高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥 インフル...

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畜産第1372号 平成20年10月9日 一部改正 畜産第3093号 平成23年3月30日 一部改正 平成23年10月5日 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥 インフルエンザ防疫対応マニュアル (第3版) 北 海 道

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Page 1: 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥 インフル …...(HPAI:半径3km以内、LPAI:半径1km以 内) 発生状況、疫学的背景等を考慮、農水省と協議

畜 産 第 1 3 7 2 号

平成20年10月9日

一部改正

畜 産 第 3 0 9 3 号

平成23年3月30日

一部改正

畜産第1702 号

平成23年10月5日

高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥

インフルエンザ防疫対応マニュアル

(第3版)

北 海 道

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「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥イン

フルエンザ防疫対応マニュアル(第3版)」

の構成

●高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ防

疫の概要(フローチャート)

●第1章 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフル

エンザマニュアル総説

●第2章 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフル

エンザ防疫マニュアル各論

●第3章 関係部局の役割

●参 考 資 料

●高病原性鳥インフルエンザ様式集

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 ・届出内容の記録、届出受理 ・通報者への指示(消毒、待機、現地到着予定時刻等)

 ・家畜保健衛生所長が家畜防疫員に立入検査を指示 ・死亡羽数の推移確認 ・簡易検査の実施

 ・病性鑑定のための採材 ・家きん、物品等の移動を制限(法第32条1項) ・当該市町村へ病性鑑定経過を連絡 ・発生農場の関連場所や周辺農場の戸数、頭数確認 ・飼養家きんの過去21日間の移動、出入りする人・車両の巡回範囲、現地疫学調査を報告 ・防疫対策本部の設置準備、死体処理方法の検討

 ・公示、報告、通報(法第13条)  ・北海道高病原性鳥インフルエンザ対策本部 ・生産者、関係者への情報の周知  ・○○振興局高病原性鳥インフルエンザ対策本部(発生振興局) ・道は、警察本部、食品衛生部局、市町村、関係団体に協力を依頼  ・○○市町村高病原性鳥インフルエンザ対策本部(発生市町村) ・家畜防疫員等の人員確保(必要に応じ法48条の2)

 ・所有者への説明(病性、防疫、法の概要等)  ・生きた家きん、家きん卵の移動禁止  ・生きた家きん、家きん卵、飼養器具、敷料、飼料、 ・通行制限又は遮断の掲示、広報  ・飼養器具、敷料、飼料、排せつ物、死体等の移動禁止  排せつ物、死体等の灰移出制限区域外への移動禁止 ・ウイルス汚染のおそれのある全物品の消毒等  ・飼養家きんの死亡羽数等の報告(毎日)  (卵等の出荷については農水省と協議の上、再開可能) ・農場出入口及び農場周辺消毒ポイントの設置  ・食鳥処理場、GPセンター、ふ卵場の事業停止  ・飼養家きんの死亡羽数等の報告(毎日) ・衛生害虫、ネズミの駆除(殺虫剤、殺鼠剤)  (一定の条件を確認して再開可能)  ・品評会等の催物の開催中止

 ・品評会等の催物の開催中止  ・報道関係、運送業者への連絡等 ・と殺指示書(法第16条)  ・報道関係、運送業者への連絡等 ・評価、殺処分(発生家きん舎を優先) ・所有者が時間内に適切に実施することが困難な場合 家畜防疫員自ら実施  ・移動制限境界付近等に設置  ・移動制限境界付近等に設置

 ・対象:畜産関係車両(必要に応じ、一般車両)  ・対象:畜産関係車両(必要に応じ、一般車両) ・埋却指示(法第21条) ・所有者が時間内に適切に実施することが困難な場合 家畜防疫員自ら実施  ・病性判定後、原則24時間以内に農場への立入検査  ・病性判定後、原則24時間以内に農場への立入検査

 ・臨床検査の他、ウイルス分離、血清抗体検査を実施  ・臨床検査の他、ウイルス分離・血清抗体検査を実施 ・汚染物品処理後の家きん舎等の消毒(法第15条) (次亜塩素酸Na、消石灰、逆性石けん等)  ・PCRまたはリアルタイムPCR ・衛生害虫、ネズミの駆除(殺虫剤、殺鼠剤)

(約1週間後)

 ・全ての防疫措置完了から10日後以降に実施 ・臨床検査の他、ウイルス分離・血清抗体検査を実施

(約1週間後)

 ・(LPAI)発生状況確認検査で全て陰性を確認 ・(HPAI)清浄性確認検査で全て陰性を確認

 ・清浄性確認検査で全て陰性を確認 ・発生農場の防疫措置完了後21日経過

 ・家きん舎の床、壁等のウイルス分離検査 ・モニター家きんの導入、ウイルス分離、血清抗体検査

・疑似患畜(患畜または抗体検査、ウイルス分離、PCRの結果から疑似患畜と判断された家きんと病性判定日から過去7日間以内に接触したことが明らかなもの、またはそれ以前の接触でも患畜となるおそれがあると判断されたもの)が飼養されていた農場で飼養されている家きん

消毒(1回目)

・調査期間:病性判定日から少なくとも21日間(LPAIでは180日間)遡った期間・調査対象:家きん、人(獣医師、農場指導員、家きんに触れる者等)、車両(集卵車、飼料運搬車、死亡鳥回収車、たい肥運搬車等)の出入り

疫学関連家きん

・以下を疫学関連家きんとし、移動の禁止(法第32条第1項)、臨床症状の観察、患畜等との接触後14日経過後に血清抗体検査を行う。

・病性判定日から遡って過去8日以上21日以内に患畜と接触した家きん・病性判定日から遡って過去21日以内に疑似患畜(臨床症状を呈していたもの)と接触した家きん・病性判定日から遡って過去21日以内に発生農場を出入りした人、物、車両がその出入りした日から7日以内に出入りした他の農場等で飼養されている家き

移動の制限(法第32条1項)、家畜集合施設の開設等の制限(法第33条)、ふ卵等の制限(法第34条)、死亡羽数等の報告(法第52条)

搬出制限区域(HPAI:半径10km以内、LPAI:半径5km以

内) 発生状況、疫学的背景等を考慮、農水省と協議

家きん再導入のための検査

移動制限解除

搬出制限解除消毒(3回目)

周知

防疫措置完了

発生農場での疫学調査の実施

清浄性確認検査(2回目)

発生状況確認検査(1回目)

発生状況確認検査(LPAI発生時のみ)

消毒ポイント設置消毒ポイント設置

消毒(2回目)

(家きん卵等出荷検査)

発生農場周辺の通行の制限又は遮断(法第15条、72時間以内)

高病原性鳥インフルエンザ等の患畜の決定 対策本部の設置

周知

患畜、疑似患畜のと殺

患畜、疑似患畜、汚染物品の焼却、埋却

緊急措置

異常家きん発生農場

異常家畜の届出

立入検査

高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ防疫の概要(フローチャート)

鳥インフルエンザを疑う症例

高病原性鳥インフルエンザ等発生農場

移動制限区域(HPAI:半径3km以内、LPAI:半径1km以

内) 発生状況、疫学的背景等を考慮、農水省と協議

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第1章

高病原性鳥インフルエンザ及び

低病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル

総説

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1-1

第1章 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ防疫

マニュアル総説

目次

I 目的及び防疫方針 ........................................................ 3

II 通常時の防疫 ........................................................... 4

III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置 ........................... 13

IV 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ診断後の措置 ...... 18

V 発生農場の防疫 ......................................................... 19

VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限 ...................... 25

VII 移動制限区域等における防疫指導 ....................................... 30

VIII 疫学的関連のある農場における防疫 .................................... 31

IX 清浄性確認のための検査 ................................................ 32

X 食鳥処理場等で発生した時の防疫措置 ..................................... 33

XI 血清抗体検査のみが陽性となった場合の防疫措置 ................... 35

XII ワクチン ............................................................ 36

XIII 野鳥等で感染が確認された場合の防疫措置 ............................. 37

XIV 家きんの再導入 ....................................................... 38

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(参考)

本マニュアルで使用する主な略称及び用語

1 法省令等

法:家畜伝染病予防法(昭和26年5月31日法律第166号)

施行規則:家畜伝染病予防法施行規則(昭和26年5月31日農林省令第35号)

飼養衛生管理基準:食品の安全性確保のため、家畜伝染病予防法に基づき家畜(牛、めん羊、山

羊、水牛、鹿、豚、いのしし、鶏その他家きん、馬)の所有者が遵守すべき飼

養管理方法に関する基準(平成16年12月1日施行)

防疫指針:高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防

疫指針(平成16年11月18日農林水産大臣公表)

廃掃法:廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年12月25日法律第137号)

食鳥検査法:食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成2年6月29日法律第70号)

2 国や道などの機関

動物衛生課:農林水産省消費・安全局動物衛生課

動物衛生研究所:独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所

畜産振興課:北海道農政部食の安全推進局畜産振興課

総合振興局(振興局):北海道の広域行政を分担する機関。14カ所に設置されている。

家保:家畜保健衛生所

3 疾病に関する用語

HPAI、本病:高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza)

LPAI、本病:低病原性鳥インフルエンザ(Low Pathogenic Avian Influenza)

患畜等:本病の患畜又は疑似患畜[防疫指針第5の2]

発生農場:本病の患畜が確認された農場

疫学的関連のある農場:発生農場と疫学的関連のある農場

関係場所:農場や畜産関係施設

同一飼養管理農場:発生農場の管理者が日常の飼養管理を行っている農場

最終発生に係る防疫措置の完了日:最終発生農場と関係する家きん・物品の処分が完了し、関連

する農場・施設の第3回目の消毒が完了した日

制限物品:家きんの卵・飼養管理に必要な器材・飼料・排泄物等、本病の病原体をひろげるおそ

れのある物品

モニター家きん:清浄性確認のための家きん

家きん:鶏、あひる(合鴨を含む)、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥及び七面鳥

愛玩鳥:家きん以外の全ての飼育鳥

家きん等:家きんと愛玩鳥

防疫地図システム:北海道家畜防疫地図システム

HA:赤血球凝集性

OIE:国際獣疫事務局(L'Office international des épizooties)

ND:ニューカッスル病(Newcastle Disease)

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I 目的及び防疫方針

1-3

I 目的及び防疫方針

1 目的

我が国において高病原性鳥インフルエンザが平成 16 年1月に 79 年ぶりに発生し

たことを契機に、農林水産省から平成 16 年 11 月に「高病原性鳥インフルエンザに

関する特定家畜伝染病防疫指針」(以下、防疫指針)が公表された。その後、平成

17 年に、新たに鶏が感染しても明瞭な臨床症状を示さない低病原性鳥インフルエン

ザの発生や、さらに、平成 22 年度には、西日本を中心に9県 24 農場の家きんで発

生があり、約 185 万羽が淘汰されたほか、野鳥でも 16 道府県 60 羽で発生を見たと

ころであり、平成 23 年 10 月1日には防疫指針が大幅に改正された。

道では、高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザについて、道

内の清浄性を維持し、また万が一発生した場合には、迅速かつ的確な防疫対策を講

じることができるよう、庁内関係部局及び関係市町村等との連携・調整体制などの

対応を整備し、本病のまん延防止措置を図ることを目的として、このマニュアルを

作成する。

2 防疫方針

(1)本病の防疫措置は、「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエン

ザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(平成 16 年 11 月 18 日農林水産大臣公表)

に基づき実施する。

なお、その詳細にわたる作業については、本マニュアルにより行う。

(2)危機管理については、原則として副知事を本部長とした「北海道高病原性鳥イ

ンフルエンザ対策本部」で行うものとするが、多くの道民に健康への不安感を与

えることが予想される場合、又は、発生規模が大きく他都府県或いは自衛隊に応

援を必要とする場合、若しくは知事が必要と認めた場合には、知事を本部長とし、

全総合振興局(全振興局)で対応する。

(3)本病は、伝播力が極めて強く、鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほ

ろ鳥又は七面鳥(以下「家きん」という。)が感染した場合、その致死率が著し

く高いことから、本病発生時には殺処分及び移動制限等により撲滅を図り、常在

化を防止する。

(4)本病発生時には、国、道、市町村及び関係団体と連携し、迅速かつ徹底した防

疫措置を講じ、早期に終息を図る。

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II 通常時の防疫

1-4

II 通常時の防疫

高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ(以下、高病原性鳥イ

ンフルエンザ等)の発生防止と発生を想定した防疫体制を強化するため、以下に掲

げる情報の整備、調査等を実施し、海外等の発生状況に対応した侵入防止対策を図

るとともに、防疫演習を通じ、家畜保健衛生所(以下「家保」という。)、関係機

関・団体の連携を強化し、万一の発生時の迅速なまん延防止対策に資する。また、

家きんの所有者自らも高病原性鳥インフルエンザ等の伝染病に係る正確な情報収集

と衛生管理を強化し、関係機関・団体と一体となり通常時の危機管理を推進する。

情報の収集と整備

1 高病原性鳥インフルエンザ等の発生状況の把握と周知

家保は、農林水産省等から鳥インフルエンザの発生情報の収集に努めるとともに、

緊急連絡網等のあらかじめ準備した情報提供網を活用し、獣医師、関係機関、家き

んの所有者等への情報提供に努める。

2 地理的分布の把握

家保は、家きん等飼養農場、ふ卵場、食鳥処理場(認定小規模食鳥処理場も含む)、

GPセンター、化製処理場、飼料関係施設等の情報を整備するとともに、防疫地図

システム等を活用し、所在地を地図上にプロットし、発生時の円滑な防疫に資する。

3 情報の収集と整備

家きん飼養場所等について、その所在地、連絡先、家きんの飼養羽数、生産物の

出荷先(鶏卵業者、食鳥処理場等)、家きんの導入元、診療(管理)獣医師、飼料

購入元、薬品購入元等を記載した家きん等飼養台帳を整備する。

鶏卵業者、食鳥処理場など養鶏関連施設については、所在地、連絡先、配送又は

集荷地域名等を記載した台帳を整備する。

清浄性の維持・確認

1 家保、家きんの所有者、関係団体との連携による異常鶏の早期発見

家保は、家畜伝染病発生時の対応を検討するため連絡会議等を開催し、家きんの

所有者、関係団体、民間獣医師、公衆衛生関係者、市町村担当者等との連携を図り

つつ、家きんの伝染性疾病の発生状況、防疫対策等についての情報提供に努め、異

常鶏の早期発見について協力を依頼する。また、法第 52 条による報告徴求の結果を

もとに、異常家きん等の早期発見に努める。

2 立入検査

家保は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、原則年1回以上の法第 51 条の規定に

基づく立入検査を実施する。また、本病の発生を迅速に発見する目的で行われてい

るモニタリング検査や飼養衛生管理基準の遵守事項の指導、家畜衛生対策事業など

で農場に立ち入る際は、高病原性鳥インフルエンザ等を念頭において臨床検査を実

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II 通常時の防疫

1-5

施するとともに、家きん等飼養台帳の写し、記録簿、消毒薬、採材用具等を持参す

る。養鶏農場の出入りに際しては、衣類、靴、検査器具、車両の消毒を実施し、当

該農場に入場時の規定が定められている場合はこれを遵守する。

臨床検査の実施に当たっての留意事項

臨床観察では家きん全体の状況を観察する。

1 元気、食欲、挙動、呼吸の状態、糞便、同一ロットの斉一性、産卵状況、死

亡率の推移等で通常以上の頻度で異常が出現していないかどうかを飼養者の報

告をもとに観察する。

2 異常家きん等

次に示すような異常を示す家きん等が発見された場合、動物衛生課に報告す

る。

(1)家きんの所有者又は獣医師から、同一の家きん舎内において、1日の家き

んの死亡率が対象期間(当日から遡って 21 日間(当該期間中に家畜の伝染

性疾病、家きんの飼養管理のための設備の故障、気温の急激な変化、火災、

風水害その他の非常災害等家きんの死亡率の上昇の原因となる特段の事情

の在した日又は家きんの出荷等により家きん舎が空となっていた日が含ま

れる場合にあっては、これらの日を除く通算 21 日間)をいう。以下同じ。)

における平均の家きんの死亡率の2倍以上となっている旨の届出を受けた

場合。ただし、家きんの飼養管理のための設備の故障、気温の急激な変化、

火災、風水害その他の非常災害等高病原性鳥インフルエンザ以外の事情によ

るものであることが明らかな場合は、この限りではない。

(2)民間獣医師等が行った市販の簡易検査キットを用いた抗原検査(以下「簡

易検査」という。)や血清抗体検査で陽性となった旨の届出を受けた場合

(3)(1)及び(2)のほか、次に掲げる場合など高病原性鳥インフルエンザ

ウイルス又は低病原性鳥インフルエンザウイルスの感染の疑いを否定でき

ない家きんがいる旨の通報を受けた場合

・鶏冠、肉垂等のチアノーゼ、沈うつ、産卵率の低下等の症状を呈している家

きんがいる場合

・5羽以上の家きんが、まとまって死亡している場合(家きんの飼養管理のた

めの設備の故障、気温の急激な変化、火災、風水害その他の非常災害等高病

原性鳥インフルエンザ以外の事情によるものであることが明らかな場合を

除く。)又はまとまってうずくまっている場合

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II 通常時の防疫

1-6

高病原性鳥インフルエンザの場合

1 疫学的特徴

・日齢に関係なく発生する。

・本病に罹患した家きん群等(家きん、人、車両、器具等)との接触により発生する。

2 主な臨床症状

家きんの種類やウイルス株で症状やウイルスの排泄量は異なるが、鶏や七面鳥群では突

然の死亡率の上昇があり、高い場合には100%に達する。

我が国の発生例では、突然死、死亡羽数の増加、嗜眠(眠るような格好で死亡)、うず

くまりを特徴とし、死亡鶏の外貌は鶏冠鮮紅色、クロアカ粘膜の暗赤色などの特徴がみら

れた。また、2004年分離ウイルス(H5N1)の接種実験では、鶏は元気消失後、直ちに死亡

し、明らかな肉眼病変は認められていない。

<主な症状>

突然の死亡、呼吸器症状、顔面、肉冠若しくは脚部の浮腫又は出血斑若しくはチアノー

ゼ、産卵率低下又は産卵停止、神経症状(うずくまる、嗜眠、振せん又は羽毛の逆立等)、

下痢、飼料摂取量・飲水量の低下

3 剖検所見

・病変は多様

・諸臓器又は筋肉若しくは皮下の充出血又は壊死

3 定点モニタリング

家保は、野鳥の飛来地周辺に所在する農場、開放型の飼養している農場などの感

染リスクが他と比較して高い環境にある管内家きん飼養農場から1戸以上を選択

し、毎月1回、調査を実施する。調査は、臨床検査、ウイルス分離及び血清抗体検

査によるものとし、臨床検査時に異常の認められた家きんを優先して採材する。

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II 通常時の防疫

1-7

4 強化モニタリング

家保は、法第5条第1項の規定により、100 羽以上(だちょうについては 10 羽以

上)を飼養する家きん飼養農場において渡り鳥の飛来状況を勘案して原則 10 月から

5月の年1回、検査を実施する。検査は臨床検査並びに血清抗体検査による。

検査方法

1回の調査につき、10羽(6週齢以上)の家きんを選定し、抗体検査用として血清を、ウ

イルス分離用として気管スワブ及びクロアカスワブを採取する。

1 ウイルス分離検査(必要に応じて実施)

発育鶏卵を用い、常法によりウイルス分離を実施する。赤血球凝集性(HA)を有するウ

イルスが分離された場合には、ニューカッスル病ウイルス血清との交差赤血球凝集抑制反応

試験(HI試験)を行い、その結果ニューカッスル病ウイルスを否定したものを動物衛生研

究所に連絡の上、必要な材料を送付する。

2 血清抗体検査

検査は、エライザ法による検査を行い、エライザ法で陽性が確認されたときは、同一血清

について、寒天ゲル内沈降反応による検査を行う。鶏以外の家きんを検査する場合には、寒

天ゲル内沈降反応による検査を行う。

3 再検査

ウイルスが分離されずに血清抗体のみが陽性の場合は、再検査を実施する。再検査は、飼

養羽数1,000羽以上の場合、30羽以上とし、1,000羽未満の場合は、畜産振興課に協議後、羽

数を決定し、上記1、2の検査を実施する。

5 農場における衛生管理

家きんの所有者は、飼養衛生管理基準の遵守を徹底し、特に野鳥等の家きん舎等

への侵入及び給水源への接近を防止、消毒の徹底、関係者以外の農場への出入り制

限等を行い、発生予防に努める。

また、常に本病の発生を疑い、飼養家きんの健康観察に努め、本病を疑う症例を

発見した場合は、死亡家きん等の羽数の多少に係わらず、直ちにその旨を家保に通

報する。

衛生衛生管理基準(鶏その他家きん)

1 家畜防疫に関する最新情報の把握等

自らが飼養する家きんが感染する伝染性疾病の発生の予防及びまん延の防止に

関し、家畜保健衛生所から提供される情報を必ず確認し、家畜保健衛生所の指導

等に従うこと。家畜保健衛生所等が開催する家畜衛生に関する講習会への参加、

農林水産省のホームページの閲覧等を通じて、家畜防疫に関する情報を積極的に

把握すること。また、関係法令を遵守するとともに、家畜保健衛生所が行う検査

を受けること。

2 衛生管理区域の設定

自らの農場を、衛生管理区域とそれ以外の区域とに分け、両区域の境界が分か

るようにすること。

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II 通常時の防疫

1-8

3 衛生管理区域への病原体の持込み防止

衛生管理区域の出入口の数を必要最小限とすること。必要のない者を衛生管理

区域に立ち入らせないようにするとともに、衛生管理区域に立ち入った者が飼養

する家きんに接触する機会を最小限とするよう、当該出入口付近への看板の設置

その他の必要な措置を講ずること。ただし、観光牧場その他の不特定かつ多数の

者が立ち入ることが想定される施設において、当該出入口における手指及び靴の

消毒など、不特定かつ多数の者が衛生管理区域に出入りする際の病原体の持込み

及び持出しを防止するための規則をあらかじめ作成し、家畜防疫員が適切なもの

であることを確認した場合は、この限りではない。

4 衛生管理区域に立ち入る車両の消毒

衛生管理区域の出入口付近に消毒設備を設置し、車両を入れる者に対し、衛生

管理区域に出入りする際に当該消毒設備を利用して当該車両の消毒をさせること

(その者が当該消毒設備と同等以上の効果を有する消毒設備を携行し、当該出入

口付近において当該消毒設備を利用して消毒をする場合を除く。)。

5 衛生管理区域及び家きん舎に立ち入る者の消毒

衛生管理区域及び家きん舎の出入口付近に消毒設備を設置し、立ち入る者に対

し、衛生管理区域及び家きん舎に出入りする際に当該消毒設備を利用して手指の

洗浄又は消毒及び靴の消毒をさせること(その者が当該消毒設備と同等以上の効

果を有する消毒設備を携行し、当該出入口付近において当該消毒設備を利用して

消毒をする場合を除く。)。

6 衛生管理区域専用の衣服及び靴の設置及び使用

衛生管理区域専用の衣服(衛生管理区域に立ち入る際に着用している衣服の上

から着用するものを含む。)及び靴(衛生管理区域に立ち入る際に着用している

靴の上から着用するブーツカバーを含む。)を設置するとともに、家きん舎ごと

の専用の靴(家きん舎に立ち入る際に着用している靴の上から着用するブーツカ

バーを含む。)を設置し、衛生管理区域及び家きん舎に立ち入る者に対し、これ

らを確実に着用させること(その者が当該衛生管理区域専用の衣服及び靴並びに

当該家きん舎ごとの専用の靴を持参し、これらを着用する場合を除く。)。

7 他の畜産関係施設等に立ち入った者等が衛生管理区域へ立ち入る際の措置

当日に他の畜産関係施設等に立ち入った者(家畜防疫員、獣医師、飼料運搬業

者その他の畜産関係者を除く。)及び過去一週間以内に海外から入国し、又は帰

国した者を、必要がある場合を除き、衛生管理区域に立ち入らせないようにする

こと。

8 他の畜産関係施設等で使用した物品等を衛生管理区域へ持ち込む際の措置

他の畜産関係施設等で使用し、又は使用したおそれがある物品であって、飼養

する家きん若しくはその死体又は当該家きんが生産した卵に直接接触するものを

衛生管理区域に持ち込む場合には、洗浄又は消毒をすること。家きんの飼養管理

に必要のない物品を家きん舎に持ち込まないこと。

9 海外で使用した衣服等を衛生管理区域へ持ち込む際の措置

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II 通常時の防疫

1-9

過去二月以内に海外で使用した衣服及び靴を衛生管理区域に持ち込まないこ

と。やむを得ず持ち込む場合には、事前に洗浄、消毒その他の措置を講ずること。

10 給餌設備、給水設備等への野生動物の排せつ物等の混入の防止

家きん舎の給餌設備及び給水設備並びに飼料の保管場所にねずみ、野鳥等の野

生動物の排せつ物等が混入しないよう必要な措置を講じること。

11 飲用水の消毒

野生動物の排せつ物等が混入するおそれがある水を飲用水として飼養する家き

んに給与する場合には、これを消毒をすること。

12 野生動物の侵入防止のためのネット等の設置、点検及び修繕

野鳥等の野生動物の家きん舎への侵入を防止することができる防鳥ネット(網

目の大きさが二センチメートル以下のもの又はこれと同等の効果を有すると認め

られるものに限る。)その他の設備を設置するとともに、定期的に当該設備の破

損状況を確認し、破損がある場合には、遅滞なくその破損箇所を修繕すること。

13 ねずみ及び害虫の駆除

家きん舎の屋根又は壁面に破損がある場合には、遅滞なくその破損箇所を修繕

するとともに、ねずみ及びはえ等の害虫の駆除を行うために必要な措置を講ずる

こと。

14 家きん舎等及び器具の定期的な清掃又は消毒等

家きん舎その他の衛生管理区域内にある施設及び器具の清掃又は消毒を定期的

にすること。

15 空舎又は空ケージの清掃及び消毒

家きんの出荷又は移動により家きん舎又はケージ(家きんを飼養するためのか

ごをいう。)が空になった場合には、清掃及び消毒をすること。

16 密飼いの防止

家きんの健康に悪影響を及ぼすような過密な状態で家きんを飼養しないこと。

17 特定症状が確認された場合の早期通報並びに出荷及び移動の停止

飼養する家きんが特定症状を呈していることを発見したときは、直ちに家畜保

健衛生所に通報すること。また、農場からの家きん及びその死体、畜産物並びに

排せつ物の出荷及び移動を行わないこと。必要がないにもかかわらず、衛生管理

区域内にある物品を衛生管理区域外に持ち出さないこと

18 特定症状以外の異状が確認された場合の出荷及び移動の停止

飼養する家きんに特定症状以外の異状であって、家きんの死亡率の急激な上昇

又は同様の症状を呈している家きんの増加が確認された場合(その原因が家畜の

伝染性疾病によるものでないことが明らかである場合を除く。)には、直ち獣医

師の診療若しくは指導又は家畜保健衛生所の指導を受けるとともに、当該家きん

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II 通常時の防疫

1-10

が監視伝染病にかかっていないことが確認されるまでの間、農場からの家きんの

出荷及び移動を行わないこと。当該家きんが監視伝染病にかかっていることが確

認された場合には、家畜保健衛生所の指導に従うこと。また、飼養する家きんに

その他の特定症状以外の異状が確認された場合には、速やかに獣医師の診療を受

け、又は指導を求めること。

19 毎日の健康観察

毎日、飼養する家きんの健康観察を行うこと。

20 家きんを導入する際の健康観察等

他の農場等から家きんを導入する場合には、導入元の農場等における疾病の発

生状況、導入する家きんの健康状態の確認等により健康な家きんを導入すること。

導入した家きんに家畜の伝染性疾病にかかっている可能性のある異状がないこと

を確認するまでの間、他の家きんと直接接触させないようにすること。

21 家きんの出荷又は移動時の健康観察

家きんの出荷又は移動を行う場合には、出荷又は移動の直前に当該家きんの健

康状態を確認すること。

22 埋却等の準備

埋却の用に供する土地(成鶏(日齢が満百五十日以上の鶏をいう。)百羽当た

り〇・七平方メートルを標準とする。)の確保又は焼却若しくは化製のための準

備措置を講ずること。

23 感染ルート等の早期特定のための記録の作成及び保存

次に掲げる事項に関する記録を作成し、少なくとも一年間保存すること。

(1)衛生管理区域に立ち入った者(家きんの所有者及び従業員を除く。)の氏名

及び住所又は所属並びに当該衛生管理区域への立入りの年月日及びその目的

(目的にあっては、所属等から明らかな場合を除く。)並びに当該立ち入った

者が過去一週間以内に海外から入国し、又は帰国した場合にあっては過去一週

間以内に滞在した全ての国又は地域名及び当該国又は地域における畜産関係施

設等への立入りの有無。ただし、観光牧場その他の不特定かつ多数の者が立ち

入ることが想定される施設において、衛生管理区域の出入口における手指及び

靴の消毒など、不特定かつ多数の者が衛生管理区域に出入りする際の病原体の

持込み及び持出しを防止するための規則をあらかじめ作成し、家畜防疫員が適

切なものであることを確認した場合は、この限りでない。

(2)家きんの所有者及び従業員が海外に渡航した場合には、その滞在期間及び国

又は地域名

(3)導入した家きんの種類、羽数、健康状態、導入元の農場等の名称及び導入の

年月日

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II 通常時の防疫

1-11

(4)出荷又は移動を行った家きんの種類、羽数、健康状態、出荷又は移動先の農

場等の名称及び出荷又は移動の年月日

(5)飼養する家きんの異状の有無及び産卵個数又は産卵重量並びに異状がある場

合にあってはその症状、羽数、日齢及び当該異状が確認された農場内の場所

24 獣医師等の健康管理指導

大規模所有者は、農場ごとに、家畜保健衛生所と緊密に連絡を行っている担当

の獣医師又は診療施設を定め、定期的に当該獣医師又は診療施設から当該農場に

おいて飼養する家きんの健康管理について指導を受けること。

25 通報ルールの作成等

大規模所有者は、従業員が飼養する家きんが特定症状を呈していることを発見

したときにおいて、当該大規模所有者(当該大規模所有者以外に管理者がある場

合にあっては、当該大規模所有者及び管理者)の許可を得ず、直ちに家畜保健衛

生所に通報することを規定したものを作成し、これを全従業員に周知徹底するこ

と。家畜の伝染性疾病の発生の予防及びまん延の防止に関する情報を全従業員に

周知徹底すること。

6 畜産関連施設における衛生管理

食鳥処理場、飼料関係施設等の養鶏関係施設に対して、車両消毒施設を設置し、

入退出時の消毒を実施するとともに、少なくとも過去 30 日間の搬入、配送農場名及

び車両運行記録を保管するよう指導する。また、施設の洗浄、消毒の徹底を庶務規

定等に明記するよう指導する。

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II 通常時の防疫

1-12

危機管理体制の整備

1 緊急連絡網の整備と家きん所有者等への連絡網の周知

異常家きんの早期発見、早期通報を促すため、家きん所有者、畜産関係団体、民

間獣医師、飼料販売業者、動物用医薬品販売業者、公衆衛生関係者等への情報提供

及び緊急連絡先の周知を行うとともに、道関係機関、市町村、畜産関係団体、飼料

関係業者、防疫資材販売業者、国への緊急連絡体制を整備する。

また、家きん死体処理施設の所在地、処理能力を確認する。

2 埋却場所の確保

万一の発生に備え、市町村と連携して家きん飼養農場毎に埋却場所の確保に努め、

埋却場所がない場合は国、道及び市町村有地も含め事前に検討する。なお、患畜・

疑似患畜の埋却は、施行規則第 29 条に基づき実施される場合は、廃掃法の適用除外

とされるが、死体や汚染物品等の埋却にあたっては、担当部局と十分協議を行う。

3 初動防疫の準備

家保は、危機管理体制の一環として、万一の発生に備えた家畜防疫員の役割分担

や、防疫資材の確保等を行い、発生時に初動防疫が円滑に行われるように準備する。

4 防疫演習の実施

道及び家保は、高病原性鳥インフルエンザ等が発生した場合を想定し、家きんの

所有者、獣医師、道関係機関、市町村、家畜伝染病自衛防疫組合、畜産関係団体、

食鳥処理場、飼料関係業者、化製処理業者等の参加を幅広く求め、緊急連絡体制や

発生時における迅速な防疫対応について防疫演習を実施し、まん延防止体制の調整、

周知、点検及び改善に努め、市町村等が行う防疫演習に協力する。

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III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

1-13

III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

通報時の対応 <第2章 II-1(P.3)を参照>

1 異常家きん発見の届出

家きんの所有者や獣医師等から高病原性鳥インフルエンザ等を疑う異常家きんを

発見した旨の届出があった場合は、届出事項について、発生農場の住所、氏名、飼

養羽数、発症羽数等、必要事項を異常家きん届出記録票(様式1)に基づいて聞き

取り、正確に記録する。なお、聞き取りは家きんの所有者台帳と照合しつつ、症状、

発症日齢、症状の初発時期、発症羽数、飼養羽数、家きんの移動状況、ワクチン接

種状況等をもれなく記載する。

なお、法第5条、第 31 条又は第 51 条の規定に基づく検査時に家畜防疫員が異常

家きんを発見した場合にあっても、これに準じて措置する。

2 通報者への指示・指導事項

(1)家きんの所有者等から通報があった場合

家保職員は、家きんの所有者に対し、農場内全ての家きん等の移動自粛を口頭

で指示するとともに、直ちに家畜防疫員が農場への立入検査を行うこと、現地到

着予定時刻を知らせる。

家保職員が到着までの間に農場出入口を1か所とし、人及び車両の入退出の制

限、衛生管理簿を整理するよう指導する。

(2)獣医師から通報があった場合

家保職員は、上記の指示・指導事項を家きんの所有者に伝達するよう獣医師に

対して依頼し、当該農場にとどまり家きん舎ごとに家きんの臨床症状を観察、記

録するよう依頼する。

異常家きんの病性鑑定が終了するまでの間は獣医師の他農場の出入りを自粛す

るよう要請するが、やむを得ない事情により農場を出る場合には、衣類の着替え、

手指、靴底及び車両の消毒等を確実に行い、結果が判明するまでは、家きんの飼

養施設に立ち入らないように依頼する。

3 初動防疫の実施に向けた準備

(1)家きん等飼養台帳による周辺農場及び関連農場の確認(位置、飼養羽数)

(2)高病原性鳥インフルエンザ対策本部の設置準備

(3)各班の担当責任者、実施担当者等をあらかじめ選定することとする。

(4)防疫資材の確認

4 畜産振興課への報告

届出を受けた家保職員は、家保所長に届出のあったことを報告する。家保所長は、

直ちに農場立入検査を行う検査班を編成し、現地に急行させる。

また、検査班と畜産振興課との間の連絡担当者を設置し、畜産振興課へ届出事項

を記入し、ファクシミリ等で送信するとともに、その概要、検査班到着予定時刻、

その後の連絡方法について電話で連絡する。

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III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

1-14

なお、総合振興局(振興局)管内の食検等食鳥検査を実施する機関並びに畜産関

係団体への連絡は家保が行い、他家保、国、畜産関係団体への連絡及び報告は畜産

振興課が行う。

5 畜産振興課の対応

患畜又は疑似患畜発生の場合を想定して、次の準備に着手する。

(1)家畜防疫員の待機

管轄家保以外の家保所長に対し、緊急時の連絡体制を確認する。

防疫対応の実施に支障が生じると想定される場合には法第 48 条の2の規定に

基づき他都府県知事に対して家畜防疫員の派遣の要請を検討する。

(2)初動防疫の実施に必要な準備

①病性鑑定実施体制の始動、確認。

②北海道高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部の設置準備。

農場到着後の対応 <第2章 II-2(P.3)、III-1(P.12)を参照>

1 農場への立ち入り

家畜防疫員は、防疫資材を携行し、農場の外に車両を駐車する。なお、家畜防疫

員による立入検査を行う際、高病原性鳥インフルエンザ等である場合を想定し、人

への感染及び病原体の散逸防止等の防疫措置に十分配慮する。

病性鑑定における留意事項

① 家畜防疫員は、臨床症状を示す家きん及び死亡した家きんを対象に、複数羽数を対象とした簡

易検査を行い、病性鑑定(ウイルス分離検査、血清抗体検査及び病理学的検査)に供する材料(気

管スワブ及びクロアカスワブ、血清並びに臓器等)を採取し、家保で病性鑑定を実施する。ただ

し、簡易検査で陽性又は同一の家きん舎内における1日の死亡率が過去3週間の平均値の2倍以上

になっている場合であることが確認され、臨床症状等から本病の発生が疑われる場合は、移動

の制限を行い、直ちに病性鑑定を実施する。

なお、鶏舎等に立ち入る場合は適切な個人感染防護具を着用するなど、必要な感染防御に努め

る。

② 家畜防疫員は、①以外の遺伝子検出検査等(以下「補助的検査」という)を実施する。

③ 病性鑑定のための剖検は、ウイルスの拡散を防止するため病性鑑定施設内で実施する。

④ 畜産振興課は、家保からの連絡があった時は、動物衛生課に随時連絡し、家保における病性鑑定

の結果、インフルエンザウイルスを疑うウイルスが分離された場合には、公衆衛生担当部局など関

係機関に連絡して関係部局間の連絡を密にするとともに、正確な情報の把握に努め、関係都府県及

び関係市町村にも連絡する。なお、ウイルス分離に先立ち、異常家きんの発生状況、補助的検査に

より本病が疑われる場合もこれと同様とする。

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III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

1-15

2 飼養家きんの臨床検査及び疫学情報の収集

飼養家きんの臨床検査及び少なくとも 21 日間(低病原性鳥インフルエンザにあっ

ては、180 日間)の家きんの移動や獣医師、飼料関係者等の人、飼養管理関係器材

等の物又は飼料運搬車等の車両が移動した農場等の疫学情報の収集を行い、必要が

あれば衛生管理記録簿を確認する。

3 陽性判定時に備えた準備

家畜防疫員が患畜となるおそれがあると判断した場合、農場の家きん舎等の配置、

周辺農場における家きんの飼養状況、家きんのと殺にあたる人員及び資材の確保、

死体の埋却地等の確保、消毒ポイントの設置場所、関係市町村への連絡を行い、当

該農場の家きん等の物品の移動を制限する。

4 家保及び畜産振興課の措置

家畜防疫員は、疫学情報及び臨床検査から高病原性鳥インフルエンザの患畜又は

疑似患畜であることが否定できない場合、病性鑑定材料の採取と病性鑑定施設への

運搬及び到着予定時間、疫学情報を家保に連絡し、家保は畜産振興課に連絡する。

畜産振興課は、法 32 条第1項の規定に基づき当該農場の家きん等の移動の制限、

家畜防疫員の待機、病性鑑定施設の準備(到着予定時刻)を指示する。家保は、防

疫に必要な人員や資材の確保について、総合振興局(振興局)と連携し、速やかに

準備を行うとともに、畜産振興課に報告する。

畜産振興課は、人員派遣や緊急予防接種が必要であると判断される場合を想定し、

届出農場、周辺農場の飼養羽数、患畜、疑似患畜羽数、処理方法及び能力、移動制

限区域内の農場戸数、飼養羽数について動物衛生課に報告する。

また、家畜飼養者や従業員等に対し、人への感染防止のための指導を行う。

患畜、疑似患畜等の範囲

1 高病原性鳥インフルエンザ

(1)患畜

ア 分離されたウイルスが病原性判定試験により病原性が高いと判断される

家きん

イ 遺伝子検査によりH5又はH7亜型に特異的な遺伝子が検出され、かつ、HA

領域の遺伝子解析により高病原性と判断される配列が検出された家きん

(2)疑似患畜

ア 患畜が確認された農場で飼養されている家きん

イ 死亡、チアノーゼ等の高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が疑

われる症状を示す家きんが確認された農場において飼養されており、か

つ、次のいずれかに該当する家きん

(ア)患畜又は疑似患畜(イ(ア)を除く。)に揚げる家きんに限る。)が確

認された農場と疫学的関連のある農場(当該患畜又は疑似患畜が確認さ

れた農場と同一の飼料運搬車等が出入りしている農場)で飼養されてお

り、簡易検査によりA 型インフルエンザウイルスの抗原が検出された家

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III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

1-16

きん

(イ)遺伝子検査によりH5又はH7亜型に特異的な遺伝子が検出された家きん

(ウ)分離されたウイルスについて、遺伝子検査でH5又はH7亜型に特異的な

遺伝子が検出され、又はHI試験でH5又はH7亜型であることが確認され

た家きん

(エ)血清抗体検査によりH5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルスに対す

る抗体が検出された家きん

ウ イに揚げる家きんが確認された農場において飼養されている家きん

エ 患畜又は疑似患畜(イに揚げる家きんに限る。)が確認された農場で家き

んの飼養管理に直接携わっている者が直接の飼養管理を行っている他の

農場において飼養されている家きん

オ 疫学調査の結果等により、患畜又は疑似患畜(イに揚げる家きんに限る。)

と判定した日(発症していた日が推定できる場合には、発症日。以下「病

性判定日」という。)から遡って7日目の日から現在までの間に当該患畜又

は疑似患畜と接触したことが明らかとなった家きん

カ 疫学調査の結果等により、病性判定日から遡って過去 7 日目の日前に患

畜又は疑似患畜(イに揚げる家きんに限る。)と接触したことが明らかと

なった家きんであって、家畜防疫員が患畜となるおそれがあると判 断 し

た家きん

2 低病原性鳥インフルエンザ

(1)患畜

分離されたウイルスがH5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルスであっ

て、病原性判定試験により病原性が低いと判断される家きん

(2)疑似患畜

ア 患畜が確認された農場で飼養されている家きん

イ 血清抗体検査でA型インフルエンザウイルスに対する抗体が検出された家

きんが確認された農場において、採材した検体についての遺伝子検査によ

りH5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルスに特異的な遺伝子が検出さ

れた家きん

ウ 分離されたウイルスについて、遺伝子検査でH5又はH7亜型に特異的な遺

伝子が検出され、又はHI試験でH5又はH7亜型であると確認された家きん

エ 血清抗体検査でH5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルスに対する抗体

が検出された家きんが確認された農場で飼養されており、抗体の陽転又は

抗体価の上昇が確認された家きん

オ イからエまでの家きんが確認された農場において飼養されている家きん

カ 患畜又は疑似患畜(イからエまでの家きんに限る。)が確認された農場で

家畜の飼養管理に直接携わっている者が直接の飼養管理を行っている他の

農場において飼養されている家きん

キ 疫学調査の結果等により、患畜又は疑似患畜(イからエまでの家きんに限

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III 異常家きん発見の届出から病性決定までの措置

1-17

る。)の病性判定日から遡って7日目の日から現在までの間に当該患畜又は疑

似患畜と接触したことが明らかとなった家きん

ク 疫学調査の結果等により、病性判定日から遡って7日目の日前に患畜又は

疑似患畜(イからエまでの家きんに限る。)と接触したことが明らかとなっ

た家きんであって、家畜防疫員が患畜となるおそれがあると判断した家き

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IV 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザ診断後の措置

1-18

IV 高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフ

ルエンザ診断後の措置

対策本部の設置と公表 <第2章 IV-1(P.26)を参照>

1 発表

(1)発表内容は、国、道、総合振興局(振興局)で調整する。

(2)発表に先立ち、発表の概要、対応方向等について、国と道、道と総合振興局(振

興局)で調整の上、道及び総合振興局(振興局)は関係機関・市町村・関係団体

に連絡し、防疫活動についての協力を要請する。

(3)あらかじめ発表内容を関係者に周知した上で、道・総合振興局(振興局)で発

表する。

(4)道対策本部及び総合振興局(振興局)防疫対策本部に広報担当者を置く。

(5)報道機関に対しては、随時広報用資料を配付する。

2 対策本部の設置

道対策本部、総合振興局(振興局)、市町村に防疫対策本部をそれぞれ設置する。

関係機関・関係団体には、文書で各対策本部を設置した旨を通知し、防疫活動につ

いての協力を要請する。

道や総合振興局(振興局)等に設置した(防疫)対策本部では、必要に応じ本病

の概要、留意点等に関する文書を関係者に配布する。

3 公表、通報

法第 13 条第4項の規定に基づき、本病の発生を公示、報告及び通報を行うととも

に、各(防疫)対策本部は、自衛防疫組合、関係機関の協力のもと、家きんの所有

者、関係者に高病原性鳥インフルエンザ等発生に係る情報を周知する。(内容は、

病名、発生羽数、発生の日時、発生の場所、発生の経緯、すでに実施した防疫措置

の概要、防疫対策本部の設置、関係者に対する協力要請等)。

4 家畜防疫員等の動員

畜産振興課は、家保と連携し、必要な人数の家畜防疫員に集合を命じ、その他の

家畜防疫員についても当分の間、常時その行動や所在を把握する。その後の発生状

況等によって、道内の家畜防疫員では対応が困難と判断される場合には、国に対し

て、不足する防疫従事人員、派遣要請内容を連絡し、他都府県の家畜防疫員、関係

機関の人員の派遣について調整を依頼する。

○動員の想定

発生農場の飼養羽数及び飼養形態、疫学関連農場及び移動制限区域内の家きん飼養農場戸数、防疫

措置の方法により、必要とする動員数はそれぞれのケースが想定されるが、総合振興局(振興局)防

疫対策本部は、概ね次項の発生規模別想定動員を基本に防疫措置の期間による途中又は午前午後交

代、続発及び他の家畜の伝染病の発生を念頭に、余力を持った動員を想定する。

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V 発生農場の防疫

1-19

V 発生農場の防疫

防疫の基本事項

1 総合振興局(振興局)防疫対策本部は、総合振興局(振興局)長等を総括責任と

して定め、かつ、それぞれの業務分担及び指揮命令系統を明らかにする。

2 家畜防疫員は、家きんの所有者に対し、本病の概要、法の趣旨、所有者の義務、

道等の協力方針、法第 52 条の3の規定により行政不服審査法(昭和 37 年法律第

160 号)に基づく不服申し立てに制限がある旨等について説明を行う。

3 家畜防疫員は、患畜等の所有者に対し、法第 16 条、第 21 条、第 23 条及び第 25

条の規定に基づき患畜等のと殺、農場の消毒、病原体の散逸防止措置等を速やか

に実施するよう指示し、必要に応じ、患畜等の所有者に協力する。

4 家畜防疫員は、種鶏場等のふ卵業務を行っている農場で患畜等が確認された場合

は、農場の管理者に対し、法第 34 条に基づきふ卵の停止又は制限を行うよう指

示するとともに、ふ卵中の卵、ふ卵器等については、法第 23 条の規定に基づき

汚染物品としてすべて焼却、埋却又は消毒を行うよう指導する。

5 と殺処分、死体処理、消毒、汚染物品の処理等に必要な人員、資材、薬品等の準

備並びに関係機関及び関係団体への連絡は、現地防疫対策本部で実施する。この

ため、現地の家畜防疫員はと殺処分予定羽数、と殺処分の方法、死体処理方法等

の防疫措置に必要な事項について現地対策本部に確認し、指示を受ける。

6 発生農場の外部の見やすい場所に発生の標示と立入禁止の掲示を行い、門を閉じ

るか綱を張るなどし、出入口数を必要最小限に限定する。当該出入口には、消毒

槽及び噴霧消毒施設を設ける。

7 すべての動物の隔離及び係留並びに排水溝の閉鎖を確認する。

8 ウイルスに汚染するおそれのあるすべてのもの(庭及び道路を含む)に十分な消

毒液を散布する。この場合において、家きんの管理等に使用した衣類、飼育管理

器具等についても同様とする。

9 日常、農場において作業を行っている者は、まん延防止及び公衆衛生上の観点か

ら、原則として防疫作業に当たらないよう指導する。

10 農場においては、病原体の拡散を防止するため、野鳥及び野生動物の侵入防止

並びに、はえ等の衛生害虫の駆除を徹底する。

11 防疫措置の実施に当たっては、管轄の保健福祉室または市の保健所などと連携

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V 発生農場の防疫

1-20

し、防疫作業に従事する者は、防疫衣、マスク、ゴーグル、手袋等を必ず着

用、感染防止に努めるよう十分留意し、予防投薬等についての助言を求める。

また、万一、感染が疑われる者が発生した場合にあっては、速やかに保健福

祉室や医療関係者の指導を仰ぐ。

<発生農場の一般緊急措置:第2章 V(P.30)を参照>

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V 発生農場の防疫

1-21

防疫従事者の入退場時及び退場後の留意点 <第2章 V(P.30)を参照>

1 入場時は消毒済みの作業着・長靴等を着用する。

2 退場時には、身体・衣服・眼鏡を消毒後、入場時に着用した作業着等を脱ぎ、手

洗い・洗顔・うがいを行う。場内で着用していた作業着等は、消毒液に浸漬した

後ポリ袋に入れ、外装を噴霧消毒して持ち帰る。

3 農場出入口に仮設テントを設置する等、上記1、2の措置が円滑に実施できるよ

う配慮する。

4 帰庁(宅)後、移動に利用した車の消毒、着用していたすべての衣服の洗濯、入浴・

洗髪を行う。

5 農場内作業者選定においては、次のとおりインフルエンザ感染の有無等の健康状

態に留意する。

(1)作業前後の体調や健康状態を把握すること

(2)作業従事にあたっては、手洗いやうがいの励行や、適切な個人感染防護具の着

用など、必要な感染防御手段を講ずること

6 家きんのと殺処分等、家きん舎内作業は原則、家保や総合振興局(振興局)職員

等とし、家きん等を飼養している者は直接防疫作業にあたらせない。

7 現地防疫従事者は、原則として、作業後7日間は発生農場以外の家きん等に接触

しない。やむを得ず接触する場合には、事前に家畜防疫員の指導を受け、上記4

の措置を再度実施する。

なお、従事者の雇用に当たっては、あらかじめ、家きん等の飼養の有無を調べ、

飼養者の雇用は慎重を期する。

人員の確保 <第2章 IV-1(P.26)を参照>

1 現地での防疫措置に必要な人員は、総合振興局(振興局)防疫対策本部が、関係

機関・関係団体の協力を得て確保する。

なお、道対策本部は、必要に応じ、家畜防疫員を派遣する。

2 防疫措置の遅延により発生の拡大が見込まれる場合には、道は国と調整の上、他

都府県への家畜防疫員の派遣要請を行う。

3 発生規模が想定を超え、上記1、2による対応では不十分な場合は、事前に自衛

隊災害担当窓口に対し、発生状況・派遣内容等について連絡し、知事より自衛隊

へ派遣要請を行う。

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V 発生農場の防疫

1-22

と殺 <第2章 VII(P.34)を参照>

1 家畜防疫員は、患畜等の所有者に対し、と殺指示書を交付する。

2 発生農場への出入口は、原則として1か所に限定するものとし、その他の出入口

については、門を閉じる、綱を張る等の方法により閉鎖する。

3 患畜等は、当該農場内で、原則として病性の判定後24時間以内にと殺を完了する。

4 と殺は、原則として家きん舎内で行う。やむを得ず家きん舎外でと殺する場合に

は、ケージなどを用意し、病原体の拡散防止、死体処理場所の選 定に配慮して実

施する。

5 と殺は、二酸化炭素ガス、泡殺鳥機等により行う。また、臨床症状が確認されて

いる家きん舎を優先して行う。

6 と殺に当たっては、作業者の感染防止及び安全確保に留意する。

7 感染経路の究明のため、と殺時に発症している家きんの病変部位、発症家きんがい

る場所等を鮮明に撮影する。また、動物衛生課と協議の上、発症していない家

きんを含めて、飼養規模に応じた検査材料の採材を行う。

死体の処理 <第2章 VIII(P.36)を参照>

1 患畜等の所有者は、家畜防疫員が施行規則別表第二で定める基準に基づいて行う

指示に従い、原則として、患畜等の死体については、患畜又は疑似患畜と判定した72

時間以内に焼却し、又は発生農場若しくはその周辺(人家、飲料水、 河川及び道路に

近接しない場所であって、日常人及び家畜が接近しない場所に限る。)において埋却

する。

2 やむを得ず、焼却又は埋却のため死体を農場から移動させる必要がある場合に

は、動物衛生課と協議の上、次の措置を講ずる。

(1)原則として、密閉車両又は密閉容器を用いる。これらがない場合には、運搬物

が漏出しないよう、床及び側面をシートで覆い、更に運搬物を積 載した後、上部

もシートで覆う等の措置を講ずる。

(2)積込み前後に車両表面全体を消毒する。

(3)原則として、他の農場の付近を通行を避け、かつ、他の畜産関係車両が利用し

ない移動ルートを設定する。

(4)移動中は、消毒ポイントにおいて運搬車両を十分に消毒する。

(5)死体を処理する場所まで家畜防疫員が同行する。

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V 発生農場の防疫

1-23

(6)運搬後は、車両及び資材を直ちに消毒する。

3 焼却又は埋却による処理が困難な場合には、動物衛生課と協議の上、化 製処理を

行うものとする。また、当該死体の移動に当たっては、2の措置を講ずる。

4 焼却又は化製処理をする場合には、次の措置を講ずる。

(1)運搬車両から原料搬入口までシートを敷く。

(2)原料置場を製品置場と隔てて設置する等の措置を講ずる。

(3)焼却又は化製処理が完了し、設備及び資材の消毒が終了するまで、家畜防疫員

が立ち会う。

(4)処理後直ちに、処理施設の出入口から投入場所までの経路を消毒する。

5 焼却、埋却又は化製処理が困難な場合には、発酵による消毒を行う。

汚染物品の処理 <第2章 IX(P.45)を参照>

発生農場における次の物品は、汚染物品とする。原則として、焼却し、又は発農場

若しくはその周辺において埋却する。焼却又は埋却が困難な 場合には、動物衛生課

と協議の上、化製処理又は消毒を行う。

1 家きんの卵(ただし、病性判定日から遡って 7日目の日前に採取され区分管理され

ていたもの、GP センター(液卵加工場を含む。以下同じ。)等で既に食用に処理され

ていたもの及び種卵を除く。)

2 種卵(ただし、病性判定日から遡って 21 日目の日前に採取され、区分管理されて

いたものは除く。)

3 排せつ物

4 敷料

5 飼料

6 その他ウイルスより汚染したおそれのある物品

消毒等 <第2章 X(P.47)を参照>

1 家畜防疫員は、所有者に対して、ケージ・集卵ベルト・下水・排水溝等の設備の

状況を踏まえ、農場全体(特に家きん舎の床・壁等の施設)を十分に消毒するよ

う指示する。(法第 25 条)

2 消毒法は、施行規則別表第二の基準により、対象物に応じて適切なものを選定す

る。(消毒法:次亜塩素酸ナトリウム液、アルカリ液、ホルムアルデヒド、クレ

ゾール液、逆性石けん液、高温蒸気等)

3 農場の出入口は、1か所のみとし、人・車両等の消毒を必ず実施する。

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V 発生農場の防疫

1-24

4 患畜等に接触した器具・衣服等(接触したおそれのあるものを含む)も消毒する。

5 消毒作業を実施する際は、作業員の衣服等を消毒済みのものと取り替える。

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VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限

1-25

VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の

制限

1 発生農場

知事は、本病の患畜等の発生を確認し、まん延防止のため必要がある場合には、

法第 32 条第1項の規定及び家畜伝染病まん延防止規則(昭和 50 年4月 25 日規則第

32 号以下「防止規則」という。)に基づき、家きん、その死体又は本病の病原体を

ひろげるおそれがある汚染物品及び運搬車両等について、道内において移動を制限

する区域(以下「移動制限区域」という。)又は区域外への搬出を制限する区域(以

下「搬出制限区域」という。)を定めるとともに、法第 33 条及び第 34 条の規定に

基づき、品評会等の家きんを集合させる催物の開催等を制限する。

2 疫学関連家きん

疫学調査の結果、疫学関連家きんであることが明らかとなったものは、法 32 条第

1項の規定に基づき移動を禁止し、臨床症状の観察を行う。

移動制限区域、搬出制限区域 <第2章 XI-1(P.51)、2(P.59)を参照>

制限区域は、患畜等の発生の確認後速やかに、次により制限の範囲、期間及び内容

を定めて行う。また、必要により制限の対象外を設ける。

1 区域の設定

(1)高病原性鳥インフルエンザの場合

ア 移動制限区域

(ア) 原則として、発生農場を中心とした半径3km以内の区域を家きん等の移動を

禁止する区域として設定する。ただし、動物衛生課と 協議の上、判定前で

あっても高病原性鳥インフルエンザである可能性が高いと認められる場合

には、判定結果を待たずに移動制限区域を設定する。

(イ) 発生農場における感染状況等から通報が遅れたことが明らかであり、か

つ、疫学情報により既に感染が拡大しているおそれがあると考えられる場

合等には、動物衛生課と協議の上、原則として、半径 10km 以内の区域を移

動制限区域として設定する。なお、感染の拡大がより広範囲に及んでいる

と考えられる場合には、10km を超えて設定する。

イ 搬出制限区域

原則として、移動制限区域に外接する発生農場を中心とした半径 10km 以

内の区域について、家きん等の当該区域からの搬出を禁止する区域として

設定する。

なお、移動制限区域の1の区域の設定アの(イ)の場合には、移動制限区

域の外縁から 10km 以内の区域について、搬出制限区域として設定する。

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VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限

1-26

ウ 食鳥処理場で発生した場合

(ア)食鳥処理場に所在する家きんが高病原性鳥インフルエンザの患畜又は疑似患

畜と判定された場合には、動物衛生課と協議の上、原則として、当該食鳥処理

場を中心とした半径1km以内の区域について、移動制限区域として設定する。

(イ)当該家きんの出荷元の農場を中心として、ア及びイと同様に移動制限区域

及び搬出制限区域を設定する。

(2)低病原性鳥インフルエンザの場合

ア 移動制限区域

(ア)原則として、発生農場を中心とした半径1km以内の区域を移動制限区域とし

て設定する。

(イ)発生農場における感染状況等から通報が遅れたことが明らかであり、 かつ、

疫学情報により既に感染が拡大しているおそれがあると考えられる場合等に

は、動物衛生課と協議の上、原則として、半径5km以内の区域を移動制限区域

として設定する。

なお、感染の拡大がより広範囲に及んでいると考えられる場合には、5km

を超えて設定する。

イ 搬出制限区域

原則として、移動制限区域に外接する発生農場を中心とした半径5km以内の

区域について、搬出制限区域として設定する。

なお、アの(イ)の場合には、移動制限区域の外縁から5km以内の区域につ

いて、搬出制限区域として設定する。

2 制限の解除

(1)高病原性鳥インフルエンザの場合

ア 移動制限区域

次の要件をいずれも満たした時に解除する。

(ア)移動制限区域内の全ての発生農場の防疫措置の完了(と殺、焼却・埋却及

び消毒が全て完了していることをいう。以下同じ。)後10日が経過した後

に実施する防疫指針第12の2の(2)の清浄性確認検査で全て陰性を確認す

ること

(イ)移動制限区域内の全ての発生農場の防疫措置完了後21日が経過している

こと

イ 搬出制限区域

アの(ア)の検査で全て陰性を確認した時に解除する。

(2)低病原性鳥インフルエンザの場合

ア 移動制限区域

高病原性鳥インフルエンザの場合と同様に、アの要件をいずれも満たした時

に解除する。

イ 搬出制限区域

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VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限

1-27

防疫指針第12の2の(1)の発生状況確認検査において、移動制限区域及び搬出

制限区域内の全ての農場で陰性を確認した時に解除する。

3 制限の対象

(1)生きた家きん

(2)家きん卵(ただし、GPセンター等で既に食用に処理されていたものを除く。)

(3)家きんの死体

(4)敷料、飼料、排せつ物等

(5)家きん飼養器具

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VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限

1-28

【移動・搬出制限区域における措置の概要 <高病原性鳥インフルエンザの場合>】

移動制限区域 原則、発生農場を中心とした半径3km (※感染が拡大しているおそれがある場合は半径10㎞以内 または半径10kmを超えて設定し、のちに3kmまで縮小可能)

対 象 制限内容

(1)移動制限区域内の家きん・家きん卵(除外あ

り)・死体・制限物品(敷料・飼料・排せつ物等・

飼養器具)

移動(内→内、内→外)

(2)移動制限区域外の家きん・家きん卵・死体・制

限物品 移動(外→内)

(3)食鳥処理場・GPセンター・ふ卵場・品評会等 閉鎖または開催禁止

移動制限の例外(条件あり) 対 象 例外内容

(1)食鳥処理場 再開

(2)GPセンター 再開

(3)ふ卵場 再開

(4)移動制限区域内の家きん 食鳥処理場への出荷

(内→内のみ)

(5)移動制限区域内の家きん卵(種卵

を除く)

GPセンターへの出荷 (内→内、内→外)

(6)移動制限区域内の種卵 ふ卵場への出荷

(内→内、内→外)

(7)移動制限区域内ふ卵場の初生ひ

農場への出荷

(内→内、内→外)

(8)移動制限区域内の敷料・排せつ

物・死体

焼却・埋却・化製処理・消毒を目的と

した移動(内→内、内→外)

(9)移動制限区域外の家きん・家きん

卵(種卵を含む)・初生ひな・死体

食鳥処理場・GPセンター・ふ卵場へ

の出荷(外→内)

農場への出荷(外→内)

焼却場所及び化製場への移動(外→内)

通過(外→内→外)

搬出制限区域 原則、移動制限区域に外接する発生農場を中心とし

た半径10km (※感染が拡大しているおそれがある場合は移動制限区域の外

縁から10㎞以内の区域)

対 象 制限内容

(1)搬出制限区域内の家きん・家きん卵(除外あ

り)・死体・制限物品(敷料・飼料・排せつ物等・

飼養器具)

移動(内→外)

(2)品評会等 開催禁止

搬出制限の例外(条件あり) 対 象 例外内容

(1)搬出制限区域内の家きん・家きん

卵(種卵を含む)・初生ひな

食鳥処理場・GPセンター・ふ卵場・

農場への出荷(内→外)

(2)搬出制限区域内の敷料・排せつ

物・死体

焼却・埋却・化製処理・消毒を目的と

した移動(内→外)

(3)搬出制限区域外の家きん・家きん

卵・死体

通過(外→内→外)

3km 10km

清浄性確認検査

(移動制限区域内の全ての発生農

場の防疫措置の完了後 10 日が経過

した後)

移動制限区域内のすべての発生農

場の防疫措置完了後 21 日が経過

3km

搬出制限解除

移動制限解除

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VI 移動制限及び搬出制限、家畜集合施設の開催等の制限

1-29

【移動・搬出制限区域における措置の概要 <低病原性鳥インフルエンザの場合>】

移動制限区域 原則、発生農場を中心とした半径1km (※感染が拡大しているおそれがある場合は半径5㎞以内 または半径5kmを超えて設定し、のちに1kmまで縮小可能)

対 象 制限内容

(1)移動制限区域内の家きん・家きん卵(除外あ

り)・死体・制限物品(敷料・飼料・排せつ物等・

飼養器具)

移動(内→内、内→外)

(2)移動制限区域外の家きん・死体・制限物品 移動(外→内)

(3)食鳥処理場・GPセンター・ふ卵場・品評会等 閉鎖または開催禁止

移動制限の例外(条件あり) 対 象 例外内容

(1)食鳥処理場 再開

(2)GPセンター 再開

(3)ふ卵場 再開

(4)移動制限区域内の家きん 食鳥処理場への出荷

(内→内のみ)

(5)移動制限区域内の家きん卵 GPセンターへの出荷 (内→内、内→外)

(6)移動制限区域内の種卵 ふ卵場への出荷

(内→内、内→外)

(7)移動制限区域内ふ卵場のひな 農場への出荷

(内→内、内→外)

(8)移動制限区域内の敷料・排せつ

物・死体

焼却・埋却・化製処理・消毒を目的と

した移動(内→内、内→外)

(9)移動制限区域外の家きん・家きん

卵(種卵を含む)・初生ひな・死体

食鳥処理場及びGPセンターへの出荷

(外→内)

農場への出荷(外→内)

焼却場所及び化製場への移動(外→内)

通過(外→内→外)

搬出制限区域 原則、移動制限区域に外接する発生農場を中心とし

た半径5km (※感染が拡大しているおそれがある場合は移動制限区域の外

縁から5㎞以内の区域)

対 象 制限内容

(1)搬出制限区域内の家きん・家きん卵(除外あ

り)・死体・制限物品(敷料・飼料・排せつ物等・

飼養器具)

移動(内→外)

(2)品評会等 開催禁止

搬出制限の例外(条件あり) 対 象 例外内容

(1)搬出制限区域内の家きん・家きん

卵(種卵を含む)・初生ひな

食鳥処理場・GPセンター・ふ卵場・

農場への出荷(内→外)

(2)搬出制限区域内の敷料・排せつ

物・死体

焼却・埋却・化製処理・消毒を目的と

した移動(内→外)

(3)搬出制限区域外の家きん・家きん

卵・死体

通過(外→内→外)

1km 5km

清浄性確認検査

(移動制限区域内の全ての発生農

場の防疫措置の完了後 10 日が経過

した後)

搬出制限解除

1km

移動制限区域内のすべての発生農

場の防疫措置完了後 21 日が経過

移動制限解除

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VII 移動制限区域等における防疫指導

1-30

VII 移動制限区域等における防疫指導 異常家きんの通報による農場立入検査以降、高病原性鳥インフルエンザ等の発生を

想定して、制限区域内の家きん等飼養農場を取りまとめ、病性決定後に速やかに次に

より電話等による確認、立入検査を実施し、異常家きん等の確認を行う。

1 立入検査前の電話確認

総合振興局(振興局)防疫対策本部は市町村対策本部と連携し、区域内の家きん

の所有者に電話等で、異常家きんの有無、異常家きん発見時の通報及び死亡状況報

告の徹底等を行う。

2 立入検査

(1)移動制限区域内

総合振興局(振興局)防疫対策本部が班編制を行い、臨床検査による異常の有

無の確認、関係者以外の農場内への立入制限、発生予防対策、異常が認められた

場合の通報及び死亡状況報告の指導徹底を図る。

小規模飼養者に対しては、関係機関、市町村等の協力を得ながら、飼養状況を

再確認の上、家きん飼養農場の立入検査終了後速やかに立入検査を実施し、臨床

検査や発生予防対策、異常が認められた場合の通報等の指導を行う。

(2)移動制限区域外

区域内と同様に、臨床検査、関係者以外の立入制限、発生予防対策、異常が認

められた場合の通報を行うとともに、必要があれば死亡状況報告の要請を行う。

小規模飼養者に対しては、関係機関、市町村等の協力を得ながら、飼養状況を

再確認の上、発生予防対策、異常が認められた場合の通報等の指導を行い、必要

に応じて立入検査を行う。

(3)発生状況確認検査

患畜又は疑似患畜の判定後、原則として 24 時間以内に次の農場(家きんを 100

羽以上飼養する農場)に立ち入り、臨床検査を行うとともに、ウイルス分離検査

及び血清抗体検査を実施する。

ア 高病原性鳥インフルエンザの場合

移動制限区域内の農場

イ 低病原性鳥インフルエンザの場合

移動制限区域内及び搬出制限区域内の農場

3 病性鑑定

立入検査で異常が認められた場合、或いは異常が認められた旨の通報により立入

検査の結果、本病が疑われる場合には、直ちに病性鑑定を行い、本病の診断を行う。

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VIII 疫学的関連のある農場における防疫

1-31

VIII 疫学的関連のある農場における防疫 発生農場における家きん、人、車両等の出入りに関する疫学調査を実施し、農場

等への立入検査を実施する。

疫学調査(ウイルスの浸潤状況の確認)

1 調査の実施方法

患畜又は疑似患畜と判定した後、速やかに、病性判定日から少なくとも21日間(低

病原性鳥インフルエンザにあっては、180日間)遡った期間を対象として、発生農

場における家きん、人(獣医師、農場指導員、キャッチャー等家きんに触れる者、

地方自治体職員等)及び車両(集卵車、飼料運搬車両、死亡鳥回収車両、たい肥運

搬車両等)の出入りに関する疫学情報を収集し、ウイルスに接触したおそれのある

家きんに関する調査を実施し、極力短期間で完了させる。

2 疫学関連家きん

調査の結果、次の家きんであることが明らかとなったものは、疫学関連家きんと

して、法第32条第1項の規定に基づき移動を禁止し、臨床症状の観察を行うととも

に、患畜等との接触後14日を経過した後に血清抗体検査を行う。

(1) 病性判定日から遡って過去8日以上21日以内に患畜と接触した家きん

(2) 病性判定日から遡って過去8日以上21日以内に疑似患畜(臨床症状を呈してい

たものに限る。)と接触した家きん

(3) 病性判定日から遡って過去21日以内に発生農場に出入りした人、物又は車両が

当該出入りした日から7日以内に出入りした他の農場等で飼養されている家き

(4)防疫指針の第5の2の(1)の②のオ及びカ並びに(2)の②のキ及びクに規定

する疑似患畜が飼養されていた農場で飼養されている家きん

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IX 清浄性確認のための検査

1-32

IX 清浄性確認のための検査 制限区域内における清浄性を確認するため、次のとおり検査を実施する。

1 清浄性確認検査

当該移動制限区域内の全ての発生農場の防疫措置の完了後10日が経過した後に、

臨床検査を行うとともに、ウイルス分離検査及び血清抗体検査を実施する。

(1)高病原性鳥インフルエンザの場合:移動制限区域内の農場

(2)低病原性鳥インフルエンザの場合:移動制限区域内及び搬出制限区域内の農場

2 検査員の遵守事項

臨床検査において採材を行った者は、次の事項を遵守する。

(1)当該農場を出る際には、身体、衣服、眼鏡その他の携行用具の消毒及び車両の

消毒を行うこと

(2)帰宅後は、入浴して身体を十分に洗うこと

(3)立ち入った農場における臨床検査で異状が確認された場合には、遺伝子検査の

結果が判明するまで、他の農場の調査に立ち入らないこと

(4)発生農場の防疫措置に従事した日から 7日を経過していない者は、疫学調及

び周辺農場検査において、農場に立ち入らないものとする。

<第2章 XIII(P.69)を参照>

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X 食鳥処理場等で発生した時の防疫措置

1-33

X 食鳥処理場等で発生した時の防疫措置

1 食鳥処理場から通報があった場合、次の措置を講じる。

(1)異常家きん及びこれと同一の農場から出荷された家きんのと殺を中止するこ

(2)畜産関係車両の出入りを禁止すること

(3)従業員等が外出する場合、適切な消毒等を行うこと

(4)従業員等は、異常家きんが高病原性鳥インフルエンザ等でないと判明するま

では、家きんの飼養施設に立ち入らないこと

(5)異常家きんの出荷農場を直ちに特定し、1の(1)から(4)までの指導を

行うこと

(6)異常家きんの出荷に使用された車両を特定し、当該車両の消毒を徹底すると

ともに、当該車両が農場等に出入りしないよう指導すること

2 移動制限の設定

食鳥処理場に所在する家きんが高病原性鳥インフルエンザの患畜又は疑似患畜と

判定された場合には、動物衛生課と協議の上、次の措置を講ずる。

(1)原則として、当該食鳥処理場を中心とした半径1km以内の区域について、

移動制限区域として設定する。

(2)当該家きんの出荷元の農場を中心として、防疫指針第9の1の(1)の①及

び②に準じて移動制限区域及び搬出制限区域を設定する。

3 家きんの処分及び食鳥処理場の消毒

異常家きんが高病原性鳥インフルエンザ等の患畜若しくは疑似患畜と診断された

場合、家保及び食肉衛生検査所等は連携を図り、防疫措置を実施する。

【食鳥処理場※で発生したときの防疫措置】

食鳥処理場で疑似症例と判断された場合の食鳥処理場内の措置等については、食鳥検査法に基

づき実施する。

(1)スクリーニング検査の実施

食鳥検査員はスクリーニング検査を実施し、検査結果が陽性の場合は、直ちに家保へ通報

する。

(2)家きんの処分及び食鳥処理場の消毒

通報とともに、スクリーニング検査陽性となったロットの家きん、食鳥肉等については、

食鳥検査法施行規則第33条第1項第1号ハに基づき食鳥処理場内での保留を命じる。

確認検査の結果、高病原性鳥インフルエンザの患畜と診断された場合は、食鳥検査員は家

保への届出及び食鳥検査法第20条により食鳥処理場内の消毒、当該ロットの食鳥肉の廃棄等

を食鳥処理業者等に命ずるとともに、家保と協議し、化製場等への搬入等により対応する。

※食鳥検査法において年間処理羽数30万羽を越える食鳥処理場

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X 食鳥処理場等で発生した時の防疫措置

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【食鳥処理場における措置の流れ(処理場内で異常家きんが発見された場合)】

大規模食鳥処理場(食検等)

出荷農場

スクリーニング検査要否の判断

スクリーニング検査の実施

食鳥検査法に基づく措置

家保への通報

感染症研究所での確認検査

食鳥検査法に基づく措置

家保への届出

家保

出荷農場への立入検査

(病性鑑定)

以降、病性鑑定結果

に応じて農場の措置を

実施

発生報告

処理場を中心とした

制限区域が設定された

場合は、区域内で必要

な措置を実施※

※ 制限区域設定の要否は、北海道対策本部と国で協議して決定する。

〈出荷〉

〈通報〉

〈届出〉

〈立入〉

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XI 血清抗体検査のみが陽性となった場合の防疫措置

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XI 血清抗体検査のみが陽性となった場合の

防疫措置 患畜又は疑似患畜とは判定されなかったものの、H5又はH7亜型のA型インフルエン

ザウイルスに特異的な抗体が確認された家きんを飼養する農場については、農場監視プ

ログラムを適用する。農場監視プログラムは、農場監視プログラムの適用開始時におい

て飼養されている全ての家きんが処理された時点で、適用を終了する。

<第2章 XIV (P.71 )を参照>

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XII ワクチン

1-36

XII ワクチン

現行のワクチンは、発症の抑制に効果があるものの、感染を完全に防御すること

はできないため、無計画・無秩序なワクチンの使用は、発生又は流行を見逃すおそれ

を生ずることに加え、清浄性確認のための抗体検査の際に支障を来し、清浄化を達成

するまでに長期間かつ多大な経済的負担や混乱を招くおそれがある。また、肉用鶏に

ついては、ワクチン接種した場合に、休薬期間に係る食品衛生法(昭和 22 年法律第

233 号)上の問題もある。

このため、ワクチンの使用については、慎重に判断する必要があり、我が国における

本病の防疫措置は、早期の発見と患畜等の迅速なと殺を原則とし、平常時の予防的なワ

クチンの接種は行わない。

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XIII 野鳥等で感染が確認された場合の防疫措置

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XIII 野鳥等で感染が確認された場合の防疫措置 野鳥など家きん以外の鳥類で高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が確認され

た場合には、次の措置を講ずる。

1 当該鳥類(その死体を含む。)を確保した場所又は当該鳥類を飼養していた場所の

消毒及び通行制限・遮断(山中、住宅密集地等で発見された場合など、家きんへの感

染防止の観点から必要と認められない場合を除く。)

2 発生地点を中心とした半径 3km の区域内にある農場(家きんを 100 羽以上飼養す

る農場)に対する速やかな立入調査(死亡率の増加、産卵率 の低下等の異状の有無及

び衛生管理基準の遵守状況の確認)

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XIV 家きんの再導入

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XIV 家きんの再導入 防疫指針第7の4の消毒を行った後、家きんの再導入を予定する農場を対象に、

次の検査を行う。

1 家きん舎の床、壁、天井等のウイルス分離検査

2 清浄性確認のため導入したモニター家きんの臨床検査、ウイルス分離検査及び

血清抗体検査

<第2章 XIII (P.70 )を参照>