development of information integration system for system ... · data backup¢ ... (postgresql,ver....

4
ڐ測自動制御学会 東北支筏 208 回研究集会(2003.05.22) 資料番号 208-11 材料痕験テストベンチ知歳統合システムの開発 Development of Information Integration System for System Safety Benchmark Facility ◯宇佐美純 辻元洋典 牽橋信 北村正晴 Jun Usami, Yosuke Tsujimoto, Makoto Takahashi and Masaharu Kitamura 東北大学 大学院 工学研究科 量子エネルギー工学専攻 Department of Quantum Science and Energy Engineering, Tohoku University Keywords: 安全裕度テストベンチ(System Safety Benchmark Facility), 実験者支援システム (Experimenter support system), クライアント-サーバフレームワーク (Client-server framework),情報技 (Information Technology), オンライン許測システム(On-line measurement system) 連絡先:〒980-8579 仙台市障葉区荒巻字障葉01 東北大学大学院工学研究科 量子エネルギー工学専攻 北村研究室 宇佐美純, Tel/Fax(022)217-7921, E-mail:[email protected] 1.緒襟 原子力プラントは安全性、信頼性確保の ため年に一度はプラントを停止し定期点検 することが義務付けられている。また、稼 動中には目視点検が毎日行われている。し かし、替期運用に従い、材料の経年劣化に 確因するトラブルは依然として少数ながら 発生しており、牽経年化における更なる安 全性の確保が必要とされている。そこで、 過去のプラント故障やプラント安全研究の 知歳を効率的に利用することが重要視され ている 1,2) 。問題嘘決において、諭似する問 題に対し経験事例を活用することは、様々 の分野で広く活用されている。しかし、情 報の整理”統合化の取り組みは分析などの中 心的な研究ほど行われておらず、研究者間 における更なる共有化が望まれている 3,4,5) そのため、情報の共有化や知歳統合のため のプラットフォームの必要性が牽いと考え られる。本研究では、実験データや論文デ ータを対象とした知歳統合システムの基本 プラットフォームの実現を目的とし、知歳 情報を蓄積するための基盤の構築および、 実験データを対象にしたデータ管理システ ムの構築を目標にしている。知歳統合シス テムは様々な知歳情報を体系化して保存し ており、必要とする知歳情報を的確に提供 することができる。 2.手法 知歳統合システムは、研究者が知歳情報 を共有化し、自由に取得するための基盤で ある。知歳統合システムの概念図を図 1 示す。利用者は Web ブラウザを介して場所 を選ばす自由に知歳情報を取得することが できる。また知歳情報取得だけではなく、 登抑に際してもインターネットを用いるこ とにより、最新の知歳情報をシステム内に

Upload: others

Post on 03-Aug-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: Development of Information Integration System for System ... · Data Backup¢ ... (PostgreSQL,ver. 7.2) ... 論文データの結果 論文タイトル 著者名 出典 論文の概要

測自動制御学会 東北支  第 208回研究集会(2003.05.22)

資料番号 208-11

材料 験テストベンチ知 統合システムの開発

Development of Information Integration Systemfor System Safety Benchmark Facility

◯宇佐美純 辻元洋典  橋信 北村正晴

◯Jun Usami, Yosuke Tsujimoto, Makoto Takahashi and Masaharu Kitamura

東北大学 大学院 工学研究科 量子エネルギー工学専攻

Department of Quantum Science and Energy Engineering, Tohoku University

Keywords: 安全裕度テストベンチ(System Safety Benchmark Facility), 実験者支援システム

(Experimenter support system), クライアント-サーバフレームワーク (Client-server framework),情報技

術 (Information Technology), オンライン 測システム(On-line measurement system)

連絡先:〒980-8579 仙台市 葉区荒巻字 葉01 東北大学大学院工学研究科 量子エネルギー工学専攻

北村研究室 宇佐美純, Tel/Fax(022)217-7921, E-mail:[email protected]

1.緒原子力プラントは安全性、信頼性確保の

ため年に一度はプラントを停止し定期点検

することが義務付けられている。また、稼

動中には目視点検が毎日行われている。し

かし、 期運用に従い、材料の経年劣化に

因するトラブルは依然として少数ながら

発生しており、 経年化における更なる安

全性の確保が必要とされている。そこで、

過去のプラント故障やプラント安全研究の

知 を効率的に利用することが重要視され

ている 1,2)。問題 決において、 似する問

題に対し経験事例を活用することは、様々

の分野で広く活用されている。しかし、情

報の整理 統合化の取り組みは分析などの中

心的な研究ほど行われておらず、研究者間

における更なる共有化が望まれている 3,4,5)。

そのため、情報の共有化や知 統合のため

のプラットフォームの必要性が いと考え

られる。本研究では、実験データや論文デ

ータを対象とした知 統合システムの基本

プラットフォームの実現を目的とし、知

情報を蓄積するための基盤の構築および、

実験データを対象にしたデータ管理システ

ムの構築を目標にしている。知 統合シス

テムは様々な知 情報を体系化して保存し

ており、必要とする知 情報を的確に提供

することができる。

2.手法知 統合システムは、研究者が知 情報

を共有化し、自由に取得するための基盤で

ある。知 統合システムの概念図を図 1 に示す。利用者は Web ブラウザを介して場所を選ばす自由に知 情報を取得することが

できる。また知 情報取得だけではなく、

登 に際してもインターネットを用いるこ

とにより、最新の知 情報をシステム内に

Page 2: Development of Information Integration System for System ... · Data Backup¢ ... (PostgreSQL,ver. 7.2) ... 論文データの結果 論文タイトル 著者名 出典 論文の概要

保存することが可能である。利用者の要求

は文字情報、画像情報など異なる形態を持

った知 である。知 統合システムは利用

者の要求に従い知 情報を簡単かつ効率的

に統合システム内に登 を行う必要がある。

また、利用者の意図を可能な限り考慮した

知 情報検索を提供する必要がある。

知 情報は異なる形態を持っているため、

システムは体系化した形で保存を行い、研

究者が要求する知 情報を的確に提供する

必要がある。本研究では、キーワードによ

る体系化を行っている。各分野には知 体

系を表現するキーワードが存在していると

考えられる。これらのキーワードは内包関

係をもっており、階層構造をとっている。

この階層構造を本研究では「基本知 構造」

と呼ぶ(図 2)。キーワードと知 情報の関連

付けは登 の段階でシステムが自動的に行

う。

膨大な量の知 情報を考えた場合、利用

者ごとに全文検索を行うことは 常に効率

が悪く時間もかかる。また、文章の知 情

報だけではなく様々な形態の知 情報が存

在するので、検索手法においてはキーワー

ド検索を基本手法として採用した。利用者

が入力したキーワードと基本知 構造を比

し、適合した基本知 構造の 分に関連

付けされている知 情報を結果として利用

者に提供する。結果、検索時間の短縮化や

階層構造をとっていることから関連項目の

検索も容易に行うことができる。

図 1 知 統合システム概念図

Corrosion mode

Stress Corrosion Cracking

Pitting

Crevice Corrosion

Active Path Corrosion

Corrosion Fatigue

Tarnish Repute

Intergranular Corrosion

Hydrogen Embitterment

External Stress Corrosion Cracking

Transgranular Stress Corrosion Cracking

Intergranular Stress Corrosion Cracking

Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking

図 2基本知 構造

2.2対象システム本システムの一 として実験データの情

報収集という機能を付加している。これは

各 測装置から実験データを自動的に取得

し、共同研究者間の情報交換を効率よく進

めることを目的としている。対象にした実

験は、東北大学に属する三つの研究室が共

同で行う実験である。この実験では、各研

究室が共通の実験装置を用いて、各々に目

的を掲げ実験を行っている。複数の研究室

が合同で実験を行っているが、 測は各々

で行っているため、データの共有化の必要

性は いと考えられる。

実験の内容は、沸 水型原子力発 所の水

環境下においてのき裂進展に関する研究であ

る。またそれに伴って水環境がどのように変

わっていくかを評価するものである。プロテ

クター内 に 験片を 置し、荷重負荷を掛

けるとともに水 調整を行った 温水を 験

片内 に送り出し、 温水を循環させる。こ

のようなループを作ることにより、原子力発

所の環境を再現し、 温 圧環境での応力

腐 割れを促進する。 験は応力腐 割れが

生じ 験片外表 まで割れが進展するまで行

なわれる。一ヶ月以上の 期にわたる実験で

あり、大量のデータが収集される。

Page 3: Development of Information Integration System for System ... · Data Backup¢ ... (PostgreSQL,ver. 7.2) ... 論文データの結果 論文タイトル 著者名 出典 論文の概要

測用モジュール(LabVIEW6.1[National Instruments])

   Data Backup   データ 測   (OS:Windows2000)

システム安全裕度テストベンチA/D 変換機[WE7000(横河 機)]

BNCケーブルOptical

Fiber

データ管理モジュール(Java:J2SDK1.4.1[Sun Microsystems,Inc])データ受信データベースへ保存実験者への異常 告の発信

イントラネット

Webサーバ(Apache Web Server,ver1.3.27

+ Apache Jakarta Tomcat ver.4.0.3 )利用者への実験データの送信

(OS:FreeBSD release4.5)

データベース(PostgreSQL,ver. 7.2)データの保存

利用者

インターネット

論文データの結果

論文タイトル著者名出典

論文の概要

論文のダウンロード論文の詳細

3.実装

3.1 測システム

測システムの構成を図 2 に示す。 測

システムは A/D 変換器, 測用モジュール,データ管理モジュール,データベース,WEB サーバから成り立っている。実験データは A/D変換器を通じて、決められたサンプリング

周波数のもと 測用モジュールにより 測

される。 測機器からA/D変換器まではBNCケーブルを用い、また A/D 変換器から 測

用モジュールまでは光ケーブルで接続され

ている。 測用モジュールでは、バックア

ップ用にデータを複製し、イントラネット

を用いてデータ管理モジュールにデータを

送信している。さらに、WEB サーバがユーザの要求に応じて、データベースに保存さ

れたデータの取得 表示を行う。

データ収集および公開機能に加え、関連

機能として本システムに異常 告機能を付

加している。これはモニタリングしている

測データ中で異常が認められた場合に、

子メールを発信する仕組みである。微小

な変化を捉え、実験者に対して異常が進展

する前に 告を発することは、システムの

安全を考える上で必要な機能であると考え

る。

図 3 測システム構成

3.2 プロトタイプ知 統合システムの実装について述べる。

本研究で構築したプロトタイプシステムを

Fission(Fracture Information Service for Sharing

Knowledge on Global Network)と呼ぶ。プロトタイプを構築するにあたり、対象の知

情報として以下のものを採用した。

  実験データ

システム安全裕度テストベンチ 測データ

論文データ

国際会議 APCFS & ATEM'01 の予稿集(PDF形式)基本知 構造として材料に関する腐 モ

ードを用いた。キーワードを入力すること

により、それに関連する論文と実験データ

が出力として される。基本知 構造は階

層構造をとっているため、キーワードに適

合した情報だけではなく、それに関連した

クラスの情報も取得できる。論文データは

検索結果画面よりダウンロードすることが

できる(図 3)。実験データに関してはどのような環境で何を対象にした実験を行った

か一目でわかるようになっている(図 4)。また、何種 かの実験データの中から一つ

選択することにより、その実験データのグ

ラフ表示や FFT を用いたデータの変換および表示を実現している(図 5)。

図 4 Fission検索例(論文データ)

Page 4: Development of Information Integration System for System ... · Data Backup¢ ... (PostgreSQL,ver. 7.2) ... 論文データの結果 論文タイトル 著者名 出典 論文の概要

実験データの結果実験データのタイトル

実験の代表者

実験が行なわれた機関

実験データの表示

図 5 Fission検索例(実験データ)

図 6 Fisson検索例(実験データの処理)

3.結知 統合システムの基本的枠組みの構築

および実験データの効率的な取得を実現す

るシステム構築について取り組んだ。知

統合システムのプロトタイピングを行い、

知 統合システム開発の目的として 定し

た基本的な機能について確認した。論文デ

ータと実験データの 2つのデータを用いて、異なる形態のデータを一つの枠組みで保存

することが可能であることを実証した。実

験データ 測システムとの連携より、最新

の実験データを他の知 情報と関連付け研

究者に対して提供する基本機能を有した基

盤の構築を行うことができた。

今後、 測や登 により大量のデータの

収集・蓄積が予想される。しかし、巨大な

データベースを対象にして、有用な情報を

効率よく発見することは困難である。その

ため、利用者の要求に従った情報を効率よ

く提供することにより、データベースから

の知 発見を容易に行うことが期待される。

本研究は文 省中核的研究拠点(COE)形成プログラム(COE research-11CE2003)の支援を受けて行われている。

4.参考文献1) M.Takahashi ,Y.Tsujimoto,M.Kitamura: A

Database-Mining Approach to Envisioningof Material Degradation Modes in SevereEnvironmentProceedings of APCFS & ATEM '01,TheJapan Society of Mechanical EngineersNo.01-203 (2001),p1074-p1079

2) 仲 善雄,他:事例ベース推論による 備

異常診断:人工知能学会全国大会(第 7回),743(1993)

3) 合金データベースhttp://atlas.tokyo.jst.go.jp/

4) 岩田修一:材料データシステム-目的と題-、日本機会学会誌、89.817(1985)、

p1335

5) ステンレス 便覧 ステンレス協会編

第三版、日刊工業新聞社(1995)