目覚ましい成長を遂げる インドネシア不動産市場 - …...2012/10/01  ·...

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目覚ましい成長を遂げる インドネシア不動産市場 201210

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目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場2012年10月

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はじめに創刊号「東南アジアにおける不動産投資: 注目される魅惑の成長市場」に続き、本号では、アジアの投資先として人気が高いインドネシアに焦点をあてます。インドネシアは世界金融危機以前、他国のような不動産ブームの恩恵を受けなかった一方、金融危機以後の流動性の喪失と需要の減退による市場の暴落には見舞われませんでした。現在のインドネシアの不動産市場は、懸念される世界経済とは一線を画します。堅調な国内消費や都市化の進展、さらに若い人口構成などにより、投資家がインドネシアに押し寄せているのです。実際、ポートフォリオ投資と海外直接投資(FDI)の急増は不動産市場だけでなく他業種でもみられ、私募の投資家の間でも関心が高まっています。

インドネシアの人口は2億3,800万人を超え、世界で4番目の人口大国です。年間の人口増加率は1.5%と、「毎年シンガポールが新たに誕生する」規模に相当します。インドネシアの経済規模は東南アジア最大です。

インドネシアの不動産市場の魅力は、住宅からオフィス、さらに商業施設から工業団地まで、分野が多様なことです。人口の伸びと都市化のトレンドにより、各主要都市と周辺の衛星都市では、好調な販売が伴う形で新たな住宅開発の進展が見込まれます。また、このような背景により、商業施設に対する新たな需要も創られています。さらに、ここ数年オフィス分野では、年間オフィススペースの供給は、かろうじて需要に追いついている状況といえます。今後、巨額な海外直接投資(FDI)、企業の拡張や新規開設などを受けて、旺盛なオフィス需要が続く見通しです。

しかし、インドネシアでは、まださまざまな課題や障害が残っています。外国人投資家が共通して挙げる改善要求項目としては、煩雑な免許制度、透明性の不足、インフラの脆弱さなどがあります。一方でかなり改善がなされてきている面もあり、中間層の拡大と豊富な天然資源、2014年に創設される東南アジア諸国連合(ASEAN-5)の共通貿易市場(インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムが加盟)による恩恵などを考慮すると、注目すべき国であることは明らかです。

1

投資の方法 2

不動産の利用権と所有権

多層式建物の所有権(ストラータ・タイトルの建物)

外国人による不動産所有の規制

土地取得法

外国為替管理

投資ビークルの設立

不動産の所有、運営、取得、譲渡に関する税金

インドネシアにおける投資地域と投資対象 12

ジャカルタ

スラバヤ

バリ

ビンタン

バタム

不動産市場に対する課題 24

煩雑な事務手続と透明性の低さ

インフラ整備の遅れ

資金流出と為替の変動

燃料補助金とインフレ

目 次

2 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

投資の方法

目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場2

3目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

インドネシアの法律は、(アダットとして知られる)慣習法とオランダ系ローマ法を取り入れた民法に基づいています。

1960年土地基本法(UUPA)に関する不動産事項の大半は、国家土地局(BPN)が管轄しています。

不動産の利用権と所有権

土地の権利は、二つのカテゴリーに区分されます。

1. アダット上の土地(慣習法上の土地)

• 関連する土地事務所(国家土地局)には登記されていない

• 通常、伝統的な共同体社会の所有権形態により保有されている

• このカテゴリーに属する利用権は、認証された権利に転換可能である

2. 認証された土地

• 権利関係は1960年の土地基本法により定められ、各地の土地事務所に登記されている

• 土地基本法に基づく土地の基本的な権利は、6種類ある

国家

国家土地局 (BPN)

• インドネシア法に従い、すべての土地を管理

• 鉱業と林業以外の土地関連事項を管理(利用権や所有権など)

• 土地証書作成官(PPAT)が作成した証書に記録された土地・建物の売却・購入取引を登記する

• 土地の利用権および各種許可を付与する

土地証書作成官 (PPAT)

• 土地・建物の取引に関する証書の作成権限がある• 土地・建物の登記状況をBPNと確認する• 売却・購入取引の有効性を認証する責務を負う

4 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

d. 運用権(Hak Pengelolaan)

• 当局が認めた特定の目的のために国有地を使用する権利

• 期間を定めず地域の一部の土地の使用計画を定めるため、国営企業や政府機関にのみ供与される

• 建設権(HGB)や使用権(HP)として第三者に譲渡することができる

e. 賃借権(Hak Sewa Bangunan)

• 建設目的のための個人所有の土地に対する権利。土地事務所には登記されない権利であるため、権利証は発行されない

• 賃借期間や譲渡の可否については、インドネシアの法律に規定がないため、当事者間の私的な合意により定められる

• インドネシアに居住する外国人または外国法人の駐在員事務所が保有できる

• 抵当権を設定することはできない

f. 事業権(Hak Guna Usaha)

• 国有地を農業用・水産および畜産用に使用する権利

• 有効期間は最長35年であるが、さらに通常25年延長できる

• インドネシア国籍保有者、インドネシア法人、インドネシアの法律に基づき登記された外国との合弁企業や外資系企業が保有できる

• 譲渡、または抵当権を設定することが可能

a. 所有権(Hak Milik: HM)

• コモンローの法域における自由保有権に相当する、土地に関する最も強力な権利

• ただし、土地基本法は土地の「社会的機能」を認めているので、絶対的な権利ではなく、提案されている土地取得法の対象になることがある(後述)

• 権利は相続可能

• 権利を保有できるのはインドネシア国籍保有者のほか、政府系銀行、社会団体、農業組合連合、宗教団体など政府が指定した特定の法人に限られている

• 売却、譲渡、遺贈、抵当権を設定することが可能

b. 建設権(Hak Guna Bangunan: HGB)

• 個人所有の土地に建物を建設する権利

• 有効期間は最長30年、さらに通常20年延長可能

• インドネシア法人、またはインドネシアの法律に基づき登記された外国との合弁企業や外資系企業が直接保有できる

• 売却、譲渡、遺贈、抵当権を設定することが可能

c. 使用権(Hak Pakai: HP)

• 国有地または個人所有の土地を、当事者が合意した特定の目的のために使用する権利

• 有効期間は、国有地の場合は最長25年、さらに通常20年延長可能であるが、場合によっては合意証書に記載することにより期限を定めないこともある

• 個人所有の土地に対して供与される場合は25年間有効だが、延長することはできない

• インドネシア国籍保有者、インドネシア法人、インドネシアの法律に基づき登記された外国との合弁企業や外資系企業、インドネシアに居住する外国人、外国法人の駐在員事務所が保有できる

• 土地所有者の承認を条件に売却、譲渡、交換することが可能

• 資金調達目的の権利としては、所有権や建設権より価値が低いと考えられている

5目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

使用権(Hak Pakai: HP)

• 国有地に対して付与される借地権 (25年+20年/または無期限): 所有権に対して付与された場合は最長25年

• インドネシア国籍保有者/インドネシア法人、インドネシアに居住する外国人、インドネシアで登記された外国との合弁企業や外資系企業、外国法人の駐在員事務所

賃借権(Hak Sewa Bangunan)

• 非公式

• インドネシア国籍保有者/インドネシア法人、インドネシアに居住する外国人、インドネシアで登記された外国との合弁企業や外資系企業、外国法人の駐在員事務所

事業権(Hak Guna Usaha)

• 国有地に対して付与される借地権(35年 + 25年)

• 農業・水産および畜産業が対象

• インドネシア国籍保有者/インドネシア法人、インドネシアで登記された外国との合弁企業や外資系企業

建設権(Hak Guna Bangunan: HGB)

• 借地権 (30年 + 20 年)

• インドネシア国籍保有者/インドネシア法人、インドネシアで登記された外国との合弁企業や外資系企業

所有権(Hak Milik: HM)

• 自由保有権

• インドネシア国籍保有者と政府が指定した特定の法人にのみ認められる

運用権(Hak Pengelolaan)

• 国有地を対象に期限を定めず付与される

• 国営企業/政府機関のみ

• 建設権や使用権として譲渡できる

土地

インドネシアの土地に関する権利の概要は、次のとおりです。

6 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

外国人による不動産所有の規制

• インドネシアでは、外国人個人による土地の所有は認められていません

• 国の開発に寄与する外国人やインドネシアに一時的に在住または永住する外国人には、次のような権利が認められます。政府は期間の延長(例えば、95年かつ延長可能)を検討しています

• 使用権のある土地に建設されたストラータ・タイトルの共同住宅

• 使用権のある土地に助成金なしで建てられた住宅

• 使用権があり住宅を建てることができる空閑地といったものに対する賃借権および使用権

• 同様に、現在のインドネシアの法律の下で登記された外資系企業や外国との合弁企業にはインドネシアにおける土地の所有は認められていません

• �いわゆる外資系企業は、建設権、使用権、賃借権、事業権の恩恵を受けることができます。建設権の保有は建物が建てられている土地の所有と同等とみなされる場合もあります

• 現在のインドネシアの法律の下で、登記されていない外国法人に認められているのは使用権と賃借権のみです

多層式建物の所有権(ストラータ・タイトルの建物)

• インドネシアの法律は区分所有の原則、すなわち土地の所有権や建物の所有権を区分することを認めています

• ストラータ・タイトル(区分所有)の建物に関する所有権は、1985年アパート法第16号に定められています。この権利には、個別に独立した性質の権利と、敷地内の共有地、共有設備、共有施設を含んでいます

• こうした多層式建物は、所有権、建設権、使用権を有している土地に建設することができ、それぞれがストラータ・タイトルの建物について法的な所有権者を定めます。使用権の場合には通常、外国人や外国法人が土地を直接保有することも認められています

ストラータ・タイトルの建物が建てられた土地に関する権利の種類

ストラータ・タイトルの法律上の所有権者

所有権 (HM) •

インドネシア国籍保有者

政府指定の特定の法人

建設権 (HGB) (最も一般的)

インドネシア国籍保有者およびインドネシア法人

インドネシアで登記された外国と合弁企業または外資系企業

使用権 (HP) •

インドネシア国籍保有者およびインドネシア法人

インドネシアに居住する外国人

インドネシアで登記された外国との合弁企業または外資系企業

外国法人の駐在員事務所

7目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

土地取得法

• インドネシアでは歴史的に土地の所有が非公式に行われてきたこと、多数の政府官庁が関与していること、公平な補償額の決定が困難なことから、土地の取得に関する制度の整備が遅れています

• 2011年12月に議会で可決された最新の土地取得法により、補償金、移転用地、公共事業に係る持分を提供することで、政府の土地取得が認められました。補償金の額は、国家土地局が認可した独立の鑑定チームが決定し、30日以内に支払われます

• 土地取得法は、政府が発注するインフラ事業のための土地取得に関するすべての法的手続を583営業日以内に完了するよう規定しています。また、土地の取得に先立ち、60日間の公聴期間を設けることも認められています

• 2012年8月上旬、公共施設のための土地取得法に関する2012年法律第2号の実施規則に関する2012年大統領令第71号に、ユドヨノ大統領がついに署名しました

外国為替管理

• 原則として、外国為替取引に規制はありません。現地通貨のルピア(IDR)は自由に両替できますが、1億ルピア以上の国外送金にはインドネシア銀行の承認が必要です

• 外国との外貨資金の入金・送金に規制はありません

• 海外からの借入については、インドネシア銀行が自国の為替変動をモニターするため、インドネシア銀行への登録と、以降の取引に係る月次報告が義務付けられています

• 2007年投資法第25号により、税引き後利益の全額及び特定の費用と補償金(国有化の場合)については、(当初の投資通貨で)本国に送金できることが保証されています

投資ビークルの設立

1. 参入形態

• 特定の戦略的業種である企業を除き、外国人投資家はインドネシア企業の発行済み資本を最大100%保有することが認められています。外国資本は、投資禁止事業分野と条件付き投資開放分野のリストに関する2007年インドネシア大統領規則第77号の改正に関する2007年大統領規則第111号によって規制されています

• 一般的なビークルは次のとおりです

• 合弁企業(インドネシア企業との合弁または外国人による100%保有)、

• パートナーシップ(現地においては一般的)

• 外国法人の支店(大半は外資系の銀行や石油・ガス会社)

• 外国企業の駐在員事務所(一般的に現地と外国のバイヤー、サプライヤー間の取引を促進するために設立されるもので、営業活動は認められません)

2. 登録とライセンス要件

• 投資調整庁(BKPM)は、外国投資と国内投資に関する法令の立法を効果的に行う目的で設立されたインドネシア政府の投資サービス部門です。BKPMは、省庁に属さないインドネシア大統領直属の政府機関です

8 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

• 外国投資の実施にあたっては、株式会社(PT)形態の外国投資企業(PMA企業)を設立します。PMA企業は次のようにして設立できます

• 100%外国人所有のPTを新たに設立する

• インドネシアのパートナーと合弁企業形式で新たなPTを設立する

• 既存のPTの持分を取得する

• 事業活動の種類に応じた授権資本(最低約25万USドル)を添えて、BKPMに外国投資の申請書を提出します。申請が許可されると、仮事業免許が発行され、インドネシアで投資を開始するまでに最高3年の期間が投資家に認められます

BKPMから恒久営業許可(IUT)を取得する

事業の性質に応じて免許取得や登録のサポートを行う

地方自治体レベル

1. 投資目的の土地利用(都市計画アセスメント、建物の配置プラン、土地・土壌の取得認可原則、土地利用許可証の割当)

2. 事業ビル建設許可(建築物建設勧告と建物利用許可証)

3. 環境関連の免許(環境影響評価推薦状と妨害許可条項)

BKPMレベル

1. 駐在利用計画

2. 税関の承認書

注: 上記リストは全項目を網羅はしていません

外国人投資家のBKPMより外国投資許可を取得

インドネシアの公証人を通じた設立証書と定款の認証

税務署から納税者番号を取得

PMA銀行口座を開設

オフィスビルの所有者または地方政府から、PMA企業の所在地を記載した所在地証明を取得

法務人権省に登記。承認により、PMA企業は株式会社とみなされる

商業省に認可された会社登録証を登録、官報に発表される

• PMA企業を設立するには、会社登録証、所在地証明、納税者番号、法務人権省の承認などさまざまな書類の提出が必要です。一部の事業については、駐在利用計画、拠点許可証、建設許可証、迷惑防止法許可証、環境免許、税関の承認書など、地方当局からの他の関連書類が必要となります

• PMA企業は、全面操業の準備が整い、関連する必要免許を取得すると、BKPMから恒久営業許可(IUT)を取得する必要があります。IUTは30年間有効で延長可能です

• PMA企業の設立手順は、次のとおりです

9目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

「インドネシアの税制は外国人投資家を優遇しているといえますが、税法上、明確でない部分や異なる解釈を許すような「ギャップ」が存在します。しかも、インドネシアの国家予算は税収への依存度を高めており、税務当局に対し税収増加の圧力が強まっています。

アーンスト・アンド・ヤングは、インドネシアの税制について豊富なナレッジを提供します。クライアントの税務ストラクチャーを最初の段階から適切に構築することで、長期的には労力が削減され、将来発生する税務事項が簡素化されます。」

アーンスト・アンド・ヤング・インドネシア 税務サービスリーダー Ben Koesmoeljana

3. 契約に使用される言語

• 契約書はインドネシア語に限る旨の規定はありませんが、将来争議が生じることを回避するため、インドネシア語(または2カ国語)で契約書を作成することが推奨されます

4. 過少資本税制

• 一般的に、会社設立時の資本負債構成に制約はありません。また、利払いや債務に係る他の条件が独立企業間取引を基礎として定められている場合、一般的に支払利息は税額計算上、損金算入されます

• ただし、所得税法第18条は、財務省に一定の負債資本比率(D/E)を定める権限を付与しています

• 負債資本比率の決定とは別に、第18条は税関総局庁に、特殊な関係が存在する場合、支払利息の損金算入を認めない旨の権限を認めています。共通の者が複数の法人の株式持分を直接的、間接的に25%以上保有している場合、または経営陣を通して共通の者に支配されている場合には、特殊な関係が存在するとみなされます

不動産の所有、運営、取得、譲渡に関する税金

• 法律第22号(地方自治)および第25号(中央政府と地方政府間の財政均衡)は地方政府に対し、特定の業種に関する税金や投資に対する許可の規則の新設を認めています

• インドネシア居住法人は、全世界所得が課税対象となりますが、非居住法人はインドネシアの源泉所得についてのみ課税されます。またインドネシア国内の恒久的施設(PE)を通じて事業活動を行っている外国法人は通常、国内居住の納税者と同じ納税義務を負います。なお、インドネシアで設立した法人、または本社がインドネシアにある法人はインドネシア居住者とみなされます

• インドネシアにおける主な税金を、次のリストにまとめます

10 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

税金の種類 取得 保有 売却

事業に対する税金

居住、非居住法人の所得に対する法人税率

一律25%(小規模企業と、総所得が500億ルピア以下の居住法人については、該当する範囲で軽減税率の適用がある)

40%以上の株式を公開している上場企業は、20%

(石油、鉱業、地熱など)特定の業種の企業には、特別税率

(建設、建設設計・監督・コンサルティング会社、非居住の国際海運会社・航空会社など)特定の業種においては、総収入の一定割合を所得税として納税

土地や建物に係る権利を取得した際の、土地・建物の権利取得税

取引額または評価額のうち、高い方の5%

合併に伴う移転、または親族への移転等については、各種免除規定がある

土地や建物に係る権利の売却または譲渡に対する税金

• 売却代金または政府が定める公正価値のうち、高い方の5%(課税対象の売却価値)

外国人が保有するインドネシア資産の売却に対するキャピタルゲイン税

総収入の5%(該当する場合*は、租税条約の規定に従う)

資産売却損は損金算入可能

資産の評価替えによる評価益に対する税金

• 10%

評価替えした資産が5年以内に売却または譲渡された場合の税金

• 15% (政府への譲渡、または適格合併に伴う譲渡は除く)

インドネシア証券取引所での株式売却収入への税金

(取引額の)0.1%

0.5% (売主が創業株主の場合)

土地や建物からの賃貸収入に対する源泉徴収税

• 土地または建物の賃貸料収入総額の10%

11目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

税金の種類 取得 保有 売却

源泉徴収税(居住納税者またはインドネシアにある外国企業のPEから非居住者への支払)

配当に係る源泉徴収税 • 支払総額の10%~20% (該当する場合は*租税条約の規定に従う)

利息に係る源泉徴収税 • 取引額の5%または支払総額の0%~15% (該当する場合*は、租税条約の規定に従う)

ロイヤルティ(インドネシアでの不動産賃借料やノウハウ使用料、その譲渡代金を含む)

• 支払総額の0%~15%(該当する場合*は、租税条約の規定に従う)

間接税

土地や建物に係る権利取得の際の公証人への手数料

• 取引額の約 0.5%~1.5%

課税対象の土地や建物に係る年間の不動産税(固定資産税)

10億ルピア未満の土地や建物については、評価額の0.1%10億ルピア以上の土地と建物については、評価額の0.2%

一定の高級住宅や大規模不動産には、高い税率が適用される

非営利事業に利用される土地、建物に係る不動産税率は50%軽減される

付加価値税 (VAT) • ほとんどの物品とサービスについては10%

• 賃貸料、サービス料については8% • 低価格住宅の販売・賃貸・建設サービスについては0%

開発用地に係る付加価値税(VAT) •

0%

8% (土地がすでに開発準備にある場合)

高級品売上税(課税は一度限り) •

高級品の輸入時に10%~150% (例: 自動車: 15%~55%

電化製品: 155%靴類: 20% ~25%アルコール類: 40%~150%)

デベロッパーから購入した高級不動産の販売価格の20%高級不動産とは床面積150m2以上のマンション、または400m2以上の戸建て住宅

*租税条約が存在する国: アルジェリア、オーストラリア、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、ブルネイ、ブルガリア、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、イラン、イタリア、日本、ヨルダン、北朝鮮、韓国、クウェート、ルクセンブルク、マレーシア、メキシコ、モンゴル、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、フィリピン、ポーランド、カタール、ルーマニア、ロシア、セイシェル、シンガポール、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スリランカ、スーダン、スウェーデン、スイス、シリア、台湾、タイ、チュニジア、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、米国、ウズベキスタン、ベネズエラ、ベトナム

12 Real estate opportunities in Southeast Asia12 Real estate newsletter

インドネシアにおける投資地域と投資対象

13目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

シンガポール

ジャカルタ首都地域

マレーシア

マレーシア

インドネシア

バタム• 自由貿易区• 外国から600社以上を誘致 • 分野: 工業、ホスピタリティ

ジャカルタ / ジャカルタ大都市圏*• インドネシアの首都であり最大の都市 • 経済、文化、政治の中心 • 人口: 960万人 / 3440万人 (ジャカルタ大都市圏)• 分野: 住宅、商業、ホスピタリティ、工業*ジャカルタ大都市圏にはジャカルタとジャカルタ周辺の四つの衛星都市(ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ)を含みます

スラバヤ• インドネシア第2の都市• インドネシア東部の主要港であり商業の中心

• 人口: 270万人超 (周辺地域を含めると560万人)

• 投資対象: 住宅、ホスピタリティ、商業、工業

バリ• リゾート島• 外国人訪問者数: 270万人 (2011年)

• 分野: ホスピタリティ

ビンタン• 自由貿易区• リゾート島 • 外国人訪問者数: 43.4万人 (2010年)• 分野: ホスピタリティ、工業

インドネシアは、2006年から2008年にアジアで発生した不動産ブームの影響を受けませんでした。そのため、現在、インドネシアの不動産市場は懸念される世界経済とは一線を画し、堅調な国内消費や都市化の進展、さらには若い人口構成を背景に、投資家がインドネシアに押し寄せています。これにより、ポートフォリオ投資と海外直接投資(FDI)が急増しました。インドネシアの人口は2億3,800万人台と、世界で4番目の人口大国です。それゆえに、不動産市場全般でその需要も活動も堅調に見受けられます。また、1997年のアジア金融危機から2009年まで、インドネシア経済は先行き不安感に包まれていたため、開発プロジェクトは数えるほどしか実施されてませんでした。そのため、現在の不動産供給は限定的です。これらの要因により、今後少なくとも短期から中期的には不動産市場は盛況が見込まれます。

行政区分としては、インドネシアには33の州があり、各州に議会と地方政府が存在します。33州のうちジャカルタ、ジョグジャカルタ、アチェ、パプア、西パプアには特別の地位が付与され、歴史上、宗教上の理由から立法特権と自治の面で優遇されています。

本号では、外国から多額の不動産投資資金を集めている四つの地域と都市を取り上げています。(1)ジャカルタはインドネシアの経済、文化、政治の中心として、住宅、商業施設、ホスピタリティ、工業への投資が盛んです。(2)バリは卓越した観光の島として、ホスピタリティ投資が盛んです。(3)バタムと、(4)ビンタンは、自由貿易区として工業団地への投資と観光投資が盛んです。また、インドネシア第2の都市スラバヤも、海外投資家からの関心を集めており、投資先候補といえます。ほかにもバンドン、メダン、パレンバン、マカッサルなど人口が多い(100万人以上)州都に対して、不動産投資の機会があると考えられます。ただし、これらの都市の不動産事業は、主に現地の小規模デベロッパーが中心なため、有用な市場データが存在しません。

14 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

ジャカルタ

17,508の島から成る群島の一部であるジャワは、インドネシアで最大の人口を誇り、最も開発の進んだ地域です。首都のジャカルタは西ジャワに位置し、インドネシアの経済、文化、政治の中心です。さまざまな資産タイプの大規模不動産開発事業がジャカルタとジャカルタ大都市圏を中心に行われています。ジャカルタ大都市圏にはジャカルタ周辺の四つの衛星都市であるボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシが含まれます。最新の2010年の統計によると、これら地域全体で(インドネシアの総人口の14%程度に当たる)3,440万人の人口を擁しています。

ジャカルタは中央、北、東、南、西の五つの地域に分けられます。ジャカルタ自体の総人口は約960万人ですが、日中の人口は1,400万人に達します。ユーロマネー誌によると、インドネシア全体の一人当たりのGDPが3,150USドルであるのに対し、ジャカルタの一人当たりのGDPは、およそ1万USドルとなっています。

ジャカルタの中心部は黄金の三角地帯と呼ばれ、高層のオフィスビルや商業施設、ホテル、マンションを中心に、さまざまな施工段階にある娯楽施設などもひしめいています。これらのビルのほとんどは、総合開発プロジェクトの一環であり、活気にあふれた職住遊の環境を生み出しています。ジャカルタ近辺で最も古くかつ威信のある一角であるメンテンは、黄金の三角地帯の北にあります。オランダ植民地時代の邸宅で知られるこの一角には、インドネシア大統領官邸や政府高官の邸宅、大使館や大使公邸が点在しています。

バトチェペル

チェンカレン

ペンジャルガン

トマン

チリンチン

カクン

クボンジュルク

ウルジャルニクンシラン

ポンドックアレン

セルポンアンタサリ

チネル

チマンギス

ジャカルタ衛星都市主要工業団地

シレングシ工業団地

チカラン工業団地

ボゴール

ブカシ

タンゲランへ

カラワン・プルワカルタへ

カワンチクニル

チビトン

プリュイ

デポック

1

32

パルメラマンガライ

JW マリオットホテル

ル・メリディアンホテル

インドネシア証券等引所

シャングリラホテル

グランドハイアットホテル

リッツカールトンホテル

グランドメリアホテル

シンガポール大使館オランダ大使館

マレーシア大使館

オーストラリア大使館

ケバヨラン

セナヤン

ジャカルタの黄金の三角地帯スーパーブロック (総合開発)

1. バクリーランドによるラスナ・エピセントラム (53.5 ha)

2. ダナヤサ・アルハタマによるSCBD (45 ha)

3. BKS-PPLKによるメガクニガン (54 ha)

最高級の地区メンテン

15目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

南ジャカルタマイクロマーケット

外環道路

北ジャカルタ

東ジャカルタ

西ジャカルタ

南ジャカルタ

中央ジャカルタ

ジャカルタの黄金の三角地帯

セナヤン

アンコール・ジャカルタ・ベイ

クラパガディン

カクン

チャイナタウン

ポンドックインダ

クバヨランバル

ケマン

ルバックブルス

黄金の三角地帯に近い南ジャカルタでも、高層の都市生活を楽しむことができます。セナヤン、ポンドックインダ、クバヨランバルなどでは、整備されたコミュニティ、優れたインフラ、緑に加え、数多くのショッピングモールや公共施設が整っています。セナヤンのオフィスビルは、特に石油やガス関連の企業に人気があります。さらに南のケマンとルバックブルス地区には多数のインターナショナル・スクールがあり、駐在員向けの戸建て住宅が開発されています。当該地域には、高層の建物と付属の公共施設もあります。2010年初め以降、南ジャカルタでは、周辺の高級住宅街、外環道路への交通の便のよさ、土地の利便性、価格の手ごろさなどから、中央ビジネス地区(CBD)以外でのオフィス開発が活発に行われています。当該地域のオフィススペースのストラータ・タイトルのほとんどは、国内の事業会社が所有しています。南ジャカルタは、ショッピングモールの最大の拠点として、ジャカルタの商業施設の総賃貸可能面積の40%を占めていますが、商業施設のストラータ・タイトルのほとんどは、中央ジャカルタに集中しています。

北ジャカルタには沿岸部全域が含まれ、中国系のビジネスコミュニティとして人気があります。アンコール・ジャカルタ・ベイシティは、ジャカルタ最大かつ最も人気の高い娯楽複合都市として、ホテル、レストラン、サービス業の開発・拡張計画が進められてきました。北ジャカルタで最も有名な住宅街であるクラパガディンは、1970年代後半まで未開発の湿地でしたが、1990年代後半に中間層から上流階級向けの戸建て住宅とコンドミニアムに生まれ変わりました。この周辺には、六つのショッピングモールがあります。

クラパガディンから東に進むと、シンガポールのケッペルランドがカクンに開発した、270haのジャカルタ・ガーデン・シティがあります。10~15年にわたり、環境に配慮しつつ段階を経て開発されたこのプロジェクトの特徴は、7,000戸の戸建て住宅とマンション、公共施設です。東ジャカルタの住民の大半はブカシ、シレングシ、シカランの商業施設や工業団地に勤務しています。

西ジャカルタは、活気にあふれたチャイナタウンが有名です。オランダ植民地時代に繁栄し、かつてインドネシアの商業の中心だったジャカルタ・オールドタウンも住宅街として有名です。

16 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

ジャカルタの不動産市場住宅分野: 中間層の拡大により急成長する市場

• �ジャカルタの人口と住宅地は増え続けています

�• ジャカルタ市内の土地価格は上昇しているため、1990年代初め以降、手ごろな価格帯の住宅開発プロジェクトのほとんどは、ジャカルタ郊外か衛星都市で行われています

�• 中流階級から上流階級の間では、交通渋滞を理由に住居を職場に近い都心部に戻したいという需要が高まっています

�• ジャカルタの共同住宅市場は、ルスナミ・プロジェクト(政府の補助金が出る低コストのコンドミニアム)、アナミ・プロジェクト(政府の補助金が出ないため若干割高)、中高級コンドミニアムに分かれています。アナミ・プロジェクトとコンドミニアム開発の大半は、ジャカルタ市内で実施されており、コンドミニアムが共同住宅市場の大半の取引を占めています

�• 2011年までに既存の共同住宅の累積供給数は85,713戸に上り、累積販売率は95.2%までに達しました

�• 住宅の需要は依然として旺盛で、新築の共同住宅の供給を吸収し続けています。ジャカルタにおけるコンドミニアムの販売は、2009年には四半期当たり500戸でしたが、2011年第2四半期には2,000戸へと着実に増加しています。さらに、契約率も好調が続いています。ジャカルタにおける契約率は、2011年第3四半期には約75%、中央ビジネス地区(CBD)内のプロジェクトはほぼ100%に達しています。インフラが整備され、ショッピングや学校などの施設が備わっている南ジャカルタと西ジャカルタでも共同住宅の供給が増加しています

�• 2011年のCBD内のコンドミニアムの平均価格は、1m2当たり1,990万ルピア(2,160USドル)と、前年より18.9%上昇しました。価格の上昇は、需要増を主な要因としつつ、地価の上昇や建設費の高騰とが相まったことが挙げられます

�• 経済の成長、生活水準の向上により買い手の強気な姿勢が続き、土地不足となっている市内を中心に、高い契約率が続く見込みです

�• 消費財企業を中心とした多国籍企業の新規雇用が見込まれることから、駐在員向けの賃貸住宅市場では家賃の上昇が予想されます

オフィス分野: 資本価値の上昇は明るい見通し

• ジャカルタのオフィス需要は旺盛で、賃料の高騰が続いています。2011年全体の純賃貸面積は、332,600m2と前年より63%増加しました。この影響により、入居率は5.5%上昇して90.7%に達しています

�• (黄金の三角地帯内の)スディルマンとクニンガン地区が、ジャカルタのCBDのオフィス供給を引き続きリードし、全体の約65%を占めています

�• オフィス賃料は、2011年第3四半期に前年同期比9.5%上昇(CBDの一部高級物件の賃料は1m2当たり月額40USドルに接近しています)し、CBDの入居率は過去最高の92.9%を記録しました

�• CBD内のストラータ・タイトルのオフィススペースの需要は依然として高く、2011年の平均価格は1m2当たり、1,900万ルピア(2,060USドル)と、前年を20%近く上回りました

�• インドネシアは6.5%の経済成長が見込まれており、年間の純賃貸面積は35万m2と、8%から9%の伸びが予想されています。2012年は(ストラータ・タイトルのオフィススペースを含め)、およそ444,450m2に及ぶ新規オフィスの供給がありますが、事前契約は好調で、高い入居率と賃料の伸びは続くことが見込まれます。このため、当面は資本価値の上昇が続く見通しです

17目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

商業施設分野: 消費支出の増大に加え、外資系小売企業の進出により安定した推移

• インドネシアの経済成長に伴い、消費意欲の旺盛な中間層が増え続けており、商業施設の需要を牽引しています。リッポ・メープルツリー・インドネシア・リテールトラストの2010年度年次報告によると、インドネシアの小売売上高は、2010年の1兆2,400億ルピア(1,194億USドル)から2014年には2兆700億ルピア(2,001億6千万USドル)へと、13.5%の年平均成長率が見込まれています

�• 2011年12月のジャカルタの商業施設の総供給量は3,559,600m2であり、平均入居率は81%でした。2011年は供給が61,600m2に留まりましたが、2012年は336,800m2の新規供給が見込まれます。しかし、消費の拡大と生活水準の向上を背景とし、大部分は事前契約が済んでいます

• 商業施設の開発はジャカルタ全域で行われており、CBDを筆頭に(3,559,600m2、全体の22.3%)、北ジャカルタ(747,000m2、CBDの21%)、南ジャカルタ(666,000m2、CBDの18.7%)、西ジャカルタ(616,400m2、CBDの17.3%)、残りは中央ジャカルタと東ジャカルタという順となっています

• 一等地の賃料(コタ、パサールバル、ブロックM、CBD)は1m2あたり854,000ルピア(92USドル)に達し、ジャカルタ全体の平均でも約615,600ルピア(67USドル)となっています

• 大手小売企業の間では、ジャカルタと周辺都市への進出機運が高まっています

ホスピタリティ分野: 東南アジア諸国に追随

• 現地ウェブサイトのアンタラニュースによると、2011年のインドネシアへの旅行客は、前年比9.24%増の765万人にのぼりました。ジャカルタにあるインドネシア最大のスカルノハッタ空港への到着者数は193万人と、およそ100万人だった2000年から100%近く増加しています

�• 2011年12月現在三つ星から五つ星までのホテルの総客室数は25,543室ですが、その40%を五つ星ホテルが占めていました。平均稼働率は67.35%となっています。2012年は、CBD以外の一等地の総合開発を中心に、星の付いたホテルの客室が1,543室増える予定です

• インドネシアの経済成長に伴い、ジャカルタのホスピタリティ部門も右肩上がりが続いています。東南アジアでこれまで最低水準にあったジャカルタの平均客室単価は着実に上昇しており、世界金融危機後の2010年初頭以来、稼働率も大幅に持ち直しています。2010年7月から2011年6月までの販売可能客室当たり売上(RevPAR)はおよそ20%増の551,100ルピア(65USドル)となり、シンガポールをも上回りました

• ホテル業界は、安定した観光産業、好調な経済、会議、報奨旅行、展示会などといった事業活動の拡大によって成長し続けるでしょう。域内や国内の航空運賃の値下りと、インドネシアの他州への乗り継ぎの拠点としての地位も相まって、ジャカルタ観光産業は堅調を維持するでしょう

工業団地分野: 契約率と賃料伸びが記録的

• �工業用地の販売は、2011年に過去最高を記録しました。自動車企業と消費財企業の需要が旺盛だったことから、ジャカルタ大都市圏の用地販売の総面積は、950haと前年の2倍以上に膨らみました

• ジャカルタ大都市圏全体の契約率は77.6%でした

• ジャカルタの平均土地価格は、1m2当たり250万ルピア(270USドル)、契約率は86.5%で全国1位です。工業団地では1m2当たり70万~100万ルピア(76~108USドル)と、地価の安いブカシとカラワン/プルワカルタの優位はゆるがず、2011年第4四半期は取引高の84%を占めました

• 最大の工業団地であるカラワンの土地価格は、2011年第3四半期に1m2当たり80万ルピア(90USドル)と、2009年から2倍となっています

�• 高度成長が続き、日本メーカー、韓国メーカー、インドメーカーによる投資も増大していることから、今後も工業用不動産には明るい見通しが予想されます

16、17ページの出所は CBRE、コリアーズ、ナイトフランク、クッシュマン&ウェイクフィールド、ジョーンズ・ラング・ラサール。

18 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

スラバヤ

スラバヤは人口270万人(周辺部を含めると560万人)のインドネシア第2の都市です。また同州の州都であり、東ジャワ州の砂糖、タバコ、コーヒーを主な輸出品とする主要貿易港でもあります。スラバヤをインドネシア第2の経済の拠点とする計画があり、住宅、オフィス、商業施設、ホテルなどさまざまな不動産投資の可能性を秘めています。ただし、市場はこれまで(ジャカルタやスラバヤを拠点とする)地元のデベロッパーに独占されてきました。

スラバヤの中心部は、プラザスラバヤからグベン駅とトゥンジュンガンプラザを結ぶジャラン・プムダ地域になります。北スラバヤにある面積760haのタンジュン・ペラク港を背景に、15世紀から住宅建設が行われてきました。港がスラバヤの貿易事業と海運関係の産業を支えています。

市の中心部に1916年開設されたガゲル工業団地は、南スラバヤのルンクット工業団地に移転し、今や、ルンクット工業団地はスラバヤ最大級の工業地帯となっています。

現在のスラバヤは、三つの街区に大別されます。シプトラグループのシトラランド、インティランドのグラハ・ファミリ(西スラバヤ)、パクウォングループのパクウォン・シティ(東スラバヤ)です。スラバヤの富裕層には西スラバヤが好まれています。

敷地内に様々な施設を備えた面積2,000haのシトラランド街区は、「スラバヤのシンガポール」と呼ばれ、3,500戸の戸建て住宅、商店、教育施設、水上公園、ゴルフコースを備えています。

スラバヤ

プラザスラバヤグベン駅

空港

ルンクット工業団地 ワル-バンダラジュアンダ高速道路

スラバヤ-グレシック高速道路

ルンクット工業団地

タンジュン・ペラク港

パクウォンシティ

グラハ・ファミリ街区

CBD

シトラランド街区

トゥンジュンガンプラザ

比較的小さい280haのグラハ・ファミリ街区は、より中心部に近く、西スラバヤでは最も住宅価格が高いといわれています。両街区とも開発は完了しています。ウォーターフロントにある面積286haのパクウォンシティは、スモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)、商店、コンドミニアム、中上級階層向けの住宅地として建設されました。2007年から2010年にかけて、上記3地域の地価の年平均成長率は20%に達したといわれており、その成功に刺激されて、増大し続ける住宅需要に応えるべく、デベロッパーは各種大規模プロジェクトなどを計画しています。インティランドの80haのグラハ・ナトゥーラ(グラハ・ファミリから車で5分の距離)、現在のパクウォンシティを拡大する187haの開発などがあります。

コリアーズによると、2011年のホテルの新規供給は、三つ星ホテルと五つ星ホテルが大半を占めていました。2010年の総客室数は4,972室、星の付いたホテルの稼働率は平均で70%と好調でした。プロモ山やマランなど、東ジャワの主要な観光地への出発地点として、スラバヤのホテル部門は大きな可能性を秘めています。さらに、五つ星ホテルの平均室料は,1泊約555,000ルピア(60USドル)と、ジャカルタやバリを下回っています。価格が手ごろなことから、報奨旅行、会議や展示会でスラバヤを訪れる旅行客が増えることが予想されます。スラバヤの観光促進局の推定では、訪問者の80%はビジネスでスラバヤを訪れており、そのうち半数は前述のものを目的としています。スラバヤには、グランド・シティ・コンベックスとジャティム・エクスポの二つの主要な会場があり、およそ38,000m2の展示のスペースがあります。

19目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

バリ

バリ島は、ジャワ島とロンボク島にはさまれた島です。インドネシア最大の観光地であり、アジア有数のリゾート地です。バリ島は、白砂のビーチ、丘陵、火山、文化的催し、ショッピング、スパ、各種高級リゾートなど多彩な魅力で知られています。

クタは、白砂の長いビーチが続き、サーフィンや水泳の理想的なスポットとして有名です。店舗やギャラリー、レストランやナイトスポットが集まり、レギャンとともにバリの娯楽の中心を担っています。南部のジンバランとヌサドゥアには、国際的なホテルチェーンや高級なプライベートヴィラなど一流のリゾート施設が多数あります。

島内に35ある四つ星および五つ星のホテルやリゾートのうち、バンヤンツリー・ウンガサン、グランド・ハイアット・バリ、ラグーナ・リゾート&スパ、インターコンチネンタル・リゾート・バリ、ブルガリ・リゾート・バリ、セントレジス・リゾート・バリ、フォーシーズンズ・バリ・ジンバラン・ベイ、コンラッド・バリ・リゾート&スパ、ウェスティン・リゾート・ヌサドゥアなどがこの地区にあります。

バリの中央部にあるウブドは、緑の水田を見渡す丘陵地帯です。バリの芸術と工芸の中心でもあり、伝統的な田園生活と自然美が併存しています。このエリアには、アマンダリ・ヴィラ、フォーシーズンズ・リゾート・バリ・サヤンなどの国際的な高級リゾートや、ウブド・ハンギング・ガーデンズ、チェディクラブ・アット・タナガジャ、ロイヤル・ピタマハなど現地資本の五つ星リゾートがあります。バリ北部にはショッピングモールがなく、観光客も多くなくのんびりした雰囲気で知られています。

インド洋

メンジャンガン島

西バリ国立公園

タナロット

ウルワツ

空港

ロビナ

アイルパナスギギッ

ブサキ

トゥランベンバトゥール湖

アグン山

チャンディダサパダンバイ

クルンクン

レンボンガン島

ヌサぺニダ

T. べノアヌサドゥア

サヌールセミニャック

レギャンクタ

トゥーベン

ジンバラン

アメド

ギリマヌク

シンガラジャ

ブドゥグル

ウブド

デンパサール

キンタマーニ

観光名所

市街・観光地

主要道路

バトゥール山

アヤナ・リゾート・アンド・スパ

ブルガリ・リゾート・バリ

アナンタラ・バリ・ウルワツ・リゾート・アンド・スパ

バンヤンツリー・レジデンス・ウンガサン

セントレジス・リゾート・バリ

ウェスティン・リゾート・ヌサドゥア

コンラッド・バリ・リゾート・アンド・スパ

アストン・バリ・ビーチ・リゾート

ザ・ラグーナ

ヌサドゥアビーチ・ホテル・アンド・スパ

グランド・ハイアット・バリ

フォーシーズンズ・バリ・ジンバランベイ

インターコンチネンタル・リゾート・バリ

20 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

2011年6月にバリは、「グローバル・ツーリズム・サーマルリスト」で、中国人が選ぶ旅行先として第1位に初めて選ばれました。また、バリは「ビジネス・トラベラーズ・アジア・パシフィック」誌からも2010年のアジア太平洋最優秀観光地に選ばれています。

バリ観光局によると、2011年の外国人旅行客は270万人と、前年比8%増加しました。2005年からの7年間の年平均成長率は10%、外国からの直接の入国者数は138万人に達しています。好調な国内経済と中間層の増加を反映して、2011年前半の国内旅行客の数は外国人旅行客を22%上回り、2011年を通して280万人に達する見通しです。

バリの不動産事業の柱は観光で、商業施設の開発がなされています。三つ星から五つ星のホテルでは、2010年前半以降八つのホテルで客室が1,165室も増え、2011年前半の総客室数は20,275室に達しています。これは前年比約6%の増加で、背景には旅行客の増加と、バリで開かれる大規模な国際会議の増加があります。2011年後半から2012年にかけて、三つ星以上を中心に3,242室が追加される予定です。

2011年前半の全体的な稼働率は、前年同期より2.3ポイント高い72.7%でした。三つ星ホテルの稼働率は、7.3ポイント増加して73.4%に達し、四つ星ホテルの5.8ポイント増と五つ星の0.3ポイント増を上回りました。2010年の客室の平均需要は12,858室、平均稼働率は66.9%でした。

全体の稼働率が好調に推移していることから、平均客室単価(ADR)と販売可能客室当たり売上(RevPAR)も、増加しています。2011年の五つ星ホテルの平均客室単価は169.33USドルと、上昇率は過去最高の9.2%に達しました。全ホテルのRevPARの平均は、5%増の665,000ルピア(77.35USドル)に上っています。

バリの観光業が順調な成長を続ける中、別荘への関心が高まっています。1980年代後半に、中堅デベロッパーが中心となり提供した少数のタイムシェア商品を皮切りに、セントレジス・リゾート・バリ、バンヤンツリー・レジデンス・ウンガサン、ホテル・ノボテル、バリヌサドゥア・ホテル&レジデンス、アナンタラ・セミニャック・リゾート&スパなど、高級ブランドのヴィラ(別荘)が発売されるようになりました。外国人による不動産の所有形態として最も一般的なのは、25年(20年の延長が可能)の使用権です。オーナーはヴィラを自身の別荘として使うか貸別荘にするか、選択することができます。2000年以降(ブランド化して売り出された4,000棟を含め)推定で5,500棟の別荘が発売され、その70%を外国人が購入しています。100万USドルを超える高級ブランド物件については、デベロッパーはオフショアビークルを通じていわゆる「自由保有権」に相当する権利を、外国人購入者に販売しています。

観光業の安定した伸びにより、バリは2012年に外国人旅行客300万人の目標を達成するとみられ、観光と別荘市場の見通しが一段と明るさを増すことは確実です。

21目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

チャンギ空港

テルクスボン

45 分

30 分

35 分

タンジュンピナン

テラガプングル

ノンサ

ハンナディム空港

バタム

シンガポール

ビンタン

マレーシア

タナメラ

ビンタンリゾート

ビンタン工業団地

南シナ海

ビンタン

インドネシア北部のリアウ諸島に属するビンタン島は、リゾート地として知られています。シンガポールの南東48kmに位置するビンタン島は、総面積1,866Km2、人口はおよそ30万人で、白砂の美しいビーチを誇り、100km近い海岸線には、小さな入り江や岬、マングローブが生い茂る川などがあります。また、海洋生物が豊富で、熱帯雨林の様々な動植物が生息しています。

シンガポールから高速フェリーで45分のこの島は、シンガポール在住者のほかに、2011年にシンガポールを訪れた1300万人以上の観光客やビジネス客をターゲットにしています。外国人客の数は着実に増えて、2011年は470,470人に達し、2005年から2011年までの年平均増加率は9%に上っています。シンガポールからの旅行客が全体の34%を占めているものの、(ビンタンはシンガポール人の週末の旅行先としてゆるぎない地位を保ってい

ます)このほかにインドネシア(17%)、中国(6%)、韓国(6%)、日本(5%)、インド(4%)と、国際色が豊かとなっています。

ビンタンの観光業は、ビンタン北部の23,000haに展開されているビンタンリゾートに集中しています。ビンタンの総客室数は、ニルワナガーデン、バンヤンツリービンタン、アンサナ・リゾート、クラブメッド・ビンタン、リアビンタン、ビンタン・ラグーン・リゾートなど、国内と国際的なホテルブランドチェーンのリゾートホテルを含め、約1,400室に上っています。200haから400haの広大な敷地に建つこれらのリゾートホテルは、各種のアトラクションやウォータースポーツを敷地内に取り揃えています。ビンタン島は七つのスパがあることでも知られる一方、ジャック・ニクラウス、ギャリー・プレーヤー、イアン・ベーカーフィンチ、グレッグ・ノーマンらゴルフ界の大御所がデザインした四つのゴルフコースを備えたゴルフ天国でもあります。

22 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

パシル・ラゴイ

ラゴイ公園&貯水池

ビンタン・ラグーン・リゾート

リアビンタン

貯水池

南シナ海

シンガポールへ55 分

インドラマヤ・ビラマヤンサリ・ビーチリゾート

マナマナ・ビーチクラブ

ニルワナリゾートホテル

バンヤンツリービンタン

アンサナ・リゾート&スパ・ビンタン

クラブメッド・リアビンタン

ビンタン・ラグーン・リゾート

ビンタン・ラグーン・リゾート・ビラ

ラグーナビンタン ニルワナ

ガーデン

バンユービル・ビラ

トレジャーベイ開発

パシル・ラゴイ

リア

ラゴイベイ開発

ビンタンの不動産市場は活況を呈しており、2011年にはゲンティン・ベルハドが、343haの敷地を持つ世界最大級のレジャー、ホスピタリティ、カジノなどエンターテイメントの複合施設トレジャー・ベイをオープンしました。第1期の89haには高級リゾート、サービスヴィラ、複合輸送ターミナル、マリーナやラグーンのみならず、エンターテイメント、店舗、ナイトライフ、飲食などの施設もあります。このプロジェクトの総工費は3億USドルを超え、2015年に完成する予定です。

クラブメッド・リアビンタンとバンヤンツリー・リゾートに挟まれた、ラゴイベイの1,500haの敷地に、総合プランナーのギャラント・ベンチャーと他の投資家が開発予定である総合リゾート住宅地も、ビンタンにとって朗報となっています。ラゴイベイの中心部のおよそ20haに、共同プロジェクトとしてラゴイ・ビーチビレッジの開発も進行中です。シンガポール開発銀行の2011年の調査によれば、2011年4月までに販売された土地に、今後5年間で600戸から700戸の住宅が建設される予定です。ビーチフロントに代わる手ごろな物件として、シンガポール在住者向けに約580haの住宅地が割り当てられています。162棟のヴィラから成るBUホールディングスのパンタイ・インダプロジェクト用地は、2009年にギャラント・ベンチャーから購入され、開発が始まりました。シンガポールの(セントーサ島にある)セントーサ・コブの住宅の地価が15,000USドル/m2以上なのに対して、こちらは1,300USドルから1,700USドルと手ごろなうえ、シンガポールから1時間圏内にあります。 26のビーチフロントヴィラのうち10棟が2011年4月に第1期として販売されました。さらに、アランヤ・ラゴイ・レジデンスでも、244区画の土地が販売されます。これらのプロジェクトは、ビンタンのホリデーホーム市場の拡大を物語っています。

ビンタンは、1999年と2001年にISマガジンの読者が選ぶ「最優秀短期リゾート地賞」を、コンデ・ナスト・トラベラー誌の1997年7月号で「世界の旅行先トップ50」など、数々の表彰に輝いています。多様な旅行客を惹き付けていることも、観光地としてのビンタンが世界に認められている証拠です。

現在、ビンタンを訪れる外国人の数は、シンガポールへの外国人旅行者の3.6%程度にすぎません。観光地として急速に伸びているシンガポールとビンタンとを「セット」にしたマーケティングを背景に、ホスピタリティ産業の急激な伸びが見込まれています。旅行客数は2015年までに100万人、年平均成長率は約20%に達する見通しです。また、インドネシアの主要都市や東南アジアの近隣諸国への接続性向上を目指し、ビンタンには新空港の設立計画もあります。

ビンタン西部の自由貿易区に位置する500haのビンタン工業団地(BIE)は、総合工業地域として、シンガポールとインドネシアのコンソーシアムが開発しました。独自のコンテナ港と旅客フェリーターミナル、税関を有する工業団地であるBIEは、充実したインフラを誇り、電子機器、石油・ガス、資源集約型の軽工業に適した便利な輸送拠点です。早期事業立上げのために即稼働が可能な工場と広い耕地を必要とした20以上の多国籍企業や中小企業が、拠点を置いています。

23目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

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バタム

リアウ諸島州最大の都市であるバタム島は、シンガポールの南岸から20kmの地点にあります(フェリーでおよそ40分)。バタムの空港には、国内各都市やマレーシアの首都クアラルンプールからの便が乗り入れています。バタム島は北部を中心に開発が行われています。

バタムは、2007年に完全自由貿易区となりました。これまでに25の工業団地が建設され、1200社以上の外資系企業が誘致され、30万人以上の現地労働者を雇用しています。島の主要産業は精密機器、電化製品、水産・海運関連産業です。2008年12月末現在、バタムへの累積投資は約122億USドルに上っています。2011年のバタムへのFDIは1億500万USドルと、前年の7,250万USドルから44.8%も飛躍的に増加しました。2009年を除き2003年から2010年までの経済成長率は7%台に上っています。ABB、チバビジョン、エプソン、ハリバートン、現代、新日本製鉄、パンユナイテッド・シップヤード、フィリップス、三洋電機、シュナイダー・マニュファクチャリング、シーメンス、住友など名の通った多国籍企業が、バタムへ進出しています。

既存の製造業のほか、バタムでは観光業も盛んです。2008年に仕事や観光でバタムを訪れた外国人の数は145万人を超え、外国人が訪れたインドネシアの都市の上位に入りました。六つの国際的レベルのゴルフコースと二つのマリーナに加え、50のホテルの総客室数は5,600室に上ります。その60%はホリデイ・イン、ノボテル、ハリス・リゾート、スイス・ベルホテル、メルキュール、ノンサ・ポイント・マリーナ&リゾートなど星付きのホテルやビーチリゾートです。これらホテルとゴルフコースのほとんどはノンサ地区にあります。

バタムの雇用拡大とビジネスチャンスの拡大で集まった現地住民をターゲットに、大衆向け住宅が開発されています。一方で、2011年初めには、ウォーターフロントの高級住宅プロジェクトが着工されています。KOPプロパティーズがノンサに建設しているモンティゴリゾートレジデンスは、88戸のヴィラと45戸の住宅で構成されています。販売価格は土地が1m2当たり1,120USドル(建坪300m2、居住面積が1,000m2から2,000m2の典型的なヴィラの場合)と、同様の物件がビンタンでは1,300~1,700USドル、シンガポールのウォーターフロントヴィラ地区では15,000USドル以上であり破格です。プロジェクトの40%は売却済みとなっています。

ノングサプラ

バタムセンターセクパン

ウォーターフロントシティ

タナメラフェリーターミナル

ハーバーフロントセンター

「意欲的な将来に前向きな若い人口、富の増大、好調な経済、FDIの増加など、インドネシアには不動産市場を活況に導く図式が揃っています。これらが国内需要の増大と投資家心理の向上につながっています」

アーンスト・アンド・ヤング シンガポールエグゼクティブディレクター&共同リーダー(不動産ディール)Mak Hoe Kit

ナゴヤTanjung Uncang

バタムセンター

ノンサ

Kabil

Duriankang

バトゥアンパ

Sagulung

Senimba Bay

テリン湾

Waterfront City

Harris Hotel

アカルディアホテル

インダプリリゾート

Vista Hotel

バタムビュービーチリゾート

トゥリビーチリゾート

ノンサポイントマリーンリゾートノンサビレッジリゾート

プラジャヤビーチリゾート

モンティゴリゾートレジデンス

テリンベイリゾート

テリンベイゴルフコース

パームスプリングゴルフコース

KTMリゾート

Waterfront City Ferry

Terminal

セクパンフェリーターミナル

ハーバーベイフェリーターミナル

バタムセンターフェリーターミナル

Ferries to Bintan Island

Batam Hills Golf Course

インダプリゴルフコース

Southlinks Golf Course

KongKow Golf Driving Range

Holiday inn Hotel

Latrade Industrial Park

ビンタンインダストリ 3

Union Industrial Estate

シトラブアナセンターパーク 2

シトラブアナセンターパーク 1

ビンタンインダストリ 1インダ工業団地

Hijrah Industrial Park Kara Industrial Park Executive Industrial Park

Cammo Industrial Park

Batamindo industrial estate

Citra Buana Centre Park 3

Tunas Industrial Estate

Bintang Industri 2

フェリーターミナル

ホテル、リゾート

ゴルフコース

工業団地

タンジュンウンカン

バタムセンター

ノンサ

カビル

ドリアンカン

バトゥアンパ

サグルン

セニンバ湾

テリン湾

ウォーターフロントシティ

ハリスホテル

アカルディアホテル

インダプリリゾート

ヴィスタホテル

バタムビュービーチリゾート

トゥリビーチリゾート

ノンサポイントマリーンリゾート

ノンサビレッジリゾート

プラジャヤビーチリゾート

モンティゴリゾートレジデンス

テリンベイリゾート

テリンベイゴルフコース

パームスプリングゴルフコース

KTMリゾート

ウォーターフロントシティフェリーターミナル

セクパンフェリーターミナル

ハーバーベイフェリーターミナル

バタムセンターフェリーターミナル

ビンタン島へのフェリー

バタムヒルズゴルフコース

インダプリゴルフコース

サウスリンクスゴルフコース

コンコーゴルフ練習場

ホリデーイン

ラトレード工業団地

ビンタンインダストリ 3

ユニオン工業団地シトラブアナセンターパーク 2

シトラブアナセンターパーク 1

ビンタンインダストリ 1インダ工業団地

ヒジラー工業団地

カラ工業団地 エグゼクティブ工業団地カモ工業団地

バタミンド工業団地

シトラブアナセンターパーク 3

トゥナス工業団地

ビンタンインダストリ 2

フェリーターミナル

ホテル、リゾート

ゴルフコース

工業団地ナゴヤ

セクパン

24 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

不動産市場に対する課題

24 Real estate newsletter

25目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

煩雑な事務手続と透明性の低さ

ビジネスモニターインターナショナル誌は、インドネシアには形式主義と汚職がはびこり、事業を立ち上げて操業を開始するまでに時間がかかると断じています。しかし、近年は民主主義の浸透により、政府の透明性や説明責任が高まってきています。

インドネシアは汚職撲滅の面でも着実に成果を上げています。トランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2011年の腐敗認識指数で、インドネシアは2007年の143位から100位に上昇し、国内の汚職に対する意識が高まっていることが明らかになりました。

しかし、シンガポール(5位)、ブルネイ(44位)、マレーシア(60位)、タイ(80位)など近隣諸国と比較すると、インドネシアは依然として低位にあり、さらなる改善が必要です。汚職問題が外国人投資家の懸念の上位を占めています。

2007 2008 2009 2010 2010 2011

160

140

120

100

80

60

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20

0

3.5

3

2.5

2

1.5

1

0.5

0

ランク

スコア

出所: トランスペアレンシー・インターナショナルのウェブサイト

腐敗認識指数 (インドネシア)

26 目覚ましい成長を遂げるインドネシア不動産市場

インフラ整備の遅れ

スタンダード・チャータード銀行は、2011年のレポートの中で、ジャワ島横断高速道路の未整備、電力の供給不足、世界最大の群島国家でありながら港湾設備が不十分なことといったインフラ整備の遅れが、FDIの最大の足かせになっているとしています。

1998年から2004年まで国際通貨基金(IMF)のプログラムの下、ユドヨノ大統領以前の大統領は、新規プロジェクトよりも財政の健全化を重視していきました。政府は財政目標を達成しましたが、インフラ整備の遅れにより、インドネシアの2002年以降の成長率は4%から6%と、潜在成長率の8%を下回っています(スタンダード・チャータード銀行調査)。

例えば、民主主義下のインドネシアでは、土地の大半は民間の個人が所有しているため、道路建設にとって土地の確保が最大の壁になっています。政府から補償金を出すには、議会および州の会計検査官の承認が必要です。

ユドヨノ大統領は、2014年までの残りの任期中に6.6%の平均成長率を達成するため、道路や港湾、空港への歳出を1,500億USドルに倍増すると公約しました。2012年8月上旬に可決された土地取得法により、これに係るプロジェクトを推進できるようになり、好景気が加速される可能性があります。

90

80

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50

40

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20

10

0

90

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30

20

10

0

2010

インドネシア

新興アジア

(GDPに占める割合)

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

政府の債務総額

出所: 財政モニター、IMF, 2011年4月

燃料補助金とインフレ

IMFの調査によると、インドネシアの燃料補助金は石油価格に合わせて増加し、今や歳出の18%に上っています。補助金のために財政政策の柔軟性や、優先度の高い支出への資金余力が制限されています。しかも、インフラ整備と社会的支出の増加、不安定な原油価格、石油とガスの生産をめぐる不透明感などを背景に、国内の燃料需要の急増が今後の予算の策定にリスクをもたらすおそれがあります。インフレ率や経済指標に不確実性をもたらす燃料補助金について、政府が補助金の調整をすることが検討されています。

国シンガポール

マレーシア

タイ 中国 インドネシア

インド フィリピン

道路 6.6 5.7 5.1 4.3 3.5 3.3 2.8

鉄道 5.8 4.7 3.0 4.3 3.0 4.6 1.7

港 6.8 5.6 5.0 4.3 3.6 3.9 2.8

空港 6.9 5.9 5.9 4.4 4.6 4.6 3.6

電力 6.7 5.7 5.7 5.3 3.6 3.1 3.4

得点(7点中)* 6.6 5.5 4.9 4.1 3.7 3.6 3.2

*1 = 極端に整備が遅れている、 7 = 国際的に見て遜色がない

アジア各国のインフラの質

出所: 世界経済フォーラム「世界の競争力報告2010‐2011」

資金流出と為替の変動

世界銀行によると、為替制度の自由化に伴い外資の流出が起きた場合に、ルピアの変動は大きいものとされています。信用格付けで投資適格を維持し、外貨準備高を大幅に積み上げ、国債を軽減することで、こうした悪影響は抑えられます。事実、インドネシアの外貨準備高は、2008年の600億USドルから2012年2月には1,122億USドルにまで増えています。さらに注目すべきは、2001年にGDPの80%に上っていた国債が2010年には27%に減少したことです。

「ほかの新興市場同様、成長の可能性は大きいですが、リスクを緩和するため、市場での経験と知識を活かして立ち回っていくことが必要です」

アーンスト・アンド・ヤング シンガポールパートナー (トランザクションサポート) Teh Seng Leong

14

12

10

8

6

4

2

0

%

消費者物価指数

08年1月 08年7月 09年1月 09年7月 10年1月 10年7月 11年1月 11年7月

出所: IMF ウェブサイト

インフレ目標

ヘッドライン(前年比)

コア(前年比)

ぺル|

ブラジル

マレ|シア

フィリピン

タイ

新興アジア

トルコ

コロンビア

インドネシア

南アフリカ

2727

Contactsアーンスト・アンド・ヤング ASEAN 不動産トランザクション

アーンスト・アンド・ヤング グローバル不動産チーム

ASEAN 、シンガポールTeh Seng [email protected]+65 6309 8393

ASEAN 、シンガポールKevin [email protected]+65 6309 8815

インドネシアSahala [email protected]+62 21 52895188

タイVorapoj [email protected]+66 2 264 0777

グローバル不動産産業リーダーニューヨーク

Howard Rothhoward.roth@ ey.com +1 212 773 4910

アジア太平洋不動産リーダーシドニー

Chris [email protected]+61 292 48 5165

ASEAN 、シンガポール安部 里史[email protected]+65 6309 8881

シンガポールAaron [email protected]+65 6309 6105

マレーシアStephen [email protected] +60 3 7495 7878

フィリピンVeronica Aguiron [email protected] +632 891 0307

グローバル不動産市場リーダーシカゴ

Rick [email protected]+1 312 879 6516

不動産セクター 日本エリアリーダー東京

原田 昌平[email protected] 3503 1954

ADR 平均客室単価 

ASEAN 東南アジア諸国連合

BIE ビンタン工業団地

BKPM 投資調整庁

BPN 国家土地庁局

CAGR 年平均成長率

CBD 中央ビジネス地区

D/E 負債資本比率

FDI 海外直接投資

GDP 国内総生産

ha ヘクタール

HGB 建設権

HM 所有権

HP 使用権

IDR インドネシア・ルピア

IMF 国際通貨基金

MNC 多国籍企業

IUT 恒久営業免許

PMA company 外国投資企業(PMA企業)

PPAT 土地証書作成官

PT 株式会社

RevPAR 販売可能客室当たり売上

SME 中小企業

UUPA 土地基本法

略語リスト

Ernst & Young

アーンスト・アンド・ヤングについて

アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーサービスの分野における世界的なリーダーです。全世界の16万7千人の構成員は、共通のバリュー(価値観)に基づいて、品質において徹底した責任を果します。私どもは、クライアント、構成員、そして社会の可能性の実現に向けて、プラスの変化をもたらすよう支援します。

「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのメンバーファー

ムで構成されるグローバル・ネットワークを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。

アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービス

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本書はFEA no. 12000344の翻訳版です。

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