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1 日産自動車株式会社 通 称 名 車両型式 モータ型式 適用時期 出 典 資 料 リーフ ZAA-ZE0 EM61 2010.12~ 新型車解説書 T00PB3NC1J 整 備 要 領 書 T00SM3NC1J 取 扱 説 明 書 T00UM3NC0A リーフ(Electric・Vehicle) 1 概 要 1 ) 電気自動車の概要(図- 1 ) 電気自動車は,EV(Electric・Vehicle)とも呼ばれ,主にモータ,制御装置,高電圧バッテリなどで構成され, ガソリンに替わる代替エネルギ・カーの中でも最も実用化に近く,静かで排出ガスが出ないクリーンな自動 車である。 電池はリチウム・イオン・バッテリ,駆動モータは永久磁石式同期モータを採用した。充電は,普通充電と 急速充電の2種類に対応し,急速充電は「CHAdeMO」 方式を採用した。 ※:CHAdeMO(チャデモ)はEV(電気自動車)の急速充電方法の商標名であり,コネクタの規格や充電方法, 通信方法を CHAdeMO 協議会で統一している。 図- 1 主な構成部品取り付け位置

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日 産 自 動 車 株 式 会 社

通 称 名 車 両 型 式 モータ型式 適 用 時 期 出 典 資 料

リーフ ZAA-ZE0 EM61 2010.12~新型車解説書 T00PB3NC1J整備要領書 T00SM3NC1J取扱説明書 T00UM3NC0A

リーフ(Electric・Vehicle)

1 概 要

1) 電気自動車の概要(図-1)

電気自動車は,EV(Electric・Vehicle)とも呼ばれ,主にモータ,制御装置,高電圧バッテリなどで構成され,ガソリンに替わる代替エネルギ・カーの中でも最も実用化に近く,静かで排出ガスが出ないクリーンな自動車である。電池はリチウム・イオン・バッテリ,駆動モータは永久磁石式同期モータを採用した。充電は,普通充電と急速充電の2種類に対応し,急速充電は「CHAdeMO」※方式を採用した。※:CHAdeMO(チャデモ)はEV(電気自動車)の急速充電方法の商標名であり,コネクタの規格や充電方法,通信方法をCHAdeMO協議会で統一している。

図-1 主な構成部品取り付け位置

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2) 構成部品の主な働き

構 成 部 品 説     明サービス・プラグ 高電圧回路を機械的に遮断する

DC/DCジャンクション・ボックス 高電圧直流電源を高電圧構成部品に分配する。リチウム・イオン・バッテリの高電圧を降圧して,12Vバッテリへ供給する

駆動モータ・インバータ リチウム・イオン・バッテリに蓄えられた電力を直流から三相交流に変換し,モータを制御する

充電ポート 充電ケーブルの接続口。普通充電と急速充電の二つの接続口がある電動コンプレッサ 高電圧で作動する専用のモータで,エアコン・ガスを高圧に圧縮する駆動モータ 三相交流の電力を動力(回転力)に変換する減速機 モータの回転を減速し,トルクを増大して前輪を回転させる

PTC素子ヒータ 高電圧で作動する専用のヒータで,水を加熱し暖房を行うPTC:(Positive・Temperature・Coeffi cient)

12Vバッテリ 12Vで作動する電装品に電力を供給するリチウム・イオン・バッテリ 車両を駆動するための電力を蓄え,出力する

ブレーキ電源バックアップ・ユニット 電動型制御ブレーキの補助電源。万一,12Vバッテリの電力が不足した場合に電力を供給する

車載充電器 家庭用コンセントからの電力を単相交流から直流に変換し,電圧を上げ,リチウム・イオン・バッテリを充電する

3) システム図(図-2)

図-2 システム図

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2 システムの構成

1) 構成部品の配置(図-3,4)

図-3 構成部品取り付け位置モータ・ルーム

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図-4 構成部品取り付け位置室内

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3 構成部品の構造・機能

1) 駆動モータ・インバータ(図-5,6)

・駆動モータ・インバータは,モータ・コントローラ,ドライバ,平滑コンデンサ,三つの電流センサ,及びパワー・モジュールで構成されている。・駆動モータ・インバータは,VCMからEVシステムCANで送られてくる駆動トルク信号をもとに駆動モータを制御する。・駆動モータ・インバータは,レゾルバ検出信号,電流センサ検出信号をもとに駆動モータを精度よく駆動させる。・駆動モータ・インバータは,高電圧回路の充電判定及び回路内の放電を行う。・駆動モータ・インバータは,制振制御を行うことでアクセル・レスポンスを向上させ加速の良い運転を可能にする。

図-6 駆動モータ・インバータ・システム図

図-5 駆動モータ・インバータ

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⑵ 特 性(図-8)

駆動モータは車両停止時でもトルクを発生させることができ,発進時から最大駆動トルクを出力し加速良く発進できる。

図-8 駆動モータ特性図

⑶ 作動原理(図-9)

・リチウム・イオン・バッテリからの直流電力をIGBTがスイッチングすることで交流電力に変換する。ステータ・コアのコイルに三相交流電流を流すと回転磁界が発生する。その回転磁界にロータ・コア内の永久磁石が引っ張られ,回転磁界と同期して回転しトルクが発生する。発生するトルクは電流にほぼ比例し,回転速度は三相交流の周波数に依存する。・ロータを最適に回転させるには,ロータ・コア内の永久磁石がどの位置(角度)にあるのか,またどのタイミングでコイルに電流を流すのか判断する必要がある。そこで駆動モータ・レゾルバ及び電流センサを用いて,モータ・コントローラは常にロータの回転位置を検出し,コイルに電流を流すタイミングをコントロールしている。

図-9 駆動モータ作動原理図

2) 駆動モータ(図-7)

駆動モータは埋込磁石型同期モータを採用している。ロータ・コアの内部に永久磁石が埋め込んである構造で,ステータ・コアのコイルより発生する回転磁界を利用して回転しトルクを発生させる。⑴ 仕様(駆動モータ)

最大駆動トルク280Nm,最大出力80kW,最高回転速度10390rpm,冷却方式:水冷式

図-7 駆動モータ構造略図

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⑷ 駆動モータ・レゾルバ

駆動モータ・レゾルバは駆動モータ同軸上に配置されており,ロータの回転角を検出している。その回転角をモータ・コントローラに送信している。注意  駆動モータ・インバータ又は駆動モータの交換作業を行った場合は,必ず駆動モータ・レゾルバ補正値の書

き込みを行うこと。

⑸ 駆動モータ温度センサ

駆動モータ温度センサは駆動モータ内部のステータの温度を検出しており,その温度情報をモータ・コントローラに送信している。3) リチウム・イオン・バッテリ(図-10)

・駆動電源として,リチウム・イオン・バッテリを採用した。・リチウム・イオン・バッテリは,正極にマンガン酸リチウムを採用し,容量と出力の向上を図った。・リチウム・イオン・バッテリは容量低下率が低く,5年後でも約80%の容量を保つことができる。・バッテリ・パックを床下に配置することにより,広い車室内空間を確保した。・車体構造はバッテリ・パックを事故などの衝撃から保護する構造とし安全性を確保した。・リチウム・イオン・バッテリはフラットなレイアウトを採用し,車両床下に配置した。・バッテリ・パックには,電気を蓄える電池(モジュール)のほかに,リチウム・イオン・バッテリ・コントローラ,バッテリ・ジャンクション・ボックス,サービス・プラグが取り付けられている。

図-10 リチウム・イオン・バッテリ

⑴ 仕 様

項   目 仕    様

種   類 リチウム・イオン電池

構   成 48モジュール(192セル)

定 格 電 圧    (V) 360.0

パック重量 総重量 (kg) 294.0

⑵ リチウム・イオン・バッテリ構成(図-11)

4枚のセルを一つにまとめてモジュールとした。このモジュールを直列に48個配置しリチウム・イオン・バッテリは構成されている。

図-11 リチウム・イオン・バッテリ構成

⑶ セ ル

冷却性に優れた薄型ラミネート構造のセルを採用した。

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⑷ ラミネート型セルの特徴

表面積が大きく冷却性能に優れた構造であるため,バッテリへの熱負荷を低減することができ,寿命向上へ貢献している。⑸ リチウム・イオン・バッテリ・コントローラ(図-12)

・リチウム・イオン・バッテリ・コントローラはバッテリ・パックに内蔵されており,リヤ・モジュール・スタックの左側面に取り付けられている。・リチウム・イオン・バッテリ・コントローラは電池制御の中核であり,組電池の電圧,電流,バッテリ・パック内の温度,各セル電圧を検知してSOC※(充電状態)などを把握すると共に,入出力可能値,充電可能値,メータ表示値などを演算し,VCM(ビークル・コントロール・モジュール)へデータの送信を行う。VCMは電池状態に応じた車両制御を行う。※:State・of・Chargeイ リチウム・イオン・バッテリ・コントローラの主な役割

①リチウム・イオン・バッテリの状態把握(SOC(充電状態)・出力可能値・入力可能値・温度)②各セル電圧の偏差適正化  ③過電圧,過電流の防止  ④過熱の防止⑤高電圧回路の絶縁抵抗低下検知  ⑥高電圧ハーネス・コネクタ,及びサービス・プラグのかん合検知

図-12 リチウム・イオン・バッテリ・コントローラ

⑹ サービス・プラグ(図-13)

・高電圧部品の点検,整備時に確実に高電圧回路を遮断するため,高電圧バッテリにサービス・プラグを設けた。・サービス・プラグはバッテリ・パックの上面に取り付けられており,リヤ・シート足元のサービス・プラグ・カバーを外すと,取り外すことができる。警告  取り外し,取り付けの際には,絶縁保護具を使用する

こと。図-13 サービス・プラグ

⑺ バッテリ・ジャンクション・ボックス(図-14)

・バッテリ・ジャンクション・ボックスはバッテリ・パック内の前側に取り付けられている。・バッテリ・ジャンクション・ボックスには,リチウム・イオン・バッテリからの直流電流を供給するためのシステム・メイン・リレー,パワーON直後の大電流から高電圧回路を保護するプリチャージ・リレー,及びバッテリ電流を測定するための電流センサが内蔵されている。・システム・メイン・リレーはプラス側とマイナス側それぞれに取り付けられており,各高電圧部品へ直流電流を供給すると同時に,モータ回生時や充電時にはリチウム・イオン・バッテリに直流電流を供給している。・システム異常時には,VCMからの指令によりシステム・メイン・リレーを直ちにOFFし,リチウム・イオン・バッテリを遮断して安全を確保している。

図-14 バッテリ・ジャンクション・ボックス

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4) DC/DCジャンクション・ボックス(図-15)

DC/DCジャンクション・ボックスはDC/DCコンバータを内蔵し,リチウム・イオン・バッテリからの高電圧電源を分配すると共に,12V電源系システムへの電源供給及び12Vバッテリへの充電を行う。またDC/DCジャンクション・ボックスは,普通充電リレー及び急速充電リレーを有しており,充電モードに合わせて充電回路の切り替えができるようにしている。DC/DCジャンクション・ボックス内部には冷却フィンが設けられており,水冷方式でDC/DCコンバータを冷却している。

図-15 DC/DCジャンクション・ボックス

⑴ DC/DCコンバータ

DC/DCコンバータは,リチウム・イオン・バッテリの高電圧の直流電流を12V直流電流に降圧し,12V電源系システムへの電源供給すると共に,12Vバッテリへの充電を行う。また,VCMからの信号により出力電圧を変化させ,車両状態に最適な電圧を供給する5) 車載充電器(図-16)

車載充電器は,外部からの交流の電源を直流の電源(260~410V)に変換し,リチウム・イオン・バッテリを充電する。充電時には,車載充電器は VCM,LBC,EVSEコントロール・ボックス及び急速充電器と通信し,充電タイプに応じた充電を開始する。また,車載充電器にはノイズ・フィルタが取り付けられており,車両で発生したノイズが外部電源側へ影響を及ぼさないようにしている。 図-16 車載充電器

6) EVSE(図-17)

EVSEは,SAE-J1772で定められた規格に基づいて製造されており,充電時に商用電源と車両をつなげて充電を行うためのオプション部品である。EVSEは,コンセント,ケーブル,コントロール・ボックス,及び充電コネクタで構成されており,商用電源からの電力を車両に供給すると共に,車載充電器とPWM通信を行うことにより,安全かつ車両に適した充電が行えるようにしている。充電コネクタにはリリース・スイッチが設けられており,普通充電ポートと充電コネクタの接続状態を保持している。また,リリース・スイッチには保持状態を検出する回路が組み込まれており,充電中にリリース・スイッチが押された場合には充電を一時停止する。参考  リリース・スイッチを押すと,接点はOFFになる。

図-17 EVSE

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7) ACコンプレッサ(図-18)

・電動スクロール式コンプレッサ(AES28AV3AA)を採用した。・IPM参考を使用した三相出力インバータを採用した。参考  IPM(Intelligent・Power・Module)IGBT相当のパワー

素子と保護機能を一つのパッケージに収めた素子。

参考  IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ:

Insulated・Gate・Bipolar・Transistor)高電圧,大電流

に適したトランジスタで少ないゲート電圧で大きな電

力を制御できる。

・インバータ,コンプレッサ,モータを一体化した構造で,任意の回転速度によるコンプレッサの運転を可能とした。

・インバータ部はオート・アンプと通信を行い,PWM制御参考によって,駆動回路を介して,モータの回転速度を制御する。

図-18 電動ACコンプレッサ

⑴ 冷媒及びコンプレッサ・オイル

・冷媒はオゾン層破壊の原因である塩素(Cl)を含まないHFC134aを採用した。・コンプレッサ・オイルは,電動コンプレッサ専用の絶縁性が高いエステル・オイル,ND-OIL11を使用している。注意  電動コンプレッサ専用オイルは,従来HFC134a用コンプレッサ・オイル(PAG系)やCFC12用コンプレッ

サ・オイル(鉱物油)とは性質が異なり,漏電の原因となるので絶対に混用しないこと。

参考  ・HFCとはハイドロ・フルオロ・カーボンの略

・CFCとはクロロ・フルオロ・カーボンの略

8) PTC素子ヒータ(図-19)

・暖房用の熱源として,PTC素子ヒータを採用した。・内部に制御回路を設け,オート・アンプと通信を行う。・オート・アンプからの信号をもとに,PTC素子ヒータに内蔵されたマイクロ・コンピュータがPWM参考方式で,ヒータの出力を制御する。参考  PWM(パルス幅変調:Pulse・Width・Modulation)と

は,インバータをモータの速度制御などの電源として

使う場合,出力電圧の調整方法として用いられる。半

導体素子を用いて,電圧を加える時間(パルス幅)を変

化させてPTC素子ヒータの制御を行う。

図-19 PTC素子ヒータ

⑴ ヒータ・フルード

・モータ・ルームにあるPTC素子ヒータで発生した熱を車室内に移送するための媒体に水を採用した。・暖房用水路の保護と凍結防止のため,不凍液参考(標準:濃度30% 寒冷地:濃度50%)を採用した。参考  不凍液は従来のエンジン冷却用のLLCを使用した。

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9) VCM(図-20)

VCM(ビークル・コントロール・モジュール)は,様々なセンサやコントロール・ユニットからの信号をもとに車両の状態を判断し,EVシステムにおける様々な制御を総合的に行う。またVCMは,CAN通信とEVシステムCAN通信のゲートウェイ機能を有しており,CAN通信を行っているコントロール・ユニットとEVシステムCAN通信を行っているコントロール・ユニットとの通信を可能としている。

図-20 VCM

10) M/Cリレー

M/C(モータ・コントロール)リレーは,EVシステムのECUに主電源を供給する。VCMは,EVシステムの起動が必要な場合にM/CリレーをONにして,EVシステムに電源を供給する。11) F/Sリレー

F/S(フェイルセーフ)リレーは,リチウム・イオン・バッテリ・パック内のシステム・メイン・リレー作動用電源を供給する。VCMは,READY時や充電時にF/SリレーをONにして,システム・メイン・リレーを制御できる状態にする。またVCMがEVシステムの異常を検出し,システム・メイン・リレーをOFFにする必要があると判断した場合は,F/SリレーをOFFにしてシステム・メイン・リレーの作動用電源を遮断することにより,システム・メイン・リレーをOFFにする。12) F/S・CHGリレー

F/S・CHG(フェイルセーフ・チャージ)リレーは,DC/DCジャンクション・ボックス内の急速充電リレーの作動用電源を供給する。VCMは,急速充電開始を判断するとF/S・CHGリレーをONにして,急速充電リレーが作動できる状態にする。また,走行中は常時OFFとなり,走行中は急速充電リレーがONにならないようにしている。13) SSOFFリレー

SSOFF(セルフ・シャット・オフ)リレーは,VCMやA/Cリレーのコイル側に電源を供給する。また,SSOFFリレーをVCMが制御することにより,VCMによるVCM電源の遮断(セルフ・シャット・オフ)を可能としている。14) A/Cリレー

A/C(エア・コンディショナ)リレーは,エア・コンディショナ・システムに電源を供給する。VCMは,POWER・ON時又はエア・コンディショナ作動要求信号を受信した時に,A/CリレーをONにしてエア・コンディショナ・システムに電源を供給する。15) システム・メイン・リレー1

システム・メイン・リレー1は,リチウム・イオン・バッテリ内に内蔵されており,VCMにより制御される。システム・メイン・リレー1は,高電圧回路の+側とリチウム・イオン・バッテリの接続/遮断を行う。高電圧電力供給時に,プリチャージによりトラクション・モータ・インバータ内コンデンサの充電が完了すると,VCMはシステム・メイン・リレー1をONにしてリチウム・イオン・バッテリからの電力をEVシステムに供給する。また充電時にも,VCMがシステム・メイン・リレー1をONにして外部電源からの電力をリチウム・イオン・バッテリに供給する。

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16) システム・メイン・リレー2

システム・メイン・リレー2は,リチウム・イオン・バッテリ内に内蔵されており,VCMにより制御される。システム・メイン・リレー2は,高電圧回路の-側とリチウム・イオン・バッテリの接続/遮断を行う。VCMは,高電圧電力供給時にシステム・メイン・リレーをONにしてリチウム・イオン・バッテリからの電力をEVシステムに供給する。また充電時にも,VCMがシステム・メイン・リレー2をONにして外部電源からの電力をリチウム・イオン・バッテリに供給する。17) プリチャージ・リレー

プリチャージ・リレーは,リチウム・イオン・バッテリ内に内蔵されており,VCMにより制御される。高電圧電力の供給が必要になると,VCMはシステム・メイン・リレーを作動させる前にプリチャージ・リレーをONにして,充電抵抗を経由して電力を供給することにより,急激な高電圧の印加を防止している。18) アクセル・ペダル・ポジション・センサ(図-21)

アクセル・ペダル・ポジション・センサはアクセル・ペダルと一体となっている。このセンサはポテンショメータで,アクセル・ペダルの踏み込み量を検出し,電圧信号に変換してVCMに送信している。また,このセンサは2系統の信号を送信しており,1系統に不具合が発生しても最低限の走行を可能としている。VCMはパワー・スイッチON時に,アクセル・ペダル・ポジション・センサの信号からアクセル・ペダルの全閉位置を学習している。

図-21 アクセル・ペダル・ポジション・センサ

4 電動パワー・トレイン・システム制御(図-22)

EVは,システムが作動するのすべての動力源を電力としている。リチウム・イオン・バッテリに蓄積された電力は,高電圧直流電流で高電圧システムに電源を供給すると共に,DC/DCコンバータにより13~15Vに変換されて,12V電源系システムに電源を供給する。VCMは,様々な情報から車両の状態を判断し,EVシステムにおける様々な制御を総合的に行う。

図-22 VCMシステム図

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1) EVシステム起動制御

⑴ 制御説明

VCMは,各センサ,スイッチ及び各コントロール・ユニットからの信号より動作モードを判断し,各リレーを作動させてEVシステムの起動/停止を制御する。またVCM起動中は,VCMの判断でVCM電源の遮断(セルフ・シャット・オフ)ができるように,SSOFFリレーをONにする。イ パワー・スイッチON時(図-23)

IPDM・E/RからのパワーON電源がVCMに入力すると,VCMはM/CリレーをONにしてEVシステムの各ECUに電源を供給する。

図-23 パワー・スイッチON時システム図

ロ READY時(図-24)

運転者がブレーキを踏みながらパワー・スイッチを操作すると,VCMはM/CリレーをONにしてEVシステムの各ECUに電源を供給する。更にVCMは,F/SリレーをONにしてシステム・メイン・リレーへの電源を供給する。参考  VCMは,以下の場合はREADYモードに移行しない。

・充電コネクタ接続時

・リチウム・イオン・バッテリ残量が極端に低い場合。

・リチウム・イオン・バッテリ温度が極端に低い(約-25℃以下)場合。

図-24 READY時システム図

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ハ 普通充電時(図-25)

VCMが普通充電モードと判断すると,VCMはM/CリレーをONにしてEVシステムの各ECU及びDC/DCジャンクション・ボックス内の普通充電リレーへ電源を供給する。更に,F/SリレーをONにしてシステム・メイン・リレーへ電源を供給する。参考  パワー・スイッチONの状態では,普通充電は開始しない。

図-25 普通充電時システム図

⑵ 急速充電時(図-26)

VCMが急速充電モードと判断すると,VCMはM/CリレーをONにしてEVシステムの各ECUに電源を供給する。また,F/S・CHGリレーをONにしてDC/DCジャンクション・ボックス内の急速充電リレーへ電源を供給すると共に,F/SリレーをONにしてシステム・メイン・リレーへ電源を供給する。

図-26 急速充電時システム図

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ホ エアコン作動時(パワー・スイッチOFF)

VCMがエアコン作動要求信号を受信すると,VCMはM/CリレーをONにしてEVシステムを起動させると共に,A/CリレーをONにしてエアコン・システムに電源を供給する。更に,F/SリレーをONにしてシステム・メイン・リレーの電源を供給する。参考  パワー・スイッチON時は,A/Cリレーは常時ONとなる。

ヘ 12Vバッテリ自動充電時

VCMが12Vバッテリ自動充電が必要と判断すると,VCMはM/CリレーをONにして,EVシステムを起動させる。更に,F/SリレーをONにしてシステム・メイン・リレーへ電源を供給する。2) 高電圧電源供給制御(図-27)

図-27 高電圧電源供給制御システム図

⑴ 高電圧電源供給制御(システム概要)

READY操作や充電ポートへ充電ケーブルを接続するなどの運転者の操作及び,VCMのタイマ機能により,VCMが起動して高電圧回路の接続が必要と判断すると,VCMはリチウム・イオン・バッテリ・ジャンクション・ボックス内のシステム・メイン・リレー1,2及びプリチャージ・リレーを作動させて,高電圧回路とリチウム・イオン・バッテリを接続する。また,EVシステムの高電圧回路にプリチャージ回路を設けて,高電圧の電流が急激に高電圧回路に印加することを防止している。⑵ 作動フロー

高電圧回路を接続する際には,VCMはまずプリチャージ・リレー及びシステム・メイン・リレー2をONにする。これにより,高電圧の電力はプリチャージ回路にあるプリチャージ抵抗を経由して,各システムに印加される。印加された電力により駆動モータ・インバータ内のコンデンサが蓄電されると,駆動モータ・インバータは高電圧供給完了信号をVCMに送信する。VCMがその信号を受信すると,システム・メイン・リレー1をON,プリチャージ・リレーをOFFにして,通常の電力が各システムへ供給される。

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3) モータ出力制御(図-28)

参考  VCMはモータ回転速度から車速を算出する。

EVシステムは,HVバッテリからの直流電流を駆動モータ・インバータで交流電流に変換し,駆動モータを回転させることにより駆動力を発生させる。VCMは,アクセル開度,車速,シフト・ポジションから目標駆動力を算出し,その目標駆動力にクリープ力を加算する。更に,各システムからのトルク制限要求信号によるトルク制限処理を行い,モータ・トルク要求信号を決定し,EVシステムCANにより駆動モータ・インバータに送信する。駆動モータ・インバータはその信号に応じた電流をモータに印加し,駆動力を発生させる。

図-28 モータ出力制御システム図

4) モータ回生制御

⑴ モータ回生制御(システム概要)

回生ブレーキは,通常駆動力として用いているトラクション・モータを,減速時には発電機として作動させて,車輪から伝わる運動エネルギを電気エネルギに変換して,リチウム・イオン・バッテリを充電すると共に発電時の回転抵抗を制動力として利用している。⑵ 回生ブレーキ制御

走行中ブレーキ・ペダルを踏むと,電動型制御ブレーキより目標ブレーキ力信号がVCMに送信される。VCMはその信号から目標回生トルクを算出し,トラクション・モータ・インバータに目標モータ・トルク信号を送信する。更に,VCMは実際の回生トルクを実回生トルク信号として電動型制御ブレーキへ送信して,電動型制御ブレーキが総合的なブレーキ力を制御できるようにしている。⑶ 回生充電制御

VCMは,リチウム・イオン・バッテリより送信されるリチウム・イオン・バッテリ充電可能電力信号から回生充電量を決定する。更に,ブレーキ・ペダル操作量に応じた制動力が得られるように,電動型制御ブレーキ・システムと協調制御しながらエネルギ回収量を決定する。エネルギ回収量を決定すると,VCMは駆動モータ・インバータに目標モータ・トルク信号を送信し,回生充電を開始する。参考  VCMは,減速時には常時回生充電制御を行っているが,リチウム・イオン・バッテリの充電量が十分にある

場合は回生充電制御を停止する。このため,走行中にアクセル・ペダルを離したときの減速感が弱く感じら

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れる場合がある。

5) リチウム・イオン・バッテリ充電制御

⑴ リチウム・イオン・バッテリ充電制御(システム概要)

VCMは,充電コネクタの接続やVCMに内蔵されているタイマなどによりEVシステムを起動し,リチウム・イオン・バッテリへの充電を開始する。⑵ 普通充電制御(図-29)

VCMが充電モードと判断すると,F/Sリレー及びM/CリレーをONにして充電を開始できる状態にする。次に,VCMはリチウム・イオン・バッテリ・コントローラより受信するリチウム・イオン・バッテリ充電可能電力信号と,車載充電器から受信する車載充電器充電可能電力信号をもとに最大充電電力を決定し,最大充電電力信号を車載充電器に送信する。車載充電器は,最大充電電力信号とEVSEコントロール・ボックスから受信する最大入力電流信号をもとに充電電力を決定する。同時に,車載充電器が普通充電リレーをONにすると共に,VCMがシステム・メイン・リレー1及び2をONすることにより充電を開始する。

図-29 普通充電制御システム図

イ 即充電モード

EVSEが普通充電ポートへ接続されると,EVシステム起動要求信号が車載充電器からVCMに送信され,すぐに充電を開始する。タイマ充電が設定されている場合は,車載充電器からEVシステム起動要求信号がVCMに送信されてもすぐに充電は開始しない。その状態から,VCMが即充電スイッチのON信号を検出すると,VCMは即充電モードと判断して充電を開始する。充電が規定量に達して,VCMがリチウム・イオン・バッテリ充電完了信号をリチウム・イオン・バッテリ・コントローラより受信すると,VCMは充電を停止する。ロ タイマ充電モード

設定された時間になると,VCMは自動的に起動し,充電を開始する。充電が規定量に達して,VCMがリチウム・イオン・バッテリ充電完了信号をリチウム・イオン・バッテリ・コントローラより受信する,又はタイマで設定されたタイマ充電終了時間になると,VCMは充電を停止する。

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参考  タイマ充電とタイマ・エアコンが同時に作動する場合は,ナビゲーション画面で設定された優先設定に従っ

てエアコンの電力配分を実施する。

ハ リモート充電モード

TCUからVCMにEVシステム起動要求信号が送信されると,VCMはリモート充電モードと判断して,充電を開始する。充電が規定量に達して,VCMがリチウム・イオン・バッテリ充電完了信号をリチウム・イオン・バッテリ・コントローラより受信すると,VCMは充電を停止する。ニ キャンセル条件

普通充電制御は,EVSEの外れを検出した場合に制御を停止する。また,以下の条件が成立した場合は,普通充電制御は一時中断し,待機状態となる。・AC電圧及びEVSEからのPWM通信が途絶した場合。・EVSEコネクタのリリース・スイッチがONとなった場合。・リチウム・イオン・バッテリの温度が60℃以上となった場合。⑶ 急速充電制御(図-30)

急速充電器の充電コネクタが急速充電ポートへ接続され,急速充電器のスタート・スイッチが押されると,車載充電器からEVシステム起動要求信号がVCMに送信され,VCMはF/Sリレー,M/Cリレー及びF/S・CHGリレーをONにしてEVシステムを起動させる。次に,VCMはLBCより受信するリチウム・イオン・バッテリ充電可能電力信号と,車載充電器より受信する車載充電器充電可能電力信号をもとに目標充電電力を決定し,最大充電電力信号を車載充電器に送信する。車載充電器は,その最大充電電力信号を充電電流要求信号にして,急速充電器に送信する。同時に,車載充電器が急速充電リレーをONにすると共に,VCMがメイン・リレー1及び2をONすることにより充電を開始する。充電量が規定量に達して,VCMがリチウム・イオン・バッテリ・コントローラよりリチウム・イオン・バッテリ充電完了信号を受信すると,VCMは充電を停止する。参考  ・充電量が規定量に達していない場合も,一定の時間が経過すると充電を停止する場合がある。

・リチウム・イオン・バッテリの温度が60℃以上になると,急速充電は一時停止して待機状態に入る。

図-30 急速充電制御システム図

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6) 高電圧冷却制御

⑴ 高電圧冷却制御(システム概要)(図-31)

VCMは,各センサ及び各ECUからの情報により,電動ウォータ・ポンプ1,電動ウォータ・ポンプ2及びクーリング・ファンを制御する。

図-31 高電圧冷却制御システム図

⑵ クーリング・ポンプ制御

クーリング・システムは二つのウォータ・ポンプを有している。VCMはこの二つのポンプを個別に駆動することにより,水温と車速に応じた冷却水の流量に制御している。またVCMは,片方のポンプに異常が発生すると,もう一方のポンプを増速し,冷却水の流量の低下を防いでいる。参考  ・VCMは車速30km/h以下で低車速低水温時流量制御を開始し,35km/h以上になると通常制御となる。

・VCMは水温30℃以下で低車速低水温時流量制御を行い,30℃以上になると通常制御となる。

⑶ クーリング・ファン制御

VCMは,エアコンの作動や冷却水温,冷媒圧力及び車速から,必要なクーリング・ファン回転速度を算出し,PWM通信でクーリング・ファン・コントロール・モジュールに送信する。通常走行時及び充電時は,以下の水温要求とエアコン要求の値に,エバポレータ温度補正値を加算した値から最も高い値を選択し,クーリング・ファン回転速度を決定する。

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7) エア・コンディショナ制御

⑴ エア・コンディショナ制御(システム概要)

EVでは,A/CリレーをVCMが制御することにより,乗る前エアコンやタイマ・エアコンなどパワー・スイッチOFF時でもエアコンが作動できるようにしている。VCMが,運転手の操作やタイマ・エアコン,乗る前エアコンなどによりエアコン起動が必要と判断すると,M/CリレーをONにしてEVシステムを起動させると共に,A/CリレーをONにしてエアコン・システムに電源を供給する。またVCMは,リチウム・イオン・バッテリの状態や車両状態からエアコン・システムが使用可能な電力を算出し,A/Cオート・アンプに送信する。エコ・モード選択時には,VCMはECOモード信号をA/Cオート・アンプに送信し,通常時よりも弱くエアコンを制御させる。

図-32 エア・コンディショナ制御システム図

⑵ 制御概要

イ 充電時エアコン制御

VCMは,充電中もエアコンの使用を可能としている。この場合,充電が完了すると同時にエアコンも停止する。参考  リチウム・イオン・バッテリ残量計のレベルが2未満の場合は,エアコンは作動しない。

ロ タイマ・エアコン制御

VCMは,以下の条件がすべて成立すると,出発予定時刻までに車内温度が25℃となるように,タイマ・エアコンを作動させる。・タイマ・エアコンのタイマがON・普通充電中(もしくはできる状態)で,AC電源の入力があるタイマ・エアコンの作動時間は,出発予定時刻の2時間前にVCMがEVシステムを起動し,A/Cオート・アンプが外気温及び車室内気温より作動必要時間を0~2時間の範囲で決定し,VCMに送信する。VCMは送られてきた作動必要時間を出発予定時刻から逆算し,タイマ・エアコン開始時刻を決定する。参考  ・タイマ・エアコン時にパワー・スイッチをONにすると,通常のエアコン制御に切り替わる。

・タイマ充電とタイマ・エアコンが同時に作動する場合は,ナビゲーション画面で設定された優先設定に従っ

てエアコンの電力配分を実施する。

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ハ 乗る前エアコン制御

VCMは,TCUより乗る前エアコン要求信号を受信すると,以下のようにエアコンを作動させる。

条  件 作動時間(分)

充電コネクタが接続されていない状態 15

EVSE接続時(AC入力あり) 15~120

急速充電中 15~120

参考  乗る前エアコン作動中にパワー・スイッチをONにすると,乗る前エアコンを終了する。

8) 可変電圧制御システム

⑴ 可変電圧制御システム(システム概要)(図-33)

可変電圧制御は,電装部品の使用状況や12Vバッテリ状態に応じて,DC/DCコンバータからの出力を13~15Vに変化させることにより,リチウム・イオン・バッテリの電力消費量を低減する。

図-33 可変電圧制御システム図

⑵ 制御説明

バッテリ電流センサ(温度センサ内蔵)は,12Vバッテリの充放電電流と12Vバッテリ周囲温度を測定する。VCMはその信号をもとにバッテリの状態と電装部品使用状況を判定し,目標出力電圧値を決定して出力電圧信号をDC/DCコンバータに送信する。DC/DCコンバータは,受信した出力電圧信号に基づいて出力電圧を制御する。また,出力電圧信号がない場合や可変電圧制御システムに何らかの異常が発生した場合は,DC/DCコンバータは14Vで出力を行う。

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9) 12Vバッテリ自動充電制御

⑴ 12Vバッテリ自動充電制御(システム概要)(図-34)

12Vバッテリ自動充電制御は,パワー・スイッチON時に12Vバッテリ電圧が低下した場合,又は車両が長時間放置された場合に,12Vバッテリを自動的に充電し,バッテリ上がりの頻度を低減している。VCMが自動充電が必要と判断すると,DC/DCコンバータ及びシステム・メイン・リレーを制御し,リチウム・イオン・バッテリの電力を用いて12Vバッテリを充電する。参考  12Vバッテリ自動充電中にREADYにした場合,又はリチウム・イオン・バッテリの充電を開始した場合は,

12Vバッテリ自動充電はキャンセルされる。

図-34 バッテリ自動充電制御システム図

⑵ 制御説明

イ パワー・スイッチON時

VCMは,パワー・スイッチON中に12Vバッテリ電圧をモニタし,電圧が低下したと判断すると充電を開始する。ロ 長時間放置時

VCMは,内部タイマで無操作時間を測定し,無操作の状態が※①グループA及びB:120時間に達すると自動充電を5分間実施する。 ②グループA及びB以外:24時間に達すると自動充電を4分間実施する。 VCMのグループにより時間が異なる。参考  (グループA) 237D0-

3NC0C,3NC0D,3NC1A,3NC2A,3NC1B,3NC2B,3NC1C,3NC2C

(グループB) 237D0-

3NC1D,3NC2D

VCMは,車両が以下の状態のいずれかを満たした場合に,無操作状態継続時間をリセットする。・READY状態を5分以上継続した。・普通充電を5分以上継続した。・急速充電を5分以上継続した。・タイマ・エアコン又は乗る前エアコンを5分以上継続した。参考  ・12Vバッテリ自動充電中は,充電状態インジケータが点滅する。

・12Vバッテリ自動充電制御は,一度パワー・スイッチをON⇔OFFすると約1時間は作動しない。

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10) 電源遮断制御

⑴ 電源遮断制御(システム概要)(図-35)

EVは高電圧電力を使用しているため,車両衝突などで高電圧回路がボデーと短絡すると感電の恐れがある。そのため,VCMはエアバッグ・センサ・ユニットより車両衝突検知情報信号を検出すると,F/Sリレー及びシステム・メイン・リレーをOFFにして,リチウム・イオン・バッテリと高電圧回路を遮断して感電の危険を低減している。

図-35 電源遮断制御システム図

5 自己診断機能

1) 故障診断概要

VCMは車載式故障診断システムに対応しており,システムに異常が発生した場合には自動的に異常を検出する。故障情報はDTCとしてVCMのメモリに記憶され,CONSULTⅢPlusを用いて確認することができる。⑴ カウンタ・システム

このシステムでは,「パワー・スイッチをOFF⇒ONに操作する」を1トリップと定義する。VCMは,故障を検出すると同時にDTCとフリーズ・フレーム・データを記憶し,最大40トリップを経験するまで記憶し続ける。また,記憶しているDTCと同じDTCを再度検出した場合は,カウンタはリセットされて再度「0」からカウント・アップする。⑵ DTCとフリーズ・フレーム・データ

VCMは,DTCを複数記憶でき,フリーズ・フレーム・データは一つのみ記憶できる。VCMがある不具合を検出してDTCとフリーズ・フレーム・データを記憶した後に,別の不具合を検出した場合,DTCは複数確認できるが,フリーズ・フレーム・データは最初に記憶したフリーズ・フレーム・データしか確認できない。DTCとフリーズ・フレーム・データは,自己診断を消去することにより消去できる。

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2) 電動パワー・トレイン・システム故障診断コード一覧表

※1:DTC:P0AA1を消去する場合は,コンサルトの作業サポート項目「特殊DTCクリア」を使用して消去する。(グループA及びB以外のVCMの場合。)

※2:グループA及びB以外のVCMには表示されない。※3:VCMグループについては,VCMグループの判別方法を参照する。

DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

U1000 CAN通信系 - 1 VCMがCAN通信信号,又はEVシステムCAN通信信号を2秒以上続いて送受信できなかったとき。

U1010 CAN異常 × 1 VCMのCANコントローラ初期診断で異常を検出したとき。

P0603 コントロールモジュール - 1 VCMバックアップRAMシステムが機能しないとき。

P0616 スタータリレー - 1 パワー・スイッチOFFにも関わらず,READY信号をVCMが受信したとき。

P0643 センサ電源 × 1 センサ電源電圧が5.6V以上,又は4.6V未満であるとVCMが検知したとき。

P0A00 冷却水温センサ - 1

VCMが,水温センサ信号電圧を以下のように検知したとき。・0.1V未満の状態を2.5秒以上検知したとき。・4.9V以上の状態を2.5秒以上検知したとき。

P0A08 DC/DCコンバータ - 1

READY時に,VCM電源電圧が12.48V以下で,かつDC/DCコンバータの異常を検出している状態が,2.5秒以上継続した場合。

P0A0B 高電圧システム接続異常 × 1 M/CリレーON前に,高電圧コネクタ接続検知回路電

圧が異常に高い状態が0.5秒以上継続した場合。

P0A8D 14V電源 × 1 READY中に,12Vバッテリ電源の電圧が10V未満の状態が10秒以上継続した場合。

P0A8E 14V電源 × 1 READY中に,12Vバッテリ電源の電圧が16Vを超える状態が25.5秒以上継続した場合。

P0A8F 14V電源 × 1シフト・ポジションがPレンジ以外でパーキング・ブレーキがOFF(解除)のとき,12Vバッテリ電源が12V未満の状態が10秒以上継続した場合。

P0A94 DC/DCコンバータ - 1

READY時に,VCM電源電圧が12.48V以下で,かつDC/DCコンバータの異常を検出している状態が,2.5秒以上継続した場合。

P0AA0 HVバッテリメインリレー+ × 1

EVシステム起動時に,駆動モータ・インバータ入力電圧が240V以上の状態が9秒以上継続した。EVシステム起動時に,駆動モータ・インバータ入力電圧が190V以上の状態が1分以上継続した。

P0AA1※1※3 HVバッテリメインリレー+ × 1駆動モータ・インバータの電圧が160V以上で,所定時間継続しても100V以上駆動モータ・インバータの電圧が低下しないことをVCMが検知したとき。

P0AA2 HVバッテリメインリレー+ × 1

VCMが,システム・メイン・リレー1の駆動回路の断線,もしくは抵抗が異常に大きい状態を2.5秒以上検出した場合。

P0AA4 HVバッテリメインリレー- × 1

F/SリレーがONで,かつシステム・メイン・リレーがOFFの状態のときに,システム・メイン・リレー駆動回路が断線,又は抵抗が異常に大きい状態を,VCMが2.5秒以上検出した場合。

P0AA5 HVバッテリメインリレー- × 1

F/SリレーがONで,かつシステム・メイン・リレーがOFFの状態のときに,システム・メイン・リレー駆動回路が断線,又は抵抗が異常に大きい状態を,VCMが2.5秒以上検出した場合。

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DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

P0AA6ハイブリッドバッテリ電圧系絶縁異常

× 1リチウム・イオン・バッテリから送られる絶縁抵抗低下モニタリング信号に基づき,高電圧回路の絶縁抵抗が380kΩ以下であるとVCMが検知したとき。

P1550 バッテリ電流センサ - 1 READY時又は充電中に,バッテリ電流センサからの出

力電圧が,一定の値で保持し続けた場合。

P1551 バッテリ電流センサ - 1 バッテリ電流センサからの電圧が極端に低いとVCMが

検知したとき。

P1552 バッテリ電流センサ - 1 バッテリ電流センサからの電圧が極端に高いとVCMが

検知したとき。

P1554 バッテリ電流センサ - 1 バッテリ電圧が正常であるにも関わらず,バッテリ電流

センサからの出力電圧が所定値よりも低い場合。

P1556 バッテリ温度センサ - 1

READY時又は充電中に,バッテリ電流センサからの出力電圧が,一定の値で保持し続けた場合。

P1557 バッテリ温度センサ - 1

P155A バッテリ温度センサ - 1 12Vバッテリ雰囲気温度が50℃以上である状態が10秒

以上継続したことをVCMが検知したとき。

P1564 ASCDスイッチ - 1

ASCDステアリング・スイッチからの信号電圧が異常に高い場合。ASCDステアリング・スイッチからの信号電圧が,規定値の範囲外である場合。VCMがASCDステアリング・スイッチの固着を検出した場合。

P1572 ASCD ブレーキスイッチ - 1

A) 車速が30km/h以上の状態で,ASCDブレーキ・スイッチとストップ・ランプ・スイッチからのON信号が同時に入力した場合。

B) 走行中,非常に長い時間ASCDブレーキ・スイッチ信号がVCMに送信されないとき。

P1574 ASCD車速センサ - 1 二つの車速信号に,一定以上のずれが生じた場合。P1610 ロックモード - 1 -

P1611 イモビ-VCM間ID相違 - 1 -

P1612 イモビ-VCM系統 - 1 -

P1805 ブレーキスイッチ × 1 走行中に,ストップ・ランプ・スイッチからの信号が長時間入力されない場合。

P2122 アクセルポジションセンサD × 1 ハーネス,又はコネクタ。

(アクセル・ペダル・ポジション・センサ1回路断線,又は短絡)アクセル・ペダル・ポジション・センサ1P2123 アクセルポジショ

ンセンサD × 1

P2127 アクセルポジションセンサE × 1 ハーネス,又はコネクタ。

(アクセル・ペダル・ポジション・センサ1,又は2回路断線,又は短絡)アクセル・ペダル・ポジション・センサP2128 アクセルポジショ

ンセンサE × 1

P2138 アクセルポジションセンサ × 1 VCMがアクセル・ペダル・ポジション・センサ1と2

の異常な信号を同時に検出した場合。

P3100 通信異常 × 1VCM起動時に,VCMがLBCと駆動モータ・インバータからのCAN信号が受信できない状態が5秒以上継続した場合。

P3101 VCM ×又は- 1 VCMの演算機能異常を検出した場合。

P3102 バッテリ不整合 × 1 VCM内部保持シリアルNo.と読み込んだシリアルNo.が不一致のとき。

P3117 A/Cシステム - 1 A/Cシステムの絶縁抵抗低下を検出したとき。

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DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

P311C 高電圧システム - 1

以下のすべての条件が成立している状態が0.2秒以上継続した場合。リチウム・イオン・バッテリ電流:5.5A以上駆動モータ・インバータ入力電圧:24V以下プリチャージできない。

P312A 通信異常 × 1VCMのセルフ・シャット・オフ直前に,EVシステムCAN通信を行っている各ECUからの通信が停止しない状態が25.5秒以上継続した場合。

P312B 再始動異常 × 1VCMセルフ・シャット・オフ完了前の再起動時に,駆動モータ・インバータと車載充電器の再起動ができない状態が30秒以上継続した場合。

P312C インバータ放電異常 × 1 READY停止中又は充電停止中に,駆動モータ・イン

バータ電圧が54V以上の状態が14秒以上継続した場合。

P312D 急速充電リレー × 1 急速充電器の準備が整わない時間が60秒以上継続したとき。

P312E READY OFF 異常 × 1

EVシステムの,READYからのスリープ移行中に,下記条件のいずれかが成立しない状態が25.5秒以上継続したとき。リチウム・イオン・バッテリ電流が5.5A以下にならない。駆動モータ・インバータが放電準備完了しない。

P312F 充電OFF異常 × 1

下記条件のいずれかが成立しない状態が25.5秒以上継続したとき。バッテリ電流が5.5A以下駆動モータ・インバータの放電準備完了急速充電リレーOFF。

P3130 インバータ放電異常 × 1 READY停止中又は充電停止中に,駆動モータ・イン

バータ電圧が54V以上の状態が14秒以上継続した場合。

P3131 システム停止タイムアウト × 1

VCMスリープ前に,以下の状態をすべて満たした場合。EVシステム起動要求信号を受信していないEVシステムCAN通信系ECUがスリープしない。

P3137 車両衝突検知 × 1 エアバッグ・コントロール・モジュールから,衝突検知情報信号を受信した場合。

P3141※2※3 車載充電器 × 1 充電時絶縁低下保護制御が,一定回数以上作動した場合。

P315C 充電リレー × 1 VCMがP31C8,P31C9,P31CA,又はP31CBを検出したとき。

P315E VDCシステム - 1 VCMがABSアクチュエータ・C/Uからのトルク要求信号の異常を2秒以上検知したとき。

P3160 電動型制御ブレーキユニット - 1 VCMが電動型制御ブレーキ・ユニットからの異常信号

を受信した場合。

P316A モータ回転速度 × 1 VCMが駆動モータ・インバータから異常なモータ回転速度を検知したとき。

P316F 車載充電器システム × 1 充電中に,車載充電器の出力充電電力が,0.1kW以下

になった場合。

P3172 車載充電器システム × 1

VCMが車載充電器からCAN通信で異常信号を受信したとき。

P3173 車載充電器システム ×又は- 1

P3175 VCM × 1VCMが電制シフト・コントロール・モジュールに送信しているCAN通信信号が異常な状態が0.1秒以上継続した場合。

P3176 インバータコンデンサ × 1 EVシステム起動時(プリチャージ中)に,プリチャージ

ができない状態が5秒以上継続した場合。

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DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

P3177 ECU起動異常

×(VCMグループA及びB)※3-(VCMグループA 及び B 以外)※3

1 EVシステム起動時に,車載充電器又は駆動モータ・インバータがEVシステムの起動を許可しない場合。

P3178 ECU起動異常 × 1EVシステム起動中に,リチウム・イオン・バッテリ又は駆動モータ・インバータからのEVシステム起動許可信号を受信できない場合。

P3179 モータシステム × 1VCMが駆動モータ・インバータからの異常信号をCAN通信で受信した場合。P317A モータシステム × 1

P317B モータシステム × 1

P317D モータシステム × 1

VCMが送信しているモータ・トルク指令値と駆動モータ・インバータから受信するモータ・トルク推定値にかい離がある状態が一定時間継続した場合。VCMがモータ・トルク指令値から算出した消費電力推定値と,リチウム・イオン・バッテリ電圧及び電流から算出した実消費電力に,20kW以上のかい離がある場合。

P317E 高電圧バッテリシステム - 1

VCMがLBCからの異常信号をCAN通信で受信した場合。P3180 高電圧バッテリシ

ステム × 1

P3182 高電圧バッテリシステム - 1

P3183 高電圧バッテリシステム × 1

M/CリレーONから0.3秒経過後,VCMが送信したテスト信号に対するLBCの回答が不良の状態が2.8秒以上継続した。

P3188 電制シフトシステム × 1 VCMが電制シフト・コントロール・モジュールから

DTC検出信号を受信した場合。

P318A 電制シフトシステム × 1 目標ギヤ位置と実ギヤ位置が異なる状態が1.2秒以上継

続した場合。

P318B 電制シフトシステム × 1

電制シフト・コントロール・モジュールが異常な状態が0.1秒以上継続した場合。電制シフト・コントロール・モジュールから送信されるシフト位置信号が疑わしい場合。

P318D 通信異常 × 1 VCMがCAN通信信号を送信できない状態が2秒以上継続した場合。

P3191 通信異常 ×又は- 1 VCMが駆動モータ・インバータから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P3193 通信異常 ×又は- 1 VCMがLBCから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P3194 通信異常 - 1 VCMがABSアクチュエータ・C/Uから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P3195 通信異常 - 1 VCMが電動型制御ブレーキ・ユニットから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P3196 通信異常 × 1 VCMが車載充電器から異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P3197 通信異常 × 1 VCMが電制シフト・コントロール・モジュールから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P319C 通信異常 × 1 VCMが駆動モータ・インバータから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P319E 通信異常 × 1 VCMがLBCから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P319F 通信異常 - 1 VCMがABSアクチュエータ・C/Uから異常信号をCAN通信で受信した場合。

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ニッサン

DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

P31A0 通信異常 - 1 VCMが電動型制御ブレーキ・ユニットから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31A1 通信異常 × 1 VCMが車載充電器から異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31A2 通信異常 × 1 VCMが電制シフト・コントロール・モジュールから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31A7 通信異常 × 1 VCMが駆動モータ・インバータから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31A9 通信異常 × 1 VCMがLBCから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31AA 通信異常 - 1 VCMがABSアクチュエータ・C/Uから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31AB 通信異常 - 1 VCMが電動型制御ブレーキ・ユニットから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31AD 通信異常 × 1 VCMが電制シフト・コントロール・モジュールから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31AE 通信異常 × 1 VCMが車載充電器から異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31AF 通信異常 × 1 VCMがA/Cオート・アンプから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31B0 通信異常 - 1 VCMがAV・C/Uから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31B3 通信異常 ×又は- 1 VCMがA/Cオート・アンプから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31B4 通信異常 - 1 VCMがAV・C/Uから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31B5 通信異常 - 1 VCMがコンビネーション・メータから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31B6 通信異常 - 1 VCMがIPDM・E/Rから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31B7 通信異常 × 1 VCMがエアバッグ・センサ・ユニットから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31B8 通信異常 - 1 VCMがTCUから異常信号をEVシステムCAN通信で受信した場合。

P31B9 通信異常 - 1 VCMが電動パーキング・ブレーキ・コントロール・モジュールから異常信号をCAN通信で受信した場合。

P31C0 車載充電器システム × 1 車載充電器からのEVシステム起動要求信号が5秒以上

入力し続けた場合。

P31C1 TCU × 1 TCUからのEVシステム起動要求信号が約5Vの状態が5秒以上続いた場合。パワー・スイッチをOFF→ON操作時に,TCUからのEVシステム起動要求信号が0Vのままの状態が3秒以上続いた場合。P31C2 TCU - 1

P31C4 VCMタイマ × 1 VCM起動時に,記憶していたタイマ充電設定情報が消去されていた場合。

P31C5 VCM - 1VCM内部異常を検出した場合。P31C6 VCM - 1

P31C7 VCM × 1

P31C8 車載充電器システム × 1 VCMが車載充電器から送信される普通充電リレー⊖の

固着信号を受信した場合。VCMが車載充電器から送信される普通充電リレー⊕の固着信号を受信した場合。P31C9 車載充電器システ

ム × 1

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ニッサン

DTC項目

(CONSULT表示名称)

EVシステム警告灯 ×:点灯-:点灯なし

診断トリップ DTC検出条件

P31CA 車載充電器システム × 1 VCMが車載充電器から送信される急速充電リレー⊖の

固着信号を受信した場合。VCMが車載充電器から送信される急速充電リレー⊕の固着信号を受信した場合。P31CB 車載充電器システ

ム × 1

P31D4 プリチャージリレー × 1

パワー・スイッチをOFFからREADYに操作時,プリチャージ・リレー駆動回路が断線,又は抵抗が非常に大きい状態が0.2秒以上継続した場合。

P31D5 プリチャージリレー × 1

READY直後又は充電開始直後に,駆動モータ・インバータ入力電圧が100V以上の場合。システム・メイン・リレー2のみがONしているときに,駆動モータ・インバータの入力電圧が100V以上の場合。

P31D6 F/Sリレー × 1 VCMがF/Sリレーの固着を検出した場合。P31D7 F/Sリレー × 1 VCMがF/Sリレーの断線を検出した場合。

P31DB HVバッテリメインリレー+ × 1 システム・メイン・リレー1駆動回路が地絡している状

態が2.5秒以上継続した場合。

P31DC HVバッテリメインリレー- × 1 システム・メイン・リレー2駆動回路が地絡している状

態が2.5秒以上継続した場合。

P31DD プリチャージリレー × 1 プリチャージ・リレー駆動回路が地絡している状態が

2.5秒以上継続した場合。

P31DE HVバッテリメインリレー × 1 システム・メイン・リレー遮断時の高電圧電流値を積算

し,その積算値が一定以上となった場合。

P31E0 高電圧システム接続異常 × 1 READY時に,高電圧ハーネス接続検知回路の電圧が異

常に低い状態が2.5秒以上継続した場合。

P31E1 高電圧システム接続異常 × 1 VCMが,LBCから送信される高電圧接続異常の信号を

受信した場合。

P31E2 高電圧システム接続異常 × 1 VCMが,車載充電器から送信される高電圧接続異常の

信号を受信した場合。P31E7 再起動禁止 × 1 VCMがDTC“P0AA6”を検出した場合。

P31E8 ウォータポンプ1 × 1電動ウォータ・ポンプ1からのフィードバックDUTYが以下である状態が30秒以上継続した場合。2%以下 98%以上 13%~17%の間

P31E9 ウォータポンプ1 × 1電動ウォータ・ポンプ1からのフィードバックDUTYが83%~91%の間で保持した状態が30秒以上継続した場合。

P31EA ウォータポンプ2 × 1電動ウォータ・ポンプ2からのフィードバックDUTYが以下である状態が30秒以上継続した場合。2%以下 98%以上 13%~17%の間

P31EB ウォータポンプ2 × 1電動ウォータ・ポンプ2からのフィードバックDUTYが83%~91%の間で保持した状態が30秒以上継続した場合。

P31EC ウォータポンプ1 - 1電動ウォータ・ポンプ1からのフィードバックDUTYが3%~7%の間で保持した状態が30秒以上継続した場合。

P31ED ウォータポンプ2 - 1電動ウォータ・ポンプ2からのフィードバックDUTYが3%~7%の間で保持した状態が30秒以上継続した場合。

P31EE 冷媒圧力センサ - 1冷媒圧力センサからの信号電圧が,約0Vの状態が2.5秒以上継続した場合。冷媒圧力センサからの信号電圧が,約4.7Vの状態が2.5秒以上継続した場合。

P31F0 DC/DCコンバータ通信線 - 1 DC/DCコンバータ温度信号が異常な状態が2.5秒以上

継続した場合。

P31F2 AV設定情報 - 1

VCMのタイマとAV・C/Uのタイマがずれている状態が250秒以上継続した場合。VCMが,タイマ・セット信号を受信したがタイマ充電の設定ができなかった状態が5秒以上継続した場合。

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3) 故障診断(例:READYにならない)

現  象 推定原因 対応方法

READYにならない

READY条件が成立しない

BCMがREADY信号を出力しない

ストップ・ランプ・スイッチ異常 構成部品機能点検

ストップ・ランプ・スイッチ信号線異常

ストップ・ランプ・スイッチ~BCM間の信号線を点検する。

パワー・スイッチ異常 構成部品機能点検

パワー・スイッチ信号線異常 パワー・スイッチ~BCM間の信号線を点検する。

VCMにREADY信号が入力しない READY信号線異常 BCM~VCM間の信号線を点

検する。VCMが,セレクト・レバーがP又Nレンジ以外と認識している

電制シフト・システム異常 電制シフト・システムの自己診断を実施する。

VCMが,充電コネクタが接続していると認識している

・普通充電コネクタ接続検知回路系統異常

・急速充電コネクタ接続検知回路系統異常

車載充電器の自己診断を実施する。

VCMのフェイルセーフでREADY禁止になっている

EVコントロール・システム異常 VCMの自己診断を実施する。

VCMが電欠状態と認識している

電欠している リチウム・イオン・バッテリ充電を実施する。

LBC異常 LBCの自己診断を実施する。VCMがステアリング・ロックが解除されないと認識している

ステアリング・ロック機構異常

ステアリング・ロック・システムを点検する。

READYになっているにも関わらず,走行可能表示灯が点灯しない

・コンビネーション・メータ異常

・LED異常・VCM異常

VCMのアクティブ・テストで,走行可能表示灯を点検する。CONSULTの機能を参照する。

6 重点部位の点検・整備

1) 整備上の注意事項

⑴ 特別教育,指名作業の義務付け

イ 労働安全衛生法

労働安全衛生法第59条及び労働安全衛生規則第36条(特別教育,指名作業)高電圧回路に関わる点検・整備を行う作業者には労働安全衛生法第59条並びに労働安全衛生規則第36条に定められた特別教育の受講が義務付けられており,指名作業の手続きを取る必要がある。ロ 高電圧作業上の注意

警告  ハイブリッド車や電気自動車は高電圧バッテリを有しているため,取り扱いを誤ると感電,漏電などのおそ

れがある。点検・整備を行う際は,作業手順に従い正しい作業を実施すること。

・高電圧系のハーネス,及び部品の点検・整備時は,高電圧回路を遮断するため,必ずサービス・プラグを取り外すこと。・取り外したサービス・プラグは,作業中にほかの人が誤って接続することがないよう,必ずポケットに入れて携帯するか工具箱などに入れて保管すること。・高電圧系の作業を実施する際は,必ず絶縁保護具を着用すること。・高電圧作業時は担当者を明確にし,ほかの人が車両に触れないようにすること。また,作業時以外は耐電カバー・シートなどで高電圧部品を覆い,ほかの人が触れないようにすること。

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注意  サービス・プラグを取り外した状態で車両をREADY状態にすると,不具合が発生する可能性があるため,

サービス・マニュアルに指示がある場合を除いて,READY状態にしないこと。

ハ 高電圧ハーネス,機器の識別

高電圧ハーネス,及びコネクタはオレンジ色に統一してある。また,リチウム・イオン・バッテリをはじめ高電圧機器には「高電圧」のオレンジ色のラベルが貼り付けてあるので,これらのハーネスや部品には不用意に触れないこと。高電圧ハーネス・コネクタ,端子の処理外した高電圧ハーネス・コネクタは端子が露出しないよう,直ちに絶縁テープで保護すること。ニ 作業中の携帯禁止品

高電圧と強力な磁力をもつ部品が使われているので,短絡のおそれのある金属製品や,磁気記録破壊のおそれのある磁気記録媒体(キャッシュ・カード,プリペイド・カードなど)を身につけて作業を行わないこと。2) 高電圧遮断方法

⑴ 遮断手順

高電圧系の点検・整備は下記手順に従い,高電圧を遮断すること。①パワー・スイッチをOFFにする。注意  インテリジェント・キーは作業者自ら保管すること。

②12Vバッテリのマイナス端子を外す。③以下の手順でサービス・プラグを取り外す。ⓐ後席足元のフロア・カーペットの切り込み部を摘み,フロア・カーペットをめくる。(図-36)

図-36 点検ホール・カバー

ⓑ点検ホール・カバー取り付けボルトを取り外し,点検ホール・カバーを取り外す。(図-37)

図-37 点検ホール・カバー取り外し

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ⓒ図の手順(1),(2)でロックを解除し,サービス・プラグを車両上方(3)へ引き抜いて取り外す。(図-38)

図-38 サービス・プラグ

危険  端子部には高電圧が掛かっているおそれがあるので注意すること。

警告  ・高電圧系の作業を実施する際は,必ず絶縁保護具を着用すること。

・外した高電圧コネクタ(高電圧端子)は端子が露出しないよう,直ちに絶縁テープで保護すること。

・サービス・プラグは作業者自ら保管すること。

④上記ⓐ~ⓒの作業実施後,10分以上経過してから作業を開始する。3) 絶縁保護具,絶縁工具

⑴ 保護具の管理

・使用前点検を行い,異常のある物は使用しない。・絶縁ゴム手袋は使用前点検に加え,6ヶ月毎に1回定期に絶縁性能の自主検査を行う。参考  サービス・マニュアル記載作業上の使用においては,労働安全衛生規則第351条の定期自主検査は不要である。

(交流300V以下,直流750V以下においての使用であれば検査不要のため)

・絶縁ゴム手袋は下記に該当する場合,簡易絶縁性能試験を行い異常のないことを確認してから使用する。

-老朽化などにより異常の疑いが見られる場合。

-6ヶ月を超える期間使用せず,再び使用を開始する場合。

・使用前点検,簡易絶縁性能試験は下記“使用前点検実施記録”,“簡易絶縁性能試験記録”を用いて記録して

おく。

⑵ 絶縁ゴム手袋簡易絶縁性能試験

下記要領で絶縁ゴム手袋の簡易絶縁抵抗試験を行う。水槽に水の入った手袋を入れ,絶縁抵抗計で水槽の水と手袋内の水の絶縁抵抗を下記条件にて測定する。・印加電圧:500V,印加時間:1分 正常値:1MΩ以上注意  絶縁ゴム手袋の絶縁性能検査結果が1MΩ以上であっても,ギリギリの場合は,NGと判断し,良品(新品)と

交換し,常に安全が確保できるようにすること。

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⑶ 日常点検(図-39)

使用前後に行う点検で,老朽や損傷状態を直接使用する作業責任者が点検・確認する。絶縁ゴム手袋(600Vまでの低圧作業用)・絶縁ゴム手袋に傷,穴,破れがないか点検する。(目視と空気の漏れ確認)

図-39 絶縁ゴム手袋日常点検

4) 12Vバッテリ外し後にステアリング操作を必要とする場合の注意事項

本車両は電気的なラッチ作動によるステアリング・ロック機構を採用している。そのため,12Vバッテリを外した場合又は12Vバッテリあがりの場合はステアリング操作ができなくなる。12Vバッテリからの通電停止時にステアリング操作を必要とする場合は,下記手順に従い作業を行うこと。⑴ 作業手順

①12Vバッテリを接続する。参考  12Vバッテリあがりの場合は,ブースタ・ケーブルなどで電力を供給すること。

②パワー・スイッチを「ACC」にする。(この時点でステアリング・ロックは解除される)③12Vバッテリを外す。(12Vバッテリを外してもステアリング・ロックは解除されたままとなり,ステアリング操作が可能)④各々目的の作業を行う。⑤作業終了後12Vバッテリを接続し,ブレーキ・ペダルを踏まない状態でパワー・スイッチを操作して,ACC→ON→OFF→LOCKの操作を行う。

⑥CONSULTを使用して全自己診断を実施し,DTCを消去する。参考  ACC状態で12Vバッテリを外すと複数のDTCを検出する。

5) 12Vバッテリ取り外し時の注意

①EVSEが接続されていないことを確認する。参考  EVSEが接続されていると,タイマ・エアコンによりエアコン・システムが自動的に作動する場合がある。

②パワー・スイッチをOFF→ON→OFF後,車外に出て,すべてのドア(バック・ドア含む)を閉める。③充電状態インジケータが点滅していないことを確認し5分以上待機する。参考  パワー・スイッチOFF後,5分以内にバッテリを外すと複数のDTCを検出することがある。

④パワー・スイッチをOFF→ON→OFFしてから1時間以内に12Vバッテリを取り外すこと。参考  ・パワー・スイッチOFFの状態でも,12Vバッテリ自動充電制御が自動的に作動する場合がある。

・12Vバッテリ自動充電制御は,一度パワー・スイッチをON→OFFすると約1時間は作動しない。

注意  ・ドア(バック・ドア含む)を閉めてからバッテリ端子を取り外す前にドア(バック・ドアを含む)を開けた場

合は,手順①からやり直す。

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・パワー・スイッチOFF後,ユーザ操作により「乗る前エアコン(リモート)」が作動した場合は,エアコンの

作動を停止させて,手順①からやり直す。

6) パーク・ロック/ステアリング・ロック解除方法(図-40)

注意  やむを得ず前輪接地,又は手押しなどで車両の移動を行う場合,パーク・ロックの解除状態(Nレンジ)を維

持する必要がある。この車両は,パワー・スイッチOFF状態や12Vバッテリの電力低下でパーク・ロックが

作動する。Nレンジを維持するため,下記の作業を必ず行うこと。下記作業を行わずけん引を行った場合,

重大な事故に繋がる可能性がある。

①パワー・スイッチをONにする(フット・ブレーキを踏まずにパワー・スイッチ2度押し)。このとき,電動パーキング・ブレーキが作動していることを確認する。②シフト・ポジションをPレンジからNレンジにする(すべてのドアが閉まっている状態でフット・ブレーキを踏み,Pレンジを解除する)③下記のヒューズを取り外す。・PBW・MTR-1  ・PBW・MTR-2  ・METER1

図-40 ヒューズの取り外し

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④電動パーキング・ブレーキを解除する。⑤パワー・スイッチをOFFにする(フット・ブレーキを放す)。⑥パワー・スイッチOFFのまま車両を移動する。⑦車両の移動後,車両固定する(電動パーキング・ブレーキ,輪留めなど)。参考  復帰方法

①取り外したヒューズを取り付ける。②パワー・スイッチをONにして5秒待機(フット・ブレーキを踏まずパワー・スイッチ2度押し)。このとき,シフト位置はNレンジのまま(12Vバッテリが電力不足の場合は,外部から充電してください)。③パワー・スイッチをOFFにする(5秒待機)。7) 廃車時の注意

廃車するときには車両からリチウム・イオン・バッテリを取り外すこと。注意  外したリチウム・イオン・バッテリの端子は,絶縁テープで絶縁処理をすること。

8) けん引方法

注意  不適切なけん引をすると,車両を破損させるおそれがある。車両が動かなかったり,異常な音がするときは,

けん引せずに日産販売会社へ連絡する。けん引が必要な場合は,できるだけ日産販売会社又はJAFなどの

ロード・サービスに依頼すること。

・けん引は30km/h以下の速度で30km以内の距離とすること。・下記のイラストのように必ず駆動輪(前輪)を上げるか,車両をトレーラに載せてけん引を行うこと。・前輪又は4輪を接地させた状態では絶対にけん引しないこと。

図-41 けん引方法

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9) 「高電圧作業中」の表示

高電圧系の作業を行っている車両には下記の「高電圧作業中に付き触れるな!」の表示を行い,他の作業者にも注意を喚起する。

図-42 高電圧作業中表示

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7 参 考

電動パワー・トレイン・コントロール・システム回路図

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