講 演 「社会福祉法人の...

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社会福祉法人による地域福祉実践研究会 ~北東北3県の社会福祉法人の地域福祉実践を検証~ 「社会福祉法人の 地域福祉実践を進めるために」 日本地域福祉研究所理事長 大橋 謙策 平成 30 年 10 月 23 日 社会福祉法人青森県社会福祉協議会

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社会福祉法人による地域福祉実践研究会 ~北東北3県の社会福祉法人の地域福祉実践を検証~

講 演

「社会福祉法人の

地域福祉実践を進めるために」

日本地域福祉研究所理事長

大橋 謙策 氏

平成 30年 10月 23日

社会福祉法人青森県社会福祉協議会

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略 歴 (2018年9月現在)おおはし けんさく

1.氏 名 大橋 謙策 (Ohashi Kensaku)

2.職 名 公益財団法人テクノエイド協会理事長 東北福祉大学大学院教授 日本社会事業大学名誉教授

3.生年月日 昭和18年10月26日生(74歳)

4.学 歴 昭和 42年 3月 日本社会事業大学卒業 昭和 48年 3月東京大学大学院教育学研究科博士課程(社会教育専攻)満期退学

5.職 歴 昭和 49年 4月 日本社会事業大学専任講師 昭和 59年 4月 日本社会事業大学教授平成 17年 4月 日本社会事業大学学長 (~22年3月)平成 22年 4月 日本社会事業大学特任教授 (~26年3月)

平成 23 年 4 月 日本福祉大学・淑徳大学客員教授 (~現在に至る) 平成 26 年4月 東北福祉大学大学院教授 (~現在に至る)

6.主な社会的活動(現任)

平成 12年 1月 特定非営利活動法人・日本地域福祉研究所理事長 平成 21 年 10 月 富山県福祉カレッジ学長(平成 24 年より富山県福祉推進顧問)

平成 22 年 6 月 一般財団法人・社会福祉研究所理事長 平成 23 年 7 月 公益財団法人・テクノエイド協会理事長 平成 26 年 6 月 一般社団法人・日本ユニットケア推進センター副会長

この他、「日本生命財団理事・高齢社会助成事業選考委員長」、「大和証券福祉財団理事」、「損保ジャパン日本興亜福祉財団理事」等に就任。

この間、日本学術会議第 18期・19期会員、日本社会福祉学会会長、日本地域福祉学会会長、日本福祉教育・ボランティア学習学会会長、放送大学客員教授等を歴任。

7.主な著書等

『社会教育と地域福祉』編著:全国社会福祉協議会、1978 年 2 月 『地域福祉の展開と福祉教育』単著:全国社会福祉協議会,1986年 『福祉教育の理論と展開』共編著:光生館, 1987年 『地域福祉』単著:放送大学教育振興会,1999年(1995年『地域福祉論』新訂版),『地域福祉計画策定の視点と実践』編著:第一法規,1996年 『コミュニティソーシャルワークと自己実現サービス』共編著:万葉舎,2000年『21世紀型トータルケアシステムの創造』共編著:万葉舎,2002年 『福祉 21ビーナスプランの挑戦』共編著:中央法規出版,2003年

『日本のソーシャルワーク研究・教育・実践の60年』編集代表相川書房,2007 年『社会福祉入門』単著:放送大学教育振興会,2008年

『地域福祉の新たな展開とコミュニティソーシャルワーク』単著:社会保険研究所2010年

『ケアとコミュニティ』編著、ミネルヴァ書房、2014年『地域包括ケアの実践と展望』共編著、中央法規出版、2014年『コミュニティソーシャルワークの理論と実践』共著、中央法規出版、2015年

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社会福祉法人による地域福祉実践研究会

『社会福祉法人の地域貢献と地域共生社会の実現』

――地域包括ケアシテムとコミュニティソーシャルワーク機能――

東北福祉大学大学院教授

公益財団法人テクノエイド協会理事長

大橋 謙策

(はじめに)

①・「我が事・丸ごと」の政策は戦後第 3 の“節目”――第1の節目 1961 年国民皆年金会保険、第2の節目 2000年介護保険――第3の“節目”ではなく、第5の“節目”(第1は 1961年、第2は 1971年「社会福祉施設緊急整備 5か年計画」、第3は 1990年社会福祉関係 8法改正、第4は公的介護保険、第5が「我が事・丸ごと」

② 新たな地域福祉計画の時代――1984年『地域福祉計画・理論と方法』(全社協)1990 年市町村社会福祉行政の計画化(行政の地域福祉計画と社会福祉協議会の地域福祉活動計画、2000年の社会福祉法における地域福祉計画の法定化、2017年の社会福祉法改正における“上位計画”としての地域福祉計画の努力義務化と社会

福祉協議会の「社協充実強化整備計画」の策定

Ⅰ、戦後社会福祉制度の展開と課題

① 憲法第 89 条、第 25 条と中央集権的機関委任事務体質・・・国家責任論、行政依存体

② 労働経済学的救貧政策とソーシャルワーク機能の喪失・・・戦前社会事業の積極的側

面と消極的側面

③ 自由・平等の教育と博愛思想の教育の欠落

④ 家族を“含み財産”と考え、重厚広大の産業構造に基づく右肩上がりの経済が持続

し、人口が増えること等を前提にした社会保障の制度設計

⑤ 1970 年までの経済的貧困に対する金銭的給付の時代――福祉事務所における「社

会福祉六法体制」と中央集権的機関委任事務体制

#「新しい貧困」の登場――金銭的給付の限界、生活技術能力・家政管理能力の脆弱化、

人間関係能力・社会関係能力の脆弱化と地域におけるソーシャルサポートネットワー

クの希薄化

## 社会福祉サービスの提供は地方自治体が基本――1966年江口英一論文(『日本におけ

る社会保障の課題』小谷義次『福祉国家論』所収)―イギリスの1968年シーボーム報告

での“第6の社会サービス”としてのパーソナルソーシャルサービスは地方自治体の責務

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### 1971 年「福祉事務所の将来は以下にあるべきかーー昭和 60 年を目標とする福祉センター構想」――1973年青森県新福祉事務所発足(東地方福祉事務所をモデル指定)、1990年社会福祉 8法改正(1993年実施)で終焉

#### 1966年行政管理庁勧告「社会福祉事業の運営改善」、1969年行政管理庁勧告「特養ホームの不足等の指摘」、1971年「社会福祉施設緊急整備 5か年計画」

、 1971年中央社会福祉審議会「コミュニティ形成と社会福祉」答申

⑥ 1970 年~1990 年までの入所型社会福祉施設整備の時代―1971年「社会福祉施

設緊急整備5か年計画」―「1 法人 1 措置施設経営の“指導”」(2006 年解除)

⑦ 1990 年~2000 年までの市町村における在宅福祉サービス整備の時代 ・・・社会福

祉行政のコペルニクス的転回と市町村社会福祉行政の計画化――1990年「社会

福祉関係八法改正」

⑧ 1990年「生活支援地域福祉事業(仮称)の基本的考え方について(中間報告)」

(座長大橋謙策)――潜在的ニーズ、多問題家族、社会的孤立、家政管理能力、外

国人問題、入退院支援家庭内暴力、コミュニティソーシャルワーク、チームアプロ

ーチ

⑨ 2000 年以降のサービス選択・利用の時代における在宅福祉サービスを軸にした地

域福祉の展開

⑩ 2005 年障害者総合支援法に基づく施設入所社会福祉の地域移行

⑪ 2008 年『地域における「新たな支え合い」を求めてーー住民と行政の協働による

新しい福祉――』(座長大橋謙策)

⑫ 2015 年『誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現――新たな時代

に対応した福祉の提供ビジョン』―――全世代交流型・全世代支援型地域包括ケア

子ども・障害者・高齢者全世代のワンストップサービス、全世代交流型の福祉サービ

スの提供と小さな拠点施設等

⑬ 2016年 7月「我が事・丸ごと地域共生社会」実現本部設置――2017年社会福祉法改正

Ⅱ、社会福祉施設の社会化と地域化――住民の生活支援の共同利用施設と在宅

福祉サービスの拠点化

① 大橋謙策・1978 年論文『施設の社会化と福祉実践』――入所型社会福祉施設の機能

を「環境醸成」、「求め応ずるに相談援助」、「直接的サービス提供と支援」に構造化し、

入所型施設が提供している6つのサービス・機能(空間的、精神的、栄養的、経済的、

身辺自立的、医療管理的)を個々人の実態に即してサービスをパッケージ化すること

を提起(図参照)

そうすれば、入所施設に“収容”する必要がなく、地域での自立生活を支援でき、か

つそれらの施設が住民の生活を守る共同利用施設になることを提起。(日本社会福祉

学会『社会福祉学』第 19号所収、1978年、)

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② 『施設の社会化論』には「施設の社会化」と「施設の地域化」の 2つがある。「施設の社会化」は縦割りのサービス提供を施設の合築や相互乗り入れも含めて多

機能を総合的に提供すること(富山型デイサービス、富山共生型グループホームや

高知県ふれあいあったかセンター方式等)である。

「施設の地域化」は“施設空間の地域化”、“施設職員の地域化”、“施設利用者の地

域化”、“社会福祉法人全体機能の地域化”を指摘した(今求められている社会福祉

法人の改革課題の一つである地域貢献、社会貢献の先取り)。(上記論文参照)

1987 年に上記のものを踏まえて「在宅生活自立援助ネットワ―ク」を論述し、「居住空間サービス」、「家政サービス」、「保健医療サービス」、「経済サービス」、「自己

実現サービス」からなるサービスの整備(各項目毎に、より細かく分解したサービ

スを明示)の必要性とそれを統合的にサービスパッケージ化させる必要性を提起。

また、それらのサービス提供に関しては通所型サービスの提供と訪問型サービス

の提供があり、それらサービス提供システムの拠点施設として「在宅福祉サービス

センター」を設置し、地域住民の地域での社会関係的自立援助の総合相談窓口及び

コーディネート機能の必要性を論述。

(大橋謙策「社会福祉思想・法理念にみるレクリエーションの位置」(日本社会事

業大学紀要・第34集所収、1987年、図参照)

(参考資料)

「地域福祉の考え方」

日本の社会福祉は、2000 年の社会福祉法への改称・改正以降、個人の尊厳、人間性の尊

重を踏まえ、地域での自立生活を支援する地域福祉という考え方がメインストリームにな

った。

地域福祉とは、区市町村を基盤に在宅福祉サービスを整備し、地域での自立生活を支援

するという目的を具現化することである。中でも、福祉サービスを利用することが今日の

ように一般化、普遍化しているにも関わらず、未だ福祉サービスの利用につながっていな

い福祉サービスを必要としている人々を発見し、とりわけ福祉サービスを必要としていな

がら、福祉サービス利用に繋がっていないヴァルネラビリティのある人(社会生活上にお

いて傷つきやすく、各種の脆弱性を有している人)と信頼関係を築き、それらの人々も含

めて地域での自立生活を支援するという社会福祉の新しい考え方である。

地域での自立生活支援においては、従来行ってきた低所得者への金銭給付や属性分野別

単身者への入所型施設における集団的、画一的なサービス提供方法やADL(日常動作能

力)を軸にしたアセスメント(生活診断)の方法、支援では不十分で、新たな視点と枠組

みに基づくアセスメントと支援の在り方が問われることになる。

地域福祉は、従来の「福祉六法」体制にみられる属性分野毎に定められたサービスを縦

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割り的に提供するのではなく、福祉サービスを必要としている人、あるいはその家族が必

要としている多様なサービスを有機化し、本人は固より、家族への支援も含めて横断的、

総合的にサービスを提供する新しい福祉サービス提供システムを創ることである。時には

地域で必要な福祉サービスを開発することやそれを具現化する財源確保方策も企画する。

地域福祉は上記のことを踏まえると必然的に区市町村社会福祉行政を再編成させざるを

得ない。従来の「申請主義」を前提にした「待ちの姿勢」ではなく、「アウトリーチして問

題を発見」し、ケアマネジメントの方法を活用して、それらの人々の問題を整理し、援助

方針を「本人の求めと専門職の必要とする判断とその両者の合意」に基づき立案し、伴走

的に、かつ継続的に関わるソーシャルワーク機能を展開できるシステムを区市町村に作る

ことである。

したがって、地域福祉を推進するためには、市町村の地域属性に即した地域福祉計画を

策定することが重要になる。

更には、地域での自立生活支援においては、地域住民のエネルギーがプラスにもマイナ

スにも働くので、地域のヴァルネラビリティのある人に対する差別、偏見、蔑視を取り除

き、排除しがちになる地域住民の社会福祉意識改革への取り組み(福祉教育)とそれらヴ

ァルネラビティの人々を包含し、支援するという個別支援を通して地域を変えていくとい

う住民参画型の福祉コミュニティづくり、ケアリングコミュニティづくりが重要になる。

Ⅲ、社会福祉における「自立」の考え方と戦前「社会事業」思想の復権

① 福祉六法体制にみる「自立」論と入所型施設サービスにおける経済的自立とADL

の「自立」論からの脱却

② 憲法25条に基づく救貧的自立、経済的自立、身体的自立から憲法 13 粂に基づく

その人の人間性を尊重する自己実現としての自立支援

③ 6つの自立要件とその前提としての住宅保障

・労働的・経済的自立、精神的・文化的自立、生活技術的・家政管理的自立、

身体的・健康的自立、社会関係的・人間関係的自立、政治的・契約的自立

・介護保険制度改正と介護支援専門員の位置――サービスマネジメント、コストマネ

ジメントからインフォーマルケアの開発・活用、QOLの保障への転換

④ 自立支援における社会事業思想の復権と主体性の確立・・・戦前社会事業思想にお

ける積極的・消極的機能、文部省における積極的社会事業と社会教育――地域福祉

の主体形成――“食わず嫌いのヴァルナエラビリティの人を想定した”「求めと必

要と合意」に基づくアセスメント及び支援計画立案とサービス提供

⑤ 自立生活支援における近隣住民による支え合いと負の側面――4つのソーシャル

サポートネットワーク(情緒的支援、手段的支援、評価的支援、情報的支援)と“の

ぞき見”主義、世間体文化、長いものに巻かれろ文化、結いと講による生活支援と

負の側面

⑥ 1970 年「心身障害者対策基本法」第 25 条の意欲喚起論

⑦ ICIDH(WHO・1980 年)からICF(WHO,2001 年)への転換――アセ

スメントの視点と枠組みの重要性――身体的機能障害から 生活機能障害への転

換・障害者観の変容と福祉用具の活用

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Ⅳ、地方自治体の主体性確立及び住民と行政の協働を促進する政策動向

① 1990 年社会福祉8法改正による社会福祉行政のコペルニクス的転回と市町村社会

福祉行政の計画化

・老人保健福祉計画、障害者計画、障害福祉計画、介護保険事業計画、地域福祉計画、

健康増進計画、次世代育成支援行動計画、子ども・子育て支援計画

② 2000 年社会福祉法による地域福祉の推進及地域包括ケア(保健・医療・福祉及び

その他関連するサービスの総合的提供)

・2006 年地域密着型サービス、地域包括支援センター

③ 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革を図るための関係法律の整備に関

する法律」(2011年成立)

・社会福祉法人許認可権の市への委譲、地域密着型サービスの設置要件などの市町村

条例化

・居宅介護事業所の市町村長許認可権(2015 年度)

④ 厚生労働省補助事業「安心生活創造事業」及び「地域支え合い体制づくり事業]

⑤ 国土交通省、農林水産省等の協働事業推進と「地方創生」事業

⑥ 「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現」(2015年9月)

⑦ 2017年社会福祉法改正――地域福祉計画の上位計画化、地域生活課題、住民参加 # 地域福祉計画の第4ステージ

Ⅴ『地域における「新たな支え合い」を求めてーー住民と行政の協働による新

しい福祉』(2008 年 3 月、座長大橋謙策)で示された社会福祉の新たな潮

流と自然発生的地域機能及び家庭機能の脆弱化

① 労働経済学を基盤とする救貧的社会福祉観からの脱却と新たに求められる新しい

社会哲学、社会システムーー憲法 25 条と 13 条との関係、ノーマライゼーション

② 住民と行政によるパートナーシップによる地域・社会づくりと専門職としての触

媒機能――イギリスの歴史との比較

・1601 年慈善信託法とエリザベス救貧法

・1948 年「ヴォランタリーアクション」と 1942 年「社会保険及び関連サービスにつ

いて」

・1969 年エイブスレポートと 1968 年シーボーム報告

・1982 年バークレイレポートとコミュニティソーシャルワーク

自然発生的、無意識的、伝統的地域の支え合いの脆弱化と新たな地域の支え合いの

構築――選択的土着民の形成と社会教育

・稲作農耕中心の産業構造とその文化、内と外、世間体、地域に潜む負の側面

・地域への幻想の払拭と再構築――直系家族による介護・養育の限界と「家」制度の

限界と崩壊――先祖崇拝及び墓・遺骨の維持管理形態・意識の変容

④ 人間形成の基盤となる家庭機能の脆弱化――『人間形成障害病』1978 年、久徳重

盛――子どもの貧困と家庭での食生活の貧困化、形成機能の貧困化・脆弱化

⑤「ケア」の考え方の再検討

・その人らしさを活かす自己実現を支えるケア、他者との関わり(関係性)の中で生

きることのケア、これらのケアを実現可能ならしめるアイデンティティのもてるケ

アリングコミュニティの形成

・『ケアの本質一生きる事の意味』(ミルトン・メイヤロフ、1987 年)

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(参考資料)

(ケアの考え方――介護福祉の考え方を問い直す)

ケアとは、自立的、自律的に日常生活を過ごすことを可能ならしめる身体的機能、

生活技術的機能、生活管理的機能、生命維持機能を十全に整容、保全し、持続的に日

常生活を営めるよう、その人個人の生活に焦点化させて支援を行う営みである。

したがって、ケアの理念は、支援を必要としている人の個人の意思及び意欲の尊重、

個人のナラティブ(生育史、願い、思い)の尊重、個人が慣れ親しんだ生活のリズム、

生活の行動様式、生活環境をできる限り尊重する個人の尊厳を旨としている。

更に、ケアは、個人に焦点化させた営みとはいうものの、人間が“社会的動物であ

る”ことを踏まえ、他者との会話、関わり、他者との交流における役割期待と評価等

関係をもつ相互が成長し合う他者との関係性が大切にされなければならない。

意図的、意識的営み(仮説ももった働き掛け)という労働が人間を成長させる。個

別ケアは、相手の生活の尊厳を踏まえ、最善に整えようとする意図的な、意識的な営

みであるが故に、ケアは相互成長をもたらすものであり、ケアとは支援する側が一方

的に支援を行うということではない。

# 従来のケア(介護福祉)は、入所型施設でのケアを中軸に考えられてきたが、ケ

ア(介護福祉)を考える場合、入所型施設サービスを分節化、構造化させると同時に、

地域自立生活支援におけるアセスメント及びケアマネジメントの視点、枠組みから再

検討することが重要になる。

## 従来のケアは、看護学、看護実践に引き付けられ、病棟看護を軸にした医学モデ

ルの外延で、呼吸することを保障することに寄与する療養環境の整備、身辺の整容、

ADLの改善、主体的病気克服への支援が主たる目的となりがちであった。

また、従来のケアは、憲法25条の“最低生活の保障の理念”を前提とした行政

の基準、要件に照らしてサービスの利用が決定され、サービス提供が始まるという力

学が強固に働く措置行政の文化を引き継いでいるために、どうしても“上から目線の

集団的、画一的ケア”になりがちで、憲法13条の理念を基にした幸福追求である自

己実現を目指した個別ケアの考え方が弱く、生活者としての喜び、生活の潤いを個別

に保障する考え方が弱かった。

⑥ 1939 年代にアメリカで体系化されたケースワーク、グループワーク、コミュニ

ティオーガニゼーションという 3分類社会福祉方法論の統合化――在宅福祉サー

ビスを軸にした地域生活支援の当然の帰結

ⅰ)Integrating Socia1 Work Methods』(1976 年)

ⅱ)バークレイ報告(1982 年)

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ⅲ)「生活支援地域福祉事業(仮称)の基本的考え方について」(1990 年 厚生

省保護課)

⑦ 「安心生活創造事業」の創設――ソーシャルワーク機能の再構築

Ⅵ、「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現――新たな時代に

対応した福祉の提供ビジョンーー」(2015年9月)

① 「8050問題」等の複合的問題に対応する全世代・全対象型地域包括支援

② 複数分野の問題や複雑に絡む問題を抱える対象者や世帯に対し、相談支援を分野

横断的かつ包括的に提供するためのワンストップサービス

③ 対象者を制度に当てはめるのではなく、本人のニーズを起点に支援を調整するこ

とである。制度ではなく、地域というフィールド上に展開する営みであり、個人

のニーズに合わせて地域を変えていくという「地域づくり」に他ならない。個別

の取組の積み重ねが大きな潮流になって地域を変えていく。

④ 新しい包括的な相談支援システムは「待ちの姿勢」ではなく、対象者を早期に、

かつ積極的に把握すること、すなわち「アウトリーチ」という考え方に立って運

営することが重要である。

⑤ 様々なニーズに対し、既存資源のネットワーク強化だけで不足する場合には、積

極的に必要な社会資源を創造・開発していくことが求められる。

⑥ 福祉サービスを必要としている人は様々な生活課題を抱え、社会生活上の各種の

脆弱性(Vulnerable)を抱えている人(ヴァルネラビリティ)も多い

ので、単にサービスを提供するだけでは問題解決につながらないことが多いので

「伴走型」の支援(ソーシャルワーク機能――報告者注記)が必要である。

⑦ 社会福祉法人が地域福祉の主要な担い手としての役割を果たすことができるよう、

経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上、財務規律の強化等の改

革を確実に実施するための支援が重要である==社会福祉法人の地域貢献

⑧ 地域によっては、その実情に応じ、高齢、障害、児童、生活困窮等の福祉サービ

スを総合的に提供できる仕組みを構築できるようにするとともに、これを地域づ

くりの拠点としても機能させることが重要である。対象者を問わず、誰もが通い、

福祉サービスを受け、あるいは居場所ともなる取組の一つに「小さな拠点(多世

代交流・多機能型の福祉拠点)」があり、そこを拠点として、誰もが何らかの役割

を担い、人と人とが支え合うまちづくりの取り組みが広がることが期待され

る。

⑨ 「小さな拠点」の整備の推進や総合的な支援提供の仕組みの構築の阻害要因の改

⑩ 福祉機器、ICTを活用したサービス利用者のQOLの向上とサービスの効率化、

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生産性の向を図ることが必要

# 「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部設置(2016年7月)

社会福祉法改正――「地域生活課題」の規定、上位計画としての「地域福祉計画

の規定化」―地域力強化検討会」最終まとめ(2017 年 9 月)―戦後第3の節目

、地域包括支援センターのモデル――長野県茅野市における地域トータルケア

システムの拠点としての保健福祉サービスセンターの設置

① 地域包括ケアシステムの2つに潮流―― 医療系(病院が拠点のシステムと地域

保健・医療システム)と地域福祉系

② 茅野市福祉担当行政アドバイザーとして、地域福祉計画において提案・2000年より実施――人口 5 万 7 千人で、八ヶ岳山麓の広範囲の市域を4つの在宅福祉サービス地区(中学校区は4地区、行政区10区)に分け、その各々に保健福祉サー

ビスセンターを設置し、市役所内にいた福祉事務所の職員、保健課の保健師を再

編成して配属。それに加えて市社会福祉協議会の職

員も配属――1982年スウェーデン「社会サービス法」を参考。

③ 保健福祉サービスセンターには、内科クリニック、高齢者デイサービス、訪問看

護、訪問介護、地域交流センターを併設。内科クリニックと諏訪中央病院との病

診連携、「かかりつけ医」制度の促進。サービス供給組織は、JAや社会福祉協議

会等多様。

保健福祉サービスセンターは、子ども、障害者、高齢者の全世代に対応するワン

ストップサービスを展開。基本的には、行政職員(ソーシャルワーカー)、保健師、

社会福祉協議会職員(ソーシャルワーカー)が3人1組でチームアプローチをす

る。設置1年後からは、保健福祉センターには社会福祉協議会職員を各1名増員。

⑤ 各センターへ社会福祉協議会職員(ソーシャルワーカー)を配属したのは、地域

住民の福祉教育の促進、アウトリーチ型問題発見、ニーズキャッチの向上、住民

のインフォーマルケア力の向上と活用の促進を図るため(年間280日地域を訪

問)。

⑥ 茅野市システムの波及①――静岡県富士宮市、掛川市でもワンストップサービス

を実施。

人口90万人の世田谷区で27の全地域包括支援センターでこの7月からワンス

トップサービスを行うとともに、地域包括支援センターに街づくりセンターを併

設するとともに、コミュニティソーシャルワーカーの配置を実施。

⑦ 茅野市システムの波及②――豊島区(人口28万人)では16名のコミュニティ

ソーシャルワークを配置し、地域包括センターと協働。沖縄県浦添市、世田谷区

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でもコミュニティソーシャルワーカーを配置し、生活困窮者の発見、支援を実施。

⑧ 茅野市地域トータルケアシステムの前史①――目黒区で1992年より保健福祉

サービス事務所設置――目黒区(当時・人口26人)を5地区に分け、保健福祉

サービス事務所を設置。その際2つあった保健所を1つにし、保健所にいた保健

師と福祉事務所の職員を5地区に分散配置

Ⅷ、コミュニティソーシャルワークの機能と地域包括ケアシステムのアドミニスト

レーション

(参考資料) 「コミュニティソーシャルワーク機能」

コミュニティソーシャルワークの機能とは、①地域にある潜在化しているニーズ(生活

のしづらさ、生活問題を抱えている福祉サービスを必要としている人々)を発見し、その

人や家族と繋がる。②それらサービスを必要としている人々の問題を解決するために、問

題の調査・診断(アセスメント)を行い、その人々の思い、願い、意見を尊重して、“求め

と必要と合意”に基づき、問題解決方策を立案する。③その問題解決方策に基づき、活用

できる福祉サービスを結びつけ、利用・実施するケアプラン(サービス利用計画)をつく

るケアマネジメントを行う。④もし、問題解決に必要なサービスが不足している場合、あ

るいはサービスがない場合には新しいサービスを開発するプログラムを創る。⑤その上で、

制度的サービス(フォーマルサービス)と近隣住民が有している非制度的助け合い、支え

合い活動(インフォーマルサービス、十分でないときにはその活動の活性化も図る)とを

有機的に結びつけ、両者の協働によって福祉サービスを必要としている人々の地位での自

立生活支援を支えるための継続的対人援助活動を展開すること。

① 「サービスを利用する者」への対応(医療スタイル)と「福祉サービスを必要とする

者」の発見・支援のソーシャルワークスタイルとの違いーー2000年社会福祉法② 「福祉サービスを必要とする者」の属性的概況(ヴァルネラビリティ)と“駆け込み

寺”としての「福祉アクセシビリティ」(距離的近隣・身近性、属性分野毎に縦割り

的にたらい回ししない総合性、心理的に受容性)やワンストップサービスの必要性

③ 「福祉サービスを必要としている人」の「社会生活モデル」に基づくアセスメントの

重要性―――専門職の人間観、生活観とノーマティブニーズを重視したアセスメント

の視点及び枠組み

④ 「求めと必要と合意」に基づくサービス提供における「福祉サービスを必要とする者」

の「もとめ」・“食わず嫌い”・“自己覚知の脆弱性”の把握・理解の困難性――意思確

認の重要性

⑤ 「福祉サービスを必要とする者」のソーシャルサポートネットワーク機能(情緒的支

援、評価的支援、手段的支援、情報的支援)の脆弱性と「ケアリングコミュニティ」

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の形成及び「選択的土着民」による地域福祉の主体形成――地域住民の意識改革と福

祉学習――社会教育との連携

⑥ 制度的サービスのコーディネート機能とインフォーマルケア(家族介護力への幻想、

地域助け合い力への幻想)における 4つのソーシャルサポートネットワーク機能の再構築及び有機的提供

⑦ コミュニティソーシャルワークを展開できるシステムづくりとその人材確保・配置

Ⅸ、市町村における“上位計画”としての地域福祉計画要件と位置

① 地域福祉計画づくりにおける3つのゴール

・既存のサービスの整備量や新しいサービス開発等に関わるタスクゴール

・計画策定のプロセスを重視したプロセスゴール(住民座談会等による計画づくり)

・「福祉で街作り」やソーシャルファーム、コミュニティビジネスを考える等社会福祉を

取り巻く力学を変えるリレーションシップゴール

② 地域福祉計画づくりにおける5つの枠組み

・ハード面――在宅福祉サービス地区における施設・サービスの偏在と利用頻度――地

域密着型サービス等の偏在と整備の考え方

・ソフト面――介護保険制度の限界と有機化したサービスの提供――「限界集落」にお

ける生活支援(ICFの視点に基づく生活機能の低下・障害に対する支援)の必要性

・アドミニストレーション面――介護保険のサービス監査・不正給付予防、市町村内社

会福祉従事者の質の向上と研修システム、社会福祉行政のサービス監査能力と計画能

力の向上とサービスのアウトソーシング化に関わるアドミニストレーションシステム

の構築、在宅福祉サービス地区毎の計画づくり、行政の計画と社会福祉協議会の行動

計画との協働・有機化

・パーティシペーション面――地域自立生活支援には住民の協働・参加は不可欠――条

例による地域保健福祉審議会(児童問題も扱う)の設置、アウトソーシングしたサー

ビス事業者の運営における住民・利用者参加の義務づけ

・ファイナンス面――国の包括一括補助金政策化の動向と地域福祉町村自治体の主権化

における社会福祉行政に関わる財源確保(福祉で街作りの視点から財政フレームの確

保の協議)、「安心生活創造事業」が目的とした自主財源化の考え方と共同募金のコミ

ュニティファンド化

Ⅹ、地域福祉の主体形成とボンランティア活動・福祉教育推進のあり方

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① 地域福祉の 4 つの主体形成――地域福祉実践の主体形成、地域福祉サービス利用の主体形成、地域福祉計画策定の主体形成、社会保険契約の主体形成

② ボランティア活動の構造と「選択的土着民」の形成(図参照)

③ 福祉教育の定義と進め方

(福祉教育の定義)

「福祉教育とは、憲法第 13 条、第 25 条などに規定された基本的人権を前提にして

成り立つ平和と民主主義社会を作りあげるために、歴史的にも、社会的にも疎外されて

きた社会福祉問題を素材として学習することであり、それらとの切り結びを通して社会

福祉制度、社会福祉活動への関心と理解を進め、自らの人間形成を図りつつ、社会福祉

サービスを利用している人々を社会から、地域から疎外することなく、ともに手をたず

さえて豊かに生きていく力、社会福祉問題を解決する実践力を身につけることを目的に

行われる意図的な活動である」

(1982 年全国社会福祉協議会「福祉教育研究委員会」報告書所収、大橋謙策定義)

、施設経営社会福祉法人の地域貢献と地域を基盤とする社会福祉協議会の連

携による地域共生社会の実現

① 香川おもいやりネットワーク事業にみる民生委員協議会と社会福祉施設と社会福祉

協議会との協働の意味

② 協賛企業をも巻き込んだ滋賀県「滋賀の縁の創造実践センター」の取り組み

大阪府レスキュー事業の取り組みとその後の「しあわせネットワーク事業」への発

④ 施設法人の福祉避難所、一般避難所支援と社会福祉協議会の災害ボンランティアセ

ンターの位置――災害福祉支援における施設法人の体力と専門多職種集団

⑤ 施設法人の食材等の地産地消の取り組みと農業の第 8 次産業化への対応と社会福祉協議会のニーズ対応型福祉サービスの開発

⑥ 施設法人の後援会の組織化と在宅福祉サービス、福祉教育の推進との対比

⑦ 社会福祉協議会の地域福祉のプラットホーム構築とテーマ関心事で創立されたNP

O法人のフットワークの良さとの結合、連携

⑧ 社会福祉協議会を取り巻く「二重のイコールフィティング論」と行政からの補助金

カットの全国動向――社会福祉協議会の地域生活支援の「地域福祉共済保険」機能

の徹底化と住民が抱えるニーズに対応した福祉サービス開発機能の強化

# 社援基発0123第 1号 平成 30年 1月 23日、厚生労働省社会・援護局福祉基盤 課

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長通知 『社会福祉法人による「地域における公益的な取組』の推進について』

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入所型施設ケアの分節化と構造化

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在宅福祉サービスの構造

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図 生活困窮者問題の社会構造

生活困窮者自立支援法における生活課題

CSW機能

問題発見・ニーズキャッチ信頼関係の構築ニーズ対応型サービス充足ニーズ対応型サービス開発伴走型支援

就労・起業化・社会参加2016年6月7日作成 大橋謙策

主体性確立 生活技術、家政管理能力向上

ヴァルネラビリティ

ショックアブソーバーの

喪失新しい

貧困の登場

ソーシャルサポート

ネットワークの脆弱化

障害者の

退院・地域

移行支援

M字型労働及び離婚による

一人親家庭の

貧困の拡大

同一世帯内

における

多問題

労働者

派遣法

(製造業)

不安定就業層

(江口英一)

生活力の脆弱化

(白沢 久一)

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( ボランティア活動の構造 )

① ボランテイィア活動の目的は、自立と連帯の社会・地域づくりを実現することである

② ボランティア活動は、(イ)近隣における助け合い等ができる地域づくり、(ロ)地域に住ん

でいる生活のしづらさを抱えている人々を支援する個別対人サービス、(ハ)市町村レベル

の社会福祉を豊かにする地域福祉計画づくりという3つの側面がある

③ ボランティア活動は、市民一人一人が上記のことを当たり前にできる市民活動を活性化させ

る触媒活動である、

自立と連帯の社会・地域づくり

1979年 大橋 謙策作成

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<地域包括ケアシステムとコミュニティソーシャルワーク>

2014年10月8日 日本地域福祉研究所大橋 謙策 作成

日常生活支援

子ADL

ⅠADL

問題発見

アプローチ

システム

○新しいサービス開発

○制度改善等

ソーシャルアクション

(フォーマル)

コーディネート

マネジメント

CSW

有機化

同居

家 族

別居

「聞こえ」の保障とコミュニケーション

近隣住民

自治会

福祉用具

補装具

自助具

補聴器

在宅福祉

サービス

パーソナル

ソーシャルサービス

医療

サービス

慢性期急性期

住宅保障

サービス

所得保障

サービス

家族

労働保障

サービス

ソーシャルファーム

社会的起業

コーディネート

マネジメント

コーディネート

マネジメント

(インフォーマル)

コーディネート

マネジメント

個別支援ネットワークの重層的構築

子育て

障害

介護

ケアリングコミュニティづくり

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コミュニティソーシャルワークの視点による『アセスメント』と『支援内容』

支援テーマ

【1】対象者(世帯)の状況 (性別/年齢/疾病/ADL/世帯/その他)

○性 別: ○年齢: ○疾 病:

○A D L:

○世 帯:

○その他:

【ジェノグラム】 【フォーマル・インフォーマルのエコマップ】※個別ネットワークの状況

(フォーマルエコマップ)多機関協働・専門職・福祉サービス

(インフォーマルエコマップ)ソーシャルサポートネットワーク

【2】相談経路

【3】経緯

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アセスメント(事前評価)

強み ※( )内は利用しているサービス 課題

ナラティブ

生育史・希望・願い

労働的・経済的自立

精神的・文化的自立

身体的・健康的自立

生活技術的・

家政管理的自立

社会関係的・

人間関係的自立

契約的自立

住宅・住まい

移動手段

ソーシャルサポートネットワーク

家族関係

地域関係

その他

情緒的サポート

評価的サポート

手段的サポート

情報的サポート

援助方針

支援団体等の構成メンバー

(個別ネットワークの形成)

支援活動方針/仮説

(制度・サービス繋ぎ含む)

具体的な支援の状況

“支援における成果と課題”および“今後の支援”

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2018年度千葉県コミュニティソーシャルワーカー育成研修

(ロールプレイの課題)

①虐待の通告のあった家庭への子ども家庭支援センターのソーシャルワーカー

である職員の訪問場面

②「閉じこもり」の男性がいると連絡を受けたソーシャルワーカーとしての社

会福祉協議会の職員が自宅訪問

依存症の男性の対応をしてほしいとの家族からの連絡でソーシャルワーカー

としての社会福祉協議会の職員が自宅訪問、

④外国人の家族が近隣住民とトラブルを起こしているとの連絡でソーシャルワ

ーカーとしての社会福祉協議会の職員が自宅訪問

⑤「8050問題」を抱えた家庭で、ゴミの問題、男性の怒声が聞こえると通

告を受けた地域包括支援センターがソーシャルワーカーである社会福祉士を

家庭訪問させる

⑥刑余者が金銭がなく、住むところもないと生活困窮者自立支援センターに相

談に来られた。

3人一組

一人は ソーシャルワーカーの役割

一人は 生活問題を抱えている個人、家族の立場

一人は 参与観察者として、ロールプレイを観察分析し、課題を抽出、報

告する

記録用紙(一人以下の様式の3枚が必要)

① ソーシャルワーカーを演じてどういうことが勉強になったか、従来気

が付いていなかったところを何か発見したか

② 相談する立場、訪問される立場を演じて気が付いたことを記録する

参与観察者として、ソーシャルワーカーを演じた人、相談する立場、

訪問される立場を演じた人の演義をみて感じたことを書く

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被災により生活維持機能が崩壊し,

復旧・復元・生活維持が困難な住民

一般的社会サービスの

復旧・回復によって支援され問題解決ができる住民

スペシフィックソーシャルワーク機能の担い手 保健師や看護師,精神保健福祉士,介護福祉士などの専門領域を元にした支援を担うソーシャルワーカー

ジェネラルソーシャルワーク機能の担い手 コミュニティソーシャルワーカーやボランティアコーディネーターなど,地域活動や地域力を基盤とした支援,

調整役を担うソーシャルワーカー

生活変化の察知や簡易な生活支援の担い手 生活支援相談員やライフサポートアドバイザー,自治会役員や近隣住民など準専門職やインフォーマルな支援者

「大橋謙策・北川進・平野裕司,2016 年作成」

被災者(地)を取り巻く状況・背景

被災前からの要支援者で

避難やその後の生活に際しても個別

のソーシャルワーク機能が必要な住民

スペシフィック

ソーシャルワーク

機能による支援

生活支援相談員

等による生活変

化の察知や簡易

な生活支援

ジェネラル

ソーシャルワーク

機能による支援

支援者の主な役割範囲

要援護者等

・被災による生活課題の加重

・復元力の乏しさ

フェーズによる

生活変容

・災害時避難

・避難所生活

・仮設住宅生活

・復興公営住宅生活

災害時における被災住民の分類と関与すべき支援者のあり方

特別・継続的かつ

濃密な個別支援が

必要な住民

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