講演 2 増え続ける炎症性腸疾患 〜検査データから …9 2016 no.89 2016 no.89 10...

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日本人のIBD患者数は増加しており,2014年末の時点 で潰瘍性大腸炎が17万人,クローン病が4万人を超え, 合計21万人となっています.新たに発症した患者数は潰 瘍性大腸炎で年間1万人を超えており,2000年ごろと比 べても2倍以上に増えています(図2). もともとIBDは欧米に多い疾患といわれており,日本 と比べても罹患率は明らかに高かったのですが,近年, 日本人の潰瘍性大腸炎罹患率は欧米並みに増えてい ます.なお,クローン病に関しては,まだ欧米よりは低い ものの,以前に比べて明らかに増加しています.有病率 も罹患率と同様に上昇しており,人口10万人当たりの潰 瘍性大腸炎の有病率は2003年の54.1人から2014年に は133.2人に,クローン病の有病率は16.3人から31.9人 にと,患者数が増加の一途をたどっていることが分か ります. 診断 潰瘍性大腸炎とクローン病には共通点があります.比 較的若年層に発症し,原因不明の腸管の慢性炎症であ り,再燃と寛解を繰り返す,厚生労働省指定の難治性疾 患である点です. しかし,異なる点も多くあります.まず,炎症の起こる 部位の違いです.潰瘍性大腸炎は,大腸の中だけに見ら れる疾患であり(図3),炎症部位が肛門側から口側の 炎症性腸疾患(IBD)の概念と疫学 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease;IBD) には,腸に炎症がある全ての疾患が該当するので,感染 性腸炎も広義のIBDになります.しかし一般的には,潰 瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis;UC) [P27参照] とク ローン病(Crohn’sDisease;CD) [P27参照] の2疾患を IBDとして扱っています.腸型ベーチェット病と非特異性 多発性小腸潰瘍症もIBDに含まれることがありますが, 狭義のIBDは潰瘍性大腸炎とクローン病です(図1 ). 腸型ベーチェット病 単純性潰瘍 非特異性多発性小腸潰瘍症 アフタ性腸炎 サルモネラ エルシニア腸炎 キャンピロバクター腸炎 病原性大腸菌性腸炎 虚血性腸炎 抗生剤起因性出血性大腸炎 赤痢アメーバー 腸結核 放射線性腸炎 クローン病 潰瘍性大腸炎 原因が明らか 原因不明 急性疾患 慢性疾患 狭義のIBD 図 1 広義の炎症性腸疾患(IBD) 方へ向かって連続性に広がり,肛門付近の粘膜表面に 炎症が起こるため主な症状は出血になります.一方,ク ローン病は,口から肛門までの全消化管に炎症が起こる 疾患であり,炎症が同時あるいは異時的に多発します. 特に小腸,大腸,肛門に起こりやすく,食道や胃に起こる こともあります.病変の分布が非連続性で,病変と病変 の間に正常な組織が存在(スキップ)することも特徴と いえます. クローン病は,潰瘍や線維化を伴う原因不明の慢性肉 芽腫性炎症 [P28参照] を起こす疾患であり,特に病変が 多く見られる部位は,小腸,大腸,肛門です.病型は炎症 部位によって,小腸のみに発症する小腸型(25%),大腸 のみに発症する大腸型(25%),小腸と大腸の両方に発 症する小腸大腸型(50%)に分類されます.また,腸管の 深い層にまで炎症が起こるので,深い潰瘍によって腸管 に穴が開く穿孔,腸管と腸管がくっついてつながる瘻孔, 腸管と皮膚がくっつく腸管皮膚瘻,尿中に便が混じる腸 管膀胱瘻,膣から便が出てしまう腸管膣瘻などの合併症 が起こることがあります.なお,合併症で最も多く見られ るのは,腸が狭くなる狭窄です.また,病理学的所見とし ては,肉芽腫と呼ばれる特徴的な炎症所見があります. 消化管形態所見によるクローン病の診断基準には主 要所見と副所見があり,その組み合わせにより診断され ます(図4 ). 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 登録者証交付件数 医療受給証交付件数 ※2014年は年末時点の件数 クローン病患者数の推移 年度 200,000 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 ※2014年は年末時点の件数 潰瘍性大腸炎患者数の推移 年度 登録者証交付件数 医療受給証交付件数 40,885人 170,781人 1,512 10,779 (件) (件) 確診例{1}主要所見の〈A〉または〈B〉を有するもの {2}主要所見の〈C〉と副所見の〈a〉または〈b〉を有するもの. {3}副所見の〈a〉〈b〉〈c〉すべてを有するもの. 疑診例{1}主要所見の〈C〉と副所見の〈c〉を有するもの. {2}主要所見の〈A〉または〈B〉を有するが潰瘍性大腸炎や 腸型ベーチェット病,単純性潰瘍,虚血性腸病変と鑑別が できないもの. {3}主要所見の〈C〉のみを有するもの. {4}副所見のいずれか2つまたは1つのみを有するもの. 1. 主要所見 A. 縦走潰瘍 B. 敷石像 C. 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫 2. 副所見 a. 消化管の広範囲に認める不整形~類円形潰瘍 またはアフタ b. 特徴的な肛門病変 c. 特徴的な胃・十二指腸病変 潰瘍性大腸炎 クローン病 違い:炎症の起こる部位が異なる 大腸にだけ炎症が起こる. 病変は肛門側から連続性口側へ広がる. 口から肛門までの全消化管炎症が起こりうる. 特に小腸,大腸,肛門に炎症が 起こりやすい. 病変はスキップして存在する (Skip Lesion). 図 2 日本人 IBD の患者数 図 4 クローン病診断基準(2013 年 1 月改訂) 図 3 潰瘍性大腸炎とクローン病の違い 出典:潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針(平成26年度改訂版) 講演 2 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される,慢性的に 持続する原因不明かつ難治性の腸炎です.現状では根治は望めず,治療には 炎症を抑える寛解導入療法と再燃を予防する寛解維持療法を繰り返すため, いかに寛解を維持し,再燃を未然に防ぐかが重要です.本稿では,これらの疾患 モニタリング手法と,治療選択に関わる遺伝子検査などについて解説します. キーワード 炎症性腸疾患(IBD),潰瘍性大腸炎, クローン病,難治性疾患, 5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤, 抗TNF-α抗体製剤,便中カルプロテクチン, 遺伝子検査 東北大学病院 消化器内科 助教 かく よう いち 増え続ける炎症性腸疾患 〜検査データから考える治療の選択とタイミング〜 Series   Series   NEW WAVE NEW WAVE THE  SEMINAR THE  SEMINAR THE  FOCUS THE  FOCUS 9 10 2016 No.89 2016 No.89

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Page 1: 講演 2 増え続ける炎症性腸疾患 〜検査データから …9 2016 No.89 2016 No.89 10 増え続ける炎症性腸疾患 〜検査データから考える治療の選択とタイミング〜

 日本人のIBD患者数は増加しており,2014年末の時点で潰瘍性大腸炎が17万人,クローン病が4万人を超え,合計21万人となっています.新たに発症した患者数は潰瘍性大腸炎で年間1万人を超えており,2000年ごろと比べても2倍以上に増えています(図2). もともとIBDは欧米に多い疾患といわれており,日本と比べても罹患率は明らかに高かったのですが,近年,日本人の潰瘍性大腸炎罹患率は欧米並みに増えています.なお,クローン病に関しては,まだ欧米よりは低いものの,以前に比べて明らかに増加しています.有病率も罹患率と同様に上昇しており,人口10万人当たりの潰瘍性大腸炎の有病率は2003年の54.1人から2014年には133.2人に,クローン病の有病率は16.3人から31.9人にと,患者数が増加の一途をたどっていることが分かります.

診断 潰瘍性大腸炎とクローン病には共通点があります.比較的若年層に発症し,原因不明の腸管の慢性炎症であり,再燃と寛解を繰り返す,厚生労働省指定の難治性疾患である点です. しかし,異なる点も多くあります.まず,炎症の起こる部位の違いです.潰瘍性大腸炎は,大腸の中だけに見られる疾患であり(図3),炎症部位が肛門側から口側の

炎症性腸疾患(IBD)の概念と疫学 炎症性腸疾患(InflammatoryBowelDisease;IBD)には,腸に炎症がある全ての疾患が該当するので,感染性腸炎も広義のIBDになります.しかし一般的には,潰瘍性大腸炎(UlcerativeColitis;UC)[P27参照]とクローン病(Crohn’sDisease;CD)[P27参照]の2疾患をIBDとして扱っています.腸型ベーチェット病と非特異性多発性小腸潰瘍症もIBDに含まれることがありますが,狭義のIBDは潰瘍性大腸炎とクローン病です(図1).

腸型ベーチェット病単純性潰瘍非特異性多発性小腸潰瘍症アフタ性腸炎

サルモネラエルシニア腸炎

キャンピロバクター腸炎病原性大腸菌性腸炎

虚血性腸炎抗生剤起因性出血性大腸炎

赤痢アメーバー腸結核

放射線性腸炎

クローン病潰瘍性大腸炎

原因が明らか

原因不明

急性疾患 慢性疾患

狭義のIBD

図1 広義の炎症性腸疾患(IBD)

方へ向かって連続性に広がり,肛門付近の粘膜表面に炎症が起こるため主な症状は出血になります.一方,クローン病は,口から肛門までの全消化管に炎症が起こる疾患であり,炎症が同時あるいは異時的に多発します.特に小腸,大腸,肛門に起こりやすく,食道や胃に起こることもあります.病変の分布が非連続性で,病変と病変の間に正常な組織が存在(スキップ)することも特徴といえます. クローン病は,潰瘍や線維化を伴う原因不明の慢性肉芽腫性炎症[P28参照]を起こす疾患であり,特に病変が多く見られる部位は,小腸,大腸,肛門です.病型は炎症部位によって,小腸のみに発症する小腸型(25%),大腸

のみに発症する大腸型(25%),小腸と大腸の両方に発症する小腸大腸型(50%)に分類されます.また,腸管の深い層にまで炎症が起こるので,深い潰瘍によって腸管に穴が開く穿孔,腸管と腸管がくっついてつながる瘻孔,腸管と皮膚がくっつく腸管皮膚瘻,尿中に便が混じる腸管膀胱瘻,膣から便が出てしまう腸管膣瘻などの合併症が起こることがあります.なお,合併症で最も多く見られるのは,腸が狭くなる狭窄です.また,病理学的所見としては,肉芽腫と呼ばれる特徴的な炎症所見があります. 消化管形態所見によるクローン病の診断基準には主要所見と副所見があり,その組み合わせにより診断されます(図4).

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■ 登録者証交付件数■ 医療受給証交付件数

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※2014年は年末時点の件数

潰瘍性大腸炎患者数の推移

年度

■ 登録者証交付件数■ 医療受給証交付件数

40,885人170,781人

1,51210,779

(件)(件)

確診例 {1}主要所見の〈A〉または〈B〉を有するもの {2}主要所見の〈C〉と副所見の〈a〉または〈b〉を有するもの. {3}副所見の〈a〉〈b〉〈c〉すべてを有するもの.疑診例 {1}主要所見の〈C〉と副所見の〈c〉を有するもの. {2}主要所見の〈A〉または〈B〉を有するが潰瘍性大腸炎や

腸型ベーチェット病,単純性潰瘍,虚血性腸病変と鑑別ができないもの.

{3}主要所見の〈C〉のみを有するもの. {4}副所見のいずれか2つまたは1つのみを有するもの.

1. 主要所見 A. 縦走潰瘍 B. 敷石像 C. 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫

2. 副所見 a. 消化管の広範囲に認める不整形~類円形潰瘍 またはアフタ b. 特徴的な肛門病変 c. 特徴的な胃・十二指腸病変

潰瘍性大腸炎 クローン病

違い:炎症の起こる部位が異なる

大腸にだけ炎症が起こる.病変は肛門側から連続性に口側へ広がる.

口から肛門までの全消化管に炎症が起こりうる.特に小腸,大腸,肛門に炎症が起こりやすい.病変はスキップして存在する(Skip Lesion).

図 2 日本人 IBDの患者数

図 4 クローン病診断基準(2013 年1月改訂)図 3 潰瘍性大腸炎とクローン病の違い

出典:潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針(平成26年度改訂版)

講演2炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される,慢性的に持続する原因不明かつ難治性の腸炎です.現状では根治は望めず,治療には炎症を抑える寛解導入療法と再燃を予防する寛解維持療法を繰り返すため,いかに寛解を維持し,再燃を未然に防ぐかが重要です.本稿では,これらの疾患モニタリング手法と,治療選択に関わる遺伝子検査などについて解説します.

キーワード

炎症性腸疾患(IBD),潰瘍性大腸炎,クローン病,難治性疾患,5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤,抗TNF-α抗体製剤,便中カルプロテクチン,遺伝子検査

東北大学病院消化器内科助教

角かく

田た

洋よう

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増え続ける炎症性腸疾患〜検査データから考える治療の選択とタイミング〜

講演 2

図7 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫

薬剤として5-ASA製剤がありますが,無効・適応外にステロイドとタクロリムスがあり,使用できる薬剤が比較的少ない状況です. IBDは慢性疾患で生命予後に影響しないといわれていましたが,実際は進行性の疾患です(図10).術後も再燃と寛解を繰り返すことで狭窄,瘻孔・膿瘍が起こり,再度手術になるケースが多く,腸管の障害が蓄積されていくという考え方が現在の主流となっています.安定した維持期を長く保つことが治療目標になります.

再燃の兆候を見抜くには 再燃には自覚症状と他覚症状があり,自覚症状として下痢・便回数の増加,腹痛,血便があげられます.他覚症状には炎症性マーカーであるCRPの上昇,内視鏡などによる画像検査で潰瘍や炎症病変の出現,病理検査による組織学的な炎症の発現があり,自覚症状だけで全ての再燃は検出できません. 以前は,IBDの治療目標は症状の改善でした.しかし,近年は内視鏡的な改善,病理組織学的な改善により,機能的治癒や治療目標が臨床症状の改善を上回って目指せるようになり,臨床症状よりも早く再燃を見つけ出すツールが必要となっています. より正確に病変を捉えられるモニタリングとして,大腸内視鏡検査やクローン病では小腸造影検査が実施されます. 小腸造影検査ではチューブを鼻から十二指腸,トライツ靭帯を越えるところまで入れ,バルーンを膨らませバリウムと空気を入れて造影を行います.この検査法により,リアルタイムに狭窄病変が見られるのは良い点ですが,検査が1〜2時間と長時間に及ぶため,患者の被曝や,チューブ挿入に伴う苦痛が問題になります.

 この他に最近では,小腸検査としてバルーン小腸内視鏡検査[P28参照]やカプセル内視鏡検査[P28参照]が登場し,以前に比べると検査が実施しやすくなりました.また,MRエンテログラフィー(MRE)[P28参照]も使用されることが多くなってきています.バルーン小腸内視鏡検査とMREを比較したスタディでは,回腸の潰瘍病変がMREでは壁肥厚として検出されていました1).バルーン小腸内視鏡検査では認められた狭窄がMREでは検出できない場合も見られました.狭窄病変や潰瘍瘢痕のような粘膜表面の病変には,バルーン小腸内視鏡検査の実施が適していると考えます(表1).

図 9 クローン病の治療法図 8 潰瘍性大腸炎の治療法

図10 IBDの疾患進行

表1 小腸病変におけるMREの検出感度・特異度

1) サラゾスルファピリジン 5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)2) ステロイド(経静脈・内服)3) 免疫調節薬(アザチオプリン,6-メルカプトプリン)4) 抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ,アダリブマブ)

顆粒球除去療法

1. 薬物療法

3. 血球成分除去療法

1) 成分栄養療法2) 中心静脈栄養療法

2. 栄養療法

4. 手術

1) サラゾスルファピリジン(内服・坐剤) 5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)(内服・注腸)2) ステロイド(経静脈・内服・注腸・坐剤)3) 免疫調節薬(アザチオプリン,6-メルカプトプリン)4) タクロリムス,シクロスポリン5) 抗TNF-α抗体製剤(インフリキシマブ,アダリブマブ)

白血球除去療法・顆粒球除去療法

大腸全摘

1. 薬物療法

2. 血球成分除去療法

3. 手術

診断発症 治療初期

腸管の障害

炎症の活動性狭窄

瘻孔・膿瘍

手術狭窄

ClinicalPre-Clinical

 敷石像:縦走潰瘍だけでなく周辺にも粘膜隆起が見られる潰瘍で,ボコボコとした特徴的な像を呈します.石を敷き詰めた歩道に似ていることから,この名前が付けられたようです(図6). 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫:病理学的所見としては全層性炎症の他,特徴的な肉芽腫を形成します(図7).特異度が比較的高い所見ではありますが,病理組織像で必ず検出されるわけではありません.

治療法 潰瘍性大腸炎とクローン病の治療法は基本的には同じです. 潰瘍性大腸炎の治療では,薬物療法としてサラゾスルファピリジン,5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤の抗炎症薬を内服や局所で投与します(図8).潰瘍性大腸炎は直腸から連続性で起こるので,局所投与として肛門から投与する治療法もあります.他の治療薬として,ステロイド,免疫調節薬,タクロリムス,シクロスポリンの免疫抑制薬,抗TNF-α抗体製剤[P28参照]があります.また,潰瘍性大腸炎の特徴的な治療法として血球成分除去療法[P28参照]もありますが,これはクローン病でも実施します.なお,重症患者に対して大腸全摘術を行う場合があります.炎症部位である大腸を摘出することで,完治に近い状態を保てますが,大腸を喪失する代償があります. クローン病の治療薬には,潰瘍性大腸炎で使用されている免疫抑制薬のタクロリムスとシクロスポリンの2剤はありませんが,その他はほぼ同様です(図9).クローン病の治療には食事の内容も重要になるため,特徴的な治療法として栄養療法があります.潰瘍性大腸炎に見られた局所製剤である坐剤,注腸剤による投与方法がクローン病にはありません. どちらの疾患も炎症が起こると寛解導入療法を行い,状態が良くなったら寛解維持療法を行います.再燃したら寛解導入療法,状態が良くなったら寛解維持療法と,2つの治療法を繰り返して行います. なお,IBDの薬物療法で寛解導入療法に有効性の高い薬剤としてステロイドと抗TNF-α抗体製剤が,効果が限定的なものとして5-ASA製剤,アザチオプリンがあります.一方,寛解維持療法に有効性の高い薬剤としてアザチオプリンと抗TNF-α抗体製剤が,効果が限定的な

Pariente B, et al.: Inflamm Bowel Dis. 2011; 17: 1415-22を基に作成

文献1)より作成

石を敷き詰めた歩道

図 5 縦走潰瘍

図 6 敷石像

 主要所見には,縦走潰瘍,敷石像,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫があります. 縦走潰瘍:腸管の管腔に向かって縦軸に走る特徴的な潰瘍です(図5).

感度 特異度

全病変 67.5% 94.8%

潰瘍病変 82.4% 87.6%

狭窄病変 40.8% 93.7%

潰瘍瘢痕 32.6% 89.3%

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 なお,カプセル内視鏡検査は高額な検査である上に,滞留の問題から狭窄のある患者には行えません.MREは放射線科の協力が必要になります.最近は,安価で簡便で,侵襲性も少ない腹部超音波検査による小腸検査も行われるようになっていますが,超音波検査を行える医師や技師が必要などのデメリットもあります. 検体検査としては採血でのCRP,ヘモグロビン,アルブミン検査によるモニタリングが多く,その他にも尿や呼気,便潜血など多数のモニタリング項目としての候補が報告されています. IBD全体でCRPの感度と特異度をメタ解析した結果では2),特異度は92%でしたが,感度は49%で,CRPが正常であっても炎症を否定できず,感度が低いことが分かりました. また,最近では,便中カルプロテクチンが注目されています.カルプロテクチン[P28参照]は好中球や単球,マクロファージから放出されるS100A8(MRP8)とS100A9(MRP14)という2つの蛋白質の複合体で,炎症によって上皮細胞に誘導されます.IBDでは糞便中のカルプロテクチン濃度が上昇します.内視鏡的な再燃との相関が報告されていますが,検体は室温で1週間は安定して取り扱いやすいことなどから,消化管障害の新たなマーカーとして注目されています.感度は88%,特異度は73%と2),感度が良い点もモニタリングに適していると考えられています. なお,潰瘍性大腸炎とクローン病における便中カルプロテクチンの感度を比較した結果でも,潰瘍性大腸炎で88%,クローン病で87%と,どちらも良好な結果が出ています2).ただし,この検討は大腸内視鏡検査での所見の有無との比較で,小腸病変の有無は検討されていないため,潰瘍性大腸炎や大腸型クローン病ではこの感度は正確で有用であるといえますが,小腸病変を伴うクローン病については,今後も検討が必要です. カルプロテクチンは再燃の約3カ月前から上昇しているという報告があり3),内視鏡的な再燃よりも早い段階から再燃を検出できる可能性についても注目されています.なお,保険適用外の検査のため,頻回に検査を行うことは現状では難しいと考えます.数値の上昇を認めた場合は内視鏡検査などを実施し,それでも疑わしい場合に精密検査を実施するか,治療介入につなぐのがよいと考えます.また,臨床症状が見られた場合は,カルプロテクチンの測定時期を早めるのではなく,内視鏡検査などで確認するのが現実的な対応方法だと考えます.つまり,こ

の検査は自覚症状のない患者のモニタリングに適していると考えています.

クローン病の寛解維持療法 IBDの治療で最も重要なことは寛解の維持です.寛解維持療法の治療薬には5-ASA製剤,アザチオプリン,抗TNF-α抗体製剤の3種類があります. 5-ASA製剤は,クローン病,潰瘍性大腸炎の基本治療薬ですが,クローン病に対する有効性は評価が一定ではありません.したがって,アザチオプリンと抗TNF-α抗体製剤の2剤が寛解維持療法の中心になります. IBDは生涯付き合う疾患です.抗TNF-α抗体製剤は薬価が高いため,本薬剤を使用し続けることは経済的な負担になります.一方,アザチオプリンの薬価は他の2剤に比べると安価です. アザチオプリンと抗TNF-α抗体製剤の投与率について,東北大学と米国で比較した検討によると,アザチオプリンは,東北大学29.0%,米国43.0%,抗TNF-α抗体製剤は,東北大学73.7%,米国54.5%で,日本では安価なアザチオプリンの使用率が低く,高価な抗TNF-α抗体製剤の使用率が高いことが分かりました.この差の理由として,医療制度の違いが考えられます.また,アジア人は欧米人に比べてアザチオプリンの副作用が多いといわれており,投与量は欧米2.0〜2.5mg/kgに比べ,日本1.0mg/kgと半分以下になっているにもかかわらず,重症の白血球減少が起こることも理由にあげられています.他にも副作用として脱毛があり,一度抜け始めると投与を中止しても全て抜けてしまうなど,回復に時間がかかり,カツラなどの使用が必要となるため,患者が服用したがらないことも理由として考えられます. 2014年の夏に,チオプリン製剤による白血球減少に関係する遺伝子の解析が行われ,NUDT15遺伝子のR139C,139番目のアルギニンがシステインに変わっているバリエーションが,白血球減少症と関係していることが報告されました4). DNAはA,T,G,Cの4種類の核酸で構成されており,日本人では通常,NUDT15蛋白をコードしている遺伝子配列が2本とも正常なC/C型が80%,1本だけ変異したC/T型が19%,2本とも変異していたT/T型が1%でした(図11).この頻度は東北大学,滋賀医科大学をはじめ,各種データベースでもほぼ同様の頻度であり,地域差は

増え続ける炎症性腸疾患〜検査データから考える治療の選択とタイミング〜

講演 2

80%

19%

1%

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5-ASA製剤(サラゾピリン・ペンタサ・アサコール)

手術

ステロイド全身投与(プレドニン)

局所療法(直腸炎型・左側大腸炎型)(プレドネマ・ステロネマ・リンデロン坐剤・

ペンタサ注腸・坐剤)

1st line基本治療

2nd line

3rd line 難治例をいかに治療するか

図11 NUDT15 遺伝子型(日本人の頻度) 図12 潰瘍性大腸炎の寛解導入療法

見られませんでした.ただし,人種差が認められ,白人ではT/T型が6万人に1人という頻度でした. 東北大学の解析結果でも,T/T型はアザチオプリンを服用すると,全ての髪の毛が抜けてしまい,白血球数が2,000/μL未満まで減少していました.一方,C/T型,C/C型には早期に重度の脱毛患者はおらず,白血球減少はC/C型17.8%,C/T型39.1%に見られたことから,この遺伝子多型は脱毛に関して感度・特異度が100%で,白血球減少に関しても感度・特異度が非常に高いことが分かりました. アザチオプリンのモニタリング方法は,IBDの治療指針に記載があります.白血球数が減少するので,投与開始後は1〜2週間を目安に,その後は数週間おきに血液検査を行うよう記載されています.しかし,東北大学の解析結果では,T/T型の患者でアザチオプリンを服用した1〜2週間後の血液検査では白血球数の減少は認められず,投薬を続けていたところ,3週目くらいから高熱や脱毛が見られるようになり,白血球数が1,000/μL未満に減少した症例がありました.実際に1〜2週後の血液検査は正常で,3〜4週目に急激に低下しているため,IBDの治療指針に記載されている方法に従ってモニタリングを実施しても予防は難しく,有効な予防法は投与前の遺伝子検査だと考えます. 遺伝子検査の実施によって,T/T型の患者は確実に薬剤による副作用を回避でき,副作用の有無が事前に分かれば,治療の忍容性を上げることが期待できるなど,早急な臨床応用が望まれます. 現在,私が研究責任者として32施設で多施設共同の確認研究を実施し,NUDT15遺伝子型検査の結果を各施設と東北大学で集積しているところです.

潰瘍性大腸炎の治療 潰瘍性大腸炎の治療は5-ASA製剤が基本治療で,効果が期待できない患者に対してはステロイドを使用します(図12).ステロイドにより改善が見られると,患者の多くは再び5-ASA製剤を服用しますが,まれにステロイドが無効あるいはステロイドを中止すると悪化する難治例が見られます. 難治例に対する治療法として,軽症に近い中等症には血球成分除去療法が,他の治療と合わせて補助的に実施されます.また,シクロスポリンは手術を考慮するような重症例や劇症例に適応されます.軽症と重症の間の治療薬として,インフリキシマブ,アダリムマブ,タクロリムスがあります.なお,インフリキシマブとアダリムマブは抗TNF-α抗体製剤として同じ種類になるため,タクロリムスと合わせると2種類となります.しかし,これらの薬剤の効果はほぼ同等と考えられており,最適な投与順などはまだ分かっていません. タクロリムスは投与量が同じでも,人によって血中濃度が異なるため,用量調整が必要な薬剤です.また,用量調整して血中濃度が治療域内であっても,効果の見られる人と見られない人に分かれます.このように治療効果には個人差があるため,タクロリムスの薬物代謝に関わる分子には遺伝子多型があり,治療効果や用量調整に関与していることが考えられます.

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増え続ける炎症性腸疾患〜検査データから考える治療の選択とタイミング〜

講演 2

 タクロリムスの薬物代謝にはCYP3A5(CytochromeP4503A5)という分解酵素と,ABCB1というタクロリムスを細胞外に排出するトランスポーターが関与しています(図13).遺伝子多型により日本人はCYP3A5を発現しているExpresserと発現していないnon-Expresserの2つに分けられます. CYP3A5のExpresserとnon-Expresserで,タクロリムスの使用量を比較した東北大学の解析結果から,Expresserに比べてnon-Expresserは約半量で有効血中濃度に到達することが分かりました.逆にいうと,Expresserはタクロリムスを2倍量服用しなければならないということになります. ABCB1は薬剤の血中濃度には影響しないのですが,薬剤の効果に関係があります.遺伝子多型をT/T型とnon-T/T型で見ると,治療反応率はT/T型37%,non-T/T型70%と,T/T型は治療効果が低いということになります. 今後はCYPを調べて投与量を調整するゲノム医療が可能になると考えられ,遺伝子検査の結果が治療の選択肢に活用できると考えます.

参考文献

1) Takenaka K, et al.: Gastroenterology. 2014; 147: 334-42. 2) Mosli MH, et al.: Am J Gastroenterol. 2015; 110: 802-19. 3) Musci JO, et al.: J Gastroenterol. 2016; 51: 531-47. 4) Yang SK, et al.: Nat Genet. 2014; 46: 1017-20.

略歴 角田洋一(かくた よういち)

2000年 東北大学医学部 卒業2000年 八戸市立市民病院 消化器科 研修医2003年 十和田市立中央病院 第一内科2008年 東北大学大学院医学系研究科医科学 卒業 同年 同博士課程終了 学位(医学博士)取得 同年 東北大学病院 消化器内科 医員2010年 東北大学大学院医学系研究科 非常勤講師2011年 米国シーダーズサイナイ医療センター 炎症性腸疾患研究所 ポスドク2013年 東北大学病院 消化器科 助教現在に至る

CYP3A5 タクロリムスを分解する

●主として肝細胞に存在するが,消化管,腎など多くの組織に分布している.●CYP3A5の発現の有無が遺伝子多型により,規定される.  CYP3A5*1 alleleを有する   ➡CYP3A5を発現(=Expesser)  CYP3A5*1 alleleを有さない   ➡CYP3A5を発現しない(=non-Expesser)

Hebert MF, et al.: Adv Drug Deliv Rev. 1997; 27(2-3): 201-14.Kamdem LK, et al.: Clin Chem. 2005; 51: 1374-81.

ABCB1(P-gp) タクロリムスを細胞外に排出する

●腸管上皮,胆管,リンパ球など多くの組織に発現している.●ATPの加水分解エネルギーを利用して,異物や薬剤を細胞外に排出する.●1236C>T,2677G>T/A,3435C>Tなどの遺伝子多型があげられる.●特に上記3つの多型は連鎖不均衡にある.●多型が発現量や機能に影響を及ぼすとの報告が散見されるが,一定の見解を得られていない.

Cascorbi I: Handb Exp Pharmacol. 2011; 201: 261-83.Brambila-Tapia AJ: Rev Invest Clin. 2013; 65: 445-54.

図13 タクロリムスの代謝近年,幅広い分野で注目を集めている腸内常在菌研究は,1980年代から現在にかけて,微生物生態学と微生物分類学を主柱にして発展を遂げてきました.今では腸内常在菌と疾患の関連など,さまざまな研究が進められています.最近の研究から,腸内常在菌の及ぼす影響は腸内にとどまらず,全身に及ぶことが分かってきました.本稿では,腸内常在菌研究の現在に至るまでの歩みと,本研究に関する最新の話題を中心に解説します.

新時代を迎えた腸内常在菌研究〜腸内常在菌データベースによる        新しい健康管理法の確立〜

腸内常在菌研究の歴史 腸内常在菌研究は,微生物生態学と微生物分類学を主柱にして発展してきました(図1).光岡知足博士らが開発した,14種類の培地から腸内常在菌[P28参照]を解析する培地法[P28参照]を用いたことに始まり,1980年代には菌の分離・同定が,1990年代には微生物分類学を背景とした次世代シーケンサーを用いた細菌のDNA解析が行われるようになりました. このような微生物分類学的な解析方法の発展に伴い,1990年代後半には菌の新種提案に関する国際的なルー

講演3

ルも作られました.これは,世界の公的な微生物保存機関2カ所以上に菌を寄託して認証されると同時に,菌の16SrRNA[P28参照]あるいはDNA配列をDDBJ(DNADataBankofJapan)などの国際的な塩基配列データ保存機関に登録しなければならないというものです. この微生物分類学を背景としたルールによって,16SrRNAの塩基配列が登録されたことが,結果的にその後の微生物生態学に大きく寄与し,21世紀になると,微生物生態学の観点から腸内常在菌のメタボロームを中心としたオミックス解析(メタボロミクス)が行われるようになりました.こうして,腸内常在菌研究は単なる構成解析から機能性解析へと大きく変換したのです.つまり,腸内常在菌研究は微生物生態学と微生物分類学が表裏一体となって進化してきたのです.

腸内常在菌の構成 大便の構成成分は80%が水,20%が固形成分であり,その固形成分のうち3分の2は腸粘膜が剝がれたものおよび腸内常在菌が関与するもので占められています.そのため,いわゆる「食べかす」で構成されているのは大便全体の6〜7%にすぎません. 大腸内の管腔内や大腸壁には約1.5kgの腸内常在菌が存在し,その数は1,000種類以上にも上るといわれるように,大腸内には非常に複雑な生態系が存在していま

腸内常在菌の存在

培養法による腸内常在菌の把握

分離・同定各種生理生化学的性状➡菌種同定

腸内常在菌による機能解析研究➡メタボロミクス

生態学と分類学は表裏一体という考え方

培養を介さない手法

腸内常在菌の解析

細菌のDNA遺伝子の配列決定(新種提唱に必須課題)

微生物生態学 微生物分類学

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

図1 腸内常在菌研究の背景

キーワード

腸内常在菌,腸脳相関,DNA 解析,16SrRNA,培地法,クラスター解析

特定国立研究開発法人理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室特別招聘研究員

辨べん

野の

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己み

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