聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - seiro › sankan › charm_agri ›...

86
聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 町の資源をフル活用したいきいき 農業の推進のために 平成23年8月 聖籠町魅力ある農業調査研究委員会

Upload: others

Post on 24-Jun-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

聖籠町魅力ある農業調査研究報告書

町の資源をフル活用したいきいき

農業の推進のために

平成23年8月

聖籠町魅力ある農業調査研究委員会

Page 2: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

聖籠町魅力ある農業調査研究報告書

目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

第1章 聖籠町における農業・農村の変遷 ・・・・・・・・・・・・ 8

1.「まち」の開発の過程―聖籠町の成立― ・・・・・・・・・・・ 8

2.加治川の治水対策と農業・農村開発のはじまり ・・・・・・・10

3.都市近郊型の農業発展の模索―工業化と農業開発の狭間―

※昭和後半・平成~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

4.「まち」と農業・農村の資源 ・・・・・・・・・・・・・・・15

5.聖籠町農業・農村のあゆみ ・・・・・・・・・・・・・・・・・17

第2章 住民の意識構造と農業・農村の魅力 ・・・・・・・・・・・19

1.住民が望む町農業の姿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

2.農産物に対する意識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

3.農業の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

4.土地利用に関する意識 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

第3章 農業・農村整備と町づくり ・・・・・・・・・・・・・・・27

1.農業・農村整備の投資実績と方向性 ・・・・・・・・・・・・27

2.まちづくりと農業の持続可能性 ・・・・・・・・・・・・・・29

第4章 農業・農村の魅力を高める戦略の方向性 ・・・・・・・・・34

参考資料

1.聖籠町魅力ある農業アンケート調査結果報告書 ・・・・・・・40

2.調査研究委員会名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85

Page 3: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

1

はじめに

「まち」は今、危機に直面している。グローバリゼーションの下で、昔はそれぞれで自

己完結していた町や地域や国家の経済は、いまや世界経済の切り離せない一部となり、人々

の生活の質は、地元の産業を左右する国際競争の影響を受けている。また、急激な技術進

歩は人々の生活、仕事、旅行、コミュニケーションを一変させている。そして、地方分権

の流れは地方政府への中央政府からの財政援助が減らされ、教育や医療をはじめとして、

さまざまな行政サービスの財源確保の責任をそれぞれの地方政府が負うことになっている。

さらに、急速に進む少子・高齢化はこれまでの行政サービスに抜本的な見直しを迫ること

になっている。他の市町村では人口の減少が始まる中、聖籠町では町の政策が功を奏し、

人口数は増加傾向を示している。2010 年の年少人口割合は 15.5%(新潟県 12.8%)、老年

人口割合は 20.9%(同 26.2%)となっており、少子・高齢化は比較的緩やかに進んできた

が、2009 年から 2010 年(13,653 人)には人口数は減少に転じるなど、行政サービスの見

直しを避けることはできない(数値は『国勢調査』および新潟県人口推計)。

しかし、「まち」を取り巻く環境がどうであれ、新しい状況へと動いていくことを止める

ことはできない。「まち」はこれらの脅威に効果的に適応し、生みの苦しみに耐えなければ

ならない。リーダーシップの欠如や諦めから何もしない「まち」がある一方で、金集めに

奔走し、国や県からの援助を絞り出そうと、陳情活動を繰り広げる「まち」もある。また、

市債を発行したり税率を上げたりする「まち」や、職員を減らしたり、節約のため行政サ

ービスを外部委託や民営化するところもある注 1。

だが、多くの「まち」は必死で再生を図っている。企業や観光客を呼び込むため、地元

の商工会議所や経済開発担当の部署などが誘致優遇策を積極的に行う「まち」や、地域の

高額なアトラクションに競って財政援助をする「まち」がある一方、「まち」のイメージ作

りのためにコミュニケーション関係の支出を増やしている「まち」もある注 2。

しかしながら、コトラー・他(1996)が指摘したように、「「まち」は単なるビジネスと

予算だけで出来上がっているのではない。人々や文化、歴史的遺産や資産、色々なチャン

スから成り立っている」

これまでに地域経済開発に関しては主に以下の 5 つのアプローチがある。すなわちコミ

ュニティ開発注 3、都市計画、都市デザイン注 4、経済開発注 5、戦略的マーケティング・プラ

ンニング注 6 である。それぞれのアプローチは、排他的なものではなく、関連性を有してい

る。そして、独自の発展を成し遂げている場合もある。

ところで、地域経済開発論の中で近年最も注目されているアプローチの一つにクラスタ

ー戦略によるアプローチがある(Stimson, Stough, and Roberts, 2006)。クラスターとは、

「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属す

る企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時

に協力している状態」(Porter, 1998)である。産業クラスター研究会(2005)は、クラス

Page 4: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

2

ター形成の意義として次の3つをあげている。すなわち、外部経済効果とイノベーション

の連鎖および地域ブランド化による集積の加速化である注 7。

クラスター戦略は、農業・農村開発の分野においても注目されるようになってきている

(木南 2011)。確かに、生産基盤や農村環境の整備、農業構造の改善などは、依然として

農業・農村開発において大きな役割を果たしているものの、今日の農業を取り巻く経済・

社会環境を見ると、農業や食料産業を中心とする経済主体間の連携やイノベーションの創

出において、クラスター戦略が有効となる局面が増えている。

一方、戦略的マーケティング・プラニングにおいて、農業や農村が主要な対象となるこ

とは少なかった。このことは、伝統的に農業・農村開発と「まち」の開発との間には一線

が引かれ、「まち」の中に存在する農業の位置付けは必ずしも明確ではなかったこととも無

縁ではない。

ところで、多面的機能をはじめとする農業の役割に対する認識が変化する中で、今日「ま

ち」の再生において農業に注目する意義は、以下の点にあると考える。すなわち、農業は、

地域において住民との間に空間を共有し、多面的機能を享受し、そして、農産物を消費す

ることを通じて、直接的・間接的な相互依存関係や連携関係を形成する機能を有すること

である。農業が持つこのような機能は、従来の戦略的マーケティング・プラニングや産業

クラスター戦略が想定していないものの、戦略の効果を高める上では、「まち」の農業にこ

そ機能を発揮する余地が大きいと考えられる。そのため、農業が全産業に占める経済規模

は大きくないものの、「まち」の再生に重要な意味を持つと考える。

ただし、その一方で、地域の農業は、多数で多様な生産主体および関連する主体によっ

て構成されているため、これらの主体の構造や意識を踏まえずに、戦略的マーケティング・

プラニングや産業クラスター戦略を単純に適用することは困難である。したがって、「まち」

の再生における農業のこれからの姿を描くためには、新たなアプローチが求められている。

この度、聖籠町では「魅力ある農業調査研究委員会」が設置され、2 年間に渡って計 9 回

の会議を通して聖籠町の農業の魅力について、様々な観点から議論を行った(各回の議事

録を参照)。極端な言い方をすれば、そこでの議論は以下の点に集約することができる。つ

まり、農業は「まち」のお荷物となりつつあるか、それとも既になっていたのであろうか。

農業は「まち」再生の起爆剤あるいは「まち」のシンボルとなり得るか。農業は「まち」

の文化でありつづけるべきか、等である。本報告書はこれらの議論を踏まえて、従来の地

域経済開発のアプローチに戦略的マーケティング・プランニングおよび産業クラスター戦

略のアプローチを加えて、新たに「戦略的地域農業開発」(Strategic Development for Regional Agriculture)のアプローチ(図 1 を参照)を用いて「魅力ある聖籠町の農業」に

向けての道筋や方策を提示することを目的とする。

「戦略的地域農業開発」のアプローチは、従来のまちづくりにおける都市計画、コニュ

ニティ開発、戦略的マーケティング・プランニング、産業クラスター戦略のアプローチを

総合的に組み合わせることによって成立するものであると考える。経済学的な思考に基づ

Page 5: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

3

くならば、まちづくりは、空間における様々な財(市場財と非市場財)やサービスの需給

関係の上に成立しているものであり、経済主体がどのような財やサービスが、どこでどの

ような原理に基づいて供給するのかということに大きく依存している。この場合は、経済

主体には、農業をはじめとする各産業の事業者、地方公共団体、一般住民などが含まれる。

図 1.戦略的地域農業開発の概念

地域内で特定の経済主体が、財やサービスの供給者となりうるのは、効率性に優れてい

る場合、差別化に優れている場合、さらには、イノベーションを創出する場合などがある。

それぞれにおいて重要な役割を果たす経済原理は、比較優位、競争優位、そして協調優位

である。比較優位の原理では、経済主体が生産に特化する財、サービスは、相対的な生産

コストが低いものに決定される。競争優位の原理では、経済主体がコスト削減だけでなく、

差別化や集中化によって競争力を高めた財やサービスの生産に特化することになる。そし

て、協調優位の原理では、経済主体が他者との連携やネットワーク形成で実現したイノベ

ーションによって競争力を高めた財やサービスの生産に特化することになる。比較優位の

発揮と競争優位の発揮には一種のトレードオフの関係があるため、フロンティアが存在す

るが、協調優位の発揮はそのフロンティアを突破するものである(図 2 参照)。ただし、現

実にはいずれの原理も地域内で貫徹することはないため、異なる原理に基づく経済活動が

混在している。

Page 6: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

4

図 2.比較優位・競争優位・協調優位の関係

これらの原理をまちづくりに当てはめてみると、地域に対するものの見方とも関係して

いる(図 3 参照)。比較優位の原理の下では、地域内で財やサービスを相対的に低コストで

生産可能な経済主体が生産を行う状態になる。規模の経済が重要な要因であるとともに、

経済主体間は相互に独立であり、結果として地域内での分業が形成されることになる。

競争優位の原理の下では、経済主体は差別化戦略に成功した者が、質的に異なる財やサ

ービスを供給するという状態になる。差別化の効果は、経済主体間の活動に外部性によっ

て影響される。すなわち地域における集積の経済と密接な関係がある。同種の主体による

集積の経済は差別化効果が低いことに、異種の主体による集積の経済は差別化効果が大き

いことにそれぞれ対応している。

協調優位の原理の下では、経済主体間の連携という協調によって競争力を高めた者が財

やサービスを供給するという状態になる。協調関係を支えているのは単なる経済的関係だ

けではなく、社会的、文化的、歴史的関係が影響している。このことは、地域を単なる経

済活動の空間と見るのではなく、社会的、文化的、歴史的な場所として見ることである。

また、協調優位の原理はまちづくりのアプローチにも適用することが可能である。図 1 に

示した都市計画、地域開発、産業クラスター、戦略的マーケティング・プランニングに関

わる主体間の連携によって、まちづくりにおけるイノベーションが創出され、より効果的

なまちづくりが可能になると考える。

協調優位比較優位

競争優位

Page 7: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

5

図 3.経済原理の変化

以下では、まず第1章においては聖籠町の歴史・文化・社会・政治的状況を踏まえなが

ら、これまでの農業・農村の変わりゆく姿を浮き彫りにする。そして、第 2 章では「魅力

ある農業調査研究委員会」が行った住民を対象とするアンケート調査の結果に基づき、農

業・農村の変化に伴い住民意識の変化を描き出すと同時に住民の聖籠町農業に対するニー

ズや期待を捉える。さらに、第 3 章ではこれまでの農業・農村整備の実績と課題を把握す

ることを通して変化し続ける住民のニーズに応えるための方策を探る。最後に、第 4 章で

はグローバル化の進展、技術革新、政治経済の流動化というような外部環境の下で、聖籠

町の農業を魅力溢れるものにしつつ「まち」が生き残っていくために何をすべきであるか

についての提言を行う。

注1.例えば、総務省の調査によれば、地方公営企業の民営化・民間譲渡事例は、過去 5 年間で 119 事業

あり、主な事業分野は介護サービス、病院、交通事業となっている。「地方公営企業の経営の総点検の実施

状況(平成 21 年 4 月 1 日現在調査)」(総務省 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/22902.html)

注2.企業誘致の競争があまりに激化すると、ゼロサムゲームどころか、ネガティブサムゲームになって

しまう可能性もある。つまり、勝者までも実は敗者になっている。

注 3.コミュニティ開発(Community Development)とは、発展途上国のコミュニティや先進国の荒廃し

たコミュニティの開発時に用いられる概念であり、住民の組織化、職業訓練、教育計画、公衆衛生、住宅

建設などの物的な側面の改善だけではなく、ソフトな側面を含めた総合的な開発のことである(似田貝香

門 2008)。コミュニティ開発の手法が抱える問題には、①「まち」に必要な投資を行うだけの資源がない

可能性があること、②各隣接地や機関のどこが一番再開発の資金が必要かという配分をめぐる問題を解決

する必要があること、③外から自分たちの状況を見るのではなく、自分たちの地域内から外を見るため、

地域外の環境変化にどのように適応していくかという点が欠如していること、などがある(コトラー・他

1996)。

注 4.都市デザイナーは、人々の態度や行動は、物理的な環境に強く影響されると考えており、その環境

を変えることで人々の行動も改善すると考えている。都市デザインは、「まち」の住みやすさや魅力を高め

Page 8: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

6

ることに注目しており、「まち」が経済的に存続できるかどうかという、大きな問題は考えていない(コト

ラー・他 1996)。まちづくりの中でも主にハードな側面の設計に着目していると言える。

また、「都市計画は都市というスケールの地域を対象とし、将来の目標に従って、経済的、社会的活動を

安全に、快適に、能率的に遂行せしめるために、おのおのの要求される空間を平面的、立体的に調整して、

土地の利用と施設の配置と規模を想定し、これらを独自の論理によって組成し、その実現をはかる技術で

ある(日笠・日端 1993)。」とされる。都市計画の目標や主体は、時代や地域によって異なるため、直面

する都市問題と対応しながら実践的な過程を経る中で技術的な理論も発展してきた。住民参加は古くから

実践的な取組みが見られた分野であるが、特に 1990 年代後半以降は、都市計画像が多元化し、対話を重視

した都市計画に注目が集まり、対話によって合意形成をはかろうとする対話型都市計画理論が発展してい

る。

注 5.コミュニティ開発と狭義の経済開発を融合させたものとしてスタンフォード研究所は「経済開発と

は、そのコミュニティが経済的・教育的、社会的、そして文化的に成長し、発展するために、そのコミュ

ニティのキャパシティ(能力)を改善するためのプロセスである。」としている。この考え方は、従来の経

済開発がトップダウンの志向が強かったのに対して、経済開発の過程に大きな関心を払い、ボトムアップ

の志向を持たせている点に特徴がある。

注 6.まちの戦略的マーケティング・プランニングには①重工業誘致、②ターゲット・マーケティング、

③製品開発やニッチ市場の開拓の 3 つの段階があるとされる。ターゲット・マーケティングの段階では「ま

ち」は企業誘致などの 1 つの目標ではなく、既存企業の維持、新規企業の育成、観光、輸出振興、海外投

資の誘致など複数の目標を設定する。そして、製品開発やニッチ市場の開拓の段階では、ターゲットとす

る特定の産業が競争優位性を発揮できるという意味で、特色のある「まち」を確立しようとする(コトラ

ー・他 1996)。

注 7.クタスターは地理的に近接した一定地域に企業、事業所、工場等が集まって立地することで、輸送・

通信コストの低減、規模の経済性実現によるコスト削減効果が生まれる。また、クラスターは、単なる産

業の集積だけではなく、企業、大学・研究機関、産業支援機関、地方自治体等がコアを形成し、地域産業

に係る戦略やシナリオを共有するとともに、研究開発、新事業開拓、経営革新等のイノベーションを実現

していくものである。そして、異なる産業間のシナジー効果と相まって、イノベーションが様々な形で連

鎖的に発生することが期待される。さらに、クラスターが発展して一定規模の産業集積地として成長する

のに伴って、地域の各種の連携活動や開発された製品やサービスの評判が広まり、地域ブランド化が実現

し、取引機会の拡大、企業誘致や人材確保にも有利に働くことが期待される。

主要文献

・P. Kotler, D. H. Haider and I. Rein (1993)Marketing Places, The Free Press, N.Y. (P.コトラー・D.H.ハイダー・I.レイン著、井関利明監訳・前田正子・千野博・井関俊幸訳(1996)『地域のマーケティング』東洋経済新報社)

参考文献

Page 9: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

7

・高見沢実編(2006)『都市計画の理論-系譜と課題-』学芸出版社

・日笠端・日端康雄(1993)『都市計画(第 3 版)』共立出版株式会社

・似田貝香門・大野秀敏・小泉秀樹・林泰義・森反章夫(2008)『まちづくり百科事典』丸善株

式会社

Page 10: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

8

第1章 聖籠町における農業・農村の変遷

第1章では聖籠町における農業と農村の変遷を明らかにする。まず、『聖籠町史 通史編』

(2007 年 3 月)の年表により農業に関連する出来事を抜粋し、表 1-1 にまとめた。以下は表

に沿って、聖籠町の歴史・文化・社会・政治的状況を踏まえながら、これまでの農業・農

村の変わりゆく姿を浮き彫りにする。

1.「まち」の開発の過程―聖籠町の成立―

聖籠町は、聖籠村から昭和 52 年 8 月 1 日に町制施行により「町(まち)」となった。そ

の起源となる聖籠村は、明治 39 年 4 月 1 日に蓮潟村、藤井村、蓮野村と当時の聖籠村が合

併してできた旧聖籠村と亀代村が合併して、昭和 30 年 3 月 31 日に成立したものを基盤と

している。

聖籠町が位置する地帯は、加治川、新発田川の下流域に位置し、日本海側に面した砂丘

地帯を形成している。この地域では、度重なる水害を受けて実施された治水対策、国の農

業政策に対応する形で実施されてきた水田利用、砂丘地と都市近郊の立地を活かした果樹

経営の発展、東港の開港と工業団地の開発による工業化を経てきた。聖籠町が採ってきた

開発政策は、経済的な側面を注目すれば、「まち」の魅力を高めてきたことは否定できない。

しかし、治水対策に伴う浜辺の集落住民の北海道移住の歴史、東港開発に伴う集落の移転

など、当時の住民の苦渋の決断や苦悩の歴史があったことを考えれば、現在の住民や将来

この地域に住む人々にとっても魅力を有する「まち」づくりを実現することは容易なこと

ではないと考える。すなわち、「まち」と農業との関係を見直しつつ、新しい地域農業の開

発を展望するためには、これまでの開発の歴史を振り返りつつ、「まち」の現在の姿をその

背景にある歴史・文化・社会・政治的な状況とともに理解する必要があろう。

(1)立地と地勢・自然

聖籠町は新潟県の北部、東経 139 度 16 分、北緯 37 度 57 分に位置し、東と南は新発田

市、西は新潟市に隣接している。町は東西に 8.1km、南北に 9.5km の広がりを有し、面積

は 37.99km2である。

地勢は、新発田川と加治川に囲まれた沖積層からなる平坦地、海岸部を中心とした砂丘

丘陵から形成され、ほぼ全てが平坦な地形である。沖積平野部では水田作を中心とする穀

倉地帯、砂丘地では果樹地帯が形成されている。日本海側の気候であり、年間の平均気温

12.3 度、年間降水量 2,544mm、冬期の積雪は少ない。

また、町の北側は日本海側に面しており、新潟東港と工業団地の開発により工業地帯が

形成されており、電気、石油、ガス、食品製造、木材、運輸、建設、鉄鋼、電子産業等 110社を超える企業が進出し、6,000 人余りの雇用を生み出している。

Page 11: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

9

(2)人口

表 1-2 によれば、聖籠町の人口数は、1950 年代半ばにいったん山を迎えて、高度経済成

長期にかけて急減したことが分かる。1990 年代初めまでは 12,000 人前後で推移し、1990年代半ば以降、人口が増加し、2010 年には 13,653 人となっている。人口構造については、

年齢別の構成を見ると、高度経済成長期に年少人口の割合が急速に低下しており、大都市

への集団就職の影響が見て取れる。生産年齢人口の割合は、1980 年代初め頃まで緩やかに

上昇し続け、その後は低下傾向に転じている。また、老年人口割合は、データに示した 1950年代以降、一貫して上昇しており、高齢化率 7%を「高齢化社会」となったのが 1965 年、

同 14%を超え「高齢社会」となったのが 1990 年であり、2010 年には 20.9%に達し、「超

高齢化社会(同 21%~)」に迫っている。

一方、新潟県の人口数は、1950 年代半ばにいったん山を迎えて、高度経済成長期にかけ

て急減したことが分かる。1990 年代初めまで緩やかな増減を伴いながら、増加傾向にあり、

1998 年の 2,491,353 人をピークに、近年は急速に減少している。 人口構造については、

年齢別の構成を見ると、高度経済成長期に年少人口の割合が急速に低下しており、大都市

への集団就職の影響が見て取れる。その後も一貫して低下傾向が続く。生産年齢人口の割

合は、1990 年半ばまで緩やかに低下し続け、その後は急速な低下に転じている。また、老

年人口割合は、データに示した 1950 年代以降、一貫して上昇しており、高齢化率 7%を「高

齢化社会」となったのが 1970 年、同 14%を超え「高齢社会」となったのが 1988 年であり、

2000 年には 21.3%に達し、「超高齢化社会(同 21%~)」に突入し、2010 年には同 26.2%となっている。

すなわち、聖籠町では、新潟県全体と比較した時、1950 年代半ばの時点と 1990 年代初

め頃までは、県全体の人口動向と同様の傾向を示していたが、1990 年代以降は、人口数全

体が増加する中で、年少人口割合の低下と老年人口割合の上昇が緩やかに進んでおり、少

子・高齢化は進んではいるものの、急速なものとはなっていない。しかし、聖籠町では 2009年から 2010 年には人口総数が減少に転じるなど、少子化・高齢化と人口規模の縮小の同時

進行が始まりつつあるように見える。

表 1-2 聖籠町における人口の変化(1920-2009 年)

出所:『国勢調査』各年および新潟県推計人口

010203040506070

02,0004,0006,0008,000

10,00012,00014,00016,000

1920

1940

1947

1965

1977

1981

1985

1989

1993

1997

2001

2005

2009

人口割合

人口

年次

聖籠町

人口総数

Page 12: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

10

2.加冶川の治水対策と農業・農村開発のはじまり

(1)水害の多発と治水対策のはじまり

聖籠町が位置する加治川と新発田川の下流域は、これまでに度重なる水害を被ってきた

地域であり、災害のリスクを防ぐための治水基盤の整備が実施されてきた。しかし、その

開発の歴史を辿ると洪水被害の原因は、自然的要素だけではなく、人工的な要素も大きく

関わってきたことが分かる。江戸時代、新発田川は加治川流域の主要な用排水路とともに

主要な交通路として重要な役割を果たしてきた。

当時、この地域は新発田藩の統治下にあり、藩主導による土地開発が加治川流域におけ

る新たな水害をもたらすことになったのである。すなわち、新発田藩は紫雲寺潟遊水地の

廃止、福島潟周縁の干上がり地の開発、新発田川、新井野川の開発と河川改修などにより

加治川の水が河川敷に押し込まれるようになり、水害の形態が大きく変わったとされる。

このような過程を経て発生した水害の対策のために実施された治水基盤の整備は、地域

の住民間の合意形成や利害、困難な過程を伴うものであった。明治 22 年(1889 年)の岡

田瀬替えの完成に伴い、地域の上流域では水害を防ぐことが可能となったものの、下流域

の部分では豪雨の度に洪水や湛水の被害に悩まされてきた。この対策として実施された加

治川分水路の開削事業は、地域間の利害の対立を大きく浮かび上がらせるものであり、住

民の苦渋の決断を必要とするものであった。これは洪水のリスクを低減させたい下郷地区

旧 7 ヶ村の賛成派と上郷地区十三ヵ村の反対派という形で現れたのである。反対派の地域

は、掘削工事に伴い川床が低下してしまうために、用水量の確保が困難となることから農

地の管理が難しくなること、また、亀代村次第浜では戸数 154 戸が 1 つの井戸で全村の飲

料水を供給源となっているが、地下水は掘削により枯渇するかもしれないと懸念したので

ある。加治川分水路工事は、県会議員が当時の有力地主である開削派(市島・佐藤)と非

開削派(二宮・白勢)の間の協議の調停を図るなどの対応をした。結果として、この治水

事業は明治 41 年(1908 年)に県営事業として実施され大正 2 年(1913 年)に竣工し、次

第浜の飲料水や灌漑用水不足を解消するために用水路の新設なども行われた。治水対策に

一定の役割を果たしたのである。しかし、その一方で、大正元年には早くも用水不足が顕

在化し、田畑の作付け不能、海への土砂流出による漁業不振、井戸堀替えの費用負担の困

難などの問題が生じた。次第浜ではその後40数戸が北海道に集団移住をすることになっ

たのである。このような土地や水資源の開発と統治の歴史は、農業経営のみならず住民の

暮らしの再編を大きく伴うものであったことがわかる。

(2)都市化と商業作物の導入

聖籠町では、上記の治水対策とほぼ同じ時期に、養蚕生産の本格化、果樹栽培の普及な

どが進んだ。日本全体では都市化と労働力の移動が急速に進む中で、聖籠町では商業作物

の導入による農業開発が進んだのである。そして、その背景には先駆的者による果樹栽培

の普及と販路開拓への尽力があった。聖籠村で梨が栽培されたのは 1844 年~1848 年頃で

Page 13: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

11

あるとされ、本格的に栽培をはじめたのは明治 25 年(1892 年)の二本松の岩渕栄太氏で

あるとされる。彼らは、果樹品種の選定、苗木の配布、栽培農家の指導、販路の拡大など

に力を入れ、明治 40 年頃には聖籠村の梨栽培面積は 70~80 町歩となるまでに発展した。

その後は、農村の組織として農家による組合が次々と組織化され、果樹栽培の発展は次の

段階に入った。

まず、明治 40 年 6 月には、梨の貯蔵庫の造成と栽培農家への資金供給を担い販路拡大を

図る組織として、有限会社二本松振興購買組合が設立された。また、果樹の防虫害予防の

実地指導や研究も積極的に行われるとともに、大正 2 年(1913 年)には果樹園病虫害共同

予防駆除組合が設立され、栽培農家間の協力による病害虫の予防と駆除がはじまった。そ

の結果、県の実施する園芸品評会の梨の部では聖籠梨の品質の高さが評価されるまでに至

ったが、このような市場での評価は、販路のさらなる拡大を促した。まずは名古屋方面に

広まったが、次第に北海道や東京方面へも広がりを見せたのである。記録によれば昭和 3年(1928 年)には、沼垂商人を介して、聖籠梨は全国各地で販売され、昭和 5 年(1930年)には蓮野・聖籠・亀代村が共同で梨を出荷するに至り、昭和 9 年(1934 年)には満州・

朝鮮に販路を拡大している。聖籠村では、それまで稲作を中心としていたが、この時期以

降、稲作の改良が進むと同時に果樹産地としての地位を確立していくことになる。

この他、農家に対しては、コメ単作の地帯における凶作のリスクを出来る限り緩和する

ために、積極的に副業が奨励されていた。当時、コメ単作地帯の新潟県では、養蚕に適し

た土地と豊富な人口を背景とした労働力が存在しており、他県よりも養蚕業に比較優位が

あると見なされ、県もこれを奨励していた。聖籠村では明治 24 年(1891 年)に蚕業の指

導者の育成機関として養源社(聖籠村真野の吉田善太郎による)が設立されたが、当初の

修業者は、新潟県内の他の先進地域の者たちであった。聖籠村では明治 30 年代に、農家の

なかで養蚕を副業とする動きが見られ、村当局もこれを支援した。北蒲原郡蚕糸協同組合、

同郡蚕種協会などの組織なども設立され、組織的な体制も整備された。たとえば、次第浜

では春蚕の時期は、漁業があるが、秋蚕の時期には漁業の繁忙期を過ぎるため、秋蚕の講

習会などが開かれ、技術指導が行われた。聖籠村の養蚕戸数は明治 40 年代から 300 戸を超

え、昭和初期には 450 戸前後にまで達した。大正期には日本の絹糸は、総輸出額の 20%以

上を占めるまでになり、大正 11 年には 49%に達した。中国、フランス、イタリアの先進国

を抜き、世界一の蚕糸輸出国となり、外貨獲得と農家の家計に大きく貢献したのである。

この後、昭和 13 年に合成繊維の資本が日本に参入し、日本の養蚕業が大きな転換を迫られ

ることになるまで、聖籠村の養蚕農家は良質の繭を納入し続けたが、昭和 45 年には2戸ま

で激減し、昭和 50 年ころには養蚕農家は皆無というような状態となった。

ところで、昭和 10 年代以降、聖籠村の果樹栽培は、桜桃(サクランボ)や葡萄へと移っ

ていくことになる。しかし、この時期に設立された農村の組合組織の設立過程と運営を通

じて、築かれた人的なネットワークや信頼関係、そして農家の農業技術の蓄積がその後の

地域の農業開発を進める上で重要な受け皿となっていったものと考えられる。

Page 14: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

12

3.都市近郊型の農業発展の模索―工業化と農業開発の狭間― *昭和後半・平成~

(1)工場誘致型の工業化と「まち」の再編

戦後のまちの開発は、日本経済の高度経済成長が進む中で、工業開発を中心に開始した。

まず、昭和 38 年(1963 年)に、低開発地域の産業振興と地域間格差の是正を目的として、

全国に 13 地域が新産業都市に指定された。新潟地区新産業都市では、4 市・6 町・11 村が

含まれ、聖籠村もこれに含まれた。この新産業都市計画の指定の動きとともに、聖籠村で

は新潟東港工業港開発計画が進められた。総面積 4,600ha の用地に、鉄工・石油・機械・

非鉄金属・造船などの重化学工業の誘致を図り、臨海工業地帯を造成することを目的とし

たものである。昭和 36 年(1961 年)頃から運輸省・建設省、新潟県や近隣市町村ととも

に協議会が設置され、東港の開発が進められた(1963 年起工、69 年開港)。当時、新潟県

内では、新潟港(西港)周辺地域の開発が進んでおり、工業化と都市化が急速に進み、港

湾の後背地も拡張も困難になっていた。そこで、近代工業の立地促進と船舶の大型化に対

応するために新しい港湾拠点の開発が、新潟県の総合開発の中核としても位置付けられて

いたのである。昭和 40 年代の公害問題にともなう計画の再検討を経て、規模は縮小された

ものの、聖籠町は開発区約 1,500ha のうち約 6 割(残りは新潟市)を占めており、東工業

港の中心部に位置している。

開発に伴う工業用地の買収が進められ、聖籠村では、全集落が移転した 5 集落を含む、9集落が移転を余儀なくされるともに、漁業権の一部抹消も実施された。亀塚浜漁業協同組

合は准組合員を中心としていたが、漁業権を放棄することになった。また、工業地帯にお

ける電力需要の高まりに対応するために、昭和 45 年(1970 年)に新潟火力発電所の建設

が進められることになったが、これは公害問題に対する関心の高まりと重なり、住民の反

対運動も起こった。建設を進めようとする村当局と公害問題を強く懸念する聖籠村公害防

止連絡会議との間の対立は昭和 48 年秋以降に強くなり、事態は平行線となったものの、村

側は十分に特別委員会・審議会・各種会合などを通じて十分に審議がつくされたものとし

て、発電所の建設と運転が進められた。

昭和 49 年(1974 年)、発電所立地の市町村と住民に対して利益還元を図ることを目的と

して電源三法が施行、同年 6 月に「電源立地促進交付金事業」が成立した。聖籠村では昭

和 50 年度より交付金が支払われた。聖籠村では昭和 50 年度に村道・農道改良工事 20 件、

船だまり 1 件の事業を施工し、51 年度には村道・農道改良 26 件、藤寄分校のプール建設

を早速開始した。また、町道の拡幅・舗装、街灯設置、教育施設の整備、町民会館、各種

スポーツ施設の建設等、生活環境の整備が進められたのである。東港工業地帯の開発とと

もに、聖籠町は経済的な豊かさを共有していくことになる。

(2)戦後の農業開発過程における農業経営の対応―兼業化と多角化―

①戦後農業開発と稲作経営の変容

聖籠村では、日本全体の農業政策の転換の動きに対応する形で、稲作は土地生産性の向

Page 15: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

13

上から労働生産性の向上、さらには稲作から畑作へと農産物供給の転換が進められること

になるが、その原動力となったのは土地改良事業、農業機械の普及、ビニールの利用によ

る農地の利用方法の転換があった。

昭和 24 年(1949 年)施行の土地改良法に基づき、聖籠地区では昭和 27~33 年の期間に

区画整理を中心とした土地改良事業が進められた。日本では、昭和 36 年(1961 年)に農

業基本法が制定され、農業改善事業として土地基盤整備、近代化施設整備などを通じて、

機械化営農技術や共同利用施設の導入が進められることになる。この時期、農業と他産業

との生産性格差の是正を目的として、機械化の推進による省力化を通じて規模の経済性の

発揮が進められた。しかし、技術的条件は整えられたものの、その効果は限定的なものと

なった。もちろん、手植えから農機具による田植えへの普及、耕運機から大型の農用トラ

クター、コンバイン・乾燥機の普及は、稲作の労働強度を低減させ、農家の荷重な作業負

担を緩和することに成功したが、土地改良や農業用機械への投資が農業構造改善に与える

効果はきわめて小さなものであった。この理由は、農業経営は兼業化という形で経営環境

の変化に適応し、農地の集積が進まなかったためである。

一方、一部地域では、複合経営の展開も推し進められた。特に砂丘地の未利用地の開発

を進めるため、ビニール人工水田の開発と普及が図られた。まず、昭和 31 年(1956 年)

に、未利用の砂丘地の本格的な開発を進めるために「聖籠地域農漁村振興協議会」の設立

が設立された。当時聖籠村には約 600ha の砂丘地が存在したが、海岸地域では麦・さつま

いもの栽培が行われているだけで、収穫量も少ない、土地利用度が低いという問題を抱え

ていたのである。そこで、村は、飯米の確保と同時に、複合経営を奨励し、農業収入の増

加と県外への出稼ぎを減らすことを狙い、ビニール人工水田の造成を進めたのである。当

初の計画の内容は、(i)地下約 3 メートルの地下水の利用を進めるために、灌漑用の井戸の

造成、(ii)地力増進のために堆肥の施用計画などであった。昭和 35 年(1960 年)には、

県農地部と聖籠村が協力してビニール人工水田の試験を網代浜で実施することで合意し、

昭和 38 年(1963 年)にはビニール水田耕作組合が設立され、実験的に人工水田の開発が

進められた。そして、昭和 43 年(1968 年)には、新潟県により聖籠村と紫雲寺町内の海

岸砂丘地帯が「県営聖籠地区開拓パイロット事業」として指定され、次第浜・網代浜地区

砂丘松林地帯の山林・原野・沼地など計 93ha を開拓し、85.8ha のビニール水田を造成す

る計画が策定されたのである。当時、新潟県が聖籠村地区を指定した理由は次の5点であ

るとされる。すなわち、(i)昭和 35 年より 7 年間のビニール水田の造成・利用の実績があ

り、農民は効果と特色を理解しており、技術の導入が進みやすい。(ii)受益農家の大半が

畑地を利用しており、水田による飯米生産の要望が強い。(iii)出稼ぎ農民・漁民が多く、

農業経営の安定化を図る必要がある。(iv)ビニール水田は、一般の水田と比して肥料管理

が優れ雑草も生えないので、省力栽培も可能である。(v)土壌水分の管理が容易で、園芸

作物や畑作物への転換が可能である。事業は 3 年間の計画で、造成された水田はコンクリ

Page 16: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

14

ート畔による 30aに区画され、排水管・給水管・排水弁が完備しており、水管理も容易な

ものとなっている。ビニール水田は、次第浜・網代浜・亀塚浜の聖籠村内 3 集落、紫雲寺

町・豊栄町の計 199 戸に配分された。現在では、水田の裏作として、すいか、さつまいも、

タバコなどが栽培されている。

②農業技術の改良と農業経営の多角化

戦後、食料の量的供給が飽和水準に達する中、聖籠村では先駆的な指導者の尽力により

果樹栽培が進められる一方、加工や観光など経営の多角化が進められたが、その事業は戦

略的な観点に欠け、成功と失敗の連続という試行錯誤の繰り返しを伴うものであった。当

時、品質向上と加工という 2 つの戦略の方向性があったものと考えられるが、市場の高い

評価を得るために、地道に品質向上を目指した経営が生き残ることとなった。

戦時統制下において、食料供出のために果樹などの強制伐採があったものの、戦後、昭

和 20 年 11 月に、県青果物配給統制の廃止、翌年の新潟青果卸売市場の設置、22 年の果物

の統制廃止を受けて、戦後の果樹栽培が開始した。昭和 36 年の第二室戸台風による被害に

より、果樹栽培をあきらめた農家もいたが、昭和 45 年には立木、傾斜地の果樹への薬剤配

布を容易にし、果物の品質を改善するために、聖籠村はスピード・スプレイヤー(S・S)

を購入し、農家への貸し出しを行った。また、昭和 48 年に新潟県は果樹広域濃密生産団地

として「信濃川中流」地域と「加治川流域」を指定し、聖籠村では日本梨・葡萄の栽培が

進められることになる。

ところで、聖籠村における葡萄農園は、昭和 30 年頃には評判となり、収穫期に親子連れ

や団体が訪れるまでになった。小野岩松氏は、昭和 12 年頃、海軍通信隊の敷地のために畑

地を手放した際に、山林を譲り受け果樹園を開設するために開墾した。これが昭和 15 年に

は軌道に乗り「瑞穂農園」が設立された。この瑞穂農園の葡萄の評価は全国的にも高く、

昭和 32 年と 42 年には、県を通して皇室に献上されるほどであった。この時期、聖籠村で

は昭和 32 年に聖籠ぶどう生産加工農業協同組合が設立され、葡萄の産地化を目指して、ブ

ドウ酒の製造が進められたが、事業は軌道に乗らず、昭和 40 年には組合は解散された。そ

の理由には、農業の主体として組織編制の問題(原料供給と加工の一体化の失敗)、資本力

の弱さがあり、マーケティング面では、見通しの甘さ、流通網の未確立などの問題があっ

たとされる。

一方、小野氏はさらなる品質向上を目指して、昭和 45 年に静岡県伊豆の育苗家井川秀雄

氏に相談し、井川氏が昭和 45 年に交配した葡萄の新品種の苗木を譲り受ける。この苗木を

基に栽培した葡萄は美味しく、聖籠村の特産とするために、小野氏から相談を受けた同村

二本松の田中憲也氏は「ブドウ秀峰普及会」を発足させた。これにより「紅瑞宝」という

名の葡萄栽培の普及を進められ、昭和 52 年には新潟中央市場に初出荷され、仲買人からも

高い評価を受けるまでになったのである。また、米の生産過剰を受けて、聖籠村では二本

松の水田を東港造成により掘り上げる砂を活用して、畑地に永久転換する構想が策定され

Page 17: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

15

た。同村の有名な二本松の観光ぶどう園は、昭和 46 年から実施されたこの「二本松地区水

田転作特別事業(国・県の補助事業)」により造成されたものである。

また、現在、聖籠村の桜桃の栽培面積と出荷額は、県内一位であり産地としての地位を

確立している。戦後、昭和 30 年(1955 年)に聖籠村に桜桃組合が設立され、共同で東京

の神田市場へ出荷されることとなり、評価も高く栽培農家も増加していった。村の補助に

よって、昭和 48 年の雨よけ天幕の設置、県と町の補助によって、昭和 58 年に新型の「雨

よけ施設」の貸し出し(農協)が行われるようになり、桜桃の身割れを防ぐための努力が

図られた。さらに、防風施設、鳥よけの網、摘花や受粉促進作業、蜜蜂の導入などの技術

の改良も進められている。昭和 50 年代以降、聖籠町内から新潟県認定の青年農業士が誕生

し、昭和 63年には聖籠町三賀・蓮野において桜桃の大型苗木育成圃が設置されるとともに、

平成 8 年には果実の選別機が導入され省力化が図られた。早い段階から市場の高い評価を

受けたが、その地位に甘んじることなく、生産技術の改善や品質管理の体制を整えていっ

たことで、サクランボ産地としての確立が進んだものと考えられる。

4.「まち」と農業・農村の資源

聖籠町には、弁天潟の桜(春)と白鳥(冬)、ハス、町の花であるハマナス(海岸線)、

町の木であるクロマツ(防風林・防砂林と内陸部)、果樹園(さくらんぼ、葡萄など)、加

治川、新潟砂丘、日本海の夕日、町の無形文化財である亀塚練馬、蓮潟神楽など豊かな自

然、景観、文化などの有形・無形の資源を有している。このように「まち」を特徴づける

豊かな地域の資源が存在し、まちの開発とともに創り出された工業地帯の後背地の田園空

間やまちなみ、そして農業資源がある一方、開発によって失われた環境資源も存在する。

たとえば、『聖籠町誌』によれば、昭和 40 年代において、大潟(通称四郎兵衛野池)付近

の湿地植物には、レッドデータブックに記載されている植物が 5 種も存在していたことが

確認されているが、埋め立てによりこの潟は現存していない。

これらの「まち」の資源の多くは、住民の暮らしの中に浸透し、継承・創造されてきた

ものである。すなわち、これらの共有資源は、日々の住民の共同活動の中で大事にされて

きたまち共有の財産であると言える。前節までにおいて、聖籠町の農業・農村の開発の過

程を遡る中で、住民とこれらの資源がさまざまな関わりを持ってきており、まちを取り巻

く環境の変化やまちの経済開発の政策のなかでこのような関わりも変化してきたことを再

認識することができる。従って、農業・農村の開発戦略を策定する際には、この「まち」

の資源と住民の関わり方、言い換えれば、共有資源と住民組織という経済・社会関係の中

に埋め込まれた秩序を作り出しているものに迫る必要がある。

主要文献

聖籠町(2007)『聖籠町史 通史編』

Page 18: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

16

参考文献

聖籠町(2004)『平成 15 年度 聖籠町農村環境計画 報告書』

高橋裕・宮村忠(1970)「加治川水害の意味するもの(I)-その水害と治水の経緯-」『水利科学』

第 14 巻第 2 号(No.73)、pp.21-41

Page 19: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

17

年代年 月 聖籠町における農業に関連するできごと

1 1877 7 加治川が蓮潟村右岸で破堤、左岸は真野原で破堤2 1878 6 加治川が二ツ山新田左岸で破堤3 1878 8 聖籠町域の村々、県提示の収穫高減額運動を開始4 1879 6 加治川が蓮潟村右岸で破堤5 この年、二本松新田の地主84名、県提示収穫高減額を地租改正事務局に訴願の委任書を作成6 1880 藤寄・二本松新田・挟潟新田・二枚橋などの村々、県提示収穫高を受諾7 1880 5 加治川が亀代村で破堤8 1885 7 加治川が亀代村で破堤9 1885 9 網代浜が水害による困窮を訴え、郡役所に貸付金と小学校休校を嘆願10 1887 この年、加治川蓮潟村で破堤11 1888 5 真野村で村内取締・農事に関する申合規約を制定12 1888 8 加治川が蓮潟村字五百間で破堤13 1888 10 加治川切り落とし許可14 この年、真野の吉田善太郎が加治川の中洲「江戸島」に桑を植栽15 1889 7 加治川が蓮潟村右岸で破堤16 1889 7 新発田川が蓮野村大字二本松で破堤17 1892 9 この年、二本松の岩渕栄太・岩渕繁吉が本格的な梨栽培を開始18 1894 この年、二本松の岩渕繁吉、モモの植栽と梨の接木増殖に努力19 1896 7 加治川が亀代村左岸で破堤20 この年、新河道開削は藤塚浜から亀代村次第浜へ変更21 1897 7 新発田川が蓮野村大字二本松で破堤22 この年、諏訪山の渡辺郡四郎がぶどう・モモ・桜桃を村内に植栽23 1898 7 聖籠町役場、生活困窮者に外米を廉売24 1898 12 新発田川が破堤 加治川が破堤25 1899 5 聖籠村道賀新田の清育館、新潟新聞に養蚕生産を広告26 1900 4 加治川分水工事の実施を沿岸18町村連名で県に出願27 1902 3 岩渕栄太、五十公野の白勢果樹園より桜桃の成木6本を譲り受け、宅地に植栽28 1902 4 加治川水害予防組合区域画定29 1902 8 加治川が西名柄で破堤 新発田川が破堤30 1903 8 加治川が破堤31 1904 7 加治川が破堤32 1905 2 北蒲原郡蚕糸同業組合主催で蓮野村杉谷内で蚕糸講習会を開催33 1905 8 加治川が五百間土居で破堤34 1905 10 河川法施行、加治川両岸22町村で組合区域を確定35 1906 この年、加治川が茨島で破堤36 1907 1 加治川水害予防組合成立37 1907 6 高橋太一郎、有限責任二本松信用購買販売組合を設立38 1908 5 加治川改良工事起工式39 1908 9 23 蓮野農友会結成40 1909 9 加治川仮水門通水式41 この年、聖籠村内では種籾塩水選を全農家で実施42 1911 この頃、苔沼の小野岩松、二本松の小林一郎がりんごを植栽43 1912 この年、次第浜水田用水不足のため植付できず、井戸も枯渇44 この年、聖籠村内の全農家で改良苗代実施45 1913 3 亀代村地主惣代、灌漑用水路の整備を請願46 1913 4 加治川改良工事竣工47 この年、二本松で果樹園の病虫害共同予防駆除組合を設立48 1915 5 加治川堤防竣工と御大典を記念し桜樹植栽49 1918 8 聖籠村、米価高騰により外米を廉売50 1919 12 蓮野・聖籠・亀代の3小学校に実業補習学校(農業科男子)を併設51 1921 この年、郡農会の指導で聖籠村、亀代村で養兎が普及52 1922 この年、桜桃の生産額が村の農産物産額表に初めて掲載53 1923 9 下越農民協会蓮潟支部結成54 1924 この年、聖籠村でぶどう栽培に「幾見式鉄線柵」を初めて採用55 1926 この年、渡辺郡四郎、ぶどう栽培で「H型整技法」を考案56 1927 この年、聖籠村園芸組合結成、桜桃の販路を新潟青果問屋に依託57 1928 11 19 蓮潟で親農会の発会式58 この年、聖籠・亀代両村で自作奨励資金貸付規程を決定59 1929 この年、聖籠梨が沼垂商人の手で全国各地に販路を拡大60 この年、藤寄浦山・大夫興野浦山に養豚組合結成61 1930 6 干害で亀代村の養蚕、陸稲大被害62 この年、葛塚町・木崎村・聖籠村が梨を共同出荷63 1934 この年、聖籠梨が満州、朝鮮に販路を拡大64 1938 この年、聖籠桜桃が東京市場に大量出荷65 1939 この年、聖籠桜桃がアジア大陸に市場を開拓66 1944 3 亀代村農会と同産業組合が合併して亀代村農業会発足67 3 二本松信用購買組合と聖籠村農会が合併し聖籠村農業会結成68 6 二宮家、村外所有地500町歩を自作農創設のために解放69 1947 3 第二次農地改革が始まる70 4 網代浜住民配給皆無70余日に71 この年、聖籠村開拓事業の開始、24戸が長峰に入植72 1948 聖籠村農業協同組合設立73 1951 この年、亀代村、沿岸防風林の造林と失対事業として村道道路工事を実施74 1952 聖籠村土地改良事業所開設 土地区画改良 昭和33(1958)年まで75 1956 聖籠村村議会が農業共済組合の解散を決議76 1957 9 聖籠村ぶどう生産加工農業協同組合設置、ぶどう酒の醸造を開始77 1961 9 第二室戸台風により聖籠中学校東校舎全壊、住家・農作物被害甚大78 1964 12 国営農業水利事業で内の倉ダムを策定し、用水路を整理統合79 1966 7 17 加治川西名柄で破堤、聖籠地区被害甚大につき災害救助法発動80 1967 4 東港開発に伴う替地集落移転開始81 8 28 加治川西名柄が再び破堤、聖籠地区被害甚大につき災害救助法発動82 41・42年連続水害により加治川改修事業計画改定、全面改修施行

5.聖籠町農業・農村のあゆみ

Page 20: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

18

年代年 月 聖籠町における農業に関連するできごと

83 1968 4 県営聖籠地区農地開発事業(開拓パイロット)を開始84 この年、新井郷川恒久治水対策策定し、新発田川放水路建設計画策定85 1969 12 聖籠中学校、学校給食優良校として文部大臣より表彰86 1970 11 亀代地区学校給食共同調理場竣工87 1971 12 1 二本松地区水田転換特別対策事業(基盤整備)を開始88 1972 1 13 聖籠地区学校給食共同調理場竣工89 1973 12 1 国営加治川農業水利事業完工90 12 「二本松ぶどう園」が完成91 この年、県は聖籠梨とぶどうを果樹濃密生産団地に指定92 1974 10 17 加治川ダム完工93 1978 3 東港開発に伴う長峰集落移転開始94 4 東港開発に伴う亀塚浜集落移転開始95 6 26 寺島川筬橋上流破堤、 全村3分の1が水面下96 この年、四農協合併し、聖籠町農業協同組合誕生97 1981 3 25 真野地区排水路工事完了98 この年、聖籠町の集団転作が本格化99 1982 3 東港開発に伴う蓮潟新田(一部)集落移転開始100 1982 この年、聖籠町農協は新型の桜桃用の「雨よけ施設」を農家に貸与101 この年、加治川治水記念公園の造成に着手(新発田市・紫雲寺町・聖籠町・加治川村)102 1984 8 新発田川放水路工事着手103 この年、木崎農協と聖籠農協で梨の大型育苗圃設置104 1985 2 別行集落移転開始105 1985 4 亀代地区農業共済事業を再開106 この年、聖籠町農協は果樹園用スプリンクラー灌水施設を設置107 1986 9 聖籠農協はJA北越後聖籠支店として出発108 この年、新発田川放水路に山之口橋・大夫興野橋など7橋完成109 1988 2 加治川治水記念公園完成110 4 全農サイロ(株)操業開始111 この年、三賀・蓮野で桜桃の大型苗木育成圃設置112 1990 1 9 聖籠町学校給食共同調理場竣工113 4 杉谷内八幡集落移転開始114 1992 4 網代浜集落(一部)移転開始115 1994 この年、道賀新田で県営ほ場整備事業を開始116 1999 3 新発田川放水路工事完了

出所:聖籠町『聖籠町史 通史編』2007年3月の年表より農業に関連するものを抜粋。

Page 21: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

19

第 2 章 住民の意識構造と農業・農村の魅力

どのような産業でも、その発展には経済主体を取り巻く経営環境への適応と経営資源の

有効活用が必要である。ここでは、聖籠町農業の経営環境と経営資源および、農業経営の

現状を次のように評価する。

一般に、経営環境は、経済環境、社会環境、政治環境などに影響される。聖籠町の経済

環境について、都市近郊に立地しているという特徴がある。さらに、町内に火力発電所、

精密機械製造業、食品加工業が立地しており、工業が発達している地域でもある。社会環

境について、人口に注目すると、新潟県内の他の市町村に比べて人口に占める高齢者の割

合が小さく、昼間人口の割合が高いという特徴がある。政治環境について、火力発電所の

立地等による町の財源が豊かであるとともに、市町村合併を進めない方針を取っているた

め、町独自の行政を行う条件が整っている。ただし、行政単位としては小さく、人口(13,722人)、土地(37.99km²)などの規模は小さいのである。

一方、経営資源には、農地、労働力、ブランドなどがある。まず、聖籠町の農地は平坦

な土地が多く、水田を中心に畑、樹園地がバランスよく存在しているものの、面積は減少

傾向にある。2010 年農林業センサスによると、経営耕地面積が 30a 以上の販売農家にお

ける町の耕地面積の耕地別割合は、新潟県と比較すると耕地面積総数 1,085.4ha に対し、

田は 871.3ha で 80.3%(県 91.1%)と 10.8%低く、樹園地を除く畑は 139.9ha で 12.9%(県

7.4%)と 5.5%高く、樹園地においては 74.2ha で 6.8%(県 1.4%)と 5.4%高い。(表 2-1を参照)

表 2-1 耕地別面積割合(単位:ha)経営耕地総面積 田面積 畑面積 樹園地面積

新潟県全体 132,297.3 120,576.7 9,831.5 1,889.2

聖籠町 1,085.4 871.3 139.9 74.2

県全体に占める割合(%) 0.8 0.7 1.4 3.9

2010年農林業センサス販売農家の経営耕地の状況より

91%

7%

2%

新潟県全体

樹園地

80%

13%

7%

聖籠町

樹園地

また、町の農業労働力は、就業者の減少や高齢化に示されるように、弱体化する傾向が

Page 22: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

20

見られる。さらに、ブランドに関しては、さくらんぼをはじめとする果樹の産地としての

一定のブランド力は見られるが、町農業全体のブランド力としては対象地域や品目の点で

限定的である。

そして、聖籠町における近年の農業経営の動向としては、大規模経営、法人経営、観光

農園などを展開しているが、全体では農家数の減少、自給的経営の割合の増加、小規模経

営の割合の増加などが見られる。

このような状況の下で、魅力ある聖籠町の農業を実現させるためには町農業の将来像に

関する関係者の意識を探ることが重要である。とりわけ、農業の方向性と農業の中心主体

に関する住民の意識は重要となるであろう。農業の方向性は販売先や需要者に向けた「対

市場」戦略の問題であるのに対して、農業の中心主体は町農業を担う組織の改革の問題で

ある。そして、住民の中でも、実際に農業を担う農業者の意識は、町農業の将来像に直接

影響するのはもちろんであるが、町農業の将来像は、空間・環境・社会・経済・食料など

多くの側面で町農業と接点を有する非農業者の影響も強く受けることになる。ただし、農

業者と非農業者の間で、さらには農業者間、非農業者間でも、異なる立場や視点があり、

住民間の意識の違いが存在することが予想されるが、意識の違いが何によってもたらされ、

相互にどのような影響を与えるのかを考えることが求められる。そのうえで、望ましい農

業を実現するための戦略を作成する必要がある。

1.住民が望む町農業の姿

アンケート調査の結果によれば、町農業の方向性について農業者では大都市型(30.6%)、

地産地消型(23.9%)、現状維持型(15.3%)、不明型(13.9%)、観光型(12.0%)となり、

非農業者では地産地消型(34.6%)、大都市型(22.5%)、観光型(14.2%)、不明型(13.6%)、

現状維持型(12.3%)となっている。農業者・非農業者を問わず、現状維持型や不明型以外

の回答、すなわち、何らかの形で町農業の個性を求める回答が 7 割を占めており、町農業

の変革を望む住民の意識が強いことが示されている。

ただし、回答割合が過半数占める類型はなく、町農業の方向性のイメージには住民の間

でばらつきがある。また、相対的に農業者には大都市型が多く、非農業者には地産地消型

が多いことがわかる。農業者には大消費地に向けた産地形成の意識が強く、非農業者には

身近な農業を求める意識が強いことは、自然なことであろう。それぞれの類型は必ずしも

矛盾するものではなく、これらの農業の個性をいかにして組み合わせて町の中に作り上げ

るのかということが課題になる。そのためには、それぞれの類型を支持する意識が、どの

ようなタイプの住民に多く、どのような意識と関係が深いのか、そして実際の農業とどの

ような関係があるのかを探る必要がある。

実際に町内では、聖籠地場物産館をはじめとする直売施設、町民向けの農産物加工セン

ターなどが整備されていることに加えて、町内の学校給食に町内産農産物を供給するなど

の取り組みが実施されている(表 2-2 を参照)。また、町内の産地直売所は 2010 年時点で

Page 23: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

21

65 施設あり、ぶどうやさくらんぼなどの果樹園を中心に展開されている。

運営主体別では、1 施設が農業協同組合であるが、ほとんどが生産者個人や生産者グルー

プによるものである。さらに、学校給食共同調理場では1中学校、3小学校、3こども園

の給食約 2,000 食/日に対しての取り組みが行われている。地元産の食材については、米、

野菜、果物、加工品等が対象で、米は 100%、野菜 41.4%、果物 22.7%、加工品等では大豆、

味噌、梅干し、豆腐は全て地元産となっている。また、米、野菜、加工品等は 1 年を通し

て使用できるが、果物については、季節的な対応で、4 月、5 月は「いちご」・6 月は「さく

らんぼ」・9 月は「ぶどう」となっている(表 2-3 を参照)。

表 2-2 聖籠町農産物の出荷状況

表 2-3 聖籠町学校給食共同調理場地場産物使用状況(単位:kg)

野菜 果物 米 計

総 数 ① 41,199.2 988.1 17,289.7 59,477.0

うち県内産 ② 19,381.6 373.3 17,289.7 37,044.6

うち町内産 ③ 17,036.3 224.1 17,289.7 34,550.1

地産地消率 ④=③/① 41.4% 22.7% 100.0% 58.1%

米、野菜以外の地場産物使用状況

大豆 味噌 梅干し 豆腐

町内産 113.6kg 697.0kg 95.1kg 6,854 丁

上記については 100%町内産を使用。

産地化への取り組みとしては、春夏にんじん(にいがた北)、冬にんじん(にいがた北)、

秋冬ねぎ(新潟北部砂丘)が国の指定産地に、また、表 2-4 に示した品目が県の指定産地に

指定されており、価格安定や補助事業の対象となっている。

Page 24: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

22

表 2-4 県指定産地の品目一覧

次に、住民が望ましいと思う町農業の中心主体としては、複合経営(稲作以外に複合化・

多角化によって収益をあげる農業経営)、共同経営(集落で農業機械などを共有しコストの

低減を図る農業経営)、大規模経営(認定農業者や集落営農組織などに農地を集約してでき

る大規模農業経営)、企業経営(企業の参入と雇用労働力の利用による農業経営)、現状維

持、不明を想定している。農業者では、回答割合が高い方から、複合経営(41.1%)、共同

経営(26.8%)、大規模経営および現状維持(16.7%)となっている。非農業者では、回答

割合が高い方から、複合経営(24.3%)、共同経営(21.2%)、企業経営(16.5%)の順であ

る。農業者、非農業者ともに、町農業の主体となる農業経営の改革を期待している点は共

通している。さらに、複合経営を支持する割合が最も高く、共同経営がそれに続いている

点でも一致している。

それぞれの類型について、町農業の現状と対比してみる(2005 年農林業センサスによる)。

まず、複合経営(農産物販売金額が一番多い部門の販売金額が全販売金額の 8 割未満の経

営)が占める割合は 25.1%であり、農業の主体となっているのは単一経営(74.9%)であ

る。(農林業センサス 2005、農産物販売がある農業経営体 514 経営のうち)ただし、新潟

県全体(複合経営:9.3%)と比較すると、複合経営が多い町とも言える。

共同経営に関する指標として、機械・施設の共同利用組織への参加割合を用いると、農

家の参加割合は 8.1%であり、共同経営は一般的な形態ではないことが分かる。企業経営に

対応するものとして農業法人があるが、町内の農業経営に占める割合は極めて低い(表 2-5を参照)。ただし、2007 年から 2010 年の間に 3 団体が組織されており、今後、集落を母体

とした 2 組織の法人化が検討されている。作業受託が主な法人も 2 団体あるが経営面積の

平均は 23.8ha である。大規模経営に関する指標として、経営面積 20ha 以上の経営を見る

と、町内全 536 経営中わずかに 3 経営である。

Page 25: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

23

表 2-5 聖籠町における農業法人数の推移

一方、町内の認定農業者は 2010 年時点で 122 名であり、増加傾向にある。経営面積に占

める借入地の割合は増加傾向にあり、認定農業者への農地の集積は進んでいる。しかしな

がら、平均経営面積に大きな伸びは見られない(2005 年:5.7ha、2010 年:5.9ha)。営農

類型については、果樹(花卉)の 6 農家と水稲+果樹の内 1 農家の計 7 農家以外は水稲を主

として経営している。法人については、水稲と転作大豆の受託が主なものとなっている。

町の基本構想で定める所得目標の達成者(農業専従者 1 名 400 万円程度)は、38.5%とい

う水準である(表 2-6 を参照)。

表 2-6 認定農業者の現状

農業者に今後の自家の農業経営に関する意向を尋ねた結果、全体では、今後の農業経営

を現状維持とする者が 60.3%で大半を占めており、規模拡大が 13.4%、離農が 11.0%、規

模縮小が 3.8%となっている。規模拡大の意欲ある農業経営は限られており、離農や規模縮

小経営の農地、さらには、それ以上の農地を意欲ある農業経営に集積しなければ、大規模

経営の育成は困難である。

町では、「聖籠町担い手育成強化事業」(先進地視察研修や他組織との懇談会等、組織活

動に対する事業運営費に対する助成)、「農作業受託者協議会助成事業」(会員相互の情報交

換・研修に対する助成)を実施している。しかしながら、現状では、複合経営、共同経営、

大規模経営、企業経営が一定数存在してはいるものの、いずれもが町農業の中心主体とな

る段階には至っていないことがわかる。

Page 26: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

24

また、農業者が直面している営農上の課題を尋ねたところ、「資材費用が高い」(64.6%)、

「生産物価格が安い」(61.2%)、「機械費用が高い」(56.9%)の回答割合が上位にあがった。

これらの問題は一般的な問題としてあげられるものである。確かに、これらの問題は農業

資材や農産物の流通に起因する部分もあるが、最終的には農業構造の改革によって解決し

ていく必要がある問題である。

2.農産物に対する意識

農業を評価する際にはいくつかの側面があるが、一つには農産物に対する評価である。

まずは、購入する野菜果物の評価について農業者、非農業者ともに、回答割合は、鮮度(農

業者:41.6%、非農業者:58.6%)が最も高く、価格(農業者:25.4%、非農業者:31.2%)

がそれに次ぐという点で共通している。町内産との回答割合は、農業者(16.7%)でも高い

訳ではない。非農業者(7.4%)ではその割合はさらに低く、むしろ栽培方法(12.3%)の

方が高い結果を示している。

非農業者では、回答割合が高い順に、鮮度(58.6%)、価格(31.2%)、栽培方法(12.3%)

となっている。農業者と比較すると、鮮度と栽培方法の回答割合が高く、町内産の回答割

合が低い。これらの結果に関して、農業者を生産者、非農業者を消費者とみるならば、両

者の意識の差から、消費者のニーズに対して生産者が対応できていない可能性が高いこと

がわかる。そして、鮮度や栽培方法に関する改善が結果として町内産農産物の評価の向上

につながり、消費者からの町農業の魅力を高める効果が大きいことがうかがわれる。

このうち、栽培方法に関して、環境保全型農業の現状は表 2-6 が示した通りであり、有機

栽培、特別栽培に取り組む生産者や面積は増加傾向にある。安全・安心な農産物の栽培及

び農業における環境負荷の低減を進めるとともに、町農産物の競争力向上及び有利販売に

資するとの考えから、聖籠町においてもいくつかの取り組みが見られる。「こだわり農業支

援事業」では、有機栽培、減農薬・減化学肥料等による栽培を進める農業者の取り組みに

対する支援するため、有機 JAS の認証または、県特別栽培等の認証を受けた農産物のほ場

に対して助成を行っている(10a当たり、有機 JASは 20,000円、県特別栽培等は 5,000円)。

また、環境保全型農業の実施や農地の地力維持のためには、良質の堆肥が必要である。

町では、「堆肥利用組合支援事業」を実施し、聖籠町堆肥利用組合(構成員 95 名)の活動

費に対し助成を行っている。2009 年度の販売実績は 763.3tである。水田への秋散布は散

布時期における在庫量との兼ね合いもあり、10a当たりの施用量 0.7tで実施し散布面積は

15.64ha である。さらに、「有機堆肥利用料助成事業」では、安全・安心な農産物の栽培及

び農業における環境負荷の低減を進めるとともに、地力の向上により農産物の安定生産に

資するために、有機堆肥を活用して土作りを行う農家の取り組みを支援している。ただし、

有機栽培や特別栽培が町内の農地面積に対する割合は 1 割ほどである。

Page 27: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

25

表 2-7 有機栽培・特別栽培への取り組み

・田

有機 JAS ①

県特別栽培

減減栽培

合計

①+②+③水稲

作付実施率

生産者面積

ha 生産者面積

ha 生産者面積

ha 生産者面積

ha 面積:ha 割合:%

2005 2 0.3 3 6.0 12 29.4 17 35.7 875.1 4.02009 4 1.1 7 16.2 38 159.0 49 176.3 802.1 22.0・畑

有機 JAS ①

県特別栽培

減減栽培

合計

①+②+③

生産者面積

ha 生産者面積

ha 生産者面積

ha 生産者面積

ha 2005 1 0.03 0 0 ― ― 1 0.032009 0 0 1 0.3 ― ― 1 0.3出所:産業観光課資料より作成。

次に、住民が町内産農産物に対して、質に関してはプラス評価(質が高い:46.0%、質が

低い:6.8%)、価格に関しては中立評価(価格が高い:21.0%、価格が安い:22.2%)、品

目に関してはマイナス評価(品目が多い:15.4%、品目が少ない:33.3%)となっている。

地元消費につながるという意味で農業の魅力を向上させるには、少なくとも町内農業が取

り扱う品目数の拡大方法を検討する必要があり、価格についても改善の余地があると言え

る。

3.農業の役割

近年、農業の役割は単なる農産物の供給にとどまらず、様々な役割を果たしており、多

面的な機能を有していると考えられている。非農業者は新鮮な農産物供給(67.0%)が最も

高く、環境保全(43.8%)、地域社会活性化(28.1%)がそれに続く。地域住民が考える農

業の役割とは、農産物の供給にとどまらず、地域の環境や社会への貢献にも及んでいる。

また、近年、住民が地域の農業と様々な形で直接関わる機会も増加している。聖籠町で

は非農業者の 35.8%が農業と関わる可能性なし、25.3%が不明と回答しており、非農業者

が関わる割合は限られている。しかしながら、手伝い(15.1%)、市民農園(11.7%)の他

にも、農外従事後に農業(10.2%)、兼業農業の可能性(8.0%)を挙げる者も存在している。

すなわち、潜在的には 4 割近い人が何らかの形で農業に従事したり、関わりを持ったりし

たいと考えている。ここに、地域の農業と住民との間に新たな連携関係を築く可能性があ

ると考えられ、同時に、住民の持つ希望に応えることが町農業の魅力を高めることにつな

がると考えられる。

Page 28: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

26

4.土地利用に関する意識

農業経営の経営環境を考えるうえで、マクロ的な土地利用の動向は大きな要素である。

土地利用をめぐる問題には、農業自体に関わる問題と、農業利用と農業以外利用との間の

問題がある。ただし、この問題を考える前提として、農業者の農地に関する基本的な意識

を把握する必要がある。回答結果によれば、農地に対する家産志向(64.6%)が、営農志向

(26.8%)よりも高くなっており、農業者においても、土地は経営資源のみに限定された資

産ではないという意識が強くなっていることがわかる。

そして、町の土地利用に関する意識について、住宅地域に関する意識は、農業者では現

状維持(29.7%)が最も多いものの、不明(23.0%)、集落内未利用地活用(22.5%)、郊外

農地宅地化(17.7%)など、ばらつきが大きい。非農業者では、回答割合が高い順に、集落

内未利用地活用(36.9%)、現状維持(27.4%)、不明(18.9%)となっているが、やはりば

らつきが大きい。住民間の意識の違いは、農業者と非農業者の意識の違いというよりも、

開発に関して持つイメージの違いによるところが大きいものと考える。

一方、土地利用のうち農業地域に関する意識について、農業者では、開発制限(24.9%)

や現状維持(21.5%)の割合が高く、限定的開発(18.7%)や一般的開発(12.4%)など、

開発を容認する項目より上位にある。非農業者では、開発制限(30.2%)が最も多く、次い

で、不明(20.4%)、現状維持(16.4%)となっている。農業者よりも非農業者の方が、開

発制限の回答割合がやや高いものの、両者の意識には同様の傾向が見られる。

また、土地利用の重点に関する意識について、農業者では、未利用地の有効活用(60.3%)

が最も多く、高齢者等に配慮(40.7%)、農地の保全(39.2%)がそれに続き、大規模な開

発を伴う項目は少ない。非農業者では、未利用地の有効活用(56.5%)が最も多く、次いで、

自然環境の保全(46.6%)、高齢者等に配慮(45.1%)となっている。農業者、非農業者と

もに、未利用地の有効活用の優先度が高いという共通点がある一方で、相対的に農業者が

重視する農地の保全、非農業者が重視する自然環境の保全のように、両者での意識の差が

大きいものもある。これらの点は、町づくりの方向性をめぐる地域内の合意形成において、

注意すべき点である。

Page 29: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

27

第3章 農業・農村整備と町づくり

1.農業・農村整備の投資実績と方向性

第3章ではこれまでの農業・農村整備の実績と課題を把握することを通じて、変化し続

ける住民のニーズに応えるための方策を探る。

(1)農業・農村整備の投資実績の概要

聖籠町における農業農村整備事業は、農道整備、用排水施設整備、圃場整備事業、農業

基幹施設整備を中心にして進められてきた。「聖籠農業振興地域整備計画書」は、旧聖籠地

区と旧亀代地区それぞれの農業上の土地利用と基盤整備の方針を決定している。

旧聖籠地区の場合、水田に関しては、水利条件は整備されているものの 10a 区画の湿田が

多いため、作業の効率性が低いという課題を抱えている。四ツ屋、道賀新田、上大谷内、

真野の 4 集落においては圃場整備事業(合計 120ha)が既に実施されており山大夫地区(15ha)

及び丸潟地区(52ha)においても圃場整備事業が導入され、規模の経済によるコスト低減を

図る基盤作りが進められているが、圃場整備を引き続き推進する必要がある。ライスセン

ターや育苗センターなどの施設は整備されており、受委託組織も結成されているが、農地

の流動化による中核的農家への農地集積が課題である。樹園地に関しては、観光果樹園と

しての利用価値を高めている。しかしながら、個別農家による分散的な土地利用であるた

め、樹園地の団地化が課題である。この点は、近年の聖籠町における耕作放棄地の増加が

樹園地において多く見られることとも関連しており、樹園地の流動化と団地化による土地

利用の効率化が課題となっていると考えられる。

一方、旧亀代地区では水田の用水を加冶川水系より取水し、圃場は 30a に区画整備され、

中型機械化体系が確立されている。畑地には、露地野菜と工芸作物(たばこ)が栽培され

ている。旧亀代地区では、農地の基盤整備はほぼ完了しており、複合経営を進めるための

生産組織の強化が課題となっている。

聖籠町における農業・農村整備の課題としては以下の点が挙げることができる。まず、

用排水施設に関しては、横列砂丘間にある稲作地帯の沖積平野ではほぼ完了しているとさ

れるが、①施設の老朽化の問題、②三面張りコンクリートに伴う生物の生息環境の悪化な

どの問題を有している。そのため、ストック・マネジメント注 8 や環境配慮型の整備事業の

導入、さらには施設の管理における非農家の直接・間接的な参加が求められる。

圃場に関しては、1994 年から 2001 年まで県営圃場整備事業が進められた結果、道賀新

田地区のように 1ha 区画の圃場整備が完了している地区もある。しかしながら、圃場の利

用については、農地の流動化を進めると同時に、換地による農地集積と担い手の育成が課

題となっている。

Page 30: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

28

(2)農業・農村整備の方向性の転換

聖籠町では 2004 年 3 月に「農村環境計画」において、農業・農村が将来にわたり多様な

役割を果たし、環境に配慮した農業農村整備事業を実施するための基本構想を策定してい

る。この基本構想には、農業・農地の持つ多面的な機能の役割を積極的に位置付けており、

農業・農村整備の方向性の転換を見ることができる。

農村環境計画の策定に当たっては、まず、地域の自然環境、社会環境、生産環境の現状

と問題点を整理し、3つの環境(保全・復元・改善)に類型化し、環境保全目標の設定を

している。その上で、聖籠町内を①自然環境・緑地保全エリア、②農村・都市共生エリア、

③工業団地エリア、の3つのエリア・ゾーンに区分し、地域別の整備方針を策定している。

自然環境・緑地保全エリアは、海岸に面したエリアで、貴重な動植物などの豊かな生態

系がある。砂丘地の畑作が多い地域も含まれる。農村・都市共生エリアは、農業の多様性

を活用して都市との交流の場を創造する地域であるとされる。工業団地エリアは、町の工

業地の中心地に位置づけられ、人材と産業の両面において地元交流を図り、地域に根付い

た工業地帯を目指す地域であるとされる(表1)。ただし、農村環境計画は策定から 7 年近

くが経過していることから、計画の実績評価を実施するとともに、PDCA サイクルに基づ

いた定期的な計画の評価と改善を行う必要があると考えられる。

表1.聖籠町 農村環境計画(2004 年 3 月)

エリア

区分

対応方針 整備内容 ゾーン区分

自然環

境・緑地

保全

・自然生態系に配慮した整備

・環境保全教育の展開、啓発

・遊休地の活用、多自然型工法による整備

・合意形成、ボランティア活動の展開

海岸白砂青松

山王森緑地保全

緑地復元推進

市街地形成

農村都

市共生

・生態系に配慮した基盤整備

・循環型農業

・高収益都市近郊型農業

・既存生態系の保全、緑のネットワークの形

・農業廃棄物の資源化、合意形成

・観光農園周辺道路の整備・ネットワーク化

農業鉱生産性創造

公園・歴史・憩い

市街地形成

河川環境親水

歴史探訪

加治川桜並木シンボ

工業団

・緩衝緑地帯の保全・整備 ・植林による緑のネットワークの形成・管理

Page 31: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

29

2.まちづくりと農業の持続可能性

(1)農業の振興と持続可能性

表2は、第 4 次聖籠町総合計画における農業部門の振興に関わる基本計画を示したもの

である。ここでは、持続可能性の 3 つの側面である経済性、環境性、社会性からの類型区

分を加えた。総合計画は、まちづくりにおける基本理念と計画を定めたものであるが、総

合計画における農業部門の振興の方向性には、経済性、社会性、環境性のバランスが重視

されていることが分かる。農業の多面的機能の発揮もこのバランス次第なのである。この

ような経済性、社会性、環境性のバランスを重視した農業の在り方を探る上で参考になる

と考えられるのが、コミュニティ・ビジネス注 9 である。

表2.第 4 次総合基本計画における主要な農業振興事業

主要事業名 事業の説明 経済性 社会性 環境性

農業資源

の涵養と

保全に向

けた取り

組みの強

生産基盤の整備圃場整備や有機質利用による土壌改良などへ

の取り組みに助成する。○ ○

基幹防除農薬費等助

成事業水稲基幹防除に係る農薬費の一部を助成する。 ○

こだわり農業支援事

有機農法や減農薬、減化学肥料栽培に取り組む

農業者に助成する。○

農業経営基盤強化資

金利子助成事業

認定農業者に農業経営基盤強化資金の貸付金

の利子補給を行う。○

農林水産業総合振興

事業

農業機械設備の購入及びリースについて助成

し、経営安定を図る。○

水田営農確立対策事

生産性や収益性の高い安定した水田営農を図

るため生産組織などに助成を行う。○

生産法人・認定農業者

育成事業

生産法人・女性認定農業者・新規就農者の育成

を支援する。○ ○

高齢者技術承継事業

豊かな経験を活かした栽培方法や果樹におけ

る剪定技術を承継する環境づくりとともに、補

助的作業が行える環境を支援する。○ ○

遊休農地(耕作放棄

地)対策事業

遊休農地の管理・保全、農地と周辺農地環境保

全の活動に対して助成する。○ ○

農業生産

者から農

業経営者

への転換

の支援

農産物加工センター

の改善

農産物加工センターのマネジメント強化を目

的として、経営資源を見直し、改善する。○

直売所改善の支援事

生産団体が自ら消費者にアピールし交通イン

フラを考慮しつつ拡充し、多品目の農産物の販

売が可能となる支援をする。

複合経営の振興支援

事業

米の消費が減少しつつ、今後は果樹、園芸栽培

などの拡大を推進し、質、量の向上と販売体制

などの経営指導を受けられる振興対策につい

て支援する。

町内資源

の有効活

用及び他

産業との

協働

都市と農漁村交流促

進事業

都市住民と交流を図る上で、交流館「杜」を拠

点として運営する。(賃金及び需用費など)○

県営水環境整備事業農業水利施設保全と管理に合わせる景観と生

態系の保全を図る。(事業主体は新潟県)○

農村・環境国土保全事

通学路に花を植え、田園の持つ景観の美しさか

ら、自然環境への関心を高める。○

食育の支援事業

子供たちが圃場体験を通じ、食に対する理解を

深める取組を行い地場農産物の消費拡大につ

ながる支援をする。

○ ○

Page 32: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

30

コミュニティ・ビジネスとは「地域住民が主体となって地域資源を活かし、地域の社会

的課題を解決する事業・活動であり、住民参加によるまちづくりにおいて特に優位性を発

揮するもの」であり、農業分野のコミュニティ・ビジネス(以下、農業コミュニティ・ビ

ジネス)は「農業の多面的機能を発揮し、地域(住民)のニーズを適切に捉え、持続性を

有する事業」と定義することができる。そして、住民の農業コミュニティ・ビジネスへの

関わり方は、出資、生産、消費・利用、維持・管理、保全・継承など多様な形態がありう

る。コミュニティ・ビジネスは、経営としての収支を確保し、地域に根差したビジネスを

展開することで、変化する住民のニーズに対応しながら存続することが可能なビジネスの

形態であるといえる。

聖籠町の農業・農村整備は他地域と同様に、これまではハード面の基盤整備に力を入れ

てきた。しかし、近年は観光果樹園、直売所、農産物加工、環境保全を重視した農法への

転換、子供の就農意識形成に向けた対策などは、コミュニティ・ビジネスとして農業を振

興する方向への転換と見ることもできる。

ただし、コミュニティ・ビジネス推進を巡っては、事業推進の中心となる社会的企業家

の育成、ネットワーク形成支援、資金調達、さらにはそれらの支援を実施する中間支援組

織の育成などが課題となっている(風見・山口、2009)。石田・波夛野・徳田・中原・増田

(2007)によれば、日本の農村におけるコミュニティ・ビジネスの中間支援組織のほとん

どが行政と JA である。JA は中間支援組織としての役割を果たすと同時に、JA 以外のコミ

ュニティ・ビジネスとの競争関係を持つこともなりうるため、最適な連携関係を探究する

必要性が指摘されている。上記の問題は、聖籠町において、コミュニティ・ビジネスとし

ての農業を検討する際にも共通する重要なポイントであると言える。

(2)子供の就農意識の形成と農村環境整備

聖籠町では、食農教育として、地場産農産物の学校給食への積極的な活用を図っている。

これは身近な生産者の生産物を食することにより、生産の大切さや生産者の苦労を考える

機会を作っている。また、小・中・高校生に安全・安心な農産物の栽培過程や圃場体験を

通じて食に対する理解を深める取組支援も促進している。

就農に対する対策や支援は、就農までの段階の違いによって異なる。藤田[1]は、就農ま

での段階は、成長発達段階にも伴って、農業関心醸成期、農業教育(学習)期、就農意思

決定期、青年農業者期(インターン期)の 4 つの段階に分けられるとしている。農業関心

醸成期は、主に幼児期から小中学校の時期である。自然との触れ合いや農業に関する教育

(学習)を通じて、自然、そして自然を対象とする産業である農業への関心、さらにはそ

の重要性に気付いたり、魅力を持つよう感じたりする段階である。この時期では家庭の影

響も大きい。次に、農業教育(学習)期は農業関心醸成期を経て、農業を志向し、職業教

育として農業教育・農学教育を受ける段階である。就農意思決定に大きく影響し、高校や

大学等が主である。次に、就農意思決定期は、学校教育を終え、一旦他産業に就業する過

Page 33: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

31

程において、就農の意思を固める段階である。この段階では、情報の収集、農業体験、営

農環境確保の見通しなどを得てから意思決定に至るため、多くの時間が必要となる。最後

に、青年農業者期は就農の意思を決定し、農業の経営者としての能力や姿勢を身につけ、

実際に経営を始めるまでの時期である。

また、就農意思決定に影響を及ぼす教育機能を有する場として、家庭、学校、地域社会

がある。特に、地域社会は営農活動の舞台でもあるため、農業の価値の感得、農業体験、

農業に対する価値観の確立といった農業関心醸成期における農業への関心の形成に多大な

影響を与えると言える。

アンケート調査結果によれば、学年別では、学年の上昇とともに就農意識が低下し、高

校生では就農意識のあるものはいなかった。これは、農業関心醸成期から農業教育期に移

行していく段階で、職業選択としての就農への関心が消失していることが原因として考え

られる。また農家・非農家別では、農家の方が就農意識が高く、非農家の方が低かった。

したがって、就農者の確保のためには、農家出身者は言うに及ばす、非農家出身者の就農

意識を高める取組が必要であると考えられる。

また、就農意識は農業への興味・関心に強く規定されており、以上より、農業への興味・

関心の形成には、過去の農作業体験、農業の認識・期待、食生活等の農業教育等が関わっ

ていること、特に、知識を学んだり、地場農産物を食べたり、農作業を手伝う等による関

わりを持ってから、徐々に体験を増やしていくことが重要であることがわかる。

また、定住意識に関わる住環境への評価は農業への興味・関心につながることが分かる。

つまり、都市近郊農村においては、定住に関わる環境への評価が高ければ高いほど、農業

は職業として選ばれる可能性が高くなると考えられる。

聖籠町の中高生の就農意識の形成には、農業への興味・関心の形成が重要な要因となっ

ており、その興味・関心の形成には、農業教育と定住に関わる住環境への評価が影響して

いることが明らかになった。また、聖籠町では農業関心醸成期に農業に興味・関心を抱く

者は多くいるが、そのような意識のある者が農業関心醸成期から農業教育期や就農意思決

定期に移行していく段階で、農業への関心が薄れていく傾向があり、それが就農者を確保

できていない要因となっていると考えられる。特に、聖籠町では中学から高校に進学する

と、就農意識が急激に減少している。これは、農業教育による就農意識を形成する段階ま

でに移行できていないことが原因として考えられるが、中学生の段階で形成した農業への

興味・関心を就農意思決定の段階にまでつなげていくことができていないことが問題であ

る。

今後の聖籠町の町づくりでは、就農意識形成のための農村環境の整備と実際の就農にま

でつなげていく対策によって、就農者を確保することが課題となっている。

Page 34: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

32

(3)小括

以上見てきたように、聖籠町における農業・農村整備は、従来のハード重視からソフト

重視への転換、経済性志向から経済性・社会性・環境性のバランス志向への転換が進んで

いる。その背景には、居住空間としての魅力ある農村環境の創造に向けて、農業・農村整

備に求められる役割が単一的な効率面の役割から、多面的な役割へと変化していることが

ある。

コミュニティ・ビジネスとしての農業は、農家だけでなく非農家も含めた地域住民が主

体となって、地域の資源を利活用し、地域の問題を解決する事業としての性格を持つもの

であり、上記のような農業・農村整備によって推進されることが期待される。これまでの

聖籠町農業は、水田作と畑作の複合経営、観光果樹園の展開など都市近郊型の農業の優位

性を活かしながら発展してきたが、今後はさらに環境保全型農法の導入や非農家の参加に

よる農業地域資源の管理を積極的に進めることによって、農産物のブランド化と地域の環

境改善に寄与し、消費者と地域住民の両方に支持される農業を目指す必要がある。

環境面への配慮に関しては、農業・農村整備事業の計画策定から維持管理に至る過程に

おいて、日常的に非農家などの地域住民が関わる機会を設けることで、住民の変化するニ

ーズに的確に対応した整備が実施できるものと考えられる。また、中学生に対して職業と

しての農業の魅力を伝えるためには、イベントとしての農業教育や体験教育の段階を踏ま

えて、職業意識の形成段階においても継続的な農業教育の場を直接・間接的に提供する必

要があると言える。そのためには、まず聖籠町の農業の魅力を高めるための方策を地域の

農業者と非農業者をはじめとした多様な主体が協力し合いながら進める必要がある。

注 8. 農業水利施設の定期的な機能診断に基づく機能保全対策を通じて、既存施設の有効活用や長寿命化を

図り、ライフサイクルコストを低減するための技術体系及び管理手法の総称

(農林水産省 HP: http://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/sutomane/s_about.html)

注 9. コミュニティ・ビジネスには定まった定義はなく、類似した概念としては、ソーシャル・ビジネスが

ある。経済産業省(2008)によれば、ソーシャル・ビジネスは「社会性」、「事業性」、「革新性」を備えも

った組織であり、NPO 法人、株式会社などの法人格を問わないものである。コミュニティ・ビジネスと

の共通点は社会的課題の解決を使命としているところであり、相違点は、コミュニティ・ビジネスが地理

的制約のある事業である。

参考文献

藤田康樹(1997)『青年農業者の形成と支援』,農山漁村文化協会.石田正昭・波夛野豪・徳田博美・中原准一・増田佳昭編(2007)『農業農村の持続的発展を目指

すコミュニティ型投資・雇用戦略の日欧比較研究‐プロシューマー(生産=消費者)間連

携における経済的価値の創出をめぐって』平成 16 年度~平成 18 年度日本学術振興会科学

研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書(http://hdl.handle.net/10076/7541).

Page 35: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

33

風見正三・山口浩平編(2009)『コミュニティビジネス入門-地域市民の社会的事業-』学芸出版

社.

経済産業省(2008)『ソーシャル・ビジネス研究会報告書』経済産業省地域経済産業グループ地

域経済産業政策課.

Page 36: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

34

第 4 章 農業・農村の魅力を高める戦略の方向性

聖籠町農業に関する住民の意識と農業の現状に関する分析結果から、魅力を高める戦略

の方向性について検討する。

町農業に関する住民の意識に関して、まず注目すべきことは、①現状からの変革を求め

る意識が強い、②変革のイメージとして、大都市型農業、地産地消型農業、観光農業の3

つがあり、③問題によっては住民の間で意識の差が大きいものがある、ということである。

このような意識に対して、聖籠町で実施されている様々な取り組みには、住民の意識に表

れている地域農業に対するニーズに応えるものも少なくないことから、現在の個々の取り

組みの方向性が住民のニーズから大きく外れるものではないと言える。しかしながら、①

現状への不満や将来への不安があり、②農業の構造もニーズに十分対応できていない、③

自然に将来の町農業の方向性が集約できる状況にない、という評価もできる。

したがって、魅力ある農業・農村の実現を目標として設定し、SWOT 分析(Strengths強み) 、(Weaknesses 弱み)、 (Opportunities 機会)、 (Threats 脅威)を適用すると、現状

は表 4-1 のように描くことができる。SWOT 分析では、機会に対しては、強みから優位性

と将来性を考え、弱みから課題を考え、実行、克服すべき内容を検討する。脅威に対して

は、強みを生かした解決策、弱みの影響力を考え、実行すべきこと、回避すべきことを検

討する。

聖籠町農業の機会に対する強みを見ると、個別産品のブランド力を加工、連携、広域化

によって拡大することが有効であると言える。弱みを見ると、果樹などで作られたブラン

ド力の他の作物への展開、多様な人材の参加促進が課題となるであろう。

一方、脅威に対する強みを見ると、品質や安全性などの基準を高めたブランド力強化や、

農業・農地の多面的機能を活用した利用の促進が解決策として考えられる。弱みを見ると、

生産構造の現状維持は回避しなければならず、稲作部門の再編と野菜、果樹部門との連携

強化が必須であると考えられる。

表 4-1 聖籠町農業の SWOT 分析

強み 弱み

内部環境 個別産品のブランド力

農地資源

都市経済との関係

限られた経営資源

高齢化・後継者不足

多数の小規模稲作経営

Page 37: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

35

外部環境 機会

農産物に対するニーズの変化

農業に対する関心

環境に対する関心

食品製造業の発達

脅威

国内人口減少

コメ需要の減少

開発の圧力

ところで、農業・農村の魅力を高める戦略の方向性は、住民の様々なニーズに応えるこ

とが基本になるが、単にそれぞれのニーズに対して従来型の対応を拡大、強化するという

ことだけでは有効な戦略とはなりえない。その理由は、①経営資源に限りがあること、②

異なるニーズへの対応策の間に相互関係(外部性)があること、③関係主体の連携によっ

て新しいものを生み出す(イノベーション)可能性があるためである。住民の間では、支

持する農業の姿に関する意識の差が見られ、大都市型農業、地産地消型、観光農業は町農

業の姿の3つの柱であるが、それぞれについて相反するもの、独立するものと考えるべき

ではない。

町の農業を振興する手法としては、次のようなものになるであろう。農地のバランス、

および町の規模から考えると、米、野菜、果樹などのひとつ部門が町農業を代表する大産

地となることは困難である。安全・安心やブランド化はどの部門にも共通する戦略である

が、生産コストの点で経営規模が重要となる稲作、鮮度・品揃えが重要となる野菜、長期

間の投資が必要となる果樹というように、部門ごとに重要となるポイントが異なる。これ

らの部門の特徴を生かして、部門間の連携によって、課題の解決の方法を探るという戦略

が有効となる。

野菜作経営は、地産地消によって、小規模生産で大規模な資本投資を必要としない経営

が地域内の消費者を安定的な販売先として確保することができるならば、流通コストの削

減と差別化の発揮による収益性の向上を期待することができる。ただし、地域内消費者へ

の販売を拡充するとしても、町内産の農産物のすべてを町内だけで消費することも不可能

であり、逆に町内で消費するすべての農産物を町内農業が供給することも不可能である。

その意味で閉鎖的な自給自足の地産地消は非現実的である。

果樹経営も近隣からの観光客を対象とした観光農業に優位性がある。しかしながら、果

樹経営が観光農業に力を入れるならば、サービス部門への注力や年間を通じた事業展開が

必要であり、そのためには水田部門を外部に委託するなどの対応が求められる。

水田経営に関しては、平坦な農地が多いため、農作業面での優位性はあり、基盤整備に

よって、ある程度の効率化は進めることができる。しかしながら、単に農地の流動化を進

めても、水田農業における規模の経済を発揮できる経営面積 20ha 以上の経営を形成するこ

とは容易ではない。大規模経営の農地の集約を図るためには、地域農業全体のビジョンの

下で、農地委託者を組織化したうえで、農地の流動化を行う必要がある。水田経営が野菜

Page 38: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

36

経営や果樹経営と連携することができるならば、野菜作と果樹作への集中と水田の委託を

並行して進めることができるであろう。

水田農業部門を考えると、大都市の市場に向けた大規模水田経営の育成は必須であるが、

大規模経営を自ら志向する経営者が少なく、経営面積の拡大が容易ではない現状では、逆

に委託者側の組織化やインセンティブ付与が必要となる。地産地消型農業や観光農業との

関係を考えると、小規模経営や自給的経営における生鮮野菜生産の拡大や観光型農業の多

角的展開と水田農業の規模拡大をセットに考えることが有効である。農産物の地域内販売

や観光需要の拡大を進めることによって、農地集積を地産地消型農業や観光型農業の主体

から水田農業の中心主体へと進めることは可能であると考える。

また、都市農業という視点からは以下の対応策を検討する必要がある。

まずは、地域内に一定規模の消費者が存在するという点からは、農産物の地域内市場へ

の対応を強化することが望まれる。すでに直売を通じて個々での地域内の消費者への対応

は見られるが、生産者の組織強化や新たな生産者の開拓はもちろんであるが、地域内市場

に対する経営戦略が必要である。農産物の提供の仕方、時期・時間・品目・量・価格・栽

培方法についての検討が必要である。消費者が求めるのは単なる地元産農産物ではない。

生産したものをただ町内で販売すればよいのではないということを意識することが求めら

れる。また、地域内消費者としては、夜間人口だけではなく、昼間人口も考慮する必要が

あり、町外からの通勤者を視野に入れ、町内事業所もマーケティングの対象となりうる。

また、農業が非農業者と接する局面が多いという点からは、市民の農業参加の受け皿を

さまざまなレベルで用意するとともに、それらを一体的に運営することが有効であると考

える。直売所、市民農園、体験農園、援農ボランティア、新規参入などの取り組みは、農

業者と非農業者との新たな連携関係の創出に関わる活動として位置付け、事業実施や施設

配置について、相互に調整して進めることが求められる。

さらに、住民の間の意識の差が大きい事項の中には、農業者と非農業者との間で意識の

差が大きいものがある。そのような事項については、両者の意識の差を埋める、もしくは、

同じ方向に向かうことができる方策を考える必要がある。例えば、農産物に対する意識の

差は、両者の直接的な関係を通じて埋めていくことが可能であろう。また、農業の位置付

けや開発のあり方に関する意識の差に関しては、農業者が農業の多面的機能の発揮に農業

の持続可能性を見出すとともに、非農業者も地域農業への直接・間接的に支持する活動に

参加する機会を設けることが有効であろう。すなわち、農業経営が社会的、環境的側面で

貢献していることが非農業者に支持されることによって、農産物販売や農業者に対する直

接・間接的支援につながり、多面的機能の発揮が経済面でも農業にメリットをもたらす可

能性を探るべきであろう。その点では、上記の市民の農業参加に対する取り組みも農業の

方向性に関する問題と関係しているのである。

一方、町全体の土地利用に関しては、以下の点が重要であろう。まず、住民の意識とし

ては、外延的な拡大よりも、中心的地域の土地利用の高度化を志向している。経営資源の

Page 39: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

37

規模を考えれば、未利用資源の有効活用は賢明な選択であろう。ただし、この場合、この

ような選択が経済的にどのように評価されるのかという検討を行うとともに、実施に向け

ての土地利用に関するゾーンの設定に関する基本方針が重要となる。すなわち、「どこ」で

はなく、「どのような」地域を「どのように」開発する(もしくは開発を規制する)という

方針である。ゾーンの設定は都市計画において常に議論となる問題であるが、その際に考

慮すべき点として、関連する主体や施設との立地に関する相互関係を追加しておきたい。

開発による直接的な経済効果だけではなく、農業者、非農業者、農業関連企業等の主体間

の相互の連携関係にどのような影響を与えるかという視点が求められる。

Page 40: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

39

参 考 資 料

Page 41: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

40

聖籠町魅力ある農業アンケート調査

結果報告書

1 調査の概要

(1)調査目的

本調査は、聖籠町の農業について調査を実施し、意見や問題点等の把握を行い、聖籠

町魅力ある農業調査研究委員会の基礎資料を得るために実施したものである。

(2)調査対象者及び調査方法

項 目 内 容

調査対象 農業者、非農業者(18歳以上)、学生(中高生)

配 布 数 農業者 342 人、18歳以上 1138 人、中高生 104 人 合計 1,585 人

抽 出 法 農業者:農業委員選挙人名簿(無作為) 18 歳以上、中高生:無作為

調査方法 郵送による配布回収

調査時期 平成 22 年 1 月

調査地域 町内全域

(3)配布数及び回収結果

農業者 18 歳以上 12~17 歳

配 布 数 342 人 1138 人 104 人

有効回収数 209 人 324 人 38 人

有効回収率 59.3% 28.4% 36.5%

Page 42: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

41

聖籠町魅力ある農業調査研究委員会

アンケート結果報告(農業者)

問1 あなたとご家族についてお尋ねします。

ア 性別

男女別については、「男」が 61.7%、「女」が 36.4%となっている。

性別

61.7%

36.4%

1.9%

無回答

イ 年齢

年齢別については、「60 歳代」が 36.4%、「50歳代」が 35.9%、次いで「70 歳代」が 15.5%となっており、

農業者の高齢化が進んでいる。

年齢

35.9%

36.4%

1.0% 1.0%2.4%

15.5%

7.8%

20歳代、30歳代

40歳代

50歳代

60歳代

70歳代

80歳代以上

無回答

Page 43: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

42

ウ 家族構成

家族構成については、「2世代家族」が 43.1%、「3世代家族」が 40.7%となっており、以下「夫婦のみの

世帯」「その他」の順となっている。

家族構成

43.1%40.7%

6.2% 7.2%

1.9% 1.0%

一人暮らし

夫婦のみの世帯

2世代家族

3世代家族

その他

無回答

エ 家族数

家族数については、「5 人」が 22.5%、「7 人以上」が 17.7%、「3 人」及び「6 人」が 16.7%、次いで「4

人」が 15.3%となっている。

家族数

8.6%

16.7%

15.3%

22.5%

16.7%

17.7%

1.0%1.4%

1人

2人

3人

4人

5人

6人

7人以上

無回答

Page 44: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

43

オ 農業従事者

農業従事者については、「2人」が 45.5%、「1人」が 25.3%、「3人」が 16.2%となっている。

農業従事者

3.8%

45.5%

4.8%

2.4%

25.3%16.2%

2.0%

0人

1人

2人

3人

4人

5人以上

無回答

カ 認定農業者

認定農業者については、「認定農業者はいない」が 75.1%と最も多く、次いで「回答者が認定農業者であ

る」が 15.8%、「世帯に認定農業者がいる」が 8.6%となっている。

認定農業者

15.8%

8.6%

75.1%

0.5%

回答者が認定農業者である

世帯に認定農業者がいる

認定農業者はいない

無回答

キ 集落

集落については、「蓮潟」が 12.9%、「二本松」が 8.6%、「藤寄」が 7.7%となっており、以下「蓮野」「次

第浜」「亀塚」の順となっている。

Page 45: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

44

問2 町の農業についてお尋ねします。

1 町の農業の望ましい姿はどう考えますか。

農業の望ましい姿については、「農産物のブランド化とPR活動の推進」が 30.6%、「地産地消を重視し

た農業」が 23.9%、「今のままで良い」が 15.3%となっており、60 歳代及び 70歳代では「今のままで良い」

と答えた方が一番多い。

町の農業の望ましい姿

23.9%

30.6%12.0%

15.3%

13.9%

3.3%

1.0%

町内の生産者と消費者を結びつける「地産地消」を重視した農業

町の農産物のブランド化とPR活動を推進し、大都市へ向け発信する農業観光果樹園などの整備によって、観光客を重視した農業

今のままで良い

2 町の農業はどのような農業経営が中心となるのがよいと思いますか。

町の中心となる農業経営については、「複合経営」が 41.1%、「共同経営」が 21.7%、「大規模経営」及び

「今のままで良い」が 13.6%となり、年齢が高くなるにつれ「今のままで良い」と回答する方が多くなっ

ている。

41.1%

21.7%

13.6%

5.4%

13.6%

9.7%

1.2%

1.6%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

複合経営

共同経営

大規模経営

企業経営

今のままで良い

わからない

その他

無回答

農業経営の中心について

Page 46: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

45

3 町の農業を推進するための各種補助金の内容についてご存知ですか。

各種補助金の内容については、「知らない」が 47.4%、「少し知っている」が 35.9%、「知っている」が

15.8%となっており、半数近くが「知らない」と回答している。

各種補助金についてご存知ですか

15.8%

35.9%

47.4%

1.0%

知っている

少し知っている

知らない

無回答

3-A 設問3で「知っている」、「少し知っている」と答えた方にお聞きします。

1 町の補助事業等を活用していますか。

補助事業等の活用については、「活用している」が 47.7%、「活用していない」が 30.3%、「活用したいが

条件が合わない」が 19.3%となっている。

補助事業等を活用していますか

47.7%

30.3%

19.3%

0.9%

1.8%

活用している

活用していない

活用したいが条件が合わない

その他

無回答

Page 47: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

46

2 町の補助事業等に拡大要望などはありますか。

補助事業等の拡大要望については、「今のままで良い」が 36.7%、「拡充してほしい」が 32.1%、「わから

ない」が 18.3%となっており、「3-A設問1」の回答別でもほとんど差異はない。

補助事業等の拡大要望はありますか

32.1%

36.7%

1.8%

18.3%

5.5%5.5%

拡充してほしい

今のままで良い

縮小してほしい

わからない

その他

無回答

問3 農産物の消費についてお尋ねします。

1 野菜や果樹を購入する場合にどのような点を最も重視しますか。

農産物の購入時何を最も重視するかについては、「鮮度」が 41.6%、「価格」が 25.4%、次いで「町内産」

が 16.7%となっており、70 歳代では「町内産」と回答した方が多い。

Page 48: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

47

2 町で収穫される果樹・野菜は何が好きですか。

町で収穫される好きな果樹・野菜について、「果樹」が 70.8%と多く、次いで「野菜」が 44.0%、「特に

ない」が 21.1%となっており、「果樹」中でも「ブドウ」「サクランボ」「ナシ」の順となっている。

問4 農業後継者についてお尋ねします。

1 農業後継者はいますか。

農業後継者については、「いない」が 66.5%であり 6割以上を占めている。

農業後継者はいますか

32.1%

66.5%

1.4%

いる

いない

無回答

Page 49: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

48

2 「いる」とお答えの方にお聞きします。その後継者はどのような状況ですか。

農業後継者がいる方の状況については、「他産業に従事しながら農業している」が 67.6%、「主に農業を

営んでいる」が 19.1%、「その他」が 5.9%となっている。

農業後継者はどのような状況ですか

19.1%

67.6%

4.4%

5.9% 2.9%

主に農業を営んでる

他産業に従事しながら農業をしている

就学中であるが将来農業を継ぐ見込みでいる

その他

無回答

3 「いない」とお答えの方にお聞きします。どのような状況ですか。

農業後継者のいない方の状況については、「15 歳以上の子供はいるが意思がない」が 65.7%と最も多く、

次いで「その他」が 27.1%となっており、「その他」の主な内容としては、「子供がいない」という回答が

多い。

「いない」と答えた方、状況を教えてください

65.7%5.7%

27.1%

1.4% 15歳以上の子供がいるが農業を継ぐ意思がない

子供が幼少のためわからない

その他

無回答

Page 50: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

49

問5 農業形態について教えてください。

1 経営区分について

経営区分については、「兼業農家で農業以外が中心」が 52.2%と半数をしめており、「専業農家」が 23.4%、

「兼業農家で農業が中心」が 18.7%となっている。

経営について

23.4%

18.7%52.2%

4.8%

1.0%

専業農家

兼業農家で農業が中心

兼業農家で農業以外が中心

その他

無回答

2 兼業の内容はどれにあたりますか。(設問1で兼業農家と答えた方)

兼業の内容については、「会社員(農業休みが取れない)」が 39.6%、「会社員(農業休みが取れる)」が

32.9%、「自営業」が 12.1%となっており、以下「その他」「公務員」の順となっている。

兼業の内容はどれにあたりますか

12.1%

32.9%

39.6%

5.4%

6.0%4.0% 自営業

会社員(農作業休みが取れる雇用)

会社員(農作業休みが取れない雇用)

公務員

その他

無回答

Page 51: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

50

3 経営形態について

経営形態については、「自己完結型」が 90.9%とほとんどであり、「無回答」が 3.3%、「農業法人」が 2.4%、

「生産組織」となっている。

経営形態について

90.9%

1.9%

2.4%1.4%

3.3%

自己完結型

生産組織

農業法人

その他

無回答

問6 経営状況について教えてください。

1 どのような農業に取組んでいますか。

水稲

46 44

22

10 96 4

0

10

20

30

40

50

1~10

0a

101~

200a

201~

300a

301~

400a

401~

500a

501~

1,00

0a

1001

a以上

回答数

Page 52: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

51

露地野菜

65

2315

7 4 6 8

0

10

20

30

40

50

60

70

1~10

a

11~

20a

21~

30a

31~

40a

41~

50a

51~

100a

101a

以上

回答数

施設野菜

6

3

2 2

0

1

2

3

4

5

6

7

1~10a 11~20a 21~30a 31~40a

回答数

果樹

32

16

810

52 1

05

10152025

3035

1~20

a

21~

40a

41~

60a

61~

80a

81a~

100a

101~

200a

201a

以上

回答数

※畜産、その他作物については回答なしとなっている。

Page 53: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

52

2 農地の所有状況について

自作地(田)

56 53

24

2 2 1 3

0

10

20

30

40

50

60

1~10

0a

101~

200a

201~

300a

301~

400a

401~

500a

501~

600a

601a

以上

回答数

自作地(畑)

71

41

25

7 94 8

01020304050607080

1~20

a

21~

40a

41~

60a

61~

80a

81~

100a

101~

120a

121a

以上

回答数

貸付地(田)

22

16

11

3 2

0

5

10

15

20

25

1~50a 51~100a 101~150a 151~200a 201a以上

回答数

Page 54: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

53

貸付地(畑)

3

8

4

2

1

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1~10a 11~20a 21~30a 31~40a 41~50a

回答数

借入地(田)

38

85 4 2 1

5

05

10152025303540

1~10

0a

101~

200a

201~

300a

301~

400a

401~

500a

501~

600a

601a

以上

回答数

借入地(畑)

7

3 2 1 0

3

18

0

5

10

15

20

1~20

a

21~

40a

41~

60a

61~

80a

81~

100a

101~

120a

121a

以上

回答数

Page 55: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

54

委託(田)

6 6

0 0

3

1

01

2345

67

1~50

a

51~

100a

101~

150a

151~

200a

201~

250a

251~

300a

回答数

受託(田)

3

1

0

2

0

1

00.5

11.5

22.5

33.5

1~50

a

51~

100a

101~

150a

151~

200a

201~

250a

251以

回答数

受託(畑)

1

0 0

1

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1~10a 11~20a 21~30a 31~40a

回答数

※委託(畑)については回答なしとなっている。

Page 56: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

55

3 今後の農業経営について

今後の農業経営については、「現状維持」が 60.3%、「規模拡大したい」が 13.4%、「やめたい」が 11.0%

となり、以下「わからない」「縮小したい」の順となっている。「規模拡大したい」と回答した方は 50、

60 歳代がほとんどであり、「やめたい」と回答した方は年齢が上がるほど回答率が高い。

今後の農業経営について

13.4%

3.8%

11.0%

60.3%

9.6%

0.0%1.9%

規模拡大したい

縮小したい

やめたい

現状維持

わからない

その他

無回答

3-A 規模拡大の方法(設問3で「規模拡大」と回答した方)

規模拡大の方法については、「借入地を増やす」が 65.5%、「農地を購入する」が 27.6%、「作業受託を増

やす」が 3.4%となっている。

規模拡大の方法

65.5%

27.6%

3.4%

0.0%3.4%

借り入れ地を増やす

農地を購入する

作業受託を増やす

その他

無回答

Page 57: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

56

3-B 縮小したい・やめたい理由

縮小したい・やめたい理由については、「高齢者で後継者がいない」が 56.3%、「農業に魅力を感じない」

が 21.9%、「収入に不安がある」が 12.5%となっている。

縮小したい・やめたい理由

56.3%

12.5%

21.9%

6.3% 3.1%高齢者で後継者がいない

収入に不安がある

農業に魅力を感じない

その他

無回答

3-C 現状維持の理由

現状維持の理由については、「元気なうちは続けたい」が 54.3%、「現在の規模と形態が最善」が 20.9%

「農機具が使えるうちは続けたい」が 19.4%となり、農業後継者のいない方で「元気なうちは続けたい」

と回答した方については、年齢が上がるほど回答率が高い。

現状維持の理由

54.3%

19.4%

20.9%

2.3%

3.1%

経営主、又は家族が元気なうちは続けたい

現在の農機具が使えるうちは続けたい

現在の規模と形態が最善である

その他

無回答

Page 58: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

57

問7 主な農業機械の所有状況と今後の購入予定について教えてください。

① トラクター(所有状況)

トラクターの所有状況については、「有」が 73%、「無」が 13.7%、「無回答」が 9.5%、「共同所有」となっ

ている。

トラクター(所有状況)

73.0%

13.7%

3.8%

9.5%

共同所有

無回答

① トラクター(今後購入予定)

トラクターの今後購入予定については、「無」が 45.5%、「わからない」が 37.8%、「無」が 10.5%、「有」

が 5.3%となっており、「現状維持」と回答した方のほとんどは「無」もしくは「わからない」と回答して

いる。

トラクター(今後購入予定)

5.3%

45.5%

1.0%

37.8%

10.5%

共同所有

わからない

無回答

Page 59: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

58

② 田植機(所有状況)

田植機の所有状況については、「有」が 50.7%、「無」が 33.3%、「無回答」が 9.4%、「共同所有」が 6.6%

となっている。

田植機(所有状況)

50.7%

33.3%

6.6%

9.4%

共同所有

無回答

② 田植機(今後購入予定)

田植機の今後購入予定については、「無」が 51.7%、「わからない」が 33.0%、「無回答」が 9.6%、「有」

及び「共同所有」が 2.9%となっており、「現状維持」と回答した方のほとんどは「無」もしくは「わから

ない」と回答している。

田植機(今後購入予定)

2.9%

51.7%

2.9%

33.0%

9.6%

共同所有

わからない

無回答

Page 60: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

59

③ コンバイン(所有状況)

コンバインの所有状況については、「有」が 50.9%、「無」が 36.3%、「無回答」が 9.0%、「共同所有」が

3.8%となっている。

コンバイン(所有状況)

50.9%

36.3%

3.8%

9.0%

共同所有

無回答

③ コンバイン(今後購入予定)

コンバインの今後購入予定については、「無」が 51.7%、「わからない」が 33.5%、「無回答」が 9.6%、「有」

が 3.8%、「共同所有」が 1.4%となっており、「現状維持」と回答した方のほとんどは「無」もしくは「わ

からない」と回答している。

コンバイン(今後購入予定)

3.8%

51.7%

1.4%

33.5%

9.6%

共同所有

わからない

無回答

Page 61: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

60

④ 乾燥機(所有状況)

乾燥機の所有状況については、「有」が 58.9%、「無」が 32.5%、「無回答」が 8.6%となっている。

乾燥機(所有状況)

58.9%

32.5%

0.0%8.6%

共同所有

無回答

④ 乾燥機(今後購入予定)

乾燥機の今後購入予定については、「無」が 53.6%、「わからない」が 31.6%、「無回答」が 10.5%、「有」

が 3.8%、「共同所有」が 0.5%となっており、「現状維持」と回答した方のほとんどは「無」もしくは「わ

からない」と回答している。

乾燥機(今後購入予定)

3.8%

53.6%

0.5%

31.6%

10.5%

共同所有

わからない

無回答

Page 62: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

61

⑤ その他の機械(所有状況)

その他の機械の所有状況については、「無」が 67.0%、「有」が 22.5%、「無回答」が 9.6%、「共同所有」

が 1.0%となっている。

その他の機械(所有状況)

22.5%

67.0%

1.0%9.6%

共同所有

無回答

⑤ その他の機械(今後購入予定)

その他の機械の今後購入予定については、「無」が 68.4%、「わからない」が 16.3%、「無回答」が 11.0%、

「有」が 3.8%、「共同所有」が 0.5%となっており、「現状維持」と回答した方のほとんどは「無」もしく

は「わからない」と回答している。

その他の機械(今後購入予定)

3.8%

68.4%

0.5%

16.3%

11.0%

共同所有

わからない

無回答

Page 63: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

62

問8 あなた(家族)の所有する農地についての考えを教えてください。

1 所有する農地を基本的にどのようにお考えですか。

農地の考え方については、「家の財産である」が 63.4%、「営農のための基盤である」が 26.3%、「わから

ない」が 6.9%、以下「無回答」「その他」「所有していない」となっており、「専業農家」及び「兼業農家

で農業が中心」の方で「家の財産である」「営農のための基盤である」と回答した方は各 50%程度、「兼業

農家で農業以外が中心」の方で「家の財産である」と回答した方が 72.1%となっている。

農地を基本的にどのようにお考えですか

63.4%

26.3%

0.9%

0.9%

6.6%

1.9%家の財産である

営農のための基盤である

わからない

その他

農地は所有していない(以下2、3、4回答不要)

無回答

2 所有する農地を売却したいとお考えですか。

農地の売却については、「売却する意思はない」が 58.8%、「条件が合えば売却する」が 22.1%、「わから

ない」が 10.8%、「売却したい」が 4.9%となっており、今後の農業経営について「現状維持」と回答した

方で「条件が合えば売却したい」と答えた方が 25.6%となっている。

農地を売却について

4.9%

58.8%

22.1%

10.8%0.0%

3.4%売却したい

売却する意志はない

条件が合えば売却する

わからない

その他

無回答

Page 64: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

63

3 農地の相続はどのような方法が良いとお考えですか。

農地の相続については、「家を継ぐ者に相続」が 72.1%と最も多く、次いで「わからない」が 13.2%、「家

を継ぐ者が大部分、一部は分割」が 9.8%、「相続人が平等分割」及び「無回答」が各 2.5%となっている。

農地の相続について

72.1%

9.8%

2.5%

13.2%2.5%

家を継ぐ者が相続し農地を維持する

家を継ぐ者が大部分を相続するが一部は分割する

相続人が平等に分割相続する

わからない

無回答

4 将来自分の農地を貸し付けすることになった場合(仮定)の貸付先について

貸付先については、「集落営農組織又は農業法人」が 40.0%、「親戚か知人」が 29.8%、「集落内の農家」が

7.9%、「無回答」が 5.1%、以下「農業委員会等の照会先」「行政や農協」となっている。

貸付先について

29.8%

40.0%

2.8%

7.9%

4.2%

4.2%

3.7%

2.3%5.1%

親戚か知人

集落営農組織又は農業法人

該当農地の隣接者

集落内の農家

農業委員会等の紹介先

行政や農協

誰でも良い

その他

無回答

Page 65: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

64

問9 現在の営農上、問題と思うことを教えてください。

営農上の問題については、「生産資材にかかる費用が高い」が 64.6%、「生産物の販売価格が安い」が 61.2%、

「機械にかかる費用が高い」が 56.9%、「農業後継者がいない」が 30.1%となっており、費用が高く販売価

格が安いため農業後継者が減少していると思われる。

問10 町の土地利用について、用地がどのように活用されるのが望ましいと思いますか。

1 住宅地域について

住宅地域については、「現状のままでよい」が 29.7%、「わからない」が 23.0%、「未利用地を活用して宅

地供給」が 22.5%、「農地の宅地化、市街化地域の拡大」が 17.7%となっている。

住宅地域について

17.7%

22.5%

29.7%

23.0%

2.4%

4.8%

郊外の農地を宅地化するなど市街化地域を拡大し住宅地を増やす

集落内の未利用地などを活用して宅地供給を進める

行状のままで良い

わからない

その他

無回答

Page 66: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

65

2 農業地域について

農業地域については、「農地の維持・保全を図る」が 24.9%、「現状のままで良い」が 21.5%、「農家住宅

や公共施設などへの利用」が 18.7%、「わからない」が 16.3%、「一般住宅や商工業施設などへの利用」が

12.4%となっている。

農業地域について

24.9%

18.7%

12.4%

21.5%

16.3%

1.0%

5.3% 開発せずに積極的に農地の維持・保全を図る

農家住宅や公共施設などへの利用を認める

一般住宅や商工業施設などへの利用を認める

現状のままで良い

わからない

その他

無回答

3 土地利用について、町はどのようなことに力をいれるべきだと思いますか。

土地利用については、「未利用地の有効活用」が 60.3%、「高齢者等に配慮」が 40.7%、「農地の保全」が

39.2%、「自然環境の保全」が 30.6%、「防災や安全に配慮」が 29.2%、「公園や緑地の整備」が 21.1%となっ

ており、以下「住宅地の整備」「道路の整備」「企業誘致」となっている。

Page 67: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

66

4 土地利用に関する行政の関与についてどのようにお考えですか。

土地利用に関する行政の関与については、「住民と行政が一緒に考える」が 62.7%と最も多く、次いで

「わからない」が 15.3%、「行政は関与すべきでない」が 7.7%、「無回答」が 7.2%、「行政主導」が 5.3%、

「その他」が 1.9%となっている。

土地利用に関する行政の関与について

7.7%

62.7%

5.3%

15.3%

1.9%7.2%

土地は個人や会社の資産であるため行政は関与すべきではない

住民と行政が一緒に土地利用のあり方を考えるべきである

行政主導でとり利用のあり方を考えるべきである

わからない

その他

無回答

問11 ご意見、ご要望など

1 あなたが思う聖籠町の魅力(自慢できること)は何ですか。

・財政力があり合併していない ・子供や高齢者等にとって良い町

・温泉、プラント、東港、免許センター等がある ・海があり、自然豊かな町

・果樹の産地であり、米や野菜が豊富で新鮮な地元のものが買える

・地産地消で地元の果樹・米・野菜等が学校給食に使っているとこは大変良い

2 あなたが思う聖籠町に望むこと(足りないところ)は何ですか。

・観光、特産物等のPR不足 ・認定農業者以外の個人にも補助金を出すべき(機械購入等)

・農地を整備してほしい ・畑の荒地が多く、何を栽培しても鳥獣に食べられてしまう

・就農人口減少や少子高齢化に向けた農地の活用体制の確立、町内全部のほ場整備、40%近い転作を逆活用

し、生産性の高い汎用水田として生産性を高める ・今後の町農政の進む方向

・医療機関の不足 ・公共交通機関が不足している ・街灯が少ないため町全体が少ない

・地場物産の拡充を行い、人が多く集まるような「道の駅」を作ってほしい ・道路を広げてほしい

・介護施設を増やしてほしい ・海岸や砂防林の整備 ・海岸がゴミなど汚れている

・考え方が違うため年代別、男女別でふりあいトークをしてほしい、先輩方がいると話にくいこともある

・東港への企業誘致 ・活性化対策券を継続してほしい

・後継者不足が問題になっている農業だが、農業で自立生活できるよう知恵と支援を願いたい

・町民の目線に立ち仕事をしてもらいたい ・アパートや宅地を増やしてほしい

・兼業者のサラリーマンに対する労働対策という視点からの対応が必要ではないか

Page 68: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

67

3 ご意見・要望など何でもご記入ください。

・畑など未利用地を利用し、菜の花を栽培し「なたね油」するなど検討してほしい

・休耕地が荒れて周囲が迷惑しているものが多くなっているため、行政が積極的に介入して改善してほしい

・信号機、道路の整備が不十分 ・娯楽施設などを造って、町の活性化をしてほしい

・認定農業者や営農集団等が優遇されており、小規模農家は助成を受けることができない

・エコバスの利用時間・経路をもっと利用しやすくしてほしい ・観光スポットがない

・高齢者が参加できる行事を多くしてほしい(特に冬期間) ・聖籠中学校の学力強化

・地域おこしを住民ができるような人材育成をやってほしい

・聖籠特産の四季折々の果物や海(地引網)を活かし、さぶ~ん館と農産物加工センターを活用した宿泊体

験型の観光施策

・農産物加工センターを交流消費者とのイベントに活用し交流を図り、都会の消費者への宅配システムを作

・町独自の加工品などを開発してほしい ・アジアに一番近い東港を利用し活路を見出してほしい

・住民環境を整えてほしい ・農業講座があったらいい ・給食費の無料化すべき

・田、畑など自然環境を守ってほしい

Page 69: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

68

聖籠町魅力ある農業調査研究委員会

アンケート結果報告(非農業者)

問1 あなたとご家族についてお尋ねします。

ア 性別

男女別については、「男」が 44.8%、「女」が 50.9%、「無回答」が 4.3%となっている。

性別

44.8%

50.9%

4.3%

無回答

イ 年齢

年齢別については、「40 歳代」及び「50 歳代」が 22.8%、「60 歳代」が 16.0%、「30 歳代」が 14.5%、「20

歳代」が 11.4%、以下「70 歳代」「80 歳代以上」「10 歳代」「無回答」の順となっている。

年齢

11.4%

14.5%

22.8%22.8%

16.0%

8.3%

1.9%

0.9%

1.2%

10歳代

20歳代

30歳代

40歳代

50歳代

60歳代

70歳代

80歳代以上

無回答

Page 70: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

69

ウ 職業

職業については、「その他」が 32.7%、「サービス業」が 15.4%、「製造業」が 13.3%、「無回答」が 10.2%

となっている。「その他」の内容としましては、「主婦」「無職」等となっている。

職業

9.3%

8.3%

15.4%

13.3%

6.2%4.6%

32.7%

10.2%

専門技術

事務職

サービス業

製造業

建設業

公務員

その他

無回答

エ 家族構成

家族構成については、「2世代家族」が 53.7%と半数を占め、次いで「夫婦のみ世帯」が 17.0%、「3世代

家族」が 16.4%となっている。

家族構成4.0%

17.0%

53.7%

16.4%

2.5%6.5%

一人暮らし

夫婦のみの世帯

2世代家族

3世代家族

その他

無回答

Page 71: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

70

オ 家族数

家族数については、「4人」が 24.1%、「3人」が 19.1%、「5人」が 16.0%、「2人」及び「6人」が 13.0%、

「7 人以上」が 11.1%となっている。

家族数

3.1%13.0%

19.1%

24.1%

16.0%

13.0%

11.1%

0.6%

1人

2人

3人

4人

5人

6人

7人以上

無回答

カ 集落

集落については、「蓮潟」が 12.9%、「二本松」が 8.6%、「藤寄」が 7.7%となっており、以下「蓮野」「次

第浜」「亀塚」の順となっている。

問2 町の農業についてお尋ねします。

1 町の農業の望ましい姿はどう考えますか。

農業の望ましい姿については、「地産地消を重視した農業」が 34.1%、「ブランド化とPR活動の推進」

が 22.9%、「「観光客を重視した農業」が 14.3%、「わからない」が 13.4%、「今のままで良い」が 12.5%となっ

ており、全ての年代において「地産地消を重視した農業」が最も多い。

町の農業の望ましい姿

34.1%

22.9%

14.3%

12.5%

13.4%1.5%

1.2%

町内の生産者と消費者を結びつける「地産地消」を重視した農業

町の農産物のブランド化とPR活動を推進し、大都市へ向け発信する農業

観光果樹園などの整備によって、観光客を重視した農業

今のままで良い

わからない

その他

無回答

Page 72: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

71

2 町の農業はどのような農業経営が中心となるのがよいと思いますか。

町の中心となる農業経営については、「複合経営」が 30.9%、「共同経営」が 26.9%、「わからない」が

22.5%、「企業経営」が 21.0%、「大規模経営」が 13.3%となっており、40 歳代・50 歳代・60 歳代は「複

合化・多角化」と回答した方が多く、そのほかについては、「共同経営」と回答した方が多い。

3 町内の農業や農地はどのような役割を果たしていると考えますか。

農業や農地の役割については、「新鮮な農産物供給」が 67.0%、「環境保全」が 43.8%、「地域社会活性化」

が 28.1%、「潤い安らぎ」が 22.2%、「景観形成」及び「伝統文化」が 19.8%となっている。

Page 73: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

72

4 町内産の農産物についてどのように評価していますか。

町内産の農産物の評価については、「質が高い」が 46.0%、「品目が少ない」が 33.0%、「価格が安い」が

22.2%、以下「価格が高い」「品目が多い」「無回答」の順となっている。

5 あなたと農業との関係はどのようなものになると思いますか。

あなたと農業との関係については、「可能性なし」が 35.8%、「わからない」が 25.3%、「手伝い」が 15.1%、

「市民農園」が 11.7%となっており、以下「農外従事後に農業」「兼業農家の可能性」の順となっている。

Page 74: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

73

問3 農産物の消費についてお尋ねします。

1 野菜や果樹を購入する場合にどのような点を最も重視しますか。

農産物の購入時何を最も重視するかについては、「鮮度」が 58.6%と半数以上を占め、次いで「価格」

が 31.2%、「栽培方法」が 12.3%となっている。

2 町で収穫される果樹・野菜は何が好きですか。

町で収穫される好きな果樹・野菜については、「果樹」が 84.3%と多く、次いで「野菜」が 37.0%、「特

にない」が 12.7%となっており、「果樹」中でも「ブドウ」「サクランボ」「ナシ」の順となっている。

Page 75: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

74

問4 町の土地利用についてどのように活用されるのが望ましいと思いますか。

1 住宅地域について

住宅地域については、「未利用地を活用して宅地供給」が 36.9%、「現状のままでよい」が 27.4%、「わか

らない」が 18.9%、「農地の宅地化、市街化地域の拡大」が 17.7%となっている。

住宅地域について

11.0%

36.9%

27.4%

18.9%

3.4%

2.4%

郊外の農地を宅地化するなど市街化地域を拡大し住宅地を増やす

集落内の未利用地などを活用して宅地供給を進める

現状のままで良い

わからない

その他

無回答

2 農業地域について

農業地域については、「農地の維持・保全を図る」が 30.1%、「わからない」が 20.2%、「現状のままで良

い」が 16.3%、「一般住宅や商工業施設などへの利用」が 15.6%、「農家住宅や公共施設などへの利用」が

14.1%となっている。

農業地域について

30.1%

14.1%

15.6%

16.3%

20.2%

1.2%

2.5% 開発はせずに積極的に農地の維持・保全を図る

農家住宅や公共施設などへの利用を認める

一般住宅や商工業施設などへの利用を認める。

現状のままで良い

わからない

その他

無回答

Page 76: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

75

3 土地利用について、町はどのようなことに力をいれるべきだと思いますか。

土地利用については、「未利用地の有効活用」が 56.5%、「自然環境の保全」が 46.6%、「高齢者等に配慮」

が 45.1%、「公園や緑地の整備」が 36.1%、「防災や安全に配慮」が 35.5%となっている。

4 土地利用に関する行政の関与についてどのようにお考えですか。

土地利用に関する行政の関与については、「住民と行政が一緒に考える」が 65.5%と最も多く、次いで

「わからない」が 18.5%、「行政主導」が 6.8%、「無回答」が 5.2%、「行政は関与すべきでない」が 3.4%、

「その他」が 0.6%となっている。

土地利用に関する行政の関与について

6.8%

65.5%

3.4%

18.5%

0.6%

5.2%

土地は個人や会社の資産であるため行政は関与すべきではない

住民と行政が一緒に土地利用のあり方を考えるべきである

行政主導で土地利用のあり方を考えるべきである

わからない

その他

無回答

問5 ご意見、ご要望など

Page 77: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

76

1 あなたが思う聖籠町の魅力(自慢できること)は何ですか。

・観光果樹園と美味しい果物 ・農産物が多い ・自然豊かな環境が魅力 ・こども園の無料化

・施設等が充実している ・道路が広くてきれい ・新潟東港がある ・交通アクセス

・福祉の充実 ・指定ゴミ袋の無料配布 ・さぶ~んがある

2 あなたが思う聖籠町に望むこと(足りないところ)は何ですか。

・交通の便が悪い ・バスの運行、停留所の増 ・小中学生の教育レベルの向上

・町民が働ける会社の誘致 ・医療機関の充実 ・福祉政策、福祉施設の充実 ・農産物などのPR不足

・宅地の造成 ・海岸線の清掃 ・駅がない ・飲食店の不足

3 ご意見・要望など何でもご記入ください。

・合併しないでほしい ・エコバスを利用しやすくしてほしい ・エコバスの廃止

・歩道や自転車道等の整備 ・無駄な道路整備 ・医療機関、福祉施設の充実 ・果樹等のPR

・海水浴場、海浜公園の整備 ・消雪パイプの設置

Page 78: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

77

聖籠町魅力ある農業調査研究委員会

アンケート結果報告(学生)

問1 あなたとご家族についてお尋ねします。

ア 性別

男女別については、「男」が 60.5%、「女」が 39.5%となっている。

性別

60.5%

39.5%

0.0%

無回答

イ 年齢(学生別)

年齢別については、「中学生」が 63.2%、「高校生」が 36.8%となっている。

年齢(学生別)

63.2%

36.8%

0.0%

中学生

高校生

無回答

Page 79: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

78

年齢別

年齢別については、「15 歳」が 31.6%、「14 歳」が 21.1%、「13 歳」及び「17 歳」が 13.2%、「18 歳」が

10.5%となっている。

年齢別

13.2%

21.1%

31.6%

10.5%

13.2%

10.5% 0.0%

13歳

14歳

15歳

16歳

17歳

18歳

無回答

ウ 家族構成

家族構成については、「3 世代家族」が 36.8%、「核家族」が 34.2%、「2 世代家族」が 28.9%となってい

る。

家族構成

34.2%

28.9%

36.8%

0.0%

0.0%

核家族

2世代家族

3世代家族

その他

無回答

Page 80: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

79

エ 家族数

家族数については、「6 人」及び「7 人以上」が 26.3%、「4 人」が 21.1%、「5 人」が 18.4%、「3 人」が

7.9%となっている。

家族数

18.4%26.3%

26.3%

0.0%

7.9%

21.1%

3人

4人

5人

6人

7人以上

無回答

オ 農業従事者

農業従事者については、「0 人」が 71.1%と最も多く、次いで「1人」及び「2人」が 10.5%、「3 人」が

5.3%、「無回答」が 2.6%となっている。

農業従事者

71.1%

10.5%

10.5%

5.3% 2.6%

0人

1人

2人

3人

無回答

カ 集落

集落については、「次第浜」が 18.4%、「亀塚」が 15.8%、「蓮潟」が 10.5%となっており、以下「二本松」

「ひばりが丘」「無回答」の順となっている。

Page 81: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

80

問2 町の農業についてお尋ねします。

1 町の農業や農地はどのような役割を果たしていると考えますか。

農業や農地の役割については、「新鮮な農産物の供給」が 84.2%、「地域社会活性化」が 39.5%「伝統文

化」が 26.3%、「環境保全」が 23.7%、「景観形成」が 21.1%となっている。

2 農業に興味はありますか。

農業への興味については、「少しある」が 39.5%、「あまり無い」及び「無い」が 21.1%、「わからない」

が 5.3%となっている。

農業の興味について

13.2%

39.5%

21.1%

21.1%

5.3%

0.0%

0.0%

ある

少しある

あまり無い

ない

わからない

その他

無回答

Page 82: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

81

3 町の農業の現状などについて、学ぶ機会はありましたか。

農業の学ぶ機会については、「農業体験の機会があった」が 52.6%、「手伝いをした」が 34.2%、「いずれ

もなった」が 28.9%、「学ぶ機会があった」が 21.1%となっている。

4 町で収穫される果樹・野菜は何が好きですか。

町で収穫される好きな果樹・野菜について、「果樹」が 89.5%と多く、次いで「野菜」が 36.8%、「その

他」が 7.9%、「特にない」が 5.3%となっており、「果樹」中でも「サクランボ」「ブドウ」「ナシ」の順と

なっている。

Page 83: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

82

問3 職業について教えてください。

1 あなたは将来どのような職業を希望しますか。

将来希望する職業については、「専門技術」が 30.8%、「公務員」が 20.5%、「事務職」が 12.8%、「サー

ビス業」及び「その他」が 10.3%、「農業」及び「製造業」が 5.1%、「無回答」が 2.6%となっている。

将来希望する職業について

5.1%

30.8%

12.8%10.3%

5.1%

2.6%

20.5%

10.3%2.6%

農業

専門技術

事務職

サービス業

製造業

建設業

公務員

その他

無回答

2 設問1で「農業」以外を選択した方にお聞きします。将来、あなたと農業との関係はどのようなものに

なると思いますか。

あなたと農業との関係については、「わからない」が 35.9%、「農業に関係する可能性はない」が 23.1%、

「地域の農家の手伝いなどに参加する可能性はある」17.9%、「農業以外の仕事を経験した後に農業をする

可能性はある」及び「その他」が 10.3%、「兼業農家で農業をする可能性はある」が 2.6%となっている。

あなたと農業との関係について

2.6%10.3%

17.9%

0.0%

23.1%

35.9%

0.0%

10.3%

兼業農家で農業をする可能性はある

農業以外の仕事を経験した後に農業をする可能性はある

地域の農家の手伝いなどに参加する可能性はある

市民農園などに参加する可能性はある

農業に関係する可能性はない

わからない

その他

無回答

Page 84: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

83

3 農業をする場合どのような作物を作ってみたいですか。

作ってみたい作物については、「果樹」が 42.1%、「農業をするつもりはない」が 15.8%、「稲作」及び「わ

からない」が 13.2%、「複数の作物」が 5.3%、「無回答」が 2.6%となっており、町でとれる好きな果樹・

野菜同様「果樹」が最も多い。

作ってみたい作物について

13.2%

42.1%

7.9%

13.2%

5.3%

15.8%

2.6%

稲作

果樹(サクランボやブドウ)

野菜

わからない

複数の作物

農業をするつもりはない

無回答

問4 居住地について教えてください。

1 あなたにとって聖籠町の良いと思うところは、どんなところですか。

聖籠町の良いと思うところについては、「自然が豊か」が 68.4%、「安心して生活ができる」が 57.9%、

「町に活気がある」が 23.7%、「教育環境が良い」及び「買物が便利」が 18.4%となっており、以下「交通

の便が良い」「遊ぶ場所がある」「将来望む職種の会社が多い」となっている。

Page 85: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

84

2 あなたにとって聖籠町の良くないと思うところは、どんなところですか。

聖籠町の良くないと思うところについては、「交通の便が悪い」が 55.3%、「遊ぶ場所が少ない」が 50.0%、

「将来の望む職種の会社が少ない」及び「買物が不便」が 36.8%、「教育環境が悪い」が 23.7%となってお

り、以下「町に活気がない」「その他」「無回答」の順となっている。

問5 ご意見、ご要望

1 あなたが思う聖籠町の魅力(自慢できること)は何ですか。

・果樹園がある ・自然豊かで住みやすい ・公共施設等の充実 ・会社がたくさんある(東港)

・美味しい米、野菜等たくさん作っている ・道路環境・除雪対応 ・アルビのホームクランウド

2 あなたが聖籠町に望むこと(足りないこと)は何ですか。

・遊ぶ場所、お店が少ない ・駅がない ・エコバスのルート時間など ・街灯が少ない

・農産物で聖籠ブランドを確立し、全国に発信してほしい。そのためにも農家同士の団結が必要

・空き地等の有効活用 ・聖籠町に名所がない

3 ご意見・ご要望など何でもご記入ください。

・エコバスの運行時間等を見直してほしい ・桜をもっと植えてほしい ・観光地を作ってほしい

・聖籠町にしかないシンボルとなるような物を作ってほしい ・作付けを行っていない農地の有効活用

Page 86: 聖籠町魅力ある農業調査研究報告書 - Seiro › sankan › charm_agri › 06houkoku.pdf · 「まち」は 今、 危機に直面している。 グローバリゼーション

85

聖籠町魅力ある農業調査研究委員会委員名簿

平成23年4月1日現在

番号 氏 名 分 類 所 属 等 備 考

1 伊 藤 幸 成 農業経営者 露地園芸農家

2 井 上 一 久 農業協同組合JA北越後聖籠支店

ふれあい課長

3 木 南 莉 莉 学識経験者 新潟大学農学部教授 委員長

4 小 池 修 治 関係行政機関県農村整備部

計画専門員

5 近 藤 整一郎 農業経営者 水稲農家

6 新 保 けい子 農業経営者 果樹農家

7 曽 根 善 治 農業経営者 施設園芸農家 副委員長

8 高 橋 文 子 農業経営者 果樹農家

9 中 野 潔 関係行政機関県園芸研究センター

環境・施設科長

10 能 登 助一郎 農業経営者 露地園芸農家

11 萩 原 美 好 農業経営者 水稲農家

12 山 田 隆 生 学識経験者新発田農業高等学校

教諭(農場長)

13 吉 田 芳 春 農業経営者 水稲農家

14 渡 辺 喜 芳 関係行政機関県普及指導センター

課長代理

(五十音順)