調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究...

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平成 17 年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」 ―空知広域サプライチェーンシステムに関する調査・研究― 調 査 報 告 書 平成18年3月 財団法人ニューメディア開発協会 1

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平成 17 年度ニューメディアを基礎とした調査・研究

「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

―空知広域サプライチェーンシステムに関する調査・研究―

調 査 報 告 書

平成18年3月

財団法人ニューメディア開発協会

1

Page 2: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

この事業は、

競輪の補助金を受けて実施したものです。

目 次

2

Page 3: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.調査・研究の目的と概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

(1)本調査の問題意識と仮説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

(2)全体構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

3.消費者ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

(1)食品の安全性に関する消費者ニーズ・・・・・・・・・・・・・・ 7

4.既存システム事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

5.安全履歴のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

(1)情報の必要性・情報提供に対する意識・・・・・・・・・・・・・31

(2)生産者の取組み状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

(3)生産者のICT利活用に対する意識・・・・・・・・・・・・・・45

6.情報経路履歴のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

(1)情報経路履歴として必要な情報・・・・・・・・・・・・・・・・51

(2)データセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組み・・・・・・54

7.情報伝達のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

(1)ICタグについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

(2)QRコードについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

(3)ICタグ(RFID)とQRコードの比較・・・・・・・・・・・・62

8.安全・安心を確保するための仕組み ・・・・・・・・・・・・・・・67

(1)情報共有のための仕組み(生産者から消費者まで)・・・・・・・・67

(2)HARP活用によるシステム構成と要件・・・・・・・・・・・・73

(3)推進体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

別冊

3

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4

1.

2.

3.

4.

5.

生鮮野菜の産地及び生産者に関する情報・・・・・・・・・・・・・86

1-1.情報の必要性に対する意識・・・・・・・・・・・・・・・・86

1-2.情報提供に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・89

生鮮野菜の生産履歴(栽培)に関する情報・・・・・・・・・・・・・91

2-1.情報の必要性に対する意識・・・・・・・・・・・・・・・・91

2-2.情報提供に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・94

生鮮野菜の商品の状態に関する情報・・・・・・・・・・・・・・・97

3-1.情報の必要性に対する意識・・・・・・・・・・・・・・・・97

3-2.情報提供に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・100

生鮮野菜の出荷に関する情報・・・・・・・・・・・・・・・・・103

4-1.情報の必要性に対する意識・・・・・・・・・・・・・・・103

4-2.情報提供に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・106

生鮮野菜の流通に関する情報・・・・・・・・・・・・・・・・・109

5-1.情報の必要性に対する意識・・・・・・・・・・・・・・・109

5-2.情報提供に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・112

1. はじめに

全国的に食の安全確保が問われている中、農産物の生産履歴情報に対しての消費者

Page 5: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

の関心が非常に高まりつつあり、安全で良質な道産食品を消費者が安心して購入でき

るような食品供給システムの確立が緊急の課題となっている。

従来、情報システムに関して広域による活用を考えた場合に莫大な投資や環境の整

備が必要であった。しかし、昨今の光通信やADSLによる高速情報通信網の整備並

びに、インターネット環境の整備により、広域経済圏内の様々な地域で利用できる基

盤環境が電子自治体化の推進に合わせ実施されてきており、これらの環境やWebサ

ービス機能を 大限に活用できれば広域での迅速な展開が期待できるが、キラーシス

テムの存在が少ない状況にある。

しかし、このような中、北海道では道と市町村が連携してWebサービス機能を

大限に活かした、電子自治体化の柱となる情報共通基盤の実用が今年度に予定されて

おり、道内有数の農業地帯である北海道空知支庁管内においては、安全・安心なクリ

ーン農業として、この情報共通基盤を活用した食品供給システムの確立に期待してい

る。

道産食品は、美味しさや新鮮さに加え、北海道の豊かな自然がもたらすイメージな

どにより、全国の消費者からこれまで高い評価を得ており、食品の生産地域として、

国内で非常に大きな位置付けにある。この道産食品に対する消費者の信頼を更に確か

なものとするため、安全・安心を支える具体的なシステムの構築に向け、消費者をは

じめ、生産者、製造・加工事業者、流通事業者、学識経験者、行政などが一体となっ

て積極的な取組みを行うことが重要と捉え、各種情報をサプライチェーンとして、こ

れら情報をXML技術やICタグ技術等により一元的に情報をデータセンター内に

確保することで多品種少量生産される農産物情報管理システムのあり方について、今

回調査・研究を進めてきた。

2

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2. 調査・研究会の概要

(1) 本調査の問題意識と仮説

本調査では消費者をはじめ、生産者、製造・加工事業者、流通事業者、学識経

験者、行政などの連携による空知地域での広域サプライチェーンのシステム構築

の推進等を視野に、安全・安心な食品供給システムのあり方を検討するにあたり、

地域を取り巻く情報環境、消費者ニーズも踏まえ、次のような問題意識、仮説を

もって検討を行った。

① 安心・安全なクリーン農業を実現し道産食品に対する消費者の信頼を得るには、

生産者、製造・加工事業者等の各分野単独での情報管理から上流から下流まで

の統合的な情報管理が必要との視点。生産から出荷及び販売までに携わる多く

の人が容易に操作が可能で、消費者からも閲覧可能な仕組みとしてインターネ

ットにおける 新技術の活用が有効であるとの視点。

多品種少量生産される農産物情報を統合的に情報伝達するにはXMLによる標

準化やICタグ等の食品の形状に適した情報媒体が必要との視点から上流から

下流までの各種情報をサプライチェーンとして一元的にデータセンター内に保

管・管理できる仕組みを含めた農産物情報管理システムのあり方を検討するこ

とが必要ではないか。

② 各種報をサプライチェーンとして一元的にデータセンター内に保管・管理する

ための運営・構築は公共性及び中立性の観点から個企業が行うのではなく住民

サービスの向上や地域経済の活性化といった多面性な検討が必要との視点。ま

た、行政の支援に過度に依存することなく、自律的かつ継続的な運営・構築に

は「北海道電子自治体プラットフォーム構想」に基づく共通プラットフォーム

を活用が有効との視点からサービスの実現性の検討が必要ではないか。

③ 食品の安全性に関する情報、道内の食品の加工所在、生産所在等の一連の情報

提供など、より多くの情報提供によるブランド力創出の視点から販売チャネル

などより多くの情報提供によるブランド力創出の視点から販売チャネルなどマ

ーケット領域拡大による空知広域地域の活性化に向けた仕掛けや仕組み等のあ

り方の検討が必要でないか

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(2) 全体構想

本調査・研究を円滑に進めるにあたり、検討すべきテーマは大きく分けて以下

の8テーマとし、検討に当たっては、空知広域サプライチェーンシステム検討協

議会を設立し検討を進めた。

① 消費者ニーズ把握

多様化した消費者ニーズの中、今や消費者が主体となった「多様化・スピード」

の時代であり、消費者が求めているものを、求めている量、速く、安く提供する

ことが望まれる。このような状況下、消費者の求めているものとは何かの明確化

を行う。

食品安全委員会のホームページ閲覧状況に関するアンケート結果(平成 16年5

月実施)として、一般消費者の実に約 64%の方々が「これまでに数回以上、同委

員会のホームページを見ている」と回答しており、消費者の安全・安心に対する

ニーズの高さが伺える。同委員会の「食の安全性に関する意識調査結果」や道が

実施した「北海道産の食品イメージ等に関する調査結果」及び、農水省が行って

いる様々な調査結果を基に、消費者が食品に対して求める安全・安心とは何かを

分析・整理すると共に、これらを基に協議会の今後の進め方を含めた方針の策定

を行った。

尚、公開されている情報が不足な場合は、必要に応じ当協議会独自で調査を実

施し、消費者が食品の安全・安心に求めるニーズ等の掘り起こしを行う。

② 既存システム把握

消費者に対して「必要なものを、必要な時に、必要な量を、安価に」提供する

ためには、生産してから消費者の手元に商品が届くまで、そのチェーン上のサプ

ライヤーが組織や企業等の壁を超えて、情報を共有し、全体 適化を目指し、顧

客満足度を追求することが重要である。

顧客満足度を追求という点では、国が進めるe-Japan戦略Ⅱの中で「食

の安全・安心」は重点項目として扱われており、特にトレーサビリティシステム

の導入と農産物取引へのECの導入、ICTを利用する農林漁業経営の育成が課

題とされている。また、牛肉以外の食品については「その特性に応じたトレーサ

ビリティシステムを早期に開発し、対応する」とされており、食の安全性を巡る

問題は消費者ばかりではなく、今では生産者・流通関連業者にとっても 重要課

題となっている。

このような背景の中、道内・道外を含めた先進事例として消費者が望む「安全・

安心」な食品を提供するために、どのようなシステムが構築又は検討されている

のか、どのような実績があるのか、どのような実証実験が行われ結果はどうなの

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かを調査・分析を行うと共に、その結果を基に今後の検討に活用すべく、各既存

システムにおけるメリット・デメリットの明確化を行う。

③ 安全履歴のあり方サプライチェーンマネジメントの実現には、ネットワークに

より結ばれたサプライヤーが情報を共有しあう事が求められる。

これら、サプライチェーンマネジメントに必要な情報には、安全履歴と情報経

路履歴があり、本項では安全履歴のあり方について検討を行う。

安全履歴として食品の安全を確認するための情報は、品目によって全く異なる

情報である。野菜に関しては、土壌検査の結果や、農薬、価格肥料の投与、残留

農薬等の情報が要求されるが、牛肉や養殖魚、冷凍食品等より多くの情報が要求

され、安全性を確認するために必要とされる情報は食品によって様々である。

これら性格の異なる情報を同時に提供できるようなシステムを開発しようとす

ると、どうしてもそれぞれの食品に特有の条件を満たすことに力が注がれる可能

性がある。

本調査・研究では空知管内が北海道有数の農産地であることから、農作物をタ

ーゲットとし、消費者ニーズ結果を基に生産物の情報や生産者の情報及び、出荷

情報等の基本情報から、どのような詳細情報が必要なのかを検討する。

④ 情報経路履歴のあり方現在、食品の流通過程においてサプライチェーンマネジ

メントの普及はなかなか進まない状況にあり、その理由の一つとして、青果物流

通の過半を扱う卸売市場の存在であると言われている。

サプライチェーンマネジメントやトレーサビリティシステムの導入は市場外流

通(小売業者と生産者との直接の取引)の場合にはそれ程困難ではないとされてお

り、流通チェーンが短いほど関与する業者が少ないことがその理由と推測される。

つまり、流通経路履歴は中間業者や加工業者が係わる都度(流通チェーンが長い

ほど)に、各々で情報媒体への情報登録が必要となることから、フードチェーン

の全ての各段階において導入しなければ機能せず、一部でも欠けるとそこで遡

及・追跡がストップし、機能しない困難さがある。また、注文書や送り状、受領

書、検品書等、従来多くが紙ベースで管理されてきた情報を、容易に記録が出来、

一元的にデータセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組みについて検討を行

う。

⑤ 情報伝達のあり方流通経路履歴と安全履歴を行うためには、情報媒体が前提と

されている。食品は形状も種々多様であり、ダンボール箱や小袋に納品されてい

たり、生鮮野菜のように食品そのものだったり、形も四角形から円形と大きさや

形状が異なれば、商品に貼付あるいは添付するための情報媒体も必然的に異なら

5

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ざるを得ないと言われている。現在は、バーコードや二次元バーコード、ICタ

グ等、それぞれの食品の形状に も適した媒体が利用され、食品と同様に情報媒

体の形状も異なっている。

また、これら伝達情報媒体に情報を書き込んだり、書き込まれた情報を読み出

したりする機器も異なっているのが事実である。事例調査において、情報媒体の

費用等を含めたメリット・デメリットを分析した結果を基に、更に安全履歴のあ

り方並びに流通経路履歴のあり方に関する検討結果を踏まえ、 適な情報伝達の

あり方について検討を行う。

⑥ マーケット領域の拡大施策広域サプライチェーンシステムの検討にあたっては、

食品の安全性に関する情報を提供のみならず、より多くの情報提供や北海道ブラ

ンドのPRをするなどの付加価値を付けることで北海道食品ブランドの販売チャ

ネル拡大も可能である。道内には 86 ヶ所の「道の駅」(空知支庁管内は、深川市、

三笠市、芦別市、滝川市、歌志内市、長沼町、浦臼町、北竜町、雨竜町、奈井江

町、幌加内町の 11 ヶ所)があり、安全・安心な北海道食品ブランドは道外消費者(観

光客)を中心とした多くのリピータが期待出来ることから、「道の駅」や観光スポ

ットを活用した仕掛けと仕組み等も合わせて検討する。

⑦ システムの検討

①から⑦の検討結果を基に、実際にシステム構築・運用のあり方について検討

を行う。

システム構築の検討にあたっては、民間や都府県が本システムを活用しての付

加価値システムを容易に構築可能と出来るよう、インターネット 新技術のXM

L/Webサービスを前提としてのオープンでかつ汎用性のあるシステムを検討

する。 また、システムの運営にあたっては、継続的に運用するための条件や費用

面の課題を明確にし、必要に応じて付加価値サービスによるシステム利用者から

料金徴収のためのビジネスモデルの創出を行う。

⑧ HARP(北海道電子自治体プラットフォーム構想)での実現検討空知広域サプ

ライチェーンシステムの構築・運営は、公共性及び中立性の観点から一民間企業

が行うのではなく、住民サービスの向上や地域の活性化といった多面的な効果を

上げるためにも、行政と民間企業が連携した推進体制が必要である。以上から、

現在、道と市町村が連携し電子自治体の基盤となる共通プラットフォームの構築

に関する具体的な検討が進められている中、これら共通プラットフォームを活用

したシステムの構築・運営を行うことを前提とし、HARP上でのサービス実現

に向けた課題を明確にする。

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図表1.検討にあったての全体構想

②既存システム把握、③安全履歴のあり方、④情報経路履歴のあり方、⑤情報伝達のあり方

販売店 消費者 物流中間事業者生産者 食品 食品 食品

⑦システムの検討 ⑧HARPでの実現検討

情報 情報 情報 情報

データセンター

①消費者ニーズ把握

⑥マーケット領域の拡大施策

消費者が「安全・安心な食品」を求めている現状で、消費者に望まれる商品が手

元に届くまでには、生産者から物流業者、卸売業者、小売業者といった多くの関係

業者の間で情報を共有化するシステムの構築が望まれる。

これらから、食品のサプライチェーンマネジメントを考える上で、トレーサビリ

ティシステムは欠かせない条件である。トレーサビリティシステムが導入されるこ

とで、関係業者の間で情報を共有する基盤が形成される。

情報の共有はロジスティックスを効率化し、在庫管理等にかかる経費を削減する

可能性を持っている。これら多くの関係業者間によるネットワークの構築ができれ

ば、安全性に関わる情報ばかりでなく、商品特性に関わる情報や出荷予定情報等も

共有化が図れ、 終的に安価に且つスピーディーに消費者の手元に届けられると共

に、差別化された商品を提供や安定した販売チャネルを獲得できる可能性も秘めて

いる。

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3. 消費者ニーズ

多様化した消費者ニーズの中、今や消費者が主体となった「多様化・スピード」の

時代であり、消費者が求めているものを、求めている量、速く、安く提供することが

望まれる。本章では、これら消費者の求めているものとは何か、について明確化を行

う。

近年のBSE(牛海綿状脳症)の発生や食品の偽装表示などにより、「食」に対する

不安は非常に高まり、消費者の安心・安全な食品へのニーズが高まっている。

このような状況の中、食品を生産・供給する生産者を含む農林水産事業者等は自ら

進んで食の安全・安心確保に取り組むことが必要不可欠となっている。

では、消費者は何に不安を感じ、どのような情報を持って安心・安全と受け止める

のか、農林水産事業者等はどのような取組みが必要なのかを、各省庁や都道府県で行

っている「安心・安全に向けた消費者等へのアンケート」を基に的確に把握すること

で、協議会を進める上での参考とした。

(1) 食品の安全性に関する消費者ニーズ

食品の安全性は、 近では消費者ニーズの たるものであり、それに応えるこ

とがすべての供給業者にとっては必須となっている。また、食品の安全性を担保

するだけでは消費者に安心を提供することはできず、安全と安心は別の問題とし

てとらえる必要がある。

特に昨今のBSE問題やラベル不正表示などの不祥事が相次ぎ、食の安全性に

対する信頼は大きく揺らぐようになった背景から、消費者の約半数の方が、多少

価格が高くても安心感を重視し、信頼できる食品を購入するとしており、生鮮食

品においては半数以上が価格よりも安全重視との結果であった。

このように、安心を提供するための仕組みとして注目されているトレーサビリ

ティシステムにおいては、既に消費者の9割以上の方が重要性について認識して

おり、生産・流通段階において食品の安全性に関して問題が発生した際の原因究

明や、問題となった食品の追跡・回収を容易にするとともに、消費者においては

自宅や小売店の店頭などからインターネットを介して生産者情報や栽培履歴など

を確認することができるようになるなど、生産者・流通業者と消費者双方におけ

る食品の品質確保に関する情報ニーズを満たすものとして、消費者の期待は大き

い。

8

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① 食品の安全性に対し不安を感じる過程・工程

消費者が「安全・安心な食品」を求めている現状で、消費者に望まれる商品が

手元に届くまでのチェーン上で、生産から物流、卸売、小売といった多くの段階

と組織や企業を経由する。

消費者はこれらのチェーン上で、どこの段階にどのような不安をもっているの

だろうか。農林水産省が行った「平成 15 年度食料品消費モニター第一回定期調査」

を参考に分析を行った。

生産過程での安全性について

まず、始めに農畜水産物の生産過程での安全性について(図表2、3参照)、全

体の 77.6%の方が、食品の生産過程での安全性に関し「不安がある」と回答し

ており、特に「農薬」を選択する方が 43,1%と も多く、次いで「飼料」を選

択する方が 31.2%と多い状況がうかがえる。

1

2

3

4

5

図表2.農畜水産物の生産過程での安全性

72.9

83.3

81.3

78

63.1

77.6

17.0

11.3

17.1

18.4

36.9

17.7

10.0

5.4

1.6

3.6

4.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

ある ない 無回答

年代別

20代以上モニター計

(%)

72.9

83.3

81.3

78

63.1

77.6

17.0

11.3

17.1

18.4

36.9

17.7

10.0

5.4

1.6

3.6

4.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

ある ない 無回答

年代別

20代以上モニター計

(%)

図表3.安全性に対しての不安な内容(「ある」と回答した方の複数回答)

43.1%

31.2%

17.4%

9.5% 8.9%

4.1% 3.9% 3.6% 3.5% 1.9% 0.6%

25.7%

0%

0%

0%

0%

0%

農薬

飼料

薬剤投与

肥料

環境汚染

生産地情報

表示のごまかし

(生産地情報を除く)

遺伝子の組替え

トレーサビリティ

衛生管理

保存方法

その他

20代以上モニター計N=778

0%

9

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製造・加工工程での安全性について

食品の製造・加工工程での安全性に関し、全体の 74.3%の方が「不安がある」

と回答しており、世代に係わらず7割以上の方が不安と感じている状況である。

その中で、不安に感じる内容として「添加物」をあげる方が 38.4%と も多

く、次いで「その他」「衛生管理」が多い状況がうかがえる。(図表4、5参照)

図表4.製造・加工工程での安全性

71.2

81.0

76.0

70.4

70.2

74.3

17.9

12.7

20.3

24.2

29.8

19.7

10.9

6.3

3.7

5.4

6.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

ある ない 無回答

年代別

20代以上モニター計

(%)

71.2

81.0

76.0

70.4

70.2

74.3

17.9

12.7

20.3

24.2

29.8

19.7

10.9

6.3

3.7

5.4

6.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

ある ない 無回答

年代別

20代以上モニター計

(%)

図表5.安全性に対しての不安な内容(「ある」と回答した方の複数回答)

38.4%

23.1%

9.5% 9.5%

4.4% 3.8% 2.6%

29.5%

10%

20%

30%

40%

50%

添加物

衛生管理

異物混入

表示のごまかし

(生産者、販売者情報を除く)

原材料

生産者、販売者情報

保存方法

その他

20代以上モニター計N=745

0%

10

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流通過程での安全性について

食品の流通過程での安全性に関し、全体の 49.3%の方が「不安がある」と回

答しており、生産過程や製造・加工工程と比べ、低い状況がうかがえる。中で

も 20 代と 30 代の方で不安と感じる方は3割強と少ない。

不安な内容として「保存方法」をあげる方が、38.4%と も多い状況であった。

(図表6、7参照)

図表6.流通過程での安全性

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

(%)

53.3

55.7

52.4

39.9

36.9

49.3

32.8

35.7

42.3

53.8

63.1

43.0

14.0

8.6

5.3

6.3

7.8

10 20 30 40 50 60 70 80 90 1000

ある ない 無回答

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

(%)

53.3

55.7

52.4

39.9

36.9

49.3

32.8

35.7

42.3

53.8

63.1

43.0

14.0

8.6

5.3

6.3

7.8

10 20 30 40 50 60 70 80 90 1000

ある ない 無回答

図表7.安全性に対しての不安な内容(「ある」と回答した方の複数回答)

36.4%

16.4% 16.0%14.0%

4.3%1.4%

31.0%

10%

20%

30%

40%

50%

保存方法

衛生管理

表示のごまかし

(右記情報を除く)

生産者、販売者、流通情報

添加物

異物混入

その他

20代以上モニター計N=494

0%

11

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小売店での安全性について

食品の小売店での安全性に関し、全体の 57.0%の方が「不安がある」と回答

しており、不安な内容として「表示のごまかし」を選択する方が 43,1%と も

多い状況であった。(図表8、9参照)

図表8.小売店での安全性

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

ある ない 無回答

56.3

60.2

59.3

52.9

54.8

57.0

30.1

32.1

36.6

41.3

45.2

35.9

13.5

7.7

4.1

5.8

7.1

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n= 229

50代 n= 221

40代 n= 246

30代 n= 223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

ある ない 無回答

56.3

60.2

59.3

52.9

54.8

57.0

30.1

32.1

36.6

41.3

45.2

35.9

13.5

7.7

4.1

5.8

7.1

56.3

60.2

59.3

52.9

54.8

57.0

30.1

32.1

36.6

41.3

45.2

35.9

13.5

7.7

4.1

5.8

7.1

図表9.安全性に対しての不安な内容(「ある」と回答した方の複数回答)

25.2%21.7%

35.1%

5.6%3.3%

0.3%

30.1%

10%

20%

30%

40%

50%

保存方法

衛生管理

表示のごまかし

(生産者、販売者情報を除く)

添加物

生産者、販売者情報

異物混入

その他

20代以上モニター計N=572

0%

12

Page 16: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

② 安全性を確保するために改善が重要とされる段階

「食品の安全性に対し不安を感じる過程・工程」に関するアンケート結果では、

流通過程での安全性に不安と感じる方が半数以下であったが、「生産過程」「製造・

加工工程」「小売店」においては、半数以上の方が不安であると回答している。

これらの結果に関連し、内閣府・食品安全委員会が行った「食の安全性に関す

る意識」についての食品安全モニター調査結果と国政モニター調査結果比較(図

表 10 参照)では、食品の安全性を確保するために改善が重要と考える段階に関す

るアンケートを実施している。

結果として、「生産段階(肥培管理、農薬散布、収穫時の管理など)」に対し、

安全性を確保するための改善が重要とあげた方が全体の約8割を占めており、次

いで「製造・加工段階」と回答した方が約6割と多い状況がうかがえる。一方、

「流通段階」、「販売段階」をあげる方の割合は1割前後と低い回答であった。

これら①ならびに②の状況から推測すると、消費者は各過程・工程において不

安は感じているものの、安全性を確保するために改善を重要視しているのは、「生

産段階」「製造・加工段階」であり、「流通段階」、「販売段階」においては、さほ

ど重要視していないと推測される。(図表 10、11 参照)

図表 10.安全性を確保するために改善が重要とされる段階

0.0%

1.8%

0.9%

2.1%

9.8%

9.5%

34.4%

54.0%

85.6%

0.2%

2.9%

2.4%

4.4%

5.5%

11.4%

33.4%

58.9%

79.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100

無回答

その他

外食の段階(保存・調理方法など)

家庭の段階(保存・調理方法など)

販売段階

流通段階

自然環境(水、土壌、大気など)

製造・加工段階

生産段階(肥培管理、農薬散布、収穫時の管理など)

国政モニター 食品安全モニター

0.0%

1.8%

0.9%

2.1%

9.8%

9.5%

34.4%

54.0%

85.6%

0.2%

2.9%

2.4%

4.4%

5.5%

11.4%

33.4%

58.9%

79.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100

無回答

その他

外食の段階(保存・調理方法など)

家庭の段階(保存・調理方法など)

販売段階

流通段階

自然環境(水、土壌、大気など)

製造・加工段階

生産段階(肥培管理、農薬散布、収穫時の管理など)

国政モニター 食品安全モニター

13

Page 17: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表 11.安全性に対し不安を感じる過程・工程と改善が重要とされる段階

生 産 77.6%

約 80%

・農薬

(43.1%)

・飼料

(31.2%)

・その他

(25.7%)

製造・加工

約 55%

74.3%

・保

(

・そ

(

・衛

(

過程・工程

不安の割合

不安の内容

改善が重要 とされる割合

③ 不安を感じる食品

農林水産省が行った「平成 15 年度食料品消費モ

は、食品の安全性の観点から不安を感じる食品とし

た方が7割以上にのぼっており、次いで「原材料

た方が 47.0%と多い。また、「外国産生鮮果物」、

も高い数値を示しており、国内産の食品は外国産

況がうかがえる。(図表 12 参照)

図表 12.不安を感じる食品(回答

3.0

10.76.4

72.2

3.3

38.7

8.8

0

20

40

60

80

(%)

国産米麦

外国産米麦

国産生鮮野菜

外国産生鮮野菜

国産生鮮果実

外国産生鮮果実

国産精肉

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

1,003 3.0 10.7 6.4 72.2 3.3 38.7 8.8

84 - 7.1 64.3 34.5 8.38.3 2.4

223 3.6 11.2 75.3 40.8 10.87.2 1.8

246 2.4 13.4 66.3 40.7 8.95.7 2.4

221 2.7 8.1 70.6 40.3 7.74.5 5.4

229 4.4 10.9 79.9 34.5 7.97.4 3.9

14

卸(物流) 49.3%

約 10%

存方法

36.4%)

の他

31.0%)

生管理

16.4%)

小 売

57.0%

ニター第一回定

て、「外国産生

が外国産の加工

「外国産精肉」

の食品と比べ、

3つ以内)

44.4

3.3

10.87.6

外国産精肉

国内鮮魚(天然物)

国内鮮魚(養殖物)

外国産鮮魚(天然物)

44.4 3.3 10.8 7.6

52.4 2.4 7.1 10.7

46.6 3.6 5.4 7.2

46.3 4.9 10.6 9.8

41.6 3.2 17.6 5.9

39.7 1.7 10.9 6.1

・表示

(35.1%)

・その他

(30.1%)

・保存方法

(25.2%)

・添加物

(38.4%)

・その他

(29.5%)

・衛生管理

(23.1%)

、「

32.

外国産鮮魚(養殖物)32.

41.

30.

30.

32.

33.

20

約8%

調査」結果で

野菜」をあげ

品」と回答し

外国産鮮魚」

心度が高い状

3

2.7

47.0

2.3 0.6

原材料が国産の

加工品

原材料が外国産の

加工品

その他

無回答

3 2.7 47.0 2.3 0.6

7 2.4 46.4 1.2 1.2

5 2.2 44.8 0.9 0.4

1 2.8 44.7 2.8 0.4

1 3.2 50.2 2.3 -

2 2.6 48.5 3.5 1.3

代以上モニター計N=1,003

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④ 食品の「安全性」と「価格」優先について

全体の約半数の方が、多少価格が高くても安心感を重視し、信頼できる食品を

購入するとしている(図表13参照)。その中でも、精米、小麦等は半数近く、鮮食

品は半数以上が価格よりも安全重視であることがうかがえる。(図表14、15参照)

図表 13.「安全性」と「価格」優先について(食品全般)

13.1

9.0

10.6

4.0

4.8

8.9

45.4

42.5

43.5

33.2

23.8

39.8

38.0

45.2

42.7

52.0

56.0

45.4

1.3

2.7

3.3

9.9

11.9

4.9

3.6

0.5

0.5

0.6

2.2

0.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

60歳以上 n=229

50代 n=221

40代 n=246

30代 n=223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

(%)

価格に関係なく安心感を重視して購入

どちらかと言えば安心感を重視し、多少価値が高くても信頼できるものを購入

安心感と価格の両方のバランスを重視し、ほどほどのものを購入

どちらかと言えば、安心感よりも価格を重視し、安いものを購入

価格のみを比較し、購入

わからない 無回答

図表 14.「安全性」と「価格」優先について(精米、小麦等)

10.9

15.8

13.4

10.3

11.9

12.6

38.9

33.9

43.9

39.5

14.3

37.1

34.5

41.6

28.9

32.7

44.0

35.1

7.9

5.0

11.4

13.9

23.8

10.8

2.0

6.0

1.3

2.3

3.6

2.6

0.5

0.1

6.6

0.9

0.4

1.8

価格に関係なく安心感を重視して購入

どちらかと言えば安心感を重視し、多少価値が高くても信頼できるものを購入

安心感と価格の両方のバランスを重視し、ほどほどのものを購入

どちらかと言えば、安心感よりも価格を重視し、安いものを購入

価格のみを比較し、購入

わからない 無回答

60歳以上 n=229

50代 n=221

40代 n=246

30代 n=223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%)

15

Page 19: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表 15.「安全性」と「価格」優先について(生鮮食品)

22.7

23.1

19.1

12.6

17.9

19.2

50.7

48.9

52.4

48.9

41.7

49.6

20.1

24.0

24.4

33.2

28.6

25.6

0.9

1.8

3.3

4.5

10.7

3.3

1.2

0.4

0.5

0.9

0.5

0.5

0.1

5.7

1.4

0.4

1.7

価格に関係なく安心感を重視して購入

どちらかと言えば安心感を重視し、多少価値が高くても信頼できるものを購入

安心感と価格の両方のバランスを重視し、ほどほどのものを購入

どちらかと言えば、安心感よりも価格を重視し、安いものを購入

価格のみを比較し、購入

わからない 無回答

60歳以上 n=229

50代 n=221

40代 n=246

30代 n=223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%)

⑤ 食品のトレーサビリティについて

食品のトレーサビリティの重要性

食品のトレーサビリティの重要性に関し、全体の9割以上の方が認識しており、

年齢層が高くなるにつれ、認識度も高い状況がうかがえる。(図表16参照)

図表 16.食品のトレーサビリティの重要性

72.1

57.9

57.3

43.9

42.9

56.6

22.3

31.2

36.2

42.6

46.4

34.2

4.4

9.0

3.7

12.1

6.0

7.1

3.6

0.9

1.6

0.9

0.4

0.4

0.9

1.2

1.2

0.9

0.4

0.8

0.9

重要である どちらかと言えば、重要である

どちらとも言えない

どちらかと言えば、重要ではない

重要ではない

わからない 無回答

60歳以上 n=229

50代 n=221

40代 n=246

30代 n=223

20代 n= 84

n=1,003

年代別

20代以上モニター計

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%)

16

Page 20: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

食品のトレーサビリティ導入により期待される効果

食品トレーサビリティの導入により期待される効果として、半数以上の方が

「生産工程の透明性確保」と「安全・安心に感じること」を期待している。

また、「食品の事故がおきた時、その原因を速やかに追究しやすくなること」

「食品の事故がおきた時、性格で迅速な回収・撤去がしやすくなる」と回答し

た方が約半数おり、トレーサビリティに対する認識が高いことがうかがえる。

(図表17参照)

図表 17.食品のトレーサビリティ導入により期待される効果(3つ以内)

67.6

21.1

11.915.9

48.3

40.2

11.6

25.5

2.1

51.3

1.3 0.10

20

40

60

80

(%)

生産工程の透明性が確

保される

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 67.6 21.1 11.9 15.9 48.3 40.2 11.6 25.5 2.1 51.3 1.3 0.1

75 73.3 18.7 41.3 25.3 12.0 26.7 4.0 49.3 - -20.0 24.0

193 70.5 15.5 49.7 33.2 5.2 22.8 2.1 51.3 1.0 -25.9 16.6

230 65.7 11.7 49.1 40.0 14.3 23.5 2.2 49.1 1.3 -23.0 16.5

197 66.0 9.6 44.2 48.7 13.2 23.4 1.5 54.3 1.0 0.520.3 14.7

216 66.7 8.3 52.3 44.0 13.0 31.5 1.9 51.4 2.3 -15.7 13.0

必要な情報を入手でき

る表示の立証製を助ける

表示や情報の誤認を

防ぐ

食品の事故が起きた時、

その原因を速やかに追

究しやすくなる

食品の事故が起きた時、

正確で迅速な回収・撤

去がしやすくなること

食品の事故に関するデ

ータが蓄積され、技術

的発展が見込まれる

食品の事故が起きた時、

事業者の責任が明確に

なりやすい

事業者の業務の効率化

向上に寄与する

トレーサビリティ導入

によって、安全・安心

に感じられる

その他

無回答

67.6

21.1

11.915.9

48.3

40.2

11.6

25.5

2.1

51.3

1.3 0.10

20

40

60

80

(%)

生産工程の透明性が確

保される

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 67.6 21.1 11.9 15.9 48.3 40.2 11.6 25.5 2.1 51.3 1.3 0.1

75 73.3 18.7 41.3 25.3 12.0 26.7 4.0 49.3 - -20.0 24.0

193 70.5 15.5 49.7 33.2 5.2 22.8 2.1 51.3 1.0 -25.9 16.6

230 65.7 11.7 49.1 40.0 14.3 23.5 2.2 49.1 1.3 -23.0 16.5

197 66.0 9.6 44.2 48.7 13.2 23.4 1.5 54.3 1.0 0.520.3 14.7

216 66.7 8.3 52.3 44.0 13.0 31.5 1.9 51.4 2.3 -15.7 13.0

必要な情報を入手でき

る表示の立証製を助ける

表示や情報の誤認を

防ぐ

食品の事故が起きた時、

その原因を速やかに追

究しやすくなる

食品の事故が起きた時、

正確で迅速な回収・撤

去がしやすくなること

食品の事故に関するデ

ータが蓄積され、技術

的発展が見込まれる

食品の事故が起きた時、

事業者の責任が明確に

なりやすい

事業者の業務の効率化

向上に寄与する

トレーサビリティ導入

によって、安全・安心

に感じられる

その他

無回答

食品のトレーサビリティの重要性

について「重要である」「どちらか

といえば重要である」と回答した

方を対象

(参考)農林水産省「平成15年度食料品消費モニター第一回定期調査」

17

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食品のトレーサビリティ導入に優先の高い食品の種類

食品トレーサビリティの導入に優先の高い食品として、「牛肉を除く精肉」を

あげた方が 54.7%と も多く、次いで、「生鮮野菜」が多い状況であった。

「牛肉を除く精肉」が多い理由として、近年の鳥インフルエンザ問題が考えら

れ、「生鮮野菜」が多い理由として、①の食品の安全性に対し不安を感じる過程・

工程において、「農薬」と回答した方が も多かったことから、これらが理由で

あると推測される。(図表 18 参照)

図表 18.トレーサビリティ導入に優先度の高い食品の種類(3つ以内)

54.7

33.7

21.4

1.4

25.7

12.8

42.7

20.0

4.18.0

21.1

3.6

15.8

6.03.3 1.8

4.4

0

20

40

60

80

(%)

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 54.7 33.7 21.4 12.8 42.7 20.0 8.0 21.1 3.315.8 1.8 4.4

75 49.3 12.0 46.7 21.3 10.7 26.7 1.36.7 1.3 2.728.0 14.7193 56.0 22.3 43.0 22.3 6.7 17.6 1.611.9 2.6 6.230.1 14.5

230 59.1 20.9 46.5 21.7 7.0 21.7 3.012.2 1.7 4.336.5 14.8

197 51.8 18.3 39.6 48.7 7.6 18.7 3.624.4 2.0 5.128.4 14.7

216 53.2 27.3 39.8 44.0 9.7 23.6 5.618.5 0.9 2.840.7 6.9

その他

無回答

調味料

漬け物

飲料(ジュース・お

茶・コーヒー等)

大豆・豆製品

鶏卵

牛乳・乳製品

きのこ類(生鮮)

生鮮野菜

生鮮果実

養殖魚

米魚介類(養殖を除く)

海藻類

生肉(牛肉を除く)

肉加工食品(ハム・

ウィンナー等)

6.0

6.7

3.6

4.3

8.1

7.9

3.6

2.7

3.6

4.3

8.1

7.9

4.1

4.0

4.1

4.3

4.6

3.2

25.7

26.7

19.7

21.7

32.0

29.2

1.4

1.3

1.0

1.7

0.5

2.3

54.7

33.7

21.4

1.4

25.7

12.8

42.7

20.0

4.18.0

21.1

3.6

15.8

6.03.3 1.8

4.4

0

20

40

60

80

(%)

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 54.7 33.7 21.4 12.8 42.7 20.0 8.0 21.1 3.315.8 1.8 4.4

75 49.3 12.0 46.7 21.3 10.7 26.7 1.36.7 1.3 2.728.0 14.7193 56.0 22.3 43.0 22.3 6.7 17.6 1.611.9 2.6 6.230.1 14.5

230 59.1 20.9 46.5 21.7 7.0 21.7 3.012.2 1.7 4.336.5 14.8

197 51.8 18.3 39.6 48.7 7.6 18.7 3.624.4 2.0 5.128.4 14.7

216 53.2 27.3 39.8 44.0 9.7 23.6 5.618.5 0.9 2.840.7 6.9

その他

無回答

調味料

漬け物

飲料(ジュース・お

茶・コーヒー等)

大豆・豆製品

鶏卵

牛乳・乳製品

きのこ類(生鮮)

生鮮野菜

生鮮果実

養殖魚

米魚介類(養殖を除く)

海藻類

生肉(牛肉を除く)

肉加工食品(ハム・

ウィンナー等)

6.0

6.7

3.6

4.3

8.1

7.9

3.6

2.7

3.6

4.3

8.1

7.9

4.1

4.0

4.1

4.3

4.6

3.2

25.7

26.7

19.7

21.7

32.0

29.2

1.4

1.3

1.0

1.7

0.5

2.3

食品のトレーサビリティの重要性

について「重要である」「どちらか

といえば重要である」と回答した

方を対象

(参考)農林水産省「平成15年度食料品消費モニター第一回定期調査」

18

Page 22: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

トレーサビリティにおいて生鮮野菜で知りたい履歴

トレーサビリティにおいて生鮮野菜で知りたい履歴として、「農薬・肥料等の

使用状況(使用名称、回数、量、時期等)」をあげた方が85.0%と も多く、次

いで、「産地(原産地等)」が53.3%という状況であった。

また、運搬方法や保存方法等の主に流通段階における履歴に関してはニーズが

低い状況がうかがえる。(図表19参照)

図表 19.トレーサビリティにおいて生鮮野菜で知りたい履歴(3つ以内)

(参

19

10.5

19.212.8

53.3

34.4

85.0

34.5

5.8 5.0

12.6

2.37.8

0.83.8

0

20

40

60

80

100

(%)

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 10.6 19.2 34.4 42.7 34.5 5.8 5.0 7.8 0.8 3.8

75 6.7 14.7 46.7 38.7 8.0 4.0 12.0 - 2.722.7

193 11.9 17.6 43.0 44.0 6.7 4.1 7.3 1.0 5.732.1

230 12.6 17.0 46.5 30.4 6.5 5.7 10.4 - 3.534.3

197 9.6 22.3 39.6 35.0 4.6 6.6 6.1 1.0 3.641.6

216 9.7 21.8 39.8 28.2 4.6 4.2 5.6 1.4 3.233.8

その他

無回答

栄養成分

出荷から卸売又は小

売店までの運搬方法

卸売・小売店名

出荷年月日

収穫年月日

栽培方法(露地栽培、

ハウス栽培、水耕栽

培等)

栽培品種

2.3

1.3

3.1

1.3

1.0

4.2

12.6

20.0

7.8

12.6

15.2

12.0

53.3

56.0

52.8

53.5

49.2

56.5

12.8

9.3

6.7

13.9

9.6

21.3

生産者個人

生産出荷団体

(農協名等)

産地(原産地等)

農薬・肥料等の使用

状況(使用名称、回

数、量、時期等)

卸売又は小売店での

保存方法

10.5

19.212.8

53.3

34.4

85.0

34.5

5.8 5.0

12.6

2.37.8

0.83.8

0

20

40

60

80

100

(%)

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

911 10.6 19.2 34.4 42.7 34.5 5.8 5.0 7.8 0.8 3.8

75 6.7 14.7 46.7 38.7 8.0 4.0 12.0 - 2.722.7

193 11.9 17.6 43.0 44.0 6.7 4.1 7.3 1.0 5.732.1

230 12.6 17.0 46.5 30.4 6.5 5.7 10.4 - 3.534.3

197 9.6 22.3 39.6 35.0 4.6 6.6 6.1 1.0 3.641.6

216 9.7 21.8 39.8 28.2 4.6 4.2 5.6 1.4 3.233.8

その他

無回答

栄養成分

出荷から卸売又は小

売店までの運搬方法

卸売・小売店名

出荷年月日

収穫年月日

栽培方法(露地栽培、

ハウス栽培、水耕栽

培等)

栽培品種

2.3

1.3

3.1

1.3

1.0

4.2

12.6

20.0

7.8

12.6

15.2

12.0

53.3

56.0

52.8

53.5

49.2

56.5

12.8

9.3

6.7

13.9

9.6

21.3

生産者個人

生産出荷団体

(農協名等)

産地(原産地等)

農薬・肥料等の使用

状況(使用名称、回

数、量、時期等)

卸売又は小売店での

保存方法

食品のトレーサビリティの重要性

について「重要である」「どちらか

といえば重要である」と回答した

方を対象

考)農林水産省「平成15年度食料品消費モニター第一回定期調査」

Page 23: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

望ましい食品の生産物情報等を入手する方法

望ましい食品の生産物情報等を入手する方法として、「食品のパッケージ(包装

資材)に記載」をあげる方が 77.1%と、約8割にのぼっており、次いで「店の店

頭に設置してある端末で調べる」を選択した方が約半数の 44.5%という状況で

あった。

また、「店の店頭に設置してある端末で調べる(44.5%)」を含め、ICTを活

用した入手方法として、「携帯のインターネットで調べる(2.3%)」、「パソコン

等インターネットで調べる(16.7%)」、「しかるべき情報センターにインターネ

ットで問い合わせる(9.4%)」と回答した方の合計が72.9%となることから、近

年のインターネットの普及に伴い、ICT技術の利便性を認識している方が多

いことがうかがえる。(図表20参照)

図表 20.食品の生産物情報等を入手する方法

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

1,003 44.5 21.9 2.3 48.3 9.4 15.1 77.1 3.2 0.1

84 53.6 41.3 9.5 11.9 72.6 1.2 -9.5 -

223 45.7 49.7 10.3 7.6 78.0 2.2 -17.5 4.0

246 45.1 49.1 10.6 14.6 79.3 4.1 -15.9 2.0

221 44.3 44.2 6.3 17.2 80.1 4.1 -20.4 0.9

229 39.3 52.3 10.0 21.8 72.5 3.1 0.438.9 3.1

店の店頭で設置して

ある端末で調べる

その他

無回答

44.5

21.9

2.3

16.7

9.4

15.1

77.1

3.20.1

0

20

40

60

80

(%)

店員に尋ねる

携帯電話のインター

ネットで調べる

パソコンのインター

ネットで調べる

しかるべき情報セン

ターにインターネッ

トで問い合わせる

しかるべきコールセ

ンターへ電話で問い

合わせる

食品のパッケージ

(包装資材)に転記

20代以上モニター計

年代別

20代

30代

40代

50代

60歳以上

n

1,003 44.5 21.9 2.3 48.3 9.4 15.1 77.1 3.2 0.1

84 53.6 41.3 9.5 11.9 72.6 1.2 -9.5 -

223 45.7 49.7 10.3 7.6 78.0 2.2 -17.5 4.0

246 45.1 49.1 10.6 14.6 79.3 4.1 -15.9 2.0

221 44.3 44.2 6.3 17.2 80.1 4.1 -20.4 0.9

229 39.3 52.3 10.0 21.8 72.5 3.1 0.438.9 3.1

店の店頭で設置して

ある端末で調べる

その他

無回答

44.5

21.9

2.3

16.7

9.4

15.1

77.1

3.20.1

0

20

40

60

80

(%)

店員に尋ねる

携帯電話のインター

ネットで調べる

パソコンのインター

ネットで調べる

しかるべき情報セン

ターにインターネッ

トで問い合わせる

しかるべきコールセ

ンターへ電話で問い

合わせる

食品のパッケージ

(包装資材)に転記

(参考)農林水産省「平成15年度食料品消費モニター第一回定期調査」

20

Page 24: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

4. 既存システム事例

消費者に対して「必要なものを、必要な時に、必要な量を、安価に」提供するため

には、生産してから消費者の手元に商品が届くまで、そのチェーン上のサプライヤー

が組織や

企業等の壁を超えて、情報を共有し、全体 適化を目指し、顧客満足度を追求する

ことが重要である。

顧客満足度を追求という点では、国が進めるe-Japan戦略Ⅱの中で「食の安

全・安心」は重点項目として扱われており、特にトレーサビリティシステムの導入と

農産物取引へのECの導入、ICTを利用する農林漁業経営の育成が課題とされてい

る。また、牛肉以外の食品については「その特性に応じたトレーサビリティシステム

を早期に開発し、対応する」とされており、食の安全性を巡る問題は消費者ばかりで

はなく、今では生産者・流通関連業者にとっても 重要課題となっている。

このような背景の中、道内・道外を含めた先進事例として消費者が望む「安全・安

心」な食品を提供するために、どのようなシステムが構築又は検討されているのか、

どのような実績があるのか、どのような実証実験が行われ結果はどうなのかを調査・

分析を行うと共に、その結果を基に今後の検討に活用すべく、各既存システムにおけ

るメリット・デメリットの明確化を行った。

21

Page 25: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

事例1:イトーヨーカドーの取組み

イトーヨーカドーは信頼性の高い食品の提供するため 2005 年5月から『顔が見え

る食品』サービスを開始している。

イトーヨーカドーは、お客様が求める商品を「必要とされる時に、必要なだけ提供

すること」を小売業の基本的役割とし、商品の生産地や生産方法、流通経路を正確に

把握し、お客様にお知らせすること(トレーサビリティ)を重視し、これに取り組んで

いる。

この一例が、お客様からの「より信頼できる食べ物」へのニーズに応えるために企

画した商品ブランド『顔が見える食品』であり、2006 年3月現在では、『顔が見え

る野菜』『顔が見える果実』『顔が見えるお肉』『顔が見えるたまご』『顔が見える

お魚』の5サービスを提供している。

この商品のパッケージにはID番号が添付されており、イトーヨーカドーのホーム

ページ上で産地情報などを確認することが出来る仕組みである。

包装に表示のあるIDを入力 例:3440000038

『顔が見える食品』は、次の3つを実現する

めの礎としている。全体的な流れと取組みは図

① 生産方法と品質の基準化

② 外部監査の導入による信頼性の確保

③ 情報公開による開かれた関係づくり

22

こと

商品の生産・加工を確認 契約生産者は2004年12月現在

で約 750 人

を、お客様から信頼をいただくた

21のとおり。

Page 26: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

また、販売前、販売中の管理においては、次のとおり徹底している。

(1) 販売前の管理

食品メーカーなどの仕入先と契約する段階で、イトーヨーカドー独自の品質

基準に基づく原材料や添加物の管理がなされているかを検査するために、商

品ごとに各種検査・分析証明書の提出を要請

・土壌診断書、・栽培履歴管理表、・誓約書、・残留農薬検査結果報告書

新規取扱商品については、取扱申請書の提出を求めるほか、必要に応じて適

宜、仕入先の工場(海外を含む)への立ち入り検査を実施

第三者認証機関による確認

(2) 販売中の管理

仕入担当者のチェックを経て売り場に並べた商品の販売期限・鮮度・品質とその

表示については、さらに店舗ごとに配置されている『鮮度チェッカー』が定期的に

確認し、問題があれば売り場から即時撤去。

図表 21.全体的な流れと取組み(イトーヨーカドーのHPを参考に作成)

栽培履歴管理票

生 産 購 入

商品確認

生産者個人(品目単位) にID番号付与

書類審査

ID番号より生産履歴 情報等を確認

出 荷 ○○店 野菜売場

配 送

現地審査

残留農薬検査

装パックや製品にID番号

シール等)を付与して出荷

23

Page 27: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

イトーヨーカドーでは、消費者が知って安心する情報のみを公開することとし

ており、農薬や肥料、栽培履歴などの情報は、消費者に公開していない(本部では

管理)。当初は使った農薬の情報も掲載していたが、逆にお客様にとって『分かりに

くい』という声があったために公開はやめ、お客様から問合せがあった時のみ回答

することとしている。

当協議会が行った生産者とのヒアリングでも、農薬や肥料の内容・量・回数を

公開しても、多くの消費者は、それが適正なものかどうか判断出来ず、逆にデメ

リットとなるケースが多々予想されるという声が多数あった。

イトーヨーカドーの場合、第三者機関による実地検査や、お客様に安全な食品

を提供するための残留農薬や添加物の使用等の徹底した確認体制と、厳しい独自

に定めた基準を満たした契約農家の野菜のみを取り扱っている自信と責任があるか

らこそ、農薬や肥料等の情報公開は不要と判断したものと考える。

このように、消費者が望む安全・安心な食品とは、農薬や肥料の内容・量・回

数の公開ではなく、どこが責任を持って提供しているかということを明確化され

た食品だと推測される。

24

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事例2:独立行政法人食品総合研究所の取組み

独立行政法人食品総合研究所が 2002 年夏からサービスを開始した「SEICA」

(青果ネットカタログ)は、農産物のデータベースであり、消費者に対する情報提供

サービスの基盤となるほか、生産者向けにもデータを利用して、POP広告(店頭販

促広告)の作成が容易となる仕組みを始めとし、様々なサービスを提供している。

SEICAはWebサービスを利用することによって、そのデータベースを使う

プラットフォームや入出力の形態にとらわれない幅広いサービスを実現している。

既に、同研究所がある茨城県つくば市内のスーパーマーケットの青果売り場や多く

の場所でSEICAを使った農産物情報提供システムが実際に運用されている。

青果売り場の商品には、SEICAのサイトのURLと商品カタログ番号を記載

したラベルが(図表 22 参照)添付されており、買い物に来た消費者は、SEICAの

サイトにアクセスし、カタログ番号を入力することによって、売られている農産物

に関する情報を閲覧できる仕組みとなっている。

ここまでの仕組みは、事例1で紹介したイトーヨーカドーと同様であるが、大き

く異なる点は、農産物に関する情報は、各生産者が入力している点である。

生産者がこれらの色々な情報を登録するには、まずカタログ制作者として登録し、

アカウントを取得することで農産物に関する情報を登録できるようになる。

そして、農産物に関する情報やアピールポイント、畑の写真、生産者の連絡先、

出荷時の包装形態といった情報を入力していき、入力し終えた情報1件に対して、

対応する8桁のカタログ番号が一つ自動的に付与される。消費者は、登録された生

産者側の情報をSEICAのサイトからいつでも閲覧できる。(図表 23 参照)

図表 22.ラベル例

SEICAのHPより引用

25

図表 23.SEICAの概略

SEICAのHPより引用

Page 29: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

SEICAは、Webサービスのオープン性を 大限に活用することによって、

XMLで登録されたデータを自由に取り出して加工することや、異なるシステム

間でデータベースを利用しあえるようになっている。

これらにより、サービスの持つ汎用性が、システム開発者などに負担をかけず

に機能の追加や、データを複数のサイトに表示ならびにプリントアウトなどの

様々な形態にアウトプットさせるといったことを可能にしている。

特に、SEICAに登録されたデータを使って、他のシステムや売り場の販促

物など様々な形になるようデータを加工して活用できる仕組みである「VIPS

v.2」の開発によって、より多くの小売店などで取扱商品の紹介ページを制作

する際に、農産物の生産者データを簡単に取り込んで表示できると共に、インタ

ーネット通信販売サイト等で商品紹介ページを作る際にも利用が可能となってい

る。

26

Page 30: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

事例3:道内ベンチャー企業の取組み

北海道のベンチャー企業である株式会社ノアでは、QRコードを使った農産物生

産履歴システム「畑のとれさぶろう」を開発し、すでに一部の生産者や団体で使わ

れている。

この「畑のとれさぶろう」は、生産者がパソコンやカメラ付き携帯を使用して栽

培ロット毎の作業状況を報告すると生産履歴データベースが生成されると共に、出

荷時には追跡コード(ロット番号)付きのラベルが発行される。

消費者は、店頭で手にした野菜のラベルに表示された追跡コードをWebサイト

に入力すると、その野菜の詳細な生産情報がわかる仕組みである。また、QRコー

ドから、生産者、連絡先、URLなどの情報を認識出来るカメラ付き携帯電話で商

品ラベルのQRコードを撮影すると面倒なキー操作をせずに、店頭でその情報を見

ることが出来る。

「畑のとれさぶろう」の概要(図表 24 参照)と運用イメージ図(図表 25 参照)は以

下のとおり。

図表 24.「畑のとれさぶろう」の概要

株式会社ノアの HP より引用

27

Page 31: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表 25.運用イメージ図

株式会社ノアの HP より引用

安全・安心な食品ニーズの高い消費者は、店頭でその食品の情報を確認した後に

購入することが求められる。「畑のとれさぶろう」の 大限の利点は、消費者に着眼

し、現在多くの方が所持している携帯電話を活用してQRコードから、生産者、連

絡先、URLなどの情報を入手する仕掛けである。

未だ、ICタグリーダを購入した場合の費用は高く、KIOSK端末を始め専用

リーダー機器が普及し始めるのは、大手スーパーからだと言われており、個人商店

には普及しにくいのが実状である。これらの背景から、ICタグやICタグリーダ

の価格が下がり世に普及するまでの間は、携帯電話を活用したQRコードによる情

報提供を視野に入れざるを得ない。

28

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事例4:T-Engineフォーラムの取組み

T-Engineフォーラムは、平成16年度に農林水産省ユビキタス食の安全・

安心システム開発実証事業に採択され、ユビキタスID技術を用いた、統合型食品

トレーサビリティシステムの開発実証(青果物、食肉、加工食品)を行った。

本開発実証事業は、誰でもどこでも簡単に食品情報が閲覧できる仕組みを持ち、

食品の付加価値向上のための情報提供にも利用可能な食品トレーサビリティシステ

ムの構築を目標として、ユビキタスの 先端技術(既存の複数種類のRFIDを読み

書きできる携帯端末、超小型RFID等)を利用し、既存のシステムが包括できる連

邦型ユビキタス情報システムを開発した。 具体的には、平成15年度の本事業で構築した、ユビキタスIDをインフラとし

た「ユビキタスID技術を用いた青果物トレーサビリティシステム」をベースに、

既に稼動している既存システムを包括する仕組みを提供し、その際の相互運用の基

盤技術として個体識別コード(ucode)およびユビキタスIDプロトコルを用い

て行っている。また、バーコード、二次元バーコード、QRコードと電子タグ(RF

ID)のタグが混在(利用するタグリーダはユビキタスコミュニケータ、市販のタグ

リーダ、携帯電話)したシステムにも対応可能なことを実証している。

本実証実験(フルーツ実証試験例)の主なシステム構成と概略を、図表 26 に示す。

図表 26.主なシステム構成と概略

加工品実験システム

食肉実験システム

日配品実験システム

インターネット、携帯電話回線等

青果物実験サブシステム

生産情報サーバ 商品情報サーバ

生産情報DB 商品情報DB

食品情報サービスサーバ

基幹システム

個人情報DB

UCODE解決サーバ TRON認証局

UCODE解決DB 製品情報DB

生産者

流通業

29

販売業

消費者

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① 生産段階

生産履歴の記録には、従来から定められた用紙に生産履歴を手書きで記録して

いるため、今回の生産履歴登録システムではその手書き部分を一般的なパソコ

ンを使用してシステム化。

生産履歴登録に、予め使用すると想定される肥料、農薬名や生産活動(播種、

定植、交配、収穫など)を候補として登録。登録された生産履歴データは、農家

自宅のインターネット回線を通じてユビキタスIDセンター内に設置している

生産情報サーバへ転送。生産情報サーバは転送された生産履歴データをハウス

毎に保持し管理。

② 流通段階(生産者)

生産履歴登録システムで使用したパソコンを利用し、生産者はインターネット

を通じて生産情報サーバに接続を行い、「出荷予約」機能にて出荷予定の商品

の箱数量、等級、及び生産したハウス名を登録。

次に、「出荷処理」では、事前に予約していた「出荷予約」データに対して、

実際に出荷される商品箱に貼り付けるICタグ(RFID)を紐付け登録。紐付

け登録にはICタグリーダを使用し、タグ内に記録されたucodeと既に登

録済みのハウス情報がセットで生産情報サーバに送信され、生産ハウスと箱の

タグのucodeが管理される。

③ 流通段階(農協)

農協では、生産者が持ち込んだICタグ付きの商品箱と、「栽培履歴」シート

を受け取り、入荷処理を実施。入荷処理では、ユビキタスコミュニケータを商

品箱に貼付されたタグにかざして読み込むことにより実施。

栽培履歴の内容が農協の栽培基準と照合し適切か判断した後、検査室内で目検

にて外観をチェックし、出荷場へ搬送。

出荷場では、入荷処理で使用したユビキタスコミュニケータを使用し、出荷処

理を行う(商品箱に貼付されたタグを読み込み、出荷登録)。

全ての商品箱のタグを読み込んだ後、ユビキタスコミュニケータの送信機能を

使用し、PHS回線を通じてユビキタスIDセンターに設置した生産情報サー

バへ入荷登録、出荷登録したucodeを送信することで、生産情報サーバは

送信されたucodeをもとに箱の情報を検索し、該当の箱データに対して入

荷及び出荷の日時を記録し、管理する。

④ 流通段階(集荷場)

集荷場では、ハンディターミナル型のICタグリーダ商品箱に貼付されたタグ

30

Page 34: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

で読み込み、入荷日時を登録。次に、入荷処理された箱に入っている商品用の

タグを作成するため、商品箱のタグを読み取り、その箱に入っている商品のタ

グを発行。商品用のタグは一次元バーコード、二次元バーコードの双方が印刷

される(必要枚数を指定し、発行することにより、バーコードラベルプリンタよ

り商品用のタグが発行)。商品用タグには商品個別にucodeが割り振られ、

箱のタグのucodeとセットで、ユビキタスIDセンター内に設置された商

品情報サーバへ転送。

⑤ 店舗段階

店舗では、入荷した商品箱のタグをユビキタスコミュニケータで読み取り、入

荷処理を実施。入荷処理が終了した後は、店舗に設置した無線LANやADS

L回線を使用して生産情報サーバに入荷登録したucodeを送信し、入荷日

時が登録される。

集荷場にて作成された商品タグは、商品紹介カードに貼り付けられ、陳列され

た商品毎にカード入れに置かれ、KIOSK端末で商品紹介カードの一次元バ

ーコードを読み取ることにより、商品情報を閲覧することができる。また、商

品紹介カードには二次元バーコードが印刷されており、多くの一般消費者が所

有するバーコードリーダ付きの携帯電話でも情報閲覧が可能。

参考:「ユビキタスID技術を用いた統合型食品トレーサビリティシステム」開発・実証報告書

31

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5. 安全履歴のあり方

安全履歴として食品の安全を確認するための情報は、品目によって全く異なる情報

である。野菜に関しては、土壌検査の結果や、農薬、価格肥料の投与、残留農薬等の

情報が要求されるが、牛肉や養殖魚、冷凍食品等より多くの情報が要求され、安全性

を確認するために必要とされる情報は食品によって様々である。

これら性格の異なる情報を同時に提供できるようなシステムを開発しようとすると、

どうしてもそれぞれの食品に特有の条件を満たすことに力が注がれる可能性がある。

本調査・研究では空知管内が北海道有数の農産地であることから、農作物をターゲ

ットとし、消費者ニーズ結果を基に生産物の情報や生産者の情報及び、出荷情報等の

基本情報から、どのような詳細情報が必要なのかを検討する。

(1) 情報の必要性・情報提供に対する意識

本項では、消費者が安心・安全な食品と受け止めるために必要な情報を明確化

するため、農林水産省が2004年に「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査」

として実施した、生産から消費までの各段階における情報に関する必要性の意識

識と情報提供に関する意識の結果を参考(別冊に参考として掲載)とし、各段階で

の情報のあり方について分析を行った。

― 分析方法 ―

安心・安全な情報と何か、提供できる情報は何か、について消費者や流通加工

業者のニーズに対し、各生産段階に従事する方々が必要とする情報及び、提供可

能な情報について以下の分析方法により明確化を行った。

本分析にあたっては、情報の必要性に関する意識として「どちらかといえば必

要である」を「どちらでも良い」と例え、必須な情報ニーズから除外する形とし、

「必要である」と回答した方が過半数を超える情報についてのみニーズとして抽

出した。

・ 提供可能な情報については、「出荷時/販売時に提供できる」「問い合わせがあ

れば提供できる」と回答した方が、ニーズ抽出条件と同様に過半数を超えた情

報を抽出した。

・ ニーズとシーズがマンマッチな場合、消費者のニーズを第一優先とし、情報提

供が望まれる情報としている。

32

Page 36: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

① 食品の安全性に対し不安を感じる過程・工程

ニーズ(提供を強く望む情報)

・産地名

食品小売業者

・産地名

食品製造業者

・産地名

・生産者の連絡先

食品卸売業者

・産地名

・生産者の連絡先

消費者

食品卸売業者

シーズ(提供可能な情報)

・産地名

食品小売業者

・産地名

・生産

・生産

・畑の

・産地名

・生産者名

・生産者の連絡先

・畑の場所、農園名

農業者

以上から、産地に関す

「産地名」「生産者の連絡

は問い合わせがあった場

② 生産履歴(栽培)に関する

・播種

・収穫

・使用

・農薬

・肥料

・栽培

・認証

・播種・定植日

・収穫日

・使用種子・種苗情報

・農薬使用状況

・肥料投入状況

・栽培方法確認者名

・認証機関名

食品農業者

・農薬

食品

・収穫日

・農薬使用状況

・栽培方法確認者名

消費者

以上から、生産履歴(栽

れる情報は、「収穫日」

また、「播種・定植日」「使

日付等)」「認証機関名(

報で問題ないと推測され

・生産者名

・生産者の連絡先

・畑の場所、農園名

者名

者の連絡先

場所、農園名

る情報として出荷時/販売時に提供が望まれる情報は、

」があげられる。また、「生産名」「畑の場所、農園名」

合に提供する情報で問題ないと推測される。

情報

シーズ(提供可能な情報)

・定植日

種子・種苗情報

使用状況

投入状況

方法確認者名

機関名

・収穫日

・肥料投入状況

・認証機関名

卸売業者 食品小売業者

ニーズ(提供を強く望む情報)

・農薬使用状況 使用状況 ・農薬使用状況湯

食品小売業者食品製造業者卸売業者

培)に関する情報として出荷時/販売時に提供が望ま

「農薬使用状況」「栽培方法確認者名」があげられる。

用種子・種苗情報(品種・会社名)」「肥料投入状況(量・

第三者認証)」は問い合わせがあった場合に提供する情

る。

33

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③ 商品の状態に関する情報

ニーズ(提供を強く望む情報)

・品

・栽

・安

・品

・栽

・食

・残

・有

・大

・等

・出

・規

・内

・個

・出

種名

培方法

全認証マーク

消費者

種名

培方法

留農薬情報

害物質情報

農業者

以上から、商品の状

は、「品種名」「栽培

あげられる。また、

わせがあった場合に

出荷に関する情報

きさ

荷日

消費者

容量、箱内包装

位・数量

別・ロット識別

荷日

農業者

以上から、出荷に関

規格(等級・階級)」

量」、「個別・ロット

問題ないと推測され

・品種名

・栽培方法

・残留農薬情報

・有害物質情報

食品卸売業者

シーズ(

・品種名

・栽培方法

・食味

・残留農薬情報

・有害物質情報

食品卸売業者

態に関する情報として

方法(有機・特別・慣行

「残留農薬に関する情報

提供する情報で問題な

ニーズ(

・規格

・内容量、箱内包装

単位・数量

・個別・ロット識別

・出荷日

食品卸売業者

シーズ(

・規格

内容量、箱内包装

単位・数量

個別・ロット識別

・出荷日

食品卸売業者

する情報として出荷時

「出荷日」があげられ

の識別(番号)」は問い

る。

34

・品種名

食品製造業者

提供可能な情報)

出荷時/販売時に提供

)」「安全性等に関する認

」「有害物質に関する

いと推測される。

提供を強く望む情報)

・規格

・内容量、箱内包装

単位・数量

・出荷日

食品製造業者

提供可能な情報)

/販売時に提供が望ま

る。また、「内容量、箱

合わせがあった場合に

・品種名

・栽培方法

・残留農薬情報

・有害物質情報

食品小売業者

・品種名

・栽培方法

・食味

・栄養成分含有量

・安全認証マーク

食品小売業者

が望まれる情

証(マーク)」

情報」は問い

・規格

・内容量、箱内包装

単位・数量

・出荷日

食品小売業者

・大きさ

・等級

・出荷日

食品小売業者

れる情報は、

内包装単位・

提供する情報

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⑤ 流通に関する情報

ニーズ(提供を強く望む情報)

食品小売業者食品製造業者食品卸売業者

・保冷情報

・販売業者名

消費者

シーズ(提供可能な情報)

・予冷情報

・保冷情報

・輸送業者名

・取引履歴

食品小売業者

・予冷情報

・保冷情報

・輸送業者名

・取引履歴

・個別包装業者名

食品卸売業者農業者

以上から、流通に関する情報として出荷時/販売時に提供が望まれる情報は、

「予冷情報」「保冷情報」「販売業者名」があげられる。また、輸送業者名・取引

履歴」及び「個別包装の業者名(流通過程で再包装、された場合)」は問い合わせ

があった場合に提供する情報で問題ないと推測される。

これらの結果を総合すると、生産から消費までの各段階において意識の差を埋

め、消費者が安心・安全な食品として「トレッキング」「トレースバック」が望ま

れる情報には、以下の情報が必要である。

小売段階製造業者卸売段階 農産物

生産段階

トラッキング 情報提供

トレースバック

●流通に関する情報

・予冷情報

・保冷情報

・販売業者名

●生産履歴に関する情報

・収穫日

・農薬使用状況

・栽培方法確認者名

●商品状態に関す

・品種名

・栽培方法

・安全認証マー

●産地に関する情報

・産地名

・生産者の連絡先

●出荷に関する情報

・規格(等級・階級)

・出荷日

35

・予冷情報

・保冷情報

・販売業者名

消費者

る情報

Page 39: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

日刊食料新聞青果版ニュース(05/07/21)によると、2005年7月30日より、野菜、

果物などの農産物を対象とした生産情報公表JAS規格が開始となった。

生産情報公表JASは、商品の生産者・流通事業者などが、生産者のプロフィ

ールや、生産に使用した農薬などの情報を、消費者に誤りなく提供できるかどう

かを第三者認証する規格で、認証の取得は生産者と、卸売市場・小売業者等の 「小

分け業者」がそれぞれ行う。

認証を取得した事業者を経由し、基準を満たす農産物は生産情報公表JASマ

ークを商品に貼付でき、03 年 12 月に牛肉を対象としてスタートし、農産物は3

番目の対象品目となる。

農産物の同規格で公表が義務づけられる項目は、①生産者の氏名、住所、連絡

先、②生産した場所、③収穫した期間、④農薬の使用回数と名称および用途、⑤・

④のうち農薬取締法に規定する特定農薬、⑥肥料の種類および使用量、⑦土壌改

良資材の種類および使用量、⑧その他使用した生産資材の8項目。

また、産地の平均使用量に対する農薬と化学肥料の削減割合も任意で公表する

ことができる。そして、これらの情報を公表する農産物には、現行の生産情報公

表JASと同様に、流通の各段階において、公表情報にアクセスする際の識別番

号と、ホームページアドレス・ファクス番号などの連絡先を表示しなければなら

ない。

同規格は、生産・流通に関わる事業者を対象に、これらの公表情報が正しく管

理され、消費者に提供できる態勢かどうかを第三者機関である登録認定機関の審

査を経て認証するもの。生産に関わる「生産工程管理者」と、流通に関わる「小

分け業者」がそれぞれ認証を取得することで、 終商品へのマーク表示が可能と

なる。

このように、農林水産省のアンケート分析結果と生産情報公表JAS規格で義務

づけられる項目には若干の差異が生じている。聞いたことの無いような農薬の名前

や肥培管理を公開されてもどうかという声はあるが、消費者がどのような情報を欲

しがっているのかがポイントとなるであろう。いずれにせよ、品質表示のJASマ

ークと生産履歴の情報を青果物に貼り付けて販売することを政府が推奨してくれれ

ば、需要は確実に増えことは間違いないと思われる。

36

Page 40: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 生産者の取組み状況

本調査は、当協議会で広域サプライチェーンシステム構築のあり方に関する検

討を進めるにあたり、先で明確化した消費者のニーズだけに捉われることなく、

生産に従事されている方々の視点から、生産者が安全・安心に必要な生産履歴に

関しどのように考え、必要性を感じているのかを明確にするための一助として行

ったものである。

― 要約 ―

生産者を対象とした調査を実施した結果、既に安全・安心な生産食品の提供へ

向けJAと連携した取組みを実施していることがうかがえた。

特に今回の調査結果から生産者は、安全・安心に関する意識が高く、通常の農

作業等で忙しい中、生産履歴記帳運動に賛同し各JAで定められた様式(紙)で報

告をしている。

しかし、ヒアリング結果から各JAがこれらを今後どのように活用し進めよう

と考えているのかが生産者には伝わっていないように思われた。

各JAにおいても、殆どが生産者から報告があった様式をそのまま綴込み管理

しているところが多く、システムやExcel等に投入する稼動がないという課

題も浮彫りになった。

消費者からの照会件数が極少であるため現環境で対応可能と推測されるが、消

費者の安全・安心に対するニーズに対応しかつ、生産者の生産食品をアピールし

たい等の要望に応えるためには、やはりICTというツールを利用した取組みが

必要であると考える。

37

Page 41: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表 27.生産歴記帳の流れと課題の概略

50%以

90%以上

65%が生

長沼町

5 人

9%

JA/ホクレン生産履歴記帳運動

記帳依頼

記入内容を確認

保管・管理

システム登録

手間は掛

生産食

安全・安

システム登録稼動がない

紙保管時照会に時間がかかる

業務効率の向上を希望

情報公開は必要との認識

上が価格より安全重視

がトレーサビリティを

履歴照会 履歴の調査

営農指導

回答確認

消費者

商品購入

産工程の透明性を期待

履歴の回答

●生産者は生産食品のアピールと情報公開を希望

●JAは生産履歴管理向上から安全・品質管理を目標

●消費者は情報公開による生産工程の透明性を期待

調査対象生産地

南幌町 深川市 岩見沢市 栗山町 江別市 北広島

14 人 5 人 4 人 5 人 19 人 4

25% 9% 7% 9% 34% 7

調査期間

成 17 年6月上旬から平成 17 年7月上旬にかけて調査を実施。

38

生産者

式に記入

式を提出

営農指導

るが理解している

をアピールしたい

情報の公開を望む

合 計

56 人

100%

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③ 調査実施方法

アンケートの直接配布並びにヒアリングの実施。

④ 調査対象生産者の年齢

アンケートにご協力いただいた生産者の年代別内訳は以下のとおり。

40 歳代から 50 歳代が約 70%と、いわゆる働き盛りの年代である。

2% 11%

34%42%

11%

20代 30代 40代 50代 60代以上

⑤ 生産歴記帳運動対象の作物について(複数回答可)

アンケートにご協力いただいた生産者の生産作物内訳は以下のとおり。

米ならびに小麦が全体の 75%以上を占めているのは、江別市および南幌町に在

住の方々の生産者からのご協力が多いためである。

88.6%

75.0%

9.1%

25.0%

31.8%

29.5%

63.6%

4.5%

4.5%

9.1%

11.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

小麦

果樹作物

根菜類

葉茎菜類

果菜類

豆科菜類

土物類

きのこ・山菜類

花卉

その他

39

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⑥ 生産履歴情報の提出状況

アンケートご協力生産者の 100%が管内JAに生産履歴情報を提出しており、J

Aが平成 14 年度から実施している生産履歴記帳運動の取組みが各生産者に浸透

しているのがうかがえる。

100%

0%

はい いいえ

⑦ 生産履歴情報記帳の様式について

管内JAに提出している生産履歴情報の様式は、全員が紙による提出であり、

電話等による報告方法は規定されていないようである。様式は各JAに委ねられ

ており、全道での様式の統一化は図られていない。

100% 0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

紙で提出 その他

40

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⑧ 生産履歴情報の必要性に関する認識1(複数回答可)

~生産履歴情報は何のために必要だとお考えですか~

各JAに報告している生産履歴情報の必要性については、全員が「作物の安全・

安心供給」との回答であり、生産者の安全・安心に対する意識は高い。

6.8%

47.7%

100.0%

27.3%

4.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

営農指導

生産基準の確認

安全・安心供給

需要拡大

その他

⑨ 生産履歴情報の必要性に関する認識2

~生産履歴記帳運動に関し必要性を理解されておりますか~

生産者の約 60%の方々が生産履歴情報記帳運動の必要性を理解しており、若干

不満があるが理解している方を含めると90%以上の方が生産履歴情報の必要性お

よび重要性について認識している。

61%

32%

7% 0%

理解している 若干不満がある 不満がある その他

41

Page 45: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

⑩ 生産履歴情報の必要性に関する認識3

生産履歴記帳運動に対し、「若干不満がある」「不満がある」と答えた方の要因

内訳として、「消費者の安全・安心に対するニーズが不明」という方が約 70%、

次いで「記入に手間がかかり面倒」「生産履歴記帳運動に対するメリットがみえな

い」という方が約 50%であった。

35.3%

47.1%

17.6%

11.8%

17.6%

70.6%

11.8%

47.1%

5.9%

23.5%

0% 20% 40% 60% 80%

売上げにつながらない

メリットがみえない

情報公開が未公開

営農指導に未活用

目的が不明確

消費者ニーズが不明

繁忙期に対応が困難

手間がかかり面倒

消費者ニーズに過剰反応

手間が増えただけ

⑪ 望まれる生産履歴情報の活用方法(複数回答可)

生産者が希望する生産履歴情報の活用方法として、「安全・安心情報の公開」「多

くの方々に生産食品自体をアピール(売上げの促進)」が圧倒的に多い。その反面、

「生産工程の管理」「生産管理への反映」「生産基準への反映」「営農指導への活用」

は低く、この4つはJAでのニーズが高いものと推測される。

2.3%

88.6%

79.5%

0.0%

13.6%

11.4%

11.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

営農指導への活用

安全・安心情報の公開

生産食品のアピール

起農家の促進

生産基準への反映

生産管理への反映

生産工程の管理

42

Page 46: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

⑫ 消費者等から生産履歴の照会実績について

生産者等から生産履歴に関する照会実績が有ると回答した方は9%であり、直

接の照会実績にあたっては僅か2%であった。生産者の約 90%の方が「実績なし」

と回答しているが、各JAで対応していることが想定されることから、幾つかの

JAに聞き取り調査を行った結果、多いところでも年に数件程度であり、ほとん

どが「実績なし」との結果であった。

2% 7%

91%

直接の照会があった JA経由での照会あり 照会実績なし

⑬ 生産履歴照会時に提供可能な情報について(複数回答可)

<生産物情報>

生産履歴照会時に提供可能な生産物の情報については、50%以上の方が「堆肥

の成分や特徴」を除いた全ての項目について可能と答えている。特に消費者は半

数近くの方が農薬に不安を感じ、約 90%以上(必要:約 67%、どちらかといえば

必要:約 16%)の方が農薬の使用状況が必要としており、生産者との大きな差異

はない。

50.0%

61.4%

50.0%

25.0%

81.8%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

栽培方法

ほ場の住所

栽培面積

堆肥の成分や特徴

使用農薬と使用回数

その他

43

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<生産者情報>

生産履歴照会時に提供可能な生産者の情報については、70%以上の方が「生産

者名」と「つくっている農産物」に関し提供可能と答えているが、消費者が購入

後に重要視(必要:約 68%、どちらかといえば必要:約 25%)している「連絡先」

については約 55%と若干ではあるが、意識の差はうかがえる。

72.7%

56.8%

59.1%

54.5%

47.7%

50.0%

45.5%

70.5%

52.3%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

生産者名

生年月日

住所

連絡先

農業開始年

総耕地面積

年間総出荷量

作っている農産物

農業従事者数

その他

<出荷情報>

消費者は食品購入時や購入後に「原産地」の表示を一番重要視(共に 90%以上)

しているが、今回の調査結果では情報提供可能と答えた方が約 57%であり、出荷

情報として消費者と比較した場合に一番大きな差である。

56.8%

54.5%

40.9%

43.2%

52.3%

50.0%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

原産地

出荷組織

所属生産者数

住所

連絡先

配送方法

その他

44

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⑭ 生産履歴情報の登録(管理を含む)作業に関し望んでいる事項(複数回答可)

生産履歴情報の登録・管理作業に関しては、約 66%の方が「現在と同様にJA

での作業が望ましい」との回答であった。これは、JAの取組み(生産履歴記帳運

動)に対し必要性は感じていても、登録・管理作業はJAの仕事と捉えている方が

多いためと推測する。

65.9%

36.4%

18.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

その他

パソコンを使える生産者は、自ら生産履歴情報を簡便に入力可能なシステムを望む

現在と同様にJAの作業が望ましい

⑮ 生産履歴情報の情報公開(照会回答を含む)について(複数回答可)

「生産履歴情報に関する照会時に生産者が行うべき」と回答した方は、わずか

に約6%であり、情報公開(照会回答を含む)については「JAが行うべき」と捉

えている方が 75%を占めている。また、「消費者が必要に応じ情報をインターネ

ット等で調査可能な公開方法を望む」と答えた方は 2.3%と低く、消費者が専用

端末やインターネットで調べると考えている方が約73%と大きな差異があるのは、

「消費者のニーズが不明」だからと推測する。

75.0%

6.8%

2.3%

34.1%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

その他

インターネットによる簡便な情報公開と農作物のPRに繋がるシステムを望む

消費者が必要に応じ情報をインターネット等で調査可能な公開方法を望む

生産履歴情報に関する照会への回答は生産者が行うべき

現在と同様、照会(問合せ)がある都度にJAが情報公開を行う

45

Page 49: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(3) 生産者のICT利活用に対する意識

(2)項の調査結果では、生産者の安全・安心に関する意識は高く、通常の農作

業等で忙しい中、品質の高い食品の提供に向けJAや各生産団体等と連携した取

組みを実施していることがうかがえた。

しかしながら、生産履歴等の情報入力や公開にあたり、自らがインターネットを

始めとしたICT技術を活用するという意識は予想外に低い結果であった。

近年、インターネットの利用は、幅広い年齢層に進み、場所や時間を問わず生

活の中に深く浸透し、重要度も増している。このような中、農業分野においても

トレーサビリティに係らず、情報を受発信する方法のひとつとして、インターネ

ットを利用する動きが活発化してきており、農業者が自らのホームページを構築

するなどして、インターネットを営農活動の中に活用するケースも増えている。

本項では、このような背景の中、生産者のICT利活用に関する関心度として、

安心・安全な情報公開に限ることなく、生産者がICTというツールを利用し何

を望んでいるのか潜在要望を引き出すための調査を行った。

尚、調査にあたっては出荷販売以外の販売経験のある生産者を対象としている。

― 要約 ―

全体的に前項とは異なり、出荷販売以外の販売経験のある生産者のICT活用

に対するニーズは、ひじょうに高い状況であった。

特に、インターネット販売や安心・安全のための生産履歴公開に限らず、自ら

が一番苦労している作業の効率化に活用したいという声が多かった。

注目すべき点は、農業経営の基幹業務のひとつに、作物を栽培する田畑を管理

(圃場管理)する業務があり、各生産者は毎年、自分が保有する圃場で何を栽培し

ているのかといった種類を作成し、JAや農業共済組合に提出しており、地図も

手書きがほとんどとのことである。これらに係る稼動は大変なものと推測され、

現にインターネットに限らず、今後どのような分野でICTを活用したいかとい

う問いに対し、生産履歴記帳の効率化要望が一番高い結果であった。

消費者観点から見れば、安心・安全な食品の提供ばかりが注目されるが、生産

者観点では、品質の高い食品の提供に向けた業務の効率化や、農作物の栽培技術

の蓄積と継承、新しい農作物栽培のための情報共有等、ICT技術の活用による

新しい時代の農業や農家に対する期待を感じる。

46

Page 50: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

① 調査機関

平成 17 年8月下旬から平成 17 年 10 月下旬にかけて調査を実施。

② 調査実施方法

アンケートの直接配布並びにヒアリングの実施。

③ 調査対象生産者の年齢

アンケートにご協力いただいた生産者の年代別内訳は以下のとおり。

40 歳代から 50 歳代が約 75%と、いわゆる働き盛りの年代である。

3% 7%

33%

42%

15%

20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代

N=87

④ 出荷販売以外の販売方法(複数回答)

インターネットを活用した農産物の販売を経験した方は、56.3%と過半数を超

えている。尚、お客様からの連絡販売は、電話(携帯を含む)で受注している方と

FAXで受注している方の割合は、ほぼ同数であった。

8.0%

48.3%

33.3%

77.0

52.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%

個人ホームページを活用

個人以外のホームページを活用

お得意様からの連絡販売

直接販売(自宅・移動車など)

特産物販売施設

委託販売

N=87

47

%

90.8%

100.0%

Page 51: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

⑤ インターネット活用内容(インターネットを活用した経験がある方(複数回答))

インターネットを活用した経験がある方の活用内容は、農産物の販売が 85.7%

と も多く、次に農産物の紹介(生産履歴公開を含む)している方が約 80%であ

った。また、消費者とインターネットにより販売以外の目的でコミュニケーショ

ンを図っている方は予想外に低い状況であった。

尚、その他の項目では、生産物の美味しい食べ方や旬の農産物に関する情報提

供を行っている生産者も居た。

48

⑥ 今後活用の可能性(インターネットを活用した経験がない方(回答))

インターネットを活用した経験がない方で、今後活用してみたいと回答した方

は 68.4%であり、ほとんどの方が自宅のパソコンや携帯からインターネット経験

がある方であった。また、今後も活用したいと思わない方の約8割の方は、イン

ターネット経験が一度のないという対照的な結果となった。

6.1%

4.1%

32.7%

65.3%

85.7%

79.6%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

その他

農産物の販売

農作業の様子

販売所に関する情報提供

消費者とのコミュニケーション

農産物の紹介

90.8%

9.2%

活用してみたい 特に活用したいとは思わない

N=38

N=49

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⑦ 今後活用したい用途(⑥でインターネットを活用した経験がない方(複数回答))

インターネットを活用した経験がない方で今後活用したい用途は、農産物の販

売が も多く、次に農産物の紹介(生産履歴公開を含む)であり、⑤と同様の順位

であった。

これらから推測すると、より多くの方々に農業や農家、農産物に対する理解、

興味を深めてもらいたいという意識の高さがうかがえる。

⑧ その他のICT活用要望(複数回答)

インターネットに限らず、今後どのような分野でICTを活用したいかという

問いに対し、全項目で高い結果となった。特に、生産履歴記帳に活用したいとの

要望が も多く、ヒアリングの中でも圃場管理や毎年、提出している作付図や営

農計画といった書類作成が容易となるICT技術へのニーズが高かった。

11.5%

11.5%

30.8%

46.2%

84.6%

76.9%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

その他

農産物の販売

農作業の様子

販売所に関する情報提供

消費者とのコミュニケーション

農産物の紹介

N=26

49

72.0%

61.3%

66.7%

76.0%

64.0%

94.7%

58.7%

73.3%

85.3%

64.0%

50.7%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

生産履歴記帳への活用

圃場面積、土壌、作付履歴管理

営農契約書作成の為の各種情報

気象情報(警報・注意報)入手

JAとの連絡/JAからの周知

営農指導への活用

消費者の声の収集

生産者同士の情報交換

個人販売等への活用

栽培方法等の記録と蓄積

生産履歴の公開

N=75

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⑨ 活用したくない理由(今後も活用しやくない方(複数回答))

今後もインターネットを含めICTの活用を希望したくないという方の約8割

が 60 歳代の方であった。

理由も操作が面倒・億劫であると思っている方が も多く、利便さがわからな

い、お金に見合った効率化が期待できない等、インターネットが普及していると

はいえ、まだまだ高齢者への定着には時間がかかりそうであり、今後の課題とな

るであろう。

8.3%

50.0%

66.7%

41.7%

操作が面倒・億劫そう

お金がかかりそう

その他

メリットがわからない

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%N=12

50

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6. 情報経路履歴のあり方

現在、トレーサビリティシステムの導入において問題になっているのが、青果物流

通の過半を扱う卸売市場の存在であると言われている。

トレーサビリティシステムの導入は市場外流通(小売業者と生産者との直接の取

引)の場合にはそれ程困難ではないとされており、流通チェーンが短いほど関与する

業者が少ないことがその理由と推測される。つまり、流通経路履歴は中間業者や加工

業者が係わる都度(流通チェーンが長いほど)に、各々で情報媒体への情報登録が必要

となることから、フードチェーンの全ての各段階において導入しなければ機能せず、

一部でも欠けるとそこで遡及・追跡がストップし、機能しない困難さがある。注文書

や送り状、受領書、検品書等、従来多くが紙ベースで管理されてきた情報を、容易に

記録が出来、一元的にデータセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組みについて

検討を行う。

食品のトレーサビリティの実現とSCMの効率化を行うためには、大きく分けてI

CタグやQRコードのような媒体による「食品を個品で管理し識別するための技術」

と、「その個品がどのように生産、出荷、加工、流通、小売、販売、消費されたかの

履歴情報を管理するための技術」が必要である。

社団法人農協流通研究所の青果物トレーサビリティ導入ガイドラインでは、後者に

ついて、これからトレーサビリティを導入しようとする生産者、加工業者、中間流通

業者、小売業者、加工業者等の参考となるよう、取組みにあたってのポイントや注意

点を示すとともに、導入を助けることをねらいとして策定している。

本章での情報経路履歴のあり方については、本ガイドラインの流通段階におけるト

レーサビリティを導入するための手順や改正食品衛生法を参考とし、情報経路履歴に

必要な情報や一元的にデータセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組みについて

検討を行った。

51

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(1) 情報経路履歴として必要な情報

改正食品衛生法(H15.8、厚生労働省)において、卸売業者、小売業者・飲食業者及

び製造・加工業者の記録・保存事項は以下のとおりと規定されている。

① 卸売業者

仕入に関する記録

○ 食品等の品名、食品等の仕入元の名称及び所在地、製品又は加工品のロッ

トが確認可能な情報、仕入年月日、仕入量(仕入元毎、1日又は1回毎)

△ 内容量、仕入時の検品を実施した場合の当該記録(外観、表示、温度等)、仕

入に係る保管及び運送業者名

注:○:可能な限り記録の作成保存に努めるべき事項

△:記録の作成保存が期待される事項

販売等に関する記録

食品等の品名、食品等の出荷又は販売先の名称及び所在地、製品又は加工

品 のロットが確認可能な情報、出荷又は販売年月日、出荷量又は販売量(仕

入先毎、1日又は1回毎)、保管時の状態を確認した場合の当該記録(温度

等)食品等の品名、食品等の仕入元の名称及び所在地、製品又は加工品のロ

ットが確認可能な情報、仕入年月日、仕入量(仕入元毎、1日又は1回毎)

△ 内容量、出荷又は販売時の検品を実施した場合の当該記録(外観、表示、温度

等)、出荷又は販売に係る保管及び運送業者名

② 小売業者、飲食店営業者

食品等の品名、食品等の保管温度(保存基準の定められているものに限る)

を確認した場合の当該記録、食品等の仕入元の名称及び所在地、製品又は

加工品のロットが確認可能な情報、仕入年月日、仕入量(仕入元毎、1日又

は1回毎)

△ 内容量、仕入時の検品を実施した場合の当該記録(外観、表示、温度等)、仕

入に係る保管及び運送業者名

③ 製造・加工業者

原材料(農林水産物)に関する記録

原材料の品名、原材料の仕入元の名称及び所在地、原材料の生産者の名称

及び所在地(輸入された農林水産物が原料の場合で、原材料の生産者の名称

が分からない場合には、輸出者の名称及び所在地とすることも可能)、原材

料の仕入年月日、原材料の仕入時の検品を実施した場合の当該記録(外観、

表示、温度等)、法第7条の規格基準への適合に係る検査結果その他原材料

の安全性の確認を実施した場合の当該記録、仕入量(仕入元毎、1回又は1

日毎)

△ 内容量、仕入時に係る保管及び運送業者名

52

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製造管理に関する記録

製造又は加工に用いた原材料の品名、当該原材料のロットが確認可能な情

報、製品の製造・加工の状況を確認した場合の当該記録(殺菌温度、保管温度

等の法第7条に基づく基準のあるものに限る)、製造量(製造日又はロット

毎)

△ 内容量、仕入又は販売に係る保管及び運送業者名

③製品又は加工品に関する記録

製品又は加工品の品名、製品又は加工品の出荷又は販売先の名称及び所在

地、製品又は加工品のロットが確認可能な情報、出荷又は販売年月日、出

荷 又は販売時の検品を実施した場合の当該記録(外観、表示、温度等)、法第

7条の規格基準への適合に係る検査を実施した場合の当該記録、出荷量又

は販売量(出荷又は販売先毎、1回又は1日毎)

△ 内容量、仕入又は販売に係る保管及び運送業者名

参考:食品衛生法第1条の3第2項の食品事業者の記録の作成及び保存に係る指針(ガイ

ドライン) 平成15年8月、厚生労働省

以上が改正食品衛生法で規定された卸売業者、小売業者・飲食業者及び製造・加工

業者の記録・保存事項である。

これらを5章で分析した消費者観点から提供が必要と思われる情報を統合してみ

ると次の結果となる。(図表28参照)

53

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改正食品衛生法は「ガイドライン」という位置付けであることから、法的な拘束

力がなく、あくまで、取組みを行う主体に対して「こういうやり方をしてはどうか」

という指針を提示するものである。よって、このガイドラインに従わなかったとし

ても、罰則が発生することはない。しかし、安心・安全な食品を提供するため及び、

SCMの効率化を行うためには、「生産、処理・加工、流通・販売のフードチェーン

の各段階で食品とその情報を追跡し、また遡及できること」が条件であることから

以下に示す情報は、いずれも重要であると考える。

図表 28.生産歴記帳の流れと課題の概略

農産物

生産段階

トレースバッ

●産地に関する情報

・産地名

・生産者の連絡先

●生産履歴に関する情

・収穫日

・農薬使用状況

・栽培方法確認者名

●出荷に関する情報

・規格(等級・階級)

・出荷日

●商品状態に関する情

・品種名

・栽培方法

・安全認証マーク

トラッキン

注:太文字は5章で

●仕入に関する記録

・食品等の品名

・仕入元の名称

・仕入元の所在地

・製品ロット確認情報

・仕入年月日

・仕入量

●販売に関する記録

・食品等の品名

・出荷又は販売先名称

・製品ロット確認情報

・出荷又は販売年月日

・出荷量又は販売量

●原材料に関する記録

・原材料の品名

・原材料仕入元名称

・原材料仕入元所在地

・原材料生産者名称

・原材料生産者所在地

・原材料仕入年月日

・仕入検品実施記録

・安全性確認実施記録

・仕入量

●製造管理に関する記

・原材料の品名

・原材料ロット確認情

・製造・加工確認記録

(予冷情報、保冷情

・製造量

卸売段階

製造業者

分析した消費者観点から必要と思われる

54

●販売に関する記録

・食品等の品名

・保管温度確認記録

(予冷情報、保冷情報)

・仕入元名称

・仕入元所在地

・製品ロット確認情報

・仕入年月日

・仕入量

報)

●製品加工に関する記録

・製品・加工品名、

・出荷又は販売先名称

・出荷又は販売先所在地

・製品ロット確認情報

・出荷又は販売年月日

・出荷又は販売検品記録

・安全性確認実施記録

・出荷量又は販売量

消費者

情報提供

小売段階

情報

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(2) データセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組み

食品トレーサビリティの実現及び、SCMの効率化には、産地や原材料に関する

情報だけでなく、卸売段階や製造段階、小売段階における記録など様々な情報を管

理する必要があり、それを実現するためには、大きな情報化への投資が必要である。

社団法人農協流通研究所が策定した青果物トレーサビリティ導入ガイドラインに

おいても、経済的な制約として、①青果物は重量当たり単価が比較的低いことから、

運営に高いコストが要求されるシステムの導入には大きな制約がある、②トレーサ

ビリティの確保に要する作業負担の増大によって、現場の担当者の労働強化や雇用

労働者の増大による人件費の上昇がもたらされる、③情報機器を導入する場合は、

機器の購入等に伴う一定の導入・運営コストが必要となるばかりではなく、システム

を構成する事業者の縦断的なつながりを持ったシステムの導入が要求されるとして

いる。

注目すべきは、③で述べられている事業者の縦断的なつながりを持ったシステム

の導入であり、より多くの事業者や消費者が活用・利用できる広域的なシステムが

理想である。

これら広域的なシステムの実現には、生産段階から流通段階、消費者へと伝える

べき情報や、今まで注文書や送り状、受領書、検品書等、従来多くが紙ベースで管

理されてきた情報を、一元的にデータセンターに登録・保管及び管理が出来る仕組

みが重要となる。

データセンターへ情報を登録・管理する仕組みとして、ICタグや二次元コード

のような自動認識システムを併せて導入することが現実的である。

このICタグや二次元コードを用い、そこに野菜の生産・流通各段階における情

報を逐一入力することで、流通過程がより詳細に追跡できるようになる。

例として、生産者は農産物の生産履歴をICタグや二次元コードに登録し、出荷

される都度に添付されて流通過程を通過する。生産者、集荷場、輸送車、市場、小

売店(または加工場)のそれぞれでは、インターネット接続された端末を使い、各端

末で入荷・出荷の時刻や温度状態をICタグや二次元コードに記録するとともに、

指定された流通経路に自動的にEメールを配信する。小売店でICタグや二次元コー

ドが回収された記録データは公開サーバに登録され、消費者は購入した野菜の情報

をホームページで閲覧できる。以上の仕組みが一般的であり、多くの実証実験もこ

のケースがほとんどである。

このように、農産物の生産から流通まで各過程の情報を各事業者が各々のサーバ

で管理するのではなく、サーバネットワークによりデータセンターに集約すること

で、システムの導入費用や運用コストの削減となるばかりでなく、より多くの事業

者や消費者が活用・利用できる広域的なサービスが提供可能となる。

55

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生産から流通、消費者までの各過程においてデータセンターとの情報の流れ(概

略)を以下に示す。(図表29参照)

図表29.各過程においるデータセンターとの情報の流れ(概略)

生 産 購 入

生産履歴番号より 生産履歴の登録

ター

包装

(シ

情報を確認

生産履歴番号の

配布

入荷・出荷情報や温度

状態等の登録

小売店

仕入元・仕入年月日

情報等の登録

生産履歴 流通履歴

流 通

出 荷

ックや製品に生産履歴番号

等)を付与して出荷

記は、データセンター内に生産履歴データベースと流通履歴データ

た例である。

産履歴データベースは、生産者の生産履歴情報等の日誌記録情報を蓄

・照会するためのデータベースで、JAや生産者団体等が回収した

る。入力にあたっては作業省力化の観点から、極力自動的に入力さ

れる。また、生産者から生産履歴がデータベースに登録された際に

は使用されていないか等の確認を行うため、JAや生産団体等の確

歴が登録された旨の連絡をメールにて通知し、確認機関で確実なチェ

合な事項が確認された場合は出荷を規制する等の措置を行う。

通履歴データベースは、ICタグや二次元バーコードによって、J

等が集荷した農産物の入出荷・在庫管理を行うためのデータベース

ータベースとのリレーションにより、出荷後の食品の特定を可能と

タベースである。

産者、生産者団体、市場、小売店等の各事業者等は、インターネッ

タベースより必要な情報の入力・管理を行うことで、トレーサビリ

各事業者の業務効率化、業務改善に役立てるための基盤となる。

56

ベースを完

積・保管・

情報が入力

れることが

、不適切な

認機関へ生

ックの基、

Aや生産者

で、生産履

するための

トを介して

ティや広域

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また、将来的には必要なアプリケーションやデータベースの構築により更に発展

が期待できる。

消費者は、生産履歴データベースシステムや流通履歴データベースシステムから

発行されたICタグや二次元バーコードラベルを基に、ポータルサイトにアクセス

し、必要な情報の閲覧が可能となる。このポータルサイトは単に安心・安全な食品

に関する情報を公開するためだけのものではなく、生産者同士の情報交流や生産者

と消費者のコミュニケーションの場として整備されることで、新たなブランド形成

の可能性が広がる。

現在、生産現場における安全性確保の具体的な対策として、国際的に、適正農業

規範(GAP)の遵守が求められており、農林水産省は2008年度までの計画で、日本

版GAPの導入・確立事業を実施している。

GAPは、農産物生産過程での様々な危害を 小限に抑えようとする、総合的な

リスク低減対策で、導入の現場では、食品安全と持続可能な農業生産システムの確

立が具体的な目標になる。また、GAP確立のためには、農産物の流通・販売関係

者との信頼関係に基づくサプライチェーンが必要であるといわれている。

これからは、農業生産現場においても、ICT化による業務改革が必要になるも

のと考えられ、消費者が求める美味しさ、新鮮さ、安全性などを満たす品質基準に

基づき、それらを実現する高度な栽培技術を駆使し、食品の安全管理とSCMの効

率化を実現するためには、統合的な生産管理情報のシステム化を図るとともに、電

子データ交換で流通・販売業者との情報共有を可能にすることが強く望まれる。

57

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7. 情報伝達のあり方

流通経路履歴と安全履歴を行うためには、情報媒体が前提とされている。食品は形

状も種々多様であり、ダンボール箱や小袋に納品されていたり、生鮮野菜のように食

品そのものだったり、形も四角形から円形と大きさや形状が異なれば、商品に貼付あ

るいは添付するための情報媒体も必然的に異ならざるを得ないと言われている。

現在は、バーコードや二次元バーコード、ICタグ等、それぞれの食品の形状に

も適した媒体が利用され、食品と同様に情報媒体の形状も異なっている。また、これ

ら伝達情報媒体に情報を書き込んだり、書き込まれた情報を読み出したりする機器も

異なっているのが事実である。事例調査において、情報媒体の費用等を含めたメリッ

ト・デメリットを分析した結果を基に、更に安全履歴のあり方並びに流通経路履歴の

あり方に関する検討結果を踏まえ、 適な情報伝達のあり方について検討を行った。

本章では、現在注目されているICタグとQRコードの2つの情報媒体に着目し、

双方の代表的な利用形態とメリット・デメリットの分析を行った。

(1) ICタグ

ICタグに関して、これまで物流サイドにおけるデリバリの省力化の観点、ま

た小売店側での在庫管理や万引き防止策としての利用メリットが謳われている。

このICタグは、メモリー機能を搭載した小型のICチップとアンテナを基本

構造として、リーダー/ライターとの間で無線通信を利用して情報をやり取りで

きる仕組みであり、近年は小型化・低価格化が進み、現実的な技術として様々な

分野で注目されている。

現在では、アンテナ機能も搭載しながら0.4ミリ角という超小型の製品も登場し

ており、今後更に小型化されるであろう。

ICタグは、アクティブ型とパッシブ型という2つのタイプに大別できる。ア

クティブ型は情報を発信するための電源を搭載しているのに対し、パッシブ型は

電源を搭載せず、リーダー/ライターからの電波を電力に変換し動作する。現在、

小型化や低価格化によって注目されているのはパッシブ型で、物流を中心とする

現場への普及も、パッシブ型から進むと言われている。

ICタグの大きな特徴の1つは、小型でありながら、 大で数キロバイトとい

う記憶容量を実現していること。現在普及しているバーコードが数10バイト、Q

Rコードが約1キロバイトであり、この2つの情報媒体と比較すると、はるかに

上回る情報量である。

また、食品といった物理的な物を個別に識別することが可能であり、RFID

(Radio Frequency Identification)と言われるように、個体を識別する技術と位

58

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置付けられおり、大容量化によって、物に個別に名前を与えることが出来、さら

に無線通信によって、その情報をネットワークに取り込むことができる。ここに

ICタグの大きな可能性が秘められている。

ICタグは、非接触ICチップとアンテナという基本構造だが、用途に応じて

どのような形状にも出来るという点も大きな特徴である。既に製品化されている

ものを見ても、ラベル型、円板型、円筒型、カード型など様々な形状があり、利

用する環境によっては、防水性の高い素材や衝撃に強い素材で包むことも可能で

ある。

当然、形状によりICタグの価格も大きく変わり、2004年の8月に、経済産業省

がICタグの低価格化を目指して発足した「響プロジェクト」では、1個5円と

いう目標が掲げられた。これは基本構造のみの価格で、実際に利用するには、用

途に応じた形状にするための加工費が上乗せされることになり、現在では1個数

10円台の後半と言われている。

ICタグがこれだけ注目を集めているのは、適用範囲の広さにある。しかし、

コストで見れば、バーコードやQRコードより高価なことは明らかである。だが、

ICタグに対する関心の高さは、我が国の政策を見ても明確であり、「e-Jap

an戦略Ⅱ」を掲げるIT戦略本部や総務省、経済産業省などを始めとし、国土

交通省や農林水産省など複数の省庁が予算を計上し、ICタグに関連した活動を

進めており、幅広い分野の民間企業も、このICタグに大きな期待を寄せている。

その中でも、ICタグの導入で も効果が期待されている分野の1つに物流があ

る。既に90年代の半ばごろから多くの企業が、消費者や顧客を起点にサプライチ

ェーン全体の 適化を目指すSCMに取り組んでいるが、このSCMを強化する

手段としてICタグの活用が考えられている。

想定している効果は、現状のバーコードや手作業による作業負荷の軽減、業務

の確実性の向上などであり、例えば、物流センターのベルトコンベアにリーダー

/ライターを取り付け、自動的に仕分作業を行う実証実験や運送状況をICタグ

で管理する実証実験などが行われている。

また、膨大な商品を取り揃えるスーパーや小売店にとって、バーコードなどで

行う商品管理作業の負担という点では、かなり大きなものである。ここにICタ

グを活用し、商品管理業務を効率化できれば、作業負担の軽減効果ができ、人員

を売り場に集中できるというメリットも期待されている。

大手スーパーでも、「食品トレーサビリティ」に重点を置いた実証実験が進めら

れており、商品の履歴を遡って追跡できる食品トレーサビリティには、商品管理

59

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やリスクマネジメントという側面もあるが、消費者に信頼感や安心感を与えると

いう点では販売促進にも繋がるものと考えられることから重要である。

食に対する不安が高まる中で、消費者が必要とする情報をいかに公開するかと

いうことが求められている。このため、全国のスーパーなどで生鮮食品の産地情

報や流通情報、加工食品の成分情報などを、売り場に設置したリーダーや、カー

トに取り付けた画面に表示するといった実証実験も行われている。

このように、実証実験が行われている分野は広範囲に及ぶ。これらからICタ

グ活用によるメリットを整理すると、業務の効率化、製品やサービスの付加価値

向上、リスクマネジメントの強化、ブランドの確立、商品価値を高めるなどが挙

げられる。

しかし、課題もある。前記のとおり、ICタグ1個当たりの価格がQRコード

と比較して高いことから、低価格な商個別に適用した場合に生産者のリスクが高

くなる可能性がある。また、専用のリーダーが必要となることから、食品トレー

サビリティを例にとると消費者は、特定場所でしか商品の確認が出来ないことと

なるため、個人商店などでは普及が進まないものと考えられている。また、流通

過程すべてにシステム導入をするコストの問題が大きいといわれている。

その他の課題として、衝撃などによる破損の可能性を避けられない事や、特に

重要なのは実際に運用するうえでの課題として、代表的なものに標準化やプライ

バシー保護の問題がある。

ICタグのコード体系や規格の標準化においては、現在、欧米企業を中心に構

成されるEPCグローバルと日本企業を中心に構成されるユビキタスIDセンタ

ーという2つの団体が活動を推進している。

背景として、EPCグローバルが物流の効率化を、ユビキタスIDセンターが

利用者の利便性を重視し幅広い用途を想定しているという違いはあるが、考え方

や実現出来ることに共通する点も多く、現時点では、どちらが国際標準になるか

は予想出来ない状況であり、標準化を待って導入を考える企業も多数あるといわ

れている。

また、プライバシー保護の問題においては、個人情報と商品を結び付けるため

にICタグ自体に個人情報を記録するという使い方が想定されることから、大き

な課題となっている。このため、総務省と経済産業省は共同で、2004年6月に「電

子タグ(ICタグ)に関するプライバシー保護ガイドライン」を公表した。

このガイドラインの柱は大きく2つあり、1つは、商品の引渡し後にICタグ

をはずさない場合は、ICタグが装着されている事実や記録情報の内容などを消

60

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費者に説明することを義務付けること。もう1つは、消費者が望む場合には、商

品の引渡し後に情報を読み取れないようにする方法を開示することである。また、

個人情報データベースとICタグ情報を連携させる場合には、個人情報保護法を

適用することも盛り込まれている。

(2) QRコード

インフォシークと三菱総合研究所のアンケート調査(2005 年2月)によると、Q

Rコードの認知度は9割弱、利用経験者は3割弱という結果がでた。

現在、カメラ内蔵携帯電話の多くがQRコード読み取り機能を備えており、雑

誌記事や広告分野でQRコードが広まり、認知度が上昇している。このQRコー

ドは二次元バーコードの一種で,「機器で読み易いコード」を主目的として(株)

デンソーウェーブが 1994 年に発表した国産のコードである。

今までのバーコードは、一方向だけに情報を持っているのに対して、QRコー

ドは、縦、横二方向に情報を持つことで、記録できる情報量を飛躍的に増加させ、

JISやISOでの認証規格にもなっている。

もともとは自動車産業の「カンバン方式」向けに開発・普及し、物流や流通分

野の現品表としても広まったが、ユニークな例としてコンタクトレンズの販売管

理システムでQRコードが広く使われており、近年のカメラ付携帯電話のソフト

ウェアにこのQRコード用のバーコードリーダが標準で搭載されるようになり、

様々な分野で広く取り入れられるようになってきた。

2002 年にシャープ製端末で採用され、翌年にはドコモの 505 シリーズの一部、

505iS シリーズの全機種が対応した。特に「ドコモ採用」の影響は、普及台数を

増やす上で大きなポイントになったといわれている。

このように今まで、QRコードの用途は広告業界が注目していたが、近年の大

きな市場として「食の安全・安心」分野に広がりをみせており、その代表例が「食

品トレーサビリティ」である。

これまで食品トレーサビリティを実現する技術の本命はICタグ(RFID)の

利用だと考えられていた。RFIDでは豆粒大の非接触ICチップをラベルに埋

め込み、生産から流通、小売りまで一貫したトレーサビリティ情報を管理できる。

しかし、前記のとおりRFID方式は非接触ICチップの低価格化と、流通過程

すべてにシステム導入をするコストの問題が課題になっている。

そこで 近、消費者側の携帯電話を活用し、普及するQRコードを食品トレー

サビリティ分野で応用しようという取り組みが増えている。

61

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2004 年には首都圏コープ事業連合やエコスが、QRコードで農産物の生産履歴

情報を提供する実証実験を実施。水産物では、NTTドコモとドコモ・センツウ、

水産庁の外郭団体「海洋水産システム協会」が、魚の捕獲場所情報をQRコード

で管理する実証実験を行っている。

また、4章の事例3で紹介した北海道のベンチャー企業ノアでも、消費者視点

からQRコードを使った農産物生産履歴システムの開発を行っている。

このようにQRコードの 大のメリットは、コード作成用のパソコン用ソフト

が、各携帯電話会社のホームページなどでフリーウェア(無償ソフト)として配布

されており、誰でも気軽に簡単にQRコードが作成出来る点と、「印刷物」「塗装

物」「パソコンのモニター」「TV」など、その形状が表現出来るものであれば、

どんなものからでも読み込むことが出来、対応のカメラ付携帯電話を所有してい

れば読むだけで、必要な情報が携帯電話で取得が可能な点である。特に入力の面

倒なEメールアドレスやホームページのURLの転送等に効力を発揮する。

このようにQRコードのメリットは「高速性」と、それに裏打ちされた「使い

やすさ」にあるのだが、携帯電話の読み取り機能はその部分が十分に生かされて

いるとは言い難い。確かに「QRコード読み取りモード」になり、コードにカメ

ラを向ければ高速に読み取られる。しかし問題は、そこに至るまでのプロセスで

あると考える。

QRコードの読み取り機能は、携帯機能の中でもメニュー階層構造の下位にあ

る機種がほとんどであり、カメラ起動後にサブメニューから呼び出す機種もある。

またAF機能のない機種ではカメラを接写モードに変更しなければならない。こ

のような一連のプロセスにより、QRコードの利用は携帯電話リテラシーの低い

人には、決して使い勝手の良いものとはいえない。

2005 年9月に行われたインフォプラントの調査でも、実際に使ったことがある

年齢層は若年層に集中し、19 歳以下で9割近くを占めているという。

QRコードは本来、使い易さが売り物の情報取得機能であるのに、携帯電話で

は“使う状態”までの遷移が煩雑であるため、「携帯電話を使いこなさない一般ユ

ーザー」の利用が促進できていないのが実情である。また、ICタグの読み取り

距離が数メートルであるのに対し、QRコードは約 15 センチメートルと言われて

いることから、物流や商品管理という点では無線IC(RFID)と比較した場合

に機能として劣るのは事実である。

しかし、今後、食品トレーサビリティなど生活分野での利用促進を鑑みれば、

ユーザインタフェースの改善により、ユーザーがQRコード機能の呼び出しをし

なくても、カメラをQRコードに向ければ、自動的に読み取りが行われる等の機

能となれば、更なる生活インフラの中心となる可能性を秘めている。

62

Page 66: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(3) ICタグとQRコードの比較

前項において、ICタグとQRコード各々の利用形態やメリット/デメリット

に関し記載してきたが、本項ではこの2つの情報媒体について様々な視点から評

価してみた。(図表30参照)

図表30.ICタグとQRコードの比較

種 類 非接触ICタグ(RFID) QRコード

大情報量 数 Kbyte 程度 約1Kbyte 程度

読み取り距離 ~ 数 m 程度 ~ 数 10cm 程度

読み取り可能な状態 移動状態で読み取り可能 静止状態

書き換え 可 能 不 可

遮蔽時の通信 可 能 不 可

複数同時通信 可 能 条件により可能

偽 造 困 難 容 易

透過性 可 能 不 可

環境(汚れ) 強 い 弱 い

環境(ノイズ) やや弱い 強 い

全体的なコスト 高 い 安 い

個別価格(媒体) 数円程度 数 10 円~数 100 円程度

個別価格(読み取り装置) 高 い 携帯価格に依存

以上のように、全体的な評価をするとICタグの利用による食品トレーサビリ

ティやSCMが有効に思われる。しかし、コスト面で比較するとICタグが実利

用されるための大きな課題は、やはりICタグ1つ1つの価格である。

現在、一般的なICタグの価格は1個が数 10 円後半と言われており、テレビな

どの家電やブランド品など高額商品には適しているが、100 円以下で販売される

ことが多い生鮮食品や青果物、日用品に付けることは困難である。

理由として、商品販売後にICタグを再利用できる仕組みがないと、ICタグ

のコストが商品価格に跳ね返る可能性がある。そのため実際のICタグ利用では、

商品1つ1つではなく、流通現場で商品を収めたダンボールやケースにICタグ

を付ける利用が先行するものと思われる。また、ICタグのコスト低減の他に、

タグリーダの互換性も上げなくてはならないという課題も存在する。

ICタグは、 終消費者までのトレーサビリティ提供は難しいが、非接触で離

れたところから、高速で一気に複数のタグの読み書きが可能という夢のような機

63

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能を持っており、検品漏れの防止やSCMの効率化な観点からも、ICタグ個体

のコストさえ下がれば、流通に革命が起こることは間違いない。

現在、様々な業種で実証実験が行われ、今後は物流や商品管理、販売促進など

の分野でICタグがSCMの現場で普及することは確実だと思われる。しかし、

商品の1つ1つまでICタグを使って管理できるまでには、まだまだ時間がかか

るとの見方がある。

このような状況の中、野菜、果物などの農産物を対象とした生産情報公表JA

S規格が 2005 年7月 30 日からスタートした。生産情報公表JASは、商品の生

産者・流通事業者などが、生産者のプロフィールや生産に使用した農薬などの情

報を消費者に誤りなく提供できる態勢であるかどうかを第三者認証する規格で、

認証の取得は生産者と卸売市場・小売業者等の「小分け業者」がそれぞれ行う。

認証を取得した事業者を経由し、基準を満たす農産物は生産情報公表JASマー

クを商品に貼付できるという仕組みである。これに伴い、道内各地域のJAにお

いても生産情報公開に向けた動きが活発化している。

また、平成 17 年2月における北海道農業協同組合中央会、ホクレン農業協同組

合連合会の「食の安全・安心確保に向けたJAグループの取り組み」によると、

生産履歴管理システムの検討・導入については、生産履歴入力・点検作業の省力

化をはかるとともに、今後想定される履歴データの情報開示やトレーサビリティ

の確立を見据え、生産履歴管理システム(入力・点検・蓄積・情報開示)の検討・

導入を進める。

本来、全道統一的・合理的な形で導入することが望ましいが、既に部門別・地

区別の検討・導入が進んでいること、品目毎のトレーサビリティや情報公開、実

需や消費者の動向が定まっておらず、各種システムも開発途上にあることから、

システムの選択に関しては、基本的に各JA・地区段階の判断とする。 全道的には、システムの内容・価格等を総合的に勘案し、JA全中・全農のシ

ステム(Web版、スタンドアローン版)を中心に展開していく、としている。 以上の状況から、当協議会では各段階におけるICタグとQRコードの評価を

行い、短期でサプライチェーンシステムの構築する場合と中長期で構築する場合

に適合したケースの検討を行った。(図表 31 参照)

64

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図表 31.各段階におけるICタグとQRコードの比較

ICタグ QRコード

生産者

コスト(タグ)高のため生鮮野

菜単品には不向き(タグ低価格

化までは数年かかる見通し)

コスト(QRコードラベル作

成)安のため単品売り等の生鮮

野菜にも適用可能

卸売業者

○ 情報量が多いため、SCMの効

果は大 ×

情報量が少ないため、SCMの

効果は小

製造業者

○ 情報量が多いため、SCMの効

果は大 ×

情報量が少ないため、SCMの

効果は小

小売業者 △

情報量は多いが、タグリーダ化

価格が高いのため、個人商店に

は不向き(大手スーパー向き)

情報量は少ないが、QRコード

読取り携帯が普及のため、個人

商店でも適用可能

消費者

×

ICタグ読取り装置が未普及

(ICタグ読取り携帯普及まで

には数年かかる見通し)

○ QRコード読取り携帯が普及

結果、QRコードは、QRコードラベルが気軽かつ簡単に作成でき、既に読み

取り機器(携帯電話)が普及していることから、 終消費者による食品の確認が容

易という利点があり、ICタグを媒体としたシステムと比べ格安で構築可能と考

える。よって、トレーサビリティならびにSCMの実現に向けたシステムの構築

が急務であり、かつ、システム構築時のコストを抑制したい場合は、消費者視点

からもQRコードを導入したシステムが適しているが、SCM効果を考えるとチ

ェーンの短い直販向きであると考える。(図表 32 参照)

また、ICタグは、リーダー/ライター、ネットワーク環境などの導入コスト

面は割高となるが、情報の記憶容量が大きいことや無線通信によって、その情報

をネットワークに取り込むことができることから、生産から小売までのSCM効

果の可能性は大きい。また、タグを始めとした関連機器が低価格化なった場合、

物流システムの柱となることから、中長期的に構築計画を進めるシステムに向い

ていると思われる。(図表 33 参照)

これらの比較検討結果を基に、当協議会では空知管内で1年後に実現可能なサ

プライチェーンシステムと、3年から5年後に実現可能なサプライチェーンシス

テムの2例について検討した。

65

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図表 32.QRコードを導入したシステム概略

農家・生産団体 流通業者 店舗 消費者

栽培 出荷 入荷 出荷 直販

④⑤

Rコード ①

農作物の土

写真等に関

は使用され

確認後、そ

にQRコー

販売形態が

られた情報

タセンター

販売形態が

テムに投入

注等の機能

消費者はQ

配備した形

壌情報、農薬

する情報をP

ていないか等

の情報をQR

ドを添付し、

インターネッ

に加え、配送

に転送。

道の駅や自店

し、データセ

を備え、空知

Rコードに確

態から参照す

・肥料の散布

Cよりシステ

の確認後、情

コードラベル

出荷を行う。

トショップ等

段階の情報を

舗等の場合は

ンター内で確

管内の農作物

保された情報

ることにより

66

データセンタ

情報、作付け過

ムに投入。生産

報はデータセン

ツールにて作成

の場合は、配送

PCからシステ

、販売実績、在

保されたこれら

の販売拡大に貢

を店舗内の専用

、農作物情報を

程履歴(温度)や

団体では、不適

ターに転送。

し、集荷または

業者にて作付け

ムに投入し、情

庫情報等をPC

の情報の管理、

献する。

端末や、読み取

取得する。

培状況

な農薬

品単位

程に得

はデー

らシス

動受発

機能を

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図表 33.ICタグを導入したシステム概略

農家・生産団体 卸業者・流通業者 入荷 販売

消費者 店舗

栽培 出荷 入荷 出荷

タグ ーダ ②①

① 農作物の土壌情報、農薬・

情報をICタグ上に記憶す

② その情報を集荷単位にIC

③ 出荷先となる中間業者及び

物流、加工段階の情報を付

④ 店舗では、販売実績、在庫

ター内で確保されたこれら

内の農作物の販売拡大に貢

⑤ 消費者は、ICタグに確保

より、農作物情報を取得す

加工業者 加工 出荷

タグリーダ

データセン

肥料の散布情報、作付

る。

タグを添付し、出荷を

、加工業者では、作付け

加する。

情報等を当該タグ情報

の情報の管理、自動受

献する。

された情報を店舗内の

る。

67

グ ーダ ④

け過程履歴(温

行う。

過程に得られ

に加えると共

発注等の機能

専用端末から

度)等に関

た情報に加

に、データ

を備え、空

参照するこ

する

え、

セン

知管

とに

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8. 安全・安心を確保するための仕組み

(1) 情報共有のための仕組み(生産者から消費者まで)

安全・安心な食品を提供するためのトレーサビリティシステムは、食品チェー

ンの各段階、全ての段階で導入しなければ機能しない。例として、流通過程で問

題があった場合、システム未導入によって追跡が困難でストップしてしまい、生

産者名を開示したことによって、生産段階で問題の責任を負うことになりかねな

い状態となってしまう。

このように、責任を明確にするという意味でもトレーサビリティシステムは、

食品チェーンの全段階に導入が必要となる。消費者が安心する食品とは、責任の

所在が明確化された食品であると考える。

4章の事例1でも紹介したが、イトーヨーカドーの場合、自らが責任を持って

生産段階から流通段階、販売段階において安全・安心な食品を提供するための管

理・実施体制を確立している。

また、イオンが中心となり進められている農林水産省「ユビキタス食の安全・

安心システム開発実証事業」では、全国約 200 の生産者、団体、流通組織の参加

により、生産段階から消費段階にいたる過程において、一貫した基準・規範の適

用によって農産物に由来する食のリスクを 小化し、ICTを 大限活用した正

確かつ迅速な情報提供と活動記録の収集・保持を実現して食の安心を向上させる

システムの構築を目的として取り組んでいる。

本実証事業での注目すべき点は、トレーサビリティ、適正農業規範、第三者監

査を組み合わせて利用するシステムの開発に取り組んでいることである。対象と

なる農産物が適正農業規範に従って統一した基準で生産されていれば、生産履歴

の内容を消費者等に分かりやすい有効な情報として正しく伝達できるようになる。

また、適正農業規範が適切に運用されていることが内部監査や第三者監査によっ

て確認されるならば、農薬等使用基準に適合しているという安心情報を国民・消

費者に伝達できるようになり、それが認証と結びつくならば、生産履歴を事細か

く開示しなくてもよくなるかもしれない、という考えである。

このように、食品チェーン上の組織や企業等の壁を超えて情報を共有すること

により、各段階で発生している無駄を排除し、効率化により消費者の満足度を追

及することがトレーサビリティならびにSCMには求められる。そのために、ま

ずは食品チェーン上の組織や企業が、トレーサビリティとSCMを進める上での

パートナーシップを形成し、協同で検討を進めることが重要となり、お互いに信

頼がなければ、トレーサビリティやSCMの実現は困難である。

68

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前記の通り、サプライチェーンシステムの実現には、まず情報を共有する仕組

みが重要となる。中で も求められているのは、情報の柱となるべく生産履歴に

関する情報であるといえる。

当協議会におけるアンケートならびにヒアリングからも、生産者は農産物の生

産履歴情報に関する必要性は認識しているものの、一連の生産過程を通じてデー

タの記入に要する労力は大変な稼働であるとの結果が出ている。また、生産団体

におけるこれら生産履歴に関するデータの入力も同様に膨大な稼働となるため、

データベース化が図れないケースもある。

これらから、安全・安心を確保するための情報共有化ための仕組みとして、生

産現場における農作業、圃場環境、生育状況などのデータを省力化或いは自動的

に入力・蓄積するシステムが不可欠となっている。特に生産者においては高齢化

が進んでいることならびにICT等の 新技術に関しては障壁が予測されること

から、より多くの生産者が便利で気軽に利用してもらえる生産履歴システムの検

討が必要となる。

また、農産物を生産してから消費者の手に渡るまでには、様々な事業者や事業

体が関連する。これらの事業者(事業体を含む)においては、それぞれの要員や資

金面、施設面等の諸事情があり、生産履歴システムの検討にあたっては、規模や

地域、農産物などの条件が異なることを考慮しなければならない。

よって、広域的なシステムの導入を目指すためには、あらゆる事業者や事業体

にとって中立的な技術で構築することが望まれる。

① 生産履歴システム

登録(閲覧を含む)デバイス

生産履歴システムへ登録を行うデバイスは、手軽で身近にあるデバイスを利用

する事が望ましい。

(生産者が登録する場合)

・携帯電話による登録

・自宅からのPCによる登録

(生産団体が登録する場合)

・生産者が記入した生産履歴記帳(紙)をPCにより登録

生産履歴情報

消費者に伝える情報として、JASに規定された生産過程管理の要素に対応し

た情報が望ましいと考える。例として、(a)生産者の氏名、住所、連絡先、(b)

生産した場所、(c)収穫した期間、(d)農薬の使用回数と名称および用途、(e)(d)

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のうち農薬取締法に規定する特定農薬、(f)肥料の種類および使用量、(g)土壌

改良資材の種類および使用量、(h)その他使用した生産資材など。

以上の登録デバイスを活用し、生産者(生産団体)によって入力された生産履歴

情報は、生産者と圃場作付けごとに整理・集計してデータセンターにある生産

履歴データベース上でICタグやQRコードに対応した識別番号に関連付けて

記録される。

出荷時の媒体

生産者(生産団体)は出荷の際、出荷日時や出荷数、出荷先等の用途に応じた必

要な情報を生産履歴システムに登録すると共に、ICタグやQRコードに対応

した媒体をその農産物の箱や包装に貼付して出荷を行う。

生産者

登録デバイス

データセンター

生産履歴システム

情報媒体

ICタグ

QRコード

【ニーズ】

● 安心・安全な食品提供

② 農業情報管理システム

生産者(生産団体)が必要とする情報

単に生産履歴システムの提供だけでは、生産者(生産団体)における業務の効率

化はトレーサビリティ実現のためだけのものに留まってしまう可能性がある。

当協議会が生産者(生産団体)の中でインターネットを活用した販売経験がある

方を対象としたアンケートやヒアリング結果では、生産履歴に関するシステム

の他に、農業情報をトータル的に管理出来るシステムの構築ニーズが高い状況

であった。

特に圃場管理や毎年、提出している作付け図や営農計画といった書類作成が容

易となるシステムが望まれていた。

このように農地に関する各種情報のデータベース化と、用途に応じて地図と各

種情報のリンクするなどにより、圃場の情報の参照や集計、圃場の検索、耕作

70

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者単位の作付面積の集計、作付け作物ごとの面積計算等の圃場情報の管理が容

易となり、農業に関する各種業務の正確化、効率化、迅速化が実現し生産段階

におけるSCM効果は高くなる。

生産者 登録デバイス

データセンター

農業情報管理システム

参照デバイス

圃場情報 作付け面積 作業日誌積

【ニーズ】

● 業務の効率化● ノウハウの蓄積

以上記載してきた生産履歴システムや農業情報管理システムとデータセンター

間は、インターネットを介したオンライン接続にて登録・閲覧を行うイメージで

あるが、KDDIは昨年6月にXML対応のBREWを開発し、auの携帯電話

から業務アプリケーションサーバにSOAPプロトコルを使って通信出来るサー

ビスを開始している。

これは携帯電話内のデータをXMLに構文化すると共に、サーバから送られて

きたXMLデータを解析出きるミドルウェアの開発で、北海道のベンチャー企業

テクノフェイスが担当した。また、Salesforce.comは、このミドルウェア上で動

くBREWアプリ「Salesforce.com Mobile Edition au」を開発し、オフライン

操作可能な営業支援サービスを提供している。

近年のパケット定額サービス等により利用料金の価格は低下したものの、携帯

電話のインターネット速度は約9.6Kbit/秒から384Kbit/秒と大量のデ

ータ送受信には困難である。

携帯電話を利用したシステムへの情報の登録や閲覧は、手軽で身近なデバイス

として、より多くの生産者に利用してもらうためには欠かせないものである。

よって、この例のようにミドルウェア上で動く生産履歴システムや農業情報管

理システムアプリケーションの開発は、生産者がサーバに登録・保存された各種

情報を携帯電話に保存し、オフラインでの操作よる登録・閲覧時間の削減出来る

可能性が大きいことから、操作性ならびに業務の効率化に繋がるものと考える。

71

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③ 生産段階<ポータルサイト>

生産者同士の情報やノウハウの共有ならびに、消費者とのコミュニケーション、

生産・販売の促進を目的として、生産履歴システムや農業情報管理システムは、

一つの窓口つまりポータルサイトによる提供が望まれる。

ブログや、SNS(ソーシャルネットワークサービス)、アフィリエイト、Q&

Aサービス、クチコミサイトなどのコミュニティサービスが、近年ではビジネス

として成立することが見えてきており、多くの企業や事業体が事業機会を求めて

参入している。

このような手段は、店舗側にとっても新しい集客手段として注目されており、

ここで行うビジネスは、インターネット上での売り買いのマッチングの間に、新

しく個々人の知識情報を活用するモデルが登場したことになる。

これらの機能を活用したポータルサイトを単に安全・安心な食品を提供するシ

ステムの窓口に留めず、空知の食のポータルサイトを媒介として、空知や北海道

への思いを共有するファンを育て、その裾野を広げていくことで良質なアクセス

の拡大(質の良い客層が集まるお店のように)を図り、まさに「共感」のビジネス

を成立させ、そのビジネスの拡大が、地域振興や産業振興に結びついていくこと

こそ、空知の広域的なポータルのもつ意義であると考える。

インターネットが普及し、メディアとしての利用度が増大するに従って、地域

や食の深くきめ細かな情報への希求力が求められることは必然であり、そこにポ

ータルサイトの可能性が大きく広がっている。

生産者

生産者

消費者トレーサビリティ物販

コミュニケーション広報やニーズ収集

情報共有コミュニケーション

生産団体との周知・連絡ノウハウの共有と継承

【ニーズ】

● 生産者同士の情報共有● 消費者とのコミュニケーション● 生産・販売の促進

④ 流通段階<流通履歴システム>

集荷場から小売店に至る流通の各経路の過程において、ICタグやQRコード

を読み取り、その識別番号と生産者・圃場等を照合した上で、ICタグやQR

コードとの関連付けを行い、更に入出荷時刻等の情報をデータセンターにある

流通履歴のデータベースに記録する。

72

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流通業者 登録デバイス データセンター

生産履歴システム

情報媒体

流通履歴システム

生産履歴情報

流通履歴情報小売業者

⑤ 小売段階<生産履歴システム、流通履歴システム、ポータルサイト>

店頭において消費者は、個々の商品に貼付された情報媒体を読み取り、インタ

ーネット上の生産履歴データベースや流通履歴データベースを検索し、その商品

の生産者、圃場、収穫日、農薬散布回数、流通経路や入出荷日時などのデータが

集計されて表示される。

この時に利用する閲覧デバイスは、情報媒体がICタグの場合、店頭に置かれ

た専用の読み取り機器端末を利用し、商品に貼付されたICタグを読み取ること

で、自動的にインターネットを介してデータセンターのデータベースから情報を

検索・取得出来、QRコードの場合はインターネット接続されている店頭設置端

末の他に、認識機能携帯により、商品ラベルのQRコードを読み取りポータルサ

イトにアクセスすることで、店頭だけでなく家庭からでもその商品の生産履歴デ

ータを閲覧できる。

ICタグ

QRコード【ニーズ】

● 品質の向上● 業務の効率化● 迅速な配送

73

【ニーズ】

● 安心・安全な食品● 新鮮で美味しい食品● 手軽な地方特産物

ICタグ

QRコード

消費者 閲覧デバイス データセンター

生産履歴システム

流通履歴システム

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(2) HARP活用によるシステム構成と要件

HARPとは、北海道電子自治体プラットフォーム(Harmonized Applications

Relational Platform)の略称であり、電子自治体化を通じて、「住民サービスの

向上」や「行政運営の効率化・高度化」を図るとともに、電子自治体の果実を「地

域経済の活性化」に結びつけることを目的に、「官・民が協力」して、電子自治

体を将来にわたって効率的・効果的に推進することを目指すものでる。

この取り組みは、 新のインターネット技術などを取り入れるとともにシステ

ム連携のルールを統一することによって、多様なシステムの連携を容易に行える

ようにするものであり、電子自治体の実現に必要となる各種システムの共通機能

を備えたプラットフォーム(共通基盤)を、道と市町村が共同で構築し利用するこ

とにより、将来にわたって効率的・効果的に電子自治体化を推進しようとする北

海道独自の共同アウトソーシングモデルである。

HARPの主な特徴は、従来のようにシステムを大きな固まりとして構築する

のではなく、個々のシステムに共通する機能を集約して共通プラットフォームと

して複数システムで共同利用するとともに、出来る限り機能を細分化・部品化し

て再利用性を高め、さらにそれらの機能をネットワークを介して利用することに

より、システム開発・運用の経済性と効率性を極限まで追求する、新たな電子自

治体システムの構築・運用モデルである。(図表 34 参照)

図表 34.HARPの主な特徴イメージ

一般的な共同構築手法 重複投資残存が課題

共通機能を集約し共通基盤として共同利用することのメリット

共同構築のメリット

コスト

HARP構想の共同構築手法

各自治体単独でシステム構築

複数自治体で共同

構築

今後各種システムを構築していくと

コスト コスト

各システムに共通する機能への重複投資

が残存

割り勘効果でコスト軽減

コスト電子申請

電子入札

施設予約

文書管理

細分化・部品化、共通機能集約化

ネットワークを介して利用

共通機能を使い回すことで将来の重複投資を

解消

供:株式会社HARP

74

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HARP構想の主なポイントと効果は以下のとおり。

<ポイント>

システムを複数団体で共同構築・運用することにより、人材面・財政面での

負担を軽減し効率化を実現。

システム機能を細分化・部品化し、共通機能を集約化することにより、効率

的なシステムを実現。

発注単位を細分化することにより、中小IT企業の参入機会を拡大。

「イコールパートナーシップによるジョイントベンチャー方式」など、地場

の中小IT企業が下請けではなく自らの名刺で参画できる。

<主な効果>

コスト・迅速・高品質な電子自治体の実現。

柔軟なシステム統合の実現。

マーケットプレイス化による中小企業などのビジネスチャンスの拡大。

これらHARP構想の基本理念を実現するために構築された北海道電子自治体

共同システムのイメージは以下のとおりである。(図表 35 参照)

図表 35.北海道電子自治体共同システムのイメージ

北海道電子自治体共同システム

外部システム

コントローラコントローラ

ポータルシステム

電子申請システム

データ変換

認証基盤連携

決済基盤連携

住民ユーザ管理

職員ユーザ管理

原本管理ストレージ

バックアップ

利用状況記録

自動メール発行

認証基盤認証基盤 決済基盤決済基盤

提供:株式会社HARP

ポータル機能や電子申請システムなどの業務アプリケーションが配置される業

務システムと、データ変換や認証基盤連携など各システムで共通的に使用される

75

Page 79: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

共通モジュール、業務システムと共通モジュール間をつなぎ、各サービスモジュ

ール間のワークフロー制御を行うコントローラで構成される。

空知広域サプライチェーンシステムの構築・運営は、公共性及び中立性の観点

から一民間企業が行うのではなく、住民サービスの向上や地域の活性化といった

多面的な効果を上げるためにも、行政と民間企業が連携した推進体制が必要であ

る。

以上から、現在、道と市町村が連携し電子自治体の基盤となる共通プラットフ

ォームの構築に関する具体的な検討が進められている中、これら共通プラットフ

ォームを活用したシステムの構築・運営を行うことを前提とし、HARP上での

サービス実現に向けた検討を行った。

基盤システムが安価であること

消費者ニーズだけでなく生産・流通・

小売事業者のニーズにも対応

近い将来、必要に要望に応じた

システム構築(追加)が容易なこと

● HARPの活用● 部品化されたアプリケーションの流用● 他府県への展開によるシステム構築費の分散化

● 安心・安全な食品の供給● 業務の効率化● 品質の向上● 販売促進

● 各システムがバラバラに存在するのではなく、入口はひとつ、中で独立 ⇒ ポータルサイト

● Webサービスのオープン性とXML対応

● 情報共有● コミュニケーション● ブランドの形成● ノウハウの蓄積

条件1

条件2

条件3

● HARPの活用● アプリケーションの流用● 構築費の分散化

● 安心・安全食品の供給● 業務の効率化● 品質の向上● 販売促進● 情報共有● コミュニケーション● ブランドの確立● ノウハウの蓄積

● ポータルサイト● Webサービスのオープン性●XML対応

HARP

アプリケーション アプリケーション アプリケーション

ポータルサイト

消費者生産者

HARP構想は、システム機能の部品化を推進するため、システム開発単位が

細分化されており、新たなシステムを開発する場合のコスト削減効果が図れるこ

とが大きな特徴の一つである。

今回、空知サプライチェーンシステムとして、このHARP上でサービスを利

用する場合、業務システム(アプリケーション)ならびに共通モジュールに新たな

システムを開発することが望ましいと考える。以下に、業務システムと共通モジ

ュールに開発した場合のシステム概要を次に示す。

76

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① システム概要

<業務システム>

生産・流通履歴システム

消費者に対して「安全で必要な食品を、必要な時に、必要な量を、安価に、

効率よく」提供するためのアプリケーション。

コミュニケーションポータル

消費者に安全な食品を提供するための情報開示と、消費者と生産者間のコミ

ュニケーションや生産者同士の情報共有、販売促進などに活用する場として利

用する際の入口となる機能。

農業情報管理システム

圃場関連の情報参照や集計、圃場の検索、耕作者単位の作付面積集計、作付

け作物ごとの面積計算等の圃場情報や作業日誌などの管理を行うアプリケー

ション。

<共通モジュール>

生産者ユーザ管理サービス機能

生産者や流通業者、小売業者ユーザの登録管理を行う。

以上の機能をHARP上に搭載した場合のイメージを図表 36 に示す。

尚、住民とのコミュニケーション機能や将来的な物販サービスを考慮すると、

一般住民や企業ユーザの登録情報を管理する住民ユーザ管理サービス機能や、料

金徴収を行う決済サービス機能などが必要となってくる。しかし、これらのサー

ビスに必要な機能は、現段階でのHARP上にある機能で実現可能であると推測

される。

HARP構想の利点は、共通プラットフォーム方式より、システム間の共通機

能を集約化しているため、この共通機能を活用して独自サービスの提供を行うこ

とにより、利用市町村や組織が多くなればなるほど、システム開発や運用に係わ

るコスト削減効果が大きくなる可能性を秘めていることである。

また、各種OS、言語、データ連携方式の違いを吸収できるクロスプラットフ

ォーム環境を提供するものであり、例えば広域連携により異なるアーキテクチャ

のシステムをコントローラを介してデータ連携させることも可能であり、現在は、

各自治体が共同で電子自治体システムを構築・運用するケースのみであるが、こ

れらの共通機能は行政システムに限らず、幅広いシステムへの活用が可能なこと

から、民間サービス提供としての期待も大きい。

77

Page 81: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表 36.HARP上に搭載した場合のイメージ

78

北海道電子自治体共同システム

外部システム

ポータルシステム

電子申請システム

データ変換

認証基盤連携

決済基盤連携

住民ユーザ管理

職員ユーザ管理

原本管理スト

レージ

バックアップ

利用状況記録

自動メール発行

認証基盤認証基盤 決済基盤決済基盤

コントローラコントローラ

生産者ユーザ管理

生産・流通履歴システム

コミュニケーションポータル

農業情報管理

システム

インターネット

生産者 生産団体 流通業者 消費者

Page 82: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

② ネットワーク構成とシステム構成

空知サプライチェーンシステムとして開発した場合のシステム構成イメージを

図表 37 に示す。北海道電子自治体共同システムのネットワーク構成は、6つのセ

グメントに分けられているといわれているが、詳細なネットワーク構成は全ての

方に公開されている情報ではない(希望者は株式会社HARPへ依頼)ため、図表

37 では、あくまでも想定の範囲で記載する。

図表 37.システム構成イメージ

インターネット

Webサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

SW

ルータ

FW

生産者ユーザ管理

インターネットセグメント

業務APサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

内部セグメント

共通モジュールサーバ

生産者ユーザ管理

DBサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

生産者ユーザ管理

SW

FWコントローラサーバ

生産者ユーザ管理

DB

インターネット

Webサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

SW

ルータ

FW

生産者ユーザ管理

インターネットセグメント

業務APサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

内部セグメント

共通モジュールサーバ

生産者ユーザ管理

DBサーバ

コミュニケーションポータル

生産・流通履歴

農業情報管理

生産者ユーザ管理

SW

FWコントローラサーバ

生産者ユーザ管理

DB

(注)

(注)コントローラサーバは既にHARP上にあるものを利用

Webサーバ

生産者や流通・小売業者、住民へWebコンテンツを提供する。

業務アプリケーションサーバ

コミュニケーションポータルや生産・流通履歴、農業情報管理機能を提供する。

共通モジュールサーバ

生産者ユーザ管理機能を提供する。

データベースサーバ

コミュニケーションポータルや生産・流通履歴、農業情報管理、生産者ユーザ

管理で必要とされるデータベース機能を提供する。

79

Page 83: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

尚、ハードウェア要件、ソフトウェア要件、ネットワーク要件、システム技術

要件等の各種要件は、全て北海道電子自治体共同システムの要件に準拠すること

が望ましい。

以上、本項でHARP活用によるシステムについて記載してきたが、空知広域

サプライチェーンシステムにおいては、 初から多種多様な利用ケースを想定す

るのではなく、まずは、消費者ニーズと同様に生産者ニーズを重要視したスモー

ルスタートシステムで構築し、次に利用者ニーズや国内外の動向、 新技術分野

の動向を視野にステップアップしてゆく事が望ましいと考える。

以下に1年後のシステム構築例(図表 38)ならびに、3年後(図表 39)のシステム

構築例を次に示す。まずは、1年後のシステム構築例である。

図表 38.1年後のシステム構築例

北海道電子自治体共同システム

外部システム

ポータルシステム

電子申請システム

データ変換

認証基盤連携

決済基盤連携

住民ユーザ管理

職員ユーザ管理

原本管理スト

レージ

バックアップ

利用状況記録

自動メール発行

認証基盤認証基盤 決済基盤決済基盤

生産・流通履歴システム

コミュニケーションポータル

栽培 出荷 入荷 出荷 直販

流通業者消費者

店舗農家・生産団体

生産者ユーザ管理

農業情報管理

システム

コントローラコントローラ

コミュニケーション情報共有

80

Page 84: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

1年後のシステム構築事例は、QRコードやURLを記載したラベルを利用し

た生産履歴情報システムとコミュニケーションポータル、生産者ユーザ管理の構

築である。

生産履歴システムにおいては、ICタグを前提としたシステムでは、現段階で

リーダー/ライター、ネットワーク環境など、生産者から小売業者に係る導入コ

スト面が大きく、課題も多いことから時期尚早であると考える。

また、QRコードラベルや4章で紹介したSEICAの事例であるURLを記

載したラベルは、気軽かつ簡単に作成できること、ならびに既に読み取り機器(携

帯電話)が普及しており、消費者による食品の確認が容易であることから、より多

くの方々の需要が見込めると推測される。

しかし、QRコードラベル等だけでは、生産者から消費者間の全ての段階の多

くの情報をカバーするのは困難なことから、流通段階を通らない直販向きである

と考える。

コミュニケーションポータルにおいては、生産履歴情報の登録や確認、閲覧の

ための単なるホームページ機能だけでなく、生産者や生産団体との情報共有が出

来るグループウェア機能や、会員制による生産者と消費者間のコミュニケーショ

ン広場を提供し、生産者が推薦する一番美味しい食べ方や、生産者のこだわり、

消費者間とのQ&Aを提供することにより、空知の食に対するニーズは確実に広

がるものと考える。また、他地域の生産者とのノウハウを共有にする交流の場を

提供することにより、新たな空知ブランドにつながる可能性を秘めている。

このように、コミュニケーションポータルは、空知の食品に限らず、地域にい

きづく自然や、観光、産業、人々の価値を再発見し、空知のブランド価値を生み

出し、空知ファンを育て、空知を訪れたり、空知に移住する人々を増やし、地域

経済の振興につながる仕掛けの入り口とすることが重要である。

また、生産者ユーザ管理は、生産履歴情報登録の際の生産者の登録情報を管理

し、既存機能である住民ユーザ管理は、コミュニケーションポータルの会員制サ

ービスや物販利用時における一般住民や企業ユーザの登録情報の管理を行う。決

済基盤認証(既存機能)は、コミュニケーションポータルによるEC(電子商取引サ

ービス)利用の際の料金徴収を行う際に起動し、外部決済基盤との連携を行う。

81

Page 85: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

次に3年度のシステム構築事例を示す。ここでは、1年後のシステム構築事例

以外の機能等について記載する。

図表 39.3年後のシステム構築例

北海道電子自治体共同システム

外部システム

ポータルシステム

電子申請システム

データ変換

認証基盤連携

決済基盤連携

住民ユーザ管理

職員ユーザ管理

原本管理スト

レージ

バックアップ

利用状況記録

自動メール発行

認証基盤認証基盤 決済基盤決済基盤

生産・流通履歴システム

コミュニケーションポータル

栽培 出荷 入荷 出荷 直販

流通業者消費者

店舗農家・生産団体

生産者ユーザ管理

農業情報管理

システム

コントローラコントローラ

産地札幌収穫

モバイルオフラインサービス

北海道電子自治体共同システム

外部システム

ポータルシステム

電子申請システム

データ変換

認証基盤連携

決済基盤連携

住民ユーザ管理

職員ユーザ管理

原本管理スト

レージ

バックアップ

利用状況記録

自動メール発行

認証基盤認証基盤 決済基盤決済基盤

生産・流通履歴システム

コミュニケーションポータル

栽培 出荷 入荷 出荷 直販

流通業者消費者

店舗農家・生産団体

生産者ユーザ管理

農業情報管理

システム

コントローラコントローラ

産地札幌収穫

モバイルオフラインサービス

生産履歴システムにおいては、ICタグを前提としたシステムである。

ICタグはQRコードと比較して情報容量が格段に多くなるため、流通チェー

ンの長いケースにも対応でき、工程管理、在庫管理、売上げ管理等のデータがリ

アルタイムに把握可能となることから、大幅な業務の効率化が期待できる。

また、安心・安全な食品の提供という意味でも問題発生時に、その製品が、い

つ、どこで、どのように製造され、販売されたかを追跡することも容易となる。

このように大容量のICタグであるが、必要な情報が何であるか、追跡すべき情

報が何であるかの取捨選択を行なわなければならない。理由として、不要な情報

のデータベース化は、情報管理・記録者の負担になるだけでなく、システムその

82

Page 86: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

ものの機能を低下させるからである。

また、これら、ICタグ対応のシステム開発を行う場合、IDタグ標準化推進

団体のユビキタスIDセンター等で認定されたIDタグや技術仕様に合わせた検

討が必須となる。

農業情報管理システムにおいては、農地に関する各種情報のデータベース化に

より、農業に関する各種業務の正確化、効率化、迅速化を実現するシステムであ

る。本システムを利用することにより、圃場の情報の参照や集計、圃場の検索、

耕作者単位の作付面積の集計、作付け作物ごとの面積計算などの圃場情報の管理

が容易となる。また、地図と各種情報のリンクにより、農地の利用状況に関し地

図を利用して管理することで、営農計画の支援に活用でき、圃場情報の参照や条

件による圃場検索、色分け表示なども可能となる。

モバイルオンラインサービスにおいては、先に紹介した携帯電話内のデータを

XMLに構文化すると共に、サーバから送られてきたXMLデータを解析出きる

ミドルウェアを活用したサービスであり、生産者がサーバに登録・保存された各

種情報を携帯電話に保存し、オフライン操作よる登録・閲覧時間の削減を目的と

した、操作性ならびに業務の効率化を図るためのサービスである。

近い将来、第四世代携帯の登場により、大容量、高速通信が可能となるが、サ

ービスの開始は 2010 年を目途としており、普及するまでには時間がかかることが

想定されるため、せっかく手軽に利用可能な携帯を対象としたシステムを開発し

ても、通信速度が 64Kbps~384Kbps では、結局利用する側のニーズは低くなって

しまう。

現在、携帯電話は子供からお年寄りまで多くの方が利用しており、日常生活の

中で欠かせないものとなっている。今回のシステムを一番多く利用することが予

測される生産者が、繁忙期でも手軽にしかも高速に情報登録・閲覧を可能とする

機能は必須なアイテムであると考える。

このように空知サプライチェーンシステムの構築においては、一からシステム

の全てを構築するのではなく、共通出来る機能を活用し、早く、安く構築するた

めにHARPは欠かせない存在である。

83

Page 87: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

以上記載してきた生産履歴システムや農業情報管理システムとデータセンター

間は、インターネットを介したオンライン接続にて登録・閲覧を行うイメージで

あるが、KDDIは昨年6月にXML対応のBREWを開発し、auの携帯電話

から業務アプリケーションサーバにSOAPプロトコルを使って通信出来るサー

ビスを開始している。

これは携帯電話内のデータをXMLに構文化すると共に、サーバから送られて

きたXMLデータを解析出きるミドルウェアの開発で、北海道のベンチャー企業

テクノフェイスが担当した。また、Salesforce.comは、このミドルウェア上で動

くBREWアプリ「Salesforce.com Mobile Edition au」を開発し、オフライン

操作可能な営業支援サービスを提供している。

近年のパケット定額サービス等により利用料金の価格は低下したものの、携帯

電話のインターネット速度は約9.6Kbpsから384Kbpsと大量のデータ送受信には困

難である。

携帯電話を利用したシステムへの情報の登録や閲覧は、手軽で身近なデバイス

として、より多くの生産者に利用してもらうためには欠かせないものである。

よって、この例のようにミドルウェア上で動く生産履歴システムや農業情報管

理システムアプリケーションの開発は、生産者がサーバに登録・保存された各種

情報を携帯電話に保存し、オフラインでの操作よる登録・閲覧時間の削減出来る

可能性が大きいことから、操作性ならびに業務の効率化に繋がるものと考える。

84

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(3) 推進体制

サプライチェーンマネジメントに取り組むことで、生産・加工・流通・小売等

の各段階においてのリードタイムが削減出来ると共に、問題発生時に食品とその

情報を追跡し遡及できるようになる等、生産者、流通業者、加工業者、小売業者、

消費者にとって以下のメリットが生じる。

<生産者のメリット>

生産流通履歴が明確になることで、他の食品との差別化につながることから、

消費者の信頼を得る事ができると共に、情報公開時に、より魅力的・効果的な

アピールを行うことで、ブランドの構築につながる可能性が高くなる。

<流通・加工・小売業者のメリット>

識別番号等によって食品を管理・伝達を行うことで、工程管理、在庫管理、売

上げ管理、安全管理等の向上を効率的に行うことができる。

<消費者のメリット>

安全・安心で、必要なものを、必要な時に、必要な量を、安価に手に入れる事

が出来る。

これらの実現に向けたトレーサビリティを含めたサプライチェーンシステムの

導入にあたっては、事業主体はどのメリットを 優先とするのか順位づけをしっ

かりと行い、 も効率的なサプライチェーンマネジメントに取り組む必要がある。

また、サプライチェーンマネジメント確立のためには、今まで記載してきたと

おり、生産・流通・加工・小売・消費の各段階において、食品の生産履歴情報と

流通履歴情報を記録・保管し、伝達できる仕組みの整備が必要となる。生産段階

から流通・小売段階におけるチェーンの長さにもよるが、各段階での取り組みが

横断的に連結されることで、全体を通じたサプライチェーンマネジメントの構築

が可能となる。

しかしながら、全ての食品あるいは多くの組織や企業をまたがった大きな取り

組みとなるため、生産・流通・加工・小売全体を通じた連携や協力体制を一律に

確立することは困難である。

以上から、まずは行政が声高く音頭をとり、関係者の共通理解を醸成するとと

もに、横断的な結びつきが可能となるように、対象となる食品毎の関係者からな

る協議会等を設置し、推進してゆくことが望ましい。

85

Page 89: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

また、生産者や食品事業者がシステムを導入し運営を行うにあたり、システム

の構築費、運営費等が必要となり、これらのコストが農産物や食品コストの上昇

に反映されることが懸念される。

しかし、空知広域サプライチェーンシステムは、HARPを活用した共同利用

システムであることを前提条件に検討を行うことにより、通常のシステム導入費

と比較して、大幅なコスト削減が期待できる。

尚、システムの導入にあたっては、システム構築自体を目的としたり、必要以

上のシステムを求めないように、十分に費用と効果を比較検討していくことが重

要である。また、システムの構築は、情報をデータベース化して蓄積することが

目的ではない。よって、各段階の業務フローを踏まえ、商品と情報の流れを一体

化し、情報管理体制を確立することが必要である。

86

Page 90: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

別冊

1. 生鮮野菜の産地及び生産者に関する情報

1-1.情報の必要性に対する意識

(1) 消費者

産地及び生産者情報の必要性に対する消費者の意識(図表-別1参照)として、

「産地名(市町村・JA名等)」は、「必要である」が購入時で89.5%、購入後に

不安・不満が発生した際(以下、「購入後」という。)で85.1%となっており、

購入時と購入後では割合に大差は見られず、消費者にとって、「産地名(市町村・

JA名等)」は購入時後に一番必要な情報であることがうかがえる。一方、「生

産者名」、「畑の場所・農園名」及び「生産者(出荷団体)の連絡先」は、「必要

である」が購入時でそれぞれ30.8%、21.0%、50.8%であるのに対し、購入後

は、いずれも購入時より高い割合となっており、「生産者名」で18.2%、「生産

者(出荷団体)の連絡先」で17.4%の差が生じている。

これらの結果から判断すると、消費者の半数以上の方が生鮮野菜購入時および

購入後に必要とする情報として、「産地名(市町村・JA名等)」と「生産者(出

荷団体)の連絡先」が「必要である」としていることがうかがえる。

図表-別1.生鮮野菜の産地及び生産者情報の必要性に対する消費者の意識

(

87

消費者

68.2

50.8

30.2

21.0

49.0

30.8

85.1

89.5

24.4

34.3

43.6

45.9

35.8

46.6

12.4

9.3

4.9

11.3

20.0

26.5

12.0

18.7

2.0

3.1

5.6

6.2

2.6

3.1

1.6

0.6

0.5

0.4

0.6

0.5

0.7

0.5

0.6

0.7

0.5

0.2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

産地名

生産者名

畑の場所・農園名

生産者の連絡先

(%)必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

消費者

68.2

50.8

30.2

21.0

49.0

30.8

85.1

89.5

24.4

34.3

43.6

45.9

35.8

46.6

12.4

9.3

4.9

11.3

20.0

26.5

12.0

18.7

2.0

3.1

5.6

6.2

2.6

3.1

1.6

0.6

0.5

0.4

0.6

0.5

0.7

0.5

0.6

0.7

0.5

0.2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

産地名

生産者名

畑の場所・農園名

生産者の連絡先

(%)必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

Page 91: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

産地及び生産者情報の必要性に対する流通加工業者の意識として、食品製造業

者(図表-別2参照)では「生産者(出荷団体)の連絡先」を「必要である」とす

る方が半数に満たない状況ではあるが、その他の項目については、食品卸売業

者(図表-別3参照)、食品製造業者(図表-別4参照)、食品製造業者(図表-別

5参照)のいずれも、全体的に消費者と同様の意識であることがうかがえる。

これらの結果から、「どちらかといえば必要である」「どちらかといえば必要で

はない」という回答を「どちらでも良い」と例えた場合、消費者ならびに流通

加工業者の半数以上の方が生鮮野菜に対し必要であると認識している情報とし

て、「産地名(市町村・JA名等)」と「生産者(出荷団体)の連絡先」であると考

える。

図表-別2.生鮮野菜の産地及び生産者情報の必要性に対する食品卸売業者の意識

(

食品卸売業者

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

50.8

13.6

45.8

89.8

27.1

35.6

42.4

10.2

10.2

35.6

8.5

11.9

15.3

3.4

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

(%)必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

88

Page 92: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表-別3.生鮮野菜の産地及び生産者情報の必要性に対する食品製造業者の意識

食品製造業者

46.9

25.0

43.8

81.3

40.6

46.9

37.5

17.2

9.4

18.8

9.4

3.1

7.8

7.8

1.6

1.6

1.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(%)

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

図表-別4.情報の必要性に対する食品小売業者の意識

食品小売業者

56.9

22.5

47.1

91.2

30.4

40.2

28.4

7.8

7.8

27.5

20.6

3.9

9.8

2.9

1.0

1.0

1.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(%)

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

89

Page 93: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

1-2.情報提供に関する意識

(1) 農業者

産地及び生産者情報提供に関する農業者の意識(図表-別5参照)として、「産

地名(市町村・JA名等)」、「生産者名」及び「生産者(出荷団体)の連絡先」、

「出荷時に提供できる」がそれぞれ80.7%、69.6%、56.6%であるのに対し、

「畑の場所・農園名」は37.2%であるが、「問い合わせがあれば提供できる」を

合わせると、いずれも9割以上であり、生産者の意識の高さがうかがえる。

図表-別5.生鮮野菜の産地及び生産者情報提供に関する農業者の意識

農業者

56.6

37.2

69.6

80.7

39.0

57.0

26.9

17.6

1.5

2.5

1.3

0.3

1.5

1.8

1.3

0.3

1.0

1.3

0.8

1.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できる

どちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(%)

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

(2) 流通加工業者

産地及び生産者情報提供に関する流通加工業者の意識(図表-別6、7参照)

として、生産者等から情報提供があると仮定した場合、「産地名(市町村・JA

名等)」は、「販売時に提供できる」が食品卸売業者で78.0%、食品小売業者で

73.5%であり、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、それぞれ9

割以上となっている。また、情報の必要性に関する意識と、情報提供に関する

意識を比較した場合、食品卸売業者、食品小売業者ともに全項目において情報

が「必要である」としているにも係らず、「出荷時や販売時に情報を提供できる」

という回答が低いことから、理由は不明であるがマンマッチな状態がうかがえ

る。

90

Page 94: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表-別6.生鮮野菜の産地及び生産者情報提供に関する食品卸売業者の意識

(

(

食品卸売業者

30.5

8.5

35.6

78.0

50.8

52.5

44.1

20.3

13.6

23.7

11.9

1.7

5.1

13.6

6.8 1.7

1.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できる

どちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(%)

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

図表-別7.生鮮野菜の産地及び生産者情報提供に関する食品小売業者の意識

食品小売業者

28.4

21.6

29.4

73.5

44.1

37.3

35.3

22.5

17.6

28.4

24.5

6.9

9.8

7.8

1.0

2.9

2.9

2.9

2.9

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(%)

生産者の連絡先

畑の場所・農園名

生産者名

産地名

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できる

どちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

91

Page 95: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

2. 生鮮野菜の生産履歴(栽培)に関する情報

2-1.情報の必要性に関する意識

(1) 消費者

生産履歴(栽培)情報の必要性に関する消費者の意識(図表-別8参照)として、

「収穫日」及び「農薬使用状況(回数・日付等)」は、「必要である」が購入時で

それぞれ59.9%、67.0%であるのに対し、「播種・定植日」は、「必要である」

が購入時で8.8%、「どちらかといえば必要である」を合わせても4割となって

いる。

一方、「栽培方法確認者名」は、「必要である」が購入時で35.4%であるのに

対し、購入後は購入時より高い割合となっており、15.4%の差が生じているも

のの、他の情報については、大きな差は見られない。

これらの結果から判断すると、消費者の半数以上の方が生鮮野菜購入時および

購入後に必要とする情報として、「収穫日」及び「農薬使用状況(回数・日付等)」

が「必要である」としていることがうかがえる。

また、「栽培方法確認者名」は、購入時は必要としない情報であるが、購入後

に不安・不満が発生した際に必要な情報であると捉えていることがうかがえる。

図表-別8.生鮮野菜の生産履歴(栽培)情報の必要性に関する消費者の意識

(%)

播種・定植日

収穫日

使用種子・種苗情報

農薬使用状況

肥料投入状況

栽培方法確認者名

消費者

50.8

35.4

36.7

31.9

66.7

67.0

26.5

21.3

60.5

59.9

12.7

8.8

33.3

40.6

36.1

36.5

25.8

26.5

41.1

42.5

28.7

29.0

35.7

32.2

11.7

17.9

20.5

24.2

4.8

4.8

24.7

27.6

7.1

8.0

37.5

41.8

3.6

5.5

5.6

6.5

6.9

7.4

2.8

2.4

12.7

15.7

1.9

1.3

0.7

0.6

1.1

0.9

0.9

0.9

0.7

1.4

1.4

1.2

0.8

0.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

必要である どちらかといえば必要である

どちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

92

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(2) 流通加工業者

生産履歴(栽培)情報の必要性に関する流通加工業者の意識(図表-別9~11参

照)として、「農薬使用状況(回数・日付等)」は、各業者とも「必要である」が

5割~6割、「どちらかといえば必要である」を合わせると8割~9割となっ

ている。

また、「収穫日」は、各業者とも「必要である」が4割~5割で、「どちらか

といえば必要である」を合わせると7割~8割となっている。

一方、「播種・定植日」は、各業者とも「必要である」が1割~2割、「どち

らかといえば必要である」を合わせると4割~5割となっている。

これらの結果から、「どちらかといえば必要である」「どちらかといえば必要で

はない」という回答を「どちらでも良い」と例えた場合、消費者は、「収穫日」

及び「農薬使用状況(回数・日付等)」、「栽培方法確認者名」について半数以上

が「必要である」としている。これに対し、流通加工業者は「農薬使用状況(回

数・日付等)」のみ半数以上の方が「必要である」としており、「収穫日」及び「農

薬使用状況(回数・日付等)」の必要性に対する意識でアンマッチがある。

図表-別9.生産履歴(栽培)情報の必要性に関する食品製造業者の意識

32.8

31.3

21.9

54.7

21.9

37.5

20.3

31.3

35.9

37.5

29.7

43.8

34.4

29.7

28.1

26.6

31.3

14.1

25.0

20.3

28.1

6.3

9.4

7.8

21.9

6.3

1.6

9.4

1.6

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

食品製造業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

93

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図表-別10.生産履歴(栽培)情報の必要性に関する食品卸売業者の意識

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

(%)

食品卸売業者

32.2

25.4

32.2

52.5

18.6

39.0

22.0

35.6

37.3

35.6

33.9

37.3

39.0

23.7

18.6

20.3

16.9

6.8

28.8

15.3

39.0

11.9

15.3

11.9

5.1

11.9

6.8

13.6

1.7

3.4

3.4

1.7

1.7

1.7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

図表-別11.生産履歴(栽培)情報の必要性に関する食品小売業者の意識

(%)

食品小売業者

32.4

25.5

31.4

52.9

25.5

44.1

17.6

37.3

39.2

26.5

29.4

32.4

33.3

23.5

26.5

27.5

33.3

15.7

29.4

16.7

37.3

3.9

7.8

8.8

2.0

10.8

4.9

20.6

2.0

1.0

1.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

94

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2-2.情報提供に関する意識

(1) 農業者

生産履歴(栽培)情報の提供に関する農業者の意識(図表-別12参照)として、

「播種・定植日」、「収穫日」、「使用種子・種苗情報(品種・会社名)」、「農薬

使用状況(回数・日付等)」及び「肥料投入状況(量・日付等)」は、「出荷時に提

供できる」がそれぞれ39.5%、48.2%、36.4%、32.9%、30.1%であるものの、

「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、各情報とも9割以上となっ

ている。

また、「栽培方法確認者名」及び「認証機関名(第三者認証)」は、「出荷時に

提供できる」がそれぞれ27.9%、20.1%であるものの、「問い合わせがあれば

提供できる」を合わせると、「栽培方法確認者名」で8割、「認証機関名(第三

者認証)」で7割となっている。

生鮮野菜の「産地名(市町村・JA名等)」、「生産者名」及び「生産者(出荷団

体)の連絡先」らの情報提供とは異なり、生産履歴(栽培)に関する情報はいず

れも「出荷時に提供できる」が半数に満たない状況であることがうかがえる。

図表-別12.生産履歴(栽培)情報の提供に関する消費者の意識

(%)

農業者

20.1

27.9

30.1

32.9

36.4

48.2

39.5

47.5

55.5

64.6

63.6

58.8

48.8

57.5

7.6

5.5

3.2

1.7

2.2

1.2

1.0

14.8

8.1

10.0

1.2

1.2

1.8

0.8

0.8

0.8

0.7

1.0

3.0

1.2

1.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

95

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(2) 流通加工業者

生産履歴(栽培)情報の提供に関する流通加工業者の意識(図表-別13参照)と

して、生産者等から情報提供があると仮定した場合、食品卸売業者は各情報と

も「販売時に提供できる」が1割以下であるものの、「問い合わせがあれば提

供できる」を合わせると6割~7割となっている。

図表-別13.生産履歴(栽培)情報の提供に関する食品卸売業者の意識

(%)

食品卸売業者

6.8

3.4

1.7

3.4

3.4

8.5

3.4

52.5

57.6

61.0

66.1

57.6

62.7

57.6

22.0

23.7

22.0

16.9

20.3

13.6

20.3

15.3

11.9

10.2

8.5

11.9

11.9

13.6

3.4

3.4

5.1

5.1

6.8

5.1

3.4

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

(3) 食品小売業者

生産履歴(栽培)情報の提供に関する食品小売業者の意識(図表-別14参照)と

して、各情報とも「販売時に提供できる」が2割以下であるものの、「問い合

わせがあれば提供できる」を合わせると、「播種・定植日」、「使用種子・種苗

情報(品種・会社名)」、「農薬使用状況(回数・日付等)」、「肥料投入状況(量・

日付等)」及び「栽培方法確認者名」でそれぞれ5割、「収穫日」で6割となっ

ている。

農業者と比較した場合、全体意的に「販売時に提供できる」が低いことがうか

がえる。また、情報の必要性では「農薬使用状況(回数・日付等)」に対し半数以

上が必要であると認識しているにも係らず、情報提供では、「販売時に提供で

きる」が2割以下の結果であった。

96

Page 100: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

図表-別14.生産履歴(栽培)情報の提供に関する食品小売業者の意識

11.8

11.8

17.6

10.8

18.6

7.8

38.2

33.3

35.3

38.2

43.1

37.3

28.4

35.3

28.4

27.5

18.6

31.4

17.6

16.7

15.7

20.6

16.7

20.6

3.9

2.9

2.9

2.9

2.9

2.9

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

認証機関名

栽培方法確認者名

肥料投入状況

農薬使用状況

使用種子・種苗情報

収穫日

播種・定植日

食品小売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

97

Page 101: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

3. 生鮮野菜の商品の状態に関する情報

3-1.情報の必要性に関する意識

(1) 消費者

商品の状態に関する情報の必要性に対する消費者の意識(図表-別15参照)とし

て、「品種名」、「栽培方法(有機・特別・慣行)」及び「安全性等に関する認証(マ

ーク)」は、「必要である」が購入時でそれぞれ71.2%、67.5%、80.7%となって

いる。「食味(糖度・酸度等)」及び「栄養成分含有量」は、「必要である」が購入

時でそれぞれ46.5%、39.1%であるものの、「どちらかといえば必要である」を

合わせると、それぞれ9割以上となっている。なお、各情報とも購入時と購入後

の割合に大差は見られない。

この結果を見ると、消費者は特に「安全性等に関する認証(マーク)」等による

商品が安全・安心であることの保障・証明を重要視していることがうかがえる。

図表-別15.商品の状態に関する情報の必要性に対する消費者の意識

品種名

栽培方法

食味

栄養成分

含有量

安全性等に

関する認証 81.3

80.7

41.8

39.1

47.4

46.5

66.4

67.5

68.5

71.2

15.3

17.6

41.6

47.4

38.6

44.1

26.5

27.5

24.0

23.5

2.2

1.1

12.8

10.9

11.0

7.7

5.2

3.9

4.9

3.1

0.6

0.2

3.3

2.1

1.4

0.4

1.6

0.8

2.4

0.9

0.5

0.4

0.5

0.5

0.6

0.9

1.4

0.6

0.4

0.7

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

消費者

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

品種名

栽培方法

食味

栄養成分

含有量

安全性等に

関する認証 81.3

80.7

41.8

39.1

47.4

46.5

66.4

67.5

68.5

71.2

15.3

17.6

41.6

47.4

38.6

44.1

26.5

27.5

24.0

23.5

2.2

1.1

12.8

10.9

11.0

7.7

5.2

3.9

4.9

3.1

0.6

0.2

3.3

2.1

1.4

0.4

1.6

0.8

2.4

0.9

0.5

0.4

0.5

0.5

0.6

0.9

1.4

0.6

0.4

0.7

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

消費者

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

品種名

栽培方法

食味

栄養成分

含有量

安全性等に

関する認証 81.3

80.7

41.8

39.1

47.4

46.5

66.4

67.5

68.5

71.2

15.3

17.6

41.6

47.4

38.6

44.1

26.5

27.5

24.0

23.5

2.2

1.1

12.8

10.9

11.0

7.7

5.2

3.9

4.9

3.1

0.6

0.2

3.3

2.1

1.4

0.4

1.6

0.8

2.4

0.9

0.5

0.4

0.5

0.5

0.6

0.9

1.4

0.6

0.4

0.7

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

消費者

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

品種名

栽培方法

食味

栄養成分

含有量

安全性等に

関する認証 81.3

80.7

41.8

39.1

47.4

46.5

66.4

67.5

68.5

71.2

15.3

17.6

41.6

47.4

38.6

44.1

26.5

27.5

24.0

23.5

2.2

1.1

12.8

10.9

11.0

7.7

5.2

3.9

4.9

3.1

0.6

0.2

3.3

2.1

1.4

0.4

1.6

0.8

2.4

0.9

0.5

0.4

0.5

0.5

0.6

0.9

1.4

0.6

0.4

0.7

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

消費者

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

98

Page 102: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

「品種名」、「栽培方法(有機・特別・慣行)」、「残留農薬に関する情報(基準以

内)」及び「有害物質に関する情報」は、各業者とも「必要である」が5割~7割、

「どちらかといえば必要である」を合わせると8割~9割となっている。

一方、「栄養成分含有量」は、「必要である」が各業者とも1割~4割であるも

のの、「どちらかといえば必要である」を合わせると6割~8割となっている。

消費者の必要性と比較しても、「食味(糖度・酸度等)」及び「栄養成分含有量」

以外を除く項目について、半数以上の方が「必要である」と同様の回答しており、

必要な情報であることがうかがえる。

① 食品製造業者

食品製造業者

51.6

54.7

20.3

34.4

54.7

62.5

34.3

35.9

53.1

46.9

35.9

34.4

14.1

6.3

21.9

15.6

9.4

3.1

3.1

4.7

3.1

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品製造業者

51.6

54.7

20.3

34.4

54.7

62.5

34.3

35.9

53.1

46.9

35.9

34.4

14.1

6.3

21.9

15.6

9.4

3.1

3.1

4.7

3.1

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品製造業者

51.6

54.7

20.3

34.4

54.7

62.5

34.3

35.9

53.1

46.9

35.9

34.4

14.1

6.3

21.9

15.6

9.4

3.1

3.1

4.7

3.1

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品製造業者

51.6

54.7

20.3

34.4

54.7

62.5

34.3

35.9

53.1

46.9

35.9

34.4

14.1

6.3

21.9

15.6

9.4

3.1

3.1

4.7

3.1

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

99

Page 103: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

② 食品卸売業者

49.2

45.8

10.2

23.7

50.8

64.4

35.6

42.4

54.2

49.2

32.2

22.0

11.9

8.5

22.0

18.6

11.9

8.5

3.4

3.4

11.9

8.5

5.1

3.4

1.7

1.7

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品卸売業者

49.2

45.8

10.2

23.7

50.8

64.4

35.6

42.4

54.2

49.2

32.2

22.0

11.9

8.5

22.0

18.6

11.9

8.5

3.4

3.4

11.9

8.5

5.1

3.4

1.7

1.7

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品卸売業者

49.2

45.8

10.2

23.7

50.8

64.4

35.6

42.4

54.2

49.2

32.2

22.0

11.9

8.5

22.0

18.6

11.9

8.5

3.4

3.4

11.9

8.5

5.1

3.4

1.7

1.7

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品卸売業者

49.2

45.8

10.2

23.7

50.8

64.4

35.6

42.4

54.2

49.2

32.2

22.0

11.9

8.5

22.0

18.6

11.9

8.5

3.4

3.4

11.9

8.5

5.1

3.4

1.7

1.7

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品卸売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

③ 食品小売業者

(%)

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

(%)

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

(%)

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

(%)

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

1.0

1.0

1.0

1.0

54.9

50.0

26.5

47.1

55.9

74.5

39.2

41.2

46.1

45.1

37.3

14.7

4.9

7.8

23.5

7.8

5.9

7.8

2.9

2.9

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

食品小売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

100

Page 104: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

3-2.情報提供に関する意識

(1) 農業者

「品種名」及び「栽培方法(有機・特別・慣行)」は、「出荷時に提供できる」が

それぞれ57.3%、41.4%、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、それ

ぞれ9割以上となっている。

一方、「食味(糖度・酸度等)」、「栄養成分含有量」、「残留農薬に関する情報(基

準以内)」及び「有害物質に関する情報」は、「出荷時に提供できる」がそれぞれ

13.8%、4.8%、14.1%、10.6%、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせて

も4割~6割となっており、「提供できない」も2割~3割となっている。

「残留農薬に関する情報(基準以内)」及び「有害物質に関する情報」においては、

流通加工業者の約半数の方が「必要である」としているのに対し、「出荷時に提供

できる」「問い合わせがあれば提供できる」を合わせた値が、ほぼ同様であること

がうかがえる。

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

10.6

14.1

4.8

13.8

41.4

57.3

39.2

46.2

32.1

45.8

53.7

39.4

17.6

14.1

24.9

16.3

2.8

1.7

26.1

20.6

30.6

19.1

1.2

1.0

6.5

5.0

7.6

5.0

1.0

0.7

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

10.6

14.1

4.8

13.8

41.4

57.3

39.2

46.2

32.1

45.8

53.7

39.4

17.6

14.1

24.9

16.3

2.8

1.7

26.1

20.6

30.6

19.1

1.2

1.0

6.5

5.0

7.6

5.0

1.0

0.7

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

10.6

14.1

4.8

13.8

41.4

57.3

39.2

46.2

32.1

45.8

53.7

39.4

17.6

14.1

24.9

16.3

2.8

1.7

26.1

20.6

30.6

19.1

1.2

1.0

6.5

5.0

7.6

5.0

1.0

0.7

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

10.6

14.1

4.8

13.8

41.4

57.3

39.2

46.2

32.1

45.8

53.7

39.4

17.6

14.1

24.9

16.3

2.8

1.7

26.1

20.6

30.6

19.1

1.2

1.0

6.5

5.0

7.6

5.0

1.0

0.7

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

101

Page 105: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

① 食品小売業者

生産者等から情報提供があると仮定した場合、食品卸売業者は、「品種名」及

び「栽培方法(有機・特別・慣行)」は、「販売時に提供できる」がそれぞれ39.0%、

27.1%、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、それぞれ8割~9

割であるのに対し、「栄養成分含有量」、「残留農薬に関する情報(基準以内)」

及び「有害物質に関する情報」は、「販売時に提供できる」がそれぞれ1割以

下であり、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせても、各情報とも4割

~5割となっている。

しかし、「栄養成分含有量」、「残留農薬に関する情報(基準以内)」及び「有

害物質に関する情報」の必要性について「必要である」と明確に回答した方と、

情報提供にについて「販売時に提供できる」「問い合わせがあれば提供できる」

を合わせて比較した場合に、ほぼ同様の値であることがうかがえる。

8.5

8.5

1.7

18.6

27.1

39.0

39.0

44.1

42.4

49.2

49.2

50.8

28.8

22.0

28.8

23.7

13.6

5.1

22.0

20.3

22.0

3.4

3.4

1.7

5.1

5.1

5.1

6.8

5.1

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

食品卸売業者

8.5

8.5

1.7

18.6

27.1

39.0

39.0

44.1

42.4

49.2

49.2

50.8

28.8

22.0

28.8

23.7

13.6

5.1

22.0

20.3

22.0

3.4

3.4

1.7

5.1

5.1

5.1

6.8

5.1

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

食品卸売業者

8.5

8.5

1.7

18.6

27.1

39.0

39.0

44.1

42.4

49.2

49.2

50.8

28.8

22.0

28.8

23.7

13.6

5.1

22.0

20.3

22.0

3.4

3.4

1.7

5.1

5.1

5.1

6.8

5.1

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

食品卸売業者

8.5

8.5

1.7

18.6

27.1

39.0

39.0

44.1

42.4

49.2

49.2

50.8

28.8

22.0

28.8

23.7

13.6

5.1

22.0

20.3

22.0

3.4

3.4

1.7

5.1

5.1

5.1

6.8

5.1

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

有機物質に関する情報

残留農薬に関する情報

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

食品卸売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

102

Page 106: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

② 食品小売業者

食品小売業者は、「品種名」、「栽培方法( 有機・特別・慣行)」及び「食味(糖

度・酸度等)」は、「販売時に提供できる」がそれぞれ55.9%、40.2%、36.3%、

「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、それぞれ8割~9割となって

いる。「安全性等に関する認証」は、「販売時に提供できる」が28.4%、「問い

合わせがあれば提供できる」を合わせると7割となっている。

消費者の半数以上が、「品種名」、「栽培方法(有機・特別・慣行)」、「安全性

等に関する認証」に関する情報について「必要である」と明確化しているのに対

し、食品小売業者は、「販売時に提供できる」「問い合わせがあれば提供できる」

を合わせると、7割以上の結果となっていることから、これらの3つの項目は消

費者のニーズに対応できることがうかがえる。

安全安全安全安全 28.4

15.7

36.3

40.2

55.9

46.1

38.2

46.1

38.2

31.4

18.6

31.4

11.8

15.7

7.8

2.9

11.8

2.9

2.9

2.0

3.9

2.9

2.9

2.9

2.9

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

性に関する認証

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

28.4

15.7

36.3

40.2

55.9

46.1

38.2

46.1

38.2

31.4

18.6

31.4

11.8

15.7

7.8

2.9

11.8

2.9

2.9

2.0

3.9

2.9

2.9

2.9

2.9

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

性に関する認証

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

28.4

15.7

36.3

40.2

55.9

46.1

38.2

46.1

38.2

31.4

18.6

31.4

11.8

15.7

7.8

2.9

11.8

2.9

2.9

2.0

3.9

2.9

2.9

2.9

2.9

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

性に関する認証

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

28.4

15.7

36.3

40.2

55.9

46.1

38.2

46.1

38.2

31.4

18.6

31.4

11.8

15.7

7.8

2.9

11.8

2.9

2.9

2.0

3.9

2.9

2.9

2.9

2.9

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

性に関する認証

栄養成分含有量

食味

栽培方法

品種名

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

103

Page 107: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

4. 生鮮野菜の出荷に関する情報

4-1.情報の必要性に対する意識

(1) 消費者

「大きさ(S,M,L)」、「等級(秀,優,良)」及び「出荷日」は、「必要であ

る」が購入時でそれぞれ56.9%、57.2%、80.0%、「どちらかといえば必要であ

る」を合わせると、購入時で「大きさ(S,M,L)」は8割、「等級(秀,優,良)」

及び「出荷日」は9割以上となっている。

なお、各情報とも購入時と購入後の割合に大差は見られない。

これらの結果をみると、消費者は出荷時の情報として「大きさ(S,M,L)」、

「等級(秀,優,良)」、「出荷日」のいずれも必要性が高いことがうかがえる。

大きさ

消費者

81.3

80.0

53.7

57.2

51.7

56.9

14.6

16.4

31.3

31.9

26.8

28.0

2.6

2.1

10.9

8.2

15.7

11.9

0.9

0.9

3.7

2.2

5.4

2.9

0.6

0.6

0.4

0.6

0.5

0.3

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

等級

出荷日

大きさ

消費者

81.3

80.0

53.7

57.2

51.7

56.9

14.6

16.4

31.3

31.9

26.8

28.0

2.6

2.1

10.9

8.2

15.7

11.9

0.9

0.9

3.7

2.2

5.4

2.9

0.6

0.6

0.4

0.6

0.5

0.3

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

等級

出荷日

大きさ

消費者

81.3

80.0

53.7

57.2

51.7

56.9

14.6

16.4

31.3

31.9

26.8

28.0

2.6

2.1

10.9

8.2

15.7

11.9

0.9

0.9

3.7

2.2

5.4

2.9

0.6

0.6

0.4

0.6

0.5

0.3

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

等級

出荷日

大きさ

消費者

81.3

80.0

53.7

57.2

51.7

56.9

14.6

16.4

31.3

31.9

26.8

28.0

2.6

2.1

10.9

8.2

15.7

11.9

0.9

0.9

3.7

2.2

5.4

2.9

0.6

0.6

0.4

0.6

0.5

0.3

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

(%)必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

等級

出荷日

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

104

Page 108: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

「規格(等級・階級)」、「内容量、箱内包装単位・数量」及び「出荷日」は、

各業者とも「必要である」が6割~8割、「どちらかといえば必要である」を合わ

せると、それぞれ9割以上となっている。

一方、「個別・ロットの識別(番号)」は、各業者とも「必要である」が3割~5

割、「どちらかといえば必要である」を合わせると7割~9割となっている。

① 食品製造業者

個個個個

64.1

50.0

65.6

64.1

28.1

40.6

28.1

23.4

4.7

6.3

3.1

7.8

3.1

3.1

3.1

4.7

出荷日

別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

64.1

50.0

65.6

64.1

28.1

40.6

28.1

23.4

4.7

6.3

3.1

7.8

3.1

3.1

3.1

4.7

出荷日

別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

64.1

50.0

65.6

64.1

28.1

40.6

28.1

23.4

4.7

6.3

3.1

7.8

3.1

3.1

3.1

4.7

出荷日

別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

64.1

50.0

65.6

64.1

28.1

40.6

28.1

23.4

4.7

6.3

3.1

7.8

3.1

3.1

3.1

4.7

出荷日

別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

105

Page 109: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

② 食品卸売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

69.5

33.9

74.6

84.7

16.9

35.6

22.0

11.9

8.5

20.3

1.7

1.7

8.5

1.7

5.1

1.7

1.7

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

食品卸売業者

69.5

33.9

74.6

84.7

16.9

35.6

22.0

11.9

8.5

20.3

1.7

1.7

8.5

1.7

5.1

1.7

1.7

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

食品卸売業者

69.5

33.9

74.6

84.7

16.9

35.6

22.0

11.9

8.5

20.3

1.7

1.7

8.5

1.7

5.1

1.7

1.7

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

食品卸売業者

69.5

33.9

74.6

84.7

16.9

35.6

22.0

11.9

8.5

20.3

1.7

1.7

8.5

1.7

5.1

1.7

1.7

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

食品卸売業者

③ 食品小売業者

食品小売業者

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

61.8

37.3

69.6

75.5

28.4

38.2

23.5

17.6

5.9

18.6

5.9

5.9

3.9

2.0

1.0

1.0

2.0

2.0出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

106

Page 110: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

4-2.情報提供に対する意識

(1) 農業者

「規格(等級・階級)」、「内容量、箱内包装単位・数量」、「個別・ロットの識

別(番号)」及び「出荷日」は、「出荷時に提供できる」がそれぞれ82.1%、80.2%、

59.1%、70.9%、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、「規格(等級・

階級)」、「内容量、箱内包装単位・数量」及び「出荷日」でそれぞれ9割以上、

「個別・ロットの識別(番号)」で8割となっている。全ての項目において、半数以

上の方が「出荷時に提供できる」と回答しており、農業者の出荷時に情報提供すべ

き意識の高さがうかがえる。

① 農業者

個別個別個別個別

70.9

59.1

80.2

82.1

23.9

23.4

15.6

14.0

1.7

5.8

1.7

1.3

8.3

2.0

2.8

2.00.7

0.5

3.3

0.7出荷日

・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

70.9

59.1

80.2

82.1

23.9

23.4

15.6

14.0

1.7

5.8

1.7

1.3

8.3

2.0

2.8

2.00.7

0.5

3.3

0.7出荷日

・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

70.9

59.1

80.2

82.1

23.9

23.4

15.6

14.0

1.7

5.8

1.7

1.3

8.3

2.0

2.8

2.00.7

0.5

3.3

0.7出荷日

・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

70.9

59.1

80.2

82.1

23.9

23.4

15.6

14.0

1.7

5.8

1.7

1.3

8.3

2.0

2.8

2.00.7

0.5

3.3

0.7出荷日

・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

農業者

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

107

Page 111: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

① 食品卸売業者

生産者等から情報提供があると仮定した場合、食品卸売業者は、「規格(等級・

階級)」、「内容量、箱内包装単位・数量」及び「出荷日」は、「販売時に提供

できる」がそれぞれ81.4%、69.5%、62.7%、「問い合わせがあれば提供できる」

を合わせると、それぞれ9割以上となっている。一方、「個別・ロットの識別(番

号)」は、「販売時に提供できる」が35.6%であるものの、「問い合わせがあれ

ば提供できる」を合わせると7割となっている。

また、食品卸売業者の方々における情報の必要性に関する意識結果と比較して

も、ほぼ同様の結果であることがうかがえる。

62.7

35.6

69.5

81.4

27.1

33.9

23.7

15.3

3.4

16.9

1.7

1.7

8.5

3.4

1.7

5.1

5.1

3.4

食品卸売業者

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

62.7

35.6

69.5

81.4

27.1

33.9

23.7

15.3

3.4

16.9

1.7

1.7

8.5

3.4

1.7

5.1

5.1

3.4

食品卸売業者

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

62.7

35.6

69.5

81.4

27.1

33.9

23.7

15.3

3.4

16.9

1.7

1.7

8.5

3.4

1.7

5.1

5.1

3.4

食品卸売業者

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

62.7

35.6

69.5

81.4

27.1

33.9

23.7

15.3

3.4

16.9

1.7

1.7

8.5

3.4

1.7

5.1

5.1

3.4

食品卸売業者

出荷日

個別・ロットの識別

内容量・箱内包装単位・数量

規格

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

108

Page 112: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(3) 食品小売業者

② 食品小売業者

食品小売業者は、「大きさ(S,M,L)」及び「等級(秀,優,良)」は、「販売

時に提供できる」がそれぞれ78.4%、69.6%、「問い合わせがあれば提供できる」

を合わせると、それぞれ9割以上となっている。一方、「出荷日」は、「販売時

に提供できる」が34.3%であるものの、「問い合わせがあれば提供できる」を合

わせると7割となっている。

これらの結果は、消費者が出荷時に必要とする値とほぼ同様であり、これらの

3つの項目は消費者のニーズに対応できることがうかがえる。

34.3

69.6

78.4

40.2

21.6

14.7

13.7

3.9

2.9

2.0

1.0

8.8

2.9

2.9

2.9

大きさ

等級

出荷日

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

34.3

69.6

78.4

40.2

21.6

14.7

13.7

3.9

2.9

2.0

1.0

8.8

2.9

2.9

2.9

大きさ

等級

出荷日

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

34.3

69.6

78.4

40.2

21.6

14.7

13.7

3.9

2.9

2.0

1.0

8.8

2.9

2.9

2.9

大きさ

等級

出荷日

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

34.3

69.6

78.4

40.2

21.6

14.7

13.7

3.9

2.9

2.0

1.0

8.8

2.9

2.9

2.9

大きさ

等級

出荷日

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない無回答

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品小売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

109

Page 113: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

5. 生鮮野菜の流通に関する情報

5-1.情報の必要性に関する意識

(1) 消費者

「販売業者名」は「必要である」が購入時、で61.9%、購入後で69.6%となっ

ており、購入時と購入後では割合に大差は見られない。

一方、「保冷情報(温度履歴)」及び「輸送業者名・取引履歴」は、「必要である」

が購入時でそれぞれ40.5%、23.5%であるのに対し、購入後はいずれも購入時より

高い割合となっており、「保冷情報(温度履歴)」で14.6%、「輸送業者名・取引履歴」

で16.4%の差が生じている。

保冷情報

消費者

69.6

61.9

39.9

23.5

55.1

40.5

22.5

27.3

34.2

38.0

31.2

41.1

5.9

8.4

20.4

30.1

10.8

15.1

1.6

1.6

5.2

7.7

2.6

2.9

0.4

0.7

0.4

0.7

0.4

0.4

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

輸送業者名・取引履歴

販売業者名

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

保冷情報

消費者

69.6

61.9

39.9

23.5

55.1

40.5

22.5

27.3

34.2

38.0

31.2

41.1

5.9

8.4

20.4

30.1

10.8

15.1

1.6

1.6

5.2

7.7

2.6

2.9

0.4

0.7

0.4

0.7

0.4

0.4

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

輸送業者名・取引履歴

販売業者名

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

保冷情報

消費者

69.6

61.9

39.9

23.5

55.1

40.5

22.5

27.3

34.2

38.0

31.2

41.1

5.9

8.4

20.4

30.1

10.8

15.1

1.6

1.6

5.2

7.7

2.6

2.9

0.4

0.7

0.4

0.7

0.4

0.4

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

輸送業者名・取引履歴

販売業者名

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

保冷情報

消費者

69.6

61.9

39.9

23.5

55.1

40.5

22.5

27.3

34.2

38.0

31.2

41.1

5.9

8.4

20.4

30.1

10.8

15.1

1.6

1.6

5.2

7.7

2.6

2.9

0.4

0.7

0.4

0.7

0.4

0.4

購入後

購入時

購入後

購入時

購入後

購入時

輸送業者名・取引履歴

販売業者名

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

110

Page 114: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

「予冷情報」は、各業者とも「必要である」が4割~5割「どちらかといえば

必要である」を合わせると8割~9割となっている。

一方「輸送業者名・取引履歴」及び「個別包装の業者名(流通過程で再包装、さ

れた場合)」は、各業者とも「必要である」が2割~3割であるものの「どちら

かといえば必要である」を合わせると「輸送業者名・取引履歴」では5割~7割

「個別包装の業者名(流通過程で再包装された場合)」では6割~7割となってい

る。

①食品製造業者

31.3

17.2

26.6

37.5

42.2

50.0

51.6

37.5

20.3

23.4

15.6

21.9

9.4

6.3

4.7

3.1

1.6個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

31.3

17.2

26.6

37.5

42.2

50.0

51.6

37.5

20.3

23.4

15.6

21.9

9.4

6.3

4.7

3.1

1.6個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

31.3

17.2

26.6

37.5

42.2

50.0

51.6

37.5

20.3

23.4

15.6

21.9

9.4

6.3

4.7

3.1

1.6個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

31.3

17.2

26.6

37.5

42.2

50.0

51.6

37.5

20.3

23.4

15.6

21.9

9.4

6.3

4.7

3.1

1.6個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

食品製造業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

111

Page 115: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

③ 食品卸売業者

18.6

15.3

23.7

47.5

45.8

55.9

52.5

37.3

23.7

18.6

22.0

13.6

8.5

1.7

11.9

1.7

1.7

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品卸売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

18.6

15.3

23.7

47.5

45.8

55.9

52.5

37.3

23.7

18.6

22.0

13.6

8.5

1.7

11.9

1.7

1.7

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品卸売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

18.6

15.3

23.7

47.5

45.8

55.9

52.5

37.3

23.7

18.6

22.0

13.6

8.5

1.7

11.9

1.7

1.7

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品卸売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

18.6

15.3

23.7

47.5

45.8

55.9

52.5

37.3

23.7

18.6

22.0

13.6

8.5

1.7

11.9

1.7

1.7

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品卸売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

④ 食品小売業者

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

24.5

17.6

35.3

42.2

40.2

37.3

45.1

43.1

28.4

35.3

18.6

12.7

5.9

8.8

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品小売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

24.5

17.6

35.3

42.2

40.2

37.3

45.1

43.1

28.4

35.3

18.6

12.7

5.9

8.8

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品小売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

24.5

17.6

35.3

42.2

40.2

37.3

45.1

43.1

28.4

35.3

18.6

12.7

5.9

8.8

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品小売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

24.5

17.6

35.3

42.2

40.2

37.3

45.1

43.1

28.4

35.3

18.6

12.7

5.9

8.8

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

個別包装の業者名

保冷情報

予冷情報

輸送業者名・取引履歴

食品小売業者

(%)

必要である どちらかといえば必要であるどちらかといえば必要でない 必要でない

無回答

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

112

Page 116: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

5-2.情報提供に関する意識

(1) 農業者

「予冷情報」、「保冷情報(温度履歴)」及び「輸送業者名・取引履歴」は、「出

荷時に提供できる」がそれぞれ42.0%、28.1%、34.2%であるものの、「問い合わ

せがあれば提供できる」を合わせると、「予冷情報」及び「輸送業者名・取引履歴」

でそれぞれ8割、「保冷情報(温度履歴)」で7割となっている。

(%)

34.2

28.1

42.0

47.0

43.4

36.2

5.3

6.8

4.7

9.5

15.4

12.1

4.0

5.0

6.3

輸送業者名・取引履歴

保冷情報

予冷情報

農業者

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(%)

34.2

28.1

42.0

47.0

43.4

36.2

5.3

6.8

4.7

9.5

15.4

12.1

4.0

5.0

6.3

輸送業者名・取引履歴

保冷情報

予冷情報

農業者

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出荷時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

113

Page 117: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

(2) 流通加工業者

① 流通卸売業者

生産者等から情報提供があると仮定した場合、食品卸売業者は、「予冷情報」、

「保冷情報(温度履歴)」、「輸送業者名・取引履歴」及び「個別包装の業者名(流

通過程で再包装された場合)」は、「販売時に提供できる」がそれぞれ30.5%、15.3%、

13.6%、6.8%であるものの、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると「予

冷情報」で8割、「保冷情報(温度履歴)」及び「個別包装の業者名(流通過程で再

包装された場合)」でそれぞれ6割、「輸送業者名・取引履歴」で7割となってい

る。

保冷情報

6.8

13.6

15.3

30.5

50.8

59.3

44.1

47.5

20.3

15.3

22.0

11.9

16.9

6.8

13.6

6.8

5.1

3.4

5.1

5.1輸送業者名・取引履歴

予冷情報

個別包装の業者名

食品卸売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

保冷情報

6.8

13.6

15.3

30.5

50.8

59.3

44.1

47.5

20.3

15.3

22.0

11.9

16.9

6.8

13.6

6.8

5.1

3.4

5.1

5.1輸送業者名・取引履歴

予冷情報

個別包装の業者名

食品卸売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

保冷情報

6.8

13.6

15.3

30.5

50.8

59.3

44.1

47.5

20.3

15.3

22.0

11.9

16.9

6.8

13.6

6.8

5.1

3.4

5.1

5.1輸送業者名・取引履歴

予冷情報

個別包装の業者名

食品卸売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

保冷情報

6.8

13.6

15.3

30.5

50.8

59.3

44.1

47.5

20.3

15.3

22.0

11.9

16.9

6.8

13.6

6.8

5.1

3.4

5.1

5.1輸送業者名・取引履歴

予冷情報

個別包装の業者名

食品卸売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

(参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

114

Page 118: 調 査 報 告 書...平成17年度ニューメディアを基礎とした調査・研究 「XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究」

⑤ 食品小売業者

食品小売業者は、「保冷情報(温度履歴)」、「輸送業者名・取引履歴」及び「販

売業者名」は、「販売時に提供できる」がそれぞれ16.7%、8.8%、25.5%であ

るものの、「問い合わせがあれば提供できる」を合わせると、「保冷情報(温度

履歴)」及び「輸送業者名・取引履歴」でそれぞれ6割、「販売業者名」で7割と

なっている。

25.5

8.8

16.7

49.0

50.0

48.0

17.6

27.5

23.5

4.9

10.8

8.8

2.9

2.9

2.9

販売業者名

保冷情報

予冷情報

食品小売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

25.5

8.8

16.7

49.0

50.0

48.0

17.6

27.5

23.5

4.9

10.8

8.8

2.9

2.9

2.9

販売業者名

保冷情報

予冷情報

食品小売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

25.5

8.8

16.7

49.0

50.0

48.0

17.6

27.5

23.5

4.9

10.8

8.8

2.9

2.9

2.9

販売業者名

保冷情報

予冷情報

食品小売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

25.5

8.8

16.7

49.0

50.0

48.0

17.6

27.5

23.5

4.9

10.8

8.8

2.9

2.9

2.9

販売業者名

保冷情報

予冷情報

食品小売業者

(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

販売時に提供できる 問い合わせがあれば提供できるどちらかといえば提供できない 提供できない

無回答

参考)農林水産省 「野菜の生産流通情報に関する意識・意向調査結果」

115

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発行日 平成18年3月

作 成 財団法人ニューメディア開発協会

住 所 〒108-0073 東京都港区三田 1-4-28 三田国際ビル23階

電 話 03-3457-0673 FAX 03-3451-9604

調査事業者 社団法人北海道地域総合研究所

住 所 〒060-0001 北海道札幌市中央区北 1 条西 3 丁目 古久根ビル 8 階

平成 17 年度ニューメディアを基礎とした調査・研究

《XML技術等の利用による広域サプライチェーンについての調査・研究》

内容の全ておよび一部を許可なく引用、複製することを禁じます。

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