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算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 中学校編

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算数・数学を活用する力をはぐくむ問題例

中学校編

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単 元 別 構 成 表 (中 学 校)

【第1学年】

単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

正の数・負の数 魔方陣の規則を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

文字を用いた式

一元一次方程式 追いつくまでの時間を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

比例,反比例 速さの違いとかかる時間を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

ランドルト環の中にある規則を見つけよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

平面図形 どんな模様ができるだろう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

空間図形 溶けたアイスがあふれないか考えよう 移動した後の図形について考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

資料の散らばり 読書調べの結果について考えよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

【第2学年】

単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

文字を用いた式 カードに書かれた自然数の規則性を考えようの四則計算 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

連立二元一次方 回転寿司を何皿食べたのか考えよう程式 問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

一次関数 水そうの水について考えよう 電話料金をくらべよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

基本的な平面図形と平行線の性質

図形の合同 球のはね返りを考えよう 平行四辺形を作図しよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

角の和を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

確率 すごろくのあがりを考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

【第3学年】

単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

平方根

式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう分解 問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

二次方程式

関数 標準体重を求めよう ピザのサイズから価格を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

図形の相似 街灯の電球までの高さと影の面積を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

円周角と中心角 円の半径を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

三平方の定理 水がたくさん入るのはどちらか考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

標本調査 人出を調べてみよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

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魔方陣の規則を考えよう

問 太郎さんは,次のような問題を考えています。

正方形のマスの中に異なる数を つずつ入れて,縦,横,斜めに

並んだ数の和をどれも同じにする遊びを魔方陣といいます。ま ほうじん

右の図のような,縦,横がそれぞれ つの正方形のマスの中に,

から までの 個の整数を つずつ入れて,魔方陣を完成させな

さい。

この魔方陣を完成させるために,太郎さんは次のような手順で考えました。

(1) 太郎さんは,右の図のように から までの 個の整数

を左上から小さい順に並べてア~エの行に注目してみました。

ア~エのそれぞれの行について,整数の和を求めなさい。

ア イ ウ エ

(2) 太郎さんは,(1)の結果からアの行とエの行に注目しなが

ら,縦に並んだ数の和のことを考えて, と , と を

入れかえてみました。アの行,エのそれぞれの行について,整

数の和を求めなさい。

ア エ

ア 8 5

エ -4 -7

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(3) 太郎さんは,(2)のように, すみの整数を対角線方向で

入れかえた後に,Aの列とDの列に注目して,それぞれの列に

ついて整数の和が になっていることに気づきました。また,

斜めに並んだ つの整数の和も になっていることに気づきま

した。

そこで,中央の つの整数を入れかえることによって魔方陣

が完成すると予想しました。

太郎さんが予想したことをふまえて,魔方陣を完成させなさ

い。

(4) 太郎さんは,友達から「数を変えてもできそうな気がする」と言われました。そこで,整数

を つ置きにした の中の 個の整数で魔方陣を完成することにしました。

,,,,,,,, , , , , , , ,

① の中の 個の整数で魔方陣を完成させなさい。

② 差が一定で変化する 個の他の数の場合でも活用できるように,(1)~(3)で考えた

ことをもとにして,魔方陣を完成させる方法を説明しなさい。

【説明】

A B C D

イ -2 -1

ウ 2 3

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中学校 第1学年 A 数と式 「魔方陣の規則を考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 学年までに整数についての四則計算の意味や四則計算に関して成り立つ性質な

どを取り扱い,その定着と活用を図っている。また,第 学年までに小数,分数についてその意味

と四則計算,四則計算に関して成り立つ性質を学習し,数についての感覚や見方を広げ,第 学年

においてその定着と活用を図っている。

その上で,中学校第 学年では,数の範囲を正の数と負の数まで拡張し,その四則計算ができる

ようにするとともに,具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりできるようにす

ることがねらいである。

この問題では,負の数を含んだ 個の整数で の魔方陣を完成させることを通して,身に付

けた正の数と負の数の加法,加法に関する交換法則,結合法則を活用するとともに,魔方陣を完成

させる方法を読み取ることをねらいとしている。また,読み取った魔方陣を完成させる方法につい

て,自分なりに説明することをねらいとしている。

さらに,この問題は,魔方陣が自然数だけではなく,負の数を含んでも成り立つことを考察する

ことを通して,小学校第 学年から漸次指導してきた数の範囲を拡張することの理解にもつながる

ものである。また,第 学年における「文字を用いた式」や第 学年における「平方根」の学習へ

と直接つながるものであり,特に「平方根」の学習では,数の拡張についても対象となる。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 A 数と式 同符号の数について加法の計算

()具体的な場面を通して正の数 ができる。○

と負の数について理解し,その

(2) 四則計算ができるようにすると 異符号の数について加法の計算

ともに,正の数と負の数を用い ができる。○

て表現し考察することができる

(3) ようにする。 正の数と負の数の加法を利用し

ウ 正の数と負の数の四則計算 て,さまざまな場合について調べ, ○ ○

をすること。 適するものを見つけることができ

エ 具体的な場面で正の数と負 る。

の数を用いて表したり処理し

(4)① たりすること。 魔方陣を完成させる方法を理解

し,別の数字で確かめることがで ○

きる。

(4)② 魔方陣を完成させる方法を自分

なりに説明することができる。○

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) ア (考え方)

イ ア ()()()()

ウ イ ()()()

エ ウ

(2) ア (考え方)

エ ア ()()

エ ()()

(3) (考え方)

・斜めの つの整数の和が で合っている

ので,中央の つの数を対角線方向で入

れかえて縦,横の和が合うか確かめてみ

る。

イ ()

ウ ()()

B ()()

C ()()

(4)① (補足)

・差が一定で変化する 個の数であれば,

整数でなくても成立する。文字の式の学

習の後であれば,文字で確かめることも

できる。

(4)② ) 左上から小さい順に数を入れる。 ・表現が違っても内容が正しければ正答と

) すみの数を対角線方向で入れかえる。 する。

) 中央の つの数を対角線方向で入れか

える。

- -

- -

- -

- -

- -

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溶けたアイスがあふれないか考えよう

問 太郎さんと花子さんはアイスクリームを買いに行き,半球の

アイスを つのせた「ダブル」を注文しました。

太郎さん: もしこのアイスがすべて溶けたとしたら,溶け

たアイスはコーンからあふれてしまうのかな。

花子さん: うーん,そうね。わたしはあふれると思うわ。

太郎さん: 体積を求めるしか,方法はないのかな。

花子さん: そんなことはないわよ。

(1) 太郎さんは,体積を求めるために店のパンフレットを見なが

らアイスクリームのサイズを確認しました。アイスの部分を半

球が つとみなしてその半径は ,コーンの部分を円錐とすい

みなしてその底面の半径は で高さは でした。

太郎さんが確認したサイズをもとに,どちらの体積がどれだ

け大きいか,その差を,円周率 を用いて表しなさい。ただ

し,アイスは溶けても体積は変わらない,コーンにしみこまな

いものとします。

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(2) 花子さんは,店のパンフレットを見ながらアイスクリームのサイズを確認すると,コーンの

高さはアイスの半径の 倍でした。体積が何倍になるかを考えるために,花子さんは,半径と

高さが同じ長さの円柱を基準に,次のような図をかきました。花子さんのかいた図を利用して,

アイスの部分の球とコーンの部分の円錐の体積はどちらが大きいといえるか説明しなさい。

花子さんのかいた図

【説明】

(3) コーンの底面の半径を変えないで溶けたアイスがあふれないようにするためには,コーンの

高さを何 以上にすればよいか求めなさい。

? 倍 ? 倍 ? 倍 アイスの部分

コーンの部分 ④

① ② ③

? 倍

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中学校 第1学年 B 図形 「溶けたアイスがあふれないか考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 学年までに立方体や直方体及び角柱や円柱の体積を求めることを学習している。

特に柱体の体積は底面積と高さの積として求められることを押さえてきている。

中学校第 学年では,小学校で学習したことに加え,錐体の体積は底面積と高さが等しい柱体の

体積の 球の体積はそれがぴったりと入る円柱の体積の であることなど,既習の立体と関連

付けながら学習する。

この問題では,アイスクリームをモデル化し,アイスの部分を半球二つ,コーンの部分を円錐と

みなして,異なる二つの立体の体積を,具体的な数値や文字で比較したり体積を差の関係や比の関

係で比較したりして,同じものをいろいろな観点から考察することをねらいとしている。また,学

校で学んだことを日常生活の中で積極的に使い,直観的に結果を見通したり,既習の立体について

体積の比を根拠に演繹的に考察したりしていく態度を培うことをねらいとしている。

さらに,この問題は立体の底面の半径や高さに着目し考察することを通して,第 学年における

「相似比と体積比」,また「三平方の定理」を利用して錐体の高さを求める学習へとつながるもの

である。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 B 図形 アイスクリームのアイスの部分

()観察,操作や実験などの活動 を半球が二つ,コーンの部分を円

を通して,空間図形についての 錐としてみなし,具体的数値で二 ○

理解を深めるとともに,図形の つの部分の体積を求めることによ

計量についての能力を伸ばす。 って,差で比較することができる。

ウ 扇形の弧の長さと面積並び

(2) に基本的な柱体,錐体及び球 コーンの高さがアイスの半径の

の表面積と体積を求めること。 倍であることを確認し,半径と

高さが等しい円柱を基準として,○ ○

アイスの部分とコーンの部分の体

積を比で比較し,説明することが

できる。

(3) 溶けたアイスがあふれないよう

にするため,コーンの高さに着目○

して,どのようにすればいいのか

を求めることができる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) アイスの部分の体積は

( )

コーンの部分の体積は

()

したがって,

よって,アイスの部分が 大きい。

(2) 倍 倍 倍

① ② ③

上の図から,アイスの部分の体積はコーンの部分の体積の 倍となる。

だから,アイスの部分の体積のほうが大きい。

(別解)

半径を とすると,それぞれの立体の体積を求める公式から

(コーンの部分の体積)

(アイスの部分の体積)

上の つの結果から,アイスの部分の体積はコーンの部分の体積の 倍となる。

だから,アイスの部分の体積のほうが大きい。

(3) (以上) (考え方)

・アイスの部分の体積がコーンの体積の

倍であることから,高さも 倍になれば

よい。

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速さの違いとかかる時間を考えよう

問 太郎さんの家族は,お父さんの車で,盛岡を通って仙台まで旅行することにしました。旅行

の計画を立てるために,車の速さとかかる時間について考えています。自宅から仙台まで一般道

と高速道路が両方通じているものとし,自宅から盛岡までの道のりを ,盛岡から仙台ま

での道のりを として考えました。

(1) 時速 の速さで進んだとき,自宅から仙台に着くまでにかかる時間を 時間として,

を の式で表しなさい。

(2) 太郎さんは,自宅から仙台まで,車の速さを変えることによってかかる時間がどれだけ違う

か考えています。

① 高速道路だけを利用して時速 で進む場合と時速 で進む場合で,速さを時速

変えることによってかかる時間がどれだけ違うのか求めなさい。

② 一般道だけを利用して時速 で進む場合と時速 で進む場合で,速さを時速

変えることによってかかる時間がどれだけ違うのか求めなさい。

(3) 太郎さんは,速度規制があり遅くなった分を,車の速さを変えることによって取り戻せるか

考えています。

高速道路だけを利用して,自宅から仙台まで予定どおり時速 で進むのに対し,速度

規制があり自宅から盛岡までを時速 で,遅れを取り戻すために盛岡から仙台までを,

速さを時速 変えて時速 で進む場合,遅れを取り戻せるか書きなさい。また,そ

の理由を書きなさい。

【理由】

― 82 ―

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(4) 太郎さんは,(1)~(3)で考えたことをふまえ,速さの違いが同じであっても,速いと

きと遅いときで時間のかかり方が違うことを,グラフを用いて説明しようと考えています。

① 時速 の速さで進んだとき,自宅から仙台に着くまでにかかる時間を 時間として,

と の関係をグラフに表しなさい。

② 太郎さんは(2)で考えたことをもとに,①のグラフを使って次のような説明をしました。

太郎さんの説明の空欄部分に,途中の説明を書いて完成させなさい。必要であれば,グラフ

に記号や線をかき入れ,それを用いて説明してもかまいません。

自宅から仙台までを,時速 と時速 で進む場合にかかる時間の違いは,

だから,遅いときには時間の差は大きいが,

速いときには時間の差は小さいといえる。

(時間)

速 さ(時)

― 83 ―

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中学校 第1学年 C 関数 「速さの違いとかかる時間を考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

ふれている。

これらの学習の上に立って,中学校第 学年では,比例,反比例を,変域を負の数にまで拡張し,

文字を用いた や という式で表し,座標を用いてグラフに表す。また,具体的な事象

を比例,反比例とみなすことによって,問題を解決することがねらいである。

この問題では,速さ,時間,道のりの関係を用いて,身近な事象の中に反比例の関係を見いだし,

反比例の式や変化の様子をもとにして考察していくことをねらいとしている。また,比例定数が正

のとき,第 象限では, の絶対値が小さい区間では の値の変化が大きく, の絶対値が大きい

区間では, の値の変化が小さいという反比例特有の性質を実感を伴って理解することをねらいと

している。

さらに,この問題は,反比例において,の増加量に対する の増加量を考察することを通して,

第 学年における「一次関数」で学習する変化の割合につながっていくものであり,逆に,変化の

割合の学習をする際,学び直しの対象となるものである。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 C 関数 と の関係を式で表すことが○

()具体的な事象の中から二つの できる。

数量を取り出し,それらの変化

(2)① や対応を調べることを通して, 二つの違う速さでかかる時間を

② 比例,反比例の関係についての 求め,かかる時間の差を求めるこ ○

理解を深めるとともに,関数関 とができる。

係を見いだし表現し考察する能

(3) 力を培う。 状況を判断し,その理由を自分

エ 比例,反比例を表,式,グ なりにまとめることができる。○

ラフなどで表し,それらの特

(4)① 徴を理解すること。 速さと時間の関係をグラフに表○

オ 比例,反比例を用いて具体 すことができる。

的な事象をとらえ説明するこ

(4)② と。 計算結果やグラフ,反比例の性

質などを根拠にして状況を判断○

し,考えたことを自分なりに説明

することができる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 84 ―

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1)

(2)① 時間 (考え方)

時速 時間

時速 時間

(2)② 時間(時間 分)

(考え方)

時速 時間

時速

時間(時間 分)

(3) ・遅れは取り戻せない

【理由】

自宅から盛岡までかかる時間は,

(時間)

盛岡から仙台までは,

= (時間)

合計

+ =

(時間)

予定では,

= (時間)

予定より

時間(分)多くかかる。

(4)①

・表現が違っても内容が正しければ正答と

する。

(別解)

・グラフを利用して,速さが同じ時速

の違いであるウとエに対して,時間はア

とイのように違うことを説明してもよい。

(4)②

時間である。

時速 と時速 で進む場合

にかかる時間の違いは,

時間である。

速さが同じ時速 の違いであっ

てもかかる時間が違う。

― 85 ―

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ランドルト環の中にある規則を見つけよう

問 ランドルト環は,視力を判定するた

めにつくられた図形です。

たとえば, 離れた所から切れ目

の幅 のランドルト環の開いて

いる方向を見分けることができると視

力は と判定されます。

太郎さんは視力検査の後,ランドル

ト環に興味をもち,サイズを調べてそ

の結果を表にまとめ,数量の関係を調

べたいと思いました。

視 力 …

全体の直径() …

太 さ() ? …

切れ目の幅() ? …

(1) 太郎さんは,ランドルト環の「全体の直径」

は,「切れ目の幅」にともなって変わること

に気づき,どんな関係といえるかグラフに表

そうと思いました。

① 右の図に「切れ目の幅」と「全体の直径」

の関係を表す点をかき入れなさい。

② 「切れ目の幅」と「全体の直径」はどん

な関係といえるか書きなさい。また,なぜ

そういえるか説明しなさい。

の関係

【説明】

全体の直径

太さ

切れ目の幅

全体の直径

()

切れ目の幅()

― 86 ―

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(2) 次に太郎さんは,「視力」は,ランドルト

環の開いている方向を見分けることができる

「切れ目の幅」にともなって変わることに気

づき,どんな関係といえるかグラフに表そう

と思いました。

① 右の図に「切れ目の幅」と「視力」の関

係を表す点をかき入れなさい。

② 「切れ目の幅」と「視力」はどんな関係

といえるか書きなさい。また,なぜそうい

えるか説明しなさい。

の関係

【説明】

(3) 太郎さんは視力検査の結果,両眼とも でした。太郎

さんは視力が のランドルト環を,コンパスを使って実

際にかいてみることにしました。切れ目の方向を下にして,

右の 方眼にかきなさい。

(4) 太郎さんは,(3)でかいたランドルト環 つで視力検査ができないか調べたところ,ラン

ドルト環との距離で視力を判定することができることがわかりました。そこで,距離と視力の

関係を調べてその結果を表にまとめました。

距 離() …

視 力 …

① 距離を ,視力を とするとき,を の

式で表しなさい。

② 大草原で生活している人の中には,視力が 以上の人もいると言われています。視力が

の人は,太郎さんがかいたランドルト環の開いている方向をどれくらい離れた所から見

分けることができることになるのか求めなさい。

切れ目の幅()

― 87 ―

Page 18: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

中学校 第1学年 C 関数 「ランドルト環の中にある規則を見つけよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

ふれている。

これらの学習の上に立って,中学校第 学年では,比例,反比例を,変域を負の数にまで拡張し,

文字を用いた や という式で表し,座標を用いてグラフに表す。また,具体的な事象

を比例,反比例とみなすことによって,問題を解決することがねらいである。

この問題では,学校の視力検査で扱われるランドルト環を素材とし,その中から二つの数量を取

り出して,その関係をグラフに表すことにより比例や反比例の関係にあると判断し,自分なりに説

明することをねらいとしている。また,同じ素材の中に比例するものと反比例するものが混在して

いること,一つのランドルト環を使って距離で視力を判定できることを理解し,そのことを利用し

て視力が の人のすごさに気付かせることをねらいとしている。

さらに,二つの数量の関係を比例,反比例とみなし,変化や対応する様子について考察すること

は,第 学年における「一次関数」,第 学年における「関数 」の学習へとつながるもので

ある。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1)① 第 学年 C 関数 ランドルト環の「切れ目の幅」

()具体的な事象の中から二つの と「全体の直径」の関係をグラフ ○

数量を取り出し,それらの変化 に表すことができる。

(1)② や対応を調べることを通して, 表やグラフから,二つの数量が

比例,反比例の関係についての 比例の関係であると判断し,その ○ ○

理解を深めるとともに,関数関 ことを説明できる。

(2)① 係を見いだし表現し考察する能 ランドルト環の「切れ目の幅」

力を培う。 と「視力」の関係をグラフに表す ○

ア 関数関係の意味を理解する ことができる。

(2)② こと。 表やグラフから,二つの数量が

イ 比例,反比例の意味を理解 反比例の関係であると判断し,そ ○ ○

すること。 のことを説明できる。

(3) ウ 座標の意味を理解すること。 視力が のランドルト環の大

エ 比例,反比例を表,式,グ きさを表,グラフ,式から求め,コ ○

ラフなどで表し,それらの特 ンパスを使ってかくことができる。

(4)① 徴を理解すること。 距離と視力の関係を式で表すこ○

オ 比例,反比例を用いて具体 とができる。

(4)② 的な事象をとらえ説明するこ 式を利用して,視力が の人

と。 が の切れ目をどれくらい○

離れた所から見分けることができ

るかを求めることができる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 88 ―

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( )

( )

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1)① (1)①のグラフ (2)①のグラフ

(2)①

(1)② 比例(の関係)

【説明】 ・【説明】については,表,式,グラフか

・グラフが原点を通る 直線上にあるか ら比例であることを説明できていれば正

ら。 答とする。

・「切れ目の幅」を ,「全体の直径」 (補足)

を とすると で表されるか 視力 のときは,およそ 倍ととらえ

ら。 ることができる。

・「全体の直径」はどこも「切れ目の幅」

の 倍となるから。

(2)② 反比例(の関係)

【説明】 ・【説明】については,表,式,グラフか

・「切れ目の幅」を ,「視力」をと ら反比例であることを説明できていれば

すると で表されるから。 正答とする。

・「視力」と「切れ目の幅」の積がどこも (補足)

となるから。 視力 のときは,積がおよそ ととら

・「切れ目の幅」を ,「視力」をと えることができる。

すると,グラフが の双曲

線上にあるから。

(3) ・切れ目の部分が多少ずれていても正答と

する。

(4)①

(4)② (考え方)

①で求めた式を利用すると

全体の直径

()

切れ目の幅()

切れ目の幅()

― 89 ―

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回転寿司を何皿食べたのか考えよう

問 太郎さんは,家族で回転寿司を食べに行きました。本日のおすすめメニューは,次のとおり

です。

本日のおすすめメニュー

(1) 太郎さんが,「いくら」 皿と「うに」 皿と,「まぐろ」と「サーモン」をそれぞれ何皿か

を食べたところ,合計 皿で,合計金額は 円になりました。「まぐろ」と「サーモン」

をそれぞれ何皿食べたか求めなさい。

まぐろ 皿,サーモン 皿

まぐろ

え び

サーモン

いくら

う に

中とろ

あわび

― 90 ―

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(2) お父さんが,「まぐろ」 皿と「あわび」 皿と,「えび」と「中とろ」をそれぞれ 皿以上

食べたところ,全摂取カロリーは になりました。「えび」と「中とろ」をそれぞれ

何皿食べたか,考えられる組み合わせをすべて求めなさい。

えび 皿,中とろ 皿

(3) (2)の問題で,お父さんが食べた寿司の合計金額がいちばん安い場合,「えび」と「中と

ろ」をそれぞれ何皿ずつ食べたか求めなさい。また,そのときの合計金額を,途中計算を書い

て求めなさい。

【途中計算】

えび 皿,中とろ 皿,合計金額 円

― 91 ―

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中学校 第2学年 A 数と式 「回転寿司を何皿食べたのか考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 学年で数量を表す言葉や□,△などの代わりに,, などの文字を用いて式

に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすることを学習している。

中学校では,第 学年で一元一次方程式について,その中の文字や解の意味を理解し,その解き

方の学習をしている。

第 学年では,これらの学習の上に立って,二元一次方程式とその解の意味や二元一次方程式を

連立させることの必要性と意味及び連立二元一次方程式の解の意味を理解し,解を求めることがで

きるようにする。さらに,具体的な場面で連立二元一次方程式を活用する能力を育てることをねら

いとしている。

この問題では,回転寿司を食べるという日常の場面で,メニューにある寿司の値段とカロリーと

いう情報を分類整理し,必要なものを適切に選択し,その関係を二元一次方程式に表して問題を解

決することをねらいとしている。また,条件に合った解を求めるために,目的に応じて二元一次方

程式を連立させたり,式を変形することをねらいとしている。

さらに,この問題は,数量の関係や法則などを文字を用いた式や方程式に表して処理し,問題を

能率よく解決していく学習を進めることによって,代数的な処理に関する能力が次第に高められ,

それが他の領域の学習にも活用される。直接的には,発展的な内容として「連立三元一次方程式」,

第 学年における「二次方程式」の学習へとつながっていくものである。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 A 数と式 与えられた情報の中から必要な

()具体的な事象の中に数量の関 ものを適切に取り出し,連立二元

係を見いだし,それを文字を用 一次方程式に表して解を求めるこ ○

いて式に表現したり式の意味を とができる。

読み取ったりする能力を養うと

ともに,文字を用いた式の四則

(2) 計算ができるようにする。 二元一次方程式に表し,目的に

ウ 目的に応じて,簡単な式を 応じて変形したり,等式を成り立

変形すること。 たせる値の組を表に表したりし ○

()連立二元一次方程式について て,与えられた条件に合う解を求

理解し,それを用いて考察する めることができる。

ことができるようにする。

(3) ア 二元一次方程式とその解の 条件に合う解を求めることに,

意味を理解すること。 二元一次方程式を活用することが

ウ 簡単な連立二元一次方程式 できる。 ○ ○

を解くこと及びそれを具体的

な場面で活用すること。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 92 ―

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) まぐろ 皿,サーモン 皿 (考え方)

「まぐろ」の皿の数を 皿,

「サーモン」の皿の数を 皿とすると

(2) えび 皿,中とろ 皿 (考え方)

えび 皿,中とろ 皿 「えび」の皿の数を 皿,

えび 皿,中とろ 皿 「中とろ」の皿の数を 皿とすると

,ともに自然数でなければならないので,

が の倍数となる , の組み合わ

せを考えて,

(,)(,)

(,)(,)

(,)(,)

(別解)

上の式 を利用して,これを成

り立たせる ,の組み合わせを表にする。

(3) 【途中計算】 ・表現が違っても,意味があっていれば正

「えび」は 皿 円, 答とする。

「中とろ」は 皿 円だから,

①「えび」皿,「中とろ」皿の場合

②「えび」皿,「中とろ」皿の場合

③「えび」皿,「中とろ」皿の場合

という結果から,

「えび」皿,「中とろ」皿のとき,合計

金額がいちばん安い。

そのときの合計金額は,

えび 皿,中とろ 皿,合計金額 円

― 93 ―

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球のはね返りを考えよう

問 花子さんは初めてビリヤードをするので,太郎さんから球の打ち方を聞いています。

太郎さん:ビリヤードの球は台の壁にあ 花子さん:それじゃ,もし白球を打って壁

たってはね返るとき,あたる前 にあててから,黒球にあてたいときは

の角とあたった後の角がほぼ一 どこをねらって打てばいいの?

致しているんだよ。

太郎さん:白球と壁 について対称となる位置

に球があると考えるんだよ。その対称と

なる位置の球と黒球を直線で結び,直線

と壁 と交わっている点 に向かって

打てば黒球にあたるよ。

(1) 白球を点 に向かって打つと,なぜ黒球にあたるのかを花子さんは考えて太郎さんに説明

しました。花子さんの説明を完成させなさい。ただし,白球の位置を点 , と線分 につ

いて線対称の点を ,線分 と の交点を ,黒球の位置を点 とします。

花子さんの説明

∠ と∠ が等しくなることを示せばいいから,

△ と△ において

だから,白球を点 に向かって打つと黒球にあたる。

あたる あたった前の角 後の角

― 94 ―

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(2) 太郎さんは,白球を打つと長方形の台の つの壁にあたって元の位置に戻ってくることがあ

ることを花子さんに話しました。

太郎さん:対角線 上でないところに白球を

おいて,対角線 に平行に球を打つ

と ,,, とあたって元の場所に

戻ってくるよ。球の動いた後は平行四

辺形になるんだよ。

① 四角形 がなぜ平行四辺形になるかを花子さんは考えて,太郎さんに説明しました。

ア ~ カ にはあてはまる式を, キ には平行四辺形になるための条件を書き

なさい。

∠=∠とする。

∠ ,∠ を,∠ を使ってそれぞれ表

すと,

∠= ア ,∠= イ

これを利用して,∠ と∠ を,∠ を

使ってそれぞれ表すと,

∠= ウ ,∠= エ … ①

同様にして,∠=∠= ア

∠=∠= イ

これより,∠ ,∠ を∠ を使って表

すと,

∠= オ ,∠= カ … ②

①,②より∠=∠,∠=∠

よって, キ から

四角形 は平行四辺形となる。

ア イ ウ

エ オ カ

② = , = , = であるとき,平行四辺形 の周の長さを求めな

さい。

― 95 ―

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中学校 第2学年 B 図形 「球のはね返りを考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 学年で図形の対称性について学習している。

中学校では,第 学年で図形の作図や移動を取り扱うとともに,空間図形を直線や平面図形の運

動によって構成されているものととらえたり,平面上に表現したり読み取ったりしている。これら

の学習を通して,図形についての豊かな感覚をはぐくみ,図形についての理解を深めるとともに,

論理的に考察し表現する能力を培ってきている。

第 学年では,平面図形の角に関する性質を,平行線の性質を使って導き確かな根拠を基にして

筋道立てて考え説明することとともに,三角形の合同条件を使って,図形の性質を演繹的に確かめ,

論理的に考察し表現する能力を養うことがねらいである。また,操作や実験などの活動を通して,

その推論の過程を他者に伝わるように,分かりやすく表現することがねらいである。

この問題では,ビリヤードの球のはね返りについて,根拠を明らかにして筋道を立てて考えるこ

とをねらいとしている。最短距離の考え方を利用する部分は,第 学年で学習した内容を第 学年

の三角形の合同を利用して論理的に説明することを,また,球の軌跡である平行四辺形の周の長さ

は,二等辺三角形の性質や平行四辺形の性質を利用して解決することをねらいとしている。

さらに,この問題は,図形の性質に関する考察を通して,数学的な推論の必要性や意味及び方法

についての理解を深め,論理的に考察し表現する力を伸ばすとともに,第 学年における「図形の

相似」,「円の性質」や「三平方の定理」の学習へとつながるものである。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 B 図形 最短距離の問題のときに利用し

()図形の合同について理解し図 た対称移動の考え方を,二つの角

形についての見方を深めるとと が等しくなることに利用して証明 ○

もに,図形の性質を三角形の合 することができる。

同条件などを基にして確かめ,

論理的に考察し表現する能力を

(2)① 養う。 四角形が,平行四辺形になるこ

ア 平面図形の合同の意味及び とを文字を使って説明することが ○ ○

三角形の合同条件について理 できる。

解すること。

イ 証明の必要性と意味及びそ

(2)② の方法について理解すること。 平行四辺形の周の長さを求める

ウ 三角形の合同条件などを基 ために,二等辺三角形の性質や平

にして三角形や平行四辺形の 行四辺形の性質を利用することが

基本的な性質を論理的に確か できる。

めたり,図形の性質の証明を○ ○

読んで新たな性質を見いだし

たりすること。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 96 ―

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) (△ と△ において) ・表現が違っても内容が正しければ正答と

する。点,は線分について対称なので

… ①

共通な辺だから (参考)

… ② 「ゆえに」,「または」,「かつ」,「したが

線分 が線対称の軸だから って」,「一方」,「よって」などの言葉を

∠∠゜… ③ 使うことに慣れるようにし,漸次,推論

①,②,③より の過程を正確に,分かりやすく表現する

辺とその間の角がそれぞれ等しいので 能力を高めていく。

△ △

対応する角は等しいから

∠ ∠ … ④

また,対頂角は等しいから

∠ ∠ … ⑤

よって,④,⑤より

∠ ∠

(だから,白球を点 に向かって打つと

黒球にあたる。)

(2)① ア ∠ ・表現が違っても内容が正しければ正答と

イ -∠ する。

ウ - ∠

エ ∠

オ - ∠

カ ∠ ・キは,「 組の向かい合う角がそれぞれ等

キ 組の対角がそれぞれ等しい しい」も正答とする。

(2)② (考え方)

(2)より四角形 は平行四辺形であ

り,それぞれの辺が対角線と平行であるこ

とから,内側の つの四角形はすべて平行

四辺形である。

よって,

△ ,△ は,底角がそれぞれ等し

いので,二等辺三角形である。

よって,,

これらのことから,

同様にして

つまり,長方形の対角線の長さの 倍にな

る。

― 97 ―

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()

(分)

時間

図2

高さ

水そうの水について考えよう

問 図1のように,内側の高さが の直方体の水そうに,高さが の仕切りを垂直に入れ

ます。その仕切りによってできる,左側の部分を ,右側の部分を とし, の部分の底面積

は の部分の底面積の 倍です。また,この水そうの底面は棚の上の面から だけ下にあ

ります。この水そうの の部分の上には給水管 , の部分の上には給水管 があり,どちら

も 分間あたり同じ量で給水することができます。

ただし,仕切りの厚さは考えないものとします。

(1) 給水管 だけを使い,水そうが空の状態から満水になるまで給水しました。図2は, の

部分について,給水を始めてから 分後の,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さ

を とし,その関係を途中までグラフに表したものです。

棚の上の面

図1

― 98 ―

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① 給水を始めてから 分後の,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さを求めなさい。

② 分後から 分後のグラフは 軸に平行になっています。グラフのこの部分は水そうの

水がどういう状態を表しているのか書きなさい。

③ 分後から,この水そうが満水になるまでのグラフを図2にかき入れなさい。

(2) 給水管 , の つを同時に使い,水そうが空の状態から給水を始めます。このとき,

の部分で,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さが になるのは,給水を始めて

から何分何秒後か求めなさい。

分 秒後

― 99 ―

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中学校 第2学年 C 関数 「水そうの水について考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

ふれている。

中学校では,第 学年で具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べ,関数関係につい

て理解し,比例,反比例を関数としてとらえ直した。そこでは,変数と変域や座標について理解す

るとともに,比例,反比例の関係を表,式,グラフなどで表し,それらの特徴を理解し,比例,反

比例を用いて具体的な事象をとらえ説明することを学習している。

第 学年では,第 学年と同様に具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べることを

通して,一次関数について考察する。これらの学習を通して,関数関係を見いだし表現し考察する

能力を養うことがねらいである。

この問題では,中にしきりがある直方体の水そうに, 分間あたり同じ量で給水することを素材

とし,時間と水面までの高さの関係をとらえ,表現し考察することをねらいとしている。時間と水

面までの高さの関係をグラフから読み取り,数学的に解釈し説明したりグラフに表したり,また,

変化の割合など関数的な見方や考え方を用いて解決を図ることをねらいとしている。

さらに,この問題は,具体的な事象における二つの数量の変化や対応をグラフに表すことだけで

はなく,グラフから具体的な事象の変化の様子をとらえ説明する能力を養うともに,第 学年にお

ける「関数 」の学習へとつながるものである。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1)① 第 学年 C 関数 グラフが直線で傾き一定である

()具体的な事象の中から二つの ことから,基準面から水面までの ○

数量を取り出し,それらの変化 高さを求めることができる。

や対応を調べることを通して,

(1)② 一次関数について理解するとと 変化の様子をグラフから読み取

もに,関数関係を見いだし表現 り,水そうの水の状態を説明する ○

し考察する能力を養う。 ことができる。

ア 事象の中には一次関数とし

(1)③ てとらえられるものがあるこ 変化の様子を的確にとらえ,グ

とを知ること。 ラフをかくことができる。 ○

イ 一次関数について,表,式,

グラフを相互に関連付けて理

(2) 解すること。 水面までの高さについて,変化

エ 一次関数を用いて具体的な の様子を変化の割合に着目して立 ○ ○

事象をとらえ説明すること。 式し,解を求めることができる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 100 ―

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()

(分)

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1)① (考え方)

グラフから, 分間で 高くなってい

るから,分間で の割合で高くなる。

よって,

の高さから 高くなって

(1)② の部分に水が流れている状態 ・表現が違っても,意味があっていれば正

答とする。

(1)③ (考え方)

の部分が 分間で の高

さになったので,底面積が半分

である の部分は 分間で

の高さとなる。だから,

分後から水面はまた上昇する。

上昇する割合は,, の両方

の部分だから 分間で ,

つまり,分間で である。

この割合で,満水となる

までグラフをかく。

(他の考え方)

分後からは,仕切りがなかっ

たときと増え方が同じになるの

で,原点と(,)を結ぶ直

線を,高さ のところまで

延長する。

(2) 分 秒 (考え方)

の部分の底面積は,の部分の底面積の

半分だから,給水管 によって, の部分

の高さが になるのに要する時間は,

の部分の半分,つまり 分である。

分後からは,の部分からあふれた水が

の部分に入るので,給水管 と の分で水

面が上昇する。これは, 分間で の

倍だから,分間で である。

したがって, の高さから 分後の高さ

である をひいて 分間当たりの上

昇する量である で割り,給水管 だ

けから入っていた時間 分をたして求める。

{()}= (分)

― 101 ―

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すごろくのあがりを考えよう

問 太郎さんと次郎さんが,すごろくで遊んでいます。すごろくのルールは次のとおりです。

(1) ゴールまであと マスのところに太郎さんのコマがあるとき,太郎さんが 巡目であがる確

率を求めなさい。

(2) さいころを 回ずつ投げて,太郎さんは 巡目であがり 巡目でボーナス点をもらい,次郎

さんは 巡目であがるとき,太郎さんが勝つためには 巡目で何以上の目が出るといいか求め

なさい。

以上

ゴ ー ル

順位点(あがった順)

番目……… 点

番目……… 点

番目以降… 点

ボーナス点

出た目の数× 点

すごろくのルール

① さいころは 個使い, 交代で投げます。

② さいころの目の数がちょうどのときだけあがることができ,あがった順に順位点を

もらいます。

③ ゴールまでのマスの数より,さいころの目の数が大きい場合は,余った目の数の分

だけ後戻りします。

④ 先にあがった人は,全員があがるまで自分の順番でさいころを投げ,出た目の数に

応じてボーナス点をもらいます。

⑤ 順位点とボーナス点の合計で点数の多い順に勝ちとします。

― 102 ―

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(3) さいころの目が ,,の順に出るとあがるところに次郎さんのコマがあるとき,そのコマ

はゴールから何マス目の所にあるか,すべて求めなさい。

ゴールから マス目

(4) 花子さんが,途中からすごろくに参加することになり,太郎さんに「好きな場所に自分のコ

マを置いていいよ」と言われました。

巡目であがりたいと考えるとき,花子さんはゴールから何マス目の所に置くと,あがる確

率がもっとも高いですか。どのように考えて求めたのか説明も書きなさい。

ゴールから マス目

【説明】

― 103 ―

Page 34: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

中学校 第2学年 D 資料の活用 「すごろくのあがりを考えよう」

1 出題の趣旨

小学校では,第 学年で具体的な事柄について起こり得る場合を順序よく整理して調べることを

学習している。

中学校では,第 学年で相対度数は,全体(総度数)に対する部分(各階級の度数)の割合を示

す値で,各階級の頻度とみなされることを学習している。

第 学年では,これらの学習を受けて,不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して,

統計的確率と数学的確率の関係について理解する。また,確定した事象を表すのに用いられてきた

数が,さいころの目の出方など不確定な事象の起こりやすさの程度を表すためにも用いられること

を知り,確率を用いて不確定な事象をとらえ説明できるようにする。

この問題では,与えられた情報を分類整理し,その意味を理解した上で事象を数学的に考察する

ことをねらいの一つとしている。また,さいころを 回投げるときに起こり得る場合について,数

学的な表現を用いて順序よく整理し正しく数え上げることで確率を求めることなど,不確定な事象

に関する問題の解決に確率を根拠として説明し,数を用いて考えたり判断したりできることを理解

することをねらいとしている。

さらに,この問題は,第 学年における「標本調査」の学習へとつながるものである。また,高

等学校における「場合の数」や「確率」の学習へとつながるものであり,高等学校数学とのなだら

かな接続という観点から,その見方や考え方を育てる意味を含んでいる。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 D 資料の活用 さいころを 回投げたとき,

()不確定な事象についての観察 巡目であがる場合の数を正しく見○

や実験などの活動を通して,確 つけ,その確率を求めることがで

率について理解し,それを用い きる。

て考察し表現することができる

(2) ようにする。 勝敗のつけ方を理解し,勝つた

ア 確率の必要性と意味を理解 めには,何以上の目を出せばいい ○

し,簡単な場合について確率 のかを求めることができる。

を求めること。

(3) イ 確率を用いて不確定な事象 さいころを 回投げたとき,コ

をとらえ説明すること。 マの動く位置を正しく求めること ○

ができる。

(4) さいころを 回投げたとき,ど

の場所にコマを置くとあがる確率

がもっとも高いのか,数学的な表 ○

現を工夫して説明することができ

る。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 104 ―

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回 目 の 目 の 数

回 ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

目 ①③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧

の ②④ ①⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨

目 ③⑤ ②⑥ ①⑦ ⑧ ⑨ ⑩

の ④⑥ ③⑦ ②⑧ ①⑨ ⑩ ⑪

数 ⑤⑦ ④⑧ ③⑨ ②⑩ ①⑪ ⑫

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) (考え方) 巡目であがるときのさいころの目の出方

を,( 回目の目の数, 回目の目の数)で

表すと

(,),(,),(,),(,),(,)

(2) (考え方)

太郎さんの 回目に出るさいころの目の数

を とすると

太郎さんの得点は,(点)

次郎さんの得点は,(点)

≧ で,太郎さんの得点が次郎さんの得

点より多くなる。

(3) ,, (考え方)

回目にさいころを投げるときの位置を❶,

回目を②,回目を③と表すと

残り

ゴール○○③○○○○○②○○○○❶

ゴール○○③

○○○○❶②

ゴール○❶③②

(4) ゴールから マス目 (参考)

【説明】 ・マス目・・・通り

さいころを 回投げたとき,あがれる所を,(),(),(),(),()

ゴールからのコマ数が の場合①のように ・マス目・・・通り

表すと (),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),(),()

・マス目・・・通り

(),(),(),()

・ ~ マス目 通り ・マス目・・・通り

・ マス目 通り (),(),()

・ マス目 通り ・マス目・・・通り

・ マス目 通り (),()

・マス目 通り ・マス目・・・通り

・マス目 通り ()

・マス目 通り

よって,ゴールから マス目の所に置くと

あがる確率がもっとも高い。

― 105 ―

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碁石は何個ずつ増えていくのか考えよう

問 花子さんたちは,数学の時間に碁石を規則的に並べて,その増え方について考えました。

(1) 花子さんと太郎さんは,下の図のように, 個の碁石からスタートして,まわりを囲むよう

に碁石を並べ,何個ずつ増えていくのか考えました。

花子さん: 番目から 番目では 個,番目から 番目では 個,番目から 番目

では 個増えているわ。たぶん 番目から 番目では ア 個増えそう。

太郎さん: うん。増える碁石の個数は イ の倍数になりそうだね。

花子さん: どうして イ の倍数になるのかな。

太郎さん: 一緒に考えてみようよ。並べた碁石の形を正方形と考えると 番から 番目

まで,辺に並べた碁石の個数は,全部奇数になっているよね。

花子さん: 増える碁石の個数は,

番目から 番目だったら

番目から 番目だったら というように求められそう。

太郎さん: うん。()() とか,

()() というようにも考えられそうだね。

① ア , イ にあてはまる数を答えなさい。

ア 個 イ の倍数

② 太郎さんは, 辺に並べた碁石の個数が奇数となることから,増える碁石の個数を次のよ

うに表しました。 ウ に,あてはまる式を答えなさい。

を自然数として, 番目に並べた碁石の 辺の個数を 個と表すと, 番

目に並べた碁石の 辺の個数は ウ 個と表すことができる。

このとき,増える碁石の個数は,( ウ )() と表すことができる。

番目 番目 番目 番目 番目

― 106 ―

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③ 「増える碁石の個数は イ の倍数になりそうだね。」という太郎さんの予想が正しい

ことを,花子さんか太郎さんの考えを参考に,②の式を利用して説明しなさい。

【説明】

(2) 次郎さんは,下の図のように, 個の碁石からスタートして,まわりを囲むように碁石を並

べてみました。増える碁石の個数はどんな数になるか説明しなさい。

【説明】

番目 番目 番目 番目

― 107 ―

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中学校 第3学年 A 数と式 「碁石は何個ずつ増えていくのか考えよう」

1 出題の趣旨

中学校では,第 学年で事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり

式の意味を読み取ったりする能力を養うとともに,簡単な数式の加法・減法,単項式の乗法・除法

の計算を学習している。また,数量や数量の関係をとらえ説明するのに文字を用いた式が活用でき

ることや,目的に応じて簡単な式を変形することを学習している。

第 学年では,これらの学習の上に立って,単項式と多項式の乗法,多項式を単項式で割る除法

及び簡単な一次式の乗法の計算ができるようにする。また,公式を用いる簡単な式の展開と因数分

解を取り扱い,これによって,目的に応じて式を変形したり,その意味を読み取ったりする能力を

伸ばすことがねらいである。

この問題では,数の性質が成り立つことを文字式を用いて表現する能力と,乗法公式や因数分解

の公式を利用して変形し,その意味を読み取る能力を身に付けることをねらいとしている。また,

条件に応じた形に式を変形し数学的な表現を用いることで,数量の意味をとらえ,根拠を明らかに

し筋道立てて相手に分かりやすく説明できるようにすることをねらいとしている。

さらに,この問題は,高等学校における「式の展開と因数分解」,「式と証明」や「高次方程式」

へとつながるものであり,高等学校数学とのなだらかな接続という観点から,その見方や考え方を

育てる意味を含んでいる。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1)① 第 学年 A 数と式 規則的に増える碁石の個数や,

()文字を用いた簡単な多項式に その数が何の倍数になるかを予想 ○

ついて,式の展開や因数分解が することができる。

できるようにするとともに,目

(1)② 的に応じて式を変形したりその 碁石の個数が奇数であるとき,

意味を読み取ったりする能力を それを文字を用いて表すことがで ○

伸ばす。 きる。

イ 簡単な一次式の乗法の計算

(1)③ 及び次の公式を用いる簡単な 問題の内容を文字を用いた式で

式の展開や因数分解をするこ 表し,展開や因数分解を使って計○ ○

と。(公式省略) 算し,その意味を読み取ることが

ウ 文字を用いた式で数量及び できる。

数量の関係をとらえ説明する

(2) こと。 辺に並べた碁石の個数が偶数

の場合について考察することがで ○ ○

きる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 108 ―

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3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1)① ア

(1)② ウ

(1)③ ()() (別解)

()() ()()

{()()}{()()}

よって の倍数になる。

よって の倍数になる。

(2) を整数として,小さいほうの偶数を ・の倍数に をたした数,つの偶数の間

と表す。 にある奇数の 倍,つの偶数の和を 倍

()() した数など,式変形と表現があっていれ

() ば正答とする。

(別解)

() ()()

よって の倍数になる。 …

よって の倍数に をたした数になる。

(別解)

()()

()

よって つの偶数の間にある奇数の 倍に

なる。

(別解)

()()

{()}{()}

{()}

よって,つの偶数の和を 倍した数にな

る。

― 109 ―

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水がたくさん入るのはどちらか考えよう

問 花子さんと太郎さんは,次の問題を考えています。

下の図のような つの容器があります。容器 は底面の直径が ,母線が の円錐すい

で,容器 は底面の 辺が ,母線が の正四角錐です。容器 と容器 では,ど

ちらに水がたくさん入るでしょうか。

容器 容器

※母線とは,側面を構成する線のこと(上の つの図であれば の長さの部分)

この問題を解くために,花子さんと太郎さんは次のように考えました。

花子さんの考え

つの容器の体積をくらべるために,容器の底面に着目しました。

容器 の円錐の底面は直径が の円で,容器 の正四角錐

の底面は 辺が の正方形です。だから,底面だけをくらべる

と,の円と の正方形は右の図のようになります。

つの立体の母線の長さは同じなので,高さも同じになります。

だから,底面積が大きい容器 のほうが体積は大きくなります。

太郎さんの考え

考えやすいように,まず容器 を逆さにして,見取図をかきま

した。

容器 の円錐は,底面の円の半径が ア ,

母線が なので,高さは イ になります。

次に,容器 の正四角錐について,同じように見取図をかいて,

高さを求めてみればいいと思います。

(1) 太郎さんの考えの, ア , イ の長さを答えなさい。

ア イ

― 110 ―

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(2) 太郎さんは,容器 の正四角錐について,同じように見取図をかいて,高さを求めてみれ

ばいいと考えています。

① 容器 の正四角錐の見取図をかきなさい。また,その正四角錐の見取図に高さを実線で

かき入れなさい。

見取図 と 高さ

② 容器 の正四角錐の高さを求めなさい。

(3) 容器 と容器 では,どちらがどれだけ大きいのか答えなさい。

が だけ大きい

(4) 花子さんは,太郎さんの考えをきいて自分の考えがまちがっていたと思いました。何がまち

がっていたのか説明しなさい。

【説明】

― 111 ―

Page 42: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

中学校 第3学年 B 図形 「水がたくさん入るのはどちらか考えよう」

1 出題の趣旨

中学校では,第 学年で「空間図形」,「立体の体積と表面積」,「見取図」を学んでいる。

第 学年では,「三平方の定理」について学び,代数的処理も施すため「平方根」とも関連する。

また,その利用において,第 学年で習った図形の性質に加え,平面図形や空間図形の求積など,

中学校で学習してきたさまざまな内容と関連している。

この問題では,これらの知識を総合的に利用して,母線の長さが等しく,円の直径と底面の正方

形の 辺が等しい円錐と正四角錐の体積を比較する。見取図をかき,三平方の定理を利用して立体

の高さを出し,体積を求めることをねらいとしている。また,三平方の定理を用いて長さや体積を

求めるだけではなく,二つの立体の体積の大きさを比較する際に,πや根号を含んだ数の大きさに

ついて考察するなど,数学的な見方や考え方をはぐくむことをねらいとしている。

さらに,この問題は,高等学校における「三角比」,「図形の計量」の学習へとつながるもので

あり,高等学校数学とのなだらかな接続という観点から,その見方や考え方を育てる意味を含んで

いる。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 B 図形 三平方の定理を利用して,円錐○

()観察,操作や実験などの活動 の高さを求めることができる。○

を通して,三平方の定理を見い

(2)① だして理解し,それを用いて考 正四角錐の見取図をかき,その

察することができるようにする。図に高さをかき入れることができ ○ ○

イ 三平方の定理を具体的な場 る。

面で活用すること。

(2)② 三平方の定理を利用して,正四

角錐の高さを求めることができ ○ ○

る。

(3) 三平方の定理を利用して求めた

高さを使って,立体の体積を求め

ることができる。 ○ ○

πや根号を含んだ数の大きさを

見積もることができる。

(4) 円錐と正四角錐の母線の長さが

同じでも,高さが同じになるとは ○ ○

限らないことを指摘できる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 112 ―

Page 43: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) ア (考え方)

イ ・底面の半径が ,母線が 。

高さを とすると

> だから

(2)① 見取図と高さ ・高さの図示は,垂直の記号を記入してい

るか,対角線の交点と結んでいるかどち

らかがあれば正答とする。

(2)② (考え方)

高さを とすると

( )

>だから

(3) 容器 (が) (考え方)

( だけ大きい) 容器 の体積は

容器 の体積は

(4) ・容器 と容器 の母線の長さが同じで ・同様の内容が書かれてあれば正答とする。

あれば,高さが同じということ。

・母線の長さが同じとき,底面積が大きい

ほうが,体積が大きいということ。

― 113 ―

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標準体重を求めよう (計算機使用可)

問 花子さんは保健体育の授業で,標準体重の求め方を習いました。

標準体重の求め方は次のとおりです。

○標準体重の求め方

標準体重()=身長()×身長()×

※ とは体格指数( )のことである

・の判定基準

普通体重:が 以上 未満

・の標準

が のとき

※統計的にもっとも病気にかかりにくいとされている

(1) 身長 の花子さんが「普通体重」と判定されるのは,体重が何 以上何 未満の

ときですか。小数第 位を四捨五入して答えなさい。

以上 未満

(2) この求め方を習ったことで,花子さんはお父さんの最近の体重が気になり始め,友達の陽子

さんのお父さんの例も出して次のように話し,ダイエットするようにお願いしました。 ①

と ② に入る適切な数字をア~ウの中からそれぞれ つずつ選びなさい。

<花子さんのお父さん> <陽子さんのお父さん>

身長 身長

体重 体重

花子さん: お父さんの最近の体重なら, を標準の とすると,身長が約 ①

なければならないんだよ。このままだと,お父さんの体が心配だから,

せめて を陽子さんのお父さんぐらいにしてよ。

お父さん: そうだな,最近気になっていたんだ。じゃあ,何 減らせばいいんだ?

花子さん: 約 ② だよ。

お父さん: よし,じゃあ,がんばってみるか。

① ア イ ウ

② ア イ ウ

① ②

― 114 ―

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(3) 身長 の花子さんは,現在 が標準の です。が標準の のままで,花子

さんの将来の理想身長である まで伸びたらいいなと考えています。

① 身長 あたりの体重の増加量が約何 になるかを次のように計算してみました。

ア ~ カ にあてはまる整数を書きなさい。

現在の体重を,身長 ,を使って計算し直すと ア 。

将来の理想体重を,身長 ,を使って計算すると イ 。

よって,体重の増加量は ウ 。

また,身長の増加量は エ 。

だから,身長 あたりの体重の増加量は オ 。

つまり,身長 あたりの体重の増加量は約 カ である。

ア イ ウ

エ オ カ

② 花子さんは試しに, が標準の のままで身長が まで伸びるとしたら,身長

あたりの体重の増加量は約何 になるかも計算してみました。すると, まで伸

びるときの身長 あたりの体重の増加量と違う値が出てきて,とても不思議に感じまし

た。

種類の身長の増加量に対して,身長 あたりの体重の増加量に違いが見られた理由

を,身長を ,体重を として,関数 の性質をもとに説明しなさい。

【説明】

― 115 ―

Page 46: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

中学校 第3学年 C 関数 「標準体重を求めよう」

1 出題の趣旨

中学校では,第 学年で比例,反比例を取り扱い,第 学年で一次関数を取り扱っている。

第 学年では,第 , 学年と同様に,具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べる

ことを通して,関数 について考察する。その際,表,式,グラフを相互に関連付けながら,

変化の割合やグラフの特徴など関数の理解を一層深め,これらの学習を通して,関数関係を見いだ

し表現し考察する能力を伸ばすことがねらいである。

この問題では,身近な素材である身長()と標準体重()の二つの数量に対して,標準体重()

が身長()の 乗に比例する関数であることに気付き,その考え方を活用することをねらいとして

いる。また,身長の伸びの区間の違いにより,身長 あたりの体重の増加量に違いが出ること

を,変化の割合の違いによることからと,関数的に判断し,根拠を明らかにし説明できることをね

らいとしている。

さらに,この問題は,高等学校における「二次関数」の学習へつながるものであり,関数

を一般的な二次関数 へと理解をつなげ,高等学校で学習する関数概念の基礎となる

ものである。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 C 関数 与えられた式に,身長の値を代

()具体的な事象の中から二つの 入して,普通体重の範囲を求める ○

数量を取り出し,それらの変化 ことができる。

や対応を調べることを通して,

(2) 関数 について理解すると 与えられた式にある身長と標準

ともに,関数関係を見いだし表 体重の二つの数量が「 が の

現し考察する能力を伸ばす。 乗に比例する関数」であることに ○

ア 事象の中には関数 と 気付き,それを利用して値を求め

してとらえられるものがある ることができる。

ことを知ること。

(3)① ウ 関数 を用いて具体的 変化の割合の求め方を利用し○

な事象をとらえ説明すること。て,値を求めることができる。

(3)② 関数 の変化の割合の特

徴を基にして説明することができ ○ ○

る。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 116 ―

Page 47: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) 以上 未満 (考え方)

(2) ① ウ ① (考え方)

② ア 身長を とすると,

よって

② (考え方)

陽子さんのお父さんの 値を

とすると

花子さんのお父さんの目標とする体重は

よって

(3)① ア (考え方)

イ ア

ウ イ

エ ウ

オ エ

カ オ

(3)② 関数 は変化の割合が一定でないた ・標準体重が身長の 乗に比例する関数で

め。 あり,変化の割合が一定でないことに触

れていれば正答とする。

(参考)

関数 = で変化の割合を比較すると

変化の割合

変化の割合

※計算をする際には,計算機を使用してもよい。

― 117 ―

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人出を調べてみよう

問 花子さんは毎年,地元弘前のねぷた祭りを楽しみにして

おり,今年も友達の陽子さんと一緒に見に行きました。

今年のねぷた祭りを見ながら,花子さんは沿道にいる人

の多さに驚き,どれぐらいの人が来ているのか興味をもち

ました。

(1) 花子さんは,どのようにしてこの人数を数えているのだろうという疑問がわいてきました。

そこで,次のア,イ,ウを材料にして自分の考えを使って午後 時の時点の,沿道で祭りを見

物している人出を調べてみました。

花子さんの考えを使うと,人出は何人であると考えられるか求めなさい。

【材料】

ア 沿道の幅 にはおよそ 人の見物人がいる。(自力調査)

イ 沿道の両側に見物人がいる。

ウ ねぷたを運行する沿道の距離はおよそ である。(インターネットを活用)

【花子さんの考え】

(人出)=(幅 あたりの人数)× ×(ねぷたを運行する沿道の距離)沿道の両側

― 118 ―

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(2) 花子さんは次の日,前日の人出をインターネットで確認してみたら,祭り参加者等も含めて

約 万人だとわかりました。すると,弘前市以外から見に来てくれる人がどれぐらいいるの

か興味をもちました。もう一度陽子さんにお願いし,別の日に一緒に調べてみました。調査結

果は次のとおりです。

【花子さんの調査結果】 【陽子さんの調査結果】

< 人中の人数> < 人中の人数>

弘前市 ・・・・・・・・・ 人 弘前市 ・・・・・・・・・ 人

弘前市以外の青森県内 ・・ 人 弘前市以外の青森県内 ・・ 人

青森県外 ・・・・・・・・ 人 青森県外 ・・・・・・・・ 人

花子さんと陽子さんは,この日の人出も 万人と考え,調査結果を利用して人数を推測し

てみました。

① 花子さんの調査結果をもとに,弘前市以外の人数を推測しなさい。

② 陽子さんの調査結果をもとに,青森県外の人数を推測しなさい。

③ 花子さんは,自分の調査結果をもとに推測した青森県外の人数 人と,陽子さんの調

査結果をもとに推測した青森県外の人数の違いに疑問をもち,より正確な値になるように計

算し直しました。

花子さんは,どのようにしてより正確な値になるように考えたのか書きなさい。また,花

子さんが計算し直した青森県外の人数を推測しなさい。

【考え】

― 119 ―

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中学校 第3学年 D 資料の活用 「人出を調べてみよう」

1 出題の趣旨

中学校では,第 学年ですべての資料がそろえられることを前提にヒストグラムや代表値を用い

て資料の傾向を読み取ることを学習している。また,第 学年で多数回の試行を行って資料を集め

ることにより,不確定な事象の起こりやすさに一定の傾向があることを観察や実験などの活動を通

して,統計的確率と数学的確率について学習している。

それらを受けて,第 学年では,標本調査の必要性や,母集団の一部分を標本として抽出する方

法,標本の傾向を調べることで母集団の傾向が読み取れることを,簡単な場合について標本調査を

行うことで理解できるようにすることがねらいである。

この問題では,身近な地元の祭りを通して全体を把握することが困難な人出を知るために,実際

に調査できそうな方法を考察することをねらいとしている。また,同じ祭りでも,別の観点から目

的に応じた標本調査を行い,その傾向から全体を把握したり,その求め方の妥当性について考察す

ることをねらいとしている。

さらに,この問題は,高等学校における「確率分布と統計的な推測」の学習へとつながっていく

ものであり,正規分布を用いて,より理解を深めるための基礎となる内容である。

[四つの観点との対応]

物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

こと したりすること りすること

○ ○ ○

2 各問題の趣旨

評価の観点

学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

領域・内容

(1) 第 学年 D 資料の活用 与えられた情報から,人出を求○

()コンピュータを用いたりする めることができる。

などして,母集団から標本を取

(2)① り出し,標本の傾向を調べるこ 調べた標本から母集団の傾向を○

とで,母集団の傾向が読み取れ とらえ,母集団の値を推測するこ

ることを理解できるようにする。とができる。

(2)② ア 標本調査の必要性と意味を○

理解すること。

イ 簡単な場合について標本調

(2)③ 査を行い,母集団の傾向をと 母集団の値を推測する方法が妥

らえ説明すること。 当かどうか考察し,より正確な値

になるように考え方を記述すると ○ ○

ともに,その値を求めることがで

きる。

数学的な見方や考え

方数学的な技能

数量や図形などにつ

いての知識・理解

― 120 ―

Page 51: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

3 正答と解説

問題番号 正 答 (例) 解 説

(1) 人 (考え方)

(2)① 人 (考え方)

(2)② 人 (考え方)

(2)③ 【考え】 ・表現は違っていても,意味があっていれ

陽子さんの調査結果だけであれば 人 ば正答とする。

あたり 人となるが, 人分の調査結果

から,つまり 人あたり 人として

人数を計算したほうが,より正確に求め

られる。

(考え方)

― 121 ―

Page 52: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

問 正方形のマスの中に異なる数を つずつ入れて,縦,横,斜めに並んだ数の和をどれも同じにする遊びを魔方陣といいます。

右の図のような,縦,横がそれぞれ つの正方形のマスの中に,から までの 個の整数を つずつ入れて,魔方陣を完成させなさい。

魔方陣の規則を考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「正の数・負の数」

・正の数と負の数の必要性と意味・正の数と負の数の四則計算の意味・正の数と負の数の四則計算・正の数と負の数を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① 各行,各列それぞれの合計を求める。・手始めに,機械的に左上から小さい順に数を入れ, 行(ア,イ,

ウ,エ),列(A,B,C,D)それぞれの整数の和を求める。()正負の数の和を正しく計算できる。()和を求める場合,工夫して計算することができる。

② 4つの行の差を小さくすることを考える。

③ どの数とどの数を入れ替えるのか,説明する。・ア~エの 行とA~Dの 列の合計を求める。行の中で合計の差が大きい つはどれだろう。→アとエ列の中で合計の差が大きい つはどれだろう。→AとD

・エの大きい数とアの小さい数を入れ替え と・Dの大きい数とAの小さい数を入れ替え

・アの大きい数とエの小さい数を入れ替えと

・Aの大きい数とDの小さい数を入れ替え

・隣り合っている縦どうし,横どうし入れ替えても合計が変わらない。・では,つの斜めの和はいくつだろう?→ であることに気づく。・中 つの数に注目し,対角線方向で入れ替える。・ つの行イ,ウと つの列B,Cの数の合計がすべて になること

から中 つの数を入れ替えると完成することがわかる。・入れ替えた理由を説明できる。

④ 解決の方法を振り返り,別のデータに適用する。<発展問題>

留 意 点

・順を追って,考えた過程を説明する活動(書く,話す)を充実させることが大切である。・日常の事象から情報を取り出し,それをより適切な方法で表現し,自力解決を図ったり他者に説明

したりすることが大切である。・規則性のある数が並んでいる場合,計算の方法を工夫させることにも留意する。

差の大きいものはアとエ,AとDでこれらの数の差を小さくするために,それぞれ大きい数と小さい数を入れ替えるとよさそうです。

合計の差を小さくするためには,何と何を入れ替えるといいだろうか。

端の行(ア,エ)と列(A,D)から考えて、中の行(イ,ウ)と列(B,C)の合計を合わせていくといいのでは。

これらの差を小さくするためには…

なぜそう考えたかをまとめてみよう。

A B C D

A B C D

A B C D

問 以上の考えをもとに, の整数の魔方陣を完成させなさい。

― 122 ―

Page 53: 算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 · 式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

問 太郎さんと花子さんはアイスクリームを買いに行き,半球のアイスをつのせた「ダブル」を注文しました。

太郎さん: もしこのアイスがすべて溶けたとしたら,溶けたアイスはコーンからあふれてしまうのかな。

花子さん: うーん,そうね。わたしはあふれると思うわ。太郎さん: 体積を求めるしか,方法はないのかな。花子さん: そんなことはないわよ。

体積を求めるために店のパンフレットを見ながらアイスクリームのサイズを確認しました。アイスの部分を半球が つとみなしてその半径は ,コーンの部分を円錐とみなしてその底面の半径は で高さは でした。このアイスがすべて溶けたとき,コーンからあふれるかあふれないか考えましょう。※ ただし,アイスは溶けても体積は変わらない,コーンにしみこまないものとします。

溶けたアイスがあふれないか考えよう問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「空間図形」

・直線や平面の位置関係・空間図形の構成と平面上の表現・基本的な図形の計量 【本問題例】

授業アイディア例

① 課題を確認し,解決方法を考える。○これまでの学習内容で,この問題の解決に利用できるものはないか考えてみよう。

② 見通しに基づいて自力解決を図る。○これまでの学習内容の何を使うかを明らかにして,自力で考えてみよう。・ア 実際の体積を求める

(アイスの部分の体積)( )

(コーンの部分の体積)()

アイスの部分が 大きいので,コーンからあふれる。・イ 公式を用いて比較する

(アイスの部分の体積)

(コーンの部分の体積)

アイスの部分の体積が大きいので,コーンからあふれる。・ウ 円錐,球,円柱の体積の関係に注目する

③ 根拠を明らかにして,説明する。○考えた過程やこれまでの学習の何を使ったのか,理由を明らかにして説明しよう。

留 意 点

・数学を活用して日常の事象の問題の解決を図る際,根拠を明確にし,解決の過程や方法を口述したり記述したりして説明する活動を大切にしたい。

・異なる二つの立体の体積をいろいろな方法で比較できるようにするためには,公式だけでなく,立体の体積の関係を実感を伴って理解できるよう,数学的活動を充実させることが大切である。

円錐の底面の半径をrとす

ると,高さは3倍なので3

rである。

アイスは半球2つで球になり,コーンは円錐だから、公式で体積を求めて比較できるのでは…。

この前の実験で,円錐の底面の半径が同じであるとき,高さが2倍になると体積は2倍,高さが3倍になると体積も3倍になり,体積は高さに比例したなあ。

直径=高さ=6㎝の円錐,球,円柱の体積を比べる実験で,水が満杯の状態で立体を沈めたとき流れ出た水の量を重さで比べたら,(円錐):(球):(円柱)=1:2:3だったなあ。

直径6㎝の球の体積は,直径=高さ=6㎝の円錐の体積の2倍である。つまり,直径6㎝,高さ12㎝の

円錐の体積と同じである。だから,溶けたアイスはコーンからあふれる。

― 123 ―

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問 太郎さんの家族は,午前 時に自家用車で,盛岡を通って仙台まで旅行しました。時速 で進み,途中の盛岡で 分休憩しました。また,次郎さんの家族は,午前 時 分に自家用車で,時速 で進みました。自宅から盛岡までの道のりを ,盛岡から仙台までの道のりを とします。このとき,次郎さんの家族を乗せた自家用車は,太郎さん家族を乗せた自家用車よりも先に仙台に到着できますか。

時刻 太郎() 次郎() 差

問 太郎さんは,自宅から仙台まで時速 で進む計画(計画ア)と,自宅から盛岡までを時速 で,盛岡から仙台までを時速 で進む計画(計画イ)を立てて,速さの違いが同じだからかかる時間は同じだろうと考えました。この考えが正しいかどうか, に出発したとして,車の速さとかかる時間について調べてみましょう。

時速 時間

ポイント③【ゆさぶり】速さの違いが,同じであるにもか

かわらず,異なるのはなぜかゆさぶりをかけて,その理由を考えさせる。

()

(時)

速さの違いとかかる時間を考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「比例,反比例」

・関数関係の意味・比例,反比例の意味・座標の意味・比例,反比例の表,式,グラフ・比例,反比例を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① この場面について,2つの数量(時間と道のり)の関係を関数としてとらえる。○時間の経過に伴って,台の自家用車の間の距離がどのように変化するだろうか。・時間と進む道のりの関係を表に整理してみよう。

② 考えやすいようにグラフに表して説明する。・時間と進む道のりの関係をグラフに表す。

仙台

盛岡

自宅

③ 2つの数量(時間と道のり)の関係を関数としてとらえる。 (時間)

○実際にかかる時間をくらべてみよう。・かかる時間を式により求める。

計画ア:÷ = 時間計画イ:÷ + ÷

= 時間 分④ これらの関係(速さと時間)をグラフに表し,場面をとらえる。

○速さの違いが同じであっても時間のかかり方が違うのはなぜだろうか。・速さと時間の関係を表に整理してみよう。

⑤ 反比例の関係(速さと時間)からグラフを用いて説明する。(400kmの道のりを速さを変えて進むときのかかる時間)

・時速 →時速 まで減速 - = 時間(時間 分) (時)

・時速 →時速 に加速 - = 時間

留 意 点・同じ事象(速さと時間と道のり)の中であっても,見方をかえることにより,比例,反比例ととら

えることができることについて触れ,比例と反比例の関係をとらえることができる。・日常の事象について,速さの違いが同じであっても,かかる時間は異なることについて,グラフを

用いて説明することができる。・時間と道のりの関係について,直線のグラフから場面をイメージし,グラフの交点やグラフが水平

になることの意味を読み取ることができる。

ポイント①【数学を用いて考察する】追いつくとは,

・出発地点からの距離が等しいこと・距離の違いが になること

【太郎さんの考え】自宅~盛岡の間は,時速80㎞→時速60㎞まで減速して進んだから,その遅れた分を取り戻そうとして,盛岡~仙台の間は,時速80㎞→時速100㎞に加速して進めば,結果的に同じではないのかな?

ポイント②【グラフの表現と場面の読み取り】

グラフ上では,速さの違いは,直線の傾きで表され,また,グラフ上の水平部分は,休憩を表している。

追いつくとは,グラフの交点を見ればよいことについて指摘させることが重要。

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ランドルト環の中にある規則を見つけよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「比例,反比例」

・関数関係の意味

・比例,反比例の意味

・座標の意味

・比例,反比例の表,式,グラフ

・比例,反比例を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① 2つの数量の関係を調べる方法を考える。○「切れ目の幅」と「全体の直径」の関係,「切れ目の幅」と「視力」の関係を調べてみよう。

② 2つの数量の関係が比例,反比例であることを理解し,表,グラフ,式を用いて説明する。

○ つの数量の関係を示し,なぜそういえるのか説明してみよう。

③ 日常生活に数学を利用することのよさを実感する。○視力 のランドルト環を実際にかいてみよう。また,このランドルト環を使って,視力が

の人がどれくらい離れた所からこれを見分けることができるのか求めてみよう。

距離と視力の関係(視力0.5のランドルト環)

距 離() …

視 力 …

留 意 点・具体的な事象における二つの数量の関係をとらえる方法を選択し,どのような関数かを判断し説明

する際,判断の根拠や解法を他者に説明することができるようにすることが大切である。また,中学校数学では,関数関係の考察における文字を用いた式の有用性について理解させたい。

・日常生活におけるできごとを自ら数学と結び付けて考察したり処理したりする活動を通して,数学を利用することの意義を実感できるようにすることが大切である。また,そのような活動を通して,既習の知識及び技能,数学的な見方や考え方などのよさを実感させることが大切である。

問 ランドルト環は,視力を判定するためにつくられた図形

です。太郎さんは視力検査の後,ランドルト環に興味をも

ち,サイズを調べてその結果を表にまとめてみました。

ランドルト環のサイズはどうやって決めているのか考え

てみましょう。

視 力 …

全体の直径(㎜) …

太 さ(㎜) ? …

切れ目の幅(㎜) ? …

全体の直径

太さ

切れ目の幅

どんな方法で調べ

たらよいですか。

グラフに表してみます。

どんな対応をしているか縦方向の関係を調べてみます。

どんな変化をしているか横方向の関係を調べてみます。

2つの数量の関係を式に表せないかな?

「切れ目の幅」と「全体の直径」について

・グラフに表してみると…

・「全体の直径」を「切れ目の幅」で割ると…

・「切れ目の幅」が1/2,1/3になると,「全体の直径」が…

・「切れ目の幅」を,「全体の直径」をとすると…

「切れ目の幅」と「視力」について

・グラフに表してみると…

・「視力」と「切れ目の幅」をかけると…

・「切れ目の幅」が2倍,3倍になると,「視力」が…

・「切れ目の幅」を ,「視力」を とすると…

距離が2倍,3倍になると,視

力も2倍,3倍になっているので,

距離と視力は比例の関係です。距離をxm,視力をyとすると,

y= 0.1xと表せるので比例の関係です。 どれくらいの距離から見えるか測定すれ

ば,自分の視力も求められそうだ。

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問 家族で回転寿司を食べに行きました。次の条件のとき,何皿食べたか求めてみよう。

() 「いくら」皿と「うに」皿と,「まぐろ」と「サーモン」をそれぞれ何皿かを食べて,合計 皿で,合計金額は 円。

() 「まぐろ」皿と「あわび」皿と,「えび」と「中とろ」をそれぞれ 皿以上食べて,全摂取カロリーは 。

80x+120y=680だから,xに1から順に代入して,yも自然数になるときの組み合わせを調べればいい。

式を2x+3y=17に変形してから代入して調べればいい。

2x+3y=17をyについて解いて,y=(17-2x)/3にすると考えやすくならないかな。

x,yの値を表にするとわかりやすくないかな。

回転寿司を何皿食べたのか考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「連立二元一次方程式」

・二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味・連立方程式とその解の意味・連立方程式を解くことと活用すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 「まぐろ」と「サーモン」に関する数量を問題場面から取り出す。○「まぐろ」と「サーモン」は合わせて何皿かな。そのときの合計金額はいくらだろう?・「まぐろ」と「サーモン」を合わせると 皿・「まぐろ」と「サーモン」の合計金額は 円

② 「まぐろ」と「サーモン」の皿の枚数の求め方を考える。○どのようにして求めればいいだろう。

○どの方法が便利なのか考えてみよう。③ 二元一次方程式に表し変形することで,問題場面から離れて簡単な数値で考察できることに

気付かせる。○カロリーが になるように,「えび」を 皿,「中とろ」を 皿として,方程式を

つくってみよう。・ ⇒ (⇒ )○ ,の値は,どのようにして求めればいいだろう?

○自分で考えた方法で ,の値を求めてみよう。○どのように考えて求めたのか発表してみよう。

④ 上で求めたx,yの組み合わせから,もっとも安くなる場合を考える。○上の つの組み合わせの中で,合計金額がいちばん安くなるときの「えび」「中とろ」の皿

の枚数を求めよう。また,そのときの合計金額を求めよう。

留 意 点・連立方程式をつくって求めるだけではなく,連立方程式や二元一次方程式を利用して考えることの

よさや有用性について理解させたい。・単に「 について解きなさい」というような形式的な等式変形ではなく,等式を変形することの目

的や必要性,変形して考えることのよさについて理解させたい。

ま ぐ ろ(皿) …

サーモン(皿)

合計金額(円)

皿の枚数と合計金額の関係を表にして求めます。

2つの数量を求めるんだから,連立方程式をつくればいいと思います。

一次方程式でも求められると思います。

「まぐろを」x皿とすると,「サーモン」は(9-x)皿。合計金額が980円になることから…

「まぐろ」をx皿,「サーモン」をy皿とすると,皿の枚数の関係から…合計金額の関係から…

表を見ると,「まぐろ」が1皿増えるごとに金額が20円安くなってるね。このことから考えられないかな?

二元一次方程式をつくって式を変形することによって,簡単な数値で考えることができるね!

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問 ビリヤードの球は台の壁にあたってはね返るとき,あたる前の角とあたった後の角がほぼ一致しています。

このことを用いて,もし白球を打って壁 にあててから,黒球にあてたいときはどこをねらって打てばいいのか,説明しなさい。

問 対角線 上でないところに白球をおいて,対角線 に平行に球を打つと ,,, とあたって元の場所に戻ってきます。球の動いた後は平行四辺形になります。このことを証明しよう。

球のはね返りを考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「図形の合同」

・平面図形の合同と三角形の合同条件・証明の必要性と意味及びその方法・三角形や平行四辺形の基本的な性質 【本問題例】

授業アイディア例

① 1年時に学習した「図形の対称」をいかして,BC上であてる点をさがす。

・線対称な図形の性質を用いて考える。

② 合同になりそうな2つの三角形をさがし,三角形の合同条件を用いて証明する。

・合同になりそうな つの三角形を見つける。・三角形の合同条件を用いて,対応する角が等しい(∠∠)こ

とを証明する。・仮定(わかっていること)を整理する。・合同条件を正しく用いて証明する。

③ まだ,証明が終了せず,あと何が必要かを考える。・対頂角の性質から等しい つの角をさがす。

④ 解決の方法を振り返り,別の証明問題に適用する。<コース別学習()~()を設定し,生徒に選択させて行う>あたる前の角とあたった後の角が等しいことを用いて,の壁にあてる場合の証明四角形 が平行四辺形になることの証明

・∠∠とする。∠,∠を,∠を使ってそれぞれ表す。→∠,∠,同様に∠,∠ も∠を使ってそれぞれ表す。・平行四辺形になるための条件を用いて証明する。・直角三角形の性質を用いてどの角が等しくなるか調べる。,, であるとき,平行四辺形

の周の長さを求めなさい。

留 意 点・考えた根拠を明らかにして説明し伝え合う活動を通して,推論の過程を自分の言葉で他者にわかり

やすく表現させることが大切である。・「また」,「ゆえに」,「または」,「かつ」,「したがって」,「一方」,「よって」などの言葉や用語,記

号を使うことに慣れさせることが大切である。・数学の用語を正しく用いて説明できるように留意する。(垂線,垂直,対頂角,平行線の錯角・同

位角などの用語)

平行四辺形の性質をいかして,対角線上に置き換えて考えるといいかも。

A=B,B=CならばA=C がいえるよね

△ASL,△PCNは何三角形になるんだろう?

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水そうの水について考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「一次関数」

・事象と一次関数・一次関数の表,式,グラフ・二元一次方程式と関数・一次関数を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

図1

① 事象を数学的に表現し,数量関係を考える。

○給水管 だけで考えてみよう。・図2のグラフからどのようなことを読み取ることができ

図2

ますか。 … … … □

・何分で満水になるのかな。図2のグラフを完成させましょう。 … … …

② 事象を解釈し,説明する。 ・表やグラフにすると考えやすいよ。

○給水管 ,を同時に使った場合を考えてみよう。 ・12分後の1分当たりの高さの変化は?

・が満水になるのは何分後かな?・その後 が満水になるのは? … … … □

・ が 以上のときの水面の上昇は,どのようになる … … …

か説明しましょう。 ・4分後にBが満水。Aに流れ込むよ。

③ 他の事象について数学を活用し,問題解決する。 ・6分後に,A+Bの底面になるよ。

○給水管 ,を同時に使った次の問題を考えてみよう。・が になるのは,給水開始から何分何秒後か求めよう。 ・上の表から6分かからないことが分かる。

・同じ給水管をもう 本増やし, や に関係なく,この水 ・4分後は,2つの管でAに給水される。

そうに水を入れたとき,空から満水になるまでに何分かかる ・-10から6へと16cm上昇するのだから…

かな? ・管1本で18分,2本で9分だから…

留 意 点・事象を図,表,式,グラフなど数学的に表現する技能や,数量関係をとらえやすくするために理想

化や単純化する考え方などを身に付けさせることが大切である。・自分で見つけた事柄・事実,考えた方法・手順,事柄が成り立つ理由・根拠を説明させる活動を充

実させることが大切である。・数学を活用して問題をどのように解決したのかを振り返らせ,他の問題解決に生かすようにさせる

ことが大切である。

問 図1のように,内側の高さが の直方体の形をした水そうに,高さ の仕切りを垂直に入れます。その仕切りによってできる,左側の部分を ,右側の部分を とし,の部分の底面積は の部分の底面積の 倍です。

また,この水そうの底面は棚の上の面から だけ下にあります。この水そうの の部分の上には給水管 ,の部分の上には給水管 を設置し,どちらも 分間あたり同じ量を給水することができます。ただし,仕切りの厚さは考えないものとします。

図2のグラフは,給水管 だけを使い,水そうが空の状態から給水したとき,給水を始めてから 分後の棚の上の面から水面までの高さを として,その関係を途中まで表したものです。

今,給水管 , の つを同時に使い,水そうが空の状態から給水を始めます。このとき,給水を始めてから 分後の棚の上の面から水面までの高さを として,その関係を調べましょう。

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1回目 2回目 ゴールから1 1・・・2

2・・・33・・・44・・・55・・・66・・・7

1回目 2回目 ゴールから6 1・・・5,7

2・・・4,83・・・3,94・・・2,105・・・1,116・・・ 12

問 太郎さんと次郎さんが,すごろくで遊んでいます。すごろくのルールは次のとおりです。

すごろくのルール

① さいころは 個使い, 交代で投げます。

② さいころの目の数がちょうどのときだけあがることができ,

あがった順に順位点をもらいます。

③ ゴールまでのマスの数より,さいころの目の数が大きい場合

は,余った目の数の分だけ後戻りします。

④ 先にあがった人は,全員があがるまで自分の順番でさいころ

を投げ,出た目の数に応じてボーナス点をもらいます。

⑤ 順位点とボーナス点の合計で点数の多い順に勝ちとします。

すごろくのあがりを考えよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「確率」

・確率の必要性と意味及び確率の求め方

・確率を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① 樹形図をつくって起こり得る場合を整理して確率を求める。

○太郎さんが 巡目であがるには,さいころの目はどのような組み合わせになるか考えよう。

・つの目の和が になる組み合わせだとよい。

② 情報を分類整理して実際に数をあてはめながら調べる。

○太郎さんの得点と次郎さんの得点を調べよう。

・表で調べる。

太郎君の2巡目の目

太郎さん ・・・・

次郎さん ・・・・

・式で考える。

③ 起こり得る場合の数を順序よく整理し,正しく数え上げる方法を見いだして考察する。

○次郎さんのコマがゴールから何マス目の所にあるか,図に表して考えよう。

・自分なりに試行錯誤しながら図で考える。

○花子さんのコマをゴールから何マス目の所に置くとよいか,図などに表して考えよう。

・さいころを 回投げるので,樹形図をつくって考える。

・・・

・樹形図や図を使って他に説明し伝え合う。

留 意 点

・起こり得る場合の数の求め方を,ある視点を決めて順序よく整理して判断するなど,見通しをもっ

て場面に応じて考えることが大切である。

・わかりやすい説明として,「図や表」,「用語や記号」を適切に用いること,伝わりやすい述べ方と

して「順序立てること」,「対比すること」,「関連付けること」を心がけさせる。

「ゴールから何マス目」の数の並びには規則性がありそうだね。

私はこう考えました。

僕はこう考えたよ。残り

ゴール○○③○○○○○②○○○○❶

ゴール○○③○○○○❶②

ゴール○❶③②

置く場所 ゴール①○①②×②①○①②△②①○×…………… 巡目であがり△…………… 巡目であがり○…………… 巡目であがり①,②,③… 巡後のゴールまでの

残りのマス数

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碁石は何個ずつ増えていくのか考えよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「式の展開と因数分解」

・単項式と多項式の乗法と除法の計算

・簡単な式の展開や因数分解

・文字を用いた式でとらえ説明すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 2つの数量の関係をとらえる。

○ 辺の碁石の個数と碁石の総数を整理してみよう。

・辺の碁石の個数と碁石の総数を表に表す。

・増える数に関係がありそうだ。

⇒ の倍数になりそうだ。

② 文字を用いた式で数量を表す。

○文字を用いて偶数を表してみよう。

・を自然数とすると,偶数は の倍数だから になる。

○文字を用いて奇数を表してみよう。

・奇数は偶数より つ小さい数と考えると と表せる。

○連続した つの奇数を表してみよう。

・小さいほうを とすれば,

大きいほうは つ大きいから になる。

③ 文字を用いた式で関係をとらえ説明する。

○式を変形させて説明しよう。

・乗法の公式を用いて展開すればいい。

・の倍数の表し方は,(整数)になればいい。

④ 解決の方法を振り返り,新たな課題に適用する。

○ 辺が偶数個のときについて考えてみよう。

・偶数は,の倍数だから になる。

・連続した つの偶数は,小さいほうを とすれ

ば,大きいほうは つ大きいから となる。

・式に表すと,()()

留 意 点

・学習し身に付けた知識・技能を活用してどのように解決したのか,その方法を口述したり,記述し

たりして説明する活動を充実させることが大切である。

・生徒は証明というと,図形における証明だけを考えがちであるが,文字を用いた式によって本質的

な関係をとらえるとともに,新たな関係を見つけることで一般的な証明ができることを知らせるこ

とが大切である。

・文字を用いることのよさや必要性を味わわせるとともに,式の変形を利用して説明する力を身に付

けさせることがねらいなので,類題において,いろいろな数量の関係を予想させ,それぞれが正し

いことを説明させることも考えられる。

番目 番目 番目 番目 番目問 花子さんたちは,

数学の時間に碁石を規則的に並べて,その増え方について考えました。

辺の個数

碁石の総数

・4の倍数になりそうだ

・8の倍数に4をたした数になりそうだ

・2つの偶数の間にある奇数の4倍になりそうだ

増える碁石の個数

番目番目番目番目

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容器 容器 問 花子さんと太郎さんは,次の問題を考えています。図のような つの容器があります。容器Aは底面の直径が ,母線が の円錐で,容器 は底面の 辺が ,母線が の正四角錐です。容器 と容器 では,どちらに水がたくさん入るでしょうか。※母線とは,側面を構成する線のこと(本問題では,の長さの部分)

(考え1)底面積が大きい容器 のほうが,

大きい。

(考え2)高さがわからなければ,判断できな

いが,この つの容器は,高さが大体等しいと考えられるので,底面積の大きい容器 のほうが,体積は大きい。

(考え3)どちらとも母線の長さが等しいとい

うことから,この つの立体の高さは,等しいといえる。したがって,底面積の大きい容器 の方が,体積は大きい。

(考え4)実際に つの立体の見取り図をかい

て,高さを求める必要がある。高さを比べなければ,判断はできない。

底面積は容器 が大きいけれど,もし高さが容器のほうが高いとすれば,計算で求めなければ判断できない。

(考え5)模型を作って, つの立体を比べて

みれば高さが同じかどうか,わかる。もし,高さが同じであれば,底面積の大きい容器 のほうが体積は大きい。

(考え6)高さを求める必要があると思いま

す。高さを求めるためには,三平方の定理を使えば求められます。

ポイント①【ゆさぶり】【母線の長さが等しい→

高さが等しい】という考えが指摘できないときは,指導者がゆさぶりをかけていくことが重要である。

ポイント②【三平方の定理の活用】三平方の定理を活用する際は,直角三

角形を見取図に書き込んだり,抜き書きするなど,どの直角三角形に着目しているかを明確にすることが大切である。

ポイント④【振り返り】予想の段階の考えについて,再度見直し,

(考え1)~(考え6)についての仮説について検証し直す。このことが,まとめの段階において,最初の見通しのどこに誤りがあったかについて振り返ることにつながる。

ポイント③【およその値を求めること】

や根号を含んだ数の大きさを,平方根の学習をもとにして,見積もることが大切である。

円錐の頂点を,底面の円の中心を として,底面の円周上に 点 を決める。直角三角形 について,三平方の定理により,

(円の半径),(母線)

> より, 高さ

正四角錐の頂点を ,底面の正方形の対角線の交点をとする。直角三角形 について,三平方の定理により,

(母線), (辺 ㎝の正方形の対角線の半分)( )=

( )= > より,= 高さ

水がたくさん入るのはどちらか考えよう問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「三平方の定理」・三平方の定理とその証明・三平方の定理を活用すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 立体図形からわかることを整理し,見通しをもつ。○ つの立体について与えられた長さを確認しよう。・どちらも錐体だから,底面積と高さがわかれば,体積が求められる。・円錐の底面積は,(半径 の円),正四角錐の底面積は,(辺 の正方形)

○どちらの体積が大きいか予想してみよう。

② 円錐の高さ(体積)を求める。○円錐の見取図をかいて,高さを求めよう。

③ 正四角錐の高さ(体積)を求める。○正四角錐の見取図をかいて,高さを求めよう。

④ 円錐,正四角錐の体積を求める。○ つの立体の体積を求め,どちらが,どれだけ大きいか求めてみよう。

円錐の体積 ()正四角錐の体積 () > より,円錐の体積のほうが だけ大きい。

⑤ 最初の予想,考えたことを振り返り,整理しよう。・円錐と正四角錐の母線の長さが等しいとき,その立体

の高さが等しくなるという考えは,正しいといえない。・母線の長さが等しいとき,底面積が大きいほうが体積

が大きいという考えは,正しいといえない。・高さが等しい錐体の体積は,底面積が大きいほど体積

も大きくなる。

留 意 点・既習の図形の性質(「空間図形」「立体の体積と表面積」「見取図」「三平方の定理」)を活用して,

問題解決することが大切である。・予想の段階で,体積の大小関係について様々な考えを引き出し,「母線の長さが等しい錐体は,高

さが等しい」ことについて「底面積」「高さ」「母線」の用語を用いて話し合うことが大切である。・立体の体積などを比較する際, や根号を含んだ数について,平方根の近似値を使って,およその

値を求めることが大切である。

― 131 ―

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身長1mあたりの 体重の増加量

体重の増加量(kg) 身長の増加量

つまり,身長 あたりの体重の増加量は

身長1mあたりの 体重の増加量

体重の増加量(kg) 身長の増加量

つまり,身長 あたりの体重の増加量は

標準体重を求めよう (計算機使用可)

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「関数 」

・事象と関数

・関数 の表,式,グラフ・関数 を用いること【本問題例】・いろいろな事象と関数

授業アイディア例

① 定数と変数を区別して,数量関係を式で表す。○一定の数を表しているのは何かな。伴って変わる つの数量は何と何かな。・標準体重を ,身長を ,を とすると

標準体重()=身長()×身長()×

② 与えられた値を代入して問題を解決する。○何が与えられていて,何を求めたいのかを整理しよう。・が ,身長()が で,体重()を求めたい。・が ,体重()が で,身長()を求めたい。・身長()が ,体重()が で,を求めたい。・が ,身長()が で,体重()を求めたい。

③ BMIが22のままで,身長が157cmから164cmまで伸びたときと173cmまで伸びたときでは,身長1cmあたりの体重の増加量が同じかどうかを調べる。

○予想しよう。○どのようにして確かめるといいかな。・身長が から まで伸びたとき

・身長が から まで伸びたとき

○身長 あたりの体重の増加量が異なることを,関数 の性質から説明しよう。・身長 あたりの体重の増加量()は, の変化の割合のことだね。

留 意 点・日常的な事象において,言葉で表された式の意味を事象に即して理解し,文字を使った式で表して

活用することが大切である。・値を式に代入して標準体重等を求める活動を通して,標準体重は身長の 乗と (体格指数)

の積で求められることの理解を深めることが大切である。・身長 あたりの体重の増加量が異なることを,グラフでも確認するようにする。

身長() →

体重() →

問 花子さんは保健体育の授業で,標準体重の求め方を習いました。標準体重の求め方は次のとおりです。

○標準体重の求め方標準体重()=身長()×身長()×※ とは体格指数( )のことである

・の判定基準普通体重:が 以上 未満

・の標準が のとき※統計的にもっとも病気にかかりにくいとされている

式に表しておくとすっきり処理できるね。

身長() →

体重() →

グラフだと視覚的に確認できそうだね。

― 132 ―

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問 花子さんは毎年,地元弘前のねぷた祭りを楽しみにしており,今年

も友達の陽子さんと一緒に見に行きました。

今年のねぷた祭りを見ながら,花子さんは沿道にいる人の多さに驚き,

どれぐらいの人が来ているのか興味をもちました。

人出を調べてみよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「標本調査」

・標本調査の必要性と意味

・標本調査を行うこと 【本問題例】

授業アイディア例

① 標本調査について考える。

○花子さんの考えを整理してみよう。

・ア 沿道の幅 あたりの人数 ⇒ 人

・イ 沿道の両側 ⇒ 倍

・ウ 運行する沿道の距離 ⇒

・【花子さんの考え】は,

(人出)(幅 あたりの人数) (ねぷたを運行する沿道の距離)

だから式は, になる。

② 調査結果を読み取る。

○母集団と標本を整理してみよう。

・人出の人数が母集団。

・無作為に抽出した人数が標本。

○弘前市以外の人数は,

・(弘前市以外の県内の人数)(県外の人数)

○青森県外の人数を推測するには,

・(人出の総人数)(青森県外の人数の割合)

③ より正確な方法を考える。

○より正確な人数を推測するには,どのようにすればいいだろうか。

・標本が多いほど正確な値になるだろう。

・(標本)(花子さんの標本)(陽子さんの標本)

○式にしてみよう

留 意 点

・資料の特徴や傾向を数学的に考察して,母集団の特徴を標本調査により推測することに加え,それ

らを利用して日常生活や社会で起こる事象を取り上げて考えたり判断したりする活動を中心に構成

することが大切である。

・日常生活において,数学を活用して自分の考えを口述したり記述したりして説明することが大切で

ある。

・母集団の一部分を標本として抽出する方法,標本の傾向を調べることで母集団の傾向が読み取れる

ことを,簡単な場合について標本調査を行うことで理解できるようにする。

― 133 ―

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追いつくまでの時間を求めよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「一元一次方程式」

・方程式の必要性と意味及びその解の意味・等式の性質と方程式の解き方・一次方程式を解くことと活用すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 「追いつく」ことの具体的なイメージをもたせる。○自分にあった図,表やグラフをつくり,考えてみよう。

・姉と弟のそれぞれが進んだ道のりを表,グラフに表してみる。

② 等しい関係にある数量を見つけ,方程式をつくる。○追いつくということから等しい関係を見つけ,方程式をつくろう。・時間に注目する,進んだ道のりが同じである。

○どれがもっとも簡単であるか考えてみよう。

③ 解が問題の条件にあっているか判断し,説明する。○「弟が途中の店で 分間買い物をしても,映画館に着く前に,姉に追いつくことができるか」

という条件変更した問題について考えよう。

留 意 点・速さに関する問題は,生徒が苦手とする内容であるので,必要に応じて,具体的な数を用いて,速

さ,時間,道のりの関係を確認しておく。・問題解決のためにつくられた方程式が,どのような数量に着目してつくられているのかを振り返る

ことが大切である。・表やグラフに表現するなど,関数的な考えにふれることは,比例や反比例の学習への関心を高める

ことにもつながるものと考えられる。

問 太郎さんたちは,数学の授業で次の題材を使って問題づくりをしました。

姉と弟は休日に 離れた映画館へ行きました。姉は歩いて家を出発し,弟は,姉が家を出発してから 分後に自転車で追いかけました。このときの姉の歩く速さを分速,弟の自転車の速さを分速 とします。

太郎さんは,「弟が姉に追いつくまでの時間を求めよう」という問題をつくりました。

・具体的な図では,問題場面がつかみやすいが,「追いつく」ことのイメージはわかりにくい。・表やグラフでは,「追いつく」ことの意味ははっきりわかるが,「同じ道を進む」という状況はわかりにくい。

文字xの選び方によって,違った方程式ができる。

・グラフを使うと,追いつく地点が1800mをこえることがわかるから,追いつくことはできない。・問題によっては,方程式の解がそのまま文章問題の答えにならないことがあることがわかった。

弟が姉に追いつくまでの

時間を 分とする。

()

姉が出発してから弟に追いつか

れるまでの時間を 分とする。

()

追いつく地点までの道のりを

とする。

― 134 ―

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図3

図1

図2

問 透明なガラスでできた正方形があり,辺,,の中点をそれぞれ ,,,また,線分 の中点を とします。これらの点を結んで,図1のような模様をかきました。同じ模様をかいた正方形のガラスを,裏返したり,回転したり,ずらしたりして何枚か重ね,新しい模様をつくりました。たとえば,図2は,図1のガラスを同じ向きに 枚重ね,上の 枚のガラスを辺 を軸とし

て裏返したものです。これらの 枚のガラスをずらして重ねると,図3のような模様になります。

1枚 右へずらし裏返す 重ねる

いろいろな移動をして,正方形を重ねたときにできる模様について調べましょう。

【裏返す】

【点 を中心にして,時計回りに回転】

[ ゚回転] [ ゚回転]

[ ゚回転] [ ゚回転]

() 図1のガラスを同じ向きに 枚重ね,上の 枚のガラスを,点 を中心として 回転させる。重なった 枚のガラスの模様を考えよう。

と が重なり

それぞれに考え重ねてみよう。

() 図1のガラスを同じ向きに 枚重ね, 枚のガラスを,点 を中心として同時に時計回りに ゚回転させる。次に,上の 枚のガラスを辺 を軸として裏返し,ずらして重ねる。このとき,重なった 枚のガラスの模様をかこう。

と が重なり

どんな模様ができるだろう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「平面図形」・基本的な作図の方法とその活用・図形の移動 【本問題例】

授業アイディア例

① 1枚のガラスを裏返したり,回転させたりした後にできる図形について調べる。() 図1のガラスを,いろいろな辺を軸として裏返したり,点 を中心として回転させたり

してできる図形をかき,気が付いたことをまとめよう。

② いくつかの移動を繰り返してできる図形をかき,その過程を説明する。

③ 考えやすいように表をつくって調べ,説明する。

留 意 点・いくつかの内容を組み合わせたり複数の段階を経たりして問題解決を図る授業においては,根拠と

なる既習内容や解決の過程を,相手にわかりやすく説明する活動を充実させることが大切である。・複雑な問題の解決を図るときには,既習の内容や方法と結び付くよう,日々の授業において内容ど

うしの関連付けを図ったり,実感を伴って理解されるよう工夫することが大切である。

辺AB,辺CDを軸にして裏返してできた図形は同じだね。

辺BC,辺DAを軸として裏返してできた図形も同じだね。

点Oを中心として90°,180°,270°回転してできた図形は,すべて違う図形だね。

移動してできる図形は、全部で何種類あるのかな?

()図1のガラスを同じ向きに 枚重ね, 枚のガラスをそれぞれ移動したら,下の図のような模様になった。どのように移動したのか考えよう。

図4

() 図1のガラスを何枚か使い,裏返したり,回転したり,ずらしたりして重ねても,できない模様が つあります。ア~エの中から つ選び,その理由を説明しよう。

ア イ ウ エ

― 135 ―

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移動した後の図形について考えよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「平面図形」・基本的な作図の方法とその活用・図形の移動 【本問題例】

授業アイディア例

① 観察,操作などの活動によって,図形の移動のしかたを考え,適切に説明する。○△ と△ は,どのような移動によるものか考えてみよう。

② 移動後の長方形について,面積の保存性を利用して横の長さを求める。

○長方形 の横の長さを求めよう。

留 意 点・小学校の低学年から,図形の性質を「ずらす」,「まわす」,「裏返す」等の操作を通して考察して

おり,生徒の実態に応じて,操作活動を取り入れながら,対応する点や辺,移動の距離に気付かせることが大切である。

・移動前と移動後の二つの図形を比較する際,変化している量と変化していない量に着目し,面積の保存性(図形を分割し再構成して形を変えても面積は変わらない)に気付かせることが大切である。

A

D

B

C 図1

G A

DE

B

F C 図2

問 図1のような, = , = ,対角線 = の長方形 があり

ます。図2は,図1の長方形 に,点 から対角線 に垂線をひいて,その交点

を とし,△ と△ を矢印のように移動して長方形 をつくった様子を表

しています。移動後の長方形 について考えてみましょう。

どちらも平行移動だと思います。

実際に切り取って,移動させてみたいな。

横の長さが短くなって,縦の長さが長くなりました。

対応する点や辺,移動の距離などの用語を用いながら説明してみましょう。

長方形AGFCの面積は,

長方形ABCDの面積に等しいから,

12×5=60(c㎡)となります。

縦の長さが13cmだから,横の長さは,

60÷13=60

(cm)です。13

移動の距離はそれぞれ何cmかな?

もとの長方形ABCDと移動後の長方形AGFCをくらべてみましょう。

面積は変わっていません。

縦の長さは13cmだけど,横の長さは何cmなのかな?

横の長さをx cmとすると,

長方形AGFCと長方形ABCDの

面積が等しいことから,

13x=12×5

x= 60 60(cm)です。

13 13

― 136 ―

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問 太郎さんの学校では,図書委員会が 学期の校内読書調べを行い,その結果は次のようであると発表しました。「 年 組と 年 組の読んだ本の冊数の平均は,どちらも 冊なので同じ傾向です。また,ヒストグラムはそれぞれ図1,図2のようになりました。」本当に同じ傾向であるといってよい

か調べてみましょう。 図1 図2

年組 年 組

階 級(冊) 度数(人) 階 級(冊) 度数(人) ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

読書調べの結果について考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「資料の散らばりと代表値」

・ヒストグラムや代表値の必要性と意味・ヒストグラムや代表値を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① 平均値やヒストグラムから,2つの資料の傾向を考える。○図書委員会の発表について考えてみよう。・平均値が同じだから,同じ傾向といえる。・平均値が同じでも,ヒストグラムでは,年 組のほうが本を多く読んでいる人が多い。・平均値が同じでも,年 組のほうが範囲が広い。

② 2つの資料の傾向をとらえ直す。○ つの資料の傾向をいろいろな方法で読み取ってみよう。・階級の幅や階級の初期値を変えてヒストグラムにしたらどうだろう。・度数分布表に表したらどうだろう。・代表値として中央値(メジアン),最頻値(モード)を用いたらどうだろう。・資料の範囲はどうだろう。

③ コンピュータを利用して資料を整理する。○ つの資料の度数分布表,ヒストグラムや代表値をコンピュータを利用して表してみよう。

年 組 年 組

④ 資料の傾向をとらえ説明する。○整理した資料を用いて説明してみよう。

留 意 点・日常の事象から情報を取り出し,それをより適切な方法で表現し,自力解決を図ったり他者に説明

したりすることが大切である。・ヒストグラムや代表値はそれ自体を作ったり求めたりすることも大事であるが,目的は,それらを

用いて資料の傾向を読み取ることであることに留意する。・資料の傾向のとらえ方を指導する際に,簡潔さの観点から代表値のみを用いることが多い。しかし,

そのことによって失われる情報もあるので,その点を踏まえて資料の傾向をとらえられるようにする必要がある。

1年B組では,階級の幅が4冊のときには,ヒストグラムがつながっていたけど,階級の幅が2冊のときは,7冊~11冊読んだ人がいない。

年組の読んだ本の冊数 平均冊

年組の読んだ本の冊数 平均冊

散らばりは1年A組は小さく,1年B組は大きい。

1年A組の最頻値は14冊だが,1年B組の最頻値は15冊である。

1年A組の範囲は14冊だが,1年B組の範囲は19冊と広い。

最大値は同じだが,最小値は1年B組のほうが小さい。

1年B組では,階級の幅が4冊のときには,13冊~21冊読んだ生徒が多く見えるが,階級の幅が2冊のときは,7冊未満の人数と11冊以上読んだ人数との違いが極端に見える。

― 137 ―

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問 太郎さんは,右の図のように,自然数が書かれたカードを順に並べていた。

段 数 …

右端のカード

中央のカード段目…

段目…

段目…

段目……段 数 …

カードの枚数

段 数 …

中央の数

段 数 …

中央の数

カードの枚数

5の倍数であることの他にいえることはないかな?・真ん中の自然数の5倍⇒①(2)につながる。

カードに書かれた自然数の規則性を考えよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「文字を用いた式の四則計算」

・簡単な整式の加減及び単項式の乗除の計算・文字を用いた式で表したり読み取ったりすること・目的に応じた式変形 【本問題例】

授業アイディア例

① はじめに各自に考える時間を与えて自分の考えを記述させ,理由をつけて発表させる。そのあと,問題場面を表や図に表して,変化や対応の様子を確認する。

()ア)段数と右端のカードの関係を表にして イ)段数とカードの枚数の関係を表にしてみよう。 みよう。

○表からどんなことがいえますか。 ○表からどんなことがいえますか。・右端のカードは段数を 乗した数になって ・枚数は段数を 倍して ひいた数になっ

いる。⇒ ている。⇒ ・,,,…と増え方が ずつ大きくなって ・枚数は小さい奇数から順に並んでいる。

いる。⇒順番に数えて ()各段の中央のカードと各段の数の和を表にしてみよう。

○表からどんなことがいえますか。・和は中央の数の 倍,倍,倍…と 和は中央の数にカードの枚数をかけた数

なっている。 になっている。(中央の数と枚数の積)② 具体的な場面から,文字を使って一般化させて考える。

()段目の中央のカードが のときのカードの並びを書いてみよう。○ 段目 すると,段目 段目 したがって,の倍数になる。

○ 段目の中央の数が ,, の場合について, の倍数になることがわかりましたが,これで花子さんの予想は正しいといえますか。

・正しいといえるのか,いえないのか,話し合わせる。()花子さんの予想が正しいことは,どのようにして説明すればいいですか。・文字を使って説明すると,すべての場合について説明できる。・1段目の中央のカードの自然数を として説明のしかたを考える。()段目,段目,…の自然数の和については,どんなことがいえますか。・段目の自然数の和は の倍数・段目の自然数の和は の倍数

留 意 点・自力解決の時間を確保し,自分の考えをノートに記述させたり,発表させるなど,表現力の育成に

配慮する。・帰納的な方法のよさ,文字を用いて説明するという演繹的な方法の意義についての理解を深めるこ

とが大切である。

表は縦(対応)に見る。横(変化)に見る。

他の場合についても,発展的に考えさせる。

― 138 ―

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平行四辺形を作図しよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「図形の合同」

・平面図形の合同と三角形の合同条件

・証明の必要性と意味及びその方法

・三角形や平行四辺形の基本的な性質 【本問題例】

授業アイディア例

① 与えらた条件の整理と問題の確認

○与えられた条件を整理する。

・を 辺とする平行四辺形ではない。

・は,半直線である。(1)の問題へ

・を 辺とする平行四辺形を作図する。

○作るべく図形を予想する。(左図)

○作図するための方法を思考する。

② 条件を変えて問題提示

ア 半直線 ,を利用して イ 線分 ,をそれぞれ 辺と

平行四辺形を作図する。 する平行四辺形を作図する。

※任意に ,上に点をとる不自然さがある。 ※複数の平行四辺形のかき方がある。

ウ 線分 ,を利用して平行 エ 線分 を利用して平行四辺形を

四辺形を作図する。 作図する。

※複数の平行四辺形が作図できる。 ※複数の平行四辺形のかき方と平行四辺形の

形(正方形,長方形,ひし形など)がある。

留 意 点

・与えれた(与える)条件の必然性を示すことが必要である。

・与えられた条件を整理し,問題の意味を確認させることが大切である。

・三角形や平行四辺形,平行線の性質や条件を考察させ,図形についての理解を深めるとともに,論

理的に考察し表現する能力を養うことも大切にしたい。そのために,教師自身が作図する,生徒自

身に作図させる,教師による誘導,生徒による発表など工夫したい。

問 太郎さんと花子さんは,右の図を使って,平行四辺形を作図しようと考えています。

― 139 ―

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角の和を求めよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「図形の合同」

・平面図形の合同と三角形の合同条件

・証明の必要性と意味及びその方法

・三角形や平行四辺形の基本的な性質 【本問題例】

授業アイディア例

① 一人一人が自分の考えをもてるように問題場面を設定し,予想する。

○右の図の△ に注目し、どんな三角形か予想しよう。

・二等辺三角形,直角二等辺三角形になりそうだ。

・予想した三角形であることを示すための必要条件を見つ

け出す。

・必要条件が結論であることを確認する。

〔,∠ °〕

② 予想したことが正しいかどうか論理的に考察する。

○合同な図形の性質を利用し証明してみよう。

・三角形の合同条件をもとに,を証明する。

・さらに,この証明から△ の∠ °であることを読み取る。

○自分の考えを発表し合い,それぞれの証明を確認し,意見の共有を行う。

③ 問題解決の過程を振り返り,問題解決の方法を整理する。

○証明した図形の性質をもとに,∠ +∠ の角の大きさを求める。

留 意 点

・証明したことを活用し,さらに発展させた課題を考えることで,新たな図形の性質を見いだすこと

ができるということに重点を置いている。はじめから応用問題を行わせるのではなく,推論,そし

て証明,証明を用いた発展問題とステップを踏ませることで,応用問題への課題意識が高まると考

えられる。

・推論の過程を他者に伝わるように,わかりやすく表現することもねらいとしている。

[証明] △DAJと△GDKにおいて合同な正方形の辺の長さは等しいことから

AJ=DK ……①JD=KG ……②

正方形の1つの内角は90°だから∠AJD=∠DKG……③

①②③より,2辺とその間の角がそれぞれ等しいので△DAJ≡△GDK

合同な図形の対応する辺の長さは等しいのでAD=DG

問 太郎さんは,次のような問題を考えています。

右の図のように,合同な正方形が つ

ならんでいます。∠+∠の角の大きさは何度になるでしょう。

[証明]また,合同な図形の対応する角の大きさは等しいので

∠ADJ=∠DGK,∠DAJ=∠GDKよって,∠ADG=∠ADJ+∠GDK

=∠ADJ+∠DAJ=90°

したがって,△DAGは直角二等辺三角形である。

∠aと同じ大きさの角の1つと,△DAGが直角二等辺三角形であることから∠a+∠bの大きさを求める。

― 140 ―

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電話料金をくらべよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「一次関数」

・事象と一次関数

・一次関数の表,式,グラフ

・二元一次方程式と関数

・一次関数を用いること 【本問題例】

授業アイディア例

① 電話料金の意味を理解し,電話料金(円)を通話時間(分)の一次関数として考える。

○ プランについて,いろいろな通話時間のときの電話料金を調べてみよう。

② グラフの座標や線分が何を表しているかを,問題場面と照らし合わせて考える。○ プランの通話時間と電話料金のグラフを読み取ろう。

③ 問題を解決する方法について,目的に応じてグラフや式を適切に用いながら説明する。

○ プランと プランの電話料金が等しくなるときの通話時間を求める方法を説明しよう。

留 意 点・数学を活用して日常的な事象の問題を解決する方法について,グラフや式など「用いるもの」とそ

の「用い方」を口述したり記述したりして説明する活動を充実させることが大切である。特に,数

学的な表現を用いながら他者に説明するような場面を意図的に設けることが大切である。・表,式,グラフのよさを味わわせ,それぞれの表し方の欠点を補完し合うことにより,事象をより

深く考察することができることを経験させることが大切である。

Bプランの通話時間と電話料金(円)

(分)

問 太郎さんは,携帯電話の料金について調べました。 プランと プランとではどちら

の電話料金が安いでしょうか?

携帯電話の料金について調べたこと

Bプラン(月々の電話料金)

月々の基本料金 円

通話料 ア 分間無料

ア 分を超えると 分 イ 円

Aプラン(月々の電話料金)

月々の基本料金 円

通話料 分 円

何に着目すればいいですか?月々の基本料金と1分あたりの通話料に着目します。

表をかいて調べてみようかな。 グラフに表せるかもしれない。

水平なところは何を表してるのかなあ?

通話時間によってAプランの方が安かったり,

Bプランのほうが安かったりするよ。

・AプランとBプランのグラフを重ねてみようかな。

・2つのグラフが上になったり下になったりしている様子は何を

表してるのだろう。

・グラフの交点は何を表してるのだろう。

・グラフの交点は読み取ることができるかな。

・交点の座標を正確に求めるにはどうすればいいのだろう。

― 141 ―

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問 つの異なる正の整数が書かれたカードを,小さい順に,,,

と右の図のように縦,横 列に並べます。このとき,縦,横に並んだ

つの整数の積の合計をとします。

並んだカードの条件から,わからない数を求めよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「式の展開と因数分解」

・単項式と多項式の乗法と除法の計算・簡単な式の展開や因数分解・文字を用いた式でとらえ説明すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 計算ルールの確実な理解 (例) ・例題を通した丁寧な説明。 ・さらに確実に理解させるための問題提示。

② 補充問題と自力解決

○ と を変えても同様に求められるだろうか。・補充問題。・自力解決場面。

(問題 ) (問題 )

() ()

< < ,< < より < < ,< < より

のとき, ,のとき,

③ 新たな数の性質を導き出し,活用する○生徒の気付きを生かした授業づくり。

○教師の誘導による授業づくり。

(問題例)[解説] ()() は,の約数()() は ,,,,,,,,

()() 条件にあてはまる数は これから,,

④ 式の意味を読み取る○数の性質が成り立つことを文字を用いて説明○その式の意味を読み取る

もっとも小さい数を とすると の式は, と ,は() となる。 と の和を表す。よって,整数の平方になることが ※上記③の考えにもつながる。いつでも成り立つ。

留 意 点

・いたずらに複雑で無目的な計算練習にならないようにすることが大切である。・すべてを授業で取り上げるのではなく,生徒の学習状況等に応じて活用する。・生徒の気付きを生かし,問題の広がり・発展性に気付かせる授業の工夫が大切である。

(A+D)×(B+D)となりそうだ

素早く計算する方法があるよ

― 142 ―

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街灯の電球までの高さと影の面積を求めよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「図形の相似」

・平面図形の相似と三角形の相似条件・図形の基本的な性質・平行線と線分の比・相似な図形の相似比と面積比及び体積比の関係・相似な図形の性質を活用すること 【本問題例】

授業アイディア例

図1

図2

図3① ② ③

④ ⑤ ⑥

① 事象を論理的に考察し,表現する。 △ABC∽△ADCだから

○「平行線と線分の比の性質」の利用を考えてみよう。 x:2=9:3 の

・図1から相似な三角形を見つけましょう。 比例式が

・街灯の電球までの高さを として比例式をつくり,高さ つくれるね。

を求めましょう。

△BFGに着目すると② 事象を解釈し,説明する。

辺FGの長さを求められるね。○「平行線と線分の比の性質」を,空間の三角形に利用しよう。

辺FGをymとすると・図2に補助線を引いて,看板の影がどのようになるか考え,

式は説明しましょう。

y:2=9:6・空間の中にある相似な三角形を見つけて,面積を求めるため

に必要な線分の長さを求めよう。

③ 他の事象について数学を活用し,問題解決する。 展開図を使えないかな?

○「平行線と線分の比の性質」を立体図形に利用しよう。 三平方の定理で…

・右の直方体の頂点Aと頂点Bを,面の上にそって,ひもでつ 展開図だと直線だ。

なぐとき,最短の長さを求めましょう。 平面で考えると,相似な三角形が見つか

・そのとき,ひもの折れ曲がる位置は,どこになるか見つけま るね。

しょう。また,その考え方を説明しましょう。 比例式で求められそうだ。

x:4=2:5

留 意 点・日常の中の事象を論理的に考察させたり図や式などを用いて表現させたりすることや,意図的に既

習の定理などを活用する場面を設定することが大切である。・自分で見つけた事柄・事実,考えた方法・手順,事柄が成り立つ理由・根拠を説明させる活動を充

実させることや,学んだことを他の問題解決に生かすことが大切である。

問 太郎さんは,暗い道で街灯の下を歩いたときに,自分

の影の長さが,長くなったり短くなったりすることに気がつきました。

そこで,影について下のような問題を考えてみました。

(1) 図1のように,街灯の電球の真下から 離れた地点に の棒を垂直に立てたところ,棒の影の長さは, になりました。この結果を利用して街灯の電球までの高さを求めなさい。

(2) 図2のように, の棒のかわりに 辺が の正方形の看板を立てました。

この看板の影について,次のア,イに答えなさい。

ア この看板の影の形はどうなりますか。適切なもの

を図3の①~⑥の中から つ選びなさい。

イ この看板の影の面積を求めなさい。

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8 2 5 2 5 2

円の半径を求めよう

問 題 例 平成 年度 ~ 単元計画 第 学年 「三平方の定理」

・三平方の定理とその証明・三平方の定理を活用すること 【本問題例】

授業アイディア例

① 既習事項の確認・三平方の定理・円周角と中心角の関係

※多様な見方を必要とし,その中から図形の性質を見いだし,考察し,活用する総合的な問題である。こ

のため生徒の学習状況等により,必要に応じて既習事項を確認して問題に取り組むことも必要である。

これにより,生徒自身の性質・定理の選択,活用する力がより引き出せるものと思われる。

[既習事項の確認のための問題例]

② 授業の構成

○「太郎さんのメモ」を参考とした授業構成 Ⅰ 点 ,,をそれぞれ線分で結ぶ。

・発問と誘導 Ⅱ △ は直角二等辺三角形である。

・多様な図形の見方 Ⅲ △ に注目して の長さを求める。

・生徒の考えを取り入れた授業 Ⅳ 半径 の長さを求める。

[解説] [解説] [解説]

図形の見方としてを引き, △ (または△ )と△ と平行に中心を通る直線を引き,

∠°であることを利用し, が相似であることを利用し,求める との交点を とする。,

∠°を導くことも考えら 方法もある。 となることから,

れる。 =

= より = これより,=

留 意 点

・ つの見方だけに偏ったり,教師による誘導中心の授業とならないようにすることが大切である。・生徒の多様な図形の見方や考えを引き出すための発問の仕方,授業構成を工夫する必要がある。・生徒の多様な見方や考え方を発表させたりする場面を設けることが大切である。

問 右の図のように円周上に 点,,,がある。

弦 と弦 が垂直に交わっており,その交点を

とする。

= = ,= = のとき,この

円の半径の長さを求めなさい。

太郎さんのメモ

Ⅱについて

Ⅳについて

Ⅳについて

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問 ある宅配ピザ店では,ミックスピザの サイズが直径 で 円, サイズが直径 で 円, サイズが直径で 円の価格で販売しています。今,お客さんの要望により サイズを直径 , サイズを直径 で販売しようと考えています。価格をいくらに設定するのが適当と考えられますか。

「直径の差」

直径()

価格(円)

「価格の差」 「価格の差」の変化 + +

半径()

面積()

価格(円)

ピザのサイズから価格を考えよう

問 題 例 平成 年度 ~

単元計画 第 学年 「関数 」

・事象と関数

・関数 の表,式,グラフ・関数 を用いること・いろいろな事象と関数 【本問題例】

授業アイディア例

① 2つの数量を関数ととらえて考える。○直径と価格を整理してみよう。

・直径と価格の関係を表に表す。・式に表すには難しそうだ。

② 表した表から性質を読み取る。○直径と価格の関係を調べてみよう。・直径にともなって価格が変化している。

・直径の差と価格の差が一定ではない。 ア 価格の差は ずつ増えそうだ・面積に関係しているかもしれない。 イ 面積は(半径)×だ

③ 考えやすいように表をつくって調べ,説明する。○価格がどのようにして設定されているのか考え,説明してみよう。・ア

・イ

④ 解決の方法を振り返り,新たなデータに適用する。

○直径が のときの価格を考えてみよう。・アの考えを使って 円・イの考えを使って ÷× 未満を切り捨てて 円・半径が 倍だから面積は 倍となることから × 円 など

留 意 点・数学を活用して日常の事象の問題をどのように解決したのか,その方法を口述したり記述したりし

て説明する活動を充実させることが大切である。・日常の事象から情報を取り出し,それをより適切な方法で表現し,自力解決を図ったり他者に説明

したりすることが大切である。・変化の割合を指導する際に,値を求めることだけではなく,関数 の関係を表やグラフに表

し,それらに表された変化の割合の意味の理解を図ることが大切である。また,高等学校との接続の観点から,関数 の関係を表した表の第 階差が一定になるという性質を発見させることも考えられる。

直径()

価格(円)

「直径の差」は4cmずつで一定ですが,「価格の差」は一定でありません。一定になっているのは「価格の差」の変化で,100円ずつ増加していると考えます。だから1900円に600円をたして2500円と考えました。

半径をxcm,面積をycm2とします。yをxの式で表すと,y=x2となります。また,面積と価格の対応から,価格は,面積を で割って10倍し100未満の数を切り捨てると考えました。だからxに16を代入して計算した結果2500円となりました。

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