幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1...

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幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方調査 報告書 平成 24 年 3 月 国土交通省九州運輸局 資料1-1

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Page 1: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

幹線交通とのネットワークを意識した

地域公共交通のあり方調査 報告書

平成 24年 3月

国土交通省九州運輸局

資料1-1

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目 次

Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向........................................................................................................ 1

1.九州新幹線の旅客動向 .................................................................................................. 1 2.山陽新幹線との直通による利用者増 .............................................................................. 6 3.主要駅利用者の利用実態 .............................................................................................. 8 (1)熊本駅 ...................................................................................................................... 8 (2)鹿児島中央駅 ......................................................................................................... 11

4.航空路線の旅客動向 ................................................................................................... 14 (1)福岡~鹿児島線 ...................................................................................................... 14 (2)九州~関西路線 ...................................................................................................... 15 5.九州を訪れる人のパイが拡大 ....................................................................................... 17

Ⅱ.企業活動への影響 .................................................................................................................................... 19

1.九州新幹線沿線の企業における開業に向けた対応策 ................................................... 19 2.活発化する九州・京阪神間のビジネス交流 ................................................................... 24 Ⅲ.観光への影響 ............................................................................................................................................. 27

1.九州を訪れる観光客が増加 ......................................................................................... 27 2.近畿・中国からの観光客が増加 .................................................................................... 32 3.観光関連事業者への影響 ............................................................................................ 39 Ⅳ.二次交通の現状 ........................................................................................................................................ 46

1.二次交通(鉄道・バス)の現状 ....................................................................................... 46 (1)利用実績からみた二次交通の状況 .......................................................................... 46 (2)利用が伸びている二次交通の事例 .......................................................................... 67 (3)二次交通事業者自身の評価 .................................................................................... 73 (4)二次交通に係る営業活動の状況 ............................................................................. 76 2.レンタカー利用の現状 .................................................................................................. 77

(参考)駅前広場整備の状況 ..................................................................................................................... 85

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1

Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向

1.九州新幹線の旅客動向

3月 12日の開業から 1年間の九州新幹線の利用者数は、博多~熊本で 896.1万人、熊本~鹿児島中央で 514.2万人

開業直後は震災の影響により利用が伸び悩むが、GW以降から徐々に回復 開業前との比較では、博多~熊本で 137%、熊本~鹿児島中央で 165% 列車系統別には山陽・九州直通の「さくら」「みずほ」の乗車率が高い 駅別の利用状況では、鹿児島中央と熊本が突出しており、川内、久留米と続く 4~12月の平均利用者数と JRの想定との比較をすると以下の通り 新 鳥 栖:103% 久 留 米:98% 筑後船小屋:74% 新 大 牟 田:65% 新 玉 名:106% 熊 本:103% 新 八 代:100% 出 水:100% 川 内:114% 鹿児島中央:121%

イ 利用実績

開業前との比較で、博多~熊本間で 137%、熊本~鹿児島中央間で 165%

ロ 列車別の利用率

山陽新幹線直通のみずほ号、さくら号の乗車率が高い

ハ 駅別の利用実績

九州新幹線各駅の 4月から 12 月までの平均利用者数と JR 想定との比較で、

10%以上上回っている駅:川内、鹿児島中央

10%以上下回っている駅:筑後船小屋、新大牟田

ポ イ ン ト

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2

図表1 九州新幹線月別1日平均利用者数

図表2 九州新幹線月別利用実績(対前年比)

2.52.2

2.5

2.22.4

3.0

2.42.7 2.8

1.51.3

1.51.2 1.3

1.7

1.41.6 1.6

0

1

2

3

4

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

(万人)

博多〜熊本

熊本〜鹿児島中央

0

50

100

150

200

3月(12日~)

5月 7月 9月 11月 1月 3月(~11日)

熊本〜鹿児島中央

博多〜熊本

(%)

博多~熊本 累計(137%)

熊本~鹿児島中央 累計(165%)

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3

図表3 開業半年間の列車別乗車率

図表4 九州新幹線各駅の利用者数(推計値)

(単位:人/日)

みずほ さくら 計 さくら つばめ 計

博多~熊本間 56% 61% 59% 43% 27% 35% 42%

熊本~鹿児島中央間 34% 43% 40% 42% 22% 36% 38%

新大阪直通列車 九州内列車(新下関発着を含む)合計

駅名 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月4~12月

平均JR想定

新鳥栖駅 1,450 1,650 1,400 1,750 2,100 1,800 1,900 2,050 1,750 1,750 1,700

久留米駅 2,500 2,600 2,200 2,750 2,900 2,550 2,850 2,950 2,700 2,650 2,700

筑後船小屋駅 650 700 650 700 800 650 750 800 700 700 950

新大牟田駅 700 750 650 750 900 700 800 800 800 750 1150

新玉名駅 900 950 850 950 1,100 950 1,000 1,100 950 950 900

熊本駅 12,550 13,550 11,750 13,500 15,150 13,850 14,350 14,750 12,650 13,550 13,100

新八代駅 1,950 1,900 1,700 1,850 2,350 1,900 2,000 2,000 1,850 1,950 1,950

新水俣駅 1,000 1,050 950 1,000 1,100 1,000 1,050 1,050 1,000 1,000 1,000

出水駅 2,050 2,050 1,950 2,100 2,350 2,000 2,150 2,200 2,150 2,100 2,000

川内駅 2,650 2,750 2,650 2,900 3,250 2,800 2,950 3,000 3,000 2,900 2,550

鹿児島中央駅 13,100 14,700 12,400 13,750 15,550 13,700 15,100 15,700 13,200 14,150 11,650

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4

図表5 九州新幹線各駅の利用者数(推計値)

新鳥栖駅 久留米駅

筑後船小屋駅 新大牟田駅

新玉名駅 熊本駅

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

200

400

600

800

1,000

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

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5

新八代駅 新水俣駅

出水駅 川内駅

鹿児島中央駅

資料)図表1~5いずれも JR九州

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

JR想定値

(人)

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6

2.山陽新幹線との直通による利用者増

博多~小倉間の利用も全線開業以降 119%の高い伸びを示している(JR西日本 3月社長定例会見より)

JR 西日本管内における九州・山陽直通の「さくら」「みずほ」の乗車率は 65%で、山陽新幹線の平均を 17ポイント上回る

京阪神~熊本間の旅客市場は、前年同期比で約4割増、京阪神~鹿児島間では前年同

期比約3割増(JR西日本の見解、次ページ参照) 新幹線のシェアは、京阪神~熊本で3割→6割、京阪神~鹿児島で1割→4割に拡大

(JR西日本の見解、次ページ参照) これらのことから、山陽・九州の新幹線直通により、山陽新幹線の利用が増加してい

ると考えられる

図表6 JR 西日本・新幹線(博多駅~小倉駅発着)の輸送人員と前年同期比

資料)九州運輸局「九州のうんゆ」各月版

0

20

40

60

80

100

120

140

0

500

1,000

1,500

2,000

4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月

輸送人員

(千人)

前年同期比

(%)

(千人) (%)

平成23年平成22年

新幹線開業

イ 博多~小倉間の利用実績

既存区間の山陽新幹線博多~小倉間の利用も 119%の高い伸び

ロ 直通列車の乗車率

山陽新幹線の「みずほ」「さくら」の乗車率は65%で山陽新幹線の平均を

ポイント上回る。

⇒山陽新幹線・九州新幹線の直通により、山陽新幹線においても利用者が増加

ポ イ ン ト

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8

3.主要駅利用者の利用実態

熊本・鹿児島両県のシンクタンクが熊本駅、鹿児島中央駅の乗降客等に対するアンケ

ート調査を実施しており、その結果から利用実態を整理する (1)熊本駅

地域流通経済研究所(熊本市)では、開業から3カ月経った平成 23年 6月に「九州新幹線熊本駅乗降客アンケート調査」を実施

それによると、九州新幹線熊本駅利用者の居住地は、25.0%が九州外 熊本駅利用者の新幹線利用目的は、「仕事(出張)」が 31.2%で最も多く、「観光」が

22.9%、「帰省、家族・親戚に会う」が 13.8%の順 居住地別に見ると、「仕事(出張)」は福岡県や関東地方が多く、「観光」は九州外(と

くに関西地方、中国地方)が多い 関東地方やその他(九州外)では、「福岡空港の利用」のために九州新幹線を利用した

という回答も 10%を超えた

イ 熊本駅

九州外居住者の利用は全体の 25%。新幹線利用目的は、仕事(出張)が3割超で

最多、観光が約 23%。

ロ 鹿児島中央駅

新幹線部分開業時、県外客は約 10%であったものが、全線開業後は約 25%まで

シェアが増加。新幹線利用目的は、仕事も観光も約3割で拮抗。

ハ 鹿児島市中心部

天文館周辺のホテル・旅館の宿泊客の鹿児島までの交通手段は、

関東 航空機:新幹線≒8:1

関西 航空機:新幹線≒5:4

広島 航空機:新幹線≒1:10

ポ イ ン ト

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9

図表8 九州新幹線熊本駅利用者の居住地

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10

図表9 熊本駅利用者の新幹線利用目的

資料)図業 8,9:地域流通経済研究所「九州新幹線熊本駅乗降客アンケート調査」(平成 23年 6月実施)」

7.6 0.2 0.3 0.8 0.8 1.0 1.6 1.8 2.7 3.5 3.7 3.7 

5.5 6.7 

13.8 22.9 

31.2 

0 10 20 30 40

その他

展覧会・博覧会を見る

祭りやイベントを見る

介護、見舞い

食事・喫茶・飲み会

各種試験の受験、セミナーの受講

スポーツ観戦

福岡空港の利用

通学

コンサートやライブを見る

冠婚葬祭

通勤

友人・恋人に会う

買い物

帰省、家族・親戚に会う

観光

仕事(出張)

(%)

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11

(2)鹿児島中央駅

鹿児島地域経済研究所(鹿児島市)では、鹿児島中央駅の乗降客へのアンケート調査

を全線開業前から実施 また、全線開業直後の 2011年 3月と開業から半年経った 9月にもアンケート調査を実施していることから、開業前後の利用実態の比較を行う

それによると、九州新幹線鹿児島中央駅利用者のうち九州外居住者の割合は、全線開

業前の 2010年 3月は 10.2%であったのに対し、全線開業後の 11年 3月、11年 9月は約 25%にまで上昇

鹿児島中央駅利用者の新幹線利用目的は、部分開業時と全線開業後で大きく変化はし

ていない。11年 9月調査では「ビジネス」が 30.8%、「観光・レジャー」が 29.9%でほぼ拮抗しており、熊本駅と比べると観光目的がやや多い

新幹線利用目的について、本州沿線府県の居住者に限定すると、「観光・レジャー」の

割合は 46.9%に対し、「ビジネス」は 24.0%であり、本州からの観光目的の利用者が多いことがわかる

図表 10 九州新幹線鹿児島中央駅利用者の居住地

24.9

12.1

15.4

32.8

26.3

28.2

20.9

25.4

19.4

8.1

6.2

8.5

3.1

4.5

4.1

10.2

25.5

24.3

0 20 40 60 80 100

10年3月(N=1,644)

11年3月(N=2,180)

11年9月(N=1,600)

県内移動 県外移動 福岡県 熊本県

その他九州

九州外

鹿児島県居住者43.6% 他県居住者56.4%

(%)

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12

図表 11 鹿児島中央駅利用者の新幹線利用目的

図表 12 鹿児島中央駅利用者のうち本州沿線府県居住者における新幹線利用目的

出典)図業 10~12:鹿児島地域経済研究所「九州新幹線全通半年後の利用状況調査」

32.7 

24.7 

30.8 

24.4 

30.5 

29.9 

11.9 

15.6 

11.0 

9.6 

4.7 

8.3 

3.6 

2.7 

3.7 

17.8 

21.7 

16.3 

0 20 40 60 80 100

10年3月

11年3月

11年9月

ビジネス 観光・レジャー 帰省

通勤・通学

買い物その他

(%)

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13

鹿児島経済同友会が、鹿児島の中心部である天文館周辺のホテル・旅館への宿泊客に

アンケートを行ったところ、関東、愛知県、関西では航空機が最多、広島県と福岡県

では新幹線が最多、熊本県では自家用車が最多であった 愛知県や関西では航空機が最も多いが、新幹線の割合も4割弱を占めている

図表 13 天文館周辺ホテル・旅館宿泊者の鹿児島までの交通手段

注)関東は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県。関西は京都府、大阪府、兵庫県。 アンケート調査は、2011年 9月実施 資料)鹿児島経済同友会「天文館周辺のホテル・旅館における宿泊客向けアンケート調査」

41.9 

45.2 

39.1 

37.9 

36.0 

13.0 

44.2 

38.3 

30.4 

7.6 

0.0 

1.3 

0.0 

0.5 

4.3 

47.0 

56.0 

74.7 

14.0 

16.0 

26.1 

7.6 

8.0 

11.0 

0 20 40 60 80 100

熊本県

福岡県

広島県

関西

愛知県

関東

新幹線

自家用車

航空機

その他・不明

(%)

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14

4.航空路線の旅客動向

(1)福岡~鹿児島線

福岡~鹿児島の航空旅客は、全線開業前の期間(~11日)があった 3月は前年比 63.1%であったが、4月以降は前年比 40%を下回って推移している

2011年 3月末には 5便/日→3便/日に減便されている

図表 14 九州新幹線全線開業後の福岡~鹿児島の航空旅客の変化と前年比

資料)日本航空

8,089

3,842 3,820 3,9004,243

4,6894,114 4,272 4,068 3,880

63.1 

35.5 33.5 

36.5  37.2  38.4  37.7  37.4  36.5  37.3 

0

10

20

30

40

50

60

70

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

旅客数(人)

前年比(%)

イ 福岡~鹿児島線

2011 年 4 月以降、前年比 40%を下回る。便数も 5便から 3便に減便

ロ 九州~関西路線

区間別のトータルの便数は増加。区間別のトータルの利用者数は震災直後は

最大 2割程度減。その後は回復してきており、12 月には前年比 95%程度

ポ イ ン ト

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15

(2)九州~関西路線

九州新幹線全線開業前後における関西地区(伊丹・神戸)~熊本/鹿児島における航

空路線は、大手2社の増便・減便の動きのほか、スカイマークの新規就航や天草エア

ラインの路線の再編がみられた 関西地区(伊丹・神戸)~熊本間の九州新幹線全線開業前後における航空機利用者数

は、大手2社に関しては、震災直後こそ前年比3割程度のマイナスであったが、その

後は2割程度のマイナスで推移 スカイマーク、天草エアラインの利用者数を加えた区間全体の利用者数は、震災直後

は最大 2割程度減となったが、2011年 7月以降前年比 90%を超え、8月は前年比で約106%と上回ったほか、12月は 95%程度となっている。

図表 15 関西地区~熊本/鹿児島における九州新幹線全線開業前後の航空路線の変化

資料)航空各社

図表 16 関西地区(伊丹・神戸)~熊本の航空機利用者数と対前年比

資料)航空各社、大阪航空局「西日本におけるコミューター航空旅客輸送実績」

関西地区~熊本 関西地区~鹿児島

2010年9月 スカイマーク、神戸~鹿児島に新規就航(2往復)

2010年10月 JAL、伊丹~熊本を1往復減便 JAL、伊丹~鹿児島を1往復増便

スカイマーク、神戸~熊本に新規就航(2往復)

天草エアライン、神戸~熊本の運行停止

2010年12月 天草エアライン、伊丹~熊本に新規就航(1往復)

2011年3月 ANA、伊丹~熊本を1往復増便

0

20

40

60

80

100

120

140

0

1

2

3

4

5

6

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

JAL・ANA

AMX・SKY含む

JAL・ANA

AMX・SKY含む

(万人) (%)

旅客数

前年比

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16

同様に、関西地区(伊丹・神戸)~鹿児島間の九州新幹線全線開業前後における航空

機利用者数は、大手2社に関しては前年比3割程度のマイナスであったが、夏以降は

1~2割程度のマイナスとなっている 新規に就航したスカイマークを含めた区間全体の利用者数では、震災直後は最大 2 割程度減となったが、2011年 12月に前年比 95%程度まで回復している。

図表 17 関西地区(伊丹・神戸)~鹿児島の航空機利用者数と対前年比

資料)航空各社

0

20

40

60

80

100

120

0

2

4

6

8

10

12

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

JAL・ANA

SKY含む

JAL・ANA

SKY含む

(万人) (%)

旅客数

前年比

Page 20: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

17

5.九州を訪れる人のパイが拡大

年末年始の JRや航空旅客の増加率を全国の実績と比較すると、博多~熊本・鹿児島中央間の伸びが大きい

宿泊旅行統計調査によれば、九州の宿泊者数(7-9月期:暫定値)は、九州新幹線全線開業前の 2010年と比較して 5.9%増加しており、他地域よりも高い伸び率である

1.4.で記述したとおり、新幹線の利用が高水準で推移する一方、競合関係にある

航空機の利用者数減が小幅であることから九州を訪れる人のパイが拡大したものと考

えられる

図表 18 JR、航空各社における年末年始の旅客輸送実績(対前年比)

資料)JR、航空各社プレスリリース

区間 前年比

JR東日本 東北新幹線(大宮~宇都宮・古川~北上) 98%

上越新幹線(大宮~高崎) 100%

長野新幹線(高崎~軽井沢) 98%

JR西日本 山陽新幹線(新大阪~西明石) 103%

山陽新幹線(小倉~博多) 114%

JR九州 九州新幹線(博多~熊本) 125%

九州新幹線(熊本~鹿児島中央) 145%

JAL 九州方面 101%

ANA 九州方面 101%

イ 年末年始輸送の状況

新幹線の 2011 年度の年末年始輸送では、全国に比べて前年比の伸び率が大きい

ロ 宿泊者数の状況

観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、7-9 月期の宿泊者数の暫定値は、前年比で

5.9%増加し、他地域よりも高い伸び

⇒ 新幹線利用増の一方で航空機の利用減が小幅であることなども踏まえれば、九州を

訪れる人のパイが拡大したものと考えられる。

ポ イ ン ト

Page 21: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

18

図表 19 地域別延べ宿泊者数の対前年増加率(2011 年 7-9 月期)

注)2011年 7-9月期の宿泊者数は暫定値 資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」

▲ 3.6

8.2

▲ 0.9

10.4

▲ 3.1

2.23.4

4.45.9

▲ 4.3

1.9

‐6

‐4

‐2

0

2

4

6

8

10

12

北海道

東北

関東

北陸信越

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

全国

(%)

Page 22: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

19

Ⅱ.企業活動への影響

1.九州新幹線沿線の企業における開業に向けた対応策

九州新幹線全線開業の企業活動への影響について、「九州新幹線鹿児島ルート全線開業

に伴う人流・経済等の変化に関するアンケート調査」を実施(詳細は下記参照) 本アンケート調査は、同じ企業を対象に同じ質問でアンケートを行っており、開業前

の想定と開業後の実態についての相違についても検討を行う

イ 九州新幹線全線開業に伴って変化が生じた内容

変化が生じたものとして、「出張等のビジネス移動時の利用交通手段」が最も多く、

約4割が回答。開業前の想定と開業後の現状では大きな差が出ていない

ロ 九州新幹線全線開業に向けた対応の有無と対応策の具体的内容

開業前後で対応をとった者は7%程度で、そのほとんどが「情報収集活動の強化」、

「営業エリア」の拡大

ハ 新幹線通勤手当の支給

支給しないが約8割

⇒ 九州内立地企業の営業活動が活発化しているが、支店や営業所の再編といった企業

立地に影響する対応はほとんど行われていない。

ポ イ ン ト

Page 23: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

20

「九州新幹線鹿児島ルート全線開業に伴う人流・経済等の変化に関するアンケート調査」の概要

調査対象: 以下の条件で 1,500企業を抽出 (昨年度も同様の対象・内容で実施) ①対象地域 福岡県・佐賀県・熊本県・鹿児島県 ②拠点条件 ・首都圏・関西圏に本社があり支社や営業所等が 九州各地にある企業 ・本社が対象地域の県内にあり支社や営業所等が 九州各地にある企業 ③企業規模等 ・100 億円以上の主要企業(上位 50社)、福岡証券取引所上場企業は必ず含む ・小規模企業は調査対象外 ・従業員数 300人以上、300人未満いずれも含む ・業種は一部業種を除き、製造業・非製造業いずれも含む 調査方法:郵送配布、郵送・FAX回収 調査時期:2011年 10月 回収状況:300通(回収率 20.0%) (参考)開業前アンケート 調査対象・調査方法:上記に同じ 調査時期:2010年 6月 回収状況:517通(回収率 34.5%)

Page 24: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

21

九州新幹線全線開業に伴って変化が生じた内容としては、「出張等のビジネス移動時の

利用交通手段」が最も多かった 利用交通手段に関する自由記入を分析したところ、主に九州内での出張において自動

車(社用車等)から新幹線での出張にシフトしたとする回答が 24件あった また、九州~関西との間の出張において、航空機利用から新幹線にシフトしたとする

回答が 9件あった 開業前の想定と開業後の現状を比較すると、大きな差が出ている項目はなく、開業前

の想定とほぼ同じ内容の変化であったと考えられる

図表 20 九州新幹線全線開業に伴って変化が生じた内容

41.3 

22.7 

26.2 

5.4 

4.4 

46.6 

23.5 

23.1 

4.0 

2.8 

0 10 20 30 40 50

出張等のビジネス移動時の利用交通手段

出張等のビジネス移動時の出張日程・出張頻度

出張等のビジネス流動

従業員の通勤流動

従業員の通勤時の利用交通手段

(%)

開業前

開業後

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22

開業に伴い、拠点の再編等の特別な対応を行っているところはあまり見られない 少ない中ではあるが、対応策の具体的内容をみると「情報収集活動の強化」、「営業エ

リアの拡大」の2つが目立っている

図表 21 九州新幹線全線開業に向けた対応の有無と対応策の具体的内容

新幹線通勤に対する手当の支給に関しては、支給しないが 79.0%で、全額ないし一部支給が 10.1%

開業前と比較すると、検討中の割合が下がって(19.6%→10.9%)、支給しないが上昇した(69.5%→79.0%)

図表 22 新幹線通勤手当の支給(左:開業前、右:開業後)

資料)図表 20~22:九州運輸局「九州新幹線鹿児島ルート全線開業に伴う人流・経済等の変化に関するア

ンケート調査」

全額

支給3.9

一部

支給7.1 

支給し

ない(在

来線分のみ)

69.5 

検討中19.6 

(%)

N=465

全額

支給5.4 

一部

支給4.7 

支給し

ない(在

来線分のみ)

79.0 

検討中10.9 

(%)

N=257

開業前

に対応

をとった4.3 

開業後

に対応

した3.2 

対応を

検討中4.3 

対応す

る予定

はない88.3 (%)

N=281

51.6 45.2 

22.6 9.7 

6.5 16.1 

0.0  10.0  20.0  30.0  40.0  50.0  60.0

情報収集活動の強化

営業エリアの拡大

支社・事務所等の新設

支社・事務所等の統廃合

従業員の採用活動エリアの拡大

その他

(%)

複数回答

N=31

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23

新幹線通勤・通学定期の区間別利用状況は、川内~鹿児島中央が 474 人で最も多く、次いで博多~熊本の 455人、出水~鹿児島中央の 408人という順になっている

図表 23 新幹線通勤・通学定期の利用状況(2012 年 2 月末時点)

資料)JR九州

区間 利用人員 区間 利用人員

博多~久留米 205 久留米~熊本 95

博多~筑後船小屋 128 熊本~新水俣 96

博多~新大牟田 120 出水~鹿児島中央 408

博多~新玉名 107 川内~鹿児島中央 474

博多~熊本 455 その他の区間 677

合計 2,765

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24

2.活発化する九州・京阪神間のビジネス交流

• • 九州と京阪神にある 11 の商工会議所で構成される「九州新幹線を活用した西日本活性化研究会(事務局:大阪商工会議所、福岡商工会議所)」では、九州新幹線全線開業(・

山陽新幹線との直通)後、九州と京阪神との間の企業間交流の変化に関するアンケート

調査を実施(下記参照) • 九州・京阪神間では、両地域ともにビジネス交流を行っている企業が半数以上を占め、

とくに京阪神の企業では3分の2以上がすでに交流を行っている • 九州企業は情報交換や営業活動が京阪神よりも多く、京阪神企業は共同開発や工場・事

業所の立地が多い • 九州の企業では、京阪神への営業活動や市場調査、製品等の共同開発を開始・増加させ

た企業は 25%程度を占めたが、京阪神の企業では 20%程度にとどまった 【九州・京阪神の企業間交流に関するアンケート調査の概要】

○調査対象: 「九州新幹線を活用した西日本活性化研究会」を構成する九州/京阪神 11商工会議所の会員企業 8,424社(うち九州側 5,319社/京阪神側 3,105社) ○調査実施会議所: 福岡・北九州・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島商工会議所 京都・神戸・大阪商工会議所 ○調査期間:2011年 10月 27日~11月 10日 ○調査方法:調査票の発送・回収ともにFAX ○有効回答数:1,122社(有効回答率 13.3%) ※ 九州側 844社(有効回答率 15.9%)、京阪神側 278社(有効回答率 9.0%)。

イ 九州~京阪神地域間で現在交流しているビジネスの内容

九州企業は情報交換や営業活動が京阪神よりも多く、京阪神企業は共同開発や

工場・事業所の立地が多い

ロ 九州新幹線の全線開業を契機にビジネス交流を開始・増加させた内容

九州企業、京阪神企業ともに、互いのエリアへの営業活動、市場調査や製・商品、

サービスの共同開発を増加させたものが多い

ポ イ ン ト

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25

図表 23 九州/京阪神地域間のビジネス交流の有無

九州の企業 京阪神の企業

図表 24 九州~京阪神地域間で現在交流しているビジネスの内容

交流している, 51.7 

今のところして

いないが、機会

があれば交流

したい, 7.9 

交流しておら

ず、当面はその

意向もない, 37.9 

過去交流は

あったが、現在

はない, 1.9 

無回答, 0.6 

交流している, 67.6 

今のところして

いないが、機会

があれば交流

したい, 6.1 

交流してお

らず、当面

はその意向

もない, 21.9 

過去交流は

あったが、現在

はない, 4.0 

無回答, 0.4 

34.6 

25.5 

23.9 

70.2 

50.0 

67.0 

33.0 

50.5 

47.8 

20.0 

47.6 

63.8 

48.5 

15.1 

9.7 

15.5 

0 20 40 60 80

工場・事業所の立地

九州/京阪神からの人材確保

九州/京阪神企業と製・商品、サービスの共同開発

九州/京阪神での製・商品、サービスの販売

九州/京阪神企業からの製・商品、サービスの購入

九州/京阪神への営業活動

九州/京阪神での市場調査

九州/京阪神企業との情報交換

(%)

九州京阪神

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26

図表 25 九州新幹線の全線開業を契機に京阪神企業とのビジネス交流を

開始・増加させた九州の企業とその内容

図表 26 九州新幹線の全線開業を契機に九州企業とのビジネス交流を

開始・増加させた京阪神の企業とその内容

資料)図表 23~26:九州新幹線を活用した西日本活性化研究会「九州・京阪神の企業間交流に関するアン

ケート調査」

3.3 

3.0 

1.9 

3.0 

1.3 

1.5 

3.1 

15.0 

23.3 

15.3 

10.8 

23.5 

23.4 

17.9 

0 5 10 15 20 25 30

工場・事業所の立地

京阪神からの人材確保

京阪神企業と製・商品、サービスの共同開発

京阪神での製・商品、サービスの販売

京阪神企業からの製・商品、サービスの購入

京阪神への営業活動

京阪神での市場調査

京阪神企業との情報交換

開始 増加

(%)

1.5 

2.1 

2.2 

1.5 

3.2 

0.8 

1.6 

2.1 

3.1 

4.2 

11.1 

18.2 

7.4 

20.6 

17.7 

16.8 

0 5 10 15 20 25 30

工場・事業所の立地

九州からの人材確保

九州企業と製・商品、サービスの共同開発

九州での製・商品、サービスの販売

九州企業からの製・商品、サービスの購入

九州への営業活動

九州での市場調査

九州企業との情報交換

開始 増加

(%)

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27

Ⅲ.観光への影響

1.九州を訪れる観光客が増加

観光庁「宿泊旅行統計調査」によれば、2011 年度上期の九州の宿泊者数は、全国に比べてマイナス幅が小さくなっている

インバウンドに関しては、震災・原発事故発生直後は激減したが、その後は、原発事

故に伴う放射能に対する不安感の継続や円高傾向はあるものの、減少幅は着実に減少

している 旅行会社をはじめとする観光関連事業者へのヒアリングでは、震災や原発事故の影響

もあり、観光客が西日本・九州へ流れたという声が多く聞かれている 観光型の宿泊施設(観光目的の宿泊者が 50%以上)における 7-9 月期の宿泊者数の増減は、全国が 3.9%減の一方で、九州は 23.0%増と大幅な伸びを示していることからも、観光客が九州に多数訪れたと考えられる

宿泊客の月次データが取れる県の動向をみると、鹿児島は6月以降大幅なプラスの連

続、大分でも秋からプラスに転じている 沿線から離れた佐賀県や長崎県の観光施設利用者数は、新幹線開業前後にあっても、

施設ごとに状況はまちまちであり、新幹線の開業の影響(プラス、マイナス双方)が

読みとれない

イ 2011 年度上期の九州と全国の宿泊者数

全国に比べて九州はマイナス幅が小さい。インバウンドは、震災直後は激減したが、

減少幅は着実に減少。

ロ 県別の宿泊者数の動向

鹿児島県、大分県の終了宿泊施設の宿泊者数の前年比をみると、鹿児島は6月以降

大幅なプラスに、大分は秋以降同様の動き

ハ 主要文化。観光施設の利用者数動向

施設ごとに状況はまちまちであり、新幹線の開業の影響が読みとれない

ポ イ ン ト

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28

図表 27 2011 年度上期の九州と全国の宿泊者数(単位:千人)

資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」

図表 28 九州の外国人入国者数の推移

資料)法務省出入国管理統計月報

2011年4~6月(実績)

7~9月(実績)

実数(万人) 9,907 11.695

前年同期比 -4.5% -0.5%

実数(万人) 87.239 117.914

前年同期比 -13.0% -4.2%

実数(万人) 206 389

前年同期比 -51.3% -21.8%

実数(万人) 9,700 11,306

前年同期比 -66.6% -39.1%

外 国 人

宿 泊 者 数

宿 泊 者 数

九州

九州

全国

全国

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29

図表 29 主要通貨の為替レート

65

70

75

80

85

90

Mar‐11

Apr‐11

May‐11

Jun‐11

Jul‐1

1

Aug‐11

Sep‐11

Oct‐11

Nov‐11

Dec‐11

Jan‐12

Feb‐12

(円/米ドル)

95

100

105

110

115

120

125

Mar‐11

Apr‐11

May‐…

Jun‐11

Jul‐1

1

Aug‐11

Sep‐11

Oct‐11

Nov‐11

Dec‐11

Jan‐12

Feb‐12

(円/ユーロ)

5.0 

5.5 

6.0 

6.5 

7.0 

7.5 

8.0 

Mar‐11

Apr‐11

May‐…

Jun‐11

Jul‐1

1

Aug‐11

Sep‐11

Oct‐11

Nov‐11

Dec‐11

Jan‐12

Feb‐12

(円/100ウォン)

10.0 

10.5 

11.0 

11.5 

12.0 

12.5 

13.0 Mar‐11

Apr‐11

May‐11

Jun‐11

Jul‐1

1Au

g‐11

Sep‐11

Oct‐11

Nov‐11

Dec‐11

Jan‐12

Feb‐12

(円/人民元)

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30

図表 30 地域別延べ宿泊者数の対前年増加率(観光目的の宿泊者が 50%以上の施設、7-9 月期)

資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」

図表 31 鹿児島県内主要宿泊施設の宿泊者数の対前年比

注)県内の主要宿泊施設が対象 資料)鹿児島県観光動向調査

▲ 9.7

▲ 20.9

▲ 11.2

16.0 13.9

▲ 6.5▲ 3.2

▲ 6.0

23.0

▲ 3.5▲ 3.9

‐30

‐20

‐10

0

10

20

30

北海道

東北

関東

北陸信越

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

全国

(%)

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月

(%)

Page 34: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

31

図表 32 大分県内主要宿泊施設の宿泊者数の対前年比

注)従業員 10人以上の県内の主要宿泊施設が対象 資料)大分県観光統計(毎月調査)

図表 33 佐賀県主要文化・観光施設の利用者数対前年比

資料)佐賀県「主要文化・観光施設の利用者数」

図表 34 長崎県主要観光施設等の利用者数対前年比

注)ハウステンボスは平成 23年 10月からは四半期に一度の公表に変更、雲仙仁田道は平成 23年 7月は道路路肩崩壊に伴う通行止、一支国博物館は、平成 22年 3月 14日開館

資料)長崎県「主要観光施設等の利用者数」

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月

(%)

唐 津 市 多久市 武雄市

吉野ヶ里

町  ・神

埼市

有田町

県 立 県 立 佐賀城本丸 唐津曳山 波 戸 岬 名護屋城 県立宇宙 九州陶磁

博 物 館 美 術 館歴 史 館

展 示 場 海中展望

博 物 館科 学 館

文 化 館

平成23年 1月 ▲ 6.4 82.9 19.8 ▲ 18.5 ▲ 18.3 ▲ 47.3 ▲ 15.5 ▲ 6.8 10.5 ▲ 20.9 7.7

平成23年 2月 ▲ 10.4 4.5 ▲ 11.8 ▲ 5.3 ▲ 13.6 ▲ 19.5 ▲ 1.1 15.8 ▲ 15.6 28.8 2.8

平成23年 3月 ▲ 15.6 ▲ 12.4 ▲ 23.0 ▲ 18.6 ▲ 5.0 ▲ 22.1 ▲ 11.1 ▲ 20.1 11.7 15.5 ▲ 23.3

平成23年 4月 265.3 402.0 ▲ 0.1 8.7 11.1 6.8 ▲ 1.5 7.9 26.2 9.7 ▲ 24.3

平成23年 5月 207.5 287.1 ▲ 21.8 2.4 8.8 ▲ 14.6 ▲ 12.8 ▲ 22.7 ▲ 1.5 ▲ 26.1 ▲ 5.6

平成23年 6月 10.0 54.3 ▲ 11.2 ▲ 8.3 ▲ 15.0 ▲ 27.1 7.4 ▲ 18.2 4.6 ▲ 16.7 13.1

平成23年 7月 ▲ 1.6 16.3 5.0 24.9 37.2 9.2 21.9 5.7 11.3 21.4 ▲ 11.5

平成23年 8月 6.9 9.0 2.7 15.0 ▲ 1.4 ▲ 14.5 5.7 6.9 9.8 4.8 ▲ 7.3

平成23年 9月 549.5 ▲ 36.3 20.4 21.4 14.4 ▲ 19.0 13.0 ▲ 16.8 10.3 24.8 ▲ 20.6

平成23年 10月 ▲ 5.6 52.2 3.3 8.5 ▲ 2.0 ▲ 19.7 ▲ 15.6 34.8 ▲ 3.5 21.8 ▲ 24.9

平成23年 11月 ▲ 53.7 2.3 20.3 ▲ 2.4 ▲ 1.9 ▲ 13.8 ▲ 19.9 ▲ 11.7 ▲ 52.4 ▲ 20.0 4.5

平成23年 12月 ▲ 1.1 4.2 ▲ 17.3 0.1 14.7 23.6 7.7 ▲ 73.6 0.2 18.0 ▲ 4.9

年 度 ・ 月

佐 賀 市

唐津城 多久聖廟吉野ヶ里

歴史公園

平 戸 市 島 原 市 雲 仙 市 五 島 市 壱 岐 市 対 馬 市

平成23年 1月 10.4 12.0 ▲ 35.5 36.6 ▲ 20.6 ▲ 27.3 ▲ 77.2 ▲ 18.2 - 35.2

平成23年 2月 7.0 ▲ 5.2 ▲ 21.5 18.2 ▲ 12.1 ▲ 14.0 ▲ 45.3 ▲ 26.8 - 7.2

平成23年 3月 ▲ 15.5 ▲ 27.6 ▲ 27.9 ▲ 20.2 ▲ 20.6 ▲ 30.1 ▲ 30.8 ▲ 38.2 ▲ 37.8 ▲ 21.3

平成23年 4月 ▲ 17.8 ▲ 23.5 ▲ 17.0 21.5 ▲ 35.8 ▲ 21.5 ▲ 20.8 ▲ 23.8 ▲ 44.6 ▲ 41.5

平成23年 5月 ▲ 2.0 0.0 ▲ 19.9 22.1 ▲ 12.2 ▲ 14.7 ▲ 32.6 22.7 ▲ 45.8 9.9

平成23年 6月 21.1 23.6 ▲ 21.2 12.9 ▲ 11.2 ▲ 8.3 ▲ 44.8 17.4 ▲ 12.3 8.2

平成23年 7月 1.7 ▲ 4.7 ▲ 6.9 3.2 9.7 12.3 - 24.9 ▲ 6.1 52.6

平成23年 8月 ▲ 13.3 ▲ 11.1 ▲ 12.3 ▲ 2.4 5.5 2.9 ▲ 60.1 32.7 ▲ 9.9 25.6

平成23年 9月 ▲ 5.2 ▲ 5.5 ▲ 6.5 ▲ 4.4 16.6 3.8 ▲ 10.5 20.7 5.3 37.7

平成23年 10月 ▲ 11.5 ▲ 9.8 ▲ 10.3 - 13.9 1.5 ▲ 17.7 67.4 ▲ 20.8 15.4

平成23年 11月 ▲ 5.2 ▲ 1.6 ▲ 10.5 - 13.4 0.4 ▲ 28.4 ▲ 2.3 17.8 27.1

平 戸 城 島 原 城雲 仙

仁 田 道

堂 崎

天 主 堂

一 支 国

博 物 館万 松 院

年 月長 崎 市 佐 世 保 市

グラ バ ー園長崎原爆

資 料 館

西海パール

シー リソ ゙ ート

ハ ウ ス

テ ンボス

Page 35: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

32

2.近畿・中国からの観光客が増加

山陽新幹線との直通効果により、近畿や中国地方からの観光客が増えているとの意見

がヒアリングでも多数聞かれた 宿泊旅行統計調査においても、近畿・中国からの宿泊客の増加(近畿:15.5万人→22.7万人、46.5%増、中国:6.9万人→10.3万人、49.3%増)が認められる

九州の宿泊施設における宿泊者の居住地のシェアの変化をみると、近畿は 11.6%→13.8%、中国は 5.1%→6.3%にシェアを伸ばしている

イ 九州の宿泊施設における宿泊客の居住地のシェア

近畿、中国地方発のシェアの伸びが大きく、近畿、中国地方からの宿泊客が増加

ロ 鹿児島県観光動向調査の結果

鹿児島県内主要宿泊施設の宿泊者数の対前年比をみると、関西や中国地方からの

宿泊者数が大幅に伸びている

ハ 修学旅行の状況

近畿地方では、東日本大震災に伴う目的地を変更した公立中学の 3分の 2が九州に

変更。

広島県内の中学校において、九州を目的地にするものが 2007 年度との比較で 2011

年度は倍増

ポ イ ン ト

Page 36: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

33

図表 35 居住地別九州の宿泊施設への宿泊者数

注)従業者数 100人以上の宿泊施設、平成 23年 7~9月は暫定値

図表 36 九州の宿泊施設における宿泊者居住地のシェアの変化

資料)観光庁「宿泊旅行統計調査」

16.2

1.3

70.8

1.7

6.9

15.5

6.7

1.0

28.0

1.0

0.8

14.6

1.4

80.0

2.8

10.3

22.7

8.7

1.2

35.1

1.0

1.1

0 20 40 60 80 100

国外

沖縄

九州

四国

中国

近畿

中部

北陸信越

関東

東北

北海道

平成23年7~9月

平成22年7~9月

(万人)

21.4

21.0

5.3

5.0

13.8

11.6

6.3

5.1

48.7

52.9

0 20 40 60 80 100

23年

22年

北海道

東北

関東

北陸信越

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

(%)

(0.6%) (0.5%)

(0.6%) (0.7%)

(0.7%) (0.7%)

(19.6%) (18.7%)

(4.9%) (4.5%)

(12.7%) (10.3%)

(5.8%) (4.6%)

(1.6%) (1.1%)

(44.7%) (47.2%)

(0.8%) (0.9%)

( 8.2%) (10.8%)

Page 37: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

34

図表 37 居住地別九州の宿泊施設における宿泊者数増加率

資料)図表 35~37:観光庁「宿泊旅行統計調査」

36.1

▲ 2.0

25.3

15.7

30.0

46.5 49.7

64.7

13.07.1

22.8

‐20

0

20

40

60

80

北海道

東北

関東

北陸信越

中部

近畿

中国

四国

九州

沖縄

全国

(%)

Page 38: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

35

鹿児島県観光動向調査においても、関西や中国地方からの宿泊者数は大幅な伸びを示

している また、九州内でも福岡からの宿泊客数の伸びが目立つ

図表 38 発地別鹿児島県内主要宿泊施設の宿泊者数の対前年比

注)県内の主要宿泊施設が対象 資料)鹿児島県観光動向調査

▲ 50

0

50

100

150

200

250

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

関東

中部

関西

中国

九州

うち福岡

Page 39: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

36

修学旅行に関しても、東日本大震災に伴う目的地の変更も影響しているが、旅行先を

九州にする動きが目立っている 平成 23年度の近畿地区の公立中学校における修学旅行の実施状況をみると、967校のうち 31.5%にあたる 305校が東日本大震災の影響により、修学旅行の目的地を変更している

変更後の目的地についてみると、回答のあった 302 校中、66.6%にあたる 201 校が目的地を九州に変更している

当初から九州を予定していた 147校であったが、その約 1.5倍にあたる 201校が急遽、九州を目的地に変え、合計で 348校が九州に修学旅行で訪れたこととなる

図表 39 2011 年度の近畿地区公立中学校における修学旅行の実施状況

図表 40 計画変更後の目的地

当初予定目的地 計画通り実施 計画を変更 合計

北海道・東北 16 0 16

関東・富士・伊豆 39 296 335

信州・関東 150 9 159

中国・四国 26 0 26

九州 147 0 147

沖縄 282 0 282

海外 2 0 2

合計 662 305 967

九州, 66.6 

沖縄, 17.9 

中国・四国

7.3 

関東・富士・

伊豆

6.3 

信州・関東

2.0 

N=302

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37

開業初年度は、座席数の制約から直通の新幹線を利用できずに、熊本や鹿児島では修

学旅行の受入が進まなかった 実際、平成 23年度の近畿地区公立中学校の修学旅行における宿泊地は、大半が長崎県であった

しかし、今後は直通可能な新幹線の車両数の増加によりその問題も解消に向かう 関西地区の公立中学校では、2013年度に 26校、5,400人の生徒が九州を新たに修学旅行の目的地とする予定である

広島県内の中学校でも、修学旅行の目的地を九州にする動きが活発化しており、2007年度に 43件だったものが、2011年度には 86件にまで増えている

図表 41 2011 年度近畿地区公立中学校修学旅行における九州での宿泊地

資料)図表 39~41:全国修学旅行研究協会近畿地区公立中学校修学旅行委員会

「平成 23年度近畿地区公立中学校修学旅行実施状況報告書」

1泊目 2泊目 主な宿泊先の市町村

福岡県 15 84 福岡市、北九州市

佐賀県 10 19 唐津市、嬉野市

長崎県 287 189 長崎市、佐世保市、松浦市

熊本県 6 28 阿蘇市、南関町

大分県 1 3 宇佐市(安心院)

宮崎県 0 0

鹿児島県 16 14 鹿児島市、指宿市、南さつま市

Page 41: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

38

修学旅行先、九州が急増

2012年 2月 12日 中国新聞

広島県内の公立中学校で、修学旅行先に九州を選ぶ学校が増えている。2011 年度は方面別で関西を抜いてトップに。07 年度と比べ2倍の学校が訪れる計算だ。11 年3月の九州新幹線の全線開通や、東日本大震災の影響による行き先の変更が要因とみられる。 各市町教委などによると、公立中学校全 248校が 11年度に実施した修学旅行先は九州が最多の 86件で、全体の 36%を占める。関西 85件、沖縄 46件、東京 24件などと続く。九州のうち鹿児島県を訪れたのは 17件と、10年度より 10件増えた。 豊平中(北広島町)は 11年度に初めて鹿児島県を訪れた。10年度までは関西だったが、九州新幹線全通を機に見直し、漁業体験や平和学習をした。東川智子校長

は「地元と対照的な自然環境で体験メニューも豊富。12年度も続けたい」と話す。 沖縄も 10 年度から7件増えた。燃料費高騰による負担増などで 07 年度から減っていたが、体験学習志向の高まりを受け、人気が回復。広島空港(三原市)に近

い三原、東広島市や気候が対照的な三次、庄原市などでは半数以上を占めた。

Page 42: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

39

3.観光関連事業者への影響

観光施設やホテル・旅館等への影響について、アンケート調査を実施(下記参照) 観光 DIは、沿線では高いプラス、沿線外では若干のマイナスで、九州全体ではややプラス

開業に向けて、対応を取ったところ(大半は沿線)と未検討(大半は沿線外)のとこ

ろの割合はほぼ半々 【観光施設・ホテル・旅館等アンケート調査の概要】

○調査対象: 九州経済調査協会が四半期毎に実施している景気動向調査において、九州(・沖縄)

の主要な観光施設、ホテル・旅館を対象に行っているアンケートに並行して実施(80社・機関) ○調査時期:2011年 10月 ○調査方法:調査票の発送・回収ともにFAX ○有効回答数:68通(有効回答率 85.0%) ○集計上の地域区分: 福岡、熊本、鹿児島を沿線、佐賀、長崎、大分、宮崎を沿線外と設定

イ 2011 年 10 月の観光 DI

観光施設や宿泊施設における景気動向は、沿線では73.5と高いプラス。

沿線外では46.3と若干のマイナス

ロ 2012 年1月末・2月初旬の観光 DI

観光施設や宿泊施設における景気動向は、沿線ではプラス、沿線外ではマイナス

ポ イ ン ト

Page 43: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

40

図表 43 九州新幹線全線開業の影響指数

注)事業活動への影響度合いを5段階評価したものを指数化。50 を上回るとプラス効果が大、

下回るとマイナス効果が大きい。

図表 44 九州新幹線全線開業にあわせた対応の有無

資料)九州運輸局「観光施設・ホテル・旅館等アンケート調査」

59.7 

73.5 

46.3 

0

50

100

九州 沿線 沿線外

開業前

対応を取った

36.8 開業後

対応を取った

7.4 今後実

施する0.0 

現在、対

応策を

検討中4.4 

必要性

感じているが

未検討38.2 

対応策

は必要

ない5.9  無回答

7.4 

(%)

N=68

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41

図表 45 九州新幹線全線開業にあわせた対応の具体的内容と効果・課題

資料)図表 43~45:九州運輸局「観光施設・ホテル・旅館等アンケート調査」

所在地 種別 対応の具体的内容と効果・課題

福岡県 ホテル・旅館 トレインビューのプランを作成したが、開業によって増加した効果はなかった。

長崎県 ホテル・旅館 開業に合わせての特別プランの造成

鹿児島県 ホテル・旅館 関西から中国・北九州にかけてのプロモーション活動を行った。

宮崎県 ホテル・旅館 関西、中四国からのツアー設定

福岡県 ホテル・旅館 旅行会社にて新幹線商品設定を多くした。名古屋以西へのプロモーション。

鹿児島県 観光施設 開業前の関西方面へのプロモーション活動、開業後のキャンペーンへの積極的参加。

鹿児島県 観光施設 域内市町と伴に中国地方で誘客キャンペーンを実施、順調に増加傾向。

大分県 ホテル・旅館旅行会社、公共団体とのタイアップ企画を実施。このほか、独自に福岡、熊本、長崎方面に

企画のPR活動を行った。

福岡県 ホテル・旅館 九州域内(特に熊本、鹿児島)と中国地方(特に山口)へのプロモーションを強化

熊本県 ホテル・旅館 関西・中四国を中心に観光プロモーションを実施

長崎県 ホテル・旅館新幹線(JR)企画商品に積極的に参画している。各エージェント西日本商品造成箇所への

営業活動を実施。

福岡県 ホテル・旅館 新幹線プランを発売したが、効果はそれほど出ていない

佐賀県 観光施設 鳥栖市及び佐賀県が展開するPRキャンペーン等へ協力

熊本県 ホテル・旅館 関西地区でのセールスプロモーション活動とエージェント対策

佐賀県 観光施設

佐賀県が、新鳥栖駅利用促進の為の補助制度を創設。佐賀県観光連盟と共に佐賀県観光

商品説明会を実施。新幹線利用による商品造成を促したが、新鳥栖駅に大阪から直通で

停車する便が少なく、利用が難しい為、効果は見られない。

鹿児島県 ホテル・旅館自社での大阪、広島へのキャラバンとエージェント、地域と協同でのプロモーションの両立

てで営業した。

鹿児島県 ホテル・旅館JRと宿泊のセットプランや、JR利用者への特典による宣伝効果をねらった。元々九州のマーケットが小さい為か、効果は薄い。

鹿児島県 ホテル・旅館 シングルをツインに改装した。効果は今後出したい。

鹿児島県 ホテル・旅館 宿泊営業担当が、関西、中国地方へ営業した

福岡県 ホテル・旅館 県外客向けの宿泊プランや、レストランイベントを実施し、好評を得た。

熊本県 ホテル・旅館 WEB商品の設定

長崎県 ホテル・旅館 旅行会社へ送客斡旋のお願いした

熊本県 観光施設 イベントの実施やPRを強化

福岡県 観光施設 中学校への修学旅行誘致及び、旅行代理店へのセールス

大分県 観光施設 九州新幹線と久大線接続の商品造成へ向けた活動を検討

長崎県 観光施設 イベント展開の充実により立寄り先として選択される様魅力作りに努めた。

福岡県 ホテル・旅館 関西・中国方面のエージェントとの商品構築

福岡県 観光施設ラッピング車両の運行やセット券の発売等を行った。また、九州新幹線沿線地域でのイベン

ト等も開催し、新幹線利用で身近になる施設利用をPRした。

熊本県 ホテル・旅館 全客室改装、開業前にリニューアルオープン福岡県 ホテル・旅館 旅行代理店とのタイアップ商品を販売。関東・関西ともに微増。

鹿児島県 観光施設 九州内だった旅行代理店、学校訪問を大阪まで(新幹線沿線)広げた。

Page 45: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

42

九州経済調査協会では、観光施設やホテル・旅館等を対象に九州新幹線全線開業後の

業況に関するアンケート調査を実施(下記参照) 宿泊・レジャー施設における観光 DI は、鹿児島県で 68.0 と最も高く、沿線である熊本県で 59.5、福岡県で 59.0とプラスの評価であったのに対し、佐賀、長崎、大分、宮崎では 50を下回り、マイナス評価となった

トータルとしては沿線でプラス、沿線外でマイナスの評価となったが、沿線外でもプ

ラスの評価をする事業所、沿線3県でもマイナス評価である事業所は一定数存在して

いる 九州新幹線全線開業後の業況に関する アンケート 調査概要 期間:2012年 1月 20日~2月 8日 対象:九州の観光関連事業を行う事業所 内訳は右表参照

図表 46 九州新幹線全線開業の影響指数(宿泊・レジャー施設)

注)「九州新幹線全線開業による事業全体への影響」について、各事業者に影響度合いを5段階

評価で聞き、重み付けして指数化。50を上回ると、プラス効果が大きい、下回るとマイナス効果が大きいと判断する。

59.0

45.7 45.9

59.5

39.644.1

68.0

30

35

40

45

50

55

60

65

70

福岡県(N=67)

佐賀県(N=23)

長崎県(N=37)

熊本県(N=58)

大分県(N=72)

宮崎県(N=17)

鹿児島県(N=25)

事業に

プラス

事業に

マイナス

分野 回収数回収率

(%)

①レジャー施設 56 49.1

②宿泊施設 247 25.9

③百貨店 8 34.8

④タクシー会社 124 21.9

⑤物販施設 50 25.9

⑥飲食店 14 16.7

⑦レンタカー店舗 91 21.4

Page 46: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

43

図表 47 九州新幹線全線開業による売上への影響(宿泊施設)

図表 48 九州新幹線全線開業による売上への影響(タクシー・レンタカー)

資料)図表 46~48:九州経済調査協会「九州新幹線全線開業後の業況に関するアンケート」

13.4

0.0

5.6

8.5

1.4

0.0

36.0

31.3

13.0

8.3

30.5

11.4

5.9

28.0

46.3

73.9

61.1

57.6

58.6

70.6

24.0

6.0

8.7

19.4

1.7

14.3

17.6

8.0

3.0

4.3

5.6

1.7

14.3

5.9

4.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

福岡県(N=67)

佐賀県(N=23)

長崎県(N=36)

熊本県(N=59)

大分県(N=70)

宮崎県(N=17)

鹿児島県(N=25)

プラス ややプラス 影響なし・±0 ややマイナス マイナス

2.9

4.8

4.0

10.7

0.0

0.0

29.4

22.9

9.5

12.0

17.9

0.0

6.7

26.5

65.7

66.7

72.0

64.3

85.0

60.0

41.2

5.7

14.3

8.0

0.0

10.0

20.0

0.0

2.9

4.8

4.0

7.1

5.0

13.3

2.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

福岡県(N=70)

佐賀県(N=21)

長崎県(N=25)

熊本県(N=28)

大分県(N=20)

宮崎県(N=15)

鹿児島県(N=34)

プラス ややプラス 影響なし・±0 ややマイナス マイナス

Page 47: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

44

九州経済調査協会では、観光庁「宿泊旅行統計」をベースに 2012年1月末までに公表されている統計およびアンケート、事業者へのヒアリングなどの情報をもとに、2011年度の九州における観光消費額を 2兆 4,900億円と推計(推計方法は下記参照)

同様の方法で推計した 2010年度の九州の観光消費額(2兆 2,400億円)と比較すると、約 11%の大幅な増加

観光消費額の推計方法

2011年度(2011年4月~12年3月)の観光客数(宿泊客数・日帰り客数・訪

日外国人客)に、1人当り観光消費額(旅行中支出・交通費除く)を乗じて

観光消費額を算出した。

観光客数のうち宿泊客数は、観光庁「宿泊旅行統計」の実宿泊者数を用いた。

現時点で集計が実施されていない2011年10月~12年3月の実宿泊者数につい

ては、当会が四半期ごとに実施している「九州の観光・レジャーに関するア

ンケート」や事業者へのヒアリング、各県の観光統計などを参考に推計を行

った。

日帰り客数は、2010年の各県観光統計より、県内の宿泊客数・日帰り客数の

比率を算出し、その比率を固定したまま宿泊客数の増減と連動して推計した。

日帰り客数を集計していない県は、九州他県の平均値を代入した。

訪日外国人客数は、観光庁「宿泊旅行統計」の外国人実宿泊者数を用いた。

2011年10月~12年3月の数値は、宿泊客数と同様の推計を行った。

1人当り観光消費額は、宿泊客・日帰り客については、観光庁「旅行観光消

費動向調査(2009年)」の購入単価(全国平均)をもとに、 2010年度・11年

度の九州の旅行単価を作成した。 訪日外国人客は、観光庁「訪日外国人消費

動向調査」の単価(九州)を用いた。いずれも、九州内外の交通費、および

九州に関連のない費目(スキー代、携帯電話通話料など)は除いている。

本推計で用いた2011年度の1人当り観光消費額単価は、宿泊客21,597円、日

帰り客6,068円、訪日外国人客61,825円である。なお2010年度は宿泊客19,276

円、日帰り客5,628円、訪日外国人客61,825円である。

資料)九州経済調査協会「九州新幹線全線開業後の九州における観光消費の状況」

Page 48: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

45

Page 49: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

46

Ⅳ.二次交通の現状

1. 二次交通(鉄道・バス)の現状

(1)利用実績からみた二次交通の状況 九州新幹線の開業にあわせて、新幹線を降りた後の二次交通の確保は開業前から各地

で課題として認識 今般、二次交通について現状を調査し、運行の概要を整理するとともに、利用状況に

ついて、接続駅毎に以下の方法にて利用状況を分析 利用動向を指数化(運行開始初月=100)して表現

【二次交通の利用状況】

各路線の利用者数のデータをもとに、運行開始初月の利用者数を 100 とし、その後の利用者数の推移を指数化

2011年 3月運行開始の路線については、3月 12日(九州新幹線全線開業当日)の運行開始とし、利用者数は 12日からの 20日間分に補正(31/20を乗じる)した上で、4月以降の利用者数を指数化した

【駅乗降客数】

比較対象として JR九州が発表した各駅の月別利用者数(4月~)を4月=100として指数化

イ 利用状況

「利用増が見られるもの」は 13 路線

「利用が伸び悩んでいるもの」は 20 路線

ロ 利用増が見られるものの例

・地域間連絡系統として、地域住民の新幹線アクセス手段となっているもの

・地域の協議会において利用促進を図っているもの

・二次交通を観光地の魅力と関連させ、新幹線駅から観光地まで旅行のイメージを連

続させているもの

ハ 利用促進に係る営業活動の状況

・「利用が伸び悩んでいるもの」には、営業活動をほとんど行っていないものや営業活

動を行っているが利用に結びついていないものがある

二 その他

・CM、雑誌の活用やイベントとの連携を行っている例は少ない

ポ イ ン ト

Page 50: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

47

※運賃の欄について、特記がないものは、子供半額

【データの取扱いに係る注意事項】

○ 運行開始初月の利用実績を100として月別に指数化している。月によっ

ては学校の夏季休暇、秋の紅葉シーズン等の季節波動含まれることから、

年単位で推移を見る必要があるものであり、同一年の月別指数だけを持っ

て判断することができない。

○ また、運行開始しばらくは、いわゆる乗車の体験による利用増があり得る

こと、利用定着の過程にあることから、本データをもって好調、不調の判

断を行うことはできない。

Page 51: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

48

① 新鳥栖駅

(調査対象路線の新設状況等)

新鳥栖駅開業に伴い、既存の路線バス(麓線)を新鳥栖駅経由に変更するとともに、

同駅と鳥栖プレミアムアウトレットを結ぶ路線(鳥栖プレミアムアウトレット線)を

新設 (運行状況)

麓線:毎日運行。運行本数は 20便/日。 鳥栖プレミアムアウトレット線:土休日運行。運行本数は 28 便/日。ただし、2011年 9月 26日から運休

運賃:鳥栖駅~新鳥栖駅 160円 (利用状況)

利用が伸び悩んでいる傾向が見られる

図表 50 新鳥栖駅発着の二次交通の利用状況

0

20

40

60

80

100

120

140

160

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

「新鳥栖駅」乗入れ路線バス 新鳥栖駅乗降客数

平成23年 平成24年新幹線開業

Page 52: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

49

②久留米駅

(調査対象路線の新設状況等)

新幹線開業後の久留米~大分間に久大本線経由で「大分まちあるき観光列車」を運行 久大本線の日田、豊後森、由布院における途中下車の旅や車内イベントの提供を行う

観光列車 (運行状況)

2011年 10月から 12月までの土曜日、日曜日に 10回運行。久留米発大分行き 8回。大分発久留米行き 2回

料金:2,500円 ※子供同額 (利用状況)

全体として利用の増加が見られる

図表 51 久留米駅発着の二次交通の利用状況

注)運転日は 10月が 5日、11月が 4日、12月が 1日であることから、指数化の際には 11月の利用

者数を 5/4倍、12月の利用者数を 5倍にした

0

20

40

60

80

100

120

140

4 5 6 7 8 9 10 11 12

久大本線のんびり旅「大分まちあるき観光列車」

久留米駅乗降客数

平成23年

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50

③筑後船小屋駅

(調査対象路線の新設状況等)

筑後船小屋駅の新設に伴い、久留米~筑後船小屋間及び柳川~筑後船小屋間の路線バ

ス2系統が新設 (運行状況)

毎日運行で、運行便数は合わせて 28便/日 運賃:筑後船小屋駅~西鉄久留米駅 580円、筑後船小屋~西鉄柳川駅 360円 (利用状況) 全体として利用が伸び悩んでいる傾向が見える

図表 52 筑後船小屋駅発着の二次交通の利用状況

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3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

「筑後船小屋駅」乗入れ路線バス 筑後船小屋駅乗降客数

平成23年 平成24年新幹線開業

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51

③新大牟田駅

(調査対象路線の新設状況等)

新大牟田駅の開業に伴い、既存の大牟田~南関間路線バスを新大牟田駅経由に変更 駅利用者以外の沿線住民等の利用が多く見られる (運行状況) 毎日運行。運行便数は 68便/日 運賃:大牟田駅~新大牟田駅 340円 (利用状況) 利用状況に関しては、横ばいで推移

図表 53 新大牟田駅発着の二次交通の利用状況

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3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

「新大牟田駅」乗入れ路線バス 新大牟田駅乗降客数

平成23年 平成24年新幹線開業

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52

⑤新玉名駅

(調査対象路線の新設状況等)

新玉名駅開業に伴い、既存の9系統の路線バス(荒尾、山鹿、熊本方面など)を新玉

名駅経由に変更 駅利用者以外の沿線住民等の利用が多く見られる (運行状況)

毎日運行。運行便数は平日 76便、土曜日 64便、休日 62便 運賃:新玉名駅~荒尾バスセンター 680円 (利用状況)

利用状況に関しては、運行開始当初は 100を超える月があったが、8月、9月や 1月など下回る月も出てきている

図表 54 新玉名駅発着の二次交通の利用状況

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140

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

「新玉名駅」乗入れ路線バス(9系統) 新玉名駅乗降客数

平成23年 平成24年新幹線開業

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53

⑥熊本駅

(調査対象路線の新設状況等)

熊本駅発着の二次交通は多くの路線が運行されていることから、長崎・島原方面、阿蘇

方面、天草方面ほかの3つに分けて整理

長崎・島原方面の設定状況は以下の通り ・熊本港~島原港間はバスをフェリーで航送する熊本~雲仙~小浜間「有明海シャト ルライナー SEA GULL」(2011年 3月運行開始)、同様に航送する熊本~長崎・ ハウステンボス間「雲仙・長崎オーシャン観光バス」(2010年 10月運行開始)

阿蘇方面の設定状況は以下の通り ・熊本~宮地間豊肥本線観光特急「あそぼーい!」(2011年 6月運行開始) ・新幹線利用の観光客をターゲットとした阿蘇経由熊本~別府間「阿蘇別府パノラマ 観光バス」(2011年 4月運行開始) ・新幹線全線開業に伴う交流人口増加を宮崎県への波及を図る、高千穂経由熊本~延 岡間「つながるバス ぐるりんひむか号」(2010年 10月運行開始。データ整理上、 利用状況は鹿児島発の便も併せて整理。) ・九州の東西・南北の軸を結ぶ観光周遊型ルートの構築を図る高千穂経由熊本~ 湯布院~別府間「なないろ九州バス」(2010年 10月運行開始。データ整理上、利用 状況は博多発着の便も併せて整理。)

天草方面ほかの設定状況は以下の通り ・熊本~三角間三角線特急「A列車で行こう」(2011年 10月運行開始) ・天草地域における生活交通、観光交通を担う、熊本~天草~下田温泉間超快速・ 快速「あまくさ号」(2011年 3月運行開始) ・熊本市内定期観光バス「もりめぐりん」、「みずめぐりん」(2011年 3月運行開始) ・関西からの新幹線利用の観光客をターゲットとした熊本~菊池間特急バス「きくち 温泉 GO」(2011年 2月運行開始)

(運行状況)

長崎・島原方面 ・有明海シャトルライナー SEA GULL:毎日運行。運行便数は 12便/日 運賃 熊本駅~島原 500円

熊本駅~雲仙・小浜 1,000円 ※子供同額 ※2011年 6月までは無料

・雲仙・長崎オーシャン観光バス:毎日、予約に応じて運行(1便/日) 運賃 熊本エリア~雲仙温泉・小浜温泉 3,500円 熊本エリア~長崎 4,500円 熊本エリア~ハウステンボス 5,500円

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阿蘇方面 ・あそぼーい!:土休日及び多客期運行。運行便数は 4便/日 運賃 熊本~宮地 2,380円 ・阿蘇別府パノラマ観光バス:毎日、予約に応じて運行(1便/日) 運賃 熊本エリア~内牧温泉 3,000円 熊本エリア~黒川温泉 4,000円 熊本エリア~湯布院温泉 5,000円 熊本エリア~別府温泉 5,500円 ・つながるバス ぐるりんひむか号:土休日運行。運行便数は 1便/日 運賃 熊本ルート 2,000円 鹿児島ルートも周遊 3,500円

※子供同額 ・なないろ九州バス:2010年 10月から 5コース運行。2011年 3月から 6コースに、

同年 10月から 2コースを予約に応じ運行。 運賃 2,500円 ※子供同額

天草方面ほか ・A列車で行こう:土休日及び多客期運行。運行便数は、4便/日 運賃 熊本~三角 1,820円 ・あまくさ号:毎日運行。運行便数は、32便/日 運賃 熊本~下田温泉 2,700円 ※往復は 4,600円 ・もりめぐりん・みずめぐりん:毎日運行。運行便数は、4便/日 運賃 3,000円 ※両路線共通 ・きくち温泉 GO:毎日運行。運行便数は、当初 8便/日。2011年 9月より 6便/日 運賃 熊本~菊池温泉 820円

(利用状況)

長崎・島原方面 ・「有明海シャトルライナー SEA GULL」、「雲仙・長崎オーシャン観光バス」は、 利用増が見られる。

※また、熊本港~島原港間のフェリーの利用実績についても参考として 2010年 4月の 利用実績を 100として指数化 ※指数が大きくなっているが、これは運航初月の実績が少ないためであることに留意 が必要である

阿蘇方面 ・「あそぼーい!」、「阿蘇別府パノラマ観光バス」は利用増が見られる ・「つながるバス ぐるりんひむか号」は、10月、11月は JRグループのディスティ

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ネーションキャンペーン期間中であり、この期間は利用増が見られる ※「あそぼーい!」の 8月に 600以上となっているのは、通常土日祝日の運行である ものが、夏休み期間中で毎日運行されたことが要因である。

※「なないろ九州バス」は、運行初月の利用者が少なかったため、指数が大きくなっ ており、利用状況の判断に適さない

天草方面ほか ・「A列車で行こう」、「もりめぐりん」、「みずめぐりん」及び「きくち温泉 GO」は、 利用増が見られる ・「あまくさ号」は利用が伸び悩んでいる傾向が見られる

図表 55 熊本駅発着の二次交通の利用状況(その1:長崎・島原方面)

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4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

熊本~島原フェリー(熊本フェリー)

熊本~島原フェリー(九商フェリー)

有明海シャトルライナー SEA GULL

雲仙・長崎オーシャン観光バス

熊本駅乗降客数

平成22年 平成23年新幹線開業

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56

図表 56 熊本駅発着の二次交通の利用状況(その2:阿蘇方面)

注)なないろ九州バスは博多駅発着の便、ぐるりんひむか号は鹿児島中央駅発着の便の数字も含む

図表 57 熊本駅発着の二次交通の利用状況(その3:天草方面ほか)

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あそぼーい!

阿蘇別府パノラマ観光バス

ぐるりんひむか号

なないろ九州バス

熊本駅乗降客数

平成23年 平成24年平成22年

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500

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2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

A列車で行こう

超快速・快速「あまくさ号」

熊本市内定期観光バス「もりめぐりん」「みずめぐりん」

特急バス「きくち温泉GO」

熊本駅乗降客数

平成23年 平成24年

新幹線開業

新幹線開業

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⑧新八代駅

(調査対象路線の新設状況等)

新幹線開業に伴い、新八代駅から宮崎方面へのアクセスを意図した高速バスとして、

新八代駅~宮崎間「B&S みやざき」、新八代駅~都城間「新幹線リレーバス」の 2 系統が新設

さらに、事前予約制の観光周遊交通機関として、「八代めぐり観光バス」(2コース設

定)が新設 (運行状況)

「B&Sみやさき」:毎日運行。運行本数は、32便/日 運賃 新八代~宮崎 4,150円

※福岡市内~宮崎駅は 2枚切符で 13,600円 「新幹線リレーバス」:毎日運行。運行本数は、16便/日 運賃 新八代~都城 2,500円

「八代めぐり観光バス」(2011年 4月運行開始) (五家荘コース):予約に応じて運行(火曜日と 12月~3月は運休)。

運行本数は、1便/日(2011年 4月運行開始) 運賃等 10,000円 ※宿泊とセット

(やつしろ北・南コース):予約に応じて運行(月曜日と年末年始は運休)。 運行本数は、1便/日 運賃 700円 ※1回

(利用状況)

「B&Sみやざき」、「八代めぐり観光バス(五家荘コース)」は利用増が見られる。「八代めぐり観光バス(五家荘コース)」は紅葉シーズンにより 10、11 月に高い指数を示していることに留意が必要

「八代めぐり観光バス(やつしろ北・南コース)」は秋以降利用が伸び悩んでいる傾向

か見える

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図表 58 新八代駅発着の二次交通の利用状況

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八代めぐり観光バス(五家荘コース)

八代めぐり観光バス(やつしろ北・南コース)

新幹線リレーバス

B&Sみやざき

新八代駅乗降客数

平成23年 平成24年新幹線開業

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59

⑨出水駅

(調査対象路線の新設状況等)

新幹線全線開業を控えて、天草方面からの航路に接続して出水駅を結ぶ地域間連絡の

シャトルバス「出水駅~蔵之元港シャトルバス」が新設 また、新幹線全線開業に伴い、新幹線を活用した周遊観光コース実証のため、事前予

約制で出水~鹿児島中央間「北さつまを巡る周遊バス」が運行 (運行状況)

「出水駅~蔵之元港シャトルバス」:毎日運行。運行便数は、8便/日(2010年 10月 運行開始) 運賃 出水駅~蔵之元 1,000円

「北さつまを巡る周遊バス」:土休日運行。運行便数は、1便/日(2010年 10月運行 開始) 運賃 大人 1,800円、子供 1,500円

(利用状況)

「出水駅~蔵之元港シャトルバス」:利用増が見られる 「北さつまをめぐる周遊バス」:夏以降、利用増が見られる

図表 59 出水駅発着の二次交通の利用状況

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出水駅~蔵之元港シャトルバス

北さつまをめぐる周遊バス

出水駅乗降客数

平成23年 平成24年平成22年新幹線開業

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⑩川内駅

(調査対象路線の新設状況等)

新幹線全線開業に伴い、新幹線を活用した周遊観光コース実証のため、事前予約制で

川内~鹿児島中央間「北さつまを巡る周遊バス」を運行。さらに、ボンネットバスを

利用した観光客誘致のため、「薩摩川内市を巡るレトロバスの旅 ゆるっとバス旅!!」

を新設 (運行状況) 「北さつまをめぐる周遊バス」:土休日運行。運行便数は、1便/日(2010年 10月運行開始。2011年 9月で運行休止) 運賃 大人 1,800円、子供 1,500円

「薩摩川内市を巡るレトロバスの旅 ゆるっとバス旅!!」 :土曜日 3コース、日曜日2コース、祝日1コースを運行。運行便数は、各コース

1便/日。運賃 500円のコースと 900円のコース (利用状況) 「北さつまをめぐる周遊バス」は、運行休止後、「薩摩川内市を巡るレトロバスの旅 ゆ

るっとバス旅!!」に路線を引き継ぐ形で移行 「薩摩川内市を巡るレトロバスの旅 ゆるっとバス旅!!」は、利用増が見られる

図表 60 川内駅発着の二次交通の利用状況

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10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

薩摩川内市を巡るレトロバスの旅 ゆるっとバス旅!!

北さつまをめぐる周遊バス

川内駅乗降客数

平成23年 平成24年平成22年

新幹線開業

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⑪鹿児島中央駅

(調査対象路線の新設状況等)

鹿児島中央駅発着の二次交通は多くの路線が運行されていることから、鹿児島市内、薩

摩半島方面、大隅半島等方面の3つに分けて整理

鹿児島市内の設定状況は以下の通り ・専用の路面電車にガイドが乗り込み観光案内を行う「観光電車」 ・九州新幹線と種子屋久高速船旅客ターミナル及び桜島桟橋を連絡し、九州新幹線と 高速船、フェリーを繋ぐ鹿児島中央駅~桜島桟橋間「新幹線シャトルバス」

・鹿児島中央駅~市内中心部の観光地、JR駅、港、天文館地区を結ぶ循環型観光バス 「まち巡りバス「あっちゃん号・せごどん号」」

薩摩半島方面の設定状況は以下の通り ・新幹線全線開業のダイヤ改正時に新設された鹿児島中央~指宿間指宿枕崎線観光 特急「指宿のたまて箱」 ・新幹線全線開業に伴い、知覧への観光客増加を見込んで新設された指宿~知覧~ 鹿児島間「ちらんシャトルライナー」

・新幹線全線開業に伴い、鹿児島中央駅から南さつま市、枕崎市を直行で結ぶ「新幹 線リレーバス」

大隅半島等方面の設定状況は以下の通り ・鴨池港~垂水港間でバスをフェリーで航送する鹿児島中央駅~鹿屋間「鹿児島中央 ―鹿屋直行バス」 ・新幹線全線開業に伴う観光客誘致に向けて、姶良ファンの増加を図るために新設さ れた鹿児島中央駅発で姶良市内を周遊する「姶良市周遊観光バス あいらびゅー号」 ・新幹線全線開業に伴い、垂水市への観光客誘致を図るために新設された鹿児島中央 駅発で桜島を経由し、垂水市内を周遊する「垂水市観光周遊バス「観光バス」」

・新幹線全線開業に伴う交流人口増加を宮崎県への波及を図る、霧島経由鹿児島~ 宮崎間「つながるバス ぐるりんひむか号」

(運行状況) 鹿児島市内 ・「観光電車」:土休日に運行。運行便数は、4便/日 運賃 320円 ※一日乗車券 600円あり ・「新幹線シャトルバス」:毎日運行。運行便数は、62便/日 運賃 鹿児島中央駅~桜島桟橋 150円 ・「まち巡りバス「あっちゃん号・せごどん号」」:毎日運行。運行便数は、19便/日 運賃 160円

※子供同額 一日乗車券 500円あり

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薩摩半島方面 ・「指宿のたまて箱」:毎日運行。運行便数は、6便/日 運賃 鹿児島中央~指宿 2,070円 ・「ちらんシャトルライナー」:金、土休日運行。運行便数は、1便/日 運賃 指宿~知覧 2,000円 指宿~知覧~鹿児島 2,950円 ・「新幹線リレーバス」:毎日運行。運行便数は、4便/日 運賃 鹿児島中央~加世田 1,000円 鹿児島中央~枕崎 1,220円

大隅半島等方面 ・「鹿児島中央―鹿屋直行バス」:毎日運行。運行便数は、12便/日 運賃 鹿児島市内~鹿屋市内 1,400円 ・「姶良市周遊観光バス あいらびゅー号」:土休日運行。運行便数は、1便/日 運賃無料 ・「垂水市観光周遊バス「観光バス」」:毎日運行。運行便数は、1便/日 運賃無料 ※フェリー代は別途必要 ・「つながるバス ぐるりんひむか号」:土休日運行。運行便数は 1便/日 運賃 熊本ルート 2,000円 鹿児島ルートも周遊 3,500円

※子供同額

(利用状況) 鹿児島市内 ・「観光電車」、「まち巡りバス「あっちゃん号・せごどん号」」は利用が伸び悩んで いる傾向が見える ・「新幹線シャトルバス(鹿児島中央駅~桜島桟橋)」は利用増が見られる

薩摩半島方面 ・「指宿のたまて箱」、「新幹線リレーバス(鹿児島中央駅~加世田・枕崎)」は利用増 が見られる ※「ちらんシャトルライナー」は運行初月の利用が少ないため、指数が大きくなって いることに留意が必要

大隅半島方面 ・「鹿児島中央-鹿屋直行バス」、「あいらびゅー号」、「垂水市観光周遊バス「観光バス」」 は利用増が見られる

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図表 61 鹿児島中央駅発着の二次交通の利用状況(その1:鹿児島市内)

図表 62 鹿児島中央駅発着の二次交通の利用状況(その2:薩摩半島方面)

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鹿児島市交通局「観光電車」

新幹線シャトルバス(桜島桟橋行)

まち巡りバス「あっちゃん号・せごどん号」

鹿児島中央駅乗降客数

平成23年 平成24年

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2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

指宿のたまて箱

ちらんシャトルライナー

新幹線リレーバス(加世田・枕崎行)

鹿児島中央駅乗降客数

平成23年 平成24年

新幹線開業

新幹線開業

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64

図表 63 鹿児島中央駅発着の二次交通の利用状況(その3:大隅半島方面)

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鹿児島中央ー鹿屋直行バス

姶良市周遊観光バス あいらびゅー号

垂水市観光周遊バス「観光バス」

ぐるりんひむか号

鹿児島中央駅乗降客数

平成23年 平成24年平成21年 平成22年

新幹線開業

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65

⑫その他

(調査対象路線の新設状況等)

新幹線駅に直結するもののほか、新幹線全線開業を契機に二次交通とネットワークを形

成するものについても調査対象とした。

長崎・島原方面 ・観光客をターゲットに島原市内を周遊する「ジオサイト巡りシャトルバス」 ・SEA GULLに接続し、雲仙~小浜~ハウステンボス間「リレーSEA GULL ハウス テンボス号」及び雲仙~小浜~長崎間「リレーSEA GULL グラバー号」(いずれも 2011年 4月運行開始)

阿蘇方面 ・新幹線全線開業に伴う三次交通の整備を図るために新設された阿蘇草千里~阿蘇山 火口間「阿蘇オープントップバス そらめぐりん」 ・生活交通と両立した南阿蘇地域観光路線構築を図るために運行されている高森~ 立野間「南阿蘇ゆるっとバス」

人吉方面 ・新幹線全線開業に伴い、観光地への三次交通の充実を図る人吉~五木村間「いつき

ちゃん号」「リレーSEAGULLハウステンボス号」、「阿蘇オープントップバス そらめぐりん」の指数が大きくなっているのは、運行開始初月の利用が少なかったためであ

る (運行状況) 長崎・島原方面 ・「ジオサイト巡りシャトルバス」:毎日運行。運行便数は 5便/日

運賃は無料 ・「リレーSEA GULL ハウステンボス号」:毎日運行。運行便数は 4便/日 運賃 雲仙~ハウステンボス 2,000円 ・「リレーSEA GULL グラバー号」:毎日運行。運行便数は 2便/日 運賃 雲仙~長崎 1,900円 ※「リレーSEAGULL」(2系統とも)は、2012年 3月で運行終了予定

阿蘇方面 ・「阿蘇オープントップバス そらめぐりん」 :毎日運行(ただし、12月、3月は土休日運行。1月、2月は運休)。運行便数は、

12便/日。運賃 作業中 ・「南阿蘇ゆるっとバス」:毎日運行。運行便数は平日 20便/日、土休日は 16便/日 運賃 作業中 ※「そらめぐりん」は 2012年 3月で運行終了予定 がである

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人吉方面 ・「いつきちゃん号」:土休日運行(ただし、6月 1日~7月 15日は運休。11月 1日~

20日は毎日運行)。運行便数は、1便/日 運賃 2,500円 ※往復

(利用状況) 「ジオサイト巡りシャトルバス」、「南阿蘇ゆるっとバス」、「いつきちゃん号」は利用

が伸び悩んでいる傾向が見える ※「いつきちゃん号」については、通常土日祝日のみの運行であるものを、紅葉シーズ ンである 11月 1日~20日は毎日運行としており、季節波動が表れていることに留意

図表 64 その他の二次交通の利用状況

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ジオサイト巡りシャトルバス

リレーSEA GULL ハウステンボス号

リレーSEA GULL グラバー号

阿蘇オープントップバス そらめぐりん

南阿蘇ゆるっとバス

いつきちゃん号

平成23年 平成24年平成22年

新幹線開業

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(2)利用増が見られる二次交通の事例

①出水駅~蔵之元港シャトルバス

出水駅~蔵之元港シャトルバスは、出水駅から長島町の蔵之元港を結ぶシャトルバス

で、九州新幹線に接続するのはもちろん、蔵之元港から天草市の牛深港を結ぶ航路に

も接続するバスである 2010年 10月 20日から実証運行開始(3往復/日)し、2011年 4月 1日から4往復に増便された

図表 65 出水駅~蔵之元港シャトルバスの概要

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路線開設の背景は、牛深~長島~水俣の航路が廃止されたことにより、天草(牛深)

から本土へのアクセスが悪くなったことがある 牛深~蔵之元の航路は存続しているが、蔵之元から出水に向かう直通のバスは存在せ

ず、乗り換えを強いられることになる そこで牛深地区への住民アンケートの結果などを行いながら、ニーズをくみ上げたと

ころ、安心して利用できる「足」を望む声が多かったことから、シャトルバスの運行

をはじめた 「出水駅蔵之元港間シャトルバス利用促進協議会」が南国交通に委託して運行 協議会には、天草市のほか、出水市、阿久根市、長島町のバス沿線自治体が加入して

いるほか、熊本、鹿児島両県の振興局、交通事業者が加入 <利用状況>

牛深~水俣航路の利用者が年間約3万人、そのうち牛深地区の住民の利用が約1万人

であったことから、そのうちの約3分の1である 3,000 人を牛深地区のシャトルバスの潜在的なユーザー、500 人を観光などで牛深を訪れる人として見込みを立て、年間3,500人の見込みで運行を開始した

九州新幹線全線開業後の4月には増便を行っている 利用者数は、運行開始以降右肩上がりで推移しており、平成 23 年度の利用者数は 10月の段階で想定の 3,500人を上回る利用実績となっている

図表 66 出水駅~蔵之元港シャトルバスの利用実績(再掲)

注)開業初月の利用者数=100として指数化したもの

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

出水駅~蔵之元港シャトルバス

北さつまをめぐる周遊バス

出水駅乗降客数

平成23年 平成24年平成22年新幹線開業

Page 72: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

69

<要因>

これまで牛深から福岡市内までは、本渡経由で行こうとする場合、最速でも約4時間

かかっていたものが、このルートを利用すると、最速3時間で到達できる時間短縮効

果が高く評価されている また、蔵之元港から出水駅まで乗り換え不要というのもプラス材料である

<利用促進に向けた取組>

お盆や正月の帰省シーズンを前に、東京牛深会、大阪牛深会といった牛深出身者によ

る組織に対して PR活動を実施し、帰省時の足として活用してもらっている 運行経費の補助が浮いた分を PR活動に充てて、観光客の利用促進を図っている 協議会の予算は 1億 6,500万円で、天草市と沿線自治体が協議会に支出している 徐々に知名度が上がってきており、リピーター化に結びついている 運行を委託しているバス事業者においては、ボンネットバスを購入し、平成 23 年 12月から運行、「走る広告塔」としての役割も果たし、知名度向上に貢献している

図表 67 出水駅~蔵之元港間シャトルバスに導入されたボンネットバス

<工夫した点>

新幹線、フェリー(牛深~蔵之元)のいずれもバスにあわせてダイヤを組んでもらえ

るわけではないので、この両方にうまく接続するバスの時刻を設定するのが最も苦労

した点 さらに牛深地区の住民のニーズの多い時間帯に運行を併せる必要性もある 新幹線への接続は、博多方面だけでなく、鹿児島中央方面への接続も確保するように

している 接続時間は、出水駅で 20 分以内、蔵之元港で 10 分以内を目標にバスのダイヤを組んでいる

バスのダイヤも配車の関係があるため自由に組めるわけではなく、多数の制約条件の

中で組まれたダイヤが今のものである さらに天草島内を周遊する「天草ぐるっと周遊バス」が牛深港に着く時間を、シャト

ルバスに接続するフェリーに接続するダイヤを組み、三次交通の確保も図っている

Page 73: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

70

②鹿児島中央駅~鹿屋間直行バス

鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスは、鹿児島中央駅から鴨池港を経由し、鴨池~垂水を

就航する定期フェリーにバスを乗船させ、垂水港から鹿屋までを走るバスである これまで鹿児島市内から鹿屋に向かう場合には、鹿児島市内のバス→フェリー→垂水

から鹿屋へのバスと2度の乗り継ぎが必要であったが、バスをフェリーに乗せること

で直行化を図っている(フェリー航行中は安全のためバスを下車して、フェリーの船

室に移動しなければならない) 平成 21年 12月から実証運行を開始し、平成 24年度からの本格運行へ向けた協議を運行委託先の交通事業者(三州自動車)と行っている

バスは 40人乗り(固定席 33席、補助席 7席)の中型バスで、3台のバスで配車を行っている

運賃は鹿児島市内~鹿屋中心部(リナシティかのや)は 1,300円に設定

図表 68 鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスのルート(左)と直行バスの車両(右)

資料)バスのルート:鹿屋市ホームページ、バスの写真:九州経済調査協会撮影

図表 69 鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスの運賃

資料)鹿屋市

垂水港 600円

古江、白水体育大前 1,200円

航空隊前、リナシティかのや 1,300円

寿中央、東笠之原 1,400円

鹿児島市内

(金生町(山形屋前)、天文館、

鹿児島中央駅、県庁前)

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71

<利用状況>

当初、8人/便の想定で運行を開始したが、運行開始初月から 10人/便以上の利用があり、その後も利用者数は増加を続け、九州新幹線全線開業後は、16 人/便前後の利用者数となっている

ゴールデンウィークや年末年始といった多客期には積み残しが出ることもあり、追加

便を運行させて対応している 運行開始当初は、鹿屋から鹿児島へ向かう人の流れが多かったが、徐々に鹿児島から

鹿屋へ向かう流れも増えてきている 多くは鹿児島市を含めた地元の利用であるが、九州新幹線からの二次アクセスとして

の利用としては、鹿屋体育大学への訪問者や、単身勤務や研修で鹿屋に来ている自衛

隊員は、新幹線と直行バスを組み合わせて利用しているケースが多い 平日と休日での利用状況をみると、休日の方が利用が多い。これは鹿屋の住民が鹿児

島へ買い物に行くための足として利用しているものと考えられる

図表 70 鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスの利用実績

注)開業初月の利用者数=100として指数化したもの

<要因>

鹿児島中央駅や鹿児島市中心部と鹿屋を1本のバスで結ぶことで、乗り換えの煩雑さ

が解消された(実際には、フェリー航行中は安全のためバスを下車して、フェリーの

船室に移動しなければならないため、バスの乗降は発生する)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

平成23年平成21年 平成22年新幹線開業

Page 75: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

72

<利用促進に向けた取組>

停留所の数を絞り込み、特急運転をするようにした(ただし、所要時間に関しては、

多少遅れてもフェリーに乗船できるようにするために、フェリー乗り場到着時間とフ

ェリーの出航時間の間に余裕を持ったダイヤを組んでいることから、既存の路線バス

とフェリーを組み合わせたものとトータルの所要時間にはそれほど大きな開きはない) 好調な利用を受け、平成 22年 10月には5往復/日→6往復/日に増便 増便にあわせて、途中の停留場(古江)を追加したほか、リナシティかのや(鹿屋市

中心部であり、大隅地域の交通の要衝)から寿中央、東笠之原まで延長運転をするよ

うにして、鹿屋市東部の利用者の利便性向上を図った 短大生(一部高校生)の通学利用早朝発の便を望む声が多く、増便時に鹿屋 5:33発(鹿児島 7:30着)の便を設定した

<工夫した点>

既存の路線バスが同じルート(鹿屋~垂水港)で運行しているため、料金設定は既存

の路線バスとフェリーを乗り継いで鹿児島~鹿屋を移動するよりも若干高く(50~100円程度)設定した

<運行の効果>

併走する路線バスの利用者はやや減少しているが、トータルで見た場合に鹿屋~鹿児

島間の公共交通の利用比率が高まっている 直行バスの運行開始前は、垂水港までマイカーで移動し、垂水からフェリーに乗り換

え(パーク&ライド)、鹿児島市内はバスで移動していた大隅地域の住民が、直行バス

にシフトする動きも見られる <今後の課題>

3台のバスで配車を行う限りにおいては、これ以上柔軟なダイヤの編成が困難である 運行を委託している三州自動車は、鹿屋にしか車庫がないため、すべてのバスは鹿屋

に戻ってこなければならず、これも柔軟なダイヤ編成上の課題となっている 現状での利用者は、鹿屋の住民の買い物等で利用、通学、鹿児島~鹿屋間のビジネス

利用が大半で、観光客の利用はわずかである 大隅地域は、観光地や宿泊施設そのものが不足しており、観光客が訪れる場所となっ

ておらず、一朝一夕での解決は難しい

Page 76: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

73

(3)二次交通事業者自身の評価

二次交通の利用状況について、事業者側がどのように評価しているか、開業から約半

年経過した平成 23年 10月に以下の要領でアンケート調査を実施した 本項では、アンケート調査の結果から、事業者の二次交通の運行に対する評価を検証

する 【二次交通アンケート調査の概要】

○調査対象: 九州新幹線全線開業を見据えて整備を進めた鉄道(在来線)、バス、船などの

二次交通(38路線) ○調査時期:2011年 10月 ○調査方法:郵送法 ○有効回答数:20通(有効回答率 52.6%)

二次交通の利用状況に対する事業者自身の評価は、「想定を上回った」が 25.0%、「ほぼ想定通りであった」が 30.0%、「想定を下回った」が 40.0%であった

図表 71 二次交通の利用状況に対する評価

想定を

上回っ

た25.0 

ほぼ想

定通り

であった

30.0 

想定を

下回っ

た40.0 

無回答5.0 

(%)

N=20

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74

想定を上回ったケースは、観光列車については「車両やサービスが魅力的」であるが、

その他の共通項は見出せず 想定を上回ったケースで、その要因を「車両や車内サービスが魅力的」と答えたもの

では、利用者から「車体デザイン」が最も満足度の高い点に挙げられている 想定を下回るケースは、「運賃が割高」、「所要時間がかかりすぎる」、「域外での知名度

不足」を主因とする点が共通している また、ほとんどの事例で地元・域外での知名度不足を指摘する回答が目立つ

図表 72 想定を上回った要因

系統 好調の要因(◎は最大の要因、・はその他の要因)

バス・船舶を組み

合わせた周遊型

旅行商品

◎周辺観光施設・商業施設等との連携による魅力的な付加サービスの提供

・低廉な価格設定

・沿線観光地の好調

・駅や港、バス停を降りた後のアクセス(三次交通)の利便性が確保されていた

新幹線駅と港を結ぶシャトルバス

◎時間短縮効果が大きい

・PR活動が功を奏した

・運行(航)時間帯がよい

・沿線観光地の好調・駅や港、バス停を降りた後のアクセス(三次交通)の利便性が確保されていた

・地域住民との連携した取組

・イベント時のアクセス手段としてPRした

観光列車◎車両や車内サービスが魅力的・駅や港、バス停を降りた後のアクセス(三次交通)の利便性が確保されていた

観光列車

◎車両や車内サービスが魅力的

・沿線観光地の好調・アクセス駅の利用が好調

周遊型観光バス◎PR活動が功を奏した

・人気旅行商品とのタイアップ

Page 78: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

75

図表 73 想定を下回った要因

半年経過時点では、半数以上が今後も引き続き同水準の運行を継続する意向で、想定

を下回ったケースでも同様の傾向が認められる

図表 74 今後の運行方針

系統 想定を下回った要因(◎は最大の要因、・はその他の要因)

周遊型観光バス

◎所要時間がかかりすぎる

・地元での知名度不足

・域外での知名度不足

周遊型観光バス◎域外での知名度不足

・地元での知名度不足

新幹線駅からの

路線バス

◎域外での知名度不足

・地元での知名度不足

・運行(航)時間帯が悪い

・沿線観光地の不振

・周辺観光施設・商業施設等との連携不足

観光地経由型バ

◎所要時間がかかりすぎる

・域外での知名度不足

・周辺観光施設・商業施設等との連携不足

新幹線駅からの

路線バス

◎運賃が割高

・地元での知名度不足

・域外での知名度不足

新幹線駅からの

路線バス

◎域外での知名度不足

・旅行商品との連携不足

・沿線観光地の不振

・周辺観光施設・商業施設等との連携不足

周遊型観光バス

◎運賃が割高

・所要時間がかかりすぎる

・地元での知名度不足

・域外での知名度不足

・アクセス駅の利用が低調

・3~5月については東日本大震災の影響も

周遊型観光バス ◎運賃が割高

利用は好調

であり、さらな

る増便やネットワークの拡

充を図ること

が可能15.0 

今後も引き続

き同水準の

運行(航)を継続

50.0 

利用が伸び

悩むなど、減

便など運行(航)形態の

縮小を検討

することが必

要5.0 

廃止を検討10.0 

その他15.0 

無回答5.0 

(%)

N=20

Page 79: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

76

図表 75 利用状況に対する評価と今後の運行方針

(4)二次交通に係る状況まとめと営業活動の状況との関係 (二次交通の状況のまとめ)

(2)の分析で「利用増が見られるもの」と「利用が伸び悩んでいるもの」に分類し、

その営業活動の状況を別表のとおり整理した。 その結果、「利用増が見られるもの」は 13 路線、「利用が伸び悩んでいるもの」は 20路線となっている。

利用増が見られるものには、地域間連絡系統として、地域住民の新幹線アクセス手段

として利用を伸ばしている例や地域の協議会において利用促進を図っている例、二次

交通を観光地の魅力と関連させ、新幹線駅から観光地まで旅行のイメージを連続させ

ている例が見られた (営業活動の状況との関係) 二次交通に関し、事業者がどのような営業活動を行っているか、アンケート調査を実

施した 「利用増が見られるもの」、「利用が伸び悩んでいるもの」で営業活動の傾向に大きな

差は見られなかった 「利用が伸び悩んでいるもの」には、営業活動をほとんど実施していないものも見ら

れた一方で、営業活動を実施しているものの利用に結びついていないものが見られた CM、雑誌の活用やイベントとの連携を行っている例は少なかった

利用は好調であり、さらなる増便やネット

ワークの拡充を図ることが可能2

今後も引き続き同水準の運行(航)を継続 3

今後も引き続き同水準の運行(航)を継続 3

利用が伸び悩むなど、減便など運行(航)

形態の縮小を検討することが必要1

廃止を検討 1

その他 1

利用は好調であり、さらなる増便やネット

ワークの拡充を図ることが可能1

今後も引き続き同水準の運行(航)を継続 4

廃止を検討 1

その他 2

想定以上

想定通り

想定以下

Page 80: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

77

2.レンタカー利用の現状

レンタカーについて、新幹線駅からの九州内各地へのアクセス手段として利用が可能

であることから、その利用実績調査と利用状況アンケートを実施した 新幹線駅周辺営業所におけるレンタカーの貸渡実績について、新幹線開業の 2011年 3月を 100として、貸渡動向を指数化して表現

イ 貸渡動向

熊本県内、鹿児島県内の新幹線駅周辺の営業所で大幅な増加がみられた。

福岡地区、筑後地区では減少傾向。

ハ レンタカーを利用する理由

新幹線利用者を利用し、着駅でレンタカーを利用した者がレンタカーを利用した理

由は、「少しでも効率よく目的地を回りたいから」、「電車やバスでも目的地に行けるが、

使い勝手が悪い」という回答が多い

ポ イ ン ト

Page 81: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

78

図表 76 新幹線駅周辺営業所におけるレンタカーの貸渡実績

注)博多駅、久留米駅に関しては、営業所別の貸渡実績のデータが存在しないことから地区別 新鳥栖駅に関しては、乗用車タイプ(セダン型・RVタイプ・ミニバン等)の貸渡実績 資料)九州地区レンタカー協会連合会 新玉名駅、熊本駅、新水俣駅で大幅な増加がみられた。新八代駅、出水駅、川内駅、

鹿児島中央駅で増加傾向が見られた 福岡地区、筑後地区では減少傾向が見られた

Page 82: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

79

【レンタカー利用者アンケート調査の概要】

○調査概要: 九州地区レンタカー協会連合会の協力を得て、九州新幹線の駅近隣のレンタカ

ー事業所で、利用者に対してアンケートへの回答を依頼、レンタカー事業所にて

回収し、一括して九州運輸局へ送付 ○調査時期:平成 23年 12月 ○有効回答数:307件(博多駅 31件、熊本駅 123件、鹿児島中央駅 49件、その他の駅 104件)

• • レンタカー利用者の 89.3%が九州新幹線を利用してきたと回答 • レンタカーの利用目的は、「観光・レジャー」が 45.3%、「ビジネス(出張・営業)」が

43.6%でほぼ半々に分かれている • ヒアリングによれば、これまでビジネス需要が中心となりがちであったが、九州新幹線

全線開業を契機に観光目的での利用が増えてきている • こうした背景から、新たに観光需要を取り込むためのキャンペーンが民間ベースでも展

開された 図表 77 レンタカー利用者における九州新幹線利用の有無

ある89.3 

ない9.8 

その他・

未定1.0 

(%)

N=307

Page 83: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

80

図表 78 レンタカー利用者におけるレンタカーの利用目的

• 新幹線駅周辺に営業所を立地しているレンタカー事業者へのヒアリングによれば、これ

までビジネス需要が中心となりがちであったが、九州新幹線全線開業を契機に観光目的

での利用が増えてきている • こうした背景から、新たに観光需要を取り込むためのキャンペーンが民間ベースでも展

開された • 事業者側にとっては、ビジネス需要のみでは土日に稼働率が低下するが、観光需要も取

り込めると、利用の平準化がもたらされるため主体的にキャンペーンに取り組むように

なっている

観光・レ

ジャー45.3 

ビジ

ネス

(出張・営業)

45.6 

その他8.8 

無回答0.3 

(%)

N=307

Page 84: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

81

図表 79 各種レンタカーキャンペーンの広告

Page 85: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

82

• レンタカーの乗車人員は、1人が 39.4%に対し、2人以上(家族・グループ)は 60.3% • 利用目的別にみると、観光・レジャーの場合は、1人は 7.2%に対し、2人以上は 92.8%であるが、ビジネス(出張・営業)の場合は、1人が 70.5%、2人以上は 29.5%と対照的な結果となっている

• レンタカーの利用期間は、1日が 43.3%で最も多く、2日は 31.6%、3日以上は 22.1%である

• 利用目的別にみると、観光・レジャーの場合は、1日が 33.1%、2日は 39.6%、3日以上は 27.3%であるのに対し、ビジネス(出張・営業)の場合は、1日が 60.7%で半数以上を占め、2日は 24.3%、3日以上は 12.9%となっており、観光・レジャーでの利用者の方が利用期間が長めである

図表 80 レンタカーの利用人員

図表 81 レンタカーの利用期間

1人39.4 

2人以上

(家族・グルー

プ)60.3 

その他0.3 

(%)

N=307

(%)

N=307

1日45.3 

2日31.6 

3日~22.1 

1週間~0.7 

その他0.3 

(%)

N=307

(%)

N=307

(%)

N=307

Page 86: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

83

• レンタカーを利用した理由については、「少しでも効率よく目的地を回りたいから」が

59.6%で最も多く、次いで「電車やバスでも目的地に行けるが、使い勝手が悪い(便数が少ない、接続が悪いなど)から」が 36.2%、「電車やバスが目的地まで走っていないから」が 23.8%、「電車やバスを使うことははじめから考えていなかった」が 20.8%で続いている

• 「電車やバスが目的地まで走っていないから」、「電車やバスを使うことははじめから考

えていなかった」といった理由からレンタカーを利用している人に対しては、公共交通

へのシフトを促すことは難しいと考えられる

図表 82 レンタカーを利用した理由

59.6 

36.2 

23.8 

20.8 

19.9 

13.4 

11.1 

10.4 

2.9 

2.9 

0 20 40 60 80

少しでも効率よく目的地を回りたいから

電車やバスでも目的地に行けるが、使い勝手が悪い

(便数が少ない、接続が悪いなど)から

電車やバスが目的地まで走っていないから

電車やバスを使うことははじめから考えていなかった

ドライブすること自体が旅行の楽しみの1つだから

電車やバスを利用するよりも、レンタカーのほうが安く済むから

車でないと運べない荷物があったから

プライベートな空間、まわりに気を使わない空間を

確保したいから

その他

無回答

(%)

Page 87: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

84

利用者の約3分の2は出発地と到着地が同じで、一部ではあるが、県境を越える動き

もみられた 博多駅からは湯布院、熊本駅からは阿蘇、鹿児島中央駅からは指宿を目指す利用者が

多かった ヒアリングによれば、乗り捨て無料キャンペーンを行った事業者においても、乗り捨

てをすることなく、出発地に車を返すケースも少なくなかったという その要因の1つには、利用者が旅行の行程を組む段階でキャンペーンの存在を知らず、

事前に往復の新幹線チケットを購入するなどしていたため、乗り捨てという行動につ

ながらなかったと考えられる

図表 83 レンタカーの出発地と到着地

注)駅別にみた出発地と到着地が同じ割合(64.0%)の内訳は以下の通り

博多駅:6.5%、熊本駅 26.6%、鹿児島中央駅 10.1%、その他の駅 20.9%

図表 84 レンタカーの利用駅別に見た立ち寄り先

出発地と到着地が

同じ, 64.0 

熊本駅~熊本

空港, 3.6 

鹿児島中央駅~鹿

児島空港, 3.2 

熊本県~福岡

県, 2.9 

鹿児島県~

熊本県, 2.9 

熊本県~大分

県, 2.2  その他, 21.2 

利用駅 立ち寄り先 実数 訪問率(%) 利用駅 立ち寄り先 実数 訪問率(%)

博多 湯布院 6 19.4 久留米 久留米 3 23.1

熊本 3 9.7 日田 3 23.1

黒川 2 6.5 新玉名 玉名 5 35.7

熊本 阿蘇 30 24.4 山鹿 3 21.4

熊本市内 23 18.7 新八代 宮崎 3 18.8

黒川 13 10.6 出水 出水 2 40.0

天草 12 9.8 長島 2 40.0

菊池 6 4.9 川内 川内 9 25.7

湯布院 6 4.9 阿久根 4 11.4

高千穂 5 4.1

別府 4 3.3

宮崎 3 2.4

鹿児島中央 指宿 14 28.6

霧島 7 14.3

鹿児島市内 7 14.3

Page 88: 幹線交通とのネットワークを意識した 地域公共交通のあり方 ......1 Ⅰ.九州新幹線全線開業後の旅客動向 1.九州新幹線の旅客動向 y

85

(参考)駅前広場整備の状況

新幹線開業に伴い、駅前広場の整備を行ったものについて、概要情報を収集した。 以下、収集した情報を駅別に記述する。

1.博多駅

<博多駅が抱えている課題>

駅利用者の大幅な増加により、駅前広場が手狭になっており、特に歩行者・

広場空間が不足 交通機関相互の乗り換えの動線が分かりにくい 歩行者動線と自動車交通の交錯が多い など

<博多駅再整備の基本的な方向性>

1.玄関口に相応しい魅力ある博多口駅前広場の形成 (1)駅前広場(地上部)の再整備による歩行者空間・広場空間の拡充 (2)駅前広場(地上部)を補完する地下2階の駅前広場の新設 2.歩行者ネットワークの充実・強化 (3)交通結節の強化や回遊性の向上を図る上空レベルの歩行者動線の確保

(2階デッキの整備) (4)回遊性の向上や地上交通混雑の緩和を図る地下ネットワークの拡充

(新地下街の新設、地下通路の整備) (5)交通機関の乗り継ぎや東西方向の連携を強化する広場空間・歩行者動線

の確保 (駅ビル内広場・通路の設置) 3.来街者の分かりやすさの向上 (6)案内サインの充実強化 等

資料)福岡市

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86

図表 85 博多駅再整備の基本的な方向性

資料)福岡市ホームページ

図表 86 完成後の博多駅前広場

資料)福岡市

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87

図表 87 博多駅(博多口)前広場において整備された駐車場の概要

資料)福岡市

<博多駅再整備の効果・課題等>

地下空間を活用し、送迎用駐車場やタクシー乗り場の一部を移設、地上部には広場の

面積を広く確保したことにより広場空間で休憩をする人が増えた 駅へのアプローチ道路で車線を拡幅(大博通りの駅に向かう側で駅前の交差点に左折

レーンを増設、住吉通りは中央分離帯を廃し、北行で1車線増)したことにより、博

多駅前の通過交通の円滑化が図られた 併せて、タクシーの駅前広場内への入車規制(ナンバープレートによる制限、実車以

外のタクシーは住吉通りから右折しての駅前広場内への入車の制限)を図ったことも、

博多駅前の通過交通の円滑化に寄与している 開業前は周辺の 13事業者でバラバラだったサイン類のデザインを統一(調整には苦労した)、設置数も増やした

地下通路の整備や 2Fデッキの整備は計画よりも進捗が遅れている その影響もあってか、地下空間への歩行者の流れができておらず、地下に設置したプ

レミアムタクシーの専用乗り場は、ほとんど利用が見られない状況にある プレミアムタクシー専用乗り場は、地上の一般のタクシー乗り場との兼ね合いもあり、

PRの加減が難しくなっている

種類 収容台数 備考

一般駐車場

※自動車整理場(一時駐車場)46台

250円/30分 ※最初の20分は無料

利用金額の上限なし

タクシープール(地上) 72台

タクシープール(地下) 10台 プレミアムタクシー専用乗り場

駐輪場(原付バイク) 79台 200円/日・回 ※ただし2時間無料

駐輪場(自転車) 710台 100円/日・回 ※ただし2時間無料

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2.新鳥栖駅

<新鳥栖駅周辺整備のねらい>

区画整理事業によって北側からの駅へのアプローチ道路や駅前広場などの整備を実施 区画整理事業とは別に、長崎本線南側のパーク&ライド駐車場の整備(供用中)や南

側からのアプローチとして国道 34号線からのアクセス道を整備(工事中) 在来線の新鳥栖駅を請願駅として開設(県と市で 45%分の設置費をそれぞれ負担)させ、乗り継ぎ客の利便性を確保

高速道路のクロスポイントといった特性を活かし、横軸への送客を見込んだバスプー

ルを 20台分設置 新鳥栖駅利用のバスツアーには助成も実施しており、団体客乗降の取り込みを図る 九州の「横軸」への波及を考え、駅構内の鳥栖市観光案内所には、長崎県や大分県の

観光地等のパンフレットを多数配置 駅周辺の 600 台超収容のパーク&ライド駐車場を整備し、マイカー利用者の広域的な集客を目指す

新鳥栖駅から至近の場所には「九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)」

が 2013年春にオープンする予定である 重粒子線によるがん治療は通院による治療も可能であり、遠方に住む患者にとっても

新幹線駅前に立地する施設は利便性が確保される 図表 89 新鳥栖駅前広場のパスプール(赤枠)と九州国際重粒子線がん治療センター(黄枠)

九州経済調査協会撮影

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図表 90 新鳥栖駅周辺整備事業図

資料)鳥栖市ホームページ

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図表 91 新鳥栖駅利用促進に向けた各種キャンペーンの概要

資料)佐賀県

図表 92 新鳥栖駅前のパーク&ライド駐車場配置図

資料)鳥栖市ホームページ

事業名 事業の概要 助成内容、適用条件等

1.新鳥栖駅利用促進

ツアー事業費補助事業

山陽新幹線及び九州新幹線を利用し新

鳥栖駅で乗車又は降車若しくは乗降を伴

う募集型企画旅行、受注型企画旅行又

は手配旅行を実施する国内旅行社に対

し、補助金を交付する。

佐賀県内有償宿泊の場合

 (片道)1,000円/人

佐賀県内有償宿泊しない場合

 (片道)500円/人

※往復での利用の場合、片道分の合算額とする

2.新鳥栖駅利用促進

バスツアー事業費補助

事業

山陽新幹線及び九州新幹線を利用し新

鳥栖駅で乗降又は降車する募集型企画

旅行、受注型企画旅行又は手配旅行

で、新鳥栖駅を発着する借上バスを使用

する旅行を実施する国内旅行社に対し、

補助金を交付する。

バス借上料

 上限50,000円/台

3.新鳥栖駅利用促進

レンタカー助成事業

九州新幹線を利用して「新鳥栖駅」で降

車し、レンタカーに乗り換える方に対し、

QUOカード(1,000円分)の助成を行う。

・レンタカー利用開始日と九州新幹線「新鳥栖駅」で

新幹線を降車する日が同じで、本人が利用する場合

に限る。

・事前予約をしてレンタカーを利用する場合に限る。

・対象事業者:(株)トヨタレンタリース佐賀 鳥栖店、

(株)マツダレンタカー佐賀 鳥栖店、ニッポンレンタ

カー九州(株) 鳥栖営業所

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図表 93 新鳥栖駅西駐車場から新鳥栖駅をのぞむ

九州経済調査協会撮影

<新鳥栖駅周辺整備の効果・課題等>

大型バス駐車場の利用実績は、開業当初は 60 台/月程度であったが、徐々に増加し、10月は 120台程度、11月は 110台程度の利用があった

ツアー事業費の補助事業の利用実績は上期で4件(送客数 95 人、助成額 81,500 円)で、大阪や岡山の旅行会社からであった

新鳥栖駅利用のツアー実績があまり上がらなかった背景には、山陽新幹線直通の「さ

くら」の停車数が少ない(あっても時間帯が関西方面からの観光利用に適さない)こ

とや、直通列車の卸値が高いことも影響していると考えられている レンタカーの助成事業に関しては、月平均 40台程度。夏休み以降実績が上向いており、

11月の利用実績は 50台を超えた 助成制度の認知度が低く、制度利用者の約半数がリピーターとなっている。利用の伸

びは認知度が高まったことも一因 パーク&ライド駐車場は、北側からのアプローチ道路からのアクセスに優れる駅西駐

車場はほぼ満杯、第1駐車場は6~7割程度、第2駐車場は2~3割、第3駐車場は

1割程度の稼働状況で、利用は徐々にではあるが伸びている 駐車している車のナンバーを見ると、佐賀ナンバーのほか、福岡ナンバーや久留米ナ

ンバーも多く、当初のねらいであったマイカーでのアクセス向上による利用促進は効

果が認められる 駅周辺に食事処やおみやげを扱う店が少なく(駅構内の立ち食いうどん店とコンビニ

で若干おみやげを扱っているのみ)、利用者から不満の声があり、物販施設の整備は今

後の検討課題となっている

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3.久留米駅

<久留米駅周辺整備のねらい>

九州新幹線全線開業にあわせて西口を新設(駅前広場は 4,800㎡)、あわせて西口周辺の歴史的施設(水天宮、坂本繁二郎生家など)などを結ぶ散策路も整備

西口広場には、マイカー利用者向けの市営駐車場を整備したほか、大型バスの駐車場

も確保した 東口の駅前広場は 5,900㎡を 8,000㎡に拡張 24時間利用可能な東西自由通路を設置し、橋上駅に改修 改札口正面には観光案内所や地域の物産を扱う「地場産くるめ」を開設 東口駅前広場から 80m離れた場所にあったバス乗り場を広場内に組み込み、交通結節機能の強化、町の玄関口としての機能強化を図った

図表 94 久留米駅周辺整備事業の概要

資料)久留米市

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図表 95 久留米駅前広場において整備された駐車場の概要

資料)久留米市

図表 96 東口駅前広場に組み込まれたバス乗り場(左)と移転を知らせる旧バス乗り場(右)

九州経済調査協会撮影

図表 97 久留米駅西口駅前広場の市営駐車場(左)と民間の駐車場(右)

九州経済調査協会撮影

種類 収容台数 備考

送迎者用駐車場 18台100円/30分 ※20分以内無料

開業前は15台収容を3台分拡張

バスバース 6台路線バス用乗降場(乗車用:4バース、降車用:2バース)

駅前広場内に乗り場を移設

タクシープール 24台 開業前は10台程度の収容台数を拡張、入場できる業者の制限も緩和

送迎者用駐車場 8台 100円/30分 ※20分以内無料

一般駐車場 293台100円/時(上限:600円/日)、月極9,000円

市営駐車場のみ、このほかに民間の駐車場が少数存在

バスバース 6台 大型バス用、無料(但し2時間以内・要事前予約)

タクシープール 8台

駐輪場 161台 原付:150円/日、自転車:100円/日

東口

西口

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図表 98 久留米駅西口駅前広場の大型バス駐車場(手前側)

九州経済調査協会撮影

<久留米駅周辺整備の効果・課題等>

西口広場の市営駐車場は、空車が目立っており、当初の市の想定を下回っている 周辺には民間駐車場もあるが、市営駐車場と比べて割安な価格設定がされている(100円/70分、上限 300円/12時間当たり)こともあり、市営駐車場に空きが目立つのに対し、民間駐車場はほぼ満車となっている

大川方面からの駐車場の利用者も見られ、駐車場の集客圏は広域化していると考えら

れる 団体バス用の駐車場は、開業当初は利用が伸び悩んだが、行楽シーズンであった9月、

10月は月間約 100台の利用にまで伸びた 駐輪場に関しては、高い利用率を維持している 東口に整備された路線バス乗り場に関しては、行先案内の看板を設置しているものの

わかりにくいとの意見を受けており、課題として認識している 具体的には、市内バス交通の拠点である西鉄久留米駅に向かう系統の乗り場が分かれ

ていたり、同じ乗り場でも経由しない系統と経由する系統が混在している そこで1番乗り場や2番乗り場を発着するバスはどれに乗っても西鉄久留米駅に行け

るといった、乗り場ごとの系統整理を進めるべく、バス事業者と協議を行っている また、バス事業者が設置した乗り場案内の看板についても、市外からの来訪者の目的

地となるような場所を強調したメリハリをつけたわかりやすい表示に改善するべく、

協議を行っている

駅前広場整備とは直接関係しないが、JR久大本線に久留米大学前駅、久留米高校前駅を新たに設置し、利便性の向上を図ったところ、市内の久大線利用者数は約2倍に増

加した

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4.新大牟田駅

<新大牟田駅周辺整備のねらい>

駅周辺に関しては、市街化調整区域であったが市街化区域に変更し、区画整理を実施、

宅地としての開発(140戸)を目指し、平成 23年度注に整備は完了する見通し 市で整備した駐車場(指定管理者制度を導入)のほかに、民間による駐車場が駅東側

に約 60台分(100円/1時間、上限 400円/日、鉄道利用者は 300円/日)が確保されているほか、JR の月極駐車場(8,000 円/月、定期券利用者は 7,000 円/月)が駅北側高架下に 40台分確保されている

新大牟田駅へのアクセスとなるバス路線(南関線)に関しては、補助を行うことによ

って1時間に1本の運行頻度を確保させている 貸切バス用の駐車場は専用に確保していないが、駅前広場内のバス待機所(通常は閉

鎖)を、問い合わせがあったときに活用できるようにしている

図表 99 新大牟田駅周辺地区の整備計画

資料)大牟田市

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図表 100 新大牟田駅前広場において整備された駐車場の概要

資料)大牟田市

図表 101 新大牟田駅前の駐車場(左:駅西側の市営駐車場、右:駅東側の民間駐車場)

九州経済調査協会撮影

<新大牟田駅周辺整備の効果・課題等>

乗降客数は 2,300人/日で想定していたが、実際には 750人/日程度に止まった 大牟田市では、開業後利用が伸び悩むことから、2011年 9月に各種アンケート(市民向け、市内事業者向け、鉄道利用者向け)を実施

アンケートの結果から、運賃の高さや駐車場料金の高さなどを指摘する回答が多かっ

たため、運賃の値下げを JRに要望する一方、駐車場料金の値下げも行った 10月 1日より駐車場料金を 800円/日→350円/日に値下げしたところ、駐車場の利用率は8割程度に上昇

一方、バイク・自転車の駐輪場は開業時から高い利用率で、学生の利用が多いと考え

られる 駅周辺には観光案内所や物販施設等の機能が不足しているため、改札口を出て正面の

位置に、交流拠点施設を開設する予定(2012年度着工)

種類 収容台数 備考

一般駐車場 77台

うち身障者専用駐車場2台

6時~22時 30分以内無料、1時間まで200円、以降1時間毎100円加算

22時~6時  30分以内無料、1時間まで50円、以降1時間毎50円加算

1日当たり上限額800円から350円に値下げ(2011年10月1日~)

バスプール - バス待機所として整備したスペースの活用が可能

タクシープール 6台 設計上は6台分のスペースだが、20台程度は入庫可能

駐輪場(バイク) 16台 無料

駐輪場(自転車) 38台 無料

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5.熊本駅

<熊本駅周辺整備前の現状と課題>

駅前広場内はタクシーと一般車の入場のみで、前面道路遠藤にバス停と市電

の電停が配置されていた 駅前広場には3本の都市計画道路(二本木方面、熊大病院方面、辛島町方面)

のほか、2本の市道が接続しており、極めて煩雑な交通動線を描いている 駅前広場への出入り口が4カ所あるため交通が錯綜している 取り付け市道から駅前広場内に通過交通が流入し、交通動線錯綜にさらに拍

車をかけている 上り(二本木方面から辛島町方面)の車道が市電の軌道を2回も横切らなけ

ればならない 市内方面のバス乗り場はピーク時 1分 30秒に1台という過密な状態である 前面道路で Uターンするバスがあり危険である 歩行者はどこへ行くにも車道部の横断が生じるので安全性が懸念される 駅を出て目に入るのはおびただしい駐車車両や派手な広告物だけで、歩行者

のための広場空間は中央にあるのみとなっており、「森の都熊本」を象徴する

駅前景観とはいえない

資料)熊本駅周辺整備事務所

図表 102 九州新幹線全線開業前の熊本駅前広場の状況

資料)熊本駅周辺整備事務所

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<熊本駅周辺整備のねらい>

九州新幹線全線開業前は白川口(東口)のみであったが、新たに西口を開設 西口の周辺整備に関しては、区画整理事業により整備を推進 現在進めている白川口駅周辺整備(9,600㎡)は暫定整備であり、最終的な周辺整備完了(14,200㎡)は鹿児島本線等連続立体交差化事業とあわせて進められる

暫定整備については平成 23 年度で完了し、連続立体交差化事業は平成 30 年度の完成を目標としている

団体バスの乗り場は西口に設置し、白川口は公共交通の結節点として位置づけ

図表 103 熊本駅前広場において整備された交通結節機能の概要

資料)熊本駅周辺整備事務所

図表 104 熊本駅西口駅前広場整備の概要

資料)熊本駅周辺整備事務所

種類 収容台数 備考

送迎者用駐車場 19台

うち身障者専用駐車場1台

1時間100円(30分以内無料) 以降は30分ごとに100円加算

開業前は91台収容を19台に削減

乗降専用スペース 7台 一般車用4台分、タクシー用3台分

路面電車乗り場 - サイドリザベーション化

バス乗り場 4カ所

タクシープール 24台

送迎者用駐車場 20台

うち身障者専用駐車場2台

1時間100円(30分以内無料) 以降は30分ごとに100円加算

これとは別に民間の駐車場が駅周辺に多数存在

乗降専用スペース 5台 一般車用3台分(うち身障者用1台分)、タクシー用2台分

バス駐車場 4台 待機場所4台、乗降スペースは3台分

タクシープール 12台

白川口

(東口)

西口

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図表 105 熊本駅白川口駅前広場整備の概要(暫定整備)

図表 106 熊本駅白川口駅前広場整備の計画(最終形)

資料)熊本駅周辺整備事務所

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図表 107 熊本駅西口駅前広場

九州経済調査協会撮影

<熊本駅周辺整備の効果・課題等>

路面電車はサイドリザベーション化したことにより、利用者は平成 16年当時 5,000人/日だったものが、整備後は 7,000人/日に増えている

一方、バス乗り場については、暫定整備の段階では沿道に設置され、場所が分かりに

くくなったこともあり、バス事業者からは「利用者が減少した」といった苦情が上が

っている ただし、完成形では駅前広場内にバスプールが設けられることになる タクシー利用者は西口からの利用が想定よりも多く、白川口は想定よりも少なかった。

トータルではほぼ想定通りの利用状況である 白川口の一時駐車場は、収容台数が大幅に削減されたため、利用しにくくなったとい

う苦情が寄せられている 白川口駅前交差点の交通量は、西口側で整備された道路がバイパス的に利用されてい

ることから減少し、路線バスの円滑な運行にはプラスに働いている 西口側の団体バス用駐車場は、週末になると収容能力を超えるバスが乗り入れてくる

ような状況にある 現在、利用者に対するアンケート調査も実施しており、これらの結果も踏まえて、完

成形の整備計画の微修正も検討している

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6.新八代駅

<新八代駅周辺整備のねらい>

在来線との乗り継ぎができるようにするため、在来線にも駅を設置(請願駅) 市からの請願により整備されたため、負担割合を市 90%、JR10%で調整、県と市の負担割合については別途協定により半分ずつの負担とすることし、最終的には県 45%、市 45%、JR10%の負担割合で整備。

こうした経緯から新幹線駅と在来線駅が別の駅舎となっている(新幹線と在来線の乗

り継ぎを行う場合は一度改札口を抜ける必要がある) 駅東口は、高速バスやタクシー乗り場のほか、一般車の送迎用乗降場が整備されてい

るほか、一般駐車場も東口側に大半が確保されており、メインの位置づけ 在来線側にある西口は、市内への路線バス乗り場のほか、タクシー駐車場を確保して

いる 在来線駅と新幹線駅をつなぐ位置にある南口は、広場に駐輪場を備えるのみ 駅構内には観光物産案内所を設置している

図表 108 新八代駅前広場の概要 図表 109 駅構内の観光物産案内所

九州経済調査協会撮影

図表 110 新八代駅前広場において整備された交通結節機能の概要

資料)八代市

種類 収容台数 備考

一般駐車場 100台

100円/時(20分以内無料) 以降は1時間ごとに100円加算

23時~翌7時までは50円/時 上限1,000円/日

月極10,000円(鉄道定期利用者は6,000円)

乗降専用スペース 7台 一般車用2台分、身障者用2台分、タクシー用3台分(東口)

バス乗り場 - 東口:高速バス、団体バス等、西口:市内路線バス

タクシープール 14台

駐輪場 約90台 無料

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図表 111 東口駅前広場(左)と西口駅前広場(右)

図表 112 在来線駅(左)と新幹線駅(右) 図表 113 在来線駅(億の高架橋が新幹線)

九州経済調査協会撮影

<新八代駅周辺整備の効果・課題等>

駅構内に設置の観光物産案内所については、全線開業後に問い合わせ件数等が増加し

ている 天草や宮崎などと協力した広域観光ルートの開発等、八代市を中心とした横軸での連

携強化を検討中。 観光案内所では宮崎方面に関する問い合わせも増えている 福岡や鹿児島など新幹線沿線の主要都市において大型ビジョンを利用した市のスポッ

ト CMを放映予定。

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7.鹿児島中央駅

<鹿児島中央駅周辺整備のねらい>

駅前広場の整備は、部分開業した 2004年に大半を済ませており、全線開業時の大規模改修は行われていない

東口の駅前広場(約 30,800㎡)に関しては、バス停が分散し、市電の電停も駅舎から遠いなど乗り継ぎの利便性が高いとはいえなかったことから、路線バスはバス停を集

約し、最大限駅前広場内に乗り入れるようにしたほか、電停のサイドリザベーション

も行った 西口の駅前広場(約 7,000 ㎡)に関しては、整備前は道路と緑地空間のみで交通結節機能が欠如していたものをバス停やバスプールを確保し、交通結節機能の強化を図っ

た 東口は路線バスの乗り入れに限定されるが、西口は貸切バスが乗り入れられるように

なっている 部分開業前は東口と西口がそれぞれ存在したものの、東西の自由通路は整備されてお

らず、東西の通り抜けは不可能であったが、東西自由通路を設けることで改善させた 市電の運行をスムーズにさせるため、駅前の3つの交差点の信号サイクルの見直しを

図った 全線開業を見据えての整備としては、「交通ナビ」を平成 21 年 4 月から運用開始し、端末をバスプールの3番乗り場と4番乗り場の間のほか、駅構内のエスカレーター脇

に設置し情報提供

図表 114 鹿児島中央駅前広場において整備された交通結節機能の概要

資料)鹿児島市

種類 収容台数 備考

送迎者用駐車場 30台うち身障者専用駐車場1台

30分以内無料 以降は30分ごとに200円

乗降専用スペース 4台 一般車用3台分、身障者用1台分

路面電車乗り場 - サイドリザベーション化

バス乗り場 19カ所

タクシープール 42台 乗車場3カ所、降車場3カ所

送迎者用駐車場 10台うち身障者専用駐車場1台

30分以内無料 以降は30分ごとに200円

乗降専用スペース 3カ所 一般車用2台分、身障者用1台分

バス乗り場 2カ所 路線バス用

バスプール 10台 貸切バス向

タクシープール 12台 乗降場2カ所

東口

西口

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図表 115 鹿児島中央駅周辺整備前後の比較

資料)鹿児島市

図表 116 鹿児島中央駅西口広場のバスプール

九州経済調査協会撮影

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<鹿児島中央駅周辺整備の効果・課題等>

中央駅の市内交通の結節点としての位置づけが明確化されたこともあり、中央駅経由

の路線バスが増加する傾向にある 全線開業後、10~11 時台に西口の団体バス乗り場へのバスの乗り入れが急増した。これは部分開業時にはなかった現象で、関西方面からの観光客が訪れているものと考え

られる。 西口の団体バス用駐車場は、休日や夕方といったピーク時にはキャパシティを超える

流入がある バス駐車場混雑解消のために、出発の 20分以上前の入庫自粛を呼びかけているが、効果は薄く、むしろ場所取りが激化している

全線開業 2 年目以降は修学旅行生の受け入れも進むと見られており、その場合は一度に 500 人近い生徒がバスに乗り込む形になり、駐車スペースが不足するため、たち王を考える必要に迫られている

市内循環バスの「シティビュー」乗り場は、駅から最も離れた場所に設置されており、

利用者からの苦情も少なくないため、今後事業者と調整する予定 東口の駅に隣接する形でアミュプラザの駐車場(1,400台収容)があり、週末、とくにセール時には駐車場の空きを待つ車があふれ、渋滞の要因にもなっている

近隣の商業施設とも提携して別の駐車場への誘導を試みているが、ロケーションの問

題や知名度不足から流れを変えるには至っていない 市電の電停の位置が中央駅を降りた人にとっては交番の影になっており、わかりにく

いとのクレームがある 交通ナビに関しては、タッチパネル方式が高齢者には不向きであり、あわせてダイヤ

改正の情報反映が遅れがちなことも手伝って十分活用されていない 市では行先を 50音別に記した看板に置き換えている