計 算 例 - maff.go.jp...1. 貯留効果の計算例 1.1. 諸条件...
TRANSCRIPT
計 算 例
1. 貯留効果の計算例 ··············································································· 156
2. ブランケット計算例 ············································································· 168
3. 洪水吐の安定計算例 ············································································· 170
4. 緊急放流施設の設計例 ·········································································· 190
155
1. 貯留効果の計算例
1.1. 諸条件
貯留効果算出の例として、下記のようなため池を想定する。
なお、実際の貯留効果の計算においては、個々のため池における諸条件を適切に設定すること。
ため池貯水量 60,000 m3
ため池満水面積 1.67 ha
ため池流域面積 林地 48.94 ha
耕地 0.24 ha
造成地 0.05 ha
降雨量データについては、日降雨量と 1 時間降雨量が得られているものとする。
1.2. 降雨強度式の作成
降雨強度式を作成するに当たっては、その地域に合う降雨強度式を選択する必要がある。
長期降雨強度式としてタルボットの式を用いるものとすると、日降雨量と 1 時間降雨量から降雨強度式を
推定する式は、下記のようになる。
なお、下記の計算式は「応用水文統計学 p.175」(1970,森北出版) を参照している。
IN24
= RN24・N N =
bT'a
+
a′= b +24 1-
・-24= t
N
tN t
b
24=N
tNt
NI
I IN
t = RN
t・(24/t)
ここで、IN24 : N 年確率 24 時間降雨強度 (mm/24 h)
RN24 : N 年確率 24 時間降雨量 (mm)
N : N 年確率特性係数値
Nt : N 年確率 t 時間特性係数値
INt : N 年確率 t 時間降雨強度 (mm/24 h)
RNt : N 年確率 t 時間降雨量 (mm)
t : 任意の時間、ここでは 1 (h)
T : 降雨継続時間 (h)
a′、b : 求めるべき定数
ここでは、降雨強度データは下記のとおり決まっているものとする。
200 年確率日降雨量(= R20024
= I20024) 325 mm/24 h
200 年確率 1 時間降雨量(R2001) 77 mm/h
計算例
156
設計指針 「ため池整備」
I
2001 = 77×( 24/1 )
=1848 mm/24 h
2001=1848/325
=5.686
b =(24-5.686×1)/(5.686-1)
=3.908
a′ =3.908 + 24
=27.908
3.908+
27.908=200 T
3.908+
27.908325=
24200 T
I
3.908+
9070.100=
T (mm/24 h)
3.908+
377.921=
T ( mm/h ) ·················································· 例式(1.2.1)
洪水到達時間は、角屋・福島式及び降雨強度式との同時満足解として 57 min が得られる。本計算例では洪
水到達時間を単位止めに丸め、解析のための計算間隔とし、便宜上長期降雨強度式とした(ただし、短期降
雨データが容易に入手できる場合は、洪水到達時間により適切な計算間隔や短期降雨強度式を検討する必要
がある)。
よって、ここでの計算間隔は 1.0 h とし、長期降雨強度式により計算することとする。
1.3. 流入ハイドログラフの作成
1.3.1 各時間における降雨強度の計算
タルボット式の場合の、各時間における降雨強度の計算を示す。
なお、降雨波形は後方集中とする。
ただし、地区により適正な降雨波形が得られる場合にはこ
の限りではない。
)/(+
= hmmbT
aI
例式(1.2.1)から、
a = 377.921
b = 3.908
時間 t1 から t2 までの降雨強度を算出するには、まず上記のタルボット式に t1 を代入して降雨強度を算出し、
その値に t1 時間を掛けると t1 時間までの降雨量が算出される。
ピーク時までの時間(tp) 全降雨時間(T )
t1
t2
t
I
157
計算例-1 貯留効果の計算例
1
1
1
+=
tbt
aR t (mm) ····························································· 例式(1.3.1)
同様に、t2 時間までの降雨量も算出する。
2
2
2
+= t
bt
aR t (mm) ·························································· 例式(1.3.2)
例式(1.3.2)から例式(1.3.1)を引けば、時間 t1 から t2 までの降雨量が得られる。この降雨量を、t1 ~ t2 ま
での時間で割れば、時間 t1 から t2 までの平均降雨量、すなわち降雨強度となる。
)-(
1・
+
・-
+
・=
121
1
2
221
ttbt
ta
bt
taI t
t
btbttt
ba
+
1-
+
1・
-
・=
2112
(mm/h) ·································· 例式(1.3.3)
例式(1.2.1)で得られた係数を例式(1.3.3)に代入する。また、 t2 - t1 は計算間隔の 1.0 である。
よって、
3.908+
1-
3.908+
11476.915=
21
21
ttI t
t ·································· 例式(1.3.4)
となる。
例式(1.3.4)を用いて、1.0 h おきの降雨強度を算出する。
t1 = 0.0 h、t2 = 1.0 hの場合
3.908+1.0
1-
3.908+0.0
11476.915=01
00..I
hmm/77.001=
t1 = 1.0 h、t2 = 2.0 hの場合
3.908+2.0
1-
3.908+1.0
11476.915=2
100..I
hmm/50.934=
t1 = 2.0 h、t2 = 3.0 hの場合
3.908+3.0
1-
3.908+2.0
11476.915=3
200
.
.I
hmm/36.188=
以下、逐次計算していく。
158
設計指針 「ため池整備」
計算の結果を、後方集中波形に並べると以下の表のようになる。
番号 時間
(h:m)
降雨強度
(mm/h)
使用降雨強度
(後方集中)(mm/h)番号
時間
(h:m)
降雨強度
(mm/h)
使用降雨強度
(後方集中)(mm/h)
1 1:00 77.00 1.97 13 13:00 5.49 6.23
2 2:00 50.93 2.12 14 14:00 4.88 7.12
3 3:00 36.19 2.29 15 15:00 4.36 8.23
4 4:00 27.04 2.48 16 16:00 3.92 9.61
5 5:00 20.97 2.70 17 17:00 3.55 11.37
6 6:00 16.73 2.94 18 18:00 3.22 13.67
7 7:00 13.67 3.22 19 19:00 2.94 16.73
8 8:00 11.37 3.55 20 20:00 2.70 20.97
9 9:00 9.61 3.92 21 21:00 2.48 27.04
10 10:00 8.23 4.36 22 22:00 2.29 36.19
11 11:00 7.12 4.88 23 23:00 2.12 50.93
12 12:00 6.23 5.49 24 24:00 1.97 77.00
1.3.2 流入ハイドログラフ
次の合理式を援用して、降雨強度からため池流入洪水のハイドログラフを算出する。
流入ハイドログラフは、降雨と同様の波形とする。
本来は、流出計算を行って算出するが、ため池では既往の水文資料が乏しい場合が多いと考えられるため、
ここでは簡易的に、時間遅れを考慮した合成合理式により算定した流入ハイドログラフ(計算結果)を、次
頁の表に示す。
なお、時間遅れを考慮した合成合理式の計算に当たっては、洪水到達時間が57min≒60minであることか
ら、時間区分を10minとし、1時間を6区分して計算を行い、各時間流出量は10min~60minの平均値とした。
[参考]
本来の流出計算は、土地改良事業計画設計基準及び運用・解説 計画「排水」に示されている計算方法
(貯留関数法、タンクモデル、キネマティックウェーブ法)等を参考にするとよい。
159
計算例-1 貯留効果の計算例
ArfQ ・・3.6
1
ここで Q :流量(m3/s)
f :流出率
r :降雨強度(mm/h)
A :流域面積(km2)
流域平均流出率の計算
名称 面積(A) 流出率(f ) A×f
林地 0.4894 0.8 0.3915
耕地 0.0024 0.7 0.0017
池面 0.0167 1.0 0.0167
合計 0.5085 0.4099
∴ f =0.4099/0.5085 =0.806
なお、ため池への流入量は、各時間の流量を20%割増した数値とする。
流入ハイドログラフ(計算結果)を、以下の表に示す。
160
設計指針 「ため池整備」
基底流量 合計 時間平均
10分 20分 30分 40分 50分 60分 計 (m3/s) (m3/s) (m3/s)
時間 分 (mm/hr) 0.175 0.175 0.175 0.175 0.175 0.125 1.000 0.00010 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.0392 0.000 0.039
20 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.0785 0.000 0.079
30 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.1177 0.000 0.118
40 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.1569 0.000 0.157
50 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.1961 0.000 0.196
60 1.967 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0392 0.0275 0.2236 0.000 0.224
10 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2266 0.000 0.227
20 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2297 0.000 0.230
30 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2327 0.000 0.233
40 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2357 0.000 0.236
50 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2388 0.000 0.239
60 2.119 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0423 0.0296 0.2409 0.000 0.241
10 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2443 0.000 0.244
20 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2477 0.000 0.248
30 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2510 0.000 0.251
40 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2544 0.000 0.254
50 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2578 0.000 0.258
60 2.289 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0456 0.0320 0.2602 0.000 0.26010 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2640 0.000 0.264
20 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2678 0.000 0.268
30 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2716 0.000 0.272
40 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2754 0.000 0.275
50 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2792 0.000 0.279
60 2.480 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0495 0.0346 0.2819 0.000 0.282
10 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.2862 0.000 0.286
20 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.2906 0.000 0.291
30 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.2949 0.000 0.295
40 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.2992 0.000 0.299
50 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.3036 0.000 0.304
60 2.697 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0538 0.0377 0.3066 0.000 0.307
5
経過時間
1
2
3
4 0.273
0.297
降雨強度単位時間経過後流出量(m3/s)
0.135
0.234
0.253
・
・
・
10 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 2.5044 0.000 2.504
20 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 2.6254 0.000 2.625
30 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 2.7465 0.000 2.747
40 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 2.8675 0.000 2.868
50 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 2.9886 0.000 2.989
60 27.036 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.5392 0.3774 3.0733 0.000 3.07310 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 3.2558 0.000 3.256
20 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 3.4383 0.000 3.438
30 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 3.6209 0.000 3.621
40 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 3.8034 0.000 3.803
50 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 3.9859 0.000 3.986
60 36.188 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.7217 0.5052 4.1137 0.000 4.114
10 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 4.4077 0.000 4.408
20 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 4.7018 0.000 4.702
30 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 4.9959 0.000 4.996
40 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 5.2900 0.000 5.290
50 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 5.5840 0.000 5.584
60 50.934 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 1.0158 0.7110 5.7899 0.000 5.790
10 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 6.3098 0.000 6.310
20 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 6.8296 0.000 6.830
30 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 7.3495 0.000 7.350
40 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 7.8693 0.000 7.869
50 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 8.3892 0.000 8.389
60 77.001 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.5356 1.0749 8.7531 0.000 8.753
10 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 7.2174 0.000 7.217
20 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 5.6818 0.000 5.682
30 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 4.1462 0.000 4.146
40 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 2.6106 0.000 2.611
50 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 1.0749 0.000 1.075
60 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.0000 0.000 0.000
25
21
22
23
24 7.583
3.455
2.801
3.703
5.128
161
計算例-1 貯留効果の計算例
1.4. 貯留効果の計算
1.4.1 諸条件
ため池が満水位である時、降雨が発生した場合の貯留効果について検討する。
流域からの流入 洪水吐からの放流
FWL
出発水深は FWL とし、定義上、その水深を 0 とする。
また、貯水量の変化に伴う水深の変化を算出するために、h–V 曲線を必要とするが、一般にそれらのデー
タは入手しにくいので、満水面積に FWL 以上の水深を掛けたものを貯留量とする。
よって、満水面積を 16,700 m2 とすると、下記のような h–V曲線が描ける(直線近似)。
水深 h
16,700m3
1m
貯留量 V
h–V 曲線
洪水吐は、越流堰式とする。
B
h
よって、このときの流量公式は下記のようになる。
Q = C・B・h
3/2
ここで、Q :放流量 (m3/s)
C :越流係数、2.1とする。
B :堰の有効幅、4.4 m とする。
h :水深(越流総水頭)(m)
162
設計指針 「ため池整備」
1.4.2 洪水調節計算
ため池への流入及び放流による水位変動を算出する計算式として、以下の式を用いる。
V(t + t)=V( t )+{ I (t + t/2)-O(t+ t/2)}・ t ·································· 例式(1.4.1)
2
)(+)+(=2)+(
tItΔtI/tΔtI
2
)(+)+(=2)+(
tOttO/tΔtO
Δ
ここで、V :貯留量 (m3)
I、O :流入量及び放流量 (m3/s)
t :計算時間のピッチ 1.0 h → 3600 s
計算手順としては、下記のようになる。
① ハイドログラフから、I( t + t/2)を算出
② 水深 h を仮定して、O( t + t/2)を算出
③ 例式(1.4.1)から V( t + t)を算出
④ V( t + t)を h –V 曲線にあてはめて h0 を算出
⑤ |h-h0|≦許容誤差(e = 0.0001 m とする)であれば、次の計算に移る。
そうでなければ②に戻り、|h-h0| ≦ e となるまで計算を繰返す。
計算例を、次に示す。
(1) t:0.0~1.0 時間の場合
V(t) = 0 m3
I(t) = 0 m3/s
I(t+ t) = 0.16 m3/s
I(t+ t/ 2)
=0.08 m3/s
O(t) =0 m3/s
a. 1 回目
t 後の水深 h を 0.0100 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.01003/2
= 0.00924 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.00462 m3/s
V(t+ t) = 0+(0.08000-0.00924)×3600
= 271.368 m3
h0 = 0.01625 m
|h-h0| = 0.00625 m > e
2
0+0.00924 =
2=
0+0.16
163
計算例-1 貯留効果の計算例
b. 2 回目
t 後の水深 h を 0.0162 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.01623/2
= 0.01914 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.00957 m3/s
V(t+ t) = 0+(0.0800-0.00957)×3600
= 253.549m3
h0 = 0.01518 m
|h-h0| = 0.00107 m > e
c. 3 回目
t 後の水深 h を 0.0152 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.01523/2
= 0.01729 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.00864 m3/s
V(t+ t) = 0+(0.0800-0.00864)×3600
= 256.886 m3
h0 = 0.01538 m
|h-h0| = 0.00020 m > e
d. 4 回目
t 後の水深 h を 0.01538 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.015383/2
= 0.01763 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.00881 m3/s
V(t+ t) = 0+(0.0800-0.00881)×3600
= 256.269 m3
h0 = 0.01535 m
|h-h0| = 0.00004 m < e よって、水深 h は 0.015 m である。
2
0+0.01914 =
2
0+0.01729 =
2
0+0.01763 =
164
設計指針 「ため池整備」
(2) t:1.0~2.0時間の場合
V(t) = 256.269 m3
I(t) = 0.16 m3/s
I(t+ t) = 0.28 m3/s
I(t+ t/ 2)
= 0.22 m3/s
O(t) = 0.018 m3/s
a. 1 回目
t 後の水深 h を 0.050 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.0503/2
= 0.10331 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.06047 m3/s
V(t+ t) = 256.269+(0.22-0.06047)×3600
= 830.587 m3
h0 = 0.04974 m
|h-h0| = 0.00026 m > e
b. 2 回目
t 後の水深hを 0.04974 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.049743/2
= 0.10249 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.06006 m3/s
V(t+ t) = 256.269+(0.22-0.06006)×3600
= 832.059 m3
h0 = 0.04974 m
|h-h0| = 0.00009 m <e よって、水深 h は 0.050 m である。
(3) t:2.0~3.0時間の場合
V(t) = 832.059 m3
I(t) = 0.28 m3/s
I(t+ t) = 0.30 m3/s
I(t+ t/ 2)
= 0.29 m3/s
O(t) = 0.102 m3/s
2
0.28+0.16=
2
0.10331+0.018=
2
0.10249+0.22=
2
0.30+0.28=
165
計算例-1 貯留効果の計算例
a. 1 回目
t 後の水深 h を 0.08000 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.080003/2
= 0.20908 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.15578 m3/s
V(t+ t) = 832.059+(0.29-0.15578)×3600
= 1315.241 m3
h0 = 0.07876 m
|h-h0| = 0.00124 m > e
b. 2 回目
t 後の水深 h を 0.07876 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.078763/2
= 0.20422 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.15336 m3/s
V(t+ t) = 832.059+(0.29-0.15336)×3600
= 1323.978 m3
h0 = 0.07928 m
|h-h0| = 0.00052 m > e
c. 3 回目
t 後の水深 h を 0.07928 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.079283/2
= 0.20626 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.15438 m3/s
V(t+ t) = 832.059+(0.29-0.15438)×3600
= 1320.309 m3
h0 = 0.07906 m
|h-h0| = 0.00022 m > e
2
0.102+0.20908=
2
0.102+0.20422=
2
0.102+0.20626=
166
設計指針 「ため池整備」
d. 4 回目
t 後の水深 h を 0.07906 m と仮定すると、
O(t+ t) = 2.1×4.4×0.079063/2
= 0.20540 m3/s
O(t+ t/ 2)
= 0.15395 m3/s
V(t+ t) = 832.059+(0.29-0.15395)×3600
= 1321.851 m3
h0 = 0.07915 m
|h-h0| = 0.00009 m > e よって、水深hは0.079 m である。
以下、逐次計算していく。計算結果として下記の表を得る。
時間
(h:m)
流入量
(m3/s) 放流量
(m3/s) 水位
(m) 備考
時間
(h:m)
流入量
(m3/s)放流量
(m3/s)水位
(m) 備考
1:00 0.16 0.02 0.02 14:00 0.92 0.84 0.20
2:00 0.28 0.11 0.05 15:00 1.06 0.96 0.22
3:00 0.30 0.21 0.08 16:00 1.24 1.12 0.25
4:00 0.33 0.27 0.10 17:00 1.46 1.32 0.27
5:00 0.36 0.32 0.11 18:00 1.74 1.57 0.31
6:00 0.39 0.35 0.12 19:00 2.12 1.91 0.35
7:00 0.42 0.40 0.13 20:00 2.63 2.36 0.41
8:00 0.47 0.43 0.13 21:00 3.36 2.99 0.48
9:00 0.52 0.48 0.14 22:00 4.44 3.94 0.57
10:00 0.57 0.53 0.15 23:00 6.15 5.42 0.71
11:00 0.64 0.56 0.16 24:00 9.10 7.95 0.91 最大
12:00 0.72 0.66 0.18 25:00 4.15 6.42 0.79
13:00 0.81 0.74 0.19 26:00 0.00 1.85 0.35
1.4.3 計算結果
計算結果から、最大放流量は7.95m3/sとなり、また、その際の水深(総越流水頭)は 0.91 m となる。
1.4.4 参 考
貯留効果を考慮しないとした場合、設計洪水流量は、QP×1.2=9.10m3/sとなる。
2
0.102+0.20540=
167
2. ブランケット計算例
人工ブランケットの必要長さについて計算例を示す。適用する条件は次のとおりとする。
なお、実際のブランケットの計算においては、個々のため池における適用条件を適切に設定する
こと。
透水性地盤中の動水勾配線 ブランケットによる全損失水頭
透水性地盤
難透水性地盤 Xr
X
h=5.0m
Zb=
1.5
m
Z f=4.0m
Xd=31.5m
Kb=1.0×10-7 m/s
Kf=2.0×10-5 m/s
qf :基礎地盤の許容漏水量 60 ・min-1・(100 m)-1
=1.0×10-5 m3・s-1・m-1
Kf :透水性地盤の透水係数 2.0×10-3 cm/s=2.0×10-5
m/s
Kb :ブランケットの透水係数 1.0×10-5 cm/s=1.0×10-7
m/s
Zf :透水性基礎の厚さ 4.0 m
h :貯水位と下流側水位との差(全損失水頭) 5.0 m
Zb :ブランケットの厚さ 1.5 m(仮定)
X :ブランケットの必要長さ
Xd :堤体の底幅 31.5 m
Xr :有効浸透路長
(1) 有効浸透路長の計算
dr
fff XX
hZKq
+
・・= 5-
5-
10 1.0=31.5+
5.0 4.0 10 2.0=
rX
∴ rX =8.5 m
(この段階で、Xr ≦ 0 となる場合は、ブランケットは不要となる)
(2) ブランケットの必要長さの計算
0.029=4.0102.01.5
101.0=
・・=
5-
7-
ffb
b
ZKZ
Ka
計算例
168
設計指針 「ため池整備」
1)+(
1-=
2
2
aX
aX
r ea
eX
ここで、e2aX = Y とすると、
r
r
aXaX
Y-1
+1=
∴ 1.7=8.50.029-1
8.50.029+1=
Y
∴ e2aX = 1.7 より、loge 1.7 = 2 aX
∴ loge 1.7 = 0.53 = 2×0.029×X
∴ X = 9.1 m
ただし、Y ≦ 0 となる場合は、条件を変えて再計算する。
169
3. 洪水吐の安定計算例
側水路式洪水吐流入部の安定計算例を示す。
なお、実際の洪水吐の安定計算計算においては、個々のため池における設計条件を適切に設定すること。
3.1. 設計条件
3.1.1 形状
L≧(3~5)H 500 1000
4590
300
590
2500
600
1000
500
H=1100
2400
1
1n1
n2
貯水池側 地 山 側
単位:mm(以下同様)
3.1.2 諸条件
例表-3.1.1 計算例の諸元
項 目 記号 値 単位 備考
土に関する条件
単位体積重量 t 18 kN/m3
水中単位体積重量 ' 10 kN/m3
内部摩擦角 30 °
地盤に関する条件
許容支持力度 qa 200 kN/m2
摩擦係数 f 0.577 tan
粘着力 c 0 kN/m2
水の単位体積重量 w 9.8 kN/m3
設計水平震度 kh 0.15
鉄筋コンクリートの単位体積重量 c 24.5 kN/m3
上載荷重 q 3.0 kN/m2 群集
計算例
170
設計指針 「ため池整備」
3.1.3 計算ケース
以下の 4 ケースについて行う。
ケースⅠ(常時満水時)
貯水池側水位及び地下水位を常時満水位とする。
FWL
q=3.0kN/m2
1400
1000
ケースⅡ(設計洪水時)
貯水池側水位及び地下水位を設計洪水位とする。活荷重を考慮しない。
1100
1300
HWL
900
300
ケースⅢ(緊急放流時)
貯水池側の水位を地表面までとする。
q=3.0kN/m2
1400
1000
171
計算例-3 洪水吐の安定計算例
ケースⅣ(地震時常時満水時)
躯体、土圧に地震の慣性力が働き、貯水池側には動水圧が作用する。
1400
1000
地震の慣性力FWL
3.2. 荷重計算
この節で使用する記号の添字Rは地山側に関する諸量、添字Lは貯水池側に関する諸量を意味する。
3.2.1 自重
①
②
⑤
④
③
原点
番号注) 計算式 断面積
(m2)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直(V)(kN)
水平(khV)(kN)
ΔX (m)
ΔY (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
① 0.500×1.000 0.500 12.250 1.838 0.250 1.100 3.063 2.022
② 1/2×1.000×1.000 0.500 12.250 1.838 0.833 0.933 10.204 1.715
③ 0.300×2.400 0.720 17.640 2.646 4.150 1.800 73.206 4.763
④ 1/2×0.290×2.400 0.348 8.526 1.279 4.397 1.400 37.489 1.791
⑤ 4.590×0.600 2.754 67.473 10.121 2.295 0.300 154.851 3.036
合 計 118.139 17.722 278.813 13.327
注) 番号①~⑤は、上図中の番号と一致。
172
設計指針 「ため池整備」
3.2.2 地山側主働土圧及び載荷重
(1) 常時満水時・緊急放流時
a. 主働土圧係数
背面土砂の内部摩擦角 = 30°
壁面摩擦角 R = 30°(側壁の傾斜n2=0.12≧0.1 から R= )
※壁面摩擦角は、下図に示す側壁の傾斜n及び張出し(Tb)の有無により、次のようになる。
常時
n <0.1
かつ(Tb)<0.10m =
3
2
n ≧0.1
又は(Tb)≧0.10m =
地震時
n(Tb)に関係なく = 2
1
仮想背面後の地表面が水平面となす角 i = 0°
壁背面の傾斜角 R =tan-1
2
1
n= 83.1°
主働土圧係数
Ka = 2
2
2
)+(・)--(
--(・)+(+1・)--(・・
+-(
i
i
)
o
ooo
o
sinsin
)sinsinsincossin
sin
ただし、 -i-o < 0 のとき、 sin( -i-o)= 0 とする。o は地震合成角であり、この検討
では 0。
KaR = 0.355
b. 主働土圧強度
地山側の壁面に作用する上載荷重による土圧強度(Ph1 )、湿潤度による土圧強度(Ph2 )及び水中
土による土圧強度(Ph3 )は、それぞれ次のとおりである。
原点 Ph1 Ph2 Ph3
①
②
④
1600
1400
3000
③
n1
Tb
θR=90° θR
173
計算例-3 洪水吐の安定計算例
Ph1 = Ka R × q
= 0.355 × 3.0
= 1.065 kN/m2
Ph3 = Ka R × × 1.600
= 0.355 × 10 × 1.600
= 5.680 kN/m2
Ph2 = Ka R × t × 1.400
= 0.355 × 18× 1.400
= 8.946 kN/m2
地山側の壁面に作用する荷重は、鉛直方向と水平方向に以下の係数で荷重を分ける。
鉛直方向 = sin ( R + 90 - R )
= sin (30 + 90 - 83.1)
= 0.600
水平方向 = cos( R + 90 - R )
= cos(30 + 90 - 83.1)
= 0.800
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) ΔX (m)
ΔY (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
① 1.065×3.000 3.195 1.917 2.556 4.590 1.500 8.799 3.834
② 1/2×8.946×1.400 6.262 3.757 5.010 4.590 2.067 17.245 10.356
③ 8.946×1.600 14.314 8.588 11.451 4.590 0.800 39.419 9.161
④ 1/2×5.680×1.600 4.544 2.726 3.635 4.590 0.533 12.512 1.937
合 計 28.315 16.988 22.652 77.975 25.288
注) 番号①~④は、上図中の番号と一致。
174
設計指針 「ため池整備」
(2) 設計洪水時
a. 主働土圧係数
背面土砂の内部摩擦角 = 30 °
壁面摩擦角 R = 30°
仮想背面後の地表面が水平面となす角 i = 0°
壁背面の傾斜角 R = tan-1
2
1
n= 83.1°
主働土圧係数 KaR = 0.355
b. 主働土圧強度
地山側の壁面に作用する湿潤土による土圧強度(Ph2 )及び水中土による土圧強度(Ph3 )は、それ
ぞれ次のとおりである。
原点 Ph2 Ph3
①
②
1900
1100
3000
③
▽
1900
Ph2 = Ka R × t × 1.100
= 0.355× 18 × 1.100
= 7.029 kN/m2
Ph3 = Ka R × × 1.900
= 0.355× 10× 1.900
= 6.745kN/m2
壁面に作用する荷重は、常時満水時と同様の方法で鉛直方向と水平方向に割り振る。
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) X (m)
Y (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
① 1/2×7.029×1.100 3.866 2.320 3.093 4.590 2.267 10.649 7.012
② 7.029×1.900 13.355 8.013 10.684 4.590 0.950 36.780 10.150
③ 1/2×6.745×1.900 6.408 3.845 5.126 4.590 0.633 17.649 3.245
合 計 23.629 14.178 18.903 65.078 20.407
注) 番号①~③は、上図中の番号と一致。
175
計算例-3 洪水吐の安定計算例
(3) 地震時常時満水時
a. 主働土圧係数
設計水平震度 kh = 0.15
背面土砂の内部摩擦角 = 30 °
壁面摩擦角 R = 15°(=1/2 )
仮想背面後の地表面が水平面となす角 i = 0°
壁背面の傾斜角 R = tan-1
2
1
n= 83.1°
地震合成角 o = tan-1( kh )= 8.531°
主働土圧係数 KaER の算出式は、常時満水時と同様である。
KaER = 0.464
b. 主働土圧強度
地山側の壁面に作用する湿潤土による土圧強度(Ph2 )及び水中土による土圧強度(Ph3 )は、それ
ぞれ次のとおりである。
原点 Ph2 Ph3
①
② 1600
1400
3000
③
Ph2 = KaE R × t × 1.400
= 0.464 × 18 × 1.400
= 11.693 kN/m2
Ph3 = KaER × × 1.600
= 0.464 × 10 × 1.600
= 7.424 kN/m2
地山側の壁面に作用する荷重は、鉛直方向と水平方向に以下の係数で荷重を分ける。
鉛直方向 = sin ( R + 90 - R )
= sin (15 + 90 - 83.1)
= 0.373
水平方向 cos( R + 90 - R )
cos(15 + 90 - 83.1)
0.928
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) ΔX (m)
ΔY (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
① 1/2×11.693×1.400 8.185 3.053 7.596 4.590 2.067 14.013 15.701
② 11.693×1.600 18.709 6.978 17.362 4.590 0.800 32.029 13.890
③ 1/2×7.424×1.600 5.939 2.215 5.511 4.590 0.533 10.167 2.937
合 計 32.833 12.246 30.469 56.209 32.528
注) 番号①~③は、上図中の番号と一致。
176
設計指針 「ため池整備」
3.2.3 水重、静水圧及び揚圧力
(1) 常時満水時(常時・地震時)
壁面に作用する水圧(Ph)及び底面に作用する揚圧力(Pv)は、それぞれ次のとおりである。
原点 ①
③
④
②
1600
1600
4590
Ph1
Pv1
Ph2
Pv2
Ph1 = Pv1 = w × 1.600
= 9.8 × 1.600
= 15.680 kN/m2
Ph2 =Pv2 = w × 1.600
= 9.8 × 1.600
= 15.680 kN/m2
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) X (m)
Y (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
静水圧
① 1/2×15.680×1.600 12.544 -12.544 0.533 -6.686
② 1/2×15.680×1.600 12.544 12.544 0.533 6.686
小計 0.000 0.000 0.000 0.000
揚圧力
③ 1/2×4.590×15.680 35.986 -35.986 1.530 -55.059
④ 1/2×4.590×15.680 35.986 -35.986 3.060 -110.117
小計 -71.972 - -165.176 -
合計 -71.972 0.000 -165.176 0.000
注) 番号①~④は、上図中の番号と一致。
177
計算例-3 洪水吐の安定計算例
(2) 設計洪水時
壁面に作用する水圧(Ph)及び底面に作用する揚圧力(Pv1,Pv2)、水重(Pv3)は、それぞれ次のとお
りである。
Ph1 = w × 0.300 Ph
3
= Pv2= w × 1.900
= 9.8 × 0.300 = 9.8 × 1.900 = 2.940 kN/m2 = 18.620 kN/m2
Ph2 = w × 1.600 Pv3 = w × 0.900
= 9.8 × 1.600 = 9.8 × 0.900
= 15.680 kN/m2 = 8.820 kN/m2
Pv1 = Ph1+Ph2
= 2.940 + 15.680
= 18.620 kN/m2
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) ΔX (m)
ΔY (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
静水圧
水重及び
① 2.940×1.600 4.704 -4.704 0.800 -3.763
② 1/2×15.680×1.600 12.544 -12.544 0.533 -6.686
③ 1/2×18.620×1.900 17.689 17.689 0.633 11.197
④ 8.820×2.500 22.050 22.050 2.750 60.638
小計 22.050 0.441 60.638 0.748
揚圧力
⑤ 1/2×18.620×4.590 42.733 -42.733 1.530 -65.381
⑥ 1/2×18.620×4.590 42.733 -42.733 3.060 -130.763
小計 -85.466 - -196.144 -
合計 -63.416 0.441 -135.506 0.748
注) 番号①~⑥は、上図中の番号と一致
178
設計指針 「ため池整備」
(3) 緊急放流時
壁面に作用する水圧(Ph)及び底面に作用する揚圧力(Pv)は、それぞれ次のとおりである。
原点 ①
③ ④
②
1600
1100
4590
Ph1 Pv1
Ph2
Pv2
Ph1 = Pv1
= w × 1.100
= 9.8 × 1.100
= 10.780 kN/m2
Ph2 = Pv2 = w × 1.600
= 9.8 × 1.600
= 15.680 kN/m2
179
計算例-3 洪水吐の安定計算例
注) 番号①~④は、上図中の番号と一致。
3.2.4 動水圧
地震時常時満水時においては貯水池側に動水圧が作用する。
1100
500
原点
yd Pd
動水圧は、下式により求める。
Pd = 12
7 w ・ kh ・ h2
yd = 5
2 h
よって、
Pd = 12
7× 9.8 × 0.15× 0.5002
= 0.214 kN
yd = 5
2× 0.500
= 0.200 m
作用位置 y
y = yd + 1.100
= 0.200+1.100
= 1.300 m
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重 アーム長 モーメント
鉛直
(kN) 水平
(kN) X (m)
Y (m)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
静水圧
① 1/2×10.780×1.100 5.929 -5.929 0.367 -2.176
② 1/2×15.680×1.600 12.544 12.544 0.533 6.686
小計 0.000 6.615 0.000 4.510
揚圧力
③ 1/2×10.780×4.590 24.740 -24.740 1.530 -37.852
④ 1/2×15.680×4.590 35.986 -35.986 3.060 -110.117
小計 -60.726 - -147.969 -
合計 -60.726 6.615 -147.969 4.510
180
設計指針 「ため池整備」
モーメント My
My = Pd・y
= 0.214×1.300
= 0.278 kN・m
3.2.5 貯水池側反力
貯水池側に生じる反力は、地山側の主働土圧から底面の摩擦力を減じてかつ残った水平力に対して生じる
もので、受働土圧の範囲以内である。
(1) 常時満水時
区 分
外 力
V (kN)
H (kN)
自 重 118.139 -
地山側主働土圧及び載荷重 16.988 22.652
水重及び静水圧 0.000 0.000
揚圧力 -71.972 -
合 計 63.155 22.652
反力は、下式から算出する。
P = Fs・H -V・f
ここに、P :反力(kN)
Fs :安全率、1.5(常時)
H :全水平力(kN)
V :全鉛直力(kN)
f :底面と基礎地盤の摩擦係数、0.577
P = 1.5 × 22.652 - 63.155 × 0.577
= -2.462 kN
したがって、地山側の主働土圧から底面の摩擦力を減じると水平力が残らないため、貯水池側に反力は生
じない。
(2) 設計洪水時
区 分
外 力
V (kN)
H (kN)
自 重 118.139 -
地山側主働土圧及び載荷重 14.178 18.903
水重及び静水圧 22.050 0.441
揚圧力 -85.466 0.000
合 計 68.901 19.344
181
計算例-3 洪水吐の安定計算例
P = Fs・H -V・f
= 1.5 × 19.344 - 68.901 × 0.577
= -10.740 kN
したがって、地山側の主働土圧から底面の摩擦力を減じると水平力が残らないため、貯水池側に反力
は生じない。
(3) 緊急放流時
区 分
外 力
V (kN)
H (kN)
自 重 118.139 -
地山側主働土圧及び載荷重 16.988 22.652
水重及び静水圧 0.000 6.615
揚圧力 -60.726 0.000
合 計 74.401 29.267
P = Fs・H -V・f
= 1.5 × 29.267 - 74.401 × 0.577
= 0.971 kN
反力 P が受働土圧の範囲以内であることを確認する。
背面土砂の内部摩擦角 = 30°
壁面摩擦角 L = 20°(側壁の傾斜 n1=0<0.1 から L=2/3 )
仮想背面後の地表面が水平面となす角 i = 0°
壁背面の傾斜角 L = 90°
受働土圧係数
Kp = 2
2
2
)+(・)++(
)-+(・)+(-1・)++(・・
-+(
i
i
)
o
ooo
o
sinsin
sinsinsincossin
sin
ただし、+i- o <0 のとき sin(+i- o)=0 とする。 o は地震合成角。
∴ KpL = 6.105
182
設計指針 「ため池整備」
原点
① 1100
Ph
Ph = KpL × × 1.100
= 6.105 × 10 × 1.100
= 67.155 kN/m2
貯水池側の壁面に作用する荷重は、鉛直方向と水平方向に以下の係数で荷重を分ける。
鉛直方向 = sin ( L+ 90 - L )
= sin (20 + 90 - 90)
= 0.342
水平方向 = cos(L + 90 - L )
= cos(20 + 90 - 90)
= 0.940
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重
鉛直
(kN) 水平
(kN)
① 1/2×67.155×1.100 36.935 12.632 -34.719
注) 番号①は、上図中の番号と一致。
反力 P = 0.971 kN ≦ 受働土圧 = 34.719 kN ·························· OK
したがって、貯水池側に生じる反力は、P=0.971 kN である。
y = 3
1×1.100 = 0.367 m
M y = P・y = 0.971×0.367 = 0.356 kN・m
(4) 地震時常時満水時
区 分
外 力
V (kN)
H (kN)
自 重 118.139 17.722
地山側主働土圧及び載荷重 12.246 30.469
水重及び静水圧 0.000 0.000
揚圧力 -71.972 0.000
動水圧 0.000 0.214
合 計 58.413 48.405
183
計算例-3 洪水吐の安定計算例
反力は、下式から算出する。
P = Fs・H -V・f
ここに、P :反力(kN)
Fs :安全率、1.2(地震時)
H :全水平力(kN)
V :全鉛直力(kN)
f :底面と基礎地盤の摩擦係数、0.577
P = 1.2 × 48.405 - 58.413 × 0.577
= 24.382 kN
反力 P が、受働土圧の範囲以内であることを確認する。
設計水平震度 k h = 0.15
背面土砂の内部摩擦角 = 30°
壁面摩擦角 L = 15°(=1/2 )
仮想背面後の地表面が水平面となす角 i = 0°
壁背面の傾斜角 L = 90°
地震合成角 o = tan-1(k h)= 8.531°
受働土圧係数KpEL の算出式は、常時満水時と同様である。
KpEL = 4.348
原点
① 1100
Ph
Ph = KpEL × × 1.100
= 4.348 × 10 × 1.100
= 47.828 kN/m2
貯水池側の壁面に作用する荷重は、鉛直方向と水平方向に以下の係数で荷重を分ける。
鉛直方向 = sin ( L+ 90 - L )
= sin (15 + 90 - 90)
= 0.259
水平方向 = cos(L + 90 - L )
= cos(15 + 90 - 90)
= 0.966
番号注) 計算式 荷重
(kN)
荷重
鉛直
(kN) 水平
(kN)
① 1/2×47.828×1.100 26.305 6.813 -25.411
注) 番号①は、上図中の番号と一致。
184
設計指針 「ため池整備」
反力 P = 24.382 kN < 受働土圧 = 25.411 kN ····················· OK
したがって、貯水池側に生じる反力は、P = 24.382 kN である。
y = 3
1×1.100 = 0.367 m
M y = P・y = 24.382×0.367 = 8.948 kN・m
3.3. 安定計算
3.3.1 ケースⅠ(常時満水時)
(1) 外力の集計
区 分
外 力 モーメント
V (kN)
H (kN)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
自 重 118.139 - 278.813 -
地山側主働土圧及び載荷重 16.988 22.652 77.975 25.288
水重及び静水圧 0.000 0.000 0.000 0.000
小 計 135.127 22.652 356.788 25.288
貯水池側反力 - 0.000 - 0.000
揚圧力 -71.972 - -165.176 -
合 計 63.155 22.652 191.612 25.288
(2) 安定計算検討
a. 滑動に対する検討
Fs =HΣ
BcVΣ ・+・tan ≧ 1.5
=22.652
4.590 063.155+ 0.577
= 1.609 ≧ 1.5 ······························································ OK
b. 地盤支持力に対する検討
d = VΣ
MM yx -
= 135.127
-25.288356.788
= 2.453 m
e = 2
B- d
= 2
4.590- 2.453
= -0.158 m
∴|e| ≦ B/6 = 0.765m ···························································· OK
185
計算例-3 洪水吐の安定計算例
= VΣ
・
Be6
1
= 4.590
135.127×
4.590
)-( 6 1
0.158
= ≦ 200 kN/m2 ············································· OK
3.3.2 ケースⅡ(設計洪水時)
(1) 外力の集計
区 分
外 力 モーメント
V
(kN)
H
(kN)
Mx
(kN・m)
My
(kN・m)
自 重 118.139 - 278.813 -
地山側主働土圧及び載荷重 14.178 18.903 65.078 20.407
水重及び静水圧 22.050 0.441 60.638 0.748
小 計 154.367 19.344 404.529 21.155
貯水池側反力 - 0.000 - 0.000
揚圧力 -85.466 - -196.144 -
合 計 68.901 19.344 208.385 21.155
(2) 安定計算検討
a. 滑動に対する検討
Fs = HΣ
BcVΣ ・+・tan≧ 1.5
= 19.344
4.590 0+68.901 0.577
= 2.055 ≧ 1.5 ······························································· OK
b. 地盤支持力に対する検討
d = VΣ
MM yx -
= 154.367
21.155-404.529
= 2.484 m
e = 2
B- d
= 2
4.590- 2.484
= -0.189 m
∴|e| ≦ B/6 = 0.765m ···························································· OK
23.359 kN/m2
35.520 kN/m2
q1
q2
186
設計指針 「ため池整備」
= ΣV
・
Be6
1
= 4.590
154.367×
4.590
)-( 6 1
0.189
= ≦ 200 kN/m2 ············································· OK
3.3.3 ケースⅢ(緊急放流時)
(1) 外力の集計
区 分
外 力 モーメント
V
(kN)
H
(kN)
Mx
(kN・m)
My
(kN・m)
自 重 118.139 - 278.813 -
地山側主働土圧及び載荷重 16.988 22.652 77.975 25.288
水重及び静水圧 0.000 6.615 0.000 4.510
小 計 135.127 29.267 356.788 29.798
貯水池側反力 - -0.971 - -0.356
揚圧力 -60.726 - -147.969 -
合 計 74.401 28.296 208.819 29.442
(2) 安定計算検討
貯水池側に安全率 Fs=1.5を満足する反力(P=0.971kN)が生じるため、抵抗力の最大である受働土圧
(Ph=34.719 kN)により、滑動安全率を算定する。
a. 滑動に対する検討
Fs = HΣ
BcPVΣ h ・++・tan≧ 1.5
= 29.267
4.590 0719+74.401+34. 0.577
= 2.653 ≧ 1.5 ······························································ OK
b. 地盤支持力に対する検討
d = V
MM yx
-
= 135.127
-29.442356.788
= 2.423m
e = 2
B- d
= 2
4.590- 2.423
= -0.128 m
25.322 kN/m2
41.940 kN/m2
q1
q2
187
計算例-3 洪水吐の安定計算例
∴|e| ≦ B/6 = 0.765m ···························································· OK
= Β
ΣV・
B
e61
= 4.590
135.127×
4.590
0.128)(-61
= ≦ 200 kN/m2 ··········································· OK
3.3.4 ケースⅣ(地震時常時満水時)
(1) 外力の集計
区 分
外 力 モーメント
V (kN)
H (kN)
Mx (kN・m)
My (kN・m)
自 重 118.139 17.722 278.813 13.327
地山側主働土圧及び載荷重 12.246 30.469 56.209 32.528
水重及び静水圧 0.000 0.000 0.000 0.000
動水圧 - 0.214 - 0.278
小 計 130.385 48.405 335.022 46.133
貯水池側反力 - -24.382 - -8.948
揚圧力 -71.972 - -165.176 -
合 計 58.413 24.023 169.846 37.185
(2) 安定計算検討
貯水池側に安全率Fs=1.2を満足する反力(P=24.382kN)が生じるため、抵抗力の最大である受働土
圧(Ph=25.411 kN)により、滑動安全率を算定する。
a. 滑動に対する検討
Fs = HΣ
BcPVΣ h ・++・tan≧ 1.2
=48.405
4.590 0+25.411+58.413 0.577
= 1.221 ≧ 1.2 ···································································· OK
b. 地盤支持力に対する検討
d = VΣ
MM yx -
= 130.385
-37.185335.022
= 2.284 m
e = 2
B- d
= 2
4.590- 2.284
= 0.011 m
24.514 kN/m2
34.365 kN/m2
188
設計指針 「ため池整備」
∴| e| ≦ B/6 = 0.765m ···························································· OK
= VΣ
・
Be6
1
= 4.590
130.385×
4.590
0.011)-( 61
= ≦ 300 kN/m2 ·············································· OK
3.4. 部材設計における土圧の考え方
部材設計における地山側の側壁に作用する土圧は、主働土圧(地震時は地震時主働土圧)とする。
また、貯水池側の側壁に作用する土圧は、貯水池側の反力が貯水池側の主働土圧より小さければ主働土圧
とし、反力の方が大きければ、受働土圧の範囲以内の反力とするが、設計時点では左右の部材厚及び配筋量
が大きく変わらないよう注意する。
偏土圧の生じる安定計算及び部材設計の土圧の考え方
区分 計算ケース 地 山 側 貯 水 池 側 備 考
安
定
計
算
常 時 主 働 土 圧反 力
(受働土圧の範囲以内)
P=Fs・ΣH-ΣV・f ただし、0<P≦Ph
ここに、
P :貯水池側反力
Fs :安全率
常 時:1.5
地震時:1.2
ΣH :地山側全水平力
ΣV :全鉛直力
F :底面と基礎地盤の
摩擦係数(=tan )
Ph :貯水池側受働土圧
地震時 地震時主働土圧反 力
(受働土圧の範囲以内)
部
材
設
計
常 時 主 働 土 圧
主働土圧と反力
(受働土圧の範囲以内)
の大なる方
28.815 kN/m2
27.998 kN/m2
q1
q2
189
4. 緊急放流施設の設計例
4.1. 設計条件
緊急放流孔と斜樋の最上部取水孔とを兼ねる構造を検討する。
設計諸元は、下記のとおりとする。
なお、実際の緊急放流施設の設計においては、個々のため池における設計諸元を適切に設定すること。
(1) ため池諸元
満水面積 3,500 m2
貯水深 6.5 m
常時満水位(FWL) 10.0 m
上流法勾配 1:n1 1:2.0
(2) 取水施設としての諸元
a. 斜樋最上部取水孔
必要取水量 Q1:0.060 m3/s
取水孔の FWL からの水深 H1:2.5 m
取水孔径 D1:150 mm
b. 底 樋
底樋管の管径 :600 mm
底樋管の勾配 I1:1/250
4.2. 緊急放流量(Q 2 )の算出
緊急降下水位は、(常時満水位-2.0 m)と{常時満水位-(貯水深×1/3)}を比較し、高い水位とする。
常時満水位-2.0 m = 10.0-2.0
= 8.0 m ································································· ①
常時満水位-(貯水深×1/3) =10.0-(6.5/3)
= 7.8 m ································································· ②
①>②であり、緊急降下水位は 8.0 m となる。
よって、1 日で水位を常時満水位から 2.0 m 下げるのに必要となる放流量は、以下のようになる。
(この計算例では池内斜面勾配を考慮せず、満水面積に降下水深を乗じて放流量を算出する。よって、正
確な量とはならないが、安全側の扱いとする。)
Q 2 = 3,500×2.0/(24×60×60)
= 0.081 m3/s
4.3. 緊急放流孔径の算出
緊急放流孔径は、例式(4.3.1)から算出する。
/ 2・2
=HgC
AQ
································································· 例式(4.3.1)
計算例
FWL
H1=2.5m
1:2. 0
190
設計指針 「ため池整備」
ここで、 A :孔断面積 (m2 )
Q :放流量 (m3/s) =Q 2= 0.081 m3/s
C :流量係数 (普通 0.62)
g :重力加速度 (= 9.8 m/s2)
H :孔中心までの水深 (m) =Hd+H+h
Hd :緊急降下水深 (m)
H :水没深 max (2D or 0.3 m)
D :放流孔径 (m)
h :孔上端から中心までの水深 (m)
(1) 取水孔の放流能力検討
取水孔( D1 =150 mm)で緊急放流が可能か確認する。
Hd = 2.0 m
Hα = 2×0.15
= 0.3 m ≦ 0.3 m
孔上端から中心までの水深を算出するための比率
0.447=2.0+11=+11 221 /n/
h =(0.15/2)×0.447
= 0.03 m
∴ H = 2.0 + 0.3 + 0.03
= 2.33 m ≦ H1= 2.5 m
よって、放流孔位置の条件を満たしているものとし、H = H1 = 2.5 m で計算を行う。
(算定した放流孔位置が、取水孔位置より下となる場合は、取水孔位置を移動するか、取水孔とは別途
に放流孔を設ける計画とする。また、算定した放流孔位置が取水孔位置より上の場合でも、その高低差
が大きい場合は上記同様の対処とする。)
(2.5/2)9.82 0.62
0.081=
A
= 0.026 m2
取水孔の断面積
0.152× /4 = 0.018 m2
結果、計算された孔断面積より取水孔断面積が小さいので兼用はできない。
191
計算例-4 緊急放流施設の設計例
(2) 放流孔径の算定
D = 200 mm と仮定する。
Hd = 2.0 m
H = 2×0.20
= 0.4 m > 0.3 m
h =(0.20/2)×0.447
= 0.04 m
∴ H = 2.0+0.4+0.04
= 2.44 m ≦ H1 = 2.5 m
よって、放流孔位置の条件を満たしているものとし、H = H1 = 2.5 m で計算を行う。
(2.5/2)9.82 0.62
0.081
=A
= 0.026 m2
D = 200 mm の断面積
0.202×/4= 0.031 m2
結果、計算された孔断面積より大きいので、放流孔径は D = 200 mm とする。
4.4. 斜樋管径の算定
斜樋管径は取水施設として必要な斜樋管径と、例式(4.4.1)で求められる緊急放流時の最大放流量Q max
(m3/s)を流し得る管径とを比較し、大なる方を採用する。
HgCA ・2・=maxQ ································································ 例式(4.4.1)
ここで、各記号は例式(4.3.1)に示すとおりである。
(1) 取水施設として必要な斜樋管径
取水孔(D1 = 150 mm)に対し、取水施設として必要な斜樋管径は、例表-4.4.1 から求められる。
例表-4.4.1 取水孔径と斜樋管径(標準)
取水孔径(mm) 100 125 150 200 250 300
斜樋管径(mm) 200 200 250 300 400 500
よって、このときの斜樋管径は、 250 mm ······························································· ③
192
設計指針 「ため池整備」
(2) 緊急放流時の最大放流量を流し得る斜樋管径
Qmax =0.031×0.62× 2.5 9.8 2
=0.135 m3/s
斜樋管の流下能力は、例式(4.4.2)により算出する。
Q = (1/n)・R
2/3・I
1/2・A ·························································· 例式(4.4.2)
ここで、 Q :流量 (m3/s)
n :粗度係数 (0.013)
R :径深 (m)
I :勾配 (1/2.0= 0.5)
A :流積 (m2 )
管径ごとに最大通水量(h = 0.938 D)を計算すると、例表-4.4.2 のとおりとなる。
例表-4.4.2 水理諸元一覧
よって上表から、Q max を流し得る斜樋管径は、 200 mm ··············································· ④
(3) 斜樋管径の決定
③>④から、斜樋管径は 250 mm となる。
4.5. 底樋管の流下能力確認
例式(4.4.2)を使用し、底樋管( 600 mm)が緊急放流時の最大放流量 Q max を流し得るかを確認する。
h=0.938・D のときの A、R は、本指針表-3.5.5から下記のようになる。
A = 0.275 m2
R = 0.174 m
I = I1 = 1/250 = 0.004
∴Q =(1/0.013)×0.1742/3×0.0041/2×0.275
= 0.417 m3/s >Qmax=0.135 m3/s ゆえに OK
管径
(mm)
水深 h
(m)
流積 A
(m2)
径深 R
(m)
流量Q
(m3/s)
150 0.141 0.017 0.043 0.113
200 0.188 0.031 0.058 0.253
250 0.235 0.048 0.072 0.452
300 0.281 0.069 0.087 0.737
400 0.375 0.122 0.116 1.578
500 0.469 0.191 0.145 2.867
D h
193