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Page 1: 石油コンビナート地域での 災害対応について - …石油コンビナート地域での 災害対応について 平成30年2月15日 神奈川県安全防災局安全防災部

石油コンビナート地域での災害対応について

平成30年2月15日

神奈川県安全防災局安全防災部

工業保安課コンビナートG

Page 2: 石油コンビナート地域での 災害対応について - …石油コンビナート地域での 災害対応について 平成30年2月15日 神奈川県安全防災局安全防災部

①石油コンビナートの規制

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コンビナート(kombinat)とは…⽣産の効率化を図るため、生産工程が密接に関連する近接の⼯場を物理的に結合し集団化したもの

元来は,旧ソ連での鉄・石炭を中心とした結合企業集団を指す。(⼤辞林第三版)

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石油コンビナート・高圧ガス・危険物(石油等)・毒劇物

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県内の石油コンビナート京浜臨海地区

根岸臨海地区

県内では2地区が指定※※石油コンビナート等災害防止法

総面積:41.39k㎡(全国2位)事業所数:81事業所(特定事業所)

⾼圧ガス処理量:177,367万N㎥/日(全国2位)

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石油コンビナート等災害防止法(石災法)

石油コンビナートの法規制 特定事業所を「個別視点」+「面的視点」で規制

高圧ガス保安法毒劇法(薬務課)( 許認可 : 県 )

消 防 法( 許認可 : 市 )

労働安全衛生法( 許認可 : 国 )その他関係法令

タンカー⾃衛防災消防⾞

フレアスタック

消火用屋外給水設備

貯水槽基礎杭 基礎杭

高圧ガスタンク

危険物タンク

プラント

第1種事業所:⼤量の⽯油⼜は⾼圧ガスを取り扱う事業所第2種事業所:一定量以上の⽯油⼜は⾼圧ガス等を取り扱う事業所

毒物:四アルキル鉛、シアン化水素、フッ化水素

劇物:アクリロニトリル、アクロレイン、アセトンシアンヒドリン、液体アンモニア、エチレンクロルヒドリン、塩素、クロルスルホン酸、硅フッ化水素酸、臭素、発煙硝酸、発煙硫酸

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国⺠の⽣命、⾝体及び財産の保護

レイアウト規制

自衛防災組織

共同防災組織

広域共同防災組織

石油コンビナート等特別防災区域協議会

石油コンビナート等防災本部

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石油コンビナートの法規制 石油コンビナート等災害防止法の概要コンビナート災害の発生・拡大の防止のための総合的な施策の推進を図り、国⺠の⽣命、⾝体及び財産を保護する。

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石油コンビナート等防災計画

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※詳細な内容については、県ホームページをご覧ください。http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5050/p15003.html

石油コンビナート地区での事故・災害の未然防止・拡大防止のために本県が定めた計画

地域防災計画と共に本県の防災対策の根幹をなす

◆災害想定◆災害予防計画◆災害応急計画◆東海地震に関する事前対策計画

など

石コン防災計画(石災法)◆応急活動事前対策◆応急活動対策◆復旧・復興対策◆東海地震に関する事前対策

など

地域防災計画(災対法)

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②石油コンビナートの防災に係る本県の取組み

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コンビナート災害への国の対応東日本大震災での被害 重大事故の続発

◆東日本大震災等の被害状況や得られた新たな知⾒⇒「石油コンビナートの防災アセスメント指針」を消防庁が改訂

◆国の防災体制検討会⇒石油コンビナート等防災本部等の防災体制の充実強化を提言

国の対応

※1:http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h26/h26/html/t1-2.html※2:http://nrifd.fdma.go.jp/research/saigai_chousa_shien/higashi_nihon_daishinsai/chousa/kombinat/index.html※3:http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h25/sekiyu_bousaitaisei/index.html

津波によるタンクの転倒※2高圧ガスタンクの爆発火災※1 製造施設の爆発火災※3

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被害想定の⾒直し

平常時の事故及び地震・津波による被害について評価【対象施設】①危険物タンク、② 高圧ガスタンク、③毒性液体タンク、④プラント、⑤パイプライン、⑥ 陸上⼊出荷施設、⑦海上入出荷施設【想定災害】①平常時の事故、②地震(強震動)による被害、③地震(⻑周期地震動)による被害、④大規模災害による被害、⑤津波による被害

防災アセスメント調査の実施

タンカー⾃衛防災消防⾞

フレアスタック

消火用屋外給水設備

貯水槽基礎杭 基礎杭

高圧ガスタンク 危険物

/毒性液体タンク

プラント

事業所敷地外や特定防災地域外へ、熱や爆風圧等の影響が及ぶおそれ

(平成25〜26年度)

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発⽣確率の算定防災アセスメントでの予測手法

遮断弁配管破損

(例)毒性液体タンク配管の破損による漏えい

防液堤外への流出確率

遮断弁の閉⽌失敗確率

配管破損の発生確率災害発⽣確率 = × ×

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防液堤

※過去の事故発生状況に関するデータ等から設定

L拡散ガス濃度≧ 許容限界値(実際の影響範囲) 液面

※拡散ガス濃度が許容限界値となる距離をLとし、これを半径とする円内を影響範囲とする。 影響範囲

風向

タンク

影響範囲の算定

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DE4:全量流出(長時間)・拡散Ee De Ce Be Ae 計

Ⅰ 1 7 8Ⅱ 4 4Ⅲ 2 2 4Ⅳ 1 2 3Ⅴ計 2 4 13 19

【想定結果(例)】強震動による被害【京浜臨海地区】 毒性液体タンクの災害(都心南部直下地震)

都心南部直下地震が発生した場合での毒性液体タンクで漏えい後、毒性ガスの発⽣を想定・発⽣確率が10-3程度で、・影響度が200m以上となる毒性液体タンクが7基ある。

A 10-2程度B 10-3程度C 10-4程度D 10-5程度E 10-6程度

Ⅰ 200m 〜Ⅱ 100m 〜 200mⅢ 50m 〜 100mⅣ 20m 〜 50mⅤ 〜 20m

発⽣確率

影響度

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発⽣確率が⾼い(起こりやすい)

影響度が大きい

(影響距離)

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石油コンビナート等防災計画の⾒直し (平成27年度)

予防対策

平常時の事故

• 高圧ガス配管の保温材下等の外面腐食対策の実施

• 屋外タンク側板の重点点検の実施• フェイルセイフ設計による緊急停止装置等保安設備の整備

• 緊急停止のマニュアルの整備• 防災監視システムの整備による事故の早期検知

• 周辺住⺠に対する適切な情報発信とリスクの理解促進

強震動被害

• 危険物施設の耐震改修の早期実施• 既存の高圧ガス施設の耐震性向上• 建築物の地震に対する安全性の確保・向上

• 地盤の液状化の詳細判定と地盤改良や構造物の設計強化

• 液状化した際の応急復旧資機材としての土嚢等の準備

予防対策

⻑周期地震動

• 特定屋外タンクの液⾯⾼さの適切な管理• 浮き屋根式特定屋外タンクの耐震改修の早期実施

• 内部浮き蓋式特定タンクの基準適合の早期実施

• 防災監視システムの整備による特定屋外タンクのスロッシングの早期検知

津波

• 設備の緊急停止の為の措置の実施• 化学消防⾃動⾞、予備動⼒源等の保安⽤設備の機能確保

• 容器(ボンベ)等の流出防⽌措置の実施• 禁水性物質の浸水対策の実施• 係留船舶の安全対策の実施

大規模災害

• 防災訓練の充実• 周辺住⺠が円滑な避難⾏動がとれる情報提供

◆防災アセスメント調査にて想定した災害に対する予防対策等を充実

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取組状況調査(平成28年度〜)予防対策取組状況調査

調査結果の活用○予防対策手法等の具体化調査結果から、明確な基準がない取組や事例が少ない取組等を抽出し、各事業所の対応事例等を周知することで、取組促進につなげる。

○予防対策に関する周知及び情報交換取組状況調査の結果及び先進事例について、防災管理者研修会等の場を活用し、周知及び情報提供を行う。

○国への要望調査結果から、予算措置、法令改正等の支援が必要な課題を抽出し、県から国に対して要望する。

○県⺠への啓発活動コンビナート防災に係る周辺住民の理解促進のための基礎資料とし、災害予防対策の取組状況等について、ホームページ等で公表し、情報提供する。

災害の予防対策の取組状況を定期的に調査し、取組の進み具合を把握

総合的な防災対策の推進を図り、石コン計画をより実効性のあるものとする

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アンケート調査の主な内容

タンカー⾃衛防災消防⾞

フレアスタック

消火用屋外給水設備

貯水槽基礎杭 基礎杭

高圧ガスタンク

危険物/毒性液体タンク

プラント

地震による貯槽や配管の損傷→BLEVEの発生

地震による毒性物質の流出→拡散

①反応暴⾛による爆発②地震に起因する爆発

【屋外給水施設】地震による使⽤不可【フレアスタック等】地震による使⽤不可

耐震適合措置の状況

遮断設備状況地盤の流動化判定

採用している耐震設計基準

遮断設備の状況液状化対策

リスクアセス実施状況地震計と連動停止計器室の地震対策非常用発電設備の地震津波対策

【屋外給水施設】給水主管の環状化ポンプの地震対策【フレアスタック等】地震対策

【高圧ガス貯槽等】 【毒性液体タンク】 【プラント(反応設備)】 【保安設備】

主な調査項目

主な想定災害

昨年度の調査の内容事業所外に影響が拡大するおそれのある事故・災害に着目⇒当該災害を防止するために必要な対策について、「防災計画で挙げた予防対策の取組み状況」を中心に調査

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調査結果抜粋 –毒性液体タンク-

「遠隔操作可能な緊急遮断弁」は、タンクの元弁を遠隔で自動に閉止できることから、毒性液体の流出の速やかな停止に有効。

消防法や高圧ガス保安法のように、明確な耐震基準がないため、独自に耐震設計を準用しているタンクもある。

○遠隔操作可能な緊急遮断弁の設置状況

○耐震性の確認状況

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毒性液体タンク32基

消防法準用31%

高圧ガス保安法準用 3%

特になし 50%

不明16%

○貯蔵物質

【対象物質】毒物:四アルキル鉛、シアン化水素、フッ化水素劇物:アクリロニトリル、アクロレイン、アセトンシアンヒドリン、液体アン

モニア、エチレンクロルヒドリン、塩素、クロルスルホン酸、硅フッ化水素酸、臭素、発煙硝酸、発煙硫酸

その他:硫化水素、硫黄

有56%

無44%

アンモニア31%

フッ化水素25%アクリロニトリル

13%

シアン化ナトリウム13%

硫酸 9%

臭素 3%溶融硫黄 6%

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③地震・津波発生時における石油コンビナート施設被害状況等把握マニュアル

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地震・津波発生時における石油コンビナート施設被害状況等把握マニュアル(平成25年6⽉19⽇施⾏)

目 的地震、津波等による施設被害を迅速に把握し、防災関係機関が情報共有することで、災害時の防災体制の強化を図る。

対象災害コンビナート区域で震度5弱以上観測、又は津波警報等の発令※異常現象など、他法令で通報義務がある事象を除く。

対象施設高圧ガス施設、危険物施設、毒物・劇物取扱施設、その他※石災法第2条第4号及び第5号に定める第1種事業所及び第2種事業所(特定事業所)内に設置する施設に限る。

参考(http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5050/p673464.html)

災害発生時の対応

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所在地の消防本部

震度5弱以上を観測

職員の安全確認後、所内の対象設備等の被害状況を把握

特定事業所

被害状況を報告

◆第1報(地震発生1時間以内)◆第2報(地震発生2日以内)※以降、状況変化があれば適宜報告(ただし、津波は警報解除後に報告)

被害状況の報告マニュアルに基づく被害状況報告の流れ(イメージ)

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④毒劇物関係施設での事故事例

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①苛性ソーダの漏えい

25%NaOHタンク

排水設備手動弁

4:08排水口pH計警報発報(pH8.3)4:20パイプラック上から苛性ソーダ⽔溶液が霧状に漏えいしているのを発⾒

ポンプの緊急停止及び吐出弁閉止 → 漏えい停⽌(計130L漏えい)4:48公設消防へ通報

排水路に中和⽤炭酸ガス及び塩酸を注⼊し、排⽔の中和措置実施。

霧状に苛性ソーダ⽔溶液が漏えい

原因及び再発防止策

経過

事業所の規格にない材質のガスケット※が使用されており、当該ガスケットが、劣化・破断し、漏えいに⾄った。※ノンアスベストガスケットへの切替過渡期に、アスベストガスケットと同等の性能と⾔われていたものを採⽤。

吐出弁

ポンプ

・他のバルブに、規格外のガスケットが使用されていないか点検実施。・設備新設及び変更の審査に、ガスケット材質を確認項⽬に追加。

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②塩酸タンクからの漏えい

18:15 現場巡視中に、塩酸貯槽の側板中段からの漏えいを発⾒。廃水系閉止。

18:30 公設消防へ通報20:23塩酸貯槽から中和槽への塩酸シ

フトを開始。21:14漏えい停⽌確認。

漏えい量は、 35%塩酸が94L程度。

原因及び再発防止策

経過

タンク内面のゴムライニングが、膨れ、硬化したところに、液⾯変化に伴う圧⼒変動が加わり、⻲裂が発⽣し、塩酸で側板が腐⾷し、漏えいに⾄った。

・類似タンクについて、内面ゴムライニングの健全性を確認。・内⾯ゴムライニングの開放検査時の硬度測定実施及び計画的な更新。

35%塩酸

内面ゴムライニングに⻲裂

(一部膨れ&硬化)

側板(

炭素鋼)

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③酸化エチレンの漏えい15:35ガス漏えい検知器の発報→ 現場を点検し、漏えいを確認15:50公設消防へ通報

施設の停止操作開始18:50 漏えい箇所の保温を解体

し、ガス検知器にて、漏えい停止確認

漏えい量は、0.1%程度の酸化エチレン水溶液5ℓ程度

原因及び再発防止策

経過

ノズルと連結管の板厚が大きいにも関わらず、テーパー加工せずに溶接したため、運転時の熱応⼒等が集中し、溶接部が割れ、漏えいに⾄った

・隣接溶接部も含めて、テーパー加⼯し、板厚を合わせて溶接しなおす。・所内の基準及び標準仕様書に本事例を反映し、周知する。

熱交換器

ドラム

t8mm

t4mm

管内側

溶接部に割れが発生

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以上、ご清聴ありがとうございました。