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COMSOL Multiphysics® Ver.5.3aを使いこなそう
化学反応工学: 熱力学特性パッケージの利用
橋口真宜
第1技術部部長
計測エンジニアリングシステム株式会社
2018 1.27
Ver.5.3aを使いこなそう「熱力学特性パッケージの利用」 2
例題の説明
熱力学特性パッケージを利用した反応工学の計算法について説明する。
詳細な説明は
https://www.comsol.jp/blogs/calculating-thermodynamic-properties-for-liquids-and-gases/
を参照されたい。
水添脱アルキル化(hydrodealkylation)を考える。
質量収支式は次式で与えられる。これはプラグ流として扱うことができる。
膜の無い場合と膜のある場合の二種類を扱う。膜がある場合には上式の右辺 fH2が存在するこ
とになる。
もし、膜を通して水素が流入する場合には
の流入速度をもつ。
反応は次の2つの反応を扱う。
Ver.5.3aを使いこなそう「熱力学特性パッケージの利用」 3
アレニウス定数は以下の通り。
プラグ流では、各化学種のモル流量を Fi(mol/s)、反応器の体積を V(m3)、としたとき、
の関係を使って、反応器の体積Vが変化したときの諸量を求める。
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手順
1)COMSOL Multiphysics 5.3aをダブルクリック
2)ホームタブ:デスクトップリセット
3)ファイルメニュー:新規 モデルウィザード選択
4)空間次元:0D、フィジックス:化学種輸送:反応工学(re)を選択、追加、スタディ、
定常プラグ流、完了
5)グローバル定義 右クリック 熱力学を選択
6)熱力学 右クリック プロパティパッケージを選択
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7)hydrogenを化学種欄に入力しエンターキーを押す。
8)+ボタンで追加を行う。
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9)同じ方法を使って、
methane
benzen
toluen
biphenyl
を選択化学種に追加する。
注:入力を間違えた場合には、上図の×ボタンをクリックすれば削除できる。
10)次へボタン をクリックし、相選択 に進む。
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11)デフォルトは気相になっているので、ここでは、蒸気-液相 を選択する。
12)次へボタンをクリックし、熱力学モデルを選択 へ進む。
デフォルト設定が、Soave-Redlich-Kwong であることを確認する。
13)完了ボタンをクリックする。
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熱力学:プロパティパッケージの設定ウィンドウが表示される。
14)プロパティパッケージ1を右クリックし、混合相特性 を選択する。
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15)混合相特性の設定ウィンドウで、形成エンタルピー(J/mol) を選択し、+ボタンで追加
を行う。(あるいは形成エンタルピー(J.mol)をダブルクリックする。)
注:形成エンタルピーは生成エンタルピーを意味する。
16)次へボタンをクリックし、全てを追加ボタンをクリックする。
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Ver.5.3aを使いこなそう「熱力学特性パッケージの利用」 11
17)次へボタンをクリックし、相選択 に進む。
デフォルト設定が 蒸気 であることを確認する。
18)次へボタンをクリックし、混合相特性オーバービュー に進み、
完了ボタンをクリックする。
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19)熱力学:プロパティパッケージ1を展開し、その下の混合相:形成エンタルピー1をク
リックし、関数名を hF_mixture に変更する。
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20)グローバル定義:パラメタで以下を入力する。説明は入力不要。
T_inlet 1200[K] Inlet temperature
p_shell 2.5*101325[Pa] Pressure, shell side
p_reactor 2*101325[Pa] Pressure, reactor
k 8.0E-8[m^3/(N*s)] Proportionality constant
a 100.5[1/m] Area per volume
membrane_hda_parameters.txtを読み込んでも良い。
21)コンポーネント1:定義 右クリック 変数
変数の名前と式に以下を入力する。 説明は入力不要。
f_H2 k*a*(p_shell-p_reactor)*c_H2_shell Membrane mass source
Q_mem f_H2*(hF_mixture(T_inlet,p_shell,0,0,1,0,0)-hF_mixture(re.T,p_reactor,0,0,1,0,0))
Membrane heat source
y_C6H6 re.F_C6H6/re.F0_C6H5CH3 Conversion, benzene
c_H2_shell p_shell/R_const/re.T Hydrogen concentration, membrane side
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membrane_hda_variables.txtを読み込んでも良い。
22)コンポーネント1の下の反応工学(re)をクリックする。
23)設定ウィンドウで、リアクターセクションにいく。
プラグ流を選択する。
24)エネルギー収支セクションで、以下を含む を選択する。
25)外部加熱または冷却 に Q_mem を入力する。
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注:これは膜を介して系に入力される熱量である。
26)混合相特性セクションを展開する。
27)リアクタ圧力に、p_reactor を入力する。
28)反応工学(re)を右クリックし、反応 を選択。
29)設定ウィンドウの反応式セクションの公式に
C6H5CH3+H2=>C6H6+CH4
を入力し、適用ボタンをクリックする。
30)反応速度セクションで、アレニウス式使用 にチェックをいれる。
31)Afに、5.67e9
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Efに、228.2e3
を入力する。
32)反応速度セクションで ユーザー定義 を選択する。
33)反応速度 rを以下のように書き換える。
re.kf_1*re.c_C6H5CH3*(re.c_H2/1[mol/m^3])^0.5*1[mol/m^3]
34)反応工学(re)を右クリックし、反応 を選択する。
35)反応式に以下を入力し、適用ボタンをクリックする。
2C6H6<=>C12H10+H2
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36)アレニウス式使用にチェックを入れる。
アレニウス式の係数を以下のように入力する。
37)反応工学(re) を右クリックし、追加ソース を選択する。
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38)追加ソースの設定ウィンドウで、H2の追加反応速度式に f_H2 を入力する。
注: 膜をよぎって、水素の質量流があることを表現している。
39)反応工学(re)の下の 初期値1 をクリックする。
初期値を以下のように設定する。
初期温度は T_inlet とする。
C6H5CH3が 10mol/s、H2が 10mol/sであり、他は 0 mol/sである。
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40)反応工学(re)をクリックし、設定ウィンドウで、混合相特性セクションを
展開する。
41)熱力学にチェックを入れる。
プロパティパッケージ 1(pp1)が自動的に割り当てられる。
42)化学種適合セクションにいき、以下を入力する。
43)スタディ1をクリックし、ラベルを Tubular reactor とする。
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44)Tubular reactorの下のステップ1:定常プラグ流 をクリックし、
フィジックスおよび変数選択セクションで、スタディステップのモデルコンフィグレー
ションを修正 にチェックを入れる。
Tubular reactorでは膜からの水素流入は無いので、
追加ソース を右クリック:無効にする。
45)Tubular reactor を右クリックし、計算を実行する。デフォルトのモル流量1Dプロッ
トのマーカーをサイクルにする。
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46)root を右クリックし、スタディ追加で、定常プラグ流を選択後、スタディ追加+を
クリックする。
47)スタディ2をクリックし、ラベルを Membrane reactor に変更する。
48)Membrane reactor を右クリックし、計算を行う。
49)デフォルトのモル流量1Dプロットのマーカーをサイクルにする。
H2が膜から供給されるので水素濃度が途中から増え始め、それに応じて C6H6が増えている。
C6H5CH3+H2=>C6H6+CH4
一方で、H2が増えると、第2番目の反応で逆反応が増え、C12H10の濃度は低下する。
2C6H6<=>C12H10+H2
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50)結果の温度(re)の下のグローバル1を右クリックし、複製 を選択する。
51)グローバル2のデータセットを、Membrane reactor/解2に変更する。
設定ウィンドウのカラーリングおよびスタイルで破線にする。
52)プロット。
同様にして、体積流量 comp1.re.v
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反応熱源 comp1.re.Qheat
Tubular (左軸)、 Membrane (右軸)における 第1反応、第2反応の各反応速度
などをプロットできる。
以上