週4回透析の治療効果と現状について

援腎会すずきクリニック

○鈴木 翔太、鈴木 一裕

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【目的】

• 当院では透析時間の延長、高血流量、on-lineHDFの3つを中心に「しっかり透析」を行ってきた。

• 透析時間は5時間透析を基本としているが、希望者には6時間透析もしくは、週の透析時間が１9時間の「週4回透析」を行っている。

• Kidney International1)からの報告によると、透析間隔と死亡率との相関はアメリカ・ヨーロッパ・日本での透析患者22,163

人のDOPPSデータを解析した結果、どの地域でも、月水金コースでは月曜日に、火木土コースでは火曜日に全疾患死亡率が上昇したとある。

• 今回、週4回透析を受けている患者の治療効果と現状について検討したので報告する。

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

1) Kidney International (2012) Distribution of deaths by day of the week for patients receiving dialysis on MWF (all patients).

【方法】

• 週3回から週4回に変更前後6ヶ月間の血液データ（カリウム、リン、β2MG）、内服状況、体重増加量、透析終了時の収縮期血圧、GNRI、筋肉量と脂肪量について経時的に比較検討した。

• 痒みの評価を「白取の分類」にて週3回当時と現在を比較した。

• 週4回透析施行中の患者7名中、以前週3回透析時に「愛-Pod2)」アンケートを試行している5名に再度アンケートを行い比較した。

2)患者視点の新しい透析治療―わかりやすい計画から実際の処方まで ：政金 2011.6

※愛Podとは患者さん（Patient）の訴えに基づく(oriented）、透析（dialysis）のことをさします

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【対象】

対象患者：7名

年齢 63.3±3.1歳

DW 60.3±9.4kg

透析歴 80.9±46.3ヶ月

DM：nonDM 5 : 2

透析時間 5-5-5-4時間（週19時間）

QB 335.7±62.7mL/min

Kt/V 2.25 ± 0.39

2013年10月現在

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【週4回透析の導入理由】

理由 人数

本人希望 4名

かゆみ 1名

体重増加 2名

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

6ヶ月前 3ヶ月前 開始直前 3ヶ月後 6ヶ月後

P

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

6ヶ月前 3ヶ月前 開始直前 3ヶ月後 6ヶ月後

K

【カリウム・リン】

n=7[mEq/L]

[mg/dL]

週4回透析

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【内服薬の変化-カリウム・リン-】

n=7 週3回 週4回

A

炭酸ランタン水和物製剤 中止

カルシウム製剤 継続

ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 継続

B カルシウム製剤 継続

C炭酸ランタン水和物製剤 中止

カルシウム製剤 中止

D － －

E

炭酸ランタン水和物製剤 継続

カルシウム製剤 中止

セベラマー塩酸塩 減量

F カルシウム製剤 中止

G カルシウム製剤 中止

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

6ヶ月前 3ヶ月前 開始直前 3ヶ月後 6ヶ月後

β2MG

【β2MG】

n=7[mg/L] 週4回透析

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

9.0%

10.0%

6ヶ月前 3ヶ月前 開始直前 3ヶ月後 6ヶ月後

体重増加

【体重増加量の変化（週初め）3）】

n=7週4回透析

Ave.5.7% Ave.4.4%

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3) 週初めの体重増加の月平均（4～5週あたりの平均）

60

80

100

120

140

160

180

200

6ヶ月前 3ヶ月前 開始直前 3ヶ月後 6ヶ月後

終了時血圧

【透析終了時の収縮期血圧4）】

n=7[mmHg]

週4回透析

4) 透析毎の終了時収縮期血圧の月平均

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80.0

85.0

90.0

95.0

100.0

105.0

110.0

115.0

6ヶ月前 5ヶ月前 4ヶ月前 3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 start 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後 5ヶ月後 6ヶ月後

【栄養状態：GNRI】n=7

週4回透析

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【体組成】

n=7[kg]

[kg]

週4回透析

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

6ヶ月前 5ヶ月前 4ヶ月前 3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 start 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後 5ヶ月後 6ヶ月後

SMM（筋肉量）

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

6ヶ月前 5ヶ月前 4ヶ月前 3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 start 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 4ヶ月後 5ヶ月後 6ヶ月後

BFM（脂肪量）

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【痒みについてのアンケート】

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【痒み軽減評価】

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

週3回 週4回

日中

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

週3回 週4回

夜間

0

1

2

3

4

5

0 1 2 3 4

なし 軽微 軽度 中等度 激烈

日中週3回

日中週4回

0

1

2

3

4

5

0 1 2 3 4

なし 軽微 軽度 中等度 激烈

夜間週3回

夜間週4回

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score[点]

score[点]

[人]

[人]

n=7Ave.1.6

Ave.0.6

Ave.1.6

Ave.0.3

【愛-Pod宣言】

• 政金らが提唱• 自己記入式• 各項目0-4点の５段階評価• 点数が低いほど愁訴が少ない合計点最低点 0点×19問＝ 0点合計点最高点 4点×19問＝76点

• 介入対象患者３点以上の症状を有する患者（痒みは２点以上）合計30点以上の患者

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

0

2

4

6

8

10

12

週3回 週4回

3点以上の項目数

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

週3回 週4回

合計点数

【「愛-Pod」2）評価】

n=5

※

Ave:21.4point Ave:13.8point

※p<0.01

2)患者視点の新しい透析治療―わかりやすい計画から実際の処方まで ：政金 2011.6

score[点]

Ave:4.0項目 Ave:1.4項目

項目数[個]

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0

1

2

3

4

5

週3回

週4回

【「愛-Pod」における介入必要項目の変化】n=5[人]

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【考察】

• 当院では希望者に対し5-5-5-4時間の週4回透析を行っている。

• 中2日を空けない透析を「Lecce dialysis」 5)と言うが、「Lecce

dialysis」の10年生存率は60％と報告されており、JSDTの5年生存率60％程度に比べ極めて良好である。

• HDP:Hemodialysis Product6)＝(透析時間)×(透析回数)2

6時間・週3回＝54

5時間・週4回＝80

望ましいHDPは70／週以上と言われている

• 今回の検討では、週3回5時間から週4回透析に変更後の比較を行ったが、採血データ、臨床症状、満足度において週4回透析で良好だった。

• 当院の現状では、頻回透析が可能なHHDを提供することができない。今後も、希望する患者には週4回透析を提供していきたい。

5) Nephrol Dial Transplant (1998) 13 [Suppl 6]: 139–147

6) Scribner BH, Oreopoulos DG. TheoHemodialysis Producto：Abetter index of dialysis adequacy than Kt／V. Dial Transplant 2002；31：13-5.

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

【結語】

• 週4回透析は、患者の愁訴を減らし、生命予後を改

善させる。また、多くの合併症の発症リスクを減らすことができる透析方法である。

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会

演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある企業などはありません。

2014年11月16日 第10回長時間透析研究会