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生命分子化学実験 I実験ノート物理化学分野

2012年度版

学籍番号(        )

i

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はじめに

小中学校から高校、そして大学まで、これまで皆さんは多くの実験を行ってきたと思いま

す。この大学の基礎実験を含めて、恐らくそのほとんどは、教科書や実験書の記載通りに装置

を組立て、試料を調製し、手順に従って操作を行い、出てきた結果も記載通りの方法で解析す

る、というものであったと思います。これは、時間や指導者数などの制限からやむを得ない

ことでしょう。しかし、実験教育で最も重要な、「目的達成のための方法を自ら考え、必要な

ものを探し、選び出す」という過程が大幅に省かれてしまっています。その結果、ろくに予

習していなくても結果だけは出せるので、大学の基礎実験でも当日の昼休みに実験書を斜め読

みしただけで取りかかってしまう人も少なくなかったようです。そういう人はレポートも

Wikipediaなどの丸写しですから、採点していて虚しい思いにかられます。皆さんが一回の実

験で払っているお金は約 5000円です。5000円も払ってそんなことを何回繰り返したとしても、

手技の習熟くらいにはなるかも知れませんが、講義で学んだ知識を実体験に基づいて再構成

し、将来、研究室や社会で難しい課題に直面した時に頼りになる応用力を錬成する、という本

来の目的は達成できません。

これから皆さんに取り組んでいただく実験は、これまで皆さんが体験してきた実験とは全

く異なるやり方をとっています。それは、「皆さん自身の手で、それぞれ独自の実験書と装

置を作っていただく」ということです。自分で作った実験書に従って実験装置を組み、それ

を使って測定するわけですから、限られた時間で正確な結果を導き出すためには、とことん

頭を使って最適な方法を考え出しておかなければなりません。もちろん、隣の人のやること

をちらちら見ながら真似してできるような内容ではありません。

当然予想できると思いますが、実験の前に、かなりの労力と時間を要することになります

しかし、真剣に取り組めば、「目的を達成する方法を自分の頭で考え、自分の手で実験装置を

作り、それを使ってデータを出し、その結果について深く考える」という、ごく限られた高

校の出身者や科学関係のクラブに所属していた少数の人を除いて、これまでほとんど経験で

きなかった非常に楽しくエキサイティングな体験ができることでしょう。それが新しい能力

の獲得に繋がり、今後の実験や研究活動で加速度的に増強されていくことは言うまでもありま

せん。

講義中に何回も繰り返し言ってきたことですが、6割の努力では何一つ後に残りません。7

割の努力では 3割、8割の努力なら 7割、9割以上の努力ならそれに見合った能力を自らの身

に残すことができるのです。全力を尽くせば全く無駄が無いのです。皆さんがごく近い将来、

社会の荒波の中にたった1人で放り出された時、唯一、頼りにできるのは、学生時代に誠実に

身につけてきたことだけです。皆さんが、この実験の趣旨をよく理解して皆さん自身の力で

新しい能力を創り出していただけることを切に願っています。

最後に、本実験の準備に際しては、新しく集めた資料だけではなく、これまでに受けた

色々な科目や基礎実験の記憶を呼び覚まし、教科書やノートで関連する部分を探して読み返し、

原理や法則や実験操作を一つ一つ再確認しましょう。「これまでに学んで来たあらゆる知識を

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総動員して、統合する」のです。実は、それこそが最も大切なことなのです。

石田 昭人

この実験を受講するにあたっての約束

以下の約束を守っていただけない方にはこの実験を受講していただくわけにはいきません。

実験態度が悪い場合や周囲の人達に大きな迷惑を及ぼしていると判断される場合には、以後

の受講を許さない可能性があります。

1. 安全教育で学んだ基本事項を守る

まず、周囲の人の安全を守ることを心掛けましょう。それが自分自身の安全に繋がりま

す。

2. 実験開始時間に遅れない

最初に当日の実験について説明や注意を行いますから遅れないで下さい。再説明しませ

ん。

特段の理由があって遅刻・欠席する場合にはあらかじめ御連絡下さい。

3. 実験書を完成させ、レポートの提出期限を守る

準備編を完成しておかないと実験できません。実験中、巡回して内容をチェックします。

レポート(準備編の課題内容+実験結果+考察)は毎回提出です。

期限は次回の実験開始時です。

疾病、事故、忌引きといった特段の理由なく遅れて提出しても受け取りません。

4. 自分の実験は自分1人で行い、周囲の人の操作や結果を見たり、聞いたりしない

周囲の人に操作法や結果を聞くことは非常に大きな迷惑になりますからやめて下さい。

結果を交換して議論する必要がある場合は指示しますので、実験後に行って下さい。

5. 実験室内では常に静粛に

実験中に声を発する必要があるのは、危険防止、ペアとの段取りの打合せや器具の貸し

借り、数字の読み上げ、教員や TAへの質問だけです。それ以外は静粛を保ってくださ

い。

実験は頭と身体を使いますから大変疲れます。適宜、実験室の外へ出て休憩しましょう。

6. 実験中の質問は具体的に

当たり前ですが、「できません。」や「わかりません。」と言われても対応不可能です。

質問する能力を磨きましょう。

何を、どのようにしたら、どのようになって、それに対してこのように考えた結果、こ

うすればいいと判断したが…のそれぞれが明確であるならば、その判断に対して助言で

iii

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きます。いきなり口頭でできないなら、一旦、紙に書いて整理してみましょう。

7. 頭を使って要領よく進める

この実験は 2コース分の時間で終了できるように内容を設定してあります。「時間割で

は 3,4コースになっているのに 4時に帰れない」という人が居ます。帰りたければ帰って

下さい。私は一向に構いません。また、とことんやりたい人にはとことんやってもらう主

義ですが、準備不足や単に要領が悪くて長時間を要する人に付き合わされるのは御免被り

ます。

8. レポート作成の規則を守る

実験の内容に関してネット上で入手できる情報はほとんど全て保有しています。また、

昨年までのレポートのコピーは全て保存しています。ネット上に流通している文書や先

輩のレポートをコピーするようなことをすると、不幸な結果を招きます。一回の実験に

5000円も払って自らの愚かさに磨きをかける人がこの学科に居ないことを願っています。

本実験では、部品や機器に関するもの以外のURLは参考文献として扱いません。

参考文献は日本化学会の論文投稿規定に従って出典を明記して下さい。

生命分子化学実験(物理化学的内容)のレポートフォーム入手法

http://eureka.kpu.ac.jp/~a_ishida/form.htmlにアクセスして、入手したいフォームの「実験 Xフォームダウンロード(Word形式)」の部分をクリックして下さい。X.docファイルがダウンロードされます。フォームの文書はMacで作成しているので他の PCでは図の位置などがずれる可能性がありますから、皆さんが書きやすいように、適当に改変して下さい。考察や実験結果でページ

数が増えても一向に構いません。

質問について

この実験の趣旨は、全てを自分1人だけで行うことにあります。フォームを作ったのはそ

のためです。本学に合格した皆さんの知力であれば、実験の準備に際して直面するであろう

さまざまな疑問に対して、自分1人でなんとか解決できるようなレベルに設定されています。

質問して私が答えれば一瞬で解決できるでしょうが、そんなことをしても何の意味もありま

せん。よって、準備段階での質問には恐らく完全にはお答えしません。それでも、どうして

も質問しなければならない事態に至った場合は「実験を受講するにあたっての約束」第 6項に準拠して作成した質問状をお渡し下さい。内容によっては答える場合もあるかもしれませ

ん。

友人同士で議論 相談なさるのは大いに結構です。ただし、模倣は実験の意義を喪失させる・ことを認識して下さい。今の若い人達にとって、他人と同じであることは安心できて居心地

がよいものらしいのですが、研究室に入れば1人1人がそれぞれ異なる課題に挑戦するわけ

ですし、社会へ出れば同じことをやっている人間など隣には居ませんから何一つ聞けません。

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仕事を任されて課題に直面したら、それに対するしっかりとした考えを自分1人で創り上げ

て、そこで初めて、先生や上司や同僚と相談できるのです。そんなことがいきなり出来る訳

がありません。何もしないで居ては絶対に出来るようにはなりません。だから、訓練する機

会を作ったのです。

ここは一つ、勇気を振り絞って「自分の考え」を大切にしましょう。私はそれを最も尊重

し、高く評価します。多少の的はずれなど、一向に構いません。いくらでも失敗しましょう。

私はこの実験を策定するに当たってとことん考え抜きました。課題も装置も部品も薬品も、新

しく、とにかく面白く、そして、安全なものを選りすぐっています。

1回 5000円も払って自分の知力を鈍らせることにエネルギーを注ぐ愚かな人は、皆さんの

中にはそれ程多くは居ないのではなかろうかと、私は思っております。

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目次

序.各実験の概要と趣旨

1.エレクトロニクスデバイスの特性評価と応用

発光ダイオードの特性測定

トランジスタの特性測定

2.分光測定の基本

発光ダイオードを光源に用いる簡易分光光度計の作製

紫外可視分光光度計による吸収スペクトル測定

紫外可視分光光度計と簡易分光光度計による定量測定

3.分子の光励起、緩和過程と有機光エレクトロニクスデバイス

簡易蛍光光度計の作製と蛍光消光実験

色素増感太陽電池の作製と特性評価

4.ガラス表面への分子修飾とマイクロ化学デバイス

ガラス表面への分子修飾反応

マイクロ化学デバイスによる蛍光分析

窒素レーザの製作と蛍光色素のレーザ発振(意欲と能力のある希望者のみ)

5.反応速度と活性化エネルギーの測定

発光ダイオードを光源とする旋光計の作製

熱電対による溶液の温度測定

糖濃度と旋光度、屈折率の相関測定

ショ糖の加水分解反応の観測と解析

6.電気化学センサの作製と性能評価

ガルバニ電池型酸素センサの作製

水中酸素濃度測定と各種高分子薄膜の酸素透過性比較

キュウリを用いるアスコルビン酸センサの作製と実測(意欲と能力のある希望者のみ)

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序.実験のねらい

それぞれの内容に少しでも興味を感じ、ねらいに共感できたなら、要求されたことをこな

すだけではなく、どうか、自分でもう一歩踏み込んで深く勉強していただきたいと思います。

1.エレクトロニクスデバイスの特性評価と応用

「え?なんで化学なのに…?」と思った人が皆さんの中に1人でも居るとすれば、それは私

達化学教育に携わる者の責任です。半導体デバイスは化学の最も華やかな応用分野の一つです。

半導体素材からパソコンの心臓である CPUの開発 製造まで、全てを支えているのが化学です・ 。

これまでは固体化学に基づく無機半導体が中心でしたが、有機 LEDに代表される有機化合物

を使ったデバイスが実用化され、次世代は主流となっていくことでしょう。皆さんがそれを

担っていくためにも、基本的なデバイスがどのようなもので、どのような機能をもつかくら

いは知っておかねばなりません。発光ダイオードとトランジスタの基本特性を測定してみま

しょう。

2.分光測定の基本

物理化学で学び、基礎実験で行った吸光度測定をもう一度やり直します。なぜなら、吸光度

測定は最も重要で最もよく使う分析法ですから、根本から正しく理解しておかないと研究室や

会社で難しい問題に直面した時に対処できないからです。そのために、1の実験で学んだ知識と合計数百円の部品を使って自分の手で簡単な分光光度計を作っていただきます。その性能を

数十万円の市販の分光光度計と比較してみましょう。どこが、どれほど、なぜ、違うのでし

ょう?測定原理から試料の作り方まで、実際の経験に裏打ちされた正しい知識を身につけて下

さい。きっと、目から鱗だと思います。

3.分子の光励起、緩和過程と有機光エレクトロニクスデバイス

蛍光については講義でわずかに触れた程度ですが、実際の研究では免疫反応を使った超高感

度分析、マイクロアレイ、蛍光タンパク質を使った顕微分光測定など、これ以上重要な分光法

はないと言えるほどのものです。この機会に基本的な知識を固めておきましょう。光合成を

始めとする光生物学はもちろん、有機太陽電池や有機 LEDのような励起状態を応用する研究

で必要不可欠な定量的な取扱の基本を習得します。この実験でも実験 1,2の経験をもとにして

簡単な蛍光分光光度計を自作し、測定を行います。

さらに、分子の励起状態を応用する有機光エレクトロニクスデバイスの一例として、色素増

感太陽電池を自作してその特性を評価してみましょう。色素には植物から抽出した光合成色素

のクロロフィルやハイビスカスの花の色素を用います。光励起エネルギーを用いて電子が移

動することを実感してください。

4.ガラス表面への分子修飾とマイクロ流体デバイス

ガラスの表面に有機分子を修飾すると聞いても全くイメージが掴めないと思いますが、

DNAや抗体のようなタンパク質をガラスの表面に修飾 固定化することは、近年急速に発展し・1

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てきたマイクロアレイ技術の基本です。まず、ガラスの表面を分子修飾できるように活性化

させて、そのマイクロアレイを実際に作ってみましょう。抗原や抗体を修飾して免疫分析を

行うのです。

マイクロアレイを使って分析する時には、試料のほうも極微量で十分です。そこで、これも

ここ数年で急速に発展してきたマイクロ流体デバイスを自分で作って使ってみましょう。マ

イクロ流体デバイスは μTAS(マイクロ総合分析システム)として応用され、分析技術に革命

をもたらせました。自作することによって、その威力が実感できると思います。さらに、市

販のマイクロ流体デバイスについても使用経験を積みます。

これらの測定は蛍光イメージャや CCD 顕微鏡で行います。この機会に PCを使った画像計

測にも挑戦してみましょう。

この実験はそれほど時間がかかりませんので、もし余裕があれば窒素レーザを組み立てて発

振させ、その紫外光パルスで蛍光色素を励起してスペクトルを測定し、蛍光色素のレーザ発振

を確認する実験をやってみましょう。これはかなりしっかりした予習が必要ですから希望者

のみとします。時間がなければ日を改めて行います。

5.反応速度と活性化エネルギーの測定

反応速度論を講義で学び、計算は一通りできるようになったわけですが、これは化学反応を

定量的に研究するためのツールなのですから、定規や関数電卓と同じように、ただ手にした

だけでは全く意味をなしません。実際の問題解決に使って初めて意味をもつものです。そこ

で、最初の実測例として、ショ糖の加水分解反応を一連の温度で行って活性化エネルギーを求

めてみましょう。糖の濃度を測定する方法としては色々ありますが、ここでは糖の光学活性

を利用した旋光度の測定を行います。旋光度測定は薬剤をはじめとする有機合成などにも応用

されるので非常に重要です。この実験でも測定機器である旋光計を自作して、その構造や原理

を根本から理解します。また、折角、糖の溶液を扱うので、この機会に醸造業や食品製造業の

現場で濃度測定に多用される屈折計についてもその原理と使用法を習得します。

6.電気化学センサの作製と性能評価

イオンや分子を検出してその濃度を電気信号に変換する分子センサは生命科学研究にはもち

ろん、環境分析、工業プロセス管理、さらには臨床医学など、幅広い分野で使われています。

対象となるイオンや分子の種類も膨大ですし、検出の方法にも色々なものがあります。ここ

では酸化還元反応を用いて電気化学的に分子を検出する電気化学センサの一例として、ガルバ

ニ電池型酸素センサを作製します。このセンサの要である酸素透過膜には実験用のパラフィ

ルムや市販のラップフィルムを用い、酸素透過性を比較します。高分子の種類によって酸素透

過性が全く異なることを実感し、その理由を調べることで、高分子の立体的な構造を理解しま

しょう

この酸素センサの透過膜の表面に酸化還元酵素を吸着させておけば、その反応による電子移

動が酸素の酸化還元に反映されますから、間接的に酵素の基質を検出することが可能になりま

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す。キュウリの皮の中にはアスコルビン酸分解酵素が含まれています。キュウリの皮をごく

薄く切って酸素透過膜の表面に貼り付ければ、溶液中のアスコルビン酸を検出 定量できるセ・ンサになるわけです。余裕があれば試してみましょう。

実験1.エレクトロニクスデバイスの特性評価と応用(準備)学 籍 番 号 (

 )課題1:発光ダイオードの特性測定

目的:発光ダイオードの IV特性と発光特性を明らかにする

課題2:バイポーラトランジスタの特性測定

目的:バイポーラトランジスタの電流増幅機能を理解し、電流増幅率を評価する

課題1:発光ダイオードの特性測定

目的を理解するための学習

半導体ダイオードは最も単純な半導体素子で、その名の通り      と      の

2つの電極を持ち、      を一方向にしか流さない      作用を持っている素子

である。この作用は、シリコン半導体の場合、4価のシリコンに    価の原子である

などをドーピングして作製される、      を過剰にもつ    型半導体と、

価の原子である         などをシリコンにドーピングして作製される、

が不足した    型半導体を接合することによって発現される。

IV特性というのは、2つの電極の間に印加する電圧と、その時流れる電流の関係で、ダイ

オードの場合には   方向の電圧をかけた場合にしか電流が流れないので、IV特性をグラ

フで表すと次のようになる。

すなわち、電圧は正の領域、電流は   の領域を測定すればよい(実際には一定以上の大

きな負電圧をかけると急激に電流が流れるが、本実験ではこの現象(ツェナー効果)は扱わな

い)。

本実験で用いる発光ダイオード(LED)はその名の通り、電流を流すことによって発光する

I

V0

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特殊なダイオードであるが、通常のダイオードと同様の IV特性をもつ。この実験では、後の

実験で用いる旋光計や分光光度計の光源として用いる各種の波長の LEDについて IV特性を測

定する。

目的を達成するための方法

LEDに一連の      を印加し、その時の      を測定する。

それぞれを横軸、縦軸にプロットすれば IV特性が明らかにできる。

目的を達成するために必要な事項と、そのために必要な機材

       を変化させてダイオードに印加する 定電圧電源と可変抵抗器

印加した電圧と電流をそれぞれ測定する              2台

部品を配置して回路を組む         と     線

使用可能な部品 機材一覧・各種 LED(2 種類を選んで測定する)、20 kΩ可変抵抗器、500 kΩ可変抵抗器、ブレッドボ

ード(サンハヤト SAD11)、ジャンパ線(サンハヤト SKS140)、バナナチップケーブル、

デジタルマルチメータ(リンクマン LDM-81D、1人 1 台)、3〜15 V定電圧電源(サンハヤ

トDK910、2人 1 台)、ピンセット、粘着テープ、ラベル、グラフ用紙、など

その他、使用してよいもの

ノート、筆記用具、定規、電卓、デジタルカメラ、ノートパソコン、など

具体的な実験方法

1) 回路図の作成

IV特性図を念頭において、必要事項を満たすように、回路図を作ってみましょう。

ポイント

・ 電源とデジタルマルチメータは2人で互いに貸し借りすることにします。電源は 1 台、デジタルマ

ルチメータは 2 台あるとして、回路図を作ります。

・ LEDの記号と極性、可変抵抗器の記号は調べましたか?

・ 可変抵抗器は抵抗値の異なる 2 種類のものがあります。可変抵抗器には端子が 3つあります。ステ

ップで電圧を発生する定電圧電源と組み合わせて、電圧をなめらかに変化させるにはどうすればよ

いでしょう?

・ 2台のデジタルマルチメータはそれぞれ、電圧計と電流計として使います。それぞれ、回路のどこ

に入れればよいでしょう?

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フォトダイオードの IV特性測定のための回路図

2) 実体図の作成

では、回路図にしたがって、紙の上を机の上に見立てて、ブレッドボード上に部品を配置し

て、周囲に置いた電源とデジタルマルチメータを接続し、測定回路を組んでみましょう。

ポイント

・ 定電圧電源、デジタルマルチメータ、ブレッドボード、可変抵抗器、LEDなどの外観写真、端子の

種類や位置はメーカのWebサイトや取扱説明書で確認しましたか?

・ LEDの極性(足の長いほうと短いほう)、可変抵抗器の数値コードも必ず記入しておきましょう。

・ 定電圧電源とデジタルマルチメータの端子はどちらもブレッドボードの孔には直接差し込めません。

・ ブレッドボードには外部接続用のコネクタが5個あります(しかない)。何にどう繋ぎますか?

・ 小さな可変抵抗器をドライバーで調整しやすく、デジタルマルチメータを読み取りやすいようにす

るには、電源やデジタルマルチメータを机の上にどのように配置すればよいでしょう?

フォトダイオードの IV特性測定のための実体配線図

参考文献

ここまでに引用した参考文献をリストアップして下さい。

本実験では、部品や測定機器以外のURLは文献としては扱いません。

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課題2:バイポーラトランジスタの特性測定

目的を理解するための学習

微細な電気信号を大きく増幅することは電子機器の基本である。携帯電話や AV機器では飛

び交う電波や記録媒体の中から取り出した微弱な信号を変換、増幅して、人の眼に見え、耳に

聞こえるような大きさの信号にしなければならない。自動車のエンジン、分析機器や医療機

器などで使われる各種センサからの信号も同様で、まさに、ありとあらゆるところで増幅回

路が使われている。バイポーラトランジスタ(以下、トランジスタ)はベル研究所で開発さ

れた電流増幅機能をもつ半導体素子である。それまで使われていた      に代わって、

ごく小さな半導体素子で信号を増幅することが可能になり、電子回路の超小型化と消費電力の

低減が可能となった。エレクトロニクスの時代を拓いたわけである。その後、光化学反応を

使って微 細な回路 パターンをシリコンなどの基板上に形成する技術である

を用いて、1個のチップ上に多数のトランジスタなどを含む回路を集積した      が開

発され、今日では、数千万個ものトランジスタが集積化された大規模集積回路がコンピュータ

の      などに用いられている。さらに、伝導体や半導体の特性をもつ有機ケイ素化合

物や π 共役系化合物の合成技術の進展にともない、有機トランジスタも現実のものとなりつつ

ある。

トランジスタはp型とn型の半導体を 3 層構造として接合を形成したもので、組み合わせに

よって    型と    型の2種類がある。3 層の各領域はそれぞれ、      、

、および、      とよばれ、電極が取り付けられている。すなわち、トランジスタは 3

つの電極をもつ素子である。

トランジスタは      と      の間に流れる電流を外部回路の駆動に用いるが、

この2つの電極の間に電圧を印加しただけでは電流は流れない。     型のトランジス

タの場合、      と      の間に順方向の電圧を印加して弱い電流を流してやる

と、

      の領域にキャリア(自由電子)が注入される。本来ならば、p 型から n 型に対し

て電子が流れ込むことはないはずであるが、その接合面には逆方向の電圧が印加されている

ことになり、これが加速電圧となってキャリアが引き込まれ、その結果、大きな電流が流れ

る。すなわち、      と      の間に微小な電流を流すと、      と

の間には大きな電流が流れ、まさに、電流が増幅されるのである。

pnpトランジスタの中の電子とホール(正孔)の流れを図で表すと次のようになる。

(これを「ベース接地回路」とか「ベース共通回路」と呼びます。)

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一方、npnトランジスタの中の電子とホール(正孔)の流れを図で表すと次のようになる。

ポイント

npnトランジスタの場合には、キャリアはホールではなく電子です。

上の説明文と pnpの図をもとに、電源の極性、電子の流れをよく考えて、描いてみましょう。

npnトランジスタの中の電子とホール(正孔)の流れ

トランジスタには色々な使い方があるが、最も基本的な使い方の一つに「エミッタ接地回

路」があり、本実験ではこの回路を用いてトランジスタの電流増幅率を評価する。

npnトランジスタのエミッタ接地回路

具体的には、ベースとエミッタの間に高い抵抗を介して電圧を印加し、一定の微弱なベース

電流 IBを流した状態において、エミッタとコレクタ間の電圧 VCEを変化させながらコレクタ電

流 ICを測定し、横軸に VCE、縦軸に ICをプロットする。これを、一連のベース電流について繰

り返すと、次の図のようになる。

このプロットの立ち上がり(立ち下がり)の領域を     領域、ゆるやかな傾きをも

つプラトーの領域を     領域と呼び、通常の増幅用途に用いられるのは     領域

である。(これらの用語は普通のグラフの感覚とは逆になるので注意!)

この回路における電流の比 IC / IBは電流増幅率(hFE)とよばれ、トランジスタの最も重要な特

性の一つである。hFEを求めるには、ある一定の VCEにおける ICと IBをプロットし、その傾き

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を求めればよい。

ポイント

npnと pnpでは電圧と電流の正負がそれぞれ反対になります。

目的を達成するための方法

エミッタ接地回路を作製し、      と      の間に一定の強さの微弱電流

(IB)を流した状態で、      と      の間に一連の電圧を印加し、両者の間を

流れる電流(IC)を測定してプロットする。

次に、      を変化させて数点で同様の測定を繰り返し、各プロットの一定電圧にお

ける ICと IBの比から、      を求める。

目的を達成するために必要な事項と、そのために必要な機材

       と       の間に電圧を印加して微弱な電流を流す

定電圧電源+高抵抗の可変抵抗器+高抵抗の固定抵抗器

       と       の間に電圧を印加して、主電流を誘起する

定電圧電源+低抵抗の可変抵抗器+低抵抗の固定抵抗器

       と       の間に流れる電流を設定する

デジタルマルチメータ(電流設定後に付け替える)

       と       の間に印加する電圧と、流れる電流を同時に測定する

デジタルマルチメータ 2台

IC

VCE

0

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部品を配置して回路を組む ブレッドボードとジャンパ線

ポイント

一見してわかるように、この測定にはデジタルマルチメータが3台必要なのですが、数が無いので、

一定強度の電流に設定した後で付け替えることにします。また、電源も馬鹿正直に回路を組めば2台

必要ですが、これも数が無いので、回路を工夫して一つで済ませられるようにします。

使用可能な部品 機材一覧・トランジスタ(pnp, 2SA1015か npn, 2SC1815どちらかを選んで測定する。この2つは極性が

反対で特性が全く同じペアで、「コンプリメンタリ」と呼ばれる)、

20 kΩ可変抵抗器、500 kΩ可変抵抗器、

固定抵抗器(1 MΩ、220 kΩ、22 kΩ、360Ω)、

ブレッドボード(サンハヤト SAD11)、ジャンパ線(サンハヤト SKS140)、バナナチップケーブル、

デジタルマルチメータ(リンクマン LDM-81D、1人 1 台)、

3〜15 V定電圧電源(サンハヤトDK910、2人 1 台)、

ピンセット、粘着テープ、ラベル、グラフ用紙、など

その他、使用してよいもの

ノート、筆記用具、定規、電卓、デジタルカメラ、ノートパソコン、など

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具体的な実験方法

1) 回路図の作成

エミッタ接地特性図を念頭において、必要事項を満たすように、回路図を作ってみましょう。

ポイント

・ トランジスタの記号と足の対応、可変抵抗器の記号は調べましたか?

・ 電源は 1 台、デジタルマルチメータは 3 台あるとして回路図を作ります。

・ 電源が 1 台しかありません。どうすれば2箇所に別々の電圧を供給できるでしょう?

・ pnpと npnでは電源の極性が反対になります。当然、電流が流れる方向も逆です。

・ 可変抵抗器は抵抗値の異なる 2 種類のものがあります。一方は微弱な電流の制御に用い、もう一方

は主電流を駆動するための電圧印加に用います。どちらが抵抗値が大きいものを使えばよいかはち

ょっと考えればわかりますよね?また、どちらも、必ず固定抵抗と組み合わせて用います(な

ぜ?)。

・ 3 台のデジタルマルチメータはそれぞれ、電流計、電圧計、電流計として使います。

エミッタ接地特性の測定回路図

2) 実体図の作成

では、回路図にしたがって、紙の上を机の上に見立てて、ブレッドボード上に部品を配置し

て、周囲に置いた電源とデジタルマルチメータを接続し、測定回路を組んでみましょう。

ポイント

・ トランジスタの3本の足をくれぐれも間違えないように注意します。トランジスタの形と上から見

た足の位置をはっきりと描いておきます。

・ 実測時に間違えないよう可変抵抗器の数値コードと固定抵抗器の色コードを記入しておきましょう。

・ デジタルマルチメータは3台あるとして作図します。うち、2 台は実験中に何回も交換して使うこ

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とを前提に、配置と配線を工夫しましょう。もう 1 台は固定したままです。

エミッタ接地特性回路の実体配線図

参考文献

ここまでに引用した参考文献をリストアップして下さい。

本実験では、部品や測定機器以外のURLは文献としては扱いません。

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実験1.エレクトロニクスデバイスの特性評価と応用(結果)学 籍 番 号 (

 )     年   月   日 天候    気温   ℃ 湿度   %

課題1:発光ダイオードの特性測定

1) 実験操作

いよいよ測定です。

実体図にしたがって、ブレッドボードに部品を取付け、機材を配置して配線しましょう。

定電圧電源でラフに電圧を設定し、可変抵抗器をドライバーで回して精密に電圧を変え、電

流を測定してノートに記録し、できるだけ同時にグラフ用紙にプロットしていきましょう。

ポイント

・ 定電圧電源と LEDの極性に十分注意しましょう

・ 電圧は必ず低いほうから高いほうへ、徐々に振っていきます。これは、この種の実験の鉄則です!

・ 30 mA以上の電流を流さないように!(赤色の LEDの場合は特に注意!一瞬で焼損します!)

・ LEDの中には超高輝度 LEDとUV-LEDが含まれているので、光を直視してはいけません。

・ IV特性の予測から、どの領域を細かく、どの領域はまばらでよいかをよく考えて測定しましょう。

・ デジタルマルチメータのオートパワーオフ機能を解除しておくのを忘れないように。

・ 測定を繰り返す必要はあるでしょうか?その理由は?繰り返すならば何回ですか?その理由は?

実際の測定装置の写真

測定装置全体の写真を貼り付けて下さい。携帯のカメラの画像で十分です。

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2) 実験結果

LED#1(発光色     )

測定結果(表) どのような表にすれば一番わかりやすく効率が良くなるでしょう?

測定結果(グラフ) 回帰処理はどうしますか?

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LED#2(発光色     )

測定結果(表)

測定結果(グラフ)

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3) 考察 ページは適宜追加して下さい。

1. 発光の原理と化合物半導体について

2. 発光色と IV特性の関係

3. 発光強度と電流の関係

4. 発光スペクトルの波長幅が持つ意味

5. 光源としての LEDの特長

6. 有機分子で発光ダイオードを作る場合の長所と課題

参考文献

ここまでに引用した参考文献をリストアップして下さい。

本実験では、部品や測定機器以外のURLは文献としては扱いません。

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課題2:トランジスタの特性測定

1) 実験操作

いよいよ測定です。

実体図にしたがって、ブレッドボードに部品を取付け、機材を配置して配線しましょう。

i) 最初に、デジタルマルチメータを「ベース電流(IB)設定用」に接続します。

IB設定用のデジタルマルチメータのレンジはもちろん μAですよ。

ii) 可変抵抗器を2つとも、抵抗値最大に設定します(この種の測定の鉄則です!)。

iii) 電圧を定電圧電源で 6 Vに設定し、高抵抗の可変抵抗器をドライバーで回して、IBを数十

μAに設定します。

iv) デジタルマルチメータを「コレクタ電流(IC)測定用」に接続しなおします。

v) 低抵抗の可変抵抗器をドライバーで回して、VCEを設定し、コレクタ電流(IC)を測定して

ノートに記録し、同時にグラフ用紙にプロットしていきましょう。

vi) VCEが最大になったらそこで測定を終わりますが、必ず、最小電圧に戻します。

vii) i)に戻り、IBを少しずつ大きな値に設定して、測定を繰り返していきます。

ポイント

・ このトランジスタが耐えられるコレクタ損失(VCEと ICの積)は最大 400 mWですから、必ず、VCEと ICの積が 400 mWを超えない範囲で測定を行います。超えると焼損しま

す!とくに、IBが 1 mA以上の条件では十分注意しましょう。400 mW付近ではトランジスタが強く発熱しますから、なるべく手早く測定を行います。

・ デジタルマルチメータをつなぎ変える時にはレンジの設定に注意しましょう

・ 特性の予測から、どの領域を細かく、どの領域はまばらでよいかをよく考えて測定しま

しょう。

・ 室温やトランジスタが発熱の影響はあるでしょうか?その理由は?

実際の測定装置の写真

測定装置全体の写真を貼り付けて下さい。携帯のカメラの写真で十分です。

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2)結果測定結果(表)どのような表を作れば効率よく実験ができるでしょう?よく考えてから実験にとりかかります。

測定結果(グラフ) グラフは2種類必要ですね?回帰処理はどうしますか?

計算結果

hfe(電流増幅率)の値(        )

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3)考察 ページは適宜追加して下さい。

1. トランジスタの中を電子やホールが動く速度とその意味(何によって制限され、デバイ

スとしてどのような限界を招くか)

2. トランジスタをスイッチとして使い、2個の LEDを交互に点滅させる方法

3. 2の回路と二進法の関係、論理回路とコンピュータについて

4. 電界効果トランジスタ(FET)について

5. 電界効果トランジスタを応用して H+やNa+のような溶液中のイオンを直接分析する方

参考文献

ここまでに引用した参考文献をリストアップして下さい。

本実験では、部品や測定機器以外のURLは文献としては扱いません。

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