開発途上国における 道路アセットマネジメントの展開と技術支援 · 2019....

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JICA社会基盤・平和構築部 運輸交通・情報通信グループ 山村 直史 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」 SIPインフラ社会実装促進会議(最終報告会) 開発途上国における 道路アセットマネジメントの展開と技術支援 2019年1月24日

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Page 1: 開発途上国における 道路アセットマネジメントの展開と技術支援 · 2019. 3. 5. · 6 2.jicaの道路分野の取組 ()内は2019年1月以降に順次開始予定

JICA社会基盤・平和構築部

運輸交通・情報通信グループ

山村 直史

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」SIPインフラ社会実装促進会議(最終報告会)

開発途上国における道路アセットマネジメントの展開と技術支援

2019年1月24日

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1.JICAの概要

2.JICAの道路分野の取組

3.SIPインフラとの連携(道路アセットマネジメント)

4.教訓・今後の展望

内 容

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国際協力機構法により設置された独立行政法人

政府開発援助における技術協力、有償・無償による

資金協力等の実施機関

1954年 アジア協会

1961年 海外経済協力基金(OECF)

1962年 海外技術協力事業団(OTCA)

1974年 国際協力事業団(JICA)

1999年 国際協力銀行(JBIC)

2003年10月1日 国際協力機構(独法化)

2008年10月1日 新JICAへ(JICAとJBICのODA部門が統合)

常勤職員数(定員) 1909人 (2018年3月31日時点)

北岡理事長

1.JICAの概要

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3

二国間援助

ODA(政府開発援助)

多国間援助

無償資金協力

技術協力

有償資金協力(円借款)

国際機関への拠出

外務省・JICA

JICA

JBIC(経済協力業務)

2017年度JICA事業規模

出典:JICA年報2018

1.JICAの概要

JICAの特長

3

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JICAが果たすべき役割

相手国の開発課題の解決と開発効果を最大化のノウハウ

日本国内での強固なネットワーク

途上国との信頼関係やネットワーク

相手国の開発課題の解決と開発効果を最大化のノウハウ

既存システムや常識の既存システムや常識の枠にとらわれない開発協力の取り組み方

新しいパートナーと新しいパートナーとの協働

新しい技術、ビジネスモデルを様々なパートナーとと新しい技術、ビジネスモデルを様々なパートナーとともにSDGs達成に活かすアクセラレーター

1.JICAの概要

4

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2.JICAの道路分野の取組

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2.JICAの道路分野の取組

( )内は2019年1月以降に順次開始予定

東南アジア 南アジア 東・中央アジア アフリカ 中南米 計

3件(2件) 3件(3件) 2件(1件) 4件(2件) 1件 13件(8件)

道路・橋梁維持管理技プロ実施件数(2018年12月末時点)

途上国における道路インフラ維持管理の課題

予算不足 技術不足 人材不足

1. 維持管理予算の把握・最小化(事後保全から予防保全へ)⇒維持管理PDCAの導入・定着

2. 将来維持管理予算の最適化⇒アセットマネジメントの導入・定着(技プロ)

1. 点検・診断等の維持管理作業、状況に応じた補修作業に関する技術指導

2. 自然/気象条件に応じた補修/長寿命化技術・

アセットマネジメント技術の研究・開発(長期研修)

3. 施工品質向上(技プロ)

1. 維持管理マニュアルに基づく維持管理作業/補修作業の導入・定着

2. 維持管理マニュアルに基づく維持管理・補修作業の普及/展開(国別/課題別研修)

技術協力プロ

ジェクトで対応

更なる対応が

必要

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2.JICAの道路分野の取組

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3.SIPインフラとの連携(道路AM)

日本政府SIP(戦略的イノベーション・プログラム)で実施中のインフラ維持管理・更新・マネジメント技術の研究開発の中から途上国での実装が期待される研究開発の研究者と「道路アセットマネジメント 」(道路AM)への協力に関する覚書を締結(2017年10月23日)我が国最先端の技術に基づいた指導・助言体制(道路アセットマネジメントプラットフォーム)を確立(SIPインフラ連携は土木学会に承継)

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開発の現場での経験

重層的・多層的アプローチ• 技術協力プロジェクト

(20か国で実施)• 円借款・無償による道路

の新設・更新• 研修・招聘事業

【道路ネットワークの整備】

【道路行政能力の向上】中核人材の育成

ラオスの事例

【維持管理の担い手の育成】

9号線の補修 第2メコン国際橋架橋事業

【地方自治体】

日本の技術・経験・歴史の発信• 道路ネットワーク発展の歴史• 日本の教訓と対策• 発展を支えた道路行政• 新規建設から維持管理の時代へ• 道路インフラの老朽化とその対策

【産学官の取り組み】

【道路行政】

日本の開発経験

国内の担い手

9

新たな“知”の創造 ~日本型ベストモデルの創出~

“知”の集約と強化

留学生

研修・招聘

道路アセットマネジメントの知見を有する

企業・団体

3.SIPインフラとの連携(道路AM)

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知見蓄積

国別研修

N国

全国展開

技プロ

長期研修

技術開発

招聘

技術紹介

国別研修

B国

全国展開

技プロ

長期研修

技術開発

招聘

技術紹介

長期研修特別プログラム「道路アセットマネジメント」

課題別研修「アセットマネジメント技術(道路セクター)」

a大学

A国研修員

A研究者

C国研修員

N国研修員

B研究者

b大学

B国研修員

C研究者

C国研修員

m大学

N国研修員

X研究者

c大学

A国研修員

F研究者

継続的な人材育成

参加

国別研修

A国

全国展開

技プロ

長期研修

技術開発

国別研修

C国

全国展開

技プロ

長期研修

技術開発

道路アセットマネジメントプログラムのモニタリング 長期研修員の研究状況のモニタリング

課題別研修の企画・実施

特別プログラムの企画・実施

参加

日本の取組状況・最新技術の紹介

日本の経験(背景・特徴等)

参加

参加

情報発信

技プロ成果・経験の集約・蓄積 アセットマネジメント技術の研究開発・実装経験の集約・蓄積

連携

他援助機関の動向確認・打ち込み

国内支援委員会

インフラメンテナンス国民会議海外市場展開フォーラム

SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術

連携覚書の締結

SIPインフラ研究大学• 東京大学• 北海道大学• 長崎大学• 京都大学• 大阪大学• 金沢大学• 金沢工業大学• 岐阜大学• 琉球大学• 愛媛大学• 東北大学

・・

プラットフォーム事務局(JICA)

道路アセットマネジメントプラットフォーム

3.SIPインフラとの連携(道路AM)

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3.SIPインフラとの連携(道路AM)

ザンビア国 橋梁維持管理能力向上プロジェクトフェーズ2(2019年3月~2023年2月予定)

道路開発庁(Road Development Agency:RDA)の継続的な技術者育成が課題 ⇒ 岐阜大学のME養成の取組を紹介

• ザンビア大学(RDAと技術者育成協定を締結済)内に橋梁維持管理技術者養成講座を立ち上げ、ザンビア大学がRDAを含めた技術者育成を担っていく体制構築をプロジェクト活動の1つとした。

• 岐阜大学のME養成講座のノウハウをザンビア大学に伝承、ザンビア大学による持続的な技術者育成の実現を目指す。

• 岐阜大学は2019年1月30日にザンビア大学と交流協定を締結予定

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3.SIPインフラとの連携(道路AM)長期研修員(留学生)受入状況(2018年12月末時点)

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項目 研究テーマ 研究機関コンサルタント向け技術紹介セミナー

JICAプロジェクトでの実装

点検・モニタリング・診断技術

舗装と盛土構造の点検・診断自動化技術の開発 岐阜大学 実施済

点検・モニタリング・診断技術

インフラモニタリングのための振動可視化レーダーの開発アルウェットテクノロジー

実施済

点検・モニタリング・診断技術

高速走行型非接触レーダーによるトンネル覆工の内部欠陥点検技術と統合型診断システムの開発

パシフィックコンサルタンツ

実施済

点検・モニタリング・診断技術

空港管理車両を活用した簡易舗装路面点検システムの研究開発 東京大学 実施済

点検・モニタリング・診断技術

橋梁点検ロボットカメラ等機器を用いたモニタリングシステムの創生

三井住友建設 実施済 バングラデシュ

点検・モニタリング・診断技術

省電力化を図ったワイヤレスセンサによる橋梁の継続的遠隔モニタリングシステムの現場実証

オムロンソーシアルソリューションズ

実施済

点検・モニタリング・診断技術

傾斜センサー付き打込み式水位計による表層崩壊の予測・検知方法の実証実験

応用地質 実施済

点検・モニタリング・診断技術

多点傾斜変位と土壌水分の常時監視による斜面崩壊早期警報システムの研究開発

中央開発 実施済

点検・モニタリング・診断技術

モニタリング技術の活用による維持管理業務の高度化・効率化モニタリングシステム技術研究組合

実施済

構造材料・劣化機構・補修・補強技術

インフラ構造材料研究拠点の構築による構造物劣化機構の解明と効率的維持管理技術の開発

物質・材料研究機構

情報・通信技術インフラ予防保全のための大規模センサ情報統合に基づく路面・橋梁スクリーニング技術の研究開発と社会実装

JIPテクノサイエンスカンボジア、ケニア

情報・通信技術インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤の研究開発

国立情報学研究所 2月7日

ロボット技術 自在適応桁で支えられる橋梁点検ロボットシステムの研究開発 ハイボット 実施済

ロボット技術二輪型マルチコプタを用いたジオタグ付近接画像を取得可能な橋梁点検支援ロボットシステムの研究開発

富士通

アセットマネジメント技術

道路インフラマネジメントサイクルの展開と国内外への実装を目指した統括的研究

東京大学

アセットマネジメント技術

コンクリート橋の早期劣化機構の解明と材料・構造性能評価に基づくトータルマネジメントシステムの開発

金沢大学

アセットマネジメント技術

東北インフラ・マネジメント・プラットフォームの構築と展開 東北大学

アセットマネジメント技術

使いたくなるSIP維持管理技術のMEネットワークによる実装 岐阜大学 実施済

アセットマネジメント技術

重大事故リスクに着目した地方自治体支援システムの開発 愛媛大学

アセットマネジメント技術

インフラ維持管理に向けた革新的先端技術の社会実装の研究開発 長崎大学

アセットマネジメント技術

亜熱帯島嶼に適した橋梁維持管理技術の開発と診断ドクター育成 琉球大学

21の研究開発テーマの研究者と意見交換を実施(2018年12月末時点)

3.SIPインフラとの連携(道路AM)

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4.教訓・今後の展望

途上国での道路アセットマネジメントの定着を図るためには、単発で技術協力プロジェクトを実施するのではなく、中長期にわたるプログラム的支援計画に基づき、各国の定着度/達成度を定量的に図っていく必要あり。

パキスタン、ケニア、エチオピアをモデルケースとしてアセットマネジメント定着に向けた支援計画案の策定、定着度/達成度の評価を実施中。

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4.教訓・今後の展望本邦技術活用事例

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4.教訓・今後の展望本邦技術活用事例

フィリピン技術協力プロジェクトの中で過去の日本のODA案件で建設した橋梁2橋で試行的に実施

作業概要:橋梁空撮及び3次元モデル作成と3次元管理台帳への登録作業実施時期:2018年11月5日~2018年11月16日

PC箱桁橋 橋長350m(100+150+100)橋脚高75m建設年:2009年点検課題:

橋脚・箱桁外部の状況把握困難

鋼トラス/鋼桁橋橋長2000m(メイントラス416m)

建設年:1972年点検課題:

トラス桁・橋下面の状況把握困難

アガスアガス橋サンファニコ橋

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4.教訓・今後の展望本邦技術活用事例

損傷箇所写真と3Dモデル上の位置を紐づける3次元管理台帳システムを作成中。

プロジェクト終了後の普及・定着を図るために、コストを抑えた解像度(重大な損傷が確認できるレベル)で実施。重大な損傷は確認されなかった。課題:確認できる損傷レベル(クラック幅○㎜)とコストのバランス、実施頻度(○年毎)の検討

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日本の開発課題への貢献

リバース・イノベーション(Co-Innovation)

日本の開発現場途上国の開発現場

途上国人材も日本の開発の担い手へ

日本で開発された技術・知識を途上国の開発現場へ

途上国で普及・発展させた技術・知識を日本の開発現場へ

4.教訓・今後の展望

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途上国の開発現場から日本の開発現場へそして、再び途上国の開発現場へ

(本州四国連絡高速道路株式会社ホームページより)

マタディ橋の経験が本四連絡橋へ

本四連絡橋の経験が第二ボスポラス橋へ

コンゴ民主共和国・マタディ橋

日本・本州四国連絡橋

トルコ・第二ボスポラス橋

4.教訓・今後の展望

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ご清聴ありがとうございました。