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本質的なクラウド ファースト時代の到来を受けて、事業モデルの変革を決断。マイクロソフトのクラウドと技術支援を活用することで、わずか 4 か月でクラウド シフトを果たす

総務省が 2016 年に公表した「平成 28年版 情報通信白書」では、クラウド サービスを全面利用、一部利用、もしくは今後利用する可能性があると回答する企業の割合が 59.5% と半数以上に達していることを報告しています。クラウド ファーストの波は、もはや流行ではなく、本質的に訪れているといえるでしょう。

こうした時代の変遷を見定め、全国 2,000 か所を超える店舗、事業所の IT 支援実績を持つ株式会社エヌワークでは、従来のオンプレミスを主とした事業モデルのクラウド シフトを検討しています。実は同社は、これまで幾度かクラウド シフトを検討したものの、その都度それを見送ってきた経緯を持ちます。クラウド インテグレーションの技術、ノウハウを独力で身につけなければならないことが大きな障壁となっていた中、同社ではマイクロソフトの提供するクラウド スターターパックを契約し、クラウド シフトに向けた挑戦を再開。わずか 4 か月という短期間で、クラウド時代にも対応できる事業体制を整備しました。

導入の背景とねらい本質的なクラウド ファースト時代の到来を受けて、事業のクラウド シフトを検討

クラウド コンピューティングの普及、浸透によって、IT 業界の構造そのものが変革しつつあります。IT システムを構築する場合、かつてはハードウェアを設備内に設置し、ネットワークを張り巡らせてそれらを構築、運用することが不可欠でした。しかし昨今の IT システム構築では、クラウドの活用を第一に考える「クラウド ファースト」が、多くの企業の方針として掲げられています。

企業の IT インフラに携わってきた SI (システム インテグレーション) 事業者もまた、クラウドの波への対応が強く求められています。しかし、従来のシステム、ネットワーク構築とは異なるノウハウがそこで必要となることもあり、戸惑う事業者も少なくありません。こうした状況の中、Microsoft Azure を効果的に活用することで、ビジネスのクラウド シフトを実現しているのが、株式会社エヌワーク (以下、エヌワーク) です。

エヌワークは全国 2,000 か所を超える店舗、事業所の IT 支援実績を持つ SI 事業者です。大手家電量販店の流通ネットワークを長年担当している同社は、そこで培ったノウハウを活かした受託開発とその運用管理を主軸に、小売業だけでなく製造業や病院など幅広い顧客から高い評価を獲得しています。

近年は事業拡大に向けて、ソリューション ビジネスにも注力する同社ですが、エヌワーク株式会社 取締役 情報通信本部長 堀場 敦 氏は、受託案件とソリューション ビジネス双方のプラットフォームとして、クラウドの有用性が大きく高まっていると語ります。

「クラウド ファーストという言葉が示すとおり、近頃は IT システムを構築する場合、あるいはパッケージ ソリューションを検討する際に、クラウドという選択肢が真っ先に挙がるようになりまし

株式会社エヌワーク

ソリューション概要○プロファイル1973 年の設立後、大手家電量販店の POS 関連システムの開発、運用を担い続けてきた株式会社エヌワーク。そこで培ったノウハウを活用し、同社は流通業や製造業、外食産業など、多様な業界に対するシステム開発とソリューション提供に取り組んでいます。

○導入製品とサービス・Microsoft Azure・Microsoft Operations Management Suite

○導入メリット・クラウド スターターパックの採用により、わず

か 4 か月で事業のクラウド シフトを果たすことができた

・短期、省リソースに IT システムが構築、運用できるようになったことで、高付加価値なサービスを早期に提供できるようになった

・BCP 対策など、オンプレミスを主とした環境下では不可能だった領域のサービスの具現化が可能に。事業のさらなる拡大が目指せるようになった

○ユーザー コメント「マイクロソフトの支援プログラムを経たことで、クラウド インテグレートに必要な基礎技術を迅速に習得することができました。トレーニングからそれほど間を空けずに『店舗障害アラート通知サービス』の開発に着手しましたが、基礎技術と Web 上に充実している技術ドキュメントを参照するだけで、概ねの作業は進めることが可能です。仮に自力では難しいとなった場合でも、マイクロソフトにていねいにサポートいただけるため、大きな安心感がありました。クラウドでのシステム開発は初の試みでしたが、従来の開発と比べて遅延がないどころか、1 か月というきわめて短期間でのサービス インを実現しています」

株式会社エヌワーク取締役情報通信本部長堀場 敦 氏

株式会社エヌワーク

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株式会社エヌワーク

た。これは『流行だから』というスタンスではなく、お客様自身で情報を集め、クラウドに対して検討を重ねたうえでの判断です。こうしたお客様側のクラウドに対するリテラシーの高まりは、大きな変化だといえます。当社では業務遂行に不可欠な商用サービスの基盤を支援する場合が多いため、従来は信頼性を懸念して、なかなかクラウドへの舵を切ることができませんでした。しかし、技術の進化やお客様側のリテラシーも高まるにつれ、近年、商用システムの案件でもクラウドを選択する事例が現れています。いよいよ事業をクラウド シフトすべきときが到来したのだと感じていました」(堀場 氏)。

堀場 氏の言葉にも表れるように、エヌワークは過去、事業のクラウド シフトを検討したことが幾度かありました。しかし、当時はまだクラウドへの理解を顧客側に得ることが困難であり、またクラウド環境でのシステム インテグレーションに自社が対応するための障壁も高く、クラウド シフトを見送ってきたといいます。この障壁について、株式会社エヌワーク 情報通信本部 ネットワークソリューション部 部長 小木曽 直幸 氏は次のように補足します。

「コンピューティング、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションと、総合的な SI を当社は提供していますが、中でもネットワーク技術は、他店舗間のセキュアな接続を構築、運用してきた我々ならではの強みだといえます。一般にはあまり知られていないことですが、実は回線事業者ごとに接続に必要となる知識や技術、あるいは作法が異なっています。こうしたノウハウを持っていることが、お客様が当社をお選びになる理由にもなっているのです。オンプレミスの場合はこの優位性を最大限に活かすことができるのですが、クラウドの場合、クラウド事業者と通信事業者の組み合わせやその特徴をまず把握する必要があります。まったくのゼロからこれを身につけなければならず、大きな工数負荷が予想されました」(小木曽 氏)。

システム概要と導入の経緯クラウド スターターパックによる密な支援によって、クラウド シフトをスムーズに推進できると確信

障壁の高さからクラウド シフトを見送ってきたエヌワークですが、クラ

ウドへのユーザー理解は日に日に深まり、時代は着実にクラウド化の方向に進んでいます。このクラウド化の波は、ソリューション ビジネスを強化するエヌワークにとっても追い風といえる状況をもたらしていました。しかし、商用サービスとしても通用する高品質なクラウド インテグレーションを提供するためには、当然、社内のエンジニアがクラウドに関する十分な知識、技術、作法を習得していなければなりません。

かつて障壁に阻まれたエヌワークが事業のクラウド シフトに向けて再び走り出したのは、2016 年 5 月のことです。そのきっかけとなったのは、日本マイクロソフトが国内の SI や ISV を対象に提供する「クラウド スターターパック」の存在でした。

同ソリューションは、Azure の技術トレーニングやアプリケーション移行支援サービスなどをパッケージで提供するもの。マイクロソフトの担当者から案内を受けた際の印象について、株式会社エヌワーク 情報通信本部 情報通信営業部 部長 多田 裕行 氏は、次のように当時を振り返ります。

「話を聞いて真っ先に感じたのは、当社のようなパートナーへの支援がとても充実している、ということでした。『クラウド スターターパック』として目に見えるソリューションが存在することも然ることながら、電話でお願いした数分後には情報をメールで連絡いただけるなど、営業担当や技術部門の QA (品質保証) が驚くほど迅速かつていねいだったのです。過去にクラウド シフトを検討した際もいくつかの事業者へ問い合わせをしましたが、これほどの対応力を持った事業者はなく、独力でノウハウを身につけるしかないと思っていました。自社だけで技術、知識を蓄積することはどうしても限界があり、それがビジネス シフトを躊躇する要因でもあった中、マイクロソフトからこれだけ強固なサポートを受けられるならばクラウド シフトを安心して進められると判断しました」(多田 氏)。

クラウド スターターパックの案内を受けた翌月、エヌワークは同ソリューションの採用を決定。事業のクラウド シフトをこれほどすばやく決断できた背景には、多田 氏が感じたサポート面の充実に加えて、マイクロソフトのクラウドをプラットフォームとすることが事業自体の価値を高めるという期待もあったといいます。株式会社エヌワーク 情報通信本部 ネットワークソリューション部 ネットワーク支援課 鷲見 健一 氏は、この点について次のように説明します。

「当社では商用サービスの多くで Windows Server を利用しています。これは信頼性の面で OSS に懸念を抱くお客様が一定数いること、高い信頼性を持つ Windows Server でのシステム稼働を多く希望いただくことが背景にあります。リテラシーが高まってきているとはいえ、当社のお客様にはまだまだ、クラウドに対してセキュリティや可用性といった面を不安視するお客様がいらっしゃいます。しかし、Windows Server を提供する『マイクロソフトのクラウド』ならば、信頼性についてゼロから説明しなくてもすぐに納得してもらえると考えました。当社で今後展開していくソリューション ビジネスの信頼性を高める意味でも、Azure をプラットフォームとすることは大きな意義があったのです」(鷲見 氏)。

株式会社エヌワーク取締役情報通信本部長堀場 敦 氏

株式会社エヌワーク情報通信本部ネットワークソリューション部部長小木曽 直幸 氏

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導入の効果事業のクラウド シフトが、高付加価値なサービス提供の実現性を高める

エヌワークではクラウド スターターパックの契約を完了した 2016 年 7 月より、社内エンジニアのトレーニングを開始。日本マイクロソフトの名古屋オフィスに 40 名以上を派遣して 2 日間にわたる技術指導を受けるなど、クラウド上でシステム開発を進めるための教育を一気に進行しました。トレーニングを経た 10 月には、当初オンプレミスでの提供を予定していた新サービス「店舗障害アラート通知サービス」について、Azure を提供基盤としてサービス提供することを決定。それからわずか 1 か月後には、同システムをサービス インしています。

契約から第一のサービスを提供開始するまでの期間は、4 か月かかりませんでした。ここまですばやくクラウド シフトを進めることができた理由として、堀場 氏は、マイクロソフトの密な技術支援を挙げます。

「マイクロソフトの支援プログラムを経たことで、クラウド インテグレートに必要な基礎技術を迅速に習得することができました。トレーニングからそれほど間を空けずに『店舗障害アラート通知サービス』の開発に着手しましたが、基礎技術と Web 上に充実している技術ドキュメントを参照するだけで、概ねの作業は進めることが可能です。仮に自力では難しいとなった場合でも、マイクロソフトにていねいにサポートいただけるため、大きな安心感がありました。クラウドでのシステム開発は初の試みでしたが、従来の開発と比べて遅延がないどころか、1 か月というきわめて短期間でのサービス インを実現しています」(堀場 氏)。

クラウドでのシステム開発はあくまで手段であり、本当に目指すべきは高付加価値なサービスの提供にあります。オンプレミスでのシステム開発では、まずサーバーのサイジングや調達を経て初めてプロジェクトがスタートしますが、クラウドではハードウェアの調達を必要とせず、大幅な短期化が可能です。こうしたクラウドならではの迅速性、拡張性といった利点は、今後ソリューション ビジネスを展開していくうえで特にメリットが大きいと、小木曽 氏は笑顔で期待を寄せます。

株式会社エヌワーク

「ソリューション ビジネスの成功において重要なことは、サービス インまでのリード タイムです。新サービスではその時々の社会課題やニーズを踏まえたものを提供するわけですから、いかに早くサービスを提供できるかが成否を分ける鍵となります。また、ニーズがあると考えて提供しても反響がほとんどなかった、というケースも往々にして発生しますが、クラウドならば早期に開発するだけでなくサービスを即座に止めることもできます。大きな反響があった場合には、リソースを拡張することも可能です。Azure は Azure Web Apps や Azure SQL Database といった PaaS も充実しており、開発や機能拡張をスムーズに進めることができるでしょう。今後 Azure を使いこなしていくことで、高い価値を持ったサービスを提供するまでの期間を最小化できると考えています」(小木曽 氏)。

今後の展望オンプレミスでは不可能だった領域のサービスを具現化し、さらなる事業拡大を目指す

事業のクラウド シフトは、従来は実現できなかったソリューションの提供も可能にします。そのひとつとして挙げられるのが、BCP 対策です。近年、東日本大震災や熊本地震などの自然災害が多発していますが、クラウドを活用することにより、有事の際にもシステムの稼働を維持する環境を構築することが可能です。

既にエヌワークでは、災害が起きた際に『各店舗の営業可否』『施設の被害状況、交通インフラの稼働状況の可視化』といった状況が確認できる "広域災害時店舗状況確認ツール" の開発に着手しています。こういったサービスはオンプレミスを主とした従来の環境下では企画自体が難しく、クラウド シフトによる大きな成果だといえるでしょう。

また、オンプレミスの場合、リソースの背景から一定期間内で対応できる案件数には限りがあります。一方、ハードウェアや下層レイヤーの管理が不要なクラウドであれば、従来よりも省リソースで案件対応が可能です。こうした利点も、エヌワークがクラウド シフトの推進によってソリューション ビジネスや受託開発の顧客数を拡大していくうえで、有効に機能していくに違いありません。

堀場 氏は、こうしたクラウド シフトによる事業の拡大構想について、ハイブリッド クラウドをキーワードに挙げて説明します。

「現在開発を進めている『契約書管理システム』についても、Azure での提供を予定しています。こういったソリューション ビジネスだけでなく、受託案件についても積極的にクラウドを組み合わせて提案していきたいと考えています。受託案件の場合、全システムをクラウド上におくことは現実的ではありません。オンプレミスと連携したハイブリッド クラウドをとるお客様も増えていくでしょう。そこに向けて、現在、クラウドとオンプレミスの両システムを一元管理できる OMS (Microsoft Operations Management Suite) について、採用を見据えた検証を進めています。

株式会社エヌワーク情報通信本部情報通信営業部部長多田 裕行 氏

株式会社エヌワーク情報通信本部ネットワークソリューション部ネットワーク支援課鷲見 健一 氏

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株式会社エヌワーク

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2017 年 7 月) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ https://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 〜 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く)※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

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Azure という信頼できるプラットフォームのもと、お客様が扱う重要な情報を安全に運用するためのサービスを、安定的に提供していきたいと考えています」(堀場 氏)。

大手家電量販店のシステム開発、運用で培った技術を、製造業や病院など多様な業界へ横展開することで事業を拡大してきたエヌワーク。蓄積した技術をもとに新たなサービスを創造できる同社の強みは、Azure という新たなプラットフォームの獲得によって、さらなる価値を社会に生み出していくでしょう。


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