上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略 - …...3...

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上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略 ~おもてなしのまち・上川町に住み続けるために~ 平成 27 年度 平成 31 年度 北海道上川町

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上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略

~おもてなしのまち・上川町に住み続けるために~

平成 27年度 ~ 平成 31年度

北海道上川町

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<目 次> はじめに .................................................................................. 1

第一部 人口ビジョン ...................................................................... 2

Ⅰ.上川町の現状と特徴 .................................................................. 2

1.地域資源 .......................................................................... 2

(1)自然 ............................................................................ 2

(2)温泉 ............................................................................ 2

(3)食 .............................................................................. 2

(4)花・ガーデン .................................................................... 3

(5)雪・寒さ ........................................................................ 3

(6)地熱エネルギー .................................................................. 3

2.上川町の交通 ...................................................................... 4

3.上川町の産業 ...................................................................... 6

(1)概況 ............................................................................ 6

(2)農業 ............................................................................ 8

(3)観光 ............................................................................ 9

Ⅱ.人口動向分析と展望 ................................................................. 10

1.現在までの人口動向 ............................................................... 10

(1)人口と世帯数の推移 ............................................................. 10

(2)年齢区分別人口の推移 ........................................................... 12

(3)年齢構成ピラミッド ............................................................. 13

(4)平均寿命 ....................................................................... 13

(5)社会動態・自然動態の推移 ....................................................... 14

(6)転出・転入年齢人口 ............................................................. 15

(7)純移動率推移 5歳階級別 ....................................................... 16

(8)若者の産業別就業者数(従業地別)................................................ 17

(9)転出・転入先 ................................................................... 18

(10)通勤・通学 ..................................................................... 18

(11)合計特殊出生率 ................................................................. 19

(12)未婚率・離婚率 ................................................................. 20

(13)子供のいる世帯・母子家庭比率 ................................................... 21

2.将来人口推計 ..................................................................... 22

(1)上川町の将来人口推計 ........................................................... 22

3.人口減少の要因分析と人口減少が地域に及ぼす影響 .................................... 25

(1)人口減少の要因分析 ............................................................. 25

(2)人口減少が地域に及ぼす影響 ..................................................... 27

4.目指すべき人口の展望 ............................................................. 28

(1)目指すべき将来人口 ............................................................. 28

(2)将来人口を達成するために必要な条件.............................................. 28

(3)推計結果 ....................................................................... 29

(4)上川町の将来人口動向 ........................................................... 31

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第二部 総合戦略 ~ おもてなしのまち・上川町に住み続けるために ~ ...................... 32

Ⅰ.基本的な考え方 ..................................................................... 32

Ⅱ.上川町の「総合戦略」における4つの基本目標.......................................... 33

1.4つの基本目標 .................................................................... 33

(1)地域における安定した雇用の創出 ................................................. 33

(2)地域への新しい人の流れをつくる ................................................. 34

(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる .................................... 35

(4)時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する ...... 36

2.世代別課題と施策 ................................................................. 37

Ⅲ.施策の方向と重点施策 ............................................................... 40

1.地域における安定した雇用の創出 ................................................... 40

(1)目標 ........................................................................... 40

(2)現状と課題 ..................................................................... 40

(3)施策の方向 ..................................................................... 40

(4)重点施策 ....................................................................... 41

2.地域への新しい人の流れをつくる ................................................... 43

(1)目標 ........................................................................... 43

(2)現状と課題 ..................................................................... 43

(3)施策の方向 ..................................................................... 43

(4)重点施策 ....................................................................... 44

3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる ...................................... 45

(1)目標 ........................................................................... 45

(2)現状と課題 ..................................................................... 45

(3)施策の方向 ..................................................................... 45

(4)重点施策 ....................................................................... 46

4.時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する ........ 47

(1)目標 ........................................................................... 47

(2)現状と課題 ..................................................................... 47

(3)施策の方向 ..................................................................... 47

(4)重点施策 ....................................................................... 48

Ⅳ.PDCAサイクルの確立 ............................................................. 50

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1

はじめに

まち・ひと・しごと創生に関しては、「まち・ひと・しごと創生法」が平成 26年に制定され、同 12月

に人口の現状と将来の展望を提示する「まち・ひと・しごと長期創生ビジョン」(以下、「国の長期ビジ

ョン」という。)及び 5カ年の政府の施策方向性を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、

「国の総合戦略」という。)が閣議決定されました。

これを受けて、地方公共団体において、国の長期ビジョン及び総合戦略を勘案して、人口の現状と将

来展望を提示する「地方人口ビジョン」及び、地域の実情に応じた 5 カ年の施策の方向を提示する「地

方版総合戦略」の策定に努めることとなっています。

■上川町人口ビジョンについて

「上川町人口ビジョン」は、国の「長期ビジョン」を勘案しつつ、本町の過去から現在に至る人口の

推移を把握し、自然増減の要因と社会増減の要因に分解して、それぞれがどのように影響してきたかを

把握しています。また、これを基に様々な仮定の基で推計された将来人口を分析することで課題を把握

し、今後予想される人口の変化が本町の将来にどのような影響を及ぼすのかを分析したものです。

さらに、本町が目指すべき将来像を実現するために 2040年時点に維持すべき人口水準を仮定し、既存

の将来人口推計から逆算することで、自然増減、社会増減をそれぞれどの程度改善する必要があるかを

把握し、地方版総合戦略を策定する上での基準としています。

■上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略について

本町では、平成 20 年度~平成 29 年度を実施期間とする『第 9 次上川町総合計画 ~自然と調和した

未来~ 小さくても「夢・希望・誇り」に満ちた上川をめざして 21世紀上川町ビジョンパートⅡ』(以

下、「総合計画」という。)を策定し本町の進むべき方向性を示しており、これに基づき、本町がもつ地

域の財産を活かし、新たな生活の価値観や社会情勢に対応したまちづくりを目指しています。

『上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略』(以下「総合戦略」という。)においては、総合計画を念

頭に、上川町人口ビジョンを踏まえた上で、人口減少問題の克服と将来に向けての成長力確保を目指す

ため、平成 27年度から平成 31年度までの 5年間の目標と方向性及び重点施策を策定しています。

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2

第一部 人口ビジョン

Ⅰ.上川町の現状と特徴

1.地域資源

本町は大雪山国立公園の優れた自然に恵まれ、道内においても独自性のある地域資源を多数有してお

ります。

(1)自然

本町は北海道のほぼ中心部に広がる大雪山国立公園の北方部に位置します。日本最大の山岳公園大

雪山国立公園は、自然の雄大さと生態系の多様さにおいて自然の宝庫といわれており、登山客にも人

気です。

本町の面積は 1049.47km2を有し、そのうち森林が全体の 94%(森林のうち国有林 82%、道有林 13%、

町有林 2%、私有林 3%)を占めています。

また、石狩川の源流部に位置し、大雪山系から沸き出でる清流は、ミネラルウォーターとして販売

されたり、農畜産業に活用されたりしています。

また、層雲峡の柱状節理の断崖は、流星・銀河の滝をつくり、大函・小函の渓谷の優れた自然景観

を要しており、秋の紅葉時にはシャトルバスが運行するなど多くの人で賑わっています。

(2)温泉

本町は層雲峡温泉、愛山渓温泉、高原温泉の 3 地域の温泉地を有し、中でも層雲峡の渓谷の底に位

置する層雲峡温泉は北海道有数の規模を誇る温泉街を形成しています。17 軒のホテル、旅館、民宿、

ペンション、ユースホステル、1軒の共同浴場があります。層雲峡温泉街の中心部はカナダの山岳リ

ゾートを模した「キャニオンモール」として整備され欧米風な雰囲気を醸しています。また、黒岳ス

キー場や層雲峡・黒岳ロープーウェイに程近く、大雪山系へアクセスする拠点となっています。

(3)食

大雪山麓の肥沃な大地と、大雪山連峰の清流を活かした食資源が豊富です。また、食資源を活用し、

以下に示すような商品作りやブランド化に取り組んでいます。

○大雪高原牛

町内で飼育された素牛(ホルスタイン種)を導入し生後から出荷まで管理できる町内飼育体制を整

えています。また、自家無農薬有機牧草などの飼料を使用しています。

○渓谷・味豚

町内産もち米を飼料とし、渓谷の清流で育てられたブランド豚です。町内の飲食店や商工会など

で「上川町渓谷味豚の会」を結成し、3月 10日を味豚の日としてキャンペーンを展開しています。

ソーセージ等の加工品も販売されています。

○ニジマス等

大雪漁業生産組合や上川漁業生産組合では、大雪山より湧き出る冷水を利用してニジマス・ヤマ

メ・オショロコマ・イトウ等を養殖しています。銀河サーモン、大雪ヤマメ等の名称で、釣り堀客

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3

を楽しませるとともに、道内及び本州への活魚販売や、刺身用フィレに加工したニジマスのインタ

ーネット注文等も行っており、6次産業化の進展が期待されます。

○大雪そば

町内産のそばは、「大雪そば」ブランドとして、JA上川中央を通じて出荷されています。

○大雪高原野菜

朝夕の寒暖差が大きい町特有の気候を活かした高原野菜を栽培しています。中でも大根は全道一

の作付けとなっています。高原で育てているため虫食いが少なく高級料理店などで引き合いがあり

ます。JA上川中央を通じて全国に販売されていますが、今後地産地消の取り組みが期待されます。

○上川ラーメン

大雪山から湧き出る水を用いて「麺を打ちスープを作る」ということを理由に、「日本一ラーメン

のおいしい町」としてPRしています。

(4)花・ガーデン

大雪山系を望む丘陵に広がる森の中に創られた大雪森のガーデンは、自然の木々をいかしながら 500

品種を超える草花が咲き誇ります。2009年より展開している「北海道ガーデン街道」の 8つのガーデ

ンのうちの1つとして数えられており、2015年には「北海道ガーデンショー2015」のメイン会場とな

っています。

また住民による町内環境美化活動も活発で、「花いっぱいの会」や「層雲峡温泉花ものがたり実行委

員会」等による、沿道の花壇作りを実施しています。

(5)雪・寒さ

○スキー場

町内には大雪山層雲峡黒岳スキー場と町営中山スキー場を有しています。観光客が多く訪れる黒

岳スキー場は、層雲峡温泉の上に鋭いピークをかざす黒岳(海抜 1,984m)の北東斜面に展開する北

海道を代表する山岳スキー場で、大雪山の大景観と良質の雪で定評があり、本州の 3,000m級と同等

であると言われます。シーズンは 11 月から 12 月にかけての初冬と 3 月から 5 月の春先に来客が集

中し、スキーヤーの基地となる層雲峡温泉では、豪華なアフタースキーを楽しむことができます。

○層雲峡氷瀑まつり

層雲峡で冬季に行われる一大イベントとして 2015年に 40周年を迎えました。自然を最大限に生

かして作られた氷像や建造物、オブジェ、ステージなどが一挙に集まり、夜には七色の光でライト

アップされます。

○アイスパビリオン

アイスパビリオンは、寒さ体験を年中楽しめる施設としては世界初で最大級のスケールで、なか

でも、アイスホールは通年マイナス 20℃に保たれ、氷柱群は、氷壁 600㎡、氷量 1,000tのスケー

ルを誇ります。また、マイナス 41℃の極寒体験コーナーやダイアモンドダストなどの体験型観光が

楽しめます。

(6)地熱エネルギー

良質な地熱エネルギーとして確認されている白水沢地区は、国立公園第 1 種特別地域内であること

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4

から、傾斜掘削や地表開発が認められていませんでしたが、平成 27年に国立・国定公園内での規制を

緩和する方針が示されたため、今後は、事業化に向けて取り組みを進めていきます。

2.上川町の交通

本町は国道 39号、273号、333号が町内を縦貫し、道央・道北・道東と結ばれています。また 2006年

に国道 450 号(旭川紋別自動車道)の愛山上川 IC - 上川天幕出入口間開通に伴い、上川層雲峡 IC を供

用開始、2010年には上川層雲峡 IC - 浮島 IC間が接続されました。公共交通機関としてはJR・バスが

接続しています。

本町は旭川商圏※に属していますが、車を利用する場合、旭川市街地まで約 1時間を要し、特に積雪期

の運転は、高齢者等にとって大変危険なものとなります。今後高齢化の進展とともに、車利用から公共

交通機関の利用にシフトしていくことが考えられますが、JR,バスはそれぞれ運行間隔が平均 1 時間

以上あり、通院等のための町外への転出者増加が懸念されます。

※平成 22年「北海道商業実態調査」(北海道)

①JR

札幌~網走間を結ぶ特急(オホーツク)は1日 4往復、旭川~北見を結ぶ特別快速(北見)は 1日 1

往復運行しています。旭川行きの普通列車は1日 8往復運行しています。

所要時間:札幌駅から上川駅…約 2時間 5分(特急)

旭川駅から上川駅…約 45分(特急) 、約 1時間 10分(普通)

網走駅から上川駅…約 3時間 10分(特急)

②バス

a.旭川~上川(道北バス)

旭川駅前~上川駅前~層雲峡を結ぶバスが1日 7往復運行しています。

所要時間:旭川・上川間…約 1時間 15分

b.上川~層雲峡(道北バス)

aに加え上川駅前~層雲峡間を結ぶバスが1日 3往復運行しています。

所要時間:上川・層雲峡間…約 30分

c.旭川~上川~北見(道北バス 石北号/予約制)

旭川駅前~上川駅前~北見バスターミナルを結ぶバスが1日 4往復運行しています。

所要時間:旭川・上川間…約 1時間 上川・北見間…約 2時間 30分

d.札幌~旭川~上川~紋別(中央バス 流氷もんべつ号/予約制)

札幌駅前~旭川駅前~上川駅前~北見バスターミナルを結ぶバスが1日 4往復運行しています。

うち 1往復が上川駅前に停留します。

所要時間:札幌・上川間…約 3時間 20分 上川・紋別間…約 2時間

e.上川~大雪高原旭ヶ丘(臨時シャトルバス)

上川市外~大雪森のガーデンを 1日 4往復運行しています。

所要時間:上川駅前~大雪森のガーデン…約 15分 ※JR、バスは平成 27年 4月時点での運行状況です。

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5

③マイカー・レンタカー

札幌インターチェンジ・旭川鷹栖インターチェンジ間

距離:125キロメートル 所要時間:1時間 35分

旭川鷹栖インターチェンジ・比布ジャンクション間

距離:19キロメートル 所要時間:14分

比布ジャンクション・上川層雲峡インターチェンジ間

距離:28キロメートル 所要時間:25分

上川層雲峡インターチェンジ・層雲峡間

距離:20キロメートル 所要時間:30分

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3.上川町の産業

ここでは、本町として取り組んでいくべき雇用創出を検討するため、現状の本町の産業および雇用状

況を分析します。

(1)概況

①事業所数及び従業者数の推移

本町の経済の動向を事業所数及び従業者数の推移から見ると、減少傾向が続いており、その減少に

歯止めがかかっていない状況です。町内の小売業だけをみても、事業者数、従業者数、年間販売額、

売り場面積共に 5年間で大きく減少しています。

本町の経済活動自体が縮小を続けていることが推測されます。

(図表1)事業所数、従業者数の推移

(資料)事業所統計、事業所・企業統計(昭和 56~平成 18 年)、平成 21 年経済センサス

(図表2)小売業の推移

H19 H24 H24/H19

事業所数 62 39 -37.1%

従業者数(人) 282 184 -34.8%

年間販売額(百万円) 4,762 3,733 -21.6%

売場面積(㎡) 4,278 2,949 -31.1%

(資料)平成 19年商業統計調査、平成 24年経済センサス

537 497

462 430

375

309 275

4,775

[値] 3,882 3,621

3,085

2,469 2,248

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

100

200

300

400

500

600

1981 1986 1991 1996 2001 2006 2009

事業所数 従業者数

従業者数(人) 事業所数

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②産業分類別就業者数

本町の産業分類別就業者数をみると、農業・林業、宿泊業・飲食サービス業への就業者数が多くな

っています(農業・林業はこのうち農業が大半を占めています)。

特に、町民のうち約 3割が宿泊業、飲食サービス業に就業し、大きな雇用の受け皿となっています。

男女別にみると、男性は建設業と公務、女性は卸売業・小売業と医療・福祉の分野の就業者も多くな

っています。年齢別にみると、男女とも 30歳未満の宿泊業・飲食サービス業への就業者が多くなって

います。ただし、これは町外から働きに来ている人を含みます。

(図表3)産業分類別就業者数(従業地による)

(資料)平成 22年国勢調査

(図表4)産業別就業者年齢構成

(資料)平成 22年国勢調査

人数 割合 人数 割合 人数 割合農業,林業 164人 12% 98 9% 262人 10% うち農業 129人 9% 91 8% 220人 9%漁業 5人 0% 3 0% 8人 0%鉱業,採石業,砂利採取業 1人 0% 0 0% 1人 0%建設業 195人 14% 29 3% 224人 9%製造業 23人 2% 17 2% 40人 2%電気・ガス・熱供給・水道業 19人 1% 0 0% 19人 1%情報通信業 0人 0% 0 0% 0人 0%運輸業,郵便業 79人 6% 40 4% 119人 5%卸売業,小売業 97人 7% 140 13% 237人 9%金融業,保険業 3人 0% 6 1% 9人 0%不動産業,物品賃貸業 5人 0% 5 0% 10人 0%学術研究,専門・技術サービス業 19人 1% 2 0% 21人 1%宿泊業,飲食サービス業 400人 28% 357 33% 757人 30%生活関連サービス業,娯楽業 34人 2% 33 3% 67人 3%教育,学習支援業 51人 4% 41 4% 92人 4%医療,福祉 45人 3% 135 12% 180人 7%複合サービス事業 30人 2% 14 1% 44人 2%サービス業(他に分類されないもの) 110人 8% 118 11% 228人 9%公務(他に分類されるものを除く) 139人 10% 43 4% 182人 7%分類不能の産業 0人 0% 3 0% 3人 0%

総数 1419人 100% 1084人 100% 2503人 100%

産業分類男性 女性 総数

42

11

33

34

152

22

24

41

36

27

15

44

88

45

41

97

38

53

23

42

124

45

35

85

69

61

24

48

221

53

58

123

44

49

21

44

141

11

16

144

41

23

3

25

31

4

8

44

0 100 200 300 400 500 600 700 800

農林漁業

建設業

運輸業,郵便業

卸売業,小売業

宿泊業,飲食サービス業

医療,福祉

公務(他に分類されるものを除く)

その他

15~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳~

(人)

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(2)農業

本町の農業は、農家戸数が 59 戸(2010 年世界農林業センサス)、耕地面積が 2,078ha の小規模な農

村地帯で、水稲、そば、野菜類が主要品目となっています。

平成 20年には上川町農業協同組合と愛別町農業協同組合が合併し、上川中央農業協同組合が誕生し

ました。

本町の農業の特色の一つとして、農業生産法人(有)グリーンサポートの設立が挙げられます。深

刻な後継者難・担い手不足といった課題に対して、規模拡大や第三者継承・新規就農などの戸別ベー

スの対応ではなく、全町を対象とした作業請負組織を設立し法人格を取得することにより、新たな担

い手候補者を広く募集・養成することから労力不足を補い、地域農業の維持・発展を図る戦略を進め

ています。

(図表5)販売用主要農作物生産状況

(資料)2010年世界農林業センサス

(図表6)家畜飼養農家件数と頭数

(資料)2010年世界農林業センサス、平成 25年度町勢要覧資料編

水稲 そば 野菜類(路地) 野菜類(施設)作付経営体 24 27 27 20作付面積 230ha 181ha 172ha 413a

乳用牛 肉用牛 豚飼養経営体数 4 8 1飼養頭数 1,384 1,074 2,705

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(3)観光

本町は大雪山連邦の自然を背景に、北海道第一の河川、石狩川の清流にも恵まれた豊かな自然に抱

かれ、景観や温泉等を活かした観光業が盛んな町です。

平成 19 年以降減少していた観光入込客数は、東日本大震災が発生した平成 23 年を底に回復傾向に

あり、直近では震災前の入込数を上回っています。特にここ数年は道外客の入込数が伸びています。

また、海外からの観光客は、台湾をはじめ東南アジアなど日本への観光、とりわけ北海道ブームが

起きて四季を問わず増加しており、リピーターも増えています。

夏季は近年ブームとなっている登山、冬季は北海道を代表する冬の祭りとして定着した氷瀑まつり

なども人気です。

(図表7)観光入込客数

(資料)北海道観光入込客数調査報告書

(図表8)外国人宿泊者数 (図表9)外国人宿泊者(国別)

(資料)北海道観光入込客数調査報告書 (資料)北海道観光入込客数調査報告書

1,140 1,463

1,653 1,681 1,600 1,632 1,573 1,327

1,059 1,192 1,401

1,429 1,086

886 874 900 683

536 675

647 606

624

2,570 2,548 2,539 2,556 2,500

2,315

2,109 2,002

1,707 1,797

2,025

33% 33% 35% 36% 36% 36% 36% 36% 35% 36% 34%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

道外客 道内客 宿泊客割合(右軸)

57

92

108 116

105 107

92 104

79

117

180

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

中国,

7,654 ,

4%

韓国,

2,489 ,

1%

台湾,

121,124 ,

67%

香港,

10,102 ,

6%

シンガ

ポール,

15,628 ,

9%

マレー

シア,

5,541 ,

3%

タイ,

12,955 ,

7%

その他,

4,496 ,

3%

(千人)

(千人)

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10

Ⅱ.人口動向分析と展望

1.現在までの人口動向

(1)人口と世帯数の推移

本町の人口は、国勢調査では、昭和 35 年の 15,289 人をピークに減少し、平成 22 年には、4,532 人

とピーク時の 3割程度になっています。

過去には、昭和 29年の台風による倒木処理事業で人口が増加しましたが、処理事業終了後、木材資

源喪失もあり人口の減少が急速に進み、平成に入ってからは 10年毎に約千人ずつ減少しています。

また、核家族化も進み、平成 17年には一世帯当たりの平均人数は 2.0人を下回っています。

(図表10)人口と世帯数の推移

(資料)国勢調査

3,419

4,763

6,399 6,438

8,025 7,931

8,488

13,391

15,289

14,231

11,372

9,805

9,302

8,018

6,668 6,285

5,718

5,176

4,532

897 1,167 1,126 1,174

1,404 1,533

2,253

2,923 3,196

2,943 2,894

3,562 3,264

2,896 2,980 2,853 2,666 2,303

5.31 5.48

5.72

6.84

5.65 5.54

5.94

5.23

4.45

3.86

3.39

2.61 2.46

2.30

2.11 2.00 1.94 1.97

0

1

2

3

4

5

6

7

8

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

T9 T14 S5 S10 S15 S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

総人口

世帯数

一世帯当たり平均人数

(人・世帯) (人/世帯)

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11

直近の人口推移を住民基本台帳でみると、本町の人口は平成 27年 3月には 4,000人を割り込んでい

ます。総数に比べ世帯数が大きく減少していないことから、親世帯を残して比較的若い世帯が町外に

転出していることが考えられます。

なお、本町の人口は、国勢調査と住民基本台帳とで比較すると、平成 22年時点で、国勢調査では 4,532

人であるのに対し、住民基本台帳では 4,329 人と約 200 人の差があります。これは、国勢調査時点で

住民票を移さずに本町に居住している人がいるためと考えられます。

(図表11)直近の人口の推移

(資料)住民基本台帳(各年 3月末時点)

6,726

3,978

2,615

2,141

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

総 数

世帯数

(人・世帯数)

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12

(2)年齢区分別人口の推移

年齢別にみると(年齢不詳を除く)、14 歳以下の年少人口と、15 歳~64 歳の生産年齢人口がとも

に減少する一方で、65 歳以上の老齢人口が増加しており少子高齢化が進んでいます。

高齢化率は平成 22年で 35.1%と、北海道平均 24.7%、全国平均 23.1%を上回っています。

(平成 26年 1月 1日時点の住民基本台帳では、39.0%とさらに 4.1ポイント上昇しています。)

(図表12)年齢区分別人口推移

(資料)国勢調査

(図表13)年齢区分別構成割合

(資料)国勢調査

4,045 4,310 3,929 2,910 2,312 1,794 1,321 912 696 560 496 444

8,972

10,471 9,732

7,812

6,766 6,602

5,772

4,727 4,346

3,678 3,045 2,496

374

508

570

650

727 906

925

1,029 1,243

1,480 1,633

1,592

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

65歳以上

15~64歳

0~14歳

30.2% 28.2% 27.6% 25.6% 23.6% 19.3% 16.5% 13.7% 11.1% 9.8% 9.6% 9.8%

67.0% 68.5% 68.4% 68.7% 69.0% 71.0%

72.0% 70.9%

69.1% 64.3%

58.9% 55.1%

2.8% 3.3% 4.0% 5.7% 7.4% 9.7% 11.5% 15.4% 19.8%

25.9% 31.6% 35.1%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

100.0%

S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

65歳以上

15~64歳

0~14歳

(人)

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13

(3)年齢構成ピラミッド

55~79 歳の人口が多くなっており、今後この世代が全て老齢世代となることから、急速な人口の自

然減少が予想されます。

20代~30代は男女とも少なく、将来の出生数に大きな影響を与えるものと予測されます。

(図表14)年齢構成ピラミッド

(資料)国勢調査

(4)平均寿命

町民の平均寿命は、平成 12年から 22年にかけて男性が 76.9歳から 79.6歳(+2.7歳)、女性が 84.2

歳から 86.0歳(+1.8歳)に上昇しています。

(図表15)平均寿命推移

(資料)市区町村別生命表

60

79

71

83

84

100

97

124

112

135

150

200

185

144

191

177

100

47

15

3

1

63

84

87

75

86

87

96

101

112

107

128

206

228

183

239

221

127

83

44

17

0

50 150 250

0 100 200 300

0~4

5~9

10~14

15~19

20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70~74

75~79

80~84

85~89

90~94

95~99

100~

H22 男 H22 女

76.9

79.1 79.6

84.2

85.5 86.0

77.6

78.3 79.2

84.8 85.8

86.3

72.0

74.0

76.0

78.0

80.0

82.0

84.0

86.0

88.0

H12 H17 H22

上川男性 上川女性 北海道男性 北海道女性

(人)

(人)

(歳)

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14

(5)社会動態・自然動態の推移

出生数は緩やかに減少、死亡数は平成 10年代前半まで全体的に微増していましたが、その後は年に

よって増減しつつもほぼ一定の範囲内で推移しています。

転出・転入は共に減少傾向にありますが、出生・死亡数よりも転出・転入数の方が数としては大き

くなっており、社会増減の方が全体に与える影響は大きくなっています。

近年は社会増減と自然増減が均衡しはじめ、平成 25年度では社会減が 36人、自然減が 41人となっ

ています。

(図表16)人口動態の推移

(資料)出生・死亡数:人口動態調査

転出・転入数:住民基本台帳人口移動報告

※転出・転入数は職権による記載また削除を加えたもの

-21 -16 -20 -16 -27 -15 -24 -26 -36 -33 -17

-43 -39 -43 -26 -27

-47 -46 -41

-132

-73

-151

-91

3

-63

-130 -117

-17 -27 -79

-120 -106

-34 -84 -48

-55 -78

-36

335 322

302 293

316

276 270 262

290

246

209 198

178

205

164 183

164 152

182

467

395

453

384

313

339

400

379

307

273 288

318

284

239 248

231 219

230 218

35 43 30 34 37

52

29 41

27 35 31 29 22

30 28 21 20 23 16

56 59 50 50

64 67 53

67 63 68

48

72 61

73 54 48

67 69 57

-153

-89

-171

-107

-24

-78

-154 -143

-53 -60

-96

-163 -145

-77

-110

-75

-102

-124

-77

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

500

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

社会増減

自然増減

転入

転出

出生

死亡

(人)

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15

(6)転出・転入年齢人口

転出・転入ともに 20代が多く、若年の転入は男性の方が多くなっていますが、転出は男女同程度と

なっています。

高齢者の転出入も多く見られます。

(図表17)転出・転入者 5歳ごと年齢人口ピラミッド

(資料)住民基本台帳人口移動報告 (平成 26年)

22

311

1913

1111

53

69

35

2

14

08

1312

44

90

3122

012

10

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H26 転入者(5歳ごと)

45

27

1716

94

84

1313

321

211

40

39

1318

58

45

21

822234

1

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H26 転出者(5歳ごと)

61

524

89

755

72

522

32

19

1913

85

11122

11

01

00

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H25 転入者(5歳ごと)

73

1116

1412

97

587

322

31

2

34

09

1913

66

33

12

61

334

02

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H25 転出者(5歳ごと)

221

1121

1499

64

118

53

2

72

012

2020

911

23

25

31

011

00

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H24 転入者(5歳ごと)

11

514

1614

95

94

554

233

532

23

010

196

46

33

712

055

35

3

0 10 20 30

0102030

0~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990~

男性

女性

H24 転出者(5歳ごと)

(人) (人)

(人) (人)

(人) (人)

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16

(7)純移動率推移 5歳階級別

かつては男女ともに 15~19歳→20~24歳の間の転出が突出していました。この世代は、現在でも転

出超過の傾向は続くものの、マイナス幅は小さくなってきています。

男性は、20~24 歳→25~29 歳の間、転入超過または転出が落ち着く形になりますが、25 歳~29 歳

→30~34歳の間で、再び転出が増える傾向にあります。45~49歳→50~59歳の間に向けて転出は少な

くなっていきますが、その後 60~64歳→65~69歳の間に三度転出が増えています。これは、高校卒業

に伴う町外への就職や、大学等への進学によって転出超過が発生しており、大学卒業後の新卒や早い

時期の転職などで地元に就職する人が増えるものの、定着していない可能性があります。

60 代の転出率が高くなっているのは、定年退職後、子どものいる地域や、生活利便性、高度医療を

求めて都市部等に移っている可能性が考えられます。

女性は男性と比べ、20~24 歳→25~29 歳の間の転入が男性より少なく、その分 25 歳~29 歳→30~

34歳の間の転出も抑えられていますが、その他は概ね同じ傾向が見られます。

(図表18)5歳階級別純移動率(男性)

(図表19)5歳階級別純移動率(女性)

(出典)住民移動調査 ※移動率がマイナス→転出超過 移動率がプラス→転入超過

-0.600

-0.500

-0.400

-0.300

-0.200

-0.100

0.000

0.100

0.200

0.300

0~

4歳→

5~

9歳

5~

9歳→

10~

14歳

10~

14歳→

15~

19歳

15~

19歳→

20~

24歳

20~

24歳→

25~

29歳

25~

29歳→

30~

34歳

30~

34歳→

35~

39歳

35~

39歳→

40~

44歳

40~

44歳→

45~

49歳

45~

49歳→

50~

54歳

50~

54歳→

55~

59歳

55~

59歳→

60~

64歳

60~

64歳→

65~

69歳

65~

69歳→

70~

74歳

70~

74歳→

75~

79歳

75~

79歳→

80~

84歳

80~

84歳→

85~

89歳

85歳~→

90歳~

S55→S60 S60→H2 H2→H7 H7→H12 H12→H17 H17→H22

-0.600

-0.500

-0.400

-0.300

-0.200

-0.100

0.000

0.100

0.200

0.300

0~

4歳→

5~

9歳

5~

9歳→

10~

14歳

10~

14歳→

15~

19歳

15~

19歳→

20~

24歳

20~

24歳→

25~

29歳

25~

29歳→

30~

34歳

30~

34歳→

35~

39歳

35~

39歳→

40~

44歳

40~

44歳→

45~

49歳

45~

49歳→

50~

54歳

50~

54歳→

55~

59歳

55~

59歳→

60~

64歳

60~

64歳→

65~

69歳

65~

69歳→

70~

74歳

70~

74歳→

75~

79歳

75~

79歳→

80~

84歳

80~

84歳→

85~

89歳

85歳~→

90歳~

S55→S60 S60→H2 H2→H7 H7→H12 H12→H17 H17→H22

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17

(8)若者の産業別就業者数(従業地別)

平成17年から22年にかけて、本町で働く若者の産業別就業者数をみると、男性は20~24歳(H17)→25

~29歳(H22)の間に「農林漁業」と「公務」の従業者が増えています。また、転出率の高い 25~29歳

(H17)→30~34歳(H22)にかけて、「建設業」従事者の減少が大きくなっています。30~34歳(H22)の従

業者数を単年度でみると、「農林漁業」と「宿泊業・飲食サービス業」が多くなっていますが、「建設

業」の減少を吸収しきれていない状況にあります。

女性は転出率の高い 20~24歳(H17)→25~29歳(H22)の間に「農林漁業」と「宿泊業・飲食サービス

業」の従事者数が大きく減っています。

(図表20)男性の産業別就業者数(従業地別)

(図表21)女性の産業別就業者数(従業地別)

(資料)国勢調査(H17、H22)

4

6

8

18

10

15

10

11

8

8

2

5

10

3

32

12

36

11

43

22

16

34

37

31

22

20

31

28

29

31

0

5

6

13

17

15

16

19

12

9

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

15~19歳(H17)

20~24歳(H22)

20~24歳(H17)

25~29歳(H22)

25~29歳(H17)

30~34歳(H22)

30~34歳(H17)

35~39歳(H22)

35~39歳(H17)

40~44歳(H22)

S61~

H2

生まれ

S56~

S60

生まれ

S51~

S55

生まれ

S46~

S50

生まれ

S41~

S45

生まれ

農林漁業 建設業 製造業

運輸業,郵便業 卸売業,小売業 宿泊業,飲食サービス業

教育,学習支援業 医療,福祉 公務(他に分類されるものを除く)

サービス業(他に分類されないもの) その他

10

9

18

4

5

7

2

3

4

4

28

33

47

23

10

16

18

24

16

24

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

15~19歳(H17)

20~24歳(H22)

20~24歳(H17)

25~29歳(H22)

25~29歳(H17)

30~34歳(H22)

30~34歳(H17)

35~39歳(H22)

35~39歳(H17)

40~44歳(H22)

S61~

H2

生まれ

S56~

S60

生まれ

S51~

S55

生まれ

S46~

S50

生まれ

S41~

S45

生まれ

農林漁業 建設業 製造業

運輸業,郵便業 卸売業,小売業 宿泊業,飲食サービス業

教育,学習支援業 医療,福祉 公務(他に分類されるものを除く)

サービス業(他に分類されないもの) その他

(人)

(人)

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18

(9)転出・転入先

転出、転入先ともに旭川市、札幌市が多くなっています。

(図表22)転出・転入先(2012年、2013年合計)

(資料)住民基本台帳人口移動報告

(10)通勤・通学

通勤・通学者は、町外へ行く方より町外から来る方のほうが多くなっています。このことは、主に

層雲峡温泉、建設・土木業、福祉施設への通勤や上川高校への通学が多くを占めると考えられます。

また、通勤・通学は来る方も行く方も旭川が 7割前後を占め、愛別町が次いでいます。

(図表23)通勤・通学者推移

移動後の住所 移動前の住所都道府県、市区町村 都道府県、市区町村

全国 397人 全国 365人北海道 359人 北海道 320人旭川市 149人 旭川市 91人札幌市 60人 札幌市 74人倶知安町 10人 士別市 12人登別市 8人 倶知安町 10人釧路市 7人 名寄市 9人東川町 7人 室蘭市 7人東京都 6人 東京都 7人

2012年,2013年合計

2012年,2013年合計

197 165 166

527 635

513

0

200

400

600

800

H12 H17 H22

町外への通勤通学者数

町外からの通勤通学者数

旭川市,

367, 71%

愛別町, 60,

12%

当麻町,

45, 9%

札幌市,

8, 2%

鷹栖町, 6,

1%

東神楽町,

6, 1%

東川町,

3, 1% 他, 18, 3%

旭川市,

107, 65%

愛別町,

34, 20%

当麻町, 6,

4%

比布町, 3,

2%

東川町, 3,

2%

遠軽町, 3,

2%

札幌市,

2, 1% 他, 7, 4%

(図表24)町外から上川町内への通勤・通

学者数 (働きに来ている人の市町村割合)

(図表25)上川町から町外への通勤・通学者

数(働きに出て行っている先の市町村割合)

(資料)国勢調査

(人)

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19

(11)合計特殊出生率

平成 20~24年度の合計特殊出生率は 1.33となっています。

周辺市町村である東川町、当麻町の合計特殊出生率は、平成 15~19年度から平成 20~24年にかけ

て急増しているのに対し、本町は微増に止まっています。また、人口維持水準の 2.07は大きく下回っ

ており、人口減少を抑止していく上では十分な水準ではありません。

転出入数の多い旭川市、札幌市、一極集中が進む東京都よりは高い値となっており、両市への転出

抑制や、首都圏からの移住促進によって、国全体の人口抑制に寄与出来る状況となっている一方、全

国平均を下回っており、今後の合計特殊出生率の改善が課題となっています。

(図表26)合計特殊出生率 推移

(資料)人口動態保健所・市区町村別統計

国, 1.38

東京都, 1.11

北海道, 1.25

札幌市, 1.08

旭川市, 1.31

[値]

[値]

[値] [値]

[値]

上川町, 1.33

当麻町, 1.42

東川町, 1.52

1

1.1

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1.8

S58~S62 S63~H4 H5~H9 H10~H14 H15~H19 H20~H24

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20

100% 92%

72%

53%

43% 36%

30% 23%

18%

7% 3%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

未婚率(男性)

北海道 上川総合振興局 上川町

100%

88%

49%

31%

22% 27%

14% 12% 8% 4% 2%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

未婚率(女性)

北海道 上川総合振興局 上川町

1%

5%

8%

11%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

離婚率(女性)

北海道 上川総合振興局 上川町

0%

2%

0%

5%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳

離婚率(男性)

北海道 上川総合振興局 上川町

(12)未婚率・離婚率

平成 22年の国勢調査によれば、本町は 30代~50代の男性未婚率が高くなっています。女性は 40~

44歳の未婚率がやや高い以外は道および振興局の値とほぼ同じ割合となっています。一方、離婚率は

女性が高くなっています。

(図表27)未婚率

(資料)平成 22年国勢調査人口等基本集計

(図表28)離婚率

(資料)平成 22年国勢調査人口等基本集計

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21

(13)子供のいる世帯・母子家庭比率

本町では近隣市町村と比較して、「6 歳未満世帯員のいる一般世帯」および、「18 歳未満世帯員のい

る一般世帯」の割合が小さくなっています。これは、高齢化が進んでおり高齢者のみの世帯が多いこ

と、高校進学時に町外に出て行ってしまっていること等が原因として挙げられます。

また、「女親と子供から成る世帯」(母子家庭)の比率は、周辺市町村と比較しやや低い値となって

います。子供がいる世帯のうち、女親と子供から成る世帯の割合をみると、6歳未満の子供がいる世帯

は道平均や周辺市町村と比較し、やや高い値となっています。

(図表29)子供のいる世帯・母子家庭比率

(資料)平成 22年国勢調査人口等基本集計

(図表30)6歳未満/18歳未満の子供がいる世帯中、女親と子供から成る世帯数割合

(資料)平成 22年国勢調査人口等基本集計

7.8% 8.1%

5.3% 7.5%

11.3%

5.6% 6.7%

9.5% 6.9%

20.2% 21.2%

12.6%

19.7%

33.3%

17.4% 16.7%

24.2%

20.7%

8.1% 6.6%

5.0%

8.8% 9.3% 7.6%

6.2% 6.7% 8.4%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

北海道

上川総合振興局

上川町

旭川市

東神楽町

比布町

愛別町

東川町

当麻町

6歳未満世帯員のいる一般世帯割合 18歳未満世帯員のいる一般世帯割合 女親と子供から成る世帯数割合

6.9%

4.6%

7.4% 8.9%

7.3%

5.5%

2.2% 2.1%

4.8%

14.3%

10.2% 11.1%

16.8%

14.3% 13.7%

7.2%

9.3%

12.2%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

北海道

上川総合振興局

上川町

旭川市

東神楽町

比布町

愛別町

東川町

当麻町

6歳未満の子供がいる世帯中、女親と子供から成る世帯数割合

18歳未満の子供がいる世帯中、女親と子供から成る世帯数割合

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22

2.将来人口推計

(1)上川町の将来人口推計

2010年に 4,532人だった人口は 2040年には出生数と移動の仮定によって異なりますが、1,853人~

3,146人の幅で推計されています。国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研とする)の推計(パ

ターン1)は、出生率が平成 22 年度の値で一定、移動率が 2005 年~2020 年から 2015 年~2020 年ま

でに現在の半分に縮小するという仮定のもと、推計されています。

(図表31)将来人口推計

(図表32)出生・死亡、移動に関する定義

パターン 概要 出生に関する仮定 死亡に関する仮定 移動に関する仮定

パターン1

(社人研

推計準拠)

主に平成 17(2005)年

から 22(2010)年の人

口の動向を勘案し将

来の人口を推計。

移動率は、今後、全域

的に縮小すると仮定。

原則として、平成 22(2010)

年の全国の子ども女性比(15

~49 歳女性人口に対する 0

~4 歳人口の比)と各市町村

の子ども女性比との比をと

り、その比が平成 27(2015)

年以降 52(2040)年まで一定

として市町村ごとに仮定。

原則として、55~59 歳→60~64 歳以下

では全国と都道府県の平成 17(2005)年

→22(2010)年の生残率の比から算出さ

れる生残率を都道府県内市町村に対し

て一律に適用。60~64 歳→65~69 歳以

上では、上述に加えて、都道府県と市町

村の平成 12(2000)年→17(2005)年の生

残率の比から算出される生残率を市町

村別に適用。

原則として、平成 17(2005)~

22(2010)年の国勢調査(実績)に

基づいて算出された純移動率が、

平成 27(2015)~32(2020)年まで

に定率で 0.5 倍に縮小し、その後

は そ の 値 を 平 成 47(2035) ~

52(2040)年まで一定と仮定。

パターン2

(日本創成会議

推計準拠)

社人研推計をベース

に、移動に関して異な

る仮定を設定。

パターン1と同様。 パターン1と同様。

全国の移動総数が、社人研の平成

22(2010)~27(2015)年の推計値か

ら縮小せずに、平成 47(2035)年~

平成 52(2040)年まで概ね同水準

で推移すると仮定(社人研推計に

比べて純移動率(の絶対値)が大

きな値となる)。

シミュレー

ション1

社人研推計をベース

に、出生に関して異な

る仮定を設定。

合計特殊出生率が人口置換

水準(人口を長期的に一定に

保てる水準の 2.1)まで上昇

したと仮定。

パターン1と同様。 パターン1と同様。

シミュレー

ション2

社人研推計をベース

に、出生と移動に関し

て異なる仮定を設定。

シミュレーション1と同様。 パターン1と同様。

人口移動が均衡すると仮定(転

入・転出数が同数となり、移動が

ゼロとなる)。

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

パターン1 4,532 4,034 3,628 3,229 2,856 2,528 2,233

パターン2 4,532 4,034 3,545 3,057 2,606 2,207 1,853

シミュレーション1 4,532 4,037 3,647 3,284 2,960 2,677 2,425

シミュレーション2 4,532 4,297 4,047 3,791 3,557 3,348 3,146

2,233

1,853

4,532

2,425

3,146

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

(人)

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23

(2)上川町の将来人口推計(3区分別)

下記は、社人研の人口推計(パターン1)を基に、年齢 3区分人口の推移を指数化したものです。

2040 年には本町の人口は 2,233 人と推計され、2010 年と比べて年少人口は 43%、生産年齢人口は

46%、老年人口は 57%にまで減少する推計となっています。

推計では、2015年を過ぎた頃から人口減少の第 2段階に進み、2025年頃から第 3段階に入ると予測

されます。

(図表33)2040年の人口指数と減少段階

区分 2010年 2040年

2010年を 100

とした場合の

2040年の指数

人口減少

段階

年少人口 444人 193人 43

3 生産年齢人口 2,496人 1,138人 46

老年人口 1,592人 901人 57

総人口 4,532人 2,233人 49

※推計は各年齢階級の小数点以下を四捨五入したもので、合計と一致しない場合がある。

(図表34)3区分別人口推計(2010年=1.00)

第一段階 : 老年人口増加 + 生産年齢・年少人口減少

第二段階 : 老年人口維持・微減 + 生産年齢・年少人口減少

第三段階 : 老年人口減少 + 生産年齢・年少人口減少 ⇒ 本格的な人口減少時代

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

年少 1.00 0.86 0.71 0.62 0.54 0.48 0.43

生産年齢 1.00 0.84 0.73 0.65 0.58 0.52 0.46

老年 1.00 0.98 0.94 0.84 0.73 0.64 0.57

総人口 1.00 0.89 0.80 0.71 0.63 0.56 0.49

0.43

0.46

0.57

1.00

0.49

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

第1段階 第2段階 第3段階

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24

社人研の推計を 3区分別にみると、2020年に高齢者比率が 41.4%でピークを迎え、その後微減して

いくと想定されます。

また、20~39歳の若年女性数は 2010年の 370人から 182人へ約半数となり、一層の少子化が予想さ

れます。

(図表35)3区分別人口推計と高齢者比率

(図表36) 若年女性(20~39歳)数の推計

(資料)社人研推計

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

老年人口 1,592 1,555 1,500 1,329 1,162 1,021 901

生産年齢人口 2,496 2,096 1,814 1,625 1,454 1,291 1,138

年少人口 444 383 314 274 240 215 193

高齢者比率 35.1% 38.6% 41.4% 41.2% 40.7% 40.4% 40.4%

32.0%

33.0%

34.0%

35.0%

36.0%

37.0%

38.0%

39.0%

40.0%

41.0%

42.0%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

370

310

286

266

240

220

182

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

(人)

(人)

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25

3.人口減少の要因分析と人口減少が地域に及ぼす影響

(1)人口減少の要因分析

① 人口減少の経緯

明治 28年に開拓の鍬がおろされ、本町の歴史がはじまりました。

大正 13年 1月には分村が実現し、人口 4,112人 750世帯の上川村が誕生しました。さらに、昭和 27

年 9月、29年余の歳月の流れのなかで幾多の変遷を経て発展を続け、町制が施行されました。

昭和 29年 9月に発生した台風 15号(洞爺丸台風)は、層雲峡奥地の原生林をはじめとして、本町

に 8,136万㎥もの倒木を発生させました。その後 5年間を要した倒木処理事業のために人口が一時的

に急増し、本町に空前の活況をもたらし昭和 35年には人口 15,289人を数えました。一方で、台風 15

号は町内の木材資源を損失させ、事業終了に伴い人口減少が急速に進み、本町の景気退潮が顕著に現

れました。

その後も人口減少は進み、昭和 60年には台風到来前(昭和 25年)の人口を下回り、今日まで人口

減少に歯止めがかかっていない状況にあります。

本町の自然増減・社会増減をみると、人口自体が減少しているため社会減の数値も小さくなってい

ますが、転出超過が続いています。また、出生数が少なく死亡数が多くなっているため自然減が拡大

しています。

なお、人口減少に与える影響は、社会減の方が圧倒的に大きくなっています。

人口減少は、若年人口が減少・老年人口が増加する「第1段階」、若年人口の減少が加速化・老年人

口が維持から微減に転じる「第2段階」、若年人口減少の一層の加速化・老年人口も減少する「第3段

階」に区分され、段階的に人口減少が加速していきますが、本町においては、平成 27年(2015年)を

過ぎた頃から「第2段階」へ、平成 37年(2025年)頃から「第3段階」に入っていくことが見込まれ

ます。

② 自然動態

総人口の推移に影響を与える自然動態については、平成に入る頃には出生数が死亡数を下回る自然

減に転じました。

近年では、出生数は微減、死亡数は微増しており、自然減が進んでいます。社人研の人口推計をみ

ると、今後年少人口は益々減少する一方、高齢化の進展により死亡も増加することで、自然減が一層

進むことが予測されます。

合計特殊出生率をみると、一時期より上向きになっているものの、平成 20年~24年度時点で 1.33

と、国の平均値より低い値となっており、出生数は年間 20人前後で推移しています。

本町においては、15~19歳→20~24歳および、20~24歳→25~29歳の女性の移動率が大きなマイ

ナスとなっており、その後も 40代までは転出超過となっています。このことにより、出産・子育て世

代を含む若年女性の多くが町外に出て行き、出生数が減っている大きな原因となっていると考えられ

ます。

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26

また、町内の出産・子育て世代の女性についても、子どもを 2人以上産む女性と、子どもを産まな

い女性に二極化していることが、全体として出生率を押し下げているとの意見が聞かれます。また、

男性の未婚率、女性の離婚率が高いことも 1つの要因として考えられます。

一方で、町内の出産・子育て環境については、全体的には満足度の高い声も聞かれています。

本町において、自然減に歯止めをかけるためには、若年層の町外への転出を抑制するため、雇用の

確保と出会いの場の創出で、町内での婚姻数を増やすとともに、出産・子育て環境の一層の整備によ

り、安心して子供を産み育てられる環境を整えていくことが課題となります。

③ 社会動態

社会動態については、統計データで確認出来るのは平成 8年以降ですが、人口減少の規模と社会的

背景からみて昭和 35年以降は減少に転じていると推測されます。なお、転出・転入先ともに、旭川市、

札幌市が大半を占めています。

かつて 15~19歳→20~24歳の間、男女ともに転出が突出していました。近年マイナス幅は縮小して

いますが、転出超過状態にあり町外に出て行っている状況は続いています。その理由は、高校卒業に

伴う大学・短大・専門学校への進学や就職のためと考えられます。

男性は 20~24歳→25~29歳の間、転入超過または転出が落ち着く形になります。これは大学等を卒

業後、町内に就職するなどして、本町に戻ってきているまたは町外から転入してきているためと考え

られます。

20~24 歳と 25~29 歳男性を産業別就業者数で比較してみてみると、「農林漁業」と「公務」の業種

で増えていることがわかります。大学卒業後、実家に帰って農林漁業を営む人と、公務員として町に

入っている人が一定数いるため、この間は移動率が比較的低くなっていると考えられます。

しかし、25歳~29歳→30~34歳の間、再び転出が増える傾向が見られます。産業別にみると、この

間「建設業」の就業者が大きく減っており、違う職を求めて町外に転出している可能性が考えられま

す。また、町内で雇用規模の大きい「農林漁業」「宿泊業・飲食サービス業」で吸収しきれていない状

況にあります。

女性は、近年 20~24 歳→25~29 歳の間に、15~19 歳→20~24 歳よりもさらに転出が多くなってい

ます。20~24歳と 25~29歳女性の職業内訳を比較して見てみると、男性で増えていた「農林漁業」「公

務」は増えておらず、「宿泊業・飲食サービス業」が大きく減っています。このことから、20~24歳時

に「宿泊業・飲食サービス業」についていた女性が、その後職を辞めて町外に出て行っていることが

考えられます。

男女ともに、45~49 歳→50~59 歳の間に向けて転出は少なくなっていきますが、その後 60~64 歳

→65~70 歳の間に転出が増えています。本町には大きな病院やショッピングモールがなく、これらの

用事を済ますためには旭川市まで車を利用して移動する人が多く、高齢化に伴い将来的に車の運転が

難しくなった時のことを不安に考え、定年退職に伴い子どものいる地域や、生活利便性、高度医療を

求めて都市部等に移っている可能性が考えられます。

本町の社会減の要因として、若者は男性の「建設業」離職者を他の業種が受け皿となれていないこ

と、女性の「宿泊業・飲食サービス業」就業者の離職に伴う転出が多いこと、高齢者の生活・医療面

を求めての転出が多いことがあげられます。

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町内の建設業は、行政から発注される公共事業を中心に稼働しておりますが、財政状況の厳しさか

ら公共事業等が抑制される傾向が続いております。

社会減少を食い止めるためには、本町の資源を活かした魅力ある産業を創出するとともに、基幹産

業である「農林水産業」(町内においては農業が大半を占める。)と「宿泊業・飲食サービス業」を含

む観光業を振興することで雇用を確保し、就業を安定化させていくことが求められます。

(2)人口減少が地域に及ぼす影響

① 経済の縮小

人口減少が及ぼす影響について、人口減少に伴い地域の就業者数が減少することで地域全体の所得

が減少し、それに比例して消費も減少することが想定されます。また、消費が減少することで、企業

の生産や設備投資も減少し、経済全体が縮小していくことが懸念されています。実際のデータでみて

も平成 19年から平成 24年にかけて、本町における小売業の年間販売額は大きく縮小しています。

また、中小企業の担い手不足による産業の停滞、農業の後継者不足による耕作放棄地や休耕地の増

加等の可能性も考えられます。

② 暮らし・環境・地域社会

地域の産業が衰退してしまうと、商店の撤退等によって毎日の買い物が不便になったり、飲食業や

娯楽施設が減少したりすることによって、町民にとっての町の魅力が減衰してしまいます。また、地

域の除雪や災害時の連携など、コミュニティの維持にも支障をきたすことが考えられます。

既に町内に存在するインフラのストックも、税収の減少や建設事業者の衰退によりインフラの維持

管理レベルの低下や、老朽化した施設の放置等といった問題も危惧されます。

また、公共交通機関等の維持に関しても課題が出てくる可能性があります。

③ 医療・福祉

生産年齢人口の減少により、高齢者に対して介護福祉を担う人材が足りなくなることや、高齢者自

体の減少により地域の医療・福祉のレベル維持が困難になる可能性が考えられます。

そうした場合、高齢者の一層の町外への転出が進むことが危惧されます。

④ 子育て・教育

年少人口の減少により、1学年あたりの人数が減り学校教育体制に支障が出ることが考えられます。

このことに伴い、学習や部活動等の集団活動といった面で子供たちの活動が妨げられてしまいます。

上川高校は、現在旭川市からの通学者により生徒数を確保していますが、本町だけでなく、旭川市

の年少人口も減少に歯止めがかからなければ、こうした体制の維持も難しくなることが想定されます。

このように、人口減少は様々な面で町民の生活に影響を及ぼしますが、地域の機能が低下すること

で一層の転出が進んでしまうという悪循環が起こります。

町民の生活および町の機能を維持・向上していくためにも、人口減少対策は予断を許さない状況に

あります。

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4.目指すべき人口の展望

(1)目指すべき将来人口

現在、本町では人口減少の進行に少子化、若年者の転出が加わることで更なる人口の減少を招く悪

循環が進んでおり、このまま何の対策も取らなかった場合、2040年までに人口が半分以下になってし

まう可能性があります。また、今後の高齢化進展に伴い自然減が増加することから、人口減少は避け

て通れない状況にあります。

町としての活力を将来にわたって維持していくためには、人口の定着を一層推進し、子育て環境の

整備や雇用の場の拡大・創出など魅力と活力にあふれるまちづくりに総合的に取り組むことにより、

人口の減少を最小限に抑制する必要があります。

このため、今回策定する『上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略』では、従来にも増して人口減

少に歯止めをかける各種施策の立案・推進を図り、具体的目標として 2040年時点で総人口 3,000人の

確保を目指します。

(2)将来人口を達成するために必要な条件

人口減少に歯止めをかけるためには、大きく2つの対応が考えられます。一つは、出生者数を増加

(合計特殊出生率の改善)させることにより人口減少に歯止めをかけ、将来的に人口構造そのものを

変えていくことです。もう一つは、転出の抑制、転入者の増加による社会増を拡大(純移動率の改善)

していくことです。

人口の将来推計は、「合計特殊出生率」と「純移動率」を設定して算出されることから、将来人口を

設定し、そのための合計特殊出生率、純移動率を逆算することが出来ます。

ここでは、2040 年に総人口 3,000 人を達成するための合計特殊出生率及び純移動率をどのように設

定すべきかについて検討し、本町の人口を 2040年時点で 3,000人に保つための出生率と移動率の条件

を、人口推計のシミュレーションから逆算しました。

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(3)推計結果

推計の結果、移動率を 0(転入者数=転出者数)、合計特殊出生率を 1.53まで上昇させれば、2040

年に 3,000人を維持することが出来ます。近隣市町村では、東川町の平成 20~24年の合計特殊出生率

が 1.52となっています。

本町では、層雲峡等の寮に住み込みを希望し、シフト体制で勤務している若年女性が多いことや、

町内に産婦人科がないなど構造的な問題があり、直ちに合計特殊出生率 2.1(シミュレーション 1)を

達成できる状況にはありませんが、政策取り組みにより平成 31年度までに 1.53までの改善を目指し、

更に移動率を 0に向けた取り組みを実施することで、2040年時点で総人口 3,000人を達成することを

目指します。

2040年時点総人口:3,000人

社会増減:移動率 0

自然増減:合計特殊出生率 1.53

(図表37)将来人口推計

(資料)国勢調査(H12~H22)

2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

これまでの動き 5,718 5,178 4,532

パターン1(社人研) 4,532 4,034 3,628 3,229 2,856 2,528 2,233

パターン2(日本創成会議) 4,532 4,034 3,545 3,057 2,606 2,207 1,853

独自推計 4,532 4,297 4,049 3,772 3,496 3,247 3,003

5,718

5,178

4,532 4,297

4,049

3,772

3,496

3,247

3,003

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

(人)

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(図表38)自然増減推計

(資料)人口動態調査

(図表39)社会増減推計

(資料)住民移動基本台帳

2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

これまでの動き 186 163 123

パターン1(社人研) 123 109 92 81 73 66 59

パターン2(日本創成会議) 123 109 90 77 66 56 47

独自推計 123 119 124 118 113 110 104

186

163

123 119

124 118

113 110 104

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

これまでの動き -375 -370 -392

パターン1(社人研) -392 -253 -152 -132 -120 -108 -91

パターン2(日本創生会議) -392 -253 -233 -225 -210 -197 -174

独自推計 -392 0 0 0 0 0 0

-375 -370 -392

0 0 0 0 0 0

-500

-400

-300

-200

-100

0

100

(人)

(人)

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(4)上川町の将来人口動向

社会増減を 0、出生率を 1.53に改善することで、社人研の推計で 2040年に 2,233人と推計された総

人口は 3,003人と 770人の改善効果があります。また、社人研の推計で 2040年に 193人と推計された

年少人口は 327人となります(134人、69%増加)。同様に 2040年に 1,138人と推計された生産年齢人

口は 1,478人(340人、29.9%増加)、高齢人口は 1,198人(297人、33.0%増加)となります。高齢人

口が増えるのは、現状で 60歳前後での転出が多いためこの層の転出超過が抑制されることと、取り組

み開始後に増加する生産年齢人口に分類されていた人たちが次第に高齢者に移行していくためです。

こうしたことから、一時的に社人研の推計よりも高齢者比率が高まりますが、次第に低下し、2040

年以降は社人研推計よりも低くなっていくと推計されます。

(図表40)将来人口推計(3区分)

※推計は国勢調査を基に行っており、住民基本台帳の数値とは異なります。

(図表41)高齢者比率

444 383 405 314 366 274 361 240 355 215 341 193 327

2,496 2,096 2,215

1,814 1,965

1,625 1,806

1,454 1,682

1,291 1,582

1,138 1,478

1,592

1,555 1,677

1,500

1,719

1,329

1,605

1,162

1,459

1,021

1,324

901

1,198

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

実績値(国調)

社人研

独自推計

社人研

独自推計

社人研

独自推計

社人研

独自推計

社人研

独自推計

社人研

独自推計

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

0~14歳 15~64歳 65歳~

35.1%

38.6%

41.4% 41.2% 40.7% 40.4%

40.4%

35.1%

39.0%

42.4% 42.6% 41.7%

40.8%

39.9%

30.0%

32.0%

34.0%

36.0%

38.0%

40.0%

42.0%

44.0%

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

社人研 独自推計

(人)

改善効果

770人

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第二部 総合戦略 ~ おもてなしのまち・上川町に住み続けるために ~

Ⅰ.基本的な考え方

国では、平成 26 年度に「まち・ひと・しごと創生法」を施行し、人口減少に歯止めをかけるととも

に、東京圏への一極集中の是正、地域活性化をキーワードとして、将来にわたって活力ある日本社会を

維持していくことを目指しています。

本町では、この方針を踏まえ、町の独自性を最大限に活用し、人口減少問題の克服と将来に向けて成

長力の確保を目指し、地方版総合戦略となる『上川町まち・ひと・しごと創生総合戦略』を策定し、町

の基幹産業である農林水産業及び観光業の振興を図りながら、町民全体で私たちの住み続ける、「おもて

なしのまち・上川町」をつくりあげていきます。

「国の総合戦略」においては下記の 4つの基本目標を設定し、地方における様々な施策による効果を

集約し、人口減少の抑制と東京一極集中の是正を進めていくこととしており、本町においても、国の基

本目標に沿って、総合戦略の基本目標を設定します。

■国及び上川町の基本目標

① 地域における安定した雇用の創出

② 地域への新しい人の流れをつくる

③ 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

④ 時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

本町では、国の総合戦略に盛り込まれた下記政策 5原則の趣旨を十分踏まえ、関連する各施策を展開

します。

① 自立性(自立を支援する施策)

地方・地域・企業・個人の自立に資するものであること。この中で、外部人材の活用や人づくりに

つながる施策を優先課題とする。

② 将来性(夢を持つ前向きな施策)

地方が主体となり行う、夢を持つ前向きな取り組みに対する支援に重点をおくこと。

③ 地域性(地域の実情等を踏まえた施策)

国の施策の「縦割り」を排除し、客観的なデータにより各地域の実情や将来性を十分に踏まえた、

持続可能な施策を支援するものであること。

④ 直接性(直接の支援効果のある施策)

ひと・しごとの移転・創出を図り、これを支えるまちづくりを直接的に支援するものであること。

⑤ 結果重視(結果を追求する施策)

プロセスよりも結果を重視する支援であること。このため、目指すべき成果が具体的に想定され、

検証等がなされるものであること。

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Ⅱ.上川町の「総合戦略」における4つの基本目標

1.4つの基本目標

(1)地域における安定した雇用の創出

本町の転出・転入状況をみると、旭川市、札幌市等への転出が多くなっています。特に若年層の転出

が多く、高校卒業に伴う町外への就職や、大学等への進学によって大幅な転出超過が発生しているとと

もに、卒業後に町内企業に就職するなどして地元に戻ってくる割合が少なくなっています。

また、いったん町内に就職しても、20~30代の内に町外に転出しているケースも多く見受けられます。

本町の基幹産業である農林水産業及び観光業の振興や、本町の地域資源を活かした魅力ある産業の創

出により雇用を創出し、若年者の転出超過に歯止めをかけ、社会動態の改善へと繋げます。

<ヒアリング結果>

◆地域資源を活かした通年雇用の創出

・雇用がなければ若い人が移住してこない。若い人も職場を求めて町外へ出て行く。町外から来た人の

就職先は役場や農協が中心である。上川町の大雪森のガーデンで雇用が増えたように町内の資源を活

用した仕事を創出するべき。

・自然の中で働きたい人は多いのでは。実際にヒグマ情報センター等には町外の人が紹介で入ってきて

いるし、ガイドや登山関連の仕事をしている人もいる。しかし、通年雇用出来ないため、定住に結び

付いていない。

・水、日本酒、そば、ワイン、大根、獣肉などの加工を含めて 6次産業化を進められないか。

◆観光振興

・若い人が楽しめる企画を町中に増やす。登山や山菜取りなども近年若者に人気がある。

・層雲峡がただの宿泊地になってしまっているので、案内や観光と絡められないか。ホテル外に出てい

くような仕掛けも必要。

・山の上の方に山荘やヒュッテなどが建てられると山の観光が変わるかもしれない。道内には縦走のた

めの山小屋が少ないため差別化ができ、大雪山・麓の温泉・釣りなど素材が揃っているので、道内の

山登りの拠点となる可能性がある。

◆産業の活性化

・企業・事業の承継で困っている事業者に対し、家族以外の人に承継させるような後継者支援の仕組みを

強化できないか。若者の起業に対しイニシャルコストの支援ができないか。

・災害が少なく、冷涼な気候を活かして企業やデータセンターなどの誘致を進められないか。

・地理的な強みを生かしたエネルギー政策を執るべき。地熱発電とともに木質バイオマスの利用も検討

してみては。

・町で管理出来る森林が増えれば仕事も増える。

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(2)地域への新しい人の流れをつくる

本町に所在する企業等へのヒアリングによれば、企業側からの雇用ニーズに対し、一部十分な採用が

行えていない状況にあります。人材募集に対して人が集まらない、または人材が定着しない主な理由の

一つとして、町外からの転入者を受け入れる住居等のインフラ及び情報入手のための手段が整っていな

いことが挙げられています。このため、町内に就職していても、町外に住み通勤している人が多くなっ

ています。

また、こうした状況は、同時に「ちょっと暮らし」も含めた移住・定住希望者も町に入りづらい状況

をつくり出しています。

このような現状について、本町では転入者を増やすポテンシャルを多分に抱えていると捕らえ、ハー

ド・ソフト両面の整備により、転入増加へと繋げます。

<ヒアリング結果>

◆移住・定住対策の推進

・町外者向けの住宅補助制度の創設や、空き家を利用してシェアハウスなどにし、「体験型移住」をPR

してみてはどうか。また、ワンストップサービスの拠点を整備してはどうか。

・移住者同士のコミュニティを作ってはどうか。移住者が楽しく暮らしているということが、口コミ等

で伝われば、次の移住・定住につながる。

・外国人にも目を向けてはどうか。

・上川高校には旭川から通学している生徒がいるが、卒業したら旭川に帰ってしまう。

・旭川からの通勤者が多く、この層を取り込むのが確実に思える。

◆住環境・住宅情報の整備

・上川には不動産屋がなく、古民家、アパート等の情報提供に課題がある。

・内定者が入社しないのは住宅問題が大きい。

・町で空き家バンクのようなことはできないのか。

◆地元での就業支援

・職業体験は既にやっているが、これを地元での就職につなげる手立てはないか。

・町外からの通学者と同様に、「町外へ」通学する地元の生徒にも交通費の補助が欲しい。部活をするに

は旭川に行くしかない。高校生が旭川から上川町に通う通学費の助成はあるが、逆に上川から旭川に

通う通学費の助成があれば、上川から出ていく人が減るのではないか。

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(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

本町における平成 20~24年度の合計特殊出生率は 1.33となっており、国の平均値を下回っています。

また、男性の未婚率、女性の離婚率が高く、子供のいる世帯数の割合が少なくなっています。

厚生労働省の実施する出生動向基本調査によれば、独身男女の約 9割は結婚の意思を持ち、希望する

子供の数も 2 人以上となっています。若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば、合計特殊出生率は

改善することも見込まれ、本町における少子化の流れにも歯止めをかけることができます。

このため、若年世代が安心して働ける質の高い職場を生み出すとともに結婚希望の実現率を引き上げ、

結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援に取り組むことによって、夫婦が希望する子育て環境を

提供し、夫婦の予定する子どもの数の実現割合を引き上げるよう取り組みます。

<ヒアリング結果>

◆結婚支援策について

・民間の結婚相談所の設立運営に関して、町として協力できないか。

◆「出産・子育て」について

・お金の支援や手厚い援助があり上川町は恵まれている方だが、近隣の充実している市町村に比べると

補助・助成など特色のあるものは少ないかもしれない。

・出産や検診には町外に出なければならない。交通費の補助が欲しい。

・町内に実家がある人は子育ての支援を頼めるが、町外から来た人にとっては不安だと思う。出産後に

手伝ってもらうサポート体制が欲しい。買い物の時間に預けられる人がいるとうれしい。お年寄りに

ベビーシッターの役割をしてもらえるとありがたい。

・高校まで医療費無料だと嬉しい。中学まで医療費無料だがやはりお金がかかる。

・こうした施策はあるが、子どもを産んだ人に対してこういうものがありますよと伝えているだけで、

対外的なPRをしていない。パンフレットやHPで、上川町の出産・子育てに関する施策をPRする

必要がある。

・子育て世代の交流及び多世代の交流の場があればいい。

・現在実施している高齢者サービスは電話での相談受け付けや家事援助等の事業があるが、これらを子

育て世代にも適用できないか。

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(4)時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

人口減少や少子高齢化への対策として、社会動態、自然動態の改善に向けた取り組みを積極的に行う

ところではありますが、施策効果が表れてもこれらの課題が解決されるには長い年月が必要であり、そ

の間、人口減少、少子高齢化はある程度のところまで進んでいきます。そのため、人口動態の改善に向

けた取り組みと並行し、人口減少、少子高齢化に対応したまちづくりを進めていく必要があります。

本町においては、市街地の賑わいの醸成、高齢者世帯が安心して暮らせる支援体制の構築、雪対策の

充実、他地域や民間等の多様な主体との連携強化による成果の充実強化を図ることで、人口減少、少子

高齢化社会においても住民の暮らしやすい、持続可能なまちづくりを実現します。

<ヒアリング結果>

◆防災

・住宅の整備等を実施するのであれば、それに合わせて消火栓など防災面も整備する必要がある。

◆雪対策

・民家の除雪は命に関わる問題でもあり、高齢化が進むにつれて除雪ニーズが一層高まってくることが

想定されるため、対策が必要。

・ボランティアが行っている民家の除雪を有料化して民間で受けてはどうか。

・高齢者住居の間口除雪は今後ニーズが増す。

・人海戦術的な取り組みだけでなく、ハード面での工夫ができないか。その際、バリアフリー工事への

助成制度を活用できないか。

◆医療・福祉

・病院が医療センターしかなく不安。大きな病院は旭川にしかなく重大疾患は行かねばならない。

・上川町を終の棲家にしてもらうような体制つくりが必要。

・子育て世代も含めた多世代の交流の場があればいい。

◆地域コミュニティ

・今後はコミュニティの充実、おもてなしがまちづくりの上で重要になってくる。

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2.世代別課題と施策

以上の目標を達成するためには、本町で生まれ育った人と町外から本町に移住した人が、ともに将来

にわたって暮らしていくための「生涯を通じた切れ目のない施策体系」が必要です。

以下に、本町の抱える世代別課題と必要とされる施策を示します。

<世代別課題と施策>

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0~

4歳

5~

9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口(H22) 純移動率(H22 H17比)

大学進学、就職世代以降も転出超過が続く

→転出を抑制し、転入を促す…2-(4)-①、②/P44

若年層の転出率が高い

→産業の創出、雇用の確保…1-(4)-①、②/P41.42

未婚率・離婚率が高い

→結婚のきっかけをつくる…3-(4)-①/P46

地域の魅力を活かしたまちづくり

→賑わい、インフラ整備…4-(4)-①/P48

防災…4-(4)-②/P48

雪対策の充実…4-(4)-③/P49

他地域との連携…4-(4)-④/P49

高齢化社会の継続

→安心して暮らせる支援体制…4-(4)-②/P48

出生数・出生率が低い

→出生率を向上させる子育て支援施策等の実施…3-(4)-②/P46

安心して子育て出来る環境をつくる

→充実した子育て支援…3-(4)-②/P46

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38

時期

対象

幼年~

少年期 中・高生 青年期

町民

移住

希望者

観光客

町外

【特産品開発および農業の6次産業化の推進】

○農畜産物の高付加価値化・商品開発・6次産業化

【企業誘致の取り組みの強化】

○補助金拡大・充実に関する検討

○トップセールスの推進

【起業家への創業支援】

●町外在住者への起業助成対象拡大

【白水沢地区地熱資源開発の推進】

○地熱資源の開発の推進

○熱利用による地域振興の検討

【観光業の振興】

○観光客誘致対策事業の継続

○広告宣伝活動を強化

●大雪高原旭ヶ丘地区へのシャトルバスの運行支援

○大雪山系登山の拠点づくり強化

【移住、定住対策の推進】

●移住希望者向けたパンフレットの作成

●移住に対する事前相談、土地取得や住居の新築、

引越し等各種支援

●空き家のシェアハウス等への活用、ちょっと暮らし

体験施設の整備

●移住者からの意見聴取・情報提供

●都市部における移住希望者の積極的な発掘

【就業支援の取り組み】

○中高生の職場体験の継続

○上川高校との連携や奨学

金制度の活用等

【上川町の魅力づくりの取り組み】

○余暇の過ごし方や生涯学習の充実

【出会いの場の創出】

●若年者の交流機会促進、出会いの場の拡充

【結婚の希望を叶える取り組み】

●結婚や新生活の支度金助成等

●結婚相談所との連携

●上川の資源を活かした着地型観光ルートの設定

●体験型観光プログラムの整備

●外国人観光客誘致対策整備事業(多言語化の推進、

Wi-Fi環境の整備促進、海外トップセールスの実施等)

【特産品開発および農業の6次産業化の推進】

○上川町ふるさと応援寄付事業の強化

【商店街の賑わいの創出】

○上川町プレミアム商品券の発行

●市街地・層雲峡地区商店街の空き店舗・空き地活用

【地域住民等によるまちおこしの推進】

○町内環境美化活動支援

○情報発信事業推進

【福祉複合施設の整備及び多世代交流施設の利用促進】

●社会福祉センターの多機能化と多世代利用

【防災及び地域消防力の充実強化による安心安全なまち

づくりの促進】

○防災情報の提供推進

○災害協定締結団体増加、地域の消防力を強化

※表記について

●は新しい取り組み、

○は既存の取り組みの維持・継続を表します。

各施策の枠の色は下記の通り基本目標の分類を

示しています。

地域における安定した雇用の創出

地域への新しい人の流れをつくる

若い世代の結婚・出産・子育ての

希望をかなえる

時代にあった地域をつくり、安心なくらしを

守るとともに、地域と地域を連携する

【学習・教育環境の充実】

●自然環境を活用した体験型学習プログラムの推進

●上川町の農林水産業や観光業等を活かした教育環境の充実

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39

出産・子育て期 子育て

終了期 高齢期

【おもてなし推進事業による町全体のホスピタリティ向上】

○ホスピタリティや接客に関する研修の実施

○町全体の「おもてなし」意識の向上

【出産支援等の充実】

○出産等に係る支援制度の実施

○妊婦検診に係る支援を強化

○出産祝品(金)等の贈呈

○子ども医療費助成事業の継続

【子育て支援等の充実】

○保護者負担の軽減を継続・強化

●地域子育て支援センターの機能を強化

(一時預かり保育等のサービス充実)

【交通手段の確保・充実】

●交通手段の確保・充実

【除雪ボランティアの充実強化】

○除雪ボランティアの体制構築

【リフォーム補助制度の拡充】

○雪対策に資する住宅改修に関する助成

【在宅ケア制度の充実】

●一人暮らしの高齢者の将来を支える総合的な

システム戦略事業を実施

○在宅ケア制度の充実(安否確認事業、高齢者福

祉タクシー料金助成事業の継続等)

【医療体制の充実】

○訪問診療の体制整備

【除排雪費用の助成】

○除排雪にかかる費用の助成の継続・充実

●住宅の間口除雪に関する助成

【広域行政の推進】

○定住自立圏構想を推進

○広域観光圏の形成

○ゴミ・し尿処理や消防の広域行政体制の継続

【光回線導入による情報基盤整備・サービス提供の推進】

●光回線導入エリアの拡大

【後継者の育成】

○農業分野における後継者支援事業の継続・強化

●町内企業と就業・後継希望者とのマッチング等後継者育成支援

【森林・林業再生プランの推進】

○民有林の購入による雇用機会の創出

○木質バイオマス(ウッドチップ)の利活用の推進

【雇用対策事業の推進】

●冬期間雇用対策に係る新規創業支援交付金の創設

●新たな産業(工芸技術等)の担い手育成研修等

【就業支援の取り組み】

●移住希望者への仕事の紹介や情報提供等

【不動産物件情報の集約と提供】

●空き家バンクの運用開始

●物件情報の集約と情報発信の強化

【既存住宅の利活用推進】

○リフォーム補助制度の拡充、住環境の改善

●空き家の有効活用

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40

Ⅲ.施策の方向と重点施策

1.地域における安定した雇用の創出

(1)目標

新規雇用者数 5年間で 40人増

(2)現状と課題

・若年層は転入者も一定数いますが、それ以上に転出者が多い状況です。平成 17 年から 22 年にか

けては、若年男性は建設業従事者が減少しており、本町の基幹産業である農業や観光業など雇用

規模の比較的大きな業種で吸収しきれず町外への転出者が多くなっています。女性は観光業従事

者が減少しています。

・町内企業ではこうした転出などによる雇用の募集はありますが、応募が少なく人材確保が難しい

状況にあります。一方で、自然を相手にする職業は人気もありますが、通年雇用に課題があり、

町内への移住・定住は進んでいない状況です。

・市街地以外の地域にはインターネット環境が整っていないため、テレワーク推進、若者の定着等

に課題があります。

(3)施策の方向

①上川町の地域資源を活かした魅力ある産業の創出

・行政や町内企業及び各関係機関などによる連携体制の構築を基礎として、地産地消の推進や本町

に眠っている新たな地域資源の発掘、ブラッシュアップ等により魅力ある産業の育成に取り組み、

雇用の場の拡大と特産品開発を促進し、通年雇用を確保します。

②観光業、農林水産業の振興における雇用の確保、就業の安定化

・本町の基幹産業である農林水産業、観光業に一層力を入れ振興を図ることで、この分野における

雇用者数を拡大するとともに、就業を安定化させる取り組みを行います。

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(4)重点施策

①上川町の地域資源を活かした魅力ある産業の創出

○特産品開発および農業の6次産業化の推進

・農畜産物の高付加価値化に取り組み、商品開発を行うとともに、6次産業化に取り組みます。

・上川町ふるさと応援寄付事業において、感謝特典に特産品を贈呈し、PR強化に取り組みます。

○企業誘致の取り組みの強化

・企業誘致条例に即した補助金の拡大・充実に関する検討やトップセールスの推進により、企業誘

致活動の強化に取り組みます。

○起業家への創業支援

・産業振興条例により町民に対して実施している起業支援を、町外在住者が町内において起業す

る場合にも適用が受けられるよう対象者の範囲を拡大するなど、創業支援に取り組みます。

○白水沢地区地熱資源開発の推進

・白水沢地区の地熱資源の開発を推進し、熱利用による地域振興について検討を進めます。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

特産品の開発 3品以上

新規開業者数 10件

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②観光業、農林水産業の振興における雇用の確保、就業の安定化

○観光業の振興

・観光客誘致対策事業を継続的に実施するとともに、広告宣伝活動を強化することにより、観光

業の振興を図ります。

・多言語化を推進するとともに、Wi-Fi環境の整備促進や海外に対するトップセールスの実施な

ど、外国人観光客誘致対策整備事業を推進します。

・大雪高原旭ヶ丘地区における誘客を促進するため、シャトルバスの運行を支援します。

・大雪山系登山の拠点づくりを強化します。

・登山、温泉、釣り等、上川の資源を活かした着地型観光ルートを設定し、体験型観光プログラ

ムの整備を推進します。

○おもてなし推進事業による町全体のホスピタリティ向上

・町民や商店経営者及び従業員、団体等職員、町職員等に対し、ホスピタリティや接客に関する

研修を定期的に実施し、町全体の「おもてなし」意識の向上を目指します。

○後継者の育成

・農業分野における新規就農者及び新規就農者を雇用する法人、後継者に対する支援事業を継

続・強化するとともに、農業以外の分野についても町内企業と就業・後継希望者とのマッチン

グを図るなど後継者の育成に取り組みます。

○森林・林業再生プランの推進

・民有林の購入により森林整備を推進し、雇用機会を創出します。

・公共施設を中心にバイオマスボイラーの導入を進めるなど木質バイオマス(ウッドチップ)の

利活用を推進することにより、当該分野での雇用者数を増やします。

○雇用対策事業の推進

・冬期間の雇用を実現する新たな産業の創出を図るため、冬期間雇用対策に係る新規創業支援交

付金を創設します。

・工芸技術を活かした新たな産業の創出を図るため、担い手となる人材を育成するための研修等

を実施します。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

宿泊者数 年間 73万人

観光客数 年間 220万人

外国人観光客数 年間 25万人

大雪高原旭ヶ丘地区への誘客の増加 年間 10万人

Wi-Fi設置数 5か所増

新規就農者数 5人

林業関連雇用者数 10人

冬期間雇用対策新規雇用者数 5人

バイオマスボイラー導入施設 2施設

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2.地域への新しい人の流れをつくる

(1)目標

社会増減 0

(2)現状と課題

・かつては進学及び卒業後の就職に伴い若者を中心とした町外への転出が中心でしたが、直近では

20代後半や 30代での転出も多くなっています。また、退職前後を中心に高齢者の転出も多い状況

です。

・町内に賃貸物件に関する情報が少なく、移住・定住の妨げになっています。

(3)施策の方向

① 地元での雇用拡大とUIJターンの拡大

・地元での就職・雇用を促進するとともに、卒業後のUIJターンの拡大を図ります。

・本町の基幹産業である農林水産業、観光業に一層力を入れ振興を図ることにより本町に興味を持

ち、移住・定住を考える人を増やします。

・町内への移住に関するハード面・ソフト面での整備を進め、移住希望者に対し十分な生活環境を

提供できる体制を整えます。

・暮らしの場としての本町の魅力を積極的に発信しつつ、移住に関する相談等のサポート体制を構

築し、移住支援策を充実させます。

②多様なニーズに対応した住宅・住環境の整備・情報提供

・移住者増加と転出者抑制を図るため、空き家を活用して多様なニーズに対応した住宅・住環境を整

備するとともに、情報提供の取り組みを強化し、移住・定住を促進します。

・町ではこれまでに、外観調査・地図・物件写真等を掲載した「空き家台帳」を作成しており、こ

れらを基に空き家等の活用を推進します。

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(4)重点施策

①地元での雇用拡大とUIJターンの拡大

○移住、定住対策の推進

・外国人を含む移住者の定住を促進し、移住希望者向けパンフレットの作成及び事前相談、土地

取得や住居の新築、引越し等についての各種支援策を実施します。

・空き家をシェアハウス等として活用することや、ちょっと暮らし体験施設を整備します。

・移住者からの意見聴取を行い、移住希望者への情報提供に努めます。

・都市部における移住希望者を発掘するため、積極的な発信に努めます。

○就業支援の取り組み

・移住希望者に対し、仕事の紹介や情報提供を図るなど、就業支援に取り組みます。

・中高生の職場体験の継続、上川高校との連携や奨学金制度の活用などにより、地元就職の促進

を図ります。

○上川町の魅力づくりの取り組み

・趣味やスポーツに親しむ取り組みを支援し、余暇の過ごし方や生涯学習の充実を図ります。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

移住世帯数 10世帯

②多様なニーズに対応した住宅・住環境の整備・情報提供

○不動産物件情報の集約と提供

・空き家バンクの運用を開始します。

・町外から移住、転入する方に対し、公営住宅や賃貸住宅の空き室情報や空き家、空き地等の情

報を提供するため、物件情報の集約とホームページ等による情報発信の強化を図ります。

○既存住宅の利活用推進

・リフォーム補助制度の拡充を図り、既存の住居を活用しつつ住環境を改善します。

・空き家の有効活用に努めます。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

不動産物件情報提供件数 年間 100件

リフォーム補助件数 年間 50件

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3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

(1)目標

合計特殊出生率 1.53

婚姻数 10件増(年間平均 約 50件→60件)

(2)現状と課題

・町内に若い世代の交流・娯楽の場が少なく、出会いの機会も少ない状況です。また、男性の未婚率、

女性の離婚率が高くなっています。

・出生率が低い理由は、子供のいる世帯と子供がいない世帯に二極化していることや、観光業に従

事する女性が、町内で結婚し出産することなく町外に転出していること等が原因と考えられます。

・出産・子育てに関する支援・助成は町内で一定の評価が聞かれる一方、町外の人に対してわかり

づらく、PR出来ていない状況にあります。

(3)施策の方向

①若者の出会いの場の創出と結婚の支援

・交流施設の利用促進やイベントの実施などによって、若者の出会いの場を創出することで、結婚

を望む若者の支援を積極的に行い、町内での婚姻数を増やす取り組みを実施します。

②出産・子育て等に関する支援、助成制度の拡充

・本町における出産・子育て等に係る支援制度を実施するとともに、高齢者向けサービスの一部を

乳幼児のいる世帯にも提供し、子育て支援センターを機能強化するなどして、子育て世代の不安

や負担感を軽減し、安心して子育て出来る環境を形成していきます。

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(4)重点施策

①若者の出会いの場の創出と結婚の支援

○出会いの場の創出

・若年者の交流機会を促進し、出会いの場を広げます。

○結婚の希望を叶える取り組み

・結婚や新生活の支度金助成など、若年者の結婚を支援する取り組みを行います。

・町と民間の結婚相談所との連携を図ります。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

年間婚姻数 10件増

②出産・子育て等に関する支援、助成制度の拡充

○出産等支援の充実

・出産等に係る支援制度を実施します。

・妊婦検診に係る支援を強化します。

・出産祝品(金)等を贈呈します。

・子ども医療費助成事業を継続実施します。

○子育て支援等の充実

・子育て等に係る保護者負担の軽減を継続・強化します。

・地域子育て支援センターの機能を強化し、一時預かり保育等のサービスを充実します。

○学習・教育環境の充実

・自然環境を活用した体験型学習プログラムの実践を推進します。

・本町の農林水産業や観光業等を活かした教育環境の充実を図ります。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

年間出生数 4人増

年少人口 366人(H32国調ベース)

年間超音波検査受診者数 延べ 215人

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4.時代にあった地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

(1)目標

平均寿命 男 79.6歳→80.0歳 女 86.0歳→86.5歳

転出者数 年間約 200人→180人

(2)現状と課題

・本町は、自然災害が少ない地域で、市街地に公共施設やサービスが集中した町であり、多様な世

代にとって安全・安心して暮らせる町です。

・多世代交流できる場が少なく、今後の町内のコミュニティ維持に課題が残ります。

・冬場の除排雪に対して助成事業などを行っていますが、間口除雪等のニーズは高く、一層の事業

推進が求められています。また、住宅の雪対策のためのリフォームを進めるなど、人員に頼るだ

けでなく持続可能な対策を構築していく必要があります。

・本町は、一大観光地である層雲峡温泉地区、旭ヶ丘地区を有しておりますが、市街地から距離が

あるため今後の連携体制を強めていく必要があります。

・定住自立圏構想において圏域内の他市町と連携を深めており、現在 19の連携事業を実施していま

す。

(3)施策の方向

①地域の魅力を活かしたまちづくりと市街地等の賑わいの醸成

・市街地、日常生活圏における暮らしやすさを追求するとともに、市街地の活性化や層雲峡地区の

インフラ整備を進めながら、利便性の高いスマートシティの構築を目指すとともに、地域住民や

団体、事業者等のまちおこしを推進することで、市街地等の賑わいの醸成を図ります。

②地域住民が安心して暮らせる支援体制の構築

・地域の防災機能を強化し、住民が安全に暮らせるまちづくりを進めます。

・高齢者等を対象とする福祉に関する事業の継続的な実施に加え、総合的なシステム戦略事業を進

めるとともに、高齢者が安心して住み続けられるまちづくりを進めます。

③雪対策の充実

・冬場においても生活利便性を確保できるよう、雪対策の充実を図ります。特に高齢化に伴い益々

除雪のニーズが高まることが予測されるため、将来的な雪対策のあり方について検討します。

④他地域や民間等の多様な主体との連携強化による生活機能の充実

・周辺市町村と連携し、広域的な実施により効果的・効率的となる取り組みについて、積極的に推

進します。

・市街地と層雲峡温泉地区、旭ヶ丘地区との連携に加え、他市町村の観光地との連携を強化し、広

域観光圏の形成を図ります。

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(4)重点施策

①地域の魅力を活かしたまちづくりと市街地等の賑わいの醸成

○商店街の賑わいの創出

・上川町プレミアム商品券を発行します。

・市街地及び層雲峡地区商店街における空き店舗・空き地の活用を推進します。

○地域住民等によるまちおこしの推進

・町内環境美化活動を実施する団体(花いっぱいの会など)や地域住民、町内事業者等を支援し

ます。

・上川町マスコットキャラクター情報発信事業(フリーペーパー発行等)を推進します。

○福祉複合施設の整備及び多世代交流施設の利用促進

・社会福祉センターを多機能化し、多世代が利用できるよう整備します。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

商工会員数 現状の会員数(171事業所)を維持

②地域住民が安心して暮らせる支援体制の構築

○防災及び地域消防力の充実強化による安全安心なまちづくりの促進

・防災情報の提供を推進し、被災による死傷者を出さないようにします。

・災害協定締結団体を増やすなどして、地域の消防力を強化します。

○在宅ケア制度の充実

・一人暮らしの高齢者の将来を支える総合的なシステム戦略事業を実施し、調査結果を制度充実

に反映します。

・安否確認事業や高齢者福祉タクシー料金助成事業の継続実施等により、在宅ケア制度の充実を

図ります。

○医療体制の充実

・主に高齢者世帯を対象とした訪問診療の体制を整えます。

○交通手段の確保・充実

・主に高齢者世帯を対象とした通院や買い物等のための交通手段の確保・充実に努めます。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

被災による死傷者数 0人

災害協定締結 15団体

一人暮らしの高齢者の将来を支える総合的な

システム戦略事業

一人暮らしの高齢者全世帯の調査実施

(H27年度 100世帯)

介護施設入所待機者数 0人

孤独死 0人

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③雪対策の充実

○高齢者世帯等に係る除排雪費用の助成

・高齢者世帯等への除排雪にかかる費用の助成を継続・充実します。

・住宅の間口除雪に関する助成を実施します。

○除雪ボランティアの充実強化

・住民等による除雪ボランティアの体制を構築し、将来に渡って持続可能な体制を確立します。

○リフォーム補助制度の拡充

・雪対策に資する住宅改修に関する助成を実施します。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

除雪ボランティア登録 50人

除排雪費用助成対象件数 80件

④他地域や民間等の多様な主体との連携強化による生活機能の充実

○広域行政の推進

・定住自立圏構想を推進し、旭川市及び周辺町との役割分担による生活機能の確保を行います。

・ゴミ・し尿処理や消防の広域行政体制を継続します。

・広域観光圏の形成による交流人口の拡大を目指します。

○光回線導入による情報基盤整備・サービス提供の推進

・光回線の導入を推進し、ハード・ソフト両面の事業が展開できるエリアを拡大します。

◆重要業績評価指標(KPI)

項目 重要業績評価指標

連携事業数 19事業

光回線導入地区 1地区増加

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Ⅳ.PDCAサイクルの確立

総合戦略は、町民、地域、団体、企業、行政など町全体で共有し、共同して推進する計画であるため、

計画策定(Plan)、推進(Do)、点検・評価(Check)、改善(Action)の各過程においても町全体が関わ

る体制を構築し、高い実効性を確保することが必要となります。

また、重点プロジェクト及び施策に設ける数値目標及び重要業績評価指標(KPI)については、実施し

た事業の量を測定するものでなく、その結果によって得られた成果を測定する成果指標を原則とし、目

標を明確化することで、町全体での目標の共有化と成果を重視した取り組みを展開します。

各分野において各ステークホルダーが役割と目標を自覚した上で協働し、多面的に問題解決に取り組

むことで計画推進のマネジメントを強化します。

①計画策定(Plan)

総合戦略は、町内関係機関の参画する策定委員会や、町内団体との意見交換などにより、多様な町民

の意見や意識を把握するとともに、行政内部での課題分析を含めて現状と課題を整理し取りまとめまし

た。その内容を基に、町民と共に施策の優先順位や方向性、将来像を協議するなどして積み上げたもの

です。

②推進(Do)

策定された総合戦略を多様な媒体を通じて、広く情報発信するとともに、各分野において関連する地

域、団体、企業、行政等が協働した推進体制を構築します。策定に関わった多くの人たちを含む町民は、

各分野において総合戦略の情報発信と計画に基づく取り組みの推進を担います。また、選択と集中を行

う重点分野を明瞭化することで、期間内における優先順位を明確にし、町の総力をあげて重点分野に取

り組むことで実効性・効率性を高めます。

③点検・評価(Check)

町民の意識調査等を定期的に実施し、町民の重要度や満足度の経年変化を確認するとともに、統計デ

ータなどの社会指標を用いて、各施策及び施策に掲載された数値目標及び重要業績評価指標(KPI)の進

捗状況を確認します。

④改善(Action)

毎年実施する点検評価の結果を基に外部有識者を含めた策定委員会において効果検証をおこない、そ

の結果を踏まえ、必要に応じて施策の見直しや改定を行うことで結果にコミットします。