残,直腸内の浮遊癌細胞の縫合部への縫いこみなどが考えられている.しかし,個々の症例の再発理由は同定できないことが多い.またいくつかの臨床指標が局所再発のリスクファクターとして挙げられている(表1).局所再発は生命に影響のないような小さな腫瘍であっても坐骨神経や仙骨神経の近くに発生すると強い疼痛を起こす.また直腸内に露出すると出血をきたしたり,小腸を巻き込んで腸閉塞や膀胱を巻き込んで排尿障害や血尿を起こす.進行すると皮膚に浸潤し潰瘍を作り疼痛や出血,悪臭といった症状を起こす.腸管を巻き込んだ腫瘍が皮膚に穿通すると腸瘻となる.局所再発患者の 3分の 1から半数は他臓器転移なくこういった症状に悩まされながら死亡する.

B.診断局所再発も他の再発形式と同様に,手術後 3年

以内に発見されることが多い.図1,2はFDG-PETが診断に用いられるようになる前の大阪大学に局所再発で受診した患者の再発時期と再発時の腫瘍の大きさを示している.2年以内の再発が多く,この時期には比較的頻回に画像検査が行われるにもかかわらず,診断確定時の腫瘍の大きさは平均4.2cmと,腫瘍がかなり大きくなるまで確定診断できていない.MDCTの開発などにより肝,肺再発が小さい病変でも診断されるのと比べ,局所再発の診断が難しいことが分かる.局所再発の切除は

大手術が必要な症例が多いが,診断が遅れることがその大きな理由である.早期発見により根治切除症例が増え,より小さな侵襲で切除できる症例が増える可能性がある.局所再発に対する診断能の向上は治療成績の向上に必須である.局所再発の診断は臨床症状,肛門指診,内視鏡,画像診断によって行われる.

1.臨床症状

局所再発は殿部や会陰の疼痛,あるいはしびれ感などの臨床症状で診断できる症例が多い.Boasらは直腸切断術を行った286名の直腸癌患者の臀部,会陰の疼痛の原因を調査した.術後3カ月以上経過後に疼痛が出現した症例10人中 8人は局所再発であった2)(図3).このように術後に発生する疼痛の多くは局所再発によるものである.

2.肛門指診,内視鏡による吻合部再発診断(図4)

肛門温存手術の術後に吻合部やその近傍に発生する再発を吻合部再発と呼ぶ.内腔に露出する場合には内視鏡によって早期診断できる.また,指が届く範囲の吻合部再発は指診で診断できる症例も多い.腸管内に留まる吻合部再発は治療成績が

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図1 直腸癌局所再発の診断時期大阪大学受診例43例

図2 再発確定診断時の腫瘍径大阪大学受診例43例

図3 直腸癌術後疼痛症例の予後

(Boas RA, et al. Perineal pain after rectal amputation:a 5-year follow-up. Pain. 1993 52(1):67-70)

良いことが知られており,早期発見の意義は大きいと考えられる3).大腸癌研究会の大腸がん診療ガイドラインに掲載された集計では,直腸癌手術症例1647例中0.8%に吻合部再発し,結腸癌も含ん

だデータであるが吻合部再発の95.5%は術後 3年以内に発症した.このことから術後 1年および 3年に大腸内視鏡検査を行うことを勧めている.

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図4 直腸前方切除術後吻合部再発pSS, N0 低位前方切除術施行

3.画像診断

局所再発の診断には様々な画像診断modalityの特徴を理解して用いる必要がある.①CTの特徴1.MDCTの開発により高い空間分解能を得ら

れるようになった.2.広い範囲(胸腹部)の検索を短時間(数秒か

ら数分)でできる.3.比較的普及が進んでおり多くの施設で利用可能である.4.必要に応じて血管造影や virtual colonogra-phy としても使える.5.肝転移や肺転移と異なり局所再発は周囲臓器の density が多様であり,しかも初回手術による瘢痕組織は density が腫瘍と近似しているため腫瘍との鑑別が難しい.ある程度大きな腫瘍なら造影効果などから鑑別可能だが,小さな病変の診断は難しい.②MRI の特徴1.軟部組織のコントラストが良い.2.血管の検出力が優れている.3.最も詳細な解剖情報を得ることができる.4.撮像時間が長い.5.小さな病変については瘢痕組織と腫瘍の鑑別が困難なことがある.T2における intensity の違いが鑑別のポイントとされるが,局所再発の in-tensity は必ずしも一定でない.

③FDG-PET,PETCTCTやMRTが解剖学的あるいは構造的画像診断であるのに対して,FDG-PETは癌細胞のブドウ糖取り込みが更新していることを利用した機能的画像診断であり解剖の変形や層構造の消失の影響を受けない.CTやMRI の苦手とする瘢痕組織と癌の鑑別が容易である.ただし,FDG-PET単独では正確な解剖情報を得ることはできない.CTとの合成画像である PETCTが必須である.PETCTでは集積部位の正確な位置情報を得られるためFDG-PET単独では陽性と判定しないような比較的弱い集積でも局所再発を疑うことが可能となる.われわれは局所再発疑い42症例に対するCTとPET,および両者の合成画像(PETCT)の診断能を比較した4).正診率は,CT79%(33�42),PET88%(37�42),合成画像93%(39�42)で,合成画像の正診率はCTおよび PETと比べ有意に優れていた.PETの誤診例は 5例とも局所再発であった.3例は FDGの取り込みがなかった.2例は尿路との鑑別ができなかった.合成画像の誤診例 3例も局所再発であった.2例は FDGの取り込みが無かった.1例は尿管との重なりのため診断できなかった.FDGの集積が無かった症例はいずれも1cm以下の小さな病変であった.以上より,PETCTといえども1cm以下の局所再発の診断は難しく,尿路と重なると診断を間違えやすいことが分かった.その他の PETCT診断の注意点を表2に示す.④局所再発診断の戦略PETCTは局所再発を発見するには最も優れたツールである.しかし,日本の保険では PETCTは他の画像診断で再発を疑う場合のみに使用可能である.またガイドラインでも術後サーベイランスでの使用は推奨されていない.PETCTは非常に高価な検査機器であるため保有施設も限られる.そういった点で,現時点ではCTによる術後サーベイラインスの戦略を考える必要がある.CTでも経時的な変化を拾い上げることで早期診断が可能である.そのために術直後に一度CTを撮っ

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表2 PET, PETCTによる診断の注意点

局所再発との鑑別が必要となる集積筋層への取り込み 蠕動に影響消化管粘液への排泄直腸の非特異的集積憩室,腸炎 クローン病 潰瘍性大腸炎

尿路卵巣

術後炎症,瘻孔炎症関節炎,骨折骨 筋肉

デスモイド

集積不良の原因となる因子糖尿病 血糖(検査時の血糖値が重要)放射線治療,化学療法小腫瘍,細胞成分,腫瘍の悪性度(粘液成分の多い腫瘍は集積が悪い)腫瘍の形態び慢性浸潤を取る腫瘍では進展範囲を正確に描出できない

図5 Suzuki分類

(Suzuki K, et al. Intraoperative irradiation after pal-liative surgery for locally recurrent rectal cancer. Cancer. 1995;75:939-952)

ておくと参考になる.そして臨床所見やCTで局所再発を疑う場合,PETCTで確認するという戦略が薦められる.局所再発と判明すれば,進展範囲や周囲臓器との詳細な位置関係の診断にはMRI が優れている.FDGPETは抗癌剤治療により集積が低下することがあるため検査前に一定の休薬期間を置く必要がある.

4.CEA

大腸癌の 3分の 2の症例で高値となる.高値の症例は予後不良であるとの報告もあるが,CEAだけで局所再発診断はできない.ただ,CEAの上昇をきっかけに局所再発が発見される例も多く,重要な指標となる.

C.治療1.局所再発の治療方針

局所再発に対する治療方針として,大腸癌研究会の大腸癌治療ガイドライン2009年度版では以下のように指針を示している5).(1)切除可能であれば切除する.(2)切除不能であれば放射線療法と全身化学療法の単独または併用を考慮する.多くの報告が根治切除できれば非切除症例と比

べ長期生存率が高いことを示しており,現在では局所再発に対する第一選択の治療は外科的切除と考えられている.NCCNのガイドラインでも,他臓器転移のない局所再発で切除できる症例は切除すべきとしている.ただ,根治切除には多くの症例で仙骨や骨盤壁切除を伴う拡大手術が必要となり,技術的に難度が高く侵襲も大きい.大腸癌治療ガイドラインでも完全切除できる症例にのみ切除を考慮すべきとコメントするなど,慎重な判断を求めている.手術適応の判断と術式選択が局所再発治療の課題となる.

2.局所再発のステージング,拡大手術を要する

局所再発

局所再発の大きさや部位,周囲臓器との関係によって治療法が異なる.そういった点で的確なステージングが必要であるが,今のところコンセンサスを得られた分類はない.比較的引用されるSuzuki 分類では,周囲臓器や骨盤壁との固定を指標としてF0,F1,F2,F3と分類する6)(図5).女性性器や膀胱前立腺への浸潤は考慮しない.F0であれば周囲への接触や浸潤なし,1臓器あるいは 1方向への骨盤への接触ならF1,2臓器あるいは 2方向への骨盤への接触ならF2というように分類す

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図6 肝転移,肺転移,局所再発の切除後生存曲線

(Tepper JE, et al. Analysis of Surgical Salvage After Failure of Primary Therapy in Rectal Cancer:Results From In-tergroup Study 0114. J Clin Oncol 21:3623-3628. 2005)

る.アメリカMayo Clinic のデータでは1981年から1996年の間に根治を目的として受診した局所再発304例の内訳はF0 31%,F1 28%,F2 22%,F3 16%であり,根治的切除を目指すなら約70%の症例が骨盤壁の合併切除を必要とすると見積もられた7).Moriya らは骨盤壁と接していたり浸潤してい

る局所再発を fixed tumor と呼んでいる.彼らは1983年から2001年に行った局所再発手術163例の内訳を報告しているが,マイルズ手術などの限局手術51例,骨盤内臓器全摘術38例,仙骨合併切除を伴う骨盤内臓器全摘術55例,切除不能例19例であった.約 3分の 1の症例が fixed tumor で骨盤壁合併切除が必要であったことになる8).大腸癌研究会のガイドラインでは局所再発と吻

合部再発を別に分類しているように,吻合部再発は予後が良い.この点を考慮した分類も多い.Pilipshen 分類は最も古いもののひとつである9).Pilipshen 分類1.Anastomotic:吻合線への再発 壁外への

進展はない2.Perianastomotic:吻合部周囲に進展した再

発3.Pelvic disease without sacral, sidewall, or

anterior fixation:吻合部と関係しない再発.仙

骨,骨盤壁,他臓器と接していない.4.Pelvic disease with sacral or sidewall and

anterior fixation:吻合部と関係ない再発. 仙骨,骨盤壁,他臓器と接する.5.Pelvic disease(with or without fixation)pre-

senting through the anastomosis:吻合部を含むが壁外部分が主体

3.局所再発に対する外科治療の成績

局所再発の治療法の報告は,少数例の集計や切除可能性の判定基準があいまいなものが多かった.しかし徐々に信頼できるエビデンスが示されつつある.①肝転移や肺転移と比べた外科治療の意義肝転移,肺転移そして局所再発の外科切除の成績を比較した報告がある10).Tepper らはヨーロッパで行われた補助療法の比較試験(Inter-group Study 0114)に登録された約1800例の直腸癌の再発形式別の治療成績を検討した.単一部位あるいは単一臓器再発の約500例(肝再発167例,肺再発158例,局所再発123例)の成績を集計し,根治切除を受けた症例の生存曲線は肝,肺,局所でほとんど同じであった(図6).②実地診療における局所再発に対する外科治療スエーデンからは局所再発治療の大規模な co-

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図7 局所再発手術の根治度と予後

(Palmer G, et al. A population-based study on the management and outcome in patients with lo-cally recurrent rectal cancer. Ann Surg Oncol. 2007 14(2):447-54)

hort 調査の結果が報告されている11).1995年から2003年にストックホルムで行われた2318例の直腸癌根治術で,2005年までに141例(6%)に局所再発が生じた.57名(40%)に根治的切除を行い25名が R0切除できた.R0例の 5年生存率は57%と良好であったがそれ以外の症例は悪く,全体の 5年生存率は9%であった(図7).R0例で行われた術式は低位前方切除術 2例,直腸切断術15例,ハルトマン手術 3例,腫瘍摘出術 2例,直腸局所切除3例であった.腸管に限局した症例と骨盤内に増殖した症例の切除率は17�27,8�30と後者で有意に低かった.吻合部再発をのぞく局所再発に対して通常の手術では根治切除できる症例(R0)が少ないことが分かる.③局所再発に対する拡大手術の治療成績局所再発の切除率を上げるために周囲臓器,骨

盤側壁や仙骨などを合併切除する拡大手術が試み

られてきた.非常に大きな手術となるため積極的に取り組む施設は少数であったが,そういった施設の努力により拡大手術の治療効果や問題点が明らかとなりつつある.Wanebo は,最も早くから拡大手術に積極的に取り組んだ外科医である12).1975年から1998年の間に53例を行い,仙骨 S1―2で切除した症例が32例,それ以下の仙骨で切った症例が20例であった.28例が膀胱や周囲臓器を合併切除した.49例の R0症例の 5年生存率31%,無病生存率23%であった.2004年Moriya は fixedtumor に対する仙骨合併切除を伴う局所再発手術57例(1983年から2001年)の成績を報告した.腫瘍径が5cmを超える症例が25例,骨浸潤例が12例,肝転移が 5例含まれる.これはこれまで報告された中で最多の仙骨切除の報告である8).48例の R0症例の 5年生存率42%と非常に優れた成績であった.これらの結果から骨盤壁に接していて

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図8 局所再発拡大手術後の長期生存曲線

(Maetani S, et al. Long-term cure in surgery for extrarectal pelvic recur-rence of rectal cancer. Dis Colon Rectum. 2007 Oct;50(10):1558-65)

通常なら切除不能とされる局所再発も拡大手術によりR0切除できれば良好な治療効果を得られることが明らかとなった.長期生存例や治癒例の報告もなされつつある.Maetani らは,局所再発に対する拡大手術36例の治療成績を報告した13)14).全例が R0切除で,仙骨切除例が31例,骨盤内臓器全摘術が29例であった.10人が 5年生存し 7人が10年生存した. 再発手術後6.5年以降の再発は無く,外科的切除で根治できるものがあると結論している(図8).以上,R0症例の成績が良いと述べたが,不完全切除(R1,R2)の予後は不良である.非切除とそれほど変わらないとする報告が多く,切除可能性についての術前診断が重要である.以前には

疼痛緩和などを目的とした姑息手術も行われたが,現在では根治を目指せる症例にのみ適応すべきとの考えが一般的となっている.④拡大手術の問題点ただ,こういった拡大手術の手術侵襲は大きく合併症も多い.Wanebo は平均手術時間16.3時間,出血量7350g と報告している.合併症はほぼ全例に発生した.Moriya らは手術時間682分(480~1100), 出血量2500ml(673~8468)であったとし,仙骨を切除するような大手術としてはすぐれた成績を報告しているが,それでも術後の重篤な合併症が高率であるとしている.合併症の多くが感染である.創感染の頻度も高いが,骨盤死腔炎と呼

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表3 仙骨切除による自律神経障害

アメリカMayo Clinic 53例の検討

膀胱機能直腸機能

89%87%片側仙骨切除or 両側仙骨神経温存

0%0%両側S2-S5 切除25%40%両側S3-S5切除 69%100%両側S4-S5 切除60%67%片側S3温存

(Todd LT Jr, et al. Bowel and bladder function after major sacral resection. Clin Orthop Relat Res. 2002 397:36-9)

ばれる骨盤内の感染が深刻な問題となる.拡大手術後の骨盤死腔は非常に大きいためいつまでも埋まらず液が貯留しつづけ感染しやすい.一旦感染すると難治となり殿部や会陰に穿破したり腸穿孔や敗血症などを併発する.これまでの報告では骨盤死腔炎は仙骨切除を行った症例の5%から30%以上に発生している.我々は拡大手術44例で骨盤死腔炎の発症因子を解析したところ,仙骨切除31例と非切除13例の odd 比は20.0(P=0.017)と,仙骨切除を行った症例では特に骨盤死腔炎が高率であった15).⑤拡大手術の適応拡大手術の適応基準については未だコンセンサ

スは無い.Wanebo は骨盤全摘出術なども行ったが,Moriya は仙骨 S2下縁以下の合併切除で摘出できる症例に適応を絞っている.他の報告でも仙骨 S2を切除可能性の判断基準とするものが多い.仙骨神経の S2以上を切除すると歩行障害が生じることと,仙骨 S2より高位の仙骨は腸骨と仙腸関節で接しており切除手技が複雑で出血も多くなることがその理由として挙げられる.また,高度側方進展例は坐骨神経を切除すると歩行障害をきたすことや技術的にも難しいことから適応に慎重な意見が多い.仙骨切除による自律神経の欠損症状について表3に示す.仙骨神経 S1,S2を切除すると歩行障害が残る.S2だけの切除では歩行可能だが,drop foot となるため足関節に装具をつける必要がある.S1を切除すると,筋力のある患者なら杖歩行できるが,高齢者など力が弱い場合には歩

行困難となる. S3以下の仙骨神経を切除すると,性機能,排尿機能,肛門括約筋機能の障害が起こる.また,坐骨神経を切除した場合,高率に強い神経痛が生じる.数週間で消失することもあるが1年以上続く症例もある.参考までに,我々の適応基準を示す.1.腫瘍境界が明瞭でR0切除が見込める2.仙骨レベル:仙骨 S2までの合併切除で切除できる3.側方:S1以上の坐骨神経を温存しつつ確実

なサージカルマージンを確保して切除できる4.局所再発単独症例,あるいは少数の肝肺転移があっても切除できる5.全身状態が良好6.手術のリスクを理解し,治療に前向きに取り組もうとする意思がある⑥局所再発手術後の再再発局所再発手術後の再再発部位は再局所再発と肺転移がほとんどである.再局所再発を減らすために,最近では術前に化学放射線治療を行うのが一般的となりつつある.ほとんどの報告は5FUの持続投与と放射線治療を組み合わせている.IORT(Intraoperative radiation therapy)が有用とする報告があり,NCCNのガイドラインは推奨している.しかし有効性について信頼できる根拠は無く,神経や尿路障害が高率である16).肺転移の予防のために術後に化学療法を行うことが当然考慮されるが,まだその有用性を示した報告は少ない.拡大手術は手術侵襲が大きいため回復が遅くなかなか術後化学療法を始めることができない症例が多い.そういった点でも高率な合併症を減らす工夫が必要となる.

4.局所再発に対する手術手技のポイント

局所再発に対する拡大手術(特に仙骨合併切除)においてポイントとなる仙骨前面の剥離,骨切り,合併症予防(骨盤死腔炎)について述べる.手術手技の詳細は参考資料を参照のこと17)~21).①仙骨前面の剥離仙骨切離には骨膜を露出させる必要がある.ま

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た,仙骨を切除しない場合も仙骨前面の剥離が必要な症例が多い.仙骨前面の剥離では瘢痕や癒着のために血管走行が分かりにくく出血する場面にしばしば遭遇する.仙骨正中付近では正中仙骨静脈,外側では外側仙骨動静脈が出血の原因となる.骨盤内は身体の中で最も低い位置にあるため静脈出血でも強い出血となり,さらに骨盤深部で視野を取りにくいため止血に難渋することがある.出血のほとんどは出力を上げた高周波メスで止血できるが,出血点が分かりにくい場合や止血が難しい場合はしばらく圧迫することで出血の勢いがゆるみ止血しやすくなる.②仙骨切離骨切り時の出血が問題とされるが,仙骨周囲の

剥離を十分にしておけばそれほど出血しない.腹側から切離線に沿って骨膜を十分に露出し,数本のKwire を骨切り線に沿って仙骨に打ち込み,以後は腹臥位として背側から操作する.腹部を圧迫して静脈環流が阻害されないようHall frame を用いて胸部と腸骨で体重をささえ,頭低位とし殿部を高くする.殿部を正中切開し同一線上で大殿筋を切開,仙骨に至る.仙結節靭帯,仙棘靭帯を切離し,梨状筋を切開すると坐骨神経を認める.温存すべき神経を確認し,仙骨を完全に周囲から剥離した後に,腹側から打ち込んだwire に沿ってノミで骨切りする.低位仙骨(S3以下)の切除では,体位変換無し

で仙骨を切ることができる例がある22)23).術前に臀部に枕を置き,仙骨背側にスペースを確保しておく.腹腔内操作で仙骨骨膜を露出させ,会陰操作で仙骨背側を骨切り線まで剥離する.腹側と会陰側の剥離を仙骨側面で連続させ,腹側からノミを用いて仙骨を切る.ただしこの方法は肛門温存症例では使えない.③骨盤死腔炎の予防骨盤死腔炎への予防策としては以下のような方

法が行われている.A.肛門温存,会陰組織温存:根治性に影響な

ければできるだけ肛門温存を心がける.吻合できない場合もHartmann 手術とする.マイルズ手術

と比べ会陰の組織欠損が少なく,また会陰の創感染のリスクが無くなる.我々の検討では肛門温存しなかった症例の骨盤死腔炎発症率は14�32(44%)に対して肛門温存症例では1�12(8.3%)と有意に低くかった(P=0.035).B.大網の充填:死腔の充填と水分の吸収効果を期待する.脂肪沈着が多い症例ではかなりのボリュームを得ることができる.骨断端への小腸の癒着を防止する意味でも有用である.C.筋脂肪弁の充填:有茎で腹直筋や大殿筋,薄筋などを充填する方法がある.我々はボリュームが大きいことから下腹壁動脈を茎とする腹直筋脂肪弁を用いることが多い.

5.局所再発に対する放射線治療,化学放射線治

切除の難しい局所再発に対しては化学放射線治療が,疼痛の軽減や腫瘍縮小による切除率の向上を目的に行われる.初発直腸癌と比べ局所再発では血流の低下などの影響で放射線感受性が低いとする意見もあったが,Johan らは初発直腸癌229例と局所再発190例に対して放射線治療を行い,pCRをそれぞれ7%,8%に認め有効率に差がないことを示した24).欧米では初発直腸癌に対して放射線治療や化学放射線治療がおこなわれる症例が多いため,再照射の安全性に関する臨床試験が行われている.Valentini らの phase 2 study では59例に骨盤内に30Gy と腫瘍に10.8Gy のブースト照射を行い,同時に5FUを投与した25).51人が計画通りに照射を完遂,6人は中断があったが完遂,2人は中止となった.G3以上の急性毒性は 3人に認めたのみであった.治療効果はCR 5人(8.5%),PR 21人(35.6%),NC 31人(52.6%),PD 2人(3.4%)と良好な効果だった.有症状の24人中20人で症状緩和を得た.最近では放射線治療や化学療法が飛躍的に進歩し,これらの有効性を検討した報告も出つつある.Huらは,3D conformal radiotherapy(3-DCRT)と FOLFOX4を組み合わせた化学放射線治療の効果について報告している26).48名の局所再発患者を放射線治療単独と化学放射線治療の

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図9 局所再発に対するRT vs. RT+FOLFOX4

(Hu JB, et al. Three-dimensional conformal radiotherapy combined with FOLFOX4 chemotherapy for unresectable recurrent rectal cancer. World J Gastroenterol. 2006 12(16):2610-4)

2 群に分け治療成績を比較した.除痛効果95.2%vs. 91.3%,奏功率56.5% vs. 40.0%,2Y遠隔転移39.1% vs. 56.0%,2年生存率50.2% vs. 23.9%と化学放射線治療群が優れていた(図9).しかしこういった最新の治療法を組み合わせても切除例の成績には及ばない.腫瘍の縮小が得られ切除可能になれば機を逃さず根治的切除を目指すのが,局所再発治療の基本的な考え方となっている.

6.重粒子線治療

重粒子線治療(炭素線治療)が局所再発に対する強力な治療法として注目されている27).放射線医学総合研究所で行われた Phase I�II の成績では,病変が骨盤内に限局し照射域に消化管が含まれない局所再発112例(117病巣)に治療を行い,消化管・尿路・皮膚等に grade 3以上の急性期有害反応は認めず,局所制御率は,治療後 5年で67.2

GyE は70%,70.4GyE で89%,73.6GyE で94%であった.73.6GyE 治療群の 3年生存率は72%,5年生存率は40.0%と外科切除に匹敵する成績であった.重粒子線治療の適応に際して最も問題となるのは腸管被爆である.重粒子線は生物学的効果が強いため腸管が被爆すると穿孔する危険性が高い.そのため吻合部再発や,小腸が腫瘍に巻き込まれている症例への適応は難しい.しかし,最近では腫瘍と接している腸管を外科的に剥離し照射する治療法も検討されている.

7.その他の治療

われわれの施設ではRALS(remote afterload-ing system)による組織内照射により 2例の 5年以上無再発生存例を経験しており,適切な症例選択により優れた治療法となると考えている.他に

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も温熱治療,ラジオ波焼灼,小線源放射線治療などによる局所再発治療が報告されている.ただこれらは,限られた施設から少数例の報告しか無く未だ一般的な治療法とはなっていない.ここでの解説は省略する.

D.おわりに局所再発に対する第一選択の治療法は外科的切

除である.しかし多くの症例では拡大手術となる.拡大手術には,消化器科,婦人科,整形外科,形成外科,麻酔科など様々な科の理解と協力が必須である.施設としての体制を整備して取り組むべきである8)28).

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