幹細胞・再生医学研究における国内外の動向について幹細胞研究に対して、国立衛生研究所(nih)から2014年度に約13.9億ドル(約1,668...

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1 幹細胞・再生医学研究における国内外の動向について ライフサイエンス課 幹細胞・再生医学研究への世界の関心は高く、我が国だけでなく、各国で研究開発に力を 入れて取り組んでいる。次の事項に関する国内外の動向を以下のとおりまとめた。 1.各国の政策動向(ファンディング等) 2.研究動向の比較 3.国内外の幹細胞・再生医学研究における主なトピックス 1.各国の政策動向(ファンディング等) A) 日本 2013 年 8 月 30 日に健康・医療戦略推進本部により決定され、2014 年度より開始され た各省連携プロジェクト「再生医療の実現化ハイウェイ構想」では、文部科学省、厚生 労働省、経済産業省の関連する研究開発プログラムを統合的に連携し、1つのプロジェ クトとして一体的な運用を図っている。2015 年度以降は日本医療研究開発機構において 一元的に管理を行っており、予算規模としては、2014 年度は 151 億円、2015 年度は 143 億円の支援を行っている。 文部科学省では、2013 年度より再生医療実現拠点ネットワークプログラム(各省連携 プロジェクト「再生医療の実現化ハイウェイ構想」に含まれている)において、10 年間 で約 1,100 億円の支援を行っているほか、科学研究費補助金、戦略的創造研究推進事業 (CREST、さきがけ)等においても支援を実施している。また、理化学研究所多細胞シス テム形成研究センターや、発生・再生医学に関連する熊本大学発生医学研究所や京都大 学再生医学研究所等の国立大学附置研究所への支援も実施している。 B) 米国 ○連邦政府 幹細胞研究に対して、国立衛生研究所(NIH)から 2014 年度に約 13.9 億ドル(約 1,668 億円)の支援を実施し、2015年度には約14億ドル(約1,680億円)、2016年度には約14.4 億ドル(約1,728億円)の支援を予定している(図1)。さらに、国立科学財団(NSF)、 国防高等研究計画局(DARPA)それぞれが再生医療研究に大型の予算をつけている。※ $1=120 円にて試算 資料2-2

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Page 1: 幹細胞・再生医学研究における国内外の動向について幹細胞研究に対して、国立衛生研究所(NIH)から2014年度に約13.9億ドル(約1,668 億円)の支援を実施し、2015年度には約14億ドル(約1,680億円)、2016年度には約14.4

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幹細胞・再生医学研究における国内外の動向について

ライフサイエンス課

幹細胞・再生医学研究への世界の関心は高く、我が国だけでなく、各国で研究開発に力を

入れて取り組んでいる。次の事項に関する国内外の動向を以下のとおりまとめた。

1.各国の政策動向(ファンディング等)

2.研究動向の比較

3.国内外の幹細胞・再生医学研究における主なトピックス

1.各国の政策動向(ファンディング等)

A) 日本

2013 年 8 月 30 日に健康・医療戦略推進本部により決定され、2014 年度より開始され

た各省連携プロジェクト「再生医療の実現化ハイウェイ構想」では、文部科学省、厚生

労働省、経済産業省の関連する研究開発プログラムを統合的に連携し、1つのプロジェ

クトとして一体的な運用を図っている。2015 年度以降は日本医療研究開発機構において

一元的に管理を行っており、予算規模としては、2014 年度は 151 億円、2015 年度は 143

億円の支援を行っている。

文部科学省では、2013 年度より再生医療実現拠点ネットワークプログラム(各省連携

プロジェクト「再生医療の実現化ハイウェイ構想」に含まれている)において、10 年間

で約 1,100 億円の支援を行っているほか、科学研究費補助金、戦略的創造研究推進事業

(CREST、さきがけ)等においても支援を実施している。また、理化学研究所多細胞シス

テム形成研究センターや、発生・再生医学に関連する熊本大学発生医学研究所や京都大

学再生医学研究所等の国立大学附置研究所への支援も実施している。

B) 米国

○連邦政府

幹細胞研究に対して、国立衛生研究所(NIH)から 2014 年度に約 13.9 億ドル(約 1,668

億円)の支援を実施し、2015 年度には約 14 億ドル(約 1,680 億円)、2016 年度には約 14.4

億ドル(約 1,728 億円)の支援を予定している(図 1)。さらに、国立科学財団(NSF)、

国防高等研究計画局(DARPA)それぞれが再生医療研究に大型の予算をつけている。※

$1=120 円にて試算

資料2-2

Page 2: 幹細胞・再生医学研究における国内外の動向について幹細胞研究に対して、国立衛生研究所(NIH)から2014年度に約13.9億ドル(約1,668 億円)の支援を実施し、2015年度には約14億ドル(約1,680億円)、2016年度には約14.4

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○州政府

2001 年当時のヒト ES 細胞研究に対する連邦政府の支援先の制限を受け、一部の州政府

は独自に研究を支援する方針を発表し、現在に至るまで独自支援を継続している(表 1)。

カリフォルニア州による累計支援額はどの州よりも際立っており、またニューヨーク

州の累計支援額も他州の倍以上となっている。

表 1 現在も幹細胞研究に独自の支援をしている主な州政府

州名 発表予算額

(支援元) 累計支援額

州レベルの

研究所

イニシアチブ/条

例/発表年

California 10年間で約 $30億

(約 3,600億円 )

(California Institute for

Regenerative Medicine)

累計$22.5億(約 2,700億円)の支

援が ICOCに認定済み。

カリフォルニア

再生医療機構

(CIRM)

2004

New York 11年間で$6億

(約 720億円)以上

(NYSTEM)

2007年~2012年 3月時点で

累計$3億 6千万(約 432億円)

規模のグラント締結。2015年 1月

には幹細胞治療法開発の 2 ラウ

ンド目の支援として$3,600万を

発表。

2007

New Jersey $2億 8,100万

(約 337億 2千万円)

(New Jersey Commission

on Science & Technology)

$1億 7570万

(約 211億円)

Stem Cell

Institute of

New Jersey

2004, 2006

図 1 細胞種類毎支援状況 (「平成 26年度 再生医療に関する海外動

向調査 平成 27年 3月バテルジャパン株式

会社」より引用)

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Maryland $1,500万(約 18億円)

(Maryland Stem Cell

Research Fund)

累計$1億 160万以上

(約 139億円)

2015年度の支援額予算は

$1040万ドル(約 12.5億円)

2006

Connecticut 10年間で最低合計$1億

(約 120億円)

(Department of Public Health)

2006 年から毎年約$1億弱

(約 120億円) -

2005

(「平成 26 年度 再生医療に関する海外動向調査 平成 27 年 3 月バテルジャパン株式会社」より引用)

・その他、ミネソタ州では 2014 年に、再生医療研究へ 10 年間で総額 5000 万ドルの支援を

行うことを決定。

C) 欧州

○EU

2007 年から 2013 年までに、EU の科学技術イノベーション計画である第 7 次フレーム

ワークプログラムにおいて、1.1 億ユーロ(約 154 億円)を ES 細胞研究分野に助成。後

継計画である Horizon 2020(2014 年 1 月開始)においても幹細胞研究は重点化される予

定である例えば、First-in-human 臨床試験の支援を目的とした再生医療関連のプログラ

ムが実施される予定である。

※1ユーロ=140 円にて試算

○英国

2012 年度には約£7,700 万(約 138.6 億円)規模の支援が政府より行われた。

加えて 2012 年に発表された再生医療戦略(A Strategy for UK Regenerative Medicine)

によると、今後 5年間再生医療の為に合計£7,500 万(約 135 億円)の投資を行うと発表

されている。再生医療プラットフォーム(UK Regenerative Medicine Platform)に£2,500

万(約 45 億円)、2012 年 5 月設立細胞治療カタパルト事業(Cell Therapy Catapult)に

£5,000 万(約 90 億円)が割り当てられ、前者では初期のトランスレーション、後者は

製品開発後期と臨床へ向けた研究が目的となっている。

さらに、細胞治療カタパルト製造センター(Cell Therapy Catapult Manufacturing

Centre)建設の為、£5,500 万を支援し、2017 年の操業を目指している。

※£1=170 円にて試算

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2. 研究動向の比較

A. 論文数の比較

○iPS 細胞論文の年度別推移

SCOPUS 論文 DB よりキーワード「induced pluripotent stem cells」にて検索した 2006

年から 2014 年までに報告された論文 8,046 報のうち上位 5 か国の年度別推移を図 2 に示

す。我が国は米国に次ぐ第 2 位(2006 年~2014 年 1086 報)であるが、2013 年、2014 年

は 3位の中国とほぼ同数であり、激しい競争にある。また、iPS 細胞論文の研究者別件数

では京都大学山中教授を筆頭に上位20位までに7人の日本人研究者が入っている(表2)。

図 2 iPS 細胞論文の研究者別件数(SCOPUS 論文 DB による調査)

表 2 研究者別論文発表数上位ランキング

0100200300400500600700800

201420132012201120102009200820072006United States Japan ChinaGermany United Kingdom

順位 著者名 論文数1 Yamanaka, S. 1302 Daley, G.Q. 753 Belmonte, J.C.I. 624 Park, I.H. 605 Wu, J.C. 606 Okano, H. 587 Scholer, H.R. 578 Jaenisch, R. 549 Hochedlinger, K. 4910 Pei, D. 4911 Takahashi, K. 4412 Okita, K. 4213 Nakauchi, H. 4014 Baharvand, H. 4015 Ding, S. 3916 Umezawa, A. 3817 Cheng, L. 3718 Terzic, A. 3319 Fukuda, K. 3320 Gage, F.H. 33

論文数

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○幹細胞研究についての所属機関別論文発表件数では、上位 30 位までに我が国から 5 研究

機関が入っており、本研究分野における研究水準は依然として高い(表 3)。

表 3 研究者(筆頭著者)所属機関別論文発表件数上位ランキング

「平成 25 年度特許出願技術動向調査報告書(概要) 幹細胞技術関連」(平成 26 年 2月 特許庁)より抜粋

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○幹細胞の種類別の比較では、他国と比較して、iPS 細胞研究の割合が高い(図 3)。

図 3 幹細胞の種類別-研究者(筆頭著者)所属機関国籍別論文発表件数及び比率(発行年:

2008~2012 年)

「平成 25 年度特許出願技術動向調査報告書(概要) 幹細胞技術関連」(平成 26 年 2月 特許庁)より抜粋

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B. 特許出願数の比較

○幹細胞関連技術に関する特許出願件数は、米国に次いで 2 位であり、出願件数の多い上位

20 社・機関に、我が国から 6 研究機関が入っている(表 4、表 5)。

表 4 出願人国籍別出願件数(出願年(優先権主張年):2006~2011 年)

「平成 25 年度特許出願技術動向調査報告書(概要) 幹細胞技術関連」(平成 26 年 2 月 特許庁)より抜粋

表 5 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への出願:公報単位(ファミリー単位)、出願

年(優先権主張年):2006~2011 年

出願件数欄の()内はファミリー単位の出願件数

「平成 25 年度特許出願技術動向調査報告書(概要) 幹細胞技術関連」(平成 26 年 2 月 特許庁)より抜粋

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○幹細胞の種類別の比較では、他国と比較して、論文動向と同様に iPS 細胞研究の割合が高

い(図 4)。

図 4 幹細胞の種類別-出願人国籍別出願件数及び比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2006~2011 年)

「平成 25 年度特許出願技術動向調査報告書(概要) 幹細胞技術関連」(平成 26 年 2 月 特許庁)より抜粋

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C. 臨床試験の動向

○我が国におけるヒト幹細胞臨床研究及び治験

ヒト幹指針(ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針)への適合性が承認され我が国

で実施されているヒト幹細胞臨床研究は108件(2014年11月6日時点。厚生労働省資料)。

うち iPS 細胞 1件、ES 細胞 0件であり、残りは体性幹細胞である。また、治験は 2014 年

10 月の時点で 10 件にとどまっている。

○海外におけるヒト多能性幹細胞の臨床試験

海外における ES 細胞から分化させた細胞を患者へ移植する臨床試験は 2015 年 1 月 7

日時点で 9 件。うち 7 件は眼疾患患者を対象。ほか、虚血性心疾患、頚部脊髄損傷がそ

れぞれ 1件ずつである。iPS 細胞を用いた臨床試験は未だない。

参考文献:平成 26 年度(2014 年度) 規制動向調査報告書「再生医療の実用化の課題と規制動向」

公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団

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3.国内外の幹細胞・再生医学研究における主なトピックス(直近 3 年間)

《研究関連》

・平成 24 年 10 月、NIH は Lonza 社及び Cellectis 社に臨床用 iPS 細胞製造と特定細胞種へ

の分化を委託。平成 25 年 2 月までには研究用 iPS 細胞製造も両社に委託。

・京都大学は、多能性幹細胞から機能的な卵子を作成することに成功したと発表(平成 24

年 10 月 5 日)

・京都大学 iPS 細胞研究所は、iPS 細胞への初期化を阻害する因子を特定し、この因子が分

化誘導を促進していることを明らかにした(平成 25 年 4 月 2 日)。

・横浜市立大学は、臓器の原基(臓器の種)が胎内で形成される過程を模倣する新規の細胞

培養操作技術を開発に成功し、この手法で培養したヒト肝臓の原基を免疫不全マウスの

生体内に移植するとヒト血管網を持った機能的な肝臓に成長することを確認したと発表

(平成 25 年 7 月 1 日)。

・京都大学 iPS 細胞研究所は、米グラッドストーン研究所などと共同で、iPS 細胞を用いて

筋肉などが骨に変わる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の病態を再現すること

に成功したと発表(平成 25 年 12 月 25 日)。

・京都大学 iPS 細胞研究所は、大阪大学と味の素株式会社との共同研究で、ラミニンと新た

に開発した培地を用いて、フィーダー細胞を使わず、動物由来成分を含まない条件で、

細胞移植治療に適した iPS 細胞の新しい樹立・維持培養法を確立したと発表(平成 26 年

1 月 8 日)。

・理化学研究所と先端医療振興財団は、iPS 細胞を使った世界初の臨床研究の移植手術とな

る、滲出型加齢黄斑変性の患者に対する網膜色素上皮(RPE)シートの移植手術を実施し

たと発表(平成 26 年 9 月 12 日)。

・京都大学 iPS 細胞研究所は、線維芽細胞増殖因子受容体 3型の遺伝子変異による骨系統疾

患に対し、スタチンが骨の成長を回復する効果を示すことを疾患特異的 iPS 細胞モデル

で明らかにしたと発表(平成 26 年 9 月 18 日)。

・米国 Cellular Dynamics International(CDI)が、米国人口の 19%をカバーする、2種

類のcGMP準拠 HLA“スーパードナー”iPS細胞株を製造したと発表(平成27年 2月 9日)。

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《知財関連》

・京都大学 iPS 細胞研究所は、iPS 細胞の基本技術に関する日本での特許について、iPS 細

胞を作製するための遺伝子が特定されていないため、より広範な iPS 細胞の作製方法が

包含される、より強固な特許権を京都大学が保有したと発表(平成 25 年 12 月 20 日)。

・大日本住友製薬がディナベック(現 ID ファーマ)より臨床用 iPS 細胞作製技術の特許実

施許諾契約を締結(平成 26 年 9 月 30 日)。

・タカラバイオ株式会社は、iPS アカデミアジャパン株式会社と、iPS 細胞の作製に関する

特許を分化細胞ビジネスにおいて利用するための特許実施許諾契約を締結(平成 26 年 11

月 4 日)。

《企業活動》

・株式会社ヘリオスと大日本住友製薬株式会社は、加齢黄斑変性等を対象とした iPS 細胞

由来の網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた医薬品の製造・販売を行う新会社「サイレジェ

ン」を設立したと発表した(平成 26 年 3 月 6 日)。

・iPS アカデミアジャパン株式会社は、9月 1日付けで、iPS 細胞技術実用化支援、各種細

胞輸入販売、バイオ機器ショールームなどの事業を、株式会社 iPS ポータルに譲渡する

ことを決定したと発表(平成 26 年 9 月 1 日)。

・タカラバイオ株式会社は、再生医療・細胞医療製品の安全性を検査するためのリアルタイ

ム PCR 法によるウイルス試験受託サービスを、同社の遺伝子・細胞プロセッシングセン

ターで 10 月1日から開始すると発表(平成 26 年 9 月 10 日)。

・富士フイルムホールディングスは、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)

を連結子会社化し、再生医療製品の開発を加速、製品化を推進すると発表(平成 26 年 10

月 30 日)。

・タカラバイオ株式会社と米国 StemCells, Inc.(SCI)社は、SCI 社が展開する幹細胞関連

研究用製品に関する資産買収契約を締結し、これら製品の製造販売に必要な資産をタカ

ラバイオが取得することに合意。SCI 社が展開している幹細胞関連研究用製品群について、

これら製品群の製造販売に必要なすべての知的財産権を含む資産を取得(平成 26 年 11

月 10 日)。

・平成 27 年 3 月 30 日、富士フイルムホールディングスが、iPS 細胞の開発・製造の技術・

ノウハウを有する米国 CDI を買収することで合意したと発表。

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《産学連携》

・京都大学 iPS 細胞研究所と株式会社カネカは、iPS 細胞を用いて創薬スクリーニングを行

なうための自動培養装置の開発を目指し、共同研究契約を締結(平成 26 年 4 月 24 日)。

・ロート製薬株式会社は、東京大学医科学研究所の幹細胞治療研究センター内に先端的再生

医療社会連携研究部門を設置(3年間)。難治性疾患をターゲットにした先進的な再生医

療製品の開発、関連した人材の育成を目指す(平成 26 年 10 月 9 日)。

・ディナベック(現 ID ファーマ)と京都大学 iPS 細胞研究所は、同社が所有するセンダイ

ウイルスベクターを用いて、iPS 細胞から簡便に、創薬研究用疾患標的細胞を分化誘導す

る方法を開発する共同研究契約を締結した(平成 26 年 10 月 23 日)。

・平成 27 年 4 月 17 日、京都大学 iPS 細胞研究所と武田薬品工業が、iPS 細胞技術の臨床応

用に向けた共同研究契約を締結したと発表。

《国際連携》

・iPSアカデミアジャパンは、英国における細胞治療の産業化促進を目的とするCell Therapy

Catapult 社との間で、iPS 細胞技術に関する特許について、研究及び臨床で用い得る iPS

細胞の配布に関する非独占的なライセンス契約を締結(平成 27 年 1 月 19 日)。

・再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)と、欧米における再生医療業界のとりまとめ

団体である The Alliance for Regenerative Medicine(ARM)が、両者の連携に関わる覚

書を締結(平成 27 年 3 月 12 日)。