code4lib japan 2016 ライトニングトーク:bdcプロジェクトと一部研究のご紹介

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資料 BDCプロジェクト 『映画におけるデジタル保存・活用に関する 調査研究事業』と一部研究のご紹介 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 岡本 直佐 『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 1/23 code4lib JAPAN 2016

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資料

BDCプロジェクト『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』と一部研究のご紹介

東京国立近代美術館フィルムセンターデジタル映画保存・活用調査研究事業班

岡本 直佐

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 1/23

code4lib JAPAN 2016

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 2/23

フィルムセンターの位置づけ

独立行法人国立美術館

本館

フィルムセンター

工芸館

東京国立近代美術館フィルムセンターは、昭和27(1952)年に設置された国立近代美術館の映画部門として開設され、昭和45(1970)年には機能を拡充する形でフィルムセンターとして開館しました。日本で唯一の国立映画機関として、国内外の映画フィルム及び映画関係資料の収集・保存・復元とこれらについての 調査・研究 に携わるとともに、様々な刊行物を発行しています。

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

フィルムセンター紹介

東京国立近代美術館 フィルムセンターは…

フィルムセンタ―京橋

上映 大ホール

展示室

映画保存棟Ⅰ

「フィルム保存棚」

映画保存棟Ⅱ図書室

京橋(東京都のほう) 相模原

3/23

BDC調査研究事業について (1/2)

『BDCプロジェクト(映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業)』について

趣旨・目的美術館・歴史博物館などの機能・役割を活用して,美術館・歴史博物館に係る緊急的かつ重点的な分野等の取組を支援することにより,美術館・歴史博物館が地域文化の核として地域文化の発信を牽引し,文化芸術立国の実現に資することを目的とします。

実施期間H26年7月1日~H29年3月31日まで

文化庁の補助対象事業です

4/23『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

BDC調査研究事業について (2/2)

BDC『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』

実施計画概要

①デジタル映画の保存・活用に関する調査研究- 日本で製作・公開されたデジタル映画の作品一覧、保存媒体等状況の調査・整理- デジタル映画の長期保存に係る調査研究

②フィルム映画のデジタル保存・活用に関する調査研究- フィルム映画をデジタル技術を活用して長期保存・復元するための調査研究

③諸外国におけるデジタル映画の保存に関する技術や法制度等に関する調査研究- 海外のデジタル映画の取り組み等情報収集- 映画の保存・活用に係る法制度等の調査研究事業

④映画のデジタル保存・活用を担う人材育成- デジタル映画等の活用による人材育成のための教育普及

研究員:6名、事務員:4名で活動

5/23『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

映画のデジタル化によって、、

Film Digital

保存 保存

6/23

映画フィルムと、上映媒体=保存媒体でもあった。デジタル映画では、何を・どうやって保存する?

について、「保存」

最適な環境では100年以上もつ

デジタル媒体はフィルムに比べ寿命が脆弱・HDD 5年・LTO 7年・Blu-ray 20年

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

映画のデジタル化によって、、

7/23

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 7/49

フィルムを上映できる設備が少ない状況下において、フィルムをデジタル化することが必要。また、デジタル化された映像・情報をより「見たい」「有効活用したい」という要求も生まれる。

「活用」 について、

Film Digital

<デジタル化> お金 時間 技術 優先順位

<公開> 情報レベル 公開方法 クオリティ(フィルムルック)

フィルムセンターでは約70,000本のフィルムを収蔵

→デジタル化されない作品は、見ることの機会を失ってしまっている?

省略

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 8/23

H28年度調査研究事業の一つ【映画アーカイブにおける映像データの長期保存システムの調査研究委託事業】

について、「保存」

『デジタル修復』をはじめ、デジタル技術を活用した事業を行っているが、長期保存に対して適切な対応を取れていない状況

例)コンテンツデータの管理: LTOの棚置き管理→システム的な管理が行えていない

例)長期保存のための情報管理: 既存の目録データベースのまま→国際標準仕様・規則など、管理体系の変化や表現方法の多様化に対応できていない

→長期保存に必要な情報項目は何なのか不明確

近い将来にBorn Digitalコンテンツの収集も想定され、体系的管理が喫緊の課題と認識

「長期保存」について、実システムを用いた実証的研究を実施し、各種課題や問題点を明らかにしたい(保存媒体の長期寿命性については範囲外)

思い

国際的標準仕様・規則等の適用

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

なんでCode4lib Japanに?

FIAFカタロギングマニュアル

FIAF(国際フィルムアーカイブ連盟)のカタロギングマニュアルが2016年5月に出ました!

カタロギングのベースとなっているのが

FRBR!

FRBR!? 読み方すら分からん!※分からないのは岡本個人のみです

あ、FRBR&RDA勉強会やってる

即参加! 読み方わかった!

我々の活動にも協力いただこう!

さらに、活動の紹介もしたいので参加しよう!

ふぁ~ば~!

9/23

FIAFFRBR

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <階層モデル編>

Work著作

Expression表現形

Manifestation体現形

Item本1冊

Work作品

Itemフィルム5巻

Variant日本語字幕版

Manifestation上映用

10/23

・FRBRと同じ4階層に見えます・Expression → Variant なの?

FIAFFRBR

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <階層モデル編>

Work著作

Expression表現形

Manifestation体現形

Item本1冊

Work作品

Itemフィルム5巻

Variant日本語字幕版

Manifestation上映用

・VariantはWorkとほぼ同列(Workのバリエーション)

・FRBRのExpressionに値するものが無い・4階層といいつつ実質3階層

ItemXDCAM1枚

Manifestationプレリリース

11/23

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 12/23

Item図書

映画 Item

=フィルム1巻

本1冊

・・・違うらしい

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <Item編>

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

映画 Item =

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <Item編>

1作品フィルム5巻13/23

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

短編映画A Item

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <Item編>

短編映画B Item

短編映画C Item

Itemの単位が物理単位と一致しない→これで管理できるのだろうか?

1フィルムに3作品なんてことも

14/23

美術品 図書 映画k

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

FRBR と FIAFカタロギングマニュアルの違い <来歴・ヒストリー・世代>

1つの美術品に積みあがる

複数の関係として積みあがる

版ごとに積みあがる

  検閲版や吹替版などのバリエーション

美術品は単独。

他関係≒コレクション

複製 複製

美術品 本フィルム

ネガ

フィルム

ポジ

ヒストリー

フィルム

Variant

ヒストリー

美術品

Variant

フィルム

ポジ2

ヒストリー

本(別版)

Expression

ヒストリーヒストリー

映画、写真、版画のような

複製芸術には「世代」が重要

(でも、FIAFカタログで足りてる?)

15/23

Preservation Planning

Data

Management

Ingest

Archival

Storage

Access

Administration

AIP AIP DIP

Descriptive

Info

Descriptive

Info CO

NSU

MER

PRO

DU

CER

MANAGEMENT

orders

result

querie

SIP

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

長期保存のための「OAIS参照モデル<ISO14721:2002、2012>」

Content Infomation

(内容情報)

Preservation Descriptive Information

(保存記述情報)

Packaging Infomation(パッケージ情報)

Content Data Object

(データオブジェクト)

Representaion Information

(表現情報)

Reference(ID情報参照)

Provenance(来歴)

Context(他情報との関係)

Fixity(内容の不変性)

Access Rights(アクセス権)

Descriptive Information

(パッケージ記述情報)

「情報パッケージ」というまとまり・保存対象・再生性や不変性に関する情報付加・保存対象をパッケージ化する

左記はAIP(保存用情報パッケージ)

機能エンティティ・情報パッケージを取り扱う流れ・エンティティごとに詳細機能・情報の長期保存を実現

16/23

Preservation Planning

Data

Management

Ingest

Archival

Storage

Access

Administration

AIP AIP DIP

Descriptive

Info

Descriptive

Info CO

NSU

MER

PRO

DU

CER

MANAGEMENT

orders

result

querie

SIP

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

長期保存のための「OAIS参照モデル<ISO14721:2002、2012>」

Content Infomation

(内容情報)

Preservation Descriptive Information

(保存記述情報)

Packaging Infomation(パッケージ情報)

Content Data Object

(データオブジェクト)

Representaion Information

(表現情報)

Reference(ID情報参照)

Provenance(来歴)

Context(他情報との関係)

Fixity(内容の不変性)

Access Rights(アクセス権)

Descriptive Information

(パッケージ記述情報)

情報パッケージ ≒ 長期保存

例えば美術品などにみられる修復に関する情報は「Descriptive Info」になるこれも長期保存には必要。

しかしOAIS参照モデルでは「Descriptive Info」の内容

→各アーカイブで考えてね

17/23

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班

現実に発生するのはサブシステム構成

拠点A

目録システム

API等

保管システム<サーバ>

保管システム<ストレージ>

拠点B

保管システム<サーバ>

保管システム<ストレージ>

API等

Work作品

Itemフィルム5巻

日本語字幕版

Manifestation上映用

ItemBlu-ray1枚

Manifestationプレリリース

Preservation Planning

Data

Management

Ingest

Archival

Storage

Access

Administration

AIP AIP DIP

Descriptive

Info

Descriptive

Info CO

NSU

MER

PRO

DU

CER

MANAGEMENT

orders

result

querie

SIP

Content Infomation

(内容情報)

Preservation Descriptive Information

(保存記述情報)

Packaging Infomation(パッケージ情報)

Content Data Object

(データオブジェクト)

Representaion Information

(表現情報)

Reference(ID情報参照)

Provenance(来歴)

Context(他情報との関係)

Fixity(内容の不変性)

Access Rights(アクセス権)

Descriptive Information

(パッケージ記述情報)

どこにどのレベルで情報をもつべき?

18/23

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 19/23

委託事業では全部まぜまぜで考えています

整理・分析

「長期保存の対象」の情報群

Format関連資料

人・組織

Event

実際のシステムへの実装

検証・課題抽出 評価

「国際標準仕様」「規格」

類似の事例・研究など

業務フロー(受入・保管など)

データ/機能モデリング

研究会

<コンテンツ> <メタデータ>

LTO作品情報

ワークフロー(来歴)など

・メタデータの構造、意味、関連等の検討→「概念モデル」という抽象化手法がもちいられる

・メタデータの記述項目、記述方法などの検討例)「DCPパッケージ」を表現するためには、解像度、

bit深度、プレイリスト、、、など何が必要で、どの情報の単位で入力フィールドを分割するか

・情報の単位の纏め方等の検討例)1作品毎(フィルム+DCPをあわせて管理)?例)上映単位毎(フィルム、DCPは別々管理)?

・どんなタイミングで情報が発生するか例)受入れ、素材提供、マイグレーション、エラー

チェック実施など

などなど

3サイクルで行う実証検証現時点では1サイクル完了

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 20/23

委託事業全部まぜまぜで考えています

Work

その他

ISBD

Variant

Manifestation

Item

・Metadata Schema・国内/国際標準仕様

・FIAF Manual(FRBR・RDA・EN15907)

・アーカイブ組織の情報

・コアエレメント・エレメント・アトリビュート

Agent

Event

PBcore

<SMPTE>

EBUcore

PREMIS

その他

表現方法

マッピング

METS

映画作品

フィルム

アセット

保存活動

マッピング

作業者・管理者

その他

項目定義

権利

関連資料

・保存のワークフロー(Ingest・Archive・Access)

SIP

AIP

DIP

・受入情報の定義・形式、受入コントロール・サブシステム間コントロールなど

・検索、管理・Archive後の更新・項目定義(OAIS-FIAF)など

・データへのアクセスなど

マッピング

or or or

・どの単位で(work?Manifestation?)パッケージ化するか・パッケージに含む・含まない情報の整理・どのようにパッケージ化して管理するか・サブシステムで分割される場合の管理方法

・情報のパッケージの単位(

In

form

atio

n P

ackage)

Another Choice?

複合で? 大きな単位で(e.g. Manifestation)

小さな単位で(e.g. Item)

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 21/23

委託事業 研究会

図書館

博物館・美術館

映画

→図書館情報学

→博物館情報学

→学問が無い!

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 22/23

委託事業 研究会

というわけで、事業では外部の方の力をお借りし

研究会を実施しています

◎学術系・大学の先生がた■図書館情報学・情報学■情報工学■電子工学

◎他業種アーカイブ■写真アーカイブ関連事業者■博物館アーカイブ関連事業者(博物館情報学含む)

◎映画関連■フィルム・アーカイブ■映像系ベンダー/ポストプロダクション

◎SI企業■情報系ベンダー(非営利団体含)■ストレージベンダー(非営利団体含)

『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班 23/23

ご清聴ありがとうございました。

ご質問の際は以下にご連絡ください。

岡本 直佐(おかもと なおすけ)[email protected]

03-3561-0824

※本資料の見解はフィルムセンターの見解ではなく、岡本個人の見解になります