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Global Research マクロ アジア経済 2009 年第 3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡 大が加速し、輸出にも下げ止まりの兆しが見える。インフレ再燃と 財政悪化が景気腰折れのリスクをはらむが、強力な財政出動に支え られたアジアは飛躍の可能性が高い。 Frederic Neumann & Robert Prior-Wandesforde ディスクレーマー / ディスクロージャー 本レポートの末尾に記載されています。併せてお読みください。

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Page 1: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

���Global Research

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

Asian Economics飛躍するアジア

アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

大が加速し、輸出にも下げ止まりの兆しが見える。インフレ再燃と

財政悪化が景気腰折れのリスクをはらむが、強力な財政出動に支え

られたアジアは飛躍の可能性が高い。

Frederic Neumann & Robert Prior-Wandesforde

ディスクレーマー / ディスクロージャー

本レポートの末尾に記載されています。併せてお読みください。

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

危機脱却

できすぎのようにもみえる。ほんの数カ月前のアジアは、世界経済と同様、奈落の底をのぞい

ていた。しかし、そこから急回復を遂げ、 近はマクロ指標の改善が先行きの楽観論を支えて

いる。アジアでは好材料が特に目立つ。少し前なら行き過ぎと思えた期待をはるかに上回る改

善だ。確かに、期待水準が低かった分、上振れ度が大きくなっている面はあるだろう。実際、

前月比では伸びていても、前年比では低迷が続くケースが多い。本格回復が達成されたわけで

はない。まだ課題は多いのである。だが、少なくとも危機は脱したと言えるだろう。

危機の拡大を受けた当局の対応は速かった。これまでにない規模の刺激策が打ち出され、アジ

アでは、公共事業に加え、さまざまな需要拡大策が実施に移されている。アジアの財政出動は

他の地域の倍近くに達する。しかも、金融機関の救済が必要ないアジアでは、需要の押し上げ

に向けて資金を有効に活用できる。とはいえ、不透明感は残る。財政刺激効果が低下した後は

どうなるのか。先進経済の不調が続くなかで、アジアは持続的な回復を遂げることができるの

か。輸出主導の回復が望めない状況で、向こう数年のアジアを牽引するのは何なのか。

HSBC では、これらの点について楽観的な見通しを持っている。カギになるのは大規模な金融

緩和の継続である。これまでにも指摘した通り、アジアの金融セクターは先進諸国のような打

撃を受けていない。大幅な利下げを受けた流動性の拡大が徐々に効果を上げ始めている。資産

価格の上昇や消費の回復がその証しだ。 も力強いのは中国だが、シンガポール、香港、台湾、

韓国、インドネシアなどでも堅調ぶりが目立つ。インドも大方の予想を大幅に上回る成長を記

録し、総選挙で与党連合が大勝したことで一段の伸びが期待できる。

以上がこの夏の時点の状況判断であり、今後も明るい見通しが続く可能性が高い。とはいえ、

マーケットでは二番底を懸念する声も聞かれる。それも無理からぬ話だ。在庫調整進展の支え

はいずれ低下する。輸出セクターが必要としているのは、在庫調整による一時的な押し上げ効

果ではなく、先進市場の真の需要回復なのである。この意味で、先行きの不安は小さくない。

HSBC では米国、ユーロ圏の 2010 年成長率がそれぞれ 1.9%、0.1%にとどまるとみている。ア

ジアのトレンド成長を取り戻すにはとても十分な水準とは言えない。しかし、アジア経済が今

回の危機以前の成長率を回復することができなくても、当面は、輸出の低迷を補う内需の堅調

サマリー

暗黒の日々は終わった。長く厳しい冬を乗り越えたアジア経済に活気が戻りつつある

“芽吹き”にとどまらない本格回復が視野に入ったと言えるだろう。確かに政策頼みの

面は大きいが、来年にかけての持続力も備えた回復だ。むろんリスクはある。インフ

レ高進や、貿易、財政収支の不均衡がその例だ。しかし、中国とインドに牽引された

アジアにはリスクを跳ね返す力がある。緩和策の継続も回復持続のカギとなる。

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

が期待できる。アジアに関する判断は、輸出依存度が高いとみる見方と、デカップリングの進

展を重視する見方の両極端に分かれがちだが、実際はそのどちらでもない。輸出の伸び悩みは

それなりに成長の足かせとなるが、そうした状況は政策当局に引き締め転換を思いとどまらせ、

内需主導による一定の成長を可能にする。

回復へのリスク

HSBC としてもアジア経済の回復を妄信しているわけではない。実際、リスクは多く、それも

予期せぬところから広がる可能性もある。HSBC で も警戒しているのはインフレの再加速で

ある。上昇圧力が懸念されるのはヘッドライン・インフレ率であり、コアではそれほど心配す

る必要はないかもしれないが、今年いっぱいは、前年水準が低かった影響でインフレ圧力の高

まりが予想される。インフレ期待が中銀の政策を決める重要な要因であることを考えると、イ

ンフレ率の上振れは金融市場のボラティリティを高めることになるかもしれない。とはいえ、

HSBC では、中銀が積極的な政策転換に踏み切るとは予想していない。来年は、依然ふらつい

ている景気の足元を支えると同時に、回復を持続させる資産リフレが必要であることを踏まえ、

慎重なペースで緩和政策の修正が進められることになるだろう。

アジアで経済の堅調さが目立つのは中国、インド、インドネシアの 3 カ国である。特にインド

ネシアが予想以上の底堅さをみせており、大統領選挙を経た政局の安定化に伴って、力強い回

復が見込まれる。そのほかにも、シンガポール、マレーシアが注目に値する。両国では景気安

定化の兆しが広がっているほか、アジアで 大規模の財政出動が景気を支えている。ベトナム

とスリランカも推奨対象だ。スリランカでは、向こう数年にわたって内戦終結の恩恵が予想さ

れる。もう 1 つ、やや意外かもしれないが、HSBC では、タイについても回復ペースが速まる

とみている。タイでは、政局がようやく安定化に向かい始め、経済も数年来の低迷から脱する

可能性が高い。一方、韓国、台湾は、内需が輸出の落ち込みを補い切れず、伸び悩みが見込ま

れる。

HSBC の国別成長率予測(Asian Economic Quarterly 09 年 2Q 号との比較)

(前年比、%) 2009 (旧) 2009(新) 2010(旧) 2010(新) 2009 コンセンサス 2010 コンセンサス

中国 7.8 7.8 8.5 8.5 7.5 8.4

香港 -4.5 -4.5 2.4 2.4 -4.6 2.6

インド 6.2 6.2 8.0 8.0 5.8 7.0

インドネシア 2.5 3.8 4.5 5.3 3.7 4.7

日本 -6.5 -6.3 1.6 1.2 -6.6 1.3

韓国 -3.7 -2.3 3.4 3.6 -2.7 3.1

マレーシア -3.5 -3.8 5.5 6.3 -3.2 3.6

パキスタン 2.0 0.8 2.9 2.6 2.2 3.7

フィリピン 1.0 1.0 3.0 3.0 0.6 3.2

シンガポール -7.0 -6.0 4.5 5.3 -7.0 3.5

スリランカ 3.2 3.7 5.0 7.0 2.7 4.7

台湾 -6.2 -5.1 2.2 4.4 -5.4 3.2

タイ -3.5 -4.0 3.0 4.8 -3.8 2.8

ベトナム 4.5 4.7 6.5 6.8 3.7 5.3

日本を除くアジア 3.8 4.2 6.6 6.9 3.9 6.4

日本、中国を除くアジア -0.1 0.5 4.8 5.3 0.3 4.4

日本、中国、インドを除くアジア -2.4 -1.7 3.6 4.3 -1.8 3.5Source: HSBC, Consensus Economics

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

サマリー 1

現状 4

見通し 5

主要経済予測 6

金融・財政政策の前提条件 7

3段階の飛躍 8広がる回復の兆し 8

“芽吹き”の本物度 9

回復の持続性 10

まとめ 14

インフレの見通し 16インフレ再加速の可能性 16

コア・インフレ率の見通し 18

GDP ギャップの推計 20

アジアの影響の大きさ 21

アジアのインフレが意味するもの 22

今後の見通し 24市場の関心 24

インフレ目標 26

成長率の見通し 27

主要経済指標 29GDP 30

インフレ 31

鉱工業生産・失業率 32

消費・貯蓄 33

投資 34

貿易 35

為替・金利 36

国・地域別見通し 37中 国 38

香 港 40

インド 42

インドネシア 44

日 本 46

韓 国 48

マレーシア 50

パキスタン 52

フィリピン 54

シンガポール 56

スリランカ 58

台 湾 60

タ イ 62

ベトナム 64

目次

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

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GDP 成長率(前年比、%)はアジア危機以来の急低下 09 年 1Q も成長率の低下が続く

-6

-3

0

3

6

9

12

97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09Asia Asia ex . CHAsia ex . JP Asia ex . CH & JP

-15

-10

-5

0

5

10

CH HK IN ID JP KR MA PH SG SL TA TH VN1Q 2009 4Q 2008

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

内需は持ちこたえるか(前年比 GDP 成長率への寄与度) 輸出(前年比、%)が引き続き低迷

-15

-10

-5

0

5

10

HK IN ID JP KR MA PH SG TA THDomestic demand in 1Q 2009 Net ex ports in 1Q 2009

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

CH HK IN ID JP KR MA PK PH* SG SL* TA TH VN

Q1 2009 April to May 2009

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC 注)*=4 月のデータ

総合インフレ率(前年比、%)はピークアウトし、低下が続く 価格圧力も軒並み低下(前年比、%)

-202468

101214

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Asia ex . JP ASEAN NIEs

-4

0

4

8

12

16

20

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VNQ1 2009 May-09

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

現状

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

HSBC の 09 年成長率予測(前年比、%)はコンセンサスを上回る 2010 年成長率予測

-8-6-4-202468

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN2009 HSBC forecast 2009 consensus

0

2

4

6

8

10

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN

2010 HSBC forecast 2010 consensus

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

名目輸出(前年比、%):2009 年はマイナス、2010 年は回復 CPI 上昇率(前年比、%):2010 年は加速へ

-40

-30

-20

-10

0

10

20

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN2009 HSBC forecast 2010 HSBC forecast

-2024

68

1012

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN

2009 HSBC forecast 2010 HSBC forecast

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

政策金利予測(%):追加利下げの余地は限定的 2010 年は引き締め転換の公算大

02468

101214

CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN

Current 2009f end

0

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4

6

8

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CH HK IN ID JP KR MA PK PH SG SL TA TH VN

2009f end 2010f end

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

見通し

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

主要経済予測

(前年比%) アジア平均 CN HK IN ID JN KR MA PK PH SG SL TW TH VN

実質 GDP 成長率2007 6.8 13.0 6.3 9.0 6.3 2.3 5.1 6.2 2.0 7.1 7.8 6.8 5.7 4.9 8.52008 3.9 9.0 2.5 6.7 6.1 -0.7 2.2 4.6 3.7 3.8 1.1 6.0 0.1 2.6 6.22009f 0.4 7.8 -4.5 6.2 3.8 -6.3 -2.3 -3.8 0.8 1.0 -6.0 3.7 -5.1 -4.0 4.72010f 4.9 8.5 2.4 8.0 5.3 1.2 3.6 6.3 2.6 3.0 5.3 7.0 4.4 4.8 6.8民間消費2007 4.8 9.0 8.5 8.5 5.0 0.7 5.1 10.4 -1.3 5.8 5.2 7.8 2.3 1.6 9.62008 4.0 8.9 1.7 2.9 5.3 0.6 0.9 8.5 5.2 4.7 2.4 6.7 -0.3 2.5 7.32009f 2.5 8.0 -1.6 5.0 4.8 -1.3 -2.6 -0.3 1.0 1.7 -3.5 3.5 -0.4 -0.5 3.42010f 4.1 8.5 1.4 7.0 5.1 0.0 2.6 5.2 2.0 2.6 4.3 6.8 2.1 2.6 6.2固定投資2007 10.4 25.8 3.4 12.9 9.4 0.8 4.2 9.6 3.8 10.9 19.2 5.5 1.9 1.3 23.02008 7.6 26.1 -0.3 8.2 11.7 -5.0 -1.7 0.8 -6.5 2.9 13.7 6.0 -10.6 1.1 13.22009f 1.1 20.0 -1.4 8.0 1.6 -13.2 -5.1 -8.9 3.0 -1.9 -10.4 6.0 -17.9 -9.4 3.22010f 7.7 20.0 8.9 13.0 6.4 -3.3 5.6 4.9 4.0 4.0 5.7 9.0 3.8 7.1 6.7経常収支*(対 GDP%)2007 6.0 11.0 10.8 -1.0 2.4 4.9 0.6 15.6 -8.3 4.8 23.5 -4.5 8.6 5.9 -9.82008 4.2 8.6 10.9 -3.2 0.1 3.2 -0.7 17.6 -9.5 2.5 14.8 -9.8 6.3 -0.1 -11.62009f 3.4 5.1 9.6 -2.2 0.6 2.8 2.9 12.3 -2.7 1.4 10.3 -5.5 8.8 3.2 -5.62010f 3.3 4.4 9.7 -2.5 -0.3 4.1 0.6 10.2 -2.1 -0.6 9.0 -5.4 8.3 1.5 -4.7CPI(平均)2007 2.8 4.8 2.0 6.4 6.4 0.0 2.5 2.0 7.6 2.8 2.1 15.8 1.8 2.2 8.32008 4.9 5.9 4.3 8.3 10.2 1.5 4.7 5.4 20.3 9.3 6.5 22.8 3.5 5.5 23.02009f 0.6 -0.6 0.9 7.0 5.7 -1.4 2.7 0.4 13.4 3.5 -0.3 4.4 -0.7 -1.4 7.52010f 1.4 0.8 1.4 5.8 8.3 -1.1 3.2 3.2 8.1 4.8 2.3 9.4 1.2 2.9 10.1金利**(年末%)2007 4.0 3.3 3.5 8.0 7.8 0.5 5.7 3.6 n.a. 3.7 2.4 n.a. 2.2 3.9 n.a.2008 3.9 1.7 1.0 8.5 12.0 0.4 4.7 3.4 n.a. 6.1 1.0 n.a. 1.0 3.0 n.a.2009f 2.6 1.7 0.5 6.3 6.9 0.3 2.2 2.0 n.a. 6.0 0.7 n.a. 0.8 1.6 n.a.2010f 2.9 1.7 0.5 6.3 7.1 0.3 3.2 2.5 n.a. 6.0 0.8 n.a. 1.5 2.3 n.a.為替レート(対ドル、年末)2007 n.a. 7.30 7.80 39.4 9,400 112 936 3.31 61.5 41.2 1.44 108.7 32.4 33.7 16,0172008 n.a. 6.82 7.75 48.7 11,325 91 1,260 3.45 79.0 47.4 1.44 113.0 32.8 34.7 17,4832009f n.a. 6.80 7.80 54.0 12,000 105 1,200 3.90 90.0 53.0 1.56 118.0 33.0 37.0 18,2002010f n.a. 6.80 7.80 54.0 12,000 105 1,200 3.90 92.0 53.0 1.56 118.0 31.5 39.0 18,200* 香港:貿易・貿易外経常項目のみ

* 中国:3 カ月定期、香港:3 カ月 HIBOR、インド:3 カ月 TB、インドネシア:3 カ月 SBI、韓国:3 カ月 CD、マレーシア:3 カ月 KLIBOR、フィリピン:3 カ月 TB、シンガポール:3 カ月

SIBOR、台湾:91 日物 CP 流通利回り、タイ:3 カ月 BIBOR、***インドは年度ベース

Source: HSBC アジア平均は 08 年名目ドル加重

GDP(前年比%) CPI(前年比%)

-4

-2

0

2

4

6

8

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09f 10f

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0

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8

Asia av erage

Asia ex China, India & Japan av erage F'cast

0

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98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09f 10f

Asia av erage

Asia ex China, India & Japan av erage

F'cast

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

金融・財政政策の前提条件

財政政策

2009 年 2010 年

中国 財政赤字は GDP 比 3%以内に収まる見通し。昨年 11 月に景気刺激策を発表。内容は鉄道など運輸関連のインフラ整備、公営住宅建設、投資減税。

景気を下支えするために拡張的な財政政策を継続。

香港 一時的な投資収益の大半が政府支出に回された 2008-09 年度と比べると 2009-10 年度予算における政府支出は 5 月の対策を含めても小規模。それでも財政赤字は GDP 比 4%に増加する見通し。

2010~11 年は多数のインフラ投資が始まり、拡張的な財政政策が継続される予定。総投資額は 25 兆 HK ドルに上る見通し(件数は 10 件)。民間企業にも参加機会が与えられる見込み。

インド 7 月 6 日発表の予算は拡張的でばらまき色が強い。GDP 比 1.5%程度の財政緩和。貧困対策、インフラ投資が重視されているが、経済改革、財政構造改革は見送り。財政赤字は一段増の見通し。

景気の回復に伴い緊縮財政の性格が強まる可能性があるが、その点については依然不透明。緊縮財政に転じた場合、投資支出削減の公算大。

インドネシア 政府は 2009 年に 72 兆ルピー(GDP 比 1.5%)のインフラ投資を予定している。景気減速とコモディティ価格の下落を受け歳入が減少。財政赤字は GDP 比 3%まで拡大する見通し。

2010 年には景気が持ち直し、財政赤字が GDP 比 2%まで縮小の見通し。

日本 4 月 10 日発表の景気刺激策で GDP が 1.1 ポイント押し上げられる見通し。うち 09 年度中の押し上げ効果は 0.8 ポイント程度と見込まれる。政府投資の前倒しは 4-6 月期に始まり、年後半に本格化する見通し。

2010 年度の当初予算には、個人消費、公共投資の急減や景気の揺り戻しなど、過去 大の財政出動となった 09 年度の反動を回避するための措置が盛り込まれる公算大。

韓国 景気対策の規模は、社会保障関連を除き、2009 年 GDP 比 4.8%、2010 年 GDP 比 5.5%の見通し。政府債務は 08 年の GDP 比 29%から 09 年で 36%まで上昇する見込み。

政府が 2010 年まで減税を続け、景気が緩やかに回復するとして、2010 年の均衡予算の実現は難しいとみられる。2010 年の公的債務は GDP 比36%を上回る可能性がある。 法人税、所得税の 高税率が 09 年に 2 ポイント引き下げられ、それぞれ 22%、35%になる予定。

マレーシア 政府は昨年 11 月の景気対策( GDP 比 1.3%)に続き、3 月には GDP比 9%に上る追加景気対策を発表した。実施期間は 2009~10 年、対象は極めて広範囲。

財政赤字の規模は急速な勢いで GDP 比 2 ケタに近づいている。いかなる内容であれ、追加景気対策は弊害の方が大きくなるだろう。いずれにせよ、追加景気対策が不要になることが望まれる。

パキスタン 大胆な税制改革が行われるわけではなく、国営企業民営化による収入も枯渇し、政府は支出抑制を迫られる見通し。慎重な財政管理の必要性が一段と高まろう。

政府支出にさらなる上限が設けられ、歳入増の取り組みがなされるなど、財政再建が続く見通し。政府がさらなる勘定連結の必要性を感じているとすれば、引き続き政府部門が経済成長の足を引っ張ることになるだろう。

フィリピン 成長鈍化に伴い歳入が減少する一方、2010 年の大統領選挙が近づくにつれ、政府支出拡大を求める圧力が強まるとみられる。財政再建は一時的に中断される可能性が高い。財源不足を補うための内外の借り入れが今後の重点課題となる見通し。

2Q に大統領選が終わり、新政権が新たな予算案を作成するまで、政府支出は一段と減少する見通し。景気の回復に伴って歳入が持ち直す可能性があるが、財政赤字は引き続き高水準で推移する見込み。

シンガポール 1 月に発表された今年の予算案は GDP 比 8%という大型景気対策。雇用の維持、失業者支援、法人税減税、インフラ投資が柱。

景気が回復軌道に乗ったという前提のもと、2010 年の予算案はより中立的な内容になる見通し。

スリランカ 内戦の終結に伴い歳入急減のなかで復興予算の捻出が必要になる。財政赤字は 08 年の GDP 比 8%から 12%まで拡大する見通し。

復興予算が高水準で推移するものの、景気の持ち直しで若干の収支改善が見込まれる。財政赤字は GDP 比 10%まで縮小すると予想する。

台湾 景気減速や減税の結果、歳入が減少する見通し。一連の景気刺激策(GDP 比 4%)の結果、財政赤字は GDP 比 4.5%まで膨らみ、2001 年の IT バブル崩壊時の 6.4%に近づく見込み。

2010 年までのインフラ投資計画や景気刺激策などにより、財政は一段と悪化する可能性が高い。だが、緩やかな景気回復に伴い、歳入が増加し、財政にもいくぶんの余裕が生まれる見通し。

タイ 新政権は現金支給、職業訓練、公共事業などを主な内容とする総額 3,000 億バーツ(GDP 比 3.3%)の景気刺激策を発表した。景気後退に伴う税収減と合わせると、財政赤字は、1980 年以降では 大となる GDP 比 6.5%まで膨らむ見通し。

政府は総額 1 兆 4,000 億バーツ(GDP 比 16%)に上る追加景気刺激策も発表した。2010~12 年にインフラ投資を行うという内容。GDP を 5 ポイント押し上げ、3 年間で 160 万人の雇用を創出する効果が見込まれる。景気回復に伴う税収増が期待されるものの、大型景気刺激策の実施による政府支出増から、財政赤字は GDP 比 6%前後が予想される。

ベトナム 政府は 20 億ドルの追加刺激策を発表し、景気対策は総額で 80 億ドル(GDP 比 8.6%)となった。一方、低成長と原油価格低下を受け、歳入減少は避けられない見通し。財政赤字は GDP 比 8%まで拡大する見込み。

2010 年には景気が持ち直すと想定し、財政赤字は GDP 比 7%まで縮小すると予想する。

Source: HSBC

金融政策

期末(%) 1Q09 2Q09 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e中国 1 年基準貸出金利 5.31 5.31 5.31 4.77 4.77 4.77 4.77 4.77香港 政策金利 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50インド レポレート 5.00 4.75 4.75 4.75 4.75 5.00 5.75 6.00インドネシア 28 日物 SBI 金利 7.75 7.00 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 7.00日本 翌日物コールレート 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10韓国 翌日物コールレート 2.00 2.00 2.00 2.00 2.25 2.50 2.75 3.00マレーシア 翌日物金利 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.25 2.50パキスタン レポレート 15.00 15.00 12.00 12.00 10.00 10.00 10.00 10.00フィリピン 翌日物レポ金利 4.75 4.25 4.00 4.00 4.00 4.00 4.25 4.50シンガポール 3 カ月インターバンクレート 0.67 0.60 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 1.20スリランカ レポレート 11.75 11.00 10.50 10.50 10.50 10.50 11.00 11.00台湾 割引基準金利 1.250 1.250 1.250 1.250 1.375 1.500 1.625 1.750タイ 1 日物レポ金利 1.50 1.25 1.25 1.25 1.25 1.25 1.75 2.00ベトナム 政策金利 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 8.00 8.00Source: HSBC

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8

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

広がる回復の兆し

アジア経済は昨年暮れから今年初めにかけて

大きく落ち込んだが、その後は本格回復に向

けた道筋をたどっているようにみえる。

HSBC で作成した一致指数(図 1)も回復基

調を示唆している(指数の詳細は 2009 年 2月12 日付 “Asia recovery: What to look for” を参照され

たい)。この指数は、中国、韓国の合成先行

指数、CRB 指数、独 IFO 指数、S&P 500 など

に基づいている。図の赤線はこのモデルでア

ジアの GDP 成長率(日本を除く前年比)を

推計したもので、これによると、成長率は今

年 1Q の 2.1%から 2Q に 3.3%まで回復する

見通しになっている。それほど大幅な改善と

は言えないかもしれないが、図から分かるよ

うに、推計値が示唆する水準は、季調後前

期比年率では 8.4%と 07 年末以来の高成長と

なる。

この指数を使って 3Q の見通しを立てること

もできる。3Q の推計値を出すには、8 変数の

うちの 2つ(独 IFO と CRB 指数)を予想する

必要があるが、いずれも 6 月水準で横ばいと

仮定すると、成長率は前期比年率で 13%まで

跳ね上がり、推計対象期間を通じて も高い

伸びが見込まれる。

この推計値を額面通りに受け取れば、アジア

3 段階の飛躍

�アジアでは、危機後の第 1 段階の回復が力強く始まった。

�第 2 段階では、財政、金融政策の遅行効果が回復を持続させる。

�さらに、貿易の回復と潜在力の高さに加え、海外の投資資金が再び流入することで

自律的回復が可能になる。

図 1. アジアの 09 年 2Q 成長率は急回復の見通し

0

2

4

6

8

10

12

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Asia GDP* HSBC Coincident Indicator** Q-o-Q Seasaonally adjusted annualised change in Coincident Indicator

% Yr

Source: CEIC, HSBC. *日本を除くアジア。 **中国景気先行指数、韓国景気先行指数、独 IFO 期待指数、S&P 500、CRB コモディティ指数など

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9

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

経済は、HSBC を含めた強気筋の も楽観的

な見通しをさらに上回る回復を遂げることに

なる。こうした推計結果が出たのは、一致指

数の変数のうち、IFO の期待指数が 2Q にド

イツ再統一以降で 大の改善を記録したほか、

S&P 500、CRB 指数も、それぞれ、1980 年 3Q以来、1982 年 4Q 以来の上昇率となったこと

を反映したものだ。

“芽吹き”の本物度

しかし、過去 9 カ月の波乱を考えると、指数

はどの程度正確と言えるだろう。

指数の推移は今回の危機における成長率実績

に沿った動きになっているが、景況感指数や

先行指数が上昇しても、ハードデータが改善

するとは限らないとの懸念は常に存在する。

「夜明け」の判断が早すぎることは十分あり

得るのである。

指標改善の真偽

今回の場合も、センチメントの急改善は、生

産や需要が本格回復に向かい始めたことを背

景とするものではなく、大恐慌の再来が回避

されたことへの安堵感を映したにすぎないか

もしれない。

だが、HSBC ではその可能性は低いとみてい

る。昨年末から今年初めにかけての動きにつ

いては、金融危機の見通しが悪化しても、企

業は需要や生産をそれほど絞り込まなかった

と考える方がしっくりくる。その後、危機悪

化懸念が大幅に後退し、先行きの不透明感が

少なくなったことで、経済活動がセンチメン

トの改善にとどまらない回復基調をたどると

考えるのは自然な流れと言える。幸い、これ

が現実であることを示す証左が相次いで認め

られるようになっている。

生産

図 2 は台湾、韓国の工業生産について、季調

後の 3 カ月比を示したものだ。いずれも昨年

末から今年初めにかけて大きく落ち込み、そ

の後急回復している(潮目の変化をみるため

には、前年比より、前月比などを重視する必

要がある)。

日本を除くアジア諸国のうち、台湾、韓国以

外で生産統計の季調値を公表しているのはシ

ンガポールのみだが、シンガポールの場合も、

3 月のボトムから直近の 5 月までに 25%近い

急回復を遂げている。他のアジア諸国につい

ても HSBC で季調値を推計したところ、ここ

数カ月で同様の改善が確認された。日本の鉱

工業生産も 2 月のボトムから 17%持ち直して

いる。

確かに、中国を除き、季調値が昨年のピーク

まで回復している例はない。しかし、改善へ

の流れは明白とみられ、アジアの生産は急回

復過程に乗った可能性が高い(図 3)。

図 3. アジアの生産回復ペースは G4 を大幅に上回る

90

120

150

180

210

240

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Asia x Jpn Asia x Jpn & Ch G4

Index*

Industrial Production

Source: CEIC, HSBC. *2000 年 1 月 = 100

図 2. 生産は急回復へ

-25-20-15-10

-505

101520

97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Taiw an Ind. Prod. Korea Ind. Prod.

% 3m -on-3m

Source: CEIC

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10

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

サービス

サービスは工業生産より GDP に占める比率

が高いが、あいにく、関連する月例統計はほ

とんど存在しない。日本を除くアジアでサー

ビス業指数を公表しているのは韓国のみだ。

韓国のサービス業指数はここ数カ月、急上昇

が続いている(図 4)。直近データは 6 月で、

5,000 社を対象とする聞き取り調査に基づい

ている。日本の第 3 次産業活動指数も、3 月

に急低下した後、4 月に 1997 年 5 月以降で

大の前月比プラスを記録した。

一般的に言えば、金融セクターは 1Q の落ち

込み後、アジア全域で改善に向かいつつある

とみるのが妥当だろう。また、卸売りは製造

業に沿った動きになることが多く、公共サー

ビスも各国政府の景気対策を受けて堅調を維

持していると考えられる。これに対し、ホテ

ル、レストランなどの観光関連は苦戦を強い

られている可能性が高い。

GDP 成長率

HSBC の一致指数からうかがえる改善見通し

を否定する理由はこれといって見当たらない。

前述の通り、同指数は 2Q の成長率が前期比

年率で 8%を超える可能性を示唆し、3Q には

一段の成長加速があり得る。

国別では中国の前期比伸び率が大きくなるだ

ろうが、中国以外でも広範な成長が確認され

る可能性が高い。

回復の持続性

HSBC の見方が概ね正しければ、アジア経済

が L 字型、U 字型の成長パターンをたどる可

能性は少なくなる。しかし、W 字型の二番底

をつける可能性はまだ排除できず、実際、向

こう 1 年の間にそうしたシナリオを描く向き

は多い。二番底シナリオの根拠は主に以下の

通りだ。

1. 在庫調整の影響

アジア経済が回復基調にあるとする向きの中

でも、それは単に在庫調整の進展を受けた一

時的な押し上げ圧力によるものにすぎないと

の見方がしばしば聞かれる。国内 終需要が

本格回復に転じたわけではないとの見方だ。

アジアの在庫状況については、関連統計が整

備されておらず、詳細な分析はできないが、

幾つかの判断は可能だ。

図 5 は、HSBC で作成したアジア企業活動指

数のうち、在庫指数の推移を示したものだ

(2009 年 6 月 9 日付 “Asian Chartbook” 参照)。

PMI 指数と同様、50 を超えた場合は 終製品

在庫が前月比でプラス、50 を下回った場合は

マイナスになったことを意味する。この指数

には、中国、インド、シンガポール、香港の

実際の PMI 指数に加え、韓国、タイについて

も景況感調査の在庫指数を組み込んでいる。

この指数をみると、昨年末から今年初めにか

けてやや変動したものの、その後は直近の 6

図 4. 韓国サービス指数が急上昇

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

01 02 03 04 05 06 07 08 09

Korean serv ice sector activ ity index

% 3m-on-3m

Source: CEIC

図 5. 在庫再積み増しの兆しはまだ見られず

40

45

50

55

60

65

95 97 99 01 03 05 07 09

Asia (ex . Jpn) Business Index - Inv entories

Index

Source: Markit, Bloomberg, CEIC, HSBC

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11

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

月まで安定的な動きになっていることが分か

る。指数が示唆する水準から判断すると、ア

ジアの前期比 GDP 成長率に対する在庫の寄

与度は 2Q にプラスに転じる可能性が高いが、

その幅はそれほど大きなものではない。また、

実際の在庫状況についても、本格的な積み増

しが始まった兆しは認められない。

もう 1 つ注目すべき点は、今回の後退期にお

ける在庫調整が過去の後退期と比べ、限定的

な範囲にとどまっている可能性だ。それが事

実だとすれば、在庫は依然高水準にあり、一

段の調整があり得ることになる。ただ、そう

したリスクは否定できないものの、図から分

かるように、今回の危機に至る段階での在庫

積み増しは、アジア危機前や 2001 年のハイ

テクバブル崩壊前の水準を大幅に下回る。

アジアの 終需要拡大を示す も明確な証左

は中国で認められる。例えば、中国の固定資

産投資は 1 年前の水準を 40%余り上回ってお

り(図 6)、高成長が続いた中国の基準で判断

しても極めて高い伸びだ。また、5 月の伸び

率は、中央・地方政府ではなく、民間の方が

全体のペースをやや上回った。小売売上高も

前年比 16%超の増加が続き、自動車、住宅販

売も急拡大している。

中国以外の状況にはばらつきがあるが、これ

は月例統計の整備が遅れていることが一因と

言えるかもしれない。特に投資関連でその傾

向が強い。それでも、インドネシアでは個人

消費の伸びがアジア危機後で 大を記録し、

韓国でも、信用収縮懸念をよそに、百貨店売

上高や消費者信頼感が急速に持ち直しつつあ

る。台湾、香港などでも小売売上高の前年比

マイナス幅が縮小傾向にある。インドでは、

自動車販売が年初来の堅調を維持している。

2. 輸出見通し

アジアでは、内需に持ち直しの兆しが広がる

一方で、輸出は(月間データから判断して

1Q ほどではないにせよ)依然低迷状態にあ

る。しかし、これまでにも指摘した通り、こ

の点の違和感は実はそれほど大きくない。図

7 にあるように、アジアの輸出回復は内需の

回復に遅行する傾向があり、今回もこのパタ

ーンになるとみられる。

HSBC で作成した(日本、中国を除く)アジ

ア輸出先行指数(2008 年 6 月 30 日付 “Exports to turn” 参照)は実質輸出が今年 3Q に改善の

兆しをみせる可能性を示唆している。前年比

では 5%減となおマイナスが続くとみられる

ものの、季調後前期比では 7.7%増と大きく

持ち直す見通しだ。2Q の同指数は前期比 3%減だった。

だが、実際にこの予測モデルの通りになると

しても、先進経済が不振にあえぐなかで、3Q以降も輸出の回復は続くのか。HSBC では、

この点について楽観的にみている。理由は

図 6. 中国固定資産投資が再び急拡大

0

10

20

3040

50

60

70

97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Nominal Real

% Yr (3mma)

China Fix ed Asset Inv estment

Source: CEIC, HSBC

図 7. 輸出は景気サイクルに遅行する傾向

-2

0

2

4

6

8

10

99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 -20

-10

0

10

20

30

Asia* GDP (LHS) Asia* ex ports (RHS)

% Yr % Yr

Source: CEIC, HSBC. *日本、中国を除くアジア

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12

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

次の通りだ。

� 米国とユーロ圏は今年、来年と低迷が続

くと見込まれるが、少なくとも、米国は

プラス成長への復帰、ユーロ圏はマイナ

ス成長からの脱却が期待できる(図 9)。HSBC の 2010 年成長率予測は、現時点で

米国が 1.9%増、ユーロ圏が 0.1%増であ

る。また、個人消費はそれぞれ 2.1%増、

0.5%減と予想される( 09 年は米国が

0.3%減、ユーロ圏が 1%減)。詳細は 09年 3Q の Global Economics を参照されたい。

� HSBC では、アジアにおける 終需要の

輸出押し上げ効果が過小評価され、米国

の役割が過大評価されていると考えてい

る。図 10 は、日本を除くアジアの投資と

民間消費がそれぞれ米国のどの程度に当

たるかを示したものだ。投資については

08 年にアジアの方が多くなり、民間消費

も、同年時点で米国の 4 割にとどまって

いるものの、過去 2 年の伸び率は米国を

上回っている。米、ユーロ圏の合計との

比較ではアジアの劣勢が目立つが、それ

でも、世界の需要に占めるアジアのシェ

アが急拡大しつつあることは間違いない。

� IT は一部のアジア諸国にとって主要輸出

産業の 1 つであり、ここ 2~3 カ月、先行

きに薄日が差す分野でもある。特に有望

な兆しがみえるのはシンガポールのエレ

クトロニクス PMI 指数だ。同指数は、6月の輸出受注指数が 53.8 まで上昇し、直

近ボトムとなった年初の 40 から大幅に改

善している。一方、米半導体業界の BBレシオは 1月のボトム(0.47)から持ち直

しているとはいえ、5 月時点でまで 0.74にとどまっている。

3. 財政出動の押し上げ効果

アジアの内需がさらに拡大を続け、その過程

で域内貿易を活性化するためには、これまで

に打ち出された大規模な財政・金融緩和が効

果を上げることが不可欠である。効果が上が

らない、あるいは、持続成長が実現する前に

効果が低下してしまった場合、どのようなリ

スクが考えられる。

今年 2Q の Asian Economicsでは、利下げと財政

出動が成長に与える影響を分析し、実施時期

図 8. 輸出は 09 年 3Q に前年比で持ち直しへ

-20-15-10

-505

10152025

95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Asia ex Jpn & China HSBC Model

% Yr

Real ex ports of goods & serv ices

Source: CEIC, HSBC

図 9. 米欧景気は持ち直しも依然低水準

-6

-4

-2

0

2

4

6

97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

US GDP Eurozone GDP

% Yr F'cst

Source: CEIC, HSBC

図 10. アジアの投資は米国を上回る(対米比率)

10

30

50

70

90

110

130

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08

Asia* inv estment Asia* priv ate consumption

% of US

Source: CEIC, HSBC. *日本を除くアジア

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13

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

の予想を試みた。その際の予測モデルに使っ

た金利変数は政策金利ではなく、銀行貸出金

利であった。また、財政出動については、実

施面の問題から、発表された対策の半分程度

しか実現しないとの前提に立った。しかし、

実際には予想以上の効果が上がっているよう

だ(図 11)。景気の押し上げ幅が大きいだけ

ではなく、効果が持続している。HSBC の予

測モデルによれば、2010 年末の時点でも(日

本を除く)アジアの成長率前年比を 2 ポイン

ト近くかさ上げするとみられる。

アジアの金融システムは基本的に健全性を維

持している。そこへ(減税よりインフラ投資

中心の)財政刺激効果が加われば、結果は悪

くなるはずがない。確かに、財政の悪化が進

み、計画したインフラ投資ができなくなる事

態は現実のリスクとして残る。しかし、

HSBC でこの点を踏まえて検討したところ、

事態が深刻化する可能性があるのはアジアの

主要国でインドとマレーシアに限られる。

アジア経済の回復とその持続性を楽観視でき

るもう 1 つの理由は、現在の成長率がすべて

のアジア諸国で潜在水準を大幅に下回ってい

る(需給ギャップが大きい)点だ。これは、

能力不足の問題に直面することなく回復を遂

げる余地が大きいことを意味する。

4. コモディティ・ショックの影響

むろん、回復しつつある景気が外的ショック

で腰折れすることはあり得る。前述のように、

現状でそうした事態を引き起こす可能性があ

るのは、先進経済の伸び悩みではなく、供給

要因もしくは投機的な動きを背景とするコモ

ディティ価格の急騰であろう。仮に世界的な

需要回復による価格高騰であれば、少なくと

も短期的には輸出の支えとなってプラス面の

方が大きくなる。

HSBC では、今回の経済危機でアジアへの打

撃が深刻化したのは、07 年の後半から 08 年

の前半にかけて石油と食料の価格が同時にか

つてない勢いで急騰したためだと考えている。

これが多くの国でヘッドライン・インフレ率

を数十年ぶりの高水準に押し上げ、利上げを

もたらして内需の重しとなった。これまでに

も指摘した通り、アジアでは、昨年の輸出低

迷に先立って内需の後退が景気の足を引っ張

ったのであり、これは過去のパターンと同じ

である。

コモディティ価格の動向

今後の政策見通しについては後述することと

し、ここでは、コモディティ高が景気に与え

る影響を分析する。

現在のコモディティ価格は前年比でマイナス

が続き、多くの国でインフレ要因からデフレ

要因に転じている。その結果、実質所得、企

業収益が押し上げられ、成長支援要因になっ

ている。しかし、コモディティ価格が足元で

急落する事態にならない限り、こうした状況

が長続きすることはないだろう。

次のセクションで詳説するが、ヘッドライ

ン・インフレ率は 09 年 4Q から上昇圧力が高

まるとみられる。石油価格が今年 2 月の下値

からほぼ倍の水準に高騰しているほか、食料

価格も騰勢を増している。企業が価格転嫁を

見送ったとしても、マージン低下を受けて雇

用、投資環境への悪影響が予想される。また、

コモディティの購入に政府の補助金が支給さ

図 11. アジアでは刺激策の効果が持続する見通し

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

Q1 09 Q2 Q3 Q4 Q1 10 Q2 Q3 Q4

Estimated policy effects on Asian* GDP growth

% pts

Source: HSBC. *中国、日本を除くアジア

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14

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

れている国では、財政収支の悪化が見込まれ、

長期金利の上昇やインフラ投資の中止につな

がりかねない。

中国の景気回復で一部コモディティの需要が

持ち直しているが、消費国としての中国の影

響は食料や石油より、ベースメタルの方がは

るかに大きい(表 1)。また、米欧でも需要の

低迷が続いており、一部で価格上昇圧力が高

まっているのは投機の影響ではないかと考え

られる。重要指標の発表直後に価格が変動し

がちであることもその可能性を裏付けて

いる。

影響を定量化

HSBC のアジア成長率予測モデルを使って、

コモディティ価格の高騰が(日本、中国を除

く)アジアの成長率に与える影響を推計する

ことができる。これによると、石油、国際食

料価格が 10%上昇すると、他の条件が変わら

ないとした場合、平均成長率は 1 年目、2 年

目でそれぞれ 0.1%程度低下する。

原油価格が現行の 1 バレル=70 ドルで推移し、

国際食料価格も現在の水準が続くと仮定する

と、原油が 40 ドル、コモディティ価格指数

が直近ボトムで横ばいとするベースシナリオ

と比べ、アジアの成長率は 2009 年で 0.1%、

2010 年で 0.4%押し下げられる。しかし、こ

の程度の影響では、前述の支援要因に支えら

れた景気が腰折れする可能性は低い。08 年の

コモディティ・ショックは 09 年の規模をは

るかに上回り、さらに、引き締めの遅行効果

が一段の打撃となった。

では、コモディティ価格がどの程度まで上昇

すれば、財政・金融面の刺激効果が打ち消さ

れることになるのか。HSBC モデルによると、

そうなるためには、原油価格が 1 バレル=

165 ドルまで急騰することが条件となる。こ

の場合、コモディティ高が世界需要の拡大

を背景としたものではないことを前提とし

ている。

まとめ

向こう数週間でアジア各国の 2Q・GDP 統計

が発表されるが、HSBC では、これまでに上

方修正されたコンセンサスをさらに上回る堅

調が目立つと予想している。輸出に下げ止ま

りの兆しが見えているため、3Q も上振れが

続く可能性が高い。

HSBC では、現在の回復局面において、以下

の状況が部分的に重なって進行しているとみ

ている。

� 大恐慌の再来とそれに伴う金融システム

の崩壊が回避されたとの安堵感が民間部

門で広がり、経済活動の持ち直しにつな

がっている。

� かつてない規模の景気刺激策で一層の押

し上げ効果が期待できる。米欧とは異な

り、政策の効果が疑問視される状況には

ない。HSBC では、2010 年に効果が 大

になるとみている。

� 雇用情勢が改善し、貯蓄減、投資増に向

けた環境が民間部門で整うことによって、

自律的成長が可能になる。世界の企業は

大多数がアジアの成長機会を短期的にも

長期的にも 大とみているとみられ、対

アジアの直接投資が再び活性化するのは

(数年かかるだろうが)時間の問題と考え

られる。

表1. 中国の影響は石油より金属の方が大きい

08 年の世界消費に

占める比率%08 年の世界消費増に

占める比率%

原油 9 n.a.*鉄鉱石 45 60アルミニウム 34 58銅 27 71亜鉛 36 360ニッケル 17 n.a.*鉄鋼 41 38

*原油、ニッケルは消費量が減少した。

Source: CEIC, CRU, IEA and HSBC estimates.

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15

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

足元の 大のリスクは、需要増を背景としな

いコモディティ高と、景気刺激策が予定通り

に実施されない可能性である。後者について

は、財政悪化を受けて中止に踏み切る例や、

官僚機構の非効率が障害になる例が考えられ

る。先進経済が 2010 年に二番底をつけたり、

向こう数年にわたって縮小が続くようであれ

ば、HSBC 見通しも下方修正が必要になるが、

その場合においても、アジアが後退期に戻る

可能性は少ないとみられる。

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16

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

インフレ再加速の可能性

アジアでは、 近弱まっていたインフレ懸念

が再び頭をもたげ、引き締め転換や市場の混

乱につながる可能性はあるのか。

図 1 から分かるように、アジアのヘッドライ

ン・インフレ率はここ数年、ジェットコース

ターのような乱高下を続けた。08 年には十数

年ぶりの高水準に達し、その後、急落に転じ

ている。こうした動きはコモディティ価格の

変動(図 2)を主因とするものである。コモ

ディティ価格はこれまでも周期的な変動を繰

り返してきたが、19 品目の商品先物価格に基

づく CRB 指数は、08 年に 1970 年代半ば以降

で 大の上昇率を記録した後、過去 大の下

げとなった(図 3)。アジアのヘッドライン・

インフレ率も昨年 8 月以降、急低下している

が、現在までの下げ幅に対する寄与度でみる

と、エネルギー60%、食料 30%、コア部分

10%となる。

図 1 をみると、2005 年半ば以降、ヘッドライ

ンがコアから大幅に上方乖離していることが

分かる。これは、食料価格の前年比がヘッド

ラインを上回る上昇率で推移したことが背景

だ(図 4)。

インフレの見通し

�このところのコモディティ高再燃で、ヘッドライン・インフレ率は今年 4Q に前年

比プラスに転じる可能性。

�インフレ圧力の高まりは、アジア、先進諸国で購買力を低下させ、回復の足かせに

なる可能性。

�しかし、コア・インフレ率は財価格を中心に引き続き落ち着いた水準が予想され、

中銀は緩和スタンスを維持することが可能。

図 1. アジアのインフレ動向

0123456789

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Headline CPI Core CPI**

% Yr

Asia*

Source: CEIC, HSBC. *中国、日本を除くアジアの加重平均(ドル建て

名目 GDP 加重)。**食料、エネルギーを除く。

図 2. コモディティ高再燃の兆し

-50

0

50

100

150

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Food Oil Base metals

% Yr International commodity pricesF'cst*

Source: CEIC, EcoWin, HSBC. *現地通貨建ての国際コモディティ価格

が横ばいで推移すると仮定。

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17

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

食料価格の影響

食料市況が CPI の食品価格に反映されるには

6 カ月程度のタイムラグがある(図 5)。この

ため、CPI の食品価格はまだ数カ月、下落傾

向が続くとみられる。CPI の食品価格が予想

以上の高水準を続けた 04 年末~05 年初めの

状況に照らせば慎重な判断が必要だろうが、

それでも、今年 9 月までに少なくとも 4%ま

では低下が進むと予想される。これは日本、

中国を除くアジアのヘッドライン・インフレ

率に対し、1.7 ポイントの押し下げ効果を持

つとみられ(食品の平均ウエートは 35%に達

する)、他の条件が変わらないとすれば、ヘ

ッドラインは 3%を若干割り込むことになる。

しかし、その後は、 近の食料価格再上昇を

受けて、インフレ圧力が再び高まることにな

る。Economist 誌の食料コモディティ指数 (現地通貨建て)は今年 3 月に前年比-16%でボ

トムアウトし、現在は-8%の水準にある。

今後、この水準が続くと仮定すれば、12 月に

は前年比 30%近いプラスが見込まれ(図 5)、食品 CPI を来年前半に 7%前後まで押し上げ

るほか、ヘッドラインに対しても 2.5%の押

し上げ要因になる。

エネルギー価格の影響

日本、中国を除くアジアの CPI におけるエネ

ルギーのウエートは 10%である。ここでは、

CPI のエネルギー指数を現地通貨建て石油価

格と比較し、石油価格が現行の 1 バレル=70ドルで推移し、対ドルレートが変わらないと

の条件で、石油価格前年比の見通しを示す

(図 6)。両者の動きには乖離した部分もみら

図 3. CRB 指数は過去 大の急低下

-50

-25

0

25

50

75

58 63 68 73 78 83 88 93 98 03 08

Commodity Research Bureau index

% Yr

Source: EcoWin

図 5. 食料インフレは再加速の見通し

-5

0

5

10

15

20

96 98 00 02 04 06 08 10 -30

-10

10

30

50

70

Asia** CPI food (LHS) Food commod.*** (RHS)

% Yr % YrF'cst*

Source: CEIC, EcoWin, HSBC. *Economist コモディティ価格指数が現

地通貨建てで現行水準を維持すると仮定。**日本、中国を除くアジア。

***Economist 食料コモディティ指数

図 4. 食料価格の上昇圧力が続く

2

4

6

8

10

12

14

05 06 07 08 09

Headline CPI Food CPI

% Yr

Asia*

Source: CEIC, HSBC. *日本、中国を除くアジア

図 6. エネルギー価格も再び急上昇へ

-10

-5

0

5

10

15

20

99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

-100

-50

0

50

100

150

Asia** CPI energy (LHS) Oil prices*** (RHS)

% Yr % YrF'cst*

Source: CEIC, HSBC. *現地通貨建て石油価格が現行水準で推移すると仮

定。**日本、中国を除くアジア。 ***WTI 価格。

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18

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

れるものの、エネルギー価格とヘッドライ

ン・インフレ率の今後を占ううえで一定の材

料になると言えるだろう。

CPI エネルギー指数は 4 月の前年比-4.5%近

辺がボトムとみられ、9 月、10 月頃から急上

昇に転じる可能性が高い。来年初めには 2 ケ

タのプラスもあり得る。エネルギーの CPI ウエートが 10%であるため、ヘッドラインで

1.5%程度の押し上げ要因となる。

食料、エネルギーの CPI ウエートからみても、

コモディティ価格全般の上昇圧力からみても、

アジアのヘッドライン・インフレ率は足元で

低下に向かうものの、今年 4Q 以降は高騰が

見込まれる。ただ、それがどの程度の上昇に

なるかは、CPI ウエートの半分を占めるコア

部分の動向に左右される。

コア・インフレ率の見通し

近年の経済動向で特に目立つ現象の 1 つにコ

ア・インフレ率とヘッドライン・インフレ率

の乖離がある。図 7(図 1 の再掲)をみると、

2005 年あたりまでは両者がほぼ同じ動きをし

ていたことが分かる。これは偶然ではない。

本来、コア・インフレ率はヘッドラインの長

期平均に相当する。次第に、ヘッドラインか

ら食料、エネルギーを除いた部分を指すこと

が通例になったが、コアはそもそも統計上の

概念にすぎず、コモディティ価格がコアから

除外されたのは、それがコアの平均に対して

上下対称の周期変動を繰り返していたからで

ある。

しかし、2005 年以降は状況が変わった。ヘッ

ドラインが常にコアから上方乖離するように

なったのである。これはアジアにとどまらず、

世界的な現象であった。需要の拡大に対し、

財やサービスの供給と比べ、コモディティの

供給が不足しがちであったことが背景と考え

られる。そうなったことについては、幾つか

の理由が考えられる。

まず、アジアの製造業では、過剰投資を背景

として製品価格が抑制される状態が続いたが、

コモディティ・セクターでは 10 年に及ぶ過

少投資の影響が広がっていた。また、生産性

の向上は、原料よりも、工業、サービス部門

で進めやすい。供給不足が続くコモディティ

は生産性を上げることが特に難しい。さらに、

コモディティの限界消費は先進諸国より新興

諸国の方が多い。世界経済における新興諸国

の重要性が高まるなかで、資源需要が構造的

に拡大し、価格上昇につながった。

ヘッドラインとコアの乖離は影響が大きい。

例えば、中銀にとって、物価政策の面で余裕

が生まれる。インフレ期待の抑制が重要な政

策課題であることに変わりはなく、この意味

で、(公式のインフレ・ターゲットに採用さ

れないとしても)指標としてのヘッドライン

の役割は依然大きい。しかし、コアの上昇圧

力が認められない現状においては、当面、イ

ンフレ期待の抑制に問題はなさそうだ。

エネルギー、食料価格の高騰は対外的に交易

条件の悪化を意味する。このため、金融政策

に対しては、緩和方向への圧力となる。これ

は、昨年のコモディティ高に際して多くの当局

者が指摘した点だ。昨年はコモディティ価格の

高騰でヘッドライン・インフレ率が急上昇し

たが、引き締めは一時的な動きにとどまった。

図 7. ヘッドラインとコアの乖離

0123456789

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

Headline CPI Core CPI**

% Yr

Asia*

Source: CEIC, HSBC. *中国、日本を除くアジアの加重平均(ドル建て

名目 GDP 加重)。**食料、エネルギーを除く。

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19

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

金融政策を左右する 大の要因は、資源価格

が再び騰勢を強めるなかで、コアのインフレ

圧力が再燃するかどうかだ。再燃することに

なれば、中銀はタカ派スタンスを強め、景気

にとっては逆風になる。 近、市場参加者の

間では、アジア、先進諸国ともに、潜在成長

率が低下した可能性がささやかれている。し

かし、そうした議論には違和感を持たざるを

得ない。何らかの誤解が背景にあるように思

われる。

HSBC では、今回の危機で潜在成長力が損な

われたとは考えていない。人的、物的資本が

破壊されたわけではないからだ。また、さま

ざまな国の潜在生産性が低下したとみる理由

も見当たらない。現在の投資抑制が将来の潜

在力を押し下げるとの見方も多いが、これに

ついても妥当とは言えない。現在は、民間の

投資抑制を政府が補っている。大規模なイン

フラ投資計画が打ち出され、将来的には、中

国内陸部などで生産性の向上につながるとみ

られる。

また、工業部門では、能力過剰が目立ち、こ

れが能力不足に転じるのはまだかなり先にな

るだろう。さらに、能力不足が顕著になった

場合においても、製造業の投資サイクルが極

めて短いことを考えると、能力以上の生産が

必要になれば、短期間で設備の増強が実現す

る可能性が高い。

危機が潜在成長力を低下させたとの議論は、

向こう数年の平均成長率が過去数年の平均を

下回る可能性があるとの意味においてのみ妥

当である。ただ、それは、供給面の潜在力で

はなく、需要サイドの話だ。これは極めて重

要なポイントである。生産能力は危機の影響

を受けておらず、コア・インフレ率を短期間

で押し上げるような環境は予想されない。む

しろ、向こう数年のトレンド成長が潜在成長

を下回ることで、少なくとも世界全体からみ

れば、コアのインフレ圧力は抑制された状態

が続くことになるだろう。

コアのインフレ圧力が限られる点をもう少し

掘り下げてみよう。前述の通り、アジア地域

の CPI 構成は食料、エネルギーの比重が高く、

ヘッドラインを押し上げるリスクがあるのは

この 2 分野である。通常、財・サービスのウ

エートは合計でエネルギーを上回るが、それ

でもエネルギーの影響が大きくなるのは主に

2 つの理由による。まず、エネルギーは、食

料、財、サービスのいずれと比べても、価格

の変動が激しく、より大きな振幅で、変動の

頻度も高い。また、エネルギーは他の分野に

二次的影響を及ぼすことが多く、全般的なイ

ンフレ圧力につながりやすい。

ただ、近年、財、サービスに対するエネルギ

ー・インフレの 2 次的影響は、食料に対する

影響と比べてはるかに少なくなっている。ヘ

ッドラインのインフレ圧力が高まっても、コ

アへの波及が限られているのはなぜか。これ

は、基本的に GDP ギャップ(実際の GDP と

潜在 GDP の乖離率)の問題である。ヘッド

ライン・インフレとコア・インフレの関係は

常に同じではない。GDP ギャップが小さい場

合は二次的影響が広がり、ギャップが大きい

場合、ヘッドラインとコアの相関性はゼロに

近づく。

表 1. アジアの CPI ウエート (%)

食料 エネルギー 財 サービス

中国 33.0 5.0 23.0 47.0

香港 26.9 3.6 12.9 55.1

インド 40.8 14.2 11.0 44.4

インドネシア 42.3 15.2 24.0 49.4

韓国 15.9 5.9 20.0 45.2

マレーシア 31.4 13.8 19.7 46.6

パキスタン 40.3 9.2 14.2 39.3

フィリピン 46.6 13.6 13.5 32.7

シンガポール 23.4 5.3 12.9 59.3

スリランカ 46.7 9.2 10.7 30.1

台湾 25.1 3.7 18.8 47.5

タイ 36.1 9.7 17.9 41.2

ベトナム 42.9 7.0 18.0 36.6

*定義の重複により、合計は 100%にならない。Source: CEIC, various national authorities, HSBC

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20

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

GDP ギャップの推計

図 8~12 はアジアの GDP ギャップを推計した

ものだ。2010 年までの予測期間については、

比較的楽観的な HSBC見通しをベースとしてい

る。図中の縦棒が GDP ギャップ(潜在 GDPに対する比率)を示し、マイナスの場合は実

際の GDP が潜在 GDP を下回っている。ギャ

ップの推計は HP フィルター法によった。この

推計法には欠点も多いが、結果は成長会計分

析などの複雑なアプローチと変わらなかった。

長期的にみると、GDP ギャップはコア・イ

ンフレ率と一定の相関性がある。ただ、ここ

で注意すべき点は、為替変動などの要因で推

計結果に影響が出やすいことだ。例えば、ア

ジア危機の初期段階においては、マイナスの

GDP ギャップが広がったにもかかわらず、

CPI 上昇率が跳ね上がっているが、これは為

替変動の影響である。HSBC の 新成長率予

測に基づくと、アジアでは概ね、少なくとも

2010 年いっぱい、大幅なマイナスの GDP ギ

ャップが続くと見込まれる。この見通しは成

長率がプラスに転じても変わらない。為替変

動の影響がないとすれば、コア・インフレ率

に対して抑制圧力が働くことになる。

図 10. マレーシアの GDPギャップとコア CPI前年比

-8-6-4-202468

10

0

1

2

3

4

5

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10

Output gap (LHS) Core CPI (RHS)

Source: CEIC, HSBC *グレー部分は HSBC 予測

図 9. シンガポールの GDPギャップとコア CPI前年比

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10Output gap (LHS) core CPI (RHS)

Source: CEIC, HSBC *グレー部分は HSBC 予測

図 11. 中国の GDP ギャップとコア CPI 前年比

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

-5

0

5

10

15

20

25

94 96 98 00 02 04 06 08 10Output gap (LHS) core CPI (RHS)

Source: CEIC, HSBC *グレー部分は HSBC 予測

図 12. 香港の GDP ギャップとコア CPI 前年比

-8

-3

2

7

12

-10

-5

0

5

10

15

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10

Output gap (LHS) core CPI (RHS)

Source: CEIC, HSBC *グレー部分は HSBC 予測

図 8. 韓国の GDP ギャップとコア CPI 前年比

-12-10-8-6-4-202468

-2

0

2

4

6

8

10

90 93 96 99 02 05 08

Output gap (LHS) Core CPI (RHS)

Source: CEIC, HSBC *グレー部分は HSBC 予測

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21

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

例外は中国とインドネシアだ。中国は、過去

1 年においてもマイナス成長を回避し、GDPギャップはプラスで推移しているとみられる

が、今のところ、コア・インフレ率の上昇に

はつながっていない。もっとも、この推計結

果については、(生産性向上の影響を含めた)

経済全体のスラックが過小評価されているか

もしれない。インドネシアについてはチャー

トを示していないが、政治不安を背景とする

景気低迷の長期化で、潜在成長率が低めに出

ている可能性がある。

近年のアジアでは生産性革命が進んだと考え

られ、この点でも、ヘッドラインのインフレ

圧力がコアに波及するリスクは低くなってい

ると言える。ここ数年、アジアの企業は、雇

用や投資が伸び悩むなかで増益を達成してき

た。これは、投入要素の拡大に依存しない成

長モデルが確立された可能性を示唆する。ア

ジアの全要素生産性は 2005 年頃から向上し

始めたとみられ、今後、一段の成長とコア・

インフレ率の抑制が続く公算が大きい。

近年の生産性の伸びは、ヘッドラインとコア

のインフレ率がこれほど長期にわたって乖離

しても企業の収益性が悪化していないことか

らも裏付けられる。問題は、生産性の向上が

比較的長期の景気安定を伴う一時的な現象か、

あるいは、一段の向上につながる構造的な変

化か、である。ただ、本稿はこの問題を詳細

に議論する場ではない。HSBC では、アジア

が構造的な生産性向上段階に入ったのではな

いかと考えているが、詳しい点は別の機会で

取り上げてみたい。

アジアの影響の大きさ

ここで、アジアのリフレ傾向が世界に与える

影響について若干触れておきたい。アジアで

リフレ傾向が強まっても、ヘッドラインの上

昇圧力がコアには波及しないとの結論に変化

はない。ただ、アジアは、さまざまな意味で

影響が大きい。アジアが石油や食料を含む原

材料をより多く必要とすることで、世界のコ

モディティ価格が押し上げられ、ヘッドライ

ンのインフレ圧力を高める。しかし、アジア

の輸出セクターは膨大な潜在能力を持ち、生

産性向上の効果もあって、これまで以上に価

格競争力のある製品を輸出することができ、

結果、コアのインフレ圧力を抑えることに

なる。

先進諸国にとって、あるいは世界全体にとっ

てと言ってもいいが、自動車、エレクトロニ

クスから玩具、靴に至るまでさまざまな製品

が低価格で提供されることはプラスである。

一方、世界は石油を中心とするコモディティ

の価格高騰に直面することが多くなった。従

来は、アジアが世界のコモディティ市況に影

響を及ぼすことはほとんどなかったため、世

界は、原材料価格の高騰に伴う負担増を負う

ことなく、アジアが輸出した低価格品の恩恵

を受けることができた。しかし、この状況が

変わりつつある。図 13 は、世界の原油消費に

おける日本を除くアジアのシェアを示したも

のだ。現在のシェアは、1990 年代初めの米景

気後退時と比べて倍以上に増えていることが

分かる。また、先進諸国では、原油価格の騰

勢再燃が回復の重しになるかもしれない。そ

うなった場合、アジアの輸出需要が後退する

事態もあり得る。

もっとも、アジアのインフレ圧力はコア段階

には及んでいない。財価格に関する限り、依

然として、世界に対してデフレ圧力になって

いる。

米国のアジア製品輸入価格は、07 年末から 08年初めにかけて急上昇し(図 14)、アジアも

ついにコアのインフレを輸出するようになっ

たとの懸念が広がった。しかし、現在では逆

にデフレ圧力に転じている。ただ、中国製品

の価格低下が他のアジア製品と比べて緩やか

になっている点が注目される。中国製品が米

国市場で徐々に価格決定力を増しつつあるこ

との表れかもしれない。

Page 23: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

22

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

アジアのインフレが意味するもの

アジアのインフレ動向は 2 つの点で影響が考

えられる。1 つは、金融政策への影響である。

ヘッドライン・インフレ率の上昇は物価の安

定に関する懸念を生み、積極的な引き締め転

換につながりかねず、金融市場の波乱要因と

なる。しかし、そうした見方は妥当とは言え

ない。現状では、ヘッドラインの上昇圧力と

同時に、相対価格の変化が進行しつつあると

考えられる。コモディティ価格については、

構造的な押し上げ圧力が予想されるが、それ

自体は、必ずしもコアの高騰を意味するもの

ではない。引き続き GDP ギャップが大きく、

2 次的影響を抑えている。

中銀としては、比較的緩和的なスタンスを維

持することが可能になるだろう。これは、景

気全体に対しても、資産価格に対しても支援

材料になる。昨年のヘッドライン圧力の高ま

りに際しても、当局は積極的な引き締めを見

送った。コアの圧力が目立たなかったうえ、

ヘッドラインの上昇が過熱需要の反映ではな

く、むしろ景気の足を引っ張っていると考え

られたからだ。現状の成長リスクは昨年前半

よりもはるかに大きく、今回も同様の政策判

断が見込まれる。

アジアのインフレ高進がもたらすもう 1 つ影

響は、企業業績への打撃である。これまでに

も触れたように、ヘッドラインのインフレ圧

力は、それがコア部分に転嫁されなければ、

企業利益を圧迫する可能性がある。しかし、

ヘッドライン・インフレが数年続いた現在で

も、多くの企業は業績を伸ばしている。これ

は生産性の向上に支えられたものと言えるだ

ろう。だが、今後、景気の減速が続けば、コ

ア分野での価格競争が一段と激化し、生産性

向上のプラスを打ち消す可能性がある。

図 15 は、総合 CPI と総合 PPI の上昇率の差

を示している。これは企業の利益幅を表す大

まかな尺度と言えるが、過去数四半期は、原

材料価格が急落したことで、CPI より PPI の

下げが大きくなり、利益幅が広がった。今回

の危機に際して企業のバランスシートや雇用

環境への影響が比較的軽微にとどまっている

図 13. 世界の石油消費に占めるアジアの比率(グレーは米後退期)

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

1965 1968 1971 1974 1977 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007

Source: BP, NBER, HSBC *日本を除くアジア

図 14. 米国の輸入物価(前年比%)

-8

-3

2

7

May -05 Jan-06 Sep-06 M ay -07 J an-08 Sep-08 M ay -09

C hina NIEs ASEAN

Source: CEIC, HSBC

Ar

Page 24: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

23

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

のは、これが原因と言えるかもしれない。し

かし、こうした状況は今後、逆転する可能性

がある。CPI がコアを中心に抑制された水準

にとどまる一方で、原材料価格が再上昇に転

じれば、企業の利益は大幅に圧迫される。

図 15. 総合 CPI と総合 PPI の差 (前年比%、単純平均)

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

Ja n-00 Jan-01 J an-02 Jan-03 Ja n-04 Jan-05 J an-0 6 Jan-07 Jan-08 Jan-09

Asia ex . JP ASE AN NIE s

post-Lehm an cris is

Source: CEIC, HSBC

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24

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

市場の関心

前述の通り、HSBC では、アジア経済が二番

底を回避し、早ければ向こう 2 年以内にトレ

ンド成長に復帰するとの楽観的な見通しを持

っている。ただ、ファンダメンタルズの面で

はその可能性が強いとしても、先行きに不透

明感やリスクが残ることは否めない。そうし

た状況に金融市場が懸念を強め、波乱要因に

なることはあるだろう。特に今後数カ月のス

パンで市場の関心を集めるとみられるのは、

貿易収支と財政収支の状況である。

貿易の見通しはそれほど複雑ではない。アジ

アは、過去数四半期にわたって、貿易、経常

収支の黒字を拡大させてきた。 近は輸出が

急落したものの、輸入がそれを上回るペース

で後退し、黒字増につながっている。輸入の

落ち込みは、内需の急減による輸入数量の減

少と、原油安による輸入額の減少という 2 点

を背景としている。

しかし、 近は状況が変わりつつある。まず、

原油価格が再び騰勢を強めている。前セクシ

ョンで述べた通り、HSBC では今後も原油高

が続き、一段の上昇もあり得るとみている。

新興諸国の需要を背景とするコモディティ価

格の堅調見通しなどがその理由だ。また、ア

ジアにおいては、輸出ではなく内需が景気を

牽引するとみられ、輸入数量の拡大につなが

る可能性がある。こうしたなか、貿易収支は

向こう数四半期から数年にわたって悪化傾向

をたどる公算が大きい。

HSBC の為替ストラテジー・チームでは、貿易

収支の悪化が市場心理の重しになると予想し

ている(2009 年 7 月 7 日付 “Asian FX Focus” 参照)。今のところ、経常収支のファンダメンタ

ルズ悪化がそれほど織り込まれていないとみ

られることも、今後、マイナスの反応が大き

くなる可能性を高めている。図 1 は同チーム

の 新リポートから再掲したものだが、ここ

数年の間に、日本を除くアジアの貿易状況が

大きく変動していることを明確に示している。

図の黒線は全体の収支を表し、縦棒は石油関

連と非石油関連に分けた内訳である。直近で

石油収支の 3 カ月比がマイナスに転じている

(市場価格の実績を基に推計)。今後、非石油

収支も同様の動きになるかもしれない。

全体として、アジアの経常収支は向こう数四

半期もしくは数年にわたって悪化が続くと見

込まれる。だが、収支の悪化につながる当面

の要因は、輸入数量の増加ではなく、石油、

コモディティ価格の上昇だろう。大半のアジ

ア諸国では、まだ生産能力の余剰が続き、回

今後の見通し

�今後のアジアでは貿易黒字の縮小と財政赤字の拡大が見込まれるが、ファンダメン

タルズの不均衡を懸念するには当たらない。

�インフレは 2010 年に加速の可能性があり、多くの国で中銀目標に迫る見通し。し

かし、本格的な引き締め転換にはつながらず。

�アジア経済のけん引役は引き続き中国とインド。マレーシア、スリランカ、シンガ

ポール、タイ、ベトナムでも力強い回復が期待できる。

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25

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

復初期の内需拡大には国内生産で十分対応で

きると予想される。

また、アジアでは、国内で消費される輸入品

の比率が比較的低い国が多い。例えば、韓国

の同比率は 10%に満たない。残りは輸出品に

使われる原材料や部品である。ただ、インフ

ラ整備などに使われる高度投資財を生産する

能力が十分ではない途上国については、国内

消費向けの輸入品比率が高くなるとみられる。

全体として、向こう 1 年程度は貿易収支と経

常収支の大幅な悪化が見込まれる。特に大き

な影響が予想されるのは韓国、フィリピン、

インドネシア、タイなどだが、今後、原油価

格の高騰が続き、世界でアジアの輸出品に対

する需要が回復しなければ、HSBC の想定以

上に打撃が広がる事態もあり得る。

市場にとってもう 1 つの重大な懸念要因とな

り得るのは財政の健全性である。既に先進諸

国では公的債務の重しに投資家の注目が集ま

っている。世界では、金融危機対策が大きな

財政負担になっている例が多いが、アジアは、

これまでのところ、そうした事態を免れてい

る。だが、アジアでも、景気対策としての財

政出動や、成長に急ブレーキがかかったこと

による歳入減が財政を圧迫しつつある。確か

に、財政刺激策の一部は、インフラ整備への

融資拡大を要請された銀行が資金を提供し、

政府のバランスシートには直接表れていない

が、そうした部分についても、インフラ整備

で採算が取れなければ、 終的には政府債務

として跳ね返ってくる可能性がある。

表 1. アジアの経常収支見通し(GDP 比%)

08 年実績 09 年 HSBC予測

10 年 HSBC予測

中国 8.6 5.1 4.4

香港 10.9 9.6 9.7

インド -3.2 -2.2 -2.5

インドネシア 0.1 0.6 -0.3

日本 3.2 2.8 4.1

韓国 -0.7 2.9 0.6

マレーシア 17.6 12.3 10.2

パキスタン -9.5 -2.7 -2.1

フィリピン 2.5 1.4 -0.6

シンガポール 14.8 10.3 9.0

スリランカ -9.8 -5.5 -5.4

台湾 6.3 8.8 8.3

タイ -0.1 3.2 1.5

ベトナム -11.6 -5.6 -4.7

日本を除くアジア 2.1 2.9 2.3

Source: CEIC, HSBC. * 日本を除くアジアは単純平均

図 1. アジアの貿易収支と石油・非石油分野の 3 カ月比(日本、中国を除く)

-9

-6

-3

0

3

6

9

12

Jan-07 Apr-07 Jul-07 Oct-07 Jan-08 Apr-08 Jul-08 Oct-08 Jan-09 Apr-09

-15

-10

-5

0

5

10

15

Ex-Oil bal chg Oil balance chg Trade bal (RHS)

USDbn 3m/3m centered chg USDbnPeriod 1 Period2 Period 3 Period 4

Source: CEIC * 09 年 3 月、4 月の石油収支 3 カ月比は 4-6 月の収支見通しに基づく。09 年 7 月 7 日付 “Asian FX Focus” (Richard Yetsenga, DanielHui, Perry Kojodjojo)より。

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26

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

一般に、表面的な財政収支はまだ対応可能な

水準にあるようにみえる。しかし、景気回復

が腰折れとなったり、追加の刺激策が必要に

なった場合は、アジアでも財政懸念が高まる

可能性がある。

現時点で財政悪化のリスクが大きいのはイン

ドとフィリピンだが、マレーシア、インドネ

シア、タイ、ベトナムについても楽観はでき

ない。アジア以外の財政状況が大きく悪化し

ているために、アジアへの注目度が相対的に

低くなっているが、問題がないわけではない。

また、中国やベトナムなどでは、偶発債務が

膨らむ可能性がある。

インフレ目標

前述のように、ヘッドラインのインフレ圧力

は 09 年末にかけて再び高まる公算が大きい。

ヘッドラインの前年比がプラスに転じるのは

10 月前後と予想され、それを受けて、金融市

場の混乱や早期利上げ観測につながる事態も

あり得る。引き締めが加速するとの見方は妥

当とは言えないが、市場に対しては、少なく

とも一時的な波乱要因になるかもしれない。

インフレ見通しの妥当性を検証する一助とし

て、中銀目標との比較をしてみよう。HSBCの 2009 年、2010 年予測と中銀の明示的、暗

示的な目標を比べると、今年はほぼ例外なく、

表 2. 財政収支も悪化傾向、しかし対応可能な水準

_____________財政収支 (GDP 比%) ______________ ____________ 公的債務 (GDP 比% ) ______________2008 2009 予 2010 予 2008 2009 予 2010 予

中国 -0.4 -2.5 -3.1 20.0 24.0 28.0

香港 0.1 -4.0 -1.9 n.a. n.a. n.a.

インド -6.3 -7.0 -6.0 77.0 80.0 82.0

インドネシア -0.1 -3.0 -2.0 41.5 46.8 45.0

日本 -3.5 -10.2 -10.5 227.2 230.6 236.9

韓国 1.2 -4.0 -1.3 29.1 36.0 37.7

マレーシア -4.8 -9.0 -6.5 50.9 55.0 58.0

パキスタン -8.0 -10.7 -11.9 57.6 57.8 68.3

フィリピン -0.9 -3.8 -4.3 56.9 58.4 58.4

シンガポール 2.7 -3.3 -1.9 n.a. n.a. n.a.

スリランカ -8.1 -12.0 -10.0 83.3 88.9 85.7

台湾 -0.8 -4.5 -3.5 27.2 33.0 34.8

タイ -1.1 -6.4 -6.0 42.5 48.3 47.4

ベトナム -5.0 -8.0 -7.0 44.4 46.0 46.8

Source: CEIC, HSBC, 各国公式統計

図 2. 2009年の CPI見通し(前年比)と中銀目標の関係 図 3. 2010年の CPI見通し(前年比)と中銀目標の関係

-2

0

2

4

6

8

10

CH HK IN ID JP KR MA PH SG SL TA TH VN

CPI 2009f Target

-2

0

2

4

6

8

10

12

CH HK IN ID JP KR MA PH SG SL TA TH VN

CPI 2010f Target

Source: CEIC, HSBC. *タイのターゲットはコア、その他はヘッドライン。 Source: CEIC, HSBC. *タイのターゲットはコア、その他はヘッドライン。

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27

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

中銀目標を下回る水準が見込まれる。しかし、

来年は、 大 7 つの中銀が目標達成の危機に

直面する。なかでもインフレリスクが大きい

のはインドネシア、インド、ベトナム、フィ

リピンで、それに韓国とマレーシアが続く。

アジアで厳密な意味のインフレターゲット制

を採用しているのは 4 カ国にとどまる。うち、

韓国、フィリピン、インドネシアの 3 カ国は

ヘッドラインを尺度としているため、利上げ

の可能性も高くなる。だが、もう 1 つの採用

国であるタイはコアを基準としているため、

コアのインフレ率が中銀目標の 0~3.5%を超

える可能性は低い。タイ中銀はヘッドライン

への目標変更を示唆したこともあるが、時期

についてはまだ不透明だ。

成長率の見通し

終的に も重要な点は成長率である。

HSBC では、日本を除くアジアの成長率が来

年は各国とも前年比プラスに回復するとみて

いる。前期比では既に今年 2Q にプラス転換

したとみられ、HSBC 推計の域内年率は 8%に達した。また、財政刺激策の効果が低下し

たとしても、金融緩和策の支えが期待でき

るため、来年初めの二番底はないと予想して

いる。

アジア経済のけん引役は引き続き中国とイン

ドである。両国とも膨大な国内市場が外部環

境の逆風を抑える役割をしている。ほかにも、

インドネシアやベトナムなどは、今回の経済

危機に対する抵抗力が予想以上に強く、来年

は力強い回復が期待できる。復調のペースが

も速いのはシンガポールとマレーシアだろ

う。両国は生産の落ち込みが激しかったが、

アジア 大規模の刺激策で急回復が見込める。

後に、見過ごされがちだが大きな伸びが期

待できるのがスリランカである。同国では、

長期にわたる内戦が終結したことで“平和の

配当”が予想されるほか、ファンダメンタル

ズの強さが見直される可能性が高い。

一方、伸び悩み組としては、台湾、韓国、フ

ィリピン、香港などが挙げられる。台湾、韓

国、フィリピンは外需依存度の高さが引き続

き足かせとなり、香港は金融セクターへの打

撃がまだ癒えていない。とはいえ、韓国と台

湾についても、HSBC 見通しはコンセンサス

を上回っている。HSBC ではアジア諸国の大

半について強気の予想を立てているが、なか

でも伸びが大きいとみているのはマレーシア、

スリランカ、シンガポール、インド、ベトナ

ム、タイである。アジアの飛躍は間違いない。

図 4. 2009 年、2010 年の HSBC 成長率予測:アジア全域で回復へ

-8

-6

-4

-2

02

4

6

8

10

CH HK IN ID JP SK MY PK PH SG SL TW TH VN

2008 2009f 2010f

Source: CEIC, HSBC

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

表 3. HSBC の GDP 成長率予測とコンセンサスの比較

HSBC 予測 コンセンサス

(前年比、%) 2009 年 2010 年 2009 年 2010 年

中国 7.8 8.5 7.5 8.4

香港 -4.5 2.4 -4.6 2.6

インド 6.2 8.0 5.8 7.0

インドネシア 3.8 5.3 3.7 4.7

日本 -6.3 1.2 -6.6 1.3

韓国 -2.3 3.6 -2.7 3.1

マレーシア -3.8 6.3 -3.2 3.6

パキスタン 0.8 2.6 2.2 3.7

フィリピン 1.0 3.0 0.6 3.2

シンガポール -6.0 5.3 -7.0 3.5

スリランカ 3.7 7.0 2.7 4.7

台湾 -5.1 4.4 -5.4 3.2

タイ -4.0 4.8 -3.8 2.8

ベトナム 4.7 6.8 3.7 5.3

日本を除くアジア 4.2 6.9 3.9 6.4

Source: CEIC, HSBC, Consensus Economics (2009 年 6 月)

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

主要経済指標予測

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

GDP(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 8.3 9.1 10.0 10.1 10.2 11.6 13.0 9.0 7.8 8.5香港 0.5 1.8 3.0 8.5 7.1 7.0 6.3 2.5 -4.5 2.4日本 0.2 0.3 1.4 2.7 1.9 2.0 2.3 -0.7 -6.3 1.2韓国 4.0 7.2 2.8 4.6 4.0 5.2 5.1 2.2 -2.3 3.6台湾 -2.2 4.6 3.5 6.2 4.2 4.8 5.7 0.1 -5.1 4.4日本除く 5.4 7.6 7.2 8.3 8.0 9.3 10.5 7.1 4.9 7.2北アジア 2.1 3.1 3.7 5.0 4.6 5.6 6.7 3.6 -0.1 4.5インド 5.8 3.8 8.5 7.5 9.5 9.7 9.0 6.7 6.2 8.0インドネシア 3.6 4.5 4.8 5.0 5.7 5.5 6.3 6.1 3.8 5.3マレーシア 0.3 4.4 5.4 7.3 5.3 5.8 6.2 4.6 -3.8 6.3パキスタン 3.2 4.8 7.4 7.7 6.2 5.7 2.0 3.7 0.8 2.6フィリピン 1.8 4.4 4.9 6.4 5.0 5.3 7.1 3.8 1.0 3.0シンガポール -2.3 4.0 2.9 8.7 8.7 8.4 7.8 1.1 -6.0 5.3スリランカ -1.5 4.0 6.0 5.4 6.0 7.4 6.8 6.0 3.7 7.0タイ 2.2 5.3 7.0 6.4 4.7 5.2 4.9 2.6 -4.0 4.8ベトナム 6.9 7.1 7.3 7.8 8.4 8.2 8.5 6.2 4.7 6.8南アジア 3.5 4.4 6.8 7.0 7.5 7.6 7.3 5.3 2.6 6.2中国とインド、日本除く 1.7 5.2 4.1 6.0 5.1 5.6 5.7 3.0 -1.7 4.3中国と日本除く 2.6 4.9 5.1 6.4 6.2 6.6 6.5 4.0 0.5 5.3日本除く 4.8 6.6 7.0 7.9 7.8 8.7 9.4 6.5 4.2 6.9アジア 2.3 3.3 4.2 5.3 5.1 6.0 6.8 3.9 0.4 4.9Source: CEIC, HSBC * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

2009 年の成長率が も落ち込むのは日本、シンガポール、台湾となる見通し

成長率は今年一段と低下した後、来年回復へ

-8-6-4-202468

10

JP SG TW HK TH MA KR PK PH SL ID VN IN CH

2009f 2010f

F'cast

-2

0

2

4

6

8

10

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09f 10fAsia Asia-ex Japan Asia-ex China & Japan

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

GDP

(前年比、%) ______________ 2008 _______________ _____________ 2009e _______________ _____________ 2010e _______________1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q

中国 10.6 10.1 9.0 6.8 6.1 7.2 8.4 8.5 9.0 8.7 8.9 9.1香港 7.3 4.1 1.5 -2.6 -7.8 -5.6 -5.4 0.6 2.2 2.3 2.3 2.7インド 8.6 7.8 7.7 5.8 5.8 5.6 5.7 6.8 6.7 7.4 7.8 8.2インドネシア 6.2 6.4 6.4 5.2 4.4 3.2 3.4 4.1 4.4 5.8 6.0 5.0日本 1.3 0.6 -0.3 -4.3 -8.8 -7.8 -6.6 -2.5 1.5 1.7 1.3 0.5韓国 5.5 4.3 3.1 -3.4 -4.2 -4.2 -2.8 2.1 3.1 4.1 3.4 3.5マレーシア 7.4 6.6 4.8 0.1 -6.2 -5.6 -4.0 0.8 7.6 6.9 6.1 4.9フィリピン 3.9 4.2 4.6 2.9 0.4 1.1 1.8 0.8 0.9 3.9 3.3 3.6シンガポール 6.7 2.5 0.0 -4.2 -10.1 -7.5 -5.9 -0.1 5.4 5.4 5.4 4.9スリランカ 6.3 7.0 6.4 4.2 1.5 2.5 4.0 6.8 7.0 7.5 6.8 6.5台湾 6.2 4.6 -1.0 -8.6 -10.2 -8.7 -4.5 3.5 5.5 4.6 3.7 4.0タイ 6.0 5.3 3.9 -4.2 -7.1 -5.7 -5.5 2.3 5.6 5.1 4.8 3.6ベトナム 7.5 5.8 6.5 5.7 3.1 4.5 5.0 6.0 6.6 7.0 6.8 6.6Source: HSBC

Page 32: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

31

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

インフレ

(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 0.7 -0.8 1.2 3.9 1.8 1.5 4.8 5.9 -0.6 0.8香港 -1.6 -3.0 -2.6 -0.4 0.9 2.0 2.0 4.3 0.9 1.4日本 -0.8 -0.9 -0.2 0.0 -0.3 0.1 0.0 1.5 -1.4 -1.1韓国 4.1 2.8 3.5 3.6 2.8 2.2 2.5 4.7 2.7 3.2台湾 0.0 -0.2 -0.3 1.6 2.3 0.6 1.8 3.5 -0.7 1.2日本除く 1.2 -0.1 1.4 3.4 2.0 1.6 4.0 5.5 0.0 1.2北アジア -0.1 -0.6 0.4 1.4 0.7 0.8 2.1 3.7 -0.7 0.2インド 4.3 4.0 3.7 3.9 4.0 6.3 6.4 8.3 7.0 5.8インドネシア 11.5 11.9 6.8 6.1 10.5 13.1 6.4 10.2 5.7 8.3マレーシア 1.4 1.8 1.1 1.4 3.0 3.6 2.0 5.4 0.4 3.2パキスタン 3.2 3.5 2.9 7.4 9.1 7.9 7.6 20.3 13.4 8.1フィリピン 6.8 2.9 3.5 6.0 7.7 6.3 2.8 9.3 3.5 4.8シンガポール 1.0 -0.4 0.5 1.7 0.5 1.0 2.1 6.5 -0.3 2.3スリランカ 14.2 9.6 6.3 7.6 11.6 13.7 15.8 22.8 4.4 9.4タイ 1.6 0.7 1.8 2.8 4.5 4.6 2.2 5.5 -1.4 2.9ベトナム -0.3 4.1 3.1 7.8 8.3 7.5 8.3 23.0 7.5 10.1南アジア 4.7 4.4 3.6 4.3 5.5 7.0 5.4 9.5 5.1 5.8中国とインド、日本除く 3.1 2.5 2.4 3.4 4.2 4.3 3.4 7.4 2.7 4.2中国と日本除く 3.4 2.8 2.7 3.5 4.2 4.8 4.2 7.7 3.9 4.6日本除く 2.3 1.4 2.1 3.7 3.2 3.4 4.5 6.8 1.7 2.7アジア 0.6 0.2 0.9 1.9 1.6 2.0 2.8 4.9 0.6 1.4Source: CEIC, HSBC * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

日本、タイ、台湾、中国で 2009 年の CPI(前年比%)がマイナスへ インフレ率は今年急低下した後、来年小幅上昇の見通し

-202468

101214

JP TH TW CH SG MA HK KR PH SL ID IN VN PK

2009f 2010f

F'cast

0

2

4

6

8

10

98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09f 10f

Asia-ex China & Japan Asia-ex Japan Asia

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

CPI

(前年比、%) ______________ 2008 _______________ _____________ 2009e _______________ _____________ 2010e _______________1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q

中国 8.0 7.8 5.3 2.5 -0.6 -1.1 -0.6 0.1 0.4 0.7 0.9 1.3香港 4.6 5.7 4.6 2.3 1.7 0.2 -0.4 1.9 1.2 1.8 2.5 0.3インド 6.3 7.8 9.0 10.2 9.4 7.8 6.0 5.0 5.0 5.5 6.0 6.5インドネシア 6.5 9.0 12.0 11.5 8.6 6.1 3.9 4.5 7.1 8.0 9.0 9.3日本 1.0 1.4 2.2 1.0 -0.4 -1.3 -2.1 -2.0 -1.4 -1.1 -0.9 -0.9韓国 3.8 4.8 5.5 4.5 3.9 2.7 1.7 2.6 3.2 3.6 3.6 3.6マレーシア 2.6 4.9 8.4 5.9 3.7 1.0 -3.0 0.1 2.7 3.5 3.5 3.3パキスタン 12.4 19.3 24.5 24.3 20.2 14.7 10.5 8.3 8.3 8.0 8.0 8.0フィリピン 5.5 9.7 12.2 9.7 6.9 4.0 1.0 1.9 3.6 4.5 5.4 5.7シンガポール 6.6 7.5 6.6 5.4 2.1 -1.0 -1.2 -1.2 0.5 2.7 3.1 2.9スリランカ 22.1 26.6 25.3 17.0 7.9 2.4 2.8 4.3 7.0 9.5 10.0 11.0台湾 3.6 4.2 4.5 1.9 0.0 -0.5 -0.9 -1.2 0.7 0.9 1.4 1.8タイ 5.0 7.5 7.3 2.1 -0.2 -3.2 -2.8 0.5 2.2 3.0 3.4 3.0ベトナム 16.4 24.5 27.7 23.6 14.5 6.3 3.0 6.1 9.0 11.0 10.5 10.0

Source: HSBC

Page 33: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

32

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

鉱工業生産

(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 (VAI) 9.7 12.7 16.7 16.3 15.9 16.2 16.0 12.9 9.5 12.0香港 -4.4 -9.7 -9.2 2.9 2.5 2.2 -1.5 -6.6 -8.0 -8.4日本 -6.8 -1.3 3.3 5.5 1.1 4.8 2.8 -3.4 -26.3 2.3韓国 0.6 8.0 5.5 10.4 6.3 8.4 6.9 3.1 -6.6 7.2台湾 -8.4 7.1 8.7 8.4 3.8 4.7 7.8 -1.8 -13.8 7.6日本除く 4.4 9.5 11.7 13.4 11.8 12.8 12.7 9.7 4.8 10.2北アジア -2.8 2.9 6.6 8.7 5.8 8.7 8.1 3.8 -9.3 6.6インド 2.7 5.8 7.0 8.4 8.2 11.5 8.5 2.6 2.1 8.1インドネシア 3.3 5.3 5.3 6.4 4.6 4.6 4.7 3.7 2.0 4.6マレーシア -5.9 4.3 8.4 11.3 5.2 6.7 3.1 1.4 -8.9 6.8パキスタン 9.4 4.0 13.3 17.8 14.9 10.7 5.5 -0.4 -0.8 5.2フィリピン 2.9 3.5 4.2 5.0 5.3 4.2 3.3 4.3 -2.1 1.5シンガポール -11.6 8.4 -30.3 13.9 9.5 11.9 5.9 -4.2 -8.9 7.0スリランカ -4.1 1.7 5.9 5.6 6.0 5.7 6.6 4.9 2.3 6.5タイ 2.7 9.1 14.0 11.7 9.1 7.3 8.2 5.3 -8.0 6.6ベトナム 16.2 14.2 19.8 17.6 25.5 16.0 11.6 11.8 5.2 11.5南アジア 1.7 6.1 5.6 9.6 8.3 9.1 6.8 2.8 -0.8 6.7中国とインド、日本除く -1.4 5.5 4.4 9.6 6.5 7.0 5.8 1.7 -5.6 5.4中国と日本除く -0.5 5.5 5.0 9.3 6.9 8.1 6.5 2.0 -3.5 6.1日本除く 3.5 8.4 9.7 12.1 10.6 11.6 10.8 7.4 3.0 9.1アジア -2.1 3.4 6.4 8.8 6.3 8.8 7.9 3.6 -7.5 6.7Source: CEIC, HSBC * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

今年、鉱工業生産が も落ち込むのは日本と台湾となる見通し 失業率が高いのはインドネシア、フィリピン、パキスタン

-30-25-20-15-10

-505

1015

JN TW SG MA HK TH KR PH PK ID IN SL VN CH

2009f 2010f

0

2

4

6

8

10

TH SG MA KR JP VN TW HK CH SL PK PH ID

2009f 2010f

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

失業率

(%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e中国 3.6 4.0 4.3 4.2 4.2 4.1 4.0 4.2 6.0 5.5香港 5.1 7.3 7.9 6.8 5.6 4.8 4.0 3.6 5.9 6.6日本 5.0 5.4 5.2 4.7 4.4 4.1 3.9 4.0 5.2 6.1韓国 4.0 3.3 3.6 3.7 3.7 3.5 3.2 3.2 4.0 4.0台湾 4.6 5.2 5.0 4.4 4.1 3.9 3.9 4.1 5.8 6.0日本除く 3.9 4.2 4.4 4.2 4.1 4.0 3.8 4.0 5.7 5.3北アジア 4.6 4.9 4.9 4.5 4.3 4.1 3.8 4.0 5.5 5.7インドネシア N/A N/A N/A N/A N/A N/A N/A N/A N/A N/Aマレーシア 7.1 8.6 9.3 9.7 10.6 10.8 9.7 8.8 9.2 9.8パキスタン 3.7 3.5 3.6 3.6 3.6 3.3 3.2 3.3 3.7 3.7フィリピン 8.3 8.3 7.7 7.7 6.2 5.3 5.2 8.0 8.0 7.0シンガポール 10.9 11.5 11.5 11.9 8.0 7.9 7.2 7.5 8.7 7.7スリランカ 2.5 3.6 4.0 3.5 3.2 2.7 2.2 2.1 3.6 3.8タイ 7.9 8.8 8.1 8.1 7.2 6.3 5.5 5.4 6.5 7.0ベトナム 3.3 2.4 2.2 2.1 1.9 1.5 1.4 1.4 2.5 3.3南アジア 6.3 6.0 5.8 5.6 5.3 4.8 4.6 4.7 5.4 5.3中国と日本除く 5.8 6.3 6.5 6.5 6.1 6.0 5.5 5.6 6.3 6.4日本除く 5.0 5.2 5.4 5.2 4.9 4.7 4.4 4.6 5.5 5.7アジア 5.0 5.2 5.4 5.2 4.9 4.7 4.4 4.6 5.5 5.7Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

鉱工業生産・失業率

Page 34: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

33

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

消費

(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 6.2 6.2 6.5 7.2 8.5 8.7 9.0 8.9 8.0 8.5香港 1.9 -0.9 -1.3 7.0 3.0 5.9 8.5 1.7 -1.6 1.4日本 1.6 1.1 0.4 1.6 1.3 1.5 0.7 0.6 -1.3 0.0韓国 5.7 8.9 -0.4 0.3 4.6 4.7 5.1 0.9 -2.6 2.6台湾 0.7 2.6 1.5 4.5 3.0 1.8 2.3 -0.3 -0.4 2.1日本除く 5.1 5.9 3.9 5.3 6.8 7.1 7.6 6.8 5.4 6.9北アジア 2.9 3.0 1.8 3.1 3.7 4.2 4.4 4.0 2.4 3.8インド 6.1 2.9 8.2 5.2 7.1 6.3 8.5 2.9 5.0 7.0インドネシア 3.5 3.8 3.9 5.0 4.0 3.2 5.0 5.3 4.8 5.1マレーシア 2.4 4.4 6.6 10.5 9.1 6.8 10.4 8.5 -0.3 5.2パキスタン 1.4 0.4 10.1 12.9 1.0 4.7 -1.3 5.2 1.0 2.0フィリピン 3.6 4.1 5.3 5.9 4.8 5.5 5.8 4.7 1.7 2.6シンガポール 4.7 4.9 0.9 5.9 3.1 4.0 5.2 2.4 -3.5 4.3スリランカ 0.4 7.5 6.5 4.7 2.6 7.3 7.8 6.7 3.5 6.8タイ 4.1 5.4 6.4 6.1 4.9 3.0 1.6 2.5 -0.5 2.6ベトナム 4.5 7.6 8.0 7.1 7.3 8.3 9.6 7.3 3.4 6.2南アジア 4.5 3.7 6.6 6.3 5.7 5.2 6.5 4.1 3.0 5.3中国とインド、日本除く 3.4 5.0 2.3 4.4 4.3 4.3 4.9 2.9 -0.2 3.3中国と日本除く 4.0 4.6 3.6 4.6 5.0 4.8 5.8 2.9 1.3 4.3日本除く 4.9 5.2 4.8 5.6 6.4 6.5 7.2 5.9 4.6 6.4アジア 3.1 3.1 2.6 3.7 4.1 4.4 4.8 4.0 2.5 4.1Source: CEIC, HSBC * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

消費・貯蓄

個人消費(前年比%)は中国とインドがリード 中国、シンガポール、マレーシアの貯蓄率(GDP 比)が高水準

-4-202468

10

SG KR HK JP TH TW MA PK PH VN SL ID IN CH

2009f 2010f

0

10

20

30

40

50

PK PH SL TW VN JP HK ID TH KR IN MA SG CH

2009f 2010f

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

貯蓄率

% of GDP 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e中国 38.6 40.4 43.2 45.7 48.2 50.1 51.0 49.0 48.0 48.1香港 30.1 30.7 30.4 30.2 33.3 33.3 31.0 30.4 29.1 29.2日本 25.9 24.5 25.7 26.7 26.2 27.1 26.5 26.0 26.0 25.5韓国 31.9 31.4 33.0 35.0 33.2 31.5 30.8 37.6 38.1 40.5台湾 23.6 25.0 25.7 26.0 25.6 27.1 29.0 25.8 21.9 24.5日本除く 34.6 35.9 38.1 40.4 41.7 43.1 44.3 45.0 44.0 44.7北アジア 29.0 28.9 30.6 32.2 33.0 34.9 36.0 36.4 35.9 36.0インド 25.3 27.1 29.3 33.8 35.1 37.0 38.1 36.3 38.5 39.0インドネシア 30.0 25.1 23.7 24.9 27.5 28.7 28.1 30.6 30.0 30.1マレーシア 42.3 42.3 42.5 44.0 43.5 43.4 46.1 49.1 45.5 47.7パキスタン 20.8 22.2 17.1 14.6 13.9 14.3 11.1 8.1 14.9 15.6フィリピン 17.1 19.1 19.3 21.2 21.0 20.1 20.8 19.2 20.7 21.1シンガポール 42.0 40.9 42.0 46.8 48.7 49.9 51.7 48.3 45.7 44.5スリランカ 21.5 20.3 19.5 21.6 24.2 22.7 23.6 22.0 21.7 27.1タイ 31.4 31.7 32.0 31.7 30.9 32.4 34.1 33.2 31.1 31.8ベトナム 33.2 32.0 30.6 32.0 34.6 36.5 31.8 31.2 25.1 30.0南アジア 28.6 28.8 29.2 31.7 32.8 33.9 34.6 33.8 34.2 34.9中国とインド、日本除く 29.9 29.7 30.0 31.2 31.2 31.1 31.1 32.7 31.9 33.4中国と日本除く 28.8 29.1 29.8 31.8 32.1 32.5 33.0 33.7 33.7 34.9日本除く 32.6 33.5 35.1 37.5 38.8 40.0 41.1 41.3 40.8 41.5アジア 29.0 28.9 30.3 32.1 33.0 34.7 35.7 35.8 35.5 35.8Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009、2010 年は 2008 年ウエート。

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34

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

投資

投資/GDP 比

(%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e中国 36.5 37.9 41.0 43.2 42.7 42.6 42.2 42.5 43.0 44.0香港 25.6 22.4 21.2 21.3 20.9 21.9 20.1 19.5 19.6 20.3日本 24.9 23.6 23.2 22.9 23.2 22.9 22.6 21.7 19.9 19.0韓国 29.3 29.1 30.0 30.4 30.1 29.8 29.4 25.4 24.1 23.7台湾 18.4 18.0 18.4 22.7 21.4 21.5 21.5 21.2 16.1 16.4日本除く 31.8 32.4 34.8 36.9 36.6 36.9 37.0 37.5 37.4 38.1北アジア 27.4 27.0 27.7 28.6 29.1 29.7 30.3 30.4 29.5 29.4インド 25.6 26.7 28.1 33.2 36.8 38.4 41.1 41.4 41.0 42.0インドネシア 22.5 21.4 25.6 24.1 25.1 25.4 24.9 27.8 26.8 27.1マレーシア 23.9 24.0 21.6 22.7 19.9 20.0 22.1 21.4 28.6 18.4パキスタン 17.0 17.3 15.2 16.0 17.8 19.0 19.4 17.5 17.5 17.7フィリピン 19.0 17.7 16.7 16.7 14.6 14.5 15.4 15.2 14.4 14.3シンガポール 26.4 23.6 16.0 21.8 20.2 20.1 20.7 30.9 32.2 33.0スリランカ 28.0 22.0 21.2 22.1 25.0 28.7 29.9 30.0 29.9 30.0タイ 24.1 23.8 25.0 26.8 31.4 28.4 26.6 28.8 25.0 26.1ベトナム 29.7 31.3 32.7 33.5 35.6 36.8 41.6 41.5 33.2 35.0南アジア 24.1 24.0 24.6 27.3 29.4 29.8 31.3 32.4 32.1 32.0中国とインド、日本除く 24.4 23.7 24.1 25.3 25.4 25.4 25.2 24.8 23.6 23.1中国と日本除く 24.7 24.4 25.0 27.2 28.2 28.5 29.4 29.3 28.3 28.3日本除く 29.3 29.7 31.4 33.7 34.2 34.5 35.1 35.9 35.7 36.1アジア 26.9 26.6 27.2 28.4 29.2 29.7 30.5 30.8 30.0 30.0Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

投資

(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 13.0 16.9 27.7 27.6 27.2 24.5 25.8 26.1 20.0 20.0香港 2.9 -4.6 1.0 2.7 4.1 7.1 3.4 -0.3 -1.4 8.9日本 -0.9 -4.9 -0.5 1.4 3.1 0.5 0.8 -5.0 -13.2 -3.3韓国 0.3 7.1 4.4 2.1 1.9 3.4 4.2 -1.7 -5.1 5.6台湾 -19.9 1.1 1.7 19.5 1.2 0.9 1.9 -10.6 -17.9 3.8日本除く 5.3 11.3 17.8 19.6 17.6 16.8 18.5 18.3 12.7 16.2北アジア 1.3 1.4 6.7 8.8 9.5 8.4 10.3 7.8 1.0 7.4インド 4.3 7.7 9.7 18.9 17.6 14.5 12.9 8.2 8.0 13.0インドネシア 6.5 4.7 0.6 14.7 10.9 2.6 9.4 11.7 1.6 6.4マレーシア -2.8 0.3 2.7 3.1 5.0 7.5 9.6 0.8 -8.9 4.9パキスタン -0.4 4.1 -6.1 13.5 19.9 13.6 3.8 -6.5 3.0 4.0フィリピン -13.0 2.3 3.6 1.3 -6.6 3.9 10.9 2.9 -1.9 4.0シンガポール -3.9 -11.4 -3.2 10.2 -2.0 13.3 19.2 13.7 -10.4 5.7スリランカ -1.8 6.4 10.1 17.8 9.8 13.9 12.0 10.0 4.5 13.0タイ 1.1 6.5 12.1 13.2 10.5 3.9 1.3 1.1 -9.4 7.1ベトナム 10.7 12.9 11.9 10.4 9.7 9.9 23.0 13.2 3.2 6.7南アジア 1.8 4.7 5.7 14.2 12.0 10.0 11.0 6.9 1.6 8.9中国とインド、日本除く -3.2 3.1 3.0 8.5 4.4 4.8 6.3 1.3 -5.3 5.8中国と日本除く -1.5 4.1 4.6 11.0 7.7 7.1 8.1 3.2 -1.7 7.7日本除く 4.1 9.1 13.8 17.8 15.7 14.5 16.0 14.6 9.1 13.9アジア 1.4 1.9 6.5 9.7 10.0 8.7 10.4 7.6 1.1 7.7Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

今年は台湾と日本の投資の落ち込みが 大(前年比%) 投資/GDP 比:中国が高水準、その他は上昇余地

-25-20-15-10

-505

101520

TW JP SG TH MA KR PH HK ID PK VN SL IN CH

2009f 2010f

0

10

20

30

40

50

PH TW PK HK JP KR TH ID MA SL SG VN IN CH2009f 2010f

Source: HSBC, HSBC Source: CEIC, HSBC

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35

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

貿易

経常収支

(% of GDP) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e中国 1.3 2.4 2.8 3.6 7.2 9.5 11.0 8.6 5.1 4.4香港 4.5 8.3 9.2 8.9 12.4 11.4 10.8 10.9 9.6 9.7日本 2.2 2.9 3.2 3.7 3.7 3.9 4.9 3.2 2.8 4.1韓国 1.7 1.0 2.0 4.1 1.9 0.6 0.6 -0.7 2.9 0.6台湾 6.5 8.9 10.0 6.0 4.9 7.2 8.6 6.3 8.8 8.3日本除く 2.3 3.3 3.8 4.2 6.0 7.4 8.6 7.0 5.1 4.3北アジア 2.2 3.0 3.4 3.9 4.7 5.6 6.9 5.3 4.1 4.2インド 0.8 1.5 1.6 0.1 -1.9 -1.1 -1.0 -3.2 -2.2 -2.5インドネシア 4.2 3.9 3.4 0.6 0.1 3.0 2.4 0.1 0.6 -0.3マレーシア 8.3 8.4 12.8 12.1 15.0 16.3 15.6 17.6 12.3 10.2パキスタン 3.8 5.0 1.9 -1.4 -3.9 -4.8 -8.3 -9.5 -2.7 -2.1フィリピン 1.9 6.9 0.9 1.1 2.0 4.5 4.8 2.5 1.4 -0.6シンガポール 16.2 17.7 31.0 26.4 27.5 25.4 23.5 14.8 10.3 9.0スリランカ -1.4 -1.4 -0.4 -3.3 -2.8 -5.6 -4.5 -9.8 -5.5 -5.4タイ 5.4 5.5 5.6 1.7 -4.3 1.1 5.9 -0.1 3.2 1.5ベトナム 2.1 -1.7 -4.9 -2.1 -1.1 -0.3 -9.8 -11.6 -5.6 -4.7南アジア 3.8 4.5 5.0 3.0 1.6 3.0 2.7 0.0 0.8 0.0中国とインド、日本除く 4.6 5.3 6.1 5.2 4.1 4.6 4.6 2.6 4.1 2.8中国と日本除く 3.7 4.4 5.1 4.0 2.6 3.2 3.1 1.0 2.4 1.4日本除く 2.8 3.7 4.2 3.8 4.5 5.9 6.7 4.8 3.7 2.9アジア 2.4 3.3 3.7 3.8 4.1 5.1 6.0 4.2 3.4 3.3Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

実質輸出

(前年比、%) 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

中国 7.5 18.0 32.0 32.0 29.0 25.0 23.8 11.2 -14.0 2.0香港 -1.7 9.0 12.8 15.4 10.6 9.4 8.3 2.7 -18.6 -2.8日本 -6.9 7.5 9.2 13.9 7.0 9.7 8.4 1.8 -28.8 9.8韓国 -3.4 12.1 14.5 19.7 7.8 11.4 12.6 5.7 -7.0 5.5台湾 -7.8 10.6 10.4 14.4 7.6 10.3 8.8 0.0 -13.9 8.7日本除く 2.5 15.2 24.4 26.5 21.0 19.9 19.7 9.3 -13.0 2.8北アジア -3.6 10.5 15.2 19.0 13.2 14.7 14.4 5.9 -20.2 6.0インド 4.3 21.1 9.6 27.2 17.6 21.1 2.1 12.8 -5.0 12.0インドネシア 0.6 -1.2 5.9 13.5 16.6 9.4 8.5 9.5 -11.4 8.5マレーシア -7.5 4.5 5.7 2.3 8.3 6.6 4.5 1.3 -15.1 6.6パキスタン 10.0 28.4 -1.5 9.6 9.9 2.3 -5.3 9.0 -1.0 4.0フィリピン -3.4 4.1 4.8 15.0 4.8 13.4 5.4 -1.9 -8.7 3.8シンガポール -4.0 7.2 13.7 20.6 11.7 11.7 8.7 1.3 -15.5 6.1スリランカ -5.3 6.3 5.4 7.6 5.6 4.8 5.8 4.0 -6.0 3.0タイ -4.2 12.0 7.0 9.6 4.2 9.1 7.1 5.4 -12.0 7.0南アジア 0.1 2.0 1.2 3.0 2.4 2.7 0.9 1.7 -1.7 1.8中国とインド、日本除く -0.6 1.9 2.1 3.1 1.9 2.2 2.0 0.9 -2.2 1.2中国と日本除く -0.3 2.7 2.3 4.1 2.6 3.1 1.7 1.5 -2.0 1.7日本除く 0.7 5.3 7.0 9.0 7.4 7.6 6.5 4.0 -5.1 2.1アジア -2.2 8.2 10.5 14.1 9.7 10.4 8.6 4.5 -12.4 4.6Source: CEIC, HSBC. * アジア計は各年の IMF 名目ドルウエート、2009 年、2010 年は 2008 年ウエート。

アジアの輸出は今年減少した後、来年、回復へ 経常収支/GDP 比はアジア全域でマイナスというわけではない

-30

-20

-10

0

10

20

JP HK SG MA CH TW TH ID PH KR SL IN PK2009f 2010f

-6-4-202468

101214

VN SL PK IN ID PH JP KR TH CH TW HK SG MA

2009f 2010f

Source: CEIC, HSBC Source: CEIC, HSBC

Page 37: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

36

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

為替レート

2006 2007 2008 _____________ 2009e _______________ _____________ 2010e ________________(vs USD, 期末) 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q

中国 (RMB) 7.81 7.30 6.82 6.83 6.83 6.80 6.80 6.80 6.80 6.80 6.80

香港 (HKD) 7.77 7.80 7.75 7.75 7.75 7.80 7.80 7.80 7.80 7.80 7.80

インド (INR) 44.3 39.4 48.7 50.7 47.9 54.0 54.0 54.0 54.0 54.0 54.0

インドネシア (IDR) 8,994 9,400 11,325 11,700 10,208 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000

日本 (JPY) 118.9 112.0 90.7 99 96 100 105 105 105 105 105

韓国 (KRW) 930 936 1,260 1,367 1,274 1,400 1,200 1,200 1,200 1,200 1,200

マレーシア (MYR) 3.53 3.31 3.45 3.65 3.52 3.90 3.90 3.90 3.90 3.90 3.90

パキスタン (PKR) 60.9 61.5 79.1 80.5 81.4 88.0 90.0 92.0 92.0 92.0 92.0

フィリピン (PHP) 49.0 41.2 47.4 48.4 48.1 52.0 53.0 53.0 53.0 53.0 53.0

シンガポール (SGD) 1.53 1.44 1.44 1.52 1.45 1.55 1.56 1.56 1.56 1.56 1.56

スリランカ (LKR) 107.5 108.7 113.0 115.8 115.0 116.5 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0

台湾 (TWD) 32.6 32.4 32.8 33.9 32.8 34.0 33.0 32.5 31.5 31.5 31.5

タイ (THB) 35.5 33.7 34.7 35.5 34.1 35.5 37.0 38.0 39.0 39.0 39.0

ベトナム (VND) 16,050 16,017 17,483 17,797 17,798 18,050 18,200 18,200 18,200 18,200 18,200Source: HSBC * タイ・バーツの見通しはオンショア・レート

為替・金利

3 カ月金利

2006 2007 2008 _____________ 2009e _______________ _____________ 2010e ________________(%pa, 期末) 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q

中国 1.80 3.33 1.71 1.71 1.71 1.71 1.44 1.44 1.44 1.44 1.44

香港 3.90 3.45 0.95 0.90 0.36 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50

インド 8.24 8.01 8.45 8.45 4.25 6.05 6.25 6.25 6.50 7.25 7.50

インドネシア 9.50 7.83 11.98 8.61 7.50 7.00 6.90 6.75 6.65 6.55 7.05

日本 0.55 0.40 0.40 0.38 0.33 0.30 0.30 0.30 0.30 0.30 0.30

韓国 4.76 5.73 4.68 2.43 2.20 2.20 2.20 2.45 2.70 2.95 3.20

マレーシア 3.71 3.61 3.37 2.11 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.25 2.50

フィリピン 4.84 3.67 6.12 4.42 5.00 5.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00

シンガポール 3.44 2.38 0.96 0.67 0.60 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 1.20

台湾 1.76 2.16 1.01 0.41 0.55 0.65 0.75 1.10 1.13 1.45 1.48

タイ 5.25 3.85 2.95 1.80 1.55 1.55 1.55 1.55 1.55 2.05 2.30Source: HSBC

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37

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

国・地域別見通し

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38

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

景気回復が本格化

5 月の経済統計は市場予想を上回り、鉱工業

生産の伸びは昨年 10 月以来 高となる前年

比+8.9%に加速してインフラ投資主導の景気

回復の本格化を裏付けた。固定資産投資の急

増が輸出の一段の減少(4 月の-22.6%に対

して 5 月は-26.4%)を相殺し、建設資材に

対する需要の増加につながった。都市部の固

定資産投資の実質ベースの伸びは 4 月の

40.5%から 5 月は 2004 年 2 月以来 高となる

46%に加速した。これに伴い鉱工業生産が急

拡大し、特に重工業部門の生産高が全体の伸

びの 70%前後を貢献した。

また、5 月は自動車販売と住宅販売の回復が

続き、金額ベースでそれぞれ前年比 23.8%増

(4 月は 18.5%増)、75.3%増(同 63.7%増)

となった。さらに、個人消費も好調だ。数量

ベースの小売売上高の伸びは 4 月の前年比

16.3%から 5 月は 16.6%に加速した。

金融緩和策が維持されているため、向こう数

カ月は大幅な貸し出しの伸びを通じてインフ

ラ投資が拡大し、2009 年後半の GDP 成長率

は 8%を超える見通しである。

建設資材、機械、エネルギーに対する需要の

拡大が見込まれる。これらの製品の輸入依存

度は 50%を超えるため、コモディティ輸出国

と高度な機械を中国に供給する先進諸国は中

国の景気回復による恩恵を直接享受すること

になろう。コモディティ輸出国の場合、中国

への輸出増だけでなく、コモディティ価格の

回復による交易条件の改善も期待できる。コ

モディティ輸出国はこれをテコに金融危機へ

の対応を進めることができ、中国製品の輸入

を増やすこともできよう。 近、中国が中南

米諸国と中東との相互貿易・投資の強化策を

とっていることも併せ考えると、中国と主要

新興国間の貿易も拡大し、世界貿易の新たな

秩序が形成されることになろう。

中 国

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 9.0 6.8 6.1 7.2 8.4 8.5 9.0 8.7 8.9 9.1

鉱工業生産 (前年比%) 13.0 6.4 6.0 9.6 10.6 11.6 11.0 12.0 12.2 12.7

CPI (四半期末%、前年比) 4.6 1.2 -1.2 -1.0 -0.2 0.3 0.5 0.8 1.0 1.5

PPI (四半期末%、前年比) 9.1 -1.1 -6.0 1.6 2.0 1.9 2.0 2.5 3.0 3.5

貿易収支 (% GDP) 7.8 8.4 6.5 3.4 5.4 4.8 5.6 3.0 4.8 4.2

外貨準備高 (USDbn) 1,906 1,946 1,954 2,000 2,050 2,100 2,142 2,168 2,210 2,258

政策金利, 四半期末(%) 7.20 5.31 5.31 5.31 5.31 4.77 4.77 4.77 4.77 4.77

5 年利回り, 四半期末 (%) 7.56 5.76 5.76 5.76 5.76 5.22 5.22 5.22 5.22 5.22

RMB /USD, 四半期末 6.85 6.82 6.83 6.80 6.80 6.80 6.80 6.80 6.80 6.80

RMB /EUR, 四半期末 9.73 9.48 9.02 9.52 9.86 10.20 10.20 10.20 10.20 10.20Source: HSBC 注:鉱工業生産統計の対象は年間売上高が 500 万元超の企業

Qu Hongbin*Chief China EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

Sun Junwei*Economist

Ma Xiaoping*Economics Associate

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

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39

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

中国:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 10.1 10.2 11.6 13.0 9.0 7.8 8.5

名目 GDP (USDbn) 1,932 2,239 2,661 3,386 4,331 4,734 5,185

1 人当たり GDP (USD) 1,495 1,723 2,035 2,576 3,278 3,565 3,885

名目小売売上高 (% 前年比) 13.3 12.9 13.7 16.8 21.6 15.0 16.0

固定資産投資、名目 (% 前年比) 27.6 27.2 24.5 25.8 26.1 20.0 20.0

鉱工業生産 (% 前年比) 16.3 15.9 16.2 16.0 12.9 9.5 12.0

国内総貯蓄 (% GDP) 45.7 48.2 50.1 51.0 49.0 48.0 48.1

失業率 (% 年末) 4.2 4.2 4.1 4.0 4.2 6.0 5.5

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 3.9 1.8 1.5 4.8 5.9 -0.6 0.8

CPI, 年末 (% 前年比) 2.4 1.6 2.8 6.5 1.2 0.3 1.5

PPI, 年末 (% 前年比) 7.1 3.2 3.1 5.4 -1.1 1.9 3.5

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 12.3 12.3 14.0 16.2 17.0 9.0 11.0

マネー・為替・金利

マネーサプライ M0, 平均 (% 前年比) 10.8 9.9 13.2 13.6 12.4 8.0 11.0

広義のマネーサプライ M2, 平均 (% 前年比) 16.2 16.0 18.1 17.5 16.7 16.4 16.3

政策金利, 年末 (%) 5.58 5.58 6.12 7.47 5.31 4.77 4.77

5 年利回り, 年末 (%) 5.85 5.85 6.48 7.74 5.76 5.22 5.22

RMB /USD, 年末 8.28 8.07 7.81 7.30 6.82 6.80 6.80

RMB /USD, 平均 8.28 8.18 7.96 7.60 6.94 6.81 6.80

RMB /EUR, 年末 11.30 9.52 10.30 10.66 9.48 10.20 10.20

RMB /EUR, 平均 10.32 10.19 10.01 10.56 10.11 9.95 10.20

対外部門

商品輸出 (USDbn) 593.3 762.0 969.0 1,219 1,429 1,257 1,307

商品輸入 (USDbn) 561.2 660.0 791.5 956.0 1,133.1 1,076 1,141

貿易収支 (USDbn) 32.1 102.0 177.5 262.7 295.5 180.7 166.4

経常収支 (USDbn) 69 161 253 372 372 240 230

経常収支 (% GDP) 3.6 7.2 9.5 11.0 8.6 5.1 4.4

純対内直接投資 (USDbn) 60.6 72.4 72.7 83.5 108.3 85.0 86.0

純対内直接投資 (% GDP) 3.1 3.2 2.7 2.5 2.5 1.8 1.7

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 6.7 10.4 12.2 13.4 11.1 6.9 6.1

輸出 (% 前年比) 35.4 28.4 27.2 25.8 17.2 -12.0 4.0

輸入 (% 前年比) 36.0 17.6 19.9 20.8 18.5 -5.0 6.0

外貨準備高 (USDbn) 609.9 818.9 1,066 1,528 1,946 2,100 2,250

輸入カバー月数 12.1 13.8 15.0 17.7 20.8 24.9 26.4

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 129.7 169.3 200.3 188.4 237.1 278.0 320.2

対外債務総額 (USDbn) 247.5 281.0 323.0 373.6 370.0 350.0 330.0

短期対外債務 (% 外貨準備) 20.2 19.1 17.2 14.4 9.2 7.1 5.3

連結財政収支 (% GDP) -1.3 -1.2 -1.0 0.6 -0.4 -2.5 -3.1Source: HSBC 注:鉱工業生産統計の対象は全企業

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40

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

流動性ブーム

世界各国による量的緩和の効果が香港にも波

及している。3 月以降、香港の資産市場に膨

大な規模の資本が流入している。昨年 12 月

以降蓄積していた資本の流入も加わり、株式

市場、不動産市場ともに急騰している。

しかし、実体経済は停滞が続いている。例え

ば、今年 1-4 月の小売売上高は前年比 4.4%減

となった。これに対して、2008 年 4Q は同

1%増だった。資産市場の上昇を受け消費者

信頼感が改善したためか、4 月には減少ペー

スが鈍化したものの、労働市場の悪化とそれ

に伴う家計所得の減少が民間消費の重しとな

ろう。

香港の金利は急低下している。過剰流動性が

生じるなか、1 カ月 HIBOR は 5 月下旬に

0.05%まで低下した。しかし、金利が低下し

ても貸し出しは増加していない。銀行は慎重

な姿勢を維持している。貸し出しの伸びは

2008 年の 2 ケタ台から 2009 年 1Q は前年比

2.9%に鈍化しており、3 月と 4 月は減少した。

銀行は今後、慎重な姿勢を緩める可能性もあ

るが、貸し出しを積極化させるとは考えにく

い。企業の事業見通しは極めて悲観的で、拡

大投資は期待できない。

貿易部門が近く底入れする兆しがみられる。

たとえば、中国の輸出の先行指標である台湾

の輸出受注(季調済み)の月次ベースの伸び

がマイナスから 4 月にはプラスに回復した。

しかし、先進国経済はまだ回復局面に入った

わけではないため、需要の本格的な拡大は見

込めない。

近の流動性ブームによる実体経済への影響

は限定的とみられるため、2009 年の実質

GDP 成長率予想は前年比-4.5%に据え置く。

香 港

Qu Hongbin*Chief China EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

Janus Chan*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2996 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 1.5 -2.6 -7.8 -5.6 -5.4 0.6 2.2 2.3 2.3 2.7

鉱工業生産 (前年比%) -7.0 -10.6 -10.2 -6.0 -3.0 -2.0 -2.0 -2.0 -2.0 -2.0

CPI (四半期平均%、前年比) 3.1 2.1 2.1 -0.1 0.8 1.6 1.5 2.1 1.4 0.3

PPI (四半期末%、前年比) 5.4 3.8 2.5 2.3 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.5

貿易収支 (% GDP) -9.6 -7.0 -9.1 -12.6 -9.4 -7.2 -8.1 -12.0 -9.1 -6.7

財・サービス収支 (% GDP) 13.2 15.8 10.0 4.9 10.4 12.5 10.1 5.4 10.4 12.5

外貨準備高 (USDbn) 160.6 182.5 186.3 206.0 208.0 209.0 210.0 211.0 213.0 218.0

政策金利, 四半期末(%) 3.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50

5 年利回り, 四半期末 (%) 2.57 1.19 1.62 2.07 2.00 1.50 1.40 1.40 1.40 1.40

HKD/USD, 四半期末 7.80 7.80 7.75 7.75 7.80 7.80 7.80 7.80 7.80 7.80

HKD/EUR, 四半期末 11.08 10.84 10.23 10.85 11.31 11.70 11.70 11.70 11.70 11.70Source: HSBC

Page 42: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

41

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

香港:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 8.5 7.1 7.0 6.3 2.5 -4.5 2.4

名目 GDP (USDbn) 165.9 177.8 189.9 207.1 215.2 204.6 211.2

1 人当たり GDP (USD) 24,093 25,629 25,630 25,630 25,631 28,122 28,669

民間消費 (% 前年比) 7.0 3.0 5.9 8.5 1.7 -1.6 1.4

政府支出 (% 前年比) 0.7 -3.2 0.2 3.0 1.8 3.3 2.1

投資 (% 前年比) 2.7 4.1 7.1 3.4 -0.3 -1.4 8.9

鉱工業生産 (% 前年比) 2.9 2.5 2.2 -1.5 -6.6 -8.0 -8.4

国内総貯蓄 (% GDP) 30.2 33.3 33.3 31.0 30.4 29.1 29.2

失業率 (% 年末) 6.6 5.2 4.4 3.4 4.1 6.5 6.5

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) -0.4 0.9 2.0 2.0 4.3 0.9 1.4

CPI, 年末 (% 前年比) 0.3 1.4 2.3 3.8 2.1 1.6 0.3

PPI, 年末 (% 前年比) 1.4 1.0 2.1 4.2 3.8 2.2 1.5

総賃金, 名目 (% 前年比) -2.5 2.6 1.3 0.3 3.7 1.0 1.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM1, 平均 (% 前年比) 33.7 1.2 11.9 17.8 4.6 4.8 2.5

広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 7.8 7.4 12.7 18.4 7.0 3.5 4.5

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 2.4 6.9 6.9 13.2 12.5 -3.1 2.8

政策金利, 年末 (%) 3.75 5.75 6.75 5.75 0.50 0.50 0.50

5 年利回り, 年末 (%) 2.66 4.11 3.69 3.10 1.19 1.50 1.40

HKD /USD, 年末 7.78 7.75 7.77 7.80 7.75 7.80 7.80

HKD /USD, 平均 7.79 7.77 7.77 7.80 7.78 7.79 7.80

HKD /EUR, 年末 10.62 9.14 10.26 11.39 10.77 11.70 11.70

HKD /EUR, 平均 9.69 9.68 9.76 10.84 11.33 11.38 11.70

対外部門

商品輸出 (USDbn) 259.9 288.7 316.3 346.0 364.6 291.3 282.1

商品輸入 (USDbn) 269.2 296.3 330.3 365.7 387.7 310.8 300.9

貿易収支 (USDbn) -9.3 -7.6 -14.0 -19.7 -23.1 -19.5 -18.8

財・サービス収支 (USDbn) 14.7 22.1 21.7 22.4 23.5 19.6 20.6

財・サービス収支 (% GDP) 8.9 12.4 11.4 10.8 10.9 9.6 9.7

純対内直接投資 (USDbn) -11.7 6.4 0.1 -6.7 3.1 3.0 6.0

純対内直接投資 (% GDP) -7.0 3.6 0.0 -3.3 1.4 1.5 2.8

財・サービス収支+対内直接投資 (% GDP) 1.8 16.0 11.4 7.6 12.3 11.1 12.6

輸出 (% 前年比) 15.9 11.1 9.6 9.4 5.4 -20.1 -3.3

輸入 (% 前年比) 17.0 10.1 11.5 10.7 6.0 -19.9 -3.3

外貨準備高 (USDbn) 123.6 124.3 133.2 152.7 182.5 209.0 218.0

輸入カバー月数 5.5 5.0 4.8 5.0 5.6 8.1 8.7

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 529.4 531.4 603.9 789.1 864.0 950.0 1,183.0

対外債務総額 (USDbn) 29.0 43.0 52.0 83.0 47.6 60.0 55.0

連結財政収支 (% GDP) 1.7 1.0 4.0 7.7 0.1 -4.0 -1.9Source: HSBC 注:公的債務は政府分のみ

Page 43: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

42

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

財政引き締め策が不可欠

インドは、比較的浅い景気の落ち込みを経験

した後、回復軌道にある。このところ、自動

車販売とセメント生産が拡大傾向にあるが、

近の PMI 指数の改善や鉱工業生産の拡大の

方が景気の回復を示す指標として信頼性が高

い。政府支出が大きな押し上げ効果を発揮し

たとはいえ、1-3 月期の GDP は予想を上回る

前年比+5.8%に達し、中国の+6.1%に近い水

準となった。

選挙絡みの政府支出による効果が衰えるため、

景気の回復傾向を維持するためには他のけん

引役が必要となるが、幸い、インドにはいく

つかの成長促進要因が存在する。特に、イン

ド中銀による利下げ効果はまだ浸透していな

いが、市中銀行が貸出金利と預金金利の引き

下げという形で利下げを積極的に転嫁し始め

るにつれて、いずれ利下げ効果が本格化する。

また、年内にインドの石油・ガス生産も増加

する見込みで、さらにアジア地域内と世界貿

易の回復もプラスに作用することになる。総

合的にみて、HSBC では 2009/10 年度の GDP

成長率予想を 6.2%に据え置く。HSBC 予想は

コンセンサス予想を上回るが、3 カ月前に比べ

ると格差は縮小している。

懸念されるのは、成長見通しよりも財政収支

とインフレである。2008/09 年度の中央政府赤

字は GDP 比 6%を超え、一般政府歳入不足は

GDP 比 10%前後に達しているが、中期的な財

政赤字の具体的な削減策が示されているわけ

ではないため、格付け機関がインドの動向を

注視しており、また債券利回りも下げ渋って

いる。将来的な国有企業の政府保有株売却が

財政収支の改善に貢献する可能性があるが、

その効果は一時的である。

インドの重要な卸売物価指標については、コ

モディティ価格の大幅な上昇による影響が広

がるにつれて、今年後半にはデフレからイン

フレに急速に変化する見通しである。これを

受け、RBI は 2010 年 4-6 月期に利上げに転じ

ると予想される。

また、改革のスピードと度合いは、市場の失

望を招く公算が大きい。

インド

Robert Prior-Wandesforde*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6239 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 7.7 5.8 5.8 5.6 5.7 6.8 6.7 7.4 7.8 8.2

鉱工業生産 (前年比%) 4.7 0.8 -0.9 1.5 3.0 5.0 7.0 8.0 8.5 9.0

CPI (四半期末 前年比%) 9.8 9.7 8.0 6.9 5.5 5.0 5.3 5.8 6.3 6.5

WPI (四半期末 前年比%) 12.3 6.2 1.1 -1.0 2.0 6.0 7.5 7.3 6.7 6.3

貿易収支 (% GDP) -14.1 -12.5 -4.8 -6.9 -11.6 -10.7 -4.0 -6.4 -12.4 -12.0

経常収支 (% GDP) -4.7 -5.1 0.3 -0.8 -4.0 -4.4 0.4 -0.4 -4.8 -5.0

外貨準備高 (USDbn) 277.3 246.6 258.1 261.0 251.1 238.8 245.6 249.6 246.0 239.8

政策金利, 四半期末(%) 9.00 6.50 5.00 4.75 4.75 4.75 4.75 5.00 5.75 6.00

5 年利回り, 四半期末 (%) 8.58 5.35 5.35 6.25 6.00 6.25 6.50 6.75 7.00 7.25

INR/USD, 四半期末 47.0 48.7 50.7 47.9 54.0 54.0 54.0 54.0 54.0 54.0

INR/EUR, 四半期末 66.7 67.7 66.9 67.1 78.3 81.0 81.0 81.0 81.0 81.0Source: HSBC 注:年度(4 月~翌年 3 月)ベース

Page 44: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

43

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

インド:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 7.5 9.5 9.7 9.0 6.7 6.2 8.0

名目 GDP (USDbn) 677.4 784.7 877.3 1,115 1,175 1,099 1,206

1 人当たり GDP (USD) 605.3 690.2 762.7 949.5 976 830 783

民間消費 (% 前年比) 5.2 7.1 6.3 8.5 2.9 5.0 7.0

政府支出 (% 前年比) 3.6 6.2 5.5 7.4 20.2 12.0 6.0

投資 (% 前年比) 18.9 17.6 14.5 12.9 8.2 8.0 13.0

鉱工業生産 (% 前年比) 8.4 8.2 11.5 8.5 2.6 2.1 8.1

国内総貯蓄 (% GDP) 33.8 35.1 37.0 38.1 36.3 38.5 39.0

物価

CPI, 平均 (% 前年比) 3.9 4.0 6.3 6.4 8.3 7.0 5.8

CPI, 年末 (% 前年比) 4.2 5.3 6.7 5.5 9.7 5.0 6.5

WPI, 平均 (% 前年比) 6.2 4.5 4.8 4.8 9.1 2.1 7.0

WPI, 年末 (% 前年比) 6.7 4.4 5.7 3.8 6.2 6.0 6.3

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 13.6 14.7 17.3 15.0 18.9 16.0 18.0

広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 14.1 16.1 19.6 21.8 20.1 18.0 18.0

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 25.0 19.9 18.4 15.6 14.1 12.0 17.0

政策金利, 年末 (%) 6.00 6.75 7.75 7.75 6.50 4.75 6.00

5 年利回り, 年末 (%) 6.38 6.66 7.52 7.67 5.35 6.25 7.25

INR/USD, 年末 43.5 45.1 44.3 39.4 48.7 54.0 54.0

INR/USD, 平均 44.8 44.1 45.2 40.9 44.7 51.8 54.0

INR/EUR, 年末 59.1 53.1 58.4 57.5 67.7 81.0 81.0

INR/EUR, 平均 58.2 54.9 56.8 56.8 65.1 75.6 81.0

対外部門

商品輸出 (USDbn) 77.9 102.2 123.8 149.3 186.1 166.3 177.4

商品輸入 (USDbn) 106.0 149.4 184.9 231.0 313.8 259.4 283.3

貿易収支 (USDbn) -28.0 -47.3 -61.2 -81.7 -127.7 -93.1 -105.9

経常収支 (USDbn) 0.8 -14.7 -9.3 -11.3 -38.0 -24.1 -30.3

経常収支 (% GDP) 0.1 -1.9 -1.1 -1.0 -3.2 -2.2 -2.5

純対内直接投資 (USDbn) 3.6 4.6 6.0 7.8 23.9 10.5 17.5

純対内直接投資 (% GDP) 0.5 0.6 0.7 0.7 2.0 1.0 1.5

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 0.6 -1.3 -0.4 -0.3 -1.2 -1.2 -1.1

輸出 (% 前年比) 28.0 31.1 21.1 20.6 24.6 -10.6 6.7

輸入 (% 前年比) 40.3 41.0 23.8 24.9 35.8 -17.3 9.2

外貨準備高 (USDbn) 135.6 131.0 170.2 266.6 246.6 238.8 239.8

輸入カバー月数 15.4 10.5 11.0 13.8 9.4 11.0 10.2

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 148.4 162.8 209.5 324.3 258.0 270.0 300.0対外債務総額 (USDbn) 133.0 138.1 171.3 224.8 231.0 245.0 270.0短期対外債務 (% 外貨準備) 6.0 6.6 7.0 16.4 19.5 16.8 18.8連結財政収支 (% GDP) -9.0 -9.3 -7.0 -6.5 -9.8 -11.5 -10.0政府財政収支 (% GDP) -4.1 -4.2 -3.6 -2.8 -6.3 -7.0 -6.0

Source: Central Statistical Organisation, Reserve Bank of India, Bloomberg, CEIC and HSBC 注:年度(4 月~翌年 3 月)ベース

Page 45: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

44

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

うまく乗り切る

09 年 1Q の GDP 成長率は前年比+4.4%に鈍

化したが、HSBC 予想を大きく上回っており、

インドネシアは依然として ASEAN 内で主要

なアウトパフォーマーの 1 つと言える。選挙

を控えた補助金の支給やインフレの落ち着き

で実質可処分所得が増え、1Q の家計消費支

出が前年比+5.8%に加速し、10 年ぶりの伸

びを示した点は注目に値する。

消費者心理は改善傾向にあるため、家計消費

は堅調が続くとみられる。ただ、輸出や投資

に若干の懸念材料が残る。しかし、投資の伸

び悩みに伴い、輸入は減少が見込まれ、純輸

出の成長率への影響は限られよう。HSBC で

は、2009 年の GDP 成長率を従来の前年比+

2.5%から同+3.8%に上方改定した。2010 年

の成長率については、アジア経済の回復を見

込み、前年比+5.3%への加速を予想している。

金融政策に目を転じると、インドネシア中銀

は昨年 12 月から政策金利を計 250bp 引き下げ、

現在 7%としている。だが、市場金利への波

及効果という点では貸出金利の低下幅が

100bp 程度にとどまっており、追加利下げが

行われる可能性がある。 近の声明を見ると、

インフレ率は当面低下が見込まれているため、

金融緩和の余地は残っているが、その余地は

それほど大きくないことが示唆されている。

HSBC では、これまで 7%で打ち止めになる

と予想していたが、今回、6.5%までの利下げ

を見込む。

一方、コモディティ価格の上昇に伴い、4Q以降はインフレ率が押し上げられるとみられ

る。このため、引き締めバイアスへの転換が

見込まれ、HSBC では 2010 年後半に 50bp の

利上げを予想している。とはいえ、インドネ

シア中銀は総合よりもコアインフレの動向を

注視すべき時期に来ているのかもしれない。

インドネシア大統領選が 7 月 8 日に行われる。

現職のユドヨノ大統領の再選が確実視されて

おり、経済政策運営は現行路線の継続が見込

まれるため、投資家にとってはプラス材料と

言えるだろう。

インドネシア

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 6.4 5.2 4.4 3.2 3.4 4.1 4.4 5.8 6.0 5.0

鉱工業生産 (前年比%) 4.3 1.8 1.6 1.7 2.0 2.5 3.5 4.0 5.0 6.0

CPI (四半期末%、前年比) 12.1 11.1 7.9 4.2 3.0 6.0 7.5 8.5 9.5 9.0

PPI (四半期末%、前年比) 27.5 9.7 4.9 -7.0 0.0 10.0 12.0 13.0 12.0 10.0

貿易収支 (% GDP) 4.1 3.4 5.5 4.4 5.9 5.2 5.1 4.3 5.7 3.9

経常収支 (% GDP) -0.6 -0.6 1.6 -0.7 1.0 0.5 0.0 -0.7 0.8 -1.3

外貨準備高 (USDbn) 57.1 51.6 54.8 54.6 56.5 57.7 58.5 58.6 60.8 60.2

政策金利, 四半期末(%) 9.25 9.25 7.75 7.00 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 7.00

5 年利回り, 四半期末 (%) 13.01 11.80 11.69 10.00 9.00 9.25 9.25 9.25 9.25 9.25

IDR/USD, 四半期末 9,506 11,325 11,700 10,208 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000

IDR/EUR, 四半期末 13,499 15,742 15,444 14,291 17,400 18,000 18,000 18,000 18,000 18,000Source: HSBC

Robert Prior-Wandesforde*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6239 [email protected]

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

Page 46: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

45

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

インドネシア:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 5.0 5.7 5.5 6.3 6.1 3.8 5.3

名目 GDP (USDbn) 256.9 285.6 364.4 432.0 517.4 479.0 517.1

1 人当たり GDP (USD) 1,188 1,300 1,635 1,914 2,264 2,079 2,221

民間消費 (% 前年比) 5.0 4.0 3.2 5.0 5.3 4.8 5.1

政府支出 (% 前年比) 4.0 6.6 9.6 3.9 10.4 11.6 5.4

投資 (% 前年比) 14.7 10.9 2.6 9.4 11.7 1.6 6.4

鉱工業生産 (% 前年比) 6.4 4.6 4.6 4.7 3.7 2.0 4.6

国内総貯蓄 (% GDP) 24.9 27.5 28.7 28.1 30.6 30.0 30.1

失業率 (% 年末) 9.9 11.2 10.3 9.1 8.4 10.0 9.5

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 6.1 10.5 13.1 6.4 10.2 5.7 8.3CPI, 年末 (% 前年比) 6.4 17.1 6.6 6.6 11.1 6.0 9.0

WPI, 年末 (% 前年比) 8.9 24.4 6.6 21.9 9.7 10.0 10.0

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 16.4 8.5 6.3 5.1 10.0 7.0 9.0

マネー・為替・金利

広義のマネーサプライM2,平均(%前年比) 7.4 12.4 15.5 15.9 16.1 13.3 13.0民間融資実質伸び率 (% 前年比) 17.2 18.9 1.1 15.0 19.6 9.0 11.0

政策金利, 年末 (%) 7.43 12.75 9.75 8.00 9.25 6.50 7.00

5 年利回り, 年末 (%) 10.07 13.31 9.43 9.22 11.80 9.25 9.25

IDR/USD, 年末 9,270 9,830 8,994 9,400 11,325 12,000 12,000

IDR/USD, 平均 8,933 9,705 9,166 9,143 9,575 11,393 12,000

IDR/EUR, 年末 12,607 11,595 11,871 13,724 15,742 18,000 18,000

IDR/EUR, 平均 11,336 12,083 11,519 12,708 13,944 16,648 18,000

対外部門

商品輸出 (USDbn) 70.8 87.0 103.5 118.0 139.6 107.1 116.2

商品輸入 (USDbn) 50.6 69.5 73.9 85.3 116.7 81.8 91.6

貿易収支 (USDbn) 20.2 17.5 29.7 32.8 22.9 25.3 24.6

経常収支 (USDbn) 1.6 0.3 10.9 10.5 0.3 2.7 -1.4

経常収支 (% GDP) 0.6 0.1 3.0 2.4 0.1 0.6 -0.3

純対内直接投資 (USDbn) -1.5 5.3 2.2 2.3 2.0 1.5 2.0

純対内直接投資 (% GDP) -0.6 1.8 0.6 0.5 0.4 0.3 0.4

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 0.0 1.9 3.6 3.0 0.4 0.9 0.1

輸出 (% 前年比) 10.4 22.9 19.0 14.0 18.3 -23.3 8.5

輸入 (% 前年比) 28.0 37.2 6.3 15.4 36.9 -29.9 11.9

外貨準備高 (USDbn) 36.3 34.7 42.6 56.9 51.6 57.7 60.2

輸入カバー月数 8.6 6.0 6.9 8.0 5.3 8.5 7.9

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 137.0 130.7 128.7 136.6 149.1 149.8 148.8

短期対外債務 (外貨準備%) 47.1 53.9 47.0 50.2 53.8 43.3 43.2

民間対外債務 (USDbn) 54.3 50.6 52.9 56.0 62.6 59.8 60.8

政府財政収支 (% GDP) -1.0 -0.5 -0.9 -1.3 -0.1 -3.0 -2.0

プライマリーバランス (% GDP) 1.7 1.8 1.5 0.8 1.9 -1.0 0.0

公的部門対内債務総額 (IDRtrn) 950.0 1270.0 1302.2 1385.0 1448.3 1612.0 1736.1

公的部門対内債務総額 (% GDP) 33.7 45.2 39.7 34.1 24.7 28.0 28.0

公的部門対外債務総額 (USDbn) 82.7 80.1 75.8 80.6 86.6 90.0 88.0

公的部門対外債務総額 (% GDP) 32.2 28.0 20.8 18.7 16.7 18.8 17.0Source: HSBC

Page 47: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

46

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

新過剰問題が成長の重石

足元における在庫調整進展、09 年後半におけ

る世界的財政刺激効果発現の公算、などを背

景に生産に底入れ感が出てきており、09 年 2月か 3 月が景気の谷となった公算大。GDP 成

長率は 09 年 4-6 月期に小幅プラスに転じた

後、7-9 月期、10-12 月期と明確なプラス成

長に転じる。ただ、09 年 1-3 月期で-7%超

に膨らんだデフレギャップの影響で企業の設

備投資・雇用抑制スタンスは根強く続き、

GDP の約 7 割を占める 2 大内需の停滞基調は

続く。GDP の 2 割しか占めない生産底入れの

インパクトは自ずと限定的なものとなり、政

策効果剥落による激変緩和のための追加財政

支出、海外経済の 2 番底回避を前提としても

なお、10 年度の民需は横ばい圏内の動きにと

どまる。

実質成長率は 09 年度-3.8%、10 年度+0.9%を予測、前年度からの成長率のゲタを除いた

実質成長率は 09 年度+1.0%、10 年度+0.3%で

ある。商品市況安や未曾有のデフレギャップ

拡大を受け、09 年度はデフレ圧力が強まり、

コア CPI 前年比は-1.7%とこれまでの記録で

ある 01 年度の-0.8%をはるかに凌ぐマイナ

スとなる。10 年度も大きなデフレギャップが

残るため、コア CPI は-1.0%と 2 年連続の大

幅な前年比マイナスとなる。

金融政策では、10 年度当初予算における激変

緩和措置策定に合わせて、日銀券ルールを変

更・棚上げしての長国買い切りオペ増額と量

的緩和策採用を見込む。

日 本

白石 誠司*チーフ・エコノミスト

HSBC 証券会社+81 3 5203 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) -0.3 -4.3 -8.8 -7.8 -6.6 -2.5 1.5 1.7 1.3 0.5

鉱工業生産 (前年比%) -1.4 -14.5 -34.6 -29.5 -26.6 -16.4 9.5 1.4 -1.5 0.5

CPI (四半期末%、前年比) 2.2 1.0 -0.4 -1.3 -2.1 -2.0 -1.4 -1.1 -0.9 -0.9

国内 CGPI (四半期末%、前年比) 7.3 2.6 -1.8 -7.4 -10.2 -6.5 -3.4 0.0 0.0 0.0

貿易収支 (% GDP) 2.5 -0.5 -0.1 1.8 6.4 10.6 11.1 17.1 0.2 0.1

経常収支 (% GDP) 3.0 1.7 2.2 2.7 3.1 3.2 3.6 4.0 4.7 4.1

外貨準備高 (USDbn) 1032.0 1030.6 1060.0 1,090 1,110 1,115 1,130 1,150 1,175 1,200

政策金利, 四半期末(%) 0.5 0.1 0.1 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

10 年利回り, 四半期末 (%) 1.5 1.3 1.3 1.4 1.4 1.4 1.3 1.3 1.2 1.3

JPY/USD, 四半期末 106 91 99 96 100 105 105 105 105 105

JPY/EUR, 四半期末 151 126 131 135 145 158 158 158 158 158Source: HSBC

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47

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

日本:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 2.7 1.9 2.0 2.3 -0.7 -6.3 1.2

名目 GDP (USDbn) 4,607 4,555 4,376 4,385 4,738 4,918 4,718

1 人当たり GDP (USD) 36,510 36,090 34,686 34,775 39,262 36,920 35,333

民間消費 (% 前年比) 1.6 1.3 1.5 0.7 0.6 -1.3 0.0

政府支出 (% 前年比) 1.9 1.6 0.4 1.9 0.8 0.8 0.5

投資 (% 前年比) 1.4 3.1 0.5 0.8 -5.0 -13.2 -3.3

鉱工業生産 (% 前年比) 5.5 1.1 4.8 2.8 -3.4 -26.3 2.3

国内総貯蓄 (% GDP) 26.7 26.2 27.1 26.5 26.0 26.0 25.5

失業率 (% 年末) 4.7 4.4 4.1 3.9 4.0 5.2 6.1

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 0.0 -0.3 0.1 0.0 1.5 -1.4 -1.1

CPI, 年末 (% 前年比) 0.2 -0.4 0.3 0.7 1.0 -2.0 -0.9

国内 CGPI, 平均 (% 前年比) 1.3 1.7 2.2 1.8 4.6 -6.5 -0.9

総賃金, 名目 (% 前年比) -0.7 0.6 0.2 -0.7 -0.3 -3.5 0.5

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 7.1 2.0 -13.3 -7.8 0.1 7.0 0.5

マネーサプライM2+CD, 平均 (% 前年比) 1.9 1.8 1.0 1.6 2.1 1.8 2.0

政策金利, 年末 (%) 0.00 0.00 0.26 0.50 0.10 0.10 0.10

10 年利回り, 平均 (%) 1.5 1.4 1.8 1.7 1.3 1.4 1.3

JPY/USD, 年末 103 118 119 112 91 105 105

JPY/USD, 平均 106 112 117 117 102 101 105

JPY/EUR, 年末 140 139 157 164 126 158 158

JPY/EUR, 平均 132 140 147 163 149 148 158

対外部門

商品輸出 (USDbn) 565.7 595.3 646.8 713.8 782.0 517.9 528.6

商品輸入 (USDbn) 455.2 516.1 579.0 622.1 762.9 508.4 455.7

貿易収支 (USDbn) 110.5 79.2 67.9 91.8 19.1 9.5 72.9

経常収支 (USDbn) 172.1 165.8 170.7 212.4 157.3 134.0 187.2

経常収支 (% GDP) 3.7 3.7 3.9 4.9 3.2 2.8 4.1

純対内直接投資 (USDbn) -23.1 -43.0 -56.8 -53.9 -103.6 -106.0 -61.9

純対内直接投資 (% GDP) -0.5 -0.9 -1.3 -1.2 -2.2 -2.2 -1.3

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 3.2 2.7 2.6 3.6 1.0 0.6 2.8

輸出 (% 前年比) 12.1 7.3 14.6 11.5 -3.5 -36.6 8.0

輸入 (% 前年比) 10.9 15.7 18.3 8.6 8.0 -36.3 -4.9

外貨準備高 (USDbn) 833.8 834.3 879.7 952.8 1,030.6 1,050 1,100

輸入カバー月数 44.0 38.8 36.5 36.8 32.4 49.6 57.9

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 1,139 1,369 1,523 1,783 1,850 1,900 1,950対外債務総額 (USDbn) 1,254 1,281 1,243 1,402 1,250 1,200 1,220民間対外債務 (USDbn) 929.9 973.8 824.1 818.7 900.0 900 900政府財政収支 (% GDP) -5.5 -6.1 -1.0 -1.4 -3.5 -10.2 -10.5プライマリーバランス (% GDP) -4.1 -2.9 -1.7 -0.7 -4.0 -8.0 -8.5公的部門対内債務総額 (JPYtrn) 885.4 930.9 964.8 990 1,063 1,105 1,140公的部門対内債務総額 (% GDP) 180.6 181.9 188.0 192.7 219.8 222.5 230.1公的部門対外債務総額 (USDbn) 324.3 307.3 418.8 583.8 350.0 300.0 320.0公的部門対外債務総額 (% GDP) 7.0 6.7 9.6 13.3 7.4 6.1 6.8公的部門債務総額 (% GDP) 187.7 188.7 197.6 206.0 227.2 228.6 236.9Source: HSBC 注:公的債務は政府分のみ

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48

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

経済指標がようやく改善

経済指標が改善してきた。鉱工業生産やサー

ビス業関連の指標に改善の兆しが出始める一

方、先行指標では、持続的な回復が示唆され

ている。だが、これで当面の国内外の課題を

解消できるかどうかは分からない。中国と米

国の LCD・携帯電話端末の需要堅調で、IT輸出に持ち直しの兆しが出ているが、輸出全

体では前年比 20%超の減少が続く。

内需に目を向けても、課題が山積している。

まず、銀行は今回の金融危機下でも融資の伸

びを維持しているが、いずれは調整が避けら

れない。また、企業が雇用を維持しているた

め、足元の失業率は抑えられているが、生産

の低迷に伴い、向こう数カ月で人員削減が進

む可能性がある。さらに、家計の負債が依然

高水準にあることも懸念される。金融セクタ

ーの不安定化につながることはないと思われ

るが、借り入れの高さは今後の消費の伸びを

抑制しかねない。また、財政出動や減税の実

施に伴い、2009 年の財政赤字は対 GDP 比

4%程度まで拡大するとみられ、全体の公的

債務は数年前の GDP 比 29%から同 36%にま

で押し上げられよう。

要約すれば、韓国は内需の急速な回復を阻害

する構造的な課題に直面しているのである。

HSBC では今回、過去 2 四半期にわたり予想

を上回る経済指標が続いていることから、09年の GDP 成長率予測を従来の前年比-3.7%から同-2.3%に上方修正した。2010 年は前年

比+3.6%と小幅な回復にとどまり、潜在成長

率を大きく下回るとみている。インフレは内

需の低迷で落ち着いた状態が続くとみられ、

HSBC では、少なくとも向こう 12 カ月程度は

政策金利が据え置かれると予想している。

韓 国

Frederic Neumann*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

Song Yi Kim*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 3.1 -3.4 -4.2 -4.2 -2.8 2.1 3.1 4.1 3.4 3.5

鉱工業生産 (前年比%) 5.6 -11.3 -15.5 -10.0 -7.5 8.0 10.0 8.0 6.0 5.0

CPI (四半期末%、前年比) 5.1 4.1 3.9 2.1 2.0 3.0 3.4 3.7 3.6 3.6

PPI (四半期末%、前年比) 11.3 5.6 3.5 -2.0 -3.0 3.0 3.2 3.5 3.8 3.6

貿易収支 (% GDP) -1.5 2.3 4.6 11.0 4.2 -5.7 2.6 8.5 2.3 -6.7

経常収支 (% GDP) -3.7 3.5 4.8 10.9 2.8 -5.9 2.0 7.4 0.6 -6.9

外貨準備高 (USDbn) 239.7 201.2 206.3 231.7 238.0 225.7 227.9 241.8 240.0 220.0

政策金利, 四半期末(%) 5.25 3.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.25 2.50 2.75 3.00

5 年利回り, 四半期末 (%) 5.77 4.25 4.69 4.75 4.25 4.50 4.50 4.50 4.50 4.50

KRW/USD, 四半期末 1,187 1,260 1,367 1,274 1,400 1,200 1,200 1,200 1,200 1,200

KRW/EUR, 四半期末 1,686 1,751 1,804 1,783 2,030 1,800 1,800 1,800 1,800 1,800Source: HSBC

Page 50: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

49

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

韓国:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 4.6 4.0 5.2 5.1 2.2 -2.3 3.6

名目GDP (USDbn) 693.1 790.8 890.1 970.7 947.4 760 915

1人当たりGDP (USD) 14,428 16,428 18,430 20,033 19,494 15,977 18,738

民間消費 (% 前年比) 0.3 4.6 4.7 5.1 0.9 -2.6 2.6

政府支出 (% 前年比) 3.8 4.3 6.6 5.4 4.2 6.3 3.5

投資 (% 前年比) 2.1 1.9 3.4 4.2 -1.7 -5.1 5.6

鉱工業生産 (% 前年比) 10.4 6.3 8.4 6.9 3.1 -6.6 7.2

国内総貯蓄 (% GDP) 35.0 33.2 31.5 30.8 37.6 38.1 40.6

失業率 (% 年末) 3.8 3.5 3.3 3.1 3.3 4.3 3.6

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 3.6 2.8 2.2 2.5 4.7 2.7 3.2

CPI, 年末 (% 前年比) 3.0 2.6 2.1 3.6 4.1 3.0 3.6

PPI, 年末 (% 前年比) 5.3 1.5 0.3 3.6 5.6 3.0 3.6

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 9.9 7.8 5.6 6.9 3.7 2.3 4.3

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 5.8 2.7 6.4 18.1 7.5 19.7 5.0

広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 6.1 7.0 8.2 10.3 11.6 9.5 9.5

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 1.5 5.8 11.7 12.4 9.4 6.3 5.8

政策金利, 年末 (%) 3.25 3.75 4.50 5.00 3.00 2.00 3.00

5年利回り, 年末 (%) 3.35 5.04 4.82 5.65 4.25 4.50 4.50

KRW/USD, 年末 1,035 1,008 930 936 1,260 1,200 1,200

KRW/USD, 平均 1,124 1,025 953 928 1,081 1,318 1,200

KRW/EUR, 年末 1,411 1,189 1,228 1,367 1,751 1,800 1,800

KRW/EUR, 平均 1,302 1,276 1,197 1,290 1,574 1,972 1,800

対外部門

商品輸出 (USDbn) 257.7 289.0 331.8 379.0 433.4 363.7 395.9商品輸入 (USDbn) 220.1 256.3 303.9 350.9 427.4 339.9 382.1貿易収支 (USDbn) 37.6 32.7 27.9 28.2 6.0 25.8 13.9経常収支 (USDbn) 28.2 15.0 5.4 5.9 -6.4 22.9 5.6経常収支 (% GDP) 4.1 1.9 0.6 0.6 -0.7 2.9 0.6純対内直接投資 (USDbn) 4.6 2.0 -4.5 -13.8 -10.6 -3.5 -4.0純対内直接投資 (% GDP) 0.7 0.3 -0.5 -1.4 -1.1 -0.4 -0.4経常収支+対内直接投資 (% GDP) 4.7 2.1 0.1 -0.8 -1.8 2.5 0.2輸出 (% 前年比) 30.6 12.1 14.8 14.2 14.3 -15.6 8.3輸入 (% 前年比) 25.6 16.4 18.6 15.4 21.8 -20.5 12.4外貨準備高 (USDbn) 199.1 210.4 239.0 262.2 201.2 228.1 222.3輸入カバー月数 10.9 9.9 9.4 9.0 5.6 8.1 7.0

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 172.3 187.9 260.1 383.2 381.1 350.0 335.0短期対外債務 (外貨準備%) 28.3 31.3 47.6 61.1 75.1 69.1 60.3民間対外債務 (USDbn) 155.9 172.3 240.2 329.5 329.9 145.0 105.3政府財政収支 (% GDP) 0.7 0.4 0.4 3.8 1.2 -4.0 -1.3プライマリーバランス (% GDP) 1.8 1.7 1.9 5.2 2.6 -2.5 0.4公的部門対内債務総額 (KRWbn) 159,991 227,055 262,369 278,790 288,720 332,475 372,658公的部門対内債務総額 (% GDP) 20.5 28.0 30.9 30.9 28.2 32.4 33.9公的部門対外債務総額 (USDbn) 16.4 15.5 19.9 53.6 51.2 205.0 229.7公的部門対外債務総額 (% GDP) 2.4 2.0 2.2 5.5 5.4 26.3 25.1公的部門債務総額 (% GDP) 25.2 29.5 32.2 32.1 29.1 36.0 37.7Source: HSBC

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50

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

急速な景気後退も短期脱出の公算

09 年 1Q の GDP 成長率は前年比-6.2%と通

貨危機以来の大幅な落ち込みを記録したが、

実態はそれほど悪くないとみられる。HSBCの推定では、前年比-6.2%は季調後の前期比

年率-20%と符合する。1Q は個人消費が前年

比-0.7%、固定資産投資が同-10.8%、輸出

が同-15%と軒並み振るわなかった。だが、

在庫がかつてない規模で減少したことが明る

い材料だ。

1Q の GDP は大幅に落ち込んだが、HSBC で

は、2009 年の GDP 成長率予測を従来の前年

比-3.5%から同-3.8%にやや下方修正するに

とどめた。2010 年の成長率については、前年

比+5.5%から同+6.3%に引き上げている。こ

れは、09 年 2Q 以降のアジア貿易の堅調、か

つ持続的な回復が一段と見込めるようになっ

たと判断したため。短期的な主要先行指標が

上向いてきただけでなく、アジア諸国の経済

指標で明確な改善の兆しが出てきたことも好

材料だ。また、マレーシアはコモディティ高

の恩恵を受けるほか、利下げや追加のインフ

ラ投資の効果もこれから本格的に浸透してく

る。政府が昨年 11 月に打ち出した景気刺激

策(70 億リンギ)のうち、6 月上旬時点で 14億リンギ分しか執行されておらず、残りはこ

れから執行される。

サービス産業 27 分野におけるブミプトラ資

本の 30%出資規制の撤廃を含め、ナジブ新首

相が打ち出した一連の自由化政策は好材料だ。

また、世論調査では、与党の統一マレー国民

組織(UMNO)の支持率が伸び悩む一方、野

党に対する信頼が高まってきていることから、

一段の改革も期待できる。これは、GDP に占

める投資のシェア(現在は 20%強で、持続的

に 6%超の実質成長率を確保するにはあまり

にも低い)を高める好機となり得よう。

6 月の CPI はマイナスに転じるとみられるが、

これは短期的な現象にとどまろう。HSBC で

は、現行水準で利下げが打ち止めとなる公算

が大きいとみている。

マレーシア

Robert Prior-Wandesforde*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6239 [email protected]

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q09e 2Q09e 3Q09e 4Q09e

GDP 成長率 (前年比%) 4.8 0.1 -6.2 -5.6 -4.0 0.8 7.6 6.9 6.1 4.9

鉱工業生産 (前年比%) 1.8 -8.8 -17.6 -10.0 -8.0 0.0 4.0 6.0 8.0 9.0

CPI (四半期末%、前年比) 8.2 4.4 3.5 -2.5 -2.7 1.4 3.1 3.5 3.4 3.3

PPI (四半期末%、前年比) 8.7 -3.4 -8.9 -11.0 -5.0 3.5 6.5 7.5 6.5 3.0

貿易収支 (% GDP) 24.9 22.0 21.0 17.2 18.4 17.5 14.0 16.2 17.6 16.5

経常収支 (% GDP) 19.6 17.2 15.3 10.9 11.9 11.5 8.6 10.2 11.3 10.6

外貨準備高 (USDbn) 110.3 92.0 87.9 89.3 80.0 73.9 73.0 73.2 73.5 73.7

政策金利, 四半期末(%) 3.50 3.25 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.25 2.50

5 年利回り, 四半期末 (%) 4.06 3.00 3.49 3.90 3.90 4.00 4.00 4.00 4.25 4.50

MYR/USD, 四半期末 3.44 3.45 3.65 3.52 3.90 3.90 3.90 3.90 3.90 3.90

MYR/EUR, 四半期末 4.88 4.80 4.82 4.93 5.66 5.85 4.99 4.99 4.99 4.99Source: HSBC

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51

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

マレーシア:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 7.3 5.3 5.8 6.2 4.6 -3.8 6.3

名目GDP (USDbn) 124.7 137.9 156.3 186.3 222.5 189.0 196.1

1人当たりGDP (USD) 4,631 5,001 5,581 6,857 8,029 6,751 6,900

民間消費 (% 前年比) 10.5 9.1 6.8 10.4 8.5 -0.3 5.2

政府支出 (% 前年比) 6.0 6.5 5.0 6.5 10.9 6.3 5.3

投資 (% 前年比) 3.1 5.0 7.5 9.6 0.8 -8.9 4.9

鉱工業生産 (% 前年比) 11.3 5.2 6.7 3.1 1.4 -8.9 6.8

国内総貯蓄 (% GDP) 44.0 43.5 43.4 46.1 49.1 45.5 47.7

失業率 (% 年末) 3.3 3.8 3.0 3.0 3.1 4.0 3.5

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 1.4 3.0 3.6 2.0 5.4 0.4 3.2

CPI, 年末 (% 前年比) 2.2 3.3 3.1 2.4 4.4 1.4 3.3

PPI, 年末 (% 前年比) 3.4 9.9 4.9 10.8 -3.4 3.5 3.0

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 3.4 3.9 9.7 7.3 0.5 2.0 4.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 年末 (% 前年比) 10.0 5.1 10.6 9.8 7.2 5.0 8.0

広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 10.5 11.7 8.6 12.7 12.5 8.9 7.5

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 4.6 5.8 4.2 6.1 4.9 5.0 5.0

政策金利, 年末 (%) 2.70 3.00 3.50 3.50 3.25 2.00 2.50

5 年利回り, 年末 (%) 3.64 3.73 3.76 3.78 3.00 4.00 4.50

MYR/USD, 年末 3.80 3.78 3.53 3.31 3.45 3.90 3.90

MYR/USD, 平均 3.80 3.79 3.67 3.43 3.32 3.69 3.90

MYR/EUR, 年末 5.17 4.46 4.66 4.83 4.80 5.85 5.85

MYR/EUR, 平均 4.79 4.72 4.62 4.77 4.83 5.39 5.85

対外部門

商品輸出 (USDbn) 126.8 142.3 160.5 176.5 200.1 152.7 154.2商品輸入 (USDbn) 99.2 108.3 123.9 139.3 148.8 117.8 122.5貿易収支 (USDbn) 27.6 34.0 36.6 37.2 51.2 34.9 31.6経常収支 (USDbn) 15.1 20.7 25.4 29.2 39.1 23.2 20.1経常収支 (% GDP) 12.1 15.0 16.3 15.6 17.6 12.3 10.2純対内直接投資 (USDbn) 2.6 1.0 0.0 -2.7 -6.2 -3.5 0.6純対内直接投資 (% GDP) 2.1 0.7 0.0 -1.4 0.4 0.4 0.4経常収支+対内直接投資 (% GDP) 14.1 15.7 16.3 14.2 18.0 12.7 10.6輸出 (% 前年比) 21.1 11.9 9.3 2.7 9.6 -15.2 6.7輸入 (% 前年比) 25.6 8.9 10.9 5.1 3.3 -12.0 9.9外貨準備高 (USDbn) 66.2 70.2 82.3 101.5 120.2 73.9 73.7輸入カバー月数 8.0 7.8 8.0 8.7 9.7 7.5 7.2

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 52.8 53.1 56.0 55.8 54.3 50.0 52.0短期対外債務 (外貨準備%) 17.5 16.5 16.2 12.7 13.1 16.2 17.6民間対外債務 (USDbn) 27.1 29.1 31.0 29.8 27.3 25.0 24.0政府財政収支 (% GDP) -4.1 -3.6 -3.3 -3.2 -4.8 -9.0 -6.5プライマリーバランス (% GDP) -1.9 -1.4 -1.2 -2.2 -3.5 -8.0 -5.0公的部門対内債務総額 (MYRbn) 182.0 198.7 217.2 247.1 286.1 330.0 350.0公的部門対内債務総額 (% GDP) 38.4 38.0 37.8 38.6 38.7 42.3 44.0公的部門対外債務総額 (USDbn) 25.7 24.0 25.0 26.0 27.0 25.0 28.0公的部門対外債務総額 (% GDP) 20.6 17.4 16.0 14.0 12.1 12.7 14.0公的部門債務総額 (% GDP) 59.0 55.4 53.8 52.6 50.9 55.0 58.0Source: HSBC

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52

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

経済の本格回復は容易ならず

パキスタン経済はようやく安定を取り戻し始

めた。船に例えるならば、昨年の同国経済は

危険なまでに傾いていたが、IMF から融資を

受けたことで対外債務の返済をめぐる懸念が

当面解消されたこともあり、バランスが若干

改善した。例えば、中銀の外貨準備高はこの

9 カ月で 2 倍超の 80 億ドル強(輸入代金の

2.1 カ月分)まで増えた。また、原油安や予

想外に堅調な送金流入を背景に、基調的な経

常収支も緩やかに改善している。

また、パキスタン政府は財政収支の改善に向

けて痛みを伴うものの必要な施策を講じてい

る。 近では、異論が相次いだガソリン価格

の値上げが打ち出され、補助金の低減効果だ

けでなく、輸入の伸びを抑える効果も期待で

きる(パキスタンは原油の約 85%を国外から

輸入)。しかし、本稿執筆時点で電力料金の

値上げについてはインフレ率の上昇が懸念さ

れ、棚上げされる公算が大きいようだ。課税

基盤の強化に向け、一段の改革が必要となっ

ており、付加価値税(VAT)の活用も検討さ

れているが、一連の改革で財政赤字が減少に

転じる時期をめぐっては依然として不透明感

が強い。治安情勢が不安定な地域を監視する

治安関連コストの増大を踏まえると、税制改

革はなおさら重要である。政府は 7 月から始

まった新年度の財政赤字を GDP 対比で約

4.7%にとどめたい考えだが、その達成は極め

て困難と思われる。

治安情勢をめぐる懸念を背景に、投資資金の

流入や個人消費が一段と細り、新年度の成長

率が伸び悩む可能性もある。前年度の GDP成長率は前年比+3.7%を記録、政情不安を踏

まえれば、大幅な伸びと言える。しかし、

HSBC では、今年度の成長率は同+0.8%程度

にとどまるのではないかとみている。治安を

めぐる懸念も一因だが、これまで個人消費を

下支えしてきた送金の伸びや、縮小する輸出

市場で競合がシェアを拡大した場合の同国の

輸出が引き続き懸念材料である。

ただ、中銀が金融緩和に転じ、利下げを始め

られそうなのは好材料で、景気回復の下支え

効果が期待できよう。

パキスタン

Frederic Neumann*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

鉱工業生産 (前年比%) -5.6 -3.3 -12.6 3.0 4.0 4.0 5.0 5.0 5.0 6.0

CPI (四半期末、前年比%) 23.9 23.3 19.1 14.0 11.0 8.0 8.0 8.0 8.0 8.0

WPI (四半期末、前年比%) 30.6 29.0 17.6 4.0 2.0 1.0 4.0 8.0 9.0 9.0

M2 マネーサプライ (前年比%) 13.4 8.7 12.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 7.0 7.0

貿易収支 (USDbn) -5.5 -4.0 -3.1 -3.2 -3.5 -3.1 -3.1 -3.4 -3.5 -3.0

送金 (USDbn) 1.9 1.8 2.0 2.1 2.1 2.0 2.2 2.3 2.3 2.2

外貨準備高 (USDbn) 8.2 10.0 10.5 11.4 8.3 10.0 10.6 11.5 8.4 10.0

政策金利, 四半期末(%) 13.00 15.00 15.00 14.00 12.00 11.00 10.00 9.00 9.00 9.00

2 年利回り, 四半期末 (%) 13.30 14.88 12.25 10.75 10.75 10.50 9.80 8.80 8.80 8.80

PKR/USD, 四半期末 78.3 79.1 80.5 81.4 88.0 90.0 92.0 92.0 92.0 92.0

PKR/EUR, 四半期末 111.2 109.9 106.3 114.0 127.6 135.0 138.0 138.0 138.0 138.0Source: HSBC 注:年度(7 月~翌年 6 月)ベース

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53

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

パキスタン:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 7.7 6.2 5.7 2.0 3.7 0.8 2.6

名目GDP (USDbn) 111.0 128.0 143.8 169.3 184.5 170.5 172.2

1人当たりGDP (USD) 721.1 816.2 901.3 1,042.5 1,126.7 1,038 1,045

民間消費 (% 前年比) 12.9 1.0 4.7 -1.3 5.2 1.0 2.0

政府支出 (% 前年比) 1.7 48.3 -9.6 39.0 -13.5 4.0 3.0

投資 (% 前年比) 13.5 19.9 13.6 3.8 -6.5 3.0 4.0

鉱工業生産 (% 前年比) 17.8 14.9 10.7 5.5 -0.4 -0.8 5.2

国内総貯蓄 (% GDP) 14.6 13.9 14.3 11.1 8.1 14.9 15.6

失業率 (% 年末) 7.7 6.2 5.3 5.2 8.0 8.0 7.0

物価

CPI, 平均 (% 前年比) 7.4 9.1 7.9 7.6 20.3 13.4 8.1

CPI, 年末 (% 前年比) 7.4 8.5 8.9 8.8 23.3 8.0 8.0

WPI, 平均 (% 前年比) 8.5 8.7 8.5 8.5 25.0 1.5 7.5

WPI, 年末 (% 前年比) 4.2 11.0 8.0 12.1 17.6 1.0 9.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM1, 年末 (% 前年比) 21.5 17.0 74.9 24.4 11.5 10.0 8.0広義のマネーサプライM2, 年末 (% 前年比) 20.5 17.2 14.7 20.0 8.7 10.0 7.0民間融資実質伸び率 (% 前年比) 9.6 18.8 9.7 7.6 -7.3 1.7 0.0政策金利, 年末 (%) 7.50 9.00 9.50 10.00 15.00 11.00 9.002 年利回り, 年末 (%) 4.50 8.75 9.50 9.58 14.88 10.50 8.80PKR/USD, 年末 59.4 59.8 60.9 61.5 79.0 90.0 92.0PKR/USD, 平均 58.5 59.6 60.3 60.8 71.0 83.6 91.8PKR/EUR, 年末 80.8 70.5 80.4 89.8 109.8 135.0 138.0PKR/EUR, 平均 76.1 74.2 75.8 84.5 103.4 122.2 137.6

対外部門

商品輸出 (USDbn) 12.9 15.9 16.8 17.3 20.2 17.6 18.5商品輸入 (USDbn) 13.0 17.8 25.3 29.8 32.6 42.2 30.4貿易収支 (USDbn) -0.1 -1.9 -8.5 -12.5 -12.4 -24.6 -11.9経常収支 (USDbn) -1.5 -5.0 -6.9 -14.0 -17.5 -4.5 -3.7経常収支 (% GDP) -1.4 -3.9 -4.8 -8.3 -9.5 -2.7 -2.1純対内直接投資 (USDbn) 1.5 3.5 5.0 5.1 3.0 3.0 3.0純対内直接投資 (% GDP) 1.3 2.7 3.5 3.0 1.6 1.8 1.7経常収支+対内直接投資 (% GDP) -0.1 -1.2 -1.3 -5.3 -7.8 -0.9 -0.4輸出 (% 前年比) 17.9 14.2 5.4 10.7 16.7 -12.9 5.1輸入 (% 前年比) 44.7 29.6 6.3 28.4 29.3 -27.9 3.6外貨準備高 (USDbn) 12.0 11.7 12.9 15.6 10.0 10.0 10.0輸入カバー月数 11.0 7.9 6.1 6.3 3.7 2.9 4.0

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 2.8 2.4 2.3 2.2 3.3 3.4 3.5対外債務総額 (USDbn) 34.0 35.9 39.0 44.5 48.9 52.8 56.5短期対外債務 (外貨準備%) 2.3 1.4 0.2 4.6 2.5 2.6 2.8民間対外債務 (USDbn) 1.3 1.6 2.3 2.9 2.2 2.3 2.5連結財政収支 (% GDP) -4.3 -4.3 -3.7 -7.6 -8.0 -10.7 -11.9プライマリーバランス (% GDP) -0.1 -1.2 -0.1 -2.8 -2.8 -5.4 -6.6公的部門対内債務総額 (PKRbn) 217.8 233.7 261.0 322.7 392.9 476.6 579.8公的部門対内債務総額 (% GDP) 33.5 30.7 30.1 31.4 30.0 33.4 36.7公的部門対外債務総額 (USDbn) 34.0 35.9 39.0 44.5 51.2 59.4 68.6公的部門対外債務総額 (% GDP) 30.7 28.0 27.1 26.3 27.8 34.8 39.8公的部門債務総額 (% GDP) 70.0 64.2 58.7 57.2 57.6 57.8 68.3Source: Central Statistical Organisation, Reserve Bank of India, Bloomberg, CEIC and HSBC 注:年度(7 月~翌年 6 月)ベース

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54

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

財政赤字は拡大へ

1Q の GDP 成長率は季調前期比で-2.3%とな

り、世界的な金融危機の影響がより鮮明にな

ってきている。外需と資金流入の低迷が響い

ている。世界的な景気低迷で海外フィリピン

人労働者(OFW)の本国送金が伸び悩み始め

ており、フィリピンの安定した対外ポジショ

ンが早い時期に不安定化する可能性もある。

1Q の送金がプラスとなった点と先進国の景

気後退による影響の波及の遅れを踏まえ、09年の OFW 送金の伸び率予想を従来の前年比

-20%から同-10.4%に上方修正したが、4Qについては前年比-20%の予想を維持する。

外部環境の悪化が実体経済にじわりと浸透し

ている。失業率が引き続き高水準で推移して

いるほか、4 月の不完全雇用率も 18.9%まで

上昇しており、職を失った出稼ぎ労働者の帰

国で雇用の悪化に拍車がかかっている。1Qの民間消費は前年比+0.8%と過去 低を記録

した。しかし、HSBC では、インフレの落ち

着きや景気刺激策(GDP 比 4.1%)の効果を

踏まえ、2009 年の GDP 成長率を前年比+

1.0%に据え置いた。 フィリピンにとって 大の課題は、緊縮財政

の実施だろう。成長鈍化と構造問題で歳入が

減少する一方、景気刺激策の実施に伴って歳

出は増えている。また、改憲論議をめぐる混

乱が財政の悪化に拍車をかける可能性がある。

このため、HSBC では一段の財政悪化を見込

み、09 年の財政赤字を 2,920 億ペソ(GDP 比

3.8%)と予想している。債務の増大をめぐる

懸念が高まり、将来的な緊縮財政への転換が

不可避となる公算は大きいと思われる。

インフレ率は低下しており、フィリピン中銀

は成長の下支えを目指して緩和バイアスを維

持する公算が大きい。だが、為替相場のボラ

ティリティーに伴う総合インフレ率の上昇懸

念は拭えず、HSBC では、25bp を超える追加

利下げを見込んでいない。

フィリピン

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 4.6 2.9 0.4 1.1 1.8 0.8 0.9 3.9 3.3 3.6

鉱工業生産 (前年比%) 5.4 3.4 -7.3 -3.0 -1.0 2.0 1.0 1.0 2.0 2.0

CPI (四半期末、前年比%) 11.8 8.0 6.4 1.7 0.3 3.5 3.6 5.3 5.5 5.9

PPI (四半期末、前年比%) 6.5 7.3 0.8 2.0 2.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0

貿易収支 (% GDP) -10.0 -4.8 -7.4 -7.5 -11.2 -7.5 -8.6 -8.4 -12.0 -7.7

経常収支 (% GDP) -0.7 5.2 5.0 2.4 -2.5 0.8 1.5 0.0 -3.8 0.2

外貨準備高 (USDbn) 36.6 37.4 38.9 36.3 34.0 32.5 31.7 31.6 30.2 30.3

政策金利, 四半期末(%) 6.00 5.50 4.75 4.25 4.00 4.00 4.00 4.00 4.25 4.50

10 年利回り, 四半期末 (%) 8.05 7.25 7.85 9.25 9.25 9.25 9.25 9.25 9.25 9.25

PHP/USD, 四半期末 47.1 47.4 48.4 48.1 52.0 53.0 53.0 53.0 53.0 53.0

PHP/EUR, 四半期末 66.9 65.9 63.9 67.3 75.4 79.5 79.5 79.5 79.5 79.5Source: HSBC

Frederic Neumann*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

Anuja Kar*Associate, Bangalore

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

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55

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

フィリピン:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 6.4 5.0 5.3 7.1 3.8 1.0 3.0

名目GDP (USDbn) 86.9 99.0 117.6 147.1 167.1 152.7 155.4

1人当たりGDP (USD) 1,052 1,171 1,375 1,700 1,909 1,713 1,713

民間消費 (% 前年比) 5.9 4.8 5.5 5.8 4.7 1.7 2.6

政府支出 (% 前年比) 1.4 2.3 10.4 6.6 3.2 12.2 9.2

投資 (% 前年比) 1.3 -6.6 3.9 10.9 2.9 -1.9 4.0

鉱工業生産 (% 前年比) 5.0 5.3 4.2 3.3 4.3 -2.1 1.5

国内総貯蓄 (% GDP) 21.2 21.0 20.1 20.8 19.2 20.7 21.1

失業率* (% 年末) 11.3 8.1 7.8 7.4 7.7 8.4 9.0

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 6.0 7.7 6.3 2.8 9.3 3.5 4.8CPI, 年末 (% 前年比) 8.6 6.7 4.3 3.9 8.0 3.5 5.9PPI, 年末 (% 前年比) 14.3 12.1 3.7 -3.0 7.3 3.0 3.0製造業賃金, 名目** (% 前年比) 3.6 8.5 7.9 4.5 5.3 3.8 4.5

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 9.6 11.5 20.7 35.1 17.2 -7.4 6.7広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 16.5 7.0 13.8 17.1 14.2 12.6 9.0民間融資実質伸び率 (% 前年比) -3.7 -4.0 -2.3 2.7 10.0 9.2 3.5政策金利, 年末 (%) 6.75 7.50 7.50 5.25 5.50 4.00 4.5010年利回り, 年末 (%) 13.87 10.19 6.38 6.37 7.25 9.25 9.25PHP/USD, 年末 56.2 53.1 49.0 41.2 47.4 53.0 53.0PHP/USD, 平均 56.0 55.0 51.3 45.2 44.4 49.7 53.0PHP/EUR, 年末 76.3 62.6 64.7 60.2 65.9 79.5 79.5PHP/EUR, 平均 70.1 68.5 64.4 62.8 64.7 72.6 79.5

対外部門

商品輸出 (USDbn) 38.7 40.3 46.5 49.5 48.2 39.5 41.5商品輸入 (USDbn) 45.1 48.0 53.3 57.9 60.8 52.5 55.6貿易収支 (USDbn) -6.4 -7.8 -6.7 -8.4 -12.6 -13.0 -14.2経常収支 (USDbn) 0.9 2.0 5.3 7.1 4.2 2.1 -0.9経常収支 (% GDP) 1.1 2.0 4.5 4.8 2.5 1.4 -0.6純対内直接投資 (USDbn) 0.1 1.7 2.8 -0.6 1.3 0.1 1.4純対内直接投資 (% GDP) 0.1 1.7 2.4 -0.4 0.8 0.1 0.9経常収支+対内直接投資 (% GDP) 1.2 3.7 6.9 4.4 3.3 1.5 0.3輸出 (% 前年比) 9.6 3.8 15.6 6.4 -2.6 -18.1 5.0輸入 (% 前年比) 10.6 8.0 10.9 8.7 5.0 -13.7 6.0外貨準備高 (USDbn) 16.1 18.4 22.8 33.6 37.4 32.5 30.3輸入カバー月数 4.3 4.6 5.1 7.0 7.4 7.4 6.5

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 9.4 11.8 14.8 15.9 17.7 17.2 17.2対外債務総額 (USDbn) 54.8 54.2 53.4 54.9 53.9 52.0 50.0短期対外債務 (外貨準備%) 31.4 34.8 21.9 21.1 18.7 19.2 19.8民間対外債務 (USDbn) 22.5 22.8 20.3 21.5 13.2 15.4 12.8連結財政収支 (% GDP) -4.8 -1.8 0.2 0.5 -0.9 -3.8 -4.3政府財政収支 (% GDP) -3.8 -2.7 -1.1 -0.2 -0.9 -3.8 -4.3プライマリーバランス (% GDP) 1.5 2.8 4.1 3.8 2.7 0.0 -0.6公的部門対内債務総額 (PHPbn) 2,001 2,164 2,154 2,201 2,414 2,652 2,837公的部門対内債務総額 (% GDP) 41.1 39.8 35.7 33.1 32.5 34.5 34.4公的部門対外債務総額 (USDbn) 32.3 31.3 33.1 33.5 40.7 36.6 37.2公的部門対外債務総額 (% GDP) 39.2 31.7 28.1 22.7 24.3 24.0 23.9公的部門債務総額 (% GDP) 81.4 71.4 75.1 82.2 95.0 89.2 90.8Source: HSBC 注: *失業率は 2005 年 9 月から ILO 基準 ** 低賃金指数

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56

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

“V 字”回復なるか?

過去 悪の景気後退に終わりの兆しが出始め

ており、HSBC では、年内の力強い V 字回復

を予想している。

アジアと世界の先行指標の大幅な改善に加え、

シンガポールの 09 年 1 月~5 月の石油を除く

輸出(NODX)は 17%増加、鉱工業生産も改

善している。また、多くのサンプリング調査

で不動産市場の持ち直しが示唆される一方、

金融業も落ち着きつつあるほか、建設も引き

続き堅調で観光者数の減少幅も縮小している。

この“回復の芽吹き”(まだ出始めた程度だ

が)が HSBC の想定よりも若干早かったため、

09 年の GDP 成長率予測を従来の前年比-7%から同-6%に、2010 年の成長率予測を前年

比+4.5%から同+5.3%にそれぞれ上方改定

した。HSBC の 09 年の成長率予測は政府の予

測レンジ(前年比-6~-9%)の上限にある。

ただ、失業率は向こう数カ月も上昇が続くと

みられ、月収の減少も個人所得に対する下押

し圧力となっている。このため、個人消費は

遅れて回復するとみられるが、「ジョブ・ク

レジット」(中央年金基金の雇用者負担分に

ついて 08 年 10 月から 1 年分を政府が雇用者

に払い戻す制度)や職業訓練の実施、高い貯

蓄率、コモディティ価格の大幅下落による

“良い”物価下落がその影響を和らげる可能

性がある。また、 近の株価の大幅回復によ

る資産効果も期待できる。

HSBC の成長率予測を踏まえると、今年に一

段の景気刺激策が実施される公算は小さいと

思われる。また、シンガポール通貨庁

(MAS)は 10 月の政策会合で SGD・NEERバンドの中央値を引き下げず、現状維持とす

る公算がある。

シンガポール

Robert Prior-Wandesforde*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6239 [email protected]

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 0.0 -4.2 -10.1 -7.5 -5.9 -0.1 5.4 5.4 5.4 4.9

鉱工業生産 (前年比%) -10.9 -10.7 -24.5 -9.0 -3.0 3.0 8.0 4.5 8.0 7.5

CPI (四半期末%、前年比) 6.7 4.3 1.6 -1.3 -1.2 -0.6 1.1 3.0 2.9 2.8

PPI (四半期末%、前年比) 9.1 -11.2 -16.3 -15.0 -5.0 1.0 5.0 8.0 6.0 4.0

貿易収支 (% GDP) 19.8 10.9 12.9 15.2 16.8 9.3 10.5 14.0 15.6 8.1

経常収支 (% GDP) 17.1 10.4 10.2 11.5 13.7 6.2 7.1 11.4 13.1 4.9

外貨準備高 (USDbn) 169.4 173.9 166.5 178.5 164.8 160.3 164.2 164.2 161.8 162.9

3M インターバンク金利, 四半期末(%) 1.85 0.96 0.67 0.60 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 1.20

5 年利回り, 四半期末 (%) 2.40 1.40 1.42 1.15 1.15 1.25 1.50 1.60 1.70 1.80

SGD/USD, 四半期末 1.43 1.44 1.52 1.45 1.50 1.54 1.56 1.56 1.56 1.56

SGD/EUR, 四半期末 2.03 2.00 2.01 2.03 2.25 2.34 2.34 2.34 2.34 2.34Source: HSBC

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57

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

シンガポール:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 8.7 8.7 8.4 7.8 1.1 -6.0 5.3

名目GDP (USDbn) 109.7 120.8 139.7 167.5 184.0 159.7 165.7

1人当たりGDP (USD) 26,339 28,324 31,743 36,503 38,014 32,829 37,597

民間消費 (% 前年比) 5.9 3.1 4.0 5.2 2.4 -3.5 4.3

政府支出 (% 前年比) -1.1 9.6 6.6 2.2 8.1 4.5 5.2

投資 (% 前年比) 10.2 -2.0 13.3 19.2 13.7 -10.4 5.7

鉱工業生産 (% 前年比) 13.9 9.5 11.9 5.9 -4.2 -8.9 7.0

国内総貯蓄 (% GDP) 46.8 48.7 49.9 51.7 48.3 45.7 44.5

失業率 (% 年末) 3.0 2.6 2.7 1.7 2.5 4.2 3.4

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 1.7 0.5 1.0 2.1 6.5 -0.3 2.3

CPI, 年末 (% 前年比) 1.3 1.3 0.8 4.4 6.7 -0.6 2.8

PPI, 年末 (% 前年比) 8.6 4.1 -2.9 4.9 -11.2 1.0 4.0

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 2.6 4.3 3.5 4.1 5.0 1.5 3.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 5.2 7.1 6.9 7.0 12.2 10.0 7.0

広義のマネーサプライM3, 平均 (% 前年比) 7.7 5.2 11.9 20.6 10.9 7.5 12.0

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 4.4 1.8 2.6 8.1 12.8 5.0 8.0

3 カ月インターバンク金利 (%) 1.50 3.25 3.44 2.38 0.96 0.70 0.80

5 年利回り, 年末 (%) 2.07 3.01 3.03 2.33 1.40 1.25 1.80

SGD/USD, 年末 1.63 1.66 1.53 1.44 1.44 1.54 1.56

SGD/USD, 平均 1.69 1.67 1.58 1.50 1.40 1.49 1.56

SGD/EUR, 年末 2.22 1.96 2.03 2.10 2.00 2.31 2.34

SGD/EUR, 平均 2.13 2.07 1.99 2.09 2.04 2.18 2.34

対外部門

商品輸出 (USDbn) 199.6 232.3 276.0 305.0 347.6 269.1 273.8

商品輸入 (USDbn) 168.8 196.0 233.0 257.8 316.4 247.4 253.9

貿易収支 (USDbn) 30.7 36.3 43.0 47.2 31.2 21.7 19.9

経常収支 (USDbn) 29.0 33.2 35.5 39.3 27.3 16.6 15.0

経常収支 (% GDP) 26.4 27.5 25.4 23.5 14.8 10.3 9.0

純対内直接投資 (USDbn) 9.2 3.2 14.4 7.0 13.9 4.3 5.5

純対内直接投資 (% GDP) 8.4 2.6 10.3 4.2 7.5 2.7 3.3

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 34.8 30.1 35.7 27.7 22.4 13.0 12.3

輸出 (% 前年比) 23.4 16.4 18.8 10.5 14.0 -22.6 1.7

輸入 (% 前年比) 27.5 16.1 18.9 10.6 22.7 -21.8 2.6

外貨準備高 (USDbn) 112.4 115.9 136.2 162.9 173.9 166.9 162.9

輸入カバー月数 8.0 7.1 7.0 7.6 6.6 8.1 7.7

公的・対外債務ソルベンシー指標

連結財政収支 (% GDP) -0.8 -0.2 0.6 1.7 2.7 -3.3 -1.9Source: HSBC

Page 59: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

58

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

内戦終結で新たな局面に

26 年にわたる内戦がようやく終わり、スリラ

ンカは現在、ユーフォリアの状態にある。期

待は高く、HSBC では、製造業への対内直接

投資のみならず、観光業や知識集約型のアウ

トソーシング産業においてもスリランカの潜

在力は極めて大きいと考えている。また、北

部や東部への企業の業務拡大に伴い、農業や

漁業、運輸、銀行業、建設なども軒並み追い

風を受けよう。このため、HSBC では年末に

向けて景気は持ち直してくるとみており、

GDP 成長率を前年比+3.7%と見込んでいる

(中銀予測は 3.5~4.5%)。

スリランカ中銀も景気を下支えするため利下

げを行っているが、その他のアジア諸国と同

様、その効果はやや限られる。HSBC では、

成長重視の緩和バイアスは今後も維持される

とみており、若干ながら追加利下げの余地が

残ろう。

昨年、コモディティ高で押し上げられたイン

フレ率が急速に落ち着いている。しかし、原

油や食品価格が再び上向き始めていることか

ら、年末からインフレ圧力が高まってこよう。

スリランカは財政状態が悪く、1Q の財政赤

字は GDP 比で約 14%に達した。輸入関税の

徴収減や課税基盤の弱さを背景に歳入が引き

続き伸び悩む一方、 近発表された治安部隊

の 5 万人増強で歳出の拡大が見込まれ、09 年

の財政赤字は GDP 比で約 12%に達する公算

がある。仮にそうなれば、1991 年以来の大幅

な赤字で、多額の借り入れが必要となり、民

間投資を圧迫するクラウディング・アウトが

生じる可能性がある。このため、政府は市場

動向を踏まえて国際市場で資金を調達する公

算がある。

スリランカの外貨準備高はこの数週間で約 3億ドル増え、6 月末時点で 16 億ドルに達して

いるが、市場では、同国の外貨準備高水準に

対する懸念が根強く残っている。焦点は、ま

だ実現していない IMF からの 19 億ドルの融

資で、これが実現すれば、投資家の信頼が高

まり、資金の流入が拡大する可能性がある。

スリランカ

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 6.4 4.2 1.5 2.5 4.0 6.8 7.0 7.5 6.8 6.5

鉱工業生産 (前年比%) 5.1 4.3 -2.0 2.0 3.0 6.0 7.0 6.0 6.3 6.8

CPI (四半期末、前年比%) 24.3 14.4 5.3 0.9 2.5 7.3 11.2 12.5 11.3 9.6

WPI (四半期末、前年比%) 20.6 0.7 -15.1 -10.0 6.0 13.0 16.0 18.0 15.0 15.0

貿易収支 (% GDP) -13.9 -12.1 -7.3 -8.0 -13.0 -13.4 -13.6 -12.8 -11.3 -10.1

外貨準備高 (USDbn) 3.2 1.8 1.3 1.5 1.8 2.2 2.5 2.7 2.9 3.2

政策金利, 四半期末(%) 12.0 12.0 11.8 11.00 10.50 10.50 10.50 10.50 11.00 11.00

2 年利回り, 四半期末 (%) 19.2 20.6 16.9 12.8 12.0 13.0 13.5 13.5 13.0 13.0

LKR/USD, 四半期末 108.2 113.0 115.8 115.0 116.5 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0

LKR/EUR, 四半期末 152.5 158.2 153.4 160.9 168.9 177.0 177.0 177.0 177.0 177.0Source: HSBC

Page 60: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

59

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

スリランカ:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 5.4 6.0 7.4 6.8 6.0 3.7 7.0

名目GDP (USDbn) 19.9 23.5 26.8 30.8 38.5 41.6 48.4

1人当たりGDP (USD) 1,030 1,197 1,355 1,550 1,925 2,060 2,372

民間消費 (% 前年比) 4.7 2.6 7.3 7.8 6.7 3.5 6.8

政府支出 (% 前年比) 7.8 4.8 6.0 5.5 6.0 6.0 9.0

投資 (% 前年比) 17.8 9.8 13.9 12.0 10.0 4.5 13.0

鉱工業生産 (% 前年比) 5.6 6.0 5.7 6.6 4.9 2.3 6.5

国内総貯蓄 (% GDP) 21.6 24.2 22.7 23.6 22.0 21.7 23.0

失業率 (% 年末) 8.1 7.2 6.3 5.5 5.4 6.5 7.0

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 7.6 11.6 13.7 15.8 22.8 4.4 9.4

CPI, 年末 (% 前年比) 13.8 8.0 19.3 18.8 14.4 7.3 9.6

WPI, 年末 (% 前年比) 23.9 1.7 17.3 26.8 0.7 13.0 15.0

低賃金, 名目 (% 前年比) 2.3 7.8 2.2 21.3 26.8 6.0 7.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 年末 (% 前年比) 17.5 18.3 21.2 10.2 1.5 4.0 10.0

広義のマネーサプライM2, 年末 (% 前年比) 17.1 20.0 17.8 16.6 8.5 10.0 12.0

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 12.4 12.0 17.5 20.8 2.3 15.7 15.6

政策金利 年末 (%) 7.5 8.8 10.0 12.0 12.0 10.5 11.0

2 年利回り, 年末 (%) 9.55 11.20 13.35 17.63 20.63 13.0 13.0

LKR/USD, 年末 104.7 102.1 107.5 108.7 113.0 118.0 118.0

LKR/USD, 平均 102.0 100.8 104.4 110.7 109.2 116.3 118.0

LKR/EUR, 年末 141.8 121.0 141.8 160.2 158.2 177.0 177.0

LKR/EUR, 平均 128.8 123.4 132.6 154.1 162.8 165.1 177.0

対外部門

商品輸出 (USDbn) 5.8 6.3 6.9 7.6 8.1 7.2 7.9

商品輸入 (USDbn) 8.0 8.9 10.3 11.3 14.0 11.6 13.5

貿易収支 (USDbn) -2.2 -2.5 -3.4 -3.7 -5.9 -4.4 -5.6

経常収支 (USDbn) -0.6 -0.7 -1.5 -1.4 -3.8 -2.3 -2.6

経常収支 (% GDP) -3.3 -2.8 -5.6 -4.5 -9.8 -5.5 -5.4

純対内直接投資 (USDbn) 0.2 0.2 0.5 0.5 0.7 0.5 0.9

純対内直接投資 (% GDP) 1.1 1.0 1.7 1.8 1.8 1.1 1.9

経常収支+対内直接投資 (% GDP) -2.1 -1.8 -3.9 -2.8 -8.0 -4.4 -3.5

輸出 (% 前年比) 12.2 10.2 8.4 11.0 6.5 -11.0 8.4

輸入 (% 前年比) 19.9 10.8 15.7 10.2 24.0 -17.2 16.2

外貨準備高 (USDbn) 1.8 2.5 2.5 3.1 1.8 2.2 3.2

輸入カバー月数 2.8 3.3 3.0 3.3 1.5 2.3 2.8

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 12.8 13.0 14.0 16.5 17.8 19.5 22.0

短期対外債務 (外貨準備%) 33.6 25.8 23.3 35.5 81.1 59.1 50.0

財政収支 (% GDP) -8.2 -8.7 -8.4 -8.1 -8.1 -12.0 -10.0

公的部門対内債務総額 (LKRbn) 11.2 12.6 14.2 15.5 19.5 22.5 25.0

公的部門対内債務総額 (% GDP) 56.3 53.5 52.8 50.3 50.6 54.1 51.6

公的部門対外債務総額 (USDbn) 9.5 9.2 10.3 11.7 12.6 14.5 16.8

公的部門対外債務総額 (% GDP) 47.7 39.2 38.4 37.9 32.7 34.8 34.7

公的部門債務総額 (% GDP) 104.0 92.7 91.2 88.2 83.3 88.9 86.3Source: HSBC

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60

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

悪期を脱した可能性

台湾は、アジアで世界的な景気低迷の影響を

も強く受けている。09 年 1Q の実質 GDP成長率は前年比-10.2%と過去 大の落ち込

み(08 年 4Q は同-8.6%)を記録し、01 年の

IT バブル崩壊時を上回る深刻な景気後退に入

っている。

とはいえ、 近の経済指標の改善を見ると、

台湾経済は底入れし、緩やかな回復に向かっ

ていることが示唆されている。確かに、先進

国の需要低迷は今年末まで続きそうだが、中

台間の経済関係強化(観光や部材調達など)

で内需や輸出低迷の影響が緩和されよう。全

般的に見れば、 悪期を脱したとみられるが、

回復ペースは緩やかなものにとどまり、本格

回復への道のりはなお険しいと思われ、

HSBC では、09 年の GDP 成長率を前年比-

5.1%と予想している(2008 年は同+0.1%)。

2010 年は先進国の需要が徐々に回復するとみ

られ、台湾の鉱工業生産や輸出の持続的な回

復を支えよう。HSBC では、2010 年の GDP

成長率を前年比+4.4%と予想している。しか

し、台湾域外の景気は引き続き力強さを欠き、

内需だけでは生産の本格回復を実現するには

不十分とみられることから、2010 年の成長率

は潜在成長率を下回ると思われる。

内需低迷やコモディティ価格の下落に伴い、

2009 年の CPI は前年比-0.7%が見込まれる。

しかし、世界的な景気回復に伴うコモディテ

ィ価格の上昇などで、2010 年にはプラスに転

じよう。また、低金利や過剰流動性を背景に

資産価格が高騰する可能性もあり、HSBC で

は 2010 年の CPI を前年比+1.2%と予想して

いる。

金融政策については、2010 年に引き締めに転

じ、来年末までに政策金利は現行の 1.25%か

ら 1.75%に引き上げられると予想する。

台 湾

Frederic Neumann*Senior EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2822 [email protected]

Christopher Wong*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited+852 2996 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) -1.0 -8.6 -10.2 -8.7 -4.5 3.5 5.5 4.6 3.7 4.0

鉱工業生産 (前年比%) 0.5 -24.2 -32.4 -16.0 -7.8 4.7 7.6 9.4 7.8 5.5

CPI (四半期末、前年比%) 3.1 1.3 -0.1 -0.4 -0.6 -0.2 0.6 1.1 1.6 2.0

WPI (四半期末、前年比%) 6.1 -9.7 -9.3 -12.0 -7.5 -1.2 3.0 3.5 4.0 4.8

貿易収支 (% GDP) 1.6 7.0 10.0 8.9 4.0 8.1 11.1 9.7 4.5 8.4

経常収支 (% GDP) 1.9 8.2 14.3 8.5 3.7 8.8 11.6 9.1 4.1 8.5

外貨準備高 (USDbn) 281.1 291.7 300.1 303.8 307.6 314.7 326.6 335.8 339.8 348.9

政策金利, 四半期末(%) 3.500 2.000 1.250 1.250 1.250 1.250 1.375 1.500 1.625 1.750

5 年利回り, 四半期末 (%) 2.00 1.03 1.04 1.00 1.00 1.00 1.25 1.35 1.45 1.55

TWD/USD, 四半期末 32.2 32.8 33.9 32.8 34.0 33.0 32.5 31.5 31.5 31.5

TWD/EUR, 四半期末 45.7 45.6 44.7 45.9 49.3 49.5 48.8 47.3 47.3 47.3Source: HSBC

Page 62: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

61

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

台湾:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP成長率 (% 前年比) 6.2 4.2 4.8 5.7 0.1 -5.1 4.4

名目GDP (USDbn) 331.2 356.2 364.9 385.5 393.0 347.5 388.8

1人当たりGDP (USD) 14,645 15,701 16,011 16,857 17,131 15,104 16,850

民間消費 (% 前年比) 4.5 3.0 1.8 2.3 -0.3 -0.4 2.1

政府支出 (% 前年比) -0.5 1.1 -0.4 0.9 1.1 3.4 2.0

投資 (% 前年比) 19.5 1.2 0.9 1.9 -10.6 -17.9 3.8

鉱工業生産 (% 前年比) 8.4 3.8 4.7 7.8 -1.8 -13.8 7.6

国内総貯蓄 (% GDP) 26.0 25.6 27.1 29.0 25.8 21.9 24.5

失業率 (% 平均) 4.4 4.1 3.9 3.9 4.1 5.8 6.0

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 1.6 2.3 0.6 1.8 3.5 -0.7 1.2

CPI, 年末 (% 前年比) 1.6 2.2 0.7 3.3 1.3 -0.2 2.0

WPI, 年末 (% 前年比) 6.0 1.7 6.4 8.6 -9.7 -1.2 4.8

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 2.7 2.7 1.4 1.7 -0.3 -1.8 2.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 平均 (% 前年比) 8.9 8.5 5.1 2.4 7.0 8.0 4.0

広義のマネーサプライM2, 平均 (% 前年比) 7.5 6.2 6.2 4.3 2.7 6.5 5.9

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 8.4 6.0 1.9 0.9 -1.0 0.3 -0.1

政策金利, 年末 (%) 1.750 2.250 2.750 3.375 2.000 1.250 1.750

5 年利回り, 年末 (%) 1.93 1.75 1.93 2.49 1.03 1.00 1.55

TWD/USD, 年末 31.7 32.8 32.6 32.4 32.8 33.0 31.5

TWD/USD, 平均 33.4 32.2 32.7 32.8 31.4 33.8 31.9

TWD/EUR, 年末 43.2 38.7 43.0 47.3 45.6 49.5 47.3

TWD/EUR, 平均 42.1 40.0 41.0 45.6 45.7 49.4 47.9

対外部門

商品輸出 (USDbn) 182.4 198.5 223.8 246.5 254.9 203.6 223.1商品輸入 (USDbn) 165.0 179.0 199.6 216.1 236.7 176.8 190.6貿易収支 (USDbn) 17.4 19.5 24.2 30.4 18.3 26.9 32.6経常収支 (USDbn) 19.7 17.6 26.3 33.0 24.6 31.0 32.2経常収支 (% GDP) 6.0 4.9 7.2 8.6 6.3 8.9 8.3純対内直接投資 (USDbn) -5.2 -4.4 0.0 -3.3 -4.9 -8.7 1.6純対内直接投資 (% GDP) -1.6 -1.2 0.0 -0.9 -1.2 -2.5 0.4経常収支+対内直接投資 (% GDP) 4.4 3.7 7.2 7.7 5.0 6.4 8.7輸出 (% 前年比) 21.1 8.8 12.8 10.1 3.4 -20.1 9.6輸入 (% 前年比) 32.6 8.5 11.5 8.2 9.5 -25.3 7.8外貨準備高 (USDbn) 241.7 253.3 266.1 270.3 291.7 314.7 348.9輸入カバー月数 17.6 17.0 16.0 15.0 14.8 21.4 22.0

公的・対外債務ソルベンシー指標

商業銀行外貨資産 (USDbn) 278.4 324.5 336.3 346.7 411.9 393.8 429.6対外債務総額 (USDbn) 80.9 86.7 85.8 94.5 90.4 120.8 125.7短期対外債務 (外貨準備%) 25.4 N/A N/A N/A N/A N/A N/A民間対外債務 (USDbn) 75.9 72.8 75.2 91.1 88.9 113.0 116.5政府財政収支 (% GDP) -2.8 -0.6 -0.6 -0.2 -0.8 -4.5 -3.5公的部門対内債務総額 (TWDbn) 2,544 2,831 3,046 3,395 3,306 3,836 4,276公的部門対内債務総額 (% GDP) 23.0 24.7 25.6 26.9 26.8 32.6 34.4公的部門対外債務総額 (USDbn) 5.0 13.9 10.6 3.5 1.5 7.8 9.2公的部門対外債務総額 (% GDP) 1.5 3.9 2.9 0.9 0.4 2.2 2.4公的部門債務総額 (% GDP) 24.5 28.6 28.5 27.8 27.2 34.9 36.8Source: HSBC

Page 63: アジア経済 Asian Economics - HSBC...Global Research マクロ アジア経済 2009 年第3 四半期 Asian Economics 飛躍するアジア アジア経済はここ数カ月で回復基調が鮮明になってきた。内需の拡

62

マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

先行きに明るい兆し

投資や輸出、消費の冷え込みが足かせとなり、

09 年 1Q の GDP 成長率は前年比-7%と 98年の通貨危機以降で 大の落ち込みを記録した。

しかし、生産や輸出関連の指標で改善の兆し

が見え始め、企業の景況感も好転しているこ

とから、見通しは明るくなってきている。

09 年の成長率は前年比-3.5%とマイナス成

長が避けられない見通しだが、世界的な景気

指標の安定やこれまでの刺激策の浸透に伴い、

GDP 成長率は前期比で改善していくとみら

れる。2010 年の成長率は前年比+3.5%が見込

まれる。

成長見通しの改善に伴い、新たに世界経済や

国内の政治情勢を揺るがすような事態が起こ

らない限り、利下げは現行の 1.25%で打ち止

めとなる公算が大きいように思われる。イン

フレ率は 4Q から上昇し始めるとみられ、

HSBC では 2010 年後半に計 75bp の利上げを

見込んでいる。

中銀が利下げを行っても、銀行の転嫁が利下

げ分の半分弱にとどまっているため、成長の

下支え役として政府の景気刺激策に期待が集

まる。向こう 3 年で投じる総額 1 兆 4,000 億

バーツ(2009 年 GDP 見通しの 16%)の追加

刺激策の 70%は、すでに着工準備が整ってい

る事業に振り向けられることから、予算が確

保されれば、支出はタイムリーに行うことが

可能。ただ、歳出拡大で財政赤字が膨らみ、

債券市場で供給過剰懸念は生まれやすくなる。

一方、輸出額の減少を上回る輸入減で、貿易

収支は大幅な黒字となろう。だが、観光や対

内直接投資は低迷が予想される。政策バイア

スも併せ考えると、タイ・バーツは下落が見

込まれ、HSBC では年末までに 1 ドル=37 バ

ーツまでバーツ安が進むと予想している。

タ イ

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 3.9 -4.2 -7.1 -5.7 -5.5 2.3 5.6 5.1 4.8 3.6

鉱工業生産 (前年比%) 6.1 -6.7 -14.9 2.0 2.0 3.0 4.0 4.0 4.5 4.5

CPI (四半期末、前年比%) 6.1 0.4 -0.2 -4.2 -2.0 2.0 2.5 3.5 3.2 2.8

PPI (四半期末、前年比%) 19.0 -1.7 -4.0 -12.0 -12.5 6.0 9.0 12.0 12.0 10.0

貿易収支 (% GDP) -0.3 -2.1 12.6 5.4 1.4 -5.5 11.0 4.5 -0.1 -6.4

経常収支 (% GDP) -2.0 -3.1 14.7 3.7 0.4 -6.1 11.3 2.6 -1.3 -6.9

外貨準備高 (USDbn) 102.4 111.0 116.2 119.6 120.9 118.5 127.3 131.1 133.3 132.0

政策金利, 四半期末(%) 3.75 2.75 1.50 1.25 1.25 1.25 1.25 1.25 1.75 2.00

5 年利回り, 四半期末 (%) 4.34 2.48 2.58 3.09 2.75 3.00 3.25 3.25 3.25 3.25

THB/USD, 四半期末 33.9 34.7 35.5 34.1 35.5 37.0 38.0 39.0 39.0 39.0

THB/EUR, 四半期末 48.1 48.2 46.8 47.7 51.5 55.5 57.0 58.5 58.5 58.5Source: HSBC

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

タイ:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 6.4 4.7 5.2 4.9 2.6 -4.0 4.8

名目 GDP (USDbn) 161.5 176.1 206.7 236.8 273.6 245.9 242.4

1 人当たり GDP (USD) 2,469 2,708 3,156 3,724 4,116 3,772 3,571

民間消費 (% 前年比) 6.1 4.9 3.0 1.6 2.5 -0.5 2.6

政府支出 (% 前年比) 5.8 11.4 2.4 9.2 0.5 6.3 6.0

投資 (% 前年比) 13.2 10.5 3.9 1.3 1.1 -9.4 7.1

鉱工業生産 (% 前年比) 11.7 9.1 7.3 8.2 5.3 -8.0 6.6

国内総貯蓄 (% GDP) 31.7 30.9 32.4 34.1 33.2 31.1 31.8

失業率 (% 年末) 1.5 1.4 1.0 0.8 1.4 3.3 2.7

物価・賃金

CPI, 平均 (% 前年比) 2.8 4.5 4.6 2.2 5.5 -1.4 2.9

CPI, 年末 (% 前年比) 3.0 5.8 3.5 3.2 0.4 2.0 2.8

PPI, 年末 (% 前年比) 10.1 8.0 2.7 8.7 -1.7 6.0 10.0

製造業賃金, 名目 (% 前年比) 2.3 6.9 6.2 3.0 10.2 -2.0 5.0

マネー・為替・金利

マネーサプライM0, 年末 (% 前年比) 14.4 5.2 2.7 7.9 11.3 7.0 8.0

広義のマネーサプライM2, 年末 (% 前年比) 5.4 8.2 6.0 6.3 9.2 4.0 5.0

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 5.4 2.0 -0.9 3.4 15.7 6.4 7.1

政策金利, 年末 (%) 2.00 4.00 5.00 3.25 2.75 1.25 2.00

5 年利回り, 年末 (%) N/A 5.49 4.87 4.62 2.48 3.00 3.25

THB/USD, 年末 38.9 41.0 35.5 33.7 34.7 37.0 39.0

THB/USD, 平均 40.3 40.3 37.9 34.6 33.3 35.2 38.5

THB/EUR, 年末 52.9 48.4 46.8 49.2 48.2 55.5 58.5

THB/EUR, 平均 50.7 50.2 47.7 48.1 48.5 51.5 57.8

対外部門

商品輸出 (USDbn) 94.9 109.4 127.9 150.0 175.3 148.4 161.8商品輸入 (USDbn) 93.5 117.6 126.9 138.5 175.1 139.9 156.3貿易収支 (USDbn) 1.5 -8.3 1.0 11.6 0.2 8.5 5.5経常収支 (USDbn) 2.8 -7.6 2.3 14.0 -0.2 7.8 3.5経常収支 (% GDP) 1.7 -4.3 1.1 5.9 -0.1 3.2 1.5純対内直接投資 (USDbn) 5.8 7.5 8.5 9.4 7.3 4.3 6.7純対内直接投資 (% GDP) 3.6 4.3 4.1 4.0 2.7 1.7 2.8経常収支+対内直接投資 (% GDP) 5.3 -0.1 5.2 9.9 2.6 4.9 4.2輸出 (% 前年比) 21.6 15.2 17.0 17.3 16.8 -15.3 9.0輸入 (% 前年比) 25.7 25.8 7.9 9.1 26.4 -20.1 11.7外貨準備高 (USDbn) 49.8 52.1 67.0 87.5 111.0 118.5 132.0輸入カバー月数 6.4 5.3 6.3 7.6 7.6 10.2 10.1

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 51.3 52.0 59.6 61.7 64.8 52.6 54.5短期対外債務 (外貨準備%) 24.4 31.5 27.7 24.7 21.7 16.0 15.2民間対外債務 (USDbn) 36.4 38.0 45.6 49.7 51.8 44.0 46.0連結財政収支 (% GDP) 0.0 0.3 1.2 -2.3 -1.1 -6.4 -6.0公的部門対内債務総額 (THBbn) 2,482 2,705 3,187 3,226 3,434 3,883 4,095公的部門対内債務総額 (% GDP) 38.2 38.1 40.6 39.4 37.7 44.8 43.9公的部門対外債務総額 (USDbn) 14.9 14.0 14.1 12.0 13.0 8.6 8.5公的部門対外債務総額 (% GDP) 9.2 7.9 6.8 5.1 4.7 3.5 3.5Source: HSBC

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

回復が始まる

09 年 2Q の GDP 成長率は前年比+4.5%と 10年ぶりの低水準にとどまった 1Q の同+3%か

ら伸びが加速した。建設業の回復が続いたこ

とが大きかったが、製造業の生産も回復に転

じた。HSBC では、積極的な緩和策(大半は

昨年後半に実施)の効果や世界の成長見通し

の改善に伴い、今後も回復傾向が続くとみて

いる。また、ベトナム政府は、景気刺激策の

規模をインフラ整備の 52 億米ドルを含めて

80 億米ドル(2009 年名目 GDP 見通しの

8.6%)と従来から 20億米ドル増やした。

も効果的な景気刺激策として、企業向けの

4%の金利補助策が挙げられよう。同政策の

導入に伴い、09 年上期の融資額は約 180 億米

ドル増えた。これは、08 年全体の新規融資額

に匹敵する規模である。これほどの規模の新

規融資が短期間で行われた事実を踏まえると、

需要が喚起され、成長率は回復する公算が大

きいように思われる。しかし、向こう数四半

期は同融資の質を見極める必要があり、金融

システムに対する影響も考える必要がある。

インフレ率は急速に落ち着いており、09 年の

CPI は前年比+7.5%が予想される。しかし、

コモディティ価格の上昇に伴い、インフレ圧

力は今年末から強まってくるとみられる。

好調な金の再輸出を背景に、09 年 1Q の貿易

収支は黒字を確保したが、今後は赤字に転じ

るとみられる。ベトナムは依然として開発途

上にあり、大量の資本財・中間財を輸入する

必要があるため、貿易赤字が続くだろう。と

はいえ、09 年の貿易赤字の規模は 1 年前に比

べて大幅に小さくなる見通し。

ベトナム・ドン(VND)については、本国送

金や対内直接投資、外国人観光客数の低迷に

より、VND 安が若干ながらさらに進むとみ

られる。

ベトナム

Prakriti Sofat*EconomistThe Hongkong and ShanghaiBanking Corporation Limited,Singapore Branch+65 6230 [email protected]

* HSBC Securities (USA) Inc の

非米国関連会社の従業員

であり、NYSE/NASD 認定の

RR ではありません。

3Q08 4Q08 1Q09 2Q09e 3Q09e 4Q09e 1Q10e 2Q10e 3Q10e 4Q10e

GDP 成長率 (前年比%) 6.5 5.7 3.1 4.5 5.0 6.0 6.6 7.0 6.8 6.6

鉱工業生産 (前年比%) 10.6 5.3 2.3 3.5 6.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0

CPI (四半期末、前年比%) 27.9 19.9 11.3 4.0 3.0 7.5 10.0 11.0 10.5 10.0

貿易収支 (% GDP) -5.9 -7.0 9.4 -17.7 -14.0 -10.4 -15.1 -11.5 -8.5 -6.0

外貨準備高 (USDbn) 23.8 22.0 20.0 19.0 19.0 20.0 21.0 22.0 23.0 23.0

政策金利, 四半期末(%) 14.00 8.50 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 8.00 8.00

5 年利回り, 四半期末 (%) 15.90 10.00 9.17 9.32 9.50 10.00 10.00 10.00 10.00 10.00

VND/USD, 四半期末 16,600 17,483 17,797 17,798 18,050 18,200 18,200 18,200 18,200 18,200

VND/EUR, 四半期末 23,572 24,301 23,492 24,917 26,173 27,300 27,300 27,300 27,300 27,300Source: HSBC

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マクロ

アジア経済

2009 年第 3 四半期

���

ベトナム:マクロ指標

2004 2005 2006 2007 2008 2009e 2010e

生産・需要・雇用

GDP 成長率 (% 前年比) 7.8 8.4 8.2 8.5 6.2 4.7 6.8

名目 GDP (USDbn) 45.5 53.0 60.9 71.0 79.5 92.8 106.9

1 人当たり GDP (USD) 555 638 724 833 921 1,061 1,209

民間消費 (% 前年比) 7.1 7.3 8.3 9.6 7.3 3.4 6.2

政府支出 (% 前年比) 7.8 8.1 8.6 9.0 5.8 6.5 6.0

投資 (% 前年比) 10.4 9.7 9.9 23.0 13.2 3.2 6.7

鉱工業生産 (% 前年比) 17.6 25.5 16.0 11.6 11.8 5.2 11.5

国内総貯蓄 (% GDP) 32.0 34.6 35.0 32.5 32.6 31.9 32.0

失業率 (% 年末) 5.6 5.3 4.8 4.6 4.7 5.4 5.3

物価

CPI, 平均 (% 前年比) 7.8 8.3 7.5 8.3 23.0 7.5 10.1

CPI, 年末 (% 前年比) 9.7 8.8 6.6 12.6 19.9 7.5 10.0

PPI, 年末 (% 前年比) 7.8 4.4 4.2 6.8 20.0 2.0 10.0

マネー・為替・金利

広義のマネーサプライ M2, 平均 (% 前年比) 29.5 29.8 33.6 43.2 25.0 15.0 20.0

民間融資実質伸び率 (% 前年比) 26.0 28.7 23.5 41.7 4.7 17.5 14.9

政策金利, 年末 (%) 7.50 7.75 7.75 8.25 8.50 7.00 8.00

5 年利回り, 年末 (%) 8.50 8.75 8.30 8.73 10.00 10.00 10.00

VND/USD, 年末 15,754 15,896 16,050 16,017 17,483 18,200 18,200

VND/USD, 平均 15,738 15,866 16,006 16,096 16,759 17,961 18,200

VND/EUR, 年末 21,425 18,751 21,164 23,385 24,301 27,300 27,300

VND/EUR, 平均 20,460 19,753 20,114 22,373 24,405 26,246 27,300

対外部門

商品輸出 (USDbn) 26.5 32.4 39.6 48.6 63.1 59.7 67.0

商品輸入 (USDbn) 28.8 33.3 44.4 62.7 80.6 68.4 77.3

貿易収支 (USDbn) -2.3 -0.8 -4.8 -14.1 -17.5 -8.7 -10.3

経常収支 (USDbn) -1.0 -0.6 -0.2 -7.0 -9.2 -5.2 -5.0

経常収支 (% GDP) -2.1 -1.1 -0.3 -9.8 -11.6 -5.6 -4.7

純対内直接投資 (USDbn) 1.9 2.0 2.4 6.6 11.5 5.0 6.0

純対内直接投資 (% GDP) 4.1 3.8 3.9 9.3 14.5 5.4 5.6

経常収支+対内直接投資 (% GDP) 2.0 2.7 3.7 -0.6 2.8 -0.2 0.9

輸出 (% 前年比) 31.4 22.5 22.1 22.7 29.9 -5.4 12.2

輸入 (% 前年比) 26.6 15.7 33.4 41.2 28.5 -15.1 13.0

外貨準備高 (USDbn) 7.0 9.0 13.4 23.5 22.0 20.0 23.0

輸入カバー月数 2.9 3.2 3.6 4.5 3.3 3.5 3.6

公的・対外債務ソルベンシー指標

対外債務総額 (USDbn) 13.5 14.2 15.6 19.3 21.8 23.0 25.0短期対外債務 (外貨準備%) 21.4 17.8 13.4 20.9 21.8 22.5 23.9民間対外債務 (USDbn) 0.9 1.6 1.7 2.7 3.0 3.0 3.0連結財政収支 (% GDP) -4.9 -4.9 -5.0 -5.0 -5.0 -8.0 -7.0プライマリーバランス (% GDP) -3.0 -3.0 -3.5 -3.4 -2.5 -5.0 -4.0公的部門対内債務総額 (VNDbn) 7.0 9.2 11.3 12.4 14.5 20.6 26.0公的部門対内債務総額 (% GDP) 15.4 17.4 18.6 19.4 20.8 23.0 24.8公的部門対外債務総額 (USDbn) 12.6 12.6 13.9 16.6 18.8 20.0 22.0公的部門対外債務総額 (% GDP) 27.7 23.8 22.9 23.4 23.6 23.0 22.0Source: HSBC

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���

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表等は参考データであり、将来の結果を保証するものではありません。

本レポートの原文(英語版)はHSBC グローバルリサーチに属するグローバルエマージングマーケット・マクロ・

アンド・ストラテジー・チームによって2009年7月8日に発行されました。

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立した管理報告ラインの下に業務を遂行しています。投資銀行業務とリサーチの間に適切なチャイニーズ・ウォー

ルを設置し、全ての機密および価格敏感情報が適切に取り扱われることを確実にしています。

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���

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