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電気の歴史。はじまりは約2600年前!
雷も電気?命がけの実験!
発行:神奈川県立川崎図書館
No.60(2011 年 9 月)
わたしたちの生活のなかで、あたりまえのように使っている「電気」。テレビ、冷蔵庫れいぞうこ
、エアコンな
ど、さまざまなかたちで電気を使っています。今年3月におこった東日本ひがしにほん
大震災だいしんさい
により、電気が不足し、
計画けいかく
停電ていでん
や節電などに取り組んでいます。あらためて、「電気」について調べてみましょう。
電気のはじまりは、紀元前きげんぜん
600年ごろまでさかのぼります。ギリシャの哲学
者タレスは、磁石の研究をしているうちに、琥珀こ は く
を布や革でこすると、ほこり
や羽根などの軽いものが引きつけられることに気づきました。これがまさつ電
気(静電気)の最初の発見です。しかし、この当時はまさつ電気がおこる理由
はわからず、それから 2000年以上たった 1600年ごろ、イギリスの科学者ギル
バートがまさつ電気について明らかにしました。(『電気ってなに?』アイザ
ック・アシモフ/著 教育社 1982年 請求記号 408)
その後、電気の研究は発展します。1752年アメリカの科
学者フランクリンは、雷が自然界における放電ほうでん
現象げんしょう
ではな
いかと考え、たこ上げ実験をします。雨の中にたこを上げ、
たこ糸に金属のカギを結び、こぶしを近づけたところ、カ
ギから火花が飛び散りました。一つまちがえば死んでしま
う危険な実験でしたが、この実験によっ
て、雷の正体が、雷雲らいうん
による放電ほうでん
現象げんしょう
で
あることがわかりました。
(『発見・発明(ニューワイド学研の図鑑)』 学習研究社 2007年 請求記号 403)
フランクリンが息子とたこ上げ実験をしている
様子
琥珀で実験するタレス
電気の正体!1センチの約1億分の1のつぶって?
電池を発明。イタリアの科学者ボルタ
地球上にあるすべてのものは「原子げ ん し
」という、とても小さなつぶ
からできています。その大きさは、1センチの約1億分おくぶん
の1!…と
言われても想像もつかないほどの小ささです。そんな原子は、さら
にもっと小さな「電子で ん し
」「原子核げんしかく
」というつぶからできています。
電子はマイナスの電気をもち、プラスの電気をもつ原子核のまわり
をクルクル回っています。
プラスの電気をもつ物体Aと、マイナスの電気をもつ物体Bを1
本の導線どうせん
でつなぐと、物体Aはマイナスの電気がたりなくなってい
るので、電子は物体Bから物体Aに向かっていっせいに流れこみま
す。この流れが「電流でんりゅう
」で、電気がおこるので
す。
(『電気の大研究』造事務所/
編集・構成 川村康文/監修
PHP研究所 2010年 請求
記号403)
イタリアの科学者アレッサンドロ・ボルタは、あるとき電気を発生する能
力がある生物「シビエレイ」について研究していました。シビレエイは平べ
ったい魚で、海底に生息しています。体に発電はつでん
器官き か ん
があり、獲物え も の
や敵を感電かんでん
させマヒさせます。この発電器官は、総合そうごう
組織そ し き
でしきられた、いくつもの小
さな板がつみ重なったようになっており、ボルタはこの構造こうぞう
をまねてみよう
と実験しました。何枚もの金属の円盤えんばん
をつみ重ね、液体でしめらせた布をあいだにはさ
みサンドウィッチ状にし、両はじの電極でんきょく
につないだ導線どうせん
をつなぐと電気が流れたので
す。この電気を発生させる装置は「電でん
たい」とよばれます。さらにボルタは希き
硫酸りゅうさん
に銅板どうばん
と亜鉛板あえんばん
を入れた「ボルタ電池」を発明し、電気を連続的につくり出すことに成功しま
した。ボルタの名前は電圧の単位「ボルト」のもとにもなっています。(『ボルタ 未
来をつくった電池の発明』ルカ・ノヴェッリ/文・絵 岩崎書店 2009 年 請求記号 402)
ボルタが作った
電たい
自然の力で発電する「風力発電」
日本であった風力発電建設物語
こんなお仕事もあるよ!風力発電エンジニア
風車の地図
記号
わたしたちがふだん使っている電気は発電所はつでんじょ
からやってきています。発電のしかたはたくさんあり、
「原子力げんしりょく
発電」「火力かりょく
発電」「地熱ち ね つ
発電」などありますが、今回はとてもクリーンな発電の「風 力ふうりょく
発電」
に注目!
風力発電に必要なのは自然がつくる「風」。
この風で羽根を回して電気をつくります。風は、
石油や天然ガスのようになくなる心配もなく、
燃やして使うエネルギーではないので、二酸化に さ ん か
炭素た ん そ
などの有害ゆうがい
物質ぶっしつ
をだしません。とてもクリ
ーンな発電として風力発電は近年注目されてい
ます。 (『再生可能エネルギーの大研究』中
谷内政之/監修 PHP研究所 2010年 請求記号501)
日本の風力発電が、諸外国しょがいこく
より遅れている理由の一つに、台風が多いことがあげられ
ます。過去に、沖縄県おきなわけん
宮古み や こ
島じま
の風力発電機7基すべてが台風によってこわれてしまった
こともありました。しかし、1990年から2009年の間に1683基まで設置され、日本の風力
発電機は増えてきています。増えたことにより、2006年には風力発電機を表す風車の地
図記号もできました。(『環境』枝廣淳子/監修 ポプラ社 2011年 請求記号519)
人口1600人あまりの小さな山村、大分県おおいたけん
前津江村ま え つ え む ら
(現在の日田市ひ た し
)に風力発電
機が建設されたのは、村のこどもの作文に「村にはなにも誇ほこ
れるものがない」と
書かれたのを村長が見たのがきっかけでした。村長は「こどもたちに誇ほこ
れるもの
をつくってやりたい」と風力発電機の建設を決めます。風力発電機が完成するま
でのノンフィクションをぜひ読んでみてください。(『ばんざい!ぼくらの村の
風力発電』 笠原秀/作 PHP研究所 2001年 請求記号543)
風力発電には、「発電事業を計画する会社」「風車や風車の部品を作る会社」「風車
を建てる建設会社」など、たくさんの会社のエンジニアがかかわっています。この本で
は、風車を設計・開発する会社のエンジニアの仕事が、一日を通してどんな仕事をして
いるかわかります。(『職場体験完全ガイド 15』ポプラ社 2010 年 請求記号 366)
子どもたちが発電実験!活性炭電池を作りました。
やさしい科学コーナーの新着資料紹介!
川崎図書館では、8月6日(土)に小学生向けの科学
実験教室を開催しました。今回のテーマは「活性かっせい
炭たん
電でん
池ち
を作ろう」。キッチンペーパー、アルミホイル、お塩、
そして冷蔵庫のにおい取りで使われる活性炭など、台
所にある身近なものを材料に電池を作りました。実験
では、みんなが作った電池で、電圧を測はか
ったり、モー
ターにつけたプロペラを回したり、LEDを点灯てんとう
させ
たりしました。
電気がおこるしくみは左の図のようになっています。アルミホイルを食塩
水につけると、アルミホイルがとけて電子が飛び出します。飛び出した電
子は電球へ流れていきます。いっぽうで、活性炭の中にある酸素は、電子
を受け取ろうとします。電球を流れた電子は、活性炭の中にある酸素とむ
すびつこうとします。この電子の流れで電気がおこります。
(『調べ学習・自由研究に役立つ理科の実験まるわかりbook』滝川洋二
/監修 成美堂出版 2005年 請求記号407)
プロペラをまわしている様子
『ガリレオ工房の科学マジック』 ガリレオ工房/編著 新星出版社
2011年7月 請求記号407
科学の原理をもちいた不思議なマジックが、たくさん掲載されています。 家でできる簡単なマジックを通して、科学にふれてみませんか?
『できるまで大図鑑』 小石新八/監修 荒賀賢二/絵 東京書籍
2011年8月 請求記号500
食べ物から巨大な建物まで、身近にあるさまざまな物が、どのようにして
できるのかを、わかりやすいイラストで解説しています。
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