臨床的特徴 5/7/2020...2. hopkins c, surda p, kumar n. presentation of new onset anosmia during...

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www.ebmedicine.net/COVID-19 臨床的特徴 5/7/2020 3 月下旬、American College of Otolaryngology – Head and Neck Surgery (AAO-HNS)り、嗅覚及び味覚異常を COVID-19 のスクリーニングの基準に加えることが提言され 1 2428 人のボランティアに対して、自覚的な嗅覚異常について調査した所、6 人に 1 人は嗅覚異常のみの症状でその他の COVID-19 関連の症状を伴っていなかった。対象 患者に対して COVID-19 の確定診断がなされていない等の、研究方法に対しての欠点 は多いが、将来的に単独の嗅覚異常という症状は、無症候性の COVID-19 キャリアを判 別する際、もしくは検査の適応を判断する際の参考となるかもしれない 1. American Academy of Otyolaryngology-Head and Neck Surgery. AAO-HNS: "Anosomia, Hyposmia, and Dysgeusia Symptoms of Coronavirus Disease." 2020; Accessed May 5, 2020. 2. Hopkins C, Surda P, Kumar N. Presentation of new onset anosmia during the COVID-19 pandemic. Rhinology. 2020. [Epub ahead of print] SARS-CoV-2 病態生理に関する理解の進展 5/7/2020 まだ全容の理解には至っていないものの、 COVID-19 の病態生理は古典的に言われてい る肺病理とは明確に区別される。複数の病態生理的なメカニズムが想定されているが、 これらの根拠となっている研究の質には差が大きい。 当初の我々の理解は、COVID-19 における低酸素性呼吸不全は ARDS の進行によると いうもので、病理解剖における組織学的な所見とも合致していた 1-3 。しかしながら、低 酸素が進行した状態でも肺コンプライアンスが正常に保たれているという、 ARDS にお ける低コンプライアンス状態とは異なるパターンが認められる 4 。臨床医の間では、何 らかの別の病態生理が働いているのではないかという疑問が増えてきている。2つの仮 説並びに関連する文献のレビューを以下に記載する。 仮説1:血栓性凝固障害 重症 COVID-19 症例における換気血流不均衡の原因は血栓性凝固障害による重要臓器 のびまん性微小塞栓症並びに肺における死腔換気の増加であるという説が有力な説の 一つであり、採血検査における凝固系マーカーの評価並びに剖検症例の所見と矛盾しな

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Page 1: 臨床的特徴 5/7/2020...2. Hopkins C, Surda P, Kumar N. Presentation of new onset anosmia during the COVID-19 pandemic. Rhinology. 2020. [Epub ahead of print] SARS-CoV-2 病態生理に関する理解の進展

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臨床的特徴 5/7/2020 3 月下旬、American College of Otolaryngology – Head and Neck Surgery (AAO-HNS)よ

り、嗅覚及び味覚異常を COVID-19 のスクリーニングの基準に加えることが提言され

た 1。2428 人のボランティアに対して、自覚的な嗅覚異常について調査した所、6 人に

1 人は嗅覚異常のみの症状でその他の COVID-19 関連の症状を伴っていなかった。対象

患者に対して COVID-19 の確定診断がなされていない等の、研究方法に対しての欠点

は多いが、将来的に単独の嗅覚異常という症状は、無症候性の COVID-19 キャリアを判

別する際、もしくは検査の適応を判断する際の参考となるかもしれない2。

1. American Academy of Otyolaryngology-Head and Neck Surgery. AAO-HNS:

"Anosomia, Hyposmia, and Dysgeusia Symptoms of Coronavirus Disease." 2020;

Accessed May 5, 2020.

2. Hopkins C, Surda P, Kumar N. Presentation of new onset anosmia during the

COVID-19 pandemic. Rhinology. 2020. [Epub ahead of print]

SARS-CoV-2 病態生理に関する理解の進展 5/7/2020 まだ全容の理解には至っていないものの、COVID-19 の病態生理は古典的に言われてい

る肺病理とは明確に区別される。複数の病態生理的なメカニズムが想定されているが、

これらの根拠となっている研究の質には差が大きい。

当初の我々の理解は、COVID-19 における低酸素性呼吸不全は ARDS の進行によると

いうもので、病理解剖における組織学的な所見とも合致していた 1-3。しかしながら、低

酸素が進行した状態でも肺コンプライアンスが正常に保たれているという、ARDS にお

ける低コンプライアンス状態とは異なるパターンが認められる 4。臨床医の間では、何

らかの別の病態生理が働いているのではないかという疑問が増えてきている。2つの仮

説並びに関連する文献のレビューを以下に記載する。

仮説1:血栓性凝固障害 重症 COVID-19 症例における換気血流不均衡の原因は血栓性凝固障害による重要臓器

のびまん性微小塞栓症並びに肺における死腔換気の増加であるという説が有力な説の

一つであり、採血検査における凝固系マーカーの評価並びに剖検症例の所見と矛盾しな

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い 5-7。

オランダの 3 つの病院における血栓性合併症複合アウトカムの発生率を調査した後ろ

向き観察研究では、184 人の COVID-19 重症患者のうち 31%が血栓合併症を呈してお

り、そのうち 81%が有症候性の肺塞栓症であった。後ろ向き研究デザインであること

及び複合アウトカムを用いた事で、この確率は高く見積もられている可能性はある(論

文の著者もそのように述べている)が、重症 COVID-19 患者における血栓合併症の発生

率は非常に高いことは明白である。さらに注目すべきはすべての患者は標準化された血

栓予防治療を、観察期間中受け続けている事である 8。

ニューオーリンズで施行された 4 人の患者の病理解剖(4 人すべてが急性の呼吸不全を

呈しており凝固マーカーは異常値を示していた)では、末梢の肺実質における微小血栓

の存在、びまん性肺障害を来した部位の存在、肺での2次感染はなかった可能性が高い

という事実が明らかとなった。(注:COVID-19 死亡症例の病理検討会からの引用であ

り、現在論文として出版されていない。この4例の古典的心筋炎症例のうち1例はイン

フルエンザ合併症例である)。

重症の呼吸不全を呈した SARS-CoV-2 感染者5例(うち3例は凝固亢進を示唆する皮

膚所見あり)の肺及び皮膚の組織を解析したところ、「補体の副経路及びレクチン経路

活性によるものとして矛盾しない微小血管障害及び血栓症を来した皮膚及び肺の所見

が認められ、SARS-CoV-2 特異的スパイク糖タンパク並びに補体成分が肺と皮膚双方

に存在したことから、少なくとも一群の重症 COVID-19 感染症において、副経路及びレ

クチン経路の持続活性を伴う補体介在型の微小血管障害を伴っている可能性があり」、

また「典型的な ARDS を示唆する、ヒアリン膜や炎症、Ⅱ型肺胞上皮細胞の過形成を伴

ったびまん性肺胞障害パターンは顕著ではなかった」との報告がある 9。

COVID-19 感染で死亡した 26 人の患者の腎臓の組織学的検討では、内皮細胞障害パタ

ーンを呈しており、腎実質尿細管上皮及び足細胞の直接感染に加え、フィブリンや血小

板由来成分を伴わない赤血球の顕著な凝集による毛細血管内腔の閉塞も認められた 10。

さらに米国の 3 つの大規模施設が、COVID-19 感染の経過中の異常な脳血管障害の発生

率(典型的な脳梗塞患者よりも明らかに若年の患者に認められる)の高さについて言及

したデータを現在出版に向けて準備中である 11。

抗凝固の使用 449 人を対象とした後ろ向き研究において、敗血症性凝固障害(Sepsis-induced

coagulopathy: SIC)スコア 4 点以上もしくは D-dimer 値が正常上限の 6 倍以上の患者

に対してヘパリンを用いた場合、用いなかった場合と比較して 28 日死亡率が低かった。

ヘパリン投与群 vs 非投与群で、SIC スコア 4 点以上の患者の死亡率、D-dimer 正常上

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限 6 倍以上の患者の死亡率はそれぞれ、40% vs 64.2% (p=0.029)、32.8% vs 52.4%

(p=0.017)であった 12。SIC スコアの定義並びに計算に関しては、Table 1 並びに 2019

年の Journal of Thrombosis and Haemostasis に掲載されている 13。

表1. ISTH SIC スコアリングシステム

項目 スコア DIC (ISTH 基準) SIC

血小板数(-109/L) 2 <50 <100

1 ≥50, <100 ≥100, <150

FDP/D-dimer 3 高度上昇 -

2 中等度上昇 -

PT (INR) 2 ≥6.5 (>1.4)

1 ≥3.5 <6.5 (>1.2, ≦1.4)

Fibrinogen (g/ml) 1 <100 -

SOFA score 2 - ≥2

1 - 1

DIC/SIC 診断の為

の合計点

≥5 ≥4

ISTH, international Society on Thrombosis and Haemostasis; DIC, disseminated

intravascular coagulation; SIC sepsis induced coagulopathy; SOFA, sequential organ

failure assessment; SOFA score is the sum of 4 items (respiratory SOFA,

cardiovascular SOFA, hepatic SOFA, renal SOFA).

Marcel Levi, Tom Poll, Jecko Thachill, et al. Diagnosis and management of sepsis-

induced coagulopathy and disseminated intravascular coagulation. Journal of Thrombosis and Haemostasis. 2019;17(11):1989-1994. Used with permission of John

Wiley and Sons.

多 く の 文 献 は 、 抗 凝 固 の 選 択 に お い て 直 接 経 口 抗 凝 固 薬 ( Direct oral

anticoagulant:DOAC)よりもヘパリンを推奨している。ヘパリンは SARS-CoV-2 スパ

イク蛋白に結合し、同時に IL-6 をダウンレギュレーションすることで免疫応答を鈍化

させることが証明されている 14,15。理論上の利点が臨床的にも有用であるかの証明には、

比較対照試験が必要である。

未分画ヘパリンが様々な血中タンパク質(von Willebrand 因子など急性炎症で増加する

蛋白)に結合する傾向があることから、治療域の抗凝固作用を確認するための頻回の血

液検査が必要となる。これらの検査が医療資源を消費する事並びに、患者との接触を極

力減らす必要があることを鑑み、著者らとしては腎機能が問題のない患者に対しては一

日一回の低分子量ヘパリンの投与を推奨する。腎機能障害がある患者に対しては、可能

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であれば抗 Xa 活性測定モニター下に未分化ヘパリンを投与する事を推奨する。抗 Xa

活性測定は、ヘパリン投与時のモニターとして優れており、出血合併症の低下、輸血量

の減少、治療域到達までの時間短縮の効果があり、値段の高さはモニタリングの為の検

査並びにヘパリンの容量変更の減少で相殺されることが証明されている 16-18。他の手段

として、採血ポートにアクセスできる状態を整えておくことで(図 1.2)、活性化部分ト

ロンボプラスチン時間(aPTT: activated partial thromboplastic times)を用いた通常の抗

凝固モニタリングも可能である。

図1.採血や薬剤投与のための静脈アクセスポート

図2.外来における薬剤注入ポンプ

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COVID-19 患者に対する血栓溶解療法の使用に関しては質の高い研究は不足している。

ケースシリーズで低酸素血症を来している患者 3 人に対する tPA の適応について議論

がなされており、比較対象群の設定はないが一時的な酸素化改善効果は認めている。複

数の研究者が、抗凝固系治療の開発を行う製薬・医療技術会社との利益相反を開示して

いる 19。

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ニューヨークにあるマウントサイナイ病院では、Hooman Poor 医師主導で tPA による

治療が現在も行われている。彼らの集中治療チームは超重症患者を蘇生するための最後

の手段として tenecteplase 使用のプロトコールを作った。投与量は 0.25 ㎎/kg (肺塞栓

における投与量の半量)で最大 25 ㎎として、1 分かけて静注する。以下に適応・除外基

準を示す。

適応基準 以下のすべてを満たす必要あり

1. SARS-CoV-2 陽性かつ COVID-19 の診断あり。

2. 48 時間以内に挿管・人工呼吸器管理がなされている。

3. 死腔換気の増悪を示唆する所見: 呼吸数>25/min かつ 4-6ml/㎏以上の一回換気量で

PaCO2>40mmHg

4. ショック状態:平均動脈圧>65mmHg を維持する為に最低 1 剤かつ 2 剤以内の昇圧薬

の使用が必要。

5. D-dimer>2.0μg/mL FEU

除外基準 一つでもあれば除外

1. 年齢>75 歳

2. 48 時間以上の挿管管理

3. 3 剤以上の昇圧薬が平均動脈圧>65mmHg

4. 活動性出血

5. 器質的頭蓋内疾患

6. 頭蓋内出血の既往

7. 3 か月以内の脳梗塞

8. 最近の脳ないしは脊髄の手術

9. 最近の脳損傷もしくは骨折を伴う頭部外傷

10. ヘパリン起因性血小板減少症の既往

11. 血小板数<5 万

12. INR>2.0 μg/ml FEU

手技の際の注意事項

1. Tenecteplase 静注(0.25mg/kg 静注, 1 分かけて, 最大 25mg まで)に際して、静脈ル

ート延長チューブを用いてはならない。

2. 静注時並びに静注 1,2,6,12,24 時間後において、昇圧薬の使用量、呼吸器設定を記録

し、採血検査施を施行して動脈血液ガス所見、PT/aPTT、D-dimer、フィブリノゲン

を測定する。

3. 既に治療目的のヘパリン投与が始まっていた場合には、継続する。

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4. 抗凝固がまだ始まっていなければ、Tenecteplase の投与時にヘパリンの投与を開始

する(60IU/kg 静注し 12IU/kg/h で持続)

5. aPTT を 6 時間ごとにチェックし、ヘパリンの投与量を aPTT:70-90 秒となるよう

に調整する。

6. Enoxaparin もしくは apixaban が既に投与されている場合には中止し、すぐに

Tenecteplase を投与する。最終の Enoxaparin もしくは Apixaban の投与から 12 時

間経過後にヘパリンを開始する(18IU/kg/hr で投与開始、初回ボーラス投与は不要)。

治療効果の判定にはまだ早く、データ収集を行い解析の上、十分な量が揃えば報告する

予定である。

仮説2:心筋炎/心筋心膜炎

SARS-CoV-2 の細胞内への侵入門戸である ACE2 レセプターは、ヒトの肺・心臓に広

く発現している。COVID-19 の血液検査データに関する研究のメタアナリシスでは、そ

の病因の理解は不十分ではあるものの、急性心損傷(心筋トロポニンの上昇で定義)が

8-12%に認められると報告がある 20。

SARS-CoV-2 が直接的に心筋細胞を障害するという疑いはあるものの、この仮説を指

示する文献は症例報告に限られている 21-23。JAMA に掲載された症例報告では、心疾患

の既往のない患者が、咳嗽並びに発熱発症の 1 週間後に、トロポニンの上昇、両心室収

縮不全、全周性の心嚢液貯留、冠動脈造影で血管閉塞なし、MRI での心筋間質の浮腫と

いった急性心筋心膜炎と合致する所見を呈したと報告されている。この患者は COVID-

19 に特徴的な画像所見や呼吸器症状は呈していなかった 22。ワシントン州の老人保健

施設での重症患者 21 名の観察では、7 人(33%)が心筋症を呈していた 24。

これらの症例報告の背景や高率な心損傷の発生が、直接的なウィルス毒性によるものな

のか、炎症性症候群などその他の原因なのかは、不明でありより詳細かつ強力な解析が

必要である。敗血症などのその他の炎症性疾患においては、TNFα や IL1 といったサイ

トカインが心筋の収縮能を直接的に抑制するという事が十分に立証されている 25。

European Heart Journal に掲載され、American College of Cardiology でも言われてい

るように、心不全や冠動脈疾患を持つ患者は、ウィルス感染症により動脈硬化病変の破

綻のリスクが増加する。したがってアスピリン、スタチン、β ブロッカー、ACE 阻害薬

などプラークの安定化を目的とした薬剤は推奨される 26。

COVID-19 患者の急性心筋梗塞/ST 上昇型心筋梗塞のマネジメント 急性冠症候群を呈する患者診療の最新のガイドラインが The Journal of the American College of Cardiology に掲載された 27。

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概要は以下の通り

1. ST 上昇型心筋梗塞確定例:COVID-19 疑い/確定問わず、直接的経皮的冠動脈イン

ターベンションが基本的な治療方針である。但し適切な個人防護具があり、心臓カ

テーテル専用の部屋があり、かつ各手技ごとに清掃が可能であることが前提である。

2. ST 上昇型心筋梗塞疑い例:COVID-19 のリスク評価を救急外来にて継続し、また超

音波検査、トロポニン、冠動脈 CT 検査を用いて冠動脈の評価を継続する。

3. PCI 施行不可能な病院での ST 上昇型心筋梗塞:

a. 患者と医療者が最初に接触してから、再灌流までが 120 分と見積もることがで

きる場合には、一般的なガイドラインに従って、PCI 施行可能な病院へ搬送す

る。

b. 患者と医療者が最初に接触してから再灌流までが 120 分以上となりそうな場合

には、接触してから 30 分以内に血栓溶解療法を施行しつつ、PCI 可能な病院へ

の転院搬送の調整を続ける。

4. 非 ST 上昇型心筋梗塞:COVID-19 患者における心損傷の病態が明確でない事から、

COVID-19 確定/疑い症例に際しては、緊急の冠動脈造影を行った上で、臨床的に高

リスクと判断される所見(Global Registry of Acute Coronary Events [GRACE] スコ

ア >140)が存在する場合、もしくは血行動態が不安定な場合に限り経皮的冠動脈

インターベンションを施行するべきである。これに該当しない場合には、非 ST 上

昇型心筋梗塞の薬物治療を施行するべきである。

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人工呼吸器の管理-5/7/2020 ロンドンの The Intensive Care National Audit and Research Centre(ICNARC)は、

COVID-19 患者と 2017 年から 2019 年の間にウイルス性肺炎患者の転帰を比較した後

ろ向き研究を実施し、高度な呼吸サポート(侵襲的人工呼吸器換気、気管挿管チュー

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ブを介しての二相式気道陽圧[BiPAP]または持続性気道内陽圧[CPAP]、気管切開、ま

たは ECMO)を必要とする患者というサブグループ群において、COVID-19 群ではウ

イルス性肺炎群よりもはるかに高い割合で死亡していることを明らかにした(66.3%

vs 35.1%)。論文の発表時点では一部の患者がまだ入院治療を受けていたため COVID-

19 群のサンプルは治療期間の短い患者に偏ってはいるものの、高度な呼吸器サポート

を受ける患者の生存率には著しい差がある。そのため、呼吸窮迫状態にある患者に対

する現在の管理が最適であるかどうかを検討する必要がある。Hickey らにより更新さ

れた呼吸器管理の推奨事項は こちらを参照のこと。

薬物治療戦略 5/7/2020 ヒドロキシクロロキンに関する簡述

COVID-19 に対するヒドロキシクロロキンの有効性は世界的に議論されている。中国で

は、COVID-19 の治療薬としてヒドロキシクロロキンを用いた 34 の臨床試験が進行中

だが、査読済みの論文は現時点では不足している。フランスのウイルス学者である

Didier Raoult は、COVID-19 患者へのヒドロキシクロロキンの使用を支持するコメント

を発表しているが、そのデータは査読中のため公開されていない 1,2。Raoult が発表し

た 1061 例のフランスのコホートでは対照群がなく、細胞内細菌感染症におけるヒドロ

キシクロロキンの有効性を明らかにしたという彼の業績から、Raoult の主張にはアン

カリングバイアスが懸念される 3,4。

COVID-19 入院患者に対する補助療法として、投与用量の異なる2群間でのクロロキン

の安全性と有効性を比較する目的で並行二重盲検無作為化第 2b 相臨床試験がブラジ

ルで行われた。しかし、致死率と QTc 延長が増加する傾向にあったため高用量クロロ

キン投与群が早期に終了した 5 。米国の全退役軍人健康管理局全医療センターで

SARS-CoV-2 感染が確認された入院患者 368 人のデータを後方的に分析したところ、

ヒドロキシクロロキン単独投与群では、非投薬群と比較して全死亡率の上昇と関連する

ことが判明した 6。

現時点では、COVID-19 における本薬の有効性とルーチン使用を支持するプラセボ対照、

無作為化、二重盲検の前向き臨床試験はない。

回復期血漿療法(抗体療法) 抗 SARS-CoV-2 抗体が活性化した回復期のドナーの血漿を分離し、重症の COVID-19

患者に注射することで治療を行う回復期血漿療法は、学術的に大きな関心を集めている。

この治療法はヒト抗ウイルス免疫学の理論的知見に基づくものであるが、臨床結果に基

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づいた研究はまだ行われていない。2020 年 3 月下旬に JAMA 誌に発表された中国・深

圳のケースシリーズでは、5 人の重症 COVID-19 患者に回復期血漿輸液を投与した後、

様々な臨床上・検査上の指標の改善が認められたと報告されている 7。しかし、メチル

プレドニゾロンと抗ウイルス剤の全患者への投与、少ないサンプル数、対照群の欠如な

どの交絡因子は、本研究に基づく推奨を妨げるものである。このケースシリーズでは、

有害事象は報告されていない。

米国全土の施設が SARS-CoV-2 抗体検査を開始する中で、抗体の役割は治療の域を超

えて疫学的サーベイランスや公衆衛生政策に直接影響を与える可能性がある。この点に

ついては、下記の更新された「疫学」のセクションでさらに議論されている。

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available weapons to fight COVID-19. Int J Antimicrob Agents. 2020;55(4):105932.

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respiratory syndrome in the context of coronavirus (SARS-CoV-2) infection:

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19. medRxiv. 2020:2020.2004.2016.20065920. [Epub ahead of print]

7. Shen C, Wang Z, Zhao F, et al. Treatment of 5 critically ill patients with COVID-

19 with convalescent plasma. JAMA. 2020. [Epub ahead of print]

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疫学 -5/7/2020

医療システムを凌駕するパンデミックの可能性や、“ピーク”を越え、減少した後の不確

かさを考慮すると、SARS-CoV-2 の地域への浸透度と疫学的・免疫学的特性を理解する

ことが不可欠になっている。

コミュニティへの浸透度 (Community Penetration)

スタンフォード大学の研究では 3330 人の成人と小児をサンプリングし、その時点での

確定診断症例数の 50-85 倍のコミュニティにおける抗体保有率があると結論付けてい

る 1 (サンプルは Facebook 広告を利用し募集され、“人口統計学的および地理学的特性

についての[サンタクララ]群の代表的なサンプル”を得ることができた)。現地で開発さ

れたテストキットの性能統計は、コントロールに対して独立して検証されており、報告

された範囲の重要な要因となっている;報告された感度および特異度が各々80.3%

(95%信頼区間; 72.1%-87.0%)および 99.5% (95%区間 98.3%-99.9%)と有意な乖離があ

れば、疫学的外挿は大きく異なる結果となる。

額面通り解釈すると、この研究結果は確認された症例よりもはるかに多くの SARS-

CoV-2 がコミュニティに浸透していることを示唆する。サンタクララ群は最近、2020

年 2 月 6 日と 2 月 17 日に死亡した 2 人の患者の COVID-19 に関する剖検結果を発表し

た。これはカリフォルニア州、そして恐らく米国の他の地域でのコミュニティ感染が以

前予想されていたよりも早く始まっている可能性があることを示している 2。

固有の地理的特性は、特定のロケールで R0 値を変更することがある。例えば、ニュー

ヨークの地下鉄システムは伝送が容易なのではるかに高いR0値を予示する可能性が高

い。ニュースメディアでは最近、ニューヨーク州の住民 3000 人(食料品店でで無作為に

選出された)を対象とした抗体検査の暫定的検査結果を発表した。それによると、人口

の 13.9%が SARS-CoV-2 に感染していると推定され、地域によって 11.6%から 21.2%

まで幅がある。この研究で使用されたキットのデータや試験パラメータはまだ正式に発

表されていない 3。

よって、著者らは影響を受けたコミュニティにおいてテスト性能とコントロールに十分

注意した上で早急に繰り返し試験を行うことを推奨している。2020 年 4 月 17 日にワ

シントン大学医学部ウイルス学研究室は、アボット・ラボラトリーズ社の新しい抗体検

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査を 1200 サンプルで使用し、感度 100%、特異度 99.6%をなった内部研究のプレリリ

ースを発表した。公表されたデータが信頼できると判断されたら、これらのパラメータ

を用いたテストは将来的に血性有病率を追跡しようとするコミュニティにとって有用

なものとなるだろう 4。

獲得免疫 (Acquired Immunity)

ヒト免疫学の基礎の多くは、これらの抗体が再感染を防ぐことができる可能性について

理論的な基礎があるが、SARS-CoV-2 抗体によってどのような防御能が付与されるか

を語るにはまだあまりにも情報が足りない。適切な質問は、抗体保有者はどの程度保護

されているか、またどのくらいの期間保護されているのか、だ。SARS-CoV-1(2002 年

から 2004 年にかけてアウトブレイクを起こし、SARS-CoV-2 と遺伝的に類似する β コ

ロナウイルス)は生存者で平均 2 年間 SARS 特異的抗体の発現、高値を維持するが、3

年目に IgG 力価が有意に低下することが確認されている 5。

疫学的考察 (Epidemiological Considerations)

圧倒的な医療システムへの負担を軽減するために R0 値を抑えるには、SARS-CoV-2 の

コミュニティへの浸透度と、先行感染とその後の回復により付与される免疫を理解する

必要がある。そのためには抗体検査や解析ができるようになる必要がある。SARS-CoV-

2 がまだ蔓延していない地域では、パンデミックの初期に韓国で行われたように積極的

かつ早期に検査を行うことで急速な蔓延を緩和できるかもしれない 6。

既知のデータに基づいた SARS-CoV-2 の感染モデル(免疫期間や他のコロナウイルスと

の交差免疫の程度などの未知のデータを考慮して)では、SARS-CoV-2 は一年のどの時

期でもアウトブレイクを生じ、秋から冬にかけてはよりアウトブレイクが生じやすいこ

とが予想される。SARS-CoV-2 に対する免疫が恒久的でない場合、付与される免疫の期

間に応じて、ウイルスはアウトブレイクが定期的に起こる可能性が高い 7。

コミュニティ再開についてのガイドライン(Guidelines on Reopening Communities)

経済破綻に直面するコミュニティと完全停止を求める医療制度の間で緊張が高まる

中、現状のデータに基づいて規制を解除するための合理的なアプローチが必要とされ

ている。The American Enterprise Institute は、このプロセスのための 4 段階のフレー

ムワークを作成した。これは、今日の感染の波及を遅らせることから将来のパンデミ

ックへの準備を再構築するまでで、ここ 8 で見ることができる。同様の声明が IDSA

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からも発表されており、ここ 9 で見ることができる。これらは共に、影響を受けたコ

ミュニティを再開する前に以下の必要性を強調している;

1. 正確な診断検査と SARS-CoV-2 抗体検査によるサーベイランスの普及と、

SARS-CoV-2 の免疫学的特徴の解明の努力を維持する。

2. 有効な治療および/または予防ワクチンを含め、COVID-19 のリスクを軽減する

ための安全で効果的なツールが利用できるようになるまでは可能な限りソーシ

ャル・ディタンシングを保つことを継続する.

3. 予後不良のリスクが高い脆弱な集団を考慮した上で、COVID-19 患者および曝

露者の診断, 隔離, 治療能力を維持する

4. パンデミックへの備えを再構築するために:

a. 症例とその接触者の追跡と隔離を効率的に行うために堅牢なインフラを

整備する

b. PPE の備蓄品を維持する.

c. 緊急時の重大な医療的需要を、迅速に満たすための製造プランを作成す

る.

これらのガイドラインはいずれも、停止解除の前に考慮すべき重要な要因にアプロー

チするための有用なフレームワークではあるが、著者らは、単一のアプローチがすべ

てのコミュニティに適合するとは限らず、地域の指導者はパンデミックに直面してい

る地域の公衆衛生の専門家や最前線のプロバイダーとリアルタイムで協議し、意思決

定を行うべきだと強調している。他の重要な検討事項として、現在の疫学的データ,

抗体による免疫の付与に関する今後のエビデンス, 物理的な距離を保つことに注意を

払いながら部分的・段階的な再開アプローチなどが挙げられる。

1. Bendavid E, Mulaney B, Sood N, et al. COVID-19 Antibody seroprevalence in

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