肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) ·...

42
地域資源の活用による低コスト畜産 の確立を目指して宮崎県畜産試験場 宮崎県営農支援課 宮崎県畜産振興課 平成26年3月 (焼酎粕・飼料用米等の活用マニュアル・優良事例集)

Upload: others

Post on 02-Apr-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

地域資源の活用による低コスト畜産の確立を目指して(Ⅱ)

宮崎県畜産試験場

宮崎県営農支援課

宮崎県畜産振興課

平成26年3月

(焼酎粕・飼料用米等の活用マニュアル・優良事例集)

Page 2: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

はじめに

本県の畜産は、口蹄疫の復興から将来にわたって畜産業が基幹産

業とあり続けるために、「宮崎畜産の新生」を掲げ、様々な取り組みを実施している。その中で、「生産コストの低減」は主要指標の1つとして、喫緊の課題となっている。さらに、近年の地球温暖化による気候変動や生産資材の高止りなど、畜産経営を取り巻く情勢は今後とも厳しい状況が継続すると考えられる。

このような情勢の中で、生産コストを削減する技術にエコフィードの

活用があり、焼酎粕をはじめてする食品残渣の利用拡大はますます重要な課題となりつつある。

また、減反政策の変更に伴い、本県でも飼料用米の作付け拡大が

期待されることから、トウモロコシ高騰時の代替飼料としての位置づけから、持続的な活用による新たな飼料原料としての役割が期待されている。さらに、飼料用米の安定供給が整備されれば、国産飼料100%での畜産物生産が可能となり、安心・安全や機能性を加味した県ブランドの創出も期待されるところである。

このマニュアル(Ⅱ)では、前回に記した飼料用米や食品残さを家畜に給与する際の、給与方法や注意点を改訂するとともに、新たに実施した試験についても記載しています。

また、実際に農家等で使用している優良事例の紹介も行っていますので、これらを参考に、ぜひ家畜へ給与を実践していただき、低コスト経営に取り組んでいただければと幸いです。

宮崎県畜産試験場長

Page 3: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

目次 1.宮崎県における未利用資源の現状

①飼料米の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

②食品残さの現状と今後の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

2.飼料用米の活用マニュアル

①飼料用米の飼料価値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

②飼料用米の活用方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

③家畜での活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10~15

・牛での活用

・鶏での活用

3.食品残さ(エコフィード)の活用マニュアル

①食品残さの飼料価値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17~18

②家畜での活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20~31

・牛での活用

・豚での活用

4.未利用資源の活用方法

・活用の進め方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

5.優良事例集

①県内優良事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36~43

Page 4: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

1.宮崎県における未利用資源の現状

①飼料用米の現状

本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

500haまで達している。一方、飼料用米は作付け面積が伸び悩み、H25年度作付けで、約200haしかないのが現状である。

しかし、減反政策の見直しにより輸入穀物の代替となる飼料用米の生産が重要視され、本県でも今後飼料用米の生産が拡大することが期待される。

さらに、県内での生産・流通・利用システムを確立するためには低コストでの生産流通が望まれている。

畜産での活用については、H19年度から全国に先駆けてトウモロコシの代替給与による試験を各家畜で実施し、発育及び肉質には問題がないことを明らかにしている。

今後は、飼料用米の生産量拡大が見込まれることから、保管が容易であるロールベールでの発酵TMRでの活用や国産飼料100%による新たな肥育体系の構築が望まれる。

Page 5: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

②エコフィードの現状と今後の方向

本県の畜産経営において、生産費に占める飼料費の割合が高

く、配合飼料価格の高止まりは、深刻な影響を及ぼしている。そこで、配合飼料の代替としてエコフィード(食品残渣)は注目を浴び、生産コスト低減対策として、今後その比重はさらに大きくなりつつある。

一方、県内の食品残さ物は一般廃棄物として処理されている生

ゴミや産業廃棄物として処理されている食品残さ系廃棄物は膨大な資源として眠っている状況にある。

現在、エコフィードとして利用されている食品残渣の中で、下図

のように98%以上の大部分を占めているのが焼酎粕である。しかし、その中で家畜用の飼料として活用されているものは22%にしかすぎず、大部分が産業廃棄物として処理されている。

Page 6: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

そこで、本県では「畜産新生プラン」の中で、低コスト生産の柱の1

つとして、エコフィードの利用区大を位置づけ、現在の利用量29千tを10年間で、36千tまで拡大する目標を掲げている。目標と達成するための方策として、原料の特性に応じた処理方法(乾燥処理、リッキド等)と利用家畜の明確化を図っていく必要がある。特に、利用拡大を図るためには、発酵TMRを活用した流通システムの確立が不可欠であり、コントラクター及びTMRセンターの設立など、推進体制の早急な構築がのぞまれる。

さらに、エコフィードの給与による畜産物の安心・安全性の確保や、食肉等の機能性の向上によるブランド化も視野に入れて取り組む必要がある。

エコフィードの利用拡大

H25年度 29千t → 10年後 36千t

Page 7: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

2.飼料用米の活用

マニュアル

飼料用米の植え付け

飼料用米の収穫

Page 8: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

①飼料用米の飼料価値

品種 水分

粗蛋白質

粗脂肪

粗繊維

NFE 粗灰分

DCP TDN

ミツヒカリ

玄米

モミ米

14.1

13.7

7.2

6.8

2.3

2.0

1.0

7.9

74.1

65.3

1.3

4.3

北陸193号

玄米

モミ米

12.8

15.8

6.7

5.7

2.5

2.4

0.9

10.6

75.4

60.6

1.7

4.9

モミロマン

玄米

モミ米

15.216.5

5.7

5.4

2.2

1.8

0.9

11.5

74.4

60.4

1.4

4.6

玄米

モミ米(牛)

(豚)

(鶏)

14.8

13.7

7.5

6.5

2.7

2.2

0.7

8.6

72.9

63.6

1.4

5.4

(3.8)

(4.2)

(4.6)

(67.1)

(64.0)

(65.0)

トウモロコシ*

14.5 7.6 3.8 1,7 71.3 1.2 6.1 80.0

※日本標準資料成分表

現物中(%)

配合飼料の主な原料であるトウモロコシの代替えとして、飼料

用米の飼料価値を検討した結果、トウモロコシと同等の飼料価値がある。

しかしながら、その加工・調製で栄養価値が異なるとともに、家畜の種類によっては給与形態・方法も違うことから、事前の十分な

給与設計が必要となる。

Page 9: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

②飼料用米の活用方法

形態 水分 粗蛋白質

粗脂肪

粗繊維

NFE 粗灰分

DCP TDN

粉砕 13.4 5.5 2.3 10.1 64.6 4.1 4.4 67.8

圧ペン 13.0 5.8 2.3 10.9 63.3 4.7 4.7 66.8

SGS 37.1 4.6 1.6 6.9 45.8 3.7 3.7 48.4

モミ米 12.7 5.4 3.6 10.2 63.6 4.3 4.3 68.8

現物中(%)

飼料用米には、給与形態として籾・玄米・精米があり、反芻動物で

は消化率を高めるために、加工法として、圧ペン・粗挽き・挽き割り等が有効である。

また、調製方法として一般的な乾燥貯蔵とサイレージ貯蔵したイネソフトグレインサイレージ(SGS)があり、給与家畜により様々な形態

が考えられる。

飼料用米(モミ米)の加工(左:2mm粉砕、中央:圧ペン、

右:イネSGS(傷をつけたモミ米を乳酸発酵させたもの)

注)DCP,TDNは牛のデータ

Page 10: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

③家畜での活用(飼料用米)

1)標準給与量

対象家畜 配合飼料中の割合(%)

注意点

備考

乳用牛 10~40% 粉砕・圧ペン等へ加工する

泌乳中後期の搾乳牛

黒毛和種 肥育牛

~30% β-カロテン濃

度に注意が必要

籾米の粉砕

肉用鶏 10%程度 肉の色調が薄くなる可能性がある

a 乳用牛への給与

2)家畜での給与試験結果

a)給与設計

b)結果

c)注意事項

粉砕区 圧ペン区 イネSGS区 対照区

トウモロコシ

サイレージ 36.0% 36.0% 36.0% 44.0%

イタリアン

サイレージ 18.0% 18.0% 18.0% 15.0%

乾草 8.0% 8.0% 8.0% 8.0%

飼料用米 8.0% 8.0% 8.0% -

濃厚飼料 21.0% 21.0% 21.0% 25.0%

添加剤 4.0% 4.0% 4.0% 4.0%

原物%

Page 11: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

• 搾乳月数が5ヵ月以降の搾乳牛8頭を用いて、1期14日間×4期の給与試験を行った。

b)結果

23.0

24.0

25.0

26.0

27.0

28.0

29.0

乾物摂取量 乳量

粉砕区

圧ペン区

イネSGS区

対照区

Kg/日

粉砕区 圧ペン区 イネSGS区 対照区

乳脂肪率(%) 4.9 4.7 4.9 4.8

乳蛋白質率(%) 3.4 3.4 3.4 3.4

乳糖(%) 4.4 4.4 4.4 4.4

無脂固形(%) 8.8 8.8 8.8 8.8

全固形(%) 13.6 13.5 13.6 13.5

MUN(mg/dl) 10.0 9.5 9.7 9.3

c)注意事項

モミ米で給与する場合は、消化しやすくするために、粉砕や圧ペン等の加工をする必要がある。

Page 12: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

b 黒毛和種肥育牛への給与

a)給与設計

b)結果

区分 配合割合

飼料用米区 対照区

飼料用米(籾) 33 0

肥育用配合飼料 45 78

大麦圧ペン 11 11

コーンミール 11 11

表1 給与飼料の配合割合(原物) (単位;%)

黒毛和種肥育牛(去勢)に対して、肥育後期(22から28カ月齢)に

濃厚飼料の30%(TDNベース)を飼料用米(4mm粉砕籾米)で代替給与した。

①飼料用米の嗜好性は良く、飼料摂取量に差はなかった(表3)。

②発育への影響は認められなかった(表4)。

③血液中のビタミンA濃度に影響はなく、コントロールが可能であった(図1)。

④枝肉成績への影響は認められなかった(表5)。

区分 飼料成分

水分 粗蛋白質 粗脂肪 粗繊維 粗灰分 TDN

飼料用米(籾) 13.3 5.9 1.7 9.6 4.3 67.6

肥育用配合飼料 13.0 12.0 1.5 10.0 10.0 73.0

大麦圧ペン 11.8 10.6 2.1 4.4 2.3 74.1

コーンミール 12.8 9.6 7.5 4.6 2.4 82.6

飼料用米区(配合後) 9.6 2.3 8.7 6.4 72.4

対照区(配合後) 11.6 2.2 8.8 8.3 74.2

表2 給与飼料の飼料成分(原物) (単位;%)

Page 13: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

区分 屠畜前体重 枝肉重量

胸最長筋面積

脂肪交雑 肉色 脂肪色

(kg) (kg) (cm2) (BMSNo.) (BCSNo.) (BFSNo.)

飼料用米区 732.6±26.8 479.8±23.2 65.0± 9.5 7.0±1.7 3.3±0.5 3.0±0.0

対照区 739.3±23.8 484.2±24.1 68.6±10.7 7.0±1.0 3.0±0.0 3.0±0.0

区分 飼料用米給与期間 肥育全期間

濃厚飼料 粗飼料 濃厚飼料 粗飼料

飼料用米区 8.4±0.2 1.0±0.0 7.8±0.2 1.3±0.1

対照区 8.4±0.5 1.0±0.2 7.7±0.4 1.4±0.2

区分 肥育開始時 飼料用米給与期間 肥育全期間

体重 (kg)

開始時体重(kg)

終了時体重(kg)

DG (kg/日)

DG (kg/日)

飼料用米区 304.0±11.7 626.6±11.0 763.3±29.1 0.75±0.10 0.82±0.04 対照区 302.6±15.2 632.6± 5.7 771.3±20.2 0.77±0.08 0.84±0.06

0

20

40

60

80

100

120

41 55 67 79 91 103 115 出荷時

生後週齢

ビタミ

ンA

(IU/d

l)

飼料用米区

対照区

飼料用米 給与期間

図1 血中ビタミンA濃度の推移

c)注意事項

ビタミンAコントロールを行っている場合、飼料用米の収穫時期によっては β -カロテンが多く含まれることがあるので考慮が必要。

表3 1日当たりの飼料摂取量(原物) (単位;kg)

表5 枝肉成績

表4 体重及び1日当たり増体量(DG)

Page 14: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

c 肉用鶏への給与

a)給与設計

給与飼料 供試羽数

10%区 配合飼料+

飼料用米(籾)10%添加

50羽(♂25♀25)

×2反復

20%区 配合飼料+

飼料用米(籾)20%添加

50羽(♂25♀25)

×2反復

粉砕

20%区

配合飼料+

飼料用米(粉砕籾)20%添加

50羽(♂25♀25)

×2反復

対照区 配合飼料 50羽(♂25♀25)

×2反復

鶏は他の畜種と違い、籾米も有効に活用できます。

トウモロコシやマイロなどの代替飼料として利用する場合、

若干の栄養素の調整が必要です。

代謝エネルギー 消化率(%)

(kcal/g) 粗蛋白質 粗脂肪 可燃無窒素物

トウモロコシ 3.27 85 94 88

籾米 2.64 71 50 91

表1. 鶏におけるトウモロコシおよび籾米の栄養価

(日本標準飼料成分表, 2001)

表2. 試験区分

表2のとおり、ブロイラー市販配合飼料に対し10%および20%の

籾米と20%の粉砕籾米を給与しました。飼料用米の添加は22日齢

以降としました。

Page 15: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

c)注意事項

この試験では籾と粉砕籾との差がありませんでしたが、不稔籾の

配合割合によっては栄養素の不足を招くおそれがありますので、

注意してください。

b)結果

嗜好性 飼料用米の嗜好性は

良好でした(図1)。

給与前

給与後

消化

図2.糞便中の籾殻

図1.飼料給与時の様子

籾殻の消化は不十分ですが

(図2)、米の吸収は良好でした。

解体成績

と体重、もも肉、むね肉、ササミなどの

重量に大きな差はありませんでした。

雄の腹腔内脂肪量は飼料用米給与によ

り増加しましたが、他の試験では減少する

との報告もあり、注意が必要です。

肉中の脂肪酸組成(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)や

アミノ酸含量(グルタミン酸、イノシン酸)についても調査しま

したが、各試験区間に大きな差は認められませんでした。

区分 と体重 もも肉 腹腔内脂肪

♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀

籾10% 2567 2378 571 524 60.4 70.2

籾20% 2447 2280 562 493 61.6 71.6

粉砕籾 2393 2305 524 506 53.4 66.2

対照 2473 2286 549 504 49.3 63.8

b

b

ab

a

表3. 解体成績

Page 16: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

3.食品残さ(エコフィード)の活用マニュアル

発酵焼酎粕

焼酎粕ケーキ

ユズ残さサイレージ

Page 17: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

①食品残さの飼料価値

品種 水分

粗蛋白質

粗脂肪

粗繊維

NFE 粗灰分

DCP TDN

焼酎粕

(米)

94.9 2.6 0.1 0.1 3.4

焼酎粕

(麦)

88.7 4.6 0.1 0.2 7.5

焼酎粕

*(いも)

94.5 1.3 0.5 0.6 2.7 0.4 0.78 3.6

乾燥焼酎粕

*(大麦)

*(米)

10.8

13.6

34.2

41.8

4.7

11.5

3.8

2.5

43.2

27.9

3.3

2.7

29.1

32.2

76.7

79.4

焼酎粕濃縮液

62.4 8.9 1.0 27.7 5.5

26.3

焼酎粕ケーキ

76.4 33.6 6.3 3.6

乳酸発酵焼酎粕

94.5 1.29 0.50 0.60 0.40 3.6

注)*日本標準資料成分表から抜粋

現物中(%)

食品残さ(エコフィード)には多種多様なものがあり、原料や加工・貯蔵

方法等でその飼料価値は大きな変動があり、家畜の飼料として利用する場合には飼料成分の分析及び飼料設計が不可欠である。

また、県内で最も排出量が多い焼酎粕においても原料には主に甘藷、米、及び麦があり、加工方法でも常圧蒸留・低圧蒸留などがあり排出される焼酎粕の成分も当然のように異なっている。

さらに、その給与形態でも飼料価値は大きく異なり、焼酎粕原液・乳酸

発酵焼酎粕・濃縮液・焼酎粕ケーキ及び乾燥焼酎粕等様々な形態での給

与がなされている。

焼酎粕類の栄養価

Page 18: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

品種 水分

粗蛋白質

粗脂肪

粗繊維

NFE 粗灰分

DCP TDN

ユズ残さ:牛

(原物)

94.9 2.6 0.1 0.1 3.4

ユズ残さ:牛

(サイレージ)

88.7 4.6 0.1 0.2 7.5

豆腐粕(生)

*牛

*豚

77.5

77.5

5.9

5.9

2.6

2.6

3.6

3.6

9.5

9.5

0.9

0.9

5.0

4.0

20.5

15.9

乾燥豆腐粕

*牛

*豚

8.6

8.6

25.5

25.5

11.6

11.6

14.7

14.7

35.9

35.9

3.8

3.8

21.8

17.6

84.6

65.4

ブドウ粕

(原物)

76.4 33.6 6.3 3.6

乾燥ブドウ粕

94.5 1.29 0.50 0.60 0.40 3.6

パン屑

9.99 12.9 9.57 0.40 65.19 1.91 93.25

緑茶抽出粕**(生)

**(乾燥)

77.8

6.0

6.1

23.8

1.2

5.6

0.69

3.37

13.1

58.6

栗加工残さ 53.0 3.08 0.39 6.84 35.9 0.85

主な食品残さの栄養価 単位:%

出典

*は日本標準飼料成分表

**はエコフィード設計プログラム

Page 19: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

②家畜での活用(エコフィード)

1)標準給与量

食品残さ

種類

対象家畜 配合飼料中の割合(%)

注意点

備考

焼酎粕

乳用牛 10~25% 高いタンパク質量

泌乳中後期搾乳牛

黒毛和種

繁殖牛

約50% 過剰給与による繁殖障害

焼酎粕の種類により成分含量が異なる。

肥育豚 濃縮:2%

乾燥:4%

肉質改善効果

ゆず加工残さ

黒毛和種繁殖牛

5~13%

ワイン粕 肥育豚 約5% 乾燥・粉砕する必要がある。

腸内細菌叢の改善

パン屑 肥育豚 約50% 肉質改善効果

茶くず 繁殖豚 約2% 繁殖性改善効果

Page 20: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

2)家畜での給与試験結果

遠心脱水処理した焼酎廃液から得られた焼酎粕ケーキを給与した。

a 乳用牛への焼酎粕ケーキ給与

水分(%)

粗タンパク質

粗脂肪 粗繊維 粗灰分

87.0 26.5 5.2 14.6 4.9

a)給与設計

12%区 6%区 0%区

焼酎粕 12.4% 6.2% 0.0%

粗飼料 37.0% 39.2% 40.6%

濃厚飼料 44.5% 48.5% 53.3%

添加剤 6.1% 6.1% 6.1%

乾物%

搾乳月数が5ヵ月以降の搾乳牛6頭を用いて、1期14日間×4

期の給与試験を行った。

Page 21: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

b)結果

c)注意事項

0

5

10

15

20

25

30

乾物摂取量 乳量

12%区

6%区

0%区

Kg/日

12%区 6%区 0%区 乳脂肪率(%) 5.34 5.17 5.00 乳蛋白質率(%) 3.36 3.33 3.33 乳糖(%) 4.39 4.45 4.42 無脂固形率(%) 8.80 8.74 8.75 全固形(%) 14.14 13.91 13.75 MUN(mg/dl) 8 10 13

焼酎粕はタンパク質含量が高いため、飼料中のタンパク質含量が高くならないように注意する。

Page 22: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

b 黒毛和種(繁殖雌牛)への乳酸発酵焼酎粕給与【中間実績】

a)給与設計 黒毛和種繁殖雌牛に乳酸発酵焼酎粕(カンショ)を10L/日を2年間

給与した。粗飼料はソルガムサイレージを給与した(表1)。

b)結果 ①種付回数及び分娩期間については、対照区と比較して差は見られなかった(表2)。

②血液性状については、各項目ともほぼ正常値内であった(表3)。

c)注意事項 ・乾物中のタンパク含量が高いため、過剰な給与を避ける。

・焼酎粕の種類によって成分含量が異なるため、焼酎粕の特性を加味した上で、給与設計を考える必要がある。

供試牛 年齢 飼料の種類 給与量

対照区

繁殖雌牛4頭

7~8乳酸発酵焼酎粕

10L/日

繁殖雌牛4頭

7~8繁殖用

配合飼料約1kg

区分

試験区

※粗飼料および濃厚飼料については、牛の各ステージに合わせて増減

させた。

給与後(20ヵ月後)

CP γ -GTP コレステロール AST

試験区 7.6 25.3 99.5 52.0

対照区 7.5 24.3 87.5 46.5

正常値 6.55~7.65 15.0~25.0 78.0~142.0 46.0~100.2

表3.血液性状

表1.試験区分

牛番号 種付回数 分娩間隔

(日)

1 2.5 421.0

2 1.5 374.0

3 2 450.5 4 2 430.5

平均 2.0 419.0

表2-1.試験期間中の平均繁殖成績(試験区)

牛番号 種付回数 分娩間隔

(日)

1 1 400.5

2 3 488.5

3 3 442.5 4 1 335.5

平均 2.0 416.8

表2-2.試験期間中の平均繁殖成績(対照区)

Page 23: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

d 肥育豚への乾燥焼酎粕給与

乾燥焼酎粕を2,4,6,8%混合した

飼料(表1)をそれぞれ去勢豚の肥育後期(70kg~100kg)に給与しました。

b)結果

c)注意事項

給与飼料の配合設計 配合後の成分

配合飼料 焼酎粕 大豆粕 大麦 水分 粗蛋白 粗繊維 TDN

対照区 92 0 3.00 5.00 12.7 14.1 3 74.7

2%区 92 2 2.25 3.75 12.6 14.1 3.2 74.4

4%区 92 4 2.50 2.50 12.6 14.1 3.4 74.2

6%区 92 6 1.25 1.25 12.6 14.1 3.5 73.9

8%区 92 8 0.00 0.00 12.6 14.1 3.7 73.6

乾燥焼酎粕

増体量は、焼酎粕を給与した区が高くなり、4%区が最も高くなりました。

1.発育成績

a)給与設計

790.9

912.1 935.7

831.5

902.6

700

750

800

850

900

950

対照区 2%区 4%区 6%区 8%区

増体量(kg/日)

表1 試験飼料配合設計及び配合後の成分

Page 24: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

2.枝肉成績

対照区、試験区ともにすべて上物でした。

3.肉質

ロース肉と脂肪において、肉色、脂肪色、保水性、脂肪融

点、肉中粗脂肪含量などには差はなく、焼酎粕給与による影

響はみられませんでした。

4.飼料コスト

飼料コストは、焼酎粕の添加割合が高くなるにつれて低くな

りましたが、枝肉金額に占める飼料割合は4%が最も低くなり

ました。

65.5 66.3

61.8

63.5 63.8

58.0

60.0

62.0

64.0

66.0

68.0

対照区 2%区 4%区 6%区 8%区

飼料費割合(%)①/②

対照区 2%区 4%区 6%区 8%区

飼料経費(円/頭)① 20,286 20,892 19,927 19,856 19,792

枝肉金額(円/頭)② 31,069 31,483 32,204 31,455 31,054

b)注意事項

焼酎粕の種類によって成分含量が異なるため、焼酎粕の

特性を加味した上で、給与設計を考える必要があります。

表2 飼料コスト

Page 25: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

e 肥育豚への焼酎粕濃縮液給与

○南九州では大量の焼酎粕が廃棄されています。

○焼酎粕は、抗酸化作用があり、、がんや心筋梗塞などの生活習慣病を予防するビタミンEを多く含みます。

焼酎粕(液体)

○肥育豚への焼酎粕濃縮液給与による、発育成績および肉質への影響を検討しました。

焼酎粕濃縮液の家畜飼料化

○焼酎粕濃縮液は、焼酎粕を固液分離後、液部を濃縮したものであり、成長促進物質やポリフェノールなど機能性成分を多く含みます。

a)給与設計

給与飼料 供試頭数

対照区 配合飼料98%+大豆粕0.25%+大麦1.75%

雌6 去勢6

試験区 配合飼料98%+焼酎粕濃縮液2% 雌6 去勢6

※給与期間:体重30kg~110kg

b)結果

920

940

960

980

1000

1020

1040

対照区 試験区

去勢

985

103

1

962 96

9

一日増体量(g/日)

焼酎粕濃縮液を2%混合した飼料

を給与した場合、一日増体量への影響はない。

Page 26: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

表1発育成績および枝肉成績

対照区 試験区

去勢 雌 去勢 雌

肥育期間(日) 79.7 82.2 79.7 83.2

飼料要求率 2.9 3.1 3.2 3.0

枝肉重量(kg) 72.8 69.8 72.9 73.6

歩留(%) 65.0 64.7 66.3 66.1

背脂肪厚(cm) 1.4 1.3 1.5 1.2

上物頭数 5/6 3/6 5/6 5/6

・発育成績に影響はないことが分かった。

・枝肉成績については、試験区の歩留率が高く、上物頭数が多かった。

飼料に焼酎粕濃縮液を2%混合し、長期給与することで枝肉成績が良好になる。

表2 飼料コスト

対照区 試験区

飼料費計(円/頭) 18,792 18,873

飼料費/枝肉金額(%) 65.0 63.9

枝肉1kg生産費(円/kg)

264 258

※飼料費計は子豚期からのものを含む。

試験区の枝肉1kg

生産費が低い。

低コスト化

①焼酎粕濃縮液を肥育豚に給与する際、2%程度の混合割合であれば、肥育全期間給与でも発育および枝肉成績は問題ない。

②焼酎粕濃縮液は水分が高いが、原液に比べると保存性は良好であり、焼酎粕の通年利用に活用できる。

Page 27: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

f 肥育豚へのワイン粕給与

a)給与設計 * 供試動物 : 肥育後期(75kg~110kg)の豚 各8頭 * 試験期間 : およそ1ヶ月

● 対照区 : 基礎飼料(市販肉豚肥育用配合飼料) ● 試験区 : ワイン粕添加飼料(基礎飼料に下記ワイン粕を5%添加) ※ 白ワイン粕乾燥粉末(熱風乾燥75℃、10h、1φ 粉砕) ※ ブドウの品種:シャルドネ種(五ヶ瀬町産)

ブドウ種子ポリフェノール

(プロアントシアニジン)の機能性

● 体内抗酸化

● 酸化ストレス予防

● 腸管免疫亢進

● 脂質改善

● 腸内細菌叢改善

● 排せつ物の臭気抑制 etc.

ワイン豚肉

養豚

ぶどう畑

「健康的で」「おいしく」「環境にやさしい」

搾汁後の果皮・種子バイオマスの利活用

ポリフェノール・有機酸ビタミン類・食物繊維などの機能性成分

地域の活性化

(地域資源の循環)

● 県内には3箇所ワイナリーが存在する。

● ワイン粕(ワイン製造過程で発生するブド

ウを絞った後の果皮や種子)は現在、

堆肥化あるいは焼却処理されている。

● ワイン粕にはポリフェノール等様々な機

能性や有効性を発揮する可能性がある。

● ワイン粕を肥育豚用サプリメントとして有効

利用することを検討した。

Page 28: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

b)結果

c)注意事項

*:P<0.05

● ワインの絞り粕を乾燥および粉砕する必要がある。 → 600円/kgの費用がかかる。

試験期間中の体重の推移

増体量

(kg/日)

飼料摂取量

(kg/頭)

飼料要求率

対照区 0.838 ± 0.20 106.13 4.37 ± 0.19

ワイン粕給与区 0.940 ± 0.16 111.11 4.08 ± 0.14

0w 2w 4w

大腸菌群数 5.40 ± 0.73 6.21 ± 1.17 6.36 ± 0.94 5.75 ± 1.24

サルモネラ 2.29 ± 0.01 3.38 ± 0.39 * 3.00 ± 0.40

(検出数)

ビフィズス菌 8.11 ± 0.41 8.26 ± 0.48 7.96 ± 0.63 8.26 ± 0.41

5.29

(1/8) *(6/8)(4/8)(2/8)

0w 4w 0w 4w

試験区対照区

腸内細菌叢の変化 (log CFU/g)

● 大腸菌群数 : 対照区では増加したが、試験区では減少傾向を示した。

● サルモネラ : 検出率では、対照区で増加したのに対し、試験区では減少した。

● ビフィズス菌: 試験終了時、両区において同等の数値を示した。

対照区より試験区の方が短期間でより増体できる

ことが分かった。

Page 29: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

パン屑中心エコフィードによる

高品質豚肉生産技術試験

○体重約70kgから出荷まで給与し、発育や肉質の調査を行いました。

○パン屑と市販の配合飼料を25~100%の割合で混合しました。

脂肪交雑(サシ)がよく入っています。

通常よりも低コストでの肥育が可能でした。

50%程度の混合割合で、良好な発育を維持し、肉質も良くなりました。

パン屑を中心としたエコフィードを配合飼料と混合する場合、25~50%混合で増体を維持しつつ、肉質の改善が期待できます。 パン屑は必須アミノ酸のリジンが不足していますので、割合を増やしすぎると増体不良を起こしますので注意が必要です。

Page 30: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

豚への茶葉給与試験 試 験 方 法

配合飼料に茶葉を2%添加し、交配~分娩~離乳の期間、母豚に給与しました。

対照区 茶葉区

供試頭数 48 42

交配頭数 39 38

交配率(%) 79.2 92.9

交配回数 1.16 1.03

交配期間事故率(%) 14.6 4.8

総産子数 10.5 11.0

離乳頭数 9.1 9.2

対照区の交配期に病気やストレスによる事故が目立ったのに対し、茶葉区では健康な状態を維持していました。 茶カテキンには抗酸化作用があると言われており、豚にとってストレスのかかる群編成や豚舎移動の際の給与に有効である可能性が示されました。

試 験 結 果

商品価値の劣る秋冬番茶を用いました。 20頭群飼で飼料に直接茶葉を

ふりかけて給与しました。

Page 31: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

5.未利用資源の活用方法

栗鬼皮・渋皮の飼料化試験

竹粉砕飼料化試験

笹の飼料化試験

Page 32: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

活用の進め方

未利用資源の発見

• 未利用資源の価格、形態、排出量及びその時期、輸送コスト等の調査

• 未利用資源の安全性、給与対象家畜選定

未利用分析及び飼料設計

• 飼料分析の依頼(畜産試験場)

• 給与設計の依頼(普及センター等)

• 長期保存方法の検討

給与実証及び

給与開始

• 給与実証試験(経済性の確認)

• 給与開始とデータの蓄積

• ブランドづくり

Page 33: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

5.県内の優良事例

水中ポンプを利用した焼酎粕手作り給与システム

竹葉・笹の粉砕

Page 34: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

事例①

南那珂地域における 焼酎粕の飼料化への取組み

①取り組みの背景 近年の配合飼料価格の高騰等で酪農経営は厳しい状況が続いて います。このような中、その対策の1つとして未利用資源の有効活 用が注目されていますが、南那珂地域においても、畜産試験場や 関係機関に協力をいただきながら、平成20年から乳牛への焼酎粕 給与について検討を行っています。

②エコフィードの利用について 現在利用している焼酎粕は、焼酎廃液を脱水処理した脱水ケー キ状のもので、牛の嗜好性が良好である上に、比較的安価であり、 栄養価も高いことから飼料しての利用が始まりました。酪農家で は、焼酎粕を単体あるいは、自給粗飼料と焼酎粕を飼料混合機で 混ぜ合わせたものを経産牛に給与しています。

【ケーキ状の焼酎粕】

【焼酎粕と粗飼料の混合粗飼料とその給与の様子】

Page 35: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

③具体的な給与の例

水分 (%)

乾物中(%)

粗タンパク質 粗繊維 TDN

84.5 25.8 11.6 65.5

《焼酎粕の成分分析値》

《給与メニューの例》 (1日1頭当たり)

給与内容 給与量(kg)

混合粗飼料

焼酎粕 12

トウモロコシサイレージ 17

イタリアンサイレージ 3

ミレット 7

計 39

濃厚飼料 9.5~4.5

④利用者のコメント ・焼酎粕の通年給与ができると使いやすい ・焼酎粕を単体で給与するよりも、粗飼料と混合した方が嗜好性 がよい ・焼酎粕と粗飼料との混合作業が労働負担

⑤今度の方向 焼酎粕の製造量は、季節によって偏りがあるため通年給与が困 難な状況となっています。今後は、焼酎粕を効率的に利用できる 仕組みを検討していくことにしています。

Page 36: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

事例②

①取り組んだ地域の背景・概要

北諸県地域における繁殖牛への

焼酎粕利用

近年の飼料及び燃料価格の高騰により畜産農家の経営は大打撃

を受けている。

一方、北諸県地域には大手焼酎メーカーが数社あり、毎日「焼酎

粕」が排出されているが、その多くが「産業廃棄物」として費用をかけ

処理されている。

また、焼酎粕は高タンパクで高栄養価という機能性があり、家畜飼

料としても活用されているが、飼料化(乾燥)にはコストの問題がある。

そこで、地域で排出される焼酎粕の再利用(エコ)と飼料の低コスト

化を図るために、「焼酎粕」を液状で繁殖牛へ給与することに取り組んだ。

②エコフィードの利用体制

酒造メーカー

・焼酎粕排出量 40t/日

うち

10tを繁殖牛へ利用

関係機関

市・県(食品開発センター、畜産試験場、営農支援課、農林振興局(普及センター)) 焼酎粕保存試験

エコフィード利用組合

・都城市高城町(8戸)

・都城市梅北町(4戸)

支援

Page 37: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

③具体的な給与例

⑤利用者のコメント

⑥今後の方向

・嗜好性が良い。

・毛づやが良くなった。

・濃厚飼料の代替として飼料の低コスト化が図れた。

・省力的な給与方法の検討

・飼料用サトウキビ+焼酎粕給与による低コスト及び省力化飼養

管理技術の検討

飼料名 例① 例② 例③

トウモロコシサイレージ 6 kg - 12 kg

イタリアンサイレージ - 5 kg -

稲ワラ 4 kg 6 kg 2 kg

焼酎粕 10 L 10 L 10 L

維持期の母牛への給与例 (kg/日/頭)

※焼酎粕は10L/日を上限として給与

単価 1日当り給与量

1頭当り飼料費

40頭当り飼料費

1日当り労賃比較

経費計

焼酎粕 0.5円/L 10L 5円 200円 +392.3円 592.3円

濃厚飼料

(繁殖用)

70.4円

/kg

0.5kg 35.2円 1,408円 0円 1,408円

④労働時間とコスト比較 母牛40頭規模におけるコスト比較

<労働時間>

焼酎粕給与により飼料給与時間が約20分伸びたことから

自家労賃単価1,177円/h(経営管理指針より)

1,177円×20分/60分=392.3円

1日当たり40頭規模で815.7円の低コストとなる。

Page 38: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

事例①

①取り組んだ地域の背景・概要

西米良村における繁殖牛への

ゆず残さの利用

○西米良村では、平成20年に畜産センター

(肉用牛繁殖牛90頭規模)を設置

○山間地域で、自給飼料生産が困難(完全

購入飼料型)

○配合飼料及び粗飼料の価格高騰

○ゆずの生産が盛んで、その加工の過程で

残さが発生し、処理料が発生

○処理料発生によるゆず価格への影響

○フレコンバックサイレージ調製(H20)

・調製資材・割合・品質等の検討

○細断型ロールラップサイレージ調製(H21)

・作業効率、持ち運び向上の検討

○バンカーサイロサイレージ調製(H22)

・コスト低減、作業効率向上の検討

○繁殖牛への給与試験(H21~H23)

・嗜好性、給与量の検討

現在は、バンカーサイロでの詰め込み方式(撹拌方式・積み重ね方式)を検討中

取り組みの背景

これまでの取り組み

ゆず残さを牛の飼料として低コストで長期的に利用するためにサイレージ化の検討を実施

Page 39: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

③具体的な給与例

④生産者のコメント

⑤今後の方向

ゆず生産農家

たい肥

西米良畜産 センター

バンカー

サイロ 西米良ゆず加工施設

ゆず残さ 70t/年

繁殖牛90頭 サイレージ化

【撹拌】

ゆず残さ+

ワラ+フスマ

【詰込】 ゆず

100t/年

ゆず残さ利用体系イメージ

②エコフィードの利用体制

【撹拌作業】 【詰め込み】

【ゆず残さの持ち込み】

ゆず残さサイレージの調製割合例(現在検討中)

ゆず残さ:稲わら:フスマ=85:13:2(現物重量)

(水分70%)

繁殖牛維持期の場合の給与例

ゆず残さサイレージ 5kg(TDN1kg単価:32.2円)

配合飼料 0.5kg

稲わら 2kg

その他乾草 2kg

※ゆず残さサイレージTDN1kg単価:32.2円(直接経費のみ)

【ゆず残さサイレージ】

【給与風景】

○ゆず残さサイレージの給与にあたっては、牛が慣れるまで数日かかるが、

その後の嗜好性は良好である。

○飼料コストを落とすためにも早く、調製技術などを確立し、給与体系に組み

込みたい。

○これまで試験的な取り組みであったが、バンカーサイロでのゆず残渣のサ

イレージ調製は、コスト、作業性、品質とも良好で、サイレージ調製技術は、

ほぼ確立された。今後は、ゆず残さの輸送システム、副資材の稲わら収集

システムの構築と簡易バンカーサイロの設置で実用化に向け取り組む。

Page 40: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

事例①

① 取り組んだ地域の背景・概要

西臼杵地域における繁殖牛への

焼酎粕利用

西臼杵地域では、従来から焼酎粕を一部の繁殖農家で飼料として給与していたが、適正な給与基準や焼酎粕を長期保存する技術が確立されていなかった。

そこで、エコフィード利用組合を設立し、明確な給与基準を示すとともに乳酸菌を添加し保存性を高めた焼酎粕を安定的に飼料として給与している。

② エコフィードの利用体制

麦焼酎粕(乳酸菌・糖蜜入り)

焼酎粕保存用タンク(50t 2基)

Page 41: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

③ 具体的な給与例

④ 生産者のコメント

⑤ 今後の方向

麦焼酎粕を組み合わせた給与例~ 維持期で体重450Kgの場合(Kg/日/頭)~

・嗜好性が良い。

・毛づやが良くなる。

・適正給与で繁殖成績も問題ない。

・飼料代が削減できる。

・保存ができるので、取りに行く回数

が少なくてすむ。

西臼杵地域では、繁殖牛への焼酎粕給与が定着しつつあるが、まだ地域内で未利用の焼酎粕がある。

今後は、新たな利用組合員を確保し、焼酎粕の利用拡大を図るとともに、定期的な成分検査を実施し品質保持に努め、安定した焼酎粕給与ができるよう支援を行っていく。

★トウモロコシサイレージ

麦焼酎粕 ・・・5L

トウモロコシサイレージ ・・・7Kg

稲ワラ ・・・2Kg

野草 ・・・2Kg

★飼料用イネWCS

麦焼酎粕 ・・・5L

飼料用イネWCS ・・・7Kg

稲ワラ ・・・2Kg

野草 ・・・ 2Kg

~注意事項!~ ・豆腐粕や大豆粕など高タンパク質飼料との併用はしない。

・イタリアン(1番草)との併用もできるだけしない。併用するとき

はイタリアンの給与量を少なくする。

麦焼酎粕給与の様子(高千穂町押方)

飼料費の軽減 麦焼酎粕5リットルが配合飼料400gに相当

麦焼酎粕5リットル・・・約8.5円 配合飼料400g・・・約30円

維持期の繁殖牛1日1頭あたり約21.5円の減額!

Page 42: 肉用牛生産性向上対策事業 活動成果報告 (子牛育成) · 1.宮崎県における未利用資源の現状 ①飼料用米の現状 本県では、減反作物として飼料用稲が作付けされ、H25年度には約4,

謝辞 本マニュアルを作成するにあたり、資料のご提供をいただいた

各関係機関の皆様、ならびに、本事例集の作成にご協力いただいた生産者をはじめ関係者の皆様に深謝します。

協力団体一覧

宮松クリーン (串間市)

エコフィード利用組合 (都城市)

西米良畜産センター (西米良村)

高千穂酒造エコフィード利用組合 (高千穂町)

執筆者一覧 宮崎県畜産試験場 中武 好美

宮崎県畜産試験場 加藤 聡

宮崎県畜産試験場 立山 松男

宮崎県畜産試験場 西村 慶子

宮崎県畜産試験場 中塩屋 正志

宮崎県畜産試験場 下村 麻衣

宮崎県畜産試験場 津曲 明美

宮崎県畜産試験場 中村 淳美

宮崎県畜産試験場 東 政則

南那珂農業改良普及センター 伊藤 温子

北諸県農業改良普及センター 川野 秀人

児湯農業改良普及センター 垂水 啓二郎

西臼杵農業改良普及センター 竹内 真弓

監修 営農支援課 小坂 昭三

営農支援課 須﨑 哲也

宮崎県畜産試験場 大木場 格