discovery studio® 3.5 新機能 -...

4
http://accelrys.co.jp DATASHEET 1 新技術リガンド設計: New! リガンド・プロファイリング・データベース: PharmaDBを使用して生理活性リガンドをプロファ イリングする事により、医薬品の有害反応や副 作用、既存薬の再利用研究に活用できます。 PharmaDB はストラスブール大学の Didier Rognan博士 1 と共同で作成および検証されたも ので、7,687ものタンパク質- リガンドX線構造か ら収集された、構造ベースの受容体-リガンド・ ファーマコフォア・コレクション(139,482エントリ)利用しています。これは、知られている限りでは 最大の数を誇るものです。また、ファーマコフォア モデルをカスタマイズしてデータベースを作成し たり拡張したりできるツールもご用意しています。 参照 http://bioinfo-pharma.u-strasbg.fr/scPDB DISCOVERY STUDIO® 3.5新機能 プロジェクトの構想から開発候補化合物の選択まで、Discovery Studio は、研究者が直面するモデ リングの課題に対処するため、実績ある計算科学テクノロジーの最も包括的なポートフォリオを提供 し続けます。簡単に操作できるクライアントインターフェースが用意された Discovery Studio は、 Windows® および Linux 環境上で利用できます。さらに、市場をリードするアクセルリスの Pipeline Pilot™ プラットフォーム上に構築されているため、サードパーティ製アプリケーションの迅速な統合や 定期的に実施する作業の自動化はもちろん、共同研究者へのモデルの配布も容易です。これらの 機能により、極めて効率性の高い包括的なモデリング環境を実現しています。 1: Factor Xa[PDBコード2P16]におけるアピキサバン(BMS- 562247) の結合様式から導出した、検証済み受容体- リガンド・ファーマコフォア・モデル 今回の最新リリースのDiscovery Studio (DS)では、次のような新技術の導入およ び機能強化が実施されています: • 新しい低分子関連技術: 既存薬の再利用や副作用研究のための新 しいリガンド・プロファイリング・データベース 新しいin-situ FBDDリード化合物最適化 ツール 新しいin-situ FBDD骨格変換ツール 新しいMMPベースのActivity Cliffs分析 2,3 • 新しいバイオセラピューティックス技術: タンパク質-タンパク質凝集性向のランク 付けに利用可能な新しい開発可能性イン デックス(Developability Index)計算機能 新しいpH依存の変異エネルギー計算機能 • パートナーの技術: CHARMm c36b2 5,6 MODELER 9v10 7,8,9 • 可視化とパフォーマンス: 受容体-リガンド表面の描画機能を強化 無償版のDS Visualizerの機能を強化 無償の3DプラグインであるDS ActiveXコント ロールの機能を強化 • プラットフォーム: – DS3.5ではPipeline Pilot 8.5 Collection Update 3をサポート 新機能の概要

Upload: duongminh

Post on 18-Mar-2018

218 views

Category:

Documents


4 download

TRANSCRIPT

http://accelrys.co.jp

DAT

ASH

EET

1

新技術–リガンド設計:

New! リガンド・プロファイリング・データベース: PharmaDBを使用して生理活性リガンドをプロファ

イリングする事により、医薬品の有害反応や副

作用、既存薬の再利用研究に活用できます。

P h a r m a D Bは ス ト ラ ス ブ ー ル 大 学 の D i d i e r

Rognan博士1と共同で作成および検証されたも

ので、7,687ものタンパク質-リガンドX線構造か

ら収集された、構造ベースの受容体-リガンド・

ファーマコフォア・コレクション(139,482エントリ)を

利用しています。これは、知られている限りでは

最大の数を誇るものです。また、ファーマコフォア

モデルをカスタマイズしてデータベースを作成し

たり拡張したりできるツールもご用意しています。 参照 http://bioinfo-pharma.u-strasbg.fr/scPDB

DISCOVERY STUDIO® 3.5の 新機能

プロジェクトの構想から開発候補化合物の選択まで、Discovery Studio は、研究者が直面するモデ

リングの課題に対処するため、実績ある計算科学テクノロジーの最も包括的なポートフォリオを提供

し続けます。簡単に操作できるクライアントインターフェースが用意された Discovery Studio は、

Windows® および Linux 環境上で利用できます。さらに、市場をリードするアクセルリスの Pipeline

Pilot™ プラットフォーム上に構築されているため、サードパーティ製アプリケーションの迅速な統合や

定期的に実施する作業の自動化はもちろん、共同研究者へのモデルの配布も容易です。これらの

機能により、極めて効率性の高い包括的なモデリング環境を実現しています。

図 1: Factor Xa[PDBコード2P16]におけるアピキサバン(BMS-562247)の結合様式から導出した、検証済み受容体-

リガンド・ファーマコフォア・モデル

今回の最新リリースのDiscovery Studio (DS)では、次のような新技術の導入および機能強化が実施されています:

• 新しい低分子関連技術:

– 既存薬の再利用や副作用研究のための新しいリガンド・プロファイリング・データベース

– 新しいin-situ FBDDリード化合物最適化 ツール

– 新しいin-situ FBDD骨格変換ツール

– 新しいMMPベースのActivity Cliffs分析2,3

• 新しいバイオセラピューティックス技術:

– タンパク質-タンパク質凝集性向のランク 付けに利用可能な新しい開発可能性インデックス(Developability Index)計算機能

– 新しいpH依存の変異エネルギー計算機能

• パートナーの技術:

– CHARMm c36b25,6

– MODELER 9v107,8,9

• 可視化とパフォーマンス:

– 受容体-リガンド表面の描画機能を強化

– 無償版のDS Visualizerの機能を強化

– 無償の3DプラグインであるDS ActiveXコントロールの機能を強化

• プラットフォーム:

– DS3.5ではPipeline Pilot 8.5 Collection Update 3をサポート

新機能の概要

データシート: DISCOVERY STUDIO® 3.5の新機能

2http://accelrys.co.jp

New! フラグメントベースのin situ Grow: メディシナルケミスト

リーで一般的に用いられている反応を使用して、試薬を in situ

で結合します。反応スキームおよび ACD™ (Accelrys Available

Chemical Directory™) から提供された約 10,000 種類のフィルタ

済み 10,11試薬があらかじめ用意されています。さらに、相

互作用特性による拘束をかけた検索結果の絞込みや、

リガンドと選択した受容体側鎖の両方を陰溶媒モデルを用いて

構造最適化することも可能です。

New! フラグメントベースのscaffoldホッピング: Scaffold ホッピ

ングにより、購入可能な化合物の中から新しい等価置換体を

見つける事が可能です。SCD™ (Accelrys Screening Compounds

Directory)由来の約150万種類のフラグメントが提供されて

おり、約62万種類の1-Rフラグメント、約59万種類の2-Rフラグメ

ント、約30万種類の3-Rフラグメントが含まれています。これら

のフラグメントは、「Pfizer fragment rules(ファイザーフラグメント

規則)」の改訂版14および不要な官能基に基づくフィルタリングを

通過したものです。8,9 さらに、相互作用特性による拘束および

オリジナルフラグメントとの類似性を利用した検索結果のフィル

タリングや、リガンドと選択した受容体側鎖の両方を陰溶媒

モデルを用いて構造最適化する事も可能です。

New! MMPを使用した Activity Cliffs の発見: MMP (Matched

Molecular Pairs)2 変換を行って、リガンドのActivity Cliffsを見つけ

ます。設定した値を超えて活性が変化しているリガンドは、

Activity Cliffsと判断されます。3

New! MMPを使用した活性効果分析: MMP13 変換を行ってリガ

ンド活性の変化を調べます。活性効果は表形式にまとめられた

上でソートされ、最も顕著な活性変化を示すMMPがカテゴリ

ごとに示されます。15

新技術 - バイオセラピューティックス:

New! 開発可能性指数の計算: 凝集可能性に基づいて一連の

相同タンパク質の「開発可能性」をランク付けします。 DI

(Developability Index:開発可能性インデックス)4 は、濃溶液中

のタンパク質の安定性を判断し、開発過程において有望な候補

となりうるかを示す、重要な指標です。マサチューセッツ工科

大学のBernhardt Trout教授が開発し、実験によって検証された

Spatial Aggregation Propensityアルゴリズムが使用されていま

す。16,17,18

図 2: Growプロトコルを使用して P38αの結合サイトにおいてin-situでヒット

した Williamson Ether 試薬の例。すべてのヒットが Met109 と必要な水素

結合を形成しており、Birb796に相当する構造も含んでいます。12,13

図 3: Replaceプロトコルを使用したCDK-2におけるscaffoldホッピングの例

図 4: 凝集可能性に基づいて一連の相同タンパク質の「開発可能性」の

ランク付けを実施

データシート: DISCOVERY STUDIO® 3.5の新機能

3http://accelrys.co.jp

New! pH依存の変異エネルギー(結合): 「Calculate mutation

energy (Binding)」 では、フォールド状態でのエネルギーおよび

アンフォールド状態でのエネルギーをpHの関数としてレポート

することにより、プロトン化状態の固定という制限がなくなりまし

た。変異エネルギーは、定義されたpHの範囲で、pHの関数とし

て算出されます。pHに依存する静電項は、酸性および塩基性

の残基の部分的プロトン化から算出されるプロトン結合等温線

の積分により算出されます。

Updated! 抗体配列のアノテーション:4種類のスキーム(IMGT,

Chothia, Kabat, and Honegger)に従って残基に番号を割り当て

られるようになりました。また、多重配列アラインメントにおいて

この番号割り当てスキームを使用できるようになり、可変領域

(特にCDR領域)のアラインメントが向上しました。

Updated! 抗体モデリングツール:新しい Identify framework

templatesプロトコルにより、ホモロジーモデリングで使用する

抗体配列の抗原結合フラグメント(Fabフラグメント)または可変

領域(Fv)のテンプレートを特定できます。

Updated! 抗体ループ・モデリング・ツール:抗体構造のCDR

ループを自動的に特定し、各ループ領域に最適なテンプレート

を見つけ、さらにオプションとしてループテンプレートに基づいた

モデリングが可能です。

パートナーの技術

C H A R M mを バ ー ジ ョ ン c 3 6 b 2に ア ッ プ グ レ ー ド :最 新 の

CHARMM5, 6 リリースにはさまざまなパフォーマンス改善が実施

されており、直列計算や並列計算にも変更が加えられて

います。

MODELER 9v10: Discovery Studio 3.5には不具合が修正された

最新のMODELLER7, 8, 9 バージョン 9.10が搭載されています。

可視化とパフォーマンス

Updated! 受容体-リガンド相互作用表面:リガンドの結合を研究

するための表面、および関連ツールを大幅に改定し、強化しま

した。さまざまな表面の特性を、右クリックで表示されるコンテキ

ストメニューから表示できます。例 :

• 脂溶性、芳香性、溶媒露出度

• 水素結合、イオン化可能性、電荷

 

グラフィカルな操作の強化:

• さまざまな分子表示オプションを、右クリックで使用できるよ

うになりました。このオプションには、分子/原子種/鎖によ

る色付け、原子描画(stick、CPKなど)、タンパク質描画(鎖、

リボンなど)、水および水素の可視性、相互作用表面、分子

スケッチ、テキストボックスなどがあります。

図 5: 新規プロトコルのpH依存「Calculate Mutation Energy (Binding)」プロトコル

図 6: P53 のペプチド結合モチーフが結合した、MDM2 の結合サイト

疎水性表面の描画例 [PDBコード: 1YCQ]

データシート: DISCOVERY STUDIO® 3.5の新機能

4http://accelrys.co.jp © 2012 Accelrys Software Inc. すべてのブランド名または製品名は、各所有者の商標です。

アクセルリス株式会社 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-7-1 霞が関東急ビル 17F Tel:03-5532-3800

• 分子表示ウィンドウ、ヒエラルキーウィンドウ、データテーブル

の表示と非表示を迅速かつ簡単に切り替えられるコントロー

ルが加わりました。

分子の3D表示:

• 低スペックのグラフィックカードに対するサポートを強化 : グラフィック・テスト・オプションにより、最適な設定を確実に

行えるようにしました。また、DS3.5は多数の低スペックの

グラフィックカードでテストを実施しています。

• DSVファイルを改善: DSVファイル形式でのオブジェクトの取り

扱い方法を見直し、ファイルサイズが縮小されました。

無償の可視化ツール:

• 今回の最新リリースに互換性があるDS Visualizer 3.5および

DS ActiveX Control 3.5がリリースされました。

プラットフォーム

• 互換性: Discovery Studio 3.5は、最新リリースのPipeline Pilot

バージョン 8.5 Collection Update 3をサポートしています。

Discovery Studioに関する詳細については、次のURLを

参照して下さい。

http://accelrys.com/products/discovery-studio

図 7: 頻繁に使用する表示形式へのショートカットが盛り込まれた新しい

右クリックメニュー

図 8: Discovery Studio 3.5で描画したウィルス外被全体 [PDBコード

1RVF] のリボン図の例。ノート PC(Dell Latitude E6400 Core 2 Duo、

NVidia 160Mグラフィックカード搭載)で描画

1. Meslamani J, Li J, Sutter J, Stevens A, Bertrand HO, Rognan D., J Chem. Inf. Model.,2012, 52(4), 943–955

2. Hussain J. and Rea C., J.Chem. Inf. Model.,2010, 50(3), 339-348

3. Hu X., Hu Y., Vogt M.,Stumpfe D.,Bajorath J., J. ChemInf Model.,(Published Web: April 12th), 2012.

4. M. Lauer T.M.,AgrawalN.J., ChennamsettyN., EgodageK., HelkB., TroutB.L., J. Pharma. Sci., 2012, 101(1), 102–115

5. Brooks B. R., Brooks III C. L., Mackerell A. D., Karplus M., et al,J. Comp. Chem., 2009, 30, 1545-1615

6. Brooks B. R., Bruccoleri R. E., Olafson B. D., States D. J., Swaminathan S., Karplus M. J. Comp. Chem., 1983, 4, 187-217

7. N. Eswar, M. A. Marti-Renom, B. Webb, M. S. Madhusudhan, D. Eramian, M. Shen, U. Pieper, A. Sali. Comparative Protein Structure Modeling With MODELLER.Current Protocols in Bioinformatics, John Wiley & Sons, Inc., 2006, Supplement 15, 5.6.1-5.6.30.

8. Fiser, A. Sali, A. Methods in Enzymology, 2003, 374, 463-493

9. Sanchez, R. Sali, A. Protein Structure Prediction: Methods and Protocols, 2000, 97-129.

10. Hann M., Hudson B., et al, J. Chem. Inf. Comput. Sci., 1999, 39(5), 897-902

11. Walters W.P., Murcko M.A., Adv. Drug Deliv. Rev., 2002, 54(3), 255-71

12. Pargellis C., et al, Nature Structural Biology, 2002, 9(4), 268-272

13. Regan J., et al, J. Med. Chem., 2003, 46, 4676-4686

14. Lau W.F., Mills J.E., et al, J.Comput. Aided Mol. Des., 2011, 25, 621–636

15. Papadatos G.,Alkarouri M., Gillet V.J., Willett P., Kadirkamanathan V., Luscombe C.N., Bravi G., Richmond N.J., Pickett S.D., Hussain J., Pritchard J.M., Cooper A.W., Macdonald S.J.,J. Chem. Inf. Model.,2012, 50, 1872-1886.

16. Chennamsetty N., Voynov V., Kayser V., Helk B. and Trout B. L. J. Phys. Chem. B, 2010, 114(19), 6614-6624

17. Chennamsetty N., Voyonov V., Kayser V., Helk B. and Trout B. L., Proc. Nat. Acad. Sci., 2010, 106(29), 11937-11942

18. Chennamsetty N, Helk B., Trout B. L, Voyonov V., Kayser V. PCT/ US2009/047954. Filed 19th June, 2009.

参考文献