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Citizenship Report 2014 - 2015 企業市⺠活動レポート 2014 - 2015

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Citizenship Report 2014 - 2015企業市⺠活動レポート 2014 - 2015

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⼈と社会のこれからを想い、私たちと、ICTがなすべきこと。⽇本の社会が未来へと動き始めました。いま、その確かな⾜⾳が聞こえています。2020 年に東京オリンピックの開催が決定するなど、雲の切れ間から差す陽の光が社会の将来を照らしています。

超⾼齢社会、労働⼈⼝の減少、雇⽤機会の減少、地域経済の縮⼩など⽇本は、早急に取り組まなければならない課題を抱えています。政府による「世界最先端 IT 国家創造宣⾔」でも語られているように、解決に向けてICT がなくてはならない存在であることは⾔うまでもありません。⽇本マイクロソフトは、ICT の先駆的な企業として、これらの解決に取り組み、「クラウド」と「モバイル」というキーワードのもと、新しい潮流を起こそうとしています。

世界中のすべての⼈々とビジネスがもつ可能性を、最⼤限に引き出すこと――これが、マイクロソフトが掲げるミッションです。ICT と⼈。ICT と⽇本。ICT と未来。それを結びつけて貢献していくことは、⽇本に根ざし、⽇本の社会とともに成⻑してきた企業である⽇本マイクロソフトの当然の役割であると、私たちは考えています。

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トップ対談地域社会の活性化に向け、今、⾃治体と企業に求められているものとは ?̶̶ 「地⽅創⽣」推進のために

地域活性化

働き⽅

中⼩企業/起業

教育

情報セキュリティ

地域社会への貢献

数字で⾒る⽇本マイクロソフトの企業市⺠活動

国外の取り組み

Citizenship Report 2014-2015

Citizenship Report 2014-2015 編集⽅針

Contents

本レポートは、⽇本社会の課題解決に向けた⽇本マイクロソフトの企業市⺠活動を紹介しています。地⽅⾃治体、教育機関、NPO、業界団体など、さまざまなパートナーと協働、連携して実施している取り組みの中から、特にステークホルダーの皆さまにお伝えしたい取り組みを掲載しています。

掲載内容について本レポートにおける所属・役職等は、原則 2015 年 3 ⽉現在のものです。

2014 年 2 ⽉にマイクロソフトの 3 ⼈⽬の CEO としてサティア ナデラが就任しました。就任 1年間でナデラは、モバイル ファースト クラウド ファーストの世界 (環境 )

において、マイクロソフトを「プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニー」としてコアや⽬指す⽅向性を再定義し、テクノロジー戦略、ビジネスの進め⽅、会社のカルチャーなどさまざまな分野で、⼤胆な「変⾰」を推進しています。2014 年 10 ⽉には、CEO 就任後初来⽇し、⽇本のお客様やパートナー様にも、マイクロソフトの⽬指す⽅向性を改めて強調しました。⽇本においても、2015 年 7

⽉ 1 ⽇付で、現社⻑の樋⼝泰⾏が会⻑に、現副社⻑の平野拓也が社⻑に就任する新経営体制を発表しました。全世界で変⾰を進めていく中で、新体制で⽇本においても変⾰を推進するとともに、2016 年には⽇本法⼈ 30 周年、⽇本マイクロソフトへ社名変更後、5 周年ということで、よりいっそう「⽇本に根差し、信頼される会社」として企業活動を展開してまいります。

プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニーとして

New Directions

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地域社会の活性化に向け、今、⾃治体と企業に求められているものとは ?̶̶ 「地⽅創⽣」推進のために

Special Talk

トップ対談

樋⼝ 泰⾏⽇本マイクロソフト株式会社代表執⾏役社⻑ 中村 時広 ⽒

愛媛県知事

⽇本マイクロソフト株式会社 代表執⾏役 社⻑ 樋⼝泰⾏は、2015 年 7 ⽉ 1 ⽇付で、代表執⾏役 会⻑に就任します。政府や⾃治体との連携など、社会への貢献活動を含めて、⽇本に根ざす企業としての取り組みをいっそう強化していきます。

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愛媛県と⽇本マイクロソフトは 2014 年 1 ⽉から 2015 年 3 ⽉末まで、当社が社会貢献活動の⼀環として進める「地域活性化協働プログラム」に連携して取り組み、クラウド技術を利⽤したサービス サイトの構築、ICT ⼈材の育成や障碍 (しょうがい ) 者⽀援など、ICT を活⽤した地域活性化に向けた取り組みを進めました。協働の⼿応えや地域社会が直⾯する課題、そして、それを解決していくために重要なことなど、愛媛県知事の中村時広⽒に、率直に語っていただきました。

樋⼝ 今回、愛媛県と当社が協働したプログラムでは、「愛媛マルゴト⾃転⾞道」のサービス サイトを⽴ち上げました。そもそもなぜ愛媛県は、「サイクリング」による地域活性化に取り組み始めたのでしょうか?

中村 きっかけは 5年前、私が県知事に就任した時に掲げた公約でした。四国と本州にかかる橋は 3 つありますが、愛媛の「しまなみ海道」だけが唯⼀⾃転⾞の専⽤道を備えている橋なのです。この愛媛が誇るコンテンツを、サイクリングで世界に情報発信しようと考えたのです。そこでまず、PR するために⾃分から率先してサイクリングを始めて、次は県職員、県内の市町⻑、県議会議員、企業の経営者…と次々広げていきました。それが地元のニュースでも取り上げられて県⺠の間でも普及するようになったのです。最初は、「あんな年配の⼈たちが派⼿なサイクリングの格好をして…」と怪訝に思う⼈もいましたが、最近、愛媛では普通の⾵景になりつつありますね。樋⼝ 2014 年 10 ⽉ 26 ⽇には、「しまなみ海道」で国際サイクリング⼤会「サイクリングしまなみ」を開催されましたね。当社の⾃転⾞部も参加して社内でも話題になりました。中村 ええ、あの⼤会では世界31の国と地域から 8 千⼈もの⽅が参加し、記念としてモニュメントを造って「サイクリストの聖地」を宣⾔しました。その次のステップとして愛媛県では「サイクリング・パラダイス」を⽬指しており、「愛媛マルゴト⾃転⾞道」として

26 のサイクリングコースを設定するなど整備を進めています。樋⼝ サービス サイトでは、それらのコース紹介をはじめ、SNS と連動した参加型の情報サービスなどを提供されていますね。反響

はいかがでしょうか?

中村 予想以上に⼿応えが⼤きく、SNS などを通じて話題も広がっています。今後、GPS や地図アプリ、ゲームなどの機能を充実させていけば、さらに活⽤が広がるのではないかと考えています。私たち⾃治体は、どうしても情報発信が不得⼿です。そこを企業にサポートしてもらうメリットは⾮常に⼤きいと改めて感じましたね。樋⼝ 今回のサイトは、マイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」を基盤にしています。クラウドは、安価で⽴ち上げも速く、リソースの増減も柔軟に⾏えます。そのクラウドと、⾃転⾞というダイナミックなコンテンツとの相性がとてもよい印象ですね。これからは企業ばかりでなく、クラウドは公共の分野でも⾮常に有⽤なサービスになると思います。中村 私⾃⾝もそうだったのですが、⾃治体の取り組みでは、どうしてもアナログ的になりがちです。今回の⽇本マイクロソフトとの協働で感じたのですが、そこにデジタル的な発想を絡ませることによって新しい化学反応を引き起こすことができるのではないでしょうか。樋⼝ 私もそのとおりだと思います。政府も⽇本経済を発展させるためには物理空間に加えてサイバー空間での発展が⾮常に⼤事だと⾔っています。中村知事がおっしゃるように、地域の活性化もサイバー空間との組み合わせでさまざまに可能性が広がると思います。

中村 今回の協働を通じて感じたのですが、⽇本マイクロソフトは社会貢献活動に⾮常に⼒を注いでいる企業ですね。

樋⼝ そもそも創業者のビル ゲイツ⾃⾝が社会課題の解決に対して意識が⾼く、社会貢献活動を実践し続けている企業なのです。「地域活性化協働プログラム」は 2009 年にスタートした活動ですが、⾃治体と連携した取り組みは、それ以前から継続して進めています。これまで当社の取り組みは、ICT ⼈材の育成、NPO、障碍者やシニアなどの⽀援が中⼼でした。今回の愛媛県との協働では、地域活性化のコンテンツにまで踏み込んでお⼿伝いしています。当社の社員にとっても刺激的なプログラムになったと感じています。ところで、⾃治体にとっても企業や NPO などとの連携の必要性は年々⾼まっているように思うのですが、いかがでしょうか?

中村 私⾃⾝、商社に勤めていた経験もありますので、その重要性は⽇々感じているところです。⾃治体は優秀な組織ではありますが、新しいものを創り出していく、あるいは新たな領域にチャレンジするといったことについてはやはり不得⼿です。そこで愛媛県では職員の意識や組織の改⾰を進めて着実な成果をあげているのですが、どうしても限界はあります。それらをフォローするためにも企業との連携は⽋かせません。今回の⽇本マイクロソフトとの協働でも、スピード感ある仕事の進め⽅など職員は⼤きな刺激を受けたと思います。樋⼝ 地域社会が抱える課題が多様化する⼀⽅で、⾃治体には

「サイクリング・パラダイス」を⽬指す地域独⾃の取り組みに、ICT をリンクさせることで新しい化学反応が⽣まれる

これからの地域活性化に必要なものは、多様な連携と、それを導いていくリーダーシップ

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「公平性」という基本原則があります。そのギャップを埋めるためにも協働が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

中村 まさにそのとおりですね。障碍者福祉などを例にとっても、現在のしくみでは限界があります。このような分野こそ企業や

NPO との連携が重要です。私は、ICT の⼒を活かせば、障碍のある⽅がもっと創造的な仕事ができ、場合によっては起業家のような活躍ができるのはないかと思っています。樋⼝ それからもうひとつ、⾃治体との連携で感じるのはリーダーシップの⼤切さですね。今回のプログラムでも期間が限られているなど、企業の⽀援にもやはり限界があります。そのため、私たちの活動では、⼈材育成や NPO ⽀援など将来を⾒越した基盤づくりに⼒を⼊れているのですが、それをさらに推し進めていくためには⾸⻑のリーダーシップが⽋かせないと感じています。その点、中村知事は常に先頭に⽴って取り組んでいらっしゃいますね。中村 ありがとうございます。私は、⾸⻑の仕事は、真っ⽩なキャンバスに下絵を描くことだと思っているのです。それからもうひとつは、その下絵にできる限りたくさんの⼈に参加してもらって絵を完成できるように楽しい雰囲気をつくることが重要です。樋⼝ ビジョンを描き、モチベーションを⾼めるといったことでは企業の経営も同じですね。中村 ICT の活⽤についても、現状を分析して⽬標を定め、その道筋をプランニングしていくことが重要だと考えています。

樋⼝ 政府が進める「地⽅創⽣」では若い世代の就労や結婚・⼦育ての⽀援などを基本⽅針にあげています。このような課題についてはどのようにお考えでしょうか?

中村 愛媛県でも同じように重要な課題だと感じています。⼦育てを例にしても、都市部などでは核家族化が進み、社会のコミュニケーションが希薄になったこともあって、なかなか相談できる相⼿が⾒つからない。役場などに相談窓⼝を設けているのですが、若い⼈にとって、どうも役場というのは敷居が⾼く、利⽤しにくい存在のようなのです。そこで、⽇頃から使っているスマートフォンやタブレットに着⽬して、⼦育て⽀援アプリの導⼊を検討しているところです。また、若者の就労⽀援で私が⼒を⼊れたいと考えているのは、県内企業とのマッチングですね。愛媛には世界と戦える技術をもつ中⼩企業が数多くあるにも関わらず、その存在があまり知られていないのです。そのため、優秀な若い⼈たちが県外に流出してしまっています。このあたりのミスマッチングの解決にも ICT を活⽤していきたい。このほか、島嶼部 (とうしょうぶ )の遠隔医療など、ICT の⼒で解決できる課題は数多いと感じています。樋⼝ 先⽇、ある企業の⽅から、ビジネスの場⾯でも対⾯でのコミュニケーションを敬遠して、スマートフォンなどを利⽤する若い⼈が増えているという話を聞きました。確かにこれらのツールの進歩は重要で

すが、同時に、社会性が失われないようにフェイス・トゥ・フェイスの感覚で⼈が触れあえるしくみづくりも⼤切だと思います。当社では、若者やシニアの⽅々の就労⽀援、障碍のある⽅や⼦育て中の⼥性などを⽀援する多様な働き⽅の提案など、さまざまな取り組みを進めています。テレワークの推進もそのひとつです。これからはテレワークによって⼀⼈ひとりの効率性を⾼める⼀⽅で、フェイス・トゥ・フェイスの感覚に近いサイバー空間を創り出すことでグループとしての⽣産性を⾼めるなど、トータルに

ICT を活⽤していく発想が必要になると感じています。中村 なるほど。今後のトレンドとして ICT はどのように進歩していくのでしょうか。樋⼝ まずひとつはモバイルで結ばれるデバイスの多様化でしょうね。いわゆる IoT (Internet of Things: モノのインターネット )

と呼ばれるものです。情報機器ばかりでなくセンサーなどさまざまなデバイスがインターネットでつながるようになります。それらの情報がクラウドに集積され、そこにインテリジェンスが付加されることによって、これまでにないさまざまなサービスが可能になっていくはずです。こうしたクラウド サービスの基盤を強化するため、⽇本国内にデータセンターを開設しました。2014年2

⽉に就任したCEO サティア ナデラは「モバイル ファースト、クラウド ファースト」の⽅針を掲げているのですが、マイクロソフトではサイバー セキュリティ強化についても積極的な取り組みを展開しています。

樋⼝ 地域社会の活性化で鍵を握るのは、やはり経済の再⽣です。愛媛県では中村知事が先頭に⽴って積極的な取り組みを展開していますね。中村 地⽅経済の再⽣は、結局のところ、地元の企業や産業が元気になって実需を⽣み出すか否かにかかっています。そのために⾃治

若者の就労、結婚・⼦育ての⽀援……地域社会において、ICT の⼒に期待する課題は数多い

地域経済の再⽣は、実需を⽣み出すか否か、県知事⾃ら先頭に⽴って「営業」に取り組む

トップ対談Citizenship Report 2014 - 2015

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体は何ができるのか? そのひとつが、地元の企業が不得⼿としているビジネスの引き合い――つまり、「営業」の役割なのですね。愛媛では 3年前から「実需の創出」を合い⾔葉に、県職員に「総合商社愛媛の営業マンたれ」と声をかけて、私⾃⾝が先頭に⽴って愛媛の産業を後押しする営業活動を国内外で推進しています。県庁に営業本部を設置して、県内の産業や特産品を紹介する「スゴ技」「すご味」「すごモノ」をデータベース化するなど体制を整え、2014 年度は成約実績が 50 億円を突破する⾒込みです。樋⼝ それは凄い。⽬標は 100億円だそうですね。中村 そこに到達するためには、やはり ICT の活⽤が⽋かせないでしょうね。愛媛には、柑橘類や養殖⿂など全国に誇れる農⽔産品が数多くあります。これらの分野では販売や流通で ICT 化が進んでいますが、⽣産や管理についてはアナログ的な⼿法に頼っているのが現状です。そこでまず柑橘の分野で、⽣産者の知恵と経験をクラウドによって集積・共有する「農業クラウド」に取り組んでいます。気象データなども取り込んで研究を進めている最中です。樋⼝ おもしろい取り組みですね。広い意味で、先ほどお話しした

IoT のひとつだと思います。製造の現場などでも、「匠の技」のよう

なエキスパートの頭の中だけに存在する知恵を、センサーなどのデバイスを利⽤してクラウド化しようという取り組みが始まっています。オープン データやビッグ データをクラウドに集積することによって、これまでとはまた違う視点から地域社会の活性化に貢献できるのではないかと感じています。

樋⼝ 先ほどこれからのトレンドとして「モバイル」と「クラウド」の

2 つをあげましたが、私が注⽬しているもうひとつの分野があります。⾳声認識や⾃然⾔語処理といった領域です。これらにリアルタイムのビッグ データ解析などの技術が組み合わされれば、コンピューターによる同時通訳なども可能になります。中村 それはすばらしい。2020 年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、それまでに実現されるでしょうか?

樋⼝ ⼗分に可能だと思いますね。中村 そんな便利な技術があれば、外国⼈観光客に突然道を聞かれても、だれもが臆することなく「おもてなしの⼼」を発揮できます。樋⼝ そのとおりですね。グローバル化や多⾔語化にも対応できて、

これまで⽇本⼈が苦⼿だった⾔語の壁を超えたコミュニケーションが可能になるはずです。中村 愛媛では東京オリンピックの 3年前の 2017 年にえひめ国体が開催されます。今後ますます増加が⾒込まれる外国⼈観光客をいかに取り込むかは⾃治体にとって重要なテーマですが、こればかりは⼤都市と違って地⽅では容易なことではありません。それをブレイクスルーしていくためには、私は、「しまなみ海道」のようにコンテンツを絞り込んで発信していくことが鍵になると思っています。その環境を充実させるために現在、えひめFreeWi-Fiの整備も産学官が⼀体となって進めています。ICT の活⽤は、今後さらに⾃治体にとって重要となります。これからも⽇本マイクロソフトとの連携に期待しています。樋⼝ 当社もこれまで⾃治体との協働をさまざまに進めてきましたが、今回の愛媛県の「しまなみ海道」のように、地域活性化の柱となるようなコンテンツで連携したのは初めてのチャレンジです。私たちにとっても新しい経験を得ることができました。今後も、⽇本の社会に根ざした企業として、社会貢献活動に継続的に取り組んでいきたいと考えています。今⽇は貴重なお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。

⾃治体が個性を発揮して活性化していくために、⽇本マイクロソフトへの期待

「地域独⾃のコンテンツと ICTの利活⽤が新たな地域活性化を⽣み出す」

※ この対談は 2015 年 2 ⽉に⾏いました。

地域活性化 各地域のニーズに即した ICT による⽀援活動を⾏っています。

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ICT の活⽤で障碍者の雇⽤を創出

NPO の活動強化を⽬的に、6 ⽉〜 12 ⽉に ICT 活⽤の習得を図る講座を開催。「プレゼン実践講座」では、活動や地域情報を効果的に発信する⽅法を学びました。2015 年 2 ⽉には「Microsoft Azure」や「Microsoft Dynamics CRM」などのクラウドを活かして地域の課題を解決するアイデアを競うプレゼンテーション コンテストを NPO と開催。59 名の⽅が参加し、これまでの成果を⽰しました。

9 ⽉と 3 ⽉に愛媛⼤学と連携し、ソフトウェア開発に必要な知識や技術の習得を図り、学⽣や中⼩企業などの技術者を対象に「⾼度 IT ⼈材育成プログラム研修」を開催。のべ 230 名の IT 技術者や学⽣などが参加し、C# プログラミングの習得から Windows ストア アプリの実装までを学習しました。

NPO 基盤強化プログラムで発信⼒アップ

IT 技術者を対象とした⾼度⼈材育成プログラムを推進

このサービスサイトの運営管理は、愛媛県からの委託で、地元の障碍者の就労を⽀援するNPOが⾏っています。そのため、障碍者やそのサポーターを対象に、ICT スキルを学ぶセミナーを、2014 年 8 ⽉ (3 ⽇間 6 名 )、10 ⽉ (2 ⽇間 6 名 )、2015 年 1 ⽉ (1 ⽇ 2 名 )、2 ⽉ (5⽇間 2 名) に開催。このセミナーで技術を習得した⽅が中⼼となってNPO内でセミナーを⾏うなど、地域の IT ⼈材を育成していきます。障碍のある⽅が⾼度なクラウド技術を⾝につけることで、新たなビジネスと雇⽤の創出を⽬指しています。

障碍者向け⽀援プログラムによる就労⽀援

愛媛マルゴト⾃転⾞道https://ehime-cycling. jp/

川崎 壽洋 ⽒

私たちの NPO では ICT を活⽤した障碍者の就労⽀援を⾏っています。今回「愛媛マルゴト⾃転⾞道サービス サイト」の管理運営を担当し、⽇本マイクロソフトの⽀援を受け「Microsoft Azure」や「Microsoft Dynamics CRM」などの知識や技術を学びました。通勤が困難な障碍者が⾸都圏の仕事を在宅就労する事例も出始めています。最新の技術を習得し、⾼度な IT スキルを⾝につけることで、さらに障碍者の雇⽤創出につなげていけると期待しています。

特定⾮営利活動法⼈ぶうしすてむ理事⻑

企業との連携でより実践的な ICT ⼈材の育成を

⼩林 真也 ⽒

愛媛⼤学では、知識の習得だけでなく、知識を活かして課題を解決できる実践的な ICT ⼈材育成に取り組んでいます。学⽣たちは実際に地域の課題の発⾒から理解、解決策の⽴案、実現までを学びます。実践的エンジニアを地元で育成することは、地域の⼈材を厚くし情報化推進や産業活性化につながります。⼤学では難しかったシステム開発などの実践教育を、⽇本マイクロソフトと連携することで充実させることができました。「知っている」から「使える」知識をもつエンジニア育成へ。愛媛から世界で活躍する⼈材や起業家の育成につなげていきたいと考えています。

愛媛⼤学⼤学院理⼯学研究科電⼦情報⼯学専攻情報⼯学講座教授

2009 年から 12 もの⾃治体と協働し、全国の地域の課題解決を担う⼈材育成を推進する「地域活性化協働プログラム」に取り組んでいます。2014 年は愛媛県と連携し、同年 4 ⽉「愛媛マルゴト⾃転⾞道サービス サイト」を⽴ち上げました。「Microsoft Azure」や「Microsoft Dynamics CRM」を提供、最新のクラウド技術を活⽤し、サイクリストや県⺠が投稿する情報や写真を共有、さらにソーシャルメディアサイトへ⾃動的に再発信する「利⽤者参加型情報サービス」を実現しました。開設以来、⽉平均 4,000 ⼈以上のサイクリストたちが訪問しています。

継続的な地域活性化のためには、その基盤づくりが重要です。愛媛県とは 3 つのプログラムを協働実施し、障碍者雇⽤促進や中⼩企業の技術者育成などに取り組んでいます。

愛媛県と連携して「地域活性化協働プログラム」を推進

地域の課題解決を担うリーダーを育成 〜 「地域活性化協働プログラム」 〜継続的な地域活性化に向けた基盤強化

地域活性化Citizenship Report 2014 - 2015

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電⼦⺟⼦健康⼿帳の標準化と普及を⽬指し、2014 年 1 ⽉に電⼦⺟⼦健康⼿帳標準化委員会が設⽴されました。医療関係者 21 ⼈のほか、⽇本産婦⼈科医会を中⼼に 20 以上の団体・企業が参加しています(2015 年 1 ⽉時点 )。⽇本マイクロソフトは、同委員会のコアメンバーとして⽴ち上げ当初から参画し、実証実験における ICT

リソースの提供やパートナーとのソリューション開発、技術⽀援などを⾏っています。近年、モバイル アプリを中⼼に拡がりつつある電⼦⺟⼦健康⼿帳は、そのほとんどが医療機関や外部との連携を想定していません。同委員会では、複数機関や地域にまたがる情報連携の実現を⽬指し、電⼦⺟⼦健康⼿帳の記録内容やデータ形式などの標準化を進めています。また、健康情報基盤としての活⽤や医学・臨床研究における発展的利⽤も視野に活動しています。すでに、地域の周産期医療情報ネットワーク システムでの活⽤、医療機関における予防接種サポート システムや電⼦⺟⼦健康⼿帳などいくつかのモデルがありますが、今後は⾏政との連携を強化し、地域単位でのモデルづくりを進めていく⽅向です。同委員会の活動を⽀援することで、どの地域に居住しても情報が引き継がれる次世代のしくみづくりに寄与していきます。

これまで「街」は、経済と⽂化の中⼼として、ビジネスを⽣み、イノベーションを起こし、雇⽤を創出し、⼈々の暮らしを⽀えてきました。しかし、インフラの⽼朽化、少⼦⾼齢化の進展、逼迫する財政、医療・福祉ニーズの多様化、⾃然災害への対応、学校教育の充実、産業の活性化、安⼼・安全な社会の実現など、次々と⽣まれる課題に、街は応えていかなければなりません。マイクロソフトはこれらの課題解決を⽀援するため、「Microsoft CityNext」という活動を進めています。これは「⼈」を中⼼とし、政府、企業、市⺠と連携して都市の未来をかたちづくり、イノベーションを実現するアプローチです。モバイル デバイスとそのアプリケーションが迅速な⾏動に結びつくリアルタイムな情報を提供し、ビッグデータの活⽤でスピーディな意思決定が可能に。ソーシャル ネットワークが情報の共有を加速し、クラウド サービスにより、効率と⽣産性に優れた公共サービスを実現します。多くのパートナーとともに、これからのイノベーションの可能性を最⼤限に⾼める、次世代の街づくりを進めていきます。

電⼦⺟⼦健康⼿帳イメージ

政府の「世界最先端 IT 国家創造宣⾔」の取り組みに寄与するため、⽇本マイクロソフトでは、CityNext が世界共通で対象としている 8 分野に、「農林⽔産」と「スマート ワーク」を加えた、合計 10 分野で、社会的な課題を解決するソリューションを展開していきます。

⼈から始まる、次世代の街づくり 〜 Microsoft CityNext 〜

教育

交通

観光・⽂化・レジャー医療・社会福祉

⾏政・住⺠サービス公共安全・セキュリティ 社会インフラ・建設

エネルギー・⽔道 農林⽔産

スマートワーク

⺟⼦健康⼿帳の電⼦化と標準化により、複数機関や地域にまたがる情報連携を促進

オープン データとは、公共性の⾼いデータをインターネット経由でアクセス可能とし、ベンチャーをはじめとするさまざまな事業者によるオープン イノベーションを加速、社会における多種多様なニーズを満たすことを⽬的とした公共基盤です。公共交通オープンデータ研究会は、公共交通分野における運⾏情報、駅や停留所や空港の施設情報など公共性の⾼いデータをリアルタイムで提供するための公共基盤の整備を⽬指し設⽴され、交通事業者を中⼼に政府・公共機関、IT ベンダーが参加し活動を⾏っています。⽇本マイクロソフトは、ICT 会員として参画し、当社のサービス、技術により、この柔軟な拡張性、安定性が求められる公共基盤の構築、運⽤を⽀えています。なかでも、マイクロソフトが提供するクラウド サービスである

Microsoft Azure は、刻⼀刻と変化する負荷、公共基盤として求められるサービスの安定性を⽀えています。加えて、当社の機械翻訳技術は 43 ⾔語に対応し、さまざまな国からの来訪者に対して、常に新しい情報の提供を実現しています。⽇本マイクロソフトは、今後もオープン データの情報通信プラットフォームの提供や、PC やタブレット、スマートフォン向け公共交通情報提供アプリの開発促進に取り組みます。

オープン データを活⽤した公共交通サービスの構築・運⽤を⽀援

■公共交通オープンデータ研究会■電⼦⺟⼦健康⼿帳標準化委員会

公共交通オープン データ研究会:http://www.odpt.org/

Web

働き⽅ 時間や場所を超えた⾰新的な働き⽅を提案しています。

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テレワークを活⽤して、地域に根ざした⾏政を

豊島区は、⼈⼝密度が⽇本⼀の⾃治体でこの数年でも著しく⼈⼝が増加しています。巨⼤ターミナル駅池袋を擁する⼀⽅、ソメイヨシノ発祥の地であり、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨があるなど多彩な顔をもつ街です。2015 年 5 ⽉には、街の新しいシンボルとなる新庁舎が完成します。豊島区では、この新庁舎への移転を⾒据えて、情報システムの再構築を進めています。2009 年には、Microsoft SharePoint Server

をベースとした「総合⽂書管理システム」を⽴ち上げ、現在では⽂書起案業務のほぼすべてを電⼦化しています。このような改⾰の次なるステップとして私たちが取り組んでいるのがテレワークの推進です。2011 年、東⽇本⼤震災の復興⽀援として派遣した区職員の業務をサポートするために Office 365 を試験導⼊し

ました。現在は、情報管理課の産休・育休中の職員が同様に Office

365 を使⽤し、活⽤⽅法や課題などの検証を進めています。

これは区⻑が⽇頃から話していることなのですが、私たちの仕事の基本は地域に根ざすことにあり、職員がフットワークよく街に出て⾏く環境を整えることは、住⺠サービスを向上させるためにも⾮常に有⽤であると私は考えています。また、他の⾃治体と同様に豊島区でも職員は減少傾向にあり、外出先でも合間に仕事が⾏え、連絡がとれるといった業務効率化に向けた環境を整えることが重要です。そこで 2015 年 3 ⽉から、管理職を対象にして Windows 8.1 搭載のタブレット端末を導⼊します。このタブレットには Microsoft

Lync が搭載され、たとえ外出先でも在席確認 ( プレゼンス) 機能を利⽤して連絡がとれるようになります。⼀般職員までテレワークを拡⼤していくためには、⼈事制度など解決しなければならない課題があるのも事実ですが、産休・育休、さらには今後増えると⾒込まれる介護休暇をとる職員をサポートするためにも、テレワークの重要性は⾼いと思っています。

2015 年 5 ⽉の新庁舎移転とともに、出先職場やアルバイトも含めたすべての職員を対象に、この Lync を導⼊します。じつはこ

の取り組みには下地があり、豊島区では職員が⽇頃からMicrosoft

Exchange を利⽤し、Lync のプレゼンス機能と連携できる Outlook

のスケジュール機能によって全職員でスケジュールを共有するしくみをすでに整えているのです。また、庁舎内の電話もほぼすべて Lync Voice による IP 電話に切り替えるなど、業務の効率化や区⺠の利便性を考えて随所に ICT

を活⽤しています。導⼊したしくみを全職員が効果的に活⽤するためには教育も重要です。現在は、各課に情報化推進員がおり、彼らを中⼼に ICT 活⽤の普及や教育に継続的に取り組んでいます。各課に委員がいることで課題なども吸い上げやすく、取り組みを検証したうえで 2016 年度には職員が使⽤する PC の刷新を計画しています。今後もマイクロソフトの製品を活⽤して、テレワークをはじめ職員の業務をサポートするしくみを充実させ、豊島区ならではの住⺠サービスを実現していきたいと思っています。

東京 23 区のひとつ、豊島区では 2015 年 5 ⽉に完成する新庁舎への移転に向けて、情報システムの再構築を進めています。⾃治体におけるテレワークの重要性やその課題について、豊島区政策経営部の⾼橋邦夫⽒にうかがいました。

東京都豊島区政策経営部情報管理課⻑

⾼橋 邦夫⽒

Interview

新庁舎移転を⾒据えて改⾰に取り組む

⾃治体の仕事の基本は地域に根ざすこと

Microsoft Lync を活⽤したオープンな環境づくり 2015 年 5 ⽉に誕⽣する豊島区役所新庁舎。Lync Voice による IP 電話の導⼊をはじめ、総合窓⼝システムや総合防災システムなど、区⺠サービスの向上と⾏政効率化を図る IT 庁舎。

働き⽅Citizenship Report 2014 - 2015

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強化週間中、外出の多い営業・技術部⾨だけでなく、バックオフィス部⾨にもテレワークを実施。通勤時間の節約だけではなく、外出先やコワーキングスペースなど環境を選ぶことで効率アップにつながることが分かりました。社員アンケートでも 6 割以上が効率向上を実感する結果となりました。また、ペーパーレス化が進んでいない業務が阻害要因となるなど課題も⾒つかり、当社の多様な働き⽅や顧客企業のワークスタイル変⾰サポートにつながる貴重な経験となりました。今回の取り組みと成果が認知され、⽣産性向上を⽬的としたテレワークが広がることを期待しています。

テレワークが⽣産性向上に寄与することを実感

乾 善彦 ⽒

⽇本ビジネスシステムズ株式会社マーケティング本部

「テレワークの⽇」は 2012 年から設けていますが、2014 年度は

32 の法⼈と連携し強化週間として推進することで、5 ⽇間で約

3,000 ⼈が新しい働き⽅を実践しました。各社コワーキングスペース、⾃宅などでのテレワーク実施のほか、当社社員と賛同法⼈社員とがワーク プレイスを交換する連携チャレンジ企画も⾏い、場所にとらわれない働き⽅の実証に取り組みました。さらに、⾃治体として賛同いただいた釜⽯市と復興活動を⾏っている特定⾮営利活動法⼈ @ リアス NPO サポートセンターでは、Office 365 を活⽤することで、業務の効率化やスタッフの情報共有を図り、いつでもどこでも活動できる環境づくりを⾏いました。

5 ⽇間で約 3,000 ⼈が新しい働き⽅を実践

「テレワーク推奨強化週間 2014」の実施後に、参加した法⼈や個⼈を対象としたアンケート調査を⾏い、この結果を共有することで、今後の活動に活かすとともに、テレワークの認知向上にもつなげていきます。成果や体験記をウェブ サイトで公開しています。期間中、アンケート回答者の 83% が少なくとも 1 ⽇はテレワークに取り組み、7 割以上が 1 ⽇あたり 1 時間以上の時間節約 (外出準備・移動など ) に成功したと答えています。また、テレワークに対する期待について上位 3 位は、「時間の有効活⽤」 (91%) 「働きやすさの向上」 (70%) 「仕事の効率化」 (68%)。これらに対して、7 割を超える⼈が効果を実感できたと回答。さらに、83% がテレワークは将来必要だと感じています。調査でもテレワークへの期待の⾼さが表れており、⽇本マイクロソフトは、これからも ICT を活⽤したテレワークの推進に取り組んでいきます。

7 割を超える⼈が「効果を実感」と回答

釜⽯市の特定⾮営利活動法⼈ @ リアス NPO サポートセンターは、Office 365 の導⼊やタブレット活⽤で場所にとらわれない働き⽅を実践しています。

賛同企業の⽇本ビジネスシステムズの社員が当社内で業務を体験したり、コワーキングスペースでの業務、Microsoft Lync を使ったテレビ会議など、各社がテレワークに取り組みました。

政府は 2013 年 6 ⽉に閣議決定した「世界最先端 IT 国家創造宣⾔」で、2020 年にテレワーク導⼊企業を 2012 年度⽐で 3 倍に、週 1 ⽇以上終⽇在宅で就業する雇⽤型在宅型テレワーカー数を全労働者数の 10% 以上にするという⽬標を掲げています。⽇本マイクロソフトは、ICT を活⽤した時間や場所にとらわれない「多様な働き⽅」や「ワークスタイル変⾰」を 2011 年から推進しており、⽣産性向上などを⽬的にテレワークを取り⼊れています。2014 年度は、⽇本のテレワーク推進を⽬指し、2014 年 10 ⽉ 27

⽇〜 31 ⽇に 32 の法⼈ (企業、⾃治体、社団法⼈ ) と、「テレワーク推奨強化週間 2014」を実施しました。

32 の法⼈と連携して、テレワーク強化週間を実施

■テレワークの将来の必要性 ■効果の実感

必要 83%

必要ない 6%

わからない 11%

とてもよく実感できた 35%

実感できた 37%

わからない 20%

実感できなかった 5%むしろ「仕事の効率向上」にならなかった 3%

ICT を活⽤し多様な働き⽅を推進 〜 テレワーク推奨強化週間 2014 〜

「テレワーク推奨強化週間 2014」意識調査調査期間: 2014 年 11 ⽉ 1 ⽇〜 11 ⽉ 21 ⽇  回答: 21 社 924 名

働き⽅ 働き⽅Citizenship Report 2014 - 2015

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当社は私を含めスタッフは全員⼦育て中の⼥性です。創業時より特に⼦連れワークと在宅ワークに注⼒した柔軟な働き⽅を提供してきました。今回、最新のテクノロジー事例や多様な働き⽅の効果を学びたく、フォーラムに参加しましたが、いつでも会議ができるインフラの整備やテレワークの「いつでもどこでも活躍できる」という概念にとても感激しました。フォーラムで効果を実感したことで、就業規則を設け、本格的にテレワーク導⼊を進めることになりました。管理体制の構築など課題もありますが、⽇本マイクロソフトの先⾏事例の提供を今後も期待しています。

「いつでもどこでも活躍できる」環境整備を進めます

荻野 久美⼦ ⽒株式会社マミーゴー代表取締役

⽇本マイクロソフトは、⾃らが進めるワークスタイルの変⾰をより多くの⼈たちに知っていただくために、品川本社オフィスでの個別のセミナーや⾒学ツアーを開催してご好評を得ています。2014 年秋からスタートした「Microsoft Technology

Forum」は、このような取り組みをイベントとして定期的に開催していくものです。その特徴は、少⼈数形式のセミナー / 交流会であること。2014 年は 9 ⽉から 8 回実施し、合計 150 名の⽅に参加いただきました。フォーラムでは、まず当社社員が講師となり新たなワークスタ

イルが求められる背景などをテーマにしたミニ セミナーを開催。続いて Microsoft Lync を活⽤したビデオ会議などを体験し、執務室や会議スペース、フードコートなど社内を巡り、社員たちの働き⽅を⾒学していただきました。最後は交流会を開催。さまざまなバックボーンをもつ参加者が直接相談しやすいカジュアルな雰囲気の中で情報を交換しました。このような交流会で得たお客様からの声を活かして、これからもより充実したイベントを定期的に開催し、⽇本のワークスタイル変⾰を推進していきます。

情報通信技術を体験するセミナー /交流会「Microsoft Technology Forum」がスタート

⽇本マイクロソフトが⾃ら実践するワークスタイルの変⾰

⽇本マイクロソフト品川オフィスMicrosoft Technology Forum

「ひとりで集中して仕事をしたい」「陽光が差し込む明るいスペースでリラックスして考えたい」。⽇本マイクロソフトの本社では、それぞれの社員が PC やタブレットを持ち歩き、その時の気分に合わせて働く場所を選択できます。Off ice 365 によって電⼦メールはもちろん、メンバーの予定表の確認、会議室の予約などをどこからでも⾏えます。また、オンライン会議やチャットによって、社内外・国内外など場所にとらわれることなく、コミュニケーションをとることが可能。安全なクラウド環境が整備されており、家庭の所⽤がある場合でも上司の許可があれば、在宅勤務に切り替えることもできます。このようなフレキシブルなワークスタイルの実現によって、ワークライフバランスの改善などにも効果があることがわかってきています。さらに、これら当社の取り組みについては社会的な評価も⾼く、経済産業省の「ダイバーシティ経営企業 100 選」に選定されたほか、「平成 26年版情報通信⽩書」ではテレワークの活⽤事例として紹介されています。⽇本マイクロソフトは、まずは⾃社からワークスタイルの変⾰を実践しています。

(左 ) マイクロソフト⼤⼿町 テクノロジーセンター外観 (右 ) 350 台を超えるサーバーを整備した Lab

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マイクロソフトが提供する起業家⽀援プログラムのひとつ「BizSpark (ビズスパーク) 」。Visual Studio Ultimate with MSDN

や Microsoft Azure など、ソフトウェア開発に必要となるツールやクラウド環境、技術サポートを 3 年間にわたり無償で提供することで、起業のための環境整備に寄与しています。

開発ツールやクラウド環境を無償で提供BizSpark

ICT スキルの習得から既存アプリケーションの検証まで⼀貫した⽀援を提供するのがマイクロソフト イノベーション センターです。東京⼤⼿町をはじめ国内 4 か所に最新環境を整えたセンターを設置。未来の起業家を育む場として、無償のトレーニングやセミナーなどさまざまなプログラムを実施しており、年間約 2 万⼈を⽀援しています。起業を志す⼈たちにチャレンジのきっかけを与える場となることを⽬指しています。

未来の起業家を育む⼟壌づくりマイクロソフト イノベーション センター

中⼩企業/起業 中⼩企業 /起業

スタートアップに必要なサポートを提供しています。Citizenship Report 2014 - 2015

⽇本の起業活動率は、世界先進国中でもきわめて低い⽔準にあります。政府は、「世界最先端 IT 国家創造宣⾔」においてその項⽬のひとつに「起業家精神の創発」を盛り込み、課題解決に向けて取り組みに着⼿しています。かつて⾃らもベンチャー企業であったマイクロソフトは、ICT の⼒を活かして、さまざまな起業⽀援を展開しており、グローバルに取り組むプロジェクトが Microsoft Ventures です。⽇本でも 2014

年 2 ⽉から Microsoft Ventures と連携した⽀援活動を開始しています。シアトル、バンガロール、北京、ベルリン、ロンドン、パリ、テルアビブの世界 7 拠点で運営しているアクセレータープログラム。技術提供だけでなく、マイクロソフト社員や現地パートナー企業のメンターが、ビジネス プラン・マーケティング戦略など経営アドバイ

スまで⾏い 、4 か⽉にわたってスタートアップを集中的に⽀援します。業界トップ企業やパートナーとの協業を通じ、グローバルでのスタートアップのローンチを⽬指しています。2014 年 9 ⽉には、⽇本から Capy Inc. がテルアビブ、FOVE がロンドンのアクセレーターにそれぞれ採択されました。また、⽇頃のビジネスで培ってきたパートナーシップをベースに、国内の起業家と⼤規模企業とのマッチングにも取り組んでいます。グローバルなネットワークをもつ当社の強みを活かした活動です。ICT を利⽤した新しいビジネスの創出は、経済の活性化ばかりでなく、社会の課題を解決し、イノベーションを⽣み出す可能性を秘めています。それはまた、⽇本の社会とともに歩むマイクロソフトの成⻑にも結びつくのです。マイクロソフトならではのテクノロジーとネットワークで、⽇本から世界へ⽻ばたく起業を応援しています。

⽇本から世界へ⽻ばたく起業を⽀援Microsoft Ventures

⽇本発のベンチャー企業、Capy Inc.アクセレータープログラムを卒業し成果発表2015 年 1 ⽉ 22 ⽇、テルアビブのアクセレーターに採択されていた Capy Inc.が、約 300 ⼈の投資家を前にプレゼンテーションを⾏いました。Capy は 2012 年に創業した⽇本⽣まれのセキュリティ系ベンチャー企業。⽇本の IT 起業家の多くはシリコンバレーなどにまず⽬を向けますが、Capy は、世界的なセキュリティ企業が集まることなどを理由にテルアビブを選択。テルアビブには 123 名のメンターがおり、すでに 48 のスタートアップが卒業しています。Capy は専⾨家の⽅々から

アドバイスを受けながら、研究開発強化と同時に新製品の開発を進め、最終⽇のこの⽇、成果を発表しました。

テルアビブでのアクセレータープログラム参加者

教育 ⼦どもたちの可能性を引き出すべく活動を⾏っています。

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「教育⽇本⼀」を⽬指して、ICT を活⽤します

つくば市は、数多くの研究機関や⼤学などが集まる研究学園都市という特⻑を活かして、全国でも先駆けて ICT を活⽤した教育に取り組んでいます。始まりは古く、1977 年に⼩学校にコンピューターを導⼊。その後も 2005 年に⽇本で初めて市内すべての⼩中学校に電⼦⿊板を

導⼊したり、学校でも家庭でもアクセスできる学習システム「つくばオンライン スタディ」など先進の学習環境を整えています。⼦どもたちは、テレビ会議を使って情報交換したり、電⼦⿊板やタブレット端末を活⽤してプレゼンテーションを⾏うなど、⽇頃から ICT を使って学習しています。つくば市では、「教育⽇本⼀」の街づくりを⽬指しています。私は、街づくりにおいて「⼈」が何よりも重要であると考えています。その「⼈」をつくるのが教育です。そして、これからの教育において絶対に⽋かせないものが ICT の活⽤なのです。

全国でもいち早く ICT を活⽤した教育を進めてきましたが、ひとつの⾃治体でできることには当然限界があります。それを広げていくためには、さまざまな機関や企業との連携が重要だと考えています。なかでもマイクロソフトは、世界最新のノウハウと経験、ネットワークをもつ企業です。つくば市では、教育現場による ICT の利活⽤の効果を研究する実証研究協定をマイクロソフトと結び、2016 年 3 ⽉まで実施を予定しています。今回の協定にあたり、マイクロソフト本社の関係者に、つくば市の ICT 教育の歴史についてご紹介するともに、世界でこのような実践はどのくらい⼀般的なのかをうかがい、意⾒交換を⾏いました。世界の現場をご存じの

マイクロソフトの⽅のお話からは、私たちはまだまだ世界から学ぶべきことがたくさんある、と感じます。私は、ICT 教育をグローバル⼈材の育成に結びつけていきたいと考えており、マイクロソフトとのパートナーシップによる成果をとても楽しみにしています。

つくば市では 2015 年 11 ⽉に、全国の⾃治体の教育委員会や学校関係者などを招いて開催する「つくば市学校 ICT 教育 40 周年記念⼤会」を計画しています。このイベントでは、ICT を活⽤した授業の公開や実践発表を⾏い、ICT に関⼼の⾼い教育現場の⼈たちの情報交換の場にしていきたいと考えています。また、これらの取り組みを全国の⾸⻑にも理解してもらえるように、「市⻑サミット」も同時に開催する予定です。ICT を上⼿に活⽤していくためには、その成果を検証して次へと結びつけていく姿勢が重要です。そのためには、現場の教育委員会と⾸⻑との連携が不可⽋であると、私は常々考えています。私⾃⾝、じつは ICT はあまり得意ではないのですが、現場の声に⽿を傾け⼀緒になって取り組んでいます。今回のイベントが、全国の⾸⻑にとってひとつのきっかけになればと思っています。これからも ICT 教育において先駆的な取り組みを進め、それを全国へと積極的に発信していきます。

黎明期から ICT を活⽤した教育を推し進める茨城県つくば市。マイクロソフトは、2014 年 11 ⽉、教育現場による ICT の利活⽤の効果を研究する実証研究協定をつくば市と締結しました。市⻑の市原健⼀⽒に同市の ICT 教育における現在、そして未来をうかがいました。

茨城県つくば市市⻑市原 健⼀⽒

「教育⽇本⼀」を⽬指した街づくり

マイクロソフトとパートナーシップを結ぶ

教育の現場と⾸⻑が⼀緒になって ICT 教育を推進

Interview

教育Citizenship Report 2014 - 2015

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ICT の利活⽤促進やスキル習得機会の提供を通じて、⽇本の次世代を担う若者⽀援に注⼒していきます。

21 世紀の学習環境づくり1

21 世紀の学習環境づくり

チャレンジ⽀援

⾼度⼈材育成

教職員の ICT スキル向上や、タブレット端末や電⼦教科書など最新の学習環境の導⼊⽀援

マイクロソフトは ICT によって⼦どもたちの可能性を引きだすべく、⻑年にわたり世界各国で教育分野での活動を⾏っています。2012 年 9 ⽉に発表した「YouthSpark ( ユーススパーク ) 」は 3 年間で 3 億⼈の若者への機会提供を⽬指したグローバル イニシアチブで、2014 年 9 ⽉までに世界 100 か国以上で、2.27 億⼈以上の若者を⽀援しています。着実に⽬標達成に向け成果をあげており、引き続きYouthSpark イニシアチブのもと、⽇本の次世代を担う若者⽀援に注⼒していきます。⽇本マイクロソフトでは、下記の 3 つの分野に焦点をあて若者の進学・就労・起業を⽀援する包括的取り組みを推進しています。

ICT の利活⽤促進や 21 世紀型スキル習得機会を提供する 「YouthSpark」

Windows クラスルーム協議会は、21 世紀のグローバル化社会を⽣きる⼦どもたちの学びと、その教育に携わる教職員を ICT の側⾯から⽀援することを⽬的に、2013 年 5 ⽉に設⽴。幅広いプラットフォームを提供するマイクロソフトのネットワークを活かし、業界の枠を超えた 62 社でサポートしています。2014 年 10 ⽉には、学校 ICT 環境における運⽤管理のノウハウ共有や、機器整備費⽤の軽減などを通して教育現場を包括的に⽀援する「Windows クラスルーム圏域包括プログラム」を発表。協議会では、学校教育での ICT 利活⽤の加速と定着を図り、将来世代の国際競争⼒向上に寄与していきます。

マイクロソフトは、「ICT で教育を変えたい」という強いビジョンをもち、ICT を⽇常的に授業に活⽤し、実践を広めていく意思のある学校を「Microsoft Showcase Schools」として選出しています。2015

年度は世界中から約 150 校選出予定で、⽇本からプログラム開始以来はじめて 6 校を選出。推進してきた⽇本の教育現場での ICT

活⽤が実を結んでいます。代表校は ICT を活⽤実践するほか、連携しながら活動。広く成果を公開し、他の学校を勇気づけることが期待されており、⽇本の 6 校も公開授業を⾏います。

教育 ICT 先進校を⽇本から 6 校選出

世界の教員が参加するグローバルコミュニティサイト「Microsoft

Educator Network」を通じて、ICT を活⽤した教育・学習活動の経験やアイデアを議論、共有する場を提供しています。2014 年

3 ⽉にはバルセロナで「Microsoft 教職員 ICT 活⽤実践コンテスト」の世界⼤会が開催され、世界 97 か国、1,100 名以上の教育関係者らが参加しました。⽇本からも 4 名の先⽣⽅が参加され、ブースをつくり発表しました。世界中のノウハウを共有できる貴重な機会として役⽴っています。

情報を共有し、学びあう場を提供■Microsoft Educator Network

製品やサービス、ノウハウの提供により、21 世紀型スキルを意識した ICT 教育⽀援を⾏っています。京都市の⽴命館⼩学校では、2013 年 11 ⽉からマイクロソフト Surface を⼀⼈⼀台使⽤した教育を開始。内蔵カメラやマイク機能、Windows ストア アプリなどを使い学校紹介ビデオを⾃主制作するなど、⼦どもたちの積極的な教育参加と創造性の発揮につなげています。また、初等教育からの ICT リテラシー取得にも役⽴てています。将来のビジネスや研究の場でも使いこなせるスキルや知識を⽀援し、⼦どもたちの可能性を引き出す取り組みを続けていきます。

着実に実証研究が進む教育現場■学校と連携した実証研究

http://www.microsoft.com/ja-jp/education/showcase_schools/2015.aspx

Web

21世紀の⼈材育成のための教育環境の実現を⽀援■Windows クラスルーム協議会 ■Microsoft Showcase Schools

(※本イニシアチブのもと⽇本で⽀援対象となる若者は、初等教育〜⾼等教育の過程にある⽅、および進学、就労、起業の意欲のある 39 歳までの⽅です )

教育チャレンジ⽀援2

⽇本において無業の状態にある若者の数が増加しており、社会問題として顕在化してきています。内閣府発⾏の⼦ども・若者⽩書 (平成

26年度版 ) によれば、若年無業者は約 80 万⼈ (15 歳〜 39 歳 )。また、⽇本の完全失業率がおおむね 4% で推移している中で、34 歳までの完全失業率は、約 5 〜 8% と他の世代と⽐べても⾼い数字を記録しています。⽇本マイクロソフトは、2010 年より若者就労⽀援を専⾨的に⾏う

NPO とのパートナーシップを通じて、社会的困難を抱える若者に

IT スキル講習と就労⽀援を組み合わせて提供し、進学・就労へと導く活動を⾏っています。ビジネスに必要な IT スキルを学ぶことが

できるオリジナル テキストの開発や、NPO のスタッフを対象にした講師スキルの向上につながる研修を提供するなど、質の⾼い講座運営のための後⽅⽀援をしています。2010 年から⾸都圏 5 か所で始まった「若者 UP プロジェクト」は、その受講者数が 2014 年度において、累計 2 万 3 千⼈を超えました。そのうち、約 46% が 6 か⽉以内に進路を決定しています。今後は、プログラミングや企業へのインターンシップ体験も取り⼊れ、⾏政・NPO・企業との官⺠連携をさらにひろげます。

ITの活⽤によりのべ 2 万 3 千⼈の若者の就労を⽀援■若者UPプロジェクト

教科書を⾒ることが難しい、鉛筆で⽂字を書くことが難しい、通学することが難しいといった障碍のある⼦どもたちが PC やタブレットなどの ICT を活⽤することで、その困難を補えることがあります。1988 年から継続して⾏っている障碍のある⽅に向けた活動では、「Kinect センサー」を使った障碍のある⽅の能動的活動を⽀援する「OAK」の共同開発を⾏うなど、パートナーと⼀緒に、だれもが ICT を使って可能性をひろげられるように取り組んでいます。

■学習に困難のある⼦どもの⽀援

⾝体的な障碍だけでなく、読み⾶ばしをしてしまう、似ている⽂字を間違えて書いてしまう、集中することが難しい、といった学習上の困難がある⼦どもにも、ICT が役⽴つことがあります。2013 年から東京⼤学先端科学技術研究センターなどと⾏っている「DO-IT School」プロジェクトでは、特別⽀援学級や通級指導教室の先⽣にタブレットとソフトウェアを提供し、「Word」で教科書や教材を⾳声で聞く、⽂字認識機能を使ってテストに回答するなど活⽤⽅法を知っていただき、ともに実証研究を⾏っています。学習に困難のある⼦どもが、テクノロジーで困難を補い、本質的な学びを実現して充実した学校⽣活を送ることを⽬指しています。今後も最新のテクノロジーを普及する傍ら、蓄積してきた知⾒を活かした活動を継続していきます。

発達障碍、学習障碍⽀援にタブレットを活⽤

テクノロジーで困難を補う

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1⽉ 2⽉ 3⽉ 4⽉ 5⽉ 6⽉2013年 2014年

7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2⽉ 3⽉ 4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉0

1

2

3

4

5

6

7

8(%) 全体 15〜24歳 25〜34歳 35〜44歳 45〜54歳 55〜64歳 65歳以上

総務省統計局「労働⼒調査」

学習や就労において困難を抱える若者に向けた困難克服のための⽀援活動

若者 UP プロジェクト受講の様⼦

教育Citizenship Report 2014 - 2015

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⾼度⼈材育成3

学⽣や教員の ICT スキルの学習や⼈材育成、研究をサポートする⽀援プログラム「DreamSpark (ドリームスパーク ) 」。プログラミングやサーバー構築といった ICT の学習や研究を⽬的に、「Visual Studio (参考価格 : 59,800 円 ) 」や「Windows Server」など、世界中の IT の現場で使われているマイクロソフトの開発ツールやサーバー製品を⾼校⽣以上の学⽣に無償で提供しています。製品別のトレーニング プログラムも⽤意しており、国際競争⼒のある開発技術⼒をもった若者の育成を⽬指しています。教育機関向けの有償プログラムも提供しています。

学⽣たちに開発環境を無償で提供

■Microsoft Student Partners(MSP)

マイクロソフト創設者、ビル ゲイツの「学⽣たちがアイデアや技術を発表する場を提供したい」という想いから2003 年に始まった、世界最⼤の学⽣向けの IT コンテストが Imagine Cup です。世界の同世代と IT スキルを競い合い、国際競争⼒のある若者を育成⽀援する場となっています。これまで190 を超える国から、のべ

165 万⼈以上の学⽣が参加しています。2014年は 16,892 ⼈の学⽣から7,491 作品の応募があり、予選を勝ち抜いた 34 チームがシアトルで⾏われた世界⼤会に臨みました。12 回⽬を迎える Imagine Cup 2015 は、2015 年 4 ⽉に⽇本予選

⼤会を、同年 7

⽉にシアトルで世界⼤会を開催します。

■Imagine Cup

「Microsoft Student Partners」は、マイクロソフトが全世界で展開する学⽣パートナー プログラム。⽇本マイクロソフトの社員がメンターとしてつくことで、最新のテクノロジーを学ぶことはもちろん、プレゼンテーションやマーケティングなど通常のインターンでは経験できない業務も提供しています。実務だけでなく、仕事の進め⽅やフィードバックを通して⽣のビジネススキルを⾝につけることができるプログラムとなっています。このプログラムで、毎年約 15 名の IT リーダーの卵たちを輩出しています。学⽣への機会提供を通じ、これからのビジネスを担う⼈材育成に貢献しています。

学⽣パートナー プログラムでリーダーを育成する■マイクロソフト リサーチ

マイクロソフト リサーチ (MSR) は、レドモンド、シリコンバレー、ニューイングランド、ケンブリッジ、北京、バンガロールの世界 6

か所に拠点をもつマイクロソフトの基礎研究機関です。世界中の⼤学とのオープンな協働研究を通じて、教育環境の向上、技術⾰新の促進、コンピューター サイエンス分野の進歩に貢献しています。また、主に博⼠課程の学⽣を対象にインターンシップ プログラムも提供しており、世界各国から約 3,000 ⼈の学⽣を受け⼊れています。参加した学⽣からは「⼤学に⽐べて、研究のスピードが⾮常に早いと感じる。他の研究者と容易に議論ができる環境は、とても有意義だった。さまざまな国の学⽣や研究者と出会い、話をしていくうちに、⾃らの研究の周辺分野に関する知識不⾜などを痛感している」などのコメントがあり、インターンシップへの参加に⾮常に満⾜いただいています。今後も⽇本の若い研究者らが、MSR と連携することで、最先端のテクノロジーを研究できる機会を設け、コンピューター

サイエンスの基礎研究の⽔準を⾼めるとともに、グローバルな⼈材の育成を担っていきます。

⽇本の将来を担う世代の国際競争⼒の底上げと進学・就労・起業の⽀援

シアトルで⾏われた I m a g i n e C u p 2014 の世界⼤会には 34 チーム が 参加。⽇本代表の⿃⽻商船⾼等専⾨学校のチーム「かぞくぐるみ」は、ぬいぐるみをインタフェースにした遠隔コミュニケーション システムを提案し、審査員や観覧席から⾼い評価が寄せられました。

世界 6 つの拠点に約 850 ⼈以上の研究者がいるマイクロソフト リサーチ (MSR)。プログラムを通じて、インターンシップ参加者は世界的に認められた研究者と創造的な研究活動を⾏うことができます。写真はレドモンドの MSR。

■DreamSpark

165 万⼈以上の学⽣が参加する IT コンテスト 意欲ある若⼿研究者約 3,000 ⼈を⽀援

情報セキュリティ だれもが安⼼して使えるインターネット環境の実現を⽬指しています。

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⽇本マイクロソフトは、2014 年 2 ⽉、東⽇本と⻄⽇本の 2 拠点にデータセンターを新たに設置し、国内データセンターからの

Microsoft Azure および Office 365 の提供を開始しました。マイクロソフトは、すでに 20年以上にわたってデータセンターの運⽤実績をもち、これら数多くの拠点から 90 か国、10 億⼈以上のお客様にサービスを提供しています。⾦融、医療や官公庁・地⽅⾃治体など⽇本国内でのデータ保管が必要となるお客様も多く、これらのお客様に対しても、マイクロソフトならではのデータセンターを基盤としたクラウド サービスの提供が実現されました。また、東⻄に 2 拠点を設置することにより、⾃然災害対策なども⽇本国内のみで可能となりました。データセンターを利⽤したクラウド

サービスの拡充を進めることで、⽇本企業のグローバル展開を⽀援し、お客様のビジネス拡⼤・企業価値向上に貢献します。

ICT が社会や暮らしにとって不可⽋な存在となるに従い、ICT を悪⽤したサイバー攻撃や犯罪が増加しています。2014 年のインターネット バンキングの不正送⾦⾦額は約 29 億 1,000 万円にのぼり、2013 年 の約 2 倍となっているほか、サイバー攻撃による顧客情報や機密情報の流出も多数報道されています。政府の「世界最先端 IT 国家創造宣⾔」の中にも「サイバー セキュリティ」という項⽬が盛り込まれ、サイバー攻撃に対する社会的な取り組みが始まっています。マイクロソフトは、情報セキュリティ・サイバー セキュリティに対して先駆的な活動を進めてきました。すべての⼈々がコンピューターを信頼して安全に利⽤できる環境の実現を⽬指した「Trustworthy Computing (信頼できるコンピューティング ) 」の考え⽅のもと、セキュリティを最優先とした製品づくりを実践し

ています。さらに⼀歩踏み込み、技術や法律、調査などのエキスパートを集めた専⾨セクションを社内に設け、公的な捜査機関とも連携してサイバー犯罪対策を進めています。毎⽇の交通安全が⾃動⾞企業の努⼒だけでは実現できないように、安⼼・安全なサイバー空間を実現していくためには、さまざまな組織との協⼒が不可⽋です。⽇本マイクロソフトでは、国内外の機関や企業と連携を図るとともに、安全に利⽤するための啓発活動などにも⼒を注いでいます。今後、ICT が健全な成⻑をとげて社会に貢献していくためには、安⼼・安全なサイバー空間の実現が重要となります。私たちはその実現に向けて、さまざまな視点から継続的に取り組んでいきます。

安⼼・安全なネット環境の実現のために

東⽇本と⻄⽇本の 2 拠点にデータセンターを開設

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 7 8 9 10 11 121 2 3 4 5 6

2012 年 2013 年 2014 年

300

250

200

150

100

50

0

(件)

■インターネット バンキングの不正送⾦ ⽉別発⽣件数の推移

被害件数 64 件被害額

約 4,800 万円

2012 年被害件数 1,315 件被害額

約 14 億600 万円

2013 年

被害件数1,876 件被害額

約 29 億 1,000 万円

2014 年出典:警察庁 2014 年 2 ⽉ ⽇本データセンター開設⽇本の顧客向けに 2 リージョン (東⽇本・⻄⽇本 ) に設置

国内最⾼レベルの耐震性を誇る設備⾃然災害の発⽣を前提として、拠点地域の選定・免震構造・⾃家発電

⾃動復旧のネットワークの実現⻑年のソフトウェア パワーを活⽤した⾼信頼性・⾼可⽤性

国内のみで⾼い冗⻑性を提供東⽇本・⻄⽇本リージョンの複数拠点で展開

⽇本への⾼いコミットメント提供サービスの拡充、⽇本品質の追求

⽇本データセンターの優位性。安⼼・安全はもちろん、⾼信頼・⾼品質かつ⾼速なクラウド サービスを提供していきます。

東⽇本

⻄⽇本

情報セキュリティCitizenship Report 2014-2015

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⽇々巧妙化するサイバー犯罪に企業と連携して対応

佐藤 快孝 ⽒

サイバー犯罪の⼿⼝は、⽇々悪質・巧妙化しています。これらの脅威に対処するためには、警察の取り締まりだけでなく、企業が蓄積している専⾨的な知識と総合的な観点も犯罪捜査に活かしていくことが有⽤だと考えています。その中でも、マイクロソフトの OS は世界的なシェアを占めており、また⾼度な技術⼒をもっていることから連携させていただくことになりました。すでにプログラムはスタートしており、講師にお越しいただいた研修では、捜査員の技術的な理解がさらに深まりました。2014 年 (平成 26 年中 )のインターネット バンキングの不正送⾦被害額や都内のサイバー犯罪の検挙件数が過去最⾼となり、サイバー空間で被害にあうリスクが増加しています。捜査員への情報提供や研修、国際的なカンファレンスへの参加などマイクロソフトと連携した取り組みが、警察のサイバー犯罪対処能⼒を底上げし、安⼼・安全なサイバー空間の確保につながると期待しています。

警視庁⽣活安全部サイバー犯罪対策課⻑警視

⽇本における安⼼・安全なサイバー空間の実現・維持のため、グローバルで蓄積してきた知⾒を活かして、国内外の機関や企業との協⼒体制を築いています。2014 年 6 ⽉には、警視庁と「Security Cooperation Agreement (セキュリティ協⼒に関する覚書 ) 」を締結しました。この覚書は、⺠間企業という⽴場から技術的なアドバイスを提供するほか、警視庁の職員に対する技術研修などを⽀援します。協⼒するのは主に以下の 3 点です。1) 技術情報の提供 : セキュリティ更新プログラムの更新にあわせて、製品のセキュリティに関する情報の迅速な提供

2) 緊急時の協⼒ : ⼤規模なサイバー攻撃発⽣時において警視庁と連携し、状況の分析や技術的なアドバイスの提供

3) サイバー セキュリティ⼈材育成への貢献 : 警視庁の職員の⽅々に対し、当社製品に関する研修や、マイクロソフトが主催する国際カンファレンスへの参加などを通じた技術⽀援の提供

また、ICT を駆使した捜査⼿法などにおいても技術的な⽀援を⾏っていきます。マイクロソフトでは、公的なセキュリティ機関に対して技術的な協⼒を提供する「Security Cooperation Agreement」を世界で展開しており、すでに 50 以上の機関と覚書を締結しています。今回の警視庁との連携も、こうしたグローバルな取り組みの⼀環です。マイクロソフトが世界で培ってきた経験を、国内の機関・企業へと展開することで、⽇本のサイバー セキュリティ対策強化に貢献していきます。

警視庁とサイバー セキュリティに関する覚書を2014年6⽉締結

サイバー攻撃は多様化・激化の⼀途にあり、国際的なイベントが開催されるたびに開催国を狙った攻撃が急増する傾向がみられます。⽇本でも 2020 年に向けて政府機関や企業への攻撃がさらに増えることが想定され、その対策は重要課題となっています。そこで⽇本マイクロソフトは、品川本社オフィス内に「サイバークライムセンター⽇本サテライト」を 2015 年 2 ⽉から展開しています。⽶国本社の「サイバークライムセンター」と連携し、サイバー脅威に関する情報解析の最新データをリアルタイムに確認・分析し、⽇本に関連する情報だけを抽出。⽇本に対するサイバー攻撃の傾向などの情報を、セキュリティ関連団体などを通じて公表していきます。また、オンライン サービス事業者や捜査機関に、マイクロソフトが開発したサイバー犯罪対策ツールや最新技術情報を提供するほか、政府機関にマイクロソフト製品のソース

コード開⽰など、技術⽀援や情報提供を通じて、政府レベルでの対策のさらなる加速に貢献します。さらに、サイバー攻撃の脅威と対策への理解を⾼めていただくことを⽬的とした「標的型攻撃体験ワークショップ」も順次開催していきます。今後も⽇本マイクロソフトは、⽇本サテライトを拠点として、⽶国本社のサイバー犯罪に対抗する専⾨家集団「デジタルクライムユニット」、各国の政府機関やセキュリティ関連団体、パートナー企業と密接な連携を推進していきます。

グローバルなネットワークを活かしたセキュリティ対策

地域社会への貢献 地域社会への貢献

地域に根ざした社会貢献に取り組んでいます。Citizenship Report 2014-2015

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⽇本マイクロソフトでは、社員ボランティアによる職場⾒学や職場体験のプログラムを提供しています。品川本社にて実施している「職場⾒学」は⼩学⽣から⼤学⽣を対象にした 90 分のプログラムです。事前アンケートでいただく学⽣の皆さんからの質問を元に、マイクロソフトの会社説明、社員の具体的な働き⽅を紹介、PC のスキルに合わせて実際に製品の体験も可能なプログラムとなっており、将来のキャリアや⾃分の夢を考えていただける機会創造の場となっています。2014 年度は、67 校、784 名の学⽣の皆さんが当社を訪れ、103 名の社員がボランティアにて講師を⾏いました。毎回 98%以上の参加者が「たいへん満⾜」と回答するなど、⾼い評価をいただいているプログラムです。⼀⽅、東京都公⽴中学校 2 年⽣を対象にした「職場体験」※は、実際に品川本社にて社員としての時間を 1 ⽇〜 2 ⽇実体験いただくプログラムです。こちらも希望者の PC スキルや要望に合わせて内容を構成し、Office を使ったプレゼンテーションづくり、開発チームへのインタビューなど、IT 産業ならではの仕事体験や外資系⺠間企業ならではの経験実習を⾏い、社員が直接ボランティアでサポートします。2014 年度は、4 校、4 名の中学⽣が体験プログラムに参加しました。未来の⽇本を担う⼦どもたちが働く楽しさを体験できる機会を提供しています。

社員の社会的活動への関⼼が⾼まっており、社会課題解決に貢献したいという声があがっています。⽇本マイクロソフトでは NPO

法⼈ サービスグラントのコーディネーションのもと、社会課題の解決をミッションとした NPO を、社員が実際に仕事で培った経験やノウハウを活かして⽀援するプロボノプロジェクトを⽴ち上げました。プロジェクトは社員がチームを結成し、業務時間外の時間を活⽤して、NPO の課題解決をサポートするもので、2012 年 1 ⽉から活動を開始しています。これまでに⽇本マイクロソフトの企業市⺠活動で取り組みを推進したテーマは、障碍者⽀援、アクティブ シニア層⽀援、被災地⽀援、医療分野への⽀援、⼥性の⾃⽴⽀援など幅広く、さらに NPO が IT

の⼒でより効率的・効果的に業務を遂⾏するための業務改善⽀援なども⾏ってきました。また、さらに多くの社員ボランティアが IT の⼒やスキルを活⽤して⽀援参加できるよう、ショート プログラム「プロボノ READINESS ワークショップ」なども実施しています。2014 年末までに、13 NPO 団体に 55 名の社員が分野に分かれて⽀援に参加し、この活動意義を経験し、継続的な NPO

⽀援に向けた社内意⾒交換会やプロジェクトへの提案などを積極的に⾏っています。

社員による地域社会への⽀援■職場⾒学・体験プログラム

「アクティブ シニア プログラム」はシニアの⽅が ICT を活⽤して、いきいきとした⽣活を送ることを⽬標とするプログラム。⾮営利のシニア向けパソコン教室を⽀援するほか、札幌市⽴⼤学などと⾼齢者の⾃⼰健康管理・孤⽴軽減をタブレットとクラウドで⽀援する「E-KURASHI」プロジェクトを⾏ったり、佐賀県で⺠⽣委員の⽅がタブレットを⼀⼈⼀台持ち、住⺠の⽅の情報や活動記録を効率的に安全に管理する実証研究に参画しています。

■アクティブ シニア プログラム

■社員による NPO サポート

シニアの⽅のいきいきとした⽣活を ICT で⽀援

※本職場体験プログラムは、東京都が 2005 年度から開始した「わく (Work) わく (Work) WeekTokyo (中学⽣の職場体験事業 ) 」の取り組みにマイクロソフトが賛同し、年 5 回程度実施しているもので、中学⽣に限定しています。

プロボノプロジェクトで 13 の NPO を⽀援

NPO の活動を⽀援するため、テックスープジャパン (事務局:⽇本NPO センター )を通じて、NPO の業務で最も利⽤されているWindows や Office ソフトウエアの寄贈を実施しています。2014 年以降 2015 年 2 ⽉現在までで、累計 1,494 団体へ 10,514 ライセンス

(市場価格 6 億 4 千万円相当 ) の寄贈に貢献しています。2013 年 10

⽉からは、Office 365 を無償または安価で提供する「Office 365

⾮営利団体向けプログラム」も開始しました。Office 365 を活⽤

することで、Office アプリケーション、電⼦メール、予定表、HD

ビデオ会議などにどこからでもアクセスできるようになり、効率的な働き⽅や⽣産性の向上などを実現します。マイクロソフトのクラウド技術を提供することで、地域に貢献する NPO の基盤強化を⽀援しています。

■ソフトウェア寄贈プログラムNPO にソフトウェア 10,514 ライセンスを提供

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テレワーク推奨強化週間 2014に32の企業、⾃治体から3,000⼈が参加

⽇本マイクロソフトがこれまで⾏ってきた企業市⺠活動を象徴的な数字でご紹介します。数字で⾒る⽇本マイクロソフトの企業市⺠活動

1,000,000,00090

227,000,000YouthSparkイニシアチブは、世界 100 か国以上で、累計 2.27 億⼈以上の若者を⽀援

640,000,0002014 年〜 2015 年 2 ⽉までに 1,494 団体へ 6 億 4 千万円相当の 10,514 ライセンスを寄贈貢献

20年以上のデータセンター運⽤実績で、90 か国 10 億⼈のお客様にサービスを提供

2009年から6年間で地域活性化協働プログラムで 12⾃治体、36NPO、5教育機関、28のその他事業団体を⽀援

累計 54 万⼈のお客様が品川オフィスに訪れ新しい働き⽅を視察

Imagine Cup2014に、16,892 ⼈の学⽣から7,491 の作品が応募

若者 UP プロジェクトの受講⽣は 2010 年からのべ 2 万 3 千⼈超、進路決定率は 46%

イノベーション センターにて「未来の起業家」たちを年間約 2 万⼈⽀援

マイクロソフトリサーチで約 3,000⼈のインターンを受け⼊れ

549,629

16,89220,000

3,000

3,000

78823,000

1236528

55 名の社員がプロボノ活動を通じて 13 の NPO を直接⽀援

135550

10 7

46

32

シアトル、バンガロール、北京、ベルリン、ロンドン、パリ、テルアビブの世界 7 拠点でスタートアップ⽀援プログラムを運営

50 以上の公的なセキュリティ機関にサイバーセキュリティの技術的な協⼒を提供

CityNextでは 10分野を設定し課題解決ソリューションを展開

2014 年は 788 名もの学⽣が品川オフィスにて職場⾒学や社員としての 1 ⽇を体験

国外の取り組み 世界各地で地域に根ざした社会貢献に取り組んでいます。

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GSM アソシエーション (GSMA)※ が 2018 年までのモバイル ワールド

キャピタル (世界のモバイル産業の⾸都 ) に選んだバルセロナは、世界の “スマート シティ” のリーダーのひとつになることを⽬標に掲げています。マイクロソフトはこの事業における緊密なパートナーとして、イノベーションの推進、市⺠や観光客への新しいサービスの提供、新しいテクノロジーを基盤とする企業や起業家の育成とサポートを実現できるよう、バルセロナ市議会が実⾏する重要なイニシアチブを多数サポートしてきました。まず市の⾏政や記録管理業務で収集されたパブリック データを効率的に管理するために地域のパートナー企業である Bismart と協⼒し、だれでもインターネット経由で簡単にパブリック データにアクセスできる「Open Data BCN」を開発。スケーラビリティとセキュリティに定評のあるマイクロソフトのクラウド サービスおよびデバイスを採⽤することで、市は⾏政や記録管理業務で収集した⼈⼝、企業、道路地図、公共施設、市カレンダー、選挙結果などのデータを効率的に管理できるようになっただけでなく、⼀般の⼈もクラウド内に格納されたビッグ データを分析し、その結果を⽣活やビジネスに活⽤することが可能になりました。

また、市は Bismart と組んで、「Bigov Better City Indicators」と呼ばれるダッシュボードを開発。以前は企業単位でしかアクセス

できなかった公共⾃転⾞の利⽤量や各バス路線の利⽤者、市の経済状況や⼈⼝統計など 120 の主要指標をオープン データに変換し、公開しています。市⺠は Windows 8 のアプリを使って、これらのダッシュボードにアクセスし、市の発展のレベルを把握できるほか、これらの指標を⽣活またはビジネスにおける魅⼒度を⽰すベンチマークとして活⽤し、新しいビジネスを構築することもできます。さらに、Bismart はビッグ データに関する経験も豊富で、バルセロナ市との連携にもその専⾨知識を活かしています。例えば、市の最も重要なイベントのひとつ、毎年開催されるメルセ祭では、Bismart によるビッグ データ分析が威⼒を発揮。祭の前後に 1⽇あたりのアクセス数が最⼤となる市の ウェブサイトの閲覧状況のほか、参加者が SNS に投稿するコメント、インターネット上で共有される画像、携帯電話で⽣成される位置情報などのデータをすべて取り込み、分析を⾏うことで、市はその年のメインイベントに付随する⾏政⾯のあらゆる情報を充実させることができるようになりました。市⺠や観光客に最⾼のひとときを提供するため、どの場所に駐⾞場や ATM、レストラン、レンタル バイクなどの施設を⽤意すべきか、どの路線にどれだけのバスを運⾏させるか、など具体的な検討に役⽴てています。

バルセロナのビジョンは市⺠向けサービスを効率化することだけではありません。市⺠との間により個別化された関係を構築する

ことも視野に⼊れています。そこで Microsoft Dynamics CRM を使って、ソーシャル メディアなどで⾏われた市⺠と⾏政間の対話の履歴を記録。市⺠は携帯電話、タブレット、PC などさまざまな⽅法でこの新しいチャネルを活⽤し、⾏政と対話することができるようになりました。市は引き続き、BizSpark を通して起業家をサポートし、実証実験に関するコラボレーションや、新製品および⼀般的な標準規格の開発実現を⽬指しています。バルセロナ市⻑の Xavier Trias は次のように述べました。「これは⽂化、知識、創造性、イノベーション、⽣活の質に優れた都市としての地位を確固たるものにする、⾮常に重要なイニシアチブです。バルセロナは、ビジネスや起業家の⽀援、将来の雇⽤を⽣み出す新しい機会の創出に重点的に取り組んでいきます」マイクロソフトは、⾏政とのパートナーシップを通じ、次世代の街づくりを進めていきます。

ビッグ データを活⽤した住⺠サービスを展開■ CityNext ーバルセロナ

オープン データを⽣活やビジネスに活⽤

⾏政を充実させるビッグ データの分析 雇⽤創出や起業家⽀援など、新たな機会を⽣み出す※ GSM ⽅式の携帯電話システムを採⽤している移動体通信事業者や関連企業からなる業界団体

マイクロソフトは「Skype in the classroom」という無料で参加できる世界的な教育コミュニティを運営しています。これは Skype のビデオ通話機能を利⽤したインターネットの交流授業で、現在、世界各国 20,000 ⼈以上の教育関係者が参加し、世界中で 2,000

以上の Skype 活⽤の授業案が公開されています。「Skype in the

classroom」のサイトで会員登録をした後、だれでも科⽬や年齢層別に授業案を検索できるだけでなく、他国の先⽣を⾒つけて、協⼒しながら授業やプロジェクトを進めたり、交流相⼿となるクラスや教室に招くゲスト スピーカーを探すことができます。プログラムのひとつである「Mystery Skype」は、 2 か国の教室間を Skype で接続し、⼦どもたちが英語でヒントを出し合って、お互いの国を当てるという教育ゲームです。やりとりを通して⾃然に⽂化交流が⽣まれ、地理、歴史、⾔語、数学、理科などさまざまな科⽬の勉強にもつながります。時には共同科学調査や国際的な読書感想会に発展することもあります。

国外の取り組みCitizenship Report 2014 - 2015

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サイバー セキュリティの脅威が深刻化する昨今、不正アクセスの⼿⼝はますます巧妙化し、標的とする企業を狙ってより効率よく経済的な価値の⾼いデータを盗み取ろうとする傾向も強まっています。その被害は、企業の競争⼒を⼀時的にそぐだけでなく、顧客データの漏洩などが露⾒すれば事業存続が危うくなるほど⼤きなものです。マイクロソフトには、法律とテクノロジーを駆使してサイバー犯罪に対抗する専⾨家集団「デジタルクライムユニット (DCU) 」という組織が存在します。検事や弁護⼠、捜査官の経験者からビッグ

データに⻑けた技術者やアナリストまで、世界 30 か国において

100 名近いさまざまな分野のスペシャリストを擁し、サイバー犯罪の撲滅にリーダーシップを発揮してきました。⼀般企業で、ここまでの技術と能⼒をもつ組織はほかにありません。しかし、単体の組織だけでサイバー セキュリティの脅威に対処することはきわめて困難です。DCU も各国の法執⾏機関や CERT

(Computer Emergency Response Team)、顧客企業とも連携しな

がら、サイバー犯罪に取り組んでいます。2013 年 6 ⽉には、⾦融機関やセキュリティ関連企業、FBI と協⼒し、1,462 のボットネット

( 悪意のあるソフトウェアに乗っ取られたコンピューターのネットワーク ) を遮断することに成功。これらのボットネットは「Citadel」という危険なマルウェアを使って、オンライン バンクの⼝座情報や個⼈情報を盗み取り、その被害は 90 か国以上、500 万⼈にもおよび、被害額は 5 億ドルにも上ると推定されていました。2013 年秋、⽶国本社に開設された「サイバークライムセンター」は、2015 年 2 ⽉に展開を開始した「サイバークライムセンター⽇本サテライト」 (P 19 参照 ) の本拠地でもあります。ここを拠点に、世界中に拡⼤しているマルウェアを使った危険なボットネットを法的かつ技術的な⾏動により崩壊させるなど、サイバー犯罪撲滅の取り組みを加速させています。DCU は引き続きハッカーと闘い、サイバー犯罪から顧客企業を守るとともに、こうした活動によって得られた知⾒を信頼性の⾼い製品やサービス開発に活かしていきます。

Skype を利⽤した教室での国際交流■Skype in the Classroom

サイバー犯罪撲滅の取り組み■ Microsoft Digital Crimes Unit (DCU)

https://education.skype.com/

Web

5802-CGP1

〒108-0075東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー

記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。この冊⼦は 2015 年 3 ⽉現在のものです。

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