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1 4ディジタル通信の基礎 電子情報工学科 3年前期 ネットワークアーキテクチャ 情報科学センター/ネットワークデザイン 研究センター 福田 豊 1 コンピュータネットワーク概要 -ハードウェア- ホスト ルータ 伝送路 通信を構成する 3 要素 2 コンピュータネットワークの概要 -ソフトウェアの構造- プロトコルの階層化 役割を分解 TCP/IP protocol suite 物理層 データリンク層 ネットワーク層 トランスポート層 セション層 プレゼンテーション層 アプリケーション層 物理層 データリンク層 インターネット層 トランスポート層 アプリケーション層 OSI reference model Layer 7 6 5 4 3 2 1 3 クライアント-サーバ(エンド-エンド)間の通信を担当 宛先ホストどのようにして送り届けるか(経路制御) 各層の役割 (1) TCP/IP protocol suite 特定のアプリケーションを実現するためのプロトコル ちゃんと届いたか? TCP/IP protocol suite インターネット層 (IP) トランスポート層 (TCP,UDP) アプリケーション層 (HTTP,SMTP,FTP) 4 各層の役割 (2) 0101 0101 0101 ビット列と信号の変換 物理層 データリンク層 0 / 1 の信号を媒体を 介して相手に届ける 8 Agenda 物理層において 伝送中に受ける影響は? どのような媒体で,どのように伝送されるのか 有線/無線 代表的な伝送方式 伝送路固有の 伝送帯域 伝送容量 1つの伝送路において信号を多重 時分割多重伝送 周波数多重伝送

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1

4章ディジタル通信の基礎

電子情報工学科 3年前期ネットワークアーキテクチャ

情報科学センター/ネットワークデザイン研究センター

福田豊

1

コンピュータネットワーク概要-ハードウェア-

ホスト

ルータ

伝送路

通信を構成する 3 要素

2

コンピュータネットワークの概要-ソフトウェアの構造-

プロトコルの階層化 役割を分解

TCP/IP protocol suite

物理層

データリンク層

ネットワーク層

トランスポート層

セション層

プレゼンテーション層

アプリケーション層

物理層

データリンク層

インターネット層

トランスポート層

アプリケーション層

OSI reference model

Layer 7

6

5

4

3

2

1

3

クライアント-サーバ(エンド-エンド)間の通信を担当

宛先ホストどのようにして送り届けるか(経路制御)

各層の役割 (1)

TCP/IP protocol suite

インターネット層(IP)

トランスポート層(TCP,UDP)

アプリケーション層(HTTP,SMTP,FTP)

特定のアプリケーションを実現するためのプロトコル

ちゃんと届いたか?

TCP/IP protocol suite

インターネット層(IP)

トランスポート層(TCP,UDP)

アプリケーション層(HTTP,SMTP,FTP)

4

各層の役割 (2)

物理層

データリンク層

0101 0101

0101

ビット列と信号の変換物理層

データリンク層

0 / 1 の信号を媒体を介して相手に届ける

8

Agenda

物理層において

伝送中に受ける影響は?

どのような媒体で,どのように伝送されるのか

有線/無線

代表的な伝送方式

伝送路固有の

伝送帯域

伝送容量

1つの伝送路において信号を多重

時分割多重伝送

周波数多重伝送

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4.1 送信波形と受信波形(1)

通信

情報は通信媒体を通して相手に伝わる

通信媒体に応じて信号を変換

電気信号:電圧

光信号:光の点滅

単純に送信しても同じ情報が伝わらない!

t

vパルス信号

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送信波形と受信波形(2)

伝送中に受ける影響

反射

熱(導体抵抗) 電磁波(放射)

熱(誘導体の非線形性)

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伝送媒体の特性が通信に大きな影響を及ぼす 12

4.2 伝送媒体

3種類

同軸ケーブル

ツイストペア

光ケーブル

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同軸ケーブル

交換局間を結ぶ中継線,LAN(10BASE2/5) 外被で覆うことでノイズの影響を軽減

敷設が面倒

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ツイストペア

加入者線,LANケーブル

低コスト,敷設が容易

用いられる範囲で分類 category1:アナログ信号用

category3:ISDN,10BASE-T category5e:100BAST-TX,1000BASE-T

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光ファイバー(1)

光を通して信号を伝える

構成要素 受光器(LED等),光ファイバー

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光ファイバー(2)

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光ファイバー(3)

光の伝搬

コアとクラッドによる全反射を用いる

クラッド

クラッド

コア

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光ファイバー(4)

シングルモード コア:数μm 長い距離,高い伝送能力,コスト高

基幹通信網

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光ファイバー(5)

マルチモード コア:50μ~100μm プラスチックを利用できるため安価

短い距離(1Km以下)

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光ファイバー(6)

ステップインデックスとグレートインデックス

ステップインデックス:受光点で光の同期ずれが発生 殆ど使用されていない

グレートインデックス(グレーデッドインデックス):屈折率をファイバの中心から離れるほど強くし,遠回りをする外側を通る光の伝搬速度を速く,中央付近を通る光の伝搬速度を遅くする

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23

光ファイバ (7)

コネクタの形状

LC コネクタSC コネクタ

SC-LC ケーブル24

光ファイバ (8)

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光ファイバ (9)

パッチパネル

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4.3 波形歪(1)

伝送媒体内の波形歪 信号がどのようにゆがんでしまうのか,

フーリエ級数展開より理解

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波形歪(2)

フーリエ級数展開∞

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波形歪(3)

パルス波を適用すると

(b) (c)

(d)

(b) ~ (d) までを含めて考えて図示

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波形歪(4) パルス波形は,(e)のように変化してしまう

(e) = (b) + (c) + (d) + 直流成分

伝送媒体が持つ伝送帯域特性の範囲が低い (狭い) と正確な復元できない

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波形歪(5)

情報量を増やす為にパルス幅(T)を小さくすると

各高調波の持つ周波数が増加し,より広い伝送帯域を持つ伝送路が必要となる

伝送媒体の性質が非常に重要

31

伝送媒体の減衰特性(1)

同軸ケーブルのほうが減衰特性が優れている

光ケーブル

信号波を有効に伝送することができる周波数の範囲が存在

伝送路の伝送帯域32

ツイストペアのカテゴリ

許容可能な伝送帯域により区分

Category 3 5/5e 6 6e 7

伝送速度 10 Mb/s100 Mb/s

1 Gb/s1 Gb/s 10 Gb/s 10 Gb/s

伝送帯域

[MHz]16 100 250 500 600

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伝送媒体の減衰特性(2)

光ファイバーが も優れた特性を持つ

※234

伝送媒体の減衰特性(3)

一定時間内に送り得るパルス波形の数 伝送媒体の特性に大きく依存

高速伝送のためには

周波数特性が広い範囲において減衰量が少ない伝送媒体が必要

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4.4 ベースバンド伝送(1)

伝送方式 : 2種類

ベースバンド伝送方式

帯域伝送方式

ベースバンド伝送とは?

0, 1の2進データを符号化した電気信号

=ディジタル信号

ディジタル信号をそのまま伝送路に送出する方式をベースバンド伝送方式

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ベースバンド伝送(2)

符号方式 マンチェスター符号:10 BASE

0 : -V→+V 1 : +V→-V

差分マンチェスター符号:Token Ring 0 : 時間間隔の始まる時点で電位が変化

1 : 時間間隔の始まる時点で電位が変化しない

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4.5 帯域伝送方式(1)

一般の公衆電話網

人間の音声の周波数に合わせて300Hz~3kHzの範囲を通すよう設計

ベースバンド方式では直流成分を含む

低い周波数成分が除去されるため,波形が歪み伝送ができなくなる

電話回線を利用したデータ通信ができない!

2進信号を変調して送信:帯域伝送方式

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帯域伝送方式(2)

大きく分けて3つの種類

振幅変調 (AM:Amplitude Modulation)

周波数変調 (FM:Frequency Modulation)

位相変調 (PM:Phase Modulation)

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振幅変調(Amplitude Modulation)

信号に対して,振幅を変化

変調 : 振幅を変化させること

搬送波 :振幅を変化させる波

受信側では振幅のみが変化する連続信号を受け取り,振幅の変化に応じて信号を認識

復調 : 振幅から信号を認識すること

モデム : 変調,復調を行う装置

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AM

※1 42

周波数変調(Frequency Modulation)

信号に対して,搬送波の周波数を変化

2種類の搬送波を用意

ベースバンド信号の0, 1にあわせて切り替える

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FM

※1 44

位相変調(Phase Modulation)

信号に対して,搬送波の位相を変化

2種類の搬送波を用意

ベースバンド信号の0, 1にあわせて切り替える

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PM

※1 49

4.6 伝送速度と変調速度(1)

伝送方式

ベースバンド

帯域伝送

変調により信号を伝える

変調と伝送速度の関係は?

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伝送速度と変調速度(2)

変調速度

1秒間に信号が変化し得る 大の回数

単位はボー (baud)

ベースバンド伝送では

1秒間に起こり得る電圧の変化

帯域伝送では

1秒間に起こり得る振幅,周波数,位相の変化

51

伝送速度と変調速度(3)

伝送速度

1秒間に送ることができる 大のビット数

単位はb/s (bit per second)

Note: 変調速度と伝送速度は必ずしも一致しない

52

伝送速度と変調速度(4)

変調速度と伝送速度 ベースバンド伝送:電圧差で2bit以上の情報を含む

帯域伝送の場合:位相や振幅の変化で2bit以上の情報を含む

⇒伝送速度が変調速度と一致しない (2bitなら2倍)

baud = bps baud ≠ bps 53

4.7 大伝送速度

受信側で受け取れる信号

伝送媒体が通すことができる周波数帯域内の信号

広い帯域を持つ伝送媒体は,より高い周波数を持つ

波の成分を通すことが可能

伝送路に応じて 大の伝送速度が存在

ナイキストの公式

C = 2 B log2l [b/s]

シャノンの公式(ナイキストの公式を拡張) C = B log2 (1+S/N) [b/s]

C : 大伝送速度B : 伝送路の帯域 (Hz)

但し,S/N = 10 log10 (信号電力/雑音電力) dB

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4.8 信号の多重化(1)

多重化:伝送効率の向上

N個の送信端末が1本の伝送路を共有して通信

時分割多重伝送方式:TDM

Time Division Multiplexing

周波数分割多重伝送方式:FDM

Frequency Division Multiplexing

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時分割多重伝送方式:TDM (1)

1単位時間をフレームという単位で分割

さらにフレームをスロットに分割 スロットを各端末で共有

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TDMA (2) 複数のユーザは共通の無線チャネルを利用

1フレームを幾つかのタイムスロットに分割し,各ユーザは異なるタイムスロットを利用

利用例 Willcom PHS

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周波数多重伝送方式:FDM

帯域伝送方式

搬送波の周波数を中心として分布→必要伝送帯域Wd

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FDM(1)

伝送路がもつ帯域Wを必要伝送帯域Wdで分割して使用

周波数分割多重

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FDM (2) 各ユーザ毎に周波数帯域を設ける それぞれの間にガードバンドを設け,ユーザ同士の混信を回避 欠点

周波数利用効率が悪い

利用例 アナログ自動車電話や第1世代携帯電話

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FDM(3)

例:無線通信において,帯域を分割して通信を行う技術

W-CDMA(3G) 5GHz帯

伝送帯域:5MHz

無線LAN (802.11 b/g) 2.4GHz帯

伝送帯域:5MHz

Note:1chの占有帯域幅は20MHzになるので,4chごと離す必要がある

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IEEE 802.11 b/g チャネル割り当て

周波数帯域を以下のように分割

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CDMA (Code Division Multiple Access)

ユーザ毎に異なる拡散符合を用いて情報を拡散して通信を行う

スペクトル拡散技術 機密性やノイズ耐性を高めることが可能

FDMA, TDMAより周波数帯域幅当たりのユーザ数を多くとれる

利用例 第3世代携帯電話

W-CDMAやcdma2000

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FDMA, TDMA, CDMA

周波数,時間,コードにより分割

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OFDMA (Orthogonal FDMA) FDMAの特徴

変調後のデジタル信号の周波数の波形は周期的に電力が0になる

OFDMA のアイデア 電力が丁度0になるところに各ユーザの中心周波数を重ね合わせることで,

限られた周波数帯域にFDMAより多くのユーザを配置することが可能

OFDMAと同じ原理でユーザではなくデータを多重化することをOFDM OFDMの利用例:地上デジタル放送やWiMAXなど

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周波数帯の利用状況

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まとめ(1) 伝送中に受ける影響

遅延,ノイズ

伝送媒体 同軸ケーブル ツイストペア 光ファイバー

波形歪 伝送媒体の伝送帯域幅が狭いと正確な復元できない

パルス幅(T)を小さくすると各高調波の持つ周波数が増加し,より広い伝送帯域を持つ伝送路が必要となる

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まとめ(2)

伝送媒体の減衰特性 光ファイバーが も優れている

高速伝送のためには,周波数特性が広い範囲において減衰量が少ない伝送媒体が必要

伝送方式 ベースバンド伝送

帯域伝送

ベースバンド伝送 ディジタル信号をそのまま伝送路に送出する方式をベースバンド伝送方式

マンチェスター,差分マンチェスター符号

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まとめ (3)

伝送方式

帯域伝送

2進信号を変調して送信

振幅変調:AM

周波数変調:FM

位相変調:PM

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まとめ(4)

伝送速度と変調速度

伝送速度と変調速度は必ずしも一致しない

大伝送速度

シャノン,ナイキストの公式

信号の多重化

時分割多重

周波数分割多重