アジアの活力を取り込む中小企業...

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アジアの活力を取り込む中小企業 - おおさか・グローバル・メソッド の取組み - 2019年7月31日 大阪府商工労働部 大阪産業経済リサーチ&デザインセンター 主任研究員 越村惣次郎 令和元年度 第2回大阪府・大阪市経済動向報告会

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アジアの活力を取り込む中小企業

-『おおさか・グローバル・メソッド』の取組み-

2019年7月31日

大阪府商工労働部

大阪産業経済リサーチ&デザインセンター

主任研究員 越村惣次郎

令和元年度 第2回大阪府・大阪市経済動向報告会

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報告の内容

1

1.アジア新興国は新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に!

2.海外展開は従来の系列型から案件形成型へ!

3.案件形成型展開を推進する

『おおさか・グローバル・メソッド』の取組み

4.効果的な支援の実施に向けた3つの提言

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1-1 アジア新興国の経済成長

図表1 アジア新興国の総人口の推移(単位:百万人) 図表2 アジア新興国の名目GDPの推移(単位:10億米ドル)

2

出典:IMF World Economic Outlook (October 2018)より作成。

※本調査においてアジア新興国とは、主に中国、インド、ASEAN5(タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン)とする。

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20000.0

日本 中国 インド ASEAN5

1998 2008 2018 2023

■成熟期を迎えている日本に対し、成長過程にあるアジア新興国では人口、GDPが増加傾向

出典:IMF World Economic Outlook (October 2018)より作成。

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3

出典:IMF World Economic Outlook (October 2018)より作成。

Japan(2017)42,942

Japan(2023)51,423

China(2017)16,696

China(2023)26,178

India(2017)7,194

India(2023)11,637

Malaysia(2017)29,144

Malaysia(2023)40,225

Thailand(2017)17,894

Thailand(2023)25,090

Indonesia(2017)12,404

Indonesia(2023)17,583

Vietnam(2017)6,928

Vietnam(2023)10,771

Philippines(2017)8,360

Philippines(2023)12,338

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020

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■アジア新興国の一人当たりGDPは、日本を上回るスピードで上昇しており、各国の国民生活は急速に豊かさを増している。

図表3 一人当たりGDPの日本の推移と該当するアジア新興国の値(米ドル)

1-1 アジア新興国の経済成長

中国:1988⇒1999(11年分)マレーシア:2004⇒2014(10年分)タイ:1989⇒1997(8年分)

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1-2 アジア新興国はイノベーションと新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に

図表4 アジア新興国のインターネット人口(単位:百万人)

4

出典:Internet World Stats(2018年6月末)より作成。

図表5 アジア新興国のスマートフォン普及率

出典:Consumer Barometer with Google(2017)より作成。

■リープフロッグ(蛙飛び)現象、リバース・イノベーションなど、アジア新興国は世界のイノベーションセンターへと変貌しつつある。

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143.3118.6

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日本

マレーシア

中国

ベトナム

タイ

フィリピン

インドネシア

インド

(%)

※リープフロッグ現象:途中の段階を飛び越し、一気に最先端の技術やサービスに到達する現象

※リーバス・イノベーション:先進国企業が新興国内で起こしたイノベーションが、自国などの先進国にも広がっていくとする概念(Govindarajan,V & Trimble,C、渡部典子訳[2012] 『リバースイノベーション』ダイヤモンド社)。

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1-2 アジア新興国はイノベーションと新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に

図表6 世界のユニコーン企業トップ5(2019年1月現在)

5

出典:CB insights「The Global Unicorn Club」より作成。

企業名 国 企業価値

1 Toutiao (Bytedance) 中 750億ドル

2 Uber 米 720億ドル

3 Didi Chuxing 中 560億ドル

4 WeWork 米 470億ドル

5 Lu.com 中 380億ドル

会社名 事業内容 国

VNG ゲーム、SNS ベトナム

Razor ゲーム専門機器販売 シンガポール

Sea(旧Gerena) ゲーム シンガポール

Tokopedia C2Cマーケットプレイス インドネシア

Gojek 配車 インドネシア

Bukalapak C2Cマーケットプレイス インドネシア

Grab 配車 シンガポール

Lazada ECプラットフォーム シンガポール

Traveloka 旅行予約サイト インドネシア

Revolution Precrafted プレハブ住宅販売 フィリピン

図表7 ASEANの主なユニコーン企業

出典:JETRO「地域経済レポート:急速に発展するスタートアップと整備されるエコシステム(ASEAN)」2018年9月14日より作成。

■アジア新興国、多くのユニコーン企業を生み出す※ユニコーン企業:起業して年数が浅いにも関わらず多額の評価額を得ている企業。

■キャッチアップした先進国のビジネスモデルを、アジア市場に合わせてアレンジすることで新市場を創造

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報告の内容

1.アジア新興国は新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に!

2.海外展開は従来の系列型から案件形成型へ!

3.案件形成型展開を推進する

『おおさか・グローバル・メソッド』の取組み

4.効果的な支援の実施に向けた3つの提言

6

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2-1 中小企業のグローバル化は増加傾向だが、ごく一部の動き

■中小企業の直接投資、直接輸出は増加傾向

■中小企業全体に占める割合 ⇒ 直接投資 0.17%、直接輸出 3.5%

7

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2001 2006 2009 2014

大企業 中小企業 中小(製造業)

中小(卸売業) 中小(小売業) 中小(その他)

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2001 2006 2009 2014

大企業 中小企業 中小(製造業)

中小(卸売業) 中小(小売業) 中小(その他)

4,342

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4,603 4,702 4,838

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6,196 6,303 5,937 5,920

6,336 6,302 6,397

1.5 1.41.7

1.9 1.9

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2.7 2.7 2.83.0 3.0

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(%)(社)企業数(左側) 中小製造業全体に占める割合(右側)

出典:直接投資企業数は中小企業庁編「中小企業白書2016」第2-3-13図、企業数は、中小企業庁編「中小企業白書」各年版の付属統計資料より入手し、比率を算出。

出典:直接投資企業数は中小企業庁編「中小企業白書2016」第2-3-7図。原典:経済産業省「工業統計表」、総務省・経済産業省「平成24年経済センサス・活動調査」再編加工。(注)1.従業者数4人以上の事業所単位の統計を、企業単位で再集計。2.「平成25年工業統計表(再編加工)」によると、従業者数4人以上の製造事業所を所有する中小企業数は約18万社、小規模事業者は約13万社。

図表8 規模別の直接投資企業の割合の推移(%) 図表9 中小製造事業者の直接輸出の推移

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■大阪企業のグローバル化は大企業、中小企業ともに増加

■特に海外子会社、国際業務提携の取組みが増加

8

出典:経済産業省「企業活動基本調査」2009年から2015年実績を再集計。

図表10 大阪企業の規模別のグローバル事業の推移A(単位:企業数)

2009 2010 2011 2012 2013 2014 20152009-2015

伸び率

中小企業 424 432 431 429 441 455 457 7.8%

大企業 240 247 251 251 258 262 265 10.4%

中小企業 83 40 49 49 43 50 152 83.1%

大企業 169 126 129 127 133 128 255 50.9%

中小企業 87 89 84 88 93 102 37 -57.5%

大企業 127 125 126 133 128 133 184 44.9%

中小企業 75 82 81 86 85 86 37 -50.7%

大企業 103 101 103 105 108 109 184 78.6%

中小企業 31 31 31 34 36 36 37 19.4%

大企業 170 171 169 174 176 179 184 8.2%

中小企業 134 166 166 186 186 201 209 56.0%

大企業 121 134 155 164 175 184 184 52.1%

海外関連会社

海外事務所

外資受け入れ(インバウンド

投資)

国際業務提携

直接輸出

海外子会社

2-1 中小企業のグローバル化は増加傾向だが、ごく一部の動き

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Case1 国際業務提携による事業拡大

9

株式会社プロアシスト(従業者数 211人、大阪市)

◆2008年、インド有数のIT企業タタ・エレクシー・リミテッドと業務提携締結

きっかけは、提携先企業を探していたタタ側からの要請。当初は、相手先の情報が乏しく、周りからも不安視する声が多かったため、断っていた。しかしタタ・エレクシーを含むグループ企業が、自動車や電機など多様な産業分野で、ものづくりをしており、多様な分野のエンジニアが多数在籍していることがわかり、提携のメリットが明確に描けるようになった。そこで、改めて自社からの技術提携案を提案し、受け入れられた。

◆自社製品「介護用ロッキングチェア」を、高齢者介護の先進地域であるデンマークやスウェーデンなど北欧で現地企業と提携し販売。その後、北米でも展開し、現在はASEAN地域の開拓に乗り出し、今後の販売拡大を目指している。

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Case2 国際業務提携による事業拡大

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テクノロール株式会社(従業者数138人、和泉市)

◆1980年の設立当初から、海外企業との技術提携などグローバルに事業を展開

創業者は、「海外企業との提携では、技術の盗用や模倣などのリスクがあることは十分に承知している。しかし、それ以上に互いの独創性を認め合い、技術を提供しあう関係を築くことで、共に発展していくことの方が重要」と考え、設立当初から世界トップレベルの技術を持つアメリカやドイツの企業と提携し、その技術を活用してきた。

◆海外企業への技術供与によりグローバルな供給能力を獲得

同社部品は世界各地の工場で使用されており、交換やメンテナンスの需要も、世界各地で生じる。そこで主要国で技術力の高い企業を探し出し、コア技術はブラックボックス化しつつ生産に必要な技術を供与し、同社製品を海外で生産、供給している。現在では欧米とアジアに11の提携先企業を有している。

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Case3 国際業務提携による事業拡大

11

株式会社テクノタイヨー(従業者数51人、堺市))

◆危機感から手探りでグローバル化に着手

リーマンショック以降、国内市場は価格競争が激化し、厳しい経営状況が続いてた。「人口減少による国内需要減少は明確。企業はこれまでと違うことをしないと生き残れない」と危機感を持った社長は、グローバル化に着手。2011年からベトナム人技能実習生を受入れ開始。13年に1人目が帰国すると、その人材を頼りにベトナムを訪問。

事前に明確な目的はなかったが、現地で支援機関などを調べ、飛び込み情報を得ていった。JETROハノイで、貸しオフィスやマッチングイベントなどの支援策を聞き、帰国後、すぐに貸しオフィスに職員を駐在させ、現地企業とのマッチングイベントにも参加。◆現状把握により工場立地から生産委託へ

当初、工場設立を想定していたが、現地企業の話を聞くと、日本企業との提携を望む声が多く、生産委託へと切り替えた。現在、ベトナムに8社と生産委託契約を結び、日本との分業生産体制を確立。コストや立地も違いを活かした事業を展開。◆グローバル化には、まず行ってみることが重要

社長は当時を振り返り「海外で活躍している人は、行動力の塊のような人でとても真似できないと思っていたが、実際に行ってみると、現地では自分が動かないと何も起こらず、動いたらその分何かが変わることを実感。自分だけでなく同行した従業員も同じように変わっていた。企業のグローバル化には、まずは行ってみることが重要。」と指摘している。

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2-2 現地の取引構造は、日系VCからGVCへ

■現地では販売、仕入、共に日系企業間の取引(日系VC)の割合が減少し、現地企業との取引(GVC)の割合が増加

12

図表11 日系企業の現地市場への販売割合

0.0%

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製造業

非製造業

製造業

非製造業

製造業

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製造業

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大企業 中小企業 大企業 中小企業

中国 ASEAN5

2010 2014

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製造業

非製造業

製造業

非製造業

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製造業

非製造業

大企業 中小企業 大企業 中小企業

中国 ASEAN5

2010 2014

出典:大阪府商工労働部・大阪経済大学中小企業・経営研究所[2016]「海外で経営現地化に取組む中小企業」。

経済産業省「海外事業活動基本調査」の1996年から2014年の個票データより作成。

図表12 日系企業の現地市場からの調達割合

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Case3 現地日本人コミュニティを活用した販路開拓

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不二精工株式会社(従業者数34人、大阪市)

◆現地得意先との取引がなくなり、手探りで販路開拓に着手

得意先の要請に応じ、2002年に上海法人を設立するが、対象製品の生産が中

止となり、現地での販路開拓に着手。現地法人に営業機能はなく、日系企業駐在

員等のコミュニティーへの参加などで、人脈形成に努め、徐々に取引先を獲得。

◆海外での販路開拓は国内以上の可能性を秘めている

経営者が「国内では大手企業の新規開拓は非常に難しいが、現地であればそ

れが可能」というように、国内で取引がない大手企業とも現地の開拓にも成功。現

在は、海外売上がグループ全体の約4割に拡大。また現地開拓した日系大手と

の取引をきっかけに、国内取引につながるケースもあり、海外での事業拡大が国

内事業の拡大につながっている。

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2-3 アジア市場参入には系列型展開から案件形成型展開に!

■現地需要獲得には、現地の取引先・パートナーとの安定した関係構築が重要。

■それには現地の課題・ニーズに適した事業計画の提案(案件形成型展開)が重要。

14

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構[2016]及び大阪の中小企業へのインタビュー調査より作成。

図表13 中小企業の海外市場参入における課題のイメージ

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報告の内容

1.アジア新興国は新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に!

2.海外展開は従来の系列型から案件形成型へ!

3.案件形成型展開を推進する

『おおさか・グローバル・メソッド』の取組み

4.効果的な支援の実施に向けた3つの提言

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3-1 おおさか・グローバル・メソッド(OGM)のコンセプト

■平成30年度、大阪府(中小企業支援室)は、中小企業によるアジア展開を支援するため、新プロジェクト『おおさか・グローバル・メソッド(以下、OGM)』をスタート

■新たな支援のコンセプトを実践するため、各種支援機関の理解・協力のもと連続講座を開催(全3回、約80名参加)

16

≪OGMが掲げる支援のコンセプト≫

(1)適切な支援対象企業の発掘

(2)案件形成型展開の推進

(3)支援機関ネットワークによるハンズオン支援

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3-2 OGM連続講座の特長

①系列型から案件形成型へ

②支援対象企業の掘り起し

17

マインドセットの変化

マーケットインの手法

ピッチ

(プレゼンテーション)

支援企業データベース

既存事業の支援先企業

協力支援機関から紹介

統計資料等

候補企業の抽出

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3-2 OGM連続講座の特長

③コンセプトを共有する支援ネットワークによって実施

18

【在阪外国政府機関】

◆タイ王国大阪総領事館

◆在大阪・神戸インド総領事館

◆各国の貿易振興センター等

【金融機関】

◆株式会社りそな銀行

◆株式会社近畿大阪銀行

◆株式会社関西アーバン銀行

◆大阪信用保証協会

◆JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)

◆JBIC(株式会社国際協力銀行)

◆INPIT-KANSAI(独立行政法人工業所有権情報・研修館近畿統括本部)

【政府機関】

◆一般社団法人WAOJE

◆大阪府グローバル研究会

◆学校法人エール学園

◆民間事業者(SAS ENIS、SSQQB株式会社)

【民間事業者・団体等】

【府内中小企業支援機関】

◆公益財団法人大阪産業振興機構(現:大阪産業局)

◆大阪商工会議所(国際部)

◆地方独立行政法人大阪産業技術研究所(ORIST)

◆大阪府

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3-2 OGM連続講座の特長

④企業データベースを活用した対象企業の絞り込み

講座後のアンケートや訪問インタビューを通して、参加企業のグローバル化への意欲や現状を把握し、支援対象企業データベースの作成。

最終回のピッチ候補企業はDBより選出。

⑤海外に根付いた支援機能を持つ機関が参画

ピッチでは講座後のハンズオン支援を想定し、JETROや金融機関などに加え、総領事館、外国人越境EC事業者等、WAOJEなどが参加し、現地の市場や生活環境などの視点からの事業内容を評価。

19

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3-3 OGMのコンセプト実践のため連続講座を開催

20

第1回『マインドセットを変える(中小企業が成長するための海外展開の大きな変化)』

▶中小企業のグローバル化を巡る環境の変化▶従来の系列型・垂直的展開から、現地ニーズに対応した案件形成型の海外展開へ【ゲストスピーカー】(氏名五十音順) 大阪府グローバル研究会副会長(日本フッソ工業株式会社代表取締役)豊岡敬 氏 一般社団法人WAOJE理事(株式会社キングダム 代表取締役)仁科慎太郎 氏 菱沼貿易株式会社 代表取締役 菱沼一郎 氏

第2回『マーケットインの方法論(海外の市場ニーズをつかみ発想を転換)』

▶どうすれば現地のバイヤーや投資家、ビジネスパートナーとつながることができるか▶「越境型イノベーション」の方法とリスクの回避【ゲストスピーカー】(テーマ:グローバル展開における人的支援) 学校法人エール学園 専門教育事業本部 キャリア支援室 室長 西村 康司 氏【中小企業のグローバル化を支える支援機関によるトークセッション】(氏名五十音順) 独立行政法人工業所有権情報・研修館 近畿統括本部(INPIT-KANSAI) 統括知財戦略エキスパート 川島泰介 氏 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)大阪本部 ビジネス情報提供課 課長 笹井かこ 氏 大阪府産業デザインセンター 総括主査 宗和宏枝 氏 株式会社りそな銀行 国際事業部 マネージャー 野北恭平 氏 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 経営企画本部 経営企画監 水越朋之 氏

第3回『実践編&ピッチ大会参加準備』※投資家等へ製品やサービスを紹介するためのプレゼンテーション

▶実践編&ピッチ大会参加準備(海外展開のためのプレゼン資料作成のセミナー)▶海外展開事例「いきなり海外展開、外国人採用の実践事例」【ゲストスピーカー】 株式会社テクノタイヨー 代表取締役 水野敏雄 氏▶企業によるプレゼン(ピッチ)シミュレーション【コメンテーター】 タイ王国大阪総領事館商材部 領事 チットウィパー サクピタクサクン 氏 在大阪・神戸インド総領事館 領事 ワイバワ A ダンダレ 氏、商務官 竹林敬正 氏 一般社団法人WAOJE(元フューチャーベンチャーキャピタル会長)今庄啓二 氏 SAS ENIS 日本共同代表(今西土地建物(株)代表取締役社長)今西頼久 氏 SSQQB株式会社 代表取締役 張永強 氏

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(参考)グローバル化の課題と支援機関の主な機能の関係

21

在阪外国政府機関

J

E

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、J

B

I

K

I

N

P

I

T

K

A

N

S

A

I

府内中小企業支援機関

金融機関等

国内外の民間団体・事業所

(W

A

O

J

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教育機関

(エー

ル学園等

外国人事業者

(

バイヤー

①現地顧客の開拓 〇 〇 ◎

②現地向けの商製品の開発・改良 〇 ◎ 〇

③現地課題・ニーズの発見 〇 〇 〇 ◎ ◎

④現地パートナーの開拓 〇 〇 〇 ◎

⑤現地の言語・文化、法制度・商習慣、貿易業務等の知識

◎ ◎ ◎ 〇 〇

⑥グローバル人材の確保 ◎

出典:連続講座内の資料及び各機関等のホームページを参考に独自に作成。

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(参考)各支援機関(一部)の主な機能

■在阪外国政府機関

現地政府の視点から、事業や製品を評価

■SSQQB(越境EC支援事業者)

各国のECサイトを通じた販売の視点から事業や製品を評価

■菱沼貿易(WAOJE)

現地市場での販売(商談会)の視点から事業や製品を評価

※JAPAND(https://japand.biz/lp/)

■エール学園

留学生インターンシップによる事業支援

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3-4 連続講座の講評

■プロジェクトの発展的継続が望ましい

参加した企業や支援機関等へのアンケート及び、インタビュー調査からは、概ねプロジェクトの取組みを肯定(満足度調査の結果、9割以上が満足)

■一方で、初の試みであり、改善点への指摘も

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【参加者(企業・評価者)の意見を踏まえた今後の改善ポイント】

◆支援対象企業のデータベースの拡充

事業計画の熟度の把握や展開先の国・地域や業種を絞り込み

◆現地課題・ニーズに基づく事業計画立案の支援機能強化

◆海外に精通する支援機関との連携強化

◆外国語による企業紹介資料作成及びプレゼンへの支援

◆海外でのピッチ機会の提供

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報告の内容

1.アジア新興国は新市場創造の機会が豊富な魅力的市場に!

2.海外展開は従来の系列型から案件形成型へ!

3.案件形成型展開を推進する

『おおさか・グローバル・メソッド』の取組み

4.効果的な支援の実施に向けた3つの提言

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4-1 現地に根付いた支援機能の強化

領事館等の「在阪外国政府機関」や「外国人事業者」、

WAOJE、日本人商工会などの「日本人起業家等の現地コ

ミュニティ」など、現地に根付いた支援機関(者)との連

携を強化し、案件形成型展開の鍵となる「現地課題・ニー

ズの把握」や「パートナー企業の開拓」等の支援機能の強

化を図ること

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4-2 支援対象企業データベースの拡充

適切な支援対象企業『WILL(意欲)、SKILL(経営

力・技術力等)を有し、グローバル展開に期待できる中

小企業』を発掘には、既存事業での支援先や外部支援機

関等から得た企業情報を集約したデータベースの整備が

必要。

また効果的なハンズオン支援には、DBの情報から事前

に事業計画の熟度や対象国・地域や産業分野を絞り込む

ことも重要。

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4-3 エコシステムへの昇華を目指した支援ネットワークの拡充・強化

支援ネットワークが機能するには、各機関が支援先企業の情

報などを出しやすくするための仕組みやルールを整備すること

が重要となる。

またその際、各機関固有の目標達成(リターンの確保)に配

慮することも重要である。

加えて、今の支援ネットワークを将来的には自律的なエコシ

ステムへと昇華させるため、成功事例を積極的に情報発信し、

新たな支援者やチャレンジ企業の参加を促し、次の成功へと導

く、成功の循環を生み出すことを想定することも重要である。

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(参考)国際都市として新たな局面を迎える大阪・関西

2025 大阪・関西万博

2024 うめきた2期まちびらき

2021 ワールドマスターズゲームズ関西

2020 東京オリンピック・パラリンピック

2019 ラグビーワールドカップ

2019 G20大阪サミット

新たなステージへ

20?? IR(統合型リゾート)

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ご清聴ありがとうございました

◆本調査の報告書は当センターHPにおいて閲覧できます。

http://www.pref.osaka.lg.jp/aid/sangyou/sangyoukeizai.html