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あさひかわ緩和ケア講座 2014 あさひかわ緩和ケア講座 2014

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

あさひかわ緩和ケア講座 2014

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

あさひかわ緩和ケア講座 2012 あさひかわ緩和ケア講座 2014

第3講 がん疼痛マネジメント

2014年6月4日

旭川医科大学

教育センター 間宮敬子

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がんの痛みって?

• どのがんでも発生する

• がんの進行とともに多くなる

• 症状としてもっとも頻度が高い

• 進行がん患者の90%が疼痛を経験する

• 70~80%は適切な鎮痛剤使用で緩和できる

• 痛みは身体的苦痛だけでなく、心理的、社会的、スピリチュアルな面にも影響を及ぼし、患者のQOLを著しく低下させる

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

転んで打撲 運動後の筋肉痛 術後の創痛

時間が経てば基本的には消えていく痛み

がんの痛みは、増強しながら続いていく痛み

お産の痛み これらも強い痛み

がん性疼痛は他の痛みと違うのか

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

評価 副作用

効果

現在の病態

痛みの診断

心理社会・スピリチュアルな背景

痛みの治療

1. どこが?(部位)

2. どんなふうに?(性質)

3. どのくらい?(強さ)

4. 何が困る?(痛みの影響)

5. 何が痛みを修飾している?

6. 痛みの治療の副作用は?

痛みの評価・治療の流れ

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

1. どこが?(部位)

2. どんなふうに?(性質)

3. どのくらい?(強さ)

4. 何が困る?(痛みの影響)

5. 何が痛みを修飾している?

6. 痛みの治療の副作用は?

がん疼痛評価のkey component

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痛みの治療の原則

原因に基づいた治療を行う

痛み以外の身体症状、心理・社会・スピリチュアルな問題による苦痛を軽視しない

多職種で関わり、情報を共有する

患者・家族に合わせる柔軟性が不可欠

検査や原病治療のために痛みの治療が遅れてはならない(未治療の痛み ⇒ 神経系の変化を来たすから)

とにかく患者の痛みの訴えを信じること

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薬物療法

抗がん治療 侵襲的疼痛治療

精神療法

代替療法

痛みの閾値を上げる治療

直接的痛み治療

痛みの治療の種類

オピオイド鎮痛剤

NSAIDs 鎮痛補助剤

ステロイド アセトアミノフェン

理学療法

物理療法

放射線療法

抗がん剤治療 精神療法

姑息的手術

神経ブロック 漢方

椎体形成術 リラクセーション

絵画療法

作業療法

ビスフォスフォネート

緩和的整形外科手術 音楽療法

グループ療法

看護ケア マッサージ

鍼灸

アロマセラピー

リハビリテーション

日々のケア

声かけ

ADLのサポート

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がん患者さんの 痛みの症状緩和を行うにあたって まずおこなうべきことは?

• WHOの除痛ラダー上の位置

• 痛みの評価

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WHOがん疼痛治療法

必要に応じて鎮痛補助薬 抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、 ステロイド等

NSAIDsまたはアセトアミノフェン(カロナール)※

軽度から中等度の痛みに用いる

オピオイド

コデイン トラマドール

中等度から強度の痛みに用いる

オピオイド

フェンタニル モルヒネ

オキシコドン

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WHOがん疼痛ガイドライン

By the mouth:経口的に

By the clock:時間を決めて定期的に

By the ladder :

三段階除痛ラダーに沿って効力順に

For the individual: 患者ごとの個別的な量で

With attention to detail : 細かい配慮をする

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痛みの評価

• いつからどこが痛いのか?

がんの痛みなのか?

• どのように痛いのか?

痛みの性状の評価

一日中痛いのか?時々痛いのか?

痛みのパターンは?強さは?

• 画像診断などで、痛みの原因となる病変があるか?

• 薬剤投与に備えて、胃潰瘍、腎障害、出血傾向を確認

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痛みの分類

侵害受容性疼痛 (神経終末の刺激による痛み) a.体性痛 表面痛 皮膚・粘膜由来など 深部痛 骨・筋肉由来など b.内臓痛 内臓器の被膜伸展 腸管・尿管の閉塞 交感神経への浸潤など 神経障害性疼痛 (神経自体の損傷) 末梢性 脳神経・脊髄神経 中枢性 脳・脊髄

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痛みの性状

• 体性痛

骨転移など局在がはっきりした明確な痛み

ズキッとする痛み

• 内臓痛

腹部腫瘍の痛みなど局在があいまいなにぶい痛み

ズーンとした重たい痛み

• 神経障害性疼痛

神経叢浸潤、脊椎浸潤などによる痛み

ぴりぴり電気が走るような、しびれる、

じんじんする痛み

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一日中ずっと痛い 時々痛くなる

持続痛 持続痛+突出痛 突出痛

10

0

10

0

10

0

質(種類)の評価

痛みのパターン

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がんの疼痛治療のアルゴリズム

NSAIDsの開始

オピオイドの導入

残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるために オピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処 するためにレスキューを使う (突出痛の治療ステップ)

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がん患者の疼痛治療の目標

第一目標:痛みに妨げられない夜の良眠

第二目標:安静時の痛みが消失

第三目標:体動時の痛みの消失

最終目標:痛みの消失が維持され、

平常の生活に近づくこと

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WHOがん疼痛治療法

必要に応じて鎮痛補助薬 抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、 ステロイド等

NSAIDs またはアセトアミノフェン(カロナール)※

軽度から中等度の痛みに用いる

オピオイド

コデイン トラマドール

中等度から強度の痛みに用いる

オピオイド

フェンタニル モルヒネ

オキシコドン Ⅰ

WHOラダーに沿って治療を開始 ・NSAIDsの定期投与 ・レスキューの指示 ・副作用の予防

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レスキューの指示をしよう

• レスキューとは・・・

鎮痛薬が定期投与されている患者さんにおいて、基本処方の不足を補うための即効性の鎮痛薬のこと

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治療薬の副作用-NSAIDs-

• 胃腸障害(消化性潰瘍)

• PG製剤:ミソプロストール(サイトテック)

• PPI:オメプラゾール(オメプラール・オメプラゾン) ランソプラゾール(タケプロン) ラベプラゾールナトリウム(パリエット) エソメプラゾール( ネキシウム)

• ハイリスク患者はアセトアミノフェン・COX-2阻害薬の使用

• 腎機能障害

• 生じれば基本的に使用を控える

• 心不全・高血圧

• リスク評価が重要

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治療効果を判定するのは?

• 1~3日で効果を判定し、鎮痛が不十分であれば、 オピオイドを開始する

• NSAIDsの副作用に注意!

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アセトアミノフェン

解熱性鎮痛薬

作用機序(不明)

解熱剤としての有効性 視床下部の体温調節中枢への作用に起因

鎮痛作用 視床と大脳皮質に作用して痛覚閾値を上昇させる

消炎作用はない

副作用

胃腸障害なし 腎機能に影響なし

肝機能障害あり

使用法

1回300~1000mgを経口服用し、服用間隔は4~6時間以上とする

1回1000mg、1日総量4000mgを限度とする

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• 1回300~1000mg 15 分かけて静注

• 投与間隔は4~6 時間以上とする

• 1日総量として4000mg を限度

• 体重50kg 未満の成人には

1 回15mg/kgを上限として静注

• 投与間隔は 4~6 時間以上とする

• 1 日総量として60mg/kg を限度

アセトアミノフェン静注剤

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WHO癌疼痛治療法

必要に応じて鎮痛補助薬 抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、 ステロイド等

NSAIDs またはアセトアミノフェン(カロナールⓇ )※

WHOラダーに沿ってオピオイドを開始 ・オピオイドの定期投与 ・レスキューの指示 ・副作用の予防

中等度から強度の痛みに用いる

オピオイド

フェンタニル モルヒネ

オキシコドン

軽度から中等度の痛みに用いる

オピオイド

コデイン トラマドール

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オピオイドの定期投与

• 時間を決めて、定期的に投与

(毎食後、疼痛時という処方はしない)

• NSAIDsは中止しないで併用

• 腎機能が低下している場合、モルヒネの使用は慎重に行う

• 体格が小さい、高齢者、全身状態が不良の場合、少量から開始

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オピオイドレスキューの指示

• オピオイドレスキューとは・・・

徐放性オピオイド鎮痛薬が定期投与されている

患者さんにおいて、基本処方の不足を補うため

の即効性オピオイド製剤のこと

• 原則として、徐放製剤と同じ種類のオピオイドを用いる

→ フェンタニル貼付剤は別の製剤で対応

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レスキュードーズの設定

• オピオイドのレスキューの投与間隔はオピオイドの各剤形によって異なる

• 基本的には製剤の最高血中濃度到達時間を過ぎたあたりがレスキュー間隔となる

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オピオイドレスキューの指示 モルヒネ

• 投与量 内服は1日量の1/6 持続注(静注、皮下注)1時間量を早送り 坐薬は1日の内服量の1/10 (経口:坐薬=1:2/3 1日定時量の1/4~1/8として計算) • 反復間隔 内服 1時間 静脈注射 皮下注射 15~30分 坐薬 2時間 指示例:1時間あけて何度でも使用可

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オピオイドレスキューの指示 オキシコンチン

• 投与量

内服は一日量の1/4

持続注(静注、皮下注)1時間量を早送り

• 反復間隔

内服 1時間

静脈注射 皮下注射 15~30分

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オピオイドのタイトレーション

• 鎮痛効果と副作用とのバランスをとりながら、それぞれの患者さんにとって最適なオピオイドの投与量を決めること

• 基本となる徐放製剤に不足を補うレスキュードーズ使用量を上乗せして除放製剤量を増量する

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突出痛とレスキュードーズ

• オピオイドのタイトレーションにより除痛の安定

している患者の19~95%に、突出痛と呼ばれる

持続の短い、一過性の痛みの増悪が出現

・骨転移などの体動に伴って増悪する痛み

・原因のはっきりしない突出痛

・内服直前に起こる痛み

• 突出痛:急激に発症、数分以内に最大に達する

持続時間は数分から2時間程度

• 患者の約8割は突出痛の発症を予測できる

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突出痛とレスキュードーズ

痛みの発症を予防する効果的なレスキュー投与のタイミングや投与経路を患者さんと共に評価する

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治療薬の副作用-オピオイド-

• 便秘:ほぼ必発、耐性形成されない

• 嘔気・嘔吐:約30%で発生、1-2週で耐性形成

• 眠気:数日で耐性形成 (呼びかけても完全に覚醒しないのは真の鎮静 = 過量)

• 呼吸抑制:眠気の先にある

• 蕁麻疹:ヒスタミンの遊離作用による

• せん妄:腎機能変化時に起こりやすい

• 他の要因を見逃さない!

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オピオイドの副作用対策

吐き気の予防

制吐薬を併用 2週間後に吐き気がなければ中止

便秘の予防

ほぼ必発の副作用

緩下剤と刺激性下剤を組み合わせて処方

眠気対策

オピオイド開始数日は眠気や軽い傾眠があることが多い

不快であれば対処

他の(眠気に関与する)薬剤の見直し

オピオイドの減量、オピオイドローテーション

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必要に応じて鎮痛補助薬 抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、 ステロイド等

NSAIDsまたはアセトアミノフェン(カロナールⓇ )※

WHOがん疼痛管理法

軽度から中等度の痛みに用いる

オピオイド

コデイン トラマドール

中等度から強度の痛みに用いる

オピオイド

フェンタニル モルヒネ

オキシコドン

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以前からの痛みかどうかを確認

・以前からのがん性疼痛に、新しい原因(感染、骨折)

が加わることがあるので注意

・いままで痛かった場所と同じかどうか確認

持続痛か突出痛かを確認

残存・増強した痛みの治療 評価

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残存・増強した痛みの治療

定期オピオイドを増量する

内服量が少ない時

(モルヒネ120mg/day オキシコドン80mg/day以下)

前日の50%までを 2~3日かけて増量

内服量が多い時

(モルヒネ120mg/day オキシコドン80mg/day以上)

体格の小さい者、高齢者、全身状態不良者

前日の20~30%までを 2~3日かけて増量

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オピオイドスイッチング (オピオイドローテーション)

• 1つのオピオイドをより好ましい反応を得るために他のオピオイドに切り替えること

• 鎮痛効果の改善を期待して行う場合

オピオイドに対する耐性のために、増量しても鎮痛効果が望めない

場合、他のオピオイドに変えると鎮痛効果が得られることがある

• 副作用の改善を期待して行う場合

• 投与経路を変更したい場合

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オピオイドスイッチング (オピオイドローテーション)

モルヒネ (MSコンチンⓇ 、パシーフⓇ 、オプソⓇ 、塩酸モルヒネ注Ⓡ )

オキシコドン (オキシコンチン錠Ⓡ 、

オキファスト注Ⓡ )

フェンタニル (デュロテップⓇMTパッチ、

フェンタネスト注Ⓡ )

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オピオイド換算表

オピオイド換算表   

24 48 96 144(3A) (6A) (12A) (18A)

*この換算表は、十分確立されたものではないため参考とし、各患者ごとに勘案して使用すること

2011年8月 旭川医科大学病院 緩和ケアチーム改訂

経口モルヒネ(mg/日) 20 <45 60 120 240 360

オキシコンチン(mg/日) <30 40 80 160 240

アンペック坐剤(mg/日) <30 40 80 160 240

デュロテップMTパッチ(mg/3日) 2.1 4.2 8.4

リン酸コデイン散(mg/日) 120

16.8 25.2

フェントステープ(mg/日) 1 2 4 8 12

トラマール、

トラムセット(㎎/日)300

3.6

パビナール注(mg/日)

120 180

フェンタ二ル注射液(mg/日) <0.3 0.6 1.2 2.4

塩酸モルヒネ注射液(㎎/日) <15 30 60

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オピオイド換算表   

24 48 96 144(3A) (6A) (12A) (18A)

*この換算表は、十分確立されたものではないため参考とし、各患者ごとに勘案して使用すること

2011年8月 旭川医科大学病院 緩和ケアチーム改訂

経口モルヒネ(mg/日) 20 <45 60 120 240 360

オキシコンチン(mg/日) <30 40 80 160 240

アンペック坐剤(mg/日) <30 40 80 160 240

デュロテップMTパッチ(mg/3日) 2.1 4.2 8.4

リン酸コデイン散(mg/日) 120

16.8 25.2

フェントステープ(mg/日) 1 2 4 8 12

トラマール、

トラムセット(㎎/日)300

3.6

パビナール注(mg/日)

120 180

フェンタ二ル注射液(mg/日) <0.3 0.6 1.2 2.4

塩酸モルヒネ注射液(㎎/日) <15 30 60

オピオイド換算表

オキファスト注(㎎/日) 30 60 120 180

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当院採用オピオイド鎮痛薬一覧

商品名 規格 薬価(円) 

麻)塩酸モルヒネ錠 10mg 128麻)塩酸モルヒネ散 100mg/g 1g あたり222

30mg 801120mg 27745mg/2.5mL 12210mg/5mL 22720mg 52830mg 767

麻)モルペス細粒 10mg/0.5g包 2065mg 14920mg 52340mg 9655mg/1g包 13010mg/2g包 26025mg 3750mg 65

トラムセット(*トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェンの合剤)

1錠に*37.5mg/325mg

68

麻)リン酸コデイン散 100mg/g 1g あたり146

2.1mg 19264.2mg 34678.4mg 653816.8mg 120471mg 5704mg 1982

10mg 32220mg 61030mg 874

10mg/1mL 30650mg/5mL 1380200mg/5mL 5076

麻)パビナール注 8mg/1mL 3670.1mg/2mL 2370.25mg/5mL 571

麻)塩酸モルヒネ注射液

麻)フェンタニル注射液

麻)デュロテップMTパッチ

2011年8月 旭川医科大学病院緩和ケアチーム改訂

麻)オキノーム散

麻)パシーフCap

麻)オプソ内服液

麻)ピーガード錠

麻)オキシコンチン錠

麻)アンペック坐剤

トラマールCap

麻)フェントステープ

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投与方法による換算 モルヒネ

内服 : 坐薬 : 静脈・皮下 : 硬膜外 1 : 1/2 : 1/2~1/3 : 1/10~ 1/15

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オキファスト注Ⓡ

オキシコドン塩酸塩水和物注射液 (2012年発売) 1A中 オキシコドン塩酸塩(無水物) 10mg・50mg

モルヒネ注射液

30~45mg(36㎎) モルヒネ内服薬 90mg

オキシコンチン内服薬 60mg

オキファスト注射液Ⓡ

45mg

1/2~1/3

3/4 (0.75 倍)

2/3 4/3 (1.25倍)

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オピオイド系鎮痛薬を使用していない患者

痛みの程度に応じてオキファスト注Ⓡ7.5~12.5mgを1日投与量とすることが望ましい

オキファスト注Ⓡ

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オピオイド系鎮痛薬を使用している患者

モルヒネ注射剤の持続静脈内投与をオキファスト注Ⓡに変更

モルヒネ注射剤の1.25倍量を目安

経口オキシコドン製剤をオキファスト注Ⓡ変更

オキシコドン製剤の0.75倍量を目安

フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合

フェンタニル貼付剤剥離後に血中濃度が50%に減少するまで

17時間以上かかる

剥離直後のオキファスト注Ⓡの使用は避け,使用を開始するまでに,

フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあける

オキファスト注Ⓡを低用量から投与することを考慮する

オキファスト注Ⓡ

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オピオイドスイッチ (オピオイドローテーション)の方法

• 力価表に従って、現在のオピオイドと等価の新しいオピオイドの投与量を換算

• 経口モルヒネ60mg/日以上の場合、一度に変更せず、30~50%づつ徐々に置き換える

→急に経口できなくなった時はこの限りではない

• 変更後疼痛と眠気の観察を行う

・痛みの増強:30%増量

・眠気の増強:20%減量

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オピオイドスイッチング (オピオイドローテーション)の注意点

• 比較的良好な疼痛コントロールが得られている場合はその相当量の50~75%で切り替える

→オピオイド間の相互耐性が完全ではないから

(たとえば患者があるオピオイドで、眠気に対する耐性を獲得して も、相当する量の別のオピオイドに変更するとその患者は再び 眠気を経験する)

• 疼痛のコントロールが不十分な場合はその相当量の75~100%で切り替える

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オピオイドスイッチ (オピオイドローテーション)

をしてみましょう!

オキシコンチンⓇ 内服を

デュロテップⓇMTパッチにしてみましょう。

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オキシコンチンⓇ →デュロテップⓇMTパッチ

• オキシコンチンⓇ 40mg/日→デュロテップⓇMT

パッチ

• オキシコンチンⓇ 40mgは

モルヒネ換算表で経口モルヒネの( )mg

• これは、デュロテップⓇMTパッチ( )mgと等価

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オキシコンチンⓇの内服をいつ止めて、

デュロテップⓇMTパッチをいつ貼ったらよいのでしょう?

オキシコンチンⓇ →デュロテップⓇMTパッチ

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• デュロテップⓇMTパッチは有効血中濃度に達するまでに12~24時間程度を要します。

• オキシコンチンⓇ内服は1日2回ですから12時間効果があります。

オキシコンチンⓇ →デュロテップⓇMT パッチ

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• 指示の出し方の例

デュロテップⓇMTパッチ( )mgを朝8時に貼付

( )時、オキシコンチンⓇ内服(継続・中止)

( )時、オキシコンチンⓇ内服(継続・中止)

オキシコンチンⓇ →デュロテップⓇMT パッチ

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モルヒネ→フェンタニルパッチ

内服1日2回製剤 貼付開始と同時に1回量を投与 内服1日1回製剤 投与した12時間後に貼付を開始 アンペック坐剤Ⓡ 貼付開始と同時に1回量を投与 塩酸モルヒネ錠・末Ⓡ 、オプソ内服液Ⓡ 貼付開始と同時および4時間後に1回量を投与 塩酸モルヒネ注Ⓡ 貼付開始 6時間後まで継続して持続点滴 6時間後半量に減量、12時間後中止

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フェンタニルパッチからの変更

フェンタニルパッチ→モルヒネ、オキシコンチン内服 ①パッチ剥離24時間後内服開始 (剥離後フェンタニルの半減期約20時間) ②パッチ剥離6~12時間後内服開始 (剥離後フェンタニルの半減期約17時間) 間違いの少ないわかりやすいタイミングを優先 落ち着くまでレスキューでカバーする

フェンタニルパッチ→注射剤 パッチ剥離6時間後から半量で開始12時間後全量へ (パッチ剥離18時間後から全量で開始)

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・パシーフⓇ 180mg/日を内服した12時間 後にデュロテップⓇMTパッチ4.2mgを貼付 ・次回からパシーフⓇ 120mgに減量 ・レスキューはそのまま

・デュロテップⓇMTパッチを貼る交替日、 パシーフⓇ120mg/日を内服した12時間後 にデュロテップⓇMTパッチ8.4mgを貼付 ・次回からパシーフⓇ 60mgに減量 ・レスキューはそのまま

パシーフⓇ 180mg/日 → デュロテップⓇMTパッチ

① ② ③ ④ パシーフⓇ 180mg/日 レスキュー: モルヒネ 30mg/回

パシーフⓇ 120mg/日 デュロテップⓇ

MTパッチ 4.2mg

パシーフⓇ 60mg/日 デュロテップⓇ

MTパッチ 8.4mg

デュロテップⓇ

MTパッチ 12.6mg

大量のオピオイドを使用している場合

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フェンタニル貼付剤

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フェンタニル貼付剤 3日製剤

特徴:アルコールが添付されていないので、アルコールに弱い患者にも使用可能 12.5μg/hr製剤が発売されたので、コントロールが容易

レスキュー

内服ができない場合

アンペック坐薬Ⓡ

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フェンタニル貼付剤 1日製剤

1日1回製剤 2010年6月 2012年2月 発売

少用量規格(モルヒネ29mg以下相当)を有する

日本人向けに開発した製剤

製剤の工夫 患者・医療従事者が使いやすい製品仕様

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フェンタニル貼付剤 1日製剤

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フェンタニル口腔粘膜吸収製剤

アブストラル® イーフェン®

剤型 舌下錠 バッカル錠

規格ラインナップ(μg)

100、200、400 50、100、200、400、600、800

開始用量 100μg 50μg、100μg

最高用量 1回800μg 1日4回まで

1回800μg 1日4回まで

使用後に痛みが続く場合の追加タイミング (患者判断で1回だけ可能)

30分後

30分後

最短投与間隔 2時間 4時間

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フェンタニル口腔粘膜吸収製剤

次回の突出痛には同じ投与量を使用する

痛みが 消失

痛みが 残存

追加投与が 複数回 必要な場合

開始期

用量調節期

維持期

次回の突出痛には同じ投与量を使用する

痛みが 消失

痛みが 残存

追加投与が 必要な突出痛が 複数回ある場合

開始期

用量調節期

維持期

ベースラインの1/8~1/4

60分後以降の 痛みの残存の有無

ベースラインを 増量(→レスキューも増量)

同一用量を 追加投与

参考:日本緩和医療学会 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010年版 改変

開始時の投与量100μg

30分後以降の 痛みの残存の有無

次回の突出痛には 一段階増量を検討 する

同一用量以下を 追加投与

フェンタニル口腔粘膜吸収製剤の場合 モルヒネ・オキシコドン経口剤の場合

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フェンタニル口腔粘膜吸収製剤

初回投与

100μg

30分 以降

痛みが続く

突出痛

追加投与は30分後以降、同一用量以下

100μg 100μg

レスキューの効果

追加投与 (初回投与30分後以降痛みが続く場合)

100μg

増量・投与間隔

追加投与

100μg 100μg

追加投与

100μg 100μg

追加投与

200μg 200μg

2または4時間以上 2または4時間以上

30分 以降 30分 以降

2または4時間以上

1日に4回を超える突出痛の発現が続く場合には、ベースのオピオイド鎮痛剤の増量を検討

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持続皮下注

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持続皮下注 利点

•経口困難な患者様に投与可能 •携帯に便利で入浴や外泊が可能 •持続速度、注入量を臨機応変に調節可能 •確実に薬物が体内に入る •過量投与が起こりにくい •静脈注射と比較し感染が起こりにくい •血管を確保しなくても良い

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持続皮下注 欠点

• 注射液の交換、管理が必要

• 大容量投与には不適

• 皮膚刺激物質では疼痛または壊死の可能性

• 長期安定性が期待できない薬剤には不向き

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持続皮下注 使用目的

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持続皮下注 使用される薬剤 • 皮膚の局所刺激が少なく、安定して吸収されるものが望まれる。

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持続皮下注 穿刺部位と注意点

針は体動に影響を受けない方向に刺入

刺入部位は鎖骨と乳頭の間もしくは腹部が 好まれる

注入量には個人差があるが、1ml/hrが限界 0.5ml/hr程度では問題ないが、0.8ml/hr くらいで皮膚が発赤することがあり、頻回の刺し替えが必要となる

2ルートにする方法もある

モルヒネ:ヒスタミン遊離作用により蕁麻疹や発赤、硬結が出現することがある。この際には0.5~1mg/日のデカドロンⓇかリンデロンⓇを添加すると消失する 刺入部の痛みには2%リドカインを使用する

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

あさひかわ緩和ケア講座 2012 あさひかわ緩和ケア講座 2014

メサドン

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• 1937年ドイツにおいて合成された合成麻薬

• 1946年医療分野に紹介された。

• 1957年までに4000人のがん患者、術後患者に投与された。

• 北米ではでは麻薬の置き換え治療として使用

→ 1965年 最初のヘロイン依存患者に

メサドン1日1回投与が報告された

メサドン歴史

メサドン塩酸塩

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メサドン発売 2013年

必要に応じて鎮痛補助薬 抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、NMDA受容体拮抗薬、 ステロイド等

NSAIDsまたはアセトアミノフェン(カロナール)※

軽度から中等度の痛みに用いる

オピオイド

コデイン トラマドール

中等度から強度の痛みに用いる

オピオイド

フェンタニル モルヒネ

オキシコドン

メサドン

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• 脂溶性オピオイド

経口錠剤 経口液剤 静脈投与 経腸投与ができる

(舌下、経鼻投与も可能)

経口投与

• 経口半減期が長い ばらつきが大きい。

• 5~30分後には血漿から検出される。

• 最高血中濃度に達するのは、2.5時間~4.4時間

• 半減期 8.5時間~47時間、65時間

• 生物学的利用能はモルヒネより高い(79±21%)

メサドン

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• μオピオイド受容体に高い親和性がある。

μ受容体への親和性はモルヒネより強い

δとκ受容体には弱く結合する。

• NMDA(N-methyl-D-aspartic acid)受容体に拮抗する

NMDA受容体に強く結合

ケタミンより高い親和性を示す

• ノルエピネフリン、セロトニンの再取り込みを阻害し下行系抑制系

を賦活する?

• オピオイドの耐性をリバースできる。

NMDA受容体拮抗作用によってオピオイドの

耐性を回復させる(動物実験)

メサドンはオピオイド耐性と痛覚過敏を回復させる(動物実験)

メサドン薬効 薬理

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代謝

肝代謝 → 腎不全患者にも投与可能

排泄

腎・糞便中に排泄

薬物相互作用

抗うつ薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗痙攣薬

抗生剤、その他

メサドン薬効 薬理

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オピオイドの有害事象

鎮静 吐き気 呼吸抑制 便秘 幻覚

ミオクローヌス(活性代謝物がないのに・・・)

皮膚障害

皮下投与時の痒み

QT延長症候群

• 高容量のメサドン静脈投与で出現

• 経口メサドン 16%で出現

呼吸抑制

• 他のオピオイドとの交叉耐性が少ない(不完全)

• 血中濃度が定常状態に達するまで時間がかかる

→ 過量投与を引き起こし呼吸抑制の発現リスクが高まる可能性

メサドン薬効 薬理

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

• 他のオピオイドを使用して痛みの改善が認められない時、副作用が強い時

• ベースとしての使用

(突出痛に対する使用:日本では行っていない)

• 神経障害性疼痛に対する使用

• 経口モルヒネ量60mg/日未満のオピオイドからの切り替えは推奨されない

メサドン投与の実際

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NSAIDs、オピオイドを投与しても 改善しない痛みの治療は?

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痛みの分類

侵害受容性疼痛 (神経終末の刺激による痛み) a.体性痛 表面痛 皮膚・粘膜由来など 深部痛 骨・筋肉由来など b.内臓痛 内臓器の被膜伸展 腸管・尿管の閉塞 交感神経への浸潤など 神経障害性疼痛 (神経自体の損傷) 末梢性 脳神経・脊髄神経 中枢性 脳・脊髄

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神経障害性疼痛

患者さんの表現

• びりびりしびれるような

• 電気が走るような

• 焼けるような

• 締め付けられるような

治療

• 鎮痛補助薬

• 鎮痛補助薬の有効率:40~60%

• 十分なエビデンスと保険適応がない薬剤が多い

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神経障害性疼痛の薬物治療ガイドライン

第一選択治療薬(first line) ・三環系抗うつ薬:ノルトリプチン、デシプラミン ・SNRI:デュロキセチン ヴェンラファキシン ・Ca+ α2-δ リガンド:ガバペンチン、プレガバリン ・リドカイン(パッチ):キシロカイン

第二選択治療薬(second line) ・オピオイド:モルヒネ、オキシコドン、メサドン、レボルファノール ・トラマドール:トラマドール

第三選択治療薬(third line) ・ガバペンチン以外の抗けいれん薬、抗うつ薬 ・メキシレチン、NMDA受容体拮抗薬、カプサイシン

Dworkin R.H.et al.:Pharmacologic management of neuropathic pain: Evidence-based recommendations Pain 132 (2007) 237–251

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神経障害性疼痛の薬物治療ガイドライン

• オピオイドが第一選択治療薬として推奨される病態

• 三環系抗うつ薬などの第一選択治療薬を用いたタイトレーション(至適投与量設定)期間中に速やかな鎮痛が必要とされている場合

• 激しい突出痛が出現している場合

• 急性の神経障害性疼痛

• 神経障害性のがん疼痛

Dworkin R.H.et al.:Pharmacologic management of neuropathic pain: Evidence-based recommendations Pain 132 (2007) 237–251

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主訴 痛み

痛みの範囲が神経解剖学的に妥当である

なおかつ

体性感覚系の損傷あるいは疾患を示唆する

神経障害性疼痛の

可能性はきわめて低い現症と病歴

作業仮説:

神経障害性疼痛の可能性がある神経障害性疼痛としての

作業仮説を再評価

神経障害性疼痛と

確定する

神経障害性疼痛の

要素を一部持っている

評価・検査

A: 障害神経の解剖学的神経支配に一致した領域

に観察される感覚障害の他覚的所見

B: 神経障害性疼痛を説明する神経損傷あるいは

疾患を診断する検査

No

Yes

一方のみ当てはまる両方とも当てはまる

両方とも当てはまらない

神経障害性疼痛診断のアルゴリズム 2012年日本ペインクリニック学会

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第1選択薬

◇Caチャンネルα2δリガンド

プレガバリン、ガバペンチン

◇三環系抗うつ薬 (TCA)

ノルトリプチリン、アミトリプチリン

イミプラミン

[複数の病態に対して有効性が確認されている薬剤]

PHN 有痛性糖尿病性ニューロパチー

◇抗不整脈薬

メキシレチン

◇SNRI

デュロキセチン

◇アルドース還元酵素阻害剤

エパルレスタット

ノイロトロピン

*下記の病態に限りTCA, Caチャンネルα2δリガンドと供に第1選択薬として考慮する

第2選択薬

◇ワクシニアウイルス接種家兎皮膚抽出液含有製剤(ノイロトロピン®)

◇デュロキセチン

◇メキシレチン

第3選択薬

◇麻薬性鎮痛薬

フェンタニル、モルヒネ、オキシコドン

トラマドール、ブプレノルフィン

[一つの病態に対して有効性が確認されている薬剤]

神経障害性疼痛 薬物療法アルゴリズム

三叉神経痛

カルバマゼピン

第1選択薬

**三叉神経痛だけは

特殊な薬物療法が必要

第2選択薬

三叉神経痛

バクロフェン

ラモトリギン

神経障害性疼痛薬物療法のアルゴリズム

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あさひかわ緩和ケア講座 2014

第1選択薬

第2選択薬

◇デュロキセチン

◇メキシレチン

第3選択薬

◇麻薬性鎮痛薬

フェンタニル、モルヒネ、オキシコドン

トラマドール、ブプレノルフィン

帯状疱疹後神経痛

三環系抗うつ薬

Caチャネルα2δリガンド

ワクシニアウイルス接種家兎皮膚抽出液

含有製剤(ノイロトロピン®)

三環系抗うつ薬

◇抗不整脈薬

メキシレチン

◇アルドース還元酵素阻害剤

エパルレスタット

◇SNRI

デュロキセチン

Caチャネルα2δリガンド

第1選択薬

第2選択薬

◇ワクシニアウイルス接種家兎皮膚

抽出液含有製剤(ノイロトロピン®)

第3選択薬

◇麻薬性鎮痛薬

フェンタニル、モルヒネ、オキシコドン

トラマドール、ブプレノルフィン

有痛性糖尿病性ニューロパチー

注意:糖尿病治療を必ず行うこと

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放射線療法

骨転移による疼痛の緩和と骨折の予防に放射線照射が有効

3Gy×10frが標準的だが、単回照射でも可

適応について、放射線治療医と相談

骨転移に限らず、責任病巣のはっきりした疼痛に対しては、適応の可能性がある

局所制御や根治も視野に入れた設定が可能

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ビスフォスフォネート

破骨細胞の活動を抑える薬剤 疼痛および骨折の予防に効果 (高カルシウム血症にも効果)

処方例 ゾメタⓇ (4mg)の点滴投与 (生食または5%グルコース100ml) 15分以上かけて点滴静注 ※重篤な副作用として顎骨壊死がある 投与前は、患者の口腔内の状態を観察 歯科治療が必要な場合には投与開始前に終了