伝え合う力を高める授業 - iwate-ed.jp ·...

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平成 28 年度(60 ) 岩手県教育研究発表会発表資料 平成 29 2 10 遠野市教育委員会 遠野市立遠野小学校 国語分科会 伝え合う力を高める授業 ―国語科「話すこと・聞くこと」領域における、 見通しと言語活動の工夫を通してー

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平成 28年度(第 60 回)

岩手県教育研究発表会発表資料

平成 29年 2 月 10 日

遠野市教育委員会

遠野市立遠野小学校

柳 下 美 智 代

国語分科会

伝え合う力を高める授業

―国語科「話すこと・聞くこと」領域における、

見通しと言語活動の工夫を通してー

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≪ 目 次 ≫

1 発表スライド-------------------------------------1~13

2 研究リーフレット---------------------------------14~21

3 指導案(1年「すきなものクイズ」をしよう)-------22~27

4 「話すこと・聞くこと」各学年の目標及び内容・教材の系統表 ------- 28

5 「話すこと・聞くこと」領域年間指導計画-----------29~31

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1

遠野市立遠野小学校

平成28年度(第60回)岩手県教育研究発表会 国語分科会

研究主題

伝え合う力を高める授業

―国語科「話すこと・聞くこと」領域における、見通しと言語活動の工夫を通して―

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学校教育目標

本気で自ら学ぶ子ども 心豊かでやさしい子ども たくましく丈夫な子ども

今日的課題

・生き抜く力の育成・アクティブラーニング・いわての復興教育・「確かな学び・豊かな学び」の実現

目指す子ども像

1 互いの立場や考えを尊重する子ども

2 言語を通して適切に表現・理解できる子ども

児童の実態

・相手の話を素直に聞くことができる。

・相手や目的に応じて、自分の考えを伝えることが苦手である。

・話し合いが、意見発表で終わってしまう。

学年 1 2 3 4 5 6 特支 合計

児童数 41 38 41 54 46 43 5 268

学級数 2 2 2 2 2 2 3 15

伝え合う力を高める授業のあり方を、国語科「話すこと・聞くこと」領域における、見通しと言語活動を工夫する授業実践を通して明らかにする。

研究目標

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3

(2)言語を通して適切に表現する力・理解する力を高めること

(1)人間と人間との関係の中で互いの立場や考えを尊重すること

「伝え合う力」とは

伝え合う力を高める授業

―国語科「話すこと・聞くこと」領域における、見通しと言語活動の工夫を通して―

手立て1見通しのもたせ方の工夫

ア ゴールを見通した学習計画の作成

イ 単元や本時の学習の導入時の工夫

ウ 既習や学習内容の確認

手立て2言語活動の工夫

ア 目的を明確にした交流

イ 目的に対応した学習形態

ウ 次の活動につながる学習評価

手立て

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手立て1 見通しのもたせ方の工夫

ア ゴールを見通した学習計画の作成

イ 単元や本時の学習の導入時の工夫

ウ 既習や学習内容の確認

伝え合う力を高めるためには、児童が自信をもって「話すこと・聞くこと」の活動に取り組む必要がある。しかし、相手の立場や考えを尊重しながら、言語を

通して適切に表現・理解することに、苦手意識をもつ児童は少なくない。そこで、単元や1単位時間の授業に対する見通しを

もたせ、課題(身に付けたい力)を意識して、安心して伝え合う活動ができるように手立てを組んだ。

5年 「和の文化について調べよう」

①「和の文化についての発表会」のVTRを見る。②身に付けたい力について考え、単元名を設定する。

③学習計画を立てる。

研究の実際

ア ゴールを見通した学習計画の作成

単元のゴールのイメージをつかませるために、6年生をモデルとした「和の文化についての発表会」のVTRを、視点を示して視聴させた。視点 1 説明の観点(伝えたいこと)が明確であったか

2 内容を理解するために適切な資料であったか3 資料を見せるタイミング

見通しのもたせ方の工夫

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5

≪考察≫・単元評価にかかわる3つ

の視点をもたせ6年生の発表モデル(ゴール)を見せたことで、単元学習の見通しをもたせることができた。

・学習計画「課題・活動・振り返り」を1枚にまとめることで、課題を意識し、安心して伝え合う活動ができた。

見通しのもたせ方の工夫 ア ゴールを見通した学習計画の作成

この学習でがんばりたいこと・身に付けたい力観点ごとの説明 資料を使っての説明 資料を出すタイミン

【学習計画表】

2年 「たからものをしょうかいしよう」

①1年生の学習を想起する。 「宝物当てクイズ」②宝物紹介を聞き、課題意識をもつ。③スピーチ原稿の順序を考える。④教師の宝物紹介モデルを聞き、ゴールの姿をイメージする。⑤学習計画を立てる。

イ 単元や本時の学習導入時の工夫

単元の第1時で、3つの工夫をした。1 教師の「宝物当てクイズ」をした。児童が「大きさ・使い方・思い出・手に入れた方法」等を質問した。

2 教師が意図的に、内容の乏しい宝物紹介をした。3 教師がモデルとなり自分の宝物を紹介した。

・「始め」「中」「終わり」を意識した話し方をした。・宝物への思いを伝えた(なぜ、宝物なのか)

見通しのもたせ方の工夫 イ 単元や本時の学習導入時の工夫

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≪考察≫・意図的に内容の乏しい宝物紹介をしたことで、聞いた児童は

もっと詳しく知りたいと、聞く人の立場で、話す内容・構成について考えることができた。

・担任教師の「宝物」を紹介することにより児童が興味をもって聞き、自分の宝物も紹介したいという意欲をもたせることができた。また、児童が気付いた「始め」「中」「終わり」を意識して話したことで、よく伝わる話し方を意識させることができた。

見通しのもたせ方の工夫 イ 単元や本時の学習導入時の工夫

【先生の宝物クイズ】

わたしの宝物は、何でしょ

う。

【内容の乏しいしょうかい】

わたしの宝物は、ぬの

でできたナップサックで

す。

(終わり)

大きさは、どれくらいです

か。

どうやって手に入れました

か。

どんな思い出がありますか。

どのように使いますか。

えっ、それで終わり?

色や大きさは?

どんな形?

思い出はないの?

どうして

「宝物」になったの?

3年 「グループで話し合おう」

①身に付けたい力と本時の学習内容を確かめる。②学習の流れを提示し、本時の振り返りの視点を示す。③VTRで話し合いの良い例を見て、上手な話し合いの仕方について交流する。

④再度VTRを見て、司会者の役割と話し合いで気を付けることをまとめる。

ウ 既習や学習内容の確認

本時の見通しをもたせるために導入で、3つの工夫をした。1 単元学習表で身に付けたい力を確認し、本時(3時間目)の活動を確認した。

2 本時の学習の流れを提示した。3 振り返りの視点を確認した。

・どんなひみつを見つけたか ・話し合いで生かしたいこと

見通しのもたせ方の工夫 ウ 既習や学習内容の確認

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≪考察≫・単元計画表で本時の活動(課題)を確認したことで「司会

の進め方にそって話し合う力」を身に付けるためにどんなことをすれば良いのかを理解することができた。

・学習の流れを提示したことで、見通しをもって活動できた。・本時の課題と終末での振り返りの視点を導入時に確認したことで、どんなことができればゴールなのかを見通すことができた。

【課題】

上手な話し合いのひみ

つをさぐろう。

〈学習の流れ〉

①話し合いの様子

(VTR)

②交流タイム

③学習のまとめ

④学習のふり返り

〈ふり返り〉

・どんなひみつを見つけ

たか。

・話し合いに生かしたい

こと。

見通しのもたせ方の工夫 ウ 既習や学習内容の確認

伝え合う力を高めるためには、児童が活動の有用性を理解し、具体的な活動を経験させる必要がある。しかし、「話すこと・聞くこと」の単元は、教師の一

方的な説明や教科書をなぞる一斉授業で終わってきたという反省があった。そこで、児童一人一人に、有用感のある実践的な話す

活動・聞く活動(言語活動)をさせることを通して、相手の立場や考えを尊重しながら、適切に話したり聞いたりできる児童を育てたいと考えた。児童の伝え合う力を高めるために、交流・学習形態・評価について工夫した。

手立て2 言語活動の工夫

ア 目的を明確にした交流

イ 目的に対応した学習形態

ウ 次の活動につながる学習評価

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1年 「 『すきなものクイズ』をしよう」

①4人グループで出題者と解答者になり、すきなものクイズの練習をする。

②上手に話しているグループを全体で紹介し、クイズのポイントを確かめた後、2回目のクイズ練習をする。

研究の実際

ア 目的を明確にした交流

【本時の目標】「すきなものクイズの」のポイントに気を付けて、質問したり答

えたりしてクイズの練習をすることができる。1 「すきなものクイズ」のポイントを確かめた。2 基本話型を示し、質問や応答がスムーズにできるようにした。3 児童(4人グループ)をモデルに、やり方やポイントを確かめながら進め方を説明した。

言語活動の工夫

≪考察≫・対話のポイントと基本話型の提示、友達のモデルの演示により、活動方法を理解し、「質問・答え」の練習を繰り返し行うことができた。

・1回目の活動が上手にできたグループをモデルにしたことで、よりよい活動をイメージして練習をすることができた。

言語活動の工夫 ア 目的を明確にした交流

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4年 「クラスで話し合おう」

①話し合うグループとモニターグループに分かれて議題に沿って話し合う。

②気付いたことを全体で交流する。③前半の反省を生かして、後半の話し合いをする。

イ 目的に対応した学習形態

【本時の目標】互いの考えの共通点や相違点を考えて、自分の役割を意識し

て話し合うことができる。1 司会・提案者・参加者の役割で、机を円形にし話し合わせた。2 モニターグループは、話し合いの様子を見ながらアドバイスやよかった点についてメモさせた。

3 全体で気付きを話し合い、反省点に気を付けて後半の話し合いを行った。

言語活動の工夫 イ 目的に対応した学習形態

言語活動の工夫 イ 目的に対応した学習形態

≪考察≫・2つのグループが互いのグループの話し合いの様子をモニタリングしたことで、共通点と相違点、自分の役割を客観的にとらえることができた。

・単元を通して、4人グループの話し合い、学級を2グループに分けた話し合いを、役割の交替しながら行った。目的に合わせて話し合いの形態を変えながら繰り返したことで、単元目標にせまることができた。

【モニタリングメモ】

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6年 「町の未来をえがこう」 (11時間)

第9時 互いのプレゼンテーションをモニタリングする。第10時 ゲストティーチャーを招き、プレゼンテーションをする。

ウ 次の活動につながる学習評価

【単元の目標】意図が伝わるように適切な事例や資料を挙げ、話の構成、聞

き手の興味を引き付けるための話し方や資料の見せ方を工夫して話すことができる。1 モニターグループは視点に沿って気付きをワークシートに記入し、発表グループに伝えた。2 資料の見せ方や話し方についての改善点を話し合った。3 市の町づくり企画担当者をゲストティチャーに招き、発表を聞いていただいた。

言語活動の工夫 ウ 次の活動につながる学習評価

言語活動の工夫 ウ 次の活動につながる学習評価

他グループからの評価

モニタリング評価

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言語活動の工夫 ウ 次の活動につながる学習評価

≪考察≫・視点に沿ってペアグループのモニタリング(評価)をしたことで、互いに指導し合うとともに、聞き手の視点で発表を改善することができた。

・ゲストティチャーから評価をいただいことで、自分たちの学習の成果を実感し、今後の発表活動への意欲を高めることができた。

・菊池さんにたくさん良かったところを言ってもら

えたので、自分が何かプレゼンをしたいときに生

かしたいです。

・ 高のプレゼンテーションになったと思うので、

普段の生活に生かしたいです。

ゲストティチャーのお話(評価)

日常指導

(3)ボイストレーニング・・・・・毎週水曜日の朝活動

(1)話し方名人・聞き方名人「あいうえお」

(2)交流タイム・・・・・国語以外の授業でも

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研究のまとめ 【成果】

1 単元や1単位時間の授業に対する見通しをもたせたことにより、児童は、課題(身に付けたい力)を意識して、伝え合う活動ができるようになった。

ゴールを見通した学習計画作成

身に付けたい力を意識した単元学習

既習や学習内容の確認

学習活動の理解・課題意識・内容 ・方法

単元・本時の学習導入時の工夫

身に付けたい力(課題)に対する意識強化

研究のまとめ 【成果】

2 交流・学習形態・評価を工夫して、児童一人一人に有用感のある実践的な話す活動・聞く活動をさせることにより、相手の立場や考えを尊重しながら適切に話したり聞いたりする力(伝え合う力)を高めることができた。

目的を明確にした交流

よりよい活動のイメージ

適切な話し方・聞き方

次の活動につながる学習評価

高め合い・自己肯定感

「伝え合う」ことの意欲の継続

目的に対応した学習形態

相手(聞き手・話し手)意識

相手の立場・考えの尊重

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3 話すこと・聞くこと」領域における指導事項の系統表を作成したことで、身に付けたい力や学年の系統性を把握できた。

研究のまとめ 【成果】

4 交流タイムを他教科でも位置付けたことで、自分の考えを伝え合う力が高まってきた。

みんなのせかい

はきはきあいさつ

よろしくね

ともだちにはなそ

う きいてつたえよう

はなしたいなきき

たいな

「すきなものクイ

」をしよう

「じ

ゃんけんやさ

」をひらこう

4月(4) 4月(2) 4月(2) 5月(4) 6月(2) 8月(5) 9月(8) 2月(10)

話題設定や取材

ア 考えたことや伝えたいことなどから話 題を決め,収集した知識や情報を関係 付けること。

◎イ 目的や意図に応じて,事柄が明確に 伝わるように話の構成を工夫しながら, 場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。

○ ○ ◎

ウ 共通語と方言との違いを理解し,ま た,必要に応じて共通語で話すこと。 ○ ○ ○ ◎ ○

聞くことエ 話し手の意図をとらえながら聞き,自 分の意見と比べるなどして考えをまとめ ること。

話し合うこと

オ 互いの立場や意図をはっきりさせなが ら,計画的に話し合うこと。 ◎

1年学年

教科書教材名

月(時数)

話すこと指導事項

     「話すこと・聞くこと」領域年間指導計画   1年

研究のまとめ 【課題】

1 ゴールを見通した単元計画の作成を継続すること。

2「話すこと・聞くこと」領域における指導事項の系統表を見直し、身に付けたい力をさらに焦点化すること。

3 各単元の指導事項と児童の実態に合わせた多様な言語活動を工夫すること。

4 他教科・領域、日常指導に「交流タイム」を意識的に取り入れるなど、教育活動全体を通して伝え合う力を高める指導を行うこと。

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平成27・28年度遠野市教育員会研究指定

遠野市立遠野小学校 学校公開研究会 Ⅰ 研究の概要

学校教育目標

1 研究主題 伝え合う力を高める授業

―国語科「話すこと・聞くこと」領域における、見通しと言語活動の工夫を通して― ※ 「伝え合う力を高める」とは

⑴ 人間と人間との関係の中で互いの立場や考えを尊重すること ⑵ 言語を通して適切に表現する力・理解する力を高めること

2 研究目標

伝え合う力を高める授業のあり方を、国語科「話すこと・聞くこと」領域における、見通

しと言語活動を工夫する授業実践を通して明らかにする。 3 手立て

⑴ 見通しのもたせ方の工夫 ⑵ 言語活動の工夫

ア ゴールを見通した学習計画の作成 ア 目的を明確にした交流 イ 単元や本時の学習の導入時の工夫 イ 目的に対応した学習形態 ウ 既習や学習内容の確認 ウ 次の活動につながる学習評価

4 日常指導

⑴ 話し方名人・聞き方名人「あいうえお」 ⑵ 交流タイム ⑶ ボイストレーニング

5 遠野中学校区授業改善の視点

視点1 課題意識の持続 視点2 達成状況の把握

本気で自ら学ぶ子ども 心豊かでやさしい子ども たくましく丈夫な子ども

今日的課題

・生き抜く力の育成 ・アクティブラーニング ・いわての復興教育 ・「確かな学び・豊かな学

び」の実現

児童の実態

・相手の話を素直に聞くこと

ができる。 ・相手や目的に応じて、自分

の考えを伝えることが苦手

である。 ・話し合いが、意見発表で終

わってしまう。

目指す子ども像

1 互いの立場や考えを尊

重する子ども 2 言語を通して適切に表

現・理解できる子ども

14

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Ⅱ 研究の実際

1 見通しのもたせ方の工夫

⑴ ゴールを見通した学習計画の作成

○ 学年・単元名 2年 「たからものをしょうかいしよう」

○ 単元目標 ・「始め」「中」「終わり」の組み立てで、話す事柄を順序立てて話す

ことができる。

・みんなに聞こえるように声の大きさや話す速さに注意してはっきり

と話すことができる。

【教師の宝物紹介モデル】

○ 学年・単元名 4年 「メモの取り方をくふうして聞こう」

○ 単元目標 ・話の組み立てが分かるようにメモの取り方を工夫しながら聞き、質

問をして必要な情報を補うことができる。

【児童の学習計画(ふりかえりカード)】

伝え合う力を高めるためには、児童が自信をもって「話すこと・聞くこと」の活動に取り

組む必要がある。しかし、相手の立場や考えを尊重しながら、言語を通して適切に表現・理

解することに、苦手意識をもつ児童は少なくない。 そこで、単元や1単位時間の授業に対する見通しをもたせ、課題(身に付けたい力)を意

識して、安心して伝え合う活動ができるように手立てを組んだ。

単元の導入で、教師が自分の宝物(メリーゴーランド)を児童

に見せ、簡単に紹介をした。児童は、どうしてそれが宝物なのか、

特徴は何か等様々な質問をした。そのような質問に答えながら、

「はじめ」「中」「終り」の組み立てで話すとよく伝わることに

気付かせた。また、自分の宝物も紹介したいという意欲をもたせ

ることができた。 みんなの宝物も紹介をしようと投げかけ、そのために相手によ

く伝わるように話す練習と発表会の学習計画を立てた。

単元の導入で、教師が教科

書を参考に「クラムチャウダ

ーの作り方」を紹介した。メ

モを取りながら聞いたが、ほ

とんどの児童が、うまく聞き

取ることができなかった。 翌月の社会科見学を見据

え、児童は、今の自分たちが

身に付けたい力を話し合っ

た。見学場所で困らないよう

にしたいという願いをもっ

て、メモや質問、聞き取りの

練習計画を立てた。

15

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⑵ 単元や本時の学習の導入の工夫

○ 学年・単元名 2年 「あそびのやくそくを話し合おう」 ○ 本時の目標 ・仲良く遊ぶための約束について話し合うために、自分の考えとその

理由をはっきりと話すことができる。

【わけを挙げた話し方のよさを確認し合う】 【わけを挙げて話すことのよさを学んだ板書】

○ 学年・単元名 4年 「案内係になろう」

○ 単元の目標 ・問い合わせに応じて、資料から必要な事柄を見つけ、補足すべき事 柄も加えて案内することができる。

【学習シート】

16

単元導入の授業の冒頭で、「あなたは、

水族館の案内係です。」と告げ、水族館

の館内地図と告知を提示した。児童は、

水族館の案内係という設定に興味をも

ち、自分がしっかり案内しなければ、お

客さんが困ると考え、そのための技能を

身に付けたいと意欲的であった。上手に

案内するというゴール(目標)のために、

どんな説明の仕方が適切かを学ぶ学習で

あることを、児童に理解させることがで

きた。

案内係になるという設定が、児童の意

欲を高め、実際に係の人になったつもり

でアナウンス原稿を書いたり、話す練習

をしたりすることができた。

授業の導入で、学級レクでの大なわ跳びの仕方について話し合う3年生の様子(DVD)

を見せた。その後、教師が同じ話題で意見を出して、児童に点数をつけさせた。児童は、3

年生が意見を述べる際に理由をつけていたが、理由の無い教師の話し方には 10 点満点で5点

という厳しい点数をつけた。 2つのモデルを比較させ点数化させたことで、児童は、分かりやすい話し方をするために

は、わけを挙げた方がよいという見通しをもつことができた。 展開では、わけを挙げて話すことを意識しながら、ペアで話す練習をすることができた。

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⑶ 既習や学習内容の確認

○ 学年・単元名 3年 「グループで話し合おう」

○ 本時の目標 ・司会の進行に沿って、グループで話し合いをすることができる。

(①同じところ・ちがうところ ②司会者・参加者の話し方)

【グループでの話し合い】

○ 学年・単元名 6年 「町の未来を考え、プレゼンテーションをしよう」

○ 本時の目標 ・提案のよさが伝わるように聞き手を意識してプレゼンテーションを

することができる。

・話し手の意図をとらえて自分の意見と比べながら聞くことができる。

本時の課題を確認した後、「話し合いの進め方」

を紙板書で確認し、本時の活動の見通しをもたせ

た。

グループの中で、互いの共通点や相違点を考え、

司会者・参加者の役割を果たすためには、話し合い

の進め方を全員に理解させる必要があると考えた。

4・5人のグループで、司会者を中心に「話し合

いの進め方」を確認しながら話し合いを進めた結果

①~④の各活動における司会者・参加者の適切な話

し方を意識しながら、話し合うことができた。

1回目の話し合いを振り返らせ、課題を整理して

から2回目を行ったことで、司会者・参加者の話し

方等をより意識した話し合いをさせることができ

た。

話し合いの進め方

話し合うことをた

しかめる。

意見を出し合う。

それぞれの意見に

ついて話し合う。

意見をまとめて決

めたことをたしかめ

る。

第4次(プレゼンテーション)

の導入で、前時までの学習を振

り返り、「発表するとき・聞く

ときの視点」を確認した。また、

本時の「学習の流れ」も確認し

た。 始めに、学習の視点と流れを

確認したことで、児童は、課題

(身に付けたい力)を明確に意

識して、伝え合う活動(プレゼ

ンテーション)を行うことがで

きた。 発表後のペアでの話し合いや

全体での交流では、視点に沿っ

た具体的な感想・助言・提案が

多く出された。

学習の流れ

〈発表するグループ〉

①グループごとにプレゼンテーションをする。

〈聞くグループ〉

②観点に気を付けて聞く。

③ワークシートにメモする。

④ペアで話し合う。

⑤感想・助言・提案等を交流する。

発表するとき・聞くときの視点

①構成(伝えたい中心、分かりやすい構成)

②内容(描いた町と提案の内容、事例のつながり)

③資料(意図に合っているか、適切な説明、分かり

やすい提示)

④話し方(はっきり、大きく、ゆっくり、反応に合

わせて)

17

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2 言語活動の工夫

⑴ 目的を明確にした交流

○ 学年・単元名 1年 「きいてつたえよう」 ○ 本時の目標 ・連絡の聞き方に気をつけて、

大事なことを落とさずに聞

いたり伝えたりすることが

できる。

【こえのゆうびんをとどける】

○ 学年・単元名 3年 「話したいな、うれしかったこと」 ○ 本時の目標 ・相手に気持ちが伝わるように、適切な言葉や表現の工夫を考えて話

すことができる。

【4つのポイントに沿ってアドバイスを書く】

18

伝え合う力を高めるためには、児童が活動の有用性を理解し、具体的な活動を経験させ

る必要がある。しかし、「話すこと・聞くこと」の単元は、教師の一方的な説明や教科書

をなぞる一斉授業で終わってきたという反省があった。 そこで、児童一人一人に、有用感のある実践的な話す活動・聞く活動(言語活動)をさ

せることを通して、相手の立場や考えを尊重しながら、適切に話したり聞いたりできる児

童を育てたいと考えた。児童の伝え合う力を高めるために、交流・学習形態・評価につい

て工夫した。

大事なことを落とさずに聞く力をつけるためには、児童が興味をもって話を聞くことが

できる活動をする必要があると考えた。

そこで、児童を「こえのゆうびんやさん」と称して、連絡ゲームを行うことにした。

児童は「こえのゆうびんやさん」という言語活動に興味をもち、喜んで学習に取り組ん

だ。教師からの連絡を友達に伝えるために、指で数えたリ復唱したりして、大事なことを

落とさずに聞こうと真剣に取り組んでいた。

連絡を友達に伝え「こえのゆびんやさん」の役目を果たした児童は、とても満足げであ

った。

うれしかったことのスピーチ発表会(3次)

の前時に、グループでの練習(2次)を行った。

それまでの学習をもとに、相手に気持ちが伝

わるように「①強弱 ②間の取り方 ③話す速

さ ④目を見て」の4つのポイントを設定し

た。発表前に、自分のめあてを発表し、聞き手

がアドバイスするという形を2回繰り返した。

発表の機会が2回設定されたことで、1回目

と2回目の発表の違い(良い変化)を認めるア

ドバイスが出され、児童の自信につながった。

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⑵ 目的に対応した学習形態

○ 学年・単元名 6年 「問題を解決するために話し合おう」

○ 本時の目標 ・話し合いの進め方に沿って進行し、互いの立場や意図を明確にして

関係付けながら話し合うことができる。

○ 学年・単元名 1年 「ともだちに はなそう」

○ 本時の目標 ・話す内容を考え、話の組み立

てに沿って、丁寧な言葉で話

すことができる。

【一人で話す】

【左右の席のペアで話す】

19

【モニターグループの意見】

・発言者の解決策に対して、「具体的にどの

ような取組を考えていますか」という司会

者の発言がよかった。

・解決方法で、条件に合っていないことは合

っていないと言った方がよい。

・司会者が、話の内容が条件からずれた時に、

まとめたところが良かった。

【話し合いグループの振り返り】

・条件から外れてきていたので、意見をよく

聞いて話し合いたい。

・発言するとき、途切れてしまうので、前の

人の意見をよく聞いて、途切れないように

したい。

学校探検で見つけた物をみんなで話す練習を

次の手順で行った。 ①1人で話す。(3回) ≪交流タイム≫ ②左右の席のペアで話す。 ・聞いた人から一言 ・ペアでハイタッチ ③前後の席のペアで話す。 ・聞いた人から一言

・ペアでハイタッチ 学んだ話し方を用いて話す力を養うために、

個人の話し方練習の後にペアでの話す・聞く活

動を行った。1年生の6月初めではあったが、

相手を意識した話ができるように、ペアでの活

動を多く取り入れた。聞いてもらえたことの嬉

しさが、ハイタッチの際の表情に表れていた。

「話し合いグループ」と「モニターグ

ループ」をペアで設定した。話し合いグ

ループが司会者・提案者を決めて問題解

決に向けた話し合いをしている様子を、

モニターグループが見て、気付いたこと

を伝えるという学習形態であった。 モニターとして見ることで、司会の役

割や話し合いの流れなどを客観的に判断

して助言をすることができた。ペアグル

ープとしてお互いに助言し合ったことで

互いの立場を認めながら、適切なアドバ

イスができた。司会者の役割や進め方、

参加者の発言の仕方など、解決型の話し

合いの仕方が分かり、第3次の全体での

話し合いにつなげることができた。

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⑶ 次の活動につながる学習評価

○ 学年・単元名 5年 「立場を決めて討論しよう」

○ 本時の目標 ・発言について、立場と理由を明確にとらえながら質問や質問への答

えを聞き、説得力があったかどうかを考えることができる。

【自分たちの討論を振り返る】

○ 学年・単元名 1年 「『すきなものクイズ』をしよう」

○ 本時の目標 ・問題やヒント、質問など、相手の話をよく聞いて、話の内容に沿っ

たやりとりをすることができる。

20

児童の討論を自己評価させ、次の活動につなげた。

前時の討論の様子をビデオで記録、編集した。編集し

た映像に振り返りのポイントをテロップにして入れた。

児童は、自分たちの討論の映像を見たことで、相手の

主張に対する解釈、自分たちの質問や反論が適切であっ

たかを自己評価することができた。

相手の主張や質問に対する答えがかみ合っていないこ

とに気付き、次の討論会に向けた留意点を学ぶことがで

きた。

単元の評価計画を立てる際、評価規準から、集

中して聞くことを苦手としているA児を抽出児と

した。A児は、聞かれていることの意味が分から

ないとあきらめてしまうことがよくある児童であ

った。A児の他に3名に躓きが予想された。

「すきなものクイズ」の活動中、評価規準に到

達していない児童には、質問の話型等の意図的な

支援を行った。A児には、「もう1回言ってくださ

い。」と聞き返すことを教え、あきらめずに聞くこ

とに取り組ませた。

A児をはじめ予め見取る児童を決めておいたこ

とで、児童の学習状況を適切に評価し、指導に生

かすことができた。また、支援が必要な児童への

手立ても事前に講じることができた。

【自己評価1】

T:昨日の討論会を見て、どこを改善すればよい

か話し合ってください。

C:話が途切れてしまうね。

C:反対グループの主張のメモを取ることが大事

だね。

C:質問されたことにどのように答えよう。

C:相手の理由をしっかり聞かないと、質問できな

【A児への支援】

C:私の好きな動物を当ててくださ

い。耳が長くてぴょんぴょん跳

ねます。

A児:(困っている)

T:Aさん、どんな質問したいの?

A児:聞こえなかった。

T:そんな時は、「もう1回言って

ください。」と言ってごらん。

A児:もう1回言ってください。

C:(もう一度問題とヒントを話す)

A児:わかった。うさぎですね。

【自己評価2】

T:視点に沿って振り返りましょう。

C:今日は VTRを見て、相手が質問し

てきたことに対して、うまく答えら

れていないことに気付きました。グ

ループで直したいことを確かめら

れたので、次の討論会で生かしたい

です。

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Ⅲ 研究のまとめ

1 成果と課題

【成果】

⑴ 単元や1単位時間の授業に対する見通しをもたせたことにより、児童は、課題(身に付け

たい力)を意識して、伝え合う活動ができるようになった。 ⑵ 交流・学習形態・評価を工夫して、児童一人一人に有用感のある実践的な話す活動・聞く

活動をさせることにより、相手の立場や考えを尊重しながら適切に話したり聞いたりする力

(伝え合う力)を高めることができた。 ⑶ 「話すこと・聞くこと」領域における指導事項の系統表を作成したことで、身に付けたい

力や学年の系統性を把握できた。 ⑷ 交流タイムを他教科でも位置付けたことで、自分の考えを伝え合う力が高まってきた。 【課題】

⑴ ゴールを見通した単元計画の作成を継続すること。

⑵ 「話すこと・聞くこと」領域における指導事項の系統表を見直し、身に付けたい力をさら

に焦点化すること。

⑶ 各単元の指導事項と児童の実態に合わせた多様な言語活動を工夫すること。

⑷ 他教科・領域、日常指導に「交流タイム」を意識的に取り入れるなど、教育活動全体を通

して伝え合う力を高める指導を行うこと。

ア ゴールとなる言語活動を見通した学習計画を児童と共に作成したことにより、身に付けた い力を意識した単元学習を行うことができた。

イ 単元や本時の学習の導入時に、比較や条件設定によって学習の見通しをもたせたことによ

り、児童は、学習課題を意識して学習を進めることができた。 ウ 学習の流れや話し合いの進め方、発表の視点などを確認することにより、児童は、具体的

な活動内容を意識して学習を進めることができた。

エ 目的を明確にして交流を仕組んだことにより、児童は、学習課題を意識して学習を進める ことができた。

オ 目的に対応した学習形態を整えたことにより、児童は、相手の立場や考えを尊重しながら 適切に話したり聞いたりすることができた。

カ 評価を意識して授業を展開したことにより、話す活動・聞く活動を支える支援を行うこと

ができた。

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第 1 学年 国語科学習指導案 日 時 平成28年9月14日(水)

児 童 1年2組 男15名 女6名 計21名

授業者 柳下 美智代

1 単元名 はなしをよくきいて,しつもんしたり,しつもんにこたえたりしよう

教材名 「『すきなものクイズ』をしよう」(東京書籍1年下)

2 身に付けさせたい力と言語活動の構想

〈既習〉

・知らせたいことをみんなの前で丁寧な

言葉遣いで話す。

・連絡し合う学習を行い,大事なことを

落とさないように気を付けて聞く。

〈児童の実態〉

・丁寧な言葉遣いで,文末まで話せるよう

になってきた。 ・自分の伝えたいことを一方的に話し,満足

している。 ・友達の話す内容には,興味をもたず,最後

まで聞く態度が身に付いていない。

〈身に付けさせたい力〉

◎互いの話を集中して聞き,話題に沿っ

て話し合うこと。 (話すこと・聞くこと オ)

〈言語活動〉

・互いの話をよく聞いて,質問したり質問

に答えたりして,「すきなものクイズ」

をすること。

(言語活動例 イ)

〈単元のゴールの姿〉

○友達の話をよく聞いて質問したり,はっきり答えたりすることができる。

A「ぼくの好きな果物を当ててください。ヒントを出します。細長いです。 さて,なんでしょう。」

B「どんな色ですか。」 A「色は,黄色です。」 B「どうやって食べますか。」 A「皮をむいて食べます。」 B「〇〇さんのすきな果物は,バナナですね。」 A「正解です。」

「すきなものクイズ」のポイント

<話すとき> <聞くとき>

・姿勢 ・相手を見る

・口の形 ・最後まで聞く

・速さ ・うなずく

好きなもの

はっきり伝える。

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3 単元の目標 ・好きなものを当てるクイズを出し合うことに関心をもち,進んで話したり聞いたりしようとし

ている。 (関心・意欲・態度)

◎ 好きなものについて,相手の話をよく聞いて,質問したり質問されたことに答えたりして話の 内容に沿って話し合うことができる。

(話すこと・聞くこと オ) ・言葉には,事物の内容を表す働きがあることに気付いて話したり聞いたりすることができる。

(伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 イ(ア))

4 単元の評価規準

国語への関心・意欲・態度 話す・聞く能力 言語についての知識・理解・技能 ・好きなものを当てるクイズ

を出し合うことに関心をも

ち,進んで話したり聞いた

りしようとしている。

観察・発言

・好きなものについて,相手の話

をよく聞いて,質問したり質問

されたことに答えたりして話

の内容に沿って話し合ってい

る。

オ 観察・発言

・言葉には,事物の内容を表す働

きがあることに気付いて話した

り聞いたりしている。

イ(ア)観察・発言

5 単元の指導計画(8時間) 次 時 主な学習活動 見通しと言語活動の手立て 評価規準 第

・教師が出題したクイズ

に質問したり答えたり

して「すきなものクイ

ズ」への意欲を持たせ, 学習計画を立てる。

・教師が出題したクイズを基に質問した

り答えたりして,学習に興味をもたせ

るとともに,「すきなものクイズ」を

出し合うという単元のゴールの姿を

イメージさせる。 【見通し】

・好きなものを当て

るクイズを出し合

うことに関心をも

ち,進んで話した

り聞いたりしよう

としている。 (観察・発言)

2 ・好きなものを種類ごと

に集め,ヒントの観点

(大きさ,色,形等)

を考える。

・好きなものを当ててもらうために、ど んなことをヒントにするとよいかを 教科書を例にしてイメージをもたせ る。

【見通し】 ・必要なヒントの観点について考えるた

めに,ペアで交流させ、発表させる。 【言語活動】

話・聞 オ

・好きなものを当て

るクイズを出すた

めに,ものの特徴

が伝わるヒントを

考えている。 (観察・発言・カ

ード) 3 ・クイズを作る。 ・教科書の「クイズカード」の書き方の

モデルを確認し,書き方をイメージさ

せる。 【見通し】 ・実際に教師とクイズを出し合い、尋ね

たり応答したりする練習をすること

で、ヒントの観点に気付かせる。

【言語活動】

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・「すきなものクイズ」で

話すとき・聞くときの

ポイントを学ぶ。

・良い例と悪い例を比較させ,話すと

き・聞くときのポイントに気付かせ

る。 【見通し】 ・教材文をペアで役割読みさせ,話すと

き・聞くときのポイントについて交流

させ,「すきなものクイズ」のポイン

トを考えさせる。 【言語活動】

話・聞 オ

・質問の仕方や応答

の仕方に気を付け

て練習している。 (観察・発言)

5 ・グループで「すきなも

のクイズ」を出し合い,

練習をする。 (1 回目)

・前時で学習した「すきなものクイズ」

のポイントを確認し,本時の進め方を

モデルで示すことで活動の見通しをも

たせる。 【見通し】

・4 人グループで,「すきなものクイズ」

の練習をし,様子を見合い、「すきな

ものクイズ」のポイントについて交流

させる。 【言語活動】

話・聞 オ

・「すきなものクイ

ズ」を出し合う

ときのポイント

に気を付けて,

質問したり答え

たりして練習し ている。 (観察・発言)

言 イ(ア)

・言葉には,事物の

内容を表す働き

があることに気

付いて話したり

聞いたりしてい

る。 (観察)

6 ・ グループで「すきな

ものクイズ」を出し

合い,練習をする。 (2 回目)

・前時の学習を振り返り,「すきなもの

クイズ」のポイントを確認すること

で,どんなことができれば課題達成か

を明示し、本時のゴールの見通しをも

たせる。 【見通し】

・前時の 4 人グループでの出題者と解答

者を入れ替え,「すきなものクイズ」の

練習をさせる。様子を見合い「すきな

ものクイズ」のポイントについて交流

させる。 【言語活動】

7 ・「すきなものクイズ」を

出し合う。①

・これまでの学習を振り返り,「すきな

ものクイズ」のポイントについて確か

め,本時の学習内容のイメージをもた

せる。 【見通し】

・一組ずつ全体の場でクイズを行い,や

り取りの様子を見合い,「すきなもの

クイズ」のポイントについて交流させ

る。 【言語活動】

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8(本時)

・「すきなものクイズ」を

出し合う。②

・単元の学習を振り返り,

話し合うときの話し方

や聞き方についてまと

める。

・前時の「すきなものクイズ」のやり方

を振り返らせ,本時は相手を替えて繰

り返し行うことを知らせ,見通しと意

欲をもたせる。 【見通し】

・これまで学習してきたことを使って,ク

イズを出し合い,相手を替えて質問した

り答えたりして「すきなものクイズ」を

繰り返し行わせる。 【言語活動】

話・聞 オ

・好きなものについ て,相手の話をよ く聞いて,質問し たり質問されたこ とに答えたりして 話の内容に沿って 話し合っている。

(観察・発言)

6 本時の学習(8時間/8時間)

(1) 目 標

好きなものについて,相手の話をよく聞いて,質問したり質問に答えたりして,話の内容に

沿って話し合うことができる。

(2)展 開

階 活 動 内 容 ○手立て ・留意点 ◇評価規準 備 考

入 5 分

1 前時までの活

動と,身に付

けたい力を確

かめる。 2 本時の課題を

確かめる。

・学習計画表をもとに,身に付けたい力をおさえながら,本

時は単元の最後の学習であることを確かめ、活動の見通し

をもたせる。 ○前時の「すきなものクイズ」のやり方を振り返らせ、本時

は相手を替えて繰り返し行うことを知らせ,活動の見通し

と意欲をもたせる。 【見通し】

・これまでの学習を振り返り,「すきなものクイズ」の話し方

や聞き方について確かめ,本時の学習のイメージをもたせ

る。 ・本時で特に気を付けたいことや頑張りたいこと等を発表さ

せ,意欲的に取り組ませるようにする。

中学校区 視点1

「すきなものクイズ」のポイントにきをつけて、たくさん

のともだちとはなそう。

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3 学習の流れを

確かめる。

・学習の流れを提示して本時の流れを確認する。 ・クイズのやり方をモデル提示し,クイズのやり方をつかま

せる。

開 25 分

4. 学習課題に

取り組む。 ・「すきなもの

クイズ」を出

し合う。

○これまで学習してきたことを使って,クイズを出し合い,

相手を替えて質問したり答えたりして「すきなものクイズ」

を繰り返し行わせる。 【言語活動】 ・始める前には,「お願いします」終わりには,「ありがとう

ございました」などの挨拶をすることで,相手を意識して

応答させる。 ・どうしても答えが分からない場合は,質問を追加したり,

答えを教えてあげたりしてもよいことを知らせる。 ・活動後は,一言感想を述べ合い,握手させることで,話し

合う楽しさを感じさせる。 ・支援の必要な児童には,基本の話型を想起させたり、質問

を考えて助言を与えたりして,一緒に活動できるようにす

る。 ・予め,評価する児童を決めておき,活動を観察し,評価す

る。 ・3人とクイズを出し合ったら、全体でクイズのやりとりを

確かめ、後半の活動に生かせるようにする。 ・よりよい話し合いをしているペアを全体で取り上げ、モデ

ルとして示す。 ◇好きなものについて,相手の話をよく聞いて,質問したり

質問されたことに答えたりして話の内容に沿って話し合っ

ている。 話・聞 オ(観察・発言)

末 15分

5 学習の振り

返 り を す

る。

・本時で頑張りたいことについて、意識して活動できたか発

表させ、活動を振り返らせる。

中学校区 視点2

今日は、○○さんとクイズをしました。聞いて答えること

を頑張りました。楽しかったです。

①クイズ ②今日の振り

返り ③単元の振り

返り

〈クイズのやり方〉 ①ペアになる ②あいさつ ③クイズを出す(一人目) ④カードに名前を書く ⑤クイズを出す(二人目) ⑥カードに名前を書く ⑦感想 ⑧あくしゅ・あいさつ

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*遠野中学校区授業改善の視点に関わって

視点1〈課題意識の持続のために〉

・本時で特に気を付けたいことや頑張りたいこと等を発表させ,意欲的に取り組ませるよ

うにする。 視点2〈達成状況の把握のために〉

・本時で頑張りたいことについて、意識して活動できたかどうかを発表させ、活動を振り 返らせる。

(3)板書計画

6 単元の学習

を 振 り 返

る。

・話し合うことで感じたことを尋ね,話し合うことの楽しさ

や話し方や聞き方に気を付けることで,気持ちよく話し合

うことができることに気付かせる。 ・身に付けたい力やクイズの様子について振り返らせ、学習

のまとめを行い、今後の話し合いに生かせるようにする。

・振り返り

シート

「すきなものクイズ」のポイントにきをつけて、

たくさんのともだちとはなそう。

がくしゅうのながれ

①すきなものくいず

②きょうのふりかえり

③たんげんのふりかえり

「すきなもの」クイズをしよう

がんばりたいこと

・ともだちのはなしをきくこと。

・しっかりこたえたい。

りかえり

かだい B

①ペアになる ②あいさつ ③クイズにこ

たえる ④カードにな

まえをかく ⑤A と B がい

れかわる ⑥かんそう ⑦あくしゅ あいさつ

A ①ペアになる ②あいさつ ③クイズをだ

す ④カードにな

まえをかい

てもらう ⑤AとBがいれ

かわる ⑥かんそう ⑦あくしゅ あいさつ

クイズのやりかた

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目標

1年 2年 1年 2年 1年 2年 1年 2年

指導事項

つけたい力・教材名

・話したいことを 見つけて,みん なに向けて話 す。「みんなのせか い」

・必要な事柄を思 い出して,みん なの前で話す。「ともだちにはな そう」

・紹介するものを 決め、紹介する ために必要な事 柄を考える。「たからものを しょうかいしよ う」

・紹介するものを 決め,説明に必 要な事柄を考え る。「『おもちゃ教 室』をひらこ う」

・場面や相手に合 わせ,どんな言 葉遣いでどんな 挨拶をすればよ いか考えて話 す。「はきはきあいさ つ」

・自己紹介という 改まった場に適 した言葉遣いで 話す。「よろしくね」

・話の組み立てに 沿って話す。「はなしたいなき きたいな」

・説明に必要な事 柄を順序よく話 す。「『じゃんけんや さん』をひらこ う」

・聞き手に分かり やすい順序を考 えて事柄ごとに 詳しく話す。「ことばで絵をつ たえよう」

・必要な事柄を順 序立てて話す。「たからものを しょうかいしよ う」

・手順に沿って話 す事柄を順序立 て,分かりやす く丁寧に話す。「『おもちゃ教室 をひらこう』」

・友達の話を興味をもって聞く。

「ともだちにはな そう」

・大事なことを落 とさないように 聞く。「きいてつたえよ う」

・友達の話を聞い て感想や質問を 伝える。「はなしたいなき きたいな」

・大事なことを落 とさないように 興味をもって聞 く。「たからものを しょうかいしよ う」

・大事なことを落 とさずに聞き, 短い言葉でメモ に書く。「まよい犬をさが そう」

・相手の話をよく 聞いて,質問し たり質問に答え たりして話し合 う。「『すきなものク イズ』をしよ う」

・互いの考えをよ く聞いて,話題 に沿って話し合 い,グループの 考えをまとめ る。「あそびのやくそ くを話し合お う」

3年 4年 3年 4年 3年 4年 3年 4年

指導事項

つけたい力・教材名

・調べたいことを 決め,調べる方 法を選んだり必 要な情報や資料 を集めたりす る。「町について調べ てしょうかいし よう」

・調べたい話題を 決めてアンケー トで調べ,その 結果を整理す る。「報告します,み んなの生活」

・聞き手に伝わる ように事柄を選 び,筋道を立て て話す。「話したいな,う れしかったこ と」

・事柄を筋道立て て整理し,資料 を見せながら聞 き手に分かりや すく話す。「町について調べ てしょうかいし よう」

・相手の質問に応 じて,必要な事 柄を選んで丁寧 に話す。「案内係になろ う」

・目的に合わせて 図表やグラフを 用いながら,聞 き手に分かりや すく筋道立てて 話す。「報告します,み んなの生活」

・話のまとまりに 気をつけて,話 の要点をメモに 取りながら聞き 取る。「インタビューし てメモを取ろ う」

・話の中心に気を つけて聞く。「話したいな,う れしかったこ と」

・話の組み立てを とらえながら聞 いてメモを取 り,メモをもと に不足情報につ いて質問する。「メモの取り方を 工夫して聞こ う」

・司会の進行に 沿ってグループ で話し合う。「グループで話し 合おう」

・自分の役割を意 識しながら,議 題に沿って話し 合う。「クラスで話し合 おう」

5年 6年 5年 6年 5年 6年 5年 6年

指導事項

中一

(1)目的や場面に応じ,日 常生活にかかわることな どについて構成を工夫し て話す能力,話し手の意 図を考えながら聞く能 力,話題や方向をとらえ て話し合う能力を身に付 けさせるとともに,話し たり聞いたりして考えを まとめようとする態度を 育てる。

指導事項

中二

(1)目的や場面に応じ,社 会生活にかかわることな どについて立場や考えの 違いを踏まえて話す能 力,考えを比べながら聞 く能力,相手の立場を尊 重して話し合う能力を身 に付けさせるとともに, 話したり聞いたりして考 えを広げようとする態度 を育てる。

指導事項

中三

(1)目的や場面に応じ,社 会生活にかかわることな どについて相手や場に応 じて話す能力,表現の工 夫を評価して聞く能力, 課題の解決に向けて話し 合う能力を身に付けさせ るとともに,話したり聞 いたりして考えを深めよ うとする態度を育てる。

指導事項

28

エ 話し手の意図をとらえながら聞 き,自分の意見と比べるなどして考 えをまとめること。

オ 互いの立場や意図をはっきりさせ ながら,計画的に話し合うこと。

つけたい力・教材名

・立場と,説得力 のある理由や具 体例を関係付け る。「立場を決めて討 論しよう」

・集めた情報を観 点ごとに整理し 必要な情報を選 んだり組み合わ せたりする。「和の文化につい て調べよう」

・推薦する理由と 知識や情報を関 係付ける。「六年生におくる 字をすいせんし よう」

・複数の資料から 読み取った情報 を,目的に応じ て活用する。「町の未来をえが こう」

・話題を決め、伝 えたい内容に合 わせてエピソー ドを関係付け る。「出会いにありが とう」

・適切な理由を挙 げて意見を述べ ているかを考え ながら聞く。「意見と理由のつ ながりを聞き取 ろう」

・話し手の意図を とらえて,自分 と比べながら聞 く。「出会いにありが とう」

・互いの主張とそ の理由を明確に しながら,計画 的に話し合う。「立場を決めて討 論しよう」

イ 相手に応じて,話す事柄を順序立 て,丁寧な言葉と普通の言葉との違 いに気を付けて話すこと。

ウ 姿勢や口形,声の大きさや速さな どに注意して,はっきりした発音で 話すこと。

ア 関心のあることなどから話題を決 め,必要な事柄について調べ,要点 をメモすること。

イ 相手や目的に応じて,理由や事例 などを挙げながら筋道を立て,丁寧 な言葉を用いるなど適切な言葉遣い で話すこと。

ウ 相手を見たり,言葉の抑揚や強弱 間の取り方などに注意したりして話 すこと。

・伝えたい内容や 目的に合わせ, 資料を活用して 説明する。「和の文化につい て調べよう」

・説得力のある構 成を工夫して話 す。「六年生におくる 字をすいせんし よう」

・意図が伝わるよ うに話の構成や 話し方を工夫し て話す。「出会いにありが とう」

・意図に応じて, 資料を効果的に 活用して発表す る。「町の未来をえが こう」

ウ 聞き取った内容や表現の仕方を評 価して,自分のものの見方や考え方 を深めたり,表現に生かしたりする こと。

エ 話合いが効果的に展開するように 進行の仕方を工夫し,課題の解決に 向けて互いの考えを生かし合うこ と。

ア 社会生活の中から話題を決め,自分の経験や知識を整理して考えをまと め,語句や文を効果的に使い,資料などを活用して説得力のある話をする こと。

イ 場の状況や相手の様子に応じて話すとともに,敬語を適切に使うこと。

話題設定や取材 話すこと 聞くこと 話し合うこと

ア 日常生活の中から話題を決め,話 したり話し合ったりするための材料 を人との交流を通して集め整理する こと。

イ 全体と部分,事実と意見との関係 に注意して話を構成し,相手の反応 を踏まえながら話すこと。

ウ 話す速度や音量,言葉の調子や間 の取り方,相手に分かりやすい語句 の選択,相手や場に応じた言葉遣い などについての知識を生かして話す こと。

エ 必要に応じて質問しながら聞き取 り,自分の考えとの共通点や相違点 を整理すること。

オ 話合いの話題や方向をとらえて的 確に話したり,相手の発言を注意し て聞いたりして,自分の考えをまと めること。

エ 話の中心に気を付けて聞き,質問 したり感想を述べたりすること。

・複数の人の発言 について,共通 点と相違点を考 えながら,意見 と理由を正しく 聞き取る。「意見と理由を聞 き取ろう」

・納得できるか考 えながら聞く。「六年生におくる 字をすいせんし よう」

エ 大事なことを落とさないようにし ながら,興味をもって聞くこと。

オ 互いの話を集中して聞き,話題に 沿って話し合うこと。

オ 互いの考えの共通点や相違点を考 え,司会や提案などの役割を果たし ながら,進行に沿って話し合うこ と。

『話すこと・聞くこと』 各学年の目標及び内容・教材の系統表遠野市立遠野小学校 

ア 社会生活の中から話題を決め,話 したり話し合ったりするための材料 を多様な方法で集め整理すること。

イ 異なる立場や考えを想定して自分 の考えをまとめ,話の中心的な部分 と付加的な部分などに注意し,論理 的な構成や展開を考えて話すこと。

ウ 目的や状況に応じて,資料や機器 などを効果的に活用して話すこと。

エ 話の論理的な構成や展開などに注 意して聞き,自分の考えと比較する こと。

オ 相手の立場や考えを尊重し,目的 に沿って話し合い,互いの発言を検 討して自分の考えを広げること。

・目的を意識して 自分の意見を明 確に伝え,相手 の発言の意図を 考えながら話し 合う。「問題を解決する ために話し合お う」

高学年

(1)目的や意図に応じ,考 えたことや伝えたいこと などについて,的確に話 す能力,相手の意図をつ かみながら聞く能力,計 画的に話し合う能力を身 に付けさせるとともに, 適切に話したり聞いたり しようとする態度を育て る。

ア 考えたことや伝えたいことなどか ら話題を決め,収集した知識や情報 を関係付けること。

イ 目的や意図に応じて,事柄が明確 に伝わるように話の構成を工夫しな がら,場に応じた適切な言葉遣いで 話すこと。ウ 共通語と方言との違いを理解し, また,必要に応じて共通語で話すこ と。

(1)相手に応じ,身近なこ となどについて,事柄の 順序を考えながら話す能 力,大事なことを落とさ ないように聞く能力,話 題に沿って話し合う能力 を身に付けさせるととも に,進んで話したり聞い たりしようとする態度を 育てる。

低学年

中学年

(1)相手や目的に応じ,調 べたことなどについて, 筋道を立てて話す能力, 話の中心に気を付けて聞 く能力,進行に沿って話 し合う能力を身に付けさ せるとともに,工夫をし ながら話したり聞いたり しようとする態度を育て る。

ア 身近なことや経験したことなどか ら話題を決め,必要な事柄を思い出 すこと。

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み ん な の せ か い

は き は き あ い さ

つよ ろ し く ね

と も だ ち に は な

そ うき い て つ た え よ

うは な し た い な き

き た い な

「 す き な も の ク

イ ズ 」 を し よ う

「 じ ゃ ん け ん や

さ ん 」 を ひ ら こ

うこ と ば で 絵 を つ

た え よ う

ま よ い 犬 を さ が

そ うた か ら も の を

し ょ う か い し よ

うあ そ び の や く そ

く を 話 し 合 お う

「 お も ち ゃ 教

室 」 を ひ ら こ う

4月(4)

4月(2)

4月(2)

5月(4)

6月(2)

8月(5)

9月

(8)

2月

(10)5月

(5)

6月

(4)

9月

(7)

11月

(7)2月

(11)

話題設定

や取材

ア 考えたことや伝えたいことなどか

ら話

 題を決め,収集した知識や情報を関

係 付けること。

◎○

イ 目的や意図に応じて,事柄が明確

に 伝わるように話の構成を工夫しなが

ら,

 場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。

○○

◎◎

◎◎

ウ 共通語と方言との違いを理解し,ま

 た,必要に応じて共通語で話すこと。

○○

○◎

○○

○○

聞くこと

エ 話し手の意図をとらえながら聞き,自

 分の意見と比べるなどして考えをまとめ

 ること。

◎◎

話し合う

こと

オ 互いの立場や意図をはっきりさせ

なが

 ら,計画的に話し合うこと。

◎◎

○○

○○

○○

○○

○○

絵を見

て話

す挨

拶の

練習をする

自己

紹介

の練

習を

する

学校

探検

発表

会を

する

連絡

ゲー

ムをする

「虫

探し」

のことを

話す

「すきなも

のクイズ」

大会

をす

「じゃんけ

んや

さん」を開

クイズを

出す

迷い犬

・迷

子を探

宝物

発表

会をする

遊びの

約束

をグル

ープで話

し合

一年

生に

おもちゃ

の作

り方

を教

える

言 語 活 動 例

言語活動の具体例

     「話

すこと・聞くこと」領域

年間

指導

計画

   1・2年

1年

2年

学年

教科書教材名

月(時数)

話すこと

指 導 事 項

ア 資料を提

示しながら説明や報告をしたり,それ

ら を聞いて助

言や提案をしたりすること。

イ 調べたことやまとめたことについて,討論などをす

 ること。

ウ 事物や人物を推薦したり,それを聞いたりするこ

 と。

エ 知らせたいことなどについて身近な人に紹介

した

り,

 それを聞いたりすること。

29

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話 し た い な 、 う れ

し か っ た こ と

イ ン タ ビ ュ ー を し

て メ モ を 取 ろ う

グ ル ー プ で 話 し 合

お う町 に つ い て 調 べ て

し ょ う か い し よ う

案 内 係 に な ろ う

メ モ の 取 り 方 を く

ふ う し て 聞 こ う

ク ラ ス で 話 し 合 お

う報 告 し ま す 、 み ん

な の 生 活

5月

(6)

6月

(4)

9月

(7)

2月

(10)

5月

(4)

6月

(4)

9月

(7)

2月

(10)

話題

設定

や取

ア 考

えたことや

伝えたいことなどか

ら話

 題

を決

め,収

集した知

識や

情報

を関

係 付

けること。

○○

○イ 目

的や

意図

に応

じて,事柄

が明

確に

 伝

わるように話

の構

成を工夫

しなが

ら,

 場

に応

じた適

切な言

葉遣

いで話

すこと。

◎◎

ウ 共

通語

と方

言との

違いを理

解し,ま

 た,必

要に応

じて共

通語

で話

すこと。

◎○

聞くこと

エ 話

し手

の意

図をとらえなが

ら聞

き,自

 分

の意

見と比

べるなどして考

えをまとめ

 ること。

○◎

◎○

話し合

うこと

オ 互

いの

立場

や意

図をは

っきりさせ

なが

 ら,計

画的

に話

し合

うこと。

◎◎

○○

○○

○○

嬉しか

ったこ

とを筋

道立

ててスピーチす

インタビューし

て,まとまりに

気を付

けなが

らメモをとる

司会

者,発

言者

の役

割を意

識してグル

ープで話

し合

資料

を使

って

調べ

たことを

説明

する

施設

のリーフ

レットを使

って

案内

する

いろいろな説

明を聞

きなが

らメモを取り,

聞き取

りテス

トをする

司会

者,提

案者

,発

言者

の役

割を意

識し

て学

級会

をす

アンケート調

査の

結果

につ

いて,ポス

ターを用

いて

報告

する

指 導 事 項

話すこと

言 語 活 動 例

ア 資

料を提

示しなが

ら説

明や

報告

をしたり,それ

ら を聞

いて助

言や

提案

をしたりすること。

イ 調

べたことや

まとめたことについて,討

論などをす

 ること。

ウ 事

物や

人物

を推

薦したり,それ

を聞

いたりするこ

 と。

言語

活動

の具

体例

月(時

数)

     「話すこと・聞くこと」領

域年

間指

導計

画   3・4年

学年

3年

4年

教科

書教

材名

30

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意 見 と 理 由 を 聞 き

取 ろ う

立 場 を 決 め て 討 論

し よ う

和 の 文 化 を 受 け つ

ぐ  和 菓 子 を さ ぐ る

六 年 生 に お く る 字

を す い せ ん し よ う

意 見 と 理 由 と の つ

な が り を 聞 き 取 ろ

う問 題 を 解 決 す る た

め に 話 し 合 お う

町 の 幸 福 論

  コ ミ ュ ニ テ ィ デ

ザ イ ン を 考 え る

出 会 い に あ り が と

5月(3)

7月(9)

9月(10)

2月(5)

5月(3)

7月

(6)

9月

(11)

2月

(5)

話題設

定や取材

ア 考えたことや伝えたいことなどから話

 題を決め,収集した知識や情報を関係

 付けること。

○○

○イ 目的や意図に応じて,事柄

が明確に

 伝わるように話の構成を工夫しながら,

 場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。

◎◎

◎◎

ウ 共通語と方言との違いを理

解し,ま

 た,必要に応じて共通語で話すこと。

聞くこと

エ 話し手の意図をとらえなが

ら聞き,自

 分の意見と比べるなどして考えをまとめ

 ること。

◎○

◎○

話し合う

こと

オ 互いの立場や意図をはっきりさせなが

 ら,計画的に話し合うこと。

◎◎

○○

○○

○○

○○

共通

点と

相違

点を

考え

なが

ら意

見と

その

理由

を聞

き取

りメ

モを

取る

立場

を決

め,

自分

の主

張と

その

理由

を明

らか

にし

なが

ら討

論会

をす

和の

文化

につ

いて

調べ

たこ

とを

発表

する

推薦

する

漢字

を選

び,

6年

生に

発表

する

適切

な理

由か

どう

かメ

モを

取っ

て聞

問題

解決

のた

めの

学級

会・

話し

合い

調べ

たこ

とを

プレ

ゼン

テー

ショ

ンす

意図

が伝

わる

よう

に工

夫し

てス

ピー

チす

指 導 事 項

話すこと

言 語 活 動 例

ア 資料を提示しながら説明や報告をしたり,それら

 を聞いて助言や提案をしたりすること。

イ 調

べたことやまとめたことについて,討論などをす

 ること。

ウ 事物や人物を推薦したり,それを聞いたりするこ

 と。

言語活動の具体例

月(時数)

     「話すこと・聞くこと」領

域年

間指

導計

画   5・6年

学年

5年

6年

教科書教材名

31

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35 回目の「遠野の里の物語」